(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】学習装置、評価装置、評価システム、学習方法、学習プログラム、評価方法、および評価プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230824BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20230824BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230824BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06N20/00
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021035789
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513213966
【氏名又は名称】横河ソリューションサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿子木 宏明
(72)【発明者】
【氏名】後藤 宏紹
(72)【発明者】
【氏名】古川 陽太
(72)【発明者】
【氏名】魚森 良保
(72)【発明者】
【氏名】勝木 雅人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵二
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 文宏
(72)【発明者】
【氏名】田谷 英治
(72)【発明者】
【氏名】真木 智貴
(72)【発明者】
【氏名】猪股 顕文
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-333791(JP,A)
【文献】特開2020-181333(JP,A)
【文献】特開2020-098646(JP,A)
【文献】特開2020-166749(JP,A)
【文献】国際公開第2012/114481(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/033207(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06N 20/00
G06Q 50/04
G06Q 10/0633
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象とする対象工程の各生産物と、前記対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を受信する対応関係受信部と、
前記対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および前記対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、前記少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習処理部と、
前記推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を算出する算出部と、
前記下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて前記少なくとも1つの上流工程を評価する評価装置に対して、前記算出部が算出したモデル評価を送信するモデル評価送信部と
を備える学習装置。
【請求項2】
前記評価装置が、前記少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて前記対象工程を改善すべきであると判断したことに応じて送信する、改善要求メッセージを受信する改善要求受信部を更に備える請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記改善要求メッセージが受信されたことに応じて、前記対象工程における前記少なくとも1つの生産パラメータの中から、調整すべき生産パラメータを選択するパラメータ選択部を更に備える請求項2に記載の学習装置。
【請求項4】
前記パラメータ選択部により選択された生産パラメータを調整した場合における、前記対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された下流生産物の品質評価を推測する品質評価推測部を更に備える請求項3に記載の学習装置。
【請求項5】
少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、当該上流工程による各上流生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および当該上流工程の各上流生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、前記少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習装置から、前記推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を受信するモデル評価受信部と、
前記少なくとも1つの上流工程のそれぞれについての前記モデル評価に基づいて、前記少なくとも1つの上流工程を評価する工程評価部と
を備える評価装置。
【請求項6】
前記工程評価部は、前記少なくとも1つの上流工程のうち、前記推測モデルの確度が基準値よりも大きい、または複雑度が基準値よりも小さいモデル評価が与えられた上流工程を、改善すべきであると判断する請求項5に記載の評価装置。
【請求項7】
改善すべきであると判断された上流工程の改善要求メッセージを出力するメッセージ出力部を更に備える請求項6に記載の評価装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの上流工程のそれぞれの工程について、上流側の工程から供給を受けた各生産物と、下流側へと供給した当該工程の各生産物との対応付けを取得する対応付取得部と、
前記対応付取得部が取得した各対応付けを用いて、前記少なくとも1つの上流工程の各生産物と各下流生産物の品質評価との対応関係を生成する対応関係生成部と、
前記対応関係を前記学習装置へと送信する対応関係送信部と
を更に備える請求項5から7のいずれか一項に記載の評価装置。
【請求項9】
少なくとも1つの下流生産物の品質評価に基づいて、前記工程評価部による前記少なくとも1つの上流工程の評価を開始させるか否かを決定する開始決定部を更に備える請求項5から8のいずれか一項に記載の評価装置。
【請求項10】
少なくとも1つの上流工程のそれぞれを対象工程とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの学習装置と、
請求項5から9のいずれか一項に記載の評価装置と
を備える評価システム。
【請求項11】
学習装置が、対象とする対象工程の各生産物と、前記対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を受信し、
前記学習装置が、前記対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および前記対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、前記少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の
品質評価を推測する推測モデルを学習により生成し、
前記学習装置が、前記推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を算出し、
前記学習装置が、前記下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて前記少なくとも1つの上流工程を評価する評価装置に対して、算出されたモデル評価を送信する
学習方法。
【請求項12】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
対象とする対象工程の各生産物と、前記対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を受信する対応関係受信部と、
前記対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および前記対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、前記少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の
品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習処理部と、
前記推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を算出する算出部と、
前記下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて前記少なくとも1つの上流工程を評価する評価装置に対して、前記算出部が算出したモデル評価を送信するモデル評価送信部と
して機能させる学習プログラム。
【請求項13】
