(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】固体燃料の燃焼及び二酸化炭素の回収を伴う発電のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F01K 23/10 20060101AFI20230824BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F01K23/10 Z
F01K25/10 E
(21)【出願番号】P 2020502595
(86)(22)【出願日】2018-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2018055404
(87)【国際公開番号】W WO2019016766
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-07-15
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ル,シージア
(72)【発明者】
【氏名】フォーレスト,ブロック アラン
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,マイルス アール.
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02559867(EP,A1)
【文献】特表平07-508816(JP,A)
【文献】特表2013-543550(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04409057(DE,A1)
【文献】米国特許第06505567(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
F01K 25/00
F01K 25/10
F02C 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムであって、
開ループ又は半閉ループサイクルである第1の発電サイクルであって、前記第1の発電サイクルが、
圧縮されたリサイクルCO
2ストリームの存在下で固体燃料を酸化剤と共に燃焼させ、燃焼器排気ストリームを出すように構成された、燃焼器と、
前記燃焼器排気ストリームの少なくとも一部を前記燃焼器に戻してリサイクルするように構成された1つ以上の要素と、
前記燃焼器排気ストリームの中に存在する固体の少なくとも一部を除去するべく前記燃焼器排気ストリームをフィルタし、燃焼器排ガスストリームを提供するように構成されたフィルタユニット
であって、前記フィルタユニットが、少なくとも燃料灰を含む固体ストリームを出すように構成され、前記燃焼器排ガスストリームが少なくともCO
2
を含む、フィルタユニットと、
タービン排気ストリームを提供するべく発電のために前記燃焼器排ガスストリームを全体に通すように構成された第1のタービンであって、前記第1のタービンが、前記圧縮されたリサイクルCO
2ストリームを前記燃焼器に提供するように処理される、第1のタービンと、
を備える、第1の発電サイクルと、
作動流体としてCO
2を用いる閉ループサイクルである第2の発電サイクルであって、前記第2の発電サイクルが、
CO
2作動流体を受け入れ、出力を発生させるように構成された、少なくとも1つの出力発生部材
を備える、第2の発電サイクルと、
を備える、発電システムであり、
前記発電システムが、前記第2の発電サイクルからCO
2作動流体を受け入れ、それに前記第1の発電サイクルから生成されたストリームからの熱を伝達するように構成された、少なくとも1つの加熱部材を含
み、且つ
前記第2の発電サイクルからCO
2
作動流体を受け入れ、それに前記第1の発電サイクルから生成されたストリームからの熱を伝達するように構成された少なくとも1つの加熱部材が、前記フィルタユニットから固体ストリームを受け入れるように構成された固体冷却器である、発電システム。
【請求項2】
前記フィルタユニットが、サイクロンフィルタ及びキャンドルフィルタのうちの一方又は両方を含む、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記第1の発電サイクルが、前記タービン排気ストリームから熱を取り出すように構成された第1の熱交換器を備える、
請求項1又は請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記第1の熱交換器を出るタービン排気ストリームを受け入れ、水ストリーム及びCO
2ストリームを出すように構成された水分離器をさらに備える、請求項
3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記CO
2ストリームを加圧するように構成された圧縮器及びポンプのうちの一方又は両方をさらに備える、請求項
4に記載の発電システム。
【請求項6】
前記第1の熱交換器が、前記タービン排気ストリームを受け入れるように構成された高温入口、前記タービン排気ストリームを出すように構成された低温出口、前記CO
2ストリームを受け入れるように構成された低温入口、及び前記燃焼器に戻してリサイクルするべく前記CO
2ストリームを出すように構成された高温出口を備える、請求項
5に記載の発電システム。
【請求項7】
前記固体冷却器から前記第1の発電サイクルの燃焼器に固体をリサイクルするように構成されたリサイクルラインをさらに備える、請求項
1に記載の発電システム。
【請求項8】
前記燃焼器が、前記固体燃料を前記酸化剤と共に燃焼させるように構成された火炎区域と、硫黄洗浄成分を受け入れるように構成された下流の洗浄区域を備える、請求項1乃至
7のいずれか
一項に記載の発電システム。
【請求項9】
前記燃焼器が、固体燃料入口、酸化剤入口、及び硫黄洗浄成分入口を備える、請求項1乃至
7のいずれか
一項に記載の発電システム。
【請求項10】
前記燃焼器が、リサイクルCO
2入口及びリサイクル固体入口のうちの一方又は両方をさらに備える、請求項
9に記載の発電システム。
【請求項11】
前記発電システムが、前記燃焼器から下流の洗浄反応器をさらに備え、前記洗浄反応器が、前記燃焼器排気ストリームの少なくとも一部及び硫黄洗浄成分を受け入れるように構成される、請求項1乃至
10のいずれか
一項に記載の発電システム。
【請求項12】
発電するための方法であって、
燃焼器排気ストリームを生成するべく、圧縮されたリサイクルCO
2ストリームの存在下で固体燃料を酸化剤と共に燃焼器内で燃焼させることと、
前記燃焼器排気ストリームから固体を除去し、燃焼器排ガスストリームを提供するべく、前記燃焼器排気ストリームをフィルタユニットでフィルタすることと、
タービン排気ストリームを提供するべく前記燃焼器排ガスストリームを発電用の第1のタービンに通すことと、
前記燃焼器に前記圧縮されたリサイクルCO
2ストリームを提供するべく前記タービン排気ストリームを処理することと、
前記燃焼器排気ストリームから除去された固体を加熱部材に移動させることと、
CO
2作動流体が圧縮され、前記加熱部材内で前記固体からの熱で加熱され、発電用の第2のタービンを通って膨張するように、閉ループサイクルを通じて前記CO
2作動流体を循環させることと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記燃焼が、約600℃~約1,200℃の温度で実施される、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記燃焼が、周囲圧よりも高い、最高約70バールの圧力で実施される、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記燃焼が、前記燃焼器内に存在するCO
2のいずれも実質的に超臨界状態にならないように実施される、請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
