(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】ゼラチン非含有ゲル化菓子及びこのような菓子を調製する方法
(51)【国際特許分類】
A23G 3/42 20060101AFI20230824BHJP
A23G 3/34 20060101ALI20230824BHJP
A23L 29/206 20160101ALI20230824BHJP
【FI】
A23G3/42
A23G3/34 101
A23L29/206
(21)【出願番号】P 2020569838
(86)(22)【出願日】2019-06-14
(86)【国際出願番号】 FR2019051445
(87)【国際公開番号】W WO2019239073
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-15
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィ ラガシュ
【審査官】安孫子 由美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/129921(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/153669(WO,A1)
【文献】特表2016-501017(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0859225(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21
A23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 2%~4%
のアルファ化ワキシーデンプン、
- 0.5%~1.5%の分枝マルトデキストリン
を含んでなり、前記百分率が、最終製品の総重量に対する乾燥重量で表される、ゼラチン非含有ゲル化菓子。
【請求項2】
前記最終製品の全乾燥重量に対する乾燥重量で表される百分率で、
0.5%~1.0%の
分枝マルトデキストリンを含んでなることを特徴とする、請求項
1に記載の菓子。
【請求項3】
-○ 2%~4%のワキシーデンプン、
○ 0.5%~1.5%の分枝状マルトデキストリン、
○ 少なくとも1つの甘味料及び水
を含んでなる、混合物を調製するステップと、
- 所望の固形分含有量が得られるまで、100℃~150℃の温度で前記混合物を調理するステップと、
- 前記調理された混合物を成形し、ゲル化菓子を得るステップと
を含んでなる、ゼラチン非含有ゲル化菓子を調製する
方法。
【請求項4】
前記混合物中のワキシーデンプンがアルファ化ワキシーデンプンであることを特徴とする、請求項
3に記載のゼラチン非含有ゲル化菓子を調製する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のゲル化菓子、より具体的には、硬度及び弾性の観点からキャンディに優れた噛み応えを与えるゲル化剤と可溶性繊維とを含んでなる、ソフトキャンディー又はチューイングペーストに関する。
【0002】
本発明はまた、このような菓子を調製する工程にも関する。
【背景技術】
【0003】
多数の菓子製品がある。それらは全て、砂糖を沸騰させ、異なる特殊な製品及び風味を得るために、その他の成分と混合させるという共通点がある。
【0004】
本発明の目的で、「ゲル化菓子」という用語は、ハードボイルドキャンディに比べて軟らかい製品に属するチューイングペースト及びゼリーを意味し、従来のゼラチン含有キャラメル、トフィー、ファッジ、パスティーユ、フォンダン、及びフィリングもまた意味する。
【0005】
これらの菓子は、特に、糖類又はポリオール、甘味料、脂肪、乳化剤、香料、着色料、ミネラル及び/又は有機酸及び/又は塩基及びそれらの塩と、例えば、アラビアガム、ゼラチン、ペクチン、カラゲーナン、アルギン酸塩、セルロース、及びデンプンなどの植物又は動物起源の1つ又は複数の増粘及び/又はゲル化ヒドロコロイドとからなる。
【0006】
これらの様々なゲル化菓子には正確な定義はなく、自由裁量でハードガムとソフトガムに分類され得る。
【0007】
ソフトガムとしては、より具体的にはゼリー及びガム(「ジェリービーンズ」、「ワインガム」)が挙げられ、ゲル化剤として使用されるゼラチン及び/又はデンプンベースで従来法で調製され、弾性から可塑性の質感である、必要な弾性がこれらの軟質製品に提供される。
【0008】
チューイングペーストは、砂糖とグルコースシロップの混合物を沸騰させ、少量の脂肪を添加して得られる。
【0009】
次に、沸騰した塊は、空気混入するために、例えば、引き延ばし、任意選択的に加圧下での泡立て、加圧下での混合、又は押出しなどの菓子職人に良く知られている工程のいずれか1つの手段によって軽量化される。
【0010】
チューイングペーストに特徴的な食感を与えているのは、この空気混入及び脂肪の存在である。
【0011】
本発明はまた、従来のゼラチン含有キャラメル、トフィー、ファッジ、パスティーユ、及びフィリングにも関する。
【0012】