評価装置が、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、当該上流工程による各上流生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および当該上流工程の各上流生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、前記少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習装置から、前記推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を受信し、
評価装置が、前記少なくとも1つの上流工程のそれぞれについての前記モデル評価に基づいて、前記少なくとも1つの上流工程を評価する
評価方法。
【請求項14】
コンピュータにより実行され、前記コンピュータを、
少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、当該上流工程による各上流生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および当該上流工程の各上流生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、前記少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習装置から、前記推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を受信するモデル評価受信部と、
前記少なくとも1つの上流工程のそれぞれについての前記モデル評価に基づいて、前記少なくとも1つの上流工程を評価する工程評価部と
して機能させる評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習装置、評価装置、評価システム、学習方法、学習プログラム、評価方法、および評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「製品性能のばらつきを生じさせる阻害要因を特定し、製品性能を安定化させる製造プロセスの解析方法」が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2016-177794号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、学習装置を提供する。学習装置は、対象とする対象工程の各生産物と、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を受信する対応関係受信部を備えてよい。学習装置は、対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習処理部を備えてよい。学習装置は、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を算出する算出部を備えてよい。学習装置は、下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて少なくとも1つの上流工程を評価する評価装置に対して、算出部が算出したモデル評価を送信するモデル評価送信部を備えてよい。
【0004】
学習装置は、評価装置が、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて対象工程を改善すべきであると判断したことに応じて送信する、改善要求メッセージを受信する改善要求受信部を備えてよい。
【0005】
学習装置は、改善要求メッセージが受信されたことに応じて、対象工程における少なくとも1つの生産パラメータの中から、調整すべき生産パラメータを選択するパラメータ選択部を備えてよい。
【0006】
学習装置は、パラメータ選択部により選択された生産パラメータを調整した場合における、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された下流生産物の品質評価を推測する品質評価推測部を備えてよい。
【0007】
本発明の第2の態様においては、評価装置を提供する。評価装置は、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、当該上流工程による各上流生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および当該上流工程の各上流生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習装置から、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を受信するモデル評価受信部を備えてよい。評価装置は、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて、少なくとも1つの上流工程を評価する工程評価部を備えてよい。
【0008】
工程評価部は、少なくとも1つの上流工程のうち、推測モデルの確度が基準値よりも大きい、または複雑度が基準値よりも小さいモデル評価が与えられた上流工程を、改善すべきであると判断してよい。
【0009】
評価装置は、改善すべきであると判断された上流工程の改善要求メッセージを出力するメッセージ出力部を備えてよい。
【0010】
評価装置は、少なくとも1つの上流工程のそれぞれの工程について、上流側の工程から供給を受けた各生産物と、下流側へと供給した当該工程の各生産物との対応付けを取得する対応付取得部を備えてよい。評価装置は、対応付取得部が取得した各対応付けを用いて、少なくとも1つの上流工程の各生産物と各下流生産物の品質評価との対応関係を生成する対応関係生成部を備えてよい。評価装置は、対応関係を学習装置へと送信する対応関係送信部を備えてよい。
【0011】
評価装置は、少なくとも1つの下流生産物の品質評価に基づいて、工程評価部による少なくとも1つの上流工程の評価を開始させるか否かを決定する開始決定部を備えてよい。
【0012】
本発明の第3の態様においては、評価システムを提供する。評価システムは、少なくとも1つの上流工程のそれぞれを対象工程とする少なくとも1つの学習装置を備えてよい。評価システムは、評価装置を備えてよい。
【0013】
本発明の第4の態様においては、学習方法を提供する。学習方法は、学習装置が、対象とする対象工程の各生産物と、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を受信することを含んでよい。学習方法は、学習装置が、対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の評価を推測する推測モデルを学習により生成することを含んでよい。学習方法は、学習装置が、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を算出することを含んでよい。学習方法は、学習装置が、下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて少なくとも1つの上流工程を評価する評価装置に対して、算出されたモデル評価を送信することを含んでよい。
【0014】
本発明の第5の態様においては、コンピュータにより実行される学習プログラムを提供する。学習プログラムは、コンピュータを、対象とする対象工程の各生産物と、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を受信する対応関係受信部として機能させてよい。学習プログラムは、コンピュータを、対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習処理部として機能させてよい。学習プログラムは、コンピュータを、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を算出する算出部として機能させてよい。学習プログラムは、コンピュータを、下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて少なくとも1つの上流工程を評価する評価装置に対して、算出部が算出したモデル評価を送信するモデル評価送信部として機能させてよい。
【0015】
本発明の第6の態様においては、評価方法を提供する。評価方法は、評価装置が、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、当該上流工程による各上流生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および当該上流工程の各上流生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習装置から、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を受信することを含んでよい。評価方法は、評価装置が、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて、少なくとも1つの上流工程を評価することを含んでよい。
【0016】
本発明の第7の態様においては、コンピュータにより実行される評価プログラムを提供する。評価プログラムは、コンピュータを、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、当該上流工程による各上流生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および当該上流工程の各上流生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する学習装置から、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づくモデル評価を受信するモデル評価受信部として機能させてよい。評価プログラムは、コンピュータを、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて、少なくとも1つの上流工程を評価する工程評価部として機能させてよい。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る評価システム10を、複数のメーカー20a~lを含むサプライチェーンと共に示す。
