(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】水密テスト機および検査方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/28 20060101AFI20230824BHJP
【FI】
G01M3/28 P
(21)【出願番号】P 2021170801
(22)【出願日】2021-10-19
【審査請求日】2022-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399130348
【氏名又は名称】株式会社水研
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【氏名又は名称】山村 喜信
(73)【特許権者】
【識別番号】507157676
【氏名又は名称】株式会社クボタ建設
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 浩
(72)【発明者】
【氏名】白土師 崇
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-040866(JP,A)
【文献】特開平07-190283(JP,A)
【文献】実開昭60-134139(JP,U)
【文献】実開昭61-125747(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00 - 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に内圧を加えるテスト水Wtにより前記配管の継手部53の水密性を検査する水密テスト機であって、
前記配管内に入り込みテスト水Wtの外圧を受ける筒状の本体2と、
前記本体2の軸方向Sの中間の検査領域αの両端に設けられ前記配管の内面に接してテスト水Wtを止水する一対の止水部3とを備え、前記各止水部3は、それぞれ、
前記本体2の径方向Dに延びる一対の平板状のフランジ31,32と、
前記一対のフランジ31,32の間に装着され、加圧水Wpにより径方向Dに拡径して前記配管の内面に接するゴム様の弾性を有するゴム様リング1とを備え、前記ゴム様リング1は、
前記配管の内面に接する円環部10と、
前記円環部10に連らなり、前記一対のフランジ31,32に対面し、前記フランジ31,32に沿って延びる一対の側板部11とを備え、
ここにおいて、前記側板部11は、
前記加圧水Wpによる水圧が負荷されていない無負荷において前記フランジ31,32との間に空間Δができるように湾曲し、一方、前記加圧水Wpによる水圧が負荷された加圧下において平板状に変形して前記拡径を助長する助長部13を
備え、
ここにおいて、前記各側板部11の助長部13は、前記フランジ31,32に対面する外側面F1と前記外側面F1の反対側の面である内側面F2とで定義され、
前記フランジ31,32との間に空間Δができるように前記外側面F1が湾曲し、前記無負荷において前記外側面F1は前記助長部13において全周にわたって連らなる溝状の凹溝14を形成
しており、
ここにおいて、前記側板部11の肉厚Tが前記助長部13から前記円環部10に近づくに従い大きくなるように前記内側面F2が湾曲している、水密テスト機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の管を接続してなる配管における管どうしの継手部の水密性の検査に関する。
【背景技術】
【0002】
中口径管よりなる配水管等の配管の水密テスト機、すなわち、管どうしの継手部の水密性の検査を行うための装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1記載のテスト機は、一対のチューブリングを水圧で拡径させて、検査領域を密閉して、継手部の水密性の検査を行う。検査対象となる配水管内径の大きさは、複数種ある。そこで、前記先行例はチューブリングの側面を支持する一対のフランジおよびチューブリングを交換可能とすることで、内径の大きさの変化に対応することを狙っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開 2017-49241(フロントページ)
【0005】
