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特許7336450(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドを含む医薬組成物
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  • 特許-(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドを含む医薬組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドを含む医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/553 20060101AFI20230824BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230824BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230824BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230824BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
A61K31/553
A61K47/14
A61K47/38
A61K47/02
A61K47/36
A61K47/04
A61K9/20
A61P11/00
A61P43/00 105
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020545547
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019055138
(87)【国際公開番号】W WO2019166626
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-21
(31)【優先権主張番号】62/636,944
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008951
【氏名又は名称】アストラゼネカ・アクチエボラーグ
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ホーカン・ヴィークストレーム
(72)【発明者】
【氏名】ジュファン・ウー・ルードヴィグソン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・アンデルセン
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/022978(WO,A1)
【文献】特表2017-503832(JP,A)
【文献】米国特許第08552034(US,B2)
【文献】特表2011-522011(JP,A)
【文献】特表2008-501692(JP,A)
【文献】特表2008-504307(JP,A)
【文献】特表2012-522764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 11/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(a)~(f):
(a)式(I):
【化1】
[式中、
1は、
【化2】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルであり;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成するか;または
6は、1、2もしくは3個のFによって置換されていてもよく、および/または、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルもしくはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7は、水素、F、ClまたはCH3であり;
Xは、O、SまたはCF2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩約1.0wt%~約30wt%;
(b)薬学的希釈剤約55wt%~約75wt%;
(c)圧縮助剤約15wt%~約25wt%;
(d)薬学的崩壊剤約3.0wt%~約5.0wt%;
)薬学的流動促進剤約0.00wt%~約1.0wt%;および
)薬学的潤滑剤約2wt%~約6wt%(ここで、薬学的潤滑剤はベヘン酸グリセロールである);
を含む(ここで、該成分(a)~(f)の重量を合計すると100wt%になる)、医薬組成物。
【請求項2】
1が、
【化3】
であり;
Xが、O、SまたはCF2であり;
Yが、OまたはSであり;
6が、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、かつ、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7が、水素、F、ClまたはCH3である、
請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
1が、
【化4】
である、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
XがO、SまたはCF2であり;R6が、1、2または3個のFによって置換されていてもよいC1-3アルキルであり;R7が水素、F、ClまたはCH3である、請求項1~3いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項5】
XがOであり;R6が、1、2または3個のFによって置換されていてもよいC1-3アルキルであり;R7が水素である、請求項1~4いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
XがOであり;R6がC1-3アルキルであり;R7が水素である、請求項1~5いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
式(I)で示される化合物が(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(化合物A)である、請求項1~6いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
薬学的希釈剤が微結晶セルロースである、請求項1~7いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項9】
圧縮助剤が二塩基性リン酸カルシウム・二水和物である、請求項1~8いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項10】
薬学的崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムである、請求項1~9いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項11】
薬学的流動促進剤が二酸化ケイ素である、請求項1~10いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項12】
錠剤形態の、請求項1~11いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項13】
さらに、錠剤コートを含む、請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
化合物Aが約3wt%~約10wt%存在する、請求項7記載の医薬組成物
【請求項15】
ベヘン酸グリセロールが約2.5wt%~約4.5wt%存在する、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
薬学的流動促進剤が二酸化ケイ素であり、該二酸化ケイ素が約0.05wt%~約0.25wt%存在する請求項14または15記載の医薬組成物。
【請求項17】
薬学的崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムであり、該デンプングリコール酸ナトリウムが約3.5wt%~約4.5wt%存在する、請求項14~16いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項18】
圧縮助剤が二塩基性リン酸カルシウム・二水和物であり、該二塩基性リン酸カルシウム・二水和物が約18wt%~約22wt%存在する、請求項14~17いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項19】
薬学的希釈剤が微結晶セルロースであり、該微結晶セルロースが約55wt%~約70wt%存在する、請求項14~18いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項20】
式(I)で示される化合物が該組成物中に約5mg~約50mg存在する、請求項1~19いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項21】
式(I)で示される化合物が該組成物中に約10mg~約40mg存在する、請求項1~20いずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項22】
式(I)で示される化合物が該組成物中に10mg存在する、請求項1~21いずれか1項記載の医薬組成
【請求項23】
式(I)で示される化合物が組成物中に25mg存在する、請求項1~21いずれか1項記載の医薬組成
【請求項24】
式(I)で示される化合物が組成物中に40mg存在する、請求項1~21いずれか1項記載の医薬組成
【請求項25】
気道の閉塞性疾患の治療を必要とする患者における気道の閉塞性疾患の治療のための、請求項1~24いずれか1項記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/636,944号からの優先権を主張する(その開示内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部とする)。
【背景技術】
【0002】
本開示は、化合物(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(または「化合物A」)、またはその薬学的に許容される塩を含有する医薬組成物に関する。化合物Aは、以下の構造式:
【化1】
を有する。
【0003】
化合物Aおよびその薬学的に許容される塩は、特許文献1においてジペプチジルペプチダーゼ(DPP1;EC3.4.14.1)の阻害剤として開示されている(全ての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。特許文献1は、また、呼吸器疾患(例えば、喘息、気管支拡張症および慢性閉塞性肺疾患(COPD))を包含する臨床状態の治療および/または予防における化合物Aの使用、化合物Aの治療用途、化合物Aを含有する医薬組成物、および化合物Aの製造方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0210655号
【発明の概要】
【0005】
一の態様では、式(I):
【化2】
[式中、
1は、
【化3】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルであり;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成するか;または
6は、1、2もしくは3個のFによって置換されていてもよく、および/または、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルもしくはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7は、水素、F、ClまたはCH3であり;
Xは、O、SまたはCF2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩約1.0~約30wt%を含む医薬組成物が提供される。
【0006】
該組成物は、さらに、薬学的希釈剤約55~約75wt%、圧縮助剤約15%~約25%、薬学的崩壊剤約3.0%~約5.0wt%、薬学的流動促進剤約0.00~約1.0wt%;および薬学的潤滑剤約2~約6wt%を含む;ここで、該成分の重量は合計で100になる。
【0007】
本明細書で提供される組成物の一の実施態様では、該医薬組成物は、薬学的潤滑剤としてベヘン酸グリセロールを含む。
【0008】
本明細書で提供される組成物の一の実施態様では、該医薬組成物は、希釈剤として微結晶セルロースを含む。
【0009】
別の実施態様では、本明細書で提供される医薬組成物は、圧縮助剤として二塩基性リン酸カルシウム・二水和物を含む。
【0010】
本明細書で提供される組成物の一の実施態様は、薬学的崩壊剤としてデンプングリコール酸ナトリウムを含む組成物を包含する。
【0011】
さらに別の実施態様は、流動促進剤として二酸化ケイ素を含む医薬組成物を対象とする。
【0012】
一の実施態様では、該医薬組成物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(化合物A)約1.0~約30wt%;薬学的希釈剤約55~約75wt%、圧縮助剤約15%~約25%、薬学的崩壊剤約3.0%~約5.0wt%、薬学的流動促進剤約0.00~約1.0wt%;および薬学的潤滑剤約2~約6wt%を含む;ここで、該成分の重量は合計で100になる。さらなる実施態様では、希釈剤は微結晶セルロースであり、圧縮助剤は二塩基性リン酸カルシウム・二水和物であり、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムであり、流動促進剤は二酸化ケイ素であり、潤滑剤はベヘン酸グリセロールである。
【0013】
本発明の別の態様は、気道の閉塞性疾患の治療を必要とする患者における気道の閉塞性疾患の治療方法を対象とする。該方法は、治療を必要とする患者に、本明細書で提供される組成物の1つを投与することを含む。一の実施態様では、該組成物は、式(I)で示される化合物として化合物Aを含む。さらなる実施態様では、気道の閉塞性疾患は気管支拡張症または嚢胞性線維症である。さらなる実施態様では、気道の閉塞性疾患は気管支拡張症である。
【0014】
本発明の別の態様は、抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)関連血管炎の治療を必要とする患者におけるANCA関連血管炎の治療方法を対象とする。該方法は、治療を必要とする患者に、本明細書で提供される組成物の一つを投与することを含む。一の実施態様では、該組成物は、式(I)で示される化合物として化合物Aを含む。一の実施態様では、ANCA関連血管炎は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)である。別の実施態様では、ANCA関連血管炎は顕微鏡的多発血管炎(MPA)である。一の実施態様では、患者は、活動性ANCA関連血管炎(例えば、活動性GPAまたはMPA)を有する。別の実施態様では、患者はANCA関連血管炎の寛解期(例えば、GPAまたはMPAの寛解期)である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の組成物の1つを製造するための方法の実施態様のフロー図である。
図2図2は、API(化合物A)および標準と比較した、異なる潤滑剤を用いた3つの試験された組成物のクロマトグラムを重ね合わせたものである。クロマトグラムは、わかりやすくするためにわずかにオフセットされている。
図3図3は、賦形剤、温度または相対湿度(RH)の関数としての化合物Aの5つの分解生成物についての多重線形回帰(MLR)モデルから得られたスケーリングおよび中心化した係数値を示す。
図4図4は、試験された種々の賦形剤の保存可能期間予測データのMLR分析からのスケーリングおよび中心化した係数値を示す。
図5図5は、SEM画像を使用して捕捉された製造プロセスのステップを示す。
図6図6は、製造プロセスの各ステップの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7図7は、製剤N1~N11の最終ブレンドの粒度分布のグラフである。
図8図8は、40/75での1か月後の分解の係数プロットである。
図9図9は、種々の製剤について、圧縮圧力(MPa)の関数としての潤滑試験からの錠剤の引張強度(MPa)のグラフである。
図10図10は、初期状態および40/75で1か月間貯蔵後の第1の潤滑試験(first lubrication trial)からの5mg製剤の溶出プロファイルである。
図11図11は、初期状態での第1の潤滑試験からの65mg製剤の溶出プロファイルである。
図12図12は、API用量の関数としての賦形剤レベル(コア重量のパーセンテージ)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される場合、「C1-3」とは、1、2または3個の炭素原子を有する炭素基を意味する。
【0017】
用語「アルキル」は、特に断りのない限り、直鎖および分枝鎖の両方のアルキル基を包含し、置換されていても非置換であってもよい。「アルキル」基としては、メチル、エチル、n-プロピルプロピル、i-プロピル、ブチル、ペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「薬学的に許容される」は、特に断りのない限り、部分(例えば、塩、剤形、または賦形剤)を、健全な医学的判断に従って使用するのに適切であると特徴付けるために使用される。一般に、薬学的に許容される部分は、該部分が有する可能性のある有害な影響を上回る1つ以上の利点を有する。有害な影響には、例えば、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、ならびにその他の問題および合併症が含まれ得る。
【0019】
「有効量」または「治療有効量」とは、所望の治療応答をもたらすのに十分な、本発明で使用される疾患修飾化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の量を意味する。
【0020】
当業者は、特定の医薬賦形剤が、無水物形態または1以上の水和物形態で使用され得ることを理解するであろう。例えば、ラクトースは無水形態または一水和物として使用され得る。同様に、二塩基性リン酸カルシウムは、無水物形態または二水和物形態として使用され得る。本開示では、医薬賦形剤の水和レベルが明示的に言及されていない場合、ありとあらゆる従来の水和レベルがこの用語に含まれると解釈されるべきである。したがって、「ラクトース」(さらなる条件なし)には、ラクトース一水和物、無水物形態のラクトース、およびそれらの混合物が含まれる。
【0021】
同様に、当業者は、リン酸カルシウムが二塩基性形態または三塩基性形態で使用され得ることを理解するであろう。本開示では、「リン酸カルシウム」(さらなる条件なし)は、二塩基性形態、三塩基性形態、およびそれらの混合物を含む。
【0022】
本開示では、「wt%」は「重量パーセント」をいい、技術分野で慣用的である通常の意味を有する。したがって、「wt%」は、組成物Y中の成分Xの割合を指し、それぞれの場合、成分Xおよび組成物Yの重量に基づいて計算される(存在するモルの体積または数などの他の物理的パラメータとは対照的)。例えば、組成物Yの20g内に成分Xの2gが存在する場合、成分Xは組成物Yの10wt%を構成する。
【0023】
本明細書に記載されるように、医薬組成物の成分は、「部」を単位として記載され、ここで、「すべての部は重量による」。そのような言語は、単に成分の相対的な比率を定義すると理解すべきであり、ここで、該比率は、相対的な重量で定義される(存在するモルの体積または数などの他の物理的パラメータとは対照的)。一例として、成分Xの部と成分Zの部との合計が100に等しいと定義されている混合物中に成分X 1gと成分Z 4gが存在している場合、この例では混合物中に成分Xが20部および成分Zが80部存在している。
【0024】
組成物
一の態様では、本発明は、1つ以上の式(I):
【化4】
[式中、
1は、
【化5】
であり;
2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルであり;
3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成するか;または
6は、1、2もしくは3個のFによって置換されていてもよく、および/または、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルもしくはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;
7は、水素、F、ClまたはCH3であり;
Xは、O、SまたはCF2であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物に関する。
【0025】
一の実施態様では、R1は、
【化6】
であり;R2は、水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルであり;R3は、水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する。
【0026】
さらなる実施態様では、R1は、
【化7】
であり;R2は、水素、F、ClまたはC1-3アルキルであり;R3は、水素、F、Cl、CNまたはSO21-3アルキルである。
【0027】
さらにさらなる実施態様では、R1は、
【化8】
であり;R2は、水素、FまたはC1-3アルキルであり;R3は、水素、FまたはCNである。
【0028】
別の実施態様では、R1は、
【化9】
