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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】天井扇風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
F04D27/00 101R
F04D27/00 U
F04D27/00 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020532231
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2019025284
(87)【国際公開番号】W WO2020021943
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2018141197
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】安北 理人
(72)【発明者】
【氏名】築比地 浩
(72)【発明者】
【氏名】北浦 理
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】小瀬戸 順平
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/042696(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056198(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F04D 25/00
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に固定されるシャフトと、
前記シャフトに固定されるDCモータと、
前記DCモータによって回転する羽根と、
商用電源から前記DCモータに電力を供給する電源入力部と、を備え、
前記DCモータにおける電流値を検出する電流検出部と、
前記DCモータの回転数を制御する回転数調整部と、
前記DCモータの前記回転数を変更させる場合において、変更後の前記回転数が、前記電源入力部から前記DCモータに供給される電力値の上限である規定値となる所定数以上になるか否かを判定する回転制御判定部と、
前記回転制御判定部が肯定的な判定を行った場合に、前記電流検出部により検出された前記電流値と変更後の前記回転数に対応する目標電流値とに基づいて、前記回転数調整部に前記DCモータの前記回転数を制御させる電流増減判定部と、を備えることを特徴とする天井扇風機。
【請求項2】
前記天井扇風機は、さらに
前記電源入力部に供給される電圧値を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部によって検出された前記電圧値に基づいて、前記DCモータに供給される前記電力値が前記規定値を超えないように、前記電流増減判定部における前記目標電流値を補正させる電流補正部と、を備え、
前記電流増減判定部は、前記電流検出部により検出された前記電流値と補正された目標電流値との差に基づいて前記回転数調整部に前記DCモータの前記回転数の増減を指示することを特徴とする請求項に記載の天井扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は天井扇風機に関するものである
【背景技術】
【0002】
従来、モータに取り付けられた羽根の回転を制御する装置として、現在の羽根の回転数を検出し、目標回転数との差分に応じて回転数を調整するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
以下、一般的な天井扇風機に関して説明する。
【0004】
一般的な天井扇風機は、中心をシャフトで軸支される外転型のDCモータと、このDCモータに固定される羽根とで構成されている。シャフトには電源入力部が通っており、電源入力部は、DCモータ上部にある回転制御部に商用電源からの電源を供給している。DCモータ上部にある回転制御部は、電源入力部から供給される電源を用いてDCモータを回転させる。また、電源は天井扇風機が設置されている付近の壁に取り付けられた壁スイッチを介して供給されている。DCモータが回転することによって天井側から鉛直下方向へ向かって風を供給する。
【0005】
また、図5を用いて一般的な天井扇風機1000の回転数を調整する方法について説明する。
【0006】
図5は、天井扇風機1000の回転制御を行うための構成を示したブロック図である。
【0007】
