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  • 特許-計量装置及びその計量方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-23
(45)【発行日】2023-08-31
(54)【発明の名称】計量装置及びその計量方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/00 20060101AFI20230824BHJP
   G01C 9/18 20060101ALI20230824BHJP
【FI】
G01G23/00 D
G01C9/18 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023115976
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】館野 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】石森 智之
(72)【発明者】
【氏名】長根 吉一
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-530987(JP,A)
【文献】特開2010-78439(JP,A)
【文献】特開平4-118514(JP,A)
【文献】特開2016-38377(JP,A)
【文献】国際公開第2023/26337(WO,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2639111(FR,A1)
【文献】中国特許出願公開第111380602(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-2187892(KR,B1)
【文献】特開2001-347080(JP,A)
【文献】特開2006-153829(JP,A)
【文献】特開平11-202055(JP,A)
【文献】特開2008-256481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48,
G01C 9/00-9/36,
G01P 13/00-15/18,
G01D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量装置の水平設置の適否を示す水平器と、
重量センサと、
前記重量センサの仮想水平面にxとy、前記仮想水平面に直交する方向にzを設定して、x,yの二軸の加速度変化を検出する、複数軸加速度センサと、
前記重量センサが水平かつ基準温度下の基準位置に設置された際の前記複数軸加速度センサの前記二軸の基準出力を記憶する記憶部と、
演算処理部と、を計量装置に備え、
前記水平器は、
点灯に伴って内部を発光させる発光部を有し、
前記演算処理部は、
計量装置の設置位置において前記複数軸加速度センサに発生する前記二軸の現在出力を前記基準出力と比較し、前記複数軸加速度センサのxおよび/またはyに発生した出力変化を前記計量装置に発生した傾斜として検出し、
前記発光部は、計量装置の水平設置時における第1作動態様と、計量装置の傾斜の検出時における第2作動態様と、を切替可能に構成されたことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、
前記出力変化から前記計量装置の傾斜レベルを判定し、
前記発光部は、前記傾斜レベルに基づいて、前記第2作動態様における発光態様を徐々に変化させることを特徴とする、請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記演算処理部は、複数軸加速度センサのxおよび/またはyの出力変化Xh、Yhが、式(1)及び(2)において、傾斜レベルを決定する複数の連続する数値範囲1,2・・・nのいずれに属するかを判定し、
前記発光部は、前記出力変化Xh、Yhの属する数値範囲に対応した異なる発光態様で前記水平器を発光させることを特徴とする、請求項2に記載の計量装置。
Xh=Xout(θ)-Xout(0) 式(1)
Yh=Yout(θ)-Yout(0) 式(2)
但し、
Xout(θ):角度θで複数軸加速度センサが出力するx成分
Yout(θ):角度θで複数軸加速度センサが出力するy成分
Xout(0):複数軸加速度センサの基準出力のx成分
Yout(0):複数軸加速度センサが基準出力のy成分
【請求項4】
前記演算処理部は、前記第2作動態様において、検出された前記傾斜レベルの変化に伴って前記発光部の点滅速度を段階的に変化させることを特徴とする、請求項2に記載の計量装置。
【請求項5】
前記演算処理部は、前記第2作動態様において、検出された前記傾斜レベルの変化に伴って前記発光部の点灯強度を段階的に変化させることを特徴とする、請求項2に記載の計量装置。
【請求項6】
前記発光部は、前記水平器を異なる複数の色に発光可能な構成を有し、
前記演算処理部は、前記第2作動態様において、検出された傾斜レベルの変化に伴って、発光部を段階的に異なる色に発光させることを特徴とする、請求項2に記載の計量装置。
【請求項7】
点灯に伴って内部を発光させる発光部を有する水平器と、重量センサと、前記重量センサの仮想水平面にxとy、前記仮想水平面に直交する方向にzを設定して、x,yの二軸の加速度変化を検出する、複数軸加速度センサと、前記重量センサが水平かつ基準温度下の基準位置に設置された際の前記複数軸加速度センサの前記二軸の基準出力を記憶する記憶部と、演算処理部と、を有する計量装置を用いて、
