IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベックマン コールター バイオテクノロジー (スージョウ) カンパニー, リミテッドの特許一覧 ▶ ベックマン コールター, インコーポレイテッドの特許一覧

特許7336601流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ
<>
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図1A
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図1B
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図2
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図3
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図4
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図5
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図6
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図7
  • 特許-流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】流体システムと、流体システムを含むサンプルプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20230824BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G01N15/14 A
G01N15/14 C
G01N21/05
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022540389
(86)(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2021134279
(87)【国際公開番号】W WO2022156374
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】202110089283.1
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521273743
【氏名又は名称】ベックマン コールター バイオテクノロジー (スージョウ) カンパニー, リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Beckman Coulter, Inc.
【住所又は居所原語表記】250 S. Kraemer Boulevard, Brea, CA 92821, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】タン, リンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ナバ, サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, ジュンタオ
(72)【発明者】
【氏名】シ, リアン
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-512495(JP,A)
【文献】中国実用新案第209296733(CN,U)
【文献】特開平04-076458(JP,A)
【文献】米国特許第04108602(US,A)
【文献】特開2005-308506(JP,A)
【文献】実開昭60-086947(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0056979(US,A1)
【文献】国際公開第2015/053393(WO,A1)
【文献】特開平02-213746(JP,A)
【文献】特表2014-511123(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0113063(US,A1)
【文献】特開2007-101311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14
G01N 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルプロセッサのための流体システムであって、
サンプルポートと処理流体ポートと真空ポートとを備えるフローセルユニットと、
サンプル容器と、
前記サンプル容器を前記フローセルユニットの前記サンプルポートに連通させるためのサンプルラインと、
シース流体容器と、
前記シース流体容器を前記フローセルユニットの前記処理流体ポートに連通させる処理流体ラインと、
前記フローセルユニットと連通している真空ラインと、
第1の出力ポート第2の出力ポートとを備えるエアポンプと
を備え、
加圧ガスが、前記第1の出力ポートで生成され、前記第1の出力ポートは、前記サンプル容器および前記シース流体容器と連通しており、真空が、前記第2の出力ポートで生成され、前記第2の出力ポートは、前記真空ラインを通して、前記フローセルユニットの前記真空ポートと連通している、流体システム。
【請求項2】
前記流体システムは、
真空チャンバと、
廃液容器と
をさらに備え、
前記真空チャンバは、前記真空ライン内に配列されており、前記真空チャンバは、前記エアポンプを通して、前記廃液容器と連通しており、前記真空チャンバから吸引される廃液が、前記廃液容器の中に直接吐出される、請求項1に記載の流体システム。
【請求項3】
前記エアポンプの前記第2の出力ポートは、前記真空チャンバの底部と連通している、請求項2に記載の流体システム。
【請求項4】
前記流体システムは、
前記真空ライン内に配列されている真空チャンバと、
前記真空チャンバを選択的に真空化または加圧するように、前記真空チャンバ前記エアポンプの前記第1の出力ポートおよび前記第2の出力ポートとの間に配列されている逆転弁と、
廃液容器と、
流体ラインと
をさらに備え、
