(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20230824BHJP
F24F 11/36 20180101ALI20230824BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20230824BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
F25B49/02 520M
F25B49/02 570D
F24F11/36
F24F11/52
F25B1/00 391
(21)【出願番号】P 2022524759
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2020019945
(87)【国際公開番号】W WO2021234857
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】北川 奈津子
(72)【発明者】
【氏名】豊田 竜一
(72)【発明者】
【氏名】深川 一成
(72)【発明者】
【氏名】永原 敬也
(72)【発明者】
【氏名】河野 聡
(72)【発明者】
【氏名】井上 誠
(72)【発明者】
【氏名】コーネリス,ケビン
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/116437(WO,A1)
【文献】特許第6143977(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/199373(WO,A1)
【文献】特開2000-121211(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229921(WO,A1)
【文献】特開2017-036890(JP,A)
【文献】国際公開第2019/082242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F24F 11/36
F24F 11/52
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる冷媒回路(23)と、前記冷媒回路(23)から漏洩した冷媒を検出する漏洩センサ(27)と、を備え、
前記漏洩センサ(27)の異常の発生を認識して前記冷媒回路(23)中の所定箇所に冷媒を回収する回収モードを、運転モードとして備えている冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記冷媒回路(23)を制御する制御装置(29,39)をさらに備え、
前記制御装置(29,39)は、前記回収モードを実行する、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記漏洩センサ(27)の異常の発生を認識して前記冷媒回路(23)における冷媒の流れを停止させる停止モードを、運転モードとしてさらに備え、
前記制御装置(29,39)は、前記停止モードを実行する、請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記制御装置(29,39)が、前記回収モード及び前記停止モードの中から前記漏洩センサ(27)の異常の発生を認識した場合に実行する運転モードの選択を受け付ける、請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記冷媒回路(23)が、熱源熱交換器(31)、利用熱交換器(25)、圧縮機(30)、前記利用熱交換器(25)の液側端と前記熱源熱交換器(31)の液側端とを接続する液冷媒配管(40L)、前記利用熱交換器(25)のガス側端と前記圧縮機(30)の吸入管とを接続する第1ガス冷媒配管(40Ga)、前記熱源熱交換器(31)のガス側端と前記圧縮機(30)の吐出管とを接続する第2ガス冷媒配管(40Gb)、前記液冷媒配管(40L)に設けられた液制御弁(35)、及び、前記第1ガス冷媒配管(40Ga)に設けられたガス制御弁(38)を含み、
前記制御装置(29,39)は、前記回収モードによる運転開始の際に前記液制御弁(35)を閉じかつ前記圧縮機(30)を作動させ、前記回収モードによる運転終了の際に前記ガス制御弁(38)を閉じる、請求項2~4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記異常が、前記漏洩センサ(27)の故障又は前記漏洩センサ(27)の寿命の到達である、請求項1~5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
報知部(43,44,45)をさらに備え、
前記冷凍サイクル装置は、前記漏洩センサ(27)の通電積算時間が所定の第1閾値を超えることで前記漏洩センサ(27)の寿命を認識し、
前記報知部(43,44,45)は、前記通電積算時間が前記第1閾値を超える場合と、前記通電積算時間が前記第1閾値よりも短い所定の第2閾値を超える場合とで、互いに異なる報知を行う、請求項6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項8】
前記冷媒回路(23)によって冷媒が循環される室外機(22)と、
前記冷媒回路(23)によって冷媒が循環される第1室内機(21a)及び第2室内機(21b)と、を備え、
前記第1室内機(21a)が、第1漏洩センサ(27)と第1報知部(43,44,45)とを有し、
前記第2室内機(21b)が、第2漏洩センサ(27)と第2報知部(43,44,45)とを有し、
前記第1漏洩センサ(27)に異常が発生し、前記第2漏洩センサ(27)に異常が発生していない場合、前記第1報知部(43,44,45)と、前記第2報知部(43,44,45)とが互いに異なる報知を行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項9】
第1報知部(43,44,45)と、第2報知部(43,44,45)とは、光、音、及び表示を含む複数の手段のうち、互いに異なる手段による報知、複数の手段の互いに異なる組み合わせによる報知、又は、同一の手段の互いに異なる報知方法による報知を行う、請求項8に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項10】