キャラメル、トフィー、及びファッジの組成は、所望の色の強さ及び味の強さ、さらには所望の食感によって大きく変動し得る。
【0013】
一般に、このような製品の残留水分含量は3%~10%、スクロースは30%~60%、転化糖は1%~10%、グルコースシロップ(乾燥ベースで表される)は20%~50
%、脂肪は1%~15%、乳糖は1%~6%、乳タンパク質は0.75%~15%で変動する。
【0014】
技術的には、これらの特殊な製品は、それらの残留水分含量及びそれらの食感によって、3つの主要群に分類することが可能である。
【0015】
ハードキャラメルが3%~4%の残留水分含量と硬く滑らかな食感とを有する一方、ソフトキャラメル/トフィーは7%~10%の相対水分含量と軟らかくもっちりした食感とを有し、ファッジは7%~9%の残留水分含量と軟らかいが脆い質感とを有する。
【0016】
おそらくは品種を伴う「(ソフト又はハード)キャラメル」及び「トフィー」という名称は、砂糖、グルコース(又は転化糖)、食用脂肪(酪酸脂肪、植物性脂肪、及び/又は動物性脂肪)、及び乳タンパク質を沸騰させることで調製される菓子だけに用いられ、脂肪及び乳タンパク質は、最終製品が、乳由来の少なくとも6%の脂肪及び6%の固形分を含有するような比率である。
【0017】
脂肪性フィリングは全て、砂糖、又は例えばポリオールなどのその他のバルク甘味料と、植物性及び/又は動物性脂肪から得られる混合物であり、それは乳タンパク質を慣習的に含有し、菓子、ケーキ製造、ベーカリートレード、クッキートレード、及び任意のその他の食品製造分野で、フィリングとして使用されることが意図される。このような例としては、例えば、プラリネ風味の脂肪性フィリング及びイミテーション「チョコレート」脂肪性フィリングが挙げられる。
【0018】
これらの全てのゲル化菓子に使用されるゼラチンは、皮膚、骨、軟骨、靭帯などから抽出されたコラーゲンを豊富に含む原料の部分的加水分解後に抽出された動物性タンパク質である。
【0019】
魚類から製造されるゼラチンもまた存在するが、今日欧州で製造されている食用ゼラチンに占める割合はごくわずかである(3%未満)。
【0020】
使用準備ができると、ゼラチンは半透明、透明、又はわずかに黄色の固体物質であり、特徴的な匂いと味を有する。
【0021】
ゼラチンは、製菓分野で広く使用されている。その弾力性は、咀嚼時に独特の感覚を提供することから、非常に高く評価されている。
【0022】
また、それは優れた離香性も有し、それ故、美味な菓子の製造に対する価値がある。最終的に、それは重量の5~6倍の水を吸収できる。したがって、それは多くの機能上の利点を有することから、広く使用されている。それは主にゲル化剤として使用されるが、空気混入菓子の増粘剤、安定剤、乳化剤、結合剤、及び起泡剤としても使用される。
【0023】
多年にわたり、ゼラチンに対する良い報道はほとんどない。牛海綿状脳炎の出現に続いて、今日では食品調製物へのゼラチンの使用は、非常に議論の余地がある。
【0024】
さらに、製菓分野では、豚の皮由来のゼラチンのみが使用されており、特定の信条又は宗教に関して問題になり得る。
【0025】
最後に、菜食主義者及び厳格菜食主義者もまた動物由来の製品の摂取を拒否し、その結果、全てのゼラチン含有菓子製品を排斥している。
【0026】
さらに、その味と独特の匂いのために、その使用は、その存在及びその嗅覚的欠点を遮蔽するために、製造業者に香料の使用を強いることが非常に多い。
【0027】
また、ゼラチンは価格が高いため、特に新興国での使用を抑制し得る。
【0028】
さらに、ゼラチンは、極端なpH及び温度条件(強酸性pH、非常に高い温度)に対して極めて敏感なタンパク質であり、劣化し、ひいてはそのゲル化特性を失う傾向がある。
【0029】
ゲル化菓子、特にゲル化ガムの製造においてゼラチンを完全に又は部分的に置き換えるための多かれ少なかれ複雑な解決策を提案するために、非常に多くの調査研究が行われてきた。特に、各種デンプンをベースにしたゲル化菓子が知られている。
【0030】
当業者は、さらに、アミロースのみがゲル化剤の役割を果たすこと、アミロペクチンは製品に弾性を与えるが、アミロースよりもゲル化が緩慢で粘度をはるかに増加させること、そしてアミロースが不透明なゲルを与える一方、アミロペクチンは透明な製品を与えることを理解している。
【0031】
したがって、欧州特許第0252306B1号明細書及び欧州特許第0360046B1号明細書では、それらの特性を組み合わせるように、様々な修飾又は非修飾高アミロースデンプンを混合することが提案されている。これらの解決策は、いくつかのデンプンの混合物を必要とし、工業的に言えば必ずしも簡単に使用できるとは限らない。
【0032】
本出願人が保持者である欧州特許出願公開第1342417A号明細書は、カラゲーナンと組み合わされたワキシーデンプンを含有するゲル化菓子を記載する。得られた菓子は満足できる品質であるが、ゼラチンを用いて得られた菓子の特性には及ばず、提案された解決策では高価なカラゲーナンの使用を余儀なくされる。
【0033】
さらに、この解決策は、ゲル化ガムに対しては満足できる結果を提供するが、チューイングペーストに対しては満足できる結果が得られない。
