(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】プレチルト角を伴う液晶光学要素を用いた広視野偏光スイッチ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230824BHJP
G02B 30/26 20200101ALI20230824BHJP
G02B 30/10 20200101ALI20230824BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230824BHJP
G02F 1/1333 20060101ALN20230824BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B30/26
G02B30/10
G02F1/13 505
G02F1/1333 500
(21)【出願番号】P 2020568697
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 US2019037079
(87)【国際公開番号】W WO2019241575
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オ, チュルウ
(72)【発明者】
【氏名】コマンドゥリ, ラヴィ クマール
(72)【発明者】
【氏名】シャープ, ゲイリー
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-059913(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切替可能な光学アセンブリであって、
電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除され、その上に入射する光の偏光状態を選択的に改変するように構成される切替可能な波長板であって、前記切替可能な波長板は、
第1および第2の湾曲表面と、
液晶層であって、前記液晶層は、前記液晶層が湾曲されるように、前記第1の湾曲表面と第2の湾曲表面との間に配置され
、前記液晶層は、複数の半径方向に前記第1および第2の湾曲表面ならびに前記液晶層を通る軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の湾曲表面に対するチルト角を変動させる複数の液晶分子を備える、液晶層と、
前記湾曲
された液晶層を横断して電気信号を印加するための複数の電極と
を備える、切替可能な波長板
を備える、切替可能な光学アセンブリ。
【請求項2】
前記切替可能な波長板上の前記第1および第2の湾曲表面は、湾曲表面を湾曲基板上に備える、請求項1に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【請求項3】
前記第1および第2の湾曲表面は、同一である曲率を有する、
請求項1~2のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【請求項4】
前記切替可能な光学アセンブリはさらに、液晶層を備える第1の波長板レンズを備え、前記第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有し、
前記切替可能な光学アセンブリは、
第1の屈折力を有するように構成される第1のレンズ状態と、
前記第1の屈折力と異なる第2の屈折力を有するように構成される第2のレンズ状態と
を含む少なくとも2つのレンズ状態間で選択的に切り替えられるように構成される、
請求項1~3のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【請求項5】
前記第2の屈折力は、ゼロ屈折力である、請求項4に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、35U.S.C.§119(e)下、2018年6月15日に出願された、米国仮出願第62/685,857号の優先権の利益を主張する。本優先文書の開示全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
(参照による組み込み)
【0002】
本願は、参照することによって、以下の特許出願、すなわち、2014年11月27日に出願され、2015年7月23日に米国特許公開第2015/0205126号として公開された、米国特許出願第14/555,585号、2015年4月18日に出願され、2015年10月22日に米国特許公開第2015/0302652号として公開された、米国特許出願第14/690,401号、2014年3月14日に出願され、2016年8月16日に発行された、現米国特許第9,417,452号である、米国特許出願第14/212,961号、および2014年7月14日に出願され、2015年10月29日に米国特許公開第2015/0309263号として公開された、米国特許出願第14/331,218号のそれぞれの全体を組み込む。
(技術分野)
【0003】
本開示は、ディスプレイシステムに関し、より具体的には、拡張および仮想現実ディスプレイシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」または「拡張現実」体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、またはそのように知覚され得る様式でユーザに提示される。仮想現実、すなわち、「VR」シナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、拡張現実、すなわち、「AR」シナリオは、典型的には、ユーザの周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としてのデジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。複合現実または「MR」シナリオは、一種のARシナリオであって、典型的には、自然世界の中に統合され、それに応答する、仮想オブジェクトを伴う。例えば、MRシナリオでは、AR画像コンテンツは、実世界内のオブジェクトによって遮断されて見える、または別様にそれと相互作用するように知覚される。
【0005】
図1を参照すると、拡張現実場面10が、描写され、AR技術のユーザには、人々、木々、背景における建物、コンクリートプラットフォーム30を特徴とする、実世界公園状設定20が見える。これらのアイテムに加え、AR技術のユーザはまた、これらの要素40、50が実世界内に存在しないにもかかわらず、実世界プラットフォーム30上に立っているロボット像40と、マルハナバチの擬人化のように見える、飛んでいる漫画のようなアバタキャラクタ50等の「仮想コンテンツ」を「見ている」と知覚する。ヒトの視知覚系は、複雑であって、他の仮想または実世界画像要素間における仮想画像要素の快適で、自然のような感覚で、かつ豊かな提示を促進する、AR技術の生成は、困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書に開示されるシステムおよび方法は、ARまたはVR技術に関連する種々の課題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ARシステムは、依然として、ユーザに彼らの周囲の世界が見えることを可能にしながら、仮想コンテンツをユーザまたは視認者に表示し得る。好ましくは、本コンテンツは、例えば、画像情報をユーザの眼に投影する、アイウェアの一部としての頭部搭載型ディスプレイ上に表示される。加えて、ディスプレイはまた、周囲環境からの光をユーザの眼に透過させ、その周囲環境のビューを可能にしてもよい。本明細書で使用されるように、「頭部搭載型」または「頭部搭載可能である」ディスプレイは、視認者またはユーザの頭部上に搭載され得る、ディスプレイであることを理解されたい。
【0008】
いくつかのARシステムでは、複数の導波管は、仮想画像を複数の仮想深度平面(単に、本明細書では、「深度平面」とも称される)に形成するように構成されてもよい。複数の導波管の異なる導波管は、異なる屈折力を有してもよく、ユーザの眼から異なる距離に形成されてもよい。ディスプレイシステムはまた、屈折力を提供する、または加えて提供する、複数のレンズを含んでもよい。導波管および/またはレンズの屈折力は、画像を異なる仮想深度平面に提供し得る。望ましくないことに、導波管およびレンズはそれぞれ、ディスプレイの全体的厚さ、重量、およびコストを増加させ得る。
【0009】
有利なこととして、本明細書に説明される種々の実施形態では、適応レンズアセンブリが、可変屈折力を提供し、例えば、レンズアセンブリを通して伝搬する光の波面発散を修正し、仮想深度平面をユーザから異なる知覚距離に提供するために利用されてもよい。適応レンズアセンブリは、それらの間に配置される、切替可能な波長板を有する、一対の波長板レンズを含んでもよい。第1および第2の波長板レンズはそれぞれ、それを通して通過する光の偏光状態を改変するように構成されてもよく、切替可能な波長板は、複数の状態、例えば、光の偏光を変化させずに、光が通過することを可能にする、第1の状態と、光の偏光を改変する、第2の状態(例えば、偏光の掌性を変化させることによって)との間で切替可能であってもよい。いくつかの実施形態では、波長板レンズの一方または両方が、これらの第1の状態と第2の状態との間で切替可能であってもよく、上記の介在する切替可能な波長板は、省略されてもよい。
【0010】
適応レンズアセンブリは、複数の波長板レンズおよび複数の切替可能な波長板のスタックを備えてもよいことを理解されたい。例えば、適応レンズアセンブリは、介在する切替可能な波長板を伴う、一対の波長板レンズを備える、複数のサブアセンブリを備えてもよい。いくつかの実施形態では、適応レンズアセンブリは、交互する波長板レンズおよび切替可能な波長板を含んでもよい。有利なこととして、そのような交互配列は、近傍の切替可能な波長板に共通波長板レンズを共有させることによって、厚さおよび重量の低減を可能にする。いくつかの実施形態では、スタック内の切替可能なプレートの種々の組み合わせの状態を切り替えることによって、2つを上回る離散レベルの屈折力が、提供されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリとともに、ディスプレイデバイスを形成し、画像を異なる仮想深度平面に形成する。種々の実施形態では、ディスプレイデバイスは、導波管アセンブリによって介在される、一対の適応レンズアセンブリを備える。導波管アセンブリは、光(例えば、可視光)をその中に伝搬し(例えば、全内部反射を介して)、光を外部結合するように構成される、導波管を含む。例えば、光は、導波管の主要表面に対して法線方向にある光学軸方向に沿って外部結合されてもよい。対の適応レンズアセンブリのうちの1つは、導波管アセンブリの第1の側に形成されてもよく、可変屈折力を提供し、適応レンズアセンブリを通して通過する光の波面を修正し、画像を複数の仮想深度平面のそれぞれに形成するように構成されてもよい。例えば、適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリから受光された外部結合される光を収束または発散させ得る。適応レンズアセンブリおよび/または導波管アセンブリを通して伝搬する周囲光の収束または発散に起因する、実世界ビューの修正を補償するために、対の適応レンズアセンブリの他方が、加えて、第1の側と反対の導波管アセンブリの第2の側に提供される。各適応レンズアセンブリの切替可能な波長板が、対応する状態をとると、適応レンズアセンブリは、適応レンズアセンブリの他方が、導波管アセンブリの第1の側の適応レンズアセンブリによって生じる歪曲を補正するように、反対符号を伴う屈折力を有し得る。
【0012】
有利なこととして、持続的に可変の光学要素を有する、持続的に可変の適応レンズに対して、2つの状態間で切替可能な切替可能な波長板を利用することは、適応レンズアセンブリの駆動を簡略化させ、所望の屈折力のために適応レンズアセンブリを適切にアクティブ化する方法を決定するために必要とされる算出電力を低減させる。加えて、適応レンズアセンブリが導波管によって出力された光の波面発散を修正することを可能にすることによって、複数の深度平面を提供するために必要とされる導波管の数は、各導波管が特定の量の波面発散を提供する配列に対して、低減される。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
切替可能な光学アセンブリであって、
電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除され、その上に入射する光の偏光状態を選択的に改変するように構成される切替可能な波長板であって、前記切替可能な波長板は、
第1および第2の湾曲表面と、
液晶層が湾曲されるように、前記第1の湾曲表面と第2の湾曲表面との間に配置される液晶層と、
前記湾曲液晶層を横断して電気信号を印加するための複数の電極と
を備える、切替可能な波長板
を備える、切替可能な光学アセンブリ。
(項目2)
前記切替可能な波長板上の前記第1および第2の湾曲表面は、湾曲表面を湾曲基板上に備える、項目1に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目3)
前記第1および第2の湾曲表面は、同一である曲率を有する、上記項目のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目4)
前記切替可能な光学アセンブリはさらに、液晶層を備える第1の波長板レンズを備え、前記第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有し、
前記切替可能な光学アセンブリは、
第1の屈折力を有するように構成される第1のレンズ状態と、
前記第1の屈折力と異なる第2の屈折力を有するように構成される第2のレンズ状態と
を含む少なくとも2つのレンズ状態間で選択的に切り替えられるように構成される、上記項目のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目5)
前記第2の屈折力は、ゼロ屈折力である、項目4に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目6)
切替可能な光学アセンブリであって、
電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除され、その上に入射する光の偏光状態を選択的に改変するように構成される切替可能な波長板であって、前記切替可能な波長板は、
第1および第2の表面と、
前記第1の表面と第2の表面との間に配置される液晶層であって、前記液晶層は、複数の半径方向に前記第1および第2の表面および前記液晶層を通る軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる複数の液晶分子を備える、液晶層と、
前記液晶層を横断して電気信号を印加するための複数の電極と
を備える、切替可能な波長板
を備える、切替可能な光学アセンブリ。
(項目7)
前記第1および第2の表面は、平面表面を備える、項目6に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目8)
前記第1および第2の表面は、平面表面を平面基板上に備える、項目6-7のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目9)
前記軸は、前記第1および第2の表面に対して法線方向である、項目6-8のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目10)
前記複数の液晶分子は、前記複数の半径方向における前記軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の表面に対するチルト角を増加させる、項目6-9のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目11)
光を前記切替可能な光学アセンブリからある距離に位置する視認者の眼に透過させるように構成され、前記複数の液晶分子は、それぞれ、前記視認者の眼の視野内のある場所から前記視認者の眼までの経路に沿って伝搬する前記光の入射角に合致するチルト角を有する、項目6-10のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目12)
前記複数の液晶分子は、前記複数の液晶分子が前記軸を中心として回転可能な対称配列に配列されるような配向を有する、項目6-11のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目13)
前記複数の液晶分子は、前記複数の液晶分子が前記軸を中心として少なくとも4回回転対称を有するような配向を有する、項目6-11のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目14)
前記切替可能な光学アセンブリはさらに、液晶層を備える第1の波長板レンズを備え、前記第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有し、
前記切替可能な光学アセンブリは、
第1の屈折力を有するように構成される第1のレンズ状態と、
前記第1の屈折力と異なる第2の屈折力を有するように構成される第2のレンズ状態と
を含む少なくとも2つのレンズ状態間で選択的に切り替えられるように構成される、項目6-13のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目15)
前記第2の屈折力は、ゼロ屈折力である、項目14に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目16)
複数の半径方向における前記軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる前記複数の液晶分子は、前記第1の層を横断して少なくとも1cm
2
の範囲にわたって延在する前記分子の少なくとも50%を含む、項目6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目17)
複数の半径方向における前記軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる前記複数の液晶分子は、前記第1の層を横断して少なくとも2cm
2
の範囲にわたって延在する前記分子の少なくとも50%を含む、項目6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目18)
複数の半径方向における前記軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる前記複数の液晶分子は、前記第1の層を横断して少なくとも1cm
2
の範囲にわたって延在する前記分子の少なくとも80%を含む、項目6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目19)
複数の半径方向における前記軸からの外向き半径方向距離に伴って前記第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる前記複数の液晶分子は、前記第1の層を横断して少なくとも2cm
2
の範囲にわたって延在する前記分子の少なくとも80%を含む、項目6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
(項目20)
前記軸は、前記第1および第2の表面および前記液晶層を通る中心軸を含む、項目6-19に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、ARデバイスを通した拡張現実(AR)のユーザのビューを図示する。
【0014】
【
図2】
図2は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。
【0015】
【
図3】
図3A-3Cは、曲率半径と焦点半径との間の関係を図示する。
【0016】
【
図4A】
図4Aは、ヒト視覚系の遠近調節(accommodation)-輻輳・開散運動(vergence)応答の表現を図示する。
【0017】
【
図4B】
図4Bは、一対のユーザの眼の異なる遠近調節状態および輻輳・開散運動状態の実施例を図示する。
【0018】
【
図4C】
図4Cは、ディスプレイシステムを介してコンテンツを視認しているユーザの上下図の表現の実施例を図示する。
【0019】
【
図4D】
図4Dは、ディスプレイシステムを介してコンテンツを視認しているユーザの上下図の表現の別の実施例を図示する。
【0020】
【
図5】
図5は、波面発散を修正することによって3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。
【0021】
【
図6】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。
【0022】
【
図7】
図7は、導波管によって出力された出射ビームの実施例を図示する。
【0023】
【
図8】
図8は、スタックされた導波管アセンブリの実施例を図示し、各深度平面は、複数の異なる原色を使用して形成される画像を含む。
【0024】
【
図9A】
図9Aは、それぞれ、内部結合光学要素を含む、スタックされた導波管のセットの実施例の断面側面図を図示する。
【0025】
【0026】
【
図9C】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の実施例の上下平面図を図示する。
【0027】
【
図9D】
図9Dは、ウェアラブルディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0028】
【
図10】
図10は、一対の適応レンズアセンブリを備える、ディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0029】
【
図11】
図11Aは、仮想コンテンツをユーザにある仮想深度平面において表示する、
図10のディスプレイシステムの実施例を図示する。
図11Bは、実世界コンテンツのビューをユーザに提供する、
図10のディスプレイシステムの実施例を図示する。
【0030】
【
図12A】
図12Aは、液晶を備える、波長板レンズアセンブリの実施例を図示する。
【0031】
【
図12B】
図12Bは、液晶を備える、切替可能な波長板レンズの実施例を図示する。
【0032】
【
図13A】
図13Aは、捻転されたネマチック液晶の層を備える、切替可能な波長板層の実施例の断面図を図示する。
【0033】
【
図13B】
図13Bは、動作時、切替可能な波長板がアクティブ化またはアクティブ化解除されている、一対の4分の1波長板間に介在される、
図13Aの切替可能な波長板を備える、切替可能な波長板アセンブリの実施例を図示する。
【0034】
【
図13C】
図13Cは、捻転されたネマチック液晶層の複数の層を備える、4分の1波長板の実施例を図示する。
【0035】
【
図13D】
図13Dは、接着剤層を使用して単一スタックとして統合される、一対の4分の1波長板間に介在される、
図13Aの切替可能な波長板を備える、切替可能な波長板アセンブリの実施例を図示する。
【0036】
【
図13E】
図13Eは、単一スタックとして統合される、一対の4分の1波長板間に介在される、捻転されたネマチック液晶の層を備える、切替可能な波長板アセンブリの実施例を図示する。
【0037】
【
図13F】
図13Fは、単一スタックとして統合される、
図13Cの一対の4分の1波長板間に介在される、捻転されたネマチック液晶の層を備える、切替可能な波長板アセンブリの実施例を図示する。
【0038】
【
図14A】
図14Aは、液晶の層を切り替えるための一対の透明電極の一方の実施例の斜視図を図示する。
【0039】
【
図14B】
