(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20230824BHJP
F24C 3/02 20210101ALI20230824BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20230824BHJP
【FI】
F24C3/12 K
F24C3/02 H
F24C3/12 L
F24C3/12 G
F24C7/04 301A
(21)【出願番号】P 2020092129
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】岡田 宏直
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132417(JP,A)
【文献】特開2007-242636(JP,A)
【文献】特開平09-308570(JP,A)
【文献】特開2009-193901(JP,A)
【文献】特開2009-085490(JP,A)
【文献】特開2018-035988(JP,A)
【文献】特開2005-302632(JP,A)
【文献】特開2019-020014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0209028(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
F24C 3/02
F24C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を加熱する加熱手段と、
加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部と、
被加熱部を冷却する冷却運転を実行する冷却手段と、
冷却手段の異常を判断するための冷却手段の所定の情報値を取得する冷却手段情報取得部と、
冷却手段の異常を判断する異常判断部と、を備える加熱調理器であって、
異常判断部は、冷却手段情報取得部で取得された情報値が所定の第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
第1判断条件で冷却手段の異常が判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、冷却手段情報取得部で取得された情報値が第1判断条件より冷却手段が異常と判断されやすくなる所定の第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
異常判断部は、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1加熱時温度閾値に到達する第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達して冷却手段の異常と判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い所定の第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
異常判断部は、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達していないが、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値以上になって冷却手段の異常と判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する加熱調理器。
【請求項4】
請求項2または3に記載の加熱調理器は、さらに、
加熱手段の加熱を制御する加熱制御部を有し、
加熱制御部は、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1または第2加熱時温度閾値に到達する第1または第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、加熱手段による加熱を停止させる加熱調理器。
【請求項5】
請求項1に記載の加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
異常判断部は、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値以上になって冷却手段の異常と判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値より低い所定の第2冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値より小さい所定の第2冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する加熱調理器。
【請求項6】
被調理物を加熱する加熱手段と、
加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部と、
被加熱部を冷却する冷却運転を実行する冷却手段と、
冷却手段の異常を判断するための冷却手段の所定の情報値を取得する冷却手段情報取得部と、
冷却手段の異常を判断する異常判断部と、
冷却手段の異常を表示する表示手段と、
表示手段からの表示を制御する表示制御部と、を備える加熱調理器であって、
冷却手段情報取得部で取得された情報値が所定の第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、冷却手段情報取得部で取得された情報値が第1判断条件より冷却手段が異常と判断されやすくなる所定の第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる加熱調理器。
【請求項7】
請求項6に記載の加熱調理器において、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の所定の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1加熱時温度閾値に到達する第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い所定の第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる加熱調理器。
【請求項8】
請求項7に記載の加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達していないが、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる加熱調理器。
【請求項9】
請求項6に記載の加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の所定の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値より低い所定の第2冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値より小さい所定の第2冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる加熱調理器。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
表示制御部は、異常判断部が所定回数、冷却手段の異常を判断した場合、表示手段に常に冷却手段の異常を表示させる加熱調理器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の加熱調理器は、さらに、