【0034】
これもまた本出願人が保持者である欧州特許第1645196B号明細書は、非常に特異的なアミロース内容物を有する、流動化され安定化された豆類デンプンをベースとしたゲル化菓子製品を記載する。
【0035】
最後に、これもまた本出願人が保持者である欧州特許出願公開第2919589A号明細書は、少なくとも従来のゼラチン含有菓子と同等又はそれを超える、官能的品質、特に味覚、嗅覚、視覚、及び触覚の特性を保持しながら、ゲル化菓子中のゼラチンを置き換えるアルファ化ワキシーデンプンの使用を記載する。
【0036】
したがって、この欧州特許出願公開第2919589A号明細書の教示に従って調製された菓子製品は、従来のゼラチンを含んでなる菓子と比較して、少なくとも類似し又は改善された食感、噛み応え、口中での持続時間、及び口当たりを保持する。ゼラチンは、部分的に又は完全に置き換えられてもよい。
【0037】
好ましくは、アルファ化ワキシーデンプンと、分枝マルトデキストリン(本出願人によってNUTRIOSE(登録商標)の商品名で販売される)、ソルビトール、及びグリセリンから選択される少なくとも1つのその他の成分とからなるこのゲル化菓子は、特定の比率で調製されることが好ましい。
【0038】
なおもこの欧州特許出願公開第2919589A号明細書において、前記キャンディに
硬度及び弾性の観点から優れた噛み応え性を与える、本出願社によって提案される最良のゲル化菓子レシピは、
- 2%~10%、さらにより好ましくは4%~8%のアルファ化ワキシーデンプン、
- 好ましくは2%~10%、なおもより好ましくは4%~8%の分枝マルトデキストリン
の組み合わせによって得られ、百分率は菓子の総重量に対する重量で表される。
【0039】
有利な一実施形態では、50%~75%、好ましくは56%~62%の分枝マルトデキストリンを含んでなる菓子を選択することがさらに推奨され、これはさらに、このようにして得られたゲル化菓子を「高繊維」と表現することを可能にする。
【0040】
したがって、製菓技術分野の熟練した当業者は、本明細書の教示から、ゲル化菓子のゼラチン代替品として使用されるアルファ化ワキシーデンプンの最適化された含有量、すなわち、菓子の総重量に対して4~8重量%の間の値について、好ましくは、分枝マルトデキストリンの配合度は、菓子の総重量に対して、2~10重量%、より好ましくは4~8重量%の範囲で選択する必要があることを推察する。
【0041】
分枝マルトデキストリンの配合度が2%未満であるゼラチン非含有ゲル化菓子の受容性に関する影響試験は、実施されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
満足できるものではあるが、ゲル化菓子中のゼラチンを完全に又は部分的に置換するために、先行技術で提案され記載されている方法は、いずれも標準的なゼラチン含有ゲル化菓子に匹敵する食感を完全に得ることを可能にするものではない。
【0043】
したがって、ゲル化菓子中のゼラチンを完全に置き換えることができ、最適な硬度及び弾性を有する口中の食感を提供できる、代替レシピに対する必要性がなおもある。
【0044】
このように、少量の分枝マルトデキストリン及びアルファ化ワキシーデンプンによって、得られた硬度と弾性との最適なバランスで、満足できる食感を有するゲル化菓子、すなわち、咀嚼に必要な弾性を保持する一方で、良好な硬さを有するゲル化菓子を得ることを可能にすることを同定したことは、本出願人の功績である。
【課題を解決するための手段】
【0045】
したがって本発明の第1の主題は、
- 2%~4%の%アルファ化ワキシーデンプン、
- 0.5%~1.5%の分枝マルトデキストリン
を含んでなり、百分率が、最終製品の総重量に対する乾燥重量で表される、ゼラチン非含有ゲル化菓子に関する。
【0046】
したがって、本発明よるゲル化菓子は、特に硬度特性と弾性特性との最適バランスを有し、ひいては満足できる食感を有する。
【0047】
本発明の第2の主題は、アルファ化ワキシーデンプンと分枝マルトデキストリンとからなるプレミックスに関し、前記プレミックスは、1~8重量比のアルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンを含んでなることを特徴とする。本発明よるプレミックスは、ゼラチン非含有ゲル化菓子の製造において非常に特別な用途を見出す。
【0048】
本発明の第3の主題は、
-○ 2%~4%のワキシーデンプン、
○ 0.5%~1.5%の分枝状マルトデキストリン、
○ 少なくとも1つの甘味料及び水
を含んでなる、混合物を調製するステップと、
- 所望の固形分含有量が得られるまで、100℃~150℃の温度で前記混合物を調理するステップと、
- 調理された混合物を成形し、前記ゲル化菓子を得るステップと
を含んでなる、ゼラチン非含有ゲル化菓子を調製する工程に関する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
したがって本発明の第1の主題は、
- 2%~4%の%アルファ化ワキシーデンプン、
- 0.5%~1.5%の分枝マルトデキストリン
