(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】自転車用スタンドおよびこれを備えた自転車
(51)【国際特許分類】
B62H 1/02 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
B62H1/02 F
(21)【出願番号】P 2020061527
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【氏名又は名称】大田黒 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤木 優佑
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-081882(JP,U)
【文献】実開平07-019075(JP,U)
【文献】実開平07-011492(JP,U)
【文献】特開昭50-019127(JP,A)
【文献】特開2013-129310(JP,A)
【文献】実開昭63-030285(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に取り付ける取付部と、該取付部に回動可能に取り付けられた脚部と、前記取付部または前記脚部のいずれか一方に回動可能に取り付けられたロック部と、を有する自転車用スタンドにおいて、
前記脚部を跳ね上げた時、前記ロック部に設けられた係止部と、前記取付部または前記脚部の他方に設けられた前記係止部に対応する被係止部と、を有し、かつ、
前記脚部を跳ね上げた時、前記係止部が前記被係止部を係止するようロック部を付勢するスプリングが、前記脚部と前記ロック部とに掛け渡され、前記脚部が跳ね上げ状態で保持されることを特徴とする自転車用スタンド。
【請求項2】
前記ロック部が、前記取付部において前記脚部とは異なる位置に取り付けられており、前記被係止部が、前記脚部に設けられている請求項1記載の自転車用スタンド。
【請求項3】
前記係止部がカムフォロアであり、かつ、前記被係止部が凹部である請求項2記載の自転車用スタンド。
【請求項4】
前記凹部が、前記脚部を跳ね上げた状態で上方向に開口するように設けられており、前記開口に前記カムフォロアが進退可能である請求項3記載の自転車スタンド。
【請求項5】
前記ロック部による前記脚部の係止状態を解除する際、前記脚部の回動方向と前記ロック部の回動方向が逆である請求項2~4のうちいずれか一項記載の自転車用スタンド。
【請求項6】
前記スプリングが引張バネであり、
前記脚部の係止状態の解除時における、前記ロック部の回動方向と前記スプリングの付勢方向とが逆であり、
前記脚部の係止状態の解除後における、前記脚部の回動方向と前記スプリングの付勢方向とが逆であり、
前記脚部の係止状態の解除時における、前記脚部の回動方向が前記
ロック部の回動方向と逆である請求項2~5のうちいずれか一項記載の自転車用スタンド。
【請求項7】
前記ロック部による前記脚部の係止状態を解除した時、スタンド側面視において、前記スプリングの軸線が、前記ロック部の回動軸を超えるが、前記脚部の回動軸を超えない請求項2~6のうちいずれか一項記載の自転車用スタンド。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか一項記載の自転車用スタンドを備えたことを特徴とする自転車。
【請求項9】
電動アシスト自転車である請求項8記載の自転車。
【請求項10】
チャイルドシートを備えてなる請求項8または9記載の自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用スタンド(以下、単に「スタンド」とも称す)およびこれを備えた自転車に関し、詳しくは、スプリングの弾性力を用いずに、スタンドの脚部を跳ね上げ位置に保持することができる機構を備えた自転車用スタンドおよびこれを備えた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自転車は、駐輪時に車体を立てておくためのスタンドを備えている。スタンドは、後輪の車軸に取り付けられることが多く、例えば、片脚型のスタンドや、後輪を取り囲んだ形状の両脚型のスタンドが広く知られている。また、チャイルドシートを備えた自転車や電動アシスト自転車では、自転車を側面視したとき、クランク軸と後輪との間に取り付ける、左右の足を一体的に成形した、センタースタンドも知られている。
【0003】