図5に示すように、天井扇風機1000は、DCモータ1002、受信部1007、回転制御部1005を有する。回転制御部1005は、リモコン1006からの所定の回転数で回転させる指示である運転モード信号を、受信部1007を介して受け、DCモータ1002の回転を制御する。回転制御部1005は、DCモータ1002の回転を制御する回転数一定制御部1009を備えている。回転数一定制御部1009は、回転数検出部1010と回転数設定部1011とを備えている。回転数検出部1010は、DCモータ1002の現在の回転数を検出して、回転数設定部1011に出力している。回転数設定部1011は、回転数設定部1011に設定された回転数と、回転数検出部1010から受信したDCモータ1002の現在の回転数とを比較し、回転数差に応じて加減速の指示を回転数調整部1015へ出力する。そして、回転数調整部1015は、回転数設定部1011から出力された加減速の指示に基づいてDCモータ1002の回転数を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2016/136219号
【発明の概要】
【0009】
このように、従来の一般的な天井扇風機では、DCモータの回転数のみを制御する。この場合、天井扇風機の設置環境、例えば天井扇風機と天井との距離によって、DCモータにかかる負荷が異なるため、設置環境毎にDCモータに印加される電力が異なってしまう。即ち、設置環境毎にDCモータにかかる負荷及び消費電力が異なるため、特に、天井扇風機を最大風量付近で運転させた場合に、DCモータにかかる負荷及び消費電力が規定値を超えてしまう場合がある。
【0010】
本発明は、設置環境によらず、最大風量付近で運転させた場合にも、モータにかかる負荷及び消費電力の増大を抑制することが可能な天井扇風機を提供することを目的とする。
【0011】
本発明に係る天井扇風機は、天井に固定されるシャフトと、シャフトに固定されるDCモータと、DCモータによって回転する羽根と、商用電源からDCモータに電力を供給する電源入力部と、を備え、DCモータにおける電流値を検出する電流検出部と、DCモータの回転数を制御する回転数調整部と、DCモータの回転数を変更させる場合において、変更後の回転数が、電源入力部からDCモータに供給される電力値の上限である規定値となる所定数以上になるか否かを判定する回転制御判定部と、回転制御判定部が肯定的な判定を行った場合に、電流検出部により検出された電流値と変更後の回転数に対応する目標電流値とに基づいて、回転数調整部にDCモータの回転数を制御させる電流増減判定部と、を備える。
【0012】
本発明によれば、回転数が回転数未満の場合には、回転数調整部によってDCモータの回転を制御し、所定の回転数以上の場合には、電流値によってDCモータの回転を制御することで、設置環境によらず、最大風量付近で運転させた場合にも消費電力の増大を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る天井扇風機の概略断面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1に係る天井扇風機の制御のブロック図である。
図3図3は、本発明の実施の形態2に係る天井扇風機の制御のブロック図である。
図4図4は、本発明の実施の形態2に係る天井扇風機の概略回路図である。
図5図5は、従来技術に係る天井扇風機の制御のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための天井扇風機を例示するものであって、本発明は天井扇風機を以下のものに特定しない。また、請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る天井扇風機100は、天井に固定されるシャフト1と、シャフト1に固定されるDCモータ2と、DCモータ2によって回転する複数の羽根3と、商用電源18からDCモータ2に電力を供給する電源入力部4と、DCモータ2における電流値を検出する電流検出部13と、DCモータ2の回転数を制御する回転数調整部15と、を備える。これにより、回転数が所定の回転数未満の場合には、回転制御部5によってDCモータ2の回転を制御し、所定の回転数以上の場合には、電流値によってDCモータ2の回転を制御することが可能となる。そのため、設置環境によらず、最大風量付近で運転させた場合にも消費電力を一定に保つことができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明の他の実施の形態に係る天井扇風機100aは、さらに電源入力部4に供給される電圧値を検出する電圧検出部16と、電圧検出部16によって検出された電圧値に基づいて、DCモータ2に供給される電力値が所定の電力値となるように電流値を補正する電流補正部17と、を備える構成としても良い。