を含んでなり、百分率が、最終製品の総重量に対する乾燥重量で表される、ゼラチン非含有ゲル化菓子に関する。
【0050】
欧州特許出願公開第2919589A号明細書の教示に相反して、本出願人は、4重量%未満のアルファ化ワキシーデンプンを含んでなるレシピにおいて、ゼラチン非含有ゲル化菓子の満足できる食感を得るために、2~10重量%、好ましくは4~8重量%の分枝マルトデキストリンの使用を好ましいとする必要はもはやないことを今や発見した。
【0051】
実際、驚くほど少量の分枝マルトデキストリン及びアルファ化ワキシーデンプンによって、満足できる食感を有し、特に最適な硬度と弾性のバランスを有する、ゲル化菓子が得られるようになる。
【0052】
したがって、本発明よるゲル化菓子の硬度と弾性の最適なバランスは、6~8Nの硬度と7%~9%の弾性をもたらす。
【0053】
このような特性によって、ゲル化菓子は、咀嚼に必要な弾性を保持する一方で、良好な硬さを示す。
【0054】
硬度及び弾性の測定は、「フィンガーパンチ」タイプの幾何配置で、サンプルの高さの30%で10mm/分の試験速度での変形を2分間課すことにより、インストロン5966テクスチュロメーター上で20℃の温度で実行される。
【0055】
本発明によれば、「ゲル化菓子」という表現は、通常ゼラチンを含有する全ての菓子を意味するものと解釈されるべきである。
【0056】
それらは、とりわけ、ハードガム、ソフトガム、チューイングペースト、甘草キャンディ、ゼリー、パスティーユ、フルーツペースト、キャラメル、トフィー、フォンダン、ファッジ及びフィリング、ロゼンジ、並びにまたアイスクリーム又はペイストリーを含み、さもなければ医薬品と称される、例えば、有効成分を含有する同種の菓子のいずれかである。これらの製品は全て、煮沸糖と比較して軟らかい製品に属する。
【0057】
本発明の好ましい一実施形態では、ゲル化菓子はチューイングペーストであり、それは、チューインガムに類似したかなりの噛み応え性のために、消費者に非常に好まれている。
【0058】
本発明の目的で、「ワキシーデンプン」という表現は、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上のアミロペクチン含有量を含む全てのデンプン品種を
意味する。
【0059】
本発明の目的で、前記ワキシーデンプンは、トウモロコシ、米、ジャガイモ、及び小麦から選択される、1つ又は複数の植物品種、及びそれらの任意の混合物に由来する。本発明によれば、植物品種は野生種又は雑種であってもよく、したがって、そのゲノムを修飾するために遺伝子修飾されていてもよい。
【0060】
本発明において、「アルファ化ワキシーデンプン」及び「予備調理ワキシーデンプン」という用語は暗黙の区別なく使用され、水の存在下で加熱処理を受け、実質的にその粒状構造全体を失い、冷水に可溶性になった任意のワキシーデンプンを意味する。
【0061】
したがって、本発明の目的で、「アルファ化ワキシーデンプン」又は「予備調理デンプン」という用語は、デンプンがもはや実質的に粒状でなくなった状態、すなわち、それが、高等植物の貯蔵器官及び組織、特に穀物の種子、マメ科植物の種子、ジャガイモ又はキャッサバの塊茎、根、鱗茎、茎、及び果実に天然に存在する、その状態に特徴的な半結晶性顆粒の形態ではなくなった状態を意味することが意図される。この半結晶状態は、基本的には、デンプンの2つの主要構成物の1つであるアミロペクチンの巨大分子に起因する。
【0062】
本発明によるゲル化菓子において、ワキシーデンプンは、アルファ化ワキシーデンプンの形態で、又は天然ワキシーデンプンの形態で使用され得て、次に、ゲル化菓子を製造する工程中にアルファ化が起こる。
【0063】
実際、ワキシーデンプンのアルファ化は、ゲル化菓子の調製に先立って、アルファ化ワキシーデンプンを供給することによって、又は調製中にそのまま得られ得る。
【0064】
使用前又は菓子製造工程中にワキシーデンプンをアルファ化するかどうかの選択は、調理工程で使用される調理器の選択に基づく。
【0065】
大気圧での又は短い調理時間での調理器の使用は、アルファ化ワキシーデンプンをそのまま調製できるようにして、それは菓子に直接組まれ得る。
【0066】
しかし、いくつかの調理器(プレート熱交換器など)は高粘度で動作し得ないので、調理済みのワキシーデンプン(プレゲル)が添加される。
【0067】
したがって、調理器のタイプがそれを許すならば、満足できる食感に必要な固形分含有量までシロップを濃縮しながらデンプン粒を破壊するために、当業者は、例えば、後述されるその他の菓子成分の存在下で、デンプン粒を破壊するために、有利には、ワキシーデンプンをその天然形態で使用し、その調理を行うことを好んでもよい。
【0068】
本発明によるアルファ化ワキシーデンプンは、例えば、天然デンプンの水熱アルファ化処理、特に、蒸気調理、ジェットクッカーでの調理、ドラム上での調理、ブレンダー/押出機システム又はマイクロ波システムでの調理と、それに続く、例えば、オーブン内での、例えば流動床上の熱風による、回転ドラム上での、噴霧、押出しによる、さもなければその他の凍結乾燥による乾燥によって、入手され得る。