【
図2】本実施形態に係る学習装置100の構成を示す。
【
図3】本実施形態に係る生産データ記憶部215に格納される生産データの一例を示す。
【
図4】本実施形態に係る学習装置100の動作フローを示す。
【
図5】本実施形態に係る評価装置110の構成を示す。
【
図6】本実施形態に係る評価装置110の動作フローを示す。
【
図7】各工程の生産物と最終生産物との対応関係の一例を示す。
【
図8】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
図1は、本実施形態に係る評価システム10を、複数のメーカー20a~lを含むサプライチェーンと共に示す。例えば、自動車、電化製品、産業用機器、衣服、および、食品等、実体のあるモノには生産から販売まで共通した流れ、すなわち、供給の連鎖が存在する。これをサプライチェーンという。サプライチェーンには、原材料から生産物を生産する複数の生産工程(「工程」とも示す。)が含まれる。一例として、本図に示したサプライチェーンには、原料メーカー20j~l、素材メーカー20g~i、部品メーカー20d~f、および、製品メーカー20a~c(「メーカー20」と総称する。)が含まれる。
【0021】
原料メーカー20j~lは、例えば、原油や天然ガス等を出発原料として石油製品等の原料を生産し、これを素材メーカー20g~iへ供給する。本図の例においては、原料メーカー20jは、素材メーカー20gに原料を供給し、原料メーカー20kは、素材メーカー20g~hに原料を供給し、原料メーカー20lは、素材メーカー20iに原料を供給する。
【0022】
素材メーカー20g~iは、原料メーカー20j~lの生産物である石油製品等を原料として樹脂材料等の素材を生産し、これを部品メーカー20d~fへ供給する。本図の例においては、素材メーカー20gは、部品メーカー20e~fに素材を供給し、素材メーカー20hは、部品メーカー20dに素材を供給し、素材メーカー20iは、部品メーカー20fに素材を供給する。
【0023】
部品メーカー20d~fは、素材メーカー20g~iの生産物である樹脂材等を素材として電子部品等の部品を生産し、これを製品メーカー20a~cへ供給する。本図の例においては、部品メーカー20dは、製品メーカー20aに部品を供給し、部品メーカー20eは、製品メーカー20a~bに部品を供給し、部品メーカー20fは、製品メーカー20aおよび製品メーカー20cに部品を供給する。
【0024】
製品メーカー20a~cは、部品メーカー20d~fの生産物である電子部品等の部品を組み立てて完成品を生産する。このように、サプライチェーンにおいては、上流から下流に向けて、例えば、原料メーカー20j~l、素材メーカー20g~i、部品メーカー20d~f、および、製品メーカー20a~c等の複数のメーカー20がプレイヤーとなって、供給の連鎖を実現している。
【0025】
ここで「生産工程(工程)」とは、その生産工程を担当するメーカー20が、上流側から受け取る生産物を加工してメーカー20の生産物を製造するまでの作業全体を示す。メーカー20は、例えば工場に設置された製造ラインを用いて「生産工程」に相当する製造作業を行なってよく、このような製造ライン自体が更に細分化された複数の作業工程を含んでもよい。なお、本実施形態において1つの「生産工程」は、1つのメーカー20が担当する製造作業全体を示すが、「生産工程」は、1つのメーカー20が担当する製造作業の一部分のみに対応してもよく、2以上のメーカー20が担当する一連の製造作業を含んでもよい。
【0026】
このようなサプライチェーンにおいては、一般に、下流の生産工程における生産物の品質は、上流の生産工程における生産物の品質の影響を受けうる。すなわち例えば、製品メーカー20bの生産物である完成品の品質は、供給元である部品メーカー20eの生産物である部品の品質の影響を受けうる。同様に、部品メーカー20eの生産物である部品の品質は、供給元である素材メーカー20gの生産物である素材の品質の影響を受けうる。同様に、素材メーカー20gの生産物である素材の品質は、供給元である原料メーカー20j~kの生産物である原料の品質の影響を受けうる。本実施形態においては、このような品質の連鎖が生じ得るサプライチェーンにおける生産を評価の対象としてよい。
【0027】
近年サプライチェーンは複雑化しており、本図に例示するようにある部品メーカー20eが競合関係にある製品メーカー20aおよび製品メーカー20bに部品を供給することもしばしばである。したがって、製品メーカー20aは、最終生産物となる製品の品質を向上するため、または最終製品のコストを抑えるために、例えば部品メーカー20eの部品の品質向上またはコスト削減についての詳しい技術情報を部品メーカー20eに提供すると、そのような技術情報が競合の製品メーカー20bに流出したり、そのような技術情報が競合の製品メーカー20bの製品の品質向上またはコスト削減に寄与したりする可能性がある。したがって、製品メーカー20aとしては、部品メーカー20eに提供する情報をなるべく抑えつつ、部品メーカー20eが生産する部品の品質を向上させたりコストを削減することができるのが望ましい。
【0028】
同様の関係は、サプライチェーンのより上流の、部品メーカー20d~fおよび素材メーカー20g~iの間、ならびに素材メーカー20g~iおよび原料メーカー20j~lの間にも発生する。この結果、上流のメーカー20d~lは、サプライチェーンの下流側からの少ない情報をもとに想像または仮説による工程の改善をやみくもに行なうこととなり、サプライチェーン全体で多くの無駄な工数が発生し、また改善の進捗が遅れてしまう。
【0029】
そこで、本実施形態に係る評価システム10は、各メーカー20が提供すべき情報を抑えつつ、各メーカー20における工程を改善するための評価環境を提供する。評価システム10は、サプライチェーンにおける最終工程(最下流工程)に対応付けられた1または複数の製品評価装置105a~c(「製品評価装置105」とも示す。)と、サプライチェーンにおける最終工程を除く各工程に対応付けられた1または複数の学習装置100d~l(「学習装置100」とも示す。)と、評価装置110とを備える。
【0030】
複数の製品評価装置105のそれぞれは、最終生産物(最下流生産物)を製造する最終工程に対応付けて設けられる。すなわち、本実施形態において、複数の製品評価装置105のそれぞれは、最終生産物を製造する最終工程を有する製品メーカー20のそれぞれに設けられる。
【0031】
製品評価装置105は、最終生産物毎に品質を評価する。そして、製品評価装置105は、直接の上流側からの各生産物とこれらを用いて生産された各最終生産物の品質評価との対応付けを評価装置110へと供給する。なお、本実施形態に係る評価システム10は、生産物の品質評価が得られる工程を便宜上「最終工程」とみなし、最終工程の生産物の品質評価を用いて最終工程よりも上流の各工程を評価するものであって、「最終工程」とはサプライチェーンにおける、評価システム10による生産物の品質評価および工程の評価の対象となる範囲内での最下流の工程を示すものである。したがって、製品メーカー20a~cによる最終生産物は、必ずしもユーザに譲渡されてユーザが使用できる状態の完成品でなくてもよく、評価システム10による評価を行なうサプライチェーンの範囲よりも下流(すなわちメーカー20a~cよりも下流)において、更に他の製品の部品等として用いられてもよい。
【0032】
上記の意味においては、生産物の品質評価が得られる工程は、必ずしもサプライチェーン全体における最終工程または最下流工程とはならない。したがって、評価システム10による生産物の品質評価および工程の評価の対象となる範囲内での最下流の工程であって、生産物の品質評価が得られる工程を、単に「下流工程」とも示し、「下流工程」の生産物を「下流生産物」とも示す。また、評価システム10による生産物の品質評価および工程の評価の対象となる範囲内において、「下流工程」よりも上流側の工程を「上流工程」とも示し、「上流工程」の生産物を「上流生産物」とも示す。
【0033】
ここで、「上流」とは、「直接の上流」等と示さない限りは、例えば部品メーカー20dの工程に対する素材メーカー20hの工程のような直接上流のものに限らず、部品メーカー20dの工程に対する原料メーカー20kの工程のように間に他の少なくとも1つの工程を挟んで上流に位置する工程も含むものとする。「ある工程の下流」という表現も同様に、「ある工程の直接の下流」等と示さない限りは、直接下流のものに限らず他の少なくとも1つの工程を挟んで下流に位置するものも含むものとする。
【0034】
学習装置100は、評価システム10による工程評価の対象となる少なくとも1つの上流工程のそれぞれに対応して設けられる。本実施形態においては、説明の便宜上、評価システム10は、複数のメーカー20d~lが有する複数の上流工程を工程評価の対象とする。したがって、本実施形態においては、複数の学習装置100のそれぞれが、下流工程(最終工程)よりも上流側の各工程に対応付けて設けられる。すなわち、本実施形態において、複数の学習装置100のそれぞれは、下流工程よりも上流側である上流工程を有するメーカー20d~lのそれぞれに設けられる。
【0035】
また、評価システム10は、1または複数の下流工程も工程評価の対象としてもよい。この場合、製品評価装置105は、下流工程についても工程評価の対象とするために、下流工程用の学習装置100をその一部として有してもよい。
【0036】