前記燃焼が、約80バール~約500バールの圧力で実施される、請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記燃焼器排気ストリームをフィルタユニットでフィルタする前に、前記燃焼器排気ストリームに硫黄洗浄成分を添加することをさらに含む、請求項
12乃至
16のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項18】
前記燃焼器排ガスストリームを前記第1のタービンに通す前に、前記燃焼器排ガスストリームに或る量の気体燃料を添加することをさらに含む、請求項
12乃至
16のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項19】
前記圧縮されたリサイクルCO
2ストリームを提供するべく前記タービン排気ストリームを処理することが、
前記タービン排気ストリームをレキュペレータ熱交換器内で冷却することと、
水ストリーム及び実質的に純粋なCO
2のストリームを生成するべく、前記レキュペレータ熱交換器からの冷却されたタービン排気ストリームを水分離器に通すことと、
前記実質的に純粋なCO
2のストリームを前記燃焼器に流入するのに適した圧力に圧縮することと、
少なくとも冷却されたタービン排気から取り出された熱を用いて前記レキュペレータ熱交換器内で前記実質的に純粋なCO
2のストリームを加熱することと、
を含む、請求項
12乃至
18のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項20】
前記圧縮することが、圧縮器及びポンプのうちの一方又は両方を用いることを含む、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記タービン排気が、高温入口を通って前記レキュペレータ熱交換器内に通され、前記冷却されたタービン排気ストリームが、前記熱交換器から低温出口を通って出ていき、前記実質的に純粋なCO
2のストリームが、低温入口を通って前記レキュペレータ熱交換器に入り、前記実質的に純粋なCO
2のストリームが、前記燃焼器に戻してリサイクルするべく高温出口を通って前記レキュペレータ熱交換器を出る、請求項
19に記載の方法。
【請求項22】
前記フィルタユニットが、サイクロンフィルタ及びキャンドルフィルタのうちの一方又は両方を含む、請求項
12乃至
21のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項23】
前記燃焼器排気ストリームから除去され前記加熱部材に移送された固体が、前記燃焼器に少なくとも部分的に戻してリサイクルされる、請求項
12乃至
22のいずれか
一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素の回収を伴う発電のためのシステム及び方法を提供する。特に、このシステム及び方法は、燃焼に無関係な、随意的な付加的な超臨界CO2閉サイクルと共に、開又は半閉サイクルの固体燃料の直接燃焼を提供することができる。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素(CO2)は、炭素質燃料の燃焼の公知の生成物であり、炭素質燃料の燃焼を用いる発電システムは、発生したCO2を回収する必要がある。同時に二酸化炭素を回収しながら、固体燃料、特に石炭の燃焼を通じて効率的な発電をもたらすことは特に難しい。二酸化炭素回収・隔離(CCS)を伴う超臨界微粉炭(SCPC)に関連して又はCCSを伴う石炭ガス化複合サイクル(IGCC)に関連して、二酸化炭素の回収を伴う石炭火力発電システムが提案されている。しかしながら、このようなシステムは、高い費用と低い効率(例えば、低位発熱量基準で30%に近い)に悩まされる。1つの代替として、Allamらの米国特許第8,596,075号は、CO2リサイクル圧縮器及び最終CO2ポンプの入口圧及び出口圧に対応する圧力で燃焼から発生したCO2を取り出すことができる、CO2作動ストリームを用いる発電システムを説明している。石炭の燃焼は、このようなシステムではより高い効率とより低いコストを有する可能性があると考えられるが、発電用に燃焼させる石炭合成ガスを発生させるために完全な石炭ガス化システムが設置されなければならない。ガス化システムと発電システムとの一体化は、発電所の設計及び操業の複雑さを増すことになる。さらに、石炭ガス化及び合成ガス浄化プロセスに起因する効率の損失を回避することはできない。したがって、当業分野では、固体燃料の直接燃焼及び二酸化炭素の回収を伴う発電のためのさらなるシステム及び方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、固体燃料の直接燃焼を発電に用いることができるシステム及び方法に関する。直接燃焼を用いることにより、他の方法では必要とされることになる完全な石炭ガス化、合成ガス浄化、及び酸性ガス除去システムを、本開示によれば排除することができる。これは、例えば、CO2リサイクル及び(随意的に)その場での硫黄除去を伴う酸素燃焼式の石炭燃焼を用いることにより達成することができる。燃焼排ガス(好ましくは硫黄及び灰を含まない)を、発電用のCO2タービンを駆動するのに用いることができる。石炭の燃焼により生じた熱は、固体-気体熱交換器によって、さらなる発電のために閉ループの超臨界CO2サイクルに伝達することができる。このようなシステム及び方法は、最大限の二酸化炭素の回収も達成しながら、実質的に簡単な設計とし、比較的低コストで実装し、且つ比較的高効率を呈することができる。
【0004】
1つ以上の実施形態において、固体燃料は、リサイクルされたCO2が存在する高圧燃焼器内で、酸素で十分に酸化させることができる。燃焼温度は、(一例では)約900℃の範囲とすることができ、リサイクルされたCO2の流れ及び(随意的に)リサイクルされた固体の流れにより実質的に制御することができる。いくつかの実施形態において、石灰石(CaSO4)又は同様の材料を、排気ガスからの硫黄種、特にSO2及びSO3の少なくとも一部(好ましくは実質的にすべて)と反応させ除去することができるように、燃焼器に及び/又は燃焼器の下流に直接添加することができる。したがって、硫黄の燃焼及び石灰石の反応の熱を回収し、発電のために十分に用いることができる。
【0005】
排気ガスは、排気ガスからバルクの固体粒子(例えば、燃料灰及びCaSO4)の大半を除去するべく、フィルタユニット(例えば、サイクロン及び/又はキャンドルフィルタ)に通すことができる。サイクロンから除去された固体粒子は、燃焼温度に実質的に近い温度(例えば、例示される実施形態では900℃付近)であろう。固体は、より低い温度に冷却される(例えば、約600℃に下がる)ように固体冷却器に通すことができ、次いで、燃焼器の温度減衰のために燃焼器に戻してリサイクルすることができる。
【0006】
固体冷却器は、閉ループのCO2発電サイクルでさらに使用することができ、比較的高圧(例えば、約250バール)の実質的に純粋なCO2ストリームを、固体冷却器に入る固体の温度に実質的に近い温度(例えば、例示される実施形態では約600℃)に固体冷却器内で加熱することができる。加熱されたCO2は、発電用のタービンに通すことができる(例えば、約250バールの圧力から約30バールの圧力に膨張する)。膨張したCO2ストリームは、熱交換器に通され、次いで、再圧縮され、随意的に再び熱交換器を通ることにより再加熱され、その後、閉ループを完成させるべく固体冷却器に戻してリサイクルすることができる。
【0007】
