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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】アツバノリ属抽出物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/04 20060101AFI20230825BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230825BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230825BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A61K36/04
A61P25/00
A61P25/16
A61P43/00 107
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021203727
(22)【出願日】2021-12-15
(65)【公開番号】P2023020827
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2022-01-14
(31)【優先権主張番号】110127728
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505171997
【氏名又は名称】國立中山大學
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】温志宏
(72)【発明者】
【氏名】張誌益
(72)【発明者】
【氏名】陳佩津
(72)【発明者】
【氏名】馮健▲ウェイ▼
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104000110(CN,A)
【文献】台湾特許出願公開第201713352(TW,A)
【文献】特開2007-084518(JP,A)
【文献】特開平06-179624(JP,A)
【文献】Int. J. Mol. Sci.,2017年,Vol.18, 2437,pp.1-15
【文献】J. Mol. Neurosci.,2012年,Vol.48,pp.225-233
【文献】Phycologia,Vol.56(1),2016年,pp.63-76
【文献】Int. J. Mol. Sci.,2016年,Vol.17, 1988,pp.1-17
【文献】Molecules,2014年,Vol.19,pp.10863-10876
【文献】J. Ind. Microbiol. Biotechnol.,2003年,Vol.30,pp.433-439
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経保護のための薬物の製造における組成物の使用であって、当該組成物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物を含み、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物の製造方法は、
(a)エタノールでアツバノリ属を抽出して、アツバノリ属エタノール抽出物を取得し、及び、
(b)酢酸エチル及び水により当該アツバノリ属エタノール抽出物を分配抽出することで酢酸エチル層と水性層を形成し、続いて、当該酢酸エチル層を採取して当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物を取得する、とのステップを含む使用。
【請求項2】
当該神経保護には神経細胞死の抑制または予防が含まれる請求項1に記載の使用。
【請求項3】
当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物は、神経を保護することで神経変性疾患を予防又は治療する請求項1に記載の使用。
【請求項4】
当該神経変性疾患はパーキンソン病を含む請求項3に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アツバノリ属抽出物の新規な使用に関し、特に、神経保護、骨形成促進及びアレルギー性皮膚炎治療のための薬物の製造における当該アツバノリ属抽出物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アツバノリ属(Sarcodia)は、主としてインド洋及び西太平洋地域に分布している。アツバノリ属は、従属栄養型(heterotroph)の海洋大型藻類であり、微量栄養素の含有量が高い。そのため、日本では長寿食材とも呼ばれており、欧米ではアツバノリ属が海の野菜の代表格とみなされている。現在、アツバノリ属の用途の多くは、そのまま食用とするか、食品添加物とされている。食用としてのアツバノリ属の歴史は長いが、その効果に関する研究は極めて少ない。
【0003】
骨格は、脊椎動物の内骨格を構成する堅固な器官であり、バイオミネラリゼーションされた骨格組織、骨髄、骨膜、神経、血管及び軟骨等の軟組織や、少数の骨格細胞を含んでいる。骨格の欠損又は欠陥は、先天性の欠陥や後天的に引き起こされた疾患、老衰又は外傷に起因すると考えられる。骨欠損が小さい場合には自然に癒合可能であるが、骨欠損が大きい場合や、小さな骨格の骨欠損は完全に癒合することが難しい。そのため、骨移植(自家骨移植、同種骨移植及び異種骨移植を含む)、人工骨(骨セメント及びバイオセラミックを含む)、組織工学骨、又は骨移動術等の手術により治療する必要がある。つまり、要因の異なる各種骨疾患(例えば、骨粗鬆症、骨欠損又は骨折疾患等)に対しては、異なる薬物の投与や手術の実施が必要である。
【0004】
そのほか、世界的な人口の高齢化に伴って、神経変性疾患の患者数が増加し続けており、高齢者の認知、記憶及び運動能力の損傷が増えている。報告によると、世界保健機関は、運動機能に影響を及ぼす神経変性疾患が、今後20年以内に主要な死因の第2位になると予測している。そのため、この種の疾患の治療方法の開発が、昨今のバイオメディカルにおける重要な研究プロジェクトの1つとなっている。多くの神経変性疾患の発現メカニズムはまだ明らかとなっておらず、今のところ、これらの疾患については有効な治療方法が不足している。また、適用可能な治療は症状コントロールと疾患進行の抑制に限られている。
【0005】
一方、アトピー性皮膚炎は、免疫と炎症が深く関わる慢性疾患である。アトピー性皮膚炎は、痒みを伴う炎症性皮膚疾患であるとともに、慢性疾患でもあり、通常は乳児期に発症する。アトピー性皮膚炎は、主な症状として持続的な痒みを有し、且つ、特定の原因なく回復と悪化を繰り返す性質がある。最近は、アトピー性皮膚炎に関する多くの研究がなされてはいるが、今のところアトピー性皮膚炎の原因ははっきりしていない。
【0006】
ところで、海藻から精製される天然化合物は、例えば、抗凝固、抗ウィルス、抗酸化、抗アレルギー、抗ガン、抗炎症及び抗肥満等の数多くの生物活性を有することが実証されている。そのため、海藻の一種であるアツバノリ属もまた極めて高い研究開発の可能性を秘めており、医療応用において多大な研究開発の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、アツバノリ属を乾燥させたあと、アルコールで抽出することでアルコール抽出物を取得する。次に、当該アルコール抽出物を水中に浸漬し、浮遊させたあと、酢酸エチルを用いて分配抽出する。最後に、酢酸エチル層からアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを取得する。
【0008】
神経保護実験において、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)により傷付けられたSH-SY5Y神経細胞の生存率を向上可能であった。且つ、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、パーキンソン病様行動を有するゼブラフィッシュについて遊泳能力を改善可能であった。この結果より、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEが、神経保護作用を有するとともに、神経変性疾患の症状を改善可能なことが示された。
【0009】
骨形成実験において、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、ゼブラフィッシュの骨節数の増加を促進した。且つ、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物は、ラットの頭蓋骨欠損箇所の回復率を向上可能であった。この結果より、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEが、骨形成を促進することで、骨欠損の治療に適用し得ることが示された。
【0010】
