(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】二重壁容器、二重壁容器の製造方法及び反転装置
(51)【国際特許分類】
B29C 51/08 20060101AFI20230824BHJP
B29C 49/42 20060101ALI20230824BHJP
B29C 51/02 20060101ALI20230824BHJP
B65D 1/00 20060101ALI20230824BHJP
B65D 1/26 20060101ALI20230824BHJP
B65D 1/40 20060101ALI20230824BHJP
B65D 1/46 20060101ALI20230824BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
B29C51/08
B29C49/42
B29C51/02
B65D1/00 120
B65D1/26 110
B65D1/40 100
B65D1/46
B65D81/38 E
(21)【出願番号】P 2020538343
(86)(22)【出願日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 JP2019032053
(87)【国際公開番号】W WO2020040036
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2018155815
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018155816
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018168258
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 要一
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-030969(JP,A)
【文献】特開2010-052831(JP,A)
【文献】特開2004-123146(JP,A)
【文献】特公昭39-029325(JP,B1)
【文献】特開昭51-075760(JP,A)
【文献】特開2001-206535(JP,A)
【文献】米国特許第04035461(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00-51/46
B29C 49/00-49/80
B65D 1/00- 1/48
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内面を形成する内方胴部及び内方底部を有する内壁部と、前記内壁部の上端から連続して前記内壁部とは隙間を空けて設けられて前記容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備える二重壁容器の製造方法であって、
前記外壁部となる外壁形成部と、前記内壁部となり前記外壁形成部の深さ方向の外側に膨出した内壁形成部と、前記内壁形成部と前記外壁形成部との境界部分に設けられて前記外壁形成部の径方向外側に突出する突出部と、を有する中間成形体をブロー成形により形成するブロー成形工程と、
前記内壁形成部を前記外壁形成部の内側に押し込んで反転させることで前記中間成形体を前記二重壁容器とする反転工程と、
前記反転工程の前に実施され、前記中間成形体の深さ方向で前記突出部を圧潰して前記内壁形成部と前記外壁形成部との境界部分に折り目を付ける圧潰工程と、を含む、二重壁容器の製造方法。
【請求項2】
前記反転工程は、前記突出部を圧潰した状態で実施される、請求項1に記載の二重壁容器の製造方法。
【請求項3】
前記圧潰工程では、前記突出部を所定温度に調整した状態で当該突出部を圧潰する、請求項1に記載の二重壁容器の製造方法。
【請求項4】
一方の端面に開口し、前記突出部が前記端面上に突出した状態に前記中間成形体の前記外壁形成部が収容される収容凹部を備える収容金型と、
前記収容凹部の開口縁部に環状に配置されると共に前記中間成形体の深さ方向で移動可能に構成され、前記収容金型の前記端面に対して前記突出部を押圧する環状押圧金型と、
前記中間成形体の深さ方向で移動可能に構成され、前記内壁形成部をその底部側から押圧して前記外壁形成部の内側に押し込んで反転させる凸状押圧金型と、を備える、請求項1に記載の二重壁容器の製造方法で用いられる反転装置。
【請求項5】
前記凸状押圧金型は、前記環状押圧金型と前記収容金型とによって前記突出部を圧潰した状態で、前記中間成形体の深さ方向で移動可能に構成されている、請求項4に記載の反転装置
。
【請求項6】
前記中間成形体の前記突出部を所定温度に調整する温調装置を備えている、請求項4に記載の反転装置。
【請求項7】
前記温調装置は、前記環状押圧金型の温度を調整する、請求項6に記載の反転装置。
【請求項8】
容器の内面を形成する内方胴部及び内方底部を有する内壁部と、
前記内壁部の上端から連続して前記内壁部とは隙間を空けて設けられて前記容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備え、
前記内壁部と前記外壁部との境界部分には、前記内壁部と前記外壁部とを圧潰して折り目を付けた圧潰部が周方向に亘って設けられており、前記圧潰部を構成する前記内壁部と前記外壁部との隙間は、前記内方胴部と前記外方胴部との隙間よりも狭くなって
おり、
前記圧潰部を構成する前記内壁部の前記内方胴部との境界部分には、前記外壁部側を凸として湾曲する内湾曲部が形成されていると共に、前記圧潰部を構成する前記外壁部の前記外方胴部との境界部分には、前記内壁部側を凸として湾曲する外湾曲部が形成されており、
前記内湾曲部と前記外湾曲部との隙間が、前記圧潰部の他の部分の隙間よりも狭くなっている、二重壁容器。
【請求項9】
前記圧潰部は、前記内壁部及び前記外壁部が前記外方胴部の外側に突出する環状フランジ部を構成している、請求項8に記載の二重壁容器。
【請求項10】
一端側が開口する凹部の内面を形成する内方胴部を有する内壁部と、
前記内壁部から連続して当該内壁部とは隙間を空けて設けられて容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備える二重壁容器であって、
前記内壁部又は前記外壁部の一方は、前記開口側の端部に当該開口を覆う蓋部材が装着される装着部を有し、該装着部には、前記蓋部材が備える複数の係合凸部が係合される複数の係合溝が設けられており、
且つ前記内壁部と前記外壁部との境界部分には、前記装着部を補強するための補強部が周方向に沿って設けられて
おり、
前記装着部が、前記内壁部に設けられており、
前記補強部は、前記内壁部と前記外壁部との境界部分に設けられて前記内壁部及び前記外壁部が前記外壁部を構成する外方胴部よりも外側に突出した環状フランジ部を含み、
前記環状フランジ部を構成する前記内壁部の前記内方胴部との境界部分には、前記外壁部側を凸として湾曲する内湾曲部が形成されていると共に、前記環状フランジ部を構成する前記外壁部の前記外方胴部との境界部分には、前記内壁部側を凸として湾曲する外湾曲部が形成されており、
前記内湾曲部と前記外湾曲部との隙間が、前記環状フランジ部の他の部分の隙間よりも狭くなっている、二重壁容器。
【請求項11】
一端側が開口する凹部の内面を形成する内方胴部を有する内壁部と、
前記内壁部から連続して当該内壁部とは隙間を空けて設けられて容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備える二重壁容器であって、
前記内壁部又は前記外壁部の一方は、前記開口側の端部に当該開口を覆う蓋部材が装着される装着部を有し、該装着部には、前記蓋部材が備える複数の係合凸部が係合される複数の係合溝が設けられており、
且つ前記内壁部と前記外壁部との境界部分には、前記装着部を補強するための補強部が周方向に沿って設けられており、