学習装置100は、処理の対象とする対象工程について、対象工程の直接の上流工程から供給を受けた各生産物と対象工程の各生産物との対応付けを評価装置110へ供給する。また、学習装置100は、対象工程の各生産物と各下流生産物の品質評価との対応関係を評価装置110から受け取る。学習装置100は、対象工程の各生産物の生産に用いた1または複数の生産パラメータ、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、1または複数の生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する。そして、学習装置100は、学習した推測モデルのモデル評価を算出して、評価装置110へと送信する。
【0037】
評価装置110は、複数の製品評価装置105のそれぞれおよび複数の学習装置100のそれぞれに接続される。評価装置110は、下流工程の直接の上流側の各生産物と各下流生産物の品質評価との対応付けを各製品評価装置105から受信する。また、評価装置110は、メーカー20d~lにおける各工程(最上流の工程を除く各工程)について、上流側の工程から供給を受けた生産物と対象工程の生産物との対応付けを各学習装置100から受信する。評価装置110は、これらの対応付けを用いて、各上流工程の各生産物と、各上流工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を生成する。そして、評価装置110は、各工程に対応付けられた学習装置100に対して、その工程の各生産物と各下流生産物の品質評価との対応関係を送信する。
【0038】
また、評価装置110は、工程評価の対象となる少なくとも1つの工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて工程評価の対象となる少なくとも1つの工程を評価する。そして、評価装置110は、ある工程を改善すべきであると判断したことに応じて、その工程に対応付けられた学習装置100に対して改善要求メッセージを送信する。
【0039】
以上において、最終生産物の品質は、最上流から最下流までの各工程で用いられた各生産パラメータのうち、特定の生産パラメータによる影響を大きく受ける可能性がある。ある工程のある生産パラメータが下流生産物の品質に大きな影響を及ぼす場合には、その工程に対応付けられた学習装置100は、その工程の生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する良好な推測モデルを生成することができる。これに対し、ある工程のいずれの生産パラメータも下流生産物の品質にほとんど影響を及ぼさない場合には、その工程に対応付けられた学習装置100は、その工程の生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを生成しても、その工程の生産パラメータから下流生産物の品質を説明する良好な推測モデルにはならない。
【0040】
評価システム10は、この性質を用いて、各工程に対応付けられた学習装置100が、各工程について少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを生成し、評価装置110が、良好な推測モデルを生成することができた学習装置100に対応する工程の改善を要求する。これにより、評価システム10は、下流生産物の品質に大きな影響を及ぼす生産パラメータを用いる工程に対して改善を要求することができる。
【0041】
以上に示した評価システム10によれば、各学習装置100は、対象とする対象工程について上流側から供給を受けた各生産物と対象工程の各生産物との対応付けと、生成した推測モデルのモデル評価とを評価装置110へと送信するが、対象工程において用いられた生産パラメータを評価装置110へと送信する必要がない。評価装置110は、各学習装置100において用いられた生産パラメータを受け取ることなく、各学習装置100から受信したモデル評価を用いて各工程を評価することができる。したがって、評価システム10は、各メーカー20が生産パラメータを開示することなく最終生産物の品質に影響を及ぼす対象工程の改善を図ることができる環境を提供することができる。
【0042】
図2は、本実施形態に係る学習装置100の構成を示す。学習装置100は、対応するメーカー20に設置されたPC(パーソナルコンピュータ)、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、タブレット型コンピュータまたはスマートフォン等のような携帯可能なコンピュータであってもよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。学習装置100は、このようなコンピュータ上で学習プログラムを実行することにより実現されてよい。また、学習装置100は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよい。これに代えて、学習装置100は、対象工程に関する各種処理の実行用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
【0043】
また、学習装置100は、クラウドコンピューティングシステムにより実現されてもよい。この場合においても、学習装置100は、対象工程で用いる1または複数の生産パラメータを、他の工程を担当する他のメーカー20に対して非開示としてよい。
【0044】
学習装置100は、生産管理部210と、生産データ記憶部215と、対応付送信部220と、対応関係受信部225と、学習処理部235と、推測モデル記憶部240と、算出部245と、モデル評価送信部250と、改善要求受信部255と、パラメータ選択部260と、品質評価推測部265とを備える。
【0045】
生産管理部210は、学習装置100が対象とする対象工程における生産を担当する設備30に接続され、設備30による生産物の生産を管理する。設備30は、例えば化学等の工業プラント、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、または工業製品等の製造プラント等に設けられる。例えば、設備30は分散制御システム(DCS:Distributed Control System)等の制御装置と、このような制御装置による制御を受けて生産物の生産を行なう1または複数のプロセス装置とを備えてよく、生産管理部210は、このような制御装置に接続されてよい。
【0046】
生産管理部210は、対象工程の上流側から供給を受けた、対象工程の材料または部品等となる各生産物と、下流側へと供給した当該対象工程の各生産物との対応付けを設備30から取得して、生産データ記憶部215に格納する。ここで、下流工程の学習装置100は、対象工程の上流側から供給を受けた、対象工程の材料または部品等となる各生産物と、各生産物を用いて生産した下流生産物の品質評価との対応付けを設備30から取得して、生産データ記憶部215に格納してよい。なお、生産管理部210は、設備30からこれらの対応付けを取得するのに代えて、対象工程を管理等する作業者等からの入力を受け付けることにより、これらの対応付を取得してもよい。
【0047】
また、生産管理部210は、当該対象工程による各生産物の生産についての1または複数の生産パラメータを設備30から取得する。ここで「生産物」とは、1つの部品または製品のような個々の生産物であってよく、予め定められた量(例えば1立方メートル)または予め定められた個数(例えば1ロット)のような特定の管理単位分の生産物であってもよい。本実施形態においては、説明の便宜上、「生産物」は、1ロット分の生産物を示す。
【0048】
生産データ記憶部215は、生産管理部210に接続される。生産データ記憶部215は、生産管理部210が取得した対応付けおよび1または複数の生産パラメータを格納する。
【0049】
対応付送信部220は、生産データ記憶部215に接続される。対応付送信部220は、生産データ記憶部215に格納された、学習装置100の対象工程についての対応付けを評価装置110へと送信する。
【0050】
対応関係受信部225は、対象工程の各生産物と、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された各下流生産物の品質評価との対応関係を評価装置110から受信する。なお、最終工程にも学習装置100が設けられる場合には、最終工程の学習装置100は、対応関係受信部225を有していなくてもよく、生産データ記憶部215に格納された、対象工程の材料又は部品等となる各生産物と、各下流生産物の品質評価との対応関係を生産データ記憶部215から取得してよい。
【0051】
学習処理部235は、生産データ記憶部215、および対応関係受信部225に接続される。学習処理部235は、対象工程の各生産物と各下流生産物の品質評価との対応関係を用いて、生産データ記憶部215に格納された、対象工程の各生産物の生産についての1または複数の生産パラメータと、各下流生産物の品質評価とを対応付ける。そして、学習処理部235は、対象工程の各生産物の生産についての1または複数の生産パラメータ、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、1又は複数の生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する。
【0052】
推測モデル記憶部240は、学習処理部235に接続される。推測モデル記憶部240は、学習処理部235により生成された推測モデルを格納する。
【0053】