前記真空チャンバは、前記流体ラインを通して、前記廃液容器と連通している、請求項1に記載の流体システム。
【請求項5】
前記流体ラインは、前記真空チャンバの底部接続されており、
前記逆転弁の排水口は、前記真空チャンバの上側部分接続されている、請求項4に記載の流体システム。
【請求項6】
前記流体システムは、
洗浄液容器と、
前記処理流体ライン内に配列されている逆転弁と
をさらに備え、
前記逆転弁は、前記シース流体容器または前記洗浄液容器を前記フローセルユニットと選択的に連通させるように構成されている、請求項1に記載の流体システム。
【請求項7】
前記サンプルプロセッサは、制御ユニットを備え、前記フローセルユニットは、スプレーポートをさらに備え、
前記逆転弁は、前記シース流体容器に接続されている第1の注水口と、前記洗浄液容器に接続されている第2の注水口と、前記処理流体ラインを通して前記フローセルユニットに接続されている排水口とを有し、
前記制御ユニットは、前記逆転弁と前記エアポンプと前記スプレーポートとを制御するように構成されており、
前記シース流体容器から前記洗浄液容器に前記逆転弁を切り替えるように前記制御ユニットが前記逆転弁を制御する場合に、前記制御ユニットは、前記エアポンプの前記第2の出力ポートで生成される前記真空によって、前記処理流体ラインを通して前記洗浄液容器の中の洗浄液を前記フローセルユニットに吸引するように前記エアポンプを制御し、
前記洗浄液前記フローセルユニットに吸引された後、前記制御ユニットは、前記洗浄液容器から前記シース流体容器に前記逆転弁を切り替えるように前記制御ユニットを制御し、前記制御ユニットは、前記エアポンプの前記第1の出力ポートで生成される前記加圧ガスによって前記フローセルユニットの前記スプレーポートを通して前記洗浄液を前記フローセルユニットの中に噴霧するように前記スプレーポートを制御する、請求項6に記載の流体システム。
【請求項8】
前記フローセルユニットは、スプレーポートをさらに備え、
前記流体システムは、
廃液容器と、
前記フローセルユニットの前記スプレーポートからフローする廃液を前記廃液容器の中に吐出するための廃液ラインと、
前記廃液ライン内に配列されている廃液ポンプと
をさらに備える、請求項1に記載の流体システム。
【請求項9】
前記流体システムは、
前記シース流体容器の上流に配列されているシース流体圧力調節装置であって、前記シース流体容器に供給される前記加圧ガスの圧力を調節するように構成されているシース流体圧力調節装置と、
前記サンプル容器の上流に配列されているサンプル圧力調節装置であって、前記サンプル容器に供給される前記加圧ガスの圧力を調節するように構成されているサンプル圧力調節装置と
をさらに備える、請求項1に記載の流体システム。
【請求項10】
前記流体システムは、前記シース流体容器から前記フローセルユニットの中に供給される前記シース流体の圧力を検出するように構成されているシース流体圧力センサをさらに備える、請求項9に記載の流体システム。
【請求項11】
前記サンプルプロセッサは、制御ユニットを備え、前記シース流体圧力調節装置は、前記制御ユニットが、前記シース流体圧力センサによって検出される前記シース流体の前記圧力に従っ前記シース流体容器に供給される前記加圧ガスの前記圧力を自動的に調節するように構成されている、請求項10に記載の流体システム。
【請求項12】
前記流体システムは、シース流体ラインをさらに備え、
前記シース流体圧力センサは、前記シース流体容器を前記フローセルユニットと連通させる前記シース流体ライン内に配列されている、請求項10または請求項11に記載の流体システム。
【請求項13】
前記シース流体圧力センサは、前記フローセルユニットから垂直方向に、一定の距離にある位置に位置付けられている、請求項12に記載の流体システム。
【請求項14】
前記シース流体圧力センサは、前記フローセルユニットの中に配列されている、請求項10または請求項11に記載の流体システム。
【請求項15】
前記流体システムは、シース流体レベルセンサをさらに備え
前記シース流体レベルセンサは、前記シース流体容器内に配列されており、かつ、前記シース流体の流体レベルを検出するために使用される請求項9に記載の流体システム。
【請求項16】
前記サンプルプロセッサは、制御ユニットを備え、前記シース流体圧力調節装置は、前記制御ユニットが、前記シース流体レベルセンサによって検出される前記流体レベルに従っ前記シース流体容器に供給される前記加圧ガスの前記圧力を自動的に調節するように構成されている、請求項15に記載の流体システム。
【請求項17】
請求項116のいずれか1項に記載の流体システムフローセルユニットとを備える、サンプルプロセッサ。
【請求項18】
前記フローセルユニットおよび前記エアポンプは、筐体の中に収容されている、請求項17に記載のサンプルプロセッサ。
【請求項19】
前記サンプルプロセッサは、振動絶縁装置をさらに備え、前記エアポンプは、前記振動絶縁装置を通して、前記筐体に接続されている、請求項18に記載のサンプルプロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サンプルプロセッサのための流体システムと、流体システム、例えば、フローセルソータまたはアナライザを含む、サンプルプロセッサとに関する。
【背景技術】
【0002】
本節の内容は、本開示に関する背景情報を提供するものにすぎず、必ずしも先行技術を構成しない。
【0003】
ソータまたはアナライザは、多くの場合、ミクロソームまたは細胞等のサンプルを、分析および分別するために使用される。フローソータまたはアナライザは、流体伝達ユニットと、フローセルユニットと、サンプル分析または分別ユニットとを含む。流体伝達ユニットは、サンプルおよびシース流体または洗浄液をフローセルユニットに伝達するために、安定的な圧力源を提供し、サンプルが処理された、またはフローセルユニットが洗浄された後に生成される、廃液を、真空によって、吸引または吐出するように構成される。フローセルユニットでは、シース流体は、サンプルに被着し、分析または分別のために流出する。サンプル分析または分別ユニットは、サンプルを検出、分析、または分別するために、光学装置、電気装置、および同等物を含む。動作の前後、または故障が発生すると、流体伝達ユニットは、フローセルユニットを洗浄するために、洗浄液をフローセルユニットに伝達し、次いで、洗浄後に生成される、廃液を吐出し得る。