【0069】
このようなデンプンは、一般に、5%を超え、より一般的には10%~100%である20℃の脱塩水中の溶解度と、15%未満、一般に5%未満、通常は1%未満、又はゼロにさえ至る、デンプンの結晶化度とを有する。一例として、本出願人によってPREGEFLO(登録商標)の商標名で製造販売される製品に言及し得る。
【0070】
本発明によるゲル化菓子は、0.5%~1.5%の分枝マルトデキストリンもまた含んでなる。好ましくは、ゲル化菓子は、0.5%~1%の分枝マルトデキストリンを含んでなり、非常に特に約1%の分枝マルトデキストリンを含んでなる。全ての百分率は、菓子の総重量に対する製品の乾燥重量で表される。
【0071】
本発明の目的で、「分枝マルトデキストリン」という用語は、本出願人が保持者である欧州特許第1006128B1号明細書に記載されるものと同一の特定のマルトデキストリンを意味することが意図される。
【0072】
これらの分枝マルトデキストリンは、代謝及び腸内バランスに有益な難消化性繊維の供給源に相当するという利点を有する。
【0073】
本発明によれば、前記分枝マルトデキストリンは、以下を有していてもよい:
- 15%~50%、優先的には22%~45%、より優先的には20%~40%、なおもより優先的には25%~35%の1,6-グルコシド結合、
- 20%未満、優先的には2%~20%、より優先的には2.5%~15%、なおもより優先的には3.5%~10%の還元糖含有量、
- 5未満、優先的には1~4、より優先的には1.5~3の多分散度指数、及び
- 4500g/mol未満、優先的には400~4500g/mol、より優先的には500~3000g/mol、より優先的には700~2800g/mol、なおもより優先的には1000~2600g/molの数平均分子量Mn。
【0074】
特定の実施形態によれば、ゲル化菓子の分枝マルトデキストリンは、15%~35%の1,6-グルコシド結合、20%未満の還元糖含有量、4000~6000g/molの重量平均分子量Mw、及び250~4500g/molの数平均分子量Mnを有する。
【0075】
上述の出願に記載された特定の分枝マルトデキストリンサブファミリーもまた、本発明に従って使用され得る。これらは、例えば、還元糖含有量が最大で5に等しく、数平均分子量Mnが2000~4500g/molの高分子量分枝マルトデキストリンである。5%~20%の還元糖含有量及び2000g/mol未満の数平均分子量Mnを有する低分子量分枝マルトデキストリンもまた、使用され得る。
【0076】
本発明の特に有利な一実施形態によれば、分枝マルトデキストリンは、可溶性繊維の完全な製品群でその恩恵が認識されている、本出願人によって製造販売される、NUTRIOSE(登録商標)製品群に由来する。
【0077】
NUTRIOSE(登録商標)製品群の製品は、部分的に加水分解された小麦デンプン又はコーンスターチ誘導体であり、最大85%の繊維を含有する。この繊維の豊富さは、消化耐性を高め、カロリー制限を改善し、エネルギー放出を延長し、より低い糖含有量を得ることを可能にする。さらに、NUTRIOSE(登録商標)製品群は、市場で入手可能な最も耐容性の高い繊維の1つである。それはより高い消化耐性を示し、その他の繊維よりも優れた取り込みを可能にし、それは真の食餌上の利点に相当する。
【0078】
本発明のゲル化菓子において、NUTRIOSE(登録商標)などの分枝マルトデキストリンには多くの利点がある。
【0079】
栄養面及び生物によって非常に良く耐容される繊維の提供に加えて、この製品群からの分枝マルトデキストリンは、かなりの技術的価値もまた有する。これは、それらが長い高分子グルシド鎖からなり、したがって製菓中のテクスチャー付与剤として作用するためで
ある。
【0080】
したがって、分枝マルトデキストリンの存在は、最終製品の弾性をさらに高めることを可能にする。したがって、噛み応えの耐久性は、製品の食感を修飾するこれらの長い鎖の存在によって高められる。それらの分岐性は、逆行性を大幅に且つ有利に減少させ、特に長期貯蔵中における逆行性の不在が必要なゲル化菓子には有利である。
【0081】
また、分枝マルトデキストリンの存在は、前記菓子の非晶質部分のガラス転移温度又はTgを上昇させることを可能にする。このTgの上昇によって、菓子内部の構造を硬くすることが可能となり、その結果、良好な噛み応え強度を導入することが可能となる。
【0082】
以下に例示されるように、本出願人は、0.5%~1.5%、より好ましくは1%程度の分枝マルトデキストリンの配合度と、2%~4%のアルファ化ワキシーデンプンの配合度とが、硬度と弾性の最適なバランスを得るのに十分であることを実証した。このように、本発明によるゲル化菓子は、硬度が6~8Nの中程度硬度と7%~9%の平均弾性があり、したがって咀嚼に必要な弾性を保持しつつ、良好な硬さを示す。
【0083】
したがって、本発明によるゲル化菓子は、1~8重量比のアルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンを含んでなる。好ましくは、アルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンの重量比は2~6、より好ましくは3~5であり、非常に特に、それはおよそ4である。
