(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】工作機械システム、管理方法及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230824BHJP
G05B 19/4063 20060101ALI20230824BHJP
G05B 19/4069 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B19/4063 L
G05B19/4069
(21)【出願番号】P 2020014514
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚登
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-284002(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123116(WO,A1)
【文献】特開2019-200661(JP,A)
【文献】国際公開第2018/079778(WO,A1)
【文献】特開2003-58215(JP,A)
【文献】特許第6838308(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 19/4063
G05B 19/4069
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を用いて行われた被加工物の加工工程を識別するための識別情報と、前記加工工程における前記工具の加工パスを少なくとも含む特徴情報とを取得する取得部と、
前記特徴情報から特徴ベクトルを抽出する抽出部と、
前記識別情報と、前記特徴ベクトルとを関連づけて複数記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された複数の前記識別情報のうち1つの識別情報を検索識別情報として選択する選択部と、
前記記憶部において前記検索識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルと、前記記憶部において複数の前記識別情報のうち前記検索識別情報以外の識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルとの類似度を演算する演算部と、
を備える工作機械システム。
【請求項2】
前記類似度は、前記記憶部において前記検索識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルと、前記記憶部において複数の前記識別情報のうち前記検索識別情報以外の識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルとの内積である、
請求項1に記載の工作機械システム。
【請求項3】
前記特徴情報は、前記工具の種類を含む、
請求項1又は2に記載の工作機械システム。
【請求項4】
前記特徴情報は、前記被加工物の材質を含む、
請求項1乃至3のいずれかに記載の工作機械システム。
【請求項5】
前記抽出部は、前記加工パスを平面上に投影させた投影画像を用いて、前記特徴ベクトルを抽出する、
請求項1乃至4のいずれかに記載の工作機械システム。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記取得部は、前記加工工程における加工条件を取得し、
前記記憶部は、前記加工条件を前記識別情報及び前記特徴ベクトルと関連づけて記憶し、
前記演算部は、前記複数の前記識別情報と、前記複数の前記識別情報それぞれと関連づけて記憶された前記加工条件とを前記類似度の高い順に前記表示部に表示させる、
請求項1乃至5のいずれかに記載の工作機械システム。
【請求項7】
工作機械システムの管理方法であって、
工具を用いて行われた被加工物の加工工程を識別するための識別情報と、前記加工工程における前記工具の加工パスを少なくとも含む特徴情報とを取得する工程と、
前記特徴情報から特徴ベクトルを抽出する工程と、
前記識別情報と、前記特徴ベクトルとを関連づけて複数記憶する工程と、
記憶された複数の前記識別情報のうち1つの識別情報を検索識別情報として選択する工程と、
前記検索識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルと、複数の前記識別情報のうち前記検索識別情報以外の識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルとの類似度を演算する工程と、
を備える管理方法。
【請求項8】
工具を用いて行われた被加工物の加工工程を識別するための識別情報と、前記加工工程における前記工具の加工パスを少なくとも含む特徴情報とを取得する工程と、