【0004】
流体伝達ユニットは、種々の流体を供給するための安定的な圧力源を提供するために、ポンプを使用し、廃液を吐出するための真空を提供するために、別のポンプを使用する。しかしながら、2つのポンプのサイズと重量、および振動の限定に起因して、2つのポンプは、通常、器具筐体の外側に独立して配列される。2つのポンプ(特に、2つの外部ポンプ)は、ソータまたはアナライザに、より大きな全体的な寸法、より重い重量、およびより高いコストを有させる。さらに、その2つのポンプは、器具筐体の外側に位置されるため、運搬および配設において不便である。
【0005】
したがって、ソータまたはアナライザに、コンパクトな構造、低コスト、および便利な動作を提供することが、当技術分野において期待される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本節は、本開示の全範囲または本開示の全特徴の包括的な開示ではなく、本開示の概要を提供する。
【0007】
本開示の目的は、コンパクトな構造、低コスト、および便利な動作を有する、サンプルプロセッサのための流体システムを提供することである。
【0008】
本開示の目的は、コンパクトな構造、低コスト、および便利な動作を有する、サンプルプロセッサを提供することである。
【0009】
本開示の一側面によると、サンプルプロセッサのための流体システムが、提供される。流体システムは、サンプルラインと、処理流体ラインと、真空ラインと、エアポンプとを含む。サンプルラインは、サンプル容器をフローセルユニットのサンプルポートと連通させる。処理流体ラインは、シース流体容器をフローセルユニットの処理流体ポートと連通させる。真空ラインは、フローセルユニットと連通している。エアポンプは、第1の出力ポートと、第2の出力ポートとを含む。加圧ガスが、第1の出力ポートで生成され、第1の出力ポートは、サンプル容器およびシース流体容器と連通している。真空が、第2の出力ポートで生成され、第2の出力ポートは、真空ラインを通して、フローセルユニットの真空ポートと連通している。
【0010】
本開示による流体システムは、真空源と圧力源とを統合する、エアポンプを有する。したがって、エアポンプを含む流体システムは、より小さな全体設置寸法、より小さな全体重量を有し、搬送および組立が容易であり得る。
【0011】
本開示によるいくつかの実施例では、真空チャンバは、真空ライン内に配列され、真空チャンバは、エアポンプを通して、廃液容器と連通しており、真空チャンバから吸引される廃液が、廃液容器の中に直接吐出される。
【0012】
本開示によるいくつかの実施例では、エアポンプの第2の出力ポートは、真空チャンバの底部に接続される。
【0013】
本開示によるいくつかの実施例では、真空チャンバは、真空ライン内に配列される。逆転弁は、真空チャンバと、エアポンプの第1の出力ポートおよび第2の出力ポートとの間に配列され、真空チャンバを選択的に真空化または加圧する。真空チャンバは、流体ラインを通して、廃液容器と連通している。
【0014】
本開示によるいくつかの実施例では、流体ラインは、真空チャンバの底部と接続される。逆転弁の排水口は、真空チャンバの上側部分と接続される。
【0015】
本開示によるいくつかの実施例では、逆転弁は、処理流体ライン内に配列され、逆転弁が、シース流体容器または洗浄液容器をフローセルユニットと選択的に連通させるように構成される。
【0016】
本開示によるいくつかの実施例では、逆転弁は、逆転弁が、洗浄液容器に切り替えられると、エアポンプの第2の出力ポートで生成される真空によって、洗浄液容器の中の洗浄液をフローセルユニットに吸引し、洗浄液が、フローセルユニットに吸引された後、逆転弁をシース流体容器に切り替え、ガスポンプの第1の出力ポートで生成される、加圧ガスによって、流体を、フローセルユニットのスプレーポートから、フローセルユニットの中に噴霧するように構成される。
【0017】
本開示によるいくつかの実施例では、流体システムはさらに、廃液ラインと、廃液ポンプとを含む。廃液ラインは、フローセルユニットのスプレーポートから流動する廃液を廃液容器の中に吐出する。廃液ポンプは、廃液ライン内に配列される。
【0018】
本開示によるいくつかの実施例では、流体システムはさらに、シース流体圧力調節装置と、サンプル圧力調節装置とを含む。シース流体圧力調節装置は、シース流体容器の上流に配列され、シース流体容器に供給される、加圧ガスの圧力を調節するように構成される。サンプル圧力調節装置は、サンプル容器の上流に配列され、サンプル容器に供給される、加圧ガスの圧力を調節するように構成される。
【0019】
本開示によるいくつかの実施例では、流体システムはさらに、シース流体容器からフローセルユニットの中に供給される、シース流体の圧力を検出するように構成される、シース流体圧力センサを含む。
【0020】
本開示によるいくつかの実施例では、シース流体圧力調節装置は、シース流体圧力センサによって検出される、シース流体の圧力に従って、シース流体容器に供給される加圧ガスの圧力を自動的に調節するように構成される。
【0021】
本開示によるいくつかの実施例では、シース流体圧力センサは、シース流体ライン内に配列される。
【0022】
本開示によるいくつかの実施例では、シース流体圧力センサは、フローセルユニットから垂直方向に、一定の距離にある位置に位置付けられる。
【0023】
本開示によるいくつかの実施例では、シース流体圧力センサは、フローセルユニットの中に配列される。
【0024】
本開示によるいくつかの実施例では、流体システムはさらに、シース流体容器内に配列され、シース流体の流体レベルを検出するために使用される、シース流体レベルセンサを含む。
【0025】
本開示によるいくつかの実施例では、シース流体圧力調節装置は、シース流体レベルセンサによって検出される、流体レベルに従って、シース流体容器に供給される加圧ガスの圧力を自動的に調節するように構成される。
【0026】
本開示の別の側面によると、サンプルプロセッサが提供され、これは、上記の流体システムと、フローセルユニットとを含む。
【0027】
本開示によるサンプルプロセッサは、上記の流体システムを含み、したがって、上記の流体システムと同一の利点を有する。
【0028】
本開示によるいくつかの実施例では、フローセルユニットおよびエアポンプは、筐体の中に収容される。