【0084】
本発明の別の特に有利な特性は、使用される様々な構成物、すなわち、アルファ化ワキシーデンプン及び分枝マルトデキストリンが、ゼラチンとは異なり、組み込まれる前に水和される必要がないことである。したがって、その使用はより単純である。
【0085】
さらに、このゼラチン水和工程は、調製物に細菌が混入するかなりのリスクがあるため、菓子製造工程の重要な工程であった。確かに、ゼラチンは細菌の増殖をサポートする優れた製品である。
【0086】
したがって、本発明によるゲル化菓子は、細菌負荷がより低いため、より衛生的であることも分かっている。
【0087】
特定の一実施形態によれば、本発明によるゲル化菓子はまた、ソルビトール及びグリセロール、及びそれらの混合物から選択される、水分活性調節剤又は抑制剤もまた含んでなる。この実施形態によれば、菓子は、0.1%~15%、好ましくは1%~8%、さらに好ましくは2%~6%の水分活性調節剤又は抑制剤を含んでなり、百分率は菓子の総重量に対する乾燥重量で表される。
【0088】
水分活性又はawは、後続の生化学的反応のために食品内で利用可能な遊離水の量に相当する。これは含水量(又は水分含量)に相当するものではないが、実際にこの水の利用可能性に相当する。
【0089】
さらに、それは、とりわけ流動性、凝固性、凝集性、及び静電気など、多くの物質の物理的、機械的、化学的、微生物学的特性を直接決定する。食品の貯蔵能力、色の安定性、味の安定性、ビタミン含有量、風味、及びカビの形成と微生物の成長とに有利な条件は、aw値によって影響を受ける。したがって、調節剤、特にソルビトールを添加するという事実は、本発明のゲル化菓子のawを低下させることを可能にし、ひいては、それらが含有する水を安定化することによって、前記菓子の弾性質感と噛み応えを維持することを可能にする。
【0090】
実際、本発明のゲル化菓子は、通常ゼラチンを含有するゲル化菓子において従来測定されていたawよりも低いawを有するという、特殊性を有する。
【0091】
別の特定の実施形態によれば、ゲル化菓子はまた、グルコースシロップもまた含んでなり得る。本出願において、グルコースシロップは、20を超えるDE(デキストロース当量)を有するデンプンの加水分解産物である。「デンプンの加水分解」という用語は、マメ科植物、穀類又は塊茎植物からのデンプンの酸又は酵素による任意の加水分解過程を意味することが意図される。様々な加水分解法が知られており、Encyclopedia
of Chemical Technology by Kirk-Othmer,3rd Edition,Vol.22,1978の511頁及び512頁で一般的に説明されている。
【0092】
別の特定の実施形態によれば、ゲル化菓子はまた、1つ又は複数の甘味料もまた含んでなる。糖類又はポリオールなどの様々な甘味料が、粉末又はシロップの形態で使用され得る。
【0093】
糖類は、例えば、グルコースシロップ、グルコース・フルクトースシロップ、フルクトース・グルコースシロップ、高マルトースグルコースシロップ、ショ糖、フルクトース、マルトース、トレハロース、マンノース、デキストロース、タガトース、又はイソマルトロースなどの単糖類、二糖類、三糖類、オリゴ糖類、及び多糖類からなる群から、単独で、又は互いの混合物として選択される。
【0094】
ポリオールは、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、イジトール、マルチトールシロップ、イソモルト、ラクチトール、及び水素化グルコースシロップからなる群から、単独で、又は互いの混合物として優先的に選択される。単独で又は相乗的混合物として使用される、例えば、サッカリン、アスパルテーム、又はアセスルファムKなどの任意のタイプの強力甘味料が使用されてもよい。有利には、ソルビトールは、本発明による菓子中で甘味料として使用されない。
【0095】
甘味料は、ゲル化菓子の総重量に対して、好ましくは25~85重量%、より好ましくは40~85重量%、さらに好ましくは60~85重量%に相当する。
【0096】
別の特定の実施形態によれば、ゲル化菓子はまた、非還元糖、脂肪、乳化剤、保存料、オーバーラン剤、起泡剤、ゲル化剤、保湿剤、酸性化剤、天然又は合成香料、風味増強剤、ビタミン、医薬活性剤、カルシウム又はマグネシウムなどのミネラル、及び例えばDHAなどのその他の栄養補給剤、天然又は合成着色料、塩類、酸類、又はドライフルーツや砂糖漬け果実や乾燥又はその他の様式で変換(圧搾、濃縮、粉末化)された果実などの品質を改善させ又は組成物に風味付けすることを意図した様々な要素、及び菓子の総重量に対して一般に0~30重量%の量で前記菓子中に存在するフルーツピューレ及びフルーツパルプから選択される、1つ又は複数の化合物もまた含んでなってよい。
【0097】