アトピー性皮膚炎実験において、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、マウスのアトピー性皮膚炎の症状(例えば、紅斑、浮腫、表皮 離及び乾燥等の症状)を改善可能であった。且つ、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、アトピー性皮膚炎に起因して上昇したIgE発現量を低下させることが可能であった。このほか、アトピー性皮膚炎は脾臓及びリンパ節を腫大させるが、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを投与することで、脾臓及びリンパ節の腫大を改善可能であった。この結果より、当該アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEが、アトピー性皮膚炎を治療可能なことが示された。
【0011】
本文中の「一の」又は「一種の」との用語は、本発明の部材及び成分を記載するために用いられる。この用語は、記載の便宜上、及び本発明の基本的観念を示すためのものにすぎない。このような記載は、一種又は少なくとも一種を含むと解釈すべきであり、且つ、別途明確に指定する場合を除き、単数で示す場合には複数の場合も含まれる。また、特許請求の範囲において「含む」との用語と合わせて使用する場合、この「一の」との用語は1又は1よりも大きいことを意味し得る。
【0012】
本文において、特許請求の範囲で使用する「又は」との用語は、「及び/又は」を意味する。ただし、別の選択に限る旨を別途明確に示している場合や、その他の選択と互いに排斥し合う場合を除く。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、アツバノリ属抽出物の製造方法を提供する。当該方法は、以下のステップを含む。即ち、(a)アルコール系溶媒でアツバノリ属を抽出し、アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。当該アルコール系溶媒は、メタノール又はエタノールとする。(b)有機溶液又は超臨界抽出により当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。当該有機溶液は、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合液である。当該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0014】
具体的実施例において、当該アツバノリ属はアツバノリ(Sarcodia ceylanica)である。
【0015】
具体的実施例において、当該アルコール系溶媒はエタノールである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属アルコール系抽出物はアツバノリ属エタノール抽出物である。
【0016】
別の具体的実施例において、当該有機溶媒は酢酸エチルである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物である。
【0017】
具体的実施例において、当該方法は、当該ステップ(a)の前にステップ(a1)を含む。当該ステップ(a1)では、当該アツバノリ属を乾燥させる。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属は20~70℃の温度下で乾燥させる。より好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属は40~60℃の温度下で乾燥させる。別の具体的実施例において、当該アツバノリ属は50℃の温度下で乾燥させる。
【0018】
具体的実施例において、当該アツバノリ属の乾燥時間は12~48時間である。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属の乾燥時間は16~32時間である。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属の乾燥時間は20~24時間である。
【0019】
本発明では、当該アツバノリ属を乾燥させたあと、所定のメッシュ(mesh)孔径サイズの濾過網で濾過し、濾過後にエタノールで抽出する。具体的実施例において、当該方法は、当該ステップ(a)の前にステップ(a2)を含む。当該ステップ(a2)では、30~70メッシュ孔径の濾過網で当該アツバノリ属を濾過する。好ましい具体的実施例において、当該方法は、当該ステップ(a)の前にステップ(a2)を含む。当該ステップ(a2)では、40~60メッシュ孔径の濾過網で当該アツバノリ属を濾過する。より好ましい具体的実施例において、当該方法は、当該ステップ(a)の前にステップ(a2)を含む。当該ステップ(a2)では、50メッシュ孔径の濾過網で当該アツバノリ属を濾過する。
【0020】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属は、室温下でアルコール系溶媒により抽出する。好ましい具体的実施例において、ステップ(a)では、当該アツバノリ属をアルコール系溶媒に浸漬して3回抽出する。そして、3回分の浸漬液を合わせて濾過し、減圧して濃縮することで当該アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。
【0021】
具体的実施例において、ステップ(b)では、当該有機溶液で当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、当該有機溶液で当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出し、且つ、分配抽出操作を3回繰り返すことで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0022】
別の具体的実施例において、当該ステップ(b)は、有機溶液による抽出の前に、更にステップ(b1)を含む。当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浸漬して、アツバノリ属水性溶液を取得する。好ましい具体的実施例において、当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水に浸漬して、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浮遊させる。ステップ(b1)の実行後、元のステップ(b)において、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を、前記水と有機溶媒の混合液を使用することなく、当該有機溶媒により分配抽出する。これにより、有機溶媒層と水性層を形成し、続いて、当該有機溶媒層を採取することで当該アツバノリ属抽出物を取得する。別の具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒で分配抽出することで有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒で分配抽出し、且つ、分配抽出操作を3回繰り返すことで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0023】
ステップ(b1)の実行後、元のステップ(b)において、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を前記超臨界抽出により分配抽出する。具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該超臨界抽出により分配抽出することで有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。別の具体的実施例において、当該超臨界抽出は超臨界CO抽出である。本発明において、超臨界CO抽出により天然物の栄養成分を分離するプロセスでは、主に超臨界状態の二酸化炭素流体を利用して、高圧・低温条件下で天然物から栄養成分を抽出する。具体的実施例において、当該超臨界CO抽出条件は、CO:99%エタノール溶液の流速比=10mL/min:1mL/min、臨界圧力の範囲を150~400バール(bar)、及び臨界温度の範囲を20~60℃とする。好ましい具体的実施例において、当該超臨界CO抽出条件は、CO:95%エタノール溶液の流速比=10mL/min:1mL/min、臨界圧力を250バール(bar)、及び臨界温度を40℃とする。超臨界CO抽出によっても同様に、超臨界CO抽出反応槽内に残留する原料(水性層)と、抽出される物質(有機溶媒層)に分離されるため、当該有機溶媒層を採取することで当該アツバノリ属抽出物を取得する。別の具体的実施例において、ステップ(b)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を超臨界CO抽出で抽出することで、当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0024】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の成分には、コレステロール(cholesterol)、ステアリン酸(stearic acid)、ステアリン酸メチル(methyl stearate)、ステアリン酸グリセリル(glyceryl stearate)、(2S)-1-O-パルミトイル-3-O-β-D-ガラクトピラノシルグリセロール((2S)-1-O-palmitoyl-3-O-β-D-galactopyranosylglycerol)、(2S)1,2-ジ-O-オレオイル-3-O-β-D-ガラクトピラノシルグリセロール((2S)1,2-di-O-oleoyl-3-O-β-D-galactopyranosylglycerol)、13-ヒドロキシ-(13S)-フェオフィチンa(13-Hydroxy-(13S)-phaeophytin a)及び、13-ヒドロキシ-(13R)-フェオフィチンa(13-Hydroxy-(13R)-phaeophytin a)が含まれる。具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の成分は多糖を含まない。