【0029】
本開示によるいくつかの実施例では、エアポンプは、振動絶縁装置を通して、筐体に接続される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
サンプルプロセッサのための流体システムであって、
サンプル容器をフローセルユニットのサンプルポートに連通させるサンプルラインと、
シース流体容器を前記フローセルユニットの処理流体ポートに連通させる処理流体ラインと、
前記フローセルユニットと連通している真空ラインと、
第1の出力ポートと、第2の出力ポートとを備えるエアポンプと
を備え、
加圧ガスが、前記第1の出力ポートで生成され、前記第1の出力ポートは、前記サンプル容器および前記シース流体容器と連通しており、真空が、前記第2の出力ポートで生成され、前記第2の出力ポートは、前記真空ラインを通して、前記フローセルユニットの真空ポートと連通している、流体システム。
(項目2)
真空チャンバが、前記真空ライン内に配列され、前記真空チャンバは、前記エアポンプを通して、廃液容器と連通しており、前記真空チャンバから吸引される廃液が、前記廃液容器の中に直接吐出される、項目1に記載の流体システム。
(項目3)
前記エアポンプの前記第2の出力ポートは、前記真空チャンバの底部と連通している、項目2に記載の流体システム。
(項目4)
真空チャンバが、前記真空ライン内に配列され、
逆転弁が、前記真空チャンバと、前記エアポンプの前記第1の出力ポートおよび第2の出力ポートとの間に配列され、前記真空チャンバを選択的に真空化または加圧し、
前記真空チャンバは、流体ラインを通して、廃液容器と連通している、
項目1に記載の流体システム。
(項目5)
前記流体ラインは、前記真空チャンバの底部と接続され、
前記逆転弁の排水口が、前記真空チャンバの上側部分と接続される、項目4に記載の流体システム。
(項目6)
逆転弁が、前記処理流体ライン内に配列され、前記逆転弁は、前記シース流体容器または洗浄液容器を前記フローセルユニットと選択的に連通させるように構成される、項目1に記載の流体システム。
(項目7)
前記逆転弁は、
前記逆転弁が、前記洗浄液容器に切り替えられると、前記エアポンプの前記第2の出力ポートで生成される前記真空によって、前記洗浄液容器の中の洗浄液を前記フローセルユニットに吸引することと、
前記洗浄液が、前記フローセルユニットに吸引された後、前記逆転弁を前記シース流体容器に切り替え、前記ガスポンプの前記第1の出力ポートで生成される前記加圧ガスによって、前記流体を、前記フローセルユニットのスプレーポートを通して、前記フローセルユニットの中に噴霧することと
を行うように構成される、項目6に記載の流体システム。
(項目8)
前記フローセルユニットのスプレーポートからフローする廃液を廃液容器の中に吐出する廃液ラインと、
前記廃液ライン内に配列される廃液ポンプと
をさらに備える、項目1に記載の流体システム。
(項目9)
前記シース流体容器の上流に配列され、前記シース流体容器に供給される前記加圧ガスの圧力を調節するように構成されるシース流体圧力調節装置と、
前記サンプル容器の上流に配列され、前記サンプル容器に供給される前記加圧ガスの圧力を調節するように構成されるサンプル圧力調節装置と
をさらに備える、項目1に記載の流体システム。
(項目10)
前記シース流体容器から前記フローセルユニットの中に供給される前記シース流体の圧力を検出するように構成されるシース流体圧力センサをさらに備える、項目9に記載の流体システム。
(項目11)
前記シース流体圧力調節装置は、前記シース流体圧力センサによって検出される前記シース流体の前記圧力に従って、前記シース流体容器に供給される前記加圧ガスの前記圧力を自動的に調節するように構成される、項目10に記載の流体システム。
(項目12)
前記シース流体圧力センサは、前記シース流体容器を前記フローセルユニットと連通させるシース流体ライン内に配列される、項目10または11に記載の流体システム。
(項目13)
前記シース流体圧力センサは、前記フローセルユニットから垂直方向に、一定の距離にある位置に位置付けられる、項目12に記載の流体システム。
(項目14)
前記シース流体圧力センサは、前記フローセルユニットの中に配列される、項目10または11に記載の流体システム。
(項目15)
前記シース流体容器内に配列され、前記シース流体の流体レベルを検出するために使用されるシース流体レベルセンサをさらに備える、項目9に記載の流体システム。
(項目16)
前記シース流体圧力調節装置は、前記シース流体レベルセンサによって検出される前記流体レベルに従って、前記シース流体容器に供給される前記加圧ガスの前記圧力を自動的に調節するように構成される、項目15に記載の流体システム。
(項目17)
項目1-16のいずれか1項に記載の流体システムと、フローセルユニットとを備える、サンプルプロセッサ。
(項目18)
前記フローセルユニットおよび前記エアポンプは、筐体の中に収容される、項目17に記載のサンプルプロセッサ。
(項目19)
前記エアポンプは、振動絶縁装置を通して、前記筐体に接続される、項目18に記載のサンプルプロセッサ。
【図面の簡単な説明】
【0030】
付随の図面を参照した以下の説明を通して、本開示の1つまたはそれを上回る実施形態の特徴および利点が、理解し易くなるであろう。
【0031】
図1A図1Aは、サンプルプロセッサの機能的なブロック図である。
図1B図1Bは、本開示の実施形態による、サンプルプロセッサの外観を示す、3次元概略図である。
図2図2は、本開示の実施形態による、エアポンプの外観を示す、3次元概略図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、サンプル処理動作における、流体ユニットの概略図である。
図4図4は、図3に類似するが、洗浄動作中の流体ユニットの概略図である。
図5図5は、本開示の別の実施形態による、サンプル処理動作における、流体ユニットの概略図である。
図6図6は、本開示の実施形態による、流体ユニットのシース流体圧力調節構造の概略図である。
図7図7は、本開示の別の実施形態による、流体ユニットのシース流体圧力調節構造の概略図である。