【0017】
これにより、電流補正部17によって補正された目標電流値によってDCモータ2の回転を制御することで、仕向け地の電圧によらず、消費電力を一定に保つことが出来るという効果を奏する。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る天井扇風機100の概略構成図である。なお、以下では、図1に示すように、天井扇風機100が天井に設置された状態における上部、即ち天井側を単に「上部」と記載している。また同様に、天井扇風機100が天井に設置された状態における下部、即ち床側を単に「下部」と記載している。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態における天井扇風機100は、天井に天井扇風機100を固定するためのシャフト1を備えている。シャフト1の天井側の端部には、天井と固定するための金具が設けられており、金具によってシャフト1と天井とが固定されている。また、図1に示すように、シャフト1に連結された天井扇風機100の本体(以下、単に「本体」という)の内部にDCモータ2が内蔵され、DCモータ2の回転によって回転する複数の羽根3が本体の下部に設けられている。また、図1に示すように、DCモータ2へ商用電源18(図4参照)からの電力を供給する電源入力部4は、天井の内部を通り、シャフト1を介して本体内部のDCモータ2へ電力を供給している。さらに、DCモータ2の回転数を制御する回転制御部5が本体内部に設けられている。
【0020】
また、風速を指示するための電子端末装置としてのリモコン6は、ユーザ操作に応じて所定の運転モード信号を発信する。運転モード信号は天井扇風機100を、ユーザが指示する風速に対応する所定の回転数で回転させる指示である。図1に示すように、天井扇風機100の下部には受信部7があり、受信部7はリモコン6から発信された運転モード信号を受信する。
【0021】
図2は、天井扇風機100の回転制御を行うための構成を示したブロック図である。図2に示すように、天井扇風機100の回転制御部5は回転制御判定部8、回転数一定制御部9及び電流一定制御部12を備えている。回転制御判定部8は、リモコン6から受信部7を介して受信した運転モード信号が低回転でDCモータ2を回す指示か高回転でDCモータ2を回す指示かを判定し、判定結果に応じて回転数一定制御部9と電流一定制御部12とのいずれかに制御を行わせる。具体的には、運転モード信号が低回転でDCモータ2を回す指示であると判定した場合には、回転数一定制御部9に後述する回転数一定制御を行わせる。また、運転モード信号が高回転でDCモータ2を回す指示であると判定した場合には、電流一定制御部12に後述する電流一定制御を行わせる。ここで、ある運転モード信号を、低回転でDCモータ2を回す指示と判定するか、高回転でDCモータ2を回す指示と判定するかは、DCモータ2の回転数が所定数以上となるか否かにより判定される。この所定数は、例えば天井扇風機100の消費電力に応じて予め設定されていてもよい。この場合、ある運転モード信号によりDCモータ2を回した場合の天井扇風機100の消費電力が規定値未満になる場合には、低回転でDCモータ2を回す指示となるように設定される。また、天井扇風機100の設置状況によって消費電力が規定値以上になる場合には、高回転でDCモータ2を回す指示となるよう設定される。
【0022】
ここで、回転数一定制御部9は、回転数検出部10と回転数設定部11とを備えている。回転数検出部10は、DCモータ2の現在の回転数を検出して、回転数設定部11に出力している。回転数設定部11は、回転数設定部11に設定された目標回転数と、回転数検出部10から受信したDCモータ2の現在の回転数とを比較し、回転数差に応じて加減速の指示を回転数調整部15へ出力する。
【0023】
また、電流一定制御部12は、電流検出部13と電流増減判定部14とを備えている。電流検出部13は、DCモータ2の現在の出力電流値を検出し、検出した出力電流値の変換値を電流増減判定部14に出力する。電流増減判定部14は、電流増減判定部14に設定された目標電流値と、電流検出部13から受けた出力電流値とを比較し、目標電流値と出力電流値との差に応じて回転数調整部15へ加減速の指示を出力する。
【0024】
回転数調整部15は、回転数設定部11及び電流増減判定部14からの指示を基にDCモータ2の回転数の増減を変更する。例えば、現在の回転数が目標回転数と比較して大きい場合及び出力電流値が目標電流値と比較して大きい場合に、回転数調整部15は回転数を減らすようDCモータ2を制御する。また、現在の回転数が目標回転数と比較して小さい場合及び出力電流値が目標電流値と比較して小さい場合に、回転数調整部15は回転数を増やすようDCモータ2を制御する。