前記制御装置(29,39)は、前記冷媒回路(23)を冷媒が循環している状態で前記漏洩センサ(27)の異常の発生を認識した場合に、前記冷媒の流れを継続させたまま前記回収モードを実行する、請求項2~5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室外機及び室内機と、室外機と室内機との間で冷媒を循環させる冷媒回路とを有する空気調和機が開示されている。室内機には、冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する漏洩センサが設けられている。特許文献1の空気調和装置は、漏洩センサが寿命に達する等の異常が発生すると、圧縮機を停止して冷媒の流れを止め、表示や音によってユーザに報知するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の技術では、漏洩センサに異常が生じたときに圧縮機が停止され、冷媒回路における冷媒の流れが止められるので、室内機の内部では冷媒回路に冷媒が残ったままである。そのため、漏洩センサの交換やその他のメンテナンスの作業中に冷媒配管等が損傷すると冷媒が漏洩する可能性がある。
【0005】
本開示は、漏洩センサに異常が生じた場合に冷媒回路から冷媒の漏洩を抑制することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷凍サイクル装置は、
冷媒を循環させる冷媒回路と、前記冷媒回路から漏洩した冷媒を検出する漏洩センサと、を備え、
前記漏洩センサの異常の発生を認識して前記冷媒回路中の所定箇所に冷媒を回収する回収モードを、運転モードとして備えている。
【0007】
上記構成の冷凍サイクル装置は、漏洩センサに異常が発生した場合に、冷媒回路中の所定箇所に冷媒が回収されるので、漏洩センサの交換やその他のメンテナンス等により冷媒回路から冷媒が漏洩するのを抑制することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記冷凍サイクル装置が、前記冷媒回路を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記回収モードを実行する。
【0009】
(3)好ましくは、前記冷凍サイクル装置が、前記漏洩センサの異常の発生を認識して前記冷媒回路における冷媒の流れを停止させる停止モードを、運転モードとしてさらに備え、
前記制御装置は、前記停止モードを実行する。
【0010】
(4)好ましくは、前記制御装置が、前記回収モード及び前記停止モードの中から前記漏洩センサの異常の発生を認識した場合に実行する運転モードの選択を受け付ける。
このような構成によって、冷凍サイクル装置の設置環境等に応じて、漏洩センサに異常が発生した場合に回収モードと停止モードとのどちらを実行するかを選択することができる。
【0011】
(5)好ましくは、前記冷媒回路が、熱源熱交換器、利用熱交換器、圧縮機、前記利用熱交換器の液側端と前記熱源熱交換器の液側端とを接続する液冷媒配管、前記利用熱交換器のガス側端と前記圧縮機の吸入管とを接続する第1ガス冷媒配管、前記熱源熱交換器のガス側端と前記圧縮機の吐出管とを接続する第2ガス冷媒配管、前記液冷媒配管に設けられた液制御弁、及び、前記第1ガス冷媒配管に設けられたガス制御弁を含み、
前記制御装置は、前記回収モードによる運転開始の際に前記液制御弁を閉じかつ前記圧縮機を作動させ、前記回収モードによる運転終了の際に前記ガス制御弁を閉じる。
このような構成によって、回収モードによる運転を開始する際に、制御装置が液制御弁を閉じることで、圧縮機により液制御弁とガス制御弁との間における熱源熱交換器側に冷媒を回収することができ、回収モードの運転を終了する際に、ガス制御弁を閉じることで、冷媒が利用熱交換器側に逆流するのを抑制することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記異常が、前記漏洩センサの故障又は前記漏洩センサの寿命の到達である。
【0013】
(7)好ましくは、冷凍サイクル装置が、報知部をさらに備え、
前記制御装置は、前記漏洩センサの通電積算時間が所定の第1閾値を超えることで前記漏洩センサの寿命を認識し、
前記報知部は、前記通電積算時間が前記第1閾値を超える場合と、前記通電積算時間が前記第1閾値よりも短い所定の第2閾値を超える場合とで、互いに異なる報知を行う。
ここで、通電積算時間とは、漏洩センサに通電を開始した時点から現時点までの漏洩センサに通電している時間の総計のことをいう。このような構成によって、サービスマンやユーザは、漏洩センサが寿命に達したことだけでなく寿命が近いことを報知部の報知により把握することができる。
【0014】
(8)好ましくは、前記冷凍サイクル装置が、前記冷媒回路によって冷媒が循環される室外機と、
前記冷媒回路によって冷媒が循環される第1室内機及び第2室内機と、を備え、
前記第1室内機が、第1漏洩センサと第1報知部とを有し、
前記第2室内機が、第2漏洩センサと第2報知部とを有し、
前記第1漏洩センサに異常が発生し、前記第2漏洩センサに異常が発生していない場合、前記第1報知部と、前記第2報知部とが互いに異なる報知を行う。
この構成によれば、異常が発生した第1漏洩センサを有する第1室内機の第1報知部と、第2室内機の第2報知部とが互いに異なる報知を行うことで、サービスマンやユーザは、第1報知部だけでなく第2報知部によっても第1漏洩センサに異常が発生したことを把握することができる。
【0015】
(9)好ましくは、第1報知部と、第2報知部とは、光、音、及び表示を含む複数の手段のうち、互いに異なる手段による報知、複数の手段の互いに異なる組み合わせによる報知、又は、同一の手段の互いに異なる報知方法による報知を行う。
このような構成によって、第1漏洩センサに異常が生じた場合の第1報知部と第2報知部との報知の違いをサービスマンやユーザが明確に把握することができる。
【0016】