図8図8は、本開示のさらなる別の実施形態による、流体ユニットのシース流体圧力調節構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、付随の図面を参照し、例示的実施形態を通して、詳細に下記に説明されるであろう。いくつかの付随の図面では、類似の参照数字は、類似の部品および構成要素を示す。本開示に関する以下の詳細な説明は、例示的目的のためだけにあり、決して、本開示およびその適用または使用を限定しない。本明細書に記載される実施形態は、網羅的ではなく、いくつかの可能な実施形態のうちのいくつかにすぎない。例示的実施形態は、多くの異なる形態で実装されてもよく、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。いくつかの例示的実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術が、詳細に説明されない場合がある。
【0033】
図1Aは、サンプルプロセッサ1の機能的なブロック図である。サンプルプロセッサ1によって分析または分別されるサンプルは、有機体の細胞または体液を含んでもよい。本開示のサンプルプロセッサ1は、実施例として本明細書に説明される、特定のサンプルに限定されないことを理解されたい。
【0034】
図1Aに示されるように、サンプルプロセッサ1は、流体ユニット10と、フローセルユニット20と、サンプル処理ユニット30と、制御ユニット40とを含む。
【0035】
流体ユニット10は、フローセルユニット20に種々の流体を供給するため、およびフローセルユニット20に流体を吐出するために使用される。本明細書に説明される流体は、分析または分別されるべきサンプル、シース流体、洗浄液、廃液、および同等物を含んでもよい。流体ユニット10は、流体を伝達するため、または流体を吐出するために、種々のポンプ、弁、圧力調節装置、センサ、および同等物を含んでもよい。例えば、ポンプは、サンプル、シース流体、または同等物を、フローセルユニット20に伝達するための加圧ガスを供給するための圧力ポンプと、廃液および同等物を吐出するための真空を供給するための真空ポンプとを含んでもよい。
【0036】
種々の流体、特に、サンプルおよびシース流体は、フローセルユニット20に伝達される。フローセルユニット20では、サンプルは、シース流体に被着され、次いで、処理のために、フローセルユニット20のスプレーポートを通して、吐出される。フローセルユニット20はまた、概して、ノズルユニットと称される。
【0037】
サンプル処理ユニット30は、シース流体に被着され、フローセルユニット20のスプレーポートを通して外に噴霧される、サンプル上で、検出、分析、または分別等の処理を実施する。サンプル処理ユニット30は、サンプル処理の目的に従って、種々の光学装置、電気装置、および/または機械的装置を含んでもよい。
【0038】
制御ユニット40は、サンプルプロセッサ1全体の起動を制御し、特に、流体ユニット10およびサンプル処理ユニット30の動作を制御する。制御ユニット40は、回路基板を含む。
【0039】
図1Bは、本開示の実施形態による、サンプルプロセッサの外観を示す、3次元概略図である。図1Bに示されるように、サンプルプロセッサ1は、筐体50、上記流体ユニット10と、フローセルユニット20と、サンプル処理ユニット30とを含み、制御ユニット40は、サンプルプロセッサ1に、統合および収容される。制御ユニット40は、筐体50の内側に固定される、回路基板を含み、したがって、これは、図1Bでは不可視である。
【0040】
筐体50はまた、フレームとも称され、サンプルプロセッサ1の種々の機能部品を配設、支持、および保護するために使用される。本明細書内で説明される、筐体は、別個に搬送され得る、一体型の部品を指す。種々のバッフルまたは支持プレートは、要求に応じて、筐体50の内側に提供されてもよい。バッフルまたは支持プレートは、筐体50と一体化して、形成されてもよい、または別個に形成され、次いで、筐体50に接続または固定されてもよい。有利なこととして、筐体50のより小さい体積は、より小さい空間を占有し、より小さい重量を有し、これは、搬送等により適している。
【0041】
既存の従来のサンプルプロセッサでは、ポンプのサイズおよび重量および振動の限定に起因して、種々のポンプ(上記に説明されるように、圧力ポンプおよび真空ポンプ等)は、通常、器具筐体の外側に、独立して配列される。このように、サンプルプロセッサ全体は、より大きな全体的寸法、より重い重量、およびより高いコストを有し、運搬および配設には不便である。
【0042】
既存の従来のサンプルプロセッサの上記の問題に基づいて、本願の発明者は、改良された構造を有する、サンプルプロセッサを提案し、これは、上記の圧力ポンプおよび真空ポンプの機能を有する、一体化されたエアポンプ(説明の容易性のために、これは、略してエアポンプと称される)を含む。そのエアポンプは、筐体50の内側に配設される。このように、サンプルプロセッサ全体のサイズおよび重量は、有意に削減され得、これはまた、搬送および配設に便利である。
【0043】
図2は、本開示の実施形態による、エアポンプ11の外観を示す、3次元概略図である。図2に示されるように、エアポンプ11は、振動絶縁装置61を通して、筐体50の底部プレート51上に取り付けられる。ポンプ(特に、加圧ガスを供給するための圧力ポンプ)は、動作中に、大きな振動を生成することは周知であり、したがって、これは、多くの場合、器具筐体の外側に取り付けられる。本開示によるサンプルプロセッサ1では、振動絶縁装置61は、エアポンプ11の動作中に生成される振動が、筐体50に伝導されることを防止し得、または筐体50に伝導される振動を、最小限にまで減少させ得、それによって、サンプル処理に、殆ど影響を及ぼさない。
【0044】
エアポンプ11は、第1の出力ポート11aと、第2の出力ポート11bとを含み、加圧ガスが、第1の出力ポート11aで生成され、真空が、第2の出力ポート11bで生成される。第1の出力ポート11aおよび第2の出力ポート11bは、エアポンプ11の対向側上に位置される。しかしながら、エアポンプ11の構造は、本明細書に説明される機能を達成し得る限り、示される特定の実施例に限定されないことを理解されたい。
【0045】