【0025】
本実施の形態の天井扇風機100の運転について低回転運転と高回転運転とに分けて説明する。
【0026】
まずは、低回転運転について、図2を用いて説明する。回転制御部5は、低回転運転時にはDCモータ2の回転数を一定に保つ制御である回転数一定制御を行なう。回転数一定制御は、回転制御判定部8と回転数一定制御部9(回転数検出部10及び回転数設定部11)と回転数調整部15とが協調して動作することで実現される。
【0027】
回転数一定制御の詳細について説明する。回転制御部5が低回転運転を選択している場合、即ち、リモコン6から受信部7を介して受信した運転モード信号が低回転でモータを回す指示であると回転制御判定部8が判定した場合に、回転数一定制御部9は回転数一定制御を行なう。回転数設定部11には運転モードに応じた目標回転数が設定されている。ここで、例えば回転数設定部11には運転モードに応じた目標回転数が記憶されており、受信部7を介して受信した運転モード信号に基づいて対応する目標回転数が設定される。また、回転数検出部10は、DCモータ2の現在の回転数を検出する。回転数設定部11は、回転数検出部10が検出した回転数と回転数設定部11に設定されている目標回転数を比較し、回転数差に応じて加減速の指示を回転数調整部15へ出力する。即ち、現在の回転数が目標回転数より小さければ、回転数設定部11は回転数調整部15にモータ出力の増加を指示する。逆に、現在の回転数が目標回転数より大きければ、回転数設定部11は、回転数調整部15にモータ出力の減少を指示する。そして、回転数調整部15によって回転数を調整したDCモータ2の回転数を再度、回転数検出部10が検出し、回転数設定部11からの指示に基づいて回転数調整部15がDCモータ2の回転数の調整を繰り返すことで回転数を一定に保つ制御が行なわれている。以上の制御を行うことで、回転数一定制御を実現している。
【0028】
上記の回転数一定制御の課題について、以下に説明する。
【0029】
天井扇風機100は、シャフト1の長さを変えることで、床から天井扇風機100までの距離を設置環境に応じて調整することができる。例えば、シャフト1を短くすることで天井扇風機100と天井との距離が短くなる。天井扇風機100と天井との距離が短くなることで、天井扇風機100の羽根3によって送風される空気の粘性摩擦が増加し、同一の回転数であっても、回転に要する負荷が大きくなり、モータの消費電力も大きくなる。したがって、天井扇風機100の設置環境によって、モータにかかる負荷が異なるため、設置環境毎にモータに印加される電力が異なっていた。このように、設置環境毎によってはモータにかかる負荷及び消費電力が大きくなる。そのため、特に、天井扇風機100を最大風量付近で運転させた場合に、DCモータ2にかかる負荷及び消費電力が規定値を超えてしまうという課題を有していた。ここでいう規定値とは、例えばDCモータ2にかけることが可能な負荷及び消費電力の上限となる値である。
【0030】
本発明では、上記の課題を解決するために、設置環境によって、消費電力の規定値を超えるおそれがある高回転時に、天井扇風機100が電流一定制御を行なうことで、負荷及び消費電力を一定に保つよう制御する。
【0031】
以下、高回転運転について、図2を用いて説明する。
【0032】
回転制御部5は、高回転運転時には、DCモータ2に流れる出力電流値を検出し、一定に保つ制御である電流一定制御を行なう。電流一定制御は、回転制御判定部8と電流一定制御部12(電流検出部13及び電流増減判定部14)と回転数調整部15とが協調して動作することで実現される。
【0033】
電流一定制御の詳細について説明する。
【0034】
回転制御部5が高回転運転を選択している場合、即ち、リモコン6から受信部7を介して受信した運転モード信号が高回転でモータを回す指示であると回転制御判定部8が判定した場合に、電流一定制御部12は電流一定制御を行なう。ここで、電流増減判定部14には運転モードに応じた目標電流値が設定されている。例えば電流増減判定部14には運転モードに応じた目標電流値が記憶されており、受信部7を介して受信した運転モードに基づいて対応する目標電流値が設定される。なお、この目標電流値は、上記の消費電力の規定値を超えないように、設定されている。
【0035】
電流検出部13は、DCモータ2の現在の電流値を検出する。ここで電流検出部13の実現方法の一例を以下に説明する。
【0036】
DCモータ2の出力電流を検出する方法としては、例えば図4に示すようなシャント抵抗25を用いた方法がある。なお、図4は、実施の形態2に係る天井扇風機100aの概略回路図であるが、DCモータ2の出力電流を検出する方法については実施の形態1に係る天井扇風機100も同様であるため、図4を用いて説明する。
