(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】レシピ提案装置およびレシピ提案システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230824BHJP
G16H 20/60 20180101ALI20230824BHJP
【FI】
G06Q50/10
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2020150444
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 奨一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 功記
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 亮
【審査官】谷川 智秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-087064(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114756(WO,A1)
【文献】特開2017-076230(JP,A)
【文献】特開2013-213663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10-00/99-00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理家電と、
前記調理家電のユーザが所持するユーザ携帯端末と、
前記ユーザ携帯端末とネットワークを介して接続されたレシピ提案装置と、
を有し、前記レシピ提案装置は、
前記調理家電の識別情報と対応付けて前記ユーザに関するユーザ情報を格納するユーザデータベースと、
料理のレシピに関するレシピ情報を格納するレシピデータベースと、
前記ユーザ情報および前記レシピ情報に基づき、前記ユーザへ提案するレシピを抽出するレシピ抽出部と、
を備えたレシピ提案システムにおいて、
前記ユーザ情報は、前記ユーザ携帯端末によって前記ユーザごとに設定されたユーザパラメータを有し、
前記ユーザパラメータは、肉、魚介および野菜の少なくとも一つについて、好みの程度を示す食材嗜好と、各栄養素について、摂取希望の程度を示す栄養素意識と、で構成され、
前記レシピ情報は、前記料理ごとに設定されたレシピパラメータを有し、
前記レシピパラメータは、前記食材嗜好に対応する肉、魚介および野菜の少なくとも一つが、それぞれどの程度含まれるかを示す食材スコアと、各栄養素が、それぞれどの程度含まれるかを示す栄養素スコアと、で構成され、
前記レシピ抽出部は、前記ユーザパラメータと前記レシピパラメータとの適合度を算出し、適合度
が高く、かつ、前記ユーザ情報に対応付けられた前記識別情報の前記調理家電で調理可能なレシピを抽出するものであって、
前記ユーザ携帯端末は、前記レシピ抽出部で抽出されたレシピを表示するとともに、前記ユーザが調理することに決めた料理のレシピを前記調理家電に送信し、
前記調理家電は、受信したレシピに従って調理を実行することを特徴とするレシピ提案システム。
【請求項2】
請求項1に記載のレシピ提案システムにおいて、
前記ユーザパラメータは、さらに、各栄養素について、1日に必要な量の1食分に相当する値で構成され、
前記レシピパラメータは、さらに、各栄養素が、それぞれどの程度含まれるかを示す栄養素スコアで構成されることを特徴とするレシピ提案システム。
【請求項3】
請求項1に記載のレシピ提案システムにおいて、
前記レシピ抽出部は、まず前記食材嗜好および前記食材スコアで適合度の高いレシピを絞り込み、次に前記栄養素意識および前記栄養素スコアで適合度の高いレシピを更に絞り込むことを特徴とするレシピ提案システム。
【請求項4】
請求項1に記載のレシピ提案システムにおいて、
前記レシピ抽出部が前記適合度を算出するにあたり、前記肉および前記魚介と比べ前記野菜に対する重み付けを小さくすることを特徴とするレシピ提案システム。
【請求項5】
請求項1に記載のレシピ提案システムにおいて、