異常判断部による冷却手段の異常を判断する判断条件または異常判断部で冷却手段の異常が判断されたときの表示手段からの表示を解除可能な解除手段を備える加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部を冷却する冷却手段を備えた加熱調理器に関する。特に、本発明は、冷却手段の異常を判断可能な加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバーナなどの加熱手段と、本体ケース内に設けられた冷却ファンと、加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部の周辺温度を検出する温度センサとを備え、加熱調理中、冷却ファンによる冷却運転を行った場合でも、温度センサで検出される被加熱部の周辺温度が所定の上限温度に到達した場合、冷却ファンの異常を報知させるとともに、加熱手段による加熱を停止させる加熱調理器が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、冷却ファンの異常を報知しても、使用者が報知に気づかなかったり、使用者が加熱調理器から離れていたりして、使用者が冷却ファンの異常を認識していない場合、次回の加熱調理器の使用時には被加熱部が再度、高温に晒されて、被加熱部の熱的損傷が繰り返されるという問題がある。特に、加熱調理器の運転を指示する操作スイッチや加熱調理器の運転状態等を表示する液晶表示装置は熱的損傷を受けやすいため、早期に冷却ファンの異常を判断する必要がある。また、特許文献1の加熱調理器では、加熱手段による被調理物の加熱中に温度センサで検出される周辺温度が上限温度に到達しなければ、冷却ファンの異常と判断されない。そのため、加熱中に周辺温度が上限温度まで到達しなければ、冷却ファンの異常でオーバーシュートが生じて、加熱の停止後、周辺温度が上昇して上限温度に到達しても、異常が判断されないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部を冷却する冷却手段を備えた加熱調理器において、早期に冷却手段の異常を使用者に認識させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、
被調理物を加熱する加熱手段と、
加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部と、
被加熱部を冷却する冷却運転を実行する冷却手段と、
冷却手段の異常を判断するための冷却手段の所定の情報値を取得する冷却手段情報取得部と、
冷却手段の異常を判断する異常判断部と、を備える加熱調理器であって、
異常判断部は、冷却手段情報取得部で取得された情報値が所定の第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
第1判断条件で冷却手段の異常が判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、冷却手段情報取得部で取得された情報値が第1判断条件より冷却手段が異常と判断されやすくなる所定の第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する加熱調理器が提供される。
【0007】
上記加熱調理器によれば、加熱調理器の使用時に第1判断条件で冷却手段の異常が生じていたと判断された場合、次回の加熱調理器の使用時から第1判断条件よりも冷却手段の異常が判断されやすくなる第2判断条件で冷却手段の異常が判断されるから、加熱調理器の使用時、情報値が第1判断条件を満たしていたにも関わらず、使用者が冷却手段の異常を認識していなかった場合でも、次回の加熱調理器の使用時には被加熱部が繰り返し熱的損傷を受ける前に冷却手段の異常を判断することができる。なお、後述するように、本明細書において、第1判断条件よりも冷却手段の異常が判断されやすくなる第2判断条件とは、第1判断条件では情報値が冷却手段の異常と判断されない物理量であっても、第2判断条件では同一の情報値が冷却手段の異常と判断される物理量となる条件を意味する。また、後述するように、冷却手段の異常の判断は、加熱手段による被調理物の加熱中だけでなく、加熱後継続冷却運転中でも実行されるため、加熱調理器の使用時とは、今回の加熱調理器の使用の開始から次回の加熱調理器の使用が開始されるまでの期間を意味する。
【0008】
好ましくは、上記加熱調理器において、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
異常判断部は、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1加熱時温度閾値に到達する第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達して冷却手段の異常と判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い所定の第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する。
【0009】
上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱中、冷却手段の冷却対象である被加熱部の周辺温度を検出することによって、早期に冷却手段の異常を判断することができる。
【0010】
好ましくは、上記加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
異常判断部は、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達していないが、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値以上になって冷却手段の異常と判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する。
【0011】
上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱の停止後でも、早期に冷却手段の異常を判断することができる。また、上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱の停止後の冷却手段の異常の判断によって、冷却手段の異常が生じていた場合、次回の加熱調理器の使用時から、被加熱部が熱的損傷を受ける前に早期に冷却手段の異常を判断することができる。
【0012】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
加熱手段の加熱を制御する加熱制御部を有し、
加熱制御部は、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1または第2加熱時温度閾値に到達する第1または第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、加熱手段による加熱を停止させる。
【0013】
上記加熱調理器によれば、冷却手段の異常が生じていた場合、被加熱部が熱的損傷を受ける前に加熱手段による被調理物の加熱を早期に停止させることができる。
【0014】
好ましくは、上記加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
異常判断部は、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断し、
温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値以上になって冷却手段の異常と判断されると、次回の加熱調理器の使用時から、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値より低い所定の第2冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値より小さい所定の第2冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第2判断条件を満たす場合、冷却手段の異常と判断する。
【0015】
上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱の停止後でも、早期に冷却手段の異常を判断することができる。
【0016】
本発明の他の局面によれば、
被調理物を加熱する加熱手段と、