算出部245は、推測モデル記憶部240に接続される。算出部245は、学習処理部235により生成され、推測モデル記憶部240に格納された推測モデルのモデル評価を算出する。モデル評価送信部250は、算出部245に接続される。モデル評価送信部250は、算出部245が算出したモデル評価を評価装置110に対して送信する。これを受けて、評価装置110は、生産物の品質評価を提供する下流工程よりも上流の少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価を用いて少なくとも1つの上流工程を評価する。評価装置110は、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて対象工程を改善すべきであると判断したことに応じて、その対象工程に対応する学習装置100に対して改善要求メッセージを送信する。なお、評価装置110は、少なくとも1つの下流工程も工程評価の対象である場合には、工程評価の対象である少なくとも1つの上流工程および少なくとも1つの下流工程を含む各工程についてのモデル評価を用いて各上流工程を評価し、改善対象となる工程に対応する学習装置100に対して改善要求メッセージを送信してよい。
【0054】
改善要求受信部255は、対象工程に対する改善要求メッセージを評価装置110が送信した場合に、その改善要求メッセージを受信する。パラメータ選択部260は、推測モデル記憶部240および改善要求受信部255に接続される。パラメータ選択部260は、当該学習装置100宛の改善要求メッセージが受信されたことに応じて、対象工程における1または複数の生産パラメータの中から、調整すべき生産パラメータを選択する。
【0055】
品質評価推測部265は、推測モデル記憶部240およびパラメータ選択部260に接続される。品質評価推測部265は、パラメータ選択部260により選択された生産パラメータを調整した場合における、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された下流生産物の品質評価を推測する。
【0056】
図3は、本実施形態に係る生産データ記憶部215に格納される生産データの一例を示す。生産データは、対象工程の各生産物について、対象工程の生産物の生産に使用された、直近の上流工程の生産物との対応付けと、対象工程の生産物の生産についての1または複数の生産パラメータとを含む。
【0057】
本実施形態において、生産データは、複数のエントリのそれぞれについて、対象工程の生産物(ロット)を識別する製品ロット識別情報(製品ロットID)と、対象工程に供給された直近の上流工程の1または複数の生産物のそれぞれを識別する供給元ロット識別情報(供給元ロットID)および供給元識別情報(供給元ID)と、対象工程の生産物の生産に用いた1または複数の生産パラメータとを格納する。
【0058】
本図の例は、メーカー20dに設けられる学習装置100dの生産データ記憶部215に格納される生産データを示す。本図の例において、対象工程における製品ロットIDが「D0000001」の生産物は、供給元IDが「G」である直接上流のメーカー20(例えばメーカー20g)から供給された、製品ロットIDが「G0000001」である上流生産物と、供給元IDが「H」である直接上流のメーカー20(例えばメーカー20h)から供給された、製品ロットIDが「H0000001」である上流生産物と、供給元IDが「I」である直接上流のメーカー20(例えばメーカー20i)から供給された、製品ロットIDが「I0000001」である上流生産物とを用いて、「生産パラメータ」欄に格納された生産パラメータによる生産工程によって生産される。すなわち、製品ロットIDが「D0000001」の生産物は、「G0000001」により識別されるメーカー20gからの素材と、「H0000001」により識別されるメーカー20hからの素材と、「I0000001」により識別されるメーカー20iからの素材とを用いて生産された部品である。
【0059】
対象工程における2以上の生産物が、上流工程における同じ生産物(例えば同じロットの生産物)を用いて生産されてもよく、対象工程における1つの生産物(例えば1ロットの生産物)が、上流工程における異なる生産物を用いて生産されてもよい。本図の例において、「D0000001」で示される生産物(ロット)は、一部が「G0000001」、「H0000001」、および「I0000001」で示される上流生産物(ロット)の組を用いて生産され、残りが「G0000001」、「H0000001」、および「I0000002」で示される上流生産物(ロット)の組を用いて生産される。
【0060】
図4は、本実施形態に係る学習装置100の動作フローを示す。ステップS400(S400)において、生産管理部210は、学習装置100が対象とする対象工程における各生産物の生産に応じて、対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータと、対象工程の上流側から供給を受けた、対象工程の材料または部品等となる各上流生産物と対象工程の各生産物との対応付けとを含む生産データを生産データ記憶部215に記録する。ここで、下流工程の学習装置100は、対象工程の材料または部品等となる各上流生産物と対象工程の各生産物の品質評価との対応付けを生産データ記憶部215に記録してよい。
【0061】
S410において、対応付送信部220は、生産データ記憶部215に格納された、学習装置100の対象工程についての対応付けを評価装置110へと送信する。S420において、対応関係受信部225は、対象工程の各生産物と下流工程における各下流生産物の品質評価との対応関係を評価装置110から受信する。
【0062】
S440において、学習処理部235は、対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータ、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を用いて、少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成する。ここで、生産パラメータの少なくとも一部は、原材料の配分、反応温度、反応時間、および圧力等のような、対象工程で用いるプロセス装置等の設備30に設定可能な任意の制御パラメータであってよく、例えばプラントに設置された圧力計、流量計、温度センサ等のセンサ機器によって計測された計測データであってもよい。また、生産パラメータは、制御パラメータのみに限られず、「4M」と呼ばれている生産の4要素である「原材料(Material)」、「設備(Machine)」、「メソッド(Method)」、および「人(Man)」に関する任意のパラメータであってもよい。
【0063】
学習処理部235は、対象工程から直接得られるパラメータを生産パラメータとして用いてよく、対象工程から直接得られるパラメータを加工して生産パラメータとして用いてもよい。例えば、学習処理部235は、パラメータの一般的な特徴量(例えばパラメータの変化のトレンドを示す、平均または分散等の特徴量)、対象工程に特有の特徴量(例えば工程の立ち上がり時のパラメータ変化またはパラメータの揺らぎ)、または対象工程を担当するメーカー20が定義した、対象工程の生産物の品質を左右するファクタ等を生産パラメータとして用いてもよい。
【0064】
下流生産物の品質評価は、例えば0~100点までの点数のように数値化された評価値であってよい。また、下流生産物の品質評価は、A、B、またはCのようなレーティング情報であってもよい。
【0065】
学習済みの推測モデルは、生産物の生産に用いる1または複数の生産パラメータを入力すると、このような生産パラメータを用いて生産される下流生産物の品質評価の推測値を出力する。推測モデルは、一例としてニューラルネットワーク、サポートベクタマシン(SVM)、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、またはロジスティック回帰等を含む各種の機械学習アルゴリズムを用いたものであり、与えられた入力に対して適切な出力を予測するように学習される。
【0066】
学習処理部235は、対象工程の各生産物の生産についての少なくとも1つの生産パラメータを含む学習用入力データと、および対象工程の各生産物を用いて生産された各下流生産物の品質評価を含む学習用ラベルとの組を学習データとして用いる。学習処理部235は、学習データ中の各サンプルにおける学習用入力データを推測モデルに入力した場合の推測モデルの出力である品質評価の推測値と、学習用ラベルとの誤差を低減させるように、推測モデルの学習対象パラメータを更新していく。例えば推測モデルとしてニューラルネットワークを用いる場合、学習処理部235は、各サンプルを入力したことに応じてニューラルネットワークが出力する出力値とラベルとの誤差を用いて、バックプロパゲーション等の手法により、ニューラルネットワークの各ニューロン間の重みおよび各ニューロンのバイアス等を調整する。
【0067】
ここで、下流生産物の品質は、最上流から最下流に至るまでの各工程で用いられた生産パラメータの影響を受けうる。しかし、学習処理部235は、サプライチェーンを構成する複数の工程のうち、対象工程以外に関する生産パラメータを参照せずに対象工程のみに関する少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを生成する。
【0068】
学習処理部235は、このようにして生成した推測モデルを、ミミックモデリング等の手法を用いて別の推測モデルに変換し、変換した推測モデルを以降のステップで使用してもよい。ミミックモデリングは、ある機械学習モデルを、より単純な機械学習を用いてより単純な機械学習モデルに変換する手法であり、入力データ(本実施形態における複数の生産パラメータ)が複雑である場合(数が多い場合、相互に依存関係がある場合)に効果的である。
【0069】
S450において、算出部245は、学習処理部235により生成された推測モデルのモデル評価を算出する。算出部245が算出するモデル評価は、推測モデルの確度または複雑度の少なくとも1つに基づいてよい。
【0070】