図3は、本開示の実施形態による、サンプル処理動作における、流体ユニット100の概略図である。流体ユニット100は、種々の流体をフローセルユニット20に伝達し、種々の流体をフローセルユニット20から吐出するように構成される。この目的を達成するために、流体ユニット100は、電源作動の下、種々の流体ラインを通して、種々の流体源をフローセルユニット20の種々のポートと連通させる。フローセルユニット20は、サンプルを受け取るためのサンプルポート21と、シース流体または洗浄液等の処理流体を受け取るための処理流体ポート23と、廃液および同等物を吸引または吐出するための真空ポート25と、サンプルおよび同等物を噴霧するためのスプレーポート27とを含む。
【0046】
図3に示されるように、流体ユニット100は、エアポンプ110を含む。エアポンプ110は、流体ユニット100の電源、具体的には、圧力源および真空源としての役割を果たす。エアポンプ110は、第1の出力ポート111aと、第2の出力ポート111bとを含む。加圧ガスは、第1の出力ポート111aで生成され、したがって、電源が提供される。真空は、第2の出力ポート111bで生成され、したがって、真空源が提供される。
【0047】
第1の出力ポート111aは、流体ライン129を通して、サンプル容器120と連通している。処理されるべきサンプルは、サンプル容器120内で受け取られる。サンプル容器120は、サンプルライン121を通して、フローセルユニット20のサンプルポート21と連通している。このように、エアポンプ110が起動した後、第1の出力ポート111aから出力される加圧ガスは、流体ライン129を通して、サンプル容器120に進入する。加圧ガスの圧力作動の下、サンプル容器120内のサンプルは、サンプルライン121を通して、フローセルユニット20の中に圧送される。
【0048】
第1の出力ポート111aは、流体ライン139を通して、シース流体容器130と連通している。シース流体は、シース流体容器130内で受け取られる。シース流体容器130は、処理流体ライン131を通して、フローセルユニット20のサンプルポート23と流体連通している。このように、エアポンプ110が起動した後、第1の出力ポート111aから出力される加圧ガスは、流体ライン139を通して、シース流体容器130に進入する。加圧ガスの圧力作動の下、シース流体容器130内のシース流体は、処理流体ライン131を通して、フローセルユニット20の中に圧送される。
【0049】
サンプル制御弁124は、サンプルライン121内に配列されてもよい。サンプル制御弁124は、サンプルライン121の接続または接続解除を制御するように構成され、それによって、サンプルが、フローセルユニット20に圧送されることを許可する、または防止する。同様に、処理流体制御弁134は、処理流体ライン131内に配列されてもよい。処理流体制御弁134は、処理流体ライン131の接続または接続解除を制御するように構成され、それによって、処理流体が、フローセルユニット20に圧送されることを許可する、または防止する。処理流体は、本明細書に説明される、シース流体および洗浄液に限定されないが、任意の他の要求される液体を含んでもよい。サンプル制御弁124および処理流体制御弁134は、例えば、切替弁、一方向弁、または任意の他の好適なタイプの弁であってもよい。
【0050】
サンプル圧力調節装置122は、流体ライン129内に配列されてもよい。サンプル圧力調節装置122は、サンプル容器120に伝達されるべき、流体ライン129内の加圧ガスの圧力を調節するように構成される。例えば、異なるサンプルまたは異なる処理条件に従って、サンプル容器120に伝達される、加圧ガスの圧力は、サンプル圧力調節装置122によって調節され、それによって、フローセルユニット20に圧送される、サンプルの割合または量を調節してもよい。同様に、シース流体圧力調節装置132は、流体ライン139内に配列されてもよい。シース流体圧力調節装置132は、シース流体容器130に伝達されるべき、流体ライン139内の加圧ガスの圧力を調節するように構成される。例えば、シース流体容器の位置、シース流体の流体レベル、または処理条件が変化すると、シース流体容器130に伝達される、加圧ガスの圧力は、シース流体圧力調節装置132によって調節され、それによって、フローセルユニット20に圧送される、シース流体の割合または量を調節してもよい。
【0051】
圧力チャンバ112は、第1の出力ポート111aの排水口側上に配列されてもよい。第1の出力ポート111aから吐出される加圧ガスは、圧力チャンバ112内に貯蔵されてもよく、圧力チャンバ112内の加圧ガスは、サンプル容器120およびシース流体容器130にそれぞれ伝達される。
【0052】
第2の出力ポート111bは、真空ライン111を通して、フローセルユニット20の真空ポート25と流体連通している。加えて、第2の出力ポート111はまた、流体ライン119を通して、廃液容器140と流体連通している。このように、エアポンプ110が起動した後、第2の出力ポート111bで生成される真空に起因して、フローセルユニット20内の流体は、抽出され、真空ライン111または流体ライン119を通して、廃液容器140の中に吐出される。
【0053】
脱泡弁116は、真空ライン111内に配列されてもよい。脱泡弁116は、サンプルの処理上の影響を防止するために、フローセルユニット20内の泡を除去するように構成される。真空チャンバ114は、真空ライン111内に配列されてもよい。真空チャンバ114内の廃液の廃液容器140への直接吐出を促進するために、第2の出力ポート111bは、真空チャンバ114の底部に接続されてもよい。真空チャンバ114は、第2の出力ポート111bを通して、廃液容器140と連通していてもよく、したがって、真空チャンバ114と第2の出力ポート111bとの間の弁を配列する必要はない。
【0054】
加えて、廃液容器140内での、廃液の中断することのない収集を確実にするために、別個の廃液ライン141もまた、配列されてもよい。廃液トラップ142は、フローセルユニット20のスプレーポート27の下方に配列されてもよい。廃液トラップ142は、スプレーポート27から射出される、処理済みの廃液を廃液トラップ142内に収集する。廃液ライン141は、廃液トラップ142を廃液容器140と流動的に連通させる。
【0055】
廃液ポンプ160は、廃液ライン141内に配列されてもよい。廃液ポンプ160は、廃液トラップ142内に収集される廃液を、廃液容器140に圧送するように構成される。別個の廃液ライン141は、サンプルプロセッサ1の動作中に、廃液を連続的に吐出することができる。これは、特に、エアポンプ110が、廃液を吸引および吐出できないときに有利である。