【0025】
本発明は、更に、神経保護のための薬物の製造における組成物の使用を提供する。当該組成物はアツバノリ属抽出物を含み、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は以下のステップを含む。即ち、(a)アルコール系溶媒でアツバノリ属を抽出し、アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。当該アルコール系溶媒は、メタノール又はエタノールとする。
【0026】
具体的実施例において、当該ステップ(a)の当該アツバノリ属は、洗浄、乾燥及び/又は粉砕処理が施される。
【0027】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、ステップ(a)の後にステップ(b)を含む。当該ステップ(b)では、有機溶液又は超臨界抽出により当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。当該有機溶液は、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合液である。当該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0028】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、当該有機溶液による抽出の前に、ステップ(b1)を含む。当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浸漬してアツバノリ属水性溶液を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒により分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0029】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属はアツバノリ(Sarcodia ceylanica)である。
【0030】
具体的実施例において、当該アルコール系溶媒はエタノールである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属アルコール系抽出物はアツバノリ属エタノール抽出物である。
【0031】
別の具体的実施例において、当該有機溶媒は酢酸エチルである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物である。
【0032】
本発明では、神経保護作用を付与するために当該アツバノリ属抽出物を適用可能である。神経保護作用とは、例えば、大脳、中枢神経系又は末梢神経系にとって病理学的に有害となり得る条件において、神経細胞(ニューロン及びグリア細胞を含む)の死滅や損傷を予防又は減少させる能力、或いは、神経細胞の救済又は神経細胞の蘇生又は回復を可能とする能力を意味する。神経保護作用には、神経細胞の再生、即ち、疾病又は外傷後の神経細胞の再成長が含まれる。神経保護作用とは、神経系において、急性疾患(例えば、脳卒中、脳部又は神経系の損傷/外傷、脳低酸素症、脊髄損傷又は抹消神経損傷)後、或いは、慢性神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病又は多発性硬化症)により引き起こされる大脳/ニューロンの損傷又は変性を防止するメカニズム及びストラテジーである。神経保護作用の目的は、神経系損傷後の神経機能障害/死滅を抑制し、大脳中にできるだけ高度に整えられた細胞の相互作用を維持することで、神経機能が妨害されないようにすることである。当該アツバノリ属抽出物は、神経保護作用を付与することで、ニューロン損傷(例えば、脳卒中。特に、虚血性脳卒中、脳損傷、脳低酸素症、脊髄損傷又は末梢神経損傷)の治療や、神経変性疾患の治療又は予防を可能とする。そのため、具体的実施例において、本発明は、神経細胞を保護及び/又は再生するための薬物の製造における活性成分として当該アツバノリ属抽出物を使用することに関する。
【0033】
具体的実施例において、当該神経保護には神経細胞死の抑制又は予防が含まれる。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物は、神経細胞死を抑制又は予防可能である。
【0034】
このように、本発明では、当該アツバノリ属抽出物が神経保護作用の付与においていくつかの有益な作用及び機能を持つこと見出した。よって、当該アツバノリ属抽出物は、ニューロン又は脳損傷の治療、及び、神経変性疾患の治療又は予防に適用可能である。当該神経変性疾患には、急性又は慢性の神経変性疾患が含まれる。
【0035】
本文中で使用する「神経変性疾患」との用語は、中枢神経系の損傷により引き起こされる急性、進行性又は慢性疾患について記載するためにも用いられる。且つ、本発明において、当該損傷は、当該アツバノリ属抽出物を用いた治療によって減少及び/又は軽減させられる。「急性神経変性疾患」との用語は、突発的な疾患又は病症を意味し、関連のニューロン死又は損傷を招来する。急性神経変性疾患の一例としては、脳血管不全症(cerebrovascular insufficiency)、限局性又はびまん性脳外傷、脊髄損傷、大脳虚血又は梗塞(塞栓性閉塞(emolic occlusion)及び血栓性閉塞(thrombotic occlusion)、周産期低酸素虚血性脳症(perinatal hypoxic-ischemia)、新生児低酸素虚血性脳症(neonatal hypoxia-ischaemic encephalopathy)、新生児周産期仮死(perinatal asphyxia)、心停止(cardiac arrest)、頭蓋内出血(intracranial hemorrhage)、くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)、脳卒中及び外傷性脳損傷(traumatic brain injury)が含まれる。
【0036】
そのほか、本発明の当該アツバノリ属抽出物を利用して治療可能な神経変性疾患の代表例には、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、脊髄小脳萎縮症、脊髄小脳変性症3型(Machado-Joseph disease,MJD)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubral pallidoluysian atrophy,DRPLA)、球脊髄性筋萎縮症(spinal and bulbar muscular atrophy,SBMA)、或いは脆弱X関連振戦/失調症候群(fragile X-associated tremor and ataxia syndrome,FXTAS)が含まれる(但し、これらに限らない)。
【0037】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物は、神経保護作用を付与することで神経変性疾患を予防又は治療する。好ましい具体的実施例において、当該神経変性疾患には、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、脊髄小脳萎縮症、脊髄小脳変性症3型、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、球脊髄性筋萎縮症又は脆弱X関連振戦/失調症候群が含まれる。より好ましい具体的実施例において、当該神経変性疾患はパーキンソン病を含む。
【0038】
本文中で使用する「治療」との用語は、症状又は合併症の緩和、疾患、病症又は病状の進行の遅延、症状及び合併症の軽減又は緩和、及び/又は、疾患、病症又は病状の治愈又は除去を意味する。
【0039】
本文中で使用する「予防」との用語は、疾患又は病症、或いはその1又は複数の症状の発現、再発又は拡散の予防を意味する。いずれかの実施例において、これらの用語は、症状の発現前に、1又は複数のその他の活性化剤が別途存在する場合或いは存在しない場合に、本文中で提供する薬物を使用して、特に本文中で提示した疾患又は病症のリスクに晒されている個体を治療すること、又は、本文中で提供する薬物を投与することを意味する。
【0040】