であり;XはO、SまたはCF2であり;YはOまたはSであり;QはCHまたはNであり;R6は、C1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2もしくは3個のFによって置換されていてもよく、および/またはOH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルもしくはテトラヒドロピランによって置換されていてもよく;R7は、水素、F、ClまたはCH3である。
【0029】
さらにさらなる実施態様では、R1は、
【化10】
であり;Xは、O、SまたはCF2であり;Yは、OまたはSであり;R6は、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、かつ、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C1-3アルキルであり;R7は、水素、F、ClまたはCH3である。
【0030】
さらにさらなる実施態様では、R1は、
【化11】

であり;XはO、SまたはCF2であり;R6はC1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよい;R7は水素、F、ClまたはCH3である。
【0031】
さらにさらなる実施態様では、R1は、
【化12】
であり;XはOであり;R6はC1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく;R7は水素である。
【0032】
一の実施態様では、R2は水素、F、Cl、Br、OSO21-3アルキルまたはC1-3アルキルである。
【0033】
さらなる実施態様では、R2は水素、F、ClまたはC1-3アルキルである。
【0034】
さらにさらなる実施態様では、R2は水素、FまたはC1-3アルキルである。
【0035】
一の実施態様では、R3は水素、F、Cl、Br、CN、CF3、SO21-3アルキル、CONH2またはSO2NR45であり、ここで、R4およびR5は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成する。
【0036】
さらなる実施態様では、R3は、水素、F、Cl、CNまたはSO21-3アルキルから選択される。
【0037】
さらにさらなる実施態様では、R3は水素、FまたはCNから選択される。
【0038】
一の実施態様では、R6はC1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよく、かつ、OH、OC1-3アルキル、N(C1-3アルキル)2、シクロプロピルまたはテトラヒドロピランから選択される1つの置換基によって置換されていてもよい。
【0039】
さらなる実施態様では、R6はC1-3アルキルであり、ここで、該C1-3アルキルは、1、2または3個のFによって置換されていてもよい。さらにさらなる実施態様では、R6はメチルまたはエチルである。さらにさらなる実施態様では、R6はメチルである。
【0040】
一の実施態様では、R7は水素、F、ClまたはCH3である。さらなる実施態様では、R7は水素である。
【0041】
一の実施態様では、式(I)で示される化合物は、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド:
【化13】
;またはその薬学的に許容される塩である。
【0042】
一の実施態様では、式(I)で示される化合物は、以下のもの:
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,7-ジメチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
4'-[(2S)-2-シアノ-2-{[(2S)-1,4-オキサゼパン-2-イルカルボニル]アミノ}エチル]ビフェニル-3-イルメタンスルホネート、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-1,2-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(トリフルオロメチル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(3',4'-ジフルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(6-シアノピリジン-3-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾチアジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-7-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-7-フルオロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4-{3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル}フェニル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3,3-ジフルオロ-1-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(シクロプロピルメチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(プロパン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-1,4-ベンゾオキサジン-6-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2-メトキシエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(5-シアノチオフェン-2-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-2-(4'-カルバモイル-3'-フルオロビフェニル-4-イル)-1-シアノエチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロキノリン-7-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(7-クロロ-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[3-(2,2-ジフルオロエチル)-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-{4-[2-オキソ-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル]フェニル}エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4'-(メチルスルホニル)ビフェニル-4-イル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4'-(アゼチジン-1-イルスルホニル)ビフェニル-4-イル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-フルオロビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、
(2S)-N-{(1S)-2-[4-(1,3-ベンゾチアゾール-5-イル)フェニル]-1-シアノエチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド、または
(2S)-N-[(1S)-1-シアノ-2-(4'-シアノビフェニル-4-イル)エチル]-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド
の1つ以上、または上記のものの1つ以上のものの薬学的に許容される塩である。
【0043】
式(I)で示される化合物の合成方法はPCT出願公開第2015/110826号に開示されている(その開示はすべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0044】
一の実施態様では、式(I)で示される化合物は「化合物A」である。化合物Aは、本明細書で使用される場合、(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドである。INS1007またはAZD7986としても知られている化合物Aは、以下の構造式:
【化14】
を有する。
【0045】
化合物Aの合成方法は、米国特許出願公開第2015/0210655号に開示されている(その開示はすべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0046】
化合物Aは、遊離塩基形態で、または薬学的に許容される塩として、またはそれらの混合物として、使用され得る。特定の実施態様では、化合物Aは遊離塩基形態である。「遊離塩基形態」とは、化合物Aが塩の形態ではない場合をいうと解される。
【0047】
本開示のいくつかの実施態様では、化合物Aは薬学的に許容される塩の形態である。
【0048】
化合物Aの薬学的に許容される塩は、無機酸または有機酸を用いて形成され得る。薬学的に許容される塩は、例えば、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸から選択される無機酸を用いて形成され得る。薬学的に許容される塩はまた、例えばトリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびパラ-トルエンスルホン酸から選択される有機酸を用いて形成され得る。
【0049】
いくつかの実施態様では、化合物Aは、化合物Aの遊離塩基形態の多形形態Aである。化合物Aの遊離塩基形態の多形形態Aは、米国特許出願公開第2015/0210655号に開示されている(その開示はすべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0050】
いくつかの実施態様では、化合物Aは、化合物Aの遊離塩基形態であり、CuKα照射を使用して測定した約12.2±0.2(°2θ)でピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0051】
いくつかの実施態様では、化合物Aは、化合物Aの遊離塩基形態であり、CuKα照射を使用して測定した約20.6±0.2(°2θ)でピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0052】
いくつかの実施態様では、化合物Aは、化合物Aの遊離塩基形態であり、CuKα照射を使用して測定した約12.2±0.2°および約20.6±0.2((°2θ)でピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0053】
いくつかの実施態様では、化合物Aは、化合物Aの遊離塩基形態であり、CuKα照射を使用して測定した約12.2±0.2、約14.3±0.2、約16.2±0.2、約19.1±0.2および約20.6±0.2(°2θ)でピークを有するX線粉末回折パターンによって特徴づけられる。
【0054】
本明細書で別段の定めがない限り、本明細書で提供されるAPI重量パーセントは、それぞれの遊離塩基形態に対するものである。
【0055】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、式(I)で示される化合物、例えば化合物Aを、約1.0~約30wt%;約1.0~約25wt%;約1.0~約20wt%;約1.0~約15wt%;約1.0~約10wt%;約1.0~約5wt%、または約1.0~約3wt%の量で含む。
【0056】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、式(I)で示される化合物、例えば化合物Aを、約1.5~約30wt%;約1.5~約25wt%;約1.5~約20wt%;約1.5~約15wt%;約1.5~約10wt%;または約1.5~約5wt%の量で含む。
【0057】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載の組成物は、式(I)で示される化合物、例えば化合物Aを、約3~約30wt%;約3~約25wt%;約3~約20wt%;約3~約15wt%;約3~約10wt%;または約3~約5wt%の量で含む。
【0058】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、式(I)で示される化合物、例えば化合物Aを、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%または約30wt%の量で含む。
【0059】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、式(I)で示される化合物、例えば化合物Aを、10mg~50mg、例えば5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mgの量で含む。さらなる実施態様では、本明細書に記載の組成物は、式(I)で示される化合物を10mg、25mgまたは40mgの量で含む。さらにさらなる実施態様では、該化合物は化合物A、またはその薬学的に許容される塩である。
【0060】
一の態様では、本開示は、
式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩約1~約30wt%;
薬学的希釈剤約55~約75wt%;
圧縮助剤約15~約25wt%;
薬学的崩壊剤約3~約5wt%;
薬学的流動促進剤約0.00~約1wt%;および
薬学的潤滑剤約2~約6wt%
を含む(ここで、該成分は合計で100wt%になる)医薬組成物を提供する。
【0061】
特定の実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aの遊離塩基形態である。
【0062】
本開示の医薬組成物は、ヒトへの経口投与に好適な固体剤形であり得る。
【0063】
特定の実施態様では、本開示の医薬組成物は、医薬錠剤である。医薬錠剤は、例えば本明細書に記載される乾式混合/直接圧縮プロセス(実施例セクションを参照)を包含する、当業者に知られている方法を使用して調製することができる。
【0064】
いくつかの実施態様では、医薬錠剤は、本明細書で定義されている医薬組成物を含む錠剤コアであってコーティングを含む錠剤コアを含む。いくつかの実施態様では、コーティングはフィルムコーティングである。好適なフィルムコーティングは本明細書で論じられている。
【0065】
本開示の医薬組成物は、一の実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤を含む。用語「希釈剤」は、「充填剤」と互換的に使用される。
【0066】
好適な薬学的希釈剤は、医薬製剤科学の技術分野の当業者に知られている。好適な薬学的希釈剤としては、例えば、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、シュークロース、トレハロースおよびキシリトールが挙げられる。
【0067】
一の実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースである。微結晶セルロースは、経口錠剤およびカプセル製剤における結合剤/希釈剤であり、乾式造粒、湿式造粒および庁苦節圧縮プロセスで使用することができる。錠剤希釈剤として使用する場合の典型的な濃度は20~90%である。
【0068】
いくつかの実施態様では、本開示の医薬組成物は、2つ以上の薬学的希釈剤を含む。
【0069】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的希釈剤を、約45~約85wt%、約45~約80wt%、約45~約75wt%、約45~約70wt%、約45~約65wt%、約45~約60wt%、または約45~約55wt%の量で含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は、微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該製剤中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0070】
別の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的希釈剤を、約45~約85wt%、約50~約85wt%、約50~約75wt%、約55~約85wt%、約55~約70wt%、約60~約85wt%、約65~約85wt%、約70~約85wt%、または約75~約85wt%の量で含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は、微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該製剤中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0071】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的希釈剤を、約45wt%、約50wt%、約55wt%、約60wt%、約65wt%、約70wt%、約75wt%、約80wt%または約85wt%の量で含む。
【0072】
特定の実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースである。さらなるこのような実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ポリデキストロース、ポリエチレングリコール、プルラン、シメチコン、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、シュークロース、トレハロースおよびキシリトールを含む。
【0073】
本明細書では、用語「崩壊剤」は、医薬製剤科学の文脈で解釈されることを意図している。したがって、崩壊剤は、例えば、アルギン酸、アルギン酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、キトサン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリシン、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、またはそれらの組合せであり得る。
【0074】
一の実施態様では、1つ以上の崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。一の実施態様における製剤において用いられる濃度(重量%)は、2%~8%である。さらなる実施態様では、該濃度は、約2wt%、約2.5wt%、約3wt%、約3.5wt%、約4wt%または約4.5wt%である。デンプングリコール酸ナトリウムの物理的特性、したがって崩壊剤としてのその有効性は、架橋の程度、カルボキシメチル化の程度、および純度によって影響を受ける。
【0075】
一の実施態様では、1つ以上の薬学的崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムを含む。
【0076】
特定の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的崩壊剤を、約1~約15wt%、約2~約14wt%、約2~約13wt%、約2~約12wt%、約2~約11wt%、約2~約10wt%、約2~約9wt%、約2~約8wt%、約2~約7wt%、約2~約6wt%、約2~約5wt%の量で含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、製剤中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0077】
用語「流動促進剤」は、医薬製剤科学の文脈で解釈されることを意図している。したがって、流動促進剤は、例えば、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよびタルクであり得る。
【0078】
したがって、特定に実施態様では、1つ以上の薬学的流動促進剤(d)は、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、粉末セルロース、疎水性コロイド状シリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウムおよびタルクから選択される1つ以上の薬学的流動促進剤を含む。
【0079】
一の実施態様では、流動促進剤は二酸化ケイ素である。その小さな粒径および大きな比表面積は、錠剤化およびカプセル充填などの多くのプロセスで乾燥粉末の流動特性を改善するために利用される望ましい流動特性を提供する。本明細書で使用するための典型的な二酸化ケイ素濃度は、約0.05~約1.0wt%の範囲である。多孔質シリカゲル粒子も流動促進剤として使用することができ、これは、いくつかの製剤にとって有利であり得、典型的な濃度は0.25~1%である。