図14Bは、液晶の層を切り替えるための一対の透明電極の他方の実施例の斜視図を図示する。
【0040】
【
図14C】
図14Cは、液晶の層を切り替えるための一対の垂直に分離される透明電極の実施例の斜視図を図示する。
【0041】
【
図15A】
図15Aは、液晶の層を切り替えるための一対の水平に交錯された透明電極の実施例の平面図を図示する。
【0042】
【
図15B】
図15Bは、
図15Aの対の水平に交錯された透明電極を含む、切替可能な波長板アセンブリの実施例の断面図を図示する。
【0043】
【0044】
【0045】
【
図16C】
図16Cは、光の偏光および光が入射する側に応じて、異なる屈折力を提供し、それを通して通過する光を発散または収束させる、波長板レンズの実施例を図示する。
【0046】
【
図16D】
図16Dは、光の偏光および光が入射する側に応じて、異なる屈折力を提供し、それを通して通過する光を発散または収束させる、波長板レンズの実施例を図示する。
【0047】
【
図17】
図17は、波長板レンズと、広視野からの光を受光する、切替可能な波長板とを備える、適応レンズアセンブリの実施例を図示する。視野の周縁上のオブジェクトからの光は、偏光が変換/回転される効率を減少させる角度で、切替可能な波長板上に入射する。
【0048】
【
図18】
図18は、切替可能な波長板がその上に入射する光の異なる角度で偏光を変換/回転させる効率を図示する、プロットである。(例えば、周縁における)明るい部分は、低減された効率を示す。
【0049】
【
図19】
図19は、視野の周縁上のオブジェクトからの光のための偏光変換/回転の効率を増加させるように構成される、切替可能な波長板のための例示的設計を図示する。切替可能な波長板は、光が軸外オブジェクトに関する法線の近くにおいて切替可能な波長板上に入射するように湾曲される。
【0050】
【
図20】
図20は、視野の周縁上のオブジェクトからの光のための偏光変換/回転の効率を増加させるように構成される、切替可能な波長板のための別の例示的設計を図示する。切替可能な波長板は、光が軸外オブジェクトに関する法線のより近くにおいて分子上に入射するように、中心軸から増加する外向き半径方向距離に伴って傾斜される、分子を備える、液晶層を含む。
【0051】
図面全体を通して、参照番号は、参照される要素間の対応を示すために再使用され得る。図面は、本明細書に説明される例示的実施形態を図示するために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、図を参照するが、同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を指す。別様に示されない限り、図面は、概略であって、必ずしも、正確な縮尺で描かれていない。
(例示的ディスプレイシステム)
【0053】
図2は、ユーザのための3次元画像をシミュレートするための従来のディスプレイシステムを図示する。ユーザの眼は、離間されており、空間内の実オブジェクトを見ているとき、各眼は、オブジェクトの若干異なるビューを有し、オブジェクトの画像を各眼の網膜上の異なる場所に形成し得ることを理解されたい。これは、両眼視差と称され得、ヒト視覚系によって、深度の知覚を提供するために利用され得る。従来のディスプレイシステムは、仮想オブジェクトが所望の深度における実オブジェクトであるように各眼によって見えるであろう仮想オブジェクトのビューに対応する、眼210、220毎に1つの同一仮想オブジェクトの若干異なるビューを伴う2つの明確に異なる画像190、200を提示することによって、両眼視差をシミュレートする。これらの画像は、ユーザの視覚系が深度の知覚を導出するために解釈し得る、両眼キューを提供する。
【0054】
図2を継続して参照すると、画像190、200は、z-軸上で距離230だけ眼210、220から離間される。z-軸は、その眼が視認者の直前の光学無限遠におけるオブジェクトを固視している状態の視認者の光学軸と平行である。画像190、200は、平坦であって、眼210、220から固定距離にある。それぞれ、眼210、220に提示される画像内の仮想オブジェクトの若干異なるビューに基づいて、眼は、必然的に、オブジェクトの画像が眼のそれぞれの網膜上の対応する点に来て、単一両眼視を維持するように回転し得る。本回転は、眼210、220のそれぞれの視線を仮想オブジェクトが存在するように知覚される空間内の点上に収束させ得る。その結果、3次元画像の提供は、従来、ユーザの眼210、220の輻輳・開散運動を操作し得、ヒト視覚系が深度の知覚を提供するように解釈する、両眼キューを提供することを伴う。
【0055】
しかしながら、深度の現実的かつ快適な知覚の生成は、困難である。眼からの異なる距離におけるオブジェクトからの光は、異なる発散量を伴う波面を有することを理解されたい。
図3A-3Cは、距離と光線の発散との間の関係を図示する。オブジェクトと眼210との間の距離は、減少距離R1、R2、およびR3の順序で表される。
図3A-3Cに示されるように、光線は、オブジェクトまでの距離が減少するにつれてより発散する。逆に言えば、距離が増加するにつれて、光線は、よりコリメートされる。換言すると、点(オブジェクトまたはオブジェクトの一部)によって生成されるライトフィールドは、点がユーザの眼から離れている距離の関数である、球状波面曲率を有すると言え得る。曲率が増加すると、オブジェクトと眼210の間の距離が減少する。単眼210のみが、例証を明確にするために、
図3A-3Cおよび本明細書の種々の他の図に図示されるが、眼210に関する議論は、視認者の両眼210および220に適用され得る。
【0056】
図3A-3Cを継続して参照すると、視認者の眼が固視しているオブジェクトからの光は、異なる波面発散度を有し得る。異なる波面発散量に起因して、光は、眼の水晶体によって異なるように集束され得、これは、ひいては、水晶体に、異なる形状をとり、集束された画像を眼の網膜上に形成することを要求し得る。集束された画像が、網膜上に形成されない場合、結果として生じる網膜ぼけは、集束された画像が網膜上に形成されるまで、眼の水晶体の形状に変化を生じさせる、遠近調節のためのキューとして作用する。例えば、遠近調節のためのキューは、眼の水晶体を囲繞する毛様筋の弛緩または収縮を誘起し、それによって、レンズを保持する提靭帯に印加される力を変調し、したがって、固視されているオブジェクトの網膜ぼけが排除または最小限にされるまで、眼の水晶体の形状を変化させ、それによって、固視されているオブジェクトの集束された画像を眼の網膜(例えば、中心窩)上に形成し得る。眼の水晶体が形状を変化させるプロセスは、遠近調節と称され得、固視されているオブジェクトの集束された画像を眼の網膜(例えば、中心窩)上に形成するために要求される眼の水晶体の形状は、遠近調節状態と称され得る。
【0057】
ここで
図4Aを参照すると、ヒト視覚系の遠近調節-輻輳・開散運動応答の表現が、図示される。オブジェクトを固視するための眼の移動は、眼にオブジェクトからの光を受光させ、光は、画像を眼の網膜のそれぞれ上に形成する。網膜上に形成される画像内の網膜ぼけの存在は、遠近調節のためのキューを提供し得、網膜上の画像の相対的場所は、輻輳・開散運動のためのキューを提供し得る。遠近調節するためのキューは、遠近調節を生じさせ、眼の水晶体がオブジェクトの集束された画像を眼の網膜(例えば、中心窩)上に形成する特定の遠近調節状態をとる結果をもたらす。一方、輻輳・開散運動のためのキューは、各眼の各網膜上に形成される画像が単一両眼視を維持する対応する網膜点にあるように、輻輳・開散運動移動(眼の回転)を生じさせる。これらの位置では、眼は、特定の輻輳・開散運動状態をとっていると言え得る。
図4Aを継続して参照すると、遠近調節は、眼が特定の遠近調節状態を達成するプロセスであると理解され得、輻輳・開散運動は、眼が特定の輻輳・開散運動状態を達成するプロセスであると理解され得る。
図4Aに示されるように、眼の遠近調節および輻輳・開散運動状態は、ユーザが別のオブジェクトを固視する場合、変化し得る。例えば、遠近調節された状態は、ユーザがz-軸上の異なる深度における新しいオブジェクトを固視する場合、変化し得る。
【0058】
理論によって限定されるわけではないが、オブジェクトの視認者は、輻輳・開散運動および遠近調節の組み合わせに起因して、オブジェクトを「3次元」であると知覚し得ると考えられる。前述のように、2つの眼の相互に対する輻輳・開散運動移動(例えば、瞳孔が相互に向かって、またはそこから移動し、眼の視線を収束させ、オブジェクトを固視するような眼の回転)は、眼の水晶体の遠近調節と密接に関連付けられる。通常条件下では、眼の水晶体の形状を変化させ、1つのオブジェクトから異なる距離における別のオブジェクトに焦点を変化させることは、自動的に、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」として知られる関係下、同一距離まで輻輳・開散運動における整合する変化を生じさせるであろう。同様に、輻輳・開散運動における変化は、通常条件下、水晶体形状における整合する変化を誘起するであろう。
【0059】
ここで
図4Bを参照すると、眼の異なる遠近調節および輻輳・開散運動状態の実施例が、図示される。対の眼222aは、光学無限遠におけるオブジェクトを固視する一方、対の眼222bは、光学無限遠未満におけるオブジェクト221を固視する。着目すべきこととして、各対の眼の輻輳・開散運動状態は、異なり、対の眼222aは、まっすぐ指向される一方、対の眼222は、オブジェクト221上に収束する。各対の眼222aおよび222bを形成する眼の遠近調節状態もまた、水晶体210a、220aの異なる形状によって表されるように異なる。
【0060】
望ましくないことに、従来の「3-D」ディスプレイシステムの多くのユーザは、これらのディスプレイにおける遠近調節と輻輳・開散運動状態との間の不整合に起因して、そのような従来のシステムを不快であると見出す、または奥行感を全く知覚しない場合がある。前述のように、多くの立体視または「3-D」ディスプレイシステムは、若干異なる画像を各眼に提供することによって、場面を表示する。そのようなシステムは、それらが、とりわけ、単に、場面の異なる提示を提供し、眼の輻輳・開散運動状態に変化を生じさせるが、それらの眼の遠近調節状態に対応する変化を伴わないため、多くの視認者にとって不快である。むしろ、画像は、眼が全ての画像情報を単一遠近調節状態において視認するように、ディスプレイによって眼から固定距離に示される。そのような配列は、遠近調節状態における整合する変化を伴わずに輻輳・開散運動状態に変化を生じさせることによって、「遠近調節-輻輳・開散運動反射」に逆らう。本不整合は、視認者不快感を生じさせると考えられる。遠近調節と輻輳・開散運動との間のより良好な整合を提供する、ディスプレイシステムは、3次元画像のより現実的かつ快適なシミュレーションを形成し得る。
【0061】
理論によって限定されるわけではないが、ヒトの眼は、典型的には、有限数の深度平面を解釈し、深度知覚を提供することができると考えられる。その結果、知覚された深度の高度に真実味のあるシミュレーションが、眼にこれらの限定数の深度平面のそれぞれに対応する画像の異なる提示を提供することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、異なる提示は、輻輳・開散運動のためのキューおよび遠近調節するための整合するキューの両方を提供し、それによって、生理学的に正しい遠近調節-輻輳・開散運動整合を提供してもよい。
【0062】
図4Bを継続して参照すると、眼210、220からの空間内の異なる距離に対応する、2つの深度平面240が、図示される。所与の深度平面240に関して、輻輳・開散運動キューが、眼210、220毎に適切に異なる視点の画像を表示することによって提供されてもよい。加えて、所与の深度平面240に関して、各眼210、220に提供される画像を形成する光は、その深度平面240の距離におけるある点によって生成されたライトフィールドに対応する波面発散を有してもよい。
【0063】
図示される実施形態では、点221を含有する、深度平面240のz-軸に沿った距離は、1mである。本明細書で使用されるように、z-軸に沿った距離または深度は、ユーザの眼の射出瞳に位置するゼロ点を用いて測定されてもよい。したがって、1mの深度に位置する深度平面240は、眼が光学無限遠に向かって指向された状態でそれらの眼の光学軸上のユーザの眼の射出瞳から1m離れた距離に対応する。近似値として、z-軸に沿った深度または距離は、ユーザの眼の正面のディスプレイ(例えば、導波管の表面)から測定され、デバイスとユーザの眼の射出瞳との間の距離に関する値が加えられてもよい。その値は、瞳距離と呼ばれ、ユーザの眼の射出瞳と眼の正面のユーザによって装着されるディスプレイとの間の距離に対応し得る。実際は、瞳距離に関する値は、概して、全ての視認者に関して使用される、正規化された値であってもよい。例えば、瞳距離は、20mmであると仮定され得、1mの深度における深度平面は、ディスプレイの正面の980mmの距離にあり得る。
【0064】
ここで
図4Cおよび4Dを参照すると、整合遠近調節-輻輳・開散運動距離および不整合遠近調節-輻輳・開散運動距離の実施例が、それぞれ、図示される。
図4Cに図示されるように、ディスプレイシステムは、仮想オブジェクトの画像を各眼210、220に提供してもよい。画像は、眼210、220に、眼が深度平面240上の点15上に収束する、輻輳・開散運動状態をとらせ得る。加えて、画像は、その深度平面240における実オブジェクトに対応する波面曲率を有する光によって形成され得る。その結果、眼210、220は、画像がそれらの眼の網膜上に合焦する、遠近調節状態をとる。したがって、ユーザは、仮想オブジェクトを深度平面240上の点15にあるように知覚し得る。
【0065】
眼210、220の遠近調節および輻輳・開散運動状態はそれぞれ、z-軸上の特定の距離と関連付けられることを理解されたい。例えば、眼210、220からの特定の距離におけるオブジェクトは、それらの眼に、オブジェクトの距離に基づいて、特定の遠近調節状態をとらせる。特定の遠近調節状態と関連付けられた距離は、遠近調節距離Adと称され得る。同様に、特定の輻輳・開散運動状態における眼と関連付けられた特定の輻輳・開散運動距離Vdまたは相互に対する位置が、存在する。遠近調節距離および輻輳・開散運動距離が整合する場合、遠近調節と輻輳・開散運動との間の関係は、生理学的に正しいと言える。これは、視認者に最も快適なシナリオであると見なされる。
【0066】
しかしながら、立体視ディスプレイでは、遠近調節距離および輻輳・開散運動距離は、常時、整合しない場合がある。例えば、
図4Dに図示されるように、眼210、220に表示される画像は、深度平面240に対応する波面発散を伴って表示され得、眼210、220は、その深度平面上の点15a、15bが合焦する、特定の遠近調節状態をとり得る。しかしながら、眼210、220に表示される画像は、眼210、220を深度平面240上に位置しない点15上に収束させる、輻輳・開散運動のためのキューを提供し得る。その結果、遠近調節距離は、いくつかの実施形態では、眼210、220の射出瞳から深度平面240の距離に対応する一方、輻輳・開散運動距離は、眼210、220の射出瞳から点15までのより大きい距離に対応する。遠近調節距離は、輻輳・開散運動距離と異なる。その結果、遠近調節-輻輳・開散運動不整合が存在する。そのような不整合は、望ましくないと見なされ、不快感をユーザに生じさせ得る。不整合は、距離(例えば、V
d-A
d)に対応し、ジオプタを使用して特性評価され得ることを理解されたい。
【0067】
いくつかの実施形態では、眼210、220の射出瞳以外の参照点も、同一参照点が遠近調節距離および輻輳・開散運動距離のために利用される限り、遠近調節-輻輳・開散運動不整合を決定するための距離を決定するために利用されてもよいことを理解されたい。例えば、距離は、角膜から深度平面、網膜から深度平面、接眼レンズ(例えば、ディスプレイデバイスの導波管)から深度平面等まで測定され得る。
【0068】
理論によって限定されるわけではないが、ユーザは、不整合自体が有意な不快感を生じさせずに、依然として、最大約0.25ジオプタ、最大約0.33ジオプタ、および最大約0.5ジオプタの遠近調節-輻輳・開散運動不整合を生理学的に正しいと知覚し得ると考えられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるディスプレイシステム(例えば、ディスプレイシステム250、
図6)は、約0.5ジオプタまたはそれ未満の遠近調節-輻輳・開散運動不整合を有する、画像を視認者に提示する。いくつかの他の実施形態では、ディスプレイシステムによって提供される画像の遠近調節-輻輳・開散運動不整合は、約0.33ジオプタまたはそれ未満である。さらに他の実施形態では、ディスプレイシステムによって提供される画像の遠近調節-輻輳・開散運動不整合は、約0.1ジオプタまたはそれ未満を含む、約0.25ジオプタまたはそれ未満である。
【0069】
図5は、波面発散を修正することによって、3次元画像をシミュレートするためのアプローチの側面を図示する。ディスプレイシステムは、画像情報でエンコードされた光770を受光し、その光をユーザの眼210に出力するように構成される、導波管270を含む。導波管270は、所望の深度平面240上のある点によって生成されたライトフィールドの波面発散に対応する定義された波面発散量を伴って光650を出力してもよい。いくつかの実施形態では、同一量の波面発散が、その深度平面上に提示される全てのオブジェクトのために提供される。加えて、ユーザの他方の眼は、類似導波管からの画像情報を提供され得るように図示されるであろう。
【0070】
いくつかの実施形態では、単一導波管が、単一または限定数の深度平面に対応する設定された波面発散量を伴う光を出力するように構成されてもよく、および/または導波管は、限定された範囲の波長の光を出力するように構成されてもよい。その結果、いくつかの実施形態では、複数またはスタックの導波管が、異なる深度平面のための異なる波面発散量を提供し、および/または異なる範囲の波長の光を出力するために利用されてもよい。本明細書で使用されるように、深度平面は、平面であってもよい、または湾曲表面の輪郭に追従してもよいことを理解されたい。
【0071】
図6は、画像情報をユーザに出力するための導波管スタックの実施例を図示する。ディスプレイシステム250は、複数の導波管270、280、290、300、310を使用して3次元知覚を眼/脳に提供するために利用され得る、導波管のスタックまたはスタックされた導波管アセンブリ260を含む。ディスプレイシステム250は、いくつかの実施形態では、ライトフィールドディスプレイと見なされてもよいことを理解されたい。加えて、導波管アセンブリ260はまた、接眼レンズとも称され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、輻輳・開散運動するための実質的に連続キューおよび遠近調節するための複数の離散キューを提供するように構成されてもよい。輻輳・開散運動のためのキューは、異なる画像をユーザの眼のそれぞれに表示することによって提供されてもよく、遠近調節のためのキューは、選択可能な離散量の波面発散を伴う画像を形成する光を出力することによって提供されてもよい。換言すると、ディスプレイシステム250は、可変レベルの波面発散を伴う光を出力するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、波面発散の各離散レベルは、特定の深度平面に対応し、導波管270、280、290、300、310のうちの特定の1つによって提供されてもよい。
【0073】
図6を継続して参照すると、導波管アセンブリ260はまた、複数の特徴320、330、340、350を導波管の間に含んでもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、1つ以上のレンズであってもよい。導波管270、280、290、300、310および/または複数のレンズ320、330、340、350は、種々のレベルの波面曲率または光線発散を用いて画像情報を眼に送信するように構成されてもよい。各導波管レベルは、特定の深度平面と関連付けられてもよく、その深度平面に対応する画像情報を出力するように構成されてもよい。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、導波管のための光源として機能してもよく、画像情報を導波管270、280、290、300、310の中に投入するために利用されてもよく、それぞれ、本明細書に説明されるように、眼210に向かって出力のために各個別の導波管を横断して入射光を分散させるように構成されてもよい。光は、画像投入デバイス360、370、380、390、400の出力表面410、420、430、440、450から出射し、導波管270、280、290、300、310の対応する入力表面460、470、480、490、500の中に投入される。いくつかの実施形態では、入力表面460、470、480、490、500はそれぞれ、対応する導波管の縁であってもよい、または対応する導波管の主要表面の一部(すなわち、世界510または視認者の眼210に直接面する導波管表面のうちの1つ)であってもよい。いくつかの実施形態では、光の単一ビーム(例えば、コリメートされたビーム)が、各導波管の中に投入され、クローン化されたコリメートビームの全体場を出力してもよく、これは、特定の導波管と関連付けられた深度平面に対応する特定の角度(および発散量)において眼210に向かって指向される。いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの単一の1つは、複数(例えば、3つ)の導波管270、280、290、300、310と関連付けられ、その中に光を投入してもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400はそれぞれ、それぞれ対応する導波管270、280、290、300、310の中への投入のために画像情報を生成する、離散ディスプレイである。いくつかの他の実施形態では、画像投入デバイス360、370、380、390、400は、例えば、画像情報を1つ以上の光学導管(光ファイバケーブル等)を介して画像投入デバイス360、370、380、390、400のそれぞれに送り得る、単一の多重化されたディスプレイの出力端である。画像投入デバイス360、370、380、390、400によって提供される画像情報は、異なる波長または色(例えば、本明細書に議論されるように、異なる原色)の光を含んでもよいことを理解されたい。
【0075】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光は、光プロジェクタシステム520によって提供され、これは、光モジュール530を備え、これは、発光ダイオード(LED)等の光エミッタを含んでもよい。光モジュール530からの光は、ビームスプリッタ550を介して、光変調器540、例えば、空間光変調器によって指向および修正されてもよい。光変調器540は、導波管270、280、290、300、310の中に投入される光の知覚される強度を変化させ、光を画像情報でエンコードするように構成されてもよい。空間光変調器の実施例は、液晶ディスプレイ(LCD)を含み、シリコン上液晶(LCOS)ディスプレイを含む。画像投入デバイス360、370、380、390、400は、図式的に図示され、いくつかの実施形態では、これらの画像投入デバイスは、光を導波管270、280、290、300、310の関連付けられたものの中に出力するように構成される、共通投影システム内の異なる光経路および場所を表し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、導波管アセンブリ260の導波管は、導波管の中に投入された光をユーザの眼に中継しながら、理想的レンズとして機能し得る。本概念では、オブジェクトは、空間光変調器540であってもよく、画像は、深度平面上の画像であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム250は、光を種々のパターン(例えば、ラスタ走査、螺旋走査、リサジューパターン等)で1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に、最終的には、視認者の眼210に投影するように構成される、1つ以上の走査ファイバを備える、走査ファイバディスプレイであってもよい。いくつかの実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、光を1つまたは複数の導波管270、280、290、300、310の中に投入するように構成される、単一走査ファイバまたは走査ファイバの束を図式的に表し得る。いくつかの他の実施形態では、図示される画像投入デバイス360、370、380、390、400は、複数の走査ファイバまたは走査ファイバの複数の束を図式的に表し得、それぞれ、光を導波管270、280、290、300、310のうちの関連付けられた1つの中に投入するように構成される。1つ以上の光ファイバは、光を光モジュール530から1つ以上の導波管270、280、290、300、310に透過するように構成されてもよいことを理解されたい。1つ以上の介在光学構造が、走査ファイバまたは複数のファイバと、1つ以上の導波管270、280、290、300、310との間に提供され、例えば、走査ファイバから出射する光を1つ以上の導波管270、280、290、300、310の中に再指向してもよいことを理解されたい。