加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部と、
被加熱部を冷却する冷却運転を実行する冷却手段と、
冷却手段の異常を判断するための冷却手段の所定の情報値を取得する冷却手段情報取得部と、
冷却手段の異常を判断する異常判断部と、
冷却手段の異常を表示する表示手段と、
表示手段からの表示を制御する表示制御部と、を備える加熱調理器であって、
冷却手段情報取得部で取得された情報値が所定の第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、冷却手段情報取得部で取得された情報値が第1判断条件より冷却手段が異常と判断されやすくなる所定の第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる加熱調理器が提供される。
【0017】
上記加熱調理器によれば、加熱調理器の使用時に第1判断条件で冷却手段の異常が生じていたと判断された場合、次回の加熱調理器の使用時から第1判断条件よりも冷却手段の異常が判断されやすくなる第2判断条件で冷却手段の異常が判断されるから、加熱調理器の使用時、情報値が第1判断条件を満たしていたにも関わらず、使用者が冷却手段の異常を認識していなかった場合でも、次回の加熱調理器の使用時には被加熱部が繰り返し熱的損傷を受ける前に早期に冷却手段の異常を表示手段に表示させることができる。
【0018】
好ましくは、上記加熱調理器において、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の所定の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1加熱時温度閾値に到達する第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い所定の第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる。
【0019】
上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱中、冷却手段の冷却対象である被加熱部の周辺温度を検出することによって、早期に冷却手段の異常を表示手段に表示させることができる。
【0020】
好ましくは、上記加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達していないが、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、加熱手段による被調理物の加熱中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1加熱時温度閾値より低い第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる。
【0021】
上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱の停止後でも、早期に冷却手段の異常を判断することができる。また、上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱の停止後の冷却手段の異常の判断によって、冷却手段の異常が生じていた場合、次回の加熱調理器の使用時から、被加熱部が熱的損傷を受ける前に冷却手段の異常を表示手段に表示させることができる。
【0022】
好ましくは、上記加熱調理器において、
冷却手段は、加熱手段による被調理物の加熱の停止後に、所定の冷却運転時間、冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転を実行し、
冷却手段情報取得部は、冷却手段の所定の情報値として被加熱部の周辺温度を検出する温度検出手段を有し、
加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が所定の第1冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が所定の第1冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第1判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断すると、表示制御部は、次回の加熱調理器の使用時から、加熱後継続冷却運転中、温度検出手段で検出される周辺温度が第1冷却時温度閾値より低い所定の第2冷却時温度閾値に到達するかまたはその温度勾配が第1冷却時勾配閾値より小さい所定の第2冷却時勾配閾値以上になる少なくともいずれか一方の第2判断条件を満たして、異常判断部が冷却手段の異常と判断したとき、表示手段から冷却手段の異常を表示させる。
【0023】
上記加熱調理器によれば、加熱手段による被調理物の加熱の停止後でも、早期に冷却手段の異常を表示手段に表示させることができる。
【0024】
好ましくは、上記加熱調理器において、
表示制御部は、異常判断部が所定回数、冷却手段の異常を判断した場合、表示手段に常に冷却手段の異常を表示させる。
【0025】
上記加熱調理器によれば、冷却手段の異常が所定回数、生じている場合、確実に使用者に冷却手段の異常を認識させることができる。
【0026】
好ましくは、上記加熱調理器は、さらに、
異常判断部による冷却手段の異常を判断する判断条件または異常判断部で冷却手段の異常が判断されたときの表示手段からの表示を解除可能な解除手段を備える。
【0027】
上記加熱調理器によれば、メンテナンスなどによって冷却手段の異常が解消されたとき、初期の仕様に戻すことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上のように、本発明によれば、加熱手段による被調理物の加熱に伴って加熱される被加熱部を冷却する冷却手段に異常が発生した場合、早期に冷却手段の異常を使用者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す概略分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す要部概略横断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す要部概略縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の一例を示す要部概略分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態3に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図10】
図10は、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図11】
図11は、本発明の実施の形態4に係る加熱調理器の制御動作の一例を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本実施の形態に係る加熱調理器を具体的に説明する。
図1は、システムキッチンのカウンタトップKに開設された開口K1に落とし込み状態で装着されるビルトイン式のガスコンロに適用した本実施の形態に係る加熱調理器の一例を示す概略分解斜視図である。
【0031】
ガスコンロは、上端開放部の外周にフランジ20が張り出した本体ケース1と、本体ケース1の上方開放部を覆うガラス製の天板10と、本体ケース1内に配設された左右のコンロバーナ31,32及び後方のコンロバーナ33と、グリル扉41で開閉されるグリル42とを備える。グリル42の左右には、火力調整機能を有する点消火スイッチ43,44が設けられている。なお、本明細書では、本体ケース1の前面(本体前面)をガスコンロの正面とし、ガスコンロを正面側から見たときの本体ケース1の奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0032】