前記装着部には、前記開口側の端部から前記係合溝に向かって延在し前記係合凸部を前記係合溝に誘導する誘導溝が設けられており、
前記補強部は、前記誘導溝の底面から突出するように前記誘導溝の前記開口側の端部に設けられ、かつ前記装着部の表面よりも高さの低い補強リブを含む
、二重壁容器。
【請求項12】
前記内壁部と前記外壁部とは、前記開口側の端面を形成する連結部を介して連結されており、
前記補強部は、前記連結部の前記装着部側の端部から離間した位置に突出して設けられて円周方向に亘って連続する環状リブを含む、請求項11に記載の二重壁容器。
【請求項13】
前記環状リブの側面と前記連結部の表面とで形成される隅部の角度が鋭角である、請求項
12に記載の二重壁容器。
【請求項14】
前記環状フランジ部は、前記内壁部と前記外壁部とを圧潰して折り目を付けることによって形成されており、当該環状フランジ部を構成する前記内壁部と前記外壁部との隙間は、前記内方胴部と前記外方胴部との隙間よりも狭くなっている、請求項
10に記載の二重壁容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、断熱(保温・保冷)効果を有する樹脂製の二重壁容器、当該二重壁容器の製造方法及び反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種飲料や氷菓子等を収容するための容器として樹脂製容器が広く用いられている。また樹脂製容器の一つとして、例えば、内壁部と外壁部との内外二重壁状の構造となっている二重壁容器が知られている。この二重壁容器は、内壁部と外壁部との間に空間(空気断熱層)が設けられており、温かい飲料や冷たい飲料等を収容した際に、保温効果または保冷効果が発揮されるように構成されている。
【0003】
このような二重壁容器は、一般的に、別々に形成された内方容器と外方容器とを組み合わせることで製造されていた。内容容器と外方容器とが組み合わされた二重壁容器は、強度が比較的高く、保温効果および保冷効果も比較的高い。しかしながら、製造工程が煩雑であるという欠点がある。
【0004】
近年では、製造工程の煩雑さを解消するために、ブロー成形した中間成形体を変形させることで形成された二重壁容器も提案されている。具体的には、上記内方容器に相当する内壁形成部が、上記外方容器に相当する外壁形成部から反転膨出した形状の中間成形体をブロー成形にて製造し、この中間成形体の内壁形成部を外壁形成部の内側方向に折り返す(反転させる)ことで二重壁容器とする技術が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特開昭58-30969号公報
【文献】日本国特開2004-123146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにブロー成形により中間体成形体を形成し、中間成形体の内壁形成部を外壁形成部の内側方向に折り返して(反転させて)二重壁容器とすることで、二重壁容器の製造工程を簡略化することができ、製造効率は向上する。
【0007】
しかしながら、中間成形体の内壁形成部を反転させて形成した二重壁容器では、例えば、飲料を収容した状態で持ち上げた際などに、十分な強度を確保できず、容器が変形してしまうという問題がある。具体的には、内壁部と外壁部との境界部分、つまり飲料が収容される凹部の開口縁部(口部)において、十分な強度が得られない場合がある。
【0008】
本開示は、製造工程を簡略化でき且つ凹部の開口縁部における強度を向上することができる二重壁容器の製造方法及び反転装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本開示は、凹部の開口縁部における強度の向上を図った二重壁容器を提供することも目的とする。
【0010】
また、開口縁部は折り返し部位に形成される関係上、精度良く賦形させることは一般的に困難である。例えば、折り返し後の開口縁部の天面(上端面)はうねった形状になり易く(平坦形状にならず)、その円周方向の幅厚も不均一になり易い。
【0011】
ところで、樹脂製容器には、凹部の開口を塞ぐ蓋部材を装着可能に構成されているものがある。例えば、カップ状の容器の外周面又は内周面に溝部を設けると共に、溝部に対応する突出部を蓋部材に設け、突出部と溝部とが係合することで、蓋部材が容器に固定されるようになっているものがある。二重壁容器についても、このような構造を採用することが考えられる。
【0012】
しかしながら、二重壁容器に蓋部材を装着するための溝部を設けた場合、凹部の開口縁部の強度がさらに不足してしまう虞がある。また、上述のように中間成形体の内壁形成部を外壁形成部の内側方向に折り返す方法で二重壁容器を形成する場合、中間成形体の段階で溝部が形成されていると、内壁形成部を折り返した際、凹部の開口縁部を精度よく賦形させことは一層困難になり、しわが形成されてしまうといった問題が生じる虞もある。よって、蓋部材を良好に装着できる程度の強度と形状精度を有した開口縁部がある二重壁容器を上記方法で製造することは極めて難しい。
【0013】
本開示は、蓋部材を装着可能な構造を有していても、開口縁部に十分な強度や形状精度を確保することができる二重壁容器を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本開示の一つの態様は、容器の内面を形成する内方胴部及び内方底部を有する内壁部と、前記内壁部の上端から連続して前記内壁部とは隙間を空けて設けられて前記容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備える二重壁容器の製造方法であって、前記外壁部となる外壁形成部と、前記内壁部となり前記外壁形成部の深さ方向の外側に膨出した内壁形成部と、前記内壁形成部と前記外壁形成部との境界部分に設けられて前記外壁形成部の径方向外側に突出する突出部と、を有する中間成形体をブロー成形により形成するブロー成形工程と、前記内壁形成部を前記外壁形成部の内側に押し込んで反転させることで前記中間成形体を前記二重壁容器とする反転工程と、前記反転工程の前に実施され、前記中間成形体の深さ方向で前記突出部を圧潰して前記内壁形成部と前記外壁形成部との境界部分に折り目を付ける圧潰工程と、を含む二重壁容器の製造方法にある。
【0015】
ここで、前記反転工程は、前記突出部を圧潰した状態で実施されることが好ましい。
【0016】
また前記圧潰工程では、前記突出部を所定温度に調整した状態で当該突出部を圧潰することが好ましい。
【0017】
また本開示は、このような製造方法に用いられる反転装置であって、一方の端面に開口し、前記突出部が前記端面上に突出した状態に前記中間成形体の前記外壁形成部が収容される収容凹部を備える収容金型と、前記収容凹部の開口縁部に環状に配置されると共に前記中間成形体の深さ方向で移動可能に構成され、前記収容金型の前記端面に対して前記突出部を押圧する環状押圧金型と、前記中間成形体の深さ方向で移動可能に構成され、前記内壁形成部をその底部側から押圧して前記外壁形成部の内側に押し込んで反転させる凸状押圧金型と、を備える反転装置にある。
【0018】
ここで、前記凸状押圧金型は、前記環状押圧金型と前記収容金型とによって前記突出部を圧潰した状態で、前記中間成形体の深さ方向で移動可能に構成されていることが好ましい。
【0019】
また反転装置は、前記中間成形体の前記突出部を所定温度に調整する温調装置を備えていることが好ましい。さらに前記温調装置は、前記環状押圧金型の温度を調整するものであることが好ましい。
【0020】
また、上記課題を解決する本開示の一つの態様は、容器の内面を形成する内方胴部及び内方底部を有する内壁部と、前記内壁部の上端から連続して前記内壁部とは隙間を空けて設けられて前記容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備え、前記内壁部と前記外壁部との境界部分には、前記内壁部と前記外壁部とを圧潰して折り目を付けた圧潰部が周方向に亘って設けられており、前記圧潰部を構成する前記内壁部と前記外壁部との隙間は、前記内方胴部と前記外方胴部との隙間よりも狭くなっている二重壁容器にある。