適合度の高い順に定数抽出したレシピの中から、ランダムで絞り込んだレシピを、ネットワークを介して接続されたユーザ携帯端末へ送信することを特徴とするレシピ提案システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レシピ提案装置およびレシピ提案システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、調理する人が一般的に自らメニューを考えていたが、現代においては、そのようなメニューを考える時間までも時短を図るニーズが高まっている。このようなニーズに対応すべく、メニューを自動的に提案したり、そのメニューのレシピまで提供したりする技術が、これまで考えられてきた。例えば、特許文献1には、「レシピ提供システムは、レシピの提供を要求する調理装置のユーザの、調理の嗜好を特定するための属性を判定する属性判定部と、該属性により特定される調理の嗜好の情報を収集する嗜好収集部と、属性判定部にて判定されたユーザの属性と嗜好収集部にて収集された情報とに基づいて、ユーザの嗜好にあったレシピを提供するレシピ提供部と、を備える」(要約)と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の特許文献1など従来の技術では、年齢などの属性からユーザの嗜好を推定しているため、必ずしもユーザが望むレシピが提案されるとは限らない。
【0005】
本発明の目的は、ユーザが望むレシピを適切に提案するレシピ提案装置およびレシピ提案システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明は、ユーザに関するユーザ情報を格納するユーザデータベースと、料理のレシピに関するレシピ情報を格納するレシピデータベースと、前記ユーザ情報および前記レシピ情報に基づき、前記ユーザへ提案するレシピを抽出するレシピ抽出部と、を備えたレシピ提案装置において、前記ユーザ情報は、前記ユーザごとに設定されたユーザパラメータを有し、前記レシピ情報は、前記料理ごとに設定されたレシピパラメータを有し、前記レシピ抽出部は、前記ユーザパラメータと前記レシピパラメータとの適合度を算出し、適合度の高いレシピを抽出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが望むレシピを適切に提案するレシピ提案装置およびレシピ提案システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るレシピ提案システムの構成を示す全体図。
【
図2】ユーザデータベースに格納されるユーザパラメータの一例を示す図であり、(a)は食材の好みの程度を示す食材嗜好、(b)は摂取希望の程度を示す栄養素意識。
【
図3】ユーザ携帯端末のアプリ画面上に表示される、ユーザパラメータの設定状況の一例を示す図。
【
図4】ユーザ携帯端末のアプリ上で行う初期設定の画面遷移を示す図。
【
図5】初期設定時にユーザが選択した内容と、それに対応して設定されるユーザパラメータと、を示すテーブルであり、(a)は食材嗜好、(b)は栄養素意識。
【
図6】レシピデータベースに格納されるレシピパラメータの一例を示す図であり、(a)は食材スコア、(b)は栄養素スコア。
【
図8】ユーザパラメータとレシピパラメータとの食材に関するユークリッド距離の計算式を示したもの。
【
図9】食材に関するユークリッド距離を計算する際に用いられる重み付けの例を示したもの。
【
図10】適合度の算出に階層分析法(AHP: Analytic Hierarchy Process)を用いた場合の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係るレシピ提案システムの構成を示す全体図である。
図1に示すように、レシピ提案システムは、調理家電1と、この調理家電1のユーザが所持するユーザ携帯端末2と、このユーザ携帯端末2とネットワークを介して接続されたレシピ提案装置3と、を有する。
【0011】
調理家電1は、例えば、電子レンジ、ジャー炊飯器、IHクッキングヒータなど加熱を行う機器や、フードプロセッサーなど食材を加工する機器が想定される。なお、この調理家電1は、冷蔵庫や冷凍庫など食材を貯蔵する機器であっても良い。また、調理家電1の構成としては、ネットワークを介してユーザ携帯端末2やレシピ提案装置3と接続する通信部11と、調理を行うための調理機構12と、これらを制御する制御部13と、を備える。ここで、調理家電1の通信部11は、ユーザ携帯端末2との間は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信によって接続されるようにしても良い。
【0012】
ユーザ携帯端末2は、例えば、スマートフォンやタブレット端末が想定され、通信部21と、出力部22と、入力部23と、メモリ24と、プロセッサ25と、で主に構成される。通信部21は、ネットワークなどを介して調理家電1やレシピ提案装置3とデータの送受信を可能とするものである。出力部22は、ディスプレイなどの画面表示を行うものやスピーカなどの音声出力を行うものである。入力部23は、ユーザから操作や音声入などによる入力を受付けるものである。メモリ24は、必要な機能を実行するプログラムとして、アプリ26が格納されるものである。プロセッサ25は、メモリ24に格納されたアプリ26を実行するものである。なお、アプリ26は、通信部21がレシピ提案装置3などのサーバからネットワーク経由でダウンロードすることで、ユーザ携帯端末2へのインストールが可能となっている。