(10)好ましくは、前記制御装置が、前記冷媒回路を冷媒が循環している状態で前記漏洩センサの異常の発生を認識した場合に、前記冷媒の流れを継続させたまま前記回収モードを実行する。
このような構成によって、漏洩センサに異常が発生した場合に、通常の運転から回収モードに迅速に移行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の一実施形態に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す概略的な構成図である。
【
図3】漏洩センサの寿命により回収モードを実行する場合の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】漏洩センサの故障により回収モードを実行する場合の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】回収モードを選択したときの報知の態様を示すテーブルである。
【
図6】停止モードを選択したときの報知の態様を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、空調管理システムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路を示す概略的な構成図である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置11は、冷媒回路23によって冷媒を循環させることにより蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う装置である。具体的に、本実施形態の冷凍サイクル装置11は、室内の空気の温度を調整する空気調和機である。空気調和機11は、室内機(利用側ユニット)21と室外機(熱源側ユニット)22とを備えている。本実施形態の空気調和機11は、室外機22に対して複数台の室内機21が並列に接続されたマルチタイプの空気調和機である。本実施形態では、冷媒として、可燃性、微燃性、及び毒性のうち少なくとも1つの性質を持つ冷媒、例えばR32冷媒が用いられる。
【0019】
冷媒回路23は、圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器(熱源熱交換器)31、室外膨張弁34、液制御弁35、液閉鎖弁36、室内膨張弁24、室内熱交換器(利用熱交換器)25、ガス閉鎖弁37、ガス制御弁38、及びこれらを接続する冷媒配管40L、40Gを備える。
【0020】
室内機21は、冷媒回路23を構成する室内膨張弁24と室内熱交換器25とを備えている。室内膨張弁24は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うことが可能な電動膨張弁により構成されている。室内熱交換器25は、クロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器とされ、室内の空気と熱交換するために用いられる。
【0021】
室内機21は、さらに室内ファン26と漏洩センサ27とを備えている。室内ファン26は、室内の空気を室内機21の内部に取り込み、取り込んだ空気と室内熱交換器25との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室内に吹き出すように構成されている。室内ファン26は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。
【0022】
漏洩センサ27は、冷媒回路23から漏洩した冷媒を検出する。漏洩センサ27は、室内機21の内部における冷媒配管の近傍に設けられている。ただし、漏洩センサ27は、後述するリモコン42や、室内の天井、壁、床等に設けられていてもよい。
【0023】
室外機22は、冷媒回路23を構成する圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器31、室外膨張弁34、液制御弁35、液閉鎖弁36、ガス閉鎖弁37、及びガス制御弁38を備えている。
圧縮機30は、低圧のガス冷媒を吸引し高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機30は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。圧縮機30は、モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。ただし、圧縮機30は一定容量型であってもよい。また、圧縮機30は複数台設けられていてもよい。この場合、容量可変型の圧縮機と一定容量形の圧縮機とが混在していてもよい。
【0024】
四路切換弁32は、冷媒配管における冷媒の流れを反転させ、圧縮機30から吐出される冷媒を室外熱交換器31と室内熱交換器25との一方に切り換えて供給する。これにより、空気調和機11は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる。
【0025】
室外熱交換器31は、例えばクロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するために用いられる。
室外膨張弁34は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うことが可能な電動膨張弁により構成されている。
【0026】
液閉鎖弁36は、手動の開閉弁である。ガス閉鎖弁37も手動の開閉弁である。液閉鎖弁36及びガス閉鎖弁37は、閉じることによって冷媒配管40L,40Gにおける冷媒の流れを遮蔽し、開くことによって、冷媒配管40L,40Gにおける冷媒の流れを許容する。
【0027】
液制御弁35は、液冷媒配管40Lにおける冷媒の流れを許容する形態と遮蔽する形態とに切り換える。ガス制御弁38は、ガス冷媒配管40Gにおける冷媒の流れを許容する形態と遮蔽する形態とに切り換える。本実施形態では、液制御弁35及びガス制御弁38として、室外膨張弁34及び室内膨張弁24と同様に、電動膨張弁が用いられている。
【0028】