【0077】
コントローラ560は、画像投入デバイス360、370、380、390、400、光源530、および光変調器540の動作を含む、スタックされた導波管アセンブリ260のうちの1つ以上のものの動作を制御する。いくつかの実施形態では、コントローラ560は、ローカルデータ処理モジュール140の一部である。コントローラ560は、例えば、本明細書に開示される種々のスキームのいずれかに従って、導波管270、280、290、300、310への画像情報のタイミングおよびプロビジョニングを調整する、プログラミング(例えば、非一過性媒体内の命令)を含む。いくつかの実施形態では、コントローラは、単一一体型デバイスまたは有線または無線通信チャネルによって接続される分散型システムであってもよい。コントローラ560は、いくつかの実施形態では、処理モジュール140または150(
図2)の一部であってもよい。
【0078】
図6を継続して参照すると、導波管270、280、290、300、310は、全内部反射(TIR)によって各個別の導波管内で光を伝搬するように構成されてもよい。導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、主要な上部および底部表面およびそれらの主要上部表面と底部表面との間に延在する縁を伴う、平面である、または別の形状(例えば、湾曲)を有してもよい。図示される構成では、導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、光を再指向させ、各個別の導波管内で伝搬させ、導波管から画像情報を眼210に出力することによって、光を導波管から抽出するように構成される、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含んでもよい。抽出された光はまた、外部結合光と称され得、外部結合光学要素光はまた、光抽出光学要素と称され得る。抽出された光のビームは、導波管によって、導波管内で伝搬する光が光抽出光学要素に衝打する場所において出力され得る。外部結合光学要素570、580、590、600、610は、例えば、本明細書にさらに議論されるような回折光学特徴を含む、格子であってもよい。説明の容易性および図面の明確性のために、導波管270、280、290、300、310の底部主要表面に配置されて図示されるが、いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、本明細書にさらに議論されるように、上部および/または底部主要表面に配置されてもよい、および/または導波管270、280、290、300、310の容積内に直接配置されてもよい。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、透明基板に取り付けられ、導波管270、280、290、300、310を形成する、材料の層内に形成されてもよい。いくつかの他の実施形態では、導波管270、280、290、300、310は、モノリシック材料部品であってもよく、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、その部品の材料表面上および/またはその内部に形成されてもよい。
【0079】
図6を継続して参照すると、本明細書に議論されるように、各導波管270、280、290、300、310は、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。例えば、眼の最近傍の導波管270は、眼210にコリメートされた光(そのような導波管270の中に投入された)を送達するように構成されてもよい。コリメートされた光は、光学無限遠焦点面を表し得る。次の上方の導波管280は、眼210に到達し得る前に、第1のレンズ350(例えば、負のレンズ)を通して通過する、コリメートされた光を送出するように構成されてもよい。そのような第1のレンズ350は、眼/脳が、その次の上方の導波管280から生じる光を光学無限遠から眼210に向かって内向きにより近い第1の焦点面から生じるように解釈するように、若干の凸面波面曲率を生成するように構成されてもよい。同様に、第3の上方の導波管290は、眼210に到達する前に、その出力光を第1のレンズ350および第2のレンズ340の両方を通して通過させる。第1のレンズ350および第2のレンズ340の組み合わせられた屈折力は、眼/脳が、第3の導波管290から生じる光が次の上方の導波管280からの光であった光学無限遠から人物に向かって内向きにさらに近い第2の焦点面から生じるように解釈するように、別の漸増量の波面曲率を生成するように構成されてもよい。
【0080】
他の導波管層300、310およびレンズ330、320も同様に構成され、スタック内の最高導波管310は、人物に最も近い焦点面を表す集約焦点力のために、その出力をそれと眼との間のレンズの全てを通して送出する。スタックされた導波管アセンブリ260の他側の世界510から生じる光を視認/解釈するとき、レンズ320、330、340、350のスタックを補償するために、補償レンズ層620が、スタックの上部に配置され、下方のレンズスタック320、330、340、350の集約力を補償してもよい。そのような構成は、利用可能な導波管/レンズ対と同じ数の知覚される焦点面を提供する。導波管の外部結合光学要素およびレンズの集束側面は両方とも、静的であってもよい(すなわち、動的または電気活性ではない)。いくつかの代替実施形態では、一方または両方とも、電気活性特徴を使用して動的であってもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、導波管270、280、290、300、310のうちの2つ以上のものは、同一の関連付けられた深度平面を有してもよい。例えば、複数の導波管270、280、290、300、310が、同一深度平面に設定される画像を出力するように構成されてもよい、または導波管270、280、290、300、310の複数のサブセットが、深度平面毎に1つのセットを伴う、同一の複数の深度平面に設定される画像を出力するように構成されてもよい。これは、それらの深度平面において拡張された視野を提供するようにタイル化された画像を形成する利点を提供し得る。
【0082】
図6を継続して参照すると、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、導波管と関連付けられた特定の深度平面のために、光をその個別の導波管から再指向し、かつ本光を適切な量の発散またはコリメーションを伴って出力するように構成されてもよい。その結果、異なる関連付けられた深度平面を有する導波管は、外部結合光学要素570、580、590、600、610の異なる構成を有してもよく、これは、関連付けられた深度平面に応じて、異なる量の発散を伴う光を出力する。いくつかの実施形態では、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、光を具体的角度で出力するように構成され得る、体積または表面特徴であってもよい。例えば、光抽出光学要素570、580、590、600、610は、立体ホログラム、表面ホログラム、および/または回折格子であってもよい。いくつかの実施形態では、特徴320、330、340、350は、レンズではなくてもよい。むしろ、それらは、単に、スペーサ(例えば、クラッディング層および/または空隙を形成するための構造)であってもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、外部結合光学要素570、580、590、600、610は、回折パターンを形成する回折特徴または「回折光学要素」(また、本明細書では、「DOE」とも称される)である。好ましくは、DOEは、ビームの光の一部のみがDOEの各交差部で眼210に向かって偏向される一方、残りがTIRを介して、導波管を通して移動し続けるように、十分に低回折効率を有する。画像情報を搬送する光は、したがって、様々な場所において導波管から出射する、いくつかの関連出射ビームに分割され、その結果、導波管内でバウンスする本特定のコリメートされたビームに関して、眼210に向かって非常に均一なパターンの出射放出となる。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つ以上のDOEは、能動的に回折する「オン」状態と有意に回折しない「オフ」状態との間で切替可能であってもよい。例えば、切替可能なDOEは、ポリマー分散液晶の層を備えてもよく、その中で微小液滴は、ホスト媒体中に回折パターンを備え、微小液滴の屈折率は、ホスト材料の屈折率に実質的に整合するように切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を著しく回折させない)、または微小液滴は、ホスト媒体のものに整合しない屈折率に切り替えられてもよい(その場合、パターンは、入射光を能動的に回折させる)。
【0085】
いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630(例えば、可視光および赤外線光カメラを含む、デジタルカメラ)が、眼210および/または眼210の周囲の組織の画像を捕捉し、例えば、ユーザ入力を検出する、および/またはユーザの生理学的状態を監視するために提供されてもよい。本明細書で使用されるように、カメラは、任意の画像捕捉デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、画像捕捉デバイスと、光(例えば、赤外線光)を眼に投影し、次いで、それが眼によって反射され、画像捕捉デバイスによって検出され得る、光源とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、カメラアセンブリ630は、フレーム80(
図9D)に取り付けられてもよく、カメラアセンブリ630からの画像情報を処理し得る、処理モジュール140および/または150と電気通信してもよい。いくつかの実施形態では、1つのカメラアセンブリ630が、眼毎に利用され、各眼を別個に監視してもよい。
【0086】
ここで
図7を参照すると、導波管によって出力された出射ビームの実施例が、示される。1つの導波管が図示されるが、導波管アセンブリ260(
図6)内の他の導波管も同様に機能し得、導波管アセンブリ260は、複数の導波管を含むことを理解されたい。光640が、導波管270の入力表面460において導波管270の中に投入され、TIRによって導波管270内を伝搬する。光640がDOE570上に衝突する点では、光の一部は、導波管から出射ビーム650として出射する。出射ビーム650は、略平行として図示されるが、本明細書に議論されるように、また、導波管270と関連付けられた深度平面に応じて、ある角度において眼210に伝搬する(例えば、発散出射ビームを形成する)ように再指向されてもよい。略平行出射ビームは、眼210からの遠距離(例えば、光学無限遠)における深度平面に設定されるように現れる画像を形成するように光を外部結合する、外部結合光学要素を伴う導波管を示し得ることを理解されたい。他の導波管または他の外部結合光学要素のセットは、より発散する、出射ビームパターンを出力してもよく、これは、眼210がより近い距離に遠近調節し、網膜に合焦させることを要求し、光学無限遠より眼210に近い距離からの光として脳によって解釈されるであろう。
【0087】
いくつかの実施形態では、フルカラー画像が、原色、例えば、3つ以上の原色のそれぞれに画像をオーバーレイすることによって、各深度平面において形成されてもよい。
図8は、スタックされた導波管アセンブリの実施例を図示し、各深度平面は、複数の異なる原色を使用して形成される画像を含む。図示される実施形態は、深度平面240a-240fを示すが、より多いまたはより少ない深度もまた、検討される。各深度平面は、第1の色Gの第1の画像、第2の色Rの第2の画像、および第3の色Bの第3の画像を含む、それと関連付けられた3つ以上の原色画像を有してもよい。異なる深度平面は、文字G、R、およびBに続くジオプタ(dpt)に関する異なる数字によって図に示される。単なる実施例として、これらの文字のそれぞれに続く数字は、ジオプタ(1/m)、すなわち、視認者からの深度平面の逆距離を示し、図中の各ボックスは、個々の原色画像を表す。いくつかの実施形態では、異なる波長の光の眼の集束における差異を考慮するために、異なる原色に関する深度平面の正確な場所は、変動してもよい。例えば、所与の深度平面に関する異なる原色画像は、ユーザからの異なる距離に対応する深度平面上に設置されてもよい。そのような配列は、視力およびユーザ快適性を増加させ得、および/または色収差を減少させ得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、各原色の光は、単一専用導波管によって出力されてもよく、その結果、各深度平面は、それと関連付けられた複数の導波管を有してもよい。そのような実施形態では、文字G、R、またはBを含む、図中の各ボックスは、個々の導波管を表すものと理解され得、3つの導波管は、深度平面毎に提供されてもよく、3つの原色画像が、深度平面毎に提供される。各深度平面と関連付けられた導波管は、本図面では、説明を容易にするために相互に隣接して示されるが、物理的デバイスでは、導波管は全て、レベル毎に1つの導波管を伴うスタックで配列されてもよいことを理解されたい。いくつかの他の実施形態では、複数の原色が、例えば、単一導波管のみが深度平面毎に提供され得るように、同一導波管によって出力されてもよい。
【0089】
図8を継続して参照すると、いくつかの実施形態では、Gは、緑色であって、Rは、赤色であって、Bは、青色である。いくつかの他の実施形態では、マゼンタ色およびシアン色を含む、光の他の波長と関連付けられた他の色も、赤色、緑色、または青色のうちの1つ以上のものに加えて使用されてもよい、またはそれらに取って代わってもよい。
【0090】
本開示全体を通した所与の光の色の言及は、視認者によってその所与の色であるように知覚される、光の波長の範囲内の1つ以上の波長の光を包含するものと理解されるであろうことを理解されたい。例えば、赤色光は、約620~780nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含んでもよく、緑色光は、約492~577nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含んでもよく、青色光は、約435~493nmの範囲内の1つ以上の波長の光を含んでもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、光源530(
図6)は、視認者の視覚的知覚範囲外の1つ以上の波長、例えば、赤外線および/または紫外線波長の光を放出するように構成されてもよい。加えて、ディスプレイ250の導波管の内部結合、外部結合、および他の光再指向構造は、例えば、結像および/またはユーザ刺激用途のために、本光をディスプレイからユーザの眼210に向かって指向および放出するように構成されてもよい。
【0092】
ここで
図9Aを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管に衝突する光は、その光を導波管の中に内部結合するために再指向される必要があり得る。内部結合光学要素が、光をその対応する導波管の中に再指向および内部結合するために使用されてもよい。
図9Aは、それぞれ、内部結合光学要素を含む、複数またはセット660のスタックされた導波管の実施例の断面側面図を図示する。導波管はそれぞれ、1つまたはそれを上回る異なる波長または1つまたはそれを上回る異なる波長範囲の光を出力するように構成されてもよい。スタック660は、スタック260(
図6)に対応してもよく、スタック660の図示される導波管は、複数の導波管270、280、290、300、310の一部に対応してもよいが、画像投入デバイス360、370、380、390、400のうちの1つ以上のものからの光が、光が内部結合のために再指向されることを要求する位置から導波管の中に投入されることを理解されたい。
【0093】
スタックされた導波管の図示されるセット660は、導波管670、680、および690を含む。各導波管は、関連付けられた内部結合光学要素(導波管上の光入力面積とも称され得る)を含み、例えば、内部結合光学要素700は、導波管670の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素710は、導波管680の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置され、内部結合光学要素720は、導波管690の主要表面(例えば、上側主要表面)上に配置される。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720のうちの1つ以上のものは、個別の導波管670、680、690の底部主要表面上に配置されてもよい(特に、1つ以上の内部結合光学要素は、反射性偏向光学要素である)。図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、その個別の導波管670、680、690の上側主要表面(または次の下側導波管の上部)上に配置されてもよく、特に、それらの内部結合光学要素は、透過性偏向光学要素である。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720は、個別の導波管670、680、690の本体内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、他の光の波長を透過しながら、1つ以上の光の波長を選択的に再指向するような波長選択的である。その個別の導波管670、680、690の片側または角に図示されるが、内部結合光学要素700、710、720は、いくつかの実施形態では、その個別の導波管670、680、690の他の面積内に配置されてもよいことを理解されたい。
【0094】
図示されるように、内部結合光学要素700、710、720は、相互から側方にオフセットされてもよい。いくつかの実施形態では、各内部結合光学要素は、その光が別の内部結合光学要素を通して通過せずに、光を受光するようにオフセットされてもよい。例えば、各内部結合光学要素700、710、720は、
図6に示されるように、光を異なる画像投入デバイス360、370、380、390、および400から受光するように構成されてもよく、光を内部結合光学要素700、710、720の他のものから実質的に受光しないように、他の内部結合光学要素700、710、720から分離されてもよい(例えば、側方に離間される)。
【0095】
各導波管はまた、関連付けられた光分散要素を含み、例えば、光分散要素730は、導波管670の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分散要素740は、導波管680の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置され、光分散要素750は、導波管690の主要表面(例えば、上部主要表面)上に配置される。いくつかの他の実施形態では、光分散要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の底部主要表面上に配置されてもよい。いくつかの他の実施形態では、光分散要素730、740、750は、それぞれ、関連付けられた導波管670、680、690の上部および底部両方の主要表面上に配置されてもよい、または光分散要素730、740、750は、それぞれ、異なる関連付けられた導波管670、680、690内の上部および底部主要表面の異なるもの上に配置されてもよい。
【0096】
導波管670、680、690は、例えば、材料のガス、液体、および/または固体層によって離間および分離されてもよい。例えば、図示されるように、層760aは、導波管670および680を分離してもよく、層760bは、導波管680および690を分離してもよい。いくつかの実施形態では、層760aおよび760bは、低屈折率材料(すなわち、導波管670、680、690の直近のものを形成する材料より低い屈折率を有する材料)から形成される。好ましくは、層760a、760bを形成する材料の屈折率は、導波管670、680、690を形成する材料の屈折率に対して0.05以上、または0.10以下である。有利なこととして、より低い屈折率層760a、760bは、導波管670、680、690を通して光の全内部反射(TIR)(例えば、各導波管の上部および底部主要表面間のTIR)を促進する、クラッディング層として機能してもよい。いくつかの実施形態では、層760a、760bは、空気から形成される。図示されないが、導波管の図示されるセット660の上部および底部は、直近クラッディング層を含んでもよいことを理解されたい。
【0097】
好ましくは、製造および他の考慮点を容易にするために、導波管670、680、690を形成する材料は、類似または同一であって、層760a、760bを形成する材料は、類似または同一である。いくつかの実施形態では、導波管670、680、690を形成する材料は、1つ以上の導波管間で異なってもよい、および/または層760a、760bを形成する材料は、依然として、前述の種々の屈折率関係を保持しながら、異なってもよい。
【0098】
図9Aを継続して参照すると、光線770、780、790が、導波管のセット660に入射する。光線770、780、790は、1つ以上の画像投入デバイス360、370、380、390、400(
図6)によって導波管670、680、690の中に投入されてもよいことを理解されたい。
【0099】
いくつかの実施形態では、光線770、780、790は、異なる色に対応し得る、異なる性質、例えば、異なる波長または異なる波長範囲を有する。内部結合光学要素700、710、720はそれぞれ、光が、TIRによって、導波管670、680、690のうちの個別の1つを通して伝搬するように、入射光を偏向させる。いくつかの実施形態では、内部結合光学要素700、710、720はそれぞれ、他の波長を下層導波管および関連付けられた内部結合光学要素に透過させながら、1つ以上の特定の光の波長を選択的に偏向させる。
【0100】
例えば、内部結合光学要素700は、それぞれ、異なる第2および第3の波長または波長範囲を有する、光線780および790を透過させながら、第1の波長または波長範囲を有する、光線770を偏向させるように構成されてもよい。透過された光線780は、第2の波長または波長範囲の光を偏向させるように構成される、内部結合光学要素710に衝突し、それによって偏向される。光線790は、第3の波長または波長範囲の光を選択的に偏向させるように構成される、内部結合光学要素720によって偏向される。