前記特徴情報から特徴ベクトルを抽出する工程と、
前記識別情報と、前記特徴ベクトルとを関連づけて複数記憶する工程と、
記憶された複数の前記識別情報のうち1つの識別情報を検索識別情報として選択する工程と、
前記検索識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルと、複数の前記識別情報のうち前記検索識別情報以外の識別情報と関連づけて記憶された前記特徴ベクトルとの類似度を演算する工程と、
を工作機械システムを管理するコンピュータに実行させる管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械システム、管理方法及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NC(Numerical Control)プログラムに従って、被加工物を所望の形状に加工するコンピュータ数値制御工作機械(以下、「工作機械」という。)が知られている。
【0003】
特許文献1では、複数の工作機械を備える工作機械システムにおいて、各工作機械から工具情報(工具種類、工具径など)と加工条件(送り速度、主軸回転数など)とを自動的に収集する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、類似する加工工程どうしの加工条件に違いがある場合、両者の加工条件を比較検討することができれば、加工条件の至適化に有用である。
【0006】
しかしながら、全ての工作機械において実施される多種多様な加工工程の中から類似する加工工程を選別することは容易ではないため、類似する加工工程どうしの加工条件を比較検討することは困難である。
【0007】
本開示は、類似する加工工程を簡便に選別可能な工作機械システム、管理方法及び管理プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る工作機械システムは、取得部と、抽出部と、記憶部と、選択部と、演算部とを備える。取得部は、工具を用いて行われた被加工物の加工工程を識別するための識別情報と、加工工程における工具の加工パスを少なくとも含む特徴情報とを取得する。抽出部は、特徴情報から特徴ベクトルを抽出する。記憶部は、識別情報と、特徴ベクトルとを関連づけて複数記憶する。選択部は、記憶部に記憶された複数の識別情報のうち1つの識別情報を検索識別情報として選択する。演算部は、記憶部において検索識別情報と関連づけて記憶された特徴ベクトルと、記憶部において複数の識別情報のうち検索識別情報以外の識別情報と関連づけて記憶された特徴ベクトルとの類似度を演算する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、類似する加工工程を簡便に選別可能な工作機械システム、管理方法及び管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る工作機械システムの構成を示す模式図
【
図2】実施形態に係る主軸負荷データの一例を示すグラフ
【
図3】実施形態に係る特徴ベクトルの抽出方法の一例を説明するための図
【
図4】実施形態に係る記憶部が記憶する情報の一例を示す表
【
図6】実施形態に係る工作機械システムの管理方法を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(工作機械システム1の構成)
本実施形態に係る工作機械システム1の構成について図面を参照しながら説明する。
図1は、工作機械システム1の構成を示す模式図である。
【0012】
工作機械システム1は、複数の工作機械10と、管理装置20と、端末装置30とを備える。
【0013】
複数の工作機械10には、第1乃至第4工作機械10a~10dが含まれる。ただし、工作機械10の数は特に制限されず、1以上であればよい。以下の説明では、第1乃至第4工作機械10a~10dを纏めて「工作機械10」と総称する場合がある。
【0014】
[工作機械10]
各工作機械10は、機械本体11と、CNC(Computer Numerical Control)制御部12とを有する。
【0015】
機械本体11は、図示しない被加工物(いわゆる、ワーク)を所望の形状に加工する。機械本体11において実施される加工としては、切削加工が代表的である。切削加工には、被加工物を固定した状態で切削が行われる転削加工と、被加工物を回転させた状態で切削が行われる旋削加工とが含まれる。
【0016】
機械本体11は、テーブル14と、工具15と、主軸16とを有する。
【0017】