冷媒配管は、液冷媒配管40Lと、ガス冷媒配管40Gとを備えている。液冷媒配管40Lは、室内熱交換器25の液側の冷媒出入口(以下、「液側端」ともいう)と、室外熱交換器31の液側端との間に設けられている。ガス冷媒配管40Gは、室内熱交換器25のガス側の冷媒出入口(以下、「ガス側端」ともいう)と、室外熱交換器31のガス側端との間に設けられている。液冷媒配管40Lには、室外膨張弁34、ガス制御弁38、ガス閉鎖弁37、室内膨張弁24が設けられている。ガス冷媒配管40Gには、圧縮機30、四路切換弁32、ガス制御弁38、ガス閉鎖弁37が設けられている。なお、ガス冷媒配管40Gは、後述する冷房運転の際に圧縮機30の吸引側となる部分を第1ガス冷媒配管40Gaといい、圧縮機30の吐出側となる部分を第2ガス冷媒配管40Gbという。
【0029】
室外機22は、さらに室外ファン33を備えている。室外ファン33は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。室外ファン33は、屋外の空気を室外機22の内部に取り込み、取り込んだ空気と室外熱交換器31との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室外機22の外部に吹き出すように構成されている。
【0030】
上記構成の空気調和機11が冷房運転を行う場合に、四路切換弁32が
図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機30から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁32を経て室外熱交換器31に流入し、室外ファン33の作動により室外空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は、全開状態の室外膨張弁34及び液制御弁35を通過して各室内機21に流入する。室内機21において、冷媒は、室内膨張弁24で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器25で室内空気と熱交換して蒸発する。冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、室内ファン26によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。室内熱交換器25で蒸発した冷媒は、ガス冷媒配管40Gを通って室外機22に戻り、四路切換弁32を経て圧縮機30に吸い込まれる。
【0031】
空気調和機11が暖房運転を行う場合、四路切換弁32が
図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機30から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁32を経て全開状態のガス制御弁38を通過し、各室内機21の室内熱交換器25に流入する。室内熱交換器25において、冷媒は室内空気と熱交換して放熱する。冷媒の放熱によって加熱された室内空気は、室内ファン26によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器25において液化した冷媒は、液冷媒配管40Lを通って室外機22に戻り、室外膨張弁34で所定の低圧に減圧され、さらに室外熱交換器31で室外空気と熱交換して蒸発する。そして、室外熱交換器31で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁32を経て圧縮機30に吸い込まれる。
【0032】
図2は、冷凍サイクル装置の構成を示すブロック図である。なお、
図2においては、2台の室内機21a,21bが示されており、これらを第1室内機21a及び第2室内機21bということがある。
【0033】
室内機21は、上記構成のほか、室内制御部29とリモートコントローラ42(以下、単に「リモコン」ともいう)とを備えている。
室内制御部29は、CPU及びメモリを有するマイクロコンピュータ等により構成されている。室内制御部29は、前述した室内ファン26及び室内膨張弁24の動作を制御する。また、室内制御部29は、漏洩センサ27から送信された信号を受信する。漏洩センサ27は、冷媒回路23からの冷媒の漏洩の有無を示す検出信号、及び、自らが故障したことを示す信号を室内制御部29に送信する。
【0034】
リモコン42は、室内制御部29に通信可能に接続されている。ユーザは、リモコン42に対して空気調和機11のオンオフの操作、設定温度の入力の操作等を行うことができる。実施形態のリモコン42は、表示パネル(表示部)43とライト(発光部)44とブザー(発音部)45とを有している。これらは、後述するように漏洩センサ27が故障したとき又は寿命に達したときに、その旨をユーザやサービスマンに知らせる「報知部」を構成している。
【0035】
室外機22は、上記構成のほか、室外制御部39を備えている。
室外制御部39は、CPU及びメモリを有するマイクロコンピュータ等により構成されている。室外制御部39は、圧縮機30、室外ファン33、室外膨張弁34、液制御弁35、及びガス制御弁38の動作を制御する。室外制御部39は、複数の室内制御部29と通信可能に接続されている。
【0036】
[空気調和機の運転モード]
本実施形態の空気調和機11は、漏洩センサ27の異常の発生を認識したときに実行する運転モードを有している。具体的に、空気調和機11は、漏洩センサ27の異常の発生を認識したときに空気調和機11の運転を停止させる「停止モード」と、冷媒回路23の所定箇所に冷媒を回収する「回収モード(ポンプダウンモード)」とを運転モードとして有している。空気調和機11の制御装置である室外制御部39及び室内制御部29は、停止モード又は回収モードを実行する。
【0037】
停止モードと回収モードとは、ユーザの希望や設置環境等に応じて選択される。具体的には、空気調和機11の室外制御部39は、運転モードの選択を受け付けるためのディップスイッチ等からなる選択受付部を有している。サービスマン等は、空気調和機11を設置したときに選択受付部によっていずれかの運転モードを選択することができる。
【0038】