【0101】
図9Aを継続して参照すると、偏向された光線770、780、790は、対応する導波管670、680、690を通して伝搬するように偏向される。すなわち、各導波管の内部結合光学要素700、710、720は、光をその対応する導波管670、680、690の中に偏向させ、光を対応する導波管の中に内部結合する。光線770、780、790は、光をTIRによって個別の導波管670、680、690を通して伝搬させる角度で偏向される。光線770、780、790は、導波管の対応する光分散要素730、740、750に衝突するまで、TIRによって個別の導波管670、680、690を通して伝搬する。
【0102】
ここで
図9Bを参照すると、
図9Aの複数のスタックされた導波管の実施例の斜視図が、図示される。前述のように、内部結合された光線770、780、790は、それぞれ、内部結合光学要素700、710、720によって偏向され、次いで、それぞれ、導波管670、680、690内でTIRによって伝搬する。光線770、780、790は、次いで、それぞれ、光分散要素730、740、750に衝突する。光分散要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820に向かって伝搬するように、光線770、780、790を偏向させる。
【0103】
いくつかの実施形態では、光分散要素730、740、750は、直交瞳エクスパンダ(OPE)である。いくつかの実施形態では、OPEは、光を外部結合光学要素800、810、820に偏向または分散し、いくつかの実施形態では、また、外部結合光学要素に伝搬するにつれて、本光のビームまたはスポットサイズを増加させ得る。いくつかの実施形態では、光分散要素730、740、750は、省略されてもよく、内部結合光学要素700、710、720は、光を直接外部結合光学要素800、810、820に偏向させるように構成されてもよい。例えば、
図9Aを参照すると、光分散要素730、740、750は、それぞれ、外部結合光学要素800、810、820と置換されてもよい。いくつかの実施形態では、外部結合光学要素800、810、820は、光を視認者の眼210(
図7)に指向させる、射出瞳(EP)または射出瞳エクスパンダ(EPE)である。OPEは、少なくとも1つの軸においてアイボックスの寸法を増加させるように構成されてもよく、EPEは、OPEの軸と交差する、例えば、直交する軸においてアイボックスを増加させてもよいことを理解されたい。例えば、各OPEは、光の残りの部分が導波管を辿って伝搬し続けることを可能にしながら、OPEに衝打する光の一部を同一導波管のEPEに再指向するように構成されてもよい。OPEへの衝突に応じて、再び、残りの光の別の部分は、EPEに再指向され、その部分の残りの部分は、導波管等を辿ってさらに伝搬し続ける。同様に、EPEへの衝打に応じて、衝突光の一部は、導波管からユーザに向かって指向され、その光の残りの部分は、EPに再び衝打するまで、導波管を通して伝搬し続け、その時点で、衝突する光の別の部分は、導波管から指向される等となる。その結果、内部結合された光の単一ビームは、その光の一部がOPEまたはEPEによって再指向される度に、「複製」され、それによって、
図6に示されるように、クローン化された光のビーム野を形成し得る。いくつかの実施形態では、OPEおよび/またはEPEは、光のビームのサイズを修正するように構成されてもよい。
【0104】
故に、
図9Aおよび9Bを参照すると、いくつかの実施形態では、導波管のセット660は、原色毎に、導波管670、680、690と、内部結合光学要素700、710、720と、光分散要素(例えば、OPE)730、740、750と、外部結合光学要素(例えば、EP)800、810、820とを含む。導波管670、680、690は、各1つの間に空隙/クラッディング層を伴ってスタックされてもよい。内部結合光学要素700、710、720は、(異なる波長の光を受光する異なる内部結合光学要素を用いて)入射光をその導波管の中に再指向または偏向させる。光は、次いで、個別の導波管670、680、690内にTIRをもたらすであろう角度で伝搬する。示される実施例では、光線770(例えば、青色光)は、前述の様式において、第1の内部結合光学要素700によって偏光され、次いで、導波管を辿ってバウンスし続け、光分散要素(例えば、OPE)730、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)800と相互作用する。光線780および790(例えば、それぞれ、緑色および赤色光)は、導波管670を通して通過し、光線780は、内部結合光学要素710上に衝突し、それによって偏向される。光線780は、次いで、TIRを介して、導波管680を辿ってバウンスし、その光分散要素(例えば、OPE)740、次いで、外部結合光学要素(例えば、EP)810に進むであろう。最後に、光線790(例えば、赤色光)は、導波管690を通して通過し、導波管690の光内部結合光学要素720に衝突する。光内部結合光学要素720は、光線が、TIRによって、光分散要素(例えば、OPE)750、次いで、TIRによって、外部結合光学要素(例えば、EP)820に伝搬するように、光線790を偏向させる。外部結合光学要素820は、次いで、最後に、光線790を視認者に外部結合し、視認者はまた、他の導波管670、680からの外部結合した光も受光する。
【0105】
図9Cは、
図9Aおよび9Bの複数のスタックされた導波管の実施例の上下平面図を図示する。図示されるように、導波管670、680、690は、各導波管の関連付けられた光分散要素730、740、750および関連付けられた外部結合光学要素800、810、820とともに、垂直に整合されてもよい。しかしながら、本明細書に議論されるように、内部結合光学要素700、710、720は、垂直に整合されない。むしろ、内部結合光学要素は、好ましくは、非重複する(例えば、上下図に見られるように、側方に離間される)。本明細書でさらに議論されるように、本非重複空間配列は、1対1ベースで異なるリソースから異なる導波管の中への光の投入を促進し、それによって、具体的光源が具体的導波管に一意に結合されることを可能にする。いくつかの実施形態では、非重複の空間的に分離される内部結合光学要素を含む、配列は、偏移瞳システムと称され得、これらの配列内の内部結合光学要素は、サブ瞳に対応し得る。
【0106】
図9Dは、本明細書に開示される種々の導波管および関連システムが統合され得る、ウェアラブルディスプレイシステム60の実施例を図示する。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム60は、
図6のシステム250であって、
図6は、そのシステム60のいくつかの部分をより詳細に図式的に示す。例えば、
図6の導波管アセンブリ260は、ディスプレイ70の一部であってもよい。
【0107】
図9Dを継続して参照すると、ディスプレイシステム60は、ディスプレイ70と、そのディスプレイ70の機能をサポートするための種々の機械的および電子的モジュールおよびシステムとを含む。ディスプレイ70は、フレーム80に結合されてもよく、これは、ディスプレイシステムユーザまたは視認者90によって装着可能であって、ディスプレイ70をユーザ90の眼の正面に位置付けるように構成される。ディスプレイ70は、いくつかの実施形態では、接眼レンズと見なされ得る。いくつかの実施形態では、スピーカ100が、フレーム80に結合され、ユーザ90の外耳道に隣接して位置付けられるように構成される(いくつかの実施形態では、示されない別のスピーカも、随意に、ユーザの他方の外耳道に隣接して位置付けられ、ステレオ/成形可能音制御を提供してもよい)。ディスプレイシステム60はまた、1つ以上のマイクロホン110または他のデバイスを含み、音を検出してもよい。いくつかの実施形態では、マイクロホンは、ユーザが入力またはコマンドをシステム60に提供することを可能にするように構成され(例えば、音声メニューコマンドの選択、自然言語質問等)、および/または他の人物(例えば、類似ディスプレイシステムの他のユーザ)とのオーディオ通信を可能にしてもよい。マイクロホンはさらに、周辺センサとして構成され、オーディオデータ(例えば、ユーザおよび/または環境からの音)を収集してもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムはまた、周辺センサ120aを含んでもよく、これは、フレーム80と別個であって、ユーザ90の身体(例えば、ユーザ90の頭部、胴体、四肢等)上に取り付けられてもよい。周辺センサ120aは、いくつかの実施形態では、ユーザ90の生理学的状態を特徴付けるデータを入手するように構成されてもよい。例えば、センサ120aは、電極であってもよい。
【0108】
図9Dを継続して参照すると、ディスプレイ70は、有線導線または無線コネクティビティ等の通信リンク130によって、ローカルデータ処理モジュール140に動作可能に結合され、これは、フレーム80を固定して取り付けられる、ユーザによって装着されるヘルメットまたは帽子を固定して取り付けられる、ヘッドホン内に埋設される、または別様にユーザ90に除去可能に取り付けられる(例えば、リュック式構成において、ベルト結合式構成において)等、種々の構成で搭載されてもよい。同様に、センサ120aは、通信リンク120b、例えば、有線導線または無線コネクティビティによって、ローカルプロセッサおよびデータモジュール140に動作可能に結合されてもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、ハードウェアプロセッサおよび不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブ)等のデジタルメモリを備えてもよく、両方とも、データの処理、キャッシュ、および記憶を補助するために利用されてもよい。随意に、ローカル処理およびデータモジュール140は、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、専用処理ハードウェア等を含んでもよい。データは、a)センサ(画像捕捉デバイス(カメラ等)、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、ジャイロスコープ、および/または本明細書に開示される他のセンサ(例えば、フレーム80に動作可能に結合され得る、または別様にユーザ90に取り付けられ得る))から捕捉されたデータ、および/またはb)可能性として処理または読出後にディスプレイ70への通過のための遠隔処理モジュール150および/または遠隔データリポジトリ160(仮想コンテンツに関連するデータを含む)を使用して取得および/または処理されたデータを含んでもよい。ローカル処理およびデータモジュール140は、これらの遠隔モジュール150、160が相互に動作可能に結合され、ローカル処理およびデータモジュール140に対するリソースとして利用可能であるように、有線または無線通信リンクを介して等、通信リンク170、180によって、遠隔処理モジュール150および遠隔データリポジトリ160に動作可能に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、ローカル処理およびデータモジュール140は、画像捕捉デバイス、マイクロホン、慣性測定ユニット、加速度計、コンパス、GPSユニット、無線デバイス、および/またはジャイロスコープのうちの1つ以上のものを含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、これらのセンサのうちの1つまたはそれを上回るものは、フレーム80に取り付けられてもよい、または有線または無線通信経路によってローカル処理およびデータモジュール140と通信する、独立構造であってもよい。
【0109】
図9Dを継続して参照すると、いくつかの実施形態では、遠隔処理モジュール150は、データおよび/または画像情報を分析および処理するように構成される、1つ以上のプロセッサを備えてもよく、例えば、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、専用処理ハードウェア等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、インターネットまたは「クラウド」リソース構成における他のネットワーキング構成を通して利用可能であり得る、デジタルデータ記憶設備を備えてもよい。いくつかの実施形態では、遠隔データリポジトリ160は、1つ以上の遠隔サーバを含んでもよく、これは、情報、例えば、拡張現実コンテンツをローカル処理およびデータモジュール140および/または遠隔処理モジュール150に生成するための情報を提供する。いくつかの実施形態では、全てのデータが、記憶され、全ての計算は、ローカル処理およびデータモジュール内で行われ、遠隔モジュールからの完全に自律的使用を可能にする。随意に、CPU、GPU等を含む、外部システム(例えば、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のコンピュータのシステム)が、処理(例えば、画像情報を生成する、データを処理する)の少なくとも一部を実施し、例えば、無線または有線接続を介して、情報をモジュール140、150、160に提供し、情報をそこから受信してもよい。
(広帯域適応波長板レンズアセンブリのための液晶材料)
【0110】
概して、液晶は、従来の流体と固体との間の中間であり得る、物理的性質を保有する。液晶は、いくつかの側面では、流体状であるが、大部分の流体と異なり、液晶内の分子の配列は、ある構造秩序を呈する。異なるタイプの液晶は、サーモトロピック、リオトロピック、およびポリマー液晶を含む。本明細書に開示されるサーモトロピック液晶は、ネマチック状態/位相、スメクチック状態/位相、キラルネマチック状態/位相またはキラルスメクチック状態/位相を含む、種々の物理的状態、例えば、位相内に実装されることができる。
【0111】
本明細書に説明されるように、ネマチック状態または位相内の液晶は、比較的に少ない位置秩序を有する一方、長距離指向性秩序を有し、その長軸が、略平行である、カラミチック(ロッド形状)またはディスコチック(ディスク形状)有機分子を有することができる。したがって、有機分子は、自由に流動し得、その質量中心位置は、液体中におけるようにランダムに分散される一方、依然として、その長距離指向性秩序を維持する。いくつかの実装では、ネマチック位相における液晶は、一軸性であり得る、すなわち、液晶は、より長く、優先される、1つの軸を有し、他の2つは、ほぼ同等である。いくつかの実装では、液晶分子は、長軸に沿って配向する。他の実装では、液晶は、二軸性であり得る、すなわち、その長軸を配向することに加え、液晶はまた、二次軸に沿って配向され得る。
【0112】
本明細書に説明されるように、スメクチック状態または位相における液晶は、相互にわたって摺動し得る、比較的に明確に画定された層を形成する、有機分子を有することができる。いくつかの実装では、スメクチック位相における液晶は、1つの方向に沿って位置的に順序付けられることができる。いくつかの実装では、分子の長軸は、液晶層の平面に対して略法線方向に沿って配向されることができる一方、他の実装では、分子の長軸は、層の平面に対する法線方向に対して傾斜されてもよい。
【0113】
ここでは、かつ本開示全体を通して、ネマチック液晶は、ロッド状分子から成り、近傍分子の長軸は、相互にほぼ整合される。本異方性構造を説明するために、配向子と呼ばれる、無次元単位ベクトルnが、液晶分子の好ましい配向の方向を説明するために使用され得る。
【0114】
ここでは、かつ本開示全体を通して、方位角または回転角度φは、液晶層または基板の主要表面と平行な平面、例えば、x-y平面において測定され、かつ整合方向、例えば、伸長方向または配向子の方向と、主要表面と平行方向、例えば、y-方向との間で測定される、層法線方向または液晶層の主要表面に対して法線方向の軸を中心とした液晶分子の回転角度を説明するために使用される。
【0115】
ここでは、かつ本開示全体を通して、回転角度φ等の角度が、異なる領域間で実質的に同一または異なると称されるとき、平均整合角度は、例えば、相互の約1%、約5%、または約10%以内であり得るが、平均整合は、ある場合には、より大きくあり得ることを理解されたい。
【0116】
本明細書に説明されるように、ネマチック状態またはスメクチック状態におけるいくつかの液晶はまた、層法線方向に捻転を呈することができる。そのような液晶は、捻転されたネマチック(TN)液晶または捻転されたスメクチック(SN)液晶と称される。TNまたはSN液晶は、配向子と垂直な軸を中心として分子の捻転を呈し得、分子軸は、配向子と平行である。捻転度が、比較的に大きいとき、捻転された液晶は、キラル位相またはコレステリック位相と称され得る。
【0117】
本明細書に説明されるように、TNまたはSN液晶は、捻転角度または正味捻転角度(φ)を有するものとして説明され得、これは、例えば、規定された長さ、例えば、液晶層の厚さを横断して最上液晶分子と最下液晶分子との間の相対的方位角回転を指し得る。
【0118】
本明細書に説明されるように、「重合化可能液晶」は、重合化される、例えば、原位置で光重合され得、また、本明細書では、反応性メソゲン(RM)として説明され得る、液晶材料を指し得る。
【0119】
液晶分子は、いくつかの実施形態では、重合化可能であってもよく、いったん重合化されると、他の液晶分子との大規模網を形成し得る。例えば、液晶分子は、化学結合によって、または化学種と他の液晶分子を連結することによって、連結されてもよい。いったんともに継合されると、液晶分子は、ともに連結される前と実質的に同一配向および場所を有する、液晶ドメインを形成し得る。用語「液晶分子」は、本明細書では、重合化前の液晶分子および重合化後のこれらの分子によって形成される液晶ドメインの両方を指し得る。いったん重合化されると、重合化されたネットワークは、液晶ポリマー(LCP)と称され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、重合化されるステップに先立った、重合化されていない液晶分子または重合化可能液晶分子は、少なくとも限定された回転自由度を有し得る。これらの重合化されていない液晶分子は、例えば、電気刺激下、回転または傾斜し得、これは、光学性質の改変をもたらす。例えば、電場を印加することによって、重合化されていない液晶分子を含む、いくつかの液晶層は、異なる回折または偏光改変性質を有する、1つ以上の状態間で切り替えられてもよい。
【0121】
本発明者らは、液晶または反応性メソゲン(RM)の上記に説明される性質が、有利なこととして、本明細書に開示される広帯域の切替可能な波長板および波長板レンズの種々のコンポーネントに適用され得ることを認識する。例えば、いくつかの重合化されていないRMでは、LC分子の配向は、堆積後、例えば、外部刺激、例えば、電場の印加によって、改変されることができる。本認識に基づいて、本発明者らは、本明細書において、外部刺激の印加によって複数の状態間で切り替えられ得る、波長板および波長板レンズを開示する。
【0122】
加えて、本発明者らは、重合化されていないとき、いくつかのLCまたはRMの表面または界面におけるLC分子の配向が、その上にLC分子が形成される、表面または界面を制御することによって、整合されることができると認識する。例えば、複数のLC層のスタックが、形成されることができ、LC層の表面に最も近いLC分子の配向を制御することによって、次のLC層内の直接隣接するLCの配向が、例えば、前のLC層内の表面に最も近いLC分子と同一配向または隣接する層内の伸長マイクロ構造と同一配向を有するように制御されることができる。加えて、表面または界面におけるLC分子間のLC分子は、所定の捻転の量を有するように制御されることができる。複屈折、キラリティ、および複数のコーティングのための容易性を含む、これらおよび他の属性の認識に基づいて、本発明者らは、本明細書において、調整された光学性質、例えば、いくつか挙げると、回折効率、屈折力、および偏光性を伴う、広帯域能力等の有用な性質を有する、波長板および波長板レンズを開示する。
(切替可能な広帯域適応波長板レンズアセンブリを有する、ディスプレイデバイス)
【0123】
図6を参照して上記に説明されるように、実施形態による、いくつかのディスプレイシステムは、画像を複数の仮想深度平面に形成するように構成される、導波管アセンブリ260を含む。導波管アセンブリ260は、それぞれ、全内部反射(TIR)によって、光を伝搬するように構成される、導波管270、280、290、300、310を含み、それぞれ、光を再指向することによって、光を導波管270、280、290、300、310の個別のものから外に抽出するように構成される、外部結合光学要素570、580、590、600、610を含む。導波管270、280、290、300、310はそれぞれ、光を出力し、特定の深度平面に対応する画像を形成するように構成される。導波管アセンブリ260はまた、随意に、画像を異なる仮想深度平面に形成するための異なる屈折力を提供するために、複数のレンズ320、330、340、350を導波管の間に含んでもよい。
【0124】
図6における導波管アセンブリ260の図示される実施形態では、深度平面の数は、導波管およびレンズの数に正比例してもよい。しかしながら、本発明者らは、比例数の導波管およびレンズを有することによって、画像を複数の深度平面に表示するために構成される導波管アセンブリを実装することと関連付けられた種々の課題を認識する。例えば、多数の導波管270、280、290、300、310および多数の対応するレンズ320、330、340、350は、望ましくないことに、導波管アセンブリ260に対する全体的厚さ、重量、コスト、および製造課題を増加させ得る。例えば、従来のレンズ材料、例えば、ガラスから形成されるとき、レンズ320、330、340、350はそれぞれ、数ミリメートルまたは数十ミリメートルの厚さおよび対応する重量をディスプレイに追加し得る。加えて、多数の導波管およびレンズは、ユーザにとって望ましくない光学効果、例えば、比較的に高吸収損失を生産し得る。したがって、一側面では、本発明者らは、ある場合において、より少ない数の導波管、より少ない数のレンズ、より薄いおよびより軽量の導波管およびレンズ、および/または導波管あたりより少ない数のレンズを用いて、画像を複数の深度平面に生成し得る、ディスプレイシステムのための潜在的利点を認識する。
【0125】
依然として、