【0037】
図4に示す抵抗値の低いシャント抵抗25を電流が流れることにより、シャント抵抗25の両端に電流に比例した電圧差が発生する。この電圧値を読み取り、オペアンプ23によって増幅する。増幅した値をマイクロコンピュータ24で読み取ることでDCモータ2の電流値を検出する。
【0038】
電流増減判定部14は、電流検出部13が検出したDCモータ2の現在の電流値と電流増減判定部14に設定されている目標電流値を比較し、その差に応じて加減速の指示を回転数調整部15に出力する。即ち、現在の電流値が設定された目標電流値より小さければ、電流増減判定部14は回転数調整部15にモータ出力の増加を指示する。逆に、現在の電流値が設定された目標電流値より大きければ、電流増減判定部14は回転数調整部15にモータ出力の減少を指示する。そして、回転数調整部15によって回転数を調整したDCモータ2の電流値を再度、電流検出部13が検出し、電流増減判定部14からの指示に基づいて回転数調整部15がDCモータ2の回転数の調整を繰り返すことで電流値を一定に保つ制御が行なわれている。以上の制御が電流一定制御である。したがって、天井扇風機100の設置環境によって、モータにかかる負荷及び消費電力が異なる場合であっても、回転制御部5の電流一定制御により、DCモータ2の出力電流を一定に維持し、DCモータ2の消費電力を一定にすることができる。
【0039】
このように、上記の電流一定制御では、同じ電源電圧である場合において、天井扇風機100の設置環境、即ち天井扇風機100と天井との間の距離が異なっていてもDCモータ2の負荷及び消費電力を一定にすることができる。
【0040】
(実施の形態2)
実施の形態1では、電源電圧が一定であることを前提として、DCモータ2に印加される電流を制御することで、設置環境によらず、DCモータ2の消費電力を一定にできる天井扇風機100を説明した。
【0041】
しかしながら、電源電圧が一定でない場合、即ち、電源電圧が異なる地域で天井扇風機が使用された場合、DCモータ2に印加される電圧はそれぞれ異なることになる。天井扇風機に異なる電源電圧が印加された場合においては、電流制御のみでは、DCモータ2の負荷及び消費電力を一定にすることが困難である。例えば、マレーシアの電源電圧は240Vであり、ベトナムの電源電圧は220Vである。したがって、実施の形態1で説明した電流一定制御のみでは、マレーシアの電源電圧240Vで使用した場合の方が、ベトナムの電源電圧220Vで使用した場合よりも、DCモータ2の消費電力が大きくなってしまう。即ち、電圧が異なる地域それぞれで使用する場合に、DCモータ2に印加される電流のみを制御したのでは、DCモータ2の消費電力を一定にすることができないという課題がある。
【0042】
そこで、実施の形態2では、DCモータ2に供給される電力を制御することで、電源入力部4に印加される電源電圧が異なる場合においても、DCモータ2における消費電力を一定にすることができる天井扇風機100aを説明する。なお、以下では、この制御を電力一定制御という。
【0043】
電力一定制御とは、実施の形態1で説明した電流一定制御に加え、電源電圧を検出し、電源電圧とDCモータ2の出力電流のバランスを一定に保つことで電源電圧に依らず天井扇風機100aの消費電力を一定に保つ制御である。
【0044】
まず、実施の形態2に係る天井扇風機100aの構成について、実施の形態1に係る天井扇風機100と異なる点を中心に図3を用いて説明する。
【0045】
実施の形態2に係る天井扇風機100aは、実施の形態1に係る天井扇風機100の回転制御部5に代えて、回転制御部5aを備える。
【0046】
回転制御部5aは、実施の形態1に係る電流一定制御部12に代えて、電力一定制御部12aを有する。電力一定制御部12aは、回転制御判定部8により運転モード信号が高回転でDCモータ2を回す指示であると判定された際に、電力一定制御を行う。電力一定制御部12aは、実施の形態1に係る電流検出部13に加え、電流増減判定部14aと電圧検出部16と電流補正部17とを有している。
【0047】
電圧検出部16は電源入力部4に入力された電源電圧を検出し、電源電圧の変換値を電流補正部17に出力する。また、電流補正部17は、電圧検出部16から出力された電源電圧の変換値を受信し、受信した電源電圧の変換値によって電流増減判定部14aに目標電流値を変更するように指示を送る。
【0048】