加えて、約30バール(又はそれ以上)の圧力の実質的に純粋なCO2のストリームを、およそ260℃(又はそれ以上)の温度に加熱し、電力サイクルの熱交換器プロフィールの最適化のために低品位熱を提供し得るように、タービンを出る燃焼器排気ガスと連通する熱交換器に通すことができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、すべての残留O2を十分に除去するべく、サイクロンフィルタからの燃焼排ガスに、リサイクルされたCO2と共に比較的少量のメタン又は天然ガスを添加することができる。存在し得る微粉の灰及びアルカリ金属固体の実質的にすべてを除去するべく、排ガスを(例えば、約700℃の温度で)、キャンドルフィルタに送ることができる。実質的に灰を含まない排ガス(例示される実施形態では)は、フィルタを去るときに65バール(又はそれ以上)の圧力及び約700℃(又はそれ以上)の温度となることができ、発電用の冷却されないCO2タービンを駆動するのに用いることができる。この時点で、排ガスは好ましくは実質的にCO2と水のみを含むが、比較的少量の他の汚染物質が存在し得る)。タービン排気ガスを(例えば、例示される実施形態では約400℃の温度で)、低品位熱の再生利用のために熱交換器に送ることができる。液体の水は、CO2から分離することができ、分離されたCO2は、必要な圧力(例えば、約90~100バール以上)に圧縮/ポンプで加圧され、温度調節剤及びエアレーションガスとして酸素・石炭燃焼器に戻してリサイクルすることができる。
【0009】
本発明のシステム及び方法は、それらが動作できる異なる条件に関連して特に有用である。いくつかの実施形態において、固体燃料の直接燃焼は、燃焼器内に存在するCO2(例えばリサイクルCO2)並びに燃焼により発生するCO2のいずれも超臨界状態にならない条件下で実施することができる。特に、燃焼器内の圧力(したがって、リサイクルされたCO2のいずれも圧縮/ポンプで加圧される圧力)は、CO2臨界圧よりも低く(例えば、73.9バール未満に)維持することができる。例えば、燃焼圧は、ほぼ周囲圧力よりも高く、最高73バール又は最高70バール又は最高65バールであってよい。特に、燃焼圧は、約10バール~約70バール又は約15バール~約60バールであってよい。いくつかの実施形態において、固体燃料の直接燃焼は、燃焼器に入るCO2及び/又は燃焼器を出る燃焼生成物のいずれもCO2が超臨界状態になるような圧力となることを可能にする条件下とすることができる。例えば、リサイクルされたCO2は、このような実施形態では、73.9バールを超える、好ましくは80バールを超える(例えば、最高約500バールまでの)圧力に圧縮することができる。同様に、燃焼は、このような実施形態では、実質的に同じ圧力範囲で実施することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、半閉の超臨界CO2サイクルの固体燃料の直接燃焼を伴う発電に関係し、一方、他の実施形態では、本開示は、半閉の非超臨界CO2サイクルの固体燃料の直接燃焼を伴う発電に関係し得る。
【0010】
固体燃料の導入は、どのような方法で行われてもよい。例えば、固体燃料粒子を、50バールを下回る圧力で動作する燃焼システムへロックホッパ型システムで導入することが一般的である。より高い圧力には、スラリー注入システム及び先進の高圧固体ポンプシステムが使用されてよい。結果的に得られる注入システムは、燃料とキャリア/溶媒との比及び化学的性質の変動を仮定してリサイクルCO2及び灰の流量を本質的に決めることになる。
【0011】
1つ以上の実施形態において、本開示は、具体的には、発電システムに関係し得る。例えば、このような発電システムは、開ループ又は半閉ループサイクルである第1の発電サイクルであって、第1の発電サイクルは、リサイクルCO2ストリームの存在下で固体燃料を酸化剤と共に燃焼させ、燃焼器排気ストリームを出すように構成された、燃焼器と、燃焼器排気ストリームの少なくとも一部を受け入れ、出力を発生させ、タービン排気ストリームを出すように構成された、少なくとも1つの出力発生部材と、燃焼器排気ストリームの少なくとも一部を燃焼器に戻してリサイクルするように構成された、1つ以上の要素と、を備える第1の発電サイクルと、作動流体としてCO2を用いる閉ループサイクルである第2の発電サイクルであって、第2の発電サイクルは、CO2作動流体を受け入れ、出力を発生させるように構成された、少なくとも1つの出力発生部材、を備える第2の発電サイクルと、を備えることができ、その発電システムは、第2の発電サイクルからCO2作動流体を受け入れ、それに第1の発電サイクルから生成されたストリームからの熱を伝達するように構成された、少なくとも1つの加熱部材を含む。1つ以上のさらなる実施形態において、発電システムは、任意の数又は順序で組み合わせることができる以下の文のうちの1つ以上に関連して定義することができる。
【0012】
第1の発電サイクルは、燃焼器排気ストリームの中に存在する固体の少なくとも一部を除去するように構成されたフィルタユニットを含むことができる。
【0013】
フィルタユニットは、サイクロンフィルタ及びキャンドルフィルタのうちの一方又は両方を含むことができる。
【0014】
フィルタユニットは、少なくとも燃料灰を含む固体ストリーム及び少なくともCO2を含む燃焼排ガスストリームを出すように構成することができる。
【0015】
第1の発電サイクルの少なくとも1つの出力発生部材は、フィルタユニットから燃焼排ガスストリームを受け入れるように構成することができる。
【0016】
第1の発電サイクルは、タービン排気ストリームから熱を取り出すように構成された第1の熱交換器を備えることができる。
【0017】
発電システムは、第1の熱交換器を出るタービン排気ストリームを受け入れ、水ストリーム及びCO2ストリームを出すように構成された水分離器をさらに備えることができる。
【0018】
発電システムは、CO2ストリームを加圧するように構成された圧縮器及びポンプのうちの一方又は両方をさらに備えることができる。
【0019】
第1の熱交換器は、タービン排気ストリームを受け入れるように構成された高温入口、タービン排気ストリームを出すように構成された低温出口、CO2ストリームを受け入れるように構成された低温入口、及び燃焼器に戻してリサイクルするべくCO2ストリームを出すように構成された高温出口を備えることができる。
【0020】
第2の発電サイクルからCO2作動流体を受け入れ、それに第1の発電サイクルから生成されたストリームからの熱を伝達するように構成することができる少なくとも1つの加熱部材は、フィルタユニットから固体ストリームを受け入れるように構成された固体冷却器である。
【0021】
発電システムは、固体冷却器から第1の発電サイクルの燃焼器に固体をリサイクルするように構成されたリサイクルラインをさらに備えることができる。
【0022】
燃焼器は、固体燃料を酸化剤と共に燃焼させるように構成された火炎区域と、硫黄洗浄成分を受け入れるように構成された下流の洗浄区域を備えることができる。
【0023】
燃焼器は、固体燃料入口、酸化剤入口、及び硫黄洗浄成分入口を備えることができる。
【0024】
燃焼器は、リサイクルCO2入口及びリサイクル固体入口のうちの一方又は両方をさらに備えることができる。
【0025】
発電システムは、燃焼器から下流の洗浄反応器をさらに備えることができ、洗浄反応器は、燃焼器排気ストリームの少なくとも一部及び硫黄洗浄成分を受け入れるように構成される。
【0026】
