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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20230824BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20230824BHJP
   G02B 6/255 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A61B3/10 100
G02B21/06
G02B6/255
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020029050
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021132720
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】奥田 陽紀
(72)【発明者】
【氏名】沖川 滋
(72)【発明者】
【氏名】坂東 龍
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-195305(JP,A)
【文献】特開昭61-83504(JP,A)
【文献】特開平11-352338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCT検査機能を有する眼科装置であって、OCT検査を行う為のOCTユニットは、眼科装置の本体内部に収納され、該OCTユニットは扁平で少なくとも1つの頂部を有する本体ケースと、該本体ケース内に収納され、光ファイバによって構成されるOCT光学系とを有し、前記頂部の少なくとも1つは光ファイバの最小曲率半径以上の曲率半径を有する湾曲部に形成され、該湾曲部に対向して仕切が設けられ、該仕切により前記本体ケース内部が頂部側の迂回部と反対側の主空間に仕切られ、該主空間に前記OCT光学系の光学部材が配設され、該光学部材が光ファイバによって接続され前記OCT光学系が構成されると共に、融着箇所を有する光ファイバは前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過する様迂回される眼科装置。
【請求項2】
前記本体ケースは3角形状を有し、又前記仕切に対向した位置に巻き芯部を有し、前記OCT光学系は、光学部材として光軸が前記仕切の一端側に向けられた光源部と、前記本体ケースの前記湾曲部と対向する周壁と平行に設けられた第1光ファイバカプラーと、前記仕切の他端に隣接する周壁と平行に設けられた第2光ファイバカプラーと、該第2光ファイバカプラーと平行に設けられた光減衰器とを具備し、前記光源部から延出する第1光ファイバは、前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記第1光ファイバカプラーに接続され、該第1光ファイバカプラーから引回される第2光ファイバは前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記光減衰器に接続され、該光減衰器から引回される第3光ファイバは周壁に沿って引回され、前記巻き芯部に周回され光路長調整部を形成し、偏波コントローラで他の光路長調整部を形成した後、前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記第2光ファイバカプラーに接続され、前記第1光ファイバカプラーから延出する第4光ファイバは前記巻き芯部を経て前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記第2光ファイバカプラーに接続される様構成され、第1光ファイバ、第2光ファイバ、第3光ファイバ、第4光ファイバは融着箇所を有する請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記光源部から発せられた光の一部を検査光として被検眼に照射し、被検眼からの戻り光を受光し前記第2光ファイバカプラーに導光する検査光路は、前記第1光ファイバ及び前記第4光ファイバを含み、前記光源部から発せられた光の残部を参照光として前記第2光ファイバカプラーに導く参照光路は前記第2光ファイバ、前記第3光ファイバを含み、前記戻り光、前記参照光が前記第2光ファイバカプラーで合波され、前記OCTユニットより出力される請求項2に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼科装置に関し、特にOCT検査機能を有する眼科装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
眼科装置として、OCT(Optical Coherence Tomography(光干渉断層撮影))検査機能を有するものがある。
【0003】