【0056】
逆転弁136はまた、処理流体ライン131内に配列されてもよい。逆転弁136は、異なる処理流体を含有する容器をフローセルユニット20と選択的に連通させるように構成される。図3に示される実施例では、処理流体容器は、シース流体容器と、洗浄液容器とを含む。したがって、逆転弁136は、シース流体容器130または洗浄液容器150をフローセルユニット20と選択的に連通させるように構成される。逆転弁136は、例えば、三方弁であってもよく、シース流体容器130または洗浄液容器150にそれぞれ接続される、2つの注水口と、フローセルユニット20に接続される、1つの排水口とを有する。
【0057】
図4は、図3に類似するが、洗浄動作中の流体ユニット100の概略図である。図4に示されるように、逆転弁136は、洗浄液容器150に切り替えられる。この時、処理流体制御弁134は、処理流体ライン131に接続するために開かれており、すなわち、洗浄液容器150は、フローセルユニット20と連通している。真空ライン111が、接続され、すなわち、エアポンプ110の第2の出力ポート111bが、フローセルユニット20と連通している。このように、洗浄液容器150内の洗浄液は、フローセルユニット20(特に、フローセルユニット20の上側部分)を洗浄するために、エアポンプ110の第2の出力ポート111bで生成される、真空によって、フローセルユニット20に吸引される。次いで、逆転弁136は、シース流体容器130に切り替えられ得、フローセルユニット20内の洗浄液は、エアポンプ110の第1の出力ポート111aで生成される、加圧ガスの圧力によって、スプレーポート27から下方向へ噴霧され、それによって、フローセルユニット20(特に、フローセルユニット20の下側部分)を洗浄する。
【0058】
洗浄要件に従って、上記の真空吸引プロセスおよび圧力噴霧プロセスは、数回繰り返されることができる。真空吸引プロセスおよび圧力噴霧プロセスは、所定の時間間隔で、自動的に繰り返されてもよい。所定の時間または繰り返す回数は、制御ユニットのプログラム内に予め設定される、または操作者によって手動で入力されてもよい。
【0059】
図4に示される実施例では、洗浄液を伝達するために、別個のポンプを配列する必要がないため、流体ユニット100は、単純化され、それによって、サンプルプロセッサのサイズ、重量、およびコストをさらに減少させることができる。加えて、エアポンプ110を洗浄液容器150と連通させる必要がないため、洗浄液容器に対する強度要件は、減少されることができる。
【0060】
図3および図4に示される実施例に関して、廃液容器140と、シース流体容器130と、洗浄液容器150とが、それぞれ、相対的に大きな容積を有する場合、それらは、サンプルプロセッサ1の筐体50の外側に設置されてもよく、他の全ての部品(サンプル容器120を含む)は、サンプルプロセッサ1の筐体50内に統合されてもよい。各容器が小さい容積を有する場合は、全ての上記部品は、サンプルプロセッサ1の筐体50内に統合されてもよい。
【0061】
図5は、本開示の別の実施形態による、サンプル処理動作における、流体ユニット200の概略図である。流体ユニット200の構造は、流体ユニット100の構造と類似する。流体ユニット200は、エアポンプ210と、サンプル容器220と、シース流体容器230と、洗浄液容器250と、廃液容器240と、廃液トラップ242と、廃液ポンプ260と、サンプルライン221と、処理流体ライン231と、真空ライン211と、廃液ライン241とを含む。サンプル制御弁224は、サンプルライン221内に配列されてもよい。処理流体ライン231は、処理流体制御弁234と、逆転弁236とを具備してもよい。真空ライン211は、脱泡弁216と、真空チャンバ214とを具備してもよい。サンプル圧力調節装置222は、エアポンプ210とサンプル容器220との間に配列されてもよい。シース流体圧力調節装置232は、エアポンプ210とシース流体容器230との間に配列されてもよい。流体ユニット200の上記部品は、流体ユニット100の対応する部品と類似する機能および構造を有するため、その詳細な説明は、省略される。
【0062】
流体ユニット200と流体ユニット100との相違は、エアポンプ210の第2の出力ポートが、真空の生成にのみ好適であって、真空チャンバ214内の流体の廃液容器240への吐出には好適ではない。流体ユニット200と流体ユニット100との相違は、図5を参照して、下記に詳細に説明されるであろう。
【0063】
真空チャンバ214内の流体を廃液容器240の中に吐出するために、流体ユニット200はさらに、真空チャンバ214から廃液容器240と流体連通している、別個の流体ライン271を含む。廃液弁272は、流体ライン271の接続または接続解除を制御するために、流体ライン271内に配列され、それによって、真空チャンバ214内の流体が、廃液容器240の中に吐出されることを許可する、または吐出されることを防止してもよい。廃液弁272は、例えば、切替弁または一方向弁であってもよい。
【0064】
逆転弁218は、真空チャンバ214を選択的に真空化または加圧するために、真空チャンバ214と、エアポンプ210の第1の出力ポート211aおよび第2の出力ポート211bとの間に配列される。逆転弁218は、三方弁であってもよく、これは、エアポンプ210の第2の出力ポート211bに接続される注水口と、圧力チャンバ212に接続される別の注水口と、真空チャンバ214の上側部分に接続される排水口とを含む。圧力チャンバ212は、エアポンプ210の第1の出力ポート211aと、サンプル容器220およびシース流体容器230との間に配列される。
【0065】
逆転弁218が、第2の出力ポート211bに切り替えられると、流体は、真空によって、フローセルユニットから吸引および吐出される。逆転弁218が、第1の出力ポート211aに切り替えられると、真空チャンバ214内の流体は、加圧ガスの圧力作動の下、流体ライン271を通して、廃液容器240に吐出される。
【0066】
流体ライン271は、真空チャンバ214の底部に接続されてもよく、これは、真空チャンバ214内の流体の吐出において有利である。逆転弁218の排水口は、真空チャンバ214の上側部分に接続されてもよく、これは、真空チャンバ214の上側空間内への加圧ガスの吐出を促進する。
【0067】