テーブル14上には、被加工物が載置される。工具15は、被加工物の加工に用いられる。工具15は、主軸16に取り付けられた状態で回転駆動する。工具15は、テーブル14上に載置された被加工物に対して相対移動する。本実施形態において、工具15は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸の三軸方向において、被加工物に対して相対移動する。テーブル14が三軸方向に移動することによって、或いは、主軸16が三軸方向に移動することによって、工具15は被加工物に対して相対移動する。
【0018】
工具15は、加工内容に応じて適宜取り替えられる。工具15の種類は、用途、材質、サイズ及び形状などに基づいて分類することができる。工具15の種類をどの程度詳細に分類するかについては、適宜設定可能である。
【0019】
CNC制御部12は、NC(Numerical Control)プログラムに従って、機械本体11を制御する。NCプログラムは、被加工物の加工のために実施される各加工工程における加工条件を含む。本実施形態において、加工条件には、被加工物を移動させる際の送り速度(Fコード)と、主軸16の回転数(以下、「主軸回転数」という。)とが含まれるが、加工条件はこれらに限られない。
【0020】
CNC制御部12は、各加工工程において主軸16にかかった負荷(以下、「主軸負荷」という。)の経時変化を示す主軸負荷データを取得する。ここで、
図2は、1つの工作機械10において所定期間内に取得された主軸負荷データの一例を示すグラフである。
図2に示した主軸負荷データは、1つの被加工物に対して複数の加工工程P1~P12が連続的に実施されたときのものである。
図2では、工具15の種類が切り替えられたタイミングで加工工程が分けられている。なお、複数の加工工程P1~P12の中には、同じ種類の工具15が用いられた加工工程が含まれていてもよい。
【0021】
CNC制御部12は、各加工工程において用いられた工具15の加工パス(いわゆる、加工軌跡)を取得する。加工パスとは、各加工工程において、被加工物に対して相対移動する工具15が有する刃先の移動軌跡である。加工パスは、工具15の刃先の位置を示す座標データの集合によって表すことができる。
【0022】
CNC制御部12は、被加工物の加工が完了すると、各加工工程を識別するための識別情報と、各加工工程における加工条件と、各加工工程における工具15の加工パスを含む特徴情報とを生成する。本実施形態において、識別情報には、各工作機械10の識別番号と、各加工工程の識別番号と、各加工工程における主軸負荷データとが含まれる。ただし、識別情報は、各加工工程を識別できるものであればよい。本実施形態において、加工条件には、各加工工程における送り速度及び主軸回転数が含まれる。
【0023】
CNC制御部12は、加工工程ごとに、識別情報と加工条件と特徴情報とを管理装置20に送信する。
【0024】
[管理装置20]
管理装置20は、ネットワークを介して、各工作機械10及び端末装置30それぞれと相互通信可能である。管理装置20の機能は、サーバによって達成することができる。サーバは、クラウドサーバであってよい。
【0025】
管理装置20は、取得部21と、抽出部22と、記憶部23と、選択部24と、演算部25とを備える。
【0026】
取得部21は、各工作機械10のCNC制御部12から、上述した識別情報と加工条件と特徴情報とを加工工程ごとに取得し、これらを抽出部22に出力する。
【0027】
抽出部22は、取得部21から、識別情報と加工条件と特徴情報とを加工工程ごとに取得する。抽出部22は、特徴情報から特徴ベクトルを抽出する。特徴ベクトルとは、特徴情報の特徴を1つの数値ベクトルで表現したものである。抽出部22における特徴ベクトルの抽出方法は特に限られないが、加工パスを平面上に投影させた投影画像を用いて特徴ベクトルを抽出する手法が好適である。
【0028】
以下、投影画像を用いて特徴ベクトルを抽出する手法について説明する。
図3(a)は、
図2の加工工程P8における加工パスQ8をxyz空間に配置した図である。抽出部22は、
図3(b)に示すように、加工パスQ8をxy平面上に平行投影させた第1投影画像R1を取得する。抽出部22は、
図3(c)に示すように、加工パスQ8をzy平面上に平行投影させた第2投影画像R2を取得する。抽出部22は、
図3(d)に示すように、加工パスQ8をzx平面上に平行投影させた第3投影画像R3を取得する。抽出部22は、第1乃至第3投影画像R1~R3に対して、周知の画像圧縮技術に用いられるフィルタリング処理を実行することによって、1つの数値ベクトルを特徴ベクトルとして抽出する。
【0029】
このような抽出部22は、エンコーダ(符号化器)として機能するニューラルネットワークにより実現される。抽出部22において実行されるフィルタリング処理の詳細(例えば、フィルタの枚数、各フィルタのパラメータ、プーリングの種類など)は適宜設定可能である。
【0030】