天板10には、各コンロバーナ31,32,33に臨むバーナ用開口51,52,53が開設されている。また、天板10には、後辺に沿った長方形の排気開口57が形成されている。排気開口57は、本体ケース1に設けられたグリル42から延びるグリル排気筒40の上方に位置している。グリル42内には、グリルバーナ(図示せず)が設けられている。
【0033】
左右のバーナ用開口51,52の相互間の前方中央部には透明な透過窓16,12が形成されており、一方の透過窓16を介して液晶表示盤18の表示が視認でき、他方の透過窓12を介して発光ダイオード98の発光状態が視認できるように構成されている。
【0034】
本体ケース1は、上方が開放した略矩形箱状に形成されている。本体ケース1の正面側の構成壁21には、流入口14と流出口15とが開設されており、本体ケース1内には、流入口14と流出口15とを繋ぐ冷却通路17が形成されている。
【0035】
図2~
図4に示すように、冷却通路17は、液晶表示装置13及び冷却ファン72を収納する樹脂カバー170と、樹脂カバー170の下流端に接続され、下方に開放する樹脂製の通路接続部材174と、樹脂カバー170及び通路接続部材174の下方開放部を閉塞する底板171とから構成されている。従って、樹脂カバー170と、通路接続部材174と、底板171とが、冷却通路17の通路壁を構成している。樹脂カバー170及び通路接続部材174の上面と背面とはそれぞれ、上板172と後ろ板173とで覆われている。また、樹脂カバー170及び通路接続部材174の前面は、金属製の本体ケース1の構成壁21で覆われている。
【0036】
冷却通路17を構成する樹脂カバー170の上流端には、本体ケース1の構成壁21に開設された流入口14に接続される吸気接続口170aが開設されている。また、吸気接続口170aの内側には、冷却ファン72用のモータ71で回転される回転羽根70が配設されている。冷却通路17内における冷却ファン72の下流側には、液晶表示装置13が配設されている。通路接続部材174の下流端には、本体ケース1の正面側の構成壁21に開設された流出口15に接続される排気接続口174aが開設されている。従って、冷却ファン72を作動させると、流入口14から冷却通路17内に外部の空気が導入され、液晶表示装置13を冷却した空気が流出口15から排出される風路が形成される。
【0037】
液晶表示装置13は、液晶表示盤18とその裏面側に配設された制御基盤19とを備える。制御基盤19には、複数の発光ダイオード98が配設されている。これら液晶表示盤18及び制御基盤19は、ケーシング30内に収納されている。
【0038】
ケーシング30内であって、液晶表示盤18の左右方向の両端部に対応する位置には、左温度センサS1と右温度センサS2とが配設されている。これらの左右の温度センサS1,S2で検出された液晶表示装置13の周辺温度の検出信号は、後述する制御ユニットに出力される。このように左右に分離した温度センサS1,S2を用いることにより、左右のコンロバーナ31,32いずれで被調理物が加熱されているときでも、加熱中のコンロバーナ31,32により近い位置の周辺温度を検出することができる。
【0039】
図3に示すように、液晶表示盤18は、ケーシング30の上板に形成された窓孔300に臨んでいる。発光ダイオード98の上方に形成された透孔96は、透光板97で閉塞されている。液晶表示装置13のケーシング30のさらに外側を覆う樹脂カバー170の上面には、上方から液晶表示盤18が視認できるように透明板175と、発光ダイオード98の発光状態を確認するための透孔170cとが設けられている。
【0040】
図4に示すように、樹脂カバー170を覆う上板172には、液晶表示盤18や発光ダイオード98の状態を確認するための開口Wが形成されている。また、
図3に示すように、液晶表示装置13のケーシング30の外周と樹脂カバー170及びその下方の底板171との間には、冷却用の空気が流れる冷却通路17を構成する通気間隙176が形成されている。
【0041】
図示しないが、本体ケース1の内部には、コンロバーナ31,32,33やグリルバーナへのガスの供給や遮断を行う電磁開閉弁やガス供給量の調整を行う流量調整弁を有するバルブユニットと、各バルブユニットへのガスの供給や遮断を行う元電磁弁と、ガスコンロ全体の作動を制御する制御手段としての制御ユニットとが組み込まれている。
【0042】
制御ユニットには、既述した点消火スイッチ43,44、液晶表示盤18や発光ダイオード98の制御基盤19、左右の温度センサS1,S2、冷却ファン72のモータ71、バルブユニット、元電磁弁、電源スイッチなどが電気配線を介して接続されている。
【0043】
制御ユニットは、図示しないCPU、メモリ、各種インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットであり、メモリに保持された制御プログラムを実行することにより、加熱制御部、冷却制御部、異常判断部、異常履歴判定部、加熱禁止部、表示制御部、解除部として機能する。
【0044】
加熱制御部は、各コンロバーナ31,32,33の燃焼を制御する。冷却制御部は、冷却ファン72のオンオフを制御する。従って、本実施の形態では、冷却ファン72及びその作動を制御する冷却制御部が冷却手段を構成する。異常判断部は、コンロバーナ31,32,33の燃焼中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度が後述する第1判断条件または第2判断条件を満たす場合、冷却ファン72の異常と判断する。また、異常判断部は、冷却ファン72の異常が生じていると判断すると、不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)に記憶されている異常履歴回数に「1」を加算する。なお、異常判断部は、異常履歴回数が0である場合、初期設定である第1判断条件により冷却ファン72の異常を判断し、異常履歴回数が1以上である場合、第2判断条件により冷却ファン72の異常を判断する。表示制御部は、液晶表示盤18に表示させるガスコンロの運転状態等の表示を制御する。異常履歴判定部は、冷却ファン72の異常と判断された異常履歴回数が所定回数に達したか否かを判定する。加熱禁止部は、異常履歴回数が所定回数に達している場合、コンロバーナ31,32,33の点火を禁止する。解除部は、特殊操作(例えば、複数スイッチの同時操作)が行われると、メモリの異常履歴回数をリセットする。また、メモリには、冷却ファン72の異常を判定するための各種閾値等のデータが格納されている。
【0045】
次に、
図5を参照して、本実施の形態におけるガスコンロで冷却ファン72の異常を判断する制御動作について説明する。ここでは、1つの左コンロバーナ31を使用して被調理物を加熱する場合について説明するが、他のコンロバーナ32,33を使用して被調理物を加熱する場合も同様である。
【0046】
図5に示すように、使用者が電源スイッチをオンすると(S11で、Yes)、まずメモリに記憶されている冷却ファン72が異常と判定された異常履歴回数Nが所定回数Na(例えば、5回)に到達しているかどうかが判断される(S12)。異常履歴回数が所定回数に到達していれば(S12で、Yes)、液晶表示盤18から冷却ファン72の異常が所定の態様(例えば、メンテナンスが必要なことを示すエラー情報の点灯表示)で常に表示される(S13)。また、異常履歴回数が所定回数に達している場合、以後の加熱調理が禁止される(S14)。なお、異常履歴回数が所定回数に到達している場合でも、所定の態様の表示のみを行って加熱調理を優先させてもよい。
【0047】
異常履歴回数が所定回数に到達していなければ(S12で、No)、左コンロバーナ31での加熱調理が許可される。使用者が点消火スイッチ44で左コンロバーナ31の点火操作を行って、左コンロバーナ31を点火させると、左コンロバーナ31による被調理物の加熱が開始され(S15で、Yes)、加熱中、冷却ファン72を作動させる冷却運転が実行される。次いで、メモリに異常履歴回数が登録されていなければ(N=0)(S16で、Yes)、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1(例えば、90℃)に到達する第1判断条件を満たすかどうかが判断される(S17)。