本発明は、更に、神経変性疾患を予防又は治療するための薬物の製造における組成物の使用を提供する。当該組成物はアツバノリ属抽出物を含み、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は以下のステップを含む。即ち、(a)アルコール系溶媒でアツバノリ属を抽出し、アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。当該アルコール系溶媒は、メタノール又はエタノールとする。
【0041】
具体的実施例において、当該ステップ(a)の当該アツバノリ属は、洗浄、乾燥及び/又は粉砕処理が施される。
【0042】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、ステップ(a)の後にステップ(b)を含む。当該ステップ(b)では、有機溶液又は超臨界抽出により当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。当該有機溶液は、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合液である。当該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0043】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、当該有機溶液による抽出の前に、ステップ(b1)を含む。当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浸漬してアツバノリ属水性溶液を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒により分配抽出することで有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0044】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属はアツバノリ(Sarcodia ceylanica)である。
【0045】
具体的実施例において、当該アルコール系溶媒はエタノールである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属アルコール系抽出物はアツバノリ属エタノール抽出物である。
【0046】
別の具体的実施例において、当該有機溶媒は酢酸エチルである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物である。
【0047】
具体的実施例において、当該神経変性疾患には、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、脊髄小脳萎縮症、脊髄小脳変性症3型、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、球脊髄性筋萎縮症又は脆弱X関連振戦/失調症候群が含まれる。好ましい具体的実施例において、当該神経変性疾患はパーキンソン病を含む。
【0048】
本発明は、更に、骨形成を促進するための薬物の製造における組成物の使用を提供する。当該組成物はアツバノリ属抽出物を含み、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は以下のステップを含む。即ち、(a)アルコール系溶媒でアツバノリ属を抽出し、アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。当該アルコール系溶媒は、メタノール又はエタノールとする。
【0049】
具体的実施例において、当該ステップ(a)の当該アツバノリ属は、洗浄、乾燥及び/又は粉砕処理が施される。
【0050】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、ステップ(a)の後にステップ(b)を含む。当該ステップ(b)では、有機溶液又は超臨界抽出により当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。当該有機溶液は、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合液である。当該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0051】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、当該有機溶液による抽出の前に、ステップ(b1)を含む。当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浸漬してアツバノリ属水性溶液を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒により分配抽出することで有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0052】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属はアツバノリ(Sarcodia ceylanica)である。
【0053】
具体的実施例において、当該アルコール系溶媒はエタノールである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属アルコール系抽出物はアツバノリ属エタノール抽出物である。
【0054】
別の具体的実施例において、当該有機溶媒は酢酸エチルである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物である。
【0055】
本文中で使用する「骨形成」との用語は、未分化の幹細胞及び骨芽細胞が骨芽細胞及び骨組織に増殖すること(例えば、新たな骨基質の合成及び蓄積)を意味する。また、骨形成は、始原細胞(progenitor)又は前駆細胞(precursor cell)が骨細胞(即ち、骨芽細胞)に分化又は分化転換することも意味する。始原細胞又は前駆細胞は、例えば、間葉系幹細胞を含む多能性幹細胞とすることができる。始原細胞又は前駆細胞は、骨細胞系を形成し得る細胞(例えば、前骨芽細胞(pre-osteoblast cells))、又は骨芽細胞を形成し得ない細胞(例えば、前脂肪細胞又は筋芽細胞(myoblast))とすることができる。
【0056】
このように、本発明における当該アツバノリ属抽出物は骨疾患の治療に適用可能である。当該骨疾患には、骨粗鬆、骨欠損又は骨折疾患が含まれる(但し、これらに限らない)。骨粗鬆は、体積あたりの骨質量の正味流失を特徴とする疾患である。こうした骨質量の流失と、それに伴う骨折によって、身体を構造的にしっかりと支えるための骨格が破壊される。低骨量及び骨組織の構造劣化によって、骨の脆性がもたらされるとともに、股関節、脊椎及び手首の骨折が増加する。骨粗鬆は、発生原因によって、原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症に分けられる。原発性骨粗鬆症の分子メカニズムでは、骨芽細胞の細胞核内因子κB(kappa B)リガンドの受容体活性化因子(RANKL)と、破骨細胞表面の細胞核内因子κBの受容体活性化因子(RANK)の結合により破骨細胞が活性化し、破骨細胞の分化及び活性が刺激されることで、骨粗鬆症の発生が促進される。このほか、閉経した女性体内のエストロゲンが急激に減少することでも、破骨細胞の活性が促進されて、骨粗鬆症及び骨折が発生しやすくなる。続発性骨粗鬆症の場合には、長期的な薬物の服用、不摂生、内分泌傷害及びその他の疾患(例えば、リウマチ様関節炎、糖尿病、脳卒中、パーキンソン病及び癌の骨転移)により引き起こされる。そのほか、骨欠損とは、骨吸収に対する骨形成の割合がバランスを欠くことである。これにより、個体に期待を下回る骨格が形成されるか、個体の骨格が期待と比べて不完全となる。骨欠損は、骨折や、手術の介入、或いは、歯又は歯周疾患によっても招来され得る。骨の癒合には、骨欠損の修復が含まれる(但し、これに限らない)。例えば、骨欠損は、非開放性、開放性及び非癒合性骨折に発生する。
【0057】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物は、骨形成を促進することで骨疾患を予防又は治療する。好ましい具体的実施例において、当該骨疾患には、骨粗鬆、骨欠損又は骨折疾患が含まれる。より好ましい具体的実施例において、当該骨疾患には骨欠損が含まれる。
【0058】
本発明は、更に、骨疾患を予防又は治療するための薬物の製造における組成物の使用を提供する。当該組成物はアツバノリ属抽出物を含み、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は以下のステップを含む。即ち、(a)アルコール系溶媒でアツバノリ属を抽出し、アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。当該アルコール系溶媒は、メタノール又はエタノールとする。
【0059】
具体的実施例において、当該ステップ(a)の当該アツバノリ属は、洗浄、乾燥及び/又は粉砕処理が施される。