前記演算処理部は、
計量装置の設置位置において前記複数軸加速度センサに発生する前記二軸の現在出力を取得する現在出力取得ステップと、
前記現在出力を前記基準出力と比較し、前記複数軸加速度センサのxおよび/またはyに発生した出力変化を取得する出力変化取得ステップと、
前記出力変化に基づいて計量装置に発生した傾斜の有無を検出する傾斜検出ステップと、
傾斜検出の有無に基づいて前記発光部を第1作動態様または第2作動態様のいずれかで作動させる、設置状態通知ステップと、を実行することを特徴とする、計量方法。
【請求項8】
前記演算処理部は、
前記設置状態通知ステップで、前記発光部を第2作動態様で作動させ、
前記出力変化から前記計量装置の傾斜レベルを判定する傾斜レベル判定ステップと、
判定された前記傾斜レベル毎に異なる態様であって、前記傾斜レベルの増減に伴って徐々に変化する発光態様で前記発光部を発光させる、傾斜レベル通知ステップと、を実行することを特徴とする、請求項7に記載の計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平調整の必要性をユーザーに正確に通知可能な計量装置およびその計量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図1に示すように電球によって発光する照明付の水平器を有する計量装置が開示されており、当該計量装置は、暗い場所への設置時にも水平調整を行うことが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実公昭54-32934号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の計量装置は、暗い場所においても水平調整を行うことが出来る点で便利である。しかし、従来の水平器の照明は、水泡を見やすくすることが出来たとしても、計量装置の水平調整の必要性をユーザーに注意喚起する手段としては弱く、ユーザーが水平調整を行わずに計量装置を使用して正確な計量が行われないことが問題となっていた。従って、水平調整を目的として設置された水平器が、設置された計量装置の傾斜レベルに応じた水平調整の必要性をユーザーに強く認識させることが出来れば、ユーザーによる水平調整が促進される点で望ましいと言える。
【0005】
上記課題に鑑みて、本願発明は、水平器とは別に検出した計量装置の水平状態を発光部による水平器の発光態様によってユーザーに通知可能な計量装置及びその計量方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
計量装置の水平設置の適否を示す水平器と、重量センサと、前記重量センサの仮想水平面にxとy、前記仮想水平面に直交する方向にzを設定して、x,yの二軸の加速度変化を検出する、複数軸加速度センサと、前記重量センサが水平かつ基準温度下の基準位置に設置された際の前記複数軸加速度センサの前記二軸の基準出力を記憶する記憶部と、演算処理部と、を計量装置に備え、前記水平器は、点灯に伴って内部を発光させる発光部を有し、前記演算処理部は、計量装置の設置位置において前記複数軸加速度センサに発生する前記二軸の現在出力を前記基準出力と比較し、前記複数軸加速度センサのxおよび/またはyに発生した出力変化を前記計量装置に発生した傾斜として検出し、前記発光部は、計量装置の水平設置時における第1作動態様と、計量装置の傾斜の検出時における第2作動態様と、を切替可能に構成した。
【0007】
(作用)水平器は、発光部が第1作動態様で作動した場合、例えば昼間の消灯状態や夜の第1の点灯態様に保たれることにより、計量装置が水平状態に設置されていることを示し、発光部が、第2作動態様で作動した場合、例えば、昼間であっても点灯したり、夜間に第1の点灯態様と異なる第2の点灯態様に変化することにより、計量装置が傾斜していることを示す。
【0008】
また、前記演算処理部は、前記出力変化から前記計量装置の傾斜レベルを判定し、前記発光部は、前記傾斜レベルに基づいて、前記第2作動態様における発光態様を徐々に変化させることが望ましい。
【0009】
(作用)水平器の発光態様が、計量装置の傾斜レベルに基づいて徐々に変化することにより、ユーザーに設置された計量装置の傾斜レベルを通知する。
【0010】
また、前記演算処理部は、複数軸加速度センサのxおよび/またはyの出力変化Xh、Yhが、式(1)及び(2)において、傾斜レベルを決定する複数の連続する数値範囲1,2・・・nのいずれに属するかを判定し、
前記発光部は、前記出力変化Xh、Yhの属する数値範囲に対応した異なる発光態様で前記水平器を発光させることを特徴とすることが望ましい。
【0011】
Xh=Xout(θ)-Xout(0) 式(1)
Yh=Yout(θ)-Yout(0) 式(2)
但し、
Xout(θ):角度θで複数軸加速度センサが出力するx成分
Yout(θ):角度θで複数軸加速度センサが出力するy成分
Xout(0):複数軸加速度センサの基準出力のx成分
Yout(0):複数軸加速度センサが基準出力のy成分
とする。
【0012】
(作用)演算処理部によって算出された複数軸加速度センサのxおよび/またはyの出力変化Xh、Yhから傾斜レベルが判定され、傾斜レベル毎に異なる発光態様で水平器が発光する。
【0013】
また、前記演算処理部は、前記第2作動態様において、検出された前記傾斜レベルの変化に伴って前記発光部の点滅速度を段階的に変化させることが望ましい。