OCTは、光の干渉性を利用して網膜の断面像を高分解能・高速で撮影する技術であり、近赤外線を照射して非接触で、患者に負担を掛けることなく眼底の断面図をミクロンレベルで撮影することが可能な検査方法となっている。
【0004】
OCT検査機能を有する眼科装置では、OCT検査を可能とするためのOCTユニットを具備している。
【0005】
眼科装置でのOCT検査では光源から発せられた近赤外のレーザ光線を分割し、一部を測定光として被検眼に照射し、残部を参照光とし眼科装置内部の参照光学系に入射させ、被検眼眼底からの戻り光と参照光学系から射出される参照光とを干渉部で干渉させている。
【0006】
参照光学系の機能は、測定光が被検眼に照射され眼底からの戻り光が干渉部に至る迄の検査光路長と分割された参照光が参照光学系を経て干渉部に至る迄の参照光路長とを等しくしている。
【0007】
従来、参照光学系では眼科装置内部で測定光の光路長と等価な光路長を実現する為の光路長調整部材として光学部材として光ファイバが用いられている。
【0008】
光ファイバは他のOCT光学系部材と共にOCTユニットのケース内に収納されるが、測定光の光路長と等価にする為の光ファイバの軸心長さは長く、ケース内に収納する為には、屈曲或はコイル状に巻く等し、ケースの限られた空間内に納める必要があった。
【0009】
更に、光ファイバを屈曲させる場合、光学特性を損わない最小曲率半径以上とする必要があり、又光ファイバのカップリングに於いてカップリングされる光ファイバ同士、カプラー等は軸心を合致させる必要があり、カップリング部分では直線部が必要となる等、ケースの小型化の制約となっていた。
【0010】
一方で、OCTユニットは眼科装置内部に設けられるので、眼科装置内部の空間的な制約から可及的な小型化が要求されていた。
【0011】
従来、小型化されたOCTユニット(ケース)に収納する為に、光ファイバの長さを最小限とし、又引回しの工夫がされる等の対応がなされていた。
【0012】
又、光ファイバを接続する場合、接続箇所での光特性を損わない様、光ファイバ同士、光ファイバとカプラー等の間で融着が行われるが、融着不良が発生する場合がある。
【0013】
融着不良が発生した場合、融着時の影響部分を切断し、融着をやり直すことで接続自体は完成するが、上記した様に光ファイバの長さを最小限としているので、光ファイバの長さが不足してしまう。
【0014】
長さの不足に対しては、引回し方を変えて対応できる場合もあるが、長さ不足に対応できない場合は、新しい光ファイバに取替える必要があり、作業性の低下、歩留りの低下は免れない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2019-170461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、光ファイバの融着不良が発生した場合、光ファイバの融着やり直しを可能としたOCTユニットを具備した眼科装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、OCT検査機能を有する眼科装置であって、OCT検査を行う為のOCTユニットは、眼科装置の本体内部に収納され、該OCTユニットは扁平で少なくとも1つの頂部を有する本体ケースと、該本体ケース内に収納され、光ファイバによって構成されるOCT光学系とを有し、前記頂部の少なくとも1つは光ファイバの最小曲率半径以上の曲率半径を有する湾曲部に形成され、該湾曲部に対向して仕切が設けられ、該仕切により前記本体ケース内部が頂部側の迂回部と反対側の主空間に仕切られ、該主空間に前記OCT光学系の光学部材が配設され、該光学部材が光ファイバによって接続され前記OCT光学系が構成されると共に、融着箇所を有する光ファイバは前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過する様迂回される眼科装置に係るものである。
【0018】
又本発明は、前記本体ケースは3角形状を有し、又前記仕切に対向した位置に巻き芯部を有し、前記OCT光学系は、光学部材として光軸が前記仕切の一端側に向けられた光源部と、前記本体ケースの前記湾曲部と対向する周壁と平行に設けられた第1光ファイバカプラーと、前記仕切の他端に隣接する周壁と平行に設けられた第2光ファイバカプラーと、該第2光ファイバカプラーと平行に設けられた光減衰器とを具備し、前記光源部から延出する第1光ファイバは、前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記第1光ファイバカプラーに接続され、該第1光ファイバカプラーから引回される第2光ファイバは前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記光減衰器に接続され、該光減衰器から引回される第3光ファイバは周壁に沿って引回され、前記巻き芯部に周回され光路長調整部を形成し、偏波コントローラで他の光路長調整部を形成した後、前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記第2光ファイバカプラーに接続され、前記第1光ファイバカプラーから延出する第4光ファイバは前記巻き芯部を経て前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過して前記第2光ファイバカプラーに接続される様構成され、第1光ファイバ、第2光ファイバ、第3光ファイバ、第4光ファイバは融着箇所を有する眼科装置に係るものである。