本実施形態の空気調和機11は、漏洩センサ27の異常として、漏洩センサ27が故障したことを認識する。漏洩センサ27は、室内制御部29に対して次の(a)~(c)で示す信号を送信する。
(a)漏洩センサ27が冷媒の漏洩を検出していないことを示す信号
(b)漏洩センサ27が冷媒の漏洩を検出したことを示す信号
(c)漏洩センサ27の故障を示す信号
【0039】
室内制御部29は、上記(a)、(b)の信号を受信したときは、漏洩センサ27が正常に機能していると認識する。室内制御部29は、上記(c)の信号を受信したとき、漏洩センサ27が故障していると認識する。また、室内制御部29は、上記(a)~(c)のいずれにも該当しない不明な信号を受信したとき、及び、漏洩センサ27からの信号が途絶えたときにも、漏洩センサ27が故障していると認識する。
【0040】
本実施形態の空気調和機11は、漏洩センサ27の異常として、以上のような故障の他、漏洩センサ27が寿命に達したことを認識する。漏洩センサ27には、その製品ごとに耐用年数である寿命が設定されている。例えば、漏洩センサ27は、通電によって劣化が進むため、通電積算時間により寿命が設定されている。室内制御部29は、漏洩センサ27に通電を開始した時点からの通電積算時間をカウントしている。そして、通電積算時間が所定の第1閾値を超えたときに、室内制御部29は、漏洩センサ27が寿命に到達したと認識する。また、室内制御部29は、通電積算時間が第1閾値よりも小さい所定の第2閾値を超えたときに、漏洩センサ27の寿命が近いことを認識する。第1閾値は、例えば5年とすることができ、第2閾値は、例えば4.5年とすることができる。だだし、第1閾値及び第2閾値の値は限定されるものではなく、使用する漏洩センサ27に応じて適宜設定される。
【0041】
[回収モードの処理]
(漏洩センサの寿命による回収モード)
以下、制御装置29,39による回収モードの処理手順について説明する。
図3は、漏洩センサの寿命により回収モードを実行する場合の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図3では、空気調和機11を構成する2台の室内機21(第1室内機21a及び第2室内機21b)に注目し、一方の第1室内機21aにおける漏洩センサ(第1漏洩センサ)27が寿命に到達し、他方の第2室内機21bの漏洩センサ27(第2漏洩センサ)27が寿命に到達していない例を示している。
【0042】
第1室内機21a及び第2室内機21bの室内制御部29は、それぞれ漏洩センサ27の通電積算時間T1,T2をカウントしている(ステップS21、S31)。第1室内機21aにおける漏洩センサ27の通電積算時間T1が、第2閾値Tth2を超えると、室内制御部29は、その情報を室外機22の室外制御部39へ送信する(ステップS22)。室外制御部39は、室内制御部29から受信した情報に基づいて、第1室内機21aの室内制御部29に対して寿命予告報知を行う旨の指示を送信する(ステップS11)。
【0043】
第1室内機21aの室内制御部29は、室外制御部39の指示に基づき、リモコン42における表示パネル43、ライト44、ブザー45の少なくとも一つを用いて漏洩センサ27の寿命が近いことを報知する(ステップS23)。ユーザやサービスマン等は、リモコン42における報知に基づき、第1室内機21aの漏洩センサ27の寿命が近づいていることを把握することができ、前もって当該漏洩センサ27の交換の準備等を行うことができる。具体的な報知の態様については後述する。
【0044】
次いで、第1室内機21aにおける漏洩センサ27の通電積算時間T1が、第1閾値Tth1を超えると、室内制御部29は、その情報を室外制御部39へ送信する(ステップS24)。室外制御部39は、室内制御部29から受信した情報に基づいて、第1室内機21a及び第2室内機21bの各室内制御部29に対して寿命報知を行う旨の指示を送信する(ステップS12)。
【0045】
室外制御部39から指示を受けた第1室内機21a及び第2室内機21bの室内制御部29は、それぞれリモコン42における表示パネル43、ライト44、ブザー45の少なくとも一つを用いて第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に到達したことを報知する(ステップS25,S32)。
【0046】
なお、第1室内機21aの室内制御部29は、室外制御部39からの指示(ステップS11,S12)ではなく、漏洩センサ27の通電積算時間T1が第2閾値Tth2又は第1閾値Tth1を超えたことをもって報知を実行してもよい。
【0047】
次いで、室外制御部39は、第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に到達したことを認識すると、回収モードを実行する。具体的に、室外制御部39は、空気調和機11が冷房運転中又は暖房運転中である場合には、一旦、圧縮機30を停止させる(ステップS14)。そして、四路切換弁32を冷房運転と同様の形態に切り換え、液制御弁35を閉鎖した後、圧縮機30を作動させる(ステップS15,S16)。また、室外制御部39は、各室内制御部29に対して、室内ファン26を作動させる指示を送信し、各室内制御部29は、室内ファン26が停止している場合には室内ファン26を作動させ、室内ファン26が作動している場合にはそのまま継続させる(ステップS26,S33)。
【0048】
以上の動作により、冷媒回路23中の冷媒は、液制御弁35とガス制御弁38との間における室外熱交換器31側に回収される。主に冷媒は、室外熱交換器31の内部に回収される。冷媒が室外熱交換器31側に回収されると、室外制御部39はガス制御弁38を閉じるとともに圧縮機30を停止し(ステップS17)、回収モード終了の通知を室内制御部29に送信する(ステップS18)。各室内熱交換器25は、回収モード終了の通知に基づいて室内ファン26を停止する。以上により、回収モードに係る全ての処理が終了する。
【0049】
以上のように、本実施形態の空気調和機11は、漏洩センサ27の寿命の到達に伴って冷媒の回収を行うので、その後の漏洩センサ27の交換作業やその他のメンテナンス作業によって冷媒配管40L,40Gが損傷したとしても冷媒が漏洩してしまうのを抑制することができる。
【0050】