図6を参照すると、レンズ320、330、340、350は、個別の屈折力を導波管310、300、290、および280からの光に付与することによって、画像を異なる深度平面に形成するように構成され得ることを理解されたい。種々の実施形態では、導波管から外部結合された光は、偏光、例えば、円偏光を有し得る。しかしながら、導波管から外部結合された偏光が、液晶から形成される波長板レンズまたは波長板を通して通過するとき、それを通して透過される100%未満の外部結合された光が、光学的に影響され、例えば、回折発散され、収束され、または偏光が改変され、外部結合された光の一部が光学的に影響されずに通過する結果をもたらし得る。このように光学的に影響されずにレンズを通して通過する光は、時として、漏出光とも称される。漏出光は、下流光学経路内において、望ましくなく集束される、焦点ずれされる、または偏光が改変され得る、または全く影響され得ない。波長板または波長板レンズを通して通過する光の有意な部分が、漏出光を構成するとき、ユーザは、意図されない画像または意図されない深度平面においてユーザに可視となる画像である、「残影」画像等の望ましくない効果を体験し得る。本発明者らは、そのような漏出光が、他の原因の中でもとりわけ、波長板レンズまたは波長板が、比較的に高回折効率を可視スペクトル内の比較的に狭波長範囲内に有するように構成される、液晶から形成されることから生じ得ることを認識する。したがって、別の側面では、本発明者らは、可視スペクトル内の広範囲の波長にわたって、漏出光から生じる望ましくない効果を殆ど伴わずに、画像を複数の深度平面に生成し得る、広帯域適応波長板レンズアセンブリの必要があることを認識する。これらおよび他の必要性に対処するために、種々の実施形態は、可変屈折力を提供するように構成される、液晶に基づく、切替可能な波長板レンズまたは切替可能な波長板を備える、広帯域適応波長板レンズアセンブリを含む。液晶から形成される、波長板レンズおよび波長板は、これらの目的を達成することに向かって、薄い厚さ、軽量、および分子レベルにおける高度な構成可能性を含む、種々の利点を提供することができる。本明細書に説明される種々の実施形態では、ディスプレイデバイスは、光を導波管の出力表面と平行な側方方向に誘導し、出力表面を通して誘導された光を1つ以上の広帯域適応波長板レンズアセンブリに外部結合するように構成される、導波管アセンブリを使用して、画像を異なる仮想深度平面に形成するように構成される。種々の実施形態では、広帯域適応波長板レンズアセンブリは、それを通して、導波管からの外部結合された光を内部結合および回折するように構成される。広帯域適応レンズアセンブリは、波長板レンズが、90%を上回る、95%を上回る、またはさらに99%を上回る回折効率において、少なくとも450nm~630nmを含む広帯域波長範囲内の外部結合された光を回折するように構成される、第1の波長板レンズの中心領域から半径方向外向き方向に変動する、複屈折(Δn)を有するように配列される、液晶(LC)層を備える、第1の波長板レンズを含む。いくつかの実施形態では、実施形態による、広帯域適応波長板レンズアセンブリは、従来のレンズと比較して、有意により軽量かつより薄く(数ミクロン)、有利なこととして、広帯域波長範囲にわたって、可変屈折力を提供することができる。有利なこととして、そのような広帯域適応レンズアセンブリは、導波管アセンブリ260(
図6)等の導波管アセンブリの数、厚さ、および重量を低減させ、かつ漏出光から生じる望ましくない効果を低減または排除し得る。
【0126】
本明細書で使用されるように、屈折力(P、屈折力、集束力、または収束力とも称される)は、レンズ、ミラー、または他の光学システムが、光を収束または発散させる程度を指す。これは、デバイスの焦点距離の逆数:P=1/fと等しい。すなわち、高屈折力は、短焦点距離に対応する。屈折力に関するSI単位は、毎メートル(m-1)であって、これは、一般に、ジオプタ(D)と呼ばれる。
【0127】
本明細書に説明されるように、それを通して通過する光を集束させる、収束レンズは、正の屈折力を有するように説明される一方、それを通して通過する光を焦点ずれさせる、発散レンズは、負のパワーを有するように説明される。理論によって拘束されるわけではないが、光が、相互に比較的に近接する2つ以上の薄いレンズを通して通過するとき、組み合わせられたレンズの屈折力は、個々のレンズの屈折力の和として近似され得る。したがって、光が、第1の屈折力P1を有する第1のレンズを通して通過し、第2の屈折力P2を有する第2のレンズをさらに通して通過するとき、光は、屈折力の和Pnet=P1+P2に従って収束または発散すると理解され得る。
【0128】
光の偏光および伝搬方向に依存する屈折率を有する、媒体は、複屈折(または二重屈折)と称される。本明細書全体を通して説明され、関連産業において理解されるように、その偏光が複屈折媒体の光学軸と垂直である、光は、通常の屈折率(no)を有すると説明され、その偏光が複屈折媒体の光学軸と平行である、光は、異常屈折率(ne)を有すると説明され、複屈折媒体材料において観察される屈折率の差異ne-noは、複屈折Δnを有すると説明される。複屈折Δnを有する材料媒体中の光の位相遅延は、異なるλにおけるГ=2πΔnd/λとして表され得、dは、媒体の厚さである。
【0129】
概して、光学的に異方性の材料、例えば、液晶は、光のより長い波長λに伴って減少する、複屈折(Δn)の正の分散を示す。Δnの正の分散は、異なるλにおいて、異なる位相遅延Г=2πΔnd/λをもたらし、dは、媒体の厚さである。本明細書に開示されるように、複屈折(Δn)の負の分散を示す、異方性材料は、複屈折が光のより長い波長λに伴って増加する、材料を指す。
【0130】
上記に説明されるように、波長板レンズまたは波長板の回折効率の波長依存性は、種々の望ましくない光学効果を低減または最小限にする際の重要な考慮点であり得る。本明細書に説明されるように、液晶の層等の複屈折媒体の回折効率(η)は、η=sin2(πΔnd/λ)として表され得、Δnは、複屈折であって、λは、波長であって、dは、厚さである。光が回折コンポーネントを通して伝搬する、位相遅延は、従来の複屈折媒体に関して、波長に伴って変動するため、波長板レンズおよび波長板を含む、いくつかの回折コンポーネントは、回折効率が十分に高い、可視スペクトル内の比較的に狭範囲の波長または帯域幅を示す。対照的に、実施形態による、波長板レンズおよび波長板は、回折効率が本明細書に説明される種々の用途のために十分に高い、可視スペクトル内の比較的に広範囲の波長または帯域幅を示す。
【0131】
種々の実施形態によると、広帯域波長板レンズまたは波長板は、正規化された帯域幅(Δλ/λo)を有すると説明され得、式中、λoは、約620~780nmの波長範囲を有する赤色スペクトル、約492~577nmの波長範囲を有する緑色スペクトル、約435~493nmの波長範囲を有する青色スペクトルのうちの1つ以上のものを含む、約400~800nmの波長範囲に及ぶ可視スペクトル内の中心波長であって、Δλは、回折効率が、70%、80%、90%、95%、99%、またはこれらの値によって定義された範囲内の任意の値を超える、λoを中心とする波長の範囲である。
【0132】
種々の実施形態によると、波長板レンズまたは波長板が、広帯域波長板レンズまたは広帯域波長板であると説明されるとき、約620~780nmの波長の範囲を含む赤色スペクトル、約492~577nmの範囲の波長を含む緑色スペクトル、約435~493nmの範囲内の青色スペクトル、または約400~800nm、例えば、400~700nm、430~650nm、または450~630nm内の可視スペクトル内の任意の波長によって定義された波長の範囲内のうちの1つ以上のものを含む、約400~800nmの波長範囲に及ぶ可視スペクトルの少なくとも一部内の70%、80%、90%、95%、99%、またはこれらの値のいずれか内のパーセンテージを超える、回折効率のアベレージ、瞬間値、平均値、中央値、または最小値を有すると理解されるであろう。
【0133】
回折効率に関して上記に説明される関係η=sin2(πΔnd/λ)に基づいて、広帯域波長板レンズまたは波長板は、Δn/λの比率が、正かつ比較的に一定の値を有するとき、固定されたdに関する効率を有することができる。本明細書に説明されるように、Δn/λの正の比率値を有する媒体は、負の分散を有すると称される。実施形態によると、本明細書に説明される広帯域波長板レンズまたは広帯域波長板は、負の分散、すなわち、上記に説明される波長範囲内の波長(λ)の増加に伴って増加する、複屈折(Δn)を有する。
【0134】
種々の実施形態によると、広帯域波長板レンズまたは波長板は、上記に説明される可視スペクトルの任意の範囲内の正の値である、比率Δn/λの瞬間値、平均値、中央値、最小値、または最大値を有すると説明され得る。加えて、広帯域波長板レンズまたは波長板は、Δλ/λoの比較的に高比率を有し、Δλは、上記に説明される可視スペクトルの任意の範囲内の波長範囲であって、λoは、Δλ内の中心波長である。種々の実施形態によると、高正規化帯域幅Δλ/λoは、約0.3~1.0、0.3~0.7、0.4~0.7、0.5~0.7、0.6~0.7の値、またはこれらの値によって定義された任意の範囲内の値を有することができる。加えて、広帯域波長板レンズまたは波長板は、上記に説明される可視スペクトル内の種々の波長範囲内で比較的に一定である、比率Δn/λを有する。例えば、比率Δn/λは、30%、20%、10%、5%、1%、またはこれらの値のいずれか内のパーセンテージを超えない、比率Δn/λの平均値、中央値、最小血、または最大値からのある偏差、例えば、標準偏差を有することができる。
【0135】
本明細書に説明されるように、「透過性」または「透明」構造、例えば、透明基板は、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、または90%が、それを通して通過することを可能にし得る。故に、透明基板は、いくつかの実施形態では、ガラス、サファイア、またはポリマー基板であってもよい。対照的に、「反射性」構造、例えば、反射性基板は、そこから反射させるために、入射光の少なくとも一部、例えば、少なくとも20、30、50、70、90%、またはそれよりも多くを反射させ得る。
【0136】
図10は、導波管アセンブリ1012によって介在される、1つ以上の広帯域適応レンズアセンブリ、例えば、一対の広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008を光学経路1016内に備える、ディスプレイデバイス1000、例えば、ウェアラブルディスプレイデバイスの実施例を図示する。上記に説明されるように、導波管アセンブリは、全内部反射下、光(例えば、可視光)を伝搬し、導波管の光出力表面(例えば、導波管の主要表面)から(例えば、それに対して法線方向の方向に)延在する光学軸において、光を外部結合するように構成される、導波管を含む。光は、いくつかの実施形態では、回折格子によって外部結合されてもよい。広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008はそれぞれ、少なくとも部分的に、外部結合される光をそれを通して透過させるように構成されてもよい。図示される実施形態では、広帯域適応レンズアセンブリはそれぞれ、導波管アセンブリ1012から外部結合される光を受光し、外部結合される光を光学軸方向に収束または発散させるように構成されてもよい。広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008はそれぞれ、波長板レンズが、波長板レンズの中心領域から半径方向に変動し、可視スペクトルの範囲内の波長(λ)の増加に伴って減少する、複屈折(Δn)を有するように配列される、液晶を備える、波長板レンズを備える。広帯域適応レンズアセンブリは、異なる屈折力を有する複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成される。広帯域適応レンズアセンブリは、アクティブ化される(例えば、電気的にアクティブ化される)と、それを通して通過する外部結合された光の偏光状態を改変するように構成される。
【0137】
本明細書で使用されるように、適応レンズアセンブリは、調節される、例えば、外部刺激を使用して、可逆的にアクティブ化およびアクティブ化解除され得る、少なくとも1つの光学性質を有する、レンズアセンブリを指す。他の性質の中でもとりわけ、可逆的にアクティブ化およびアクティブ化解除され得る、例示的光学性質は、他の性質の中でもとりわけ、屈折力(焦点距離)、位相、偏光、偏光選択性、透過率、反射率、複屈折、および回折性質を含む。種々の実施形態では、適応レンズアセンブリは、それを通して通過する光の屈折力および偏光状態を電気的に変動させることが可能である。
【0138】
図示される実施形態では、対の広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008はそれぞれ、少なくとも2つの状態間で選択的に切り替えられるように構成され、第1の状態では、それぞれ、その偏光状態を改変せずに、外部結合された光をそれを通して通過させるように構成される一方、第2の状態では、それぞれ、それを通して通過する外部結合された光の偏光状態を改変するように構成される。例えば、第2の状態では、広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008はそれぞれ、円偏光の掌性を逆転させる一方、第1の状態では、広帯域適応レンズアセンブリ1004、1008はそれぞれ、円偏光の掌性を保存する。
【0139】
依然として
図10を参照すると、ディスプレイデバイス1000はさらに、対の適応レンズアセンブリ1004、1008間に介在される、導波管アセンブリ1012を備える。導波管アセンブリ1012は、
図6に関して上記に説明される、導波管アセンブリ260に類似してもよく、これは、
図6における1つ以上の導波管270、280、290、300、310に類似する、1つ以上の導波管を備える。例えば、
図6および7に関して上記に説明されるように、導波管は、全内部反射下、導波管の主要表面と平行な側方方向に光を伝搬するように構成されてもよい。導波管はさらに、例えば、導波管の主要表面に対して法線方向にある方向に光を外部結合するように構成されてもよい。
【0140】
依然として
図10を参照すると、対の適応レンズアセンブリの第1の適応レンズアセンブリ1004は、導波管アセンブリ1012の第1の側、例えば、ユーザによって観察される世界510の側に配置され、対のレンズアセンブリの第2の適応レンズアセンブリ1008は、導波管アセンブリ1012の第2の側、例えば、ユーザの眼210の側に配置される。下記に説明されるように、構成されるような対の適応レンズアセンブリは、ユーザに、実世界のビューとともに、導波管アセンブリ1012からの仮想コンテンツを複数の仮想深度平面に提供する。いくつかの実施形態では、適応レンズアセンブリの存在に起因して、殆どまたは全く歪曲が存在しない。仮想コンテンツおよび実世界のビューは、
図11Aおよび11Bに関して下記に説明されるように、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008のアクティブ化に応じて、ユーザに提供される。
【0141】
図11Aおよび11Bは、ディスプレイデバイス1100A/1100Bの実施例を図示し、それぞれ、適応レンズアセンブリを備え、動作時、画像情報をユーザに出力する。ディスプレイデバイス1100Aおよび1100Bは、非給電状態では、構造的に同じである。ディスプレイデバイス1100Aは、本明細書では、仮想画像をユーザに出力することを説明するために使用される一方、ディスプレイデバイス1100Bは、本明細書では、実世界画像をディスプレイデバイス1100Bを通してユーザに透過させることを説明するために使用される。ディスプレイデバイス1100A/1100Bは、例えば、電圧または電流の印加によって電気的にアクティブ化されるように構成される、一対の切替可能なレンズアセンブリ1004、1008を含む。いくつかの実施形態では、例えば、電圧または電流が印加されない、アクティブ化解除状態では、第1および第2の切替可能なレンズアセンブリ1004、1008はそれぞれ、低、例えば、約ゼロ屈折力を有する。いくつかの実施形態では、例えば、電圧または電流が印加される、アクティブ化状態では、世界側の第1の適応レンズアセンブリ1004は、第1の符号、例えば、正の屈折力を有する、第1の正味屈折力(Pnet1)を提供してもよい。アクティブ化状態にあるとき、ユーザ側の第2の適応レンズアセンブリ1008は、第2の符号、例えば、負の屈折力を有する、第2の正味屈折力(Pnet2)を提供してもよい。
【0142】
図11Aは、いくつかの実施形態による、仮想コンテンツをユーザに仮想深度平面において表示する、
図10のディスプレイシステムの実施例を図示する。上記に説明されるように、対の適応レンズアセンブリ1004、1008間に介在される、導波管アセンブリ1012は、仮想画像情報を含有する光を受光し、全内部反射下、光を伝搬させるように構成される、導波管を備える。導波管アセンブリ1012はさらに、光を、例えば、回折格子を通して、眼210に向かって外部結合するように構成される。外部結合される光は、眼210に進入することに先立って、第2の適応レンズアセンブリ1008を通して通過する。アクティブ化されると、第2の適応レンズアセンブリ1008は、第2の正味屈折力Pnet2を有し、これは、ユーザに仮想深度平面1104において仮想画像が見えるように、負の値を有してもよい。
【0143】
いくつかの実施形態では、第2の正味屈折力Pnet2は、電気的に調節され、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力(Pnet2)を調節し、それによって、仮想深度平面1104までの距離を調節してもよい。例えば、仮想オブジェクトが、仮想3次元空間内において、眼210に対してより近くおよびより遠くに「移動」するにつれて、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet2も、仮想深度平面1104が仮想オブジェクトを追跡するように調節されるように、対応して調節されてもよい。したがって、ユーザは、比較的に、容認可能閾値を超える遠近調節/輻輳・開散運動不整合を殆どまたは全く体験し得ない。いくつかの実施形態では、仮想深度平面1104までの距離の大きさは、離散ステップにおいて調節されてもよい一方、いくつかの他の実施形態では、仮想深度平面1104までの距離の大きさは、持続的に調節されてもよい。
【0144】
図11Bは、いくつかの実施形態による、実世界コンテンツのビューをユーザに提供する、
図10のディスプレイシステムの実施例を図示する。第2の適応レンズアセンブリ1008が、仮想コンテンツを仮想深度平面1104に表示するための第2の正味屈折力(Pnet2)を有するようにアクティブ化されると、第2の適応レンズアセンブリ1008を通して通過する、実世界からの光もまた、アクティブ化される第2の適応レンズアセンブリ1008のPnet2に従って、収束または発散され得る。したがって、実世界内のオブジェクトは、焦点がずれて現れ得る。そのような歪曲を軽減させるために、実施形態によると、アクティブ化されると、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008は、反対符号を有する、屈折力を有するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008を通して通過する、光は、それぞれ、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008の第1および第2の正味屈折力Pnet1、Pnet2の大きさのほぼ差である、大きさを有する、組み合わせられた屈折力に従って、収束または発散する。いくつかの実施形態では、導波管アセンブリ1012もまた、屈折力を有し得、適応レンズアセンブリ1008は、レンズアセンブリ1004および導波管アセンブリ1012の両方によって生じる歪曲を考慮するように構成されてもよい。例えば、適応レンズアセンブリ1008の屈折力は、レンズアセンブリ1004および導波管アセンブリ1012の屈折力の和の反対符号であってもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、第1の適応レンズアセンブリ1004は、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet2の大きさに近いまたはそれと同一である大きさを有する、第1の正味屈折力Pnet1を有するように構成される。その結果、第1および第2の適応レンズアセンブリ1004、1008の両方が、同時にアクティブ化されると、実世界内のオブジェクトは、仮想コンテンツを表示するために提供される第2の適応レンズアセンブリ1008の屈折力によって比較的に影響されずに現れる。
【0146】
いくつかの実施形態では、第1の適応レンズアセンブリ1004は、アクティブ化されると、第1の正味屈折力Pnet1が第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet2に動的に合致するように構成されてもよい。例えば、第2の切替可能なアセンブリ1008の第2の正味屈折力Pnet1が、仮想3次元空間内において、移動する仮想オブジェクトを追跡するように調節されるにつれて、第1の適応レンズアセンブリ1004の第1の正味屈折力Pnet1は、組み合わせられた屈折力の大きさP=Pnet1+Pnet2が所定の値未満に保たれ得るように、動的に調節されてもよい。したがって、実施形態によると、実世界内のオブジェクトは、組み合わせられた屈折力P=Pnet1+Pnet2が小さい、例えば、約0m-1のままであるように、負の値を有し得る、第2の適応レンズアセンブリ1008の第2の正味屈折力(Pnet2)を、第1の適応レンズアセンブリ1004の第1の正味屈折力(Pnet1)で補償することによって、容認不可能に焦点がずれることを防止され得る。
(広帯域適応波長板レンズアセンブリのための切替可能な波長板および切替可能な波長板レンズ)
【0147】
上記に議論されるように、より少ない導波管を用いて、画像を複数の深度平面に形成することの利点のうちの1つは、ディスプレイデバイス(例えば、
図10におけるディスプレイデバイス1000)の厚さおよび重量の全体的低減である。したがって、本明細書に説明される種々の実施形態は、コンパクトかつ軽量であって、種々の光学機能性、例えば、高帯域幅能力および可変屈折力を提供する、適応波長板レンズアセンブリを提供する。加えて、本明細書に説明される種々の実施形態は、比較的に低漏出光量を伴う、適応レンズアセンブリを提供する。
【0148】
広範囲の可視スペクトルにわたって高効率を伴って、画像を複数の深度平面に提供するために、種々の実施形態による、広帯域適応レンズアセンブリは、波長板レンズが、第1の波長板レンズの中心領域から半径方向に変動し、可視スペクトルの範囲内の波長(λ)の増加に伴って減少する、複屈折(Δn)を有するように配列される、液晶を備える、波長板レンズ(それぞれ、
図12A、12Bにおける1154A、1154B)を含む。上記に説明されるように、種々の実施形態によると、広帯域適応波長板レンズアセンブリは、異なる屈折力を伴う複数の状態間で選択的に切り替えられるように構成されることによって、画像を複数の深度平面に生成することができる。広帯域レンズアセンブリの選択的切替は、ひいては、本明細書に議論されるように、実施形態による、広帯域適応波長板レンズアセンブリ内に含まれる波長板レンズまたは波長板を切り替えることによって実施されることができる。
【0149】
図12Aを参照すると、いくつかの実施形態では、広帯域適応レンズアセンブリ1150Aは、波長板レンズ1154Aと同一光学経路内に、液晶を備える切替可能な波長板1158を採用することによって、異なる屈折力状態間で切り替えられるように構成される。波長板レンズ1154Aは、受動レンズであってもよく、広帯域適応レンズアセンブリ1150Aは、切替可能な波長板1158を電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除することによって、異なる状態間で選択的に切り替えられてもよい。
【0150】
依然として、
図12Aを参照すると、動作時、波長板レンズ1154Aは、種々の実施形態によると、光の偏光、例えば、円偏光に応じて、それを通して通過する入射光1162A、1162Bを発散または収束させるように構成される。半波長板(HWP)レンズとして構成されるとき、受動波長板レンズであり得る、図示される波長板レンズ1154Aは、波長板レンズ1154A上に入射する右円偏光(RHCP)光ビーム1162Bを左円偏光(LHCP)ビーム1166Aへと収束させるように構成される。他方では、波長板レンズ1154Aは、波長板レンズ1154A上に入射するLHCP光ビーム1162Aを右円偏光(RHCP)ビーム1166Bへと発散させるように構成される。
【0151】
依然として、
図12Aを参照すると、その上に入射する光の円偏光に応じて、波長板レンズ1154Aによって集束または焦点ずれされた後、LHCP光ビーム1166AまたはRHCP光ビーム1166Bは、切替可能な波長板1158上に入射する。切替可能な波長板1158の液晶は、アクティブ化されると、例えば、電気的にアクティブ化されると、それを通して通過する円偏光の偏光が、保存される(図示せず)ように構成される。すなわち、LHCP光ビーム1166AおよびRHCP光ビーム1166Bは、影響されずに、切替可能な波長板1158を通して通過する。他方では、アクティブ化解除されると、例えば、電気的にアクティブ化解除されると、それを通して通過する円偏光の偏光は、転換される(図示される)。すなわち、LHCP光ビーム1166Aは、RHCP光ビーム1170Aに変換され、RHCP光ビーム1166Bは、LHCP光ビーム1170Bに変換される。