【0014】
(作用)発光部による水平器の点滅速度の変化によって水平調整の悪化または良化が示される。
【0015】
また、前記演算処理部は、前記第2作動態様において、検出された前記傾斜レベルの変化に伴って前記発光部の点灯強度を段階的に変化させることが望ましい。
【0016】
(作用)発光部による水平器の点灯強度の変化によって水平調整の悪化または良化が示される。
【0017】
また、計量装置において、前記発光部は、前記水平器を異なる複数の色に発光可能な構成を有し、前記演算処理部は、前記第2作動態様において、検出された傾斜レベルの変化に伴って、発光部を段階的に異なる色に発光させることが望ましい。
【0018】
(作用)発光部による水平器の点灯色の変化によって水平調整の悪化または良化が示される。
【0019】
また、点灯に伴って内部を発光させる発光部を有する水平器と、重量センサと、前記重量センサの仮想水平面にxとy、前記仮想水平面に直交する方向にzを設定して、x,yの二軸の加速度変化を検出する、複数軸加速度センサと、前記重量センサが水平かつ基準温度下の基準位置に設置された際の前記複数軸加速度センサの前記二軸の基準出力を記憶する記憶部と、演算処理部と、を有する計量装置を用いた計量方法であって、前記演算処理部は、計量装置の設置位置において前記複数軸加速度センサに発生する前記二軸の現在出力を取得する現在出力取得ステップと、前記現在出力を前記基準出力と比較し、前記複数軸加速度センサのxおよび/またはyに発生した出力変化を取得する出力変化取得ステップと、前記出力変化に基づいて計量装置に発生した傾斜の有無を検出する傾斜検出ステップと、傾斜検出の有無に基づいて前記発光部を第1作動態様または第2作動態様のいずれかで作動させる、設置状態通知ステップと、を実行することが望ましい。
【0020】
(作用)第1作動態様で作動した発光部によって照明される水平器は、計量装置が水平状態に設置されていることを示し、第1作動態様と異なる第2作動態様で作動した発光部によってする照明される水平器は、計量装置が傾斜していることを示す。
【0021】
また、前記演算処理部は、前記設置状態通知ステップで、前記発光部を第2作動態様で作動させ、前記出力変化から前記計量装置の傾斜レベルを判定する傾斜レベル判定ステップと、判定された前記傾斜レベル毎に異なる態様であって、前記傾斜レベルの増減に伴って徐々に変化する発光態様で前記発光部を発光させる、傾斜レベル通知ステップと、を実行することが望ましい。
【0022】
(作用)水平器の発光態様が、計量装置の傾斜レベルに基づいて徐々に変化することにより、設置された計量装置の傾斜レベルをユーザーに通知する。
【発明の効果】
【0023】
計量装置によれば、水平器の発光部に生じる第1作動態様から第2作動態様への変化、例えば昼間における消灯状態から点灯状態への変化や、夜間における点灯態様の変化をユーザーに視認させ、発光部が第2作動態様で作動しているときに計量装置が傾斜状態に設置されていることを注意喚起することで、ユーザーに水平調整の必要性を強く印象づけることが出来る。
【0024】
計量装置によれば、水平調整を行うユーザーは、水平器の気泡の位置に加え、徐々に発生する発光態様の変化を視認することで傾斜レベルの変化を徐々に認識出来るため、計量装置の設置が水平に近づいているのか、更に傾斜しているのかを容易に認識することが出来る。
【0025】
また、計量装置によれば、水平調整を行うユーザーは、水平器の気泡の位置に加え、発光部による水平器の点滅速度の段階的な変化を視認することで設置された計量装置の傾斜が悪化したこと、または良化して水平に近づいたことを容易に認識することが出来る。
【0026】
また、計量装置によれば、水平調整を行うユーザーは、水平器の気泡の位置に加え、発光部による水平器の点灯強度の段階的な変化を視認することで設置された計量装置の傾斜が悪化したこと、または良化して水平に近づいたことを容易に認識することが出来る。
【0027】
また、計量装置によれば、水平調整を行うユーザーは、水平器の気泡の位置に加え、発光部による水平器の発光色の変化を視認することで設置された計量装置の傾斜が悪化したこと、または良化して水平に近づいたことを容易に認識することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態にかかる計量装置の外観を示す斜視図である。
図2】本発明の計量装置の平面図である。
図2A】本発明の計量装置の水平器近辺の縦断面図である。
図3】本発明の計量装置の全体構成に係るブロック図である。
図4】本発明の計量装置を利用した計量方法の実施例1に関するフローチャートである。
図5】本発明の計量装置を利用した計量方法の実施例2に関するフローチャートである。
図6】本発明の計量装置を利用した計量方法の実施例3に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の好適な実施形態を図1から図3により説明する。
【0030】
図1は、本発明の計量方法を実施する計量装置1の外観を示す斜視図であり、図2は、計量装置1の平面図である。計量装置1は、操作表示部2と本体部3とこれらを連結させる連結部8によって構成される。
【0031】