【0021】
ここで、前記圧潰部を構成する前記内壁部の前記内方胴部との境界部分には、前記外壁部側を凸として湾曲する内湾曲部が形成されていると共に、前記圧潰部を構成する前記外壁部の前記外方胴部との境界部分には、前記内壁部側を凸として湾曲する外湾曲部が形成されており、前記内湾曲部と前記外湾曲部との隙間が、前記圧潰部の他の部分の隙間よりも狭くなっていることが好ましい。
【0022】
また前記圧潰部は、前記内壁部及び前記外壁部が前記外方胴部の径方向の外側に突出する環状フランジ部を構成していることが好ましい。つまり二重壁容器の開口縁部には、圧潰された環境フランジ部が設けられていることが好ましい。
【0023】
また、上記課題を解決する本開示の一つの態様は、一端側が開口する凹部の内面を形成する内方胴部を有する内壁部と、前記内壁部から連続して当該内壁部とは隙間を空けて設けられて容器の外面を形成する外方胴部を有する外壁部と、を備える二重壁容器であって、前記内壁部又は前記外壁部の一方は、前記開口側の端部に当該開口を覆う蓋部材が装着される装着部を有し、該装着部には、前記蓋部材が備える複数の突起部が係合される複数の係合溝が設けられており、且つ前記内壁部と前記外壁部との境界部分には、前記装着部を補強するための補強部が周方向に沿って設けられている二重壁容器にある。
【0024】
かかる本開示の二重壁容器では、容器の周方向に沿って設けられた補強部によって装着部の強度が向上する。したがって、蓋部の突起部が係合する係合溝が装着部に形成されていても、装着部の変形が抑制される。すなわち、係合溝が装着部に形成されていても、開口縁部における容器の変形が抑制される。
【0025】
ここで、前記装着部には、前記開口側の端部から前記係合溝に向かって延在し前記係合凸部を前記係合溝に誘導する誘導溝が設けられ、前記補強部は、前記誘導溝の底面から突出するように前記誘導溝の前記開口側の端部に設けられ、かつ前記装着部の表面よりも高さの低い補強リブを含むことが好ましい。これにより、開口縁部における容器の強度をより効果的に向上することができる。
【0026】
また、前記内壁部と前記外壁部とは、前記開口側の端面を形成する連結部を介して連結されており、前記補強部は、前記連結部の前記装着部側の端部から離間した位置に突出して設けられて円周方向に亘って連続する環状リブを含むことが好ましい。これにより、開口縁部における容器の強度をより効果的に向上することができる。
【0027】
さらに、前記環状リブの側面と前記連結部の表面とで形成される隅部の角度が鋭角であることが好ましい。これにより、開口縁部における容器の強度をより効果的に向上することができる。
【0028】
また、前記装着部が、前記内壁部に設けられており、前記補強部は、前記内壁部と前記外壁部との境界部分に設けられて前記内壁部及び前記外壁部が前記外壁部を構成する外方胴部よりも外側に突出した環状フランジ部を含むことが好ましい。これにより、開口縁部における容器の強度をより効果的に向上することができる。
【0029】
さらに前記環状フランジ部は、前記内壁部と前記外壁部とを圧潰して折り目を付けることによって形成されており、当該環状フランジ部を構成する前記内壁部と前記外壁部との隙間は、前記内方胴部と前記外方胴部との隙間よりも狭くなっていることが好ましい。これにより、開口縁部における容器の強度をより効果的に向上することができる。
【発明の効果】
【0030】
かかる本開示の二重壁容器の製造方法によれば、内壁部と外壁部との境界部分に折り目が付けられた二重壁容器、すなわち凹部の開口縁部に内壁部及び内壁部が圧潰された圧潰部を有する二重壁容器を、比較的容易に製造することができる。また凹部の開口縁部に圧潰部を設けることで、二重壁容器の強度を高めることができる。つまり本開示の二重壁容器の製造方法によれば、凹部の開口縁部における強度を向上した二重壁容器を比較的容易に製造することができる。
【0031】
かかる本開示の二重壁容器によれば、凹部の開口縁部に圧潰部が設けられていることで、二重壁容器の強度が高められる。特に、凹部の開口縁部に環状フランジ部が設けられ、この環状フランジ部が圧潰部で構成されているようにすることで、二重壁容器の強度がさらに高められる。これにより、例えば、二重壁容器内に飲料等が収容された状態でも、二重壁容器の変形が抑制される。
【0032】
また、本開示の二重壁容器によれば、蓋部を装着可能な構造としても、補強部を設けることで開口縁部における容器の強度の向上することができる。すなわち補強部により二重壁容器の強度を十分に確保することができる。したがって、二重壁容器内に飲料等が収容された状態でも、変形が抑制され、蓋部材を良好に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の拡大断面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図3B】
図3Bは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図4】
図4は、本開示の第一実施形態に係る反転装置の概略構成を説明する図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図5C】
図5Cは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図6】
図6は、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器及び蓋部材の正面図である。
【
図7】
図7は、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器及び蓋部材の断面図である。
【
図8】
図8は、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の拡大断面図である。
【
図9A】
図9Aは、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図9B】
図9Bは、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図10】
図10は、本開示の第二実施形態に係る反転装置の概略構成を説明する図である。
【
図11A】本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図11B】本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図11C】本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図12】本開示の第三実施形態に係る二重壁容器及び蓋部材の正面図である。
【
図13】本開示の第三実施形態に係る二重壁容器の部分断面図である。
【
図14】本開示の第三実施形態に係る二重壁容器の部分断面図である。
【
図15A】本開示の第三実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図15B】本開示の第三実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
【
図16】本発明の第三実施形態に係る中間成形体の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施形態の例について図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
<第一実施形態>
図1は、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器を示す断面図である。
図2は
図1のA部を示す拡大断面図である。また
図3A及び
図3Bは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