【0152】
図12Bを参照すると、いくつかの他の実施形態では、広帯域適応レンズアセンブリ1150Bは、液晶を備える、切替可能な波長板レンズ1154Bを採用することによって、異なる屈折力状態間で切り替えられるように構成される。適応レンズアセンブリ1150Bは、切替可能な波長板レンズ1154Bを電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除することによって、異なる状態間で選択的に切り替えられてもよい。
【0153】
動作時、波長板レンズ1154Bの液晶は、種々の実施形態によると、その偏光、例えば、円偏光に応じて、波長板レンズ1154Bが、それを通して通過する入射光1162A、1162Bを発散または収束させるように構成される。半波長板レンズとして構成されるとき、アクティブ化解除されると、例えば、電気的にアクティブ化解除されると、図示される波長板レンズ1154Bは、波長板レンズ1160B上に入射するRHCP光ビーム1162BをLHCPビーム1166Aへと収束させるように構成される。逆に言えば、アクティブ化解除されると、波長板レンズ1154Bは、波長板レンズ1154B上に入射する左回り偏光(LHCP)光ビーム1162AをRHCPビーム1166Bへと発散させるように構成される。他方では、アクティブ化されると、例えば、電気的にアクティブ化されると、それを通して通過する円偏光の偏光は、保存され(図示せず)、その上に入射するLHCP光ビーム1162AおよびRHCP光ビーム1162Bは、実質的に収束または発散されずに、波長板レンズ1154Bを通して通過する。種々の実施形態では、切替信号、例えば、電場に応答して、液晶が再配列されるように構成することによって、波長板レンズアセンブリ1150A、1150Bは、アクティブ化またはアクティブ化解除され、収束または発散させ、その偏光に応じて、円偏光の偏光を転換または保存してもよい。
(広帯域の切替可能な波長板)
【0154】
上記に説明されるように、種々の実施形態によると、広帯域適応波長板レンズアセンブリは、広帯域波長板レンズアセンブリを異なる屈折力を有する複数のレンズ状態間で選択的に切り替えることによって、画像を複数の深度平面に生成するために使用されることができる。上記に説明されるように、いくつかの実施形態では、広帯域適応波長板レンズアセンブリは、広帯域適応波長板レンズアセンブリ内に含まれる広帯域の切替可能な波長板を電気的にアクティブ化することによって、複数のレンズ状態間で選択的に切り替えられるように構成されてもよい。以下では、広帯域の切替可能な波長板の実施形態が、開示される。
【0155】
いくつかの実施形態では、広帯域の切替可能な波長板は、重合化されていない捻転されたネマチック(TN)液晶(LC)の層を備え、TN LCの層の厚さを横断した電場の印加に応じて、切り替えられるように構成される。任意の理論に拘束されるわけではないが、切替は、TN LCの層の厚さを横断して重合化されていないLC分子の配向を改変することに応じて、達成されてもよい。
【0156】
図13A-13Fを参照すると、種々の実施形態によると、広帯域の切替可能な波長板は、捻転されたネマチック(TN)液晶(LC)の層を備える。
図13Aは、TN LCの層を備える、切替可能な波長板の実施例の断面図を図示する。TN LCの切替可能な波長板1300Aは、一対の透明基板1312間に配置される、TN LCの層1302を備える。透明基板1312はそれぞれ、伝導性透明電極1316、1320の内側表面上に形成されている。
【0157】
透明電極1316、1320および/または基板1312の表面は、上側電極1316と接触または直接隣接するTN LC分子が、その長軸が第1の側方方向に延在した状態で配向する傾向にある一方、下側電極1320と接触または直接隣接するTN LC分子が、交差する、例えば、第1の側方方向に対して約90度の角度を形成し得る、その長軸が第2の側方方向に延在する状態で配向する傾向にあるように構成されてもよい。下側電極1320に直接隣接するTN LC分子と上側電極1316に直接隣接するTN LC分子との間のTN LC分子は、捻転を受ける。構成されるように、TN LCの切替可能な波長板1300Aは、広帯域波長板として構成される。
【0158】
依然として、
図13Aを参照すると、動作時、TN LC層1302を横断して電場の不在(アクティブ化解除状態)下では、TN LC分子のネマチック配向子は、TN LC層1302の厚さを横断して平滑90度捻転を受ける。本状態では、第1の方向(下側電極1312に最も近いLC分子と同一方向)に偏光された入射光1308は、TN LC層1302上に入射する。TN LC層1302内のTN LC分子の捻転された配列は、次いで、光学導波管として作用し、上側電極1316に到達することに先立って、4分の1方向転換(90度)によって、偏光の平面を回転させる。本状態では、TN LC層1302は、それを通して通過する線形偏光の偏光方向を1つの線形偏光方向から別の線形偏光方向に偏移させる役割を果たす。したがって、透過される光1304は、第1の方向と反対の第2の方向(上側電極1316に近接するLC分子と同一方向)に偏光される。
【0159】
他方では、TN LCの切替可能な波長板1300Aの閾値電圧を超える電圧(V>Vth)が、電極1316、1320を横断して印加される(アクティブ化状態)と、TN LC層1306内のTN LC分子は、結果として生じる電場と整合する傾向にあり、アクティブ化解除状態に関して上記に説明されるTN LC層1304の光学波誘導性質は、喪失される。本状態では、TN LC層1306は、それを通して通過する光の偏光方向を保存する役割を果たす。したがって、入射光1308および透過される光1304Bは、同一の第1の方向(下側電極1312に最も近いLC分子と同一方向)に偏光される。
【0160】
電場が、オフにされると、TN LC分子は、緩和し、その捻転された状態に戻り、アクティブ化状態におけるTN LC層1306のTN LC分子は、アクティブ化解除状態におけるTN LC層1302のTN LC分子の構成に戻る。
【0161】
上記に説明されるように、
図13Aに関して説明されるTN LCの切替可能な波長板1300Aは、線形偏光の偏光方向を偏移させる役割を果たす。しかしながら、本明細書に説明される種々の広帯域波長板レンズアセンブリは、円偏光の掌性を逆転させるための切替可能な半波長板として構成される、切替可能な波長板を含む。したがって、
図13B-13Dに関する以下では、切替可能な半波長板として構成される切替可能な波長板が、実施形態に従って説明される。
【0162】
図13Bは、実施形態による、半波長板として構成される、切替可能な広帯域波長板1300Bの断面図を図示する。切替可能な広帯域波長板1300Bは、
図13Aに関して図示されるTN LCの切替可能な波長板1300Aを含む。加えて、円偏光のための広帯域半波長板としての役割を果たすために、切替可能な広帯域波長板1300Bは、加えて、一対の無彩色4分の1波長板(QWP)1324、1326を含む。
【0163】
動作時、切替可能な広帯域波長板1300Bのアクティブ化状態では、第1の掌性、例えば、左円偏光(LHCP)光ビームを有する、入射円偏光ビーム1324が、第1のQWP1324を通して通過すると、第1のQWP1324は、円偏光ビーム1324を第1の線形偏光を有する第1の線形偏光ビーム1328に変換する。続いて、アクティブ化されたTN LCの切替可能な波長板1300Aを通して通過することに応じて、第1の線形偏光ビーム1328は、第2の線形偏光を有する第2の線形偏光ビーム1332に変換される。続いて、第2のQWP1326を通して通過することに応じて、第2の線形偏光ビーム1332は、第1の掌性と反対の第2の掌性を有する、出射する円偏光ビーム1340、例えば、RHCP光ビームに変換される。したがって、アクティブ化されると、切替可能な広帯域波長板1300Bは、円偏光ビームの偏光を逆転させる、半波長板としての役割を果たす。
【0164】
他方では、切替可能な広帯域波長板1300Bが、アクティブ化解除されると、入射円偏光ビーム1324が、上記に説明されるように、第1のQWP1324を通して通過し、続いて、アクティブ化解除されたTN LCの切替可能な波長板1300Aを通して通過後、第1の線形偏光ビーム1328の偏光は、保存される。その後、第2のQWP1326を通して通過することに応じて、第1の線形偏光ビーム1328は、第1の掌性を有する、出射する円偏光ビーム1340、例えば、LHCP光ビームに変換される。したがって、アクティブ化解除されると、広帯域波長板1300Bは、透明媒体としての役割を果たし、これは、円偏光ビームの偏光を保存する。
【0165】
本明細書に説明される種々の実施形態では、第1および/または第2のQWP1324、1326は、TN LCの切替可能な波長板1300Aと比較して類似帯域幅を有する、広帯域4分の1波長板である。実施形態によると、4分の1波長板は、重合化されたTN LC層を使用して形成されることができる。広帯域能力を提供するために、種々の実施形態による、QWPは、複数のTN LC層を含む。TN LC層がそれぞれ、その独自の基板上に形成されると、結果として生じる広帯域4分の1波長板および/または結果として生じるスタックの光学吸収は、容認不可能に厚くなり得る。したがって、以下では、単一基板上に形成される複数のTN LC層を備える、QWPの実施形態が、TN LCの切替可能な波長板1300Aとの効率的統合に関して説明される。
【0166】
図13Cは、広帯域QWP1300Cの断面図を図示し、これは、基板1312上に形成される整合層1302-0上にスタックされた複数(M個)のTN LC層1302-1、1302-2、…1302-Mを備える、
図13Bに関して上記で例証される、第1および/または第2のQWP1324、1326であることができる。本明細書の他の場所でより詳細に説明される、整合層1302-0は、整合層1302-0に直接隣接する第1のTN LC層1302-1内のLC分子の伸長方向が第1の方向に整合されるように誘発するように構成される。整合層1302-0によって整合される、LC分子の上方のLC分子は、第2のTN LC層1302-2に直接隣接する、第1のTN LC層1302-1内のLC分子が、第2の方向に伸長されるように、第1の捻転を受ける。後続TN LC層1302-2~1302-Mのそれぞれ内のLC分子の整合は、前の層に最も近いLC分子が前の層の最上LC分子と同一方向に整合されることを除き、第1のTN LC層1302-1と類似様式において整合される。例えば、第1のTN LC層1302-1内の最上LC分子および第2のTN LC層1302-1内の最下LC分子は、同一の第2の方向に整合される。第2のTN LC層1302-2内のLC分子は、第2のTN LC層1302-2内の最上LC分子が第3の方向に伸長されるように、第2の捻転を受ける。それと接触する隣接する層内のLC分子の整合の結果としての所与のTN LC層内のLC分子のそのような整合は、介在整合層がその間に介在されないため、時として、自己整合とも称される。したがって、いくつかの実施形態では、広帯域QWPは、それぞれ、非ゼロ捻転を有する、2つ以上の自己整合されるTN LC層を有する、複数のTN LC層を備える。
【0167】
実施形態では、TN LC層は、例えば、反応性メソゲンを使用して形成される、重合化されたLC分子(LCP)を備える。上記に説明されるように、反応性メソゲンは、最初は、低分子量LCであって、これは、従来のLCと同様に、複雑なプロファイルを有するように、表面および捻転によって整合され得るが、次いで、光重合化によって、固体ポリマーフィルムに硬化され得る。
【0168】
図13Dは、統合された切替可能な広帯域波長板1300Dの断面図を図示し、その中に、
図13Aに関して上記に説明されるものに類似するTN LCの切替可能な波長板1300Aが、
図13Cに関して上記に説明されるものに類似する一対の広帯域QWP1324、1326とともに、単一スタックの中に統合される。図示される実施形態では、TN LCの切替可能な波長板1300Aは、接着剤層1348を使用して、その反対側に、対の広帯域4分の1波長板1324、1326を取り付けさせることによって、単一スタックの中に統合される。
【0169】
図13Eは、統合された切替可能な広帯域波長板1300Eの断面図を図示し、その中に、
図13Aに関して上記に説明されるものに類似するTN LCの切替可能な波長板1300Aが、統合されたスタックを形成するために接着剤を使用する代わりに、対の広帯域4分の1波長板1324、1326のうちの1つが、その上にTN LCの切替可能な波長板1300A(
図13A)が直接形成され得る、基板としての役割を果たすことを除き、
図13Dに関して上記に説明されるものと類似様式において、一対の広帯域4分の1波長板1324、1326とともに、単一スタックの中に統合される。例えば、QWP1324、1326の一方の表面上に、TN LCの切替可能な波長板1300Aの異なる層が、直接形成されてもよい。有利なこととして、TN LCの切替可能な波長板1300Aの基板1312の一方または両方は、省略されてもよい。したがって、TN LCの切替可能な波長板1300Aは、対の広帯域QWP1324、1326のうちの一方上に直接形成され、その上に、対の広帯域QWP1324、1326の他方を形成することによって、コンパクトな単一スタックの中に統合される。
【0170】
図13Dおよび13Eに関して上記に例証される実施形態のそれぞれでは、広帯域QWPは、例えば、石英およびMgF2等の液晶ベースの材料または他の非液晶ベースの材料から形成されることができる。
図13Fに関する以下では、広帯域QWPが液晶を備える、実施形態は、特に有利なこととして、TN LCの切替可能な波長板とともに、単一スタックの中に統合され、QWPとしてだけではなく、また、TN LCの切替可能な波長板のための整合層としての役割を果たす。
【0171】
図13Fは、
図13Aに関して上記に説明されるものに類似するTN LCの切替可能な波長板1300Aを統合する、統合された切替可能な広帯域波長板1300Fの断面図を図示する。切替可能な広帯域波長板1300Fは、TN LC層1302のための基板としての広帯域QWP1324、1326の代わりに、広帯域QWP1324、1326が、基板1312の個別の表面上に形成される、薄い重合化されたLC層を備えることを除き、
図13Eに関して上記に説明されるものと類似様式において配列される、一対の広帯域QWP1324、1326を含み、TN LC層1302のLC分子は、TN LC層1302の厚さを画定するスペーサ1350によって広帯域QWP1324、1326の対向表面間に形成される、間隙の中に挿入される。LC分子を挿入する方法は、本明細書の他の場所に説明される。加えて、TN LCの切替可能な波長板1300Aの異なる層および広帯域QWP1324、1326の異なる層は、単一スタックの中に一体的に形成される。例えば、第1の広帯域QWP1324は、基板1312を含み、その上に下側透明電極1316が形成され、その後、整合層1302-2および複数のTN LC層1302-1、1302-2が続く。同様に、第2の広帯域QWP1326は、基板1312を含み、その上に上側透明電極1320が、形成され、その後、整合層1302-0および複数のTN LC層1302-1、1302-2が続く。
【0172】
依然として、
図13Fを参照すると、有利なこととして、間隙に面した第1の広帯域QWP1324のTN LC層1302-2の最外LC分子および間隙に面した第2の広帯域QWP1326のTN LC層1302-2の最外LC分子は、
図13Cに関して上記に説明されるものと類似様式において、TN LC層1302の最外LC分子が自己整合されるように、切替可能なTN LC層1302のための整合層としての役割を果たすように配列される。加えて、TN LCの切替可能な波長板1300Aの異なる層と広帯域QWP1324、1326の異なる層を一体的にスタックすることによって、スタック全体の総厚は、実質的に低減されることができる。例えば、
図13Aに図示されるようなTN LCの切替可能な波長板1300Aと
図13Cに図示されるような広帯域4分の1波長板1324、1326を機械的に接合することは、4つもの基板をもたらすことになるであろうが、切替可能な広帯域波長板1300Fのスタック全体は、2つのみの基板を有する。
【0173】
図13Fおよび本明細書全体を通した種々の実施形態を参照すると、切替可能なLC層、例えば、間隙の中に挿入されるTN LC層1302は、約1μm~50μm、1~10μm、10~20μm、20~30μm、30~40μm、40~50μm、またはこれらの値によって定義された任意の範囲内の値の厚さを有する。加えて、受動LC層、例えば、TN LC層1302-1、1302-2は、約0.1μm~50μm、0.1~1μm、1~10μm、10~20μm、20~30μm、30~40μm、40~50μm、またはこれらの値によって定義された任意の範囲内の値の厚さを有することができる。
【0174】
本明細書に説明される種々の実施形態では、整合層(例えば、
図13C、13Fにおける1302-2)は、LC分子を整合させる、例えば、LC分子の伸長方向を特定の方向に沿って整合させるために使用される。例えば、
図13A-13Fに関して上記に説明されるように、整合層は、配向子(n)、すなわち、所定の方向における伸長LC分子の局所平均伸長方向を画定するために使用されることができる。いくつかの他の実施形態では、整合層は、機械的に擦過される、ポリイミドおよびポリアミド等の有機ポリマー、SiO
2等の斜めに堆積される無機酸化物、または長鎖脂肪族シロキサンから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、非接触整合層は、平面偏光を使用して、有機ポリマーから形成され、表面異方性を生成してもよく、これは、ひいては、配向子を画定する。例えば、直接堆積される、または標準的配向層(例えば、ポリイミド)またはLC混合物の中に溶解され得る、アゾ染料のシス-トランス光異性化の使用は、擦過を伴わずに、配向効果を整合層内に生産することができる。アゾ発色団を使用する、非接触整合層は、時として、高強度レーザ光を採用し、染料分子の異性化を誘発する。
【0175】
いくつかの他の実施形態では、ナノ構造のパターンは、LC分子を整合させるための整合層としての役割を果たすことができる。有利なこととして、いくつかの実施形態では、ナノ構造のパターンは、電極層の一部として形成され、光学透過性を改良し、プロセスステップを低減させ、例えば、
図13A-13Fに関して上記に説明される、広帯域波長板の全体的厚さをさらに低減させることができる。本目的を達成するために、
図14Aは、実施形態による、整合層および電極層の二重機能の役割を果たす、ナノ構造1400Aのパターン、例えば、透明基板1312上に形成されるナノワイヤの斜視図を図示する。ナノ構造1400Aのパターンは、例えば、本明細書の他の場所に詳細に説明されるリソグラフィまたはナノインプリント技法を使用して、基板1312上にパターン化されることができる。ナノ構造は、伸長金属ワイヤとしてパターン化される、十分に薄い伝導性材料から形成されることができる。例えば、伝導性材料は、ナノ構造の結果として生じるパターンが、同時に、整合層および電極層としての役割を果たし得るように、厚さおよび電気抵抗率を有する、金、銀、銅、アルミニウム、またはITO、または任意の好適な伝導性材料であることができる。図示される実施形態では、ナノ構造1400Aのパターンは、電流または電圧を周期的伝導性ライン1404Aに供給するためにレール1408Aに接続される、第1の方向、例えば、x-方向に延在する、周期的伝導性ライン1404Aを備える。種々の実施形態では、周期的伝導性ライン1404Aは、1μm~1000μm、5μm~500μm、10μm~100μm、またはこれらの値によって定義された範囲内の任意の値のピッチを有することができる。伝導性ライン1404は、10nm~1μm、100nm~1000nm、100nm~500nm、200nm~300nm、またはこれらの値によって定義された範囲内の任意の値の幅を有することができる。周期的伝導性ライン1404は、10nm~1μm、100nm~1000nm、100nm~500nm、400nm~500nm、またはこれらの値によって定義された範囲内の任意の値の厚さを有することができる。周期的伝導性ライン1404Aの材料、厚さ、および幅の組み合わせは、周期的伝導性ライン1404Aの結果として生じるシート抵抗が、約1オーム/平方~100オーム/平方、2オーム/平方~50オーム/平方、5オーム/平方~20オーム/平方、またはこれらの値によって定義された範囲内の任意の値、例えば、約10オーム/平方であるように選択されることができる。加えて、伝導性ライン1404Aの材料および厚さの組み合わせは、可視スペクトル内の結果として生じる透過性が、80%~99%、90%~99%、95%~99%、97%~99%、またはこれらの値によって定義された範囲内の任意の値、例えば、約98%であるように選択されることができる。他の寸法、構成、および値も、可能性として考えられる。
【0176】
図14Bは、ナノ構造1400Bのパターンが、電流を周期的伝導性ライン1404Bに供給するためのレール1408Bに接続される、第2の方向、例えば、y-方向に延在する周期的伝導性ライン1404Bを備えることを除き、
図14Aに関して上記に説明されるナノ構造1400Aのパターンに類似する、ナノ構造1400Bのパターンの斜視図を図示する。
【0177】
図14Cは、実施形態による、一対の電極1400Cの斜視図を図示する。対の電極1400Cは、周期的伝導性ライン1404Aおよび周期的伝導性ライン1404Bが、相互に面し、かつ交差し、1つ以上のLC層、例えば、TN LC層をその中に配置するように構成される、間隙1412によって分離されるように配列される、ナノ構造1400Aのパターンおよびナノ構造1400Bのパターンを含む。有利なこととして、ナノ構造1400Aおよび1400Bのパターンはそれぞれ、ネマチックLC分子、例えば、反応性メソゲンが、その上に形成されると、ナノ構造1400Aおよび1400Bのパターンのそれぞれに直接隣接するLC分子が、例えば、概して、周期的伝導性ライン1404A、1404Bの伸長方向と同一方向に整合される、ネマチックLC分子の配向子と整合された状態になり得るように、
図13C、13Fに関して上記に説明される整合層1302-0に類似する整合層としての役割を果たすことができることが見出されている。加えて、周期的伝導性ライン1404A、1404Bに直接隣接するLC分子間のLC分子は、
図13Aに関して上記に説明されるTN LC層1302に類似する重合化されていないTN LC層および
図13Cに関して上記に説明されるTN LC層1302-1、1302-2、…1302-Mに類似する重合化されたTN LC層が、形成され得るように、捻転剤を使用して、捻転を受けるように構成されることができる。
【0178】
図13Fに戻って参照すると、いくつかの実施形態では、電極および整合層の機能性を組み合わせることによって、ナノ構造1400Aのパターンは、広帯域QWP1324の透明電極1316および整合層1302-0の組み合わせに取って代わることができ、ナノ構造1400Bのパターンは、広帯域QWP1326の透明電極1320および整合層1302-0の組み合わせに取って代わることができ、それによって、よりコンパクトな全体的スタックを可能にすることを理解されたい。
【0179】
依然として、
図14Cを参照すると、動作時、電場の有無別のLC分子の配列および光の偏光に及ぼされる対応する効果は、
図13Aに関して上記に説明されるものに類似する。
【0180】
図15Aおよび15Bは、実施形態による、TN LCの切替可能な広帯域波長板1500の平面図および断面図を図示する。切替のための垂直に分離された電極を有する、