サンプルプロセッサのいくつかのタイプに関し、流体圧力の変化は、サンプル処理上に大きな影響を与え得る。したがって、そのようなサンプルプロセッサはまた、上記に説明したように、圧力調節装置、例えば、サンプル圧力調節装置と、シース流体圧力調節装置とを具備してもよい。本開示によるサンプルプロセッサ1のシース流体圧力調節構造は、図6図8を参照して、下記に説明されるであろう。
【0068】
図6は、本開示の実施形態による、流体ユニットのシース流体圧力調節構造1000の概略図である。図6に示されるように、シース流体容器Tは、シース流体ライン(すなわち、上記の処理流体ライン)SLを通して、フローセルユニット20のシース流体ポート23と連通している。フローセルユニット20は、シース流体容器Tの上方に位置する。シース流体容器Tの底壁を基準平面とすると、シース流体容器Tにおける、シース流体レベルLの鉛直高は、h1であり、フローセルユニット20のシース流体ポート23の鉛直高は、h2である。シース流体レベルLとシース流体ポート23との間の高低差は、△h=h2-h1である。したがって、シース流体レベルLとシース流体ポート23との間に、重力ポテンシャルエネルギーが存在する。流体レベルLにおけるシース流体の流体流動速度は、V1であり、シース流体ポート23における流体流動速度は、V2である。したがって、シース流体レベルLとシース流体ポート23との間には、運動エネルギーが存在する。流体レベルLにおけるシース流体の流動速度V1は、ゼロに近いため、これは無視され得る。シース流体容器Tの流体レベルLを上回る、加圧ガスの圧力は、P1であり、シース流体ポート23におけるシース流体の圧力は、P2である。
【0069】
Bernoulliの方程式に従って、圧力ポテンシャルエネルギーと、運動エネルギーと、ポテンシャルエネルギーとの合計は、変化しないままであるべきである。しかしながら、サンプルプロセッサ1の起動は、シース流体レベルLを低下させる、またはシース流体容器の位置を垂直方向に変化させるため、シース流体圧力P2はまた、それに応じて変化するであろうし、これは、サンプルの処理に影響を及ぼし得る。シース流体圧力P2を一定の値で保持するために、シース流体圧力調節装置1002は、シース流体容器Tの上流側上に配列されてもよい。シース流体圧力調節装置1002は、上記に説明されるように、シース流体容器Tに進入するであろう、加圧ガスGの圧力P1を調節するように構成される。
【0070】
図6の実施形態では、シース流体圧力調節構造1000は、シース流体ラインSL内に配列される、シース流体圧力センサ1005を含む。シース流体圧力センサ1005は、シース流体容器からフローセルユニット20に供給される、シース流体の圧力を検出するために使用される。シース流体圧力調節装置1002は、シース流体圧力センサ1005によって検出される、シース流体の圧力に従って、自動的にまたは手動で調節され、それによって、圧力P1を変化させる。圧力P1を正確に調節するために、シース流体圧力センサ1005とフローセルユニット20との間の垂直方向の隔たりは、変化しない場合がある。すなわち、図6における△h1は一定である。示されていないが、代替実施例では、シース流体圧力センサ1005は、シース流体ポート23に近接する位置に配列されてもよい。
【0071】
図6の実施例によると、△h1の値は変化しないため、シース流体圧力センサ1005におけるシース流体圧力は、シース流体ポート23におけるシース流体の圧力P2を正確に反映することができる。シース流体圧力センサ1005によって検出される圧力が変化すると、圧力変化を表す情報が、(図1Aに示されるように)制御ユニット40にフィードバックされ得る。制御ユニット40は、その情報に従って、圧力P1を自動的に調節するために、シース流体圧力調節装置1002を制御することができる。調節された圧力P1は、シース流体圧力センサ1005によって検出される圧力(例えば、圧力P2)を再び所望の値に到達させ、それによって、サンプルの安定的な処理または検出を確実にする。
【0072】
図7は、本開示の別の実施形態による、流体ユニットのシース流体圧力調節構造2000の概略図である。シース流体圧力調節構造2000とシース流体圧力調節構造1000との相違は、シース流体圧力センサを配列する位置にある。シース流体圧力調節構造2000とシース流体圧力調節構造1000との類似点は、詳細には説明されないであろう。
【0073】
図7に示されるように、シース流体圧力調節構造2000は、フローセルユニット内に配列される、シース流体圧力センサ2005を含む。したがって、シース流体圧力センサ2005におけるシース流体の圧力は、シース流体ポート23におけるシース流体の圧力P2を正確に反映することができる。シース流体圧力センサ2005によって検出される圧力が変化すると、圧力変化を表す情報が、制御ユニット40にフィードバックされ得る。制御ユニット40は、その情報に従って、圧力P1を自動的に調節するために、シース流体圧力調節装置2002を制御し、それによって、サンプルの安定的な処理または検出を確実にし得る。
【0074】
図8は、本開示のさらなる別の実施形態による、流体ユニットのシース流体圧力調節構造3000の概略図である。図8に示されるように、シース流体圧力調節構造3000は、シース流体レベルセンサ3005を含む。シース流体レベルセンサ3005は、シース流体容器T内に配列され、その中のシース流体の流体レベル、すなわち、h1を検出するために使用される。圧力P2の変化値は、シース流体レベルセンサ3005によって検出される流体レベルによって推定される。圧力P2における、その推定された変化値が、サンプルの処理に影響を及ぼすと、シース流体圧力調節装置3002は、圧力P1を自動的に調節するように制御され、それによって、サンプルの安定的な処理または検出を確実にする。
【0075】
本開示は、例示的実施形態を参照して説明されてきたが、本開示が、本文で説明および図示された特有の実施形態に限定されないことを理解されたい。請求項によって定義される範囲から逸脱することなく、当業者は、それらの例示的実施形態に種々の変更を加えることができる。矛盾がないことを前提として、種々の実施形態における各特徴は、相互に組み合わせることもできる。代替として、実施例の中のいくつかの特徴はまた、省略されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8