モデル評価に推測モデルの確度を用いる場合、算出部245は、学習データに対する推測モデルの正答率または出力誤差等の、推測モデルがどの程度正確に品質評価を推測することができるか、あるいはどの程度の誤差で品質評価を推測することができるかを示す、推測モデルの確度を表す指標を算出する。算出部245は、推測モデルの確度自体をモデル評価としてよく、推測モデルの確度をモデル評価の1要素としてもよい。
【0071】
算出部245は、交叉検定により推測モデルの確度を算出してもよい。すなわち、学習処理部235は、学習データの一部を用いて学習処理を行なうことにより推測モデルを生成し、算出部245は、学習データの他の一部を用いて推測モデルの確度を評価してもよい。なお、本実施形態においては、推測モデルの確度は、大きな値であるほど推測モデルの正答率が高く、または出力誤差が小さいくなる値であるものとする。これに代えて、推測モデルの確度は、小さな値であるほど推測モデルの正答率が高く、または出力誤差が小さいものとすることもできる。
【0072】
算出部245は、モデル評価に推測モデルの複雑度を用いてもよい。本願の発明者らは、各生産パラメータと最終生産物の品質との間は、比較的単純な関係で説明できるという経験則を見出している。このことは、ある生産パラメータが最終生産物の品質に影響を及ぼすとすれば、その生産パラメータとは独立な他の生産パラメータの値によらずにその生産パラメータに応じて下流生産物の品質が変化するのであって、推測モデルは、全生産パラメータのうち下流生産物の品質に影響を及ぼす生産パラメータのみから下流生産物の品質を推測するモデルに単純化できると想定されることからも分かる。
【0073】
したがって、算出部245は、推測モデルの複雑度を用いてモデル評価を算出することもできる。算出部245は、推測モデルの複雑度として、ラデマッハ複雑度、VC次元、または汎化誤差限界等の、どの程度複雑な式を用いると入力および出力の関係を説明できるかを示す指標を用いてよい。算出部245は、推測モデルの複雑度自体をモデル評価としてよく、推測モデルの複雑度をモデル評価の1要素としてもよい。なお、本実施形態においては、推測モデルの複雑度は、大きな値であるほど推測モデルがより複雑であり、モデル評価が低くなるものとする。これに代えて、推測モデルの複雑度は、小さな値であるほど推測モデルがより複雑であるものとすることもできる。
【0074】
本実施形態において、算出部245は、推測モデルの正答率が高い等により推測モデルの確度が高い場合、または、推測モデルの複雑度が低く推測モデルが単純な場合の少なくとも1つの場合にモデル評価を高くし、推測モデルの正答率が低い等により推測モデルの確度が低い場合、または、推測モデルの複雑度が高く推測モデルが複雑な場合の少なくとも1つの場合にモデル評価の値を低くする。これに代えて、算出部245は、推測モデルの確度が高い場合、または推測モデルが単純な場合に小さな値のモデル評価を生成してもよい。
【0075】
このようにして生成されたモデル評価は、学習した推測モデル自体の評価を表す指標であるが、対象工程の生産パラメータが最終生産物の品質にどの程度影響を及ぼすかを表す指標として利用することができる。S450において、モデル評価送信部250は、算出部245が算出したこのようなモデル評価を、評価装置110へと送信する。
【0076】
S460において、改善要求受信部255は、評価装置110から改善要求メッセージを受信したか否かを判定する。改善要求メッセージを受信しなかった場合、学習装置100は、処理をS400へと進めて新たに生産される生産物を加えてS400からS450の処理を行なう。改善要求メッセージを受信した場合、学習装置100は、処理をS470へと進める。
【0077】
S470において、パラメータ選択部260は、対象工程における1または複数の生産パラメータの中から、改善要求に応じて調整すべき少なくとも1つの生産パラメータを選択する。ここで、S440において生成された推測モデルから、1または複数の生産パラメータの中で品質変化の要因となる要因パラメータを直接抽出することができる場合には、パラメータ選択部260は、推測モデルから直接要因パラメータを抽出してよい。パラメータ選択部260は、例えば推測モデルがスパース学習を用いたものであって入力および出力の関係が明確である場合、推測モデルがニューラルネットワークを用いたものであり各入力層から各出力層へと至る伝搬経路に割り当てられた重みから複数の生産パラメータを品質に影響を与える順に並べることができる場合等においては、推測モデルから直接要因パラメータを抽出することができる。
【0078】
要因パラメータを直接抽出することができない場合、パラメータ選択部260は、推測モデルを用いて複数の生産パラメータがマッピングされる空間内に広範囲に分布する擬似データを発生する。ここで、パラメータ選択部260は、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)を用いて複数の生産パラメータおよび品質評価を含む擬似データを発生してもよい。次に、パラメータ選択部260は、生成された擬似データを用いてスパース学習等の要因推定が可能な機械学習モデルを学習により生成し、複数の生産パラメータの中から品質に影響を与える要因パラメータを抽出する。
【0079】
パラメータ選択部260は、品質に対する影響の大きさが予め定められた閾値を超える生産パラメータを要因パラメータとして抽出してよい。これに代えて、パラメータ選択部260は、品質に対する影響の大きさが大きい生産パラメータから順に予め定められた個数の生産パラメータを要因パラメータとして抽出してもよい。
【0080】
S480において、品質評価推測部265は、要因パラメータとして選択された生産パラメータを調整した場合に、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された下流生産物の品質評価がどう変化するかを推測する。品質評価推測部265は、1または複数の要因パラメータの散布図(1次元または複数次元)を生成し、下流生産物の良不良または下流生産物のレーティングの境界を散布図中に示してよい。
【0081】
また、品質評価推測部265は、下流生産物の品質を向上するために、要因パラメータをどれだけ変位させればよいかを決定してよい。例えば、品質評価推測部265は、要因パラメータをどのように変更すれば、その要因パラメータを用いて生産された下流生産物の品質評価が、散布図中におけるレーティングの境界を超えてよりレーティングを高めることができるかを判定してよい。また、品質評価推測部265は、推測モデル記憶部240に格納された推測モデルを用いて、要因パラメータを変化させた場合における下流生産物の品質評価を推測してもよい。
【0082】
品質評価推測部265は、上記の散布図、または品質向上のための要因パラメータの変位量の少なくとも1つを含む報告書を生成して、学習装置100のユーザに提供してよい。これにより、学習装置100は、報告書を参照したユーザからの指示を入力して、設備30に供給する要因パラメータの値を変位量分変更することができる。また、品質評価推測部265は、生産管理部210を介して設備30が用いる要因パラメータの値を上記の変位量分変更する処理を行なってもよい。
【0083】
なお、改善要求受信部255は、S460において、特定の下流生産物が改善要求の対象となった場合には、その特定の下流生産物に用いられた対象工程の生産物と、その下流生産物の品質評価とを含む改善要求メッセージを受信してもよい。この場合、パラメータ選択部260は、S480において、この特定の下流生産物の品質を向上するために、要因パラメータをどれだけ変位させればよいかを決定してもよい。
【0084】
以上に示した学習装置100によれば、対象工程について上流側から供給を受けた各生産物と対象工程の各生産物との対応付けを評価装置110へと送信することによって、各学習装置100が、対象工程の生産物と下流生産物の品質評価との対応関係を受け取ることができる。そして、各学習装置100は、対象工程の生産パラメータが下流生産物の品質にどの程度影響を及ぼすかを示す指標としてのモデル評価を他の工程に対応付けられた学習装置100とは独立して算出することができる。したがって、各学習装置100は、他の学習装置100または評価装置110に対して生産パラメータを開示することなく工程を評価可能なシステム環境を実現可能とすることができる。
【0085】
図5は、本実施形態に係る評価装置110の構成を示す。評価装置110は、PC(パーソナルコンピュータ)、ワークステーション、サーバコンピュータ、または汎用コンピュータ等のコンピュータであってよく、タブレット型コンピュータまたはスマートフォン等のような携帯可能なコンピュータであってもよく、複数のコンピュータが接続されたコンピュータシステムであってもよい。このようなコンピュータシステムもまた広義のコンピュータである。評価装置110は、このようなコンピュータ上で評価プログラムを実行することにより実現されてよい。また、評価装置110は、コンピュータ内で1または複数実行可能な仮想コンピュータ環境によって実装されてもよく、クラウドコンピューティングシステムにより実現されてもよい。これに代えて、評価装置110は、各学習装置100の対象工程の評価用に設計された専用コンピュータであってもよく、専用回路によって実現された専用ハードウェアであってもよい。
【0086】
評価装置110は、対応付取得部500と、対応関係生成部510と、対応関係データ記憶部520と、対応関係送信部530と、開始決定部550と、モデル評価受信部560と、工程評価部570と、メッセージ出力部580とを備える。対応付取得部500は、サプライチェーンに含まれる1または複数の上流工程について、直接の上流側の工程から供給を受けた各生産物と、直接の下流側へと供給した当該工程の各生産物との対応付けを、1または複数の学習装置100から受信する。また、対応付取得部500は、1または複数の下流工程について、直接の上流側の工程から供給を受けた各生産物と、各下流生産物の品質評価との対応付けを、1または複数の製品評価装置105から受信する。