図1及び図2に示すように操作表示部2は、液晶画面や有機EL画面などから構成される表示部4と、複数の操作ボタン5を有する。また、本体部3は、本体ケース6と、計量皿7と、水平器9を有する。表示部4は、計量皿7に搭載した計量対象の計量値や計量結果などを表示し、計量装置複数の操作ボタン5は、それぞれの役割に基づき、表示部4の表示内容の変更や、計量装置1の計量モードの変更、計量値のリセット等、計量装置1の設定変更に利用される。本体ケース6の内側には、後述する計量機構13等が収納される。計量皿7は、計量機構13に設けられ、計量対象物を搭載される。
【0032】
水平器9は、容器の内側に1つの気泡9cを形成された状態の液体9bを容器9dに充填され、調整基準円9eを形成された透明または半透明の上面カバー9aによって上端開口部を閉塞される。また、本体部3の後端におけるケース16の内側には、水平器9を固定する収納部15が一体に設けられる。収納部15は、内周壁15d及び底部15eを備えた円柱空洞状に形成され、光拡散部15cによって上方から蓋をされている。光拡散部15cは、中央の透明な円形の透光部15bの領域を除いた全域に曇り加工を施されたアクリル樹脂等によってフランジ状に形成され、透光部15bの外周に沿って下向きに突出する円筒形の凸部15c1を一体に有する。水平器9は、収納部15の内側で底部15eの中央に固定される。上面カバー9aは、光拡散部15cの円筒形の凸部15c1の全体に接し、透光部15bから離間された状態に設置される。また、収納部15は、内周壁15dの内径より若干大きな円形のシート17によって上方から覆われる。シート17は、不透明な不透光部17aと、その中央に形成された透明な透光部17b(透光部17bは、素通し円孔としても良い)によって形成される。シート17は、透光部17bを透光部15bの外周に沿って配置され、かつ不透光部17aによって光拡散部15cを覆うように配置される。
【0033】
水平器9の気泡9cと調整基準円9eは、透光部15bおよび透光部17bを介して外部に露出する。気泡9cは、計量装置1が水平に設置されている場合に水平器9の調整基準円9eの中心に位置する。収納部15の内周壁15dには、光拡散部15cに向けて発光部であるLED10が配置される。また、収納部15の内側の底部15eには、微細な凹凸が多数形成されている。LED10による照射光L1は、凹凸のある底部15eに向けて照射され、収納部15内を乱反射する。さらに乱反射した光L2は、曇り加工を施された光拡散部15c内で透光部15bに向けて拡散され、かつシート17の不透光部17aによって上方から遮光されることで、水平器9に漏れなく照射され、気泡9cと調整基準円9eを明るく照らし出す。LED10による光は、収納部15の内側の底部15eの凹凸によって乱反射され、更に光拡散部15cを透過することによる拡散光によって水平器9の内部を照らすため、水平器9内に光の線を発生させて、気泡9cと調整基準円9eを見えにくくすることが無い。尚、LED10は、複数色の発光部を有することで発光色の切り替えが出来るように形成されることが望ましいが、単色でも良い。また、水平器9の発光部は、単色または複数色の発光可能に構成されていれば、LED10に限られず、レーザーダイオードなどの発光素子光源や、電球などを用いても良い。
【0034】
次に、図1から図3により、本発明の計量装置1の詳細な全体構成を説明する。操作表示部2は、外部に露出するように設置された表示部4及び操作ボタン5の他、内側に演算処理部11と記憶部12を有する。演算処理部11は、CPU等の演算制御装置によって構成される。表示部4、操作ボタン5及び記憶部12は、それぞれ演算処理部11に接続されて演算処理部11によって制御される。
【0035】
また、図3に示す通り、本体部3は、水平器9と、内側に計量機構13を有する。計量機構13は、電磁式の計量機構であって、重量センサ14a、ロバーバル機構14b、A/D変換器18及び複数軸加速度センサ28を有する。
【0036】
図3に示すように計量皿7は、ロバーバル機構14bに設けられ、ロバーバル機構14bは、重量センサ14aに接続される。ロバーバル機構14bは、計量皿7が受けた計量対象の荷重を重量センサ14aに伝達する機構である。重量センサ14aは、A/D変換器18を介して演算処理部11に接続され、演算処理部11の制御を受ける。
【0037】
図3に示す複数軸加速度センサ28は、設置方向、設置する高さ及び設置場所の環境温度の変化に伴って電圧変化を発生させるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサなどの静電容量式の二軸加速度センサ、または三軸加速度センサから構成され、演算処理部11に接続される。計量装置1に固定された複数軸加速度センサ28は、計量装置1を基準位置から測定現場に設置した際に生じる電圧値の変化から、x,yの二軸の重力加速度と傾斜角等の出力値を検出する。
【0038】
また、図3に示す通り、操作表示部2は、内側に演算処理部11及び記憶部12を有する。演算処理部11は、CPU等の演算処理装置等であって、現在出力取得部19,出力変化取得部20,傾斜判定部21、発光制御部22、経過時間取得部23を有する。表示部4及び操作ボタン5は、それぞれ演算処理部11に接続され、表示部4は、演算処理部11によって表示内容と、その表示または非表示を制御される。また、水平器9のLED10は、演算処理部11の発光制御部22によって点消灯と発光色の選択を制御される。
【0039】
記憶部12には、計量装置1を水平に設置した場合における、内蔵する複数軸加速度センサ28のx,yの角度の出力値であるXout(0),Yout(0)が基準出力として予め記憶される。
【0040】