図4は、本開示の第一実施形態に係る反転装置の概略構成を説明する図である。また
図5A~
図5Cは、本開示の第一実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図であり、特に、圧潰工程及び反転工程を説明する図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態に係る二重壁容器(以下、単に容器ともいう)10は、飲料等を収容するための凹部11を有するカップ状の樹脂製容器である。容器10は、容器10の内面(凹部11の内面)を形成する内壁部20と、容器10の外面を形成する外壁部30と、の二重の壁部を備えている。内壁部20と外壁部30は、断熱効果を発揮するように、所定の間隔を空けて設けられている。
【0037】
なお、二重壁容器10の材料は、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、生分解性プラスチック等の合成樹脂が好適に用いられる。
【0038】
内壁部20は、容器10の胴部の内周面を形成する内方胴部21と、内方胴部21から連続して設けられて容器10の底部を形成する内方底部22と、を有している。
【0039】
一方、外壁部30は、内壁部20の上端から連続して設けられている。上述のように、外壁部30と内壁部20との間には隙間が形成されている。本実施形態では、外壁部30は、容器10の胴部の外周面を形成する外方胴部31と、外方胴部31から連続して設けられる単筒状の脚部32と、を有している。すなわち外壁部30は、その下端側が開口しており、この開口の縁部に短筒状の脚部32が設けられている。
【0040】
二重壁容器10を載置する場合には、この脚部32が載置面に接触して開口が塞がれ、二重壁容器10の底部(内方底部22)と載置面との間にも空間が形成される。これにより、容器10の断熱効果(保温効果および保冷効果)がさらに高められる。
【0041】
ここで、
図2のA部拡大図に示すように、カップ状の容器10の凹部11の開口縁部(飲み口)には、内壁部20と外壁部30とを圧潰し、内壁部20と外壁部30との境界部分に折り目40が付けられた圧潰部50が、容器10の周方向に亘って形成されている。
【0042】
また本実施形態では、凹部11の開口縁部には、内壁部20及び外壁部30が外方胴部31の外側まで突出して設けられている。すなわち凹部11の開口縁部には、外方胴部31の外側に突出する環状フランジ部60が設けられている。そしてこの環状フランジ部60が、圧潰部50によって構成されている。
【0043】
圧潰部50(環状フランジ部60)を構成する内壁部20と外壁部30との隙間(最大値)d1は、容器10の周面を形成する内壁部20(内方胴部21)と外壁部30(外方胴部31)との隙間(最大値)d2よりも狭くなっている。
【0044】
このような圧潰部50が凹部11の開口縁部に設けられていることで、容器10の強度が高められる。したがって、例えば、容器10内に飲料等が収容された状態でも、容器10の変形が抑制される。また本実施形態では、凹部11の開口縁部に環状フランジ部60が設けられ、この環状フランジ部60が圧潰部50で構成されているため、容器10の強度がさらに高められる。
【0045】
また圧潰部50(環状フランジ部60)を構成する内壁部20の内方胴部21との境界部分には、外壁部30側を凸として湾曲する内湾曲部25が形成されている。一方、圧潰部50(環状フランジ部60)を構成する外壁部30の外方胴部31との境界部分には、内壁部20側を凸として湾曲する外湾曲部35が形成されている。
【0046】
そして、これら内湾曲部25と外湾曲部35との隙間d3は、圧潰部50の他の部分の隙間よりも狭くなっている。これにより、容器10の強度がより確実に高められる。
【0047】
このような形状の二重壁容器10の製造方法は、特に限定されないが、二重壁容器10は、例えば、以下に説明する方法で製造することができる。二重壁容器10をこの方法で製造することで、二重壁容器10の製造工程を簡略化することができ、製造効率の向上を図ることができる。
【0048】
具体的には、まずは射出成形装置によって所定プリフォームを射出成形した後、プリフォームをブロー成形装置によってブロー成形して中間成形体を形成する。
【0049】
まずは
図3Aに示すように、所定形状のプリフォーム100を射出成形によって形成する(射出成形工程)。プリフォーム100は、ネック部101と、ネック部101から連続する有底の胴部102と、で構成されている。ネック部101は、二重壁容器10の脚部32となる部分である。したがって、ネック部101は、脚部32と略同一形状(肉厚、高さ、開口径等)に形成されている。
【0050】
プリフォーム100の胴部102の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、比較的短小で略テーパー状(いわゆるお椀状)に形成されている。すなわちプリフォーム100の胴部102は、ネック部101側の端部における直径が最も大きく、胴部102の底面部102a側ほど直径が小さくなるように形成されている。
【0051】
次に、プリフォーム100を射出成形装置からブロー成形装置に搬送する。このプリフォーム100の胴部102を金型内でブロー成形することにより、
図3Bに示すように、所定形状の中間成形体200を形成する(ブロー成形工程)。中間成形体200は、容器10の脚部32となるネック部201と、容器10の内壁部20(内方胴部21及び内方底部22)となる内壁形成部202と、外壁部30(外方胴部31)となる外壁形成部203と、を備えている。なお中間成形体200のネック部201は、プリフォーム100のネック部101と共通する部分である。
【0052】
外壁形成部203はネック部201から連続して形成され、内壁形成部202は外壁形成部203のネック部201とは反対側に連続して形成されている。すなわち内壁形成部202は、外壁形成部203の深さ方向(
図3A及び
図3B中の左右方向)の外側に膨出した形状に形成されている。つまり中間成形体200は、容器10の内壁部20が外壁部30の脚部32とは反対側の外側に反転した形状となっている。
【0053】
また本実施形態では、内壁形成部202と外壁形成部203との境界部分(容器10の凹部11の開口縁部に相当する部分)には、外壁形成部203の径方向の外側に突出する突出部204が、周方向に亘って設けられている。つまり、この突出部204を介して内壁形成部202と外壁形成部203とが接続されている。突出部204は、容器10の圧潰部50(環状フランジ部60)となる部分である。したがって、突出部204は、圧潰部50(環状フランジ部60)に合わせた形状(突出量)に形成されている。
【0054】
さらに、突出部204の内壁形成部202との境界部分には、容器10の内湾曲部25となる第1の湾曲部205が形成されている。突出部204の外壁形成部203との境界部分には容器10の外湾曲部35となる第2の湾曲部206が形成されている。これら第1の湾曲部205及び第2の湾曲部206は、中間成形体200の内側を凸とする曲面に形成されている。
【0055】
このような中間成形体200を形成した後は、中間成形体200をブロー成形装置から反転装置に搬送し、反転装置によって内壁形成部202を押圧して反転させることによって、最終製品である二重壁容器10を形成する(反転工程)。
【0056】
ここで、
図4に示すように、本実施形態に係る反転装置300は、収容金型310と、環状押圧金型320と、凸状押圧金型330と、を備えている。収容金型310は、収容凹部311を備えている。収容凹部311は、収容金型310の一方の端面に開口して設けられている。収容凹部311には、中間成形体200の外壁形成部203及びネック部201が収容される。
【0057】
環状押圧金型320は、後述するように収容金型310との間で中間成形体200の突出部204を圧潰するためのものである。環状押圧金型320は、収容凹部311の開口周縁部に対向して環状に設けられている。また環状押圧金型320の収容凹部311に対向する部分には貫通孔321が形成されている。そして環状押圧金型320は、中間成形体200の深さ方向(