電流増減判定部14aは、電流補正部17から受けた指示に基づいて目標電流値を変更する点で、実施の形態1に係る電流増減判定部14と異なる。電流増減判定部14aは、目標電流値(電流補正部17からの指示があった場合には変更後の目標電流値)と、電流検出部13から受けた出力電流値とを比較し、目標電流値と出力電流値との差に応じて回転数調整部15へ加減速の指示を出力する点は、実施の形態1に係る電流増減判定部14と同様である。回転数調整部15は、回転数設定部11及び電流増減判定部14aからの指示を基にDCモータ2の回転数の増減を変更する。例えば、出力電流値が目標電流値と比較して大きい場合、電流増減判定部14aは、回転数調整部15へ減速の指示を送信する。そして、回転数調整部15は、回転数を減らすようDCモータ2を制御する。また、出力電流値が目標電流値と比較して小さい場合、電流増減判定部14aは、回転数調整部15へ加速の指示を送信する。そして、回転数調整部15は、回転数を増やすようDCモータ2を制御する。
【0049】
次に、図4を用いて、回転制御部5aの回路構成を説明する。
【0050】
図4に示すように、回転制御部5aは、ダイオードブリッジ20、DC電源21、レギュレータ(REG)22、オペアンプ23、マイクロコンピュータ(マイコン)24、シャント抵抗25、モータ制御IC26を有する。マイクロコンピュータ(マイコン)24は、各ポートに入力される信号を受信して、DCモータ2を制御する指示を出力する。モータ制御集積回路(IC)26は、DCモータ2の回転を制御する。また、モータ制御IC26は、DCモータ2の回転数を検出し、マイコン24に出力する。シャント抵抗25はDCモータ2の出力電流を電圧に変換する。オペアンプ23は電源電圧とモータ出力電流を受け取ってマイコン24へ各値を変換して出力する。
【0051】
なお、図3に示した回転数検出部10、電流検出部13、電圧検出部16は、図4に示したモータ制御IC26によってその機能を実現している。また、図3に示した回転数設定部11、電流増減判定部14a、電流補正部17は、図4に示したマイコン24によって、その機能を実現している。
【0052】
ここで、電源電圧を検出する方法の一例を、図4を用いて説明する。
【0053】
商用電源18から入力されたAC電源電圧19は、ダイオードブリッジ20によってDC電源21に変換される。DCモータ2の電源はDC電源21を用いている。DC電源21を、オペアンプ23を通してマイコン24で読み取ることで商用電源18の電圧を検出する。
【0054】
図3に示すように、この検出した電源電圧値を基にして電流補正部17は、電力値が一定になるよう電流の補正値を選択し、電流増減判定部14aに設定されている目標電流値の補正を行なう。電流の補正値は、例えば、「電力値の規定値/検出した電源電圧値」の値である。電流増減判定部14aは、電流検出部13で検出した現在の電流値と電流増減判定部14aに設定されている目標電流値(補正されている場合には補正後の目標電流値)を比較し、その差に応じて加減速の指示を回転数調整部15に出力する。即ち、現在の電流値が設定された目標電流値より小さければ、電流増減判定部14aは、回転数調整部15にモータ出力の増加を指示する。逆に、現在の電流値が設定された目標電流値より大きければ、電流増減判定部14aは回転数調整部15にモータ出力の減少を指示する。回転数調整部15によって回転数を調整したDCモータ2の電流値を再度、電流検出部13が検出し、電流増減判定部14aからの指示に基づいて回転数調整部15がDCモータ2の回転数の調整を繰り返すことで電流値を一定に保つ制御を行なっている。以上の制御が電力一定制御である。
【0055】
この電力一定制御により、商用電源18の電圧が異なる国においてもモータの消費電力を一定に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る天井扇風機は、羽根が外乱により影響を受けやすい天井扇風機制御に用いる技術として有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 シャフト
2 DCモータ
3 羽根
4 電源入力部
5、5a 回転制御部
6 リモコン
7 受信部
8 回転制御判定部
9 回転数一定制御部
10 回転数検出部
11 回転数設定部
12、12a 電流一定制御部
13 電流検出部
14、14a 電流増減判定部
15 回転数調整部
16 電圧検出部
17 電流補正部
18 商用電源
19 AC電源電圧
20 ダイオードブリッジ
21 DC電源
22 レギュレータ
23 オペアンプ
24 マイコン
25 シャント抵抗
26 モータ制御IC
100、100a、1000 天井扇風機
1002 DCモータ
1005 回転制御部
1006 リモコン
1007 受信部
1009 回転数一定制御部
1010 回転数検出部
1011 回転数設定部
1015 回転数調整部
図1
図2
図3
図4
図5