【0013】
レシピ提案装置3は、レシピ情報を管理するサーバが想定され、必要に応じて、ネットワークを介して接続された調理家電1まで管理する。このレシピ提案装置3は、ユーザ携帯端末2などと通信を行うための通信部31と、ユーザに関するユーザ情報を格納するユーザデータベース32と、複数の料理のレシピに関するレシピ情報を格納するレシピデータベース33と、ユーザ情報およびレシピ情報に基づき、ユーザへ提案するレシピを抽出するレシピ抽出部34と、を備える。さらに、レシピ提案装置3は、各データベースに登録された情報の加工や、ユーザ携帯端末2などからのアクセスに対する認証、などを行うデータ管理部35も備えている。なお、レシピ抽出部34およびデータ管理部35は、メモリ36に格納されたプログラムの機能として、プロセッサ37によって実行される。
【0014】
ここで、ユーザ情報としては、アプリ26の検索履歴や調理家電の使用履歴などの他、ユーザごとに設定されたユーザパラメータを有している。
図2は、ユーザデータベース32に格納されるユーザパラメータの一例を示す図である。
図2に示すように、ユーザパラメータは、少なくとも肉、魚介および野菜について、食材の好みの程度を示す食材嗜好(
図2(a))と、各栄養素について、摂取希望の程度を示す栄養素意識(
図2(b))と、で構成される。また、食材嗜好と栄養素意識の各パラメータは、ユーザ携帯端末2によって設定が適宜変更できるようになっている。
【0015】
図3は、ユーザ携帯端末2のアプリ画面上に表示される、ユーザパラメータの設定状況の一例を示す図である。食材嗜好のパラメータに関しては、ラジオボタンで3段階から選択できるようになっており、
図3の例では、肉が「少なめ」、魚介が「普通」、野菜が「多め」の設定であるため、総合的な嗜好として「野菜好き」と表示されている。また、栄養素意識のパラメータに関しては、スライダによって0~100の間を5刻みで選択できるようになっており、
図3の例では、カロリーが55、塩分が40、糖質が35、脂質が50、たんぱく質が90、食物繊維が45の設定であるため、総合的な意識として「たんぱく質多め」と表示されている。なお、栄養素意識については、視覚的に分かり易くなるようにレーダーチャート(
図3の実線)も表示しており、実際の調理履歴の平均(
図3の塗りつぶし)と比較できるようにしても良い。ここで、調理履歴に基づくチャートは、調理家電1で調理された過去一定回数(期間)分のレシピについて、直近の数回分の重み付けを大きくするなどして、各栄養素の値を算出しても良い。
【0016】
図4は、ユーザ携帯端末2が調理家電1と初めてペアリングされた場合など、アプリ上で行う初期設定の画面遷移を示す図である。
図4に示すように、本実施形態のアプリ26では、初期設定時の手間を省くために、食材の好みと栄養素意識をユーザに選んで貰う。詳細な設定については、前述の
図3に示すようなラジオボタンやスライダで変更できるようにするのが望ましい。
【0017】
図5は、初期設定時にユーザが選択した内容と、それに対応して設定されるユーザパラメータと、を示すテーブルであり、(a)は食材嗜好、(b)は栄養素意識に関するものである。
図4の初期設定時に「肉が好き」が選択された場合には、食材嗜好のパラメータとして、肉は「多め」(具体的なパラメータとしては例えば75)、魚介と野菜は「普通」、が設定される。同様に初期設定時に「カロリー控えめ」が選択された場合には、栄養素意識のパラメータとして、カロリーは30、その他は50、が設定される。
【0018】
次に、レシピ情報としては、料理の作り方を示すレシピデータの他、料理ごとに設定されたレシピパラメータを有している。
図6は、レシピデータベースに格納されるレシピパラメータの一例を示す図である。
図6に示すように、レシピパラメータは、少なくとも肉、魚介および野菜が、それぞれどの程度含まれるかを示す食材スコア(
図6(a))と、各栄養素が、それぞれどの程度含まれるかを示す栄養素スコア(
図6(b))と、で構成される。なお、レシピパラメータの各スコアは、当該料理の1人分の食材の量や、当該料理の1食分の栄養素の量を設定しても良い。なお、肉、魚介および野菜は一例であり、肉は牛肉、豚肉や鶏肉といったより詳しい情報に置き換えられてもよい。
【0019】
図7は、本実施形態においてレシピを提案する方法を示すシーケンス図である。
図7に示すように、レシピ提案の処理は、ユーザ設定(ステップS0)、ユーザパラメータの決定(ステップS1)、ユーザパラメータの表示(ステップS2)、レシピの抽出(ステップS3)、レシピの選択(ステップS4)、に大きく分けられる。以下、各処理について具体的に説明する。
【0020】