【0048】
左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達すると(S17で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断されて、元電磁弁が閉弁されて、左コンロバーナ31が強制的にエラー消火され、液晶表示盤18に冷却ファン72の異常が所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点滅表示)で表示される。また、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S18~S20)。一方、左コンロバーナ31の消火操作が行われるまでに周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達しなければ(S17で、No、S21で、Yes)、冷却ファン72は正常と判断されて、加熱調理を終了させる。なお、図示しないが、メンテナンス等によって冷却ファン72の異常が解消された後、特殊操作を行うことによりメモリに登録された異常履歴回数がリセットされる。これにより、冷却ファン72の異常が解消されたとき、初期設定の第1判断条件で冷却手段の異常が判断されるから、冷却ファン72が正常な状態で高温の調理が行われる場合の予期しない途中消火を防止することができる。
【0049】
使用者が左コンロバーナ31の点火操作を行って次回の加熱調理が開始されたとき、メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されていれば(S16で、No)、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1より低い第2加熱時温度閾値Th2(例えば、80℃)に到達する第2判断条件を満たすかどうかが判断される(S22)。
【0050】
左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達すれば(S22で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断され、上記と同様に、左コンロバーナ31が強制的にエラー消火され、液晶表示盤18に冷却ファン72の異常が所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点滅表示)で表示される。これにより、液晶表示装置13が繰り返し熱的損傷を受ける前に加熱を停止させることができる。また、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S23~S25)。一方、使用者による左コンロバーナ31の消火操作が行われるまでに周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達しなければ(S22で、No、S26で、Yes)、左コンロバーナ31の消火操作に伴って左コンロバーナ31が消火されるが、加熱調理に必要とされる温度は被調理物の種類によって異なる。そのため、今回の加熱調理では周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2まで到達しなかっただけと考えられるから、メモリの異常履歴回数が保持され、さらに次回の加熱調理では、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達するかどうかから、冷却ファン72の異常が判断される。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態では、ガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達する第1判断条件を満たし、冷却ファン72の異常と判断された場合、次回のガスコンロの使用時から、周辺温度が第1加熱時温度閾値より低く冷却ファン72の異常が判断されやすくなる第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たすと、冷却ファン72の異常と判断される。従って、先のガスコンロの使用時に冷却ファン72の異常が判断されて、コンロバーナ31が消火されていたにも関わらず、使用者が冷却ファン72の異常を認識していなかった場合でも、次回のガスコンロの使用時には、液晶表示装置13が繰り返し熱的損傷を受ける前に冷却ファン72の異常を判断することができる。そして、冷却ファン72の異常が生じていた場合、次回のガスコンロの使用時、早期に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させることができるとともに、コンロバーナ31を消火させることができる。これにより、液晶表示装置13が繰り返し熱的損傷を受ける前に使用者に冷却ファン72の異常を早期に認識させることができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、冷却ファン72の冷却対象である液晶表示装置13の周辺温度を検出することによって、早期に冷却ファン72の異常を判断することができる。また、本実施の形態によれば、冷却ファン72に異常が生じていても、周辺温度が第2加熱時温度閾値に到達せず、第2判断条件を満たさなければ、コンロバーナ31は消火されないから、液晶表示装置13が熱的損傷を受けない温度範囲で加熱調理を行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態によれば、ガスコンロの使用ごとに、コンロバーナ31による被調理物の加熱が開始される前、冷却ファン72の異常履歴回数が所定回数に到達しているかどうかを判断し、異常履歴回数が所定回数に到達していれば、常に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させ、さらに加熱調理を禁止させるから、確実に使用者に冷却手段の異常を認識させることができるとともに、液晶表示装置13の熱的損傷を防止することができる。
【0054】
(実施の形態2)
本実施の形態は、コンロバーナ31の消火後、冷却ファン72による加熱後継続冷却運転が実行され、コンロバーナ31による被調理物の加熱中だけでなく、加熱後継続冷却運転中にも冷却ファン72の異常が判断されること以外は、実施の形態1と同様の構成を有する。
【0055】
次に、
図6及び
図7を参照して本実施の形態におけるガスコンロで冷却ファン72の異常を判断する制御動作について説明する。
【0056】
異常履歴回数が所定回数に到達している場合の制御動作、及びメモリに異常履歴回数が登録されていない状態で、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1(例えば、90℃)に到達する場合の制御動作(S31~S40)は、実施の形態1のそれら(S11~S20)と同様である。
【0057】
一方、メモリに異常履歴回数が登録されていない状態で(S36で、Yes)、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われると(S37で、No、S41で、Yes)、消火後、所定の冷却運転時間(例えば、20分間)、冷却ファン72の冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転が実行される。そして、加熱後継続冷却運転中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第1冷却時勾配閾値Ac1(例えば、5℃/分)以上になると(S42で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断され、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S43)。冷却運転時間が経過すると(S44で、Yes)、冷却ファン72が停止される。冷却運転時間が経過するまでに、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第1冷却時勾配閾値Ac1以上にならなければ(S42で、No)、冷却ファン72は正常と判断されて、冷却運転時間が経過すると(S45で、Yes)、冷却ファン72が停止される。