特定の実施形態において、本開示に係る発電システムは、少なくとも:燃焼器排気出口、固体燃料入口、酸化剤入口、及び随意的に、リサイクルCO2入口、リサイクル固体入口、及び硫黄洗浄成分入口のうちの1つ以上を有する燃焼器と、燃焼器排気出口から受け入れるように構成された入口、固体出口、及び燃焼器排ガスストリームを提供するためのガス出口を有するフィルタユニットと、燃焼器排ガスストリームを受け入れるように構成された入口及びタービン排気を提供するように構成された出口を備えるタービンと、タービン排気を受け入れるように構成された高温入口、冷却されたタービン排気を出すように構成された低温出口、圧縮されたリサイクルCO2ストリームを受け入れるように構成された低温入口、及び加熱された圧縮されたリサイクルCO2ストリームを出すように構成された高温出口を有する熱交換器と、少なくとも水を出すように構成された底部出口及びリサイクルCO2ストリームとして(好ましくは実質的に純粋な)CO2ガスを出すように構成された頂部出口を備える水分離器と、比較的より低圧のリサイクルCO2ストリームを受け入れるように構成された入口及び比較的より高圧のリサイクルCO2ストリームを出すように構成された出口を有する少なくとも1つの圧縮器又はポンプ(入口及び出口のうちの一方での圧力は、入口及び出口のうちの他方に対してのものである)と、フィルタユニットから固体のストリームを受け入れるように構成された高温入口、固体の冷却されたストリームを出すように構成された低温出口、作動流体を受け入れるための低温入口、及びより高い温度で作動流体を出すための高温出口を有するヒータコンポーネントと、ヒータコンポーネントの高温出口からの作動流体を受け入れるように構成された入口及びより低圧のタービン排気を出すように構成された出口を備えるタービンと、比較的より低圧の作動流体を受け入れるように構成された入口及び比較的より高圧の作動流体を出すように構成された出口を有する少なくとも1つの圧縮器又はポンプ(入口及び出口のうちの一方での圧力は、入口及び出口のうちの他方に対してのものである)と、タービン出口から作動流体を受け入れるように構成された高温入口、冷却された作動流体ストリームを出すように構成された低温出口、圧縮された作動流体ストリームを受け入れるように構成された低温入口、及びヒータコンポーネントの低温入口に通すべく加熱された圧縮された作動流体ストリームを出すように構成された高温出口を有する熱交換器と、システムの上記の構成要素間でのストリームの通過に適した複数のパイプ、チューブ、又は他のラインと、を備えることができる。加えて、1つ以上のストリームを分離する又は組み合わせるべく、1つ以上のスプリッタ及び/又はミキサが含まれてよい。加えて、硫黄洗浄反応器が、燃焼器とフィルタユニットとの間に配置されてよく、燃焼器排気ストリームを受け入れるための入口、硫黄洗浄成分を受け入れるための入口、及び洗浄した燃焼器排気を出してフィルタユニットに通すための出口を含んでよい。上記に列挙した2つの熱交換器は、列挙した入口及び出口を有する単一の統一された熱交換器に置き換えられてよい。
【0027】
1つ以上の実施形態において、本開示はさらに、発電するための方法を提供することができる。例えば、発電するための方法は、燃焼器排気ストリームを生成するべく、圧縮されたリサイクルCO2ストリームの存在下で固体燃料を酸化剤と共に燃焼器内で燃焼させることと、燃焼器排気ストリームから固体を除去し、燃焼器排ガスストリームを提供するべく、燃焼器排気ストリームをフィルタユニットでフィルタすることと、タービン排気ストリームを提供するべく燃焼器排ガスストリームを発電用の第1のタービンに通すことと、燃焼器に圧縮されたリサイクルCO2ストリームを提供するべくタービン排気ストリームを処理することと、燃焼器排気ストリームから除去した固体を加熱部材に移動させることと、CO2作動流体が圧縮され、加熱部材内で固体からの熱で加熱され、発電用の第2のタービンを通って膨張するように、閉ループサイクルを通じてCO2作動流体を循環させることとを含むことができる。1つ以上のさらなる実施形態において、発電方法は、任意の数及び順序で組み合わせることができる以下の文のうちの1つ以上に関連して定義することができる。
【0028】
燃焼は、約600℃~約1,200℃の温度で実施することができる。
【0029】
燃焼は、周囲圧よりも高い、最高約70バールの圧力で実施することができる。
【0030】
燃焼させることは、燃焼器内に存在するCO2のいずれも実質的に超臨界状態にならないように実施することができる。
【0031】
燃焼は、約80バール~約500バールの圧力で実施することができる。
【0032】
前記フィルタリングの前に、方法は、燃焼器排気ストリームに硫黄洗浄成分(例えば、CaCO3を含有する材料)を添加することをさらに含むことができる。
【0033】
前記燃焼器排ガスストリームを第1のタービンに通す前に、方法は、燃焼器排ガスストリームに或る量の気体燃料を添加することをさらに含むことができる。
【0034】
圧縮されたリサイクルCO2ストリームを提供するべくタービン排気ストリームを処理することは、タービン排気ストリームをレキュペレータ熱交換器内で冷却することと、水ストリーム及び実質的に純粋なCO2のストリームを生成するべく、レキュペレータ熱交換器からの冷却されたタービン排気ストリームを水分離器に通すことと、実質的に純粋なCO2のストリームを燃焼器に流入するのに適した圧力に圧縮することと、少なくとも冷却されたタービン排気から取り出された熱を用いてレキュペレータ熱交換器内で実質的に純粋なCO2のストリームを加熱することと、を含むことができる。
【0035】
圧縮することは、圧縮器及びポンプのうちの一方又は両方を用いることを含むことができる。
【0036】
タービン排気は、高温入口を通ってレキュペレータ熱交換器内に通すことができ、冷却されたタービン排気ストリームは、熱交換器から低温出口を通って出ることができ、実質的に純粋なCO2のストリームは、低温入口を通って再生式熱交換器に入ることができ、実質的に純粋なCO2のストリームは、燃焼器に戻してリサイクルするべく高温出口を通って再生式熱交換器を出ることができる。
【0037】
フィルタユニットは、サイクロンフィルタ及びキャンドルフィルタのうちの一方又は両方を含むことができる。
【0038】
燃焼器排気ストリームから除去され加熱部材に移送された固体は、燃焼器に少なくとも部分的に戻してリサイクルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本開示の実施形態に係る発電方法を実施するように構成されたシステムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る発電方法を実施するように構成されたさらなるシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで本発明の主要部を、その例示的な実施形態を参照しながら以下により十分に説明する。これらの例示的な実施形態は、本開示が十分且つ完全となり、主要部の範囲が当業者に十分に伝わるように説明される。実際は、主要部は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすことになるように提供される。本明細書及び付属の請求項で用いられる場合の単数形(「一」、「一つ」、「その」)は、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き、複数の指示対象を含む。
【0041】
本開示は、発電のためのシステム及び方法に関する。1つ以上の実施形態において、このようなシステム及び方法は、1つ以上のさらなる流入ストリームの存在下で固体燃料を酸化剤と共に加圧された燃焼器内で燃焼させることができるように構成することができる。固体燃料は、1つ以上の品位の石炭、ペットコーク、ビチューメン、バイオマスなどを含むがこれらに限定されない、発電サイクルでの燃焼に適した任意の固体材料とすることができる。酸化剤は、高い酸素分(例えば、周囲空気中の酸素分よりも多い)を含む任意の酸素源とすることができ、好ましくは実質的に純粋な酸素である(例えば、少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、又は少なくとも99mol%の酸素分を有する)。実質的に純粋な酸素は、空気分離ユニット又は他の酸素生成装置などを用いることにより現場で作製されてよく、又は実質的に純粋な酸素は、システムにパイプで送られてよい。酸化剤は、燃焼器に直接流入してよく、又は希釈剤ストリームの中で(例えば、約20/80の酸化剤/希釈剤から約60/40までの酸化剤/希釈剤、又は約30/70の酸化剤/希釈剤から約50/50までの酸化剤/希釈剤のモル比で)希釈されてよい。1つ以上のさらなる流入ストリームは、具体的には、少なくともリサイクルされたCO2のストリームを含むことができる。このようなリサイクルされたCO2は、同様に酸化剤の好ましい希釈剤とすることができる。いくつかの実施形態において、さらなる流入ストリームは、水(又は蒸気)のストリーム及び/又はリサイクルされた燃料灰のストリームを含んでよい。
【0042】