図4中の左右方向)で、移動可能に構成されている。すなわち環状押圧金型320は、収容金型310に対して離接する方向に移動可能に構成されている。
【0058】
凸状押圧金型330は、内壁形成部202を押圧して反転させるためのものである。言い換えれば、凸状押圧金型330は、容器10の凹部11を形成するための金型である。この凸状押圧金型330は、環状押圧金型320と同様に、中間成形体200の深さ方向(
図4中の左右方向)で、移動可能に構成されている。より詳しくは、凸状押圧金型330は、環状押圧金型320の貫通孔321を通過して、収容凹部311内に挿入可能に構成されている。
【0059】
また本実施形態では、凸状押圧金型330は、後述するように環状押圧金型320と収容金型310とによって突出部204が圧潰された状態で、中間成形体200の深さ方向(
図4中の左右方向)で、移動可能に構成されている。
【0060】
本実施形態では、このような構成の反転装置300によって中間成形体200の内壁形成部202を反転させることで、最終製品である二重壁容器10を形成する。
【0061】
まずは
図5Aに示すように、収容金型310の収容凹部311内に中間成形体200の外壁形成部203及びネック部201を収容する。このとき、突出部204は、収容金型310の開口周縁の端面310a上に突出した状態となる。
【0062】
この状態で、
図5Bに示すように、環状押圧金型320を収容金型310側に移動させ、環状押圧金型320と収容金型310とで中間成形体200の突出部204を圧潰する(圧潰工程)。
【0063】
これにより、容器10の圧潰部50(環状フランジ部60)が形成される。また上述のように突出部204に第1の湾曲部205及び第2の湾曲部206が形成されていることで、圧潰部50を構成する内壁部20と外壁部30との隙間を比較的狭くすることができる。
【0064】
その際、突出部204は所定温度(100℃~140℃)に加熱された状態で圧潰されることが好ましい。すなわち、反転装置300は、中間成形体200の突出部204を所定温度に調整する温調装置を備えていることが好ましい。
【0065】
例えば、環状押圧金型320には、温水や油等の温調媒体が供給される供給路(図示なし)が形成されており、この供給路内に供給装置(温調装置)によって温調媒体を供給することで、環状押圧金型320の温度(表面温度)を調整することができるようになっている。
【0066】
そして、表面温度が調整された環状押圧金型320を突出部204に接触させ、突出部204を所定温度まで上昇させた状態で、環状押圧金型320と収容金型310とで圧潰する。
【0067】
なお温調装置の構成は、特に限定されず、例えば、環状押圧金型320を加熱するヒータであってもよいし、突出部204自体を加熱するヒータであってもよい。
【0068】
次に、環状押圧金型320と収容金型310とで突出部204を圧潰した状態を保持したまま、
図5Cに示すように、凸状押圧金型330を収容金型310側に移動させ、内壁形成部202を収容凹部311内に押し込んで反転させる。つまり内壁形成部202を外壁形成部203の内側に押し込んで反転させる(反転工程)。
【0069】
具体的には、凸状押圧金型330を収容金型310側に移動させると、凸状押圧金型330の先端面が内壁形成部202の底部202aに当接する。底部202aが押圧されることで、内壁形成部202の胴部202bが変形(反転)し、外壁形成部203の内側に押し込まれる。これにより、二重壁容器10が形成される(
図1参照)。
【0070】
なお、凸状押圧金型330によって内壁形成部202を反転させる際、内壁形成部202を所定温度に調整するようにしてもよい。例えば、反転装置300が、内壁形成部202を加熱するヒータ等の温調装置を備えるようにしてもよい。ただし、内壁形成部202を加熱する場合、内壁形成部202の胴部202bを加熱し、凸状押圧金型330が当接する底部202aは極力加熱しないことが好ましい。これにより、凸状押圧金型330によって内壁形成部202を適切に押圧でき、内壁形成部202を良好に反転させることができる。
【0071】
このような本実施形態の製造方法により二重壁容器10を製造することで、つまり反転装置300によって中間成形体200を反転させて二重壁容器10を製造することで、二重壁容器10の製造工程を簡略化することができる。したがって、二重壁容器10の製造効率を向上することができる。
【0072】
また、上記製造方法では、二重壁容器10の脚部32は射出成形によって形成され、その他の部分はブロー成形によって形成されている。したがって、脚部32は、その他の部分に比べて肉厚に形成されている。これにより、二重壁容器10を載置した際の安定性を向上することができる。
【0073】
また例えば、上述の実施形態では、反転工程を、中間成形体200の突出部204を圧潰した状態で実施したが、突出部204の圧潰を解除した状態で実施してもよい。つまり突出部204が十分に圧潰されていれば、反転工程を実施する際に、必ずしも突出部204は圧潰された状態でなくてもよい。
【0074】
<第二実施形態>
図6及び
図7は、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器及び蓋部材を示す図である。
図6は二重壁容器から蓋部材を外した状態の正面図である。また
図7は、二重壁容器に蓋部材を装着した状態の図である。
図6のA1-A1線に対応する部分の断面図である。
図8は、
図7のA1部を示す拡大断面図である。また
図9A及び
図9Bは、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
図10は、本開示の第二実施形態に係る反転装置の概略構成を説明する図である。
図11A~
図11Cは、本開示の第二実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図であり、特に、圧潰工程及び反転工程を説明する図である。
【0075】
図6及び
図7に示すように、本実施形態に係る二重壁容器(以下、単に容器ともいう)110は、飲料等を収容するための凹部111を有するカップ状の樹脂製容器である。容器110は、一端側が開口する容器110の内面(凹部111の内面)を形成する内壁部120と、容器110の外面を形成する外壁部130と、を備えている。つまり、容器110は二重の壁部を備えている。内壁部120と外壁部130は、断熱効果を発揮するように、所定の間隔を空けて設けられている。
【0076】
二重壁容器110の材料は、第一実施形態に係る二重壁容器10の材料と同様の材料であってもよい。
【0077】
内壁部120は、容器110の凹部111の内周面を形成する内方胴部121と、内方胴部121から連続して設けられて容器110の底部を形成する内方底部122と、を有している。
【0078】
一方、外壁部130は、内壁部120の上端から連続して設けられている。上述のように、外壁部130と内壁部120との間には隙間が形成されている。本実施形態では、外壁部130は、容器110の胴部の外周面を形成する外方胴部131と、外方胴部131から連続して設けられる単筒状の脚部132と、を有している。すなわち外壁部130は、その下端側が開口しており、この開口の周縁部に短筒状の脚部132が設けられている。
【0079】
二重壁容器110を載置する場合には、この脚部132が載置面に接触して開口が塞がれ、二重壁容器110の底部(内方底部122)と載置面との間にも空間が形成される。これにより、容器110の断熱効果(保温効果および保冷効果)がさらに高められる。
【0080】