漏洩センサ27が寿命に到達してしまうと、仮に冷媒が漏洩していても正確に検出できない可能性があるため、回収モードの実行中は各室内機21において室内ファン26を作動させ、漏洩した冷媒を拡散させることによって室内での滞留を抑制している。ただし、回収モードの実行中、必ずしも室内ファン26を作動させなくてもよい。
【0051】
回収モードにおいて、冷媒回路23中の冷媒を回収する箇所は、室外熱交換器31に代えて又は加えて、冷媒回路23に設けられたアキュムレータやレシーバ(いずれも図示省略)であってもよい。
【0052】
上記の処理手順では、回収モードを開始するときに圧縮機30を一旦停止させていたが、冷房運転又は暖房運転によって圧縮機30が作動しているときは、圧縮機30を停止させることなく回収モードに移行してもよい。この場合、通常の運転から回収モードによる運転に迅速に移行することができる。
【0053】
以上の説明では、第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に到達した場合について説明したが、第2室内機21bの漏洩センサ(第2漏洩センサ)27が寿命に到達した場合も同様の処理が行われる。
【0054】
空気調和機11が3台以上の室内機21を備えている場合、漏洩センサ27が寿命に到達した室内機21においては、上記の第1室内機21aの処理が行われ、漏洩センサ27が寿命に達していない室内機21においては、上記の第2室内機21bの処理が行われる。
【0055】
(漏洩センサの故障による回収モード)
図4は、漏洩センサの故障により回収モードを実行する場合の制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
第1室内機21a及び第2室内機21bの室内制御部29は、前述したように漏洩センサ27から冷媒の漏洩の有無についての信号を受信する。第1室内機21aにおける室内制御部29は、漏洩センサ27の故障を認識すると、その情報を室外制御部39に送信する(ステップS51)。
【0056】
室外制御部39は、室内制御部29から受信した情報に基づいて、第1室内機21a及び第2室内機21bの室内制御部29に対して故障の報知を行う旨の指示を送信する(ステップS41)。第1室内機21a及び第2室内機21bの室内制御部29は、室外制御部39からの指示に基づき、リモコン42における表示パネル43、ライト44、ブザー45の少なくとも一つを用いて第1室内機21aの漏洩センサ27が故障したことを報知する(ステップS53、S62)。ユーザやサービスマン等は、リモコン42における報知に基づき、漏洩センサ27が故障したことを把握することができる。
【0057】
次いで、室外制御部39は、漏洩センサ27が故障したことを認識すると回収モードを実行する。この回収モードにおける室外制御部39の処理(S42~S47)及び室内制御部29の処理(S53~S54,S62~S63)は、漏洩センサ27の寿命による回収モードの処理と同じである。
【0058】
[停止モードの処理]
前述したように、本実施形態の空気調和機11は、漏洩センサ27に異常が発生したときの運転モードとして、回収モードと停止モードとを有しており、この2つのモードのいずれかを選択できるようになっている。そして、停止モードが選択された場合、
図3及び
図4における回収モードの実行(ステップS13,S42)に代えて停止モードが実行され、制御装置29,39が圧縮機30、室外ファン33、及び室内ファン26等を停止させて、液制御弁35とガス制御弁38とを閉じる。
【0059】
[異常報知の態様]
図5は、回収モードを選択したときの報知の態様を示すテーブルである。前述したように、第1室内機21a及び第2室内機21bのリモコン42では、漏洩センサ27が故障したとき、寿命に達したとき、及び寿命が近づいたときに、これらの異常を示す報知が行われる。
図5には、各ケースに応じた報知の具体的な態様が示されている。
【0060】
第1室内機21aの漏洩センサ27が故障し、第2室内機21bの漏洩センサ27が故障していない場合、第1室内機21aの表示パネル43には、漏洩センサ27の故障を示す異常表示Aが行われ、同時にライト44が発光し、ブザー45が鳴る。このとき、第2室内機21bの表示パネル43には、他の室内機(第1室内機)21aの漏洩センサ27の異常を示す異常表示Cがなされ、ライト44及びブザー45は作動しない。
【0061】
このように第1室内機21aと第2室内機21bとにおいて互いに異なる報知が行われることで、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知によって第1室内機21aにおいて漏洩センサ27に故障が発生していることを認識することができ、第2室内機21bの報知によって、第2室内機21bに接続された、第2室内機21b以外の他の室内機に異常が発生していることを認識することができる。室内機が2台である場合には、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知だけでなく第2室内機21bの報知によっても、第1室内機21aに異常が発生していることを認識することができる。
【0062】
第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に到達し、第2室内機21bの漏洩センサ27が寿命に到達していないとき、第1室内機21aの表示パネル43には、漏洩センサ27の寿命到達を示す異常表示Bが行われ、同時にライト44が発光し、ブザー45が鳴る。第2室内機21bの表示パネル43には、他の室内機(第1室内機)21aの漏洩センサ27の異常を示す異常表示Cがなされ、ライト44及びブザー45は作動しない。
【0063】
このように第1室内機21aと第2室内機21bとにおいて互いに異なる報知が行われることで、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知によって第1室内機21aにおいて漏洩センサ27が寿命に達していることを認識することができ、第2室内機21bの報知によって、第2室内機21bに接続された、第2室内機21b以外の他の室内機に異常が発生していることを認識することができる。室内機が2台である場合には、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知だけでなく第2室内機21bの報知によっても、第1室内機21aに異常が発生していることを認識することができる。