【0087】
対応関係生成部510は、対応付取得部500に接続される。対応関係生成部510は、対応付取得部500が取得した各対応付けを用いて、1または複数の上流工程の各生産物と下流工程の各生産物の品質評価との対応関係を生成する。対応関係データ記憶部520は、対応関係生成部510に接続される。対応関係データ記憶部520は、対応関係生成部510により生成された対応関係のデータである対応関係データを格納する。対応関係送信部530は、対応関係データ記憶部520に接続される。対応関係送信部530は、対応関係生成部510により生成された対応関係のうち、各上流工程の生産物についての対応関係を、各上流工程に対応付けられた学習装置100へと送信する。
【0088】
開始決定部550は、対応関係データ記憶部520に接続される。開始決定部550は、少なくとも1つの下流生産物の品質評価を対応関係データ記憶部520から受取り、少なくとも1つの下流生産物の品質評価に基づいて、工程評価部570による少なくとも1つの上流工程の評価を開始させるか否かを決定する。
【0089】
モデル評価受信部560は、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについて、その工程における少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成した学習装置100から、推測モデルのモデル評価を受信する。ここで、モデル評価受信部560は、下流工程のそれぞれにも学習装置100が設けられている場合には、下流工程の学習装置100からも推測モデルのモデル評価を受信してよい。
【0090】
工程評価部570は、開始決定部550およびモデル評価受信部560に接続される。工程評価部570は、少なくとも1つの上流工程の評価を開始させる旨の指示を開始決定部550から受けたことに応じて、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に基づいて、少なくとも1つの上流工程を評価する。ここで、最下流工程の学習装置100からも推測モデルのモデル評価を受信する場合には、工程評価部570は、少なくとも1つの上流工程のそれぞれについてのモデル評価に加えて下流工程についてのモデル評価に基づいて、少なくとも1つの上流工程および下流工程を評価してよい。
【0091】
メッセージ出力部580は、工程評価部570に接続される。メッセージ出力部580は、改善すべきであると判断された上流工程または下流工程がある場合には、改善すべきであると判断された工程の改善要求メッセージを、改善すべきであると判断された工程に対応付けられた学習装置100へと送信する。
【0092】
図6は、本実施形態に係る評価装置110の動作フローを示す。S600において、対応付取得部500は、1または複数の学習装置100から、それぞれの対象工程における、上流側の工程から供給を受けた各生産物と、下流側へと供給した当該工程の各生産物との対応付けを受信する。ここで、対応付取得部500は、下流工程に対応付けられた学習装置100からは、下流工程における、上流側の工程から供給を受けた各生産物と、各下流生産物の品質評価との対応付けを受信する。
【0093】
S610において、対応関係生成部510は、対応付取得部500が取得した各対応付けを用いて、1または複数の上流工程の各生産物と下流工程の各生産物の品質評価との対応関係を生成する。対応関係生成部510による対応関係の生成方法は、
図7に関連して後述する。
【0094】
S620において、対応関係送信部530は、対応関係生成部510により生成された対応関係を、各上流工程に対応付けられた学習装置100へと送信する。ここで、対応関係送信部530は、各上流工程に対応付けられた学習装置100に対して、全対応関係のうちその上流工程の生産物を用いて生産された下流生産物に関する対応関係を抽出して送信してよい。
【0095】
S640において、開始決定部550は、工程評価を開始するか否かを決定する。本実施形態において、開始決定部550は、対応付取得部500により取得されて対応関係データ記憶部520に記憶された少なくとも1つの下流生産物の品質評価に基づいて、工程評価を開始するか否かを決定する。開始決定部550は、メーカー20a~cの下流工程毎に、直近の時刻に生産された下流生産物の品質評価、直近の予め定められた期間(1時間等)に生産された2以上の下流生産物の品質評価の平均値、直近生産された予め定められた数の下流生産物の品質評価の平均値、またはその他の下流生産物の品質評価に応じた指標値が閾値未満となったことに応じて、その下流工程に関連する工程評価を開始してもよい。
【0096】
また、開始決定部550は、直近に生産された下流生産物の不良率が閾値を超えたことに応じて、工程評価を開始してもよい。なお、評価装置110に代えて、製品評価装置105が工程評価を開始するか否かを決定してもよく、製品評価装置105が工程評価の開始の指示入力を受けてもよい。
【0097】
工程評価を開始しない場合、評価装置110は、処理をS600へと進めて新たな対応付けの取得(S600)等の情報収集を継続してよい。なお、評価装置110は、S600~S620の処理を、工程評価の開始を決定した後(すなわちS640において「Y」の場合)に行なってもよい。
【0098】
工程評価を開始する場合、モデル評価受信部560は、工程評価の対象となる少なくとも1つの上流工程および下流工程のそれぞれについて、その工程における少なくとも1つの生産パラメータから下流生産物の品質評価を推測する推測モデルを学習により生成した学習装置100から、推測モデルのモデル評価を受信する。S660において、工程評価部570は、工程評価の対象となる各工程についてのモデル評価に基づいて、工程評価の対象となる各工程を評価する。
【0099】
ここで、工程評価部570は、工程評価の対象となる少なくとも1つの上流工程および下流工程のうち、モデル評価が基準値よりも大きい工程を改善すべきであると判断する。これにより、工程評価部570は、生産パラメータが最終生産物の品質により大きく影響を及ぼす工程を改善すべき工程であると判断することができる。工程を改善すべきか否かの判断基準となる基準値は、例えば「モデル評価>1.0」の場合に改善要とするといった絶対的な値であってもよく、例えば「ある工程のモデル評価>6番目に大きいモデル評価」の場合(すなわちモデル評価が上位5番目までの場合)に改善要とするといった相対的な値であってもよい。
【0100】
推測モデルの確度に基づくモデル評価を用いる場合、工程評価部570は、推測モデルの確度が基準値よりも大きくなるようなモデル評価が与えられた上流工程または下流工程を改善すべきであると判断してよい。また、推測モデルの複雑度に基づくモデル評価を用いる場合、工程評価部570は、推測モデルの複雑度が基準値よりも小さくなるようなモデル評価が与えられた上流工程または下流工程を改善すべきであると判断してよい。
【0101】
S670において、改善すべき工程がない場合(図中「N」)、評価装置110は、処理をS600へと進めて新たな対応付けの取得(S600)等の情報収集を継続する。S670において改善すべき工程がある場合(図中「Y」)、メッセージ出力部580は、S680において、改善すべきであると判断された上流工程または下流工程の少なくとも1つの改善要求メッセージを、改善すべき工程に設けられた学習装置100へと出力する。ここで、メッセージ出力部580は、特定の下流生産物が改善要求の対象となった場合には、その特定の下流生産物に用いられた対象工程の生産物と、その下流生産物の品質評価とを含む改善要求メッセージを送信してもよい。そして、評価装置110は、処理をS600へと進める。
【0102】
以上に示した評価装置110によれば、各学習装置100から各工程について上流側から供給を受けた各生産物とその工程の各生産物との対応付けを受信して、下流工程に至るまでに1または複数の他の工程を経るような上流工程を含む各工程の生産物と下流生産物の品質評価との対応関係を生成することができる。これにより、評価装置110は、下流工程に対して直接上流の工程ではなくても、各工程の各生産物が、最終的にどのような品質評価を受けた下流生産物の生産に用いられたかを特定可能とすることができる。また、評価装置110は、各学習装置100から受信したモデル評価を用いて、各工程の生産パラメータを取得することなしに、改善すべき工程を特定することができる。
【0103】
図7は、各工程の生産物と最終生産物との対応関係の一例を示す。本図の例において、原料メーカー20jは生産物J0000001を生産する。これに応じて、学習装置100jは、
図3における「製品ロットID」欄を「J0000001」、「供給元ロットID」欄および「供給元ID」欄を空欄、「生産パラメータ」欄を生産物J0000001の生産に用いた生産パラメータの値とする生産データを生産データ記憶部215に格納する。同様に、原料メーカー20kは生産物K0000001を生産し、原料メーカー20lは生産物L0000001を生産する。
【0104】
素材メーカー20gは、生産物J0000001、K0000001、および
L0000001を原料として用いて生産物G0000001を生産する。これに応じて、学習装置100gは、
図3における「製品ロットID」欄を「G0000001」、「供給元ロットID」欄を「J0000001,K0000001,L0000001」、「供給元ID」欄を「J,K,L」、「生産パラメータ」欄を生産物G0000001の生産に用いた生産パラメータの値とする生産データを生産データ記憶部215に格納する。素材メーカー20hおよび素材メーカー20iも、各々必要な原料を用いて生産物H0000001および生産物I0000001を生産する。