様々な燃焼器が、本発明のシステム及び方法で使用されてよい。例えば、燃焼器は、乾燥灰燃焼器、スラッギング型燃焼器、流動床燃焼器、又はフィルム及び/又はトランスピレーション冷却される燃焼器とすることができる。燃焼器は、特に、高い灰分の燃料に適応するように構成されてよく、この場合、灰は本質的に冷却剤として機能する。同様に、燃焼器は、燃料、酸化剤、及び冷却剤として機能する1つ以上のリサイクルストリーム(例えば、リサイクルされたCO2、水、及び/又は灰)の流入に適応するように構成されてよい。さらなる実施形態では、燃焼器は、酸化剤と燃料を受け入れるように構成することができ、燃料は冷却剤(例えば、水、CO2など)に同伴し、さらなる流入ストリームは必要とされない。このような実施形態では、燃料スラリーの固有の冷却剤分から見て、燃焼プロセスを急冷又は他の方法で冷却するためのさらなる流入ストリームは必要とされない。有用な燃焼器は、流入ストリームを受け入れるための少なくとも複数の入口、燃料の燃焼の大部分が実施される燃焼区域(又は火炎区域)、及び随意的に(例えば、燃焼器排気の温度を低下させるために、燃焼器排気の化学的性質を変えるなどのために)燃焼器排気生成物を改質するためのさらなる流入物が送達され得る燃焼後区域(又は火炎後区域)を含んでよい。好ましい実施形態において、燃焼器は、燃焼区域の下流に洗浄区域を有する流動床燃焼器とすることができ、洗浄区域は、特に、洗浄成分として石灰石を含むストリームを受け入れるように構成される。
【0043】
燃焼圧は、周囲圧力よりも高く、したがって、例えば、約10バール~約500バール、約10バール~約300バール、又は約60バール~約150バールとすることができる。いくつかの実施形態において、燃焼圧は、ほぼ周囲圧力よりも高く、最高73バール、最高約70バール、又は最高約65バールであってよい。特に、燃焼圧は、約10バール~約70バール又は約15バール~約60バールであってよい。このような条件は、非超臨界燃焼条件(すなわち、システムに存在するCO2のいずれも超臨界状態にならないような条件)と呼ばれる場合がある。いくつかの実施形態において、固体燃料の直接燃焼は、燃焼器に入るCO2及び/又は燃焼器を出る燃焼生成物のいずれも、CO2が超臨界状態になるような圧力となることを可能にする条件下とすることができる。例えば、燃焼は、約80バール~約500バール、約100バール~約450バール、又は約150バール~約400バールの範囲で実施することができる。このような条件は、超臨界燃焼条件(すなわち、システムに存在するCO2のいずれも超臨界状態になるような条件)と呼ばれる場合がある。より小さい装置サイズ及びより低い資本費用、並びに向上した性能を利用するべく、より高い圧力が用いられてよい。しかしながら、より低い圧力が用いられてもよい。
【0044】
燃焼プロセスを実施する際に、酸化剤は、好ましくは実質的にどのような窒素も含有しないような条件で燃焼器へ噴射され、それが実質的に純粋な酸素が好ましい理由である。固体燃料は、酸化剤とは別に燃焼器へ噴射され、スラリー媒体(例えば、CO2、水、又はその混合物など)を伴うスラリーで、又は任意の他の流動可能な形態(フィードガスとしてリサイクルされたCO2を伴うドライフィード形態を含む)で提供されてよい。1つ以上のさらなるストリームは、燃焼器出口温度が下流の装置の容認できる動作条件を超えないように燃焼器の動作温度を所望の燃焼温度範囲に制御するために提供されてよい。例えば、リサイクルされたCO2、水、リサイクルされた燃料灰、及び石灰石のうちの1つ以上を、1つ以上のさらなる流入ストリームとして及び/又は燃料自体とのいくつかの組み合わせで燃焼器へ噴射することができる。燃焼温度は、好ましくは、約600℃~約1,200℃、約700℃~約1,100℃、又は約800℃~約1,000℃の範囲内に維持される。したがって、燃焼器排気ストリームの出口温度は、このような範囲内であろう。優先的に、燃焼は、燃焼器排気ストリームに存在する実質的にすべての灰が実質的に固体状態であるように、灰の溶融温度よりも低い温度で実施される。
【0045】
元々存在していた(石炭でしばしば見られるような)硫黄種を洗い流すべく、石灰、石灰石などの硫黄洗浄成分を燃焼器の火炎後区域に噴射することができる。特に、炭酸カルシウム(CaCO3)を含有する材料が、多くの固体燃料材料(特に石炭)に存在する硫黄含有種(例えば、SO2及びSO3)と反応し、燃焼器排気からフィルタすることができる固体硫酸カルシウム(CaSO4)を形成するので有用である。燃焼器へ噴射される硫黄洗浄成分(石灰石など)は、フィードガスとしてのリサイクルされたCO2と共にドライフィードすることができ、若しくは、混合水、超臨界CO2、又はその混合物と共にスラリーフィードすることができる。ドライ注入は、ロックホッパーシステム又は固体ポンプシステムを介することができ、スラリー化した固体(例えば、石灰石/水スラリー)を注入するのにスラリーポンプを用いることができる。いくつかの実施形態において、注入は燃焼器へ直接なされる必要はない。例えば、灰が少なくとも部分的に液体状態で存在することができるような高温燃焼(例えば、約1,000℃を超える)が用いられる(例えば、スラッギング燃焼器の)とき、硫黄洗浄成分を導入する前に、燃焼器排気を最初に冷却することが有益であり得る。このような実施形態では、燃焼器排気を、液化した灰成分の固化温度よりも低く最初に急冷することができる。このような急冷は、例えば、燃焼器へのリサイクルされた固体及び/又はリサイクルされたCO2の流入を通じて達成することができる。燃焼器排気を、燃焼器とは別の急冷ユニット又は他の冷却器に通してもよい。代替的に、凝固は、燃焼器と二次反応器との間の移送ライン内で少なくとも部分的に行われてよく、硫黄洗浄成分を、冷却された燃焼器排気に添加することができる。好ましい実施形態では、硫黄種が燃焼器を出る前に燃焼器排気ガスから実質的に完全に除去されるように、硫黄洗浄成分は、火炎区域又は燃焼室から下流の燃焼器に直接添加される。
【0046】
燃焼器は、好ましくは、化学量論的に完全な燃焼を保証するべく酸素リッチの条件で動作する。いくつかの実施形態において、燃焼温度を制御するべくクリーンなCO2を充填したメンブレン壁を燃焼器内に設置することができる。
【0047】
燃焼器排気ストリームの中の燃料灰及び何らかの他の固体(例えば、石灰石と固体燃料中に存在する硫黄種との反応から存在するCaSO4)の少なくとも一部、少なくとも大部分、又は実質的にすべてを除去するために、好ましくは、燃焼器から下流に少なくとも1つのフィルタ要素が含まれる。少なくとも1つのフィルタ要素は、好ましくは、燃焼器排気ストリームが発電システムの任意のさらなる構成要素に入る前に固体をフィルタされるように、燃焼器のすぐ下流にある。或る実施形態では、特に、バルクの燃料灰及びCaSO4を除去するべく燃焼器の出口にサイクロンフィルタが設置される。少なくとも1つのフィルタ要素により捕捉された固体(例えば、燃料灰及びCaSO4)は、通常、上記のように実質的に燃焼器排気ストリームの温度範囲内の温度であろう。
【0048】
少なくとも1つのフィルタ要素で除去した固体を、さらなる発電のためにそこからの熱を再生利用するべく固体冷却器に通すことができる。例えば、固体粒子から高品位熱を取り出すための固体冷却器として固気熱交換器を用いることができ、その後、固体は、すべて又は一部が燃焼器に戻されてリサイクルされてよく、及び/又はすべて又は一部がシステムから除去されてよい。例えば、固気熱交換器は、内部にチューブを有する流動床又は移動床冷却器とすることができる。作動時に、電力サイクル全体の中で動作する閉ループのCO2発電サイクルを提供するべく、高圧(例えば、約100バール~約400バール又は約200バール~約300バール)の実質的に純粋なCO2のストリームを、固体ヒータ内で(燃焼器排気温度に応じて、例えば、最高約900℃、最高約800℃、又は最高約700℃、より具体的には約500℃~約900℃、又は約600℃~約800℃の範囲内の温度に)加熱することができる。
【0049】