【0019】
更に又本発明は、前記光源部から発せられた光の一部を検査光として被検眼に照射し、被検眼からの戻り光を受光し前記第2光ファイバカプラーに導光する検査光路は、前記第1光ファイバ及び前記第4光ファイバを含み、前記光源部から発せられた光の残部を参照光として前記第2光ファイバカプラーに導く参照光路は前記第2光ファイバ、前記第3光ファイバを含み、前記戻り光、前記参照光が前記第2光ファイバカプラーで合波され、前記OCTユニットより出力される眼科装置に係るものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、OCT検査機能を有する眼科装置であって、OCT検査を行う為のOCTユニットは、眼科装置の本体内部に収納され、該OCTユニットは扁平で少なくとも1つの頂部を有する本体ケースと、該本体ケース内に収納され、光ファイバによって構成されるOCT光学系とを有し、前記頂部の少なくとも1つは光ファイバの最小曲率半径以上の曲率半径を有する湾曲部に形成され、該湾曲部に対向して仕切が設けられ、該仕切により前記本体ケース内部が頂部側の迂回部と反対側の主空間に仕切られ、該主空間に前記OCT光学系の光学部材が配設され、該光学部材が光ファイバによって接続され前記OCT光学系が構成されると共に、融着箇所を有する光ファイバは前記仕切の一端側を通過し、前記湾曲部に沿って湾曲され、前記仕切の他端側を通過する様迂回されるので、光ファイバの融着に失敗した場合に切除する長さが迂回部分で補填され、再融着が可能となり、作業性の向上、歩留りの向上が図れるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施例に係る眼科装置の概略斜視図である。
図2】該眼科装置に設けられるOCTユニットの概略構成図である。
図3】本発明に係るOCTユニットの平面図である。
図4】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
図5】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
図6】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
図7】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
図8】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
図9】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
図10】該OCTユニットの光ファイバ引回しの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0023】
図1は、OCT検査機能を有する眼科装置の外観図を示しており、図中、1は眼科装置、2は眼科装置本体、3は表示部、4は顔部固定台を示し、前記眼科装置本体2の前面には、接眼部5が設けられている。
【0024】
前記眼科装置本体2の内部には、前眼部観察光学系(図示せず)、眼屈折力光学系(図示せず)と共にOCT検査をする為のOCTユニット6が収納されている。
【0025】
尚、前記表示部3、前眼部観察光学系(図示せず)、眼屈折力光学系(図示せず)等については特許文献1で開示されたものを用いることができる。
【0026】
前記眼科装置本体2の内部に破線で示した部位は、OCTユニット6であり、該OCTユニット6にはOCT光学系が収納されている。該OCTユニット6は本体ケース7の内側面に沿って配設されており、厚みは薄く、扁平ではあるが大きな空間を占めている。
【0027】
前記OCT光学系(ファイバ光学系)について、図2を参照して説明する。
【0028】
図2は、OCT光学系を簡略化した模式図であり、図2中、11は近赤外光線を発する光源部、12は第1光ファイバカプラー、13は光減衰器(アッテネータ)、14は第2光ファイバカプラー、15はコリメートレンズ機能を有するレンズユニットを示している。
【0029】