しかし、チューブリングに内圧を加えて拡径する場合に、ゴムの弾性のみで拡径すると、拡径できる倍率は小さい。そのため、テスト機のフランジの外径や拡径前のチューブリングの外径が大きく、したがって、テスト機が大型化し、作業性が低下する。
【0006】
また、配水管の内径に応じてテスト機を組み替えるのは面倒で、手間がかかり、作業性が悪い。
【0007】
したがって、本発明の目的の一つは、コンパクトで、かつ、配水管の内径が若干異なる場合にも対応でき、作業性に優れた水密テスト機を提供することである。
【0008】
また、本発明の別の目的は、継手部の水密性の検査において、作業性を向上させる検査方法を提供することである。
【0009】
本発明の水密テスト機は、配管に内圧を加えるテスト水Wtにより前記配管の継手部53の水密性を検査する水密テスト機であって、
前記配管内に入り込みテスト水Wtの外圧を受ける筒状の本体2と、
前記本体2の軸方向Sの中間の検査領域αの両端に設けられ前記配管の内面に接してテスト水Wtを止水する一対の止水部3とを備え、前記各止水部3は、それぞれ、
前記本体2の径方向Dに延びる一対の平板状のフランジ31,32と、
前記一対のフランジ31,32の間に装着され、加圧水Wpにより径方向Dに拡径して前記配管の内面に接するゴム様の弾性を有するゴム様リング1とを備え、前記ゴム様リング1は、
前記配管の内面に接する円環部10と、
前記円環部10に連らなり、前記一対のフランジ31,32に対面し、前記フランジ31,32に沿って延びる一対の側板部11とを備え、
ここにおいて、前記側板部11は、
前記加圧水Wpによる水圧が負荷されていない無負荷において前記フランジ31,32との間に空間Δができるように湾曲し、一方、前記加圧水Wpによる水圧が負荷された加圧下において平板状に変形して前記拡径を助長する助長部13を備える。
【0010】
この場合、ゴム様リング1が加圧水Wpにより拡径する際に、側板部の助長部13が湾曲した状態から平板状に変形して、拡径が助長される。そのため、加圧水Wpの圧力で円環部10が容易に拡径して配管の内面に接する。
【0011】
かかるテスト機は拡径前のゴム様リング1の外径が小さく、取り扱い易くなり、検査時の作業性が著しく向上する。
【0012】
第1の発明方法は、配管に内圧を加えるテスト水Wtにより前記配管の継手部53の水密性を検査する水密テスト機を用いた検査方法であって、
前記水密テスト機は、
前記配管内に入り込みテスト水Wtの外圧を受ける筒状の本体2と、
前記本体2の軸方向Sの中間の検査領域αの両端に設けられ加圧水Wpにより拡径することで前記配管の内面に接して前記テスト水Wtを止水する一対の止水部3とを備え、
前記検査方法は、
第1の配管材51の内部に前記一対の止水部3の一方が挿入された状態で前記一方の止水部3を拡径して前記水密テスト機を設置する工程と、
前記一対の止水部3が前記継手部53を股ぐような状態となるように前記第1の配管材51に第2の配管材52を接合した後に、前記一対の止水部3の他方を拡径させる工程と、
前記拡径した一対の止水部3の間の前記検査領域αにテスト水Wtを供給して、水密テストを行う工程とを備える。
【0013】
この第1の発明方法では、一対の止水部3が継手部53を股ぐような状態となるように第1の配管材51に第2の配管材52を接合し、この接合後に、一対の止水部3のうちの他方を拡径させる。そのため、長い第2の配管材52内をテスト機が走行する必要がなく、作業性が向上する。
【0014】
第2の発明方法は、配管に内圧を加えるテスト水Wtにより前記配管の継手部53の水密性を検査する水密テスト機を用いた検査方法であって、
前記水密テスト機は、
前記配管内に入り込みテスト水Wtの外圧を受ける筒状の本体2と、
前記本体2の軸方向Sの中間の検査領域αの両端に設けられ加圧水Wpにより拡径することで前記配管の内面に接して前記テスト水Wtを止水する一対の止水部3とを備え、
前記検査方法は、
第1の配管材51の内部に前記水密テスト機を挿入する工程と、
前記第1の配管材51に第2の配管材52を接合した後に、前記第1の配管材51の内部の前記水密テスト機を、前記一対の止水部3が前記継手部53を股ぐように前記テスト機を前記第2の配管材52に向って引っ張って移動する工程と、
前記移動後に一対の止水部3を拡径させる工程と、
前記拡径した一対の止水部3の間にテスト水Wtを供給して、水密テストを行う工程とを備える。
【0015】