【0080】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的流動促進剤を、約0.00~約2wt%;約0.00~約1.75wt%;約0.00~約1.50wt%;約0.00~約1.25wt%;約0.00~約1.00wt%;約0.00~約0.75wt%;約0.00~約0.50wt%;約0.00~約0.25wt%;または約0.00~約0.20wt%の量で含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は、微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該組成物中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0081】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的流動促進剤を、約0.05~約2wt%;約0.05~約1.75wt%;約0.05~約1.50wt%;約0.05~約1.25wt%;約0.05~約1.00wt%;約0.05~約0.75wt%;約0.05~約0.50wt%;約0.05~約0.25wt%;または約0.05~約0.20wt%の量で含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的流動促進剤は、二酸化ケイ素を含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該組成物中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0082】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、1つ以上の薬学的流動促進剤を、約0.00~約2wt%;0.05~約2wt%;0.10~約2wt%;0.2~約2wt%;0.3~約2wt%;または約0.40~約2wt%の量で含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的流動促進剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該組成物中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0083】
用語「潤滑剤」は、明細書で使用される場合、医薬製剤科学の文脈で解釈されることを意図している。したがって、潤滑剤は、例えば、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ビベヘン酸グリセリル、トリベヘニンおよびベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニンおよびステアリン酸亜鉛であり得る。
【0084】
したがって、特定の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤(e)は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ビベヘン酸グリセリル、トリベヘニンおよびベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニンおよびステアリン酸亜鉛から選択される1つ以上の薬学的潤滑剤を含む。
【0085】
他の特定の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤(e)は、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、グリセリンのベヘン酸エステルの混合物(例えば、ビベヘン酸グリセリル、トリベヘニンおよびベヘン酸グリセリルの混合物)、ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸、パルミチン酸、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、トリベヘニンおよびステアリン酸亜鉛から選択される1つ以上の薬学的潤滑剤を含む。
【0086】
化合物Aを含む医薬組成物は、ステアリルフマル酸ナトリウムが潤滑剤である場合に特定の分解物を示す。表8(下記)のデータは、相対保持時間1.03での不純物(すなわち、化合物A-フマル酸塩マイケル付加付加物)が、ステアリルフマル酸ナトリウムが潤滑剤である場合にのみ存在することを示している。いくつかの実施態様では、医薬組成物は、1つ以上の薬学的潤滑剤(e)を含み、該潤滑剤は、ステアリルフマル酸ナトリウムではない。
【0087】
一の実施態様では、本明細書で提供される製剤は、潤滑剤としてベヘン酸グリセロールを含む。
【0088】
本開示の一の実施態様に従って、1つ以上の薬学的潤滑剤(e)は、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはそれらの組合せを含む。
【0089】
一の実施態様では、該潤滑剤は、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組合せである。
【0090】
一の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤は、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび/または1つ以上のグリセリンのベヘン酸エステルを含む。
【0091】
一の実施態様に従って、該医薬組成物は、1つ以上の薬学的潤滑剤を、約1wt%~約10wt%、1wt%~約9wt%、1wt%~約8wt%、1wt%~約7wt%、1wt%~約6wt%、1wt%~約5wt%、約2wt%~約10wt%、約2.5wt%~約10wt%、約2wt%~約8wt%、約2wt%~約7wt%、約2wt%~約6wt%、約2wt%~約5wt%、約2wt%~約4.5wt%、または約2.5wt%~約4.5wt%の量で含む。さらなる実施態様では、該組成物中の1つ以上の薬学的潤滑剤はベヘン酸グリセロールである。さらなる実施態様では、該組成物中の1つ以上の薬学的流動促進剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施態様では、該組成物中の1つ以上の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該組成物中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0092】
別の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤(e)は、ステアリルフマル酸ナトリウムおよび/または1つ以上のグリセリンのベヘン酸エステルまたはそれらの混合物からなる。
【0093】
別の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤(e)は、ステアリルフマル酸ナトリウム、ジベヘン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、トリベヘニンまたはそれらの混合物からなる。
【0094】
一の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤は、ステアリルフマル酸ナトリウムを含む。別の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤は、ステアリルフマル酸ナトリウムからなる。
【0095】
一の実施態様では、1つ以上の薬学的潤滑剤は、1つ以上のグリセリンのベヘン酸エステル(すなわち、ジベヘン酸グリセリル、トリベヘニンおよびベヘン酸グリセリルの1つ以上)を含む。
【0096】
一の実施態様では、本明細書で提供される製剤は、圧縮助剤を含む。さらなる実施態様では、圧縮助剤はリン酸二カルシウム・二水和物、二塩基性リン酸カルシウム・二水和物(DCPD)である。DCPDは、賦形剤として、また栄養補助食品中のカルシウムおよびリンの供給源として、錠剤製剤に使用される。
【0097】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、圧縮助剤、例えばDCPDを、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%または約24wt%を含む約10~約30wt%の量で含む。さらなる実施態様では、圧縮助剤は約20%(wt%)で存在する。
【0098】
一の実施態様では、本明細書に記載の組成物は、圧縮助剤、例えばDCPDを、約10~約25wt%、約10~約20wt%、約10~約15wt%、約15~約25wt%、または約20~約25wt%の量で含む。さらなる実施態様では、該組成物中の1つ以上の薬学的潤滑剤はベヘン酸グリセロールである。さらなる実施態様では、該組成物中の1つ以上の薬学的流動促進剤は二酸化ケイ素を含む。さらなる実施態様では、該組成物中の1つ以上の薬学的崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。さらなる実施態様では、1つ以上の薬学的希釈剤は微結晶セルロースを含む。さらにさらなる実施態様では、該組成物中のAPIは化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。
【0099】
一の実施態様では、本明細書で提供される組成物は、錠剤であり、フィルムコーティングを有する。該フィルムコーティングは、当業者に知られている慣用方法を使用して適用することができる。機能性コーティングは、例えば、湿気侵入または光劣化に対する保護を提供するため、製剤を着色するために使用することができる。さらに、機能性コーティングは、組成物からのAPIの放出を改変または制御するために使用することができる。
【0100】
改変および制御放出コーティングは、当業者に知られており、例えば、腸溶コーティング(例えば、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、pH感受性メタクリル酸/メチルメタクリレート30コポリマー、シェラック、およびそれらの混合物)、逆腸溶コーティング(例えば、マルトリン(maltrin)、オイドラギット(Eudragit(登録商標)(タイプEl 00またはEPO)の商品名で入手可能なアミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、例えば、三共株式会社(東京(日本))から入手可能なAEA(登録商標)など;およびそれらの混合物)および水不溶性ポリマーコーティング(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、中性メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(例えば、Eudragit RL、RS、およびNE30Dなど)、およびそれらの混合物)が挙げられる。
【0101】
本開示による組成物に適用することができる好適なコーティング、例えばフィルムコーティングは、フィルム形成剤、例えば糖、またはより特にフィルム形成ポリマーを含む。好適な糖衣は、当業者に周知であり、例えばシュークロースまたはラクトースを副宇ことができる。
【0102】
一の実施態様では、該フィルムコーティングは、ヒプロメロース、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ならびに赤色酸化鉄、黄色酸化鉄および黒色酸化鉄の混合物、例えば、Aquarius Prime Brown BAP 312542(Ashland)の商品名で販売されている混合物を含む。
【0103】
他の好適なフィルムコーティングは、組成物に適用する前に水および所望によりHPMCのようなセルロースエーテルおよびポリエチレングリコールのような可塑剤で希釈することができる濃縮物として市販されている。このような濃縮物としては、ColorconからのOpasprayTMコーティング、例えば、OpasprayTM Brown M-1-25092およびOpaspray Yellow M-1-22842が挙げられる。
【0104】
好適なフィルム形成剤としては、例えばフィルム形成ポリマー、例えばセルロースエーテル、エステル、およびエーテルとエステルの混合物が挙げられ、水溶性セルロースエーテルのエステル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;フィルム形成アクリルポリマー、例えばメタクリレート-メチルメタクリレートコポリマー;ならびにフィルム形成ビニルポリマー、例えばポリビニルアルコールまたはポリビニルアセテートフタレートを含む。いくつかの実施態様では、フィルム形成ポリマーは、水溶性フィルム形成ポリマー、特に水溶性セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(特に2~18cPの動的粘度(20℃の2%w/v溶液中で測定)を有し、例えば上記で定義したグレード1828、2208、2906、および特に2910から選択される、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である。使用されるフィルム形成剤の量は、フィルムコーティングの所望の特性に依存し、所望の特性を達成するために必要な特定の量は、当業者によって選択され得る。一般に、フィルム形成剤は、フィルムコーティングの40~90重量%、例えば、フィルムコーティングの50~80重量%の量で存在する。特定の実施態様では、フィルム形成剤は、典型的には、製剤の約0.5~5重量%で存在する。他の実施態様では、前記フィルム形成剤は、製剤の約2.5~5重量%で存在する。
【0105】
所望により、フィルムコーティングは、可塑剤、着色料、分散助剤および乳白剤などのさらなる成分を含有する。可塑剤は、フィルムの可撓性および耐久性、ならびにフィルムコーティングの粘着特性を改善するために使用することができる。好適な可塑剤としては、例えば、グリセリン、アセチル化モノグリセリド、クエン酸エステル(例えば、クエン酸トリエチル)、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(例えば、分子量200~500、特に300のポリエチレングリコール)、トリアセチン(三酢酸グリセロール)、トリグリセリド(例:ヒマシ油)、またはフタル酸エステル(例えば、ジエチルフタレート)が挙げられる。一般に、可塑剤は、使用される場合、フィルムコーティングの1~20重量%、例えば5~15重量%の量で存在する。
【0106】
好適な乳白剤および着色料は、周知であり、例えば、二酸化チタン、酸化第二鉄(例えば、酸化鉄)が挙げられる。
【0107】
好適な分散助剤としては、例えば、タルクが挙げられる。
【0108】
いくつかの実施態様では、フィルムコーティングは、
(i) 水溶性セルロースエーテル(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に2~18cPの動的粘度(20℃の2%w/v溶液中で測定)を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えば、5~7cPの動的粘度を有する上記で定義したグレード2910、1828、2208または2906) 50~100(例えば、50~80)部;
(ii) 可塑剤(例えば、ポリエチレングリコール、例えば、分子量200~500のポリエチレングリコール) 0~25(特に5~20部)部;および
(iii) 乳白剤(例えば、二酸化チタン)、着色料(例えば、酸化鉄)および分散助剤の合計 0~50(特に0~30)部
を含み、ここで、全ての部は、重量によるものであり、部の総計(i)+(ii)+(iii)=100である。
【0109】
コーティングは、例えば、組成物の0.5~10wt%、例えば、約1~6%、または約2~5wt%を含み得る。
【0110】
本明細書で提供される組成物の1つ以上は、一の実施態様では、必要とする患者において気道の閉塞性疾患を治療するために使用される。気道の閉塞性疾患は、一の実施態様では、間欠性および持続性の両方ならびに全ての重症度の、喘息(気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、運動誘発性喘息、薬物誘発性喘息(アスピリン誘発性およびNSAID誘発性を含む)および粉塵喘息を含む)、ならびに気道過敏症の他の原因;慢性閉塞性肺疾患(COPD);気管支炎(感染性気管支炎および好酸球性気管支炎を含む);肺気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス;α1アンチトリプシン欠乏症;農夫肺および関連疾患;過敏性肺炎;肺線維症(特発性線維化性肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗悪性腫瘍療法および慢性感染症(結核およびアスペルギルス症ならびに他の真菌感染症を含む)を合併した線維症を含む);肺移植の合併症;肺脈管構造の血管炎性障害および血栓性障害、および肺高血圧症;気道の炎症性および分泌性状態に関連する慢性咳嗽、および医原性咳嗽の治療を含む鎮咳作用;急性および慢性鼻炎(薬物性鼻炎および血管運動性鼻炎を含む);通年性および季節性のアレルギー性鼻炎(神経性鼻炎(枯草熱)を含む);鼻ポリポーシス;急性ウイルス感染症(風邪、ならびに呼吸器多核体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)およびアデノウイルスに起因する感染症を含む)、急性肺損傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、ならびに上記の吸気疾患状態のそれぞれの増悪である。一の実施態様では、該組成物は化合物Aの有効量を含む。
【0111】
一の実施態様では、治療は、喘息(例えば、気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息または粉塵喘息、特に慢性喘息または難治性喘息(例えば、遅発型喘息または気道過敏症))、慢性閉塞性肺疾患(COPD)またはアレルギー性鼻炎の治療である。
【0112】
本明細書で提供される組成物は、一の実施態様では、治療を必要とする気管支拡張症患者に経口投与することができる。気管支拡張症は、嚢胞性線維症の患者、または嚢胞性線維症ではない患者(しばしば「嚢胞性線維症と無関係の気管支拡張症」または「非CF気管支拡張症」と称される)におけるものであり得る。投与スケジュールは、方法の使用者、例えば処方医が決定することができる。一の実施態様では、投与は1日1回である。別の実施態様では、投与は1日2回である。別の実施態様では、投与は1日おき、週3回または週4回である。
【0113】
非CF気管支拡張症は、遺伝性疾患から気道異物遺残へと多岐にわたる多数の病因に起因または関連することが報告されており、全身性疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような一般的な呼吸器疾患、およびサルコイドーシスのような珍しい疾患の患者に存在することが報告されている(Chang and Bilton (2008). Thorax 63, pp. 269-276(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。
【0114】
気管支拡張症は、多くの疾患過程から生じる病理学的エンドポイントと見なされており、拡張した厚壁気管支を特徴とする持続性または進行性の状態である。症状は、影響を受ける肺の領域に限局した喀痰および感染の間欠性エピソードから、しばしば大量の膿性痰の持続的な毎日の喀痰までさまざまである。気管支拡張症は、他の非特異的な呼吸器症状と関連している可能性がある。理論に拘束されることを望まずに、気管支拡張症の根底にある病理学的プロセスは、炎症がプロセスの中心であるイベントまたは一連のイベントに起因する気道への損傷として報告されている(Guideline for non-CF Bronchiectasis, Thorax, July 2010, V. 65(Suppl 1)(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。式(I)で示される化合物を使用して気管支拡張症を治療する方法は、米国特許出願公開第2018/0028541号に記載されている(これは、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0115】
一の実施態様における用語「治療すること」とは、(1)様態(state)、障害または状態に苦しむ可能性があるかまたはその素因がある可能性があるが、様態、障害または状態の臨床症状または不顕性症状をまだ経験していないかまたは呈していない患者において発症する様態、障害または状態の臨床症状の出現を予防することまたは遅延させること;(2)様態、障害または状態を阻害すること(例えば、少なくとも1つの臨床症状もしくは不顕性症状の疾患の発症、または維持治療の場合にはその再発を抑止、軽減または遅延させること);(3)状態を緩和すること(例えば、様態、障害もしくは状態、またはその臨床症状もしくは不顕性症状の少なくとも1つの退行を引き起こすこと)を含む。一の実施態様では、臨床症状は、肺の悪化および/または(4)気管支拡張症、例えば、非CF気管支拡張症の予防である。
【0116】
予防は、特に、気管支拡張症の以前のエピソードに苦しんでいるかまたはそうでなければ気管支拡張症のリスクが高いと考えられている人の治療に関連すると予想される。したがって、本発明の一の実施態様では、必要とする患者に気管支拡張症の予防を提供するための方法が提供される。必要とする患者は、一の実施態様では、気管支拡張症の以前のエピソードに苦しんでいるかまたは気管支拡張症と診断されるリスクが高い。この方法は、本明細書で提供される組成物の1つを患者に投与することを含む。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0117】
本明細書で使用される場合、「肺増悪」は、患者が少なくとも48時間呈する以下の症状のうちの3つ以上である:(1)咳の増加;(2)喀痰量の増加または喀痰粘稠度の変化;(3)喀痰膿性の増加;(4)息切れの増加および/または運動耐容能の低下;(5)疲労および/または倦怠感;(6)喀血。一の実施態様では、3つ以上の症状は、症状を示す患者に抗生物質を処方するという医師の決定をもたらす。
【0118】
一の実施態様では、本明細書で提供される組成物を投与することによる治療は、未治療の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、肺増悪までの時間の長さを増加させることを含む。例えば、いくつかの実施態様では、肺増悪までの時間の長さは、未治療の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、少なくとも約20日増加する。他の実施形態では、肺増悪までの時間の長さは、未治療の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約20日~約100日増加する。別の実施態様では、肺増悪までの時間の長さは、未治療の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約25~約100日、約30~約100日、約35~約100日、または約40~約100日増加する。他の実施態様では、増加は、未治療の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約25~約75日、約30~約75日、約35~約75日、または約40~約75日である。他の実施態様では、肺増悪までの時間の増加は、未治療の気管支拡張症患者における肺増悪までの時間の長さと比較して、約30~約60日である。さらなる実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0119】