【0105】
部品メーカー20dは、生産物G0000001、H0000001、およびL0000001を素材として用いて生産物D0000001を生産する。これに応じて、学習装置100dは、
図3における「製品ロットID」欄を「D0000001」、「供給元ロットID」欄を「G0000001,H0000001,I0000001」、「供給元ID」欄を「G,H,I」、「生産パラメータ」欄を生産物D0000001の生産に用いた生産パラメータの値とする生産データを生産データ記憶部215に格納する。部品メーカー20eおよび部品メーカー20fも、各々必要な原料を用いて生産物E0000001および生産物F0000001を生産する。
【0106】
製品メーカー20aは、生産物D0000001、E0000001、およびF0000001を部品として用いて生産物A0000001を生産する。これに応じて、製品評価装置105aは、
図3における「製品ロットID」欄を「A0000001」、「供給元ロットID」欄を「D0000001,E0000001,F0000001」、「供給元ID」欄を「D,E,F」、「生産パラメータ」欄を生産物A0000001の生産に用いた生産パラメータの値とする生産データを格納する。
【0107】
本図の例において、学習装置100gは、上流側からの生産物J0000001、K0000001、およびL0000001と、下流側へと供給した生産物G0000001との対応付けを評価装置110へと送信する。学習装置100dは、上流側からの生産物G0000001、H0000001、およびI0000001と、下流側へと供給した生産物D0000001との対応付けを評価装置110へと送信する。製品評価装置105aは、上流側からの生産物D0000001、E0000001、およびF0000001と、生産物A0000001の品質評価との対応付けを評価装置110へと送信する。
【0108】
学習装置100d~fおよび製品評価装置105aから各工程における生産物の対応付けを受けて、評価装置110の対応関係生成部510は、各工程の生産物と下流工程の生産物の品質評価との対応関係を生成する。本図の例において、対応関係生成部510は、学習装置100aから受け取った対応付けに生産物A0000001の生産に生産物D0000001が用いられたことが示されているので、生産物D0000001と生産物A0000001の品質評価とが対応すると判断する。
【0109】
また、対応関係生成部510は、学習装置100aから受け取った対応付けに、生産物A0000001の生産に生産物D0000001が用いられたことが示されており、学習装置100dから受け取った対応付けに、生産物D0000001の生産に生産物G0000001が用いられたことが示されているので、生産物G0000001と生産物A0000001の品質評価とが対応すると判断する。
【0110】
このように、対応関係生成部510は、最終生産物A0000001の生産に用いられた生産物D0000001等について、更にその生産物D0000001の生産に用いられたより上流の生産物G0000001等を特定し、更に上流に遡っていくことにより、各上流工程における生産物D0000001~L0000001が最終生産物A0000001の生産に用いられたものであるという対応関係を生成することができる。
【0111】
対応関係生成部510は、各工程における生産物同士の対応付けに含まれる各生産物をノードとし、生産物間の対応付けをエッジとする
図7に示したようなグラフ構造を生成してもよい。そして、対応関係生成部510は、ある上流工程の生産物Xに対応するノードから1または複数のエッジを辿って最終生産物Yに対応するノードへと至る経路が存在する場合に、生産物Xが最終生産物Yの生産に用いられたという対応関係を生成することができる。
【0112】
評価装置110は、以上に示した機能に加えて、改善要求メッセージを受けた学習装置100が少なくとも1つの要因パラメータを改善したことに伴って、下流生産物の品質評価の増加有無、または品質評価の増加量を検出する機能を備えてもよい。例えば、評価装置110は、下流生産物の品質評価の平均または歩留まり等を用いて品質評価の増加有無等を検出してよい。更に、評価装置110は、下流生産物の品質評価が改善前よりも増加したこと、または品質評価の増加量が閾値を超えたことに応じて、要因パラメータの改善に伴う下流生産物の品質向上に対するインセンティブを、例えばポイントまたは暗号資産を付与する等により、要因パラメータの改善を行なった工程を担当するメーカー20が使用するコンピュータのアカウント等に対して発行してもよい。
【0113】
また、以上に示した評価システム10は、最終生産物の品質改善のみならず、最終生産物の生産コスト削減にも利用することができる。最終生産物の生産コスト削減に利用する場合、評価装置110の工程評価部570は、モデル評価が基準値よりも小さい工程を改善すべきであると判断してよい。これにより、工程評価部570は、生産パラメータが最終生産物の品質に大きく影響を及ぼさない工程を、生産コスト低減のために変更しても問題ない工程であると判断することができる。
【0114】
これに応じて、学習装置100のパラメータ選択部260は、対象工程における1または複数の生産パラメータの中から、改善要求に応じて生産コスト低減のために変更してよい少なくとも1つの生産パラメータを選択する。パラメータ選択部260は、
図4のS470に示した動作とは逆に、1または複数の生産パラメータの中で品質に対する影響が予め定められた閾値未満の生産パラメータを変更可能な生産パラメータとして選択する。品質評価推測部265は、変更可能として選択された生産パラメータを調整した場合に、対象工程の各生産物を用いて下流工程で生産された下流生産物の品質評価がどう変化するか、および対象工程の生産物の生産コストをどの程度削減できるかを推測する。品質評価推測部265は、下流生産物の品質評価の低下量を閾値未満に抑え、かつ生産コストの削減効果が閾値を超えるように、変更可能として選択された生産パラメータを変更してよい。
【0115】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0116】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0117】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0118】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のコンピュータ等のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0119】
図8は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0120】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インターフェイス2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0121】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0122】
通信インターフェイス2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0123】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0124】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0125】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェイス2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェイス2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0126】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0127】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0128】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0129】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0130】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0131】
10 評価システム、20a~l メーカー、30 設備、100d~l 学習装置、105a~c 製品評価装置、110 評価装置、210 生産管理部、215 生産データ記憶部、220 対応付送信部、225 対応関係受信部、235 学習処理部、240 推測モデル記憶部、245 算出部、250 モデル評価送信部、255 改善要求受信部、260 パラメータ選択部、265 品質評価推測部、500 対応付取得部、510 対応関係生成部、520 対応関係データ記憶部、530 対応関係送信部、550 開始決定部、560 モデル評価受信部、570 工程評価部、580 メッセージ出力部、2200 コンピュータ、2201 DVD-ROM、2210 ホストコントローラ、2212 CPU、2214 RAM、2216 グラフィックコントローラ、2218 ディスプレイデバイス、2220 入/出力コントローラ、2222 通信インターフェイス、2224 ハードディスクドライブ、2226 DVD-ROMドライブ、2230 ROM、2240 入/出力チップ、2242 キーボード