次に、図4により、本実施形態にかかる計量装置による傾斜検出方法の第1実施例を説明する。ユーザーが計量装置1を測定現場に設置し、ACアダプタ(図示しない)をコンセントに挿入すると、計量装置1の演算処理部11は、現在出力取得部19によって現在出力取得ステップS1を実行し、測定現場で計測された複数軸加速度センサ28のx,yの角度に関する現在出力:Xout(θ),Yout(θ)を取得する。
【0041】
次に演算処理部11は、出力変化取得部20によって出力変化取得ステップS2を実行し、設置した場所で取得した現在出力と記憶部12から読み出した水平設置時の基準出力から、以下の式(1)および式(2)により複数軸加速度センサ28のxおよび/またはyに発生した出力変化Xh,Yhを算出する。
【0042】
Xh=Xout(θ)-Xout(0) 式(1)
Yh=Yout(θ)-Yout(0) 式(2)
続いて演算処理部11は、傾斜判定部21によって傾斜検出ステップS3を実行し、設置された計量装置1のXhおよび/またはYhが、計量装置1を水平に設置出来たと判定出来る0に近似する所定の閾値内の数値にあるか否かを検出する。具体的には、傾斜判定部21は、0≦Xh≦a0、かつ0≦Yh≦a0となった場合(a0は、水平と判断出来る限界値)、Xh及びYhの双方が閾値内の数値にあることで前記計量装置が水平に設置されているものとして判定し、また、傾斜判定部21は、Xh>a0、またはYh>a0となった場合、XhまたはYhのいずれかが閾値外の数値にあることで前記計量装置が傾斜した状態で設置されているものとして判定する。
【0043】
演算処理部11は、Xh、Yhの双方が閾値内の数値にあることで計量装置1の水平設置を検出した場合、発光制御部22によって設置状態通知ステップの1つである水平通知ステップS4を実行し、LED10を第1作動態様で作動させる。具体的には、LED10を消灯態様のままに維持し、または点灯させることにより、ユーザーに設置した計量装置1の水平調整が必要無いことを通知する。演算処理部11は、経過時間取得部23により、第1作動態様の経過時間を取得し、ユーザーが計量装置1の水平設置を十分に確認出来たと考えられる所定時間(例えば第1作動態様の開始から10秒後等)の経過後に発光制御部22によって水平通知終了ステップS5を実行してLED10の第1作動態様を終了させる。その際、発光制御部22は、第1作動態様が点灯状態の場合にLED10を消灯させる。その後、演算処理部11は、計量装置を計量可能状態に移行して、ユーザーによる計量が行われる。
【0044】
一方、演算処理部11は、傾斜検出ステップS3において、XhまたはYhが閾値外の数値にあることで計量装置1が傾斜状態で設置されたことを検出した場合、傾斜判定部21による更なる傾斜判定結果に基づき、発光制御部22によってLED10を第2作動態様で作動させる。
【0045】
具体的には、演算処理部11は、傾斜判定部21によって、設置状態通知ステップの一部である傾斜レベル判定ステップS6、S7・・・Snを順に実行し、Xh及びYhの数値のうち、いずれか大きな方の数値が、第1閾値内から第n閾値内のいずれに属するかを判定する。ここで、第1閾値から第n閾値の範囲とは、水平と判断出来る限界値a0から傾斜検出可能な限界値anまでの範囲をn等分した範囲とし、第1閾値の範囲をa0<Xh≦a1、またはa0<Yh≦a1、第2閾値の範囲をa1<Xh≦a2、またはa1<Yh≦a2・・・・第n閾値の範囲をa(n―1)<Xh≦an、またはa(n―1)<Yh≦anとする。また、設置された計量装置1の傾斜レベルは、第1閾値、第2閾値・・・第n閾値にそれぞれ対応させ、第1傾斜レベル、第2傾斜レベル・・・第n傾斜レベルとする。設置された計量装置1の傾斜は、第1傾斜レベルにおいて最小となり、傾斜レベルの数字が大きいほど傾斜がきつくなり、第n傾斜レベルで最大となる。
【0046】
演算処理部11は、傾斜レベル判定ステップS6において、傾斜判定部21により、Xh,Yhのうち、より大きな方の数値が第1閾値内であって、第1傾斜レベルと判定された場合、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS6’を実施し、LED10を第1速度で点滅させる。一方、演算処理部11は、傾斜判定部21によってXh,Yhのうち、いずれか大きな数値が第1閾値外と判定された場合、傾斜判定部21によって傾斜レベル判定ステップS7を実行させる。演算処理部11は、ステップS7において、傾斜判定部21により、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が第2閾値内であって、第2傾斜レベルと判定された場合、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS7’を実施し、LED10を第1速度よりも速い第2速度で点滅させる。一方、演算処理部11は、傾斜判定部21によってXh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が第2閾値外と判定された場合、傾斜判定部21によって次の閾値内に該当するか否かを判定するステップを実行する。このように演算処理部11の傾斜判定部21は、傾斜レベル判定ステップS6からSnを順に実施することで、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が、第1閾値内から第n閾値内のいずれに該当するかを判別することで傾斜レベルを判定し、発光制御部22が、対応する傾斜レベル通知ステップを実行することで傾斜レベルに対応した速度でLED10を点滅させる。演算処理部11は、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が、計量装置1の傾斜レベルが最大の第n傾斜レベルに達した場合(傾斜レベル判定ステップSn)、発光制御部22によってステップSn’を実施し、LED10を最も速い第n速度で点滅させる。