抽出部22は、加工工程ごとに、識別情報と加工条件と特徴ベクトルとを関連づけて記憶部23に記憶させる。
図4は、記憶部23が記憶する情報の一例を示す表である。記憶部23は、
図4に示すように、加工工程ごとに、識別情報と加工条件と特徴ベクトルとを関連づけて複数記憶する。ただし、
図4では、識別情報に含まれる主軸負荷データが省略されている。
【0031】
選択部24は、後述する端末装置30の入力部32から検索クエリを受信すると、記憶部23に記憶された複数の識別情報のうち検索クエリによって示される1つの識別情報を「検索識別情報」として選択する。
【0032】
演算部25は、記憶部23を参照して、検索識別情報と関連づけて記憶された特徴ベクトル及びその加工条件を取得する。演算部25は、記憶部23を参照して、複数の識別情報のうち検索識別情報以外の識別情報(以下、「非検索識別情報」という。)と関連づけて記憶された特徴ベクトル及びそれらの加工条件を取得する。演算部25は、全ての非検索識別情報それぞれについて特徴ベクトル及び加工条件を取得する。非検索識別情報の数は、1以上であればよい。
【0033】
演算部25は、検索識別情報に係る特徴ベクトルと、非検索識別情報に係る特徴ベクトルとの類似度を演算する。本実施形態において、演算部25は、類似度として、検索識別情報に係る特徴ベクトルと非検索識別情報に係る特徴ベクトルとの内積を演算する。演算の際、演算部25は、特徴ベクトルの成分を正規化することが好ましい。この内積の値は、検索識別情報と非検索識別情報との類似度の指標である。内積の値が1に近いほど(すなわち、内積の値が大きいほど)、検索識別情報と非検索識別情報との類似度が高いことを意味する。
【0034】
このように演算部25によって演算される内積の値に基づき、全ての工作機械10において実施される多種多様な加工工程の中から類似する加工工程を簡便に選別することができる。
【0035】
演算部25は、複数の識別情報と、複数の識別情報それぞれに関連付けて記憶された加工条件とを、後述する端末装置30の表示部31に表示させる。具体的には、演算部25は、検索識別情報と、検索識別情報に係る加工条件と、非検索識別情報と、非検索識別情報に係る加工条件とを、表示部31に表示させる。
図5は、演算部25が表示部31に表示させる表示例である。
図5に示すように、演算部25は、演算した内積の値が大きい順(すなわち、検索識別情報との類似度が高い順)に非検索識別情報を並べて表示することが好ましい。また、
図5に示すように、演算部25は、非検索識別情報について、検索識別情報との類似度を表示することが好ましい。
図5では、内積の値がそのまま類似度として表示されているが、内積の値に基づいて算出されたパーセンテージなどを類似度として表示してもよい。
【0036】
[端末装置30]
端末装置30は、ネットワークを介して、管理装置20と相互通信可能である。端末装置30としては、スマートフォンなどのスマートデバイス、或いは、パーソナルコンピュータ等の情報処理機器を用いることができる。利用者は、端末装置30を介して管理装置20を利用することができる。
【0037】
端末装置30は、表示部31と、入力部32とを備える。
【0038】
表示部31は、利用者が目視できるディスプレイである。表示部31は、管理装置20の記憶部23を参照して、各加工工程の識別情報を表示する。表示部31は、識別情報として、1つの工作機械10において所定期間内に取得された主軸負荷データ(例えば、
図2参照)を表示してもよい。
【0039】
入力部32は、利用者によって操作される操作部材である。入力部32としては、キーボード及びマウスなどを用いることができる。利用者は、入力部32を用いて、表示部31に表示された各加工工程の識別情報の中から加工条件を見直したい加工工程を選択する。主軸負荷データ上で所望の加工工程をドラッグすることによって、或いは、工作機械10及び加工工程の識別番号を入力することによって、利用者は加工工程を選択することができる。
【0040】
入力部32は、利用者が選択した加工工程の識別情報を示す検索クエリを生成して、管理装置20の選択部24に送信する。
【0041】
上述したように、管理装置20の選択部24が入力部32から検索クエリを受信して検索識別情報を選択すると、管理装置20の演算部25は、検索識別情報と、検索識別情報に係る加工条件と、非検索識別情報と、非検索識別情報に係る加工条件とを表示部31に表示させる(
図5参照)。利用者は、表示部31に表示された非検索識別情報のうち、検索識別情報との類似度が高く、かつ、加工条件が良好なものを参照することによって、検索識別情報に係る加工条件の至適化について検討することができる。
【0042】
(工作機械システム1の管理方法)
工作機械システム1の管理方法について、図面を参照しながら説明する。
図6は、工作機械システム1の管理方法を説明するためのフローチャートである。