この第2の発明方法では、予め第1の配管材51の内部に挿入したテスト機を、一対の止水部3が継手部53を股ぐようにテスト機を第2の配管材52に向って引っ張って移動する。そのため、長い第2の配管材52内をテスト機が走行する必要がなく、作業性が向上する。
【0016】
これらの発明方法において、好ましくは、前記各止水部3は、それぞれ、
前記本体2の径方向Dに延びる一対の平板状のフランジ31,32と、
前記一対のフランジ31,32の間に装着され、加圧水Wpにより径方向Dに拡径して前記配管の内面に接するゴム様の弾性を有するゴム様リング1とを備え、前記ゴム様リング1は、
前記配管の内面に接する円環部10と、
前記円環部10に連らなり、前記一対のフランジ31,32に対面し、前記フランジ31,32に沿って延びる一対の側板部11とを備え、
ここにおいて、前記側板部11は、
前記加圧水Wpによる水圧が負荷されていない無負荷において前記フランジ31,32との間に空間Δができるように湾曲し、一方、前記加圧水Wpによる水圧が負荷された加圧下において平板状に変形して前記拡径を助長する助長部13を備え、
ここにおいて、前記各止水部3が拡径する際に、前記加圧水Wpの水圧により前記助長部13が湾曲した形状から平板状に変形することにより拡径を助長する工程を更に備える。
【0017】
この場合、前述のように、拡径前のゴム様リング1の外径が小さく、更に作業性が向上する。
【0018】
テスト機において、好ましくは、前記各側板部11の助長部13は、前記フランジ31,32に対面する外側面F1と前記外側面F1の反対側の面である内側面F2とで定義され、
前記フランジ31,32との間に空間Δができるように前記外側面F1が湾曲し、前記無負荷において前記外側面F1は前記助長部13において全周にわたって連らなる溝状の凹溝14を形成している。
【0019】
このように全周にわたる溝状の凹溝14が形成されている場合、側板部11の変形が全周にわたって均等となり、円環部10が配管の内面に密着し易い。その結果、水密性が良い。
【0020】
更に好ましくは、前記側板部11の肉厚Tが前記助長部13から前記円環部10に近づくに従い大きくなるように前記内側面F2が湾曲している。
【0021】
円環部10の近傍の側板部11は拡径時にフランジ31,32から突出する。この場合において、突出した部位の側板部11の肉厚が大きいことにより、側板部11の不用意な変形を防止することができ、水密性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施例にかかるテスト機を加圧前の状態で示す縦断面図である。
【
図2】
図1のA-A,B-BおよびC-C線断面図である。
【
図3】同テスト機を加圧後の状態で示す縦断面図である。
【
図4】加圧前と加圧後のゴム様リングを示す拡大断面図である。
【
図5】第1の発明方法にかかる実施例の検査方法を示す断面図である。
【
図6】第2実施例にかかるテスト機を加圧前の状態で示す縦断面図である。
【
図7】同テスト機を加圧後の状態で示す縦断面図である。
【
図8】第2の発明方法にかかる実施例の検査方法を示す断面図である。
【
図9】第1の発明方法にかかる他の実施例の検査方法を示す断面図である。
【0023】
図面を見易くするために、
図1、
図3、
図4、
図6および
図7において、ゴム様リングにのみハッチングを施し、断面にはハッチングを施していない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または他の実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0025】
本発明は、添付の書類を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0026】
以下、本発明の実施例1が図面にしたがって説明される。
図1~
図4は実施例1を示す。
【0027】
図3において、水密テスト機は、配管に内圧を加えるテスト水Wtにより前記配管の継手部53の水密性を検査するためのものである。テスト機は、前記配管内に入り込みテスト水Wtの外圧を受ける筒状の本体2と、前記本体2の軸方向Sの中間の検査領域αの両端に設けられ前記配管の内面に接してテスト水Wtを止水する一対の止水部3とを備える。
【0028】
本例の場合、第1の配管材51の受け口部に第2の配管材52の挿し口部が挿入されて継手部53が構成されている。なお、継手部53には、図示しない水道用ゴムリングが装着され管材51,52同士の止水が図られる。