【0060】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、ステップ(a)の後にステップ(b)を含む。当該ステップ(b)では、有機溶液又は超臨界抽出により当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。当該有機溶液は、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合液である。当該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0061】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、当該有機溶液による抽出の前に、ステップ(b1)を含む。当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浸漬してアツバノリ属水性溶液を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒により分配抽出することで有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0062】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属はアツバノリ(Sarcodia ceylanica)である。
【0063】
具体的実施例において、当該アルコール系溶媒はエタノールである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属アルコール系抽出物はアツバノリ属エタノール抽出物である。
【0064】
別の具体的実施例において、当該有機溶媒は酢酸エチルである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物である。
【0065】
本発明において、当該アツバノリ属抽出物は、骨質量を増加させるか、骨成長を促進及び修復することで骨疾患を治療可能とする。具体的実施例において、当該骨疾患には、骨粗鬆、骨欠損又は骨折疾患が含まれる。好ましい具体的実施例において、当該骨疾患には骨欠損が含まれる。
【0066】
本発明は、更に、アレルギー性皮膚炎を治療するための薬物の製造における組成物の使用を提供する。当該組成物はアツバノリ属抽出物を含み、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は以下のステップを含む。即ち、(a)アルコール系溶媒でアツバノリ属を抽出し、アツバノリ属アルコール系抽出物を取得する。当該アルコール系溶媒は、メタノール又はエタノールとする。
【0067】
具体的実施例において、当該ステップ(a)の当該アツバノリ属は、洗浄、乾燥及び/又は粉砕処理が施される。
【0068】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、ステップ(a)の後にステップ(b)を含む。当該ステップ(b)では、有機溶液又は超臨界抽出により当該アツバノリ属アルコール系抽出物を分配抽出することで、有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して、当該アツバノリ属抽出物を取得する。当該有機溶液は、有機溶媒又は水と有機溶媒の混合液である。当該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素である。
【0069】
具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の製造方法は、更に、当該有機溶液による抽出の前に、ステップ(b1)を含む。当該ステップ(b1)では、当該アツバノリ属アルコール系抽出物を水中に浸漬してアツバノリ属水性溶液を取得する。好ましい具体的実施例において、ステップ(b)では、ステップ(b1)で取得したアツバノリ属水性溶液を当該有機溶媒により分配抽出することで有機溶媒層と水性層を形成する。続いて、当該有機溶媒層を採取して当該アツバノリ属抽出物を取得する。
【0070】
別の具体的実施例において、当該アツバノリ属はアツバノリ(Sarcodia ceylanica)である。
【0071】
具体的実施例において、当該アルコール系溶媒はエタノールである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属アルコール系抽出物はアツバノリ属エタノール抽出物である。
【0072】
別の具体的実施例において、当該有機溶媒は酢酸エチルである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物はアツバノリ属酢酸エチル抽出物である。
【0073】
本文中で使用される「アレルギー性皮膚炎」との用語は、アレルギー反応を要因とする皮膚疾患の総称であって、慢性的な痒みや、顔、首、肘及び/又は膝の発疹を特徴とする。アレルギー性皮膚炎としては、例えば、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎等が挙げられる。「接触皮膚炎」とは、外来性の抗原が皮膚と接触することで発症する湿疹性の炎症疾患であり、例えば、アレルギー性接触皮膚炎、光接触皮膚炎、全身性接触皮膚炎及び接触性蕁麻疹が挙げられる。また、抗原としては、例えば、金属アレルゲン(コバルト、ニッケル等)、植物アレルゲン(ウルシ、サクラソウ等)及び食物アレルゲン(マンゴー、イチョウ等)が挙げられる。「アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis,AD)」とは、多数の患者にアトピー性傾向のある皮膚疾患のことを言う。また、悪化と緩和を繰り返す左右対称の全身性湿疹を特徴とし、例えば、びまん性神経皮膚炎、アトピー性湿疹、アトピー性神経皮膚炎、ベニエ痒疹(Besnier prurigo)、急性乳児湿疹、屈曲部湿疹、四肢小児湿疹、小児アトピー性湿疹、小児乾燥型湿疹、小児湿疹、成人アトピー性皮膚炎、内因性湿疹、小児皮膚炎及び慢性小児湿疹が挙げられる。
【0074】
具体的実施例において、当該アレルギー性皮膚炎には、接触皮膚炎又はアトピー性皮膚炎が含まれる。好ましい具体的実施例において、当該アレルギー性皮膚炎にはアトピー性皮膚炎が含まれる。より好ましい具体的実施例において、当該アトピー性皮膚炎には、びまん性神経皮膚炎、アトピー性湿疹、アトピー性神経皮膚炎、ベニエ痒疹、急性乳児湿疹、屈曲部湿疹、四肢小児湿疹、小児アトピー性湿疹、小児乾燥型湿疹、小児湿疹、成人アトピー性皮膚炎、内因性湿疹、小児皮膚炎又は慢性小児湿疹が含まれる。
【0075】
別の具体的実施例において、当該薬物は、紅斑、浮腫、表皮 離又は皮膚の乾燥を含むアトピー性皮膚炎の症状を抑制する。
【0076】
具体的実施例において、当該薬物は、当該アトピー性皮膚炎に由来するIgE発現量の上昇を低下させる。
【0077】
別の具体的実施例において、当該薬物は、当該アトピー性皮膚炎に由来する脾臓又はリンパ節の腫大を改善する。
【0078】
具体的実施例において、当該薬物は、更に、薬学的に許容可能な担体(pharmaceutically acceptable carrier)を含む。本文中で使用される「薬学的に許容可能な担体」との用語は、特定の組み合わせで適用及び特定の方法で適用される組成物により決定される。本文中で使用される「担体」との用語には、任意及びあらゆる溶媒、分散媒、賦形剤(vehicle)、コーティング、希釈剤、抗菌剤及び抗真菌剤等の浸透・吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液又はコロイド等が含まれる(但し、これらに限らない)。薬物の活性物質に用いられるこれらの媒質及び試薬は当該分野において公知である。いずれかの一般的な媒質又は試薬と活性成分との相性が悪い場合を除き、治療のための組み合わせが考慮されるべきである。また、補足的な活性成分を組成物に混合してもよい。「薬学的に許容可能」との用語は、分子の実体と組成物を被験者に適用したときに、アレルギー又は類似の副反応が発生しないことを言う。タンパク質を活性物質とする水組成物の製造は、当該分野において周知である。通常、この組成物は、液体・溶液、錠剤、カプセル又は懸濁注射剤として製造される。また、注射剤として使用し得る溶解可能な固体又は懸濁液の固体として製造してもよい。別の具体的実施例において、当該薬学的に許容可能な担体には、皮膚学的に許容可能な媒質が含まれる。「皮膚学的に許容可能な媒質」とは、例えば、塩類、エステル類及び/又は酸アミド類の成分といった生物学的に適切な物質を意味する。即ち、この物質は、選択された有効成分と合わせて使用する場合に、個体に投与しても望まない生物学的作用を引き起こすことがない。また、当該物質は、この物質を含む薬剤成分におけるいずれの成分とも有害な相互作用を生じない物質である。同様に、文中の「皮膚学的に許容可能な塩」又は「皮膚学的に許容可能なエステル」は、生物学的に適切な塩又はエステルである。
【0079】