このようなスタンドは、従来、スタンドの脚部に対して、スプリングの弾性力のみで跳ね上げ方向に付勢していた。しかしながら、スプリングの弾性力のみでスタンドの脚部を跳ね上げ位置に保持しようとすると、段差乗り越え時等に大きな外力が加わった場合、スタンドの脚部がガタついてしまう。その結果、スタンドの脚部が跳ね上げ位置に戻る際、不要な衝撃を発生してしまい、乗り心地が悪いという問題を有していた。また、スプリングの経年劣化が想定を超えると、スタンドの脚部を跳ね上げ位置で十分に保持できなくなるという問題も生じ得る。このような中、特許文献1では、スタンドの脚部をスプリングの弾性力以外でも保持する機構が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1で提案されている自転車用スタンドは、脚部を起立位置に回動させる際、スタンドの脚部を押して回動させることで脚部の保持が解除される構成であり、前述の課題を十分に解決できるものではなく、スタンドの脚部を、跳ね上げた状態で安定して保持する新たな技術が望まれているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、スタンドの脚部を跳ね上げ位置に確実に保持することができる機構を備えた自転車用スタンドおよびこれを備えた自転車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、下記構成とすることで上記課題を解消しできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の自転車用スタンドは、自転車に取り付ける取付部と、該取付部に回動可能に取り付けられた脚部と、前記取付部または前記脚部のいずれか一方に回動可能に取り付けられたロック部と、を有する自転車用スタンドにおいて、
前記脚部を跳ね上げた時、前記ロック部に設けられた係止部と、前記取付部または前記脚部の他方に設けられた前記係止部に対応する被係止部と、を有し、かつ、
前記脚部を跳ね上げた時、前記係止部が前記被係止部を係止するようロック部を付勢するスプリングが、前記脚部と前記ロック部とに掛け渡され、前記脚部が跳ね上げ状態で保持されることを特徴とするものである。
【0009】
本発明のスタンドにおいては、前記ロック部が、前記取付部において前記脚部とは異なる位置に取り付けられており、前記被係止部は、前記脚部に設けられていることが好ましい。また、本発明のスタンドにおいては、前記係止部がカムフォロアであり、かつ、前記被係止部が凹部であることが好ましい。さらに、本発明のスタンドにおいては、前記凹部が、前記脚部を跳ね上げた状態で上方向に開口するように設けられており、前記開口に前記カムフォロアが進退可能であることが好ましい。さらにまた、前記ロック部による前記脚部の係止状態を解除する際、前記脚部の回動方向と前記ロック部の回動方向が逆であることが好ましい。また、本発明のスタンドにおいては、前記スプリングが引張バネであり、前記脚部の係止状態の解除時における、前記ロック部の回動方向と前記スプリングの付勢方向とが逆であり、前記脚部の係止状態の解除後における、前記脚部の回動方向と前記スプリングの付勢方向とが逆であり、前記脚部の係止状態の解除時における、前記脚部の回動方向が前記ロック部の回動方向と逆であることが好ましい。また、本発明のスタンドにおいては、前記ロック部による前記脚部の係止状態を解除した時、スタンド側面視において、前記スプリングの軸線が、前記ロック部の回動軸を超えるが、前記脚部の回動軸を超えないことが好ましい。
【0010】
本発明の自転車は、本発明の自転車用スタンドを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
本発明の自転車は、電動アシスト自転車や、チャイルドシートを備えてなる自転車として好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スタンドの脚部を跳ね上げ位置に確実に保持することができる機構を備えた自転車用スタンドおよびこれを備えた自転車を提供することができる。本発明の自転車は、本発明の自転車用スタンドを備えているため、走行中におけるスタンドの脚部のガタツキを防止でき、かつ、脚部をスプリングのみで保持するスタンドよりも、安全性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの脚部を跳ね上げた状態の概略斜視図である。
【
図2】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの分解斜視図である。
【
図3】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック解除時の概略背面斜視図である。
【
図4】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック時の概略背面斜視図である。
【
図5】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの起立状態におけるロック時の概略側面図である。
【
図6】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック解除時の概略側面図である。