【0029】
図3の各止水部3は、前記本体2の径方向Dに延びる一対の平板状のフランジ31,32と、 前記一対のフランジ31,32の間に装着され、加圧水Wpにより径方向Dに拡径して前記配管の内面に接するゴム様の弾性を有するゴム様リング(チューブ状リング)1とを備える。各ゴム様リング1は円環状に形成され、加圧水Wpにより膨張するチューブ状のリングである。
【0030】
図4において、各ゴム様リング1は、前記配管の内面に接する円環部10と、前記円環部10に連らなり、前記一対のフランジ31,32に対面し、前記フランジ31,32に沿って延びる一対の側板部11とを備える。
【0031】
図4の前記側板部11は、
図4(a)に示すように、前記加圧水Wpによる水圧が負荷されていない無負荷において前記フランジ31,32との間に空間Δができるように湾曲し、一方、
図4(b)に示すように、前記加圧水Wpによる水圧が負荷された加圧下において平板状に変形して前記拡径を助長する助長部13を備える。
【0032】
図4(a)において前記各側板部11の助長部13は、前記フランジ31,32に対面する外側面F1と前記外側面F1の反対側の面である内側面F2とで定義される。前記助長部13は、前記フランジ31,32との間に空間Δができるように前記外側面F1が湾曲し、前記無負荷において前記外側面F1は前記助長部13において全周にわたって連らなる溝状の凹溝14を形成している。
【0033】
図4(a)の前記側板部11の肉厚Tは前記助長部13から前記円環部10に近づくに従い大きくなるように内側面F2が湾曲している。
【0034】
図3のように拡径した左右一対のゴム様リング1とゴム様リング1との間の検査領域αには、加圧状態のテスト水Wtが充填され、水密テストが可能となる。
【0035】
つぎに、本テスト機の更に詳しい構造について説明する。
【0036】
図1のゴム様リング1内には、第1の通水管W1を経て第1ノズルN1から
図3の加圧水Wpが供給される。これにより、ゴム様リング1は膨らみ、止水部3が止水機能を発揮する。
【0037】
この際、
図4(a)の湾曲した助長部13が
図4(b)のように平板状に伸びる。そのため、ゴム様リング1が容易に大きく拡径する。したがって、
図1の拡径前の止水部3がコンパクトになり、テスト機の取り扱いが容易になり作業性が向上する。
【0038】
なお、
図1に示すように、ゴム様リング1内のエアは第1開口O1から第1の通気管A1を介して系外に排気される。
【0039】
一方、
図3の検査領域αには、第2の通水管W2を経て第2ノズルN2からテスト水Wtが供給される。このテスト水Wtが継手部53から漏れないことを確認する水密(水圧)テストが実行される。
【0040】
なお、
図3の検査領域α内のエアは第2開口O2から第2の通気管A2を介して系外に排気される。
【0041】
以上の構造の更に詳細は、特開2017-49241の
図2等に開示されており、ここに、その記述の全てが組み込まれる。
【0042】
【0043】
つぎに、検査(テスト)方法の実施例1を
図5に従って説明する。
本テスト方法は
図3の配管に内圧を加えるテスト水Wtにより前記配管の継手部53の水密性を検査する水密テスト機を用いた検査方法である。
【0044】
図5(a)に示すように、第1の配管材51の内部にテスト機の一方の止水部3を挿入する。この状態から、つまり、第1の配管材51の内部に前記一対の止水部3の一方が挿入された状態で、
図5(b)のように、前記一方の止水部3のみを拡径して前記水密テスト機を設置する。
【0045】
なお、この際、通水管や通気管のジョイントJを結合する。また引抜き用のロープ6をテスト機につなぐ。
【0046】
その後、
図5(c)のように、前記継手部53を前記一対の止水部3が股ぐように、前記第1の配管材51に第2の配管材52を接合する。接合後、
図5(d)のように、前記一対の止水部3の他方を拡径させる。
ここにおいて、
図4の前記各止水部3が拡径する際に、前記加圧水Wpの水圧により前記助長部13が湾曲した形状から平板状に変形することにより拡径が助長される。
【0047】
図5(d)の前記拡径した一対の止水部3の間にテスト水Wtを供給して、水密テストを行う。
すなわち、