本発明において、当該組成物(当該アツバノリ属抽出物を含む)と薬学的に許容可能な担体の配合には、無菌の水溶液又は分散体、水懸濁液、油エマルション、油中エマルションの水、特定点エマルション、長期滞留エマルション、粘性エマルション、マイクロエマルション、ナノエマルション、リポソーム、微粒子、ミクロスフェア、ナノスフェア、ナノ粒子、マイクロ水銀、及び、持続的に放出される数種類の天然又は合成ポリマーを利用可能である。薬学的に許容可能な担体及び当該アツバノリ属抽出物は、エアロゾル剤、タブレット、丸剤、カプセル、滅菌粉末、座薬、洗剤、クリーム、軟膏剤、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、又は組成物の搬送に使用可能なその他の製剤として配合してもよい。
【0080】
また、本発明で言うところの組成物には、局所的及び領域的に投与されて作用する組成物が含まれる。本文で使用される「局所」との用語は、本文中で記載する組成物を使用して適切な薬用担体に混合し、皮膚の部位(例えば、アレルギー性皮膚炎の患部)に塗布することで局所的作用を奏することに関する。そのため、こうした局所用の当該組成物には、処理対象の皮膚の表面と直接接触して外部から塗布する化合物といった薬物形式が含まれる。この目的のための一般的な薬物形式には、軟膏剤、擦剤、クリーム、シャンプー、エマルション、ペースト、ゲル、スプレー剤、エアロゾル等が含まれる。且つ、治療対象の身体部位に応じて、貼付剤、又は湿潤包帯の形式で使用することも可能である。「軟膏剤」との用語には、油性基質、水溶性基質及びエマルション基質を有する製剤(クリームを含む)が含まれる。前記基質は、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール類及びこれらを組み合わせた混合物である。
【0081】
本発明の薬物は、更に、薬学的に許容可能な担体を含み、本発明の関連分野で周知の治療方式によって、多数の異なる手段で個体に投与可能である。いくつかの実施例において、当該組成物(当該アツバノリ属抽出物を含む)及び薬学的に許容可能な担体は、外用、静脈、筋肉、皮下、局所、経口又は吸入により投与される。また、当該薬物は、消化及び循環系によって標的箇所に伝達される。
【0082】
別の具体的実施例において、当該個体は動物であり、好ましくは哺乳類であり、より好ましくはヒトである。
【0083】
本文中の「有効投与量」との用語は、特定の条件において、1つの個体の症状の進行を予防、低下、阻止又は逆転させられるか、当該個体が治療を受け始めた時点において、特別な状況下で存在していた症状を、部分的もしくは完全に緩和可能な治療投与量のことである。当業者であれば、当該アツバノリ属抽出物を個体に投与する際の適切な投与量及び用法を容易に測定可能である。例えば、当該アツバノリ属抽出物は、当該個体に1回又は2回投与可能である。投与量及び用法には、複数回投与する際に、当該個体に投与する当該アツバノリ属抽出物の有効投与量(投与量及び用法の全期間に投与される生成物の総量を含む)を理解し得ることが含まれる。
【0084】
このように、本発明における当該アツバノリ属抽出物は、神経保護、骨形成の促進及びアレルギー性皮膚炎の治療に適用する際の有効投与量がそれぞれ異なっている。
【0085】
神経保護用に提供する場合には、具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は0.2mg/体重kg~200mg/体重kgである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は、1mg/体重kg~100mg/体重kgである。より好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は、2mg/体重kg~20mg/体重kgである。
【0086】
神経保護の場合の有効投与量については、別の具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は0.5ng/ml~50μg/mlである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は1ng/ml~5μg/mlである。より好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は5ng/ml~500ng/mlである。
【0087】
骨形成を促進する場合には、具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は0.2mg/体重kg~100mg/体重kgである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は1mg/体重kg~50mg/体重kgである。より好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は2mg/体重kg~10mg/体重kgである。
【0088】
アレルギー性皮膚炎を治療する場合には、具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は0.05~20mg/mlである。好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は0.1~10mg/mlである。より好ましい具体的実施例において、当該アツバノリ属抽出物の有効投与量の範囲は0.5~2mg/mlである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
図1図1は、アツバノリ属の抽出フローである。
図2図2は、神経細胞に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの保護作用を示す。SH-SY5Y神経細胞を異なる濃度のアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを添加したあと、6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)で細胞を傷付け、最後にその細胞の生存率を測定することで、神経保護の効果を観察した。アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、濃度0.5~500ng/mlの場合に、いずれも各群の細胞生存率を向上させた。これより、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEが神経保護の効果を有することが証明された。各群を6-OHDA群とそれぞれ統計分析した結果、有意差を有していたもの(P<0.05)を*で示している。
図3図3は、生体内の神経に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの保護作用を示す。図中の(A)は、単位時間内における各群のゼブラフィッシュの遊泳経路を示している。また、(B)は、ゼブラフィッシュの遊泳速度を示しており、コントロール群の速度が2.47±0.26mm/sであったのに対し、6-OHDA群の速度は0.21±0.11mm/sまで低下した。しかし、濃度0.5μg/ml及び5μg/mlのアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを添加したところ、ゼブラフィッシュの遊泳速度は2.03±0.65mm/s及び1.24±0.28mm/sまで回復した。また、(C)は、ゼブラフィッシュの単位時間内の総遊泳距離を示している。コントロール群の遊泳距離が741.09±77.04mmであったのに対し、6-OHDA群の遊泳距離は63.00±32.19mmまで低下した。しかし、濃度0.5μg/ml及び5μg/mlのアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを添加したところ、ゼブラフィッシュの遊泳距離は609.03±196.17mm及び371.52±82.77mmまで回復した。
図4図4は、骨形成に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの影響を示す。図中の(A)はコントロール群を示しており、(B)~(E)は、それぞれ異なる投与量のアツバノリ属酢酸エチル抽出物EE(0.05~50μg/ml)を投与した群を示している。また、(F)は、各群のゼブラフィッシュについて硬骨節数を定量的に統計した結果を示している。各群のゼブラフィッシュについて、受精から7日目に硬骨節数を計算し、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを0.5μg/ml添加したところ、骨節の発育状況が著しく向上した。且つ、アツバノリ属酢酸エチル抽出物は、ゼブラフィッシュに発育異常を引き起こさず、アツバノリ属酢酸エチル抽出物が胚本体の発育に対し毒性を有さないことがほぼ示された。*:P<0.05とし、コントロール群と比較した。
図5図5は、ラットの頭蓋欠損に対する異なる濃度のアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの治療効果を示す頭蓋外観の比較図である。