一の実施態様では、肺増悪間の時間の増加は、約1日、約3日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間または約6週間の増加、または少なくとも約1日、少なくとも約3日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間または少なくとも約6週間の増加を含む。別の実施態様では、増加は、約20日~約100日、または約30日~約100日、約20日~約75日、または約20日~約50日、または約20日~約40日の増加を含む。さらなる実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0120】
さらに別の実施態様では、治療を必要とする患者に本明細書で提供される組成物の1つを投与することを含む、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の治療方法が提供される。一の実施態様では、化合物は1日1回投与される。治療は、治療前に患者が経験した肺増悪の割合と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、肺増悪の割合を低下させることを含む。肺増悪の割合は、増悪の数を、特定の期間、例えば、1日、1週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約9か月、約12か月、約15か月、約18か月、約21か月、または約24か月で割ることによって、算出することができる。増悪の割合の低下は、一の実施態様では、治療前に患者が経験した肺増悪の割合と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%または約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%、少なくとも約70%の低下である。
【0121】
別の実施態様では、増悪の割合の低下は、一の実施態様では、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%の低下である。一の実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0122】
さらに別の実施態様では、治療を必要とする患者に、本明細書で提供される組成物の1つを投与することを含む、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の治療方法が提供される。一の実施態様では、化合物は1日1回投与される。該方法は、治療前に患者が経験した肺増悪の期間と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、肺増悪の期間を減少させることを含む。肺増悪の期間減少は、約12時間、約24時間、約48時間または約72時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約120時間、少なくとも約144時間、または少なくとも約168時間の期間減少である。別の実施態様では、肺増悪の期間減少は、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の期間減少である。さらに別の実施態様では、肺増悪の期間減少は、約1日~約1週間、約2日~約1週間、約3日~約1週間、約4日~約1週間、約5日~約1週間、または約6日~約1週間の期間減少である。さらに別の実施態様では、肺増悪の期間減少は、約1日~約2週間、約2日~約2週間、約4日~約2週間、約6日~約2週間、約8日~約2週間、または約10日~約2週間の期間減少である。
【0123】
期間減少は、別の実施態様では、約6時間~約96時間、約12時間~約96時間、約24時間~約96時間、約48時間~約96時間、または約48時間~約168時間の減少である。
【0124】
一の実施態様における期間減少は、治療の間に経験した増悪の平均減少である。さらなる実施態様では、組成物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量を含む。
【0125】
別の実施態様では、治療を必要とする患者に、本明細書で提供される組成物を投与することを含む、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の治療方法が提供される。一の実施態様では、化合物は、1日1回、経口投与される。この実施態様では、治療は、治療前の患者の肺増悪関連入院回数と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、患者の肺増悪関連入院回数を減少させることを含む。入院回数は、一の実施態様では、治療期間にわたって測定され、治療前または未治療の気管支拡張症患者における同期間と比較される。さらなる実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0126】
本明細書で提供される方法の一の実施態様では、必要とする患者に本明細書で提供される組成物の1つを投与することを含む、気管支拡張症、例えば非CF気管支拡張症の治療方法であって、治療前の患者の肺機能と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、患者の肺機能を増大させることを含む、方法が提供される。一の実施態様では、組成物中の化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0127】
一の実施態様における肺機能の増大は、スパイロメトリーによって測定される。
【0128】
肺機能増大は、一の実施態様では、治療前の各値と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、気管支拡張薬後の1秒間の強制呼気量(FEV1)を増加させること、強制肺活量(FVC)を増加させること、最大呼気流速(PEFR)を増加させること、または25%~75%のFVCの強制呼気流量(FEF25-75)を増加させることを含む。増加は、一の実施態様では、各値の約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%である。増加は、一の実施態様では、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%または少なくとも約50%である。さらに別の実施態様では、増加は、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%または約5%~約20%である。さらに別の実施態様では、増加は、約10%~約50%、約15%~約50%、約20%~約50%または約25%~約50%である。
【0129】
一の実施態様では、例えばFEV1、PEFRまたはFEF25-75測定を介した、肺機能の評価は、治療前、例えば治療直前の患者の肺機能を、治療中の時点、治療中に取られた測定値の平均値、または治療が終了した後と比較することを含む。
【0130】
本明細書で提供されるように、一の実施態様では、本発明の方法による治療は、患者の肺機能を改善することを含み、ここで該肺機能はスパイロメトリーによって測定される。スパイロメトリーは、個人がどのように大量の空気を吸息または呼息するかを測定する生理学的検査である。スパイロメトリーで測定される主信号は、体積または流量であり得る。本明細書に記載の方法において、スパイロメトリー(例えば、FEV1、FVC、PEFRおよびFEF25-75)による肺機能検査(PFT)は、米国胸部学会(American Thoracic Society)(ATS)/欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)(ERS)基準に従って、例えばMilllerら(Miller et al. (2005). Standardization of Spirometry. Eur. Respir. J. 26, pp. 319-38(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))によって記載されるように、実施される。
【0131】
一の実施態様では、スパイロメータは、15秒以上、例えば、20秒以上、25秒以上、30秒以上、35秒以上の間、体積を蓄積することができる。一の実施態様におけるスパイロメータは、0~14L・s-1の間の流量で、少なくとも読み取り値の±3%または±0.050Lのいずれか大きい方の精度で、≧8Lの体積を測定することができる(BTPS)。一の実施態様では、14L・s-1でのスパイロメータの気流に対する総抵抗は、<1.5cmH2O・L-1・s-1(0.15kPa・L-1・s-1)である。一の実施態様では、スパイロメータの総抵抗は、患者とスパイロメーターとの間に挿入されてもよいチューブ、バルブ、プレフィルターなどを含めて測定される。水蒸気の凝縮に起因する抵抗の変化を示す装置に関して、一の実施態様では、スパイロメータの精度要件は、BTPS(体温、周囲圧力、水蒸気で飽和)条件下で、装置からの吸気(inspiration)なしで10分間に実行される最大8つの連続したFVC手技(maneuver)について満たされる。
【0132】
本明細書に記載された強制呼気手技に関して、一の実施態様では、Millerら(Miller et al. (2005). Standardization of Spirometry. Eur. Respir. J. 26, pp. 319-38(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))の表6に記載されているような範囲および精度の推奨事項が満たされている。
【0133】
一の実施態様では、肺機能の改善とは、強制肺活量(FVC)、すなわち、最大吸気から最大強制努力で呼息した最大空気量の改善である。この測定値は、体温および水蒸気で飽和した周囲圧力(BTPS)でのリットルで表される。
【0134】
「強制肺活量」(FVC)は、完全な吸気の位置から始まって完全な呼気で終わる強制呼気の間に呼息される気体の量を示し、治療効果の1つの尺度である。本明細書で提供される方法の一の実施態様では、患者の肺機能を改善することは、治療前の患者のFVCと比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、患者のFVCを改善することを含む。一の実施態様では、治療した患者のFVCは、治療前の患者のFVCと比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、約1%多い、約2%多い、約3%多い、約4%多い、約5%多い、約6%多い、約7%多い、約8%多い、約9%多い、約10%多い、約11%多い、約12%多い、約13%多い、約14%多い、約15%多い、約16%多い、約17%多い、約18%多い、約19%多い、約20%多い、約25%多い、約30%多い、約35%多い、約40%多い、約45%多い、約50%多い、約55%多い、約60%多い、約65%多い、約70%多い、約75%多い、約80%多い、約85%多い、または約90%多い。
【0135】
FVC手技は、当業者に知られている手順に従って実行することができる。簡単に言うと、FVC手技の3つの異なるフェーズは、(1)最大呼気;(2)呼息の「ブラスト(blast)」;および(3)テストの終わり(EOT)まで継続する完全な呼息である。手技は、閉回路法または開回路法を介して実行することができる。いずれの場合も、被験者は迅速かつ完全に吸入し、総肺気量(TLC)で1秒未満休止する。次に、被験者は、直立姿勢を維持しながら空気を排出できなくなるまで最大限に呼息する。呼息は、肺からの空気の「ブラスト」から始まり、完全に呼息することが促される。被験者の熱心なコーチングは、最低3回の手技の間継続される。
【0136】
一の実施態様では、肺機能の改善は、治療直前の肺機能と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、改善することである。さらなる実施態様では、肺機能の改善は、治療前の患者の1秒間の強制呼気量(FEV1)と比較して、または未治療の気管支拡張症患者のFEV1と比較して、患者のFEV1を増加させることを含む。FEVは、強制肺活量手技の開始から所定時間(典型的には1秒、すなわちFEV1)で呼息する気体の量である(Quanjer et al. (1993). Eur. Respir. J. 6, Suppl. 16, pp. 5-40(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。
【0137】
一の実施態様では、FEV1の増加は、少なくとも約5%、例えば、約5%~約50%、または約10%~約50%、または約15%~約50%の増加である。別の実施態様では、治療した患者のFEV1は、治療前の患者のFEV1と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、約1%多い、約2%多い、約3%多い、約4%多い、約5%多い、約6%多い、約7%多い、約8%多い、約9%多い、約10%多い、約11%多い、約12%多い、約13%多い、約14%多い、約15%多い、約16%多い、約17%多い、約18%多い、約19%多い、約20%多い、約25%多い、約30%多い、約35%多い、約40%多い、約45%多い、約50%多い、約55%多い、約60%多い、約65%多い、約70%多い、約75%多い、約80%多い、約85%多い、または約90%多い。
【0138】
別の実施態様では、肺機能改善は、治療前の患者のFEV1と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、患者のFEV1を、約25mL~約500mL、または約25mL~約250mL、または約50mL~約200mL増加させることを含む。
【0139】
一の実施態様では、肺機能改善は、治療前の患者のFVCの25%~75%の平均強制呼気流量(FEF25-75)(最大中間呼気流量とも称される)と比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、患者のFEF25-75を改善することを含む。測定は、FVC測定の有効性および呼気努力のレベルに依存する。FEF25-75指数は、FEV1およびFVCの合計が最大となる一撃(the blow)から取得される。
【0140】
一の実施態様では、肺機能改善は、患者の最大呼気流速(PEFR)の改善を含む。該改善は、治療直前のPEFRと比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較しての改善である。PEFRは、被験者が呼気することができる最速の空気速度を測定する。一の実施態様では、治療した患者のPEFRは、治療前の患者のPEFRと比較して、または未治療の気管支拡張症患者と比較して、約1%大きい、約2%大きい、約3%大きい、約4%大きい、約5%大きい、約6%大きい、約7%大きい、約8%大きい、約9%大きい、約10%大きい、約11%大きい、約12%大きい、約13%大きい、約14%大きい、約15%大きい、約16%大きい、約17%大きい、約18%大きい、約19%大きい、約20%大きい、約25%大きい、約30%大きい、約35%大きい、約40%大きい、約45%大きい、約50%大きい、約55%大きい、約60%大きい、約65%大きい、約70%大きい、約75%大きい、約80%大きい、約85%大きい、または約90%大きい。
【0141】
本発明のさらに別の実施態様では、必要とする患者に、本明細書で提供される組成物の1つを投与することを含む、気管支拡張症の治療方法であって、治療が、治療前の患者のクオリティ・オブ・ライフと比較して、例えばベースライン値と比較して、患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を増大させることを含む、方法が提供される。さらなる実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0142】
一の実施態様では、患者のQOLは、クオリティ・オブ・ライフ-気管支拡張症(QOL-B)質問票によって評価される。QOL-B質問票は、気管支拡張症を有する被験者について症状、機能および健康関連QOLを評価する有効な自己記入式患者報告アウトカム(PRO)である(Quittner et al. (2014). Chest 146(2), pp. 437-448;Quittner et al. (2015) Thorax 70(1), pp. 12-20(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。QOL-Bには、8つのドメイン(呼吸器症状、身体機能、役割機能、感情的機能、社会的機能、活力、健康認識および治療負担)で37の項目が含まれている。
【0143】
別の実施態様では、患者のQOLは、レスター咳質問票(Leicester Cough Questionnaire)(LCQ)によって評価される。一の実施態様におけるQOLの改善は、患者のLCQスコアのベースライン(治療前)からの変化である。LCQは、気管支拡張症および咳が一般的な症状である他の状態を有する被験者においてQOLで咳を評価する有効な質問票である(Murray et al. (2009). Eur Respir J. 34: 125-131(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。LCQは、19の項目を含んでおり、5~10分で完了する。各項目は、過去2週間の症状または症状の影響を7ポイントLikert尺度で評価する。3つのドメイン(身体的、心理的および社会的)のスコアは、各ドメインの平均値として算出される(範囲1~7)。ドメインのスコアを合計して合計スコアを算出する(範囲3~21)。スコアが高いほどQOLが良いことを示す。
【0144】
別の実施態様では、患者のQOLは、セントジョージ呼吸器質問票(St. George’s Respiratory Questionnaire)(SGRQ)によって評価される。一の実施態様におけるQOLの改善は、患者のSGRQスコアのベースライン(治療前)からの変化である。セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)は、慢性気流制限を有する被験者の健康関連の健康状態を測定し、定量化するように設計された50の質問で自己記入される(Jones et al. (1991). Respir Med. 85 Suppl B 25-31; discussion 33-7(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。SGRQは、3つの健康ドメイン:(1)症状(呼吸器症状によって引き起こされる窮迫)、(2)活動性(運動性および身体活動に対する障害の影響)、(3)影響(雇用、個人的な健康管理、投薬の必要性などの要因に対する疾患の影響)を評価することにより、健康関連クオリティ・オブ・ライフを評価する。喘息およびCOPDの被験者において、3つのドメインの確立された尺度とよく相関することが示されている。また、NCFBEでの使用についても検証されている。複合合計スコアは、症状、活動性および影響のドメインスコアの合計として導出され、0が可能な限り最高のスコアであり、100が可能な限り最悪のスコアである。4単位のスコアの低下は、一般的に臨床的に意味のあるQOLの改善として認識される。
【0145】
本明細書で提供される気管支拡張症の治療方法の別の実施態様では、本明細書で提供される組成物の1つが必要とする患者に投与され、ここで、該方法は、治療前の患者の好中球エラスターゼ(NE)痰濃度と比較して、活性NE痰濃度を減少させることを含む。一の実施態様では、式(I)で示される化合物を含む組成物は、経口投与によって投与される。さらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日おき、週2回、週3回または週4回である。さらなる実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0146】
一の実施態様では、活性NE痰濃度の減少は、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%減少することを含む。別の実施態様では、活性NE痰濃度の減少は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約80%減少することを含む。
【0147】
本明細書で提供される気管支拡張症の治療方法のさらに別の実施態様では、本明細書で提供される組成物の1つが該治療を必要とする患者に投与され、この方法は、Murray 2009の喀痰カラーチャート(Murray et al. (2009). Eur Respir J. 2009; 34:361-364(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))によって測定されるように、治療前の患者の喀痰の色と比較して、患者の喀痰の色を明化すること(lightening)を含む。一の実施態様では、式(I)で示される化合物を含む組成物は、経口投与によって投与される。さらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日おき、週2回、週3回または週4回である。一の実施態様では、組成物中の化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩の有効量である。