また二重壁容器110は、凹部111の開口111aを覆う蓋部材190を装着可能に構成されている。本実施形態では、二重壁容器110の内周面側が、蓋部材190を装着可能に構成されている。具体的には、内壁部120の内方胴部121には、その開口111a側の端部に、蓋部材190が装着される装着部123が設けられている。装着部123は、二重壁容器110に装着する際に、蓋部材190が摺接する部分である。装着部123は、容器110の上下方向で略平面に形成されている。また装着部123には、蓋部材190を容器110に固定するための複数(例えば、6つ)の係合溝124が周方向に所定の間隔で形成されている。
【0081】
蓋部材190は、二重壁容器110の凹部111内に装着される、いわゆる内蓋である。蓋部材190は、開口111aに対向する蓋部本体191と、蓋部本体191の外周部に設けられて装着部123に対向する環状の縦壁部192と、を備えている。この縦壁部192には、各係合溝124側に突出する複数の係合凸部193が設けられている。これら複数の係合凸部193が係合溝124に係合されることで、蓋部材190が容器110に固定されるようになっている。
【0082】
さらに二重壁容器110には、内壁部120と外壁部130との境界部分に、装着部123を補強するための補強部150が、周方向に沿って設けられている。本実施形態では、凹部111の開口111aの周縁部(飲み口)に、内壁部120及び外壁部130が外方胴部131よりも外側に突出した環状フランジ部160が設けられている。この環状フランジ部160が補強部150として機能する。
【0083】
ここで、環状フランジ部160は、内壁部120と外壁部130とを圧潰し、内壁部120と外壁部130との境界部分に折り目を付けることによって形成されている。そして
図8に示すように、環状フランジ部160を構成する内壁部120と外壁部130との隙間(最大値)d11は、装着部123を形成する内壁部120(内方胴部121)と外壁部130(外方胴部131)との隙間(最大値)d12よりも狭くなっている。
【0084】
このような環状フランジ部160からなる補強部150が開口111aの周縁部に設けられていることで、容器110の強度、特に、装着部123付近の強度が高められている。したがって、装着部123に複数の係合溝124が形成されていても、開口111aの周縁部を含む装着部123付近の強度が十分に確保される。したがって、例えば、容器110内に飲料等が収容された状態で容器110が把持されても、容器110の変形が抑制される。
【0085】
また本実施形態では、補強部150を構成する環状フランジ部160が、内壁部120と外壁部130とを圧潰することによって形成されていることで、容器110の強度がより高められている。
【0086】
さらに、環状フランジ部160を構成する内壁部120の内方胴部121との境界部分には、外壁部130側を凸として湾曲する内湾曲部125が形成されている。一方、環状フランジ部160を構成する外壁部130の外方胴部131との境界部分には、内壁部120側を凸として湾曲する外湾曲部135が形成されている。
【0087】
そして、これら内湾曲部125と外湾曲部135との隙間d13は、環状フランジ部160の他の部分の隙間よりも狭くなっている。これにより、容器110の強度がより高められている。
【0088】
このような形状の二重壁容器110の製造方法は、第一実施形態に係る二重壁容器10の製造方法と同様の製造方法であってもよい。つまり、例えば、以下に説明する方法で製造することができる。
【0089】
具体的には、まずは射出成形装置によって所定プリフォームを射出成形した後、プリフォームをブロー成形して中間成形体を形成する。
【0090】
図9Aに示すように、まずは所定形状のプリフォーム1100を射出成形によって形成する(射出成形工程)。プリフォーム1100は、ネック部1101と、ネック部1101から連続する有底の胴部1102とで構成されている。ネック部1101は、二重壁容器110の脚部132となる部分である。したがって、ネック部1101は、脚部132と略同一形状(肉厚、高さ、開口径等)に形成されている。
【0091】
プリフォーム1100の胴部1102の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、比較的短小で略テーパー状(いわゆるお椀状)に形成されている。すなわちプリフォーム1100の胴部1102は、ネック部1101側の端部における直径が最も大きく、胴部1102の底面部1102a側ほど直径が小さくなるように形成されている。
【0092】
次に、プリフォーム100を射出成形装置からブロー成形装置に搬送する。このプリフォーム1100の胴部1102を金型内でブロー成形することにより、
図9Bに示すように、所定形状の中間成形体1200を形成する(ブロー成形工程)。中間成形体1200は、容器110の脚部132となるネック部1201と、容器110の内壁部120(内方胴部121及び内方底部122)となる内壁形成部1202と、外壁部130(外方胴部131)となる外壁形成部1203と、を備えている。なお中間成形体1200のネック部1201は、プリフォーム1100のネック部1101と共通する部分である。
【0093】
外壁形成部1203はネック部1201から連続して形成され、内壁形成部1202は外壁形成部1203のネック部1201とは反対側に連続して形成されている。すなわち内壁形成部1202は、外壁形成部1203の深さ方向(
図9A及び
図9B中の左右方向)の外側に膨出した形状に形成されている。つまり中間成形体1200は、容器110の内壁部120が外壁部130の脚部132とは反対側の外側に反転した形状となっている。
【0094】
ここで、内壁形成部1202には、装着部123の係合溝124となる部分に、内壁形成部1202の径方向外側に突出する凸部1204が形成されている。すなわち、凸部1204は、容器110の係合溝124が内壁形成部1202の径方向外側に反転した形状を有する。
【0095】
また本実施形態では、内壁形成部1202と外壁形成部1203との境界部分(開口111aの周縁部に相当する部分)には、外壁形成部1203の径方向の外側に突出する突出部1205が、周方向に亘って設けられている。つまり、この突出部1205を介して内壁形成部1202と外壁形成部1203とが接続されている。突出部1205は、容器110の環状フランジ部160(補強部150)となる部分である。したがって、突出部1205は、環状フランジ部160に合わせた形状(突出量)に形成されている。
【0096】
さらに、突出部1205と内壁形成部1202との境界部分には、容器110の内湾曲部125となる第1の湾曲部1206が形成されている。突出部1205と外壁形成部1203との境界部分には容器110の外湾曲部135となる第2の湾曲部1207が形成されている。これら第1の湾曲部1206及び第2の湾曲部1207は、中間成形体1200の内側を凸とする曲面に形成されている。
【0097】
このような中間成形体1200を形成した後は、中間成形体1200をブロー成形装置から反転装置に搬送し、反転装置によって内壁形成部1202を押圧して反転させることによって、最終製品である二重壁容器110を形成する(反転工程)。
【0098】
ここで、
図10に示すように、本実施形態に係る反転装置1300は、収容金型1310と、環状押圧金型1320と、凸状押圧金型1330と、を備えている。収容金型1310は、収容凹部1311を備えている。収容凹部1311は、収容金型1310の一方の端面に開口して設けられている。収容凹部1311には、中間成形体1200の外壁形成部1203及びネック部1201が収容される。
【0099】
環状押圧金型1320は、後述するように収容金型1310との間で中間成形体1200の突出部1205を圧潰するためのものである。環状押圧金型1320は、収容凹部1311の開口縁部に対向して環状に設けられている。また環状押圧金型1320の収容凹部1311に対向する部分には貫通孔1321が形成されている。そして環状押圧金型1320は、中間成形体1200の深さ方向(
図10中の左右方向)で、移動可能に構成されている。すなわち環状押圧金型1320は、収容金型1310に対して離接する方向に移動可能に構成されている。