ステップS0では、まず、調理家電1とユーザ携帯端末2のペアリングが行われる(ステップS001)。そして、レシピ提案装置3のデータ管理部35は、ユーザの識別情報と調理家電1の識別情報とを対応付けて、ユーザデータベース32に登録する。なお、調理家電1の種類(例えば、電子レンジの場合、過熱水蒸気の機能の有無、出力の大小など)によって、調理可能な料理は異なっているため、調理家電1が特定されることで、提案すべきレシピが一定程度絞り込まれることになる。
【0021】
ステップS1では、ユーザ携帯端末2にインストールされているアプリ26が、出力部22を用いてアンケートを行い、ユーザの嗜好を問合せる。次に、ユーザ携帯端末2の入力部23により嗜好が入力されると、その入力データが通信部21を介してレシピ提案装置3へ送信される(ステップS101)。すると、レシピ提案装置3のデータ管理部35は、入力データに基づきユーザデータベース32を加工する(ステップS102)。
【0022】
例えば、ユーザによって「肉が好き」が選択された場合には、食材嗜好のパラメータとして、肉:75、魚介:50、野菜:50、が当該ユーザのユーザデータベース32に登録される。また、ユーザによって「カロリー控えめ」が選択された場合には、栄養素意識のパラメータとして、カロリー:30、その他:50、が当該ユーザのユーザデータベース32に登録される。このような初期設定時のパラメータは、前述のようにラジオボタン等によってユーザが適宜変更できる。また、日によって食べたいものが変わることを考慮し、日が変わる毎にアプリ26がユーザに対して入力を求め、データ管理部35がパラメータを更新しても良い。
【0023】
ステップS2では、ステップS1で決定したユーザパラメータが、ユーザ携帯端末2の出力部22に表示される(ステップS201)。出力の仕方としては、前述のようにレーダーチャートなどのグラフや、「肉好き・カロリー控えめ」などの概要を説明したテキストに加工を施して表示しても良い。なお、食材嗜好および栄養素意識について「特になし」が選択された場合や、初期入力そのものがスキップされている場合には、ステップS2は無くても良い。
【0024】
ステップS3では、ユーザ携帯端末2がレシピ提案装置3に対してレシピの提案を要求する(ステップS301)。すると、レシピ提案装置3のレシピ抽出部34は、ユーザパラメータとレシピパラメータとの適合度を算出し、適合度の高いレシピを抽出する(ステップS302)。
【0025】
ここで、ユーザパラメータとレシピパラメータとの適合度の算出方法の一例として、ユークリッド距離を用いた場合について説明する。ユークリッド距離が近い(小さい)場合は、互いのパラメータが類似しており、適合度が高いことになる。
【0026】
図8は、ユーザパラメータとレシピパラメータとの食材に関するユークリッド距離の計算式を示したものである。ユーザパラメータとレシピパラメータとの単純な距離は、肉、魚介および野菜の各食材について、食材嗜好から食材スコアを減算し、それぞれの差を2乗したものを加算し、その和の平方根を取った値となる。
【0027】
しかし、単純な距離で適合度を判定すると、一部の食材を含むレシピが偏って多く抽出されてしまう可能性がある。例えば、肉と魚介の両方の食材が用いられるレシピは殆どない一方、野菜は肉や魚介と共に用いられることが多く、単純に距離を計算すると、野菜を含む料理の距離が小さくなり易い。そこで、本実施形態では、ユーザパラメータとレシピパラメータとの差を2乗した各食材の値に対して、異なる重み付けの係数を乗算した上で加算し、その和の平方根を取ることで、ユークリッド距離を計算することにした。
【0028】
図9は、食材に関するユークリッド距離を計算する際に用いられる重み付けの例を示したものである。
図9に示す通り、食材嗜好がどのような場合でも、肉および魚介と比べ野菜に対する重み付けを小さくしている。これにより、野菜をあまり含まない肉や魚介の料理についても、適合度の高いレシピとしてある程度抽出されるようになる。
【0029】
特に魚介は、例えば
図6(a)の「さばの塩焼き」など、他の食材を用いない単体のレシピも比較的存在するが、単品の場合は距離が大きくなり易いことがある。そこで、本実施形態では、
図9において「肉:少なめ、魚介:普通、野菜:多め」で示されるケースのように、魚介の重み付けを肉よりも大きくしている。この他、主食用のレシピと副菜用のレシピとで、重み付けを変える方法も考えられる。
【0030】
なお、ユーザパラメータとレシピパラメータとの適合度は、ユークリッド距離以外に、例えば、パラメータ同士の成す角によって得られるコサイン類似度を用いて算出したり、このコサイン類似度に前述の食材ごとの重み付けを加味して算出したりしても良い。さらには、
図10に示すように、階層分析法(AHP: Analytic Hierarchy Process)を用いて、各パラメータの適合度を算出しても良い。勿論、これら異なる算出方法を複数組み合わせて、各パラメータの適合度を算出しても良い。