【0148】
一の実施態様では、色の明化(lightening)は、単一諧調によって明るくなることである。例えば、一の実施態様では、明化は、化膿性(暗黄色(dark yellow)および/または暗緑色(dark green))から粘液膿性(淡黄色(pale yellow)および/または淡緑色(pale green))への明化である。別の実施態様では、明化は、粘液膿性(淡黄色および/または淡緑色)から粘液性(透明)への明化である。
【0149】
別の実施態様では、色の変化は、2諧調の明化であり、すなわち、明化は、化膿性(暗黄色および/または暗緑色)から粘液性(透明)への明化である。
【0150】
患者が自分自身で痰を生成できない場合、喀痰誘導が行われる。一の実施態様では、喀痰誘導は、生理食塩水の患者ネブライゼーションを介して開始される。生理食塩水の割合、例えば3%または7%または10%または13%は、使用者の方法選好(the user of the method's preference)に基づいて決定される。選択した生理食塩水はネブライザーに入れられ、被験者は座位またはセミファーラー位(semi-fowler position)である。一の実施態様における被験者は、ネブライゼーションの間じゅう、ノーズクリップを着用する。被験者は、ネブライザーマウスピースを通してゆっくりと深く呼吸して塩水ミストを吸入する。被験者は、急速に呼吸をするのではなく、ゆっくりと深呼吸をし、粒子の沈着を可能にするために最大吸気時に一時停止することを思い出させられる。一の実施態様におけるネブライゼーション時間は10分である。
【0151】
ネブライゼーションの終わりに、被験者は、数回深呼吸し、口中の余分な唾液を飲み込み、咳をして喀痰サンプルを吐き出すことを試みるように指示される。被験者は、深く咳き込む方法(deep coughing method)および/または「ハフィング」咳法を使用して力強く咳をすることが奨励される。全ての喀痰を検体容器に入れる。回収した痰の量、例えば、1mL未満、2mL未満、または3mL未満が十分でない場合は、この手順を繰り返すことができる。
【0152】
一の実施態様では、本明細書で提供される組成物は、ANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)の治療を必要とする患者に経口投与することができる。式(I)で示される化合物を用いるANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)の治療方法は米国出願第16/269,191号(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている。
【0153】
GPAは、小血管の希少な全身性自己免疫性壊死性肉芽腫性炎症および全身性血管炎である(Pagnoux (2016). Eur J Rheumatol. 3(3), pp. 122-33;Schoenermarck et al. (2015). Nephrol Dial Transplant. 2015;30(Suppl1): i46-52(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。最も一般的には、上気道および/または下気道、腎臓、皮膚ならびに末梢神経に影響を及ぼす。GPAの病理発生には、好中球およびANCAが関与している。GPAを有するほとんどの患者では、ANCAは膜結合PR3(mPR3)に結合し、活性NSP(PR3、NEおよびCatG)を含むROSおよびプロテアーゼの放出を伴う好中球活性化を引き起こす。この細胞外タンパク質分解活性は、GPA患者で観察される内皮細胞の血管壊死の一因となる(Jerke et al. (2015). Kidney Int. 88(4):764-775;Kettritz (2016). Immunol Rev. 273(1): 232-248(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。
【0154】
治療せずに放置すると、GPAは、多臓器不全による死亡につながる重篤で進行性の疾患である(Millet et al. (2013). Ann Rheum Dis. 72(8):1273-9; Yates and Watts (2017). Clin Med (Lond). 17(1):60-64(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。標準的な治療法としては、シクロホスファミドのような細胞毒性免疫抑制剤および最近ではリツキシマブと、高用量の糖質コルチコイドとの併用が挙げられる。治療にもかかわらず、疾患の再発は一般的であり(Guillevin et al. (2014). N Engl J Med. 371(19): 1771-80;Jayne et al. (2003). N Engl J Med. 2003;349(1):36-44;Pagnoux et al. (2008). N Engl J Med. 359(26):2790-2803(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))、死亡率は高いままである(Heijl et al. (2017). RMD open; Volume 3, Issue 1, p:e000435; Pearce et al. (2017). Rheumatology (Oxford). 56(4):589-96(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。さらに、全身毒性のため、現行療法の安全域は狭い。まとめると、依然として、GPAの適切な治療について、特に寛解維持について、満たされていない高い必要性がある。この未解決の満たされていない必要性は、本発明の方法によって達成され得るような新規の治療戦略を開発する必要性を強調している。
【0155】
いくつかの実施態様では、本明細書で提供される方法は、GPAおよび/またはMPAなどであるがこれらに限定されないANCA関連血管炎を治療するための方法において、式(I)で示される、リソソームシステインプロテアーゼであるジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)可逆的阻害剤を使用する。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書で提供される方法により投与される式(I)で示される化合物は、DPP1の上流阻害を介したPR3活性化の阻害を介して有益な効果を有すると考えられる。理論に拘束されることを望むものではないが、DPP1の阻害は、好中球の脱顆粒中に放出に利用できる活性化されたNSPの量を減少させる。さらにまた、PR3活性化の阻害は、次に、PR3相互作用および好中球膜表面(mPR3)での発現の欠如をもたらす。減少したmPR3は、次に、PR3特異的ANCAが結合することができる標的を制限し得、次に、好中球の活性化を弱める。さらに、理論に拘束されることを望むものではないが、MPA患者の自己抗体は表面PR3に結合し、および/またはNSP放出とその後の組織損傷を刺激するため、好中球に対する化合物Aの薬理学的効果は、NSPの活性を低下させて好中球の脱顆粒後の組織損傷を減少させることによって、MPAおよび他のミエロペルオキシダーゼ(MPO)-ANCA関連障害を治療し得る。
【0156】
炎症部位での好中球活性化の際に細胞外環境に豊富に分泌される3つのNSPは、活性酸素種と組み合わせて作用して、ファゴリソソーム内に貪食された微生物の分解を助けると考えられている。放出されたプロテアーゼの一部は原形質膜の外面に活性型で結合したままであるため、可溶性NSPおよび膜結合型NSPの両方が、ケモカイン、サイトカイン、成長因子および細胞表面受容体などのさまざまな生体分子の活性を調節することができる。調節は、それぞれの生体分子を活性型に変換することによって、またはタンパク質切断により生体分子を分解することによって、生じると考えられている。分泌されたプロテアーゼは、粘液分泌を刺激し、粘液線毛クリアランスを阻害することができるが、リンパ球を活性化し、アポトーシス分子および粘着分子を切断することもできる(Bank and Ansorge (2001). J Leukoc Biol. 69, pp. 197-206;Pham (2006). Nat Rev Immunol. 6, pp. 541-550;Meyer-Hoffert (2009). Front Biosci. 14, pp. 3409-3418;Voynow et al. (2004). Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 287, pp. L1293-302(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。
【0157】
いくつかの実施態様では、本明細書で提供される治療方法は、ANCA関連血管炎の治療を必要とする患者への、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物の投与を含む。一の実施態様では、式(I)で示される化合物の有効量を含む組成物は、経口投与される。一の実施態様では、該化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。さらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0158】
本明細書で提供される治療方法の一の実施態様では、ANCA関連血管炎について患者を治療することは、治療前のバーミンガム血管炎活動性スコア(Birmingham Vasculitis Activity Score)(BVAS)と比較して、患者のBVASを減少させることを含む(Suppiah et al. (2011). Rheumatology 50, pp. 899-905;Mukhtyar et al (2009). “Modification and validation of the Birmingham Vasculitis Activity Score (version 3) ARD 2009 68:1827(それぞれ、すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。一の実施態様におけるこのような減少は、0への減少、すなわち、治療がANCA関連血管炎の寛解を達成した場合であり得る。
【0159】
別の実施態様では、患者の治療は、BVASスコアを0に維持すること、すなわち寛解を維持することを含む。BVASスコアは、さまざまな全身性血管炎の患者の疾患活動性を測定し、活動性血管炎の存在に起因する異常をスコアリングするSelga et al. (2006). Rheumatology 45, pp. 1276-1281(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0160】
BVAS評価フォームは、9つのグループおよび「その他」のセクションで特徴付けられる56の疾患項目を含む。BVAS評価フォームの項目は、活動性血管炎に起因する場合にのみカウントされる。可能な最大スコアは63である。スコア0は疾患の寛解を示し、1以上のスコアは活動性疾患状態を示す(Suppiah et al. (2011). Rheumatology 50, pp. 899-905(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする))。
【0161】
一の実施態様では、ANCA関連血管炎は顕微鏡的多発血管炎(MPA)であり、MPA寛解中の患者を治療するためおよび患者における寛解を維持するための方法が提供される。該方法は、該患者に、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物を投与することを含む。一の実施態様では、寛解は、治療前のBVASスコア0および治療中または治療後のBVASスコア0によって測定される。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は、経口投与される。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。一の実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0162】
一の実施態様では、ANCA関連血管炎は顕微鏡的多発血管炎(MPA)であり、MPA患者を治療する方法は、患者のBVASスコアを1以上から0に減少させることを含む。該方法は、該患者に、式(I)で示される化合物の有効量を含む組成物を投与することを含む。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は、経口投与される。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0163】
一の実施態様では、ANCA関連血管炎は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)であり、GPAの治療を必要とする患者におけるGPAの治療方法が提供される。該患者は、例えばウェゲナー肉芽腫に特異的なバーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS/WG)によって測定されるように、活動性疾患状態であっても寛解中であってもよい。Stone et al. (2001). A disease-specific activity index for Wegener’s Granulomatosis. Arthritis & Rheumatism 44(4), pp. 912-920(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0164】
BVAS/WG評価フォームは、以下のものを含んでいる:(1)9つのグループに分類される34の別個の疾患項目;(2)「その他」のセクション;(3)15の重要な項目(すなわち、患者の生命または重要な臓器の機能に対する差し迫った脅威を構成する項目)によるアスタリスク;(4)新しい/悪いまたは持続性の疾患を示すチェックボックス;(5)スコアを合計する欄;(6)疾患状態を指定するセクション;(7)医師による疾患活動性尺度の包括的評価(PGA);および(8)患者識別コードおよび臨床センターに関する情報を含む管理用ボックス。BVAS/WG評価フォームの項目は、活動性WGに起因するものであって、以前に活動性だったWGまたは別の病状による損傷に起因するものではない場合にのみカウントされる。BVAS/WGには、疾患状態の定義に重要な項目と軽微な項目を組み込んだカテゴリー評価が含まれている。Stone et al. (2001). Arthritis & Rheumatism 44(4), pp. 912-920(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。4つの疾患状態は以下のとおりである:
(1)重度の疾患/フレア(重要な新しい/悪い項目の発生)、
(2)限られた疾患/フレア(軽微な新しい/悪い項目の発生)、
(3)持続性疾患(患者の前回の評価以降継続している活動性疾患を表す1以上の項目の存在)、および
(4)寛解(活動性疾患なし、すなわち、新しい/悪いおよび持続性の項目が存在しない)。
【0165】
BVAS/WGスコアは、重要な項目(新しい/悪いまたは持続性のいずれか)の数に3を掛け、この数を軽微な項目の総数に加算することによって算出される。したがって、1以下の重要な「その他」の項目および1以下の軽微な「その他」の項目が存在すると想定して、最大BVAS/WGスコアは68である。Stone et al. (2001). Arthritis & Rheumatism 44(4), pp. 912-920(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)。
【0166】
活動性疾患状態の患者の場合、一の実施態様では、この方法は、治療前のウェゲナー肉芽腫症に特異的なバーミンガム血管炎活動スコア(BVAS/WG)スコアと比較して、患者のBVAS/WGスコアを減少させることを含む。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物の有効量を含む組成物は、経口投与される。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0167】
本明細書で提供される治療方法の一の実施態様では、該治療を必要とする患者におけるGPAの治療は、GPAフレアを阻害することである。GPAフレアは、本明細書で使用される場合、一の実施態様では、1ポイント以上のBVAS/WGスコアの増加と定義される。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物の有効量を含む組成物は、GPAフレアを阻害するために経口投与される。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0168】
別の実施態様では、ANCA関連血管炎は多発血管炎性肉芽腫症(GPA)であり、患者は、例えば0のBVAS/WGによって示されるように、GPA寛解状態である。一の実施態様における方法は、患者においてGPAの寛解を維持することを含む。該患者は、治療前に少なくとも30日間、60日間、90日間または120日間寛解状態であり得る。患者は、一の実施態様では、治療中および/または治療後、寛解を維持する。寛解は、一の実施態様では、治療の1日後、7日後、14日後、30日後、60日後、90日後または120日後に測定することができる。本明細書で提供される方法の1つで治療される患者は、一の実施態様では、抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ)、シクロホスファミド、またはステロイド(例えば、グルココルチコイドなどのコルチコステロイド)によるGPA治療を受けたことがあるかまたは現在受けている。一の実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は経口投与される。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。一の実施態様では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩は、約10mg~約50mg、または約20mg~約45mg、例えば10mg、25mg、30mgまたは40mgで、1日1回経口投与される。別の実施態様では、化合物Aは40mgで1日1回経口投与される。
【0169】
本開示の治療方法は、GPA寛解中の患者を治療して該寛解を維持するために使用することができる。別法として、本開示の方法は、患者の寛解に影響を与えるために、活動性GPAを有する患者を治療するために使用され得る。
【0170】
いくつかの実施態様では、治療効果は、本明細書で提供される方法の1つを介して治療されていない患者と比較して、再発の欠如、または再発の遅延によって定義される。再発は、重度の再発であっても軽度の再発であってもよい。重度の再発は、以下のことを伴う疾患の再発または悪化と定義される:(1)BVAS/WG>0および少なくとも1つの主要臓器の関与、(2)生命を脅かす症状、または(3)(1)と(2)の両方。軽度の再発は、BVAS/WG>0を伴い、重度の再発には対応しないが、軽度の治療強化を必要とする、疾患の再発または悪化と定義される。
【0171】
有効性の他の尺度には、フレアの割合、再発までの時間、血管炎損傷指数(VDI)のベースラインからの変化、コルチコステロイド総経口用量およびコルチコステロイド経口使用期間に基づく全身コルチコステロイド使用、ならびに、例えばショートフォーム健康調査質問票(SF-36)スコア(以下で説明)によって測定されるクオリティ・オブ・ライフのベースラインからの変化が含まれる。
【0172】
VDIは、全身性血管炎における損傷の標準化された臨床的尺度である。Exley et al. (1997), Arthritis Rheum. 40(2):371-80(その全体として出典明示により本明細書の一部とする)を参照。VDIは、次のように10の臓器系および1つの一般的なカテゴリーを含む11のグループに分けられた64項目の損傷の有無を記録する:(1)筋骨格の損傷;(2)皮膚の損傷;(3)耳、鼻および喉の損傷;(4)肺の損傷;(5)心血管の損傷;(6)腎臓の損傷;(7)胃腸の損傷;(8)末梢血管の損傷;(9)眼球の損傷;(10)神経精神医学的損傷;(11)その他の損傷。
【0173】
VDIスコアは、損傷項目の単純な合計であり、累積的な、すなわち以前にスコア付けされたすべての項目は、その後の各評価に持ち越されるので、安定したままであるか、または増加することしかできない。
【0174】
本明細書で提供される治療方法の別の実施態様では、該治療を必要とする患者の治療は、治療前の患者のショートフォーム健康調査質問票(SF-36)スコアと比較して、患者のSF-36スコアを改善することを含む。SF-36は、8つのスケール:身体機能(PF)、日常役割機能(身体)(role physical)(RP)、体の痛み(BP)、全体的健康感(GH)、活力(VT)、社会生活機能(social function)(SF)、日常役割機能(精神)(role emotional)(RE)、および心の健康(MH)を測定する。例えば、Lins and Carvalho (2016). SAGE Open Medicine 4, pp. 1-12(すべての目的のためにその全体として出典明示により本明細書の一部とする)を参照。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物の有効量を含む組成物は、経口投与される。さらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0175】