上で述べたように、固体冷却器を出る固体(例えば、燃料灰及びCaSO4)のすべて又は一部を、温度調節剤として燃焼器に戻してリサイクルすることができる。リサイクルされる固体の量は、燃焼温度と、使用されるリサイクルされたCO2の量によって決まる。リサイクルされた固体粒子と、リサイクルされたCO2との両方を、固体燃料の燃焼のための温度調節剤とすることができる。固体冷却器、したがって、閉ループの実質的に純粋なCO2発電トレイン(すなわち、純粋なCO2圧縮器、実質的に純粋なCO2ポンプ、及び実質的に純粋なCO2タービンで形成される)の大きさを増加させるために、より大量のリサイクルされた固体を用いることができる。他方では、より大量のリサイクルされた燃焼由来のCO2は、どの排ガス浄化システム(例えば、燃焼器、サイクロンフィルタ、及び/又はキャンドルフィルタ)及び開ループの燃焼由来のCO2発電トレイン(例えば、燃焼由来のCO2圧縮器、燃焼由来のCO2ポンプ、及び燃焼由来のCO2タービン)の大きさの増加にもつながる。リサイクルされた固体とリサイクルされたCO2との質量比は、電力システム全体の最適な均等化発電原価(LCOE)の数字により決定することができる。
【0050】
1つ以上の実施形態において、本明細書で開示される発電システム及び方法は、システム及び方法を開(又は半閉)ループの燃焼由来のCO2発電トレインと考えることができるような全体構成を有することができる。このような実施形態では、既に前述したように、固体燃料、酸化剤、及び任意のさらなるストリームが燃焼器に流入し、燃料が燃焼して燃焼器排気ストリームが生成される。次いで、燃焼器排気ストリームを1つ以上のフィルタ要素に通すことにより、燃焼器排気ストリームから固体が除去される。除去された固体は、別に前述したように使用され、燃焼排ガスは、フィルタから発電システムの残りの構成要素へ移動する。燃焼排ガスは、例えば、重量の少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、又は少なくとも90%のCO2を含むことができ、より低い質量含有率の蒸気、酸素、及び随意的にさらなる汚染物質を含むことがある。フィルタを出る燃焼排ガスは、燃焼器排気ストリームの温度に実質的に近いままの温度(例えば、約600℃~約1,100℃、約800℃~約1,000℃、又は約850℃~約950℃の範囲)であり得る。
【0051】
必要であれば、排ガス中に残っているどのような酸素も除去し、排ガス温度を低下させる(例えば、約100℃~約300℃又は約150℃~約250℃の温度低下の)ために、比較的少量の気体燃料(例えば、随意的にリサイクルされたCO2と混合される、天然ガス又はメタン)が、排ガスに混合されてよい。温度低下は、好ましくは、NaSO4、NaCO3、及びMeSO4などのアルカリ金属成分の大部分又は実質的にすべてが凝固することになるぐらいが効果的である。必要であれば、燃焼排ガスから実質的にすべての微粉灰及び微量アルカリ金属固体を除去するべく、さらなるフィルタ要素(例えば、サイクロンフィルタ及び/又はキャンドルフィルタ)を用いることができる。
【0052】
固体及びその他の成分を除去するための燃焼器排気及び燃焼排ガスのすべての処理の後に、残りの燃焼排ガスが発電用のタービンに誘導される。タービンは、例えば、冷却されないタービンであってよいが、動作条件が必要とする場合、タービンは、リサイクルされたCO2のストリームを、タービンケーシングを通るように誘導することなどにより冷却されてよい。タービンは、特に電気エネルギーを発生させるために、発電機に結合される。
【0053】
タービン排気ストリーム(このとき400℃~約500℃の範囲内などの約500℃未満の温度とすることができる)は、熱交換器へ送られて、例えば約100℃未満、約50℃未満、又は約40℃未満の温度に、好ましくは周囲温度付近に下がるように冷却される。冷却は、好ましくは、タービン排気の中に存在する液体の水並びに微量のSOx及び/又はNOxが水分離器内のCO2から分離されるのに十分なだけなされる。したがって、水分離器は、液体の水及びそれに同伴する成分を除去するための底部出口と、リサイクルされたCO2を出すためのリサイクル出口を有することになる。CO2ストリームから水銀などの重金属を除去するために、水分離器のリサイクル出口に活性炭床吸収器を設けることができる。水分離器を出るCO2は、好ましくは、実質的に純粋である(すなわち、90mol%を超える、95mol%を超える、98mol%を超える、又は99mol%を超える)。クリーンな実質的に純粋なCO2は、燃焼圧に圧縮及びポンプで加圧される。在庫管理及び二酸化炭素の回収のためにシステムからCO2の一部を取り出すことができる。高圧CO2の残りは、固体燃料の燃焼器に戻されてリサイクルされる前に、熱交換器内のタービン排気ストリームにより予熱される。
【0054】
電力サイクル全体に加えて、いくつかの実施形態において、本明細書で開示されるシステム及び方法は、閉ループのCO2発電トレインをさらに提供することができる。特に、本開示は、組み込みの閉ループのCO2発電トレインと共に、開ループ又は半閉ループのCO2発電トレインを提供することができる。上で述べたように、このような実施形態では、燃焼熱を除去し、動作温度を制御するべく、燃焼器排気ストリームから除去された固体(例えば、燃料灰/CaSO4)を石炭燃焼器に戻してリサイクルすることができる。燃焼器のすぐ下流に存在するフィルタで除去した固体に存在する燃焼熱が、前述の固気熱交換器の閉ループのCO2トレインに伝達される。実質的に純粋な高圧CO2作動流体(どのような燃焼生成物によっても汚染されていないままの)が固体冷却器内で加熱される。必要に応じて、石炭燃焼器内に存在するメンブレン壁へCO2を誘導することにより、実質的に純粋なCO2ストリームの温度をさらに(例えば、約50℃~約300℃だけ又は約100℃~約200℃だけ)高めることができる。メンブレン壁は、メンブレン壁の周りを通るCO2ストリームに燃焼の熱を伝達することができるように、燃焼器の外ケーシングと内側の燃焼室との間に存在することができる。メンブレン壁を出る高温高圧CO2が、閉ループの発電用のタービンに誘導される。タービンに入るCO2作動流体は、好ましくは、約400℃~約1,000℃、約500℃~約900℃、又は約600℃~約800℃の温度である。タービンの中で、CO2作動流体は、高い入口圧(例えば、約100バール~400バール、約150バール~約300バール、又は約200バール~約300バール)から低い出口圧(例えば、約5バール~約90バール、約10バール~約80バール、又は約15バール~約50バール)へ膨張する。タービン排気ストリームは、タービン入口圧に戻るように圧縮及びポンプで加圧される前に、熱の再生利用のために熱交換器に誘導される。ポンプ出口でのCO2は、CO2熱レキュペレータ、固体冷却器、及び/又は燃焼器メンブレン壁を通ることによりタービン入口温度に予熱される。閉ループトレインでの作動流体は、実質的に純粋なCO2、蒸気、又はCO2とH2Oの混合物とすることができる。閉ループトレインでの作動流体は、好ましくは、汚染を回避するために開ループの燃焼由来のCO2と決して接触しない。
【0055】
本開示に係る発電方法を実施するための例示的な発電システム10が
図1に例示される。そこに示されるように、固体燃料燃焼器110(oxy-fuel燃焼器として言及される場合がある)は、酸化剤供給源102からのライン103で酸化剤を受け入れ、固体燃料供給源104からのライン105で燃料を受け入れるように構成される。固体燃料供給源104は、固体燃料を粒子化するための1つ以上の粉砕機などの、例示していないが当業分野で理解される要素を含んでよい。随意的に、硫黄洗浄材料が、硫黄洗浄材料供給源106からのライン107を通じて燃焼器110に提供されてよい。また、硫黄洗浄材料供給源106は、石灰石などの固体材料を粒子化するための1つ以上の粉砕機などの、例示していないが当業分野で理解される要素を含んでよい。ライン105からの燃料は、ライン103からの酸化剤と共に燃焼器110内で燃焼して、ライン113で燃焼器を出る燃焼器排気を生成する。硫黄洗浄材料は、特に、燃焼室又は火炎区域から下流の燃焼器110内に存在する洗浄区域に添加することができる。したがって、燃料及び酸化剤は、燃焼器110内の上流の位置(洗浄区域に対して)で流入されてよく、硫黄洗浄材料は、燃焼器内の下流の位置(火炎区域又は燃焼室に対して)で流入することができる。代替的に、ライン107を通る硫黄洗浄材料は、下流の反応器に添加されてよく、ライン113の燃焼器排気は、後述するさらなる要素を通る前に反応器に通されてよい。