【0031】
また、適合度は、食材だけでなく、栄養素についても算出される。しかし、ユーザにとっては、栄養素を考慮するよりも、調理したい食材や食べたい食材を優先された方が好ましい。このため、本実施形態のレシピ抽出部34は、まず食材嗜好および食材スコアで適合度の高いレシピを絞り込み、次に栄養素意識および栄養素スコアで適合度の高いレシピを更に絞り込む。なお、ユーザがレシピを見てから食材を買いに行こうと考えており、肉、魚介および野菜のどれを用いたレシピでも対応可能であるなど、健康に配慮して食材の好みよりも栄養素を重視したレシピの提案を望む場合は、先に栄養素意識および栄養素スコアで適合度の高いレシピから絞り込めるようにしてもよい。
【0032】
再び
図7のシーケンス図の説明に戻り、ステップS4では、前述のステップS3で抽出されたレシピについて、ユーザがユーザ携帯端末2の出力部22を用いて確認する(ステップS401)。ユーザ携帯端末2に搭載されたアプリ26は、レシピ抽出部34で抽出された複数のレシピを、適合度の高い順番に一定数を一覧として画面に表示する。ここで、アプリ26の機能として、栄養素意識のパラメータを考慮せずに、食材嗜好のパラメータのみを用いて、適合度の高いレシピを表示できるようにしても良い。
【0033】
ただし、表示させるレシピが毎回同じだとユーザが飽きてしまうため、ユーザ携帯端末2のアプリ26は、適合度の高い一定数のレシピの中から、ランダムで絞り込んだものを表示させても良い。また、ランダムで表示させる場合、一様乱数によって無作為に選ばれる方法に限らず、偏りのある乱数を用いて適合度の高いレシピが高い確率で選ばれる方法を採用しても良い。
【0034】
最終的に、ユーザの調理したいレシピが決まり、当該レシピがユーザ携帯端末2を用いて登録されると、通信部21を介して調理家電1へレシピデータが送信される(ステップS402)。すると、調理家電1の制御部13は、受信したレシピデータに従って調理を実行する(ステップS403)。例えば、調理家電1の制御部13は、レシピデータで定義されている、レンジの出力やオーブンの温度などの情報を読み取り、調理機構12の動作を制御する。
【0035】
このように、本実施形態では、ユーザが設定したユーザパラメータと、予め設定されたレシピパラメータと、の適合度を算出することにより、ユーザが望むレシピを適切に提案することが可能となる。また、食材や栄養素の各パラメータに分けて適合度を判定するため、ユーザの好みや健康志向にマッチしたレシピを提案できる。
【0036】
以下、本実施形態の変形例に関し、説明する。
【0037】
前述の実施形態では、ユーザが設定した食材嗜好や栄養素意識のパラメータを用いてレシピを抽出したが、調理家電1の調理履歴やレシピの検索履歴などを用いて分析したユーザの傾向についても、レシピを抽出する際に利用しても良い。そして、ユーザの履歴から抽出したレシピについてもランダムに表示させることにより、パラメータを用いて抽出されたレシピの中にユーザの気に入るものがない場合でも、有望な選択肢を与えることができる。また、食材嗜好や栄養素意識のパラメータが類似している他のユーザが、どのようなレシピを最終的に選択したかのデータを用いて、レシピを抽出したり並べ替えたりする方法も考えられる。
【0038】
前述の実施形態では、ユーザパラメータとして、栄養素意識をユーザ自身が設定したが、ユーザの栄養素意識の代わりに、各栄養素について、1日に必要な量の1食分に相当する値で構成しても良い。また、ユーザパラメータは、食材嗜好や栄養素意識の他に、ユーザの年齢や性別、家族の人数、身長、体重、顔の画像、体形の画像などを含んでも構わない。
【0039】
前述の実施形態では、レシピパラメータとして、食材スコアと栄養素スコアが予め設定されているが、この他のスコアを予め設定しておいても良い。例えば、当該料理を好んで食べるユーザの平均年齢や性別などのスコアを、他のユーザの調理履歴やレシピの検索履歴から予め設定することが考えられる。
【0040】
前述の実施形態では、ユーザデータベース32、レシピデータベース33およびレシピ抽出部34をサーバに格納した構成となっているが、これらの一部または全てをユーザ携帯端末2や調理家電1に格納する構成であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 調理家電
2 ユーザ携帯端末
3 レシピ提案装置
11 通信部(調理家電)
12 調理機構
13 制御部
21 通信部(ユーザ携帯端末)
22 出力部
23 入力部
24 メモリ(ユーザ携帯端末)
25 プロセッサ(ユーザ携帯端末)
26 アプリ
31 通信部(レシピ提案装置)
32 ユーザデータベース
33 レシピデータベース
34 レシピ抽出部
35 データ管理部
36 メモリ(レシピ提案装置)
37 プロセッサ(レシピ提案装置)