本明細書で提供されるANCA関連血管炎の治療方法の別の実施態様では、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物は必要とする患者に投与される。該方法は、治療前の患者の白血球内プロテイナーゼ3(PR3)活性と比較して、白血球内PR3活性を低下させることを含む。さらなる実施態様における式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は、治療を必要とする患者に経口投与される。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0176】
一の実施態様では、PR3活性は、患者の全血から得られる白血球(例えば、好中球)内で測定される。別の実施態様では、PR3活性は、患者の痰から得られる白血球(例えば、好中球)内で測定される。一の実施態様では、減少は、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%である。別の実施態様では、PR3活性の減少は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%の減少を含む。一の実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は、経口投与される。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0177】
本明細書で提供される治療方法の別の実施態様では、該治療を必要とする患者の治療は、該患者に、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む医薬組成物を投与すること、および、治療前のプロテイナーゼ3の好中球細胞表面発現と比較して、患者のプロテイナーゼ3の好中球細胞表面発現を減少させることを含む。一の実施態様では、減少は、PR3好中球細胞表面発現を約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%減少させることを含む。別の実施態様では、プロテイナーゼ3細胞表面発現の減少は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少させることを含む。一の実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。さらなる実施態様では、該組成物は、経口投与される。さらにさらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらにさらなる実施態様では、投与は1日1回である。したがって、一の実施態様では、該組成物は1日1回経口投与される。
【0178】
ANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)の治療方法の別の実施態様では、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む組成物は、治療を必要とする患者に投与され、ここで、該方法は、治療前の患者の血中の好中球セリンプロテアーゼ(NSP)活性と比較して、患者のNSP活性を減少させることを含む。一の実施態様における式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は、経口投与される。一の実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。さらなる実施態様では、投与は1日1回である。さらなる実施態様では、投与は1日1回経口である。さらにさらなる実施態様では、式(I)で示される化合物は化合物Aである。NSPは、好中球エラスターゼ(NE)、プロテイナーゼ3(PR3)および/またはカテプシンG(CatG)であり得る。一の実施態様では、NSP活性の減少は、約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%の減少である。別の実施態様では、NSP活性の減少は、NSP活性を少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少させることを含む。
【0179】
本明細書で提供されるANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)の治療方法のさらに別の実施態様では、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む本明細書で提供される組成物は、該治療を必要とする患者に投与され、ここで、該方法は、治療前の患者のANCA血中濃度と比較して、患者のANCA血中濃度を減少させることを含む。一の実施態様では、該組成物は、経口投与によって投与される。一の実施態様における式(I)で示される化合物は化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、ANCA血中濃度は、患者の血漿または血清中にて測定される。さらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。一の実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0180】
一の実施態様では、該方法は、患者のANCA血中濃度を約10%、約20%、約25%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%または約80%減少させることを含む。別の実施態様では、ANCA血中濃度の減少は、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%減少させることを含む。一の実施態様では、ANCA血中濃度は、患者の血漿または血清中にて測定される。
【0181】
一の実施態様では、ANCA抗体濃度の減少は、治療前のPR3ANCA抗体濃度と比較して、患者におけるPR3ANCA抗体濃度を減少させることを含む。別の実施態様では、ANCA抗体濃度の減少は、治療前のMPOANCA抗体濃度と比較して、患者におけるMPOANCA抗体濃度を減少させることを含む。
【0182】
本明細書で提供されるANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)の治療方法のさらに別の実施態様では、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を含む本明細書で提供される組成物は該治療を必要とする患者に投与され、ここで、該方法は、治療前の患者におけるCD19+B細胞の数と比較して、患者におけるCD19+B細胞の数を減少させることを含む。式(I)で示される化合物は、一の実施態様では、化合物Aまたはその薬学的に許容される塩である。一の実施態様では、該組成物は、経口投与によって投与される。さらなる実施態様では、投与は、1日1回、1日2回、1日おきに1回、2日おきに1回、3日おきに1回、週2回、週3回または週4回である。一の実施態様では、投与は1日1回である。別の実施態様では、投与は1日1回経口である。
【0183】
式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、本明細書に記載の方法の1つにより、ANCA関連血管炎(例えば、GPAまたはMPA)の治療に使用されるさらなる化合物と併せて投与することもできる。
【0184】
該さらなる化合物は、ANCA関連血管炎の治療のために、式(I)で示される化合物を含む組成物と、同時に、連続して、または混合して投与される。
【0185】
該さらなる化合物は、一の実施態様では、抗TNFα抗体、例えばインフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴルおよびゴリムマブである。さらなる実施態様では、抗TNFα抗体はインフリキシマブである。
【0186】
該さらなる化合物は、別の実施態様では、抗CD20抗体、例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、オビヌツズマブ、オファツムマブ、イブリツモマブ、チウキセタン、トシツモマブおよびウブリツキシマブである。さらなる実施態様では、抗CD20抗体はリツキシマブである。
【0187】
さらに別の実施態様では、該さらなる化合物は、ステロイドである。さらなる実施態様では、ステロイドはコルチコステロイドである。さらにさらなる実施態様では、該さらなる化合物はグルココルチコイドである。
【0188】
さらに別の実施態様では、該さらなる化合物は、単独の、または1つ以上のグルココルチコイドと組み合わせたシクロホスファミド(CYC)である。
【0189】
一の併用療法実施態様では、本開示の組成物は、上記で提供されたものの1つ以上から選択される1つ以上のさらなる活性成分と同時にまたは連続して投与される。例えば、式(I)で示される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物は、ANCA関連血管炎治療用医薬として使用するためのさらなる医薬組成物と同時にまたは連続して投与され得る。該さらなる医薬組成物は、患者がすでに処方され得る医薬(例えば、既存の標準治療薬)であり得、それ自体、上記で定義されたものから選択される1つ以上の有効成分を含む組成物であり得る。
【実施例
【0190】
本発明は、以下の実施例を参照することによってさらに例示される。しかしながら、これらの実施例は、上記の実施態様と同様に、例示的なものであり、如何なる場合も本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことに留意すべきである。
【0191】
実施例1 - 化合物Aを含むフィルムコーティング錠剤の製造
フィルムコーティング錠剤は、乾式造粒プロセス、それに続く打錠成型を用いて製造される。次いで、錠剤を、コーティング賦形剤を精製水に懸濁させたヒプロメロース系フィルムコートでコーティングする。製造に有機溶剤は使用しない。
【0192】
コア錠剤製造プロセスの簡単な要約、およびコーティングプロセスの要約を以下に示す。化合物Aを、微結晶セルロース、二塩基性リン酸カルシウム・二水和物、デンプングリコール酸ナトリウムおよび二酸化ケイ素と乾式ブレンドする。化合物Aは、必要に応じて、分注する前に塊を取り除くことができる。化合物Aの量は純度に対して補正され、微結晶性セルロースを犠牲にしてそれに応じて配合が調整される。
【0193】
ブレンドは、共粉砕され、次いで、顆粒内ベヘン酸グリセリルと乾式ブレンドされる。潤滑剤は、最初の乾式ブレンド工程から除外された同量の微結晶セルロースと一緒に充填することができる。
【0194】
潤滑剤処理した乾燥ブレンドをローラー圧縮することによってリボンを製造する。続いて、該リボンを顆粒に粉砕する。該顆粒を顆粒外のベヘン酸グリセリルとブレンドした後、錠剤コアに圧縮する。
【0195】
最後に、錠剤コアを、非機能性の美的フィルムコートでコーティングする。該フィルムコーティング混合物は、適切なサイズの容器内で混合しながら、コーティング賦形剤を精製水に加えることによって調製される。スプレープロセスパラメータは、錠剤あたりの目標重量増加を達成するために、プロセス全体で調整することができる。完了すると、錠剤を乾燥し、適切なバルク容器に放出させる。
【0196】
錠剤コア中の賦形剤および対応する標準を以下の表1に要約する。
【0197】
【表1】
【0198】
錠剤コーティングに含まれる賦形剤およびそれらの対応する標準を表2に要約する。これらは、独自の混合物(composite)、例えばAquarius Prime BAP312542として加えることができる。
【0199】
【表2】
【0200】
実施例2 - 化合物Aとの賦形剤適合性
賦形剤適合性実験は、2つ以上のレベルの定性的因子を有する線形D最適設計として設計された。これらの実験で使用した製剤は、直接錠剤に圧縮することができる。乾式処理については、3つの因子、つまり2成分充填剤組合せ(binary filler combination)、崩壊剤の選択、および潤滑剤の選択を評価した。以下に示す実験計画(表3を参照)では、HPMC系フィルムコートおよびコロイド状二酸化ケイ素添加の効果をリピートコーナー(repeat corners)を使用して評価した。
【0201】
賦形剤適合性のために、2種類の異なる充填剤組合せ、すなわち、リン酸二カルシウム・二水和物(DCPD)と組み合わせた微結晶セルロース(MCC)、およびMCCと組み合わせたマンニトール(MAN)を選択した。
【0202】
この研究では、3つの崩壊剤を評価した:(i)クロスカルメロースナトリウム(内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはNaCMC)、(ii)低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、および(iii)デンプングリコール酸ナトリウム(NaSG)。同様の崩壊力を得るために崩壊剤の量を変えた。
【0203】
潤滑剤であるステアリン酸マグネシウム(MgSt)およびステアリルフマル酸ナトリウム(NaSF)をベヘン酸グリセリルと比較した。同様の潤滑効果を得るために、潤滑剤の量を変えた。
【0204】
化合物Aの凝集性(cohesive nature)のために、高薬物負荷製剤について流動促進剤を評価した。したがって、この研究にはコロイド状二酸化ケイ素(SiO2)を含んだ。2つの実験の錠剤を、世界的に受け入れられる3つの酸化鉄を含有するフィルムコートでコーティングした。
【0205】
【表3】
【0206】
【表4】
【0207】
N1(表4)は当初第一選択と考えられていたため、一リピートコーナーとして使用され、そのリピート実験はフィルムコーティングされた。N5はN1の反対であり、もう一方のリピートコーナーとして使用した。
そのリピート実験にコロイド状二酸化ケイ素を添加した。最後に、高薬物負荷の改変N1製剤をローラー圧縮(RC)して、その製造ルートを使用することの影響がないことを確認した。
【0208】
使用した加速安定性プログラムを以下の表5に示す。すべての条件において参照として純粋な原薬を含んだ。
【0209】
【表5】
【0210】
結果
試験した錠剤中の製剤は、すべての試験条件において、純粋な原薬(すなわち、化合物A)よりも著しく速い速度で分解する。したがって、すべての賦形剤間に不適合性があるが、一部の賦形剤は他の賦形剤よりも分解を加速する。これは図2に示されている。ここでは、50/75で45日間保存された錠剤を、同じ条件で保存された純粋な原薬および同じ原薬バッチから新たに調製された標準溶液と比較している。クロマトグラムは、分解の順に積み重ねられている(わかりやすくするためにわずかにシフトさせている)。
【0211】
ほとんどの分解が、潤滑剤としてNaSFを含有するバッチN7で見られる。ほとんどの分解ピークが他のバッチよりも大幅に大きく、1つのピークは他のバッチには存在しなかった。このピークは、NaSFと化合物Aの間の特定の非適合性に関連している可能性がある。N1もN4よりもわずかに多く分解されるが、安定性に関する原薬と新たに調製された標準との間にほとんど違いはない。
【0212】
70/75で21日間保存されたバッチからのデータは、二次分解を含む極端なレベルの分解を示し、したがって、そのデータは、賦形剤の相対的安定性についての結論を引き出すために使用されなかった。しかしながら、他の条件からの一般的な傾向はまだ見られる。70/XXでは、分解プロファイルは他の条件とは大幅に異なって見えた。これは、特定の理論に拘束されることを望まずに、化合物Aの物理的形態変化に関連すると考えられる。50/XXおよび70/75で見られる分解プロファイルは、50/75および60/40のものと一致したので、原薬は、少なくとも研究期間中、これらの条件で物理的に安定していたと考えられる。これに基づいて、70/XXデータは保存可能期間予測モデルから除外された。
【0213】
2メガパスカル(MPa)を超える錠剤引張強度(TS)が、150MPaをはるかに下回る圧縮圧力(CP)で達成された(表6)。すべてのバッチの正規化された圧縮圧力(CPnorm)は100MPa未満であり、優れている。最後に、質量変動はすべて1.5%未満であり、ほとんどが1%RSD未満である。しかしながら、これらの値は、ローラー圧縮も含む最適な製剤およびプロセスでは大幅に変化する。
【0214】
【表6】
【0215】
5つの異なるピークが5つの異なる条件でモニターされた。しかしながら、上記のように、形態Bへの高可能性変換に基づいて、70/XX条件は除外された。全体として、ベヘン酸グリセリルを含有する錠剤中の化合物Aは、ステアリン酸マグネシウムよりもわずかに分解が少ないようである。
【0216】
MCC/DCPDは、多湿条件ではわずかに有利であり得るが、MAN/MCCは、乾燥した条件で有利であった。しかしながら、違いはわずかであったため、圧縮特性によって充填剤の最終的な選択が決まった。
【0217】
ある条件では、L-HPCは安定性が低いように見え、他の条件では、NaCMCであった。したがって、NaSGは化学的適合性の観点から最適であるように思われる。
【0218】
N10は、N1と直接比較して、製剤の安定性に対するHPMC系フィルムコートの効果を評価することができる。N11をN5と直接比較して、コロイド状二酸化ケイ素の効果を評価することができる。N12はN1に基づいていたが、ローラー圧縮され、1.25%ではなく25%の薬物負荷が含まれていた。したがって、そのバッチの主な目的は、提案された製造ルートが高薬物負荷製剤に対して実行可能であることを確認することであった。
【0219】
重回帰(MLR)分解モニタリング
安定性条件は、温度、湿度、および選択された賦形剤に基づいて分解を決定するために、実験計画法で選択された。したがって、該データは多重線形回帰(MLR)を使用して評価された。70/XXで45日間保存するとフォームが変更される可能性があるため、そのデータは除外された。N10、N11およびN12からのデータと同様に、上記の評価ではN1およびN5からの変化は取るに足らないものではないことが示されたためである。
【0220】
5つの分解生成物についてのMLRモデルからのスケーリングおよび中心化した係数を図3に示す。要するに、GlyBehはMgStよりも良好に見えるが、最も重要な選択はNaSFから離れることである。湿度は大きな問題ではないが、温度が上昇すると分解が大きくなる。
【0221】
保存可能期間予測
賦形剤と化合物Aとの間の化学的非適合性は、式1に示される修正アレニウス式を使用して評価した。このアプローチは、異なる保存条件における仕様限界までの時間を使用して、他の条件における保存可能期間を予測する(表7を参照)。
【数1】
式中、kは分解生成物の分解速度定数であり、k0は前指数因子であり、Tは絶対温度(ケルビン単位)であり、Eaは分解の活性化エネルギーであり、Rはユニバーサルガス定数であり、bは湿度感度であり、係数およびHrは相対湿度である。
【0222】
表7に示される結果は、計算から70/XXデータを除外することによって生成された。さらに、信頼できないと判断されたモデルは、示された結果から無視された。例えば、RRT0.91ピークに対して信頼できるモデルを作成することはできなかった。しかしながら、その分解生成物はどの実験でも最大ではなかったため、保存可能期間を制限する可能性は低い。表7の情報をMLRでさらに評価し、各賦形剤が製剤保存可能期間に与える影響を理解した。モデルは、0.96のR2および0.52のQ2を提供した。係数プロットを図4に示す。このモデルは、化合物Aの化学的安定性の点でGlyBehがMgStよりも安全な選択である上記の結果をサポートしている。
【0223】
【表7】
【0224】
本明細書に記載の分解ピークは、おそらく、以下の表8に従って割り当てることができる。ジアステレオ異性体AZ13703978および二量体AZ13785489は、賦形剤適合性研究で有意に変化しなかったため、本明細書では説明しない。
【0225】
【表8】
【0226】
錠剤化性能データが収集された。得られたモデルは非常に良好で、回帰係数(R2)は0.98、相互相関係数(Q2)は0.90であった。結果は、MCC/DCPDがMAN/MCCよりも好ましく、L-HPCおよびNaSFがそれぞれ崩壊剤および潤滑剤に対して最悪の結果となったことを示している。
【0227】
実施例3 - 定量的製剤の開発
化合物Aの性能に対する賦形剤の範囲および1つの重要なプロセスパラメータの影響を評価するために、一部実施要因実験(Fractional Factorial Resolution)IIIの実験計画が設定された(表9)。これらの実験で使用した材料を表10に示す。
【0228】
【表9】
【0229】
【表10】
【0230】
薬物負荷
化合物Aの可能な用量範囲は5mg~65mgであり、したがって、薬物負荷は、その範囲に対応するように選択され、1.25%~16.25%に換算された。原薬の量は、1:1(mol/mol)の水分含有量を除いて、純度について補正されなかった。8.75%の中心点レベルが選択された。
【0231】
2成分充填剤レベル(Binary filler level)
一次充填剤である微結晶セルロースは、組成における他のすべての変化を説明するために自由に変化させることができた。二次充填剤である二塩基性リン酸カルシウム・二水和物は、15%~25%の間で変化した。これらのレベルは、各製剤の降伏圧力およびひずみ速度感受性がそれぞれ110~160MPaおよび2%~25%になるように選択された。微結晶セルロースの最大量および最小量は、それぞれ76%および47%であった。
【0232】
崩壊剤の量
崩壊剤の量は、医薬賦形剤の使用説明書に基づいた、すなわち、製剤に使用される通常の濃度は2%~8%の間である。多くの場合、使用される濃度は約4%であるが、多くの場合2%で十分である。したがって、2%が低レベルとして選択され、4%が中心点として選択された。対称性に基づいて、6%が高レベルに使用された。
【0233】
流動促進剤の量
分解に対する流動促進剤の効果は実施例2からは明らかではなかったが、化合物Aとコロイド状二酸化ケイ素との間の非適合性の兆候が認められた。このため、低レベルは0%に設定した。実施例2の適合性研究では、0.25%のSiO2が使用されたため、このレベルが中心点として選択された。実施例2では、コロイド状二酸化ケイ素、Cab-O-Sil(Cabot Corp., Boston, MA, USA)が使用されたが、この実験では、取り扱いを改善するために二酸化ケイ素Syloid 244FPが選択された。対称性の理由から、上位レベルの0.5%が選択された。