【0043】
ステップS10において、工具15を用いて行われた被加工物の加工工程を識別するための識別情報と、加工工程における加工条件と、加工工程における工具15の加工パスを含む特徴情報とを加工工程ごとに取得する。本実施形態において、識別情報には、各工作機械10の識別番号と、各加工工程の識別番号と、各加工工程における主軸負荷データとが含まれる。本実施形態において、加工条件には、各加工工程における送り速度及び主軸回転数が含まれる。
【0044】
ステップS20において、特徴情報から特徴ベクトルを抽出する。特徴ベクトルの抽出方法としては、加工パスを平面上に投影させた投影画像を用いて特徴ベクトルを抽出する手法が好適である。
【0045】
ステップS30において、識別情報と、加工条件と、特徴ベクトルとを関連づけて複数記憶する。これにより、複数の加工工程それぞれの情報が集約される。
【0046】
ステップS40において、複数の加工工程の中から加工条件を見直したい加工工程を利用者が選択したことに応じて、利用者が選択した加工工程を示す検索クエリを生成する。
【0047】
ステップS50において、記憶された複数の識別情報から、検索クエリによって示される1つの識別情報を検索識別情報として選択する。
【0048】
ステップS60において、検索識別情報と関連づけて記憶された特徴ベクトルと、非検索識別情報と関連づけて記憶された特徴ベクトルとの内積を演算する。
【0049】
ステップS70において、検索識別情報と、検索識別情報に係る加工条件と、非検索識別情報と、非検索識別情報に係る加工条件とを表示する。この際、演算した内積の値が大きい順に非検索識別情報を並べて表示することが好ましい。また、非検索識別情報についての検索識別情報との類似度を表示することが好ましい。非検索識別情報についての検索識別情報との類似度には、内積の値をそのまま用いてもよいし、内積の値に基づいて算出されたパーセンテージなどを用いてもよい。
【0050】
(実施形態の変形例)
本開示は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本開示の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
【0051】
(変形例1)
上記実施形態において、特徴情報は、工具15の加工パスを含むこととしたが、少なくとも工具15の加工パスを含んでいればよい。特徴情報は、工具15の種類及び被加工物の材質の少なくとも一方を更に含むことが好ましい。工具15の種類及び被加工物の材質の少なくとも一方と加工パスとを含む特徴情報から特徴ベクトルを演算することによって、加工工程どうしの類似度を更に精度良く把握することができる。
【0052】
(変形例2)
上記実施形態において、特徴ベクトルの抽出方法の一例として、加工パスを平面上に投影させた投影画像を用いて特徴ベクトルを抽出する手法について説明したが、例えば、加工パスを構成する座標データの集合から特徴ベクトルを抽出してもよい。
【0053】
(変形例3)
上記実施形態では、工作機械システム1の管理方法について説明したが、本発明は、電子機器としての管理装置20が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムとして提供されてもよい。当該プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。コンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0054】
(変形例4)
上記実施形態では、検索識別情報及び非検索識別情報それぞれに係る2つの特徴ベクトルの類似度として、2つの特徴ベクトルの内積を求めたが、本発明に係る類似度は2つの特徴ベクトルの内積に限定されるものではない。
【0055】
例えば、2つの特徴ベクトルの類似度は、下記数式(1)に示される特徴ベクトル間のユークリッド距離であってもよい。この場合、ユークリッド距離が小さい程、類似度が高くなる。なお、下記数式(1)において、2つの特徴ベクトルは、特徴ベクトルA=(a1,a2,a3,・・・ai)と特徴ベクトルB=(b1,b2,b3,・・・bi)である。
【0056】
【0057】
或いは、2つの特徴ベクトルの類似度は、下記数式2に示されるピアソンの積率相関係数Cであってもよい。この場合、特徴ベクトル成分の正規化は不要となる。
【0058】
【符号の説明】
【0059】
1 工作機械システム
10a~10c 第1乃至第3工作機械装置
11 工作機械
12 CNC制御部
14 テーブル
15 切削工具
16 主軸
20 管理装置
21 取得部
22 抽出部
23 記憶部
24 選択部
25 演算部
30 端末装置
31 入力部
32 表示部
Q8 加工パス
R1~R3 第1乃至第3投影画像