【0058】
メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されている状態で(S36で、No)、使用者が左コンロバーナ31の点火操作を行って次回の加熱調理が開始され、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1より低い第2加熱時温度閾値Th2(例えば、80℃)に到達した場合の制御動作(S46~S49)は、実施の形態1のそれ(S22~S25)と同様である。
【0059】
一方、メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されている状態で(S36で、No)、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われると(S46で、No、S50で、Yes)、上記と同様に、消火後、所定の冷却運転時間、冷却ファン72の冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転が実行される。そして、加熱後継続冷却運転中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第1冷却時勾配閾値Ac1より小さい第2冷却時勾配閾値Ac2(例えば、2℃/分)以上になると(S51で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断され、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S52)。冷却運転時間が経過すると(S53で、Yes)、冷却ファン72が停止される。冷却運転時間が経過するまでに、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第2冷却時勾配閾値Ac2以上にならなければ(S51で、No)、冷却運転時間が経過すると(S54で、Yes)、冷却ファン72が停止される。なお、この場合、今回の加熱調理では周辺温度T1,T2の上昇の程度が小さかっただけと考えられるから、メモリの異常履歴回数が保持され、さらに次回の加熱調理では、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達するかどうかから、冷却ファン72の異常が判断され、加熱後継続冷却運転中、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第2冷却時勾配閾値Ac2以上になるかどうかから、冷却ファン72の異常が判断される。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態では、実施の形態1と同様に、ガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中の冷却ファン72の異常の判断によって冷却ファン72に異常が生じていると判断されて、コンロバーナ31が消火されていたにも関わらず、使用者が冷却ファン72の異常を認識していなかった場合でも、次回のガスコンロの使用時、液晶表示装置13が繰り返し熱的損傷を受ける前に早期に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させることができるとともに、コンロバーナ31を消火させることができる。これにより、使用者に冷却ファン72の異常を早期に認識させることができる。
【0061】
また、本実施の形態によれば、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度が第1加熱時温度閾値まで上昇せず、冷却ファン72の異常が判断されなかった場合でも、加熱後継続冷却運転において、再度、冷却ファン72の異常が判断される。これにより、冷却ファン72の異常でオーバーシュートが生じていた場合、早期に冷却ファン72の異常を判断することができる。また、本実施の形態によれば、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、冷却ファン72の異常が生じていないと判断された場合でも、コンロバーナ31による被調理物の加熱の停止後の冷却ファン72の異常の判断によって冷却ファン72に異常が生じていたと判断された場合、次回のガスコンロの使用時から、コンロバーナ31による被調理物の加熱を早期に停止させることができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、異常履歴回数が所定回数に到達していれば、常に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させ、さらに加熱調理を禁止させるから、確実に使用者に冷却手段の異常を認識させることができるとともに、液晶表示装置13の熱的損傷を防止することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、加熱後継続冷却運転中、周辺温度の温度勾配に基づき冷却ファン72の異常が判断されているが、周辺温度の温度勾配は、消火から所定時間が経過するまでの周辺温度の温度差に基づき算出してもよいし、消火時から周辺温度が一定温度、低下するまでの経過時間に基づき算出してもよい。また、上記実施の形態では、加熱後継続冷却運転中、周辺温度の温度勾配が第1または第2冷却時勾配閾値以上になるかどうかから冷却ファン72の異常を判断しているが、コンロバーナ31による被調理物の加熱中と同様に、加熱後継続冷却運転中、周辺温度が第1または第2冷却時温度閾値に到達するかどうかから冷却ファン72の異常を判断してもよい。この場合、消火時の周辺温度によって第1及び第2冷却時温度閾値を変更してもよい。さらに、周辺温度とその温度勾配との両方から冷却ファン72の異常を判断してもよい。
【0064】
(実施の形態3)
本実施の形態は、コンロバーナ31による被調理物の加熱中または加熱後継続冷却運転中、冷却ファン72の異常が判断されると、次回のガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度が第2加熱時温度閾値に到達する第2判断条件を満たす場合、コンロバーナ31を消火することなく、液晶表示装置13から冷却ファン72の異常を表示させ、さらに周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達するとコンロバーナ31を消火させること以外は、実施の形態2と同様の構成を有する。
【0065】
次に、
図8及び
図9を参照して本実施の形態におけるガスコンロで冷却ファン72の異常を判断する制御動作について説明する。
【0066】
異常履歴回数が所定回数に到達している場合の制御動作、メモリに異常履歴回数が登録されていない状態で、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1(例えば、90℃)に到達する場合の制御動作、及びメモリに異常履歴回数が登録されていない状態で、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われた場合の制御動作(S61~S75)は、実施の形態2のそれら(S31~S45)と同様である。
【0067】
メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されている状態で(S66で、No)、使用者が左コンロバーナ31の点火操作を行って次回の加熱調理が開始され、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1より低い第2加熱時温度閾値Th2(例えば、80℃)に到達した場合(S80で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断されるが、左コンロバーナ31を消火することなく、冷却ファン72の異常が液晶表示盤18から所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点滅表示)で表示される(S81)。そして、さらに左コンロバーナ31による被調理物の加熱が継続され、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達すると(S82で、Yes)、左コンロバーナ31が強制的にエラー消火され、冷却ファン72の異常が液晶表示盤18から所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点灯表示)で表示される。また、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S83~S85)。このように、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達したときの表示と、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達したときの表示とを異ならせることにより、さらに使用者に冷却ファン72の異常を認識させることができる。
【0068】
周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1より低い第2加熱時温度閾値Th2に到達したが、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われると(S80で、Yes、S82で、No、S86で、Yes)、今回の加熱調理では周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達しなかっただけと考えられえるから、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S87)。そして、消火後、所定の冷却運転時間、冷却ファン72の冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転が実行される(S88)。
【0069】
一方、メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されている状態で(S66で、No)、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われると(S80で、No、S100で、Yes)、上記と同様に、消火後、所定の冷却運転時間、冷却ファン72の冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転が実行される。そして、加熱後継続冷却運転中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第1冷却時勾配閾値Ac1より小さい第2冷却時勾配閾値Ac2以上になると(S101で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断され、冷却ファン72の異常が液晶表示盤18から所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点滅表示)で表示される。また、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S102~S103)。冷却運転時間が経過すると(S104で、Yes)、冷却ファン72が停止される。冷却運転時間が経過するまでに、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第2冷却時勾配閾値Ac2以上にならなければ(S101で、No)、冷却運転時間が経過すると(S105で、Yes)、冷却ファン72が停止される。なお、この場合、今回の加熱調理では周辺温度T1,T2の上昇の程度が小さかっただけと考えられるから、メモリの異常履歴回数が保持され、さらに次回の加熱調理では、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第2加熱時温度閾値Th2に到達するかどうかから、冷却ファン72の異常が判断され、加熱後継続冷却運転中、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第2冷却時勾配閾値Ac2以上になるかどうかから、冷却ファン72の異常が判断される。このため、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第2冷却時勾配閾値Ac2未満であっても、冷却運転時間が経過した後、冷却ファン72の異常を液晶表示盤18から表示させてもよい。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態では、ガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中の冷却ファン72の異常の判断によって冷却ファン72に異常が生じていると判断されて、コンロバーナ31が消火されていたにも関わらず、使用者が冷却ファン72の異常を認識していなかった場合でも、次回のガスコンロの使用時、液晶表示装置13が繰り返し熱的損傷を受ける前に早期に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させることができる。これにより、使用者に冷却ファン72の異常を早期に認識させることができる。
【0071】
また、本実施の形態によれば、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度が第1加熱時温度閾値まで上昇せず、冷却ファン72の異常が判断されなかった場合でも、加熱後継続冷却運転において、再度、冷却ファン72の異常が判断される。これにより、冷却ファン72の異常でオーバーシュートが生じていた場合、早期に冷却ファン72の異常を判断することができる。また、本実施の形態によれば、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、冷却ファン72の異常が生じていないと判断された場合でも、コンロバーナ31による被調理物の加熱の停止後の冷却ファン72の異常の判断によって冷却ファン72に異常が生じていたと判断された場合、次回のガスコンロの使用時から、早期に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させることができる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、次回のガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度が第2加熱時温度閾値に到達しても、コンロバーナ31を消火させず、液晶表示装置13から冷却ファン72の異常の表示のみが行われ、周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達すると、コンロバーナ31を消火させるから、使用者は高温で加熱調理を継続させることができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態によれば、異常履歴回数が所定回数に到達していれば、常に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させ、さらに加熱調理を禁止させるから、確実に使用者に冷却手段の異常を認識させることができるとともに、液晶表示装置13の熱的損傷を防止することができる。
【0074】
なお、本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、加熱後継続冷却運転中、周辺温度が第1または第2冷却時温度閾値に到達するかどうかから冷却ファン72の異常を判断してもよい。さらに、周辺温度とその温度勾配との両方から冷却ファン72の異常を判断してもよい。
【0075】
(実施の形態4)