【
図7】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック時の概略側面図である。
【
図8】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの脚部とロック部の関係を示す概略説明図であり、跳ね上げ状態におけるロック解除時のものである。
【
図9】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの脚部とロック部の関係を示す概略説明図であり、起立状態におけるロック時のものである。
【
図10】本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドを備えた自転車のスタンドを起立させた状態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の自転車用スタンドについて詳細に説明する。
本発明の自転車用スタンドは、自転車に取り付ける取付部と、取付部に回動可能に取り付けられた脚部と、取付部または脚部のいずれか一方に回動可能に取り付けられたロック部と、を有している。本発明のスタンドにおいては、脚部を跳ね上げた時、ロック部が、取付部または脚部の他方を係止するよう、ロック部に係止部が、取付部または脚部には被係止部が設けられている。さらに、脚部を跳ね上げた時、ロック部の係止部が、脚部または取付部の被係止部を係止するようロック部を付勢するスプリングが、脚部とロック部とに掛け渡されている。このような構造とすることで、脚部を跳ね上げ状態で保持可能とする。以下、本発明の自転車用スタンドについて、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの脚部を跳ね上げた状態の概略斜視図であり、
図2は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの分解斜視図である。図示する本発明のスタンド10は、自転車に取り付ける取付部1と、取付部1に回動可能に取り付けられた脚部2と、取付部1において脚部2とは異なる位置に回動可能に取り付けられたロック部3と、を有している。脚部2は回動軸2aを中心に回動可能であり、ロック部3は回動軸3aを中心に回動可能な構造となっている。
【0016】
また、図示する本発明のスタンド10においては、脚部2を跳ね上げた時、ロック部3が、脚部2を係止するよう、ロック部3に係止部3bが、脚部2に被係止部2bが設けられている。さらに、図示例では、ロック部3の上方側に設けられたスプリング取付部3cと、脚部2の略中央部に設けられたスプリング取付部2cとの間に、引張バネであるスプリング4が掛け渡されており、両者が連結されている。なお、図示例においては、ロック部3は、レバー状の操作部3dを有しており、この操作部3dを用いてロック部3の回動操作を行う構成となっている。
【0017】
本発明のスタンド10においては、脚部2を跳ね上げた時、脚部2をロック部3で係止し、脚部2を跳ね上げ状態で保持(ロック)可能とする。
図3は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック解除時の概略背面斜視図であり、
図4は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック時の概略背面斜視図である。なお、
図3、4においては、取付部1やスプリング4等を省略して簡略化してある。
【0018】
図3に示す例においては、脚部2の上端側に設けられた被係止部2bは、脚部2を跳ね上げた状態において、上方向が開口し、下方向に向かって凹となる凹部2bである。また、ロック部3に係止部3bとしてカムフォロア3bを配置し、凹部2bにカムフォロア3bが進退可能となっている。すなわち、操作部3dを時計回りに回動させると、カムフォロア3bが下方に移動し、
図4に示すように、カムフォロア3bが脚部2の上端に設けられた凹部2bに進入する。これにより、脚部2の回動が規制され、脚部2が起立方向に向かって回動することを防止することができる。また、脚部2がロック部3に係止されている状態にあるとき、操作部3dを反時計回りに回動させることで、ロック部3に設けられたカムフォロア3bが上方に移動し、脚部2との係止状態が解除される。これにより、脚部2が回動可能となる。
【0019】
図示例においては、ロック部3に係止部3bとしてカムフォロア3bを配置し、脚部2には、このカムフォロア3bに対応する凹部2bを設け、カムフォロア3bを凹部2bに進入させることで、脚部2をロック部3で係止する構造となっているが、本発明のスタンド10においては、脚部2をロック部3で係止する手段は、これに限られるものではない。例えば、ロック部3は、カムフォロア3bに変えて、脚部2の凹部2bに対応する凸部であってもよく、また、ピン状部材、ローラ等を係止部3bとして用いてもよい。