【0047】
実施例1においては、LED10によって光る水平器9の点滅速度は、傾斜レベルが上がるほど速くなり、第1速度(最も遅い)<第2速度(第1速度より若干速い)<・・・・<第n-1速度(第n速度より若干遅い)<第n速度(最も速い)というように、設置された計量装置1の傾斜が大きくなるほど点滅する速度が速くなる。
【0048】
ユーザーは、LED10による水平器9の点滅速度を視認し、点滅速度が速いほど計量装置1の傾斜が大きいことを強く意識させられることによって水平調整を促進される。計量装置1の演算処理部11は、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS6’、S7’・・・Sn’のいずれかを実行後、ユーザーの水平調整に基づいて傾斜判定部によるステップS3を繰り返し実行し、傾斜の判定がされる限り、傾斜レベル判定ステップS6からSnまでの判定と、傾斜レベル通知ステップS6’からSn’までのいずれかの速度によるLED10の点滅を繰り返す。LED10の点滅速度は、ユーザーによる水平調整の悪化または良化に基づいて徐々に変化するため、ユーザーは、LED10の点滅速度の増加によって水平調整がより悪化したことと、点滅速度の減少により、水平調整が良化して水平に近づいたことを認識出来る。
【0049】
演算処理部11の傾斜判定部21は、ユーザーの水平調整によってXh、Yhの双方が閾値内の数値にあることを検出した場合、計量装置1が水平に設置し直されたものと判定し、発光制御部22によって水平通知ステップS4を実行し、LED10を第1作動態様で作動させる。その際、LED10は、点滅状態から消灯状態に移行し、または点灯状態に移行し、ユーザーに設置した計量装置1の水平調整が完了したことを通知する。演算処理部11は、所定時間経過後に発光制御部22によって水平通知終了ステップS5を実行してLED10の第1作動態様を終了させ、計量装置を計量可能状態に移行させることで、ユーザーによる計量が行われる。
【0050】
尚、実施例1においては、電源投入直後における水平器9の点滅速度によって、水平調整の必要性がユーザーに示される。ユーザーは、水平器9の点滅速度が速いほど計量装置1が傾いて設置されたことを強く意識付けられることで、水平調整を促進される。尚、計量装置1においては、LED10の第2作動態様で、傾斜レベルが第1傾斜レベルから第n傾斜レベルまで大きくなるほど、対応するLEDの点滅速度を遅くしても良い。この場合、傾斜レベルが良化するほど段階的にLEDの点滅速度が速くなることにより、ユーザーに水平調整の終わりが近づいていることを認識させることが出来る。
【0051】
次に、図5により、本実施形態にかかる計量装置による傾斜検出方法の第2実施例を説明する。第2実施例の傾斜検出方法は、水平通知ステップS4におけるLED10の第1作動態様と、第2作動態様における傾斜レベル通知ステップS6’’、S7’’・・・Sn’’におけるLED10の点消灯態様が異なる他、第1実施例と共通する手段を実施する。実施例2の水平通知ステップS4において、第1作動態様で作動するLED10は、消灯状態または点滅状態に維持される。また、実施例1のLED10の第2作動態様においては、Xh,Yhのうちより大きな方の数値から判定される計量装置1の傾斜レベルが大きくなるほど、LED10の点滅速度を増加させることによってユーザーに傾斜レベルの良化または悪化を通知していたが、実施例2の第2作動態様においては、傾斜レベルが大きくなるほど、LED10の発光強度を段階的に大きくしている。
【0052】
実施例2においては、具体的に第2作動態様において以下の処理を行う。まず、演算処理部11は、傾斜判定部21によって、傾斜レベル判定ステップS6、ステップS7・・・ステップSnまでを順に実行し、Xh及びYhの数値のうち、いずれか大きな方の数値が、第1閾値内から第n閾値内のいずれに属するかを判定する。第1閾値から第n閾値の範囲及び対応する第1傾斜レベルから第n傾斜レベルは、実施例1と同一である。演算処理部11は、傾斜レベル判定ステップS6において、傾斜判定部21により、Xh,Yhのうち、より大きな方の数値が第1閾値内であって、第1傾斜レベルと判定された場合、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS6’’を実施し、LED10を第1強度で点灯させる。一方、演算処理部11は、傾斜判定部21によってXh,Yhのうち、いずれか大きな数値が第1閾値外と判定された場合、傾斜判定部21によって傾斜レベル判定ステップS7を実行させる。演算処理部11は、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が第2閾値内であって、第2傾斜レベルと判定された場合、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS7’’を実施し、LED10を第1強度よりも明るい第2強度で点灯させる。
【0053】