【0234】
潤滑剤の量
実施例2において、2%のベヘン酸グリセリルは、1.25%の薬物負荷を含む直接圧縮製剤を潤滑するには不十分であることが認められた。十分な量の潤滑剤を使用した場合にベヘン酸グリセリルで見られる安定性の利点が低下しないことを確認するために、3%のベヘン酸グリセリルを使用する追加の実験が行われた。3%が低レベルの潤滑剤として選択された。原薬は非常に粘着性であるため、薬物負荷が高いほど潤滑が必要になるため、上位レベルとして5%を選択し、中心点として4%を使用した。
【0235】
フィルムコートの量
実施例3のコーティング実験では、4.8mg/cm2に相当する3%のコーティング固体の総量が選択された。
【0236】
プロセスパラメータの変動
製剤プロセスがどのように相互作用するかを理解するために、圧縮力を変化させた。Vector TFC-Laboローラー圧縮機の適切な範囲は4MPa~8MPaである。
【0237】
実験計画の評価
実験計画は、多重線形回帰(MLR)を使用して、以下に論じられる応答に関して評価された。主に線形係数のみが評価されたが、上記で説明したように、一部実施要因実験計画は相互作用係数も評価することができる。安定性データは、縮小実験計画法を使用して評価された。
【0238】
走査型電子顕微鏡
走査型電子顕微鏡(SEM)画像を、中心点バッチの1つ、すなわちN11からのすべてのステップについて収集した。Cressington 108 Autogoldスパッタリング装置は、金で材料をコーティングした。画像は、Everhart Thornley(SE)検出器を備えたFEI Quanta 200走査型電子顕微鏡を用いて撮影した。
【0239】
ロール圧縮の特性評価
リボンの特性評価
代表的な二次ブレンドの真密度は、AccuPyc 1330を使用して二重に決定した。リボンのエンベロープ密度は、GeoPyc 1360 Envelope Density Analyzerを使用して測定した。分析は、次の設定を使用して二重に行った:
・サンプルの量: 約2g
・サンプルチャンバーの直径: 25.4mm
・サイクル数: 7
・圧密力: 51N
・換算係数: 0.5153cm3/mm
【0240】
材料の残りの適合性の良好な測定基準であるリボンの相対密度は、リボンエンベロープ密度を代表的な二次ブレンドの真密度で割ることによって算出した。
【0241】
細粒(fines)の量
細粒の基本的な測定値は、リボンをローラー圧縮機から2mmメッシュ上に収集することによって決定された。リボンはスクリーン上にちりばめられ、メッシュを通過するすべてのものが計量され、細粒と称した。これを、ローラー圧縮機を排出される材料の総量と比較した。
【0242】
顆粒の特性評価
ローラー圧縮プロセスによってもたらされる密度増加の尺度として、二次ブレンドのかさ密度を最終ブレンドのかさ密度と比較した。かさ密度はUSPに従って決定した。
【0243】
顆粒サイズ分布
Malvern Mastersizer 2000(Malvern Instruments Ltd, Malvern, UK)レーザー回折分析器を、粒度分布(PSD)測定に使用した。サンプル調製は、分散ユニットに配置する前に、測定トレイにサンプル1gを静かに加えることによって行った。各サンプルに対して3つの測定を行い、Malvernソフトウェアで平均d[0.1]、d[0.2]、d[0.5]、d[0.8]およびd[0.9]を算出した。さらに、サイズ分布の幅の測定基準としてスパンを算出した。
【0244】
流動性の決定
透過性
粉末床全体の圧力降下を測定するために、Freeman Technology FT4 Powder Rheometer(Freeman Technology, Tewkesbury, UK)を使用した。測定は、1~30kPaの法線応力を増加させ、2mm/秒の一定の気流速度で行った。各垂直応力で、気流速度が2mm/秒で平衡に達した後、圧力降下を粉末床で測定した。加えられた法線応力の関数として粉末床全体の圧力降下をプロットする散布図を作成した。データの解析は、FT4データ解析ソフトウェアで行った。
【0245】
壁摩擦角
壁摩擦試験は、FT4 Powder Rheometerを使用して、減少パターンでサンプルに壁法線応力を加えることによって行われる。測定を開始する前に、ブレードを使用してサンプルを調整し、局部応力および過剰な空気を取り除く。その後、ベント付き金属ピストンが上から圧力をかけ、粉末床を圧縮する。最後に、溝の深さが1.2μmのステンレス鋼のプレートを備えた金属ピストンが、回転しながら粉末サンプルを圧縮して摩擦抵抗を測定する。負荷は1kPaから15kPaまで変化した。壁摩擦ディスクの粗さはRa 1.2μmであった。30°以上の角度は粘着性であると見なされる。15°よりも大幅に小さい角度では、ローラー圧縮中のグリップが不十分になり得、打錠成型中の圧縮特性が低下し、大幅な過潤滑に関連する場合は溶出問題が発生する可能性がある。
【0246】
質量流量
質量流量は、Erweka GTBフローテスターで測定した。フローテスターは、ホッパーから一定期間(秒)排出される粉末の事前定義された量(g)を測定する(Erweka GmbH, Heusenstamm, Germany)。10mmのオリフィスを使用した。試験時間は、スターラー設定2で10秒に設定した。典型的には、打錠成型中の適切なダイ充填には、5g/秒以上の値が必要である。
【0247】
製剤の特性評価
圧縮特性
圧縮特性は、Erweka MultiCheck Turbo 3を使用して決定した。
【0248】
溶出
溶出は、最初はすべてのバッチについて決定したが、安定性保存の間(during stability storage)は表9に従って決定した。
【0249】
分解
アッセイおよび有機不純物は、最初はすべてのバッチについて決定したが、安定性保存の間は表9に従って分解を決定した。
【0250】
結果
当初、ローラー圧縮機は、表面が鋸歯状のパンチタイプのロールを備えていたが、ダイタイプのロールは表面が滑らかだった。滑らかなロールのグリップが不十分だったため、ローラー圧縮が機能しなかった。そこで、滑らかなパンチタイプのロールを、表面が鋸歯状のものに変更し、実験計画全体をそのセットアップで完了した。最初の2つの実験を再実行したが、ここではN5およびN8と称した。
【0251】
ローラー圧縮の特性評価
ローラー圧縮プロセスは、各バッチのエンベロープ密度(ED)を決定し、次にリボンの相対密度(RD)をコンピュータ処理することによって研究した。
【0252】
プロセスをスケールアップするときの充填量を理解するために、粉末および顆粒のかさ密度(それぞれ、PDBおよびGBD)を決定した。しかしながら、密度増加値(DI)は、ローラー圧縮ユニット操作中の材料の高密度化の尺度としても算出した。バッチN1は非常に最小限の高密度化として際立っているが、N6ではかさ密度が75%増加した。N11は、他の2つの中心点と比較して明らかな外れ値です。
【0253】
最後に、ローラー圧縮ユニット操作後に残っている細粒の量を決定した。バッチ間の細粒の違いは関連尺度であると考えられているが、サイドシールの摩耗に起因して、この研究で使用した小規模装置からの全体的な細粒レベルはより大きい。
【0254】
流動性の決定
最終ブレンドの流動性は、3つの異なる方法論を使用して分析した(表11)。透過性は最終ブレンドの凝集特性の尺度であるが、壁摩擦角はブレンドの粘着性を決定する。最後に、質量流量はブレンドの流動性の直接的な尺度である。
【0255】
【表11】
【0256】
製剤の特性評価
最も関連性のある物理的な錠剤特性を表12に示す。CPnormは、引張強度が2.0MPaの錠剤を製造するために必要とされる圧縮圧力の概算である。質量変動は、10錠の重量の相対標準偏差である。表12のデータから明らかなように、すべてのバッチの質量変動は1.0%以下である。
【0257】
【表12】
【0258】
すべてのバッチの溶出データを表13に記載する。すべてのバッチは15分以内に85%溶出に達し、N1を除くすべてのバッチについて、すべての化合物Aは10分以内に放出される。
【0259】
【表13】
【0260】
6つの選択されたバッチを安定性保存し、溶出に関して分析した。N1のみが、1か月後にさまざまな保存条件の影響を受けた。表14、表15および表16を参照。
【0261】
【表14】
【0262】
【表15】
【0263】
【表16】
【0264】
1か月の安定性保存からの有機不純物データもさまざまな条件で収集した。5/XXおよび25/60での保存の間に有意差は見られず、全体的に低い薬物負荷は分解の増加につながる。分解は40/75および50/XXの両方で有意であった。
【0265】
最終製剤に対する処理経路の影響をよりよく理解するために製造プロセスの各ステップのSEM画像を取り込んだ。図5は、SEM画像を使用して取り込んだ製造プロセスのステップを示している。製造プロセスの各ステップからのSEM画像の選択を図6に示す。ここに示した結果およびさまざまなステップからの材料の画像に基づいて、粉砕ブレンドステップおよび流動促進剤ブレンドステップには製剤の品質についてほとんど利点がないという結論が導き出されたが、製造ルートからそれらが除外されると、市販製剤実施化を検討する場合、製剤の製造可能性の側面が改善されるであろう。
【0266】
すべてのバッチの最終ブレンドの粒度分布(PSD)を図7に示す。すべての分布は三峰性である。10μm未満にこぶが1つある。これは、圧縮されていないAPIに関連している可能性が高い。最も顕著なピークは100μmを超えたところであり、これは圧縮されていない材料に関連している。最後のピークは、最終ブレンド中の顆粒の量に関連している。
【0267】
溶出は、依然として急速な溶出を示したN1を除いて、すべての試験されたバッチについて即時であった。薬物放出は、1か月保存後に溶出の有意な低下を示したバッチN1を除いて、保存の間にほとんど影響を受けなかった。しかしながら、各条件で20分以内に約85%溶出に達した。
【0268】
統計的評価
実験計画の要因に関連する各応答のモデルを確立しようとして、多重線形回帰を用いてすべての結果を評価した。上記のように、バッチN11は、他の2つの中心点N9およびN10と比較して外れ値である。関連するモデルを構築するには、N11の結果をすべてのモデルから除外する必要があった。ほとんどの要因のレベルが低い極端なコーナーであるN1は、PSDモデル、および顆粒密度のようなそれに関連するモデルから除外する必要があった。最後に、バッチN4は、そのバッチから錠剤を製造することができなかったため、最終製剤のすべてのモデルから除外する必要があった。
【0269】
表17には、最も関連性のあるモデルが要約されている。相関係数R2は、データがモデルにどの程度適合しているかを説明するものである。相互相関係数Q2は、モデルの予測パウダーを説明するものである。正と負の列には、モデルにとって有意またはほぼ有意な要因が重要度の順にリストされている。例えば、粉末密度の場合、DCPDは粉末の密度増加に最も影響を与える要因である。化合物Aの量はモデルに負の影響を及ぼし、これは、製剤中の化合物Aの量が増えると、粉末のかさ密度が低下することを意味する。
【0270】
【表17】
【0271】
崩壊剤の量を増やすと、溶出が改善された。やや低い薬物放出プロファイルを示した唯一のバッチは最小崩壊剤レベルの1バッチであったため、それを超える量の崩壊剤で十分なはずである。APIの量を増やすと、全体的な溶出にも有益であったが、潤滑剤を増やすと、溶出に悪影響を及ぼした。薬物負荷も流動性を低下させたが、溶出に正の効果を奏した。
【0272】
製剤の分解に関しては、SiO2はいくつかのピークの分解の増加をもたらしたが、予想通り、薬物負荷の減少も全体的な分解を増加させた(図8を参照)。
【0273】
賦形剤レベルの選択
DCPDは、いくつかの応答にわずかな負の影響を及ぼしたが、製剤のひずみ速度感受性を制御するために必要であり、したがって、DCPDを20%の中心点レベルに維持すると結論付けられた。NaSGは薬物放出に有益であったが、中心点レベルは15分で完全な溶出を確実にするのに十分であった。潤滑剤ベヘン酸グリセリルは、圧縮特性および溶出に負の影響を及ぼしたが、ローラーの圧縮には正の影響を及ぼした。
【0274】
最も影響力のある賦形剤は二酸化ケイ素であった。本研究では、水和二酸化ケイ素(Syloid 244FP)を使用した。本明細書の結果に基づいて、SiO2は分解に負の影響を及ぼす。しかしながら、SiO2は、製剤の流動性および圧縮特性を改善した。最も低い薬物負荷では、SiO2を製剤中に含まないことが示唆されるが、薬物負荷が増加するにつれて、SiO2のレベルも増加する。
【0275】
実施例4 - 潤滑剤スクリーン
異なる潤滑剤および量を研究した。3つの潤滑剤を試験し、これらはベヘン酸グリセリル(GlyBeh)、ステアリン酸マグネシウム(MgSt)およびステアリン酸(StAc)であった。錠剤は、直接圧縮により、または乾式造粒プロセスを用いて製造した。直接圧縮された低用量錠剤の有機不純物を分析した後、StAcは、製剤が他の2つの製剤よりもわずかに悪い分解プロファイルを示したため、本試験から除外した。
【0276】
3つの異なる潤滑剤(GlyBeh、MgStおよびStAc)を研究し、3つの異なる用量強度(5、25および65mg)の錠剤を製造した。低用量錠剤を、3つの異なる条件、すなわち、40℃/75RH(密閉)、50℃(開放)および50℃/75RH(開放)で保存した。次に、2つの潤滑剤(GlyBehおよびMgSt)を選択し、2つの異なる用量強度(5mgおよび45mg)を生成した。最後に、最終潤滑剤GlyBehを含む錠剤を、3つの異なる用量強度(4.8mg、24mgおよび43mg)で製造した。最終製剤の薬物負荷は、1.3%~11.4%であり、純度を考慮すると1.2%~10.7%に相当する。錠剤の安定性を研究し、5つの異なる条件、すなわち、-20℃、25℃/60RH、30℃/75RH、40℃/75RHおよび50℃で保存した。
【0277】
この研究で使用された材料は、表19に提供されている。
【表18】
【0278】
機器および設定
錠剤は、ローラー圧縮(RC)を使用して製造した。しかしながら、第1の潤滑試験では、5mgの1%IG GlyBeh製剤を除いて、製剤は直接圧縮した。他のすべてのバッチは、RCを使用して作成した。RCによって製造された製剤に使用した製薬単位操作(pharmacautical unit operation)は、ブレンド、共粉砕、ブレンド、ローラー圧縮、粉砕、最終ブレンドおよび圧縮であり、直接圧縮によって製造される錠剤の場合、製造ステップは、ブレンド、共粉砕、最終ブレンドおよび圧縮であった。支持安定性(supportive stability)試験中の錠剤はフィルムコーティングも行った。すべての機器および設定を表20に示す。
【0279】
【表19】
【0280】
ブレンドI
第1のブレンドステップにおいて、API、MCC、DCPD、NaSGおよびSiO2(存在する場合)を2L容器内で30rpmで10分間混合した。
【0281】
共粉砕
粉末ブレンドを粉砕してブレンド中の二酸化ケイ素をよりよく分散させ、後続単位操作の十分な流れを確保した。一次粒子が確実に無傷のままであるように813μmのスクリーンを使用し、材料にかかるエネルギーを低く抑えるために1500rpmの速度を使用した。共粉砕ステップ後、成分の物理的変化は見られなかった。
【0282】
ブレンドII
第2のブレンドステップにおいて、潤滑剤の総量の50%を添加した(第1の潤滑試験では、潤滑剤の総量の60%を添加した)。0.5mmのふるいを通して少量のブレンドIに潤滑剤を加えることによってプレブレンドを調製した。該プレブレンドを手動で混合し、ブレンドIに加え、次いで、30rpmで5分間(第1の潤滑試験)または10分間(第2の潤滑試験および支持安定性)ブレンドした。分析のためにサンプル(RCブレンド)を取り出した。
【0283】
ローラーの圧縮および粉砕
次に、ブレンドを表20の設定に従ってローラー圧縮した。該プロセスの間にリボンのサンプルを収集した。リボンおよび細粒を秤量し、粉砕した。
【0284】
最終ブレンド
最終ブレンド時に、潤滑剤の総量の残りの50%(第1の潤滑試験では40%)を加えた。0.5mmのふるいを通して少量の顆粒に潤滑剤を加えることによってプレブレンドを調製した。該プレブレンドを手動で混合し、残りの顆粒に加え、ついで、30rpmで10分間ブレンドした。分析のために最終ブレンドのサンプルを取り出した。
【0285】
圧縮
錠剤の重量は、すべてのバッチで400mgであった。第1の潤滑試験はKorsch EK0で圧縮し、他の2つの試験はKorsch XL-100で圧縮した。圧縮プロファイルは、異なる圧縮力(低、中および高)で第2の潤滑試験で錠剤を圧縮することによって研究した。錠剤の厚さおよび破壊力を各圧縮力で測定して、それらのIPCと圧縮力との関係を確立した。残りの材料は、第1の潤滑試験からのすべての材料および支持安定性にも当てはまる引張強度2MPaの錠剤に圧縮した。
【0286】
フィルムコーティング
表20の設定に従って、Vector LDCSを使用して、支持安定性試験からの錠剤をAshlandプレミックスでコーティングした。該プレミックスは精製水中の10~15%固体懸濁液として適用した。添加量は、1錠あたり約4.8mg/cm2の重量増加に相当する。
【0287】
分析および応答
流動関数係数および壁摩擦角
ブレンドII後に取り出した粉末ブレンドを、Schulze Ring Shear試験機を使用して、流動関数係数(ffc)および壁摩擦角について分析した。使用した設定は表21に示されており、試験は、支持安定性試験からのブレンドに対して1回、他の試験に対して2回行った。流動関数係数は、Jenikeに従って分類した。表22に示すように、固体の保存および流れ。
【0288】
【表20】
【0289】
【表21】
【0290】
粉末密度
支持安定性試験からのブレンドIIの真密度は、以下の設定でAccuPyc 1330を使用して分析した:10mlサンプルセル、パージ充填圧力19.5psiでのパージ10回、実行充填圧力(run fill pressure)19.5psiでの実行10回、平衡化速度0.02psi/分、ただし、4.8mg製剤にはパージ20回および実行20回を用いた。2回反復実行した。
【0291】
リボン密度
リボンのエンベロープ密度は、GeoPyc 1360 Envelope Density Analyzerを使用して測定した。分析は、以下の設定を使用して2回実行した:サンプルチャンバー直径25.4mm、サイクル数5、圧密力51Nおよび換算係数0.5153cm3/mm。
【0292】
錠剤の特性
第2の潤滑試験および支持安定性試験からの錠剤を、Erweka Multicheck Turbo 3錠剤テスターを使用して、重量、厚さおよび破壊力について分析した(第2の潤滑試験からの錠剤についてはn=10、支持安定性からの錠剤についてはn=20)。生成されたデータを使用して、重量変動(%RSD)および錠剤引張強度を算出した。
【0293】
有機不純物
第1の潤滑試験からの5mg錠剤(EB15-329701、EB15-329706およびEB15-329704)を、0.03%TFAを添加した水:アセトニトリル(50/50(v/v))からなる希釈剤に溶解したサンプルあたり5つの錠剤のUPLC勾配溶離分析によって分解生成物について研究した。サンプル濃度は0.1~0.5mg/mLであった。クロマトグラフィーカラムは、長さが50mmまたは100mmであり、内径が2.1mmであり、Waters Acquity BEH C18粒子1.7μmが充填されていた。2つの移動相成分は、水中0.03%TFAおよびアセトニトリル中0.03%TFAであった。線形勾配溶離と定組成溶離の組み合わせが適用され、合計分析時間は18分であった。サンプルの不純物プロファイルの後に、227nmでのUV検出を行った。
【0294】
溶出
第1の潤滑試験からの5mgおよび65mgの用量強度を有する錠剤(EB15-329701、EB15-329706、EB15-329704、EB15-329703およびEB15-329707)を溶出について分析した。溶出試験は、3つの錠剤を使用して50rpmの回転速度でUSP装置2を使用して、37℃のHCl 0.1Mで行った。サンプルは、5、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105および120分目に取り出した。試験の終わりに、無限大時点(infinity time points)として回転速度を200rpmに上げ、135分目および150分目で追加の測定を行った。使用される設定のさらなる情報を表23に示す。
【0295】
【表22】
【0296】
第1の潤滑試験からの5mg製剤(EB15-329701、EB15-329706およびEB15-329704)のローラー圧縮は、粉末がロールをグリップせず、頑丈なリボンを形成できなかったため、機能しなかった。これは、製剤の過剰な潤滑を示しており、壁摩擦角もこれを示している。ローラー圧縮の問題のため、5mg製剤はすべて直接圧縮し、得られた錠剤は安定性の低下について分析した。有機不純物の結果は、StAcが分解生成物に関して最悪の選択であり、GlyBehが最良のプロファイルを持っており、MgStがそれに密接に続いていたことを示した。
【0297】
低用量製剤の有機不純物を分析した後、StAcを研究から除外し、高薬物負荷製剤(65mg)をGlyBehおよびMgStで製造した。これらのバッチのローラー圧縮はかなり良好に機能した。MgStを含有する製剤では問題はなかったが、GlyBehを含む製剤では、粉末がロールを覆って潤滑不足(WFA=28°)を示す問題があった。RCプロセスを停止し、プロセス中にロールを洗浄する必要があった。
【0298】
すべてのバッチの溶出プロファイルは、GlyBehが最も速い溶出プロファイルを有し、次にMgStおよびStAcが続いたことを示している。
【0299】
第1の5mg製剤は過剰に潤滑されたので、潤滑剤および流動促進剤を用いずに新しい5mg製剤を製造した。この製剤のローラー圧縮も機能せず、ロールが軋み、潤滑不足であることを示した。顆粒内GlyBehの1%が追加され、ローラー圧縮はうまく動作した(EB16-257401)。しかしながら、リボンが薄すぎて(相対密度<0.5)、潤滑剤の量とローラー圧縮機のさまざまなプロセスパラメータに関するさらなる実験を研究する必要がある。