【0056】
ライン113の燃焼器排気は、単一のフィルタ又は複数の異なるフィルタ(例えば、サイクロンフィルタ及びキャンドルフィルタのうちの一方又は両方)で構成することができる、フィルタユニット115に通される。燃焼器排気の中に存在する固体(例えば、燃料灰及びCaSO4)がフィルタユニット115で除去され、残りの燃焼排ガスがライン117でフィルタユニットを出る。ライン117の燃焼器排ガスは、タービン120に通されて発電機125で発電し、膨張した燃焼器排ガスが、タービン排気としてライン123でタービンを出る。タービン120は、第1のタービン、一次タービン、又は開ループタービンとして言及される場合がある。タービンを通過する前に、燃焼器排ガスは、燃焼器排ガスの中のすべての反応種の完全な反応を確実なものにするべく、さらなる酸素分と組み合わされてよく、このような反応は、ライン内で及び/又はさらなる反応チャンバ内で行われてよい。
【0057】
ライン123で第1のタービン120を出る膨張したタービン排気は、タービン排気を冷却するため及び1つ以上のさらなるストリームに熱を提供するために、レキュペレータ熱交換器130を通過する。レキュペレータ熱交換器130は、第1の熱交換器、一次熱交換器、又は開ループ熱交換器として言及される場合がある。冷却されたタービン排気は、第1の熱交換器130をライン133で出て、タービン排気ストリームのCO2を精製するために水分離器135へ移動する。水及び任意の同伴元素(例えば、SOx、NOx、及び/又は金属)がライン137を通じて取り出され、実質的に純粋なCO2がライン139で水分離器135を出る。ライン139の実質的に純粋なCO2は、第1の圧縮器140(開又は半閉ループ圧縮器として言及される場合がある)で最初に圧縮され、その後、ライン141を通って第1のポンプ145(開又は半閉ループポンプとして言及される場合がある)へ移動して、燃焼器110に戻すのに適した圧力のライン147のリサイクルCO2ストリームを形成する。ライン147のリサイクルCO2のうちのいくらかが、CO2生成物ライン149を通じてシステムから取り出されてよい。加えて又は代替的に、CO2生成物は、ライン139及び/又はライン141から異なる圧力で取り出されてよい。ライン147のリサイクルCO2は、再び第1の熱交換器130を通過することにより加熱され、ライン151を通じて燃焼器110に戻してリサイクルされる。必要に応じて、ライン151及び/又はライン147及び/又はライン141のリサイクルCO2の一部は、燃焼器110へのライン105の固体燃料の流れ及び/又はライン107の硫黄洗浄材料の流れを促進する移動媒体として用いるために取り出され、ライン105及び/又はライン107に添加されてよい。同様に、必要に応じて、ライン151及び/又はライン147及び/又はライン141のリサイクルCO2の一部は、ライン103の酸化剤の希釈剤として用いるために取り出され、ライン103に添加されてよい。
【0058】
ライン113の燃焼器排気の中に存在する固体(例えば、燃料灰及びCaSO4)は、フィルタユニット115で除去され、ライン119を通じて固体冷却器160へ移動される。固体は、固体冷却器160からライン161を通じて燃焼器110に戻してリサイクルされてよい。ライン161の固体のすべて又は一部は、固体生成物ライン162を通じて取り出されてよい。
【0059】
固体冷却器160で取り出された熱は、閉ループの発電トレイン15(
図1の破線ボックス内に示される)での加熱に用いられる。作動流体がライン163、167、171、177、181、及び183を通じて循環され、作動流体は、ライン119からの固体冷却器160を通過する固体との物理的接触から分離されたままである。特に、ライン183の加熱された圧縮された作動流体(例えば、実質的に純粋なCO
2、水、又はCO
2と水の混合物)は、ライン119からの固体から取り出された熱でさらに加熱するために固体冷却器160を通過する。過熱作動流体ストリームは、ライン163を通り、タービン165を通じて発電機185で発電する。タービン165は、第2のタービン、二次タービン、又は閉ループタービンとして言及される場合がある。作動流体は、ライン167を通じて第2のタービン165を出て、熱交換器170内で冷却される。熱交換器170は、第2の熱交換器、二次熱交換器、又は閉ループ熱交換器として言及される場合がある。冷却された作動流体が、第2の熱交換器170をライン171で出て、第2の圧縮器175(閉ループ圧縮器として言及される場合がある)へ移動して中間圧力に圧縮され、その後、ライン177を通って第2のポンプ(閉ループポンプとして言及される場合がある)へ移動する。このときポンプで所望の圧力にされた作動流体は、ライン181を通って第2の熱交換器170に戻り、加熱された圧縮された作動流体が、ライン183を通って再び固体冷却器160を通過する。第2の熱交換器170が
図1に示されているが、加熱は、第1の熱交換器130を追加で又は代替的に用いて実施することができることが理解される。
【0060】
本開示の実施形態に係る発電方法を実施するのに適した例示的な発電システム20が
図2に例示される。
図2に関連して後述する特定の反応パラメータは、例示的なものと理解され、限定するものとして考えられるべきではない。むしろ、反応パラメータは、他の点では本明細書に別に記載される範囲内であってよい。
図2に示される例示的な実施形態では、固体燃料燃焼器210は、酸化剤供給源202(例えば、空気分離ユニット、又は他の供給源)からライン203で約18℃の温度及び約100バールの圧力の酸化剤を受け入れ、固体燃料供給源204からライン205で約34℃の温度及び約100バールの圧力の燃料を受け入れるように構成される。固体燃料供給源204は、固体燃料を粒子化するための1つ以上の粉砕機などの、例示していないが当業分野で理解される要素を含んでよい。ライン205からの燃料がライン203からの酸化剤と共に燃焼器210内で燃焼して、約909℃の温度及び68バールの圧力で燃焼器をライン211で出る燃焼器排気を生成する。
【0061】
ライン211の燃焼器排気は、石灰石供給源206からライン207を通じて約38℃の温度及び約100バールの圧力の石灰石(又は他の硫黄洗浄材料)のストリームが提供される、ミキサ/反応器208に通される。また、石灰石供給源206は、石灰石を粒子化するための1つ以上の粉砕機などの、例示していないが当業分野で理解される要素を含んでよい。したがって、ミキサ/反応器208(洗浄反応器として説明される場合がある)は、燃焼器210から下流に配置され、洗浄反応器は、燃焼器排気ストリームの少なくとも一部及び硫黄洗浄成分を受け入れるように構成される。
【0062】
約909℃の温度及び68バールの圧力で石灰石ミキサ/反応器208をライン213で出る燃焼器排気は、単一のフィルタ又は複数の異なるフィルタ(例えば、サイクロンフィルタ及びキャンドルフィルタのうちの一方又は両方)で構成することができる、フィルタユニット215に通される。燃焼器排気の中に存在する固体(例えば、燃料灰及びCaSO4)がフィルタユニット215で除去され、残りの燃焼排ガスが約909℃の温度及び約66バールの圧力でフィルタユニットをライン217で出る。ライン217の燃焼器排ガスは、ミキサ218を通過し、ミキサ218で、ライン253からの約427℃の温度及び97バールの圧力のリサイクルCO2、及び気体燃料供給源290からのライン201を通る約38℃の温度及び87バールの圧力の或る量の気体燃料(例えば、メタン又は天然ガス)と組み合わされる。添加される気体燃料は、燃焼器排ガスの中の残りの酸化剤の完全な反応を確実なものにするのに有用であり得る。このような反応は、ミキサ218の中で及び/又はライン219の中で行われてよい。例示したように、約680℃の温度及び約66バールの圧力のライン219の燃焼器排ガス、気体燃料、及びリサイクルCO2の混合物が酸化反応器222に通され、燃焼器排ガスが酸化反応器を出る前に、残りの酸化剤によって添加された気体燃料の酸化が実質的に完全に行われ得る。