【0020】
本発明のスタンド10においては、ロック部3に設けられた係止部3bは、図示するように、カムフォロア3bであることが好ましい。係止部3bをカムフォロア3bとすることで、係止部3bが凹部2bに進入する際や、これらの係止状態を解除する際、動作がスムーズになる。このため、スタンド10の脚部2の跳ね上げ状態の保持、解除作業がスムーズとなる。
【0021】
本発明のスタンド10は、さらに、脚部2とロック部3とが、スプリング4によって付勢されている。
図5は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの起立状態におけるロック時の概略側面図であり、
図6は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック解除時の概略側面図である。上述のとおり、図示する本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドにおいては、ロック部3の上方側に設けられたスプリング取付部3cと、脚部2の略中央部に設けられたスプリング取付部2cとが、引張バネのようなスプリング4によって連結されている。
【0022】
このスプリング4は、脚部2が起立位置から跳ね上げ位置に回動する際、スタンド側面視において、スプリング4の軸線Lが脚部2の回動軸2aを超えるように取り付ける。このような構成とすることで、脚部2を跳ね上げるにあたって、脚部2を反時計回りに回動させ、スタンド側面視において、スプリング4の軸線が脚部2の回動軸2aを超えると、自動的に脚部2が跳ね上がる。すなわち、スプリング4の付勢力により、脚部2は反時計回りに回動し、ロック部3は時計回りに回動する。これにより、図示例における係止部3bが、被係止部2bを係止し、脚部2が係止されることになる。反対に、脚部2を起立させるにあたっては、脚部2を時計回りに回動させ、スタンド側面視において、スプリング4の軸線が脚部2の回動軸2aを超えると、スプリング4の付勢力により、脚部2は時計回りに回動し、自動的に脚部2が起立状態になる。なお、スプリングは、上記作用と同様作用を奏するものであれば、引張バネに限定されるものではない。
【0023】
図7は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの跳ね上げ状態におけるロック時の概略側面図である。本発明のスタンド10においては、脚部2の跳ね上げ時に、脚部2がロック部3に係止されることにより、脚部2が跳ね上げられた状態で保持されていればよいが、図示する本発明のスタンドのように、ロック部3による脚部2の係止を解除する際における、ロック部3の回動方向(
図7では、反時計回り)と脚部2との回動方向(
図7では、時計回り)とが逆であることが好ましい。同様に、ロック部3で脚部2を係止するときは、ロック部3の回動方向(
図6に示す例では、時計回り)と脚部2の回動方向(
図6に示す例では、反時計回り)とが逆であることが好ましい。脚部2とロック部3との係止状態を解除する際、脚部2の回動方向とロック部3の回動方向とが同じであると、係止状態解除時、ロック部3と一緒に脚部2が回動してしまうおそれがあるからである。
【0024】
この点に関し、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンド10においては、脚部2を跳ね上げた状態で係止している場合、脚部2を起立方向に向かって時計回りに回動させようとすると、凹部2bの開口を形成する側壁の左側(
図2~4を参照)がカムフォロア3bを押圧することになる。この時、脚部2の回動方向とロック部3の回動方向とが同じであると、脚部2とロック部3とが同時に回動してしまうおそれがある。しかしながら、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンド10は、凹部2bの左側側壁がカムフォロア3bを回動させようとする方向と、カムフォロア3bの回動方向とが異なっているため、このような問題は生じない。
【0025】
本発明のスタンド10においては、ロック部3による脚部2の係止状態を解除した時、スタンド側面視において、スプリング4の軸線Lが、ロック部3の回動軸3aを超えるが、脚部2の回動軸2aを超えないことが好ましい。
図6および
図7に示すように、ロック部3による脚部2の係止状態を解除した時、スタンド側面視において、スプリング4の軸線Lが、ロック部3の回動軸線3aを超えることで、スプリング4の付勢力によって、ロック部3が脚部2を係止する状態に戻ってしまうことを防止することができ、また、スタンド側面視において、スプリング4の軸線Lが、脚部2の回動軸2aを超えないことで、スプリング4の付勢力によって、自動的に脚部2が起立位置まで回動してしまうことを防止することができる。なお、図示しないが、脚部2が起立位置にある状態において、ロック部3による脚部2の係止状態を解除した時も同様である。