前記光源部11と前記第1光ファイバカプラー12間、及び該第1光ファイバカプラー12と前記光減衰器13間、及び該光減衰器13と前記第2光ファイバカプラー14間、及び前記第1光ファイバカプラー12と前記第2光ファイバカプラー14間、更に前記第1光ファイバカプラー12と前記レンズユニット15間は、それぞれ第1光ファイバ17、第2光ファイバ18、第3光ファイバ19、第4光ファイバ20、第5光ファイバ21によって接続され、前記第2光ファイバカプラー14は第6光ファイバ22によって図示しない分光器に接続され、光ファイバを用いたOCT光学系が構成される。
【0030】
光ファイバを用いた光学系では、光ファイバと光学部材間で光ファイバの融着が行われる。
【0031】
上記したOCT光学系では、光学部材として前記光源部11、前記第1光ファイバカプラー12、前記光減衰器13、前記第2光ファイバカプラー14が用いられており、前記光源部11と前記第1光ファイバカプラー12間、該第1光ファイバカプラー12と前記光減衰器13間、及び前記第1光ファイバカプラー12と前記第2光ファイバカプラー14間で、それぞれ光ファイバ接続箇所(融着箇所)が発生する。融着箇所は図2中で、A,B,C,Dで示している。
【0032】
前記OCT光学系に於いて、前記光源部11から発せられた近赤外光は前記第1光ファイバカプラー12で検査光と参照光とに分割される。分割の割合は、一例として検査光が23%、参照光が77%である。この割合は、固定されたものではなく、機種、要求される性能等によって適宜変更される。
【0033】
検査光は前記第5光ファイバ21によって前記レンズユニット15に導かれ、該レンズユニット15によって平行光束とされた検査光が被検眼24に照射される。又、検査光の光路中にレンズユニット15から射出される検査光を走査する走査手段としてガルバノミラー(図示せず)が設けられ、検査光はガルバノミラーによって被検眼眼底に走査される。
【0034】
被検眼眼底で反射された戻り光は、前記第5光ファイバ21によって前記第1光ファイバカプラー12に導かれ、更に、前記第4光ファイバ20を経て前記第2光ファイバカプラー14に導光される。
【0035】
前記第1光ファイバ17、前記第5光ファイバ21、前記第4光ファイバ20は、検査光路を構成する。
【0036】
一方、前記第1光ファイバカプラー12で分割された参照光は前記光減衰器13で受光部(図示せず)が飽和しない光強度で且つ充分な干渉強度が得られる様光量調整され、前記第3光ファイバ19を経て前記第2光ファイバカプラー14に導光される。
【0037】
又、前記第3光ファイバ19にはコイル状に複数回巻取り形成された光路長調整部19a,19bが設けられる。該光路長調整部19a,19bは、前記第1光ファイバカプラー12から前記第5光ファイバ21、前記被検眼24、第4光ファイバ20を経て前記第2光ファイバカプラー14に至る光路長(以下、検査光路長)と、前記第1光ファイバカプラー12から前記第3光ファイバ19を経て前記第2光ファイバカプラー14に至る参照光路長とを同一する。
【0038】
前記第2光ファイバカプラー14では戻り光と参照光とが合波される。該第2光ファイバカプラー14に入光した戻り光と参照光は、光路長が同一とされているので、戻り光と参照光の位相が同一となっている。合波により振幅が増幅され、分光器(図示せず)に送出される。
【0039】
分光器では回折格子による波長の分解と、ラインセンサによる干渉光の取込み処理を行う。
【0040】
図3は、図2で示されたOCT光学系を有する前記OCTユニット6の具体例を示している。又、図3中、図2中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0041】
本実施例に於いて、前記本体ケース7の形状は、基本3角形状であり、本実施例の場合、空間を有効利用する様直角3角形となっている。前記眼科装置1に設けられた状態で直交する2辺の内、長辺が水平であり、短辺が鉛直となる様に(斜辺が下側になる様に)配置されている。
【0042】
尚、前記本体ケース7の3角形状は、3角形状である必要はなく、4角形状、楕円形状、卵形状(平面形状)等少なくとも1つの頂部を有し、前記眼科装置本体2の内部の空間を有効利用できる形状であればよい。
【0043】
3角形状の前記本体ケース7の全周に亘って周壁が形成される。周壁は、光ファイバ、ファイバカプラー等の光学部品を収納するだけの高さとなっており、前記本体ケース7の形状としては、浅底のトレイ形状となっている。又、周壁の適宜箇所には、光ファイバを通過させる為の切欠が形成される。
【0044】
前記周壁の前記長辺に対応する部分の周壁を長辺壁、前記短辺に対応する部分の周壁を短辺壁27、前記斜辺に対応する部分の周壁を斜辺壁28と称す。
【0045】
尚、3角形の3頂部、少なくとも迂回部32(後述)を含む頂部は、光ファイバの最小曲率半径以上の大きさの半径(内寸)を有するR形状となっている。尚、図3では上面が開放されているが、上面は蓋(図示せず)により密閉される様になっている。
【0046】
前記本体ケース7内を図中左右に概略2分した内の、前記短辺側(右側)の空間に光学部材を配置する。又、左側の空間には、光ファイバの最小曲率半径以上の大きさの半径を有するリング状の巻き芯部29を前記本体ケース7と一体に形成する。