【0100】
凸状押圧金型1330は、内壁形成部1202を押圧して反転させるためのものである。言い換えれば、凸状押圧金型1330は、容器110の凹部111を形成するための金型である。この凸状押圧金型1330は、環状押圧金型1320と同様に、中間成形体1200の深さ方向(
図10中の左右方向)で、移動可能に構成されている。より詳しくは、凸状押圧金型1330は、環状押圧金型1320の貫通孔1321を通過して、収容凹部1311内に挿入可能に構成されている。
【0101】
また本実施形態では、凸状押圧金型1330は、後述するように環状押圧金型1320と収容金型1310とによって突出部1205が圧潰された状態で、中間成形体1200の深さ方向(
図10中の左右方向)で、移動可能に構成されている。
【0102】
本実施形態では、このような構成の反転装置1300によって中間成形体1200の内壁形成部1202を反転させることで、最終製品である二重壁容器110を形成する。
【0103】
まずは
図11Aに示すように、収容金型1310の収容凹部1311内に中間成形体1200の外壁形成部1203及びネック部1201を収容する。このとき、突出部1205は、収容金型1310の開口周縁の端面1310a上に突出した状態となる。
【0104】
この状態で、
図11Bに示すように、環状押圧金型1320を収容金型1310側に移動させ、環状押圧金型1320と収容金型1310とで中間成形体1200の突出部1205を圧潰する(圧潰工程)。
【0105】
これにより、容器110の環状フランジ部160が形成される。また上述のように凸部1204に第1の湾曲部1206及び第2の湾曲部1207が形成されていることで、環状フランジ部160を構成する内壁部120と外壁部130との隙間を比較的狭くすることができる。
【0106】
その際、突出部1205は所定温度(100℃~140℃)に加熱された状態で圧潰されることが好ましい。すなわち、反転装置1300は、中間成形体1200の突出部1205を所定温度に調整する温調装置を備えていることが好ましい。
【0107】
例えば、環状押圧金型1320には、温水や油等の温調媒体が供給される供給路(図示なし)が形成されており、この供給路内に供給装置(温調装置)によって温調媒体を供給することで、環状押圧金型1320の温度(表面温度)を調整することができるようになっている。
【0108】
そして、表面温度が調整された環状押圧金型1320を突出部1205に接触させ、突出部1205を所定温度まで上昇させた状態で、環状押圧金型1320と収容金型1310とで圧潰する。
【0109】
なお温調装置の構成は、特に限定されず、例えば、環状押圧金型1320を加熱するヒータであってもよいし、突出部1205自体を加熱するヒータであってもよい。
【0110】
次に、環状押圧金型1320と収容金型1310とで突出部1205を圧潰した状態を保持したまま、
図11Cに示すように、凸状押圧金型1330を収容金型1310側に移動させ、内壁形成部1202を収容凹部1311内に押し込んで反転させる。つまり内壁形成部1202を外壁形成部1203の内側に押し込んで反転させる(反転工程)。
【0111】
具体的には、凸状押圧金型1330を収容金型1310側に移動させると、凸状押圧金型1330の先端面が内壁形成部1202の底部1202aに当接する。底部1202aが押圧されることで、内壁形成部1202の胴部1202bが変形(反転)し、外壁形成部1203の内側に押し込まれる。
【0112】
またその際、凸部1204が凸状押圧金型1330によって押圧されることで反転し、係合溝124が形成される。これにより、装着部123に係合溝124を備えると共に、環状フランジ部160(補強部150)を備える二重壁容器110が形成される(
図6参照)。
【0113】
上記の通り、二重壁容器110に補強部150(中間成形体1200に突出部1205)を設けることにより、反転工程時の内壁形成部1202と外壁形成部1203との境界部分に生じうる好ましくない変形を抑止し、賦形性を向上させることができる。この結果、開口111a付近の強度を向上した二重壁容器110の製造が可能になる。つまり、反転工程がある製造方法においても、蓋部材190を良好に装着できる装着部123(開口111a)を備えた二重壁容器110を成形できる。
【0114】
なお、凸状押圧金型1330によって内壁形成部1202を反転させる際、内壁形成部1202を所定温度に調整するようにしてもよい。例えば、反転装置1300が、内壁形成部1202を加熱するヒータ等の温調装置を備えるようにしてもよい。
【0115】
ただし、内壁形成部1202を加熱する場合、内壁形成部1202の胴部1202bを加熱し、凸状押圧金型1330が当接する底部1202aは極力加熱しないことが好ましい。これにより、凸状押圧金型1330によって内壁形成部1202を適切に押圧でき、内壁形成部1202を良好に反転させることができる。またその際、内壁形成部1202に設けられている凸部1204を良好に反転させることができる。
【0116】
このような本実施形態の製造方法により二重壁容器110を製造することで、つまり反転装置1300によって中間成形体1200を反転させて二重壁容器110を製造することで、二重壁容器110の製造工程を簡略化することができる。したがって、二重壁容器110の製造効率を向上することができる。
【0117】
また、上記製造方法では、二重壁容器110の脚部132は射出成形によって形成され、その他の部分はブロー成形によって形成されている。したがって、脚部132は、その他の部分に比べて肉厚に形成されている。これにより、二重壁容器110を載置した際の安定性を向上することができる。
【0118】
<第三実施形態>
図12は、本開示の第三実施形態に係る二重壁容器及び蓋部材を示す正面図である。
図13は、
図12のB-B線に対応する部分の断面図である。
図14は、
図12のC-C線に対応する部分の断面図である。また
図15A及び
図15Bは、第三実施形態に係る二重壁容器の製造方法を説明する図である。
図16は、中間成形体の要部を示す図である。なお各図中において第二実施形態と同一部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0119】
図12~
図14に示すように、本実施形態に係る二重壁容器110Aは、その外周面側が蓋部材190Aを装着可能に構成されている。具体的には、外壁部130Aの外方胴部131Aには、開口111a側の端部に、蓋部材190Aが装着される装着部123Aが設けられている。装着部123Aは、二重壁容器110Aに装着する際に、蓋部材190Aが摺接する部分であり、容器110Aの上下方向で略平面に形成されている。また装着部123Aには、蓋部材190Aを容器110Aに固定するための複数(例えば、6つ)の係合溝124Aが周方向に所定の間隔で形成されている。
【0120】
蓋部材190Aは、二重壁容器110Aの外壁部130Aに対して装着される、いわゆる外蓋である。蓋部材190Aは、開口111aに対向する蓋部本体191Aと、蓋部本体191Aの外周部に設けられて内面側が装着部123Aに対向する環状の縦壁部192Aと、を備えている。縦壁部192Aには、各係合溝124A側(蓋部材190Aの内側)に突出する複数の係合凸部193Aが設けられている。これら複数の係合凸部193Aが係合溝124Aに係合されることで、蓋部材190Aが容器110Aに固定されるようになっている。
【0121】
また装着部123Aには、開口111a側の端部から係合溝124Aに向かって延在する誘導溝133が設けられている。この誘導溝133は、蓋部材190Aの係合凸部193Aを係合溝124Aに係合させる際、係合凸部193Aを係合溝124Aまで誘導(ガイド)するためのものである。誘導溝133は、容器110Aの周方向における係合溝124Aの側部まで連続して形成されている。また誘導溝133は、開口111a側の端面に開口して設けられており、この開口が蓋部材190Aの係合凸部193Aを誘導溝133に進入させるための入口133aとなっている。