【0026】
図示する本発明の一好適な実施の形態のスタンド10は、脚部2を起立位置にした場合においても、脚部2はロック部3により係止された状態となる。
図2に示す例では、脚部2には、脚部2が跳ね上げ状態のとき、ロック部3のカムフォロア3bが進入する凹部2bの他、脚部2が起立状態のとき、ロック部3の第2の係止部3eにより係止される第2の被係止部2eを有している。図示例では、ロック部3の第2のカムフォロア3eが、脚部2の第2の凹部2eに進入可能な構造となっている。そして、被係止部である凹部2bと凹部2eとは、凸状の曲線部2fにより結ばれている。
【0027】
脚部2を起立状態にするにあたって、ロック部3を反時計回りに回動させ、スプリング4の軸線Lがロック部3の回動軸3aを超えると、ロック部3はスプリング4によって反時計回りに付勢される。
図8は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの脚部とロック部の関係を示す概略説明図であり、跳ね上げ状態におけるロック解除時のものである。また、
図9は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドの脚部とロック部の関係を示す概略説明図であり、起立状態におけるロック時のものである。
図8、
図9においては、第2の被係止部2eと第2の係止部3eとの関係がわかるように、簡略化してある。
【0028】
図8に示すように、跳ね上げ状態の脚部2のロックが解除された状態では、第2の係止部3eである第2のカムフォロア3eが、脚部2の上端部に設けられた曲線部2fに接している。そして、脚部2を時計回りに回動させると、第2のカムフォロア3eは、脚部2の上端の曲線部2f上を移動し、曲線部2fを外れてスプリング4の付勢力によって第2の凹部2eに進入し、係止状態となる(
図9を参照)。脚部2を起立位置から跳ね上げ位置まで回動させる場合も同様に、操作部3dを時計回りに回動させ、脚部2の起立時における係止状態を解除後に脚部2を回動させると、カムフォロア3bが曲線部2f上を移動し、曲線部2fを外れてスプリング4の付勢力によって凹部2bに進入し、係止状態となる。
【0029】
本発明の自転車用スタンドの一好適な実施の形態においては、自転車に取り付ける取付部1と、取付部1に回動可能に取り付けられた脚部2と、取付部1における脚部2とは異なる位置に回動可能に取り付けられたロック部3と、を有し、脚部2を跳ね上げた時、脚部2をロック部3で係止し、脚部2を跳ね上げ状態で保持可能としているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0030】
本発明のスタンド10においては、図示するように、ロック部3は、取付部1において、脚部2とは異なる位置に取り付けられていることが好ましいが、ロック部3は、取付部1において、脚部2とは同じ位置に取り付けられていてもよい。
【0031】
次に、本発明の他の実施の形態に係る自転車用スタンドについて説明する。
本発明の他の好適な実施の形態に係るスタンドは、自転車に取り付ける取付部と、取付部に回動可能に取り付けられた脚部と、脚部に回動可能に取り付けられたロック部と、を有する。そして、脚部を跳ね上げた時、ロック部に設けられた係止部と、取付部に設けられた、その係止部に対応する被係止部と、を有し、かつ、脚部を跳ね上げた時、係止部が被係止部を係止するようロック部を付勢するスプリングが、脚部とロック部とに掛け渡されている。本発明の他の好適な実施の形態においては、ロック部が脚部に取り付けられているため、取付部とロック部とが係止状態となることにより、脚部も同時に係止されることになり、脚部が跳ね上げ状態で保持される。
【0032】
すなわち、本発明の他の好適な実施の形態に係るスタンドは、本発明の一好適な実施の形態において、脚部に設けられていた被係止部を取付部に設けたものである。そして、本発明の他の好適な実施の形態に係るスタンドは、脚部を跳ね上げた時、ロック部の係止部が、取付部の被係止部を係止することで、脚部を跳ね上げ状態で保持可能としている。この場合、ロック部と脚部とを連結するスプリングに加えて、脚部を回動付勢させるために、取付部と脚部とを連結する他のスプリングを設けるとよい。
【0033】
本発明の他の好適な実施の形態に係るスタンドにおいては、ロック部が脚部に取り付けられていること、脚部が取付部に係止されること以外は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドと同様の構成とすることができる。
【0034】