図6図6は、X線装置で撮影したラットの頭蓋骨欠損に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの治療効果の比較図である。図中の(A)は、各群のラットの頭蓋骨欠損状況のX線図を示す。(B)は、各群のラットの頭蓋骨の回復率を示す。
図7図7は、アトピー性皮膚炎を罹患したマウスの皮膚外観に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの影響を示す。図中の(A)は、DNCBでアトピー性皮膚炎を誘発し、マウスの皮膚にアトピー性皮膚炎の症状が発現したあと、毎日の薬物塗布を開始して、治療1日目、7日目、12日目にDNCB誘発アトピー性皮膚炎のマウスの皮膚外観をそれぞれ撮影したものを示している。なお、スケールバー=1cmである。その結果、AD群と比較して、EEL群(低投与量群)とEEH群(高投与量群)は、いずれもアトピー性皮膚炎の症状を緩やかにする効果を有しており、表皮の浮腫、赤み、乾燥及びかさぶた等の現象がいずれも緩和された。図中の(B)は、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEによるAD症状緩和の臨床皮膚炎スコアを示している。EEによるAD症状の緩和を臨床皮膚炎スコアで評価した。このとき、4つの皮膚表面症状として、紅斑/出血、浮腫、表皮 離/びらん、乾燥を用いて皮膚炎の重大性を評価した。そして、各種症状の重症度に応じて0~3点をそれぞれ付与し、点数が高いほど重症とした。皮膚炎の総スコアは上記4種類の点数の合計とし、最高で12点であった。点数が高いほど皮膚炎の重症度は深刻であった。データは、平均値±平均値の標準誤差(mean±SEM)を示している。また、AD群と比較して有意差を有していたもの(P<0.05)を*で示し、ADV群と比較して有意差を有していたものを#で示している。
図8図8は、血清中IgEに対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの影響を示す。動物を殺処分する前に血液を採取し、血清中のIgEを検出した。DNCB誘発ADによりIgEは上昇したが、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを塗布することでIgEは低下した。データは、平均値±平均値の標準誤差(mean±SEM)を示している。また、AD群と比較して有意差を有していたもの(P<0.05)を*で示し、ADV群と比較して有意差を有していたものを#で示している。
図9図9は、DNCB誘発で腫大した脾臓重量に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの影響を示している。動物の殺処分時に脾臓組織を採取し、撮影及び計量した。DNCB誘発アトピー性皮膚炎により脾臓組織は腫大したが、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを塗布することで脾臓の重量は減少した。なお、スケールバー=1cmである。データは、平均値±平均値の標準誤差(mean±SEM)を示している。また、AD群と比較して有意差を有していたもの(P<0.05)を*で示し、ADV群と比較して有意差を有していたものを#で示している。
図10図10は、DNCB誘発で腫大したリンパ節重量に対するアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの影響を示している。動物の殺処分時にリンパ節組織を採取し、撮影及び計量した。DNCB誘発アトピー性皮膚炎によりリンパ節組織は腫大したが、アツバノリ属抽出物EEを塗布することでリンパ節の重量は減少した。なお、スケールバー=0.5cmである。データは、平均値±平均値の標準誤差(mean±SEM)を示している。また、AD群と比較して有意差を有していたもの(P<0.05)を*で示し、ADV群と比較して有意差を有していたものを#で示している。
【発明を実施するための形態】
【0090】
本発明は、上記及び下記の説明を含むがこれらに限らない。実施方法を下記の代表例で示す。
【0091】
養殖型アツバノリ属の抽出
本発明では、人工的に養殖したアツバノリ(Sarcodia ceylanica)を使用した。
【0092】
アツバノリ属を50℃の条件下で24時間乾燥させて、乾燥アツバノリ属を取得した。10.8kgの乾燥アツバノリ属を粉砕し、50メッシュ(mesh)の濾過網で濾過してから、室温で95%アルコール溶液に浸漬して3回抽出した。そして、3回分の浸漬液を合わせて濾過し、減圧して濃縮することで、370.5gのアツバノリ属アルコール粗抽出物を取得することができた。次に、上記のアツバノリ属粗抽出物を1Lの水に加えて浮遊状としてから、1Lの酢酸エチルを加えて分配抽出を行った。上記の分配抽出を3回繰り返すことで酢酸エチル層と水性層を形成した。続いて、当該酢酸エチル層を採取して、酢酸エチル抽出物EE(83.2g)を取得した。アツバノリ属の全抽出フローを図1に示す。
【0093】
また、上記の抽出ステップでは、当該アルコール溶液をメタノール溶液に置き換えてもよい。且つ、酢酸エチルで抽出するステップは、その他の有機溶媒に置き換えてもよい。例えば、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルエーテル、エチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルム又は四塩化炭素溶媒を用いて分配抽出するか、超臨界抽出(例えば、超臨界CO抽出)を行っても、EEと同じ成分の抽出物を取得可能である。
【0094】
また、水を酢酸エチル又はその他の有機溶媒と混合して有機溶液とし、当該アツバノリ属アルコール粗抽出物を直接抽出してもよい。この場合には、水と有機溶媒を2つのステップに分けてそれぞれ抽出する必要がない。そのほか、事前に水に浸漬するステップを不要とし、酢酸エチル又はその他の有機溶媒をそのまま用いて当該アツバノリ属アルコール粗抽出物を抽出してもよい。上記のステップの変更によっても、最終的にはEEと同じ成分の抽出物を取得可能である。
【0095】
上記の超臨界CO抽出条件は、CO:95%エタノール溶液の流速比=10mL/min:1mL/min、臨界圧力を250バール(bar)、及び臨界温度を40℃とする。
【0096】
且つ、本発明では、フェノール-硫酸法でEEの多糖含有量を測定したところ、EEは多糖成分を含有していなかった。そのため、事前にアルコールでアツバノリ属を浸漬する抽出方法によって多糖成分が溶出されることはなく、アツバノリ属アルコール粗抽出物に多糖成分は含有されなかった。このほか、本発明では、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの成分分析も行った。当該分析結果は表1に示す通りとなった。
【0097】
【表1】
【0098】
実験方法
(1)EEの神経保護作用の評価
(a)神経細胞テスト
SH-SY5Y細胞を2×10個の細胞密度で96ウェル細胞培養プレートに培養してから、細胞インキュベータに入れて培養した。そして、細胞が完全に密着したあと、各種の異なる濃度のアツバノリ属酢酸エチル抽出物EE溶液で1時間前処理した。その後、6-ヒドロキシドーパミン(6-Hydroxydopamine,6-OHDA)を加えて15時間処理し、10%のアラマーブルー(alamar blue)を加えて引き続き3時間培養した。続いて、酵素免疫分析装置で吸光値を測定し、細胞の生存率を測定した。6-OHDAが神経細胞に発生させた毒性から、6-OHDAで処理された神経細胞に対しアツバノリ属抽出液が保護作用を有するか否かを分析した。
【0099】
(b)生体内神経テスト
6-OHDAを2%の新鮮なL-アスコルビン酸(L-Ascorbic acid)に溶解し、500mMの原液を調製して1.5mLの褐色マイクロチューブに投入するとともに、10μlのチューブに分割して備えた。薬物を添加する際には、配合済みの薬品を実験デザインの濃度に基づいて、同一比率のハンクスバッファ(Hank’s buffer)に溶解した。そして、24ウェル培養プレートに前記1mLの薬物と稚魚を含む1mLのハンクスバッファを加えた。稚魚に6-OHDAを与えた時間は、受精から48時間~120時間の間であった。なお、コントロール群にいずれの薬品も添加しなかったほか、実験ごとに対照として溶媒群を設けた。ゼブラフィッシュの行動能力を分析することで、魚体の水層別滞在時間、遊泳速度及び遊泳距離等のパラメータを測定し、アツバノリ属抽出液の治療効果を評価した。
【0100】
(2)骨形成に対するEEの影響評価
(a)ゼブラフィッシュの骨成長テスト
生体システムを利用して、骨再生に対するアツバノリ属抽出物溶液の促進作用をテストした。また、骨及び骨質の関連疾患(例えば、骨粗鬆等)に対するアツバノリ属抽出液の効果を分析した。骨成長に対する活性物質の作用は、蛍光染色剤カルセイン(Calcein)で骨の硬骨部分を専一的に染色するとともに、ゼブラフィッシュの胚本体の発育形態を組み合わせて分析した。また、解析ソフトを用いてデータ化することで、骨成長に対する物質の作用を提示した。受精から48時間後のゼブラフィッシュの稚魚を入手し、異なる濃度のアツバノリ属抽出液を加えてから、魚体の脊椎関節を毎日観察し、観察後に飼育を継続した。ゼブラフィッシュは、2g/Lのカルセイン溶液(pH=7.8)で10分間染色したあと、浄水でリンスして余分な染色剤を洗い落とした。その後、MS-222で麻酔してから、魚体を1%メチルセルロース(Methyl Cellulose)に配置して固定した。そして、蛍光顕微鏡で魚体の脊椎骨骼を観察し、骨格の節数を統計分析した。