【0122】
係合溝124Aと誘導溝133との境界部分には、係合溝124Aに係合された係合凸部193Aの移動を規制する規制突起134が設けられている。この規制突起134は、容器110Aの高さ方向に延在し、また装着部123Aの表面よりも低く形成されている。言い換えれば、規制突起134は、係合溝124A及び誘導溝133の深さよりも低い高さで形成されている。
【0123】
ところで、第二実施形態では、内壁部120と外壁部130との境界部分に補強部150として環状フランジ部160が設けられていたが、第三実施形態では、容器110Aの内壁部120Aと外壁部130Aは、開口111a側の端面を形成する連結部170を介して連結されている(
図14参照)。そして、この連結部170には、装着部123A側の端部(外壁部130A側の端部)から離間した位置に突出し、容器110Aの周方向に亘って連続する環状リブ180が形成されている。環状リブ180は、その外壁部130A側の側面と連結部170の表面とで形成される隅部の角度θが鋭角となるように形成されている。
【0124】
また上述のように誘導溝133は、開口111a側の端面、つまり連結部170側に開口して設けられており、この開口が蓋部材190Aの係合凸部193Aを誘導溝133に進入させるための入口133aとなっている。
【0125】
そして、この誘導溝133の入口133aには、容器110Aの周方向に延びる補強リブ136が設けられている。この補強リブ136は、環状リブ180と共に、装着部123Aを補強するための補強部150Aとして機能する。この補強リブ136は、規制突起134と同様に、装着部123Aの表面よりも低く形成されている。つまり補強リブ136は、誘導溝133の深さよりも低い高さで形成されている。なお補強リブ136の高さは、一定であってもよいが、係合溝124Aから離れるほど低くなっていてもよい。
【0126】
また補強リブ136は、本実施形態では、誘導溝133の両側面間に亘って連続して設けられているが(
図13参照)、補強リブ136の形状は、特に限定されるものではない。補強リブ136は、例えば、誘導溝133の両側面間に断続的に設けられていてもよい。
【0127】
このような環状リブ180及び補強リブ136を含む補強部150Aが設けられていることで、容器110Aの強度、特に、装着部123A付近の強度が高められている。特に、環状リブ180の外壁部130A側の側面と連結部170の表面とで形成される隅部の角度θが鋭角となっていることで、装着部123A付近の強度がより高められる。
【0128】
これにより、装着部123Aに複数の係合溝124Aや誘導溝133が形成されていても、開口111aの周縁部を含む装着部123A付近の強度が十分に確保される。したがって、例えば、容器110A内に飲料等が収容された状態でも、容器110Aの変形が抑制される。
【0129】
なお、このような形状の容器110Aに蓋部材190Aを装着する際には、まず蓋部材190Aの係合凸部193Aを、誘導溝133の入口133aから誘導溝133内に進入させる。すなわち補強リブ136を乗り越えさせて、係合凸部193Aを誘導溝133内に進入させる。上述のように補強リブ136は、誘導溝133の深さよりも低く形成されている。したがって、比較的容易に係合凸部193Aを誘導溝133内に進入させることができる。
【0130】
この状態で、蓋部材190Aと容器110Aとを相対的に回転させると、係合凸部193Aは誘導溝133に沿って移動して規制突起134に当接する。その後さらに、蓋部材190Aと容器110Aとを相対的に回転させることで、規制突起134を乗り越えさせて係合凸部193Aを係合溝124Aに係合させる。
【0131】
上述のように規制突起134は、誘導溝133や係合溝124Aの深さよりも低く形成されている。したがって、係合凸部193Aは、誘導溝133から外れることなく規制突起134を乗り越え、係合溝124Aに良好に係合される。
【0132】
このような第三実施形態に係る容器110Aも、第二実施形態と同様に、まずは
図15Aに示すように、所定形状のプリフォーム1100を射出成形によって形成する(射出成形工程)。次いで、このプリフォーム1100の胴部1102をブロー成形することにより、
図15Bに示すように、所定形状の中間成形体1200Aを形成する。
【0133】
中間成形体1200Aの外壁形成部1203Aは、容器110Aの外壁部130Aと同一形状に形成されている。すなわち、中間成形体1200Aの外壁形成部1203Aには、
図16の拡大図に示すように、係合溝124A及び誘導溝133が形成されていると共に、規制突起134及び補強リブ136も形成されている。さらに中間成形体1200Aには、外壁形成部1203Aと内壁形成部1202Aとの境界部分には、環状リブ180が既に形成されている。つまり、中間成形体1200Aは、環状リブ180及び補強リブ136を含む補強部150Aを既に備えている。
【0134】
そして、このように補強部150Aを備える中間成形体1200Aをブロー成形装置から反転装置に搬送し、反転装置によって内壁形成部1202Aを押圧して反転させることによって、最終製品である二重壁容器110Aを形成する(反転工程)。
【0135】
内壁形成部1202Aと外壁形成部1203Aとの境界部分の強度が低いと、反転工程により内壁形成部1202Aを良好に反転させることができない虞がある。例えば、内壁形成部1202Aと外壁形成部1203Aとの境界付近に皺が形成されてしまうといった問題が生じる虞がある。
【0136】
しかしながら、本実施形態に係る中間成形体1200Aには、既に環状リブ180及び補強リブ136を含む補強部150Aが形成され、内壁形成部1202Aと外壁形成部1203Aとの境界部分の強度が高められている。したがって、反転工程により内壁形成部1202Aを良好に反転させることができる。
【0137】
上述の通り、二重壁容器110Aや中間成形体1200Aに補強部150A(環状リブ180及び補強リブ136)を設けることにより、反転工程時の内壁形成部1202Aと外壁形成部1203Aとの境界部分に生じうる好ましくない変形を抑止し、賦形性を向上させることができる。この結果、開口111a付近の強度が向上し、かつ、開口111aの天面が平坦化した二重壁容器110Aの製造が可能になる。つまり、反転工程がある製造方法であっても、蓋部材190Aを良好に装着できる装着部123A(開口111a)を備えた二重壁容器110Aを成形することができる。
【0138】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0139】
例えば、第一実施形態では、二重壁容器10が環状フランジ部60を有し、この環状フランジ部60が圧潰部50で構成された例を説明したが、二重壁容器10は、必ずしも環状フランジ部60を備えていなくてもよい。二重壁容器10が環状フランジ部60を備えていない場合でも、凹部11の開口縁部に圧潰部50が設けられていれば、二重壁容器10の強度は向上する。
【0140】
例えば、第二実施形態では、中間成形体1200の突出部1205を環状押圧金型1320と収容金型1310とで圧潰した状態で反転工程を実施したが、この例に限られない。例えば反転工程は、突出部1205の圧潰を解除した状態で実施されてもよい。つまり突出部1205が既に十分に圧潰されていれば、反転工程を実施する際に、突出部1205が環状押圧金型1320と収容金型1310とで圧潰された状態が維持されていなくてもよい。
【0141】
また、射出成形装置とブロー成形装置は、独立した構成(2ステージ式の成形装置)としても、一体式の構成(1ステージ式の成形装置)としても構わない。さらに、反転装置も、ブロー成形装置と独立または一体式の何れの構成であっても構わない。
【0142】
本出願は、2018年8月22日に出願された日本国特許出願(特願2018-155815号、特願2018-155816号)及び2018年9月7日に出願された日本国特許出願(特願2018-168258号)に開示された内容を適宜援用する。