本実施の形態は、コンロバーナ31による被調理物の加熱中または加熱後継続冷却運転中、冷却ファン72の異常が判断されると、次回のガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達するとコンロバーナ31を消火させること、及び周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達しない場合、加熱後継続冷却運転中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度の温度勾配が第2冷却時勾配閾値以上となる第2判断条件を満たす場合、液晶表示装置13から冷却ファン72の異常を表示させる以外は、実施の形態2と同様の構成を有する。
【0076】
次に、
図10及び
図11を参照して本実施の形態におけるガスコンロで冷却ファン72の異常を判断する制御動作について説明する。
【0077】
異常履歴回数が所定回数に到達している場合の制御動作、メモリに異常履歴回数が登録されていない状態で、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1(例えば、90℃)に到達する場合の制御動作、及びメモリに異常履歴回数が登録されていない状態で、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われた場合の制御動作(S111~S125)は、実施の形態2のそれら(S31~S45)と同様である。
【0078】
メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されている状態で(S116で、No)、使用者が左コンロバーナ31の点火操作を行って次回の加熱調理が開始され、左コンロバーナ31による被調理物の加熱中、左右の温度センサS1,S2で検出される周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達した場合(S130で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断されて左コンロバーナ31が強制的にエラー消火され、液晶表示盤18に冷却ファン72の異常が所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点滅表示)で表示される。また、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S131~S133)。
【0079】
一方、メモリに所定回数未満の異常履歴回数が登録されている状態で(S116で、No)、周辺温度T1,T2が第1加熱時温度閾値Th1に到達することなく、左コンロバーナ31の消火操作が行われると(S130で、No、S140で、Yes)、消火後、所定の冷却運転時間、冷却ファン72の冷却運転を継続させる加熱後継続冷却運転が実行される。そして、加熱後継続冷却運転中、左右の温度センサS1,S2で検出される少なくともいずれか一方の周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第1冷却時勾配閾値Ac1より小さい第2冷却時勾配閾値Ac2(例えば、2℃/分)以上になると(S141で、Yes)、冷却ファン72は異常と判断され、冷却ファン72の異常が液晶表示盤18から所定の態様(例えば、冷却ファン72の異常を示すエラー情報の点滅表示)で表示される。また、メモリの冷却ファン72の異常履歴回数Nに「1」が加算される(S142~S143)。冷却運転時間が経過すると(S144で、Yes)、冷却ファン72が停止される。冷却運転時間が経過するまでに、周辺温度T1,T2の温度勾配A1,A2が第2冷却時勾配閾値Ac2以上にならなければ(S141で、No)、冷却運転時間が経過すると(S145で、Yes)、冷却ファン72が停止される。
【0080】
以上説明したように、本実施の形態によれば、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度が第1加熱時温度閾値まで上昇せず、冷却ファン72の異常が判断されなかった場合でも、加熱後継続冷却運転において、再度、冷却ファン72の異常が判断される。これにより、早期に冷却ファン72の異常を報知させることができる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、次回のガスコンロの使用時、コンロバーナ31による被調理物の加熱中、周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達しない場合でも、コンロバーナ31による被調理物の加熱の停止後、加熱後継続冷却運転において、冷却ファン72の異常を判断することができる。
【0082】
また、本実施の形態では、冷却ファン72の異常が生じている場合でも、次回のガスコンロの使用時、周辺温度が第1加熱時温度閾値に到達するまで、コンロバーナ31を消火させないから、使用者は高温で加熱調理を継続させることができる。これにより、使い勝手を向上させることができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、異常履歴回数が所定回数に到達していれば、常に冷却ファン72の異常を液晶表示装置13に表示させ、さらに加熱調理を禁止させるから、確実に使用者に冷却手段の異常を認識させることができるとともに、液晶表示装置13の熱的損傷を防止することができる。
【0084】
なお、本実施の形態でも、実施の形態2と同様に、加熱後継続冷却運転中、周辺温度が第1または第2冷却時温度閾値に到達するかどうかから冷却ファン72の異常を判断してもよい。さらに、周辺温度とその温度勾配との両方から冷却ファン72の異常を判断してもよい。
【0085】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、ガスコンロについて説明した。しかしながら、例えば、電磁調理器や電気コンロ等の他の加熱調理器にも適用することができる。また、グリル使用時にも適用することができる。
【0086】
(2)上記実施の形態では、液晶表示装置を被加熱部として説明した。しかしながら、操作スイッチや他の部材を被加熱部としてもよい。
【0087】
(3)上記実施の形態では、冷却手段の異常を判断する物理量として液晶表示装置の周辺温度やその温度勾配を用いて説明した。しかしながら、冷却手段の異常を判定するための情報値であれば他の物理量(例えば、冷却手段自体の温度、風速、風量、風圧、回転数など)を用いてもよい。
【0088】
(4)上記実施の形態では、加熱手段による被調理物の加熱の開始から冷却手段による冷却運転が実行される場合について説明した。しかしながら、冷却手段による冷却運転は、周辺温度が所定の開始温度以上になったときに実行してもよいし、開始から所定時間経過した後からでもよいし、加熱の停止後からでもよい。
【0089】
(5)上記実施の形態では、加熱手段による被調理物の加熱中、または加熱手段による被調理物の加熱中及び加熱後継続冷却運転中に冷却手段の異常が判断されている。しかしながら、加熱後継続冷却運転中のみで冷却手段の異常を判断してもよい。
【0090】
(6)上記実施の形態では、冷却手段の異常は液晶表示装置から表示される。しかしながら、異なる表示手段から冷却手段の異常を表示させてもよい。
【0091】
(7)上記実施の形態では、冷却ファンは、オンオフのみによって冷却運転が実行されているが、冷却ファンの回転数を可変にして、出力を変更してもよい。
【0092】
(8)上記実施の形態では、異常履歴回数が所定回数に到達すると次回の加熱調理器の使用開始時に異常を表示させるようにしている。しかしながら、異常履歴回数が所定回数に到達すると、その加熱調理の終了時に異常を表示させてもよい。
【0093】
(9)上記実施の形態では、加熱後継続冷却運転中の周辺温度の測定は加熱後継続冷却運転開始時から行われているが、所定時間経過後からでもよい。
【0094】
(10)上記実施の形態において、被加熱部の周辺温度は、被加熱部の物温であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
31,32,33 コンロバーナ
13 液晶表示装置
18 液晶表示盤
72 冷却ファン
S1,S2 温度センサ