【0064】
以上のように、漏洩センサ27に異常が発生すると、回収モードが実行されて空気調和機11による冷房運転及び暖房運転が不可能となり、空気調和機11の運転が実質的に禁止される。そのため、ユーザ等は、空気調和機11の運転が禁止されたことを第1室内機21aによる報知だけでなく第2室内機21bによる報知によっても把握することができる。
【0065】
第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に近づき、第2室内機21bの漏洩センサ27が寿命に近づいていないとき、第1室内機21aの表示パネル43には、漏洩センサ27の寿命予告を示すメンテナンス表示が行われ、ライト44及びブザー45は作動しない。第2室内機21bの表示パネル43には、異常に関する表示なされず、ライト44及びブザー45も作動しない。
【0066】
このように寿命に近づいた漏洩センサ27を有する第1室内機21aのみによって報知が行われることで、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に近づいたことを容易に把握することができる。
【0067】
図6は、停止モードを選択したときの報知の態様を示すテーブルである。
第1室内機21aの漏洩センサ27が故障し、第2室内機21bの漏洩センサ27が故障していない場合、第1室内機21aの表示パネル43には、漏洩センサ27の故障を示す異常表示Aが行われ、同時にライト44が発光し、ブザー45が鳴る。このとき、第2室内機21bの表示パネル43には、異常を示すための表示は行われず、ライト44及びブザー45も作動しない。ただし、ユーザ等がリモコン42を操作すると表示パネル43にはエラー表示がなされる。ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知によって第1室内機21aの漏洩センサ27が故障していることを認識することができる。また、ユーザやサービスマンは、リモコン42を操作した際の第2室内機21bの報知(エラー表示)によって、第2室内機21bに接続された、第2室内機21b以外の他の室内機の漏洩センサ27に異常が発生していることを認識することができる。室内機が2台である場合には、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知だけでなく第2室内機21bの報知によっても、第1室内機21aに異常が発生していることを認識することができる。
【0068】
第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に達し、第2室内機21bの漏洩センサ27が寿命に達していない場合、第1室内機21aの表示パネル43には、漏洩センサ27の寿命到達を示す異常表示Bが行われ、同時にライト44が発光し、ブザー45が鳴る。このとき、第2室内機21bの表示パネル43には、異常を示すための表示は行われず、ライト44及びブザー45も作動しない。ただし、ユーザ等がリモコン42を操作するとエラー表示がなされる。ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知によって第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に達していることを認識することができる。また、ユーザやサービスマンは、リモコン42を操作した際の第2室内機21bの報知(エラー表示)によって、第2室内機21bに接続された、第2室内機21b以外の他の室内機の漏洩センサ27に異常が発生していることを認識することができる。室内機が2台である場合には、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの報知だけでなく第2室内機21bの報知によっても、第1室内機21aに異常が発生していることを認識することができる。
【0069】
以上のように、停止モードにおいては、第1室内機21aの漏洩センサ27に異常が生じると、第2室内機21bのリモコン42をユーザ等が操作したときにはじめて当該リモコン42にエラー表示がなされる。そのため、空気調和機11を運転させようとするユーザのみに異常の発生が報知され、他のユーザには異常の発生が報知されない。これにより、当該他のユーザには不必要な報知が行われず、当該他のユーザに不安感を与える可能性を低くすることができる。
【0070】
第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に近づき、第2室内機21bの漏洩センサ27が寿命に近づいていないとき、第1室内機21aの表示パネル43には、漏洩センサ27の寿命予告を示すメンテナンス表示が行われ、ライト44及びブザー45は作動しない。第2室内機21bの表示パネル43には、異常に関する表示なされず、ライト44及びブザー45も作動しない。
【0071】
このように寿命に近づいた漏洩センサ27を有する第1室内機21aのみによって報知が行われることで、ユーザやサービスマンは、第1室内機21aの漏洩センサ27が寿命に近づいたことを容易に把握することができる。
【0072】
リモコン42の表示パネル43に行われる異常表示A,B,Cは、異常を示すコードであってもよいし異常の内容そのものであってもよい。表示パネル43に行われるメンテナンス表示やエラー表示についても、コードの表示又は内容そのものの表示であってもよい。
【0073】
漏洩センサ27に異常が生じたときの報知部43,44,45の報知態様は、種々変更することができる。例えば、漏洩センサ27に異常が発生した第1室内機21aと、異常が発生していない第2室内機21bとは、表示パネル43、ライト44、ブザー45のうち同じ手段を用いて異なる方法で報知を行ってもよい。例えば、第1室内機21aと第2室内機21bの双方でライト44を用いて報知する場合、一方のライト44を点滅させ、他方のライト44を点灯させることができる。また、漏洩センサ27に異常が発生した第1室内機21aと、異常が発生していない第2室内機21bとは、表示パネル43、ライト44、ブザー45のうち異なる手段を用いて報知を行ってもよい。例えば、第1室内機21aではライト44を点灯させ、第2室内機21bではブザー45を作動させてもよい。