図13A、13Fに関して上記に例証される広帯域波長板と異なり、TN LCの切替可能な広帯域波長板は、切替のために面内に側方に分離された電極を含む。TN LCの切替可能な広帯域波長板1500は、整合電極スタック1524と、整合層スタック1526とを含む。同様に、
図13Fに関して上記に説明されるように、LC分子は、整合電極スタック1524および整合層スタック1526の対向表面間のスペーサ1350によって形成される間隙の中に挿入される。LC分子を挿入する方法は、本明細書の他の場所に説明される。整合電極スタック1524は、上側透明基板1312上に形成される、第1および第2の電極1500A、1500Bを含み、さらに、随意の上側整合層1302-0を含む。整合層スタック1526は、下側透明基板1312上に形成される、下側整合層1302-0を含む。
【0181】
図15Aを参照すると、整合電極スタック1524は、それぞれ、第1および第2の周期的伝導性ライン1504A、1504Bの個別のものを含む、第1および第2の電極1500A、1500Bを含む。周期的伝導性ライン1504Aは、周期的伝導性ライン1504Bと交互嵌合または交錯および交互される。第1および第2の周期的伝導性ライン1504A、1504Bはそれぞれ、それぞれ、パターン化されたナノ構造1400A(
図14A)、1400B(
図14B)に関して上記に説明されるものと類似様式において、レール1508A、1508Bにストラップ留めされる。交互周期的伝導性ライン1504A、1504Bの材料、厚さ、幅、およびピッチは、パターン化されたナノ構造1400A(
図14A)、1400B(
図14B)に関して上記に説明されるものに類似することができる。しかしながら、垂直に分離される、
図14Cに関して上記に説明される対の電極1400Cと異なり、周期的伝導性ライン1504Aは、周期的伝導性ライン1504Aと周期的伝導性ライン1504Bとの間の電場が、側方方向に指向されるように、周期的伝導性ライン1504Bと側方方向、例えば、x-方向に交互する。
【0182】
図15BにおけるTN LCの切替可能なセル1500の断面図を参照すると、
図13Fに関して上記に説明されるものと類似様式において、LC分子は、TN LC層1302(
図13A)に類似するTN LC層(図示せず)が形成され得るように、整合電極スタック1524および整合層スタック1526の対向表面間に形成される、間隙の中に挿入される。LC分子を挿入する方法は、本明細書の他の場所に説明される。
【0183】
いくつかの実施形態では、
図14Cに関して上記に説明されるものと類似様式において、整合電極スタック1524内の交互周期的伝導性ライン1504A、1504Bおよび/または上側整合層1302-0は、
図13Aに関して上記に説明される整合層1316および
図14Cに関して上記に説明される伝導性ライン1404Bと類似様式において、間隙1412内に形成されるTN LC層1302の最外LC分子のための整合層としての役割を果たすことができる。交互周期的伝導性ライン1504A、1504Bが、整合層としての役割を果たすとき、いくつかの実施形態では、上側整合層1302-0は、省略されてもよい。
図13Aに関して上記に説明される整合層1320および
図14Cに関して上記に説明される伝導性ライン1404Aと同様に、下側整合層1302-0は、そこに直接隣接する、間隙1412内のLC分子を整合させる役割を果たし得る。
【0184】
図示されないが、いくつかの実施形態では、図示されるTN LCの切替可能な広帯域波長板1500は、
図1300Fに関して上記に説明されるものと類似様式において、TN LC層1302-1、1302-2、…1302-M(
図13F、図示せず)に類似する複数のTN LC層を交互周期的伝導性ライン1504A、1504Bと間隙1412内のLC分子との間および/または下側整合層1302-0と間隙1412内のLC分子との間に統合し、それによって、
図13Fに関して上記に説明されるものと類似様式において、統合されたQWP機能性を提供することができる。
【0185】
依然として、
図15A、15Bを参照すると、動作時、電場の不在下、交互周期的伝導性ライン1504A、1504Bは、LC分子が、概して、周期的伝導性ライン1504A、1504Bと平行に延在する配向子を有するように、周期的伝導性ライン1504A、1504Bに直接隣接するLC分子のための整合層としての役割を果たす。アクティブ化解除状態では、
図13Aに関して上記に説明されるものと類似様式において、切替可能な広帯域波長板1500は、線形偏光の偏光を転換させるように構成される。他方では、電場が、周期的伝導性ライン1504Aと周期的伝導性ライン1504Bとの間の側方方向、例えば、y-方向に印加されると、直接隣接する周期的伝導性ライン1504A、1504B間のLC分子は、例えば、平行と垂直との間の平行から離れるような方向に、または周期的伝導性ライン1504A、1504Bに対して垂直に、その伸長方向と整合する。アクティブ化状態では、
図13Aに関して上記に説明されるものと類似様式において、切替可能な広帯域波長板1500は、線形偏光の偏光を保存するように構成される。
【0186】
いくつかの実施形態では、電極および整合層の機能性を組み合わせることに加え、第1および第2の電極1500A、1500Bは、例えば、透明電極1316、1320と広帯域波長板1300Fの上側および下側整合層1302-0の組み合わせ(
図13F)に取って代わり、それによって、電極層を半分にすることに起因して、さらによりコンパクトな全体的スタックおよびさらにより改良された透過性を可能にすることができる。
(液晶ベースの波長板レンズ)
【0187】
図12Aに関して上記に説明されるように、広範囲の可視スペクトルにわたって高効率を伴って、画像を複数の深度平面に提供するために、実施形態による、いくつかの広帯域適応波長板レンズアセンブリは、切替可能な波長板と、複屈折液晶の薄膜から形成される、受動的または切替可能であり得る、1つ以上の波長板レンズを含む。以下では、波長板の平面におけるその配向が、それを通して透過される光の偏光状態を集束および/または改変するために適合される、液晶を備える、例示的波長板レンズが、開示される。以下では、レンズおよび波長板の種々の実施形態は、液晶から形成される。
【0188】
液晶ベースの波長板レンズの一実施例は、
図16Aおよび16Bに関して図示される。
【0189】
図16Aおよび16Bは、それぞれ、波長板レンズ1200Aおよび1200Bの実施例を図示し、それぞれ、透明基板1204、例えば、その上に、基板1204の主要表面に沿って軸方向(例えば、x-方向またはy-方向)と平行方向に対して、異なる伸長方向に沿って伸長される、液晶分子1208を形成させている、ガラス基板を備える。すなわち、液晶分子1208は、基板1204の主要表面に対して法線方向の方向(例えば、z-方向)を中心として異なる回転角度(φ)だけ回転され、φは、層法線と平行方向(例えば、x-方向またはy-方向)に対する液晶分子の伸長方向間の角度として説明される。
【0190】
図示される実装では、中心軸Cまたはレンズの中心から所与の半径における液晶分子1208は、実質的に同一回転角度(φ)を有する。配列されるように、液晶分子1208は、コリメートされた光のビームをある焦点距離における点に集束させるように構成される。任意の理論によって拘束されるわけではないが、液晶分子1208の回転角度(φ)は、rの累乗に比例し得、rは、Cからの半径方向距離であって、約1~3、例えば、2の値を有する。1つの実装では、角度(φ)は、+/-k0r2/fに比例し得、rは、Cからの半径方向距離であって、k0=2π/λは、回折波長板レンズによって集束されることになる光の波数であって、λは、光の波長であって、fは、波長板レンズ1200A、1200Bの焦点距離である。+および-符号は、波長板レンズ1200A、1200Bの中心Cの最近傍の液晶分子1208に対する、液晶分子1208の回転方向に対応し得る。
【0191】
波長板レンズ1200Aおよび1200Bの液晶分子1208のパターンは、相互の反転像を表すことを理解されたい。すなわち、波長板レンズ1200Aおよび1200Bのうちの一方は、波長板レンズ1200Bおよび1200Bの他方を軸方向(例えば、x-方向またはy-方向)の周囲において180度回転させることによって取得され得る。構成されるように、波長板レンズ1200Aおよび1200Bの焦点距離および屈折力は、大きさが同一であるが、反対符号である。
【0192】
いくつかの実装では、波長板レンズ1200Aおよび1200Bはそれぞれ、半波長板レンズとしての役割を果たし得る。半波長板レンズとして構成されるとき、波長板レンズ1200Aおよび1200Bはそれぞれ、入力ビームの偏光に対して、線形偏光の平面を角度2α回転させ、αは、入力偏光方向と波長板軸との間の角度である。円偏光ビームに関して、本角度の変化は、位相偏移および偏光掌性の逆転に変換される。したがって、±2α位相偏移が、偏光掌性に応じた位相偏移の符号を伴って、円偏光ビーム内に生成され得る。
【0193】
図16Cは、いくつかの実施形態による、光の偏光および光が入射する側に応じて、それを通して通過する光を発散または収束させる、波長板レンズの実施例を図示する。半波長板レンズとして構成されるとき、図示される波長板レンズ1200Aは、第1の側に入射する右円偏光(RHCP)光ビーム1212を左円偏光(LHCP)ビーム1216へと発散させるように構成されてもよい。他方では、波長板レンズ1200Aは、第1の側と反対の第2の側に入射するRHCP光ビーム1220を左円偏光(LHCP)ビーム1224へと収束させるように構成されてもよい。
【0194】
波長板レンズ1200Bに関して、状況は、逆転される。
図16Dに図示されるように、半波長板として構成されるとき、波長板レンズ1200Bは、第1の側に入射するLHCP光ビーム1228をRHCPビーム1232へと収束させるように構成されてもよい。他方では、波長板レンズ1200Bは、第1の側と反対の第2の側に入射するLHCP光ビーム1236をRHCPビーム1240へと発散させるように構成されてもよい。
【0195】
したがって、液晶1208の回転角度方向および半径方向分布を制御することによって、波長板レンズは、掌性のいずれかを有する円偏光を収束または発散させるように構成され得る。液晶の回転角度間の関係に基づいて、屈折力は、増加または減少され得ることを理解されたい。加えて、いくつかの実施形態では、液晶は、電場を印加することによって、整合および不整合にされてもよい。したがって、屈折力が約ゼロである限界では、波長板レンズは、波長板、例えば、切替可能な波長板として使用されてもよいことを理解されたい。
(切替可能な波長板を含む、広帯域適応波長板レンズアセンブリ)
【0196】
図12Aに関して上記に説明されるように、広範囲の可視スペクトルにわたって高効率を伴って画像を複数の深度平面に提供するために、実施形態による、いくつかの広帯域適応波長板レンズアセンブリは、切替可能な波長板と、複屈折材料の薄膜、例えば、液晶から形成される、受動的または切替可能であり得る、1つ以上の波長板レンズとを含む。以下では、切替可能な広帯域波長板を備える、広帯域適応波長板レンズアセンブリの実施形態が、開示される。例えば、切替可能な広帯域波長板は、
図13A-13F、
図14A-14Cおよび
図15A-15Bに関して上記に説明される広帯域の切替可能な波長板のうちの1つであってもよい。
(広視野を提供するように構成される、偏光スイッチ)
【0197】
波長板レンズと、広視野からの光を受光する、切替可能な波長板とを備える、適応レンズアセンブリの多種多様な実施例が、上記に議論される。
図13A-13Fを参照して上記に説明されるように、そのような適応レンズアセンブリの種々の実装は、捻転されたネマチック(TN)液晶(LC)分子の1つ以上の層を含んでもよい。しかしながら、TN LC分子の光学波誘導性質の効率は、少なくとも部分的に、光がその上に入射する角度に依存する。したがって、(例えば、切替可能な波長板内の)TN LC層上の光の入射角を増加させることは、入射光の偏光状態を改変する、例えば、回転させる能力の低減を生じさせ得る。本特性は、視野内の軸外で広くオブジェクトから指向される光を、切替可能な波長板および波長板レンズに対して法線方向の適応レンズアセンブリの光学軸を直接辿って伝搬する光と異なるようにし得る。
【0198】
図17は、液晶(LC)回折レンズ等の液晶レンズ(例えば、波長板レンズ)3802と、光3806を広視野から受光する、偏光スイッチ(例えば、TN LC分子の少なくとも1つの層を含む、切替可能な波長板)3804とを備える、適応レンズアセンブリ3800の実施例を図示する。視野の周縁3810上のオブジェクト3808からの光が、角度θで、切替可能な波長板3804上に入射するように示される。本入射角θは、切替可能な波長板3804に対する法線3812に対して測定される。偏光スイッチ3800は、偏光スイッチがある状態にあるとき、偏光スイッチがその上に入射する光の偏光を回転させるように構成されてもよい。例えば、切替可能な波長板等の偏光スイッチ上に入射する右円偏光(RHCP)は、左円偏光(LHCP)に回転されてもよい。そのような効果は、例えば、偏光スイッチまたは切替可能な波長板3804上に入射する光をそれに対して法線方向入射で生じさせ得る。より大きい入射角θを有する、光は、右回り偏光から左回り偏光に完全に変換され得ない。
【0199】
故に、例えば、偏光スイッチ3804上にゼロを上回る角度θで入射する、視野の周縁3810内の軸外オブジェクト3808からの光は、偏光の完全変換(例えば、右円偏光から左円偏光に)を被り得ない。結果は、偏光スイッチ3804および適応レンズアセンブリ3800上の視野の異なる領域から指向される光の非均一処理となり得る。本適応レンズは、そのような要素が拡張現実デバイスのための可変焦点要素として使用されるとき、残影画像を誤った深度平面に生産する。したがって、
図17に示されるもの等の切替可能な波長板の視野を増加させる必要性が存在する。
【0200】
図18は、本非均一性の実施例を示す。
図18は、切替可能な波長板3804の例示的LC層が偏光をその上に入射する光の異なる角度で変換する効率を図示する、プロット3900である。本等高線プロットは、電気的に制御された複屈折(ECB)LCセルをそれらの間に伴う、平行円偏光器を通して漏出する、光のシミュレートされたパーセンテージである。ECB LCセルは、単純な切替可能な波長板であって、LC分子は全て、同一方向に、すなわち、示される座標系内のX軸に沿って平行に整合される。典型的には、LC層の厚さ(d)は、Δn
*d=λc/2であるように選定され、式中、Δnは、LC複屈折であって、λcは、中心波長である。外部電圧が印加されないとき、本LCセルは、右円偏光を左円偏光に変換することができ、その逆も同様である。変換の量は、視野にわたる平行円偏光器を通して、光漏出の%として測定されることができる。座標系は、偏光スイッチまたは切替可能な波長板3804上に入射する光の異なる角度に関する偏光変換または回転効率をマッピングする、極座標系である。中心3906は、例えば、偏光スイッチまたは切替可能な波長板を通る中心または光学軸に沿って、偏光スイッチまたは切替可能な波長板3804上に法線入射する、光に対応する。45、135、225、および315度の方位角が、マークされる。極性グリッドはまた、偏光スイッチまたは切替可能な波長板3804の例示的TN LC層を通る中心軸または光学軸に対して10、20、および30度の仰角を表す、円形3908a、3908b、および3908cを有する。
【0201】
プロットの実質的暗領域3902は、偏光が効率的に変換または回転される、異なる角度における光の量を示す。しかしながら、プロットのいくつかの明領域3904は、視野の中心からずれた領域に対応する、より高い角度における光の一部に関して、偏光は、効率的に変換または回転されないことを示す。本明細書に開示される種々の偏光スイッチまたは切替可能な波長板設計は、視野内のより周辺の場所3810に対応する種々の高角度のためにより効率的偏光変換/回転を提供するように構成される。
【0202】
図19は、視野の周縁上のオブジェクトからの光のための偏光変換または回転の効率を増加させるように構成される、1つのそのような設計を図示する。特に、
図19は、液晶(LC)回折レンズ等の液晶レンズ(例えば、波長板レンズ)4002と、偏光スイッチ(例えば、切替可能な波長板)4004(切替可能な波長板は、湾曲される)とを備える、適応レンズアセンブリ4000の実施例を示す。すなわち、偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004は、広視野からの光4006に関して、法線に近くなるように、または法線により近くなるように(平坦な切替可能な波長板と比較して)、光が切替可能な波長板上に入射するように湾曲される。視野の周縁4010上のオブジェクト4008からの光は、角度θで切替可能な波長板4004上に入射するように示される。本入射角θは、切替可能な波長板4004に対する法線4012に対して測定される。偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004は、該偏光スイッチ上に法線または実質的に法線入射するような角度θで入射する本光を受光するように示される。
【0203】
偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004は、第1および第2の表面4014、4016(例えば、外側および内側表面)と、その間に配置される、液晶層4018とを有する。第1および第2の表面4014、4016は、本実施例では、視認者の眼2020の視点から凹面であって、世界2022に対して凸面である。第1および第2の表面4014、4016は、球状に成形されてもよい、または他の湾曲形状を有してもよい。第1および第2の表面4014、4016は、いくつかの実装では、同一または類似曲率を有してもよいが、そのように限定されない。他の曲率および形状も、可能性として考えられる。
【0204】
図19は、同様に湾曲されるような該第1および第2の湾曲表面4014、4016間に配置される、液晶層4018を示す。液晶層4018は同様に、LC層が、視認者の眼4020に対して凹面であって、世界4022に対して凸面であるように、湾曲されてもよい。液晶層4018は、いくつかの実装では、球状に成形されてもよいが、そのように限定される必要はない。
【0205】
図19に示される偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004の曲率は、光入射の入射角θが、偏光スイッチ4004の第1の外側表面4014上に法線または実質的に法線入射するようなものである。同様に、液晶層4018は、縦方向に沿って幅より長さがある、複数の液晶分子を備える、液晶を備えてもよく、入射光の方向は、光がその上に入射する、分子の縦方向に直交してもよい。同様に、液晶分子は、入射光に面する、縦方向に沿った側を有してもよい。ある場合には、その上に光が入射する、液晶分子の側は、入射光に対して法線方向またはほぼ法線であってもよい。偏光スイッチ4004および液晶分子上に同一または類似角度でより一貫して入射する光を用いることで、偏光変換または回転は、偏光スイッチを横断してより均一となり得る。該偏光スイッチを通る(例えば、該第1および第2の表面4014、4016および該液晶層4018を通る)中心軸4024(例えば、光学軸)に沿って入射する、光の偏光変換または回転は、視野の周縁4010に位置するオブジェクト4008から生じる、軸外光のための偏光変換または回転に類似し得る。本結果は、偏光スイッチ4004および液晶層4018の曲率の結果であり得、これは、視野内の異なるオブジェクトからの光の入射角が実質的に同一(例えば、ほぼ法線方向)である、尤度を増加させる。
【0206】
種々の実装では、切替可能な波長板4004上の第1および第2の湾曲表面4014、4016は、湾曲表面を湾曲基板上に備える(図示せず)。例えば、液晶層4018は、第1の湾曲基板と第2の湾曲基板との間に配置されてもよい。これらの曲線基板は、上記に参照される第1および第2の(外側および内側)湾曲表面4014、4016を提供してもよい。基板は、ガラスまたはプラスチック材料を含んでもよい。基板は、いくつかの実装では、4分の1波長板等の光学要素を備えてもよい。
【0207】
偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004はさらに、複数の電極(図示せず)を備え、該湾曲液晶層4018を横断して電気信号を印加してもよい。本電気信号は、液晶および偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004の状態を切り替えるために使用されてもよい。故に、偏光スイッチ4004は、偏光スイッチがある状態にあるとき、その上に入射する光の偏光が、異なる偏光状態に回転または別様に変換されるように構成されてもよい。例えば、偏光スイッチまたは切替可能な波長板4004上に入射する右円偏光(RHCP)は、左円偏光(LHCP)に変換されてもよい。しかしながら、偏光スイッチ4004が別の状態にあるとき、そのような変換または回転は、概して、生じない。
【0208】
図20は、視野の周縁上のオブジェクトからの光のための偏光回転の効率を増加させるように構成される、切替可能な波長板のための別の例示的設計を図示する。しかしながら、切替可能な波長板は、湾曲されず、平坦または平面である。そのような構成は、切替可能な波長板をよりコンパクトにする、および/または加工をより容易にし得る。偏光変換または回転の増加された効率を提供するために、偏光スイッチは、光が軸外オブジェクトに関して法線により近くなるように分子上に入射するように、外向き半径方向距離の増加に伴って傾斜される、分子を備える、液晶を備える。
【0209】
図20は、特に、液晶(LC)回折レンズ等の液晶レンズ(例えば、波長板レンズ)4102と、偏光スイッチ(例えば、切替可能な波長板)4104(切替可能な波長板は、湾曲される代わりに、平坦または平面である)とを備える、適応レンズアセンブリ4100の実施例を示す。視野の周縁4110上のオブジェクト4108からの光は、角度θで切替可能な波長板4104上に入射するように示される。本入射角θは、切替可能な波長板4104に対する法線4112に対して測定される。
【0210】
偏光スイッチまたは切替可能な波長板4104は、第1および第2の表面4114、4116(例えば、外側および内側表面)と、その間に配置される、液晶層4118とを有する。第1および第2の表面4114、4116は、本実施例では、平坦または平面である。
【0211】
図20は、第1および第2の湾曲表面4114、4116間に配置される、分子4105の複数の層4107を備える、液晶層4118を示す。図式的に図示されるように、複数の液晶分子4105は、複数の半径方向に第1および第2の表面4114、4116および液晶層4118を通る中心軸または光学軸4124からの外向き半径方向距離4130に伴って変動する、角度4128で配向されることができる。特に、複数の液晶分子4105は、複数の半径方向に中心軸または光学軸4124からの外向き半径方向距離4130に伴って、第1および第2の表面4114、4116に対するチルト角を変動させる、例えば、チルト角を増加させ得る。
図20に示されるもの等の種々の実装では、中心軸または光学軸4124は、該第1および第2の表面に対して法線方向である。
【0212】
いくつかの構成では、例えば、適応レンズアセンブリ4100は、光を該適応レンズアセンブリから距離dに位置する視認者の眼4120に透過させるように構成され、複数の液晶分子4105は、それぞれ、視認者の眼の視野内の場所4108から視認者の眼までの経路4130に沿って伝搬する光の入射角θに合致する、チルト角4128を有する。同様に、分子4105は、縦方向4132に幅より長さがあり得る。本縦方向4132は、入射光の入射角θまたは視野内のオブジェクト4108から眼4120までの経路4130に合致する、第1および/または第2の表面4114、4116に対する角度4128で傾斜されてもよい。または、いくつかの実装では、分子4105の縦方向4132は、複数の半径方向に中心軸4124からの外向き半径方向距離4130に伴って増加する、角度4128で傾斜されてもよい。