本発明の第2の主題は、アルファ化ワキシーデンプンと分枝マルトデキストリンとからなるプレミックスに関し、前記プレミックスは、1~8重量比のアルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンを含んでなることを特徴とする。好ましくは、アルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンの重量比は2~6、より好ましくは3~5であり、非常に特に、それはおよそ4である。
【0098】
本発明によるプレミックスは、上述のようなゼラチン非含有ゲル化菓子の製造において非常に特殊な用途を見出す。
【0099】
本発明の第3の主題は、
- ○ 2%~4%のワキシーデンプン、
○ 0.5%~1.5%の分枝状マルトデキストリン、
○ 少なくとも1つの甘味料及び水
を含んでなる、混合物を調製するステップと、
- 所望の固形分含有量が得られるまで、100℃~150℃の温度で前記混合物を調理するステップと、
- 調理された混合物を成形し、前記ゲル化菓子を得るステップと
を含んでなる、ゼラチン非含有ゲル化菓子を調製する工程に関する。
【0100】
百分率は、最終製品の総重量に対する乾燥重量で表される。
【0101】
アルファ化ワキシーデンプン及び分枝マルトデキストリンは、上記で定義される。
【0102】
甘味料もまた上で定義されるとおりであり、最終製品の総重量に対して、好ましくは乾燥重量で25%~85%、より好ましくは40%~85%、よりなおも優先的には60%~85%に相当する。
【0103】
したがって、本発明による工程の最初のステップは、ワキシーデンプン、分枝マルトデキストリン、少なくとも1つの甘味料及び水ベースの混合物を調製することからなる。
【0104】
第1の実施形態によれば、混合物のワキシーデンプンは、天然デンプン、すなわち、未だにその粒状構造を有するワキシーデンプンである。本実施形態によれば、混合物を調理するステップで使用される調理器は、ワキシーデンプンのアルファ化が前記調理ステップの間に行われるように、当業者によって適合化される。
【0105】
第2の実施形態によれば、混合物のワキシーデンプンは、アルファ化ワキシーデンプン、すなわち、水の存在下で、その粒状構造のほとんど全てを失い、冷水に可溶性になるように加熱処理を受けたデンプンである。
【0106】
この第2の実施形態の変形例によれば、アルファ化ワキシーデンプンは、分枝マルトデキストリンとのプレミックスとして提供される。したがってプレミックスは、1~8重量比のアルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンを含んでなる。好ましくは、アルファ化ワキシーデンプン/分枝マルトデキストリンの重量比は2~6、より好ましくは3~5であり、非常に特に、それはおよそ4である。
【0107】
特定の実施形態によれば、本発明による方法は、調理された混合物を成形するステップの後に、前記ゲル化菓子を回収するステップを含んでなる。
【0108】
別の特定の実施形態によれば、調製工程はまた、アルファ化ワキシーデンプンと分枝マルトデキストリンを含んでなる混合物に、グルコースシロップを添加するステップをさらに含んでなる。
【0109】
特定の実施形態によれば、本発明による工程は、調理ステップの前に、混合物に、水分活性調節剤又は抑制剤を添加する工程をさらに含んでなってもよい。次にソルビトールが、有利には、最終製品の総重量に対して乾燥重量で2%~3%の量でレシピに組み込まれる。
【0110】
有利なことに、本発明による工程は、ゲル化菓子中のゼラチンの代わりにワキシーデン
プンを使用することによって、ゼラチンベースのゲル化菓子の製造工程に特徴的な事前水和工程を省略することを可能にする。
【0111】
本発明による調製工程は、ワキシーデンプン、分枝マルトデキストリン、少なくとも1つの甘味料、及び水を含んでなる混合物を調理するステップもまた含んでなる。
【0112】
調理ステップの長さは、当業者によって適合され、使用される機器に依存する。
【0113】
調理は、大気圧下、部分真空下又は全真空下、又は加圧下で二重ジャケット付き調理器上で行われてもよく、又は管状熱交換器、板状熱交換器、ジェットクッカーなどの高圧調理器上で連続的に行われてもよい。ジェットクッカーは、1つ又は複数の蒸気インジェクターを含んでなってもよく、それによって調理時間が変更される。製品に生蒸気を注入することで、熱と成分の迅速且つ均一な分散が提供される。管状熱交換器は、調理前に全ての成分を均一に分散させる必要があり、調理時間はより長く、調理強度はより弱い(大気圧での掻き取り表面又は調理スクリュー付き調理器)。
【0114】
本発明の特定の実施形態によれば、ワキシーデンプンを別に調理し、次にその他の成分をそれに添加すること、又はワキシーデンプンを添加する前に、例えば50%固形分溶液の形態の甘味料を予熱することを想定することは、かなり可能である。
【0115】
連続生産のためには、甘味料、アルファ化ワキシーデンプン、分枝マルトデキストリン、及び調節剤を混合タンク内に分散させ、甘味料を溶解するために、この混合物を約70~80℃に予熱し、所望の食感と調製される菓子の種類に応じて、100℃~150℃の温度で高圧調理器上で混合物を調理し、次に、脂肪、乳化剤、オーバーラン剤、香料、着色料、活性原理(principles)、及び強力甘味料を添加することが好ましい。