図示する本発明に一好適な実施の形態に係るスタンドは、両脚型のスタンドであるが、片脚型のスタンドであってもよい。本発明の他の好適な実施の形態に係るスタンドにおいても同様である。また、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンド10および他の好適な実施の形態に係るスタンドは、センタースタンドとして好適であるが、後輪の車軸に取り付けられる片脚型または両脚型のスタンドであってもよい。なお、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンド10の2本の脚部2は一体として成形されているが、2本の脚部を別体としてもよく、これに限られるものではない。本発明の他の好適な実施の形態に係るスタンドにおいても同様である。本発明の一好適な実施の形態に係るスタンド10および他の好適な実施の形態に係るスタンドは、自転車の車種によらず、いずれの車種にも装着することができる。好ましくは、電動アシスト自転車や、チャイルドシートを備えた自転車等であり、これらのセンタースタンドとして好適に用いることができる。
【0035】
本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドおよび他の実施の好適な形態に係るスタンドの取り付け方法としては特に制限はない。例えば、本発明のスタンドを両脚型のセンタースタンドとして用いる場合、チェーンステーを上下から挟持して固定された板部材や、チェーンステーに溶接等により固定した取付ブラケットに孔部を設け、センタースタンド上部に設けられた結合部1aにて取り付けることができるが、これに限られるものではない。
【0036】
次に、本発明の自転車について説明する。
本発明の自転車は、本発明のスタンドを備えてなるものであり、
図10は、本発明の一好適な実施の形態に係るスタンドを備えた自転車のスタンドを起立させた状態の概略側面図である。図示する自転車100は、チャイルドシートを備えた電動アシスト自転車であり、車体フレーム102は、ヘッドチューブ103と、ヘッドチューブ103から後方斜め下向きに延びるダウンチューブ104と、ダウンチューブ104の後端から後方斜め上向きに延びるシートチューブ105と、シートチューブ105の下端付近から後方に延びる左右一対のチェーンステー106と、両チェーンステー106の後端部とシートチューブ105の上部とを結合する左右一対のシートステー107と、を備えている。ヘッドチューブ103の下端には、前方斜め下向きに延びるフロントフォーク108を有し、このフロントフォーク108の下端部には、前輪109が回転自在に装着されている。また、ヘッドチューブ103の上端にはハンドル110が取り付けられており、シートチューブ105の上端にはサドル111が取り付けられている。さらに、チェーンステー106の後端部には、後輪112が回転自在に装着されている。
【0037】
図示例においては、チェーンステー106の下部に本発明のスタンド10が、結合部材1aにて取り付けられているが、取付位置については特に制限はなく、例えば、後輪車軸に取り付けられてもよい。また、図示例においては、本発明のスタンドは両脚型のスタンドであるが、片脚型のスタンドであってもよい。
【0038】
なお、本発明の自転車100は、図示例においては、リアキャリア113にチャイルドシート(リアチャイルドシート)114が取り付けられているが、ハンドルバーおよびハンドルステムにもチャイルドシート(フロントチャイルドシート)を取り付け、子供を二人乗せられる構成としてもよい。
【0039】
また、本発明の自転車100は、電動アシスト自転車であってもよく、運転者がペダルを足で踏んでクランク115を回転させることによってチェーンやベルトのような動力伝達手段によって主駆動力が伝達され、その駆動力が後輪112に伝達されて、後輪112が駆動するように構成することができる。図示する自転車100においては、前輪109に電動機116が設けられており、この電動機116に電力を供給するバッテリー117はシートチューブ105の後方に、取り外し自在に取り付けることができる。また、電動機116の内部には、前輪109に補助駆動力を供給する電動モータを配置することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 取付部
1a 締結部材
2 脚部
2a 回動軸
2b 被係止部(凹部)
2c スプリング取付部
2e 第2の被係止部(凹部)
2f 曲線部
3 ロック部
3a 回動軸
3b 係止部(カムフォロア)
3c スプリング取付部
3d 操作部
3e 第2の係止部(カムフォロア)
4 スプリング
10 スタンド
100 自転車
102 車体フレーム
103 ヘッドチューブ
104 ダウンチューブ
105 シートチューブ
106 チェーンステー
107 シートステー
108 フロントフォーク
109 前輪
110 ハンドル
111 サドル
112 後輪
113 リアキャリア
114 チャイルドシート(リアチャイルドシート)
115 クランク
116 電動機
117 バッテリー