【0213】
例えば、
図19および20に説明されるもの等のいくつかの設計では、半径方向に中心軸からの外向き半径方向距離に伴って増加し得る、該チルト角を有する、複数の液晶分子は、液晶層および/または波長板を横断して少なくとも1、2、3、4、5、6、8、10、12cm
2、またはそれを上回る(またはこれらの値のいずれかによって定義された任意の範囲)の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれを上回る(またはこれらの値のいずれかによって定義された任意の範囲内のパーセンテージ)を含む。種々の実装では、縦方向を伴う、液晶分子の配列は、軸に対して対称であるパターンを形成する。本パターンは、例えば、軸(例えば、中心軸)に対して少なくとも3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、または20回回転対称性を有してもよい、またはこれらの値のいずれか間の範囲を含んでもよい。
【0214】
図20は、y-z平面における偏光スイッチおよび液晶層4118の断面を示す、断面図である。液晶分子4105は、したがって、y-z平面と平行な平面に対して傾斜されて示される。本チルト角は、例えば、y軸と平行な半径方向に中心軸4124からの外向き半径方向距離4130に伴って増加する。しかしながら、種々の実装では、液晶分子4105のチルト角は、他の半径方向に中心軸4124からの外向き半径方向距離4130に伴って増加する。例えば、液晶分子4105のチルト角は、例えば、部分的に紙から外に向かって、y軸(および直交x-軸)に対して斜(非平行かつ非垂直)角(例えば、20°、30°、40°)である、半径方向に中心軸4124からの外向き半径方向距離4130に伴って増加してもよい。
【0215】
故に、液晶分子4105は、入射光に面する、縦方向4132に沿った側を有してもよい。ある場合には、その上に光が入射する、液晶分子4105の側は、入射光に対して法線方向またはほぼ法線であってもよい。上記に議論されるように、ある場合には、入射光の方向は、光がその上に入射する、分子の縦方向3132に直交してもよい。同一または(例えば、分子が中心軸4124から全ての外向き半径方向距離4130に関して同一方向に配向される場合)より少なくとも類似角度で液晶分子4105上により一貫して入射する光を用いることで、偏光変換または回転は、偏光スイッチ4104を横断してより均一となり得る。該偏光スイッチ4104を通る(例えば、該第1および第2の表面4114、4116および該液晶層4118を通る)中心軸4124(例えば、光学軸)に沿って入射する、光の偏光変換または回転は、視野の周縁4110に位置するオブジェクト4108から生じる軸外光のための偏光変換または回転に類似し得る。本結果は、液晶分子4105の傾斜された配向(例えば、中心軸4124からの半径方向距離に伴って増加するチルト角)の結果であり得、これは、視野内の異なるオブジェクト4108からの光の入射角が実質的に同一(例えば、ほぼ法線方向)である、尤度を増加させる。
【0216】
種々の実装では、切替可能な波長板4104上の第1および第2の表面4114、4116は、表面を基板4115、4117上に備える。例えば、液晶層4118が、第1および第2の基板4115、4117間に配置されてもよい。
図20に示される設計等の種々の実装では、第1および第2の表面4114、4116は、平面表面を平面基板4115、4117上に備える。これらの基板4115、4117は、上記に参照される第1および第2の(外側および内側)表面4114、4116を提供してもよい。基板4115、4117は、ガラスまたはプラスチック材料を含んでもよい。基板4115、4117は、いくつかの実装では、4分の1波長板等の光学要素を備えてもよい。
【0217】
偏光スイッチまたは切替可能な波長板4104はさらに、複数の電極(図示せず)を備え、該液晶層4118を横断して電気信号を印加してもよい。本電気信号は、液晶および偏光スイッチまたは切替可能な波長板4104の状態を切り替えるために使用されてもよい。故に、偏光スイッチ4104は、偏光スイッチがある状態にあるとき、その上に入射する光の偏光が異なる偏光状態に回転または別様に変換されるように構成されてもよい。例えば、偏光スイッチまたは切替可能な波長板4104上に入射する右円偏光(RHCP)は、左円偏光(LHCP)に回転または変換されてもよい。しかしながら、偏光スイッチ4104が別の状態にあるとき、そのような変換または回転は、概して、生じない。
【0218】
種々の方法が、傾斜された液晶分子4105を有する、
図20に示される切替可能な波長板4104等の液晶を備える、光学要素を加工するために採用されてもよい。
図20にさらに図示されるように、液晶分子4105は、液晶層4118の両側上の基板4115および4117に対して可変量の傾きで傾斜されてもよい。種々の方法が、そのような液晶分子4104を配向し、基板4115および4117に対する所望の量のチルト角4128を提供するために使用されてもよい。そのような加工方法の実施例は、米国特許出願公開第2018/0143470号および第2018/0143485号(その両方とも、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0219】
加えて、本方法は、LC分子の配向を変動させ、切替可能な波長板(例えば、電極を装備し、波長板の状態を切り替えるための電気信号を印加する)、広帯域波長板、および波長板レンズ等の波長板を含む、液晶を備える、多種多様な光学要素を作成するために使用されることができる。加えて、そのような方法は、波長板等の光学要素内のLC分子の配向を変動させるために使用されることができるが、方法は、他のタイプの光学要素のために使用されることができる。光学要素を加工するための方法における変形例もまた、可能性として考えられる。例えば、ナノインプリント技法等のインプリント技法、加工技法における変形例、および他のアプローチおよび加工技法が、採用されてもよい。
(実施例)
【0220】
種々の実施例が、下記に提供される。
【0221】
(実施例1)
切替可能な光学アセンブリであって、
電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除され、その上に入射する光の偏光状態を選択的に改変するように構成される、切替可能な波長板であって、
第1および第2の湾曲表面と、
液晶層が湾曲されるように、該第1の湾曲表面と第2の湾曲表面との間に配置される、液晶層と、
該湾曲液晶層を横断して電気信号を印加するための複数の電極と、
を備える、切替可能な波長板を備える、切替可能な光学アセンブリ。
【0222】
(実施例2)
切替可能な波長板上の第1および第2の湾曲表面は、湾曲表面を湾曲基板上に備える、実施例1に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0223】
(実施例3)
第1および第2の湾曲表面は、同一である、曲率を有する、上記実施例のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0224】
(実施例4)
切替可能な光学アセンブリはさらに、液晶層を備える、第1の波長板レンズを備え、該第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有し、
切替可能な光学アセンブリは、
第1の屈折力を有するように構成される、第1のレンズ状態と、
該第1の屈折力と異なる第2の屈折力を有するように構成される、第2のレンズ状態と、
を含む、少なくとも2つのレンズ状態間で選択的に切り替えられるように構成される、上記実施例のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0225】
(実施例5)
第2の屈折力は、ゼロ屈折力である、実施例4に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0226】
(実施例6)
切替可能な光学アセンブリであって、
電気的にアクティブ化およびアクティブ化解除され、その上に入射する光の偏光状態を選択的に改変するように構成される、切替可能な波長板であって、
第1および第2の表面と、
該第1の表面と第2の表面との間に配置される、液晶層であって、複数の半径方向に該第1および第2の表面および該液晶層を通る軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子を備える、液晶層と、
該液晶層を横断して電気信号を印加するための複数の電極と、
を備える、切替可能な波長板を備える、切替可能な光学アセンブリ。
【0227】
(実施例7)
第1および第2の表面は、平面表面を備える、実施例6に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0228】
(実施例8)
第1および第2の表面は、平面表面を平面基板上に備える、実施例6-7のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0229】
(実施例9)
軸は、該第1および第2の表面に対して法線方向である、実施例6-8のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0230】
(実施例10)
該複数の液晶分子は、該複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を増加させる、実施例6-9のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0231】
(実施例11)
光を該切替可能な光学アセンブリからある距離に位置する視認者の眼に透過させるように構成され、該複数の液晶分子は、それぞれ、視認者の眼の視野内のある場所から視認者の眼までの経路に沿って伝搬する、光の入射角に合致する、チルト角を有する、実施例6-10のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0232】
(実施例12)
該複数の液晶分子は、該複数の液晶分子が該軸を中心として回転可能な対称配列に配列されるような配向を有する、実施例6-11のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0233】
(実施例13)
該複数の液晶分子は、該複数の液晶分子が該軸を中心として少なくとも4回回転対称性を有するような配向を有する、実施例6-11のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0234】
(実施例14)
切替可能な光学アセンブリはさらに、液晶層を備える、第1の波長板レンズを備え、該第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有し、
切替可能な光学アセンブリは、
第1の屈折力を有するように構成される、第1のレンズ状態と、
該第1の屈折力と異なる第2の屈折力を有するように構成される、第2のレンズ状態と、
を含む、少なくとも2つのレンズ状態間で選択的に切り替えられるように構成される、実施例6-13のいずれかに記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0235】
(実施例15)
第2の屈折力は、ゼロ屈折力である、請求項14に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0236】
(実施例16)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも1cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも50%を含む、実施例6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0237】
(実施例17)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも2cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも50%を含む、実施例6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0238】
(実施例18)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも1cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも80%を含む、実施例6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0239】
(実施例19)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも2cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも80%を含む、実施例6-15に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0240】
(実施例20)
該軸は、該第1および第2の表面および該液晶層を通る中心軸を含む、実施例6-19に記載の切替可能な光学アセンブリ。
【0241】
種々の付加的実施例が、下記に提供される。
【0242】
(実施例21)
光学アセンブリであって、
波長板であって、
第1および第2の湾曲表面と、
液晶層が湾曲されるように、該第1の湾曲表面と第2の湾曲表面との間に配置される、液晶層と、
を備える、波長板を備える、光学アセンブリ。
【0243】
(実施例22)
波長板上の第1および第2の湾曲表面は、湾曲表面を湾曲基板上に備える、実施例21に記載の光学アセンブリ。
【0244】
(実施例23)
第1および第2の湾曲表面は、同一である、曲率を有する、実施例21-22に記載の光学アセンブリ。
【0245】
(実施例24)
光学アセンブリはさらに、液晶層を備える、第1の波長板レンズを備え、該第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有する、実施例21-23に記載の光学アセンブリ。
【0246】
(実施例25)
光学アセンブリであって、
波長板であって、
第1および第2の表面と、
該第1の表面と第2の表面との間に配置される、液晶層であって、複数の半径方向に該第1および第2の表面および該液晶層を通る軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子を備える、液晶層と、
を備える、波長板を備える、光学アセンブリ。
【0247】
(実施例26)
第1および第2の表面は、平面表面を備える、実施例25に記載の光学アセンブリ。
【0248】
(実施例27)
第1および第2の表面は、平面表面を平面基板上に備える、実施例25-26のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0249】
(実施例28)
軸は、該第1および第2の表面に対して法線方向である、実施例25-27のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0250】
(実施例29)
該複数の液晶分子は、該複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を増加させる、実施例25-28のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0251】
(実施例30)
光を該光学アセンブリからある距離に位置する視認者の眼に透過させるように構成され、該複数の液晶分子は、それぞれ、視認者の眼の視野内のある場所から視認者の眼までの経路に沿って伝搬する、光の入射角に合致する、チルト角を有する、実施例25-29のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0252】
(実施例31)
該複数の液晶分子は、該複数の液晶分子が該軸を中心として回転可能な対称配列に配列されるような配向を有する、実施例25-30のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0253】
(実施例32)
該複数の液晶分子は、該複数の液晶分子が該軸を中心として少なくとも4回回転対称性を有するような配向を有する、実施例25-30のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0254】
(実施例33)
光学アセンブリはさらに、液晶層を備える、第1の波長板レンズを備え、該第1の波長板レンズは、その上に入射する光の異なる偏光のための異なる屈折力を有する、実施例25-32のいずれかに記載の光学アセンブリ。
【0255】
(実施例34)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも1cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも50%を含む、実施例25-33に記載の光学アセンブリ。
【0256】
(実施例35)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも2cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも50%を含む、実施例25-33に記載の光学アセンブリ。
【0257】
(実施例36)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも1cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも80%を含む、実施例25-33に記載の光学アセンブリ。
【0258】
(実施例37)
複数の半径方向における該軸からの外向き半径方向距離に伴って、該第1および第2の表面に対するチルト角を変動させる、複数の液晶分子は、該第1の層を横断して少なくとも2cm2の範囲にわたって延在する、分子の少なくとも80%を含む、実施例25-33に記載の光学アセンブリ。
【0259】
(実施例38)
該軸は、該第1および第2の表面および該液晶層を通る中心軸を含む、実施例25-37に記載の光学アセンブリ。
付加的考慮点
【0260】
前述の明細書では、本発明は、その具体的実施形態を参照して説明された。しかしながら、種々の修正および変更が、本発明のより広義の精神および範囲から逸脱することなくそこに行われ得ることが明白となるであろう。明細書および図面は、故に、限定的意味ではなく、例証と見なされるべきである。
【0261】
実際、本開示のシステムおよび方法は、それぞれ、いくつかの革新的側面を有し、そのうちのいかなるものも、本明細書に開示される望ましい属性に単独で関与しない、またはそのために要求されないことを理解されたい。上記に説明される種々の特徴およびプロセスは、相互に独立して使用され得る、または種々の方法で組み合わせられ得る。全ての可能な組み合わせおよび副次的組み合わせが、本開示の範囲内に該当することが意図される。例えば、
図15を参照すると、1つ以上の適応レンズアセンブリ1504-1-1504-3は、導波管1012a、1012b、および/または1012cの個々のものの間に配置されてもよいことを理解されたい。
【0262】
別個の実施形態の文脈において本明細書に説明されるある特徴はまた、単一の実施形態における組み合わせにおいて実装されてもよい。逆に、単一の実施形態の文脈において説明される種々の特徴もまた、複数の実施形態において別個に、または任意の好適な副次的組み合わせにおいて実装されてもよい。さらに、特徴がある組み合わせにおいて作用するものとして上記に説明され、さらに、そのようなものとして最初に請求され得るが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、いくつかの場合では、組み合わせから削除されてもよく、請求される組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とし得る。いかなる単一の特徴または特徴のグループも、あらゆる実施形態に必要または必須ではない。
【0263】
とりわけ、「~できる(can)」、「~し得る(could)」、「~し得る(might)」、「~し得る(may)」、「例えば(e.g.)」、および同等物等、本明細書で使用される条件文は、別様に具体的に記述されない限り、または使用されるような文脈内で別様に理解されない限り、概して、ある実施形態がある特徴、要素、および/またはステップを含む一方、他の実施形態がそれらを含まないことを伝えることが意図されることを理解されたい。したがって、そのような条件文は、概して、特徴、要素、および/またはステップが、1つまたはそれを上回る実施形態に対していかようにも要求されること、または1つまたはそれを上回る実施形態が、著者の入力または促しの有無を問わず、これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施形態において含まれる、または実施されるべきかどうかを決定するための論理を必然的に含むことを含意することを意図していない。用語「~を備える(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」、および同等物は、同義語であり、非限定的方式で包括的に使用され、付加的要素、特徴、行為、動作等を除外しない。また、用語「または」は、その包括的意味において使用され(およびその排他的意味において使用されず)、したがって、例えば、要素のリストを接続するために使用されると、用語「または」は、リスト内の要素のうちの1つ、いくつか、または全てを意味する。加えて、本願および添付される請求項で使用されるような冠詞「a」、「an」、および「the」は、別様に規定されない限り、「1つ以上の」または「少なくとも1つ」を意味すると解釈されるものである。同様に、動作は、特定の順序で図面に描写され得るが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序で、または連続的順序で実施される、または全ての図示される動作が実施される必要はないと認識されるべきである。さらに、図面は、フローチャートの形態で1つ以上の例示的プロセスを図式的に描写し得る。しかしながら、描写されない他の動作も、図式的に図示される例示的方法およびプロセス内に組み込まれ得る。例えば、1つ以上の付加的動作が、図示される動作のいずれかの前に、その後に、それと同時に、またはその間に実施され得る。加えて、動作は、他の実施形態において再配列される、または再順序付けられ得る。ある状況では、マルチタスクおよび並列処理が、有利であり得る。さらに、上記に説明される実施形態における種々のシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態におけるそのような分離を要求するものとして理解されるべきではなく、説明されるプログラムコンポーネントおよびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品においてともに統合される、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。加えて、他の実装も、以下の請求項の範囲内である。いくつかの場合では、請求項に列挙されるアクションは、異なる順序で実施され、依然として、望ましい結果を達成することができる。
【0264】
故に、請求項は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図されず、本明細書に開示される本開示、原理、および新規の特徴と一貫する最も広い範囲を与えられるべきである。