【0116】
特定の実施形態によれば、本発明による工程は、調理ステップの後に脂肪を添加するステップを含んでなる。
【0117】
別の特定の実施形態によれば、工程は、非還元糖、脂肪、乳化剤、保存料、オーバーラン剤、起泡剤、ゲル化剤、保湿剤、酸性化剤、天然又は合成香料、風味増強剤、ビタミン、医薬活性剤、カルシウム又はマグネシウムなどのミネラル、及び例えばDHAなどのその他の栄養補給剤、天然又は合成着色料、塩類、酸類、又はドライフルーツや砂糖漬け果実や乾燥又はその他の様式で変換(圧搾、濃縮、粉末化)された果実などの品質を改善させ又は組成物に風味付けすることを意図した様々な要素、及びフルーツピューレ及びフルーツパルプから選択される1つ又は複数の化合物を添加するステップを含んでなる。好ましくは、この工程は、乳化剤及び酸から選択される1つ又は複数の化合物を添加するステップを含んでなる。
【0118】
別の特定の実施形態によれば、調理後、脂肪、乳化剤又はオーバーラン剤、香料、着色剤、酸などが、60℃~90℃の温度で熱いシロップに添加され、次に、混合物は冷却台上に注がれて、50~60回の動きで約1分間延伸される(引き延ばしは、結晶化の開始を伴わない「ロングな」質感に使用され、又は結晶化の開始を伴う「脆い」質感に使用される)。
【0119】
引き延ばしが完了したら、得られた菓子は成形され包装される。
【0120】
この実施形態によれば、第1の代替法として、エマルションが事前に生成される場合、脂肪が最初に添加され得る。
【0121】
第2の代替法として、引き延ばしの代わりに、結晶化(脆い質感)を開始するために混練機内で激しく混合することが可能である。
【0122】
本発明は、本発明による特定の実施形態及び特定の有利な特性のみを参照して、例示的且つ非限定的であることを意図する以下の実施例を読むことにより、より明確に理解されるであろう。
【実施例】
【0123】
本発明によるゲル化菓子の調製
目的は、本発明による砂糖を含有するがゼラチンを含有しないチューイングペーストタイプのゲル化菓子を製造することである。
【0124】
この実施例では、アルファ化ワキシーデンプンと分枝マルトデキストリンの可変比率を各新規試験に組み込むことによって、チューイングペーストを製造し、このようにして得られたチューイングペーストの弾性及び硬度測定を行った。
【0125】
A-様々なゲル化菓子の配合
10回の試験に使用した配合は、以下の表1に示される。
使用したアルファ化ワキシーデンプンは、PREGEFLO(登録商標)C100である。
使用した分枝マルトデキストリンは、NUTRIOSE(登録商標)FM06である。
使用したグルコースシロップ剤は、本出願人によって販売されるC4280Sグルコースシロップである。
使用した脂肪は、コプラ24/26脂肪である。
【0126】
スクロースエステルは、スクロースのメチルエステルのエステル転移反応によって得られる、スクロースと脂肪酸のエステルであり、脂肪の非イオン性乳化剤として使用され、Stearinerie Dubois(Boulogne,France)によって販売される。
【0127】
【0128】
【0129】
B-ゲル化菓子を調製するための工程:
- 冷たい飲料水をタンクに注ぐ、
- 激しく撹拌しながら、アルファ化ワキシーデンプン及びNUTRIOSE(登録商標)を導入する、
- 分散させて塊がないことを確認した後、なおも撹拌しながらグルコースシロップを導入する、
- 次に、スクロースを添加して終了する。
- 先行する混合物を所定の温度と大気圧で調理し、90~94%固形分を含有する混合物を得る。一般に、調理温度は105℃~150℃である。先行する混合物を-0.5バールの圧力で真空下で調理することも可能である。混合物が焦げるのを防ぐために、調理ステップ中に十分混合する。
- 調理ステップの後、50~60℃で溶融した脂肪、又は溶融していない脂肪を乳化剤と共に導入する。十分に混合する。
- 塊が80℃未満に冷却したら、クエン酸を添加し、次に、フレーバーを添加する。
- チューイングペーストが50℃~60℃の温度になるまで、冷却台上に注ぐ。
- 良好な空気混入が得られるように、チューイングペーストを1分間(50~60回)引き延ばす。空気混入はまた、連続生産工程において、加圧(1~2バール)下のホイップ装置内でも得られ得る。
- 空気混入されたチューイングペーストを放置して冷却し(45℃~55℃)、食感を回復させる。
- 菓子を成形し、切断し、任意選択的にラップする。
【0130】
C-測定方法
これらの様々な試験では、硬度及び弾性の測定に関する製造業者の仕様に従って、以下の様式でインストロンテクスチュロメーターを用いて測定を行った:
【0131】
【0132】
D-結果
結果は下の表2に示される:
【0133】
【0134】
本発明によるゼラチン非含有菓子は、満足できる品質であり、6~8Nの中程度硬度値と7%~9%の平均弾性値の最適なバランスであるという事実を考慮に入れて、0.5%~1.5%、より優先的には約1%のNUTRIOSE(登録商標)の含有量に対して、2%~4%の量のアルファ化ワキシーデンプンを導入する必要があると推定される。