図3のように、継手部53を含む検査領域αは、筒状の本体2と拡径した一対のゴム様リング1により密閉される。この検査領域αには、第2の通水管W2を経て第2ノズルN2からテスト水Wtが充填され、所定の水圧が負荷される。この状態で目視等により継手部53から水漏れがないか等の漏水検査を行う。
【0048】
なお、検査後、ゴム様リング1を縮径させて、テスト機を管路から引き出し、次の継手部のテストに備える。
【0049】
図6~
図8は実施例2を示す。
図6および
図7に示すように、ローラRの数や配置は適宜に設定される。また、継手部53の形式は種々のものに対応し得る。
【0050】
図8(a)に示すように、本実施例2の方法においては、第1の配管材51の内部にテスト機の全体を挿入する。この際、第2の配管材52の接合の邪魔にならぬように、テスト機を第1の配管材51の受口部よりも奥まで挿入する。
【0051】
この挿入後、
図8(b)のように、ジョイントJを結合すると共にロープ6を継ぐ。この後、
図8(c)のように、第1の配管材51の受口部に継手部53の挿し口部を挿入して、第1の配管材51に第2の配管材52を接続する。
【0052】
前記接続後、つまり、前記第1の配管材51に第2の配管材52を接続した後に、
図8(d)のように、前記第1の配管材51の内部の前記水密テスト機を、前記一対の止水部3が前記継手部53を股ぐように前記テスト機を前記第2の配管材52に向って引っ張って移動する。
【0053】
前記移動後に一対の止水部3を拡径させる。前記拡径した一対の止水部3の間にテスト水Wtを供給して、水密テストを行う。
【0054】
なお、実施例2のその他の構成や方法は実施例1と同様であり、その説明を省略する。
【0055】
図9は実施例3を示す。
図9(a)に示すように、第1の配管材51の内部にテスト機の一方の止水部3を挿入する。なお、この際、通水管や通気管のジョイントJを結合する。また引抜き用のロープ6をテスト機につなぐ。この状態から、つまり、第1の配管材51の内部に前記一対の止水部3の一方が挿入された状態で、
図9(b)のように、前記一方の止水部3のみを拡径して前記水密テスト機を設置する。
【0056】
その後、
図9(c)のように、前記継手部53を前記一対の止水部3が股ぐように、前記第1の配管材51に第2の配管材52を接合する。接合後、
図9(d)のように、前記一対の止水部3の他方を拡径させる。
【0057】
図9(d)の前記拡径した一対の止水部3の間にテスト水Wtを供給して、水密テストを行う。
すなわち、
図3のように、継手部53を含む検査領域αは、筒状の本体2と拡径した一対のゴム様リング1により密閉される。この検査領域αには、第2の通水管W2を経て第2ノズルN2からテスト水Wtが充填され、所定の水圧が負荷される。この状態で目視等により継手部53から水漏れがないか等の漏水検査を行う。
【0058】
なお、検査後、ゴム様リング1を縮径させて、テスト機を管路から引き出し、次の継手部のテストに備える。
【0059】
ここで、
図9(a)および
図9(b)に示すように、新設の第1の配管材51の直管状の挿口側にテスト機を挿入して、固定するのが望ましい。
【0060】
この場合、テスト機のセット時や挿入時の芯出しが容易で、また、全てを吊り上げたまま作業ができるなどのメリットがある。
【0061】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、ゴム様リングの素材はゴムでもよいし、ゴム弾性を呈するものであれば熱可塑性エラストマーなどでもよい。また、対象となる配管は水道だけでなくガスなどであってもよい。
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は複数の管を接続してなる配管における管どうしの継手部の水密性の検査に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1:ゴム様リング(チューブ状リング) 10:円環部 11:側板部
13:助長部 14:凹溝
F1:外側面 F2:内側面
2:(筒状の)本体
3:止水部 31,32:フランジ
D:径方向 S:軸方向 T:肉厚
α:検査領域 Δ:空間
51:第1の配管材 52:第2の配管材 53:継手部 6:ロープ
Wt:テスト水 Wp:加圧水
W1:第1の通水管 W2:第2の通水管
A1:第1の通気管 A2:第2の通気管
N1:第1ノズル N2:第2ノズル
O1:第1開口 O2:第2開口
R:ローラ