【0047】
前記巻き芯部29は斜辺壁28側に偏心して設けられ、又前記巻き芯部29と前記斜辺壁28との間には所要の間隙が形成される。前記巻き芯部29と所要の間隙を形成し、且つ頂部(図中、左端の頂部)に対向して仕切31が形成される。該仕切31で仕切られた頂部側の空間(図中、前記仕切31の左側の空間)は迂回部32を形成する。
【0048】
前記仕切31の両端部は後述する光ファイバの曲げRに沿う様湾曲し、該仕切31の両端と前記長辺壁26、前記斜辺壁28との間には、それぞれ光ファイバを通過させる為の間隔が形成される。又、該仕切31、前記巻き芯部29の高さは、前記周壁と同等、或は蓋をした際に蓋に密着する高さとなっている。前記周壁の前記迂回部32に対応する湾曲部分(前記仕切31に対峙する部分)を迂回部壁33と称す。
【0049】
前記迂回部32は、光ファイバ引回しの際に光ファイバを迂回させる空間として利用される。又、前記仕切31と前記長辺壁26、前記斜辺壁28、前記巻き芯部29で囲まれる空間は、実質的にOCT光学系を収納する主空間34となっている。尚、前記迂回部32が形成される頂部は、鋭角の頂部、好ましくは最も鋭角の頂部が好ましい。
【0050】
該主空間34の略中央には、参照光と眼底からの戻り光(プローブ光)の偏光を一致させる為の偏波コントローラ35が設けられ、該偏波コントローラ35と前記巻き芯部29と前記斜辺壁28との間には光源部11が設けられる。
【0051】
該光源部11の光軸は、前記仕切31と前記斜辺壁28との間隙に向けられ、前記光源部11から延出する第1光ファイバ17が前記巻き芯部29と前記斜辺壁28との間隙及び前記仕切31と前記斜辺壁28との間隙を通過する様に配置されている。
【0052】
前記斜辺壁28の外側に前記レンズユニット15が設けられ、該レンズユニット15の光軸は前記第2光ファイバカプラー14と平行又は略並行となっている。
【0053】
又、前記短辺壁27に沿って第1光ファイバカプラー12が設けられ、前記長辺壁26に沿って第2光ファイバカプラー14が設けられている。又、前記光減衰器13が前記第2光ファイバカプラー14の近傍に該第2光ファイバカプラー14と平行に設けられている。
【0054】
次に、上記光学部材を接続する光ファイバの引回しについて、図4図10を参照して説明する。
【0055】
図4:前記光源部11から延出する第1光ファイバ17は、前記仕切31と前記斜辺壁28との間を通過して前記迂回部32に至り、更に前記迂回部壁33に沿って湾曲し、前記長辺壁26と平行に延出して前記第1光ファイバカプラー12に接続される。該第1光ファイバカプラー12の接続の過程で融着が行われる(図2中、Aで示される箇所)。又、前記第1光ファイバ17が前記迂回部壁33に沿って湾曲される過程で、前記第1光ファイバ17の弾性によって、密着或は略密着した状態となり、前記迂回部壁33は引回された前記光ファイバ17の形状を維持する役割を果たす。
【0056】
図5:前記第1光ファイバカプラー12で分割された検査光を前記レンズユニット15に導光する第5光ファイバ21は、前記第1光ファイバカプラー12の下端より下方に延出し、主空間34を周回して前記レンズユニット15に接続されており、該レンズユニット15は検査光を平行光束として被検眼眼底に照射すると共に被検眼眼底からの反射検出光を受光し、集光して前記第5光ファイバ21に入射する。該第5光ファイバ21は、反射検出光を戻り光として前記第1光ファイバカプラー12に導光する。
【0057】
図6:前記第1光ファイバカプラー12と前記光減衰器13とを接続し、分割された参照光を導光する第2光ファイバ18は、前記短辺壁27と前記斜辺壁28との間の角部を湾曲し、前記仕切31と前記斜辺壁28との間を通過して、前記迂回部32に至り、更に前記迂回部壁33に沿って湾曲し、前記長辺壁26と平行に延出して前記光減衰器13に接続される。この接続の過程で融着が行われる(図2中、Bで示される箇所)。又、前記第2光ファイバ18が前記迂回部壁33に沿って湾曲する過程で、前記第2光ファイバ18は弾性によって、前記迂回部壁33に密着或は略密着する。
【0058】
図7:前記光減衰器13から延出する第3光ファイバ19は途中、前記光路長調整部19aを形成し、該光路長調整部19aから延出して、前記仕切31に案内され、更に湾曲した後前記長辺壁26と平行に延出した後湾曲し、前記偏波コントローラ35に至り、該偏波コントローラ35で前記光路長調整部19bを形成する。前記第3光ファイバ19が前記仕切31に案内される過程で、前記第3光ファイバ19は弾性によって、前記仕切31に密着或は略密着し、前記第3光ファイバ19の引回し形状が維持される。
【0059】