【0074】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の冷凍サイクル装置11は、冷媒を循環させる冷媒回路23と、冷媒回路23から漏洩した冷媒を検出する漏洩センサ27とを備え、漏洩センサ27の異常の発生を認識して冷媒回路23中の所定箇所に冷媒を回収する回収モードを、運転モードとして備えている。そのため、漏洩センサ27の交換やその他のメンテナンス等により冷媒回路23から冷媒が漏洩するのを抑制することができる。
【0075】
(2)上記実施形態の冷凍サイクル装置11は、冷媒回路23を制御する制御装置(室内制御部29及び室外制御部39)をさらに備える。制御装置29,39は、回収モードを実行する。冷凍サイクル装置11は、漏洩センサ27の異常の発生を認識して冷媒回路23における冷媒の流れを停止させる停止モードを、運転モードとしてさらに備え、制御装置29,39は、前記停止モードを実行する。制御装置29,39は、回収モード及び停止モードの中から漏洩センサ27の異常の発生を認識した場合に実行する運転モードの選択を受け付ける。そのため、冷凍サイクル装置11の設置環境等に応じて、漏洩センサ27に異常が発生した場合に回収モードと停止モードとのどちらを実行するかを選択することができる。
【0076】
(3)上記実施形態の冷媒回路23は、熱源熱交換器31、利用熱交換器25、圧縮機30、利用熱交換器25の液側端と熱源熱交換器31の液側端とを接続する液冷媒配管40L、利用熱交換器25のガス側端と圧縮機30の吸入管とを接続する第1ガス冷媒配管40Ga、熱源熱交換器31のガス側端と圧縮機30の吐出管とを接続する第2ガス冷媒配管40Gb、液冷媒配管40Lに設けられた液制御弁35、及び、第1ガス冷媒配管40Gaに設けられたガス制御弁38を含み、制御装置29,39は、回収モードによる運転開始の際に液制御弁35を閉じかつ圧縮機30を作動させ、回収モードによる運転終了の際にガス制御弁38を閉じる。このように、回収モードによる運転を開始する際に、制御装置29,39が液制御弁35を閉じることで、液制御弁35とガス制御弁38との間における熱源熱交換器31側に冷媒を回収することができ、回収モードの運転を終了する際に、ガス制御弁38を閉じることで、冷媒が利用熱交換器25側に逆流するのを抑制することができる。
【0077】
(4)上記実施形態において、漏洩センサ27の異常は、漏洩センサ27の故障又は漏洩センサ27の寿命の到達である。冷凍サイクル装置11は、報知部(表示パネル43,ライト44,ブザー45)をさらに備え、制御装置29,39は、漏洩センサ27の通電積算時間が所定の第1閾値Tth1を超えることで漏洩センサ27の寿命を認識し、報知部43,44,45は、通電積算時間が第1閾値Tth1を超える場合と、通電積算時間が第1閾値Tth1よりも短い所定の第2閾値Tth2を超える場合とで、互いに異なる報知を行う。これにより、サービスマンやユーザは、漏洩センサ27が寿命に達したことだけでなく寿命が近いことを報知部43,44,45の報知により把握することができる。
【0078】
(5)上記実施形態において、冷凍サイクル装置11は、冷媒回路23によって冷媒が循環される室外機22と、冷媒回路23によって冷媒が循環される第1室内機21a及び第2室内機21bと、を備える。第1室内機21aは、漏洩センサ(第1漏洩センサ)27と報知部(第1報知部)43,44,45とを有し、第2室内機21bは、漏洩センサ(第2漏洩センサ)27と報知部(第2報知部)43,44,45とを有する。第1室内機21aの漏洩センサ27に異常が発生し、第2室内機21bの漏洩センサ27に異常が発生していない場合、第1室内機21aの報知部43,44,45と、第2室内機21bの報知部43,44,45とは互いに異なる報知を行う。このように、異常が発生した漏洩センサ27を有する第1室内機21aの報知部43,44,45と、第2室内機21bの報知部43,44,45とが互いに異なる報知を行うことで、サービスマンやユーザは、第1室内機21aの報知部43,44,45だけでなく第2室内機21bの報知部43,44,45によっても、第1室内機21aの漏洩センサ27に異常が発生したことを把握することができる。
【0079】
(6)上記実施形態において、第1室内機21aの報知部43,44,45と、第2室内機21bの報知部43,44,45とは、光、音、及び表示を含む複数の手段のうち、互いに異なる手段による報知、複数の手段の互いに異なる組み合わせによる報知、又は、同一の手段の互いに異なる報知方法による報知を行う。そのため、第1室内機21aの漏洩センサ27に異常が生じた場合に、第1室内機21aの報知部43,44,45による報知と第2室内機21bの報知部43,44,45による報知との違いをサービスマンやユーザが明確に識別することができる。
【0080】
(7)上記実施形態において、制御装置29,39は、冷媒回路23を冷媒が循環している状態で漏洩センサ27の異常の発生を認識した場合に、前記冷媒の流れを継続させたまま回収モードを実行する。この場合、漏洩センサ27に異常が発生したときに、通常の運転から回収モードに迅速に移行することができる。
【0081】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
11 :冷凍サイクル装置(空気調和機)
21 :室内機
22 :室外機
23 :冷媒回路
25 :室内熱交換器(利用熱交換器)
27 :漏洩センサ
29 :室内制御部(制御装置)
30 :圧縮機
31 :室外熱交換器(熱源熱交換器)
35 :液制御弁
38 :ガス制御弁
39 :室外制御部(制御装置)
40Ga :第1ガス冷媒配管
40Gb :第2ガス冷媒配管
40L :液冷媒配管
43 :表示パネル(報知部)
44 :ライト(報知部)
45 :ブザー(報知部)
T1 :通電積算時間
T2 :通電積算時間
Tth1 :第1閾値
Tth2 :第2閾値