【0101】
(b)ラットの頭蓋骨欠損実験
頭蓋骨欠損手術:
小範囲の骨欠損は生体内で自然に再生可能である。しかし、欠損サイズが生体で修復可能な大きさを超えた場合には、自身での全快が不可能ないわゆる臨界骨欠損(critical sized bone defect)となり、外部から治療を施さなければ癒合し得ない。動物モデルの違いや部位の違いは、いずれも構築しようとする欠損の大きさに影響を及ぼす。本発明で使用したラットの頭蓋骨欠損モデルでは、まず、ガス麻酔薬であるイソフルラン(isoflourane)を使用して動物に麻酔をかけた。次に、ラットの頭頂を剃毛したあと、ポビドンヨードと70%アルコールで手術部位を消毒して、アンピシリン(ampicillin)を注射した。続いて、滅菌済みのペーパータオルに穴を開け、ラットの頭上に被せて手術部位のみを露出させた。そして、ラットの頭の真上の皮膚と骨膜を約1.5cmのサイズで切開し、骨膜剥離子で頭蓋骨と骨膜を分離させた。頭蓋骨上のちょうど中央に存在する1本の隆起は正中線矢状縫合であり、その両側が頭頂骨である。この矢状縫合を中心としたちょうど中央に、直径4mmの穿頭器を用いて直径4mmの2つの骨欠損を作製した。続いて、5-0のカットグットで骨膜を縫合したあと、4-0のナイロン糸で皮膚を縫合した。手術中に動物が麻酔状態から覚醒した場合には、酸素マスクを通じてガス麻酔器で動物に麻酔ガスを吸入させ、麻酔を維持した。ラットには、麻酔状態で毎週3回に分けてEEを投与した。投与量は、1.5mg/kg/週及び7.5mg/kg/週とした。そして、4週間の投与後に殺処分して、頭蓋骨組織を採取した。
【0102】
ラット頭蓋の愈合情況の評価方式としては、X線装置(X-OMAT V、コダック、ロチェスター、ニューヨーク州)で撮影し、ネガフィルムを自動現像機で現像した。画像はスキャンしてTIFファイルに変換してから、後の分析処理のためにImageQuantソフト(ImageQuant Version 5.2 Copyright(コピーライト)1999、Molecular Dynamics)に読み込んだ。次に、ImagQuantソフトにおいて、各ステップウェッジ(step wedge)と空白箇所の等面積領域を選択し、X線フィルム上の画像のグレースケール強度とウェッジ型ステップの厚みとの関連性を表した。その後、頭蓋骨領域の直径8mmの円形領域と、両側の頭頂骨中央における面積1×1mmの平坦な領域を選択し、グレースケール強度を測定して、上記の方程式に代入した。これにより、内挿法で、ウェッジ型ステップの厚みに対するサンプルの骨密度を算出した。つまり、頭蓋骨の骨欠損領域の骨密度を、ウェッジ型ステップの厚みの違いによって投射されるグレースケール画像の密度と定義した。
【0103】
(3)アトピー性皮膚炎に対するEEの影響評価
本発明で使用した実験動物は、BALB/c系統マウスであった。マウスを2.5%イソフルラン(isoflurane)で麻酔したあと、シェーバーと除毛クリームでマウスの背部の毛を除去し、直径1cmのシリコーンゴムで印を付けた(面積78.5mm)。次に、2日に1回、上記範囲に26μLの2% 2,4-ジニトロクロロベンゼン(2,4-dinitirochlorobenzene,DNCB)(シグマアルドリッチ社、ミズーリ州、USA、Cat.No.#138630)を滴下した。これを全部で8回行って、皮膚の病変を誘発した。
【0104】
DNCB誘発から7日後に、100μLの媒液(Vehicle)、アツバノリ属抽出物EE、又はアトピー性皮膚炎治療薬クリサボロール(crisaborole)を毎日塗布した。実験動物は、(1)コントロール群:未誘発、(2)AD群:2%DNCBのみを投与、(3)ADV群:2%DNCBと媒液(Vehicle)を投与、(4)EEL群:DNCB誘発後に50μgのEE/1%メチルセルロース100μLを投与、(5)EEH群:DNCB誘発後に200μgのEE/1%メチルセルロース100μLを投与、及び(6)Cri群:DNCB誘発後に25μgのクリサボロール/1%アセトール(acetone-EtOH)100μLを投与、に群分けした(各群3匹)。また、DNCBを塗布してから5分後に、DNCBの乾燥を待って薬を塗布した。誘発又は薬塗布前に、デジタルカメラで皮膚症状の変化を撮影して記録した。
【0105】
18日目に動物を殺処分し、採血するとともに、背部の皮膚、脾臓及びリンパ節の組織を採取した。そして、脾臓及び腸骨下リンパ節(Subiliac lymph node)の大きさを観察し、計量して比較した。また、皮膚表面の紅斑/出血(erythema/hemorrhage)、浮腫(edema)、表皮 離/びらん(excoriation/erosion)、乾燥(dryness)という4つの症状から、臨床的な皮膚炎の重大性を評価した。各症状の重症度に応じて0~3点をそれぞれ付与し、0点は無症状、1点は軽症、2点は中等症、3点は重症とした。皮膚炎の総スコアは上記4種類の点数の合計とし、最高で12点であった。点数が高いほど皮膚炎の重症度は深刻であった。
【0106】
殺処分前に、心臓採血法でマウスの血液を採血管(BD vacutainer-SST、ニュージャージー州、USA)に採取した。その後、血液を3000rpmで10分間遠心分離にかけて血清を取得した。血清は、次に使用するまで-80℃の冷蔵庫で保存した。そして、メーカーの説明書に従って、血清中のIgE濃度を検出した(IgE-ELISA kit、サーモフィッシャーサイエンティフィック社、ウィーン、オーストリア)。
【0107】
炎症又は免疫関連の疾患が発生した場合には、リンパ節及び脾臓が腫大(swell)する。そのため、マウスを殺処分する際にこれら2つの器官を採取して撮影し、重量を計測した。
【0108】
統計分析
全ての実験データは、平均値±平均値の標準誤差(mean±SEM)で示した。複数の群間でデータを比較するために、一元配置分散分析(one-way analysis of variance,ANOVA)によってデータの統計分析を行った。また、ダンカン法(Duncan’s Method)で群間差を多重比較した。且つ、P値が0.05よりも小さいときに、群間に有意差があるとした。
【0109】
結果
EEの神経保護作用
SH-SY5Y神経細胞を異なる濃度のアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを添加したあと、6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)で細胞を傷付け、最後にその細胞の生存率を測定することで、神経保護の効果を観察した。すると、コントロール群の細胞生存率が100±3.63%であったのに対し、6-OHDA群の細胞生存率は0±3.88%まで低下した。しかし、濃度0.5~500ng/mlのアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを加えたところ、各群の細胞生存率は、それぞれ10.72±2.86%、33.91±19.67%、7.92±1.93%及び32.69±17.88%(図2参照)となり、いずれも向上した。この結果より、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEが神経保護の効果を有することが証明された。
【0110】
また、6-OHDAによって、ゼブラフィッシュにパーキンソン病様行動を誘発可能であった。これにより、ゼブラフィッシュは遊泳することなく、底部にとどまるようになった。図3の(A)は、単位時間内における各群のゼブラフィッシュの遊泳経路を示している。また、図3の(B)は、ゼブラフィッシュの遊泳速度を示しており、コントロール群の速度が2.47±0.26mm/sであったのに対し、6-OHDA群の速度は0.21±0.11mm/sまで低下した。しかし、濃度0.5μg/ml及び5μg/mlのアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを添加したところ、ゼブラフィッシュの遊泳速度は、2.03±0.65mm/s及び1.24±0.28mm/sまで回復した。また、図3の(C)は、ゼブラフィッシュの単位時間内の総遊泳距離を示している。コントロール群の遊泳距離が741.09±77.04mmであったのに対し、6-OHDA群の遊泳距離は63.00±32.19mmまで低下した。しかし、濃度0.5μg/ml及び5μg/mlのアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEを添加したところ、ゼブラフィッシュの遊泳距離は609.03±196.17mm及び371.52±82.77mmまで回復した。この結果は、アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEが生体内の神経に対して神経保護作用を有することを示している。
【0111】
(2)骨形成に対するEEの影響
アツバノリ属酢酸エチル抽出物