【0300】
第2の潤滑試験では、GlyBehおよびMgStを潤滑剤として使用し、5mgおよび45mgの用量強度を有する製剤を製造した。これらのバッチのローラー圧縮は、45mgGlyBeh製剤を除いて順調に進んだ。粉末がロールへのオリフィスのプラグを形成し、RCプロセスを停止し、漏斗およびロールを洗浄する必要があった。フィーダースクリュー速度を24rpmから21rpmに下げ、材料のごく一部を追加した場合、RCプロセスは満足のいく方法で進行した。錠剤特性評価からのデータは、MgStを含有する錠剤はGlyBehを含有する錠剤と比較して引張強度が低いことを示した。したがって、製造プロセス中の経験と、GlyBehがMgStと比較して優れた溶出プロファイルおよび錠剤引張強度を持っているという事実とに基づいて、最終的な潤滑剤としてGlyBehを選択した。
【0301】
支持安定性
3か月保存後の崩壊、溶出および有機不純物について考察する。崩壊の分析はErweka ZT32(n=3、MilliQ水、37℃、ディスクなし)を用いて行った。
【0302】
結果
リボン密度および粉体密度
平均リボン密度および粉末密度の結果を表24に示す。
【0303】
【表23】
【0304】
流動関数係数および壁摩擦角
ブレンドIIの流動関数係数および壁摩擦角の結果を表25に示す。Jenikeによる分類システムによれば、すべてのブレンドIIは、易流動性(ffc 4~10)または自由流動性(ffc>10)のいずれかに分類される。
【0305】
【表24】
【0306】
錠剤特性評価
錠剤特性の結果を、表26に平均として要約する。図9には、第2の潤滑試験からの錠剤の圧縮圧力および引張強度のプロットを示す。
【0307】
第2の潤滑試験からの錠剤の平均錠剤重量は高かった。支持安定性試験の平均錠剤重量は公称値に近く、錠剤重量変動(%RSD)は24mgおよび43mg錠剤で低かった(0.6~1.1%)が、低用量では高かった(3.6%)。支持安定性試験からの錠剤の圧縮に関して、すべてのバッチは流れがかなり良好であったが、パンチ分離および充填深さの調整に敏感であった。
【0308】
【表25】
【0309】
有機不純物
1か月間、40℃/75(密閉)、50℃(開放)および50℃/75(開放)で保存した最初の潤滑試験からの3つの異なる潤滑剤GlyBeh、StAcおよびMgStを含む5mg錠剤(EB15-329701、EB15-329706およびEB15-329704)の分解生成物プロファイルを分析した。潤滑剤としてGlyBehを使用した錠剤も、上記の環境で3か月間保存した後、有機不純物について分析した。
【0310】
時間ゼロでの有機不純物は、APIの不純物プロファイルに対応する3つの5mg錠剤タイプすべてにおいて0.7%であった。したがって、製剤の製造プロセスは分解生成物を増加させない。
【0311】
40℃/75%RH(密閉)で1か月間保存すると、0.9%(GlyBeh)、1.0%(StAc)および1.1%(MgSt)の総有機不純物が生じた。APIからの寄与を差し引くと、有機不純物のレベルの増加は0.2%(GlyBeh)、0.3%(StAc)および0.4%(MgSt)であった。
【0312】
50℃(開放)で1か月保存すると、2.8%(GlyBeh)、6.7%(StAc)および3.0%(MgSt)の総有機不純物が生じた。APIからの寄与を差し引くと、有機不純物のレベルの増加は2.1%(GlyBeh)、6.0%(StAc)および2.3%(MgSt)であった。不純物の増加は、主に化合物Aのピークに近いピークを含んでいた。不純物AZ13701214は、3種類の錠剤すべてで約0.1%増加したが、7.7分目に溶出する2つのジアステレオ異性体はStAc錠剤で大幅に増加した。
【0313】
50℃/75%RH(開放)で1か月間保存すると、4.8%(GlyBeh)、5.0%(StAc)および4.5%(MgSt)の総有機不純物レベルが生じた。物質からの寄与を差し引くと、有機不純物のレベルの増加は4.1%(GlyBeh)、4.3%(StAc)および3.8%(MgSt)であった。合成不純物AZ13701214が増加し、化合物Aのピークに近いピーク、および12分目に遅く溶出する不純物が増加した。
【0314】
3つの異なる条件で1か月間保存した後の有機不純物の結果から、潤滑剤としてStAcを有する製剤が他の2つの製剤と比較して分解プロファイルがわずかに悪いことが明らかになった。
【0315】
40℃/75%(密閉)、50℃(開放)および50℃/75%RH(密閉)で3か月間保存した後の、潤滑剤としてGlyBehを有する5mg錠剤(EB15-329701)の分解生成物も分析した。40℃/75%RH(密度)で3か月間保存した後、不純物の総量は、時間ゼロでの0.7面積%から1.4面積%に増加した(0.7面積%(時間ゼロ)-0.9面積%(1か月)-1.4面積%(3か月))。3か月後のRRT 0.79でのAZ13701214は、0.3面積%から0.5面積%に増加した。RRT 1.31でのホルムアミド/ジアステレオ異性体の1つAZ13785488は、同じ条件下で0.2面積%から0.3面積%にわずかに増加した。
【0316】
50℃(開放)での3か月の保存後、総不純物は、時間ゼロでの0.7面積%から4.4面積%に増加した(0.7面積%(時間ゼロ)-2.8面積%(1か月)-4.4面積%(3か月)。増加したのは、主に化合物Aのメインピークの後に溶出する不純物であった。RRT 1.05での不純物は、時間ゼロでの<0.05面積%から3か月後の1.0面積%に増加した。RRT 1.30およびRRT 1.31でのホルムアミドジアステレオ異性体AZ13785488およびAZ13910537は、それぞれ0.2面積%から0.7面積%および0.8面積%に増加した。
【0317】
50℃/75%RH(開放)で3か月の保存後、総不純物は、時間ゼロでの0.7面積%から9.9面積%に増加した(0.7面積%(時間ゼロ)-4.8面積%(1か月)-9.9面積%(3か月))。これらの条件下では、化合物Aのメインピークの前後の両方で溶出する不純物の増加が見られた。例えば、RRT 0.79での不純物AZ13701214は、時間ゼロでの0.3面積%から3か月後の2.5面積%に増加した。RRT 0.9および1.1で溶出する他の不純物は、時間ゼロでの<0.05面積%から3か月保存後の約1.4面積%に増加した。
【0318】
227nmでUV吸収性が低い、AZ13701214の直前のRRT 0.76で溶出する合成副産物AZ13905472は、異なる錠剤組成および保存条件によって影響されないことが示された。
【0319】
有機不純物の総量は、40℃/75%RHで3か月間密閉保存した後、0.5面積%増加した。50℃で3か月間開放保存では、不純物の総量が3.7面積%増加し、50℃/75%RHでは9.2面積%増加した。
【0320】
溶出
第1の潤滑試験
第1の潤滑試験からの錠剤の溶出プロファイルを図10および図11に示す。図10には、初期条件および40℃/75で1か月間保存後の5mg錠剤(EB15-329701、EB15-329706およびEB15-329704)からの結果が示されている。図11には、初期状態での65mg錠剤(EB15-329703およびEB15-329707)の結果が示されている。溶出は両方の用量強度で急速であり、10分以内に80%が溶出する。
【0321】
支持安定性 - 有機不純物
-20℃、25℃/60、40℃/75および50℃で1か月および3か月間保存した錠剤の有機不純物の分析の結果を、それぞれ4.8mg、24mgおよび43mgについて表27、表28および表29に示す。検出可能なピークはすべて仕様の範囲内であった。
【0322】
【表26】
【0323】
【表27】
【0324】
【表28】
【0325】
溶出
表30には、初期状態ならびに-20℃、25℃/60、40℃/75および50℃での3か月保存後の溶出の結果が、すべての用量強度について示されている。結果は3回(初期状態では6回)の測定の平均として表示され、報告された値は15分で読み取られた時間である。溶出は、すべての条件ですべての用量強度で迅速であり、すべてのバッチについて15分で100%近くが溶出する。
【0326】
【表29】
【0327】
崩壊
表31には、5つの異なる条件で3か月間保存したコーティングされた錠剤の崩壊時間の結果が、最大3つの錠剤として示されている。崩壊時間はすべてのバッチで急速であり(4分10秒以内)、この時間は薬物負荷の増加および温度/湿度の上昇とともに増加した。
【0328】
【表30】
【0329】
コーティング剤として非機能性の美的ヒプロメロース系フィルムコートを使用する。錠剤サイズに関係なく良好なコーティング被覆率を確保するために、錠剤の表面積に基づいてフィルムコートの量を変化させる。該製剤に約4.8mg/cm2のフィルムコートを塗布し、これは、400mgの錠剤コア(ここで使用される10mm正規凹面円形)の3%および300mgの錠剤コア(9mm正規凹面円形)の3.3%に相当する。
【0330】
3つの製造された支持安定性バッチの組成を表32に示す。
【0331】
【表31】
【0332】
実施例5 - 例示的組成物
400mg錠剤の場合、化合物A 45mgを含む剤形は、400mg錠剤に対して11.25%の薬物負荷を有し、化合物A 5mg(400mg錠剤に対して1.25%の薬物負荷)。可能な最低用量は5mgであったため、同じ400mgコア重量に対して1.25%の薬物負荷が必要になる。製剤は、原薬として化合物A、希釈剤として微結晶セルロースおよび二塩基性リン酸カルシウム・二水和物、崩壊剤としてデンプングリコール酸ナトリウム、流動促進剤として二酸化ケイ素、潤滑剤としてベヘン酸グリセリルを含有する。ベヘン酸グリセリルは、顆粒内および顆粒外の両方に添加する。臨床研究用にサイズが一致した製剤を提供するために、二酸化ケイ素およびベヘン酸グリセリルは、良好な製剤安定性を維持しながら、製剤の凝集特性と粘着特性のバランスをとるために、薬物負荷に応じて変化する。また、微結晶セルロースの量を変更して、製剤の目標重量を取得し、原薬の純度を補正する。各成分の量は表33に従って算出される。錠剤コアの組成を表34に示す。
【0333】
【表32】
【0334】
【表33】
【0335】
例示的組成物、例えば、化合物Aの10mg、25mgおよび40mgの組成物は、図12ならびに以下の表35、表36、表38および表39および表36に提供される。
【0336】
【表34】
【0337】
【表35】
【0338】
【表36】
【0339】
【表37】
【0340】
* * * * * * *
本出願を通して引用されるすべての文書、特許、特許出願、刊行物、製品説明およびプロトコルは、出典明示によりすべての目的のためにそれらの全体を本明細書の一部とする。
【0341】
本明細書で例示および説明されている実施態様は、本発明を作成および使用するために本発明者に知られている最良の方法を当業者に教示することのみを意図している。上記の教示に照らして当業者に理解されるように、本発明の上記の実施態様の改変および変形は、本発明から逸脱することなく可能である。したがって、特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されている以外の方法で実施され得ることが理解される。
本願は、下記の態様も包含する。
[態様1]
(a)式(I):
【化15】
[式中、
1 は、
【化16】
であり;
2 は、水素、F、Cl、Br、OSO 2 1-3 アルキルまたはC 1-3 アルキルであり;
3 は、水素、F、Cl、Br、CN、CF 3 、SO 2 1-3 アルキル、CONH 2 またはSO 2 NR 4 5 であり、ここで、R 4 およびR 5 は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジン環、ピロリジン環またはピペリジン環を形成するか;または
6 は、1、2もしくは3個のFによって置換されていてもよく、および/または、OH、OC 1-3 アルキル、N(C 1-3 アルキル) 2 、シクロプロピルもしくはテトラヒドロピランによって置換されていてもよい、C 1-3 アルキルであり;
7 は、水素、F、ClまたはCH 3 であり;
Xは、O、SまたはCF 2 であり;
Yは、OまたはSであり;
Qは、CHまたはNである]
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩約1.0~約30wt%;
(b)薬学的希釈剤約55~約75wt%;
(c)圧縮助剤約15%~約25%;
薬学的崩壊剤約3.0%~約5.0wt%;
(d)薬学的流動促進剤約0.00~約1.0wt%;および
(e)薬学的潤滑剤約2~約6wt%;
を含む(ここで、該成分の重量を合計すると100になる)、医薬組成物。
[態様2]
薬学的潤滑剤がベヘン酸グリセロールである、態様1記載の医薬組成物。
[態様3]
薬学的希釈剤が微結晶セルロースである、態様1または2記載の医薬組成物。
[態様4]
圧縮助剤が二塩基性リン酸カルシウム・二水和物である、態様1~3のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様5]
薬学的崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムである、態様1~4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様6]
薬学的流動促進剤が二酸化ケイ素である、態様1~5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様7]
錠剤形態の、態様1~6のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様8]
さらに、錠剤コアを含む、態様7記載の医薬組成物。
[態様9]
式(I)で示される化合物が(2S)-N-{(1S)-1-シアノ-2-[4-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾオキサゾール-5-イル)フェニル]エチル}-1,4-オキサゼパン-2-カルボキサミド(化合物A)である、態様1~8のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様10]
化合物Aが約3~約10wt%存在する、態様9記載の医薬組成物
[態様11]
薬学的潤滑剤がベヘン酸グリセロールであり、該ベヘン酸グリセロールが約2.5~約4.5wt%存在する、態様10記載の医薬組成物。
[態様12]
薬学的流動促進剤が二酸化ケイ素であり、該二酸化ケイ素が約0.05~約0.25wt%存在する態様10または11記載の医薬組成物。
[態様13]
薬学的崩壊剤がデンプングリコール酸ナトリウムであり、該デンプングリコール酸ナトリウムが約3.5~約4.5wt%存在する、態様10~12のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様14]
圧縮助剤が二塩基性リン酸カルシウム・二水和物であり、該二塩基性リン酸カルシウム・二水和物が約18~約22wt%存在する、態様10~13のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様15]
希釈剤が微結晶セルロースであり、該微結晶セルロースが約55~約70wt%存在する、態様10~14のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様16]
式(I)で示される化合物が化合物Aの遊離塩基である、態様1~15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様17]
式(I)で示される化合物が化合物Aの薬学的に許容される塩である、態様1~15のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様18]
式(I)で示される化合物が該組成物中に約5mg~約50mg存在する、態様1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様19]
式(I)で示される化合物が該組成物中に約10mg~約40mg存在する、態様1~17のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[態様20]
式(I)で示される化合物が該組成物中に10mg存在する、態様1~17のいずれか1つに記載の医薬組成。
[態様21]
式(I)で示される化合物が組成物中に25mg存在する、態様1~17のいずれか1つに記載の医薬組成。
[態様22]
式(I)で示される化合物が組成物中に40mg存在する、態様1~17のいずれか1つに記載の医薬組成。
[態様23]
気道の閉塞性疾患の治療を必要とする患者における気道の閉塞性疾患の治療方法であって、該患者に、態様1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[態様24]
気道の閉塞性疾患が気管支拡張症である、態様23記載の方法。
[態様25]
気道の閉塞性疾患が慢性閉塞性肺疾患(COPD)である、態様23記載の方法。
[態様26]
気道の閉塞性疾患が喘息である、態様23記載の方法。
[態様27]
喘息が気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息または粉塵喘息である、態様26記載の方法。
[態様28]
嚢胞性線維症の治療を必要とする患者における嚢胞性線維症の治療方法であって、該患者に、態様1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[態様29]
抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)関連血管炎の治療を必要とする患者におけるANCA関連血管炎の治療方法であって、該患者に、態様1~22のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
[態様30]
治療が、治療前の患者の抗好中球細胞質自己抗体(ANCA)血中濃度と比較して、患者のANCA血中濃度を減少させることを含む、態様29記載の方法。
[態様31]
患者のANCA血中濃度の減少が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約80%である、態様30記載の方法。
[態様32]
ANCA血中濃度が、患者の血漿、血清またはその組合せにおいて測定される、態様30または31記載の方法。
[態様33]
ANCA濃度が、PR3 ANCA濃度である、態様30~32のいずれか1つに記載の方法。
[態様34]
ANCA濃度がミエロペルオキシダーゼ(MPO)ANCA濃度である、態様30~32のいずれか1つに記載の方法。
[態様35]
ANCA関連血管炎が多発血管炎性肉芽腫症(GPA)である、態様29~34のいずれか1つに記載の方法。
[態様36]
ANCA関連血管炎が顕微鏡的多発血管炎(MPA)である、態様29~34のいずれか1つに記載の方法。
[態様37]
患者が、治療開始時にウェゲナー肉芽腫に特異的なバーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS/WG)>0を有しており、該治療が、治療前の患者のBVAS/WGスコアと比較して、患者のBVAS/WGスコアを減少させることを含む、態様35記載の方法。
[態様38]
患者が、治療開始時にGPA寛解状態である、態様35記載の方法。
[態様39]
寛解が、BVAS/WGスコア0と定義される、態様38記載の方法。
[態様40]
治療が、治療中または治療後に患者においてGPA寛解を維持することを含む、態様38または39記載の方法。
[態様41]
治療が、患者のBVAS/WGスコアを1ポイント以上減少させることを含む、態様37記載の方法。
[態様42]
治療が、患者のBVAS/WGスコアを0に減少させることを含む、態様37記載の方法。
[態様43]
治療が、GPAフレアを阻害することを含み、ここで、フレアが1ポイント以上のBVAS/WGの増加と定義される、態様37記載の方法。。
[態様44]
患者が、該医薬組成物の投与前に、リツキシマブ、シクロホスファミド、ステロイド、またはそれらの組合せで治療されている、態様38~43のいずれか1つに記載の方法。
[態様45]
患者が、該医薬組成物の投与前に、ステロイドで治療されている、態様44記載の方法。
[態様46]
ステロイドがコルチコステロイドである、態様45記載の方法。
[態様47]
コルチコステロイドがグルココルチコイドである、態様46記載の方法。
[態様48]
患者が、該医薬組成物の投与前に、リツキシマブで治療されている、態様44記載の方法。
[態様49]
治療が、治療前の患者のショートフォーム健康調査質問票(SF-36)スコアと比較して、患者のSF-36スコアを改善することを含む、態様29~48のいずれか1つに記載の方法。
[態様50]
治療が、治療前の患者におけるCD19+B細胞の数と比較して、患者におけるCD19+B細胞の数を減少させることを含む、態様29~49のいずれか1つに記載の方法。
[態様51]
方法が、治療前の血管炎損傷指数(VDI)と比較して、患者のVDIを改善することを含む、態様29~50のいずれか1つに記載の方法。
[態様52]
さらに、治療を必要とする患者に1つ以上のさらなる活性薬剤を投与することを含む、態様29~51のいずれか1つに記載の方法
[態様53]
1つ以上のさらなる活性薬剤が抗CD20モノクローナル抗体を含む、態様52記載の方法。
[態様54]
抗CD20モノクローナル抗体がリツキシマブである、態様53記載の方法。。
[態様55]
1つ以上のさらなる活性薬剤が抗TNFαモノクローナル抗体を含む、態様52~54のいずれか1つに記載の方法。
[態様56]
抗TNFαモノクローナル抗体がインフリキシマブである、態様55記載の方法。
[態様57]
1つ以上のさらなる活性薬剤がシクロホスファミド(CYC)を含む、態様52~56のいずれか1つに記載の方法。
[態様58]
1つ以上のさらなる活性薬剤がステロイドを含む、態様52~57のいずれか1つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12