一方、演算処理部11は、傾斜判定部21によってXh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が第2閾値外と判定された場合、傾斜判定部21によって次の閾値内に該当するか否かを判定する傾斜レベル判定ステップを実行する。このように演算処理部11の傾斜判定部21は、傾斜レベル判定ステップS6からSnを順に実施することで、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値から設置された計量装置1の傾斜レベルを判定し、発光制御部22が、傾斜レベルに対応した傾斜レベル通知ステップを実行することで、明るさでLED10を点灯させる。演算処理部11は、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が、計量装置1の傾斜レベルが最大の第n傾斜レベルに達した場合(ステップSn)、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップSn’’を実施し、LED10を最も明るい第n強度で点灯させる。
【0054】
実施例2においては、第1強度(点灯しているものの最も暗い)<第2強度(第1強度より若干明るい)<・・・・<第n-1強度(第n強度より若干暗い)<第n強度(最も明るい)というように、設置された計量装置1の傾斜が大きくなるほどLED10が明るく点灯する。ユーザーは、LED10によって照明される水平器9の明るさを視認し、水平器が明るく照らされる程、計量装置1の傾斜が大きいことを強く意識させられることによって水平調整を行う。計量装置1の演算処理部11は、発光制御部22によってステップS6’’、S7’’・・・Sn’’のいずれかを実行後、ユーザーの水平調整に伴って傾斜検出ステップS3を傾斜判定部21によって繰り返し実行し、傾斜の判定がされる限り、傾斜レベル判定ステップS6からSnまでの判定と、傾斜レベル通知ステップS6’’からSn’’までのいずれかの強度(明るさ)によるLED10の点灯を繰り返す。LED10の明るさは、ユーザーの水平調整の悪化または良化に基づいて徐々に変化するため、ユーザーは、LED10の照射強度が増加して明るくなるほど水平調整がより悪化していることと、照射強度の減少によって暗くなるほど、水平調整が良化して水平に近づいたことを認識出来る。
【0055】
演算処理部11の傾斜判定部21は、ユーザーの水平調整によってXh、Yhの双方が閾値内の数値にあることを検出した場合、計量装置1が水平に設置し直されたものと判定し、発光制御部22によって水平通知ステップS4を実行し、LED10を第1作動態様で作動させる。その際、発光制御部22は、水平通知終了ステップS5を実行することでLED10を消灯状態または点滅状態に移行し。ユーザーに設置した計量装置1の水平調整が完了したことを通知する。演算処理部11は、所定時間経過後に発光制御部22によって水平通知終了ステップS5を実行してLED10の第1作動態様を終了させ、計量装置を計量可能状態に移行させることで、ユーザーによる計量が行われる。
【0056】
次に、図6により、本実施形態にかかる計量装置による傾斜検出方法の第3実施例を説明する。第3実施例の傾斜検出方法は、水平通知ステップS4におけるLED10の第1作動態様と、第2作動態様における傾斜レベル通知ステップS6’’’、S7’’’・・・Sn’’’’におけるLED10の点消灯態様が異なる他、第1実施例と共通する手段を実施する。実施例3の水平通知ステップS4において、第1作動態様で作動するLED10は、複数色の点灯が可能に構成され、一例として緑色に点灯した状態に維持される。また、実施例3の第2作動態様においては、最も小さな第1傾斜レベルにおいて、LED10が黄色(第1色)に点灯し、傾斜レベルが増加するほどLED10は、黄色に赤みが強く加えられたオレンジ色(第2色から第n-1色)に点灯し、最も大きな第n傾斜レベルにおいて、LED10が赤色(第n色)に点灯するようにしている。
【0057】
実施例3においては、具体的に第2作動態様において以下の処理を行う。まず、演算処理部11は、傾斜判定部21によって、傾斜レベル判定ステップS6、ステップS7・・・ステップSnまでを順に実行し、Xh及びYhの数値のうち、いずれか大きな方の数値が、第1閾値内から第n閾値内のいずれに属するかを判定する。第1閾値から第n閾値の範囲及び対応する第1傾斜レベルから第n傾斜レベルは、実施例1と同一である。演算処理部11は、傾斜レベル判定ステップS6において、傾斜判定部21により、Xh,Yhのうち、より大きな方の数値が第1閾値内であって、第1傾斜レベルと判定された場合、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS6’’’を実施し、LED10を黄色(第1色)に点灯させる。一方、演算処理部11は、傾斜判定部21によってXh,Yhのうち、いずれか大きな数値が第1閾値外と判定された場合、傾斜判定部21によって傾斜レベル判定ステップS7を実行させる。演算処理部11は、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が第2閾値内であって、第2傾斜レベルと判定された場合、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS7’’’を実施し、LED10を黄色にわずかな赤みを加えたオレンジ色(第2色)に点灯させる。
【0058】