【0063】
燃焼器排ガスは、約714℃の温度及び約66バールの圧力で酸化反応器222をライン221で出て、タービン220に通されて発電機225で発電し、膨張した燃焼器排ガスが、約453℃の温度及び15バールの圧力のタービン排気としてライン223でタービンを出る。タービン220は、第1のタービン、一次タービン、又は開ループタービンとして言及される場合がある。
【0064】
ライン223で第1のタービン220を出る膨張したタービン排気は、タービン排気を冷却するため及び1つ以上のさらなるストリームに熱を提供するために、レキュペレータ熱交換器230を通過する。冷却されたタービン排気は、約43℃の温度及び12バールの圧力でレキュペレータ熱交換器230をライン233で出て、タービン排気ストリームのCO2を精製するために水分離器235へ移動する。水及び任意の同伴元素(例えば、SOx、NOx、及び/又は金属)が約18℃の温度及び約11.5バールの圧力でライン237を通じて取り出され、実質的に純粋なCO2は、約18℃の温度及び約11.5バールの圧力で水分離器235をライン239で出る。ライン239の実質的に純粋なCO2は、第1の圧縮器240(開又は半閉ループ圧縮器として言及される場合がある)で圧縮され、約94℃の温度及び約100バールの圧力でライン243を出る。第1の圧縮器240は、例えば、中間冷却されても又はされなくてもよい多段圧縮器(例えば、少なくとも圧縮段を有する)であってよい。ライン239の実質的に純粋なCO2は、第1のスプリッタ242を通過して、約94℃の温度及び約100バールの圧力のライン249のベントストリームを提供し、且つ約94℃の温度及び約100バールの圧力のライン247のリサイクルCO2のストリームをもたらす。
【0065】
ライン247のリサイクルCO2は、再びレキュペレータ熱交換器230を通過することにより加熱され、約427℃の温度及び97バールの圧力でライン248として出る。ライン247のリサイクルCO2は、第2のスプリッタ285を通過して、ミキサ218に流入するためのライン253のCO2ストリームをもたらす。約427℃の温度及び97バールの圧力のライン251の残りのリサイクルCO2は、燃焼器210へ戻してリサイクルされる。必要に応じて、ライン251及び/又はライン248及び/又はライン247及び/又はライン243のリサイクルCO2の一部は、ミキサ/反応器208へのライン205の固体燃料の流れ及び/又はライン207の石灰石の流れを促進する移動媒体として用いるために取り出され、ライン205及び/又はライン207に添加されてよい。同様に、必要に応じて、ライン251及び/又はライン248及び/又はライン247及び/又はライン243のリサイクルCO2の一部は、酸化剤の希釈剤として用いるために取り出され、ライン203及び/又はライン201に添加されてよい。
【0066】
ライン213の燃焼器排気の中に存在する固体(例えば、燃料灰及びCaSO4)は、フィルタユニット215で除去され、約909℃の温度及び97バールの圧力でライン219を通じて固体冷却器260へ移動される。固体は、約649℃の温度及び約65.5バールの圧力で固体冷却器260を出てライン261aに入り、そこを通って燃焼器210に戻してリサイクルされてよい。例示したように、ライン261aの固体は、第2のスプリッタ264を通過して、約649℃の温度及び約65.5バールの圧力の固体生成物ライン262のベント固体ストリームをもたらし、且つライン261bを通って燃焼器210へ戻る約649℃の温度及び約65.5バールの圧力のリサイクル固体ストリームをもたらす。ライン261aの固体のすべて又は一部は、固体生成物ライン262を通じて取り出されてよい。同様に、ライン261aの固体のすべて又は一部は、ライン261bで燃焼器に戻してリサイクルされてよい。
【0067】
固体冷却器260で取り出された熱は、閉ループの発電トレインでの加熱に用いられる。作動流体がライン263、267、271、281、及び283を通じて循環され、作動流体は、ライン219からの固体冷却器260を通過する固体との物理的接触から分離されたままである。特に、約316℃の温度及び247バールの圧力のライン283の加熱された圧縮された作動流体(例えば、実質的に純粋なCO2、水、又はCO2と水の混合物)は、ライン219からの固体から取り出された熱でさらに加熱するために固体冷却器260を通過する。過熱作動流体ストリームは、約714℃の温度及び約244バールの圧力でライン263を通って、発電機285での発電のためにタービン265へ通る。タービン265は、第2のタービン、二次タービン、又は閉ループタービンとして言及される場合がある。作動流体は、約378℃の温度及び約30バールの圧力でライン267を通って第2のタービン265を出て、レキュペレータ熱交換器230内で冷却される。代替的に、第2の別個の熱交換器が、閉ループ熱交換器として専用に用いられてよい。冷却された作動流体が、約43℃の温度及び約27バールの圧力でレキュペレータ熱交換器230をライン271で出て、第2の圧縮器275(閉ループ圧縮器として言及される場合がある)へ移動して圧縮される。第2の圧縮器270は、例えば、中間冷却されても又はされなくてもよい多段圧縮器(例えば、少なくとも圧縮段を有する)であってよい。
【0068】
このとき所望の圧力に圧縮された作動流体は、約39℃の温度及び約250バールの圧力でライン281を通ってレキュペレータ熱交換器230に戻り、加熱された圧縮された作動流体が、ライン283を通って再び固体冷却器260を通過する。
【0069】
実施例:プロセス効率を評価するべく本明細書で説明されるシステムを用いて発電サイクルをモデル化した。モデリングは、以下のパラメータを考慮し、後の表に示すような動作値をもたらした。
【0070】
2つのサイクロンを有する流動床燃焼器(110、210)は、68バールの圧力及び約900℃の温度で動作する。
【0071】
固体冷却器(160、260)は、約315~約650℃の温度範囲から約250バールの圧力(4.6m3/sの実際の入口流量)の閉ループの電力サイクルトレインのCO2作動流体を予熱するべく、約900℃から約650℃への冷却範囲で動作する。
【0072】
キャンドルフィルタ(115、215)は、約700℃の温度及び約66バールの圧力(11m3/sの実際の流量)で動作する。
【0073】
冷却されないターボ膨張機(120、220)は、約700℃の温度で動作し、約66バールから約15バールへの圧力範囲(354kg/sの流量)で燃焼器排ガスを膨張させる。
【0074】
レキュペレータ熱交換器は、59,976,763.5btu/hr-RのUA及び34.2のLMTDで、約456℃及び約250バールの圧力で動作する。
【0075】
CO2作動流体圧縮器/ポンプは、212kg/sの流量で、約11.5バールから約100バールへの圧縮範囲で動作する。
【0076】
閉ループのCO
2作動流体膨張機は、1033kg/sの流量で、約246バールから約30バールへの圧力範囲で、約700℃の温度で動作する。
【表1】
【0077】
本明細書で開示された主要部の多くの修正及び他の実施形態が、上記の説明及び関連する図面で提示される教示の利益を有するこの主要部が属する技術分野の当業者に発想されるであろう。したがって、本開示は、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されるものではないことと、修正及び他の実施形態が付属の請求項の範囲内に含まれることを意図されることが理解される。特定の用語が本明細書で採用されるが、それらは、限定する目的ではなく、単に一般的且つ記述的意味で用いられる。