図8:前記第3光ファイバ19は、前記光路長調整部19bから離脱した後、湾曲して前記斜辺壁28に沿って引回されて前記迂回部32に至り、前記迂回部壁33に沿って湾曲して前記第2光ファイバカプラー14に接続される。前記迂回部壁33を脱して前記第2光ファイバカプラー14に至る過程で融着が行われる(図2中、Cで示される箇所)。又、前記第3光ファイバ19に於いても、弾性によって前記迂回部壁33に密着或は略密着する。
【0060】
図9:前記第1光ファイバカプラー12と前記第2光ファイバカプラー14とを接続する第4光ファイバ20は検査光の戻り光路を形成するものであり、前記第1光ファイバカプラー12から前記長辺壁26に向って延出し、直角角部で湾曲した後前記長辺壁26と平行とされた後、前記巻き芯部29に向ってS字状に屈曲され、該巻き芯部29に沿って湾曲した後、前記仕切31と前記斜辺壁28との間隙を通過して前記迂回部32に至り、更に前記迂回部壁33に沿って湾曲され、前記第2光ファイバカプラー14に接続される。前記第4光ファイバ20の前記迂回部壁33と前記第2光ファイバカプラー14間で融着が行われる(図2中、Dで示される箇所)。又、前記第4光ファイバ20も同様に弾性によって前記迂回部壁33に密着或は略密着する。
【0061】
図10:前記第2光ファイバカプラー14から延出する前記第6光ファイバ22は、前記長辺壁26、前記短辺壁27、前記斜辺壁28に沿って引回され、該斜辺壁28に形成された切欠より延出し、図示しない前記分光器に接続される。
【0062】
上記した様に、融着が伴う第1光ファイバ17、第2光ファイバ18、第3光ファイバ19、第4光ファイバ20は全て前記迂回部32を通過する構成となっており、それぞれ弾性によって前記迂回部壁33に密着或は略密着する状態で引回されている。
【0063】
従って、各光ファイバは、最大前記迂回部壁33に密着した状態から前記仕切31の前記迂回部32に面する側面に密着する状態迄短くすることができる。更に、前記迂回部32を鋭角の頂部に形成することで、前記迂回部壁33に密着した状態から前記仕切31に密着する状態迄の光ファイバの長さの差を大きくすることができる。
【0064】
例えば、前記第1光ファイバ17のA箇所で融着を失敗した場合、融着の影響部を含む所定長さを切除する。本実施例の場合、切除する長さは26mm程度である。短くなった分前記迂回部32から前記第1光ファイバ17を引出し再融着する。
【0065】
次に、前記第2光ファイバ18のB箇所で融着を失敗した場合、同様に融着の影響部を切除し、短くなった分前記迂回部32から前記第2光ファイバ18を引出し再融着する。
【0066】
更に、前記第2光ファイバ18は参照光路を構成する部材であり、該第2光ファイバ18を切除することで参照光路長が短くなる。参照光路長と検査光路長とは厳密に等しくしなければならないので、検査光路長も同じ長さだけ短くする。
【0067】
従って、前記第4光ファイバ20を前記迂回部32から引出し、D箇所の部分で前記第4光ファイバ20を短くして再融着する。
【0068】
前記第3光ファイバ19のC箇所の融着部分で失敗した場合も、同様にD箇所の部分で前記第4光ファイバ20を短くして再融着する。
【0069】
次に、前記第4光ファイバ20のD箇所で融着に失敗した場合、該第4光ファイバ20の融着の影響部を切除し、前記迂回部32から前記第4光ファイバ20を引出し再融着する。
【0070】
前記第4光ファイバ20を短くした場合、検査光路長が短くなるので、参照光路長も同じ長さだけ短くする必要がある。参照光路を構成する前記第2光ファイバ18のB箇所で該第2光ファイバ18を前記第4光ファイバ20を短くした分切除して再融着するか、或はC箇所で前記第3光ファイバ19を同様に切除して再融着する。
【0071】
前記第1光ファイバ17、前記第2光ファイバ18、前記第3光ファイバ19、前記第4光ファイバ20について、光ファイバを所定長さを切除し再融着する場合、短くなった分繰出されるのは、前記迂回部32を迂回した部分からであり、更に前記迂回部32と前記主空間34とは前記仕切31で仕切られており、前記迂回部32内の光ファイバを繰出した場合も、前記主空間34に収納された光ファイバの引回し状態には影響を及すことがないので、単純に再融着作業に集中すればよく作業性は向上する。
【0072】
更に、融着失敗した場合に、確実に所定長さを切除し再融着が可能であるので、光ファイバを新しいものに交換する必要がなく、歩留りも向上する。
【0073】
又、前記仕切31、前記迂回部壁33は光ファイバ引回し時の、光ファイバの形状保持の機能を有するので、光ファイバの引回しの作業性が向上する。
【符号の説明】
【0074】
1 眼科装置
2 眼科装置本体
3 表示部
11 光源部
12 第1光ファイバカプラー
13 光減衰器
14 第2光ファイバカプラー
15 レンズユニット
17 第1光ファイバ
18 第2光ファイバ
19 第3光ファイバ
20 第4光ファイバ
29 巻き芯部
31 仕切
32 迂回部
33 迂回部壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10