一方、演算処理部11は、傾斜判定部21によってXh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が第2閾値外と判定された場合、傾斜判定部21によって次の閾値内に該当するか否かを判定する傾斜レベル判定ステップを実行する。演算処理部11の傾斜判定部21は、傾斜レベル判定ステップS6からステップSnを順に実施することで、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値から設置された計量装置1の傾斜レベルを判定し、傾斜レベル(第1傾斜レベルから第n傾斜レベル)に対応した色(第1色から第n色)でLED10を発光させる。具体的には、演算処理部11の発光制御部22は、傾斜レベルの上昇につれて、LED10を黄色(第1傾斜レベル)から、傾斜レベルが1上がる毎に徐々に赤みを強くしたオレンジ色(第2傾斜レベルから第n-1傾斜レベル)で発光するようにLED10を制御する。そして、演算処理部11の発光制御部22は、Xh,Yhのうち、いずれか大きな方の数値が、計量装置1の傾斜レベルが最大の第n傾斜レベルに達した場合(ステップSn)、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップSn’’を実施し、LED10を赤色(第n傾斜レベル)に点灯させる。
【0059】
実施例3においては、第1色(黄色)<第2色(黄色に若干赤みを加えたオレンジ色)<第3色(第2色よりも更に若干赤みが強いオレンジ色)・・・・<第n-1色(赤よりも若干赤みの弱いオレンジ色)<第n色(赤色)というように、設置された計量装置1の傾斜が大きくなるほどLED10が黄色から赤みの強いオレンジ色に点灯し、最大傾斜時に赤色に点灯する。ユーザーは、LED10によって照明される水平器9の発光色が、傾斜レベルの増加に伴って黄色から段階的に赤みを強め、オレンジ色から赤みまで変化することを視認し、オレンジ色の赤みが強いほど、計量装置1の傾斜が大きいことを強く意識させられることによって水平調整を促進される。計量装置1の演算処理部11は、発光制御部22によって傾斜レベル通知ステップS6’’’、S7’’’・・・Sn’’’のいずれかを実行後、ユーザーの水平調整に伴って傾斜検出ステップS3を傾斜判定部21によって繰り返し実行し、傾斜の判定がされる限り、傾斜レベル判定ステップS6からSnまでの判定と、傾斜レベル通知ステップS6’’’からSn’’’までのいずれかの色によるLED10の点灯を繰り返す。LED10の発光色は、ユーザーの水平調整の悪化または良化に基づいて徐々に変化するため、ユーザーは、LED10の発光色がオレンジ色から赤色に近づくほど水平調整がより悪化していることと、LED10の発光色がオレンジ色から黄色に近づくほど水平調整が良化して水平に近づいたことを認識出来る。
【0060】
演算処理部11の傾斜判定部21は、ユーザーの水平調整によってXh、Yhの双方が閾値内の数値にあることを検出した場合、計量装置1が水平に設置し直されたものと判定し、発光制御部22によって水平通知ステップS4を実行し、LED10を第1作動態様で作動させる。その際、発光制御部22は、LED10の発光色を黄色から緑色の点灯状態に変化させることで、ユーザーに設置した計量装置1の水平調整が完了したことを通知する。演算処理部11は、所定時間経過後に発光制御部22によって水平通知終了ステップS5を実行してLED10の第1作動態様を終了(緑色の発光を消灯)させ、計量装置を計量可能状態に移行させることで、ユーザーによる計量が行われる。
【0061】
尚、実施例3においては、LED10の発光色を第1作動態様時に緑とし、第2作動態様時に黄色から赤色へオレンジ色が徐々に変色するように3色以上設けているが、LED10の発光色は、第1作動態様時の緑1色と、第2作動態様時に黄色と赤色の2色の合計3色とし、第2作動態様において、傾斜が大きいときに赤色発光とし、傾斜が小さいときに黄色発光とするシンプルな態様としてもよい。また、LED10の発光色は、緑、黄色、赤に限られず、多種多様な色を組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0062】
1 計量装置
7 計量皿
11 演算処理部
12 記憶部
28 複数軸加速度センサ
S1 現在出力取得ステップ
S2 出力変化取得ステップ
S3 傾斜検出ステップ
S4 設置状態通知ステップの1つである水平通知ステップ
S6からSn 傾斜レベル判定ステップ
S6’’からS7’’ 傾斜レベル通知ステップ
S6’’’からS7’’’ 傾斜レベル通知ステップ
Xout(0),Yout(0) 基準出力
Xout(θ),Yout(θ) 現在出力
【要約】
【課題】本発明は、水平調整の必要性をユーザーに正確に通知可能な計量装置の提供。
【解決手段】水平器9と、重量センサ14aと、重量センサ14aの仮想水平面にxとyを設定して、x,yの二軸の加速度変化を検出する、複数軸加速度センサ28と、重量センサ14aが水平かつ基準温度下の基準位置に設置された際の複数軸加速度センサ28の二軸の基準出力を記憶する記憶部12と、演算処理部11と、を計量装置1に備え、水平器9は、点灯時に内部を発光させる発光部10を有し、演算処理部11は、計量装置1の設置位置において複数軸加速度センサ28に発生する現在出力を基準出力と比較し、複数軸加速度センサ28のxおよび/またはyに発生した出力変化を計量装置1に発生した傾斜として検出し、発光部10は、計量装置1の水平設置時における第1作動態様と、傾斜の検出時における第2作動態様と、を切替可能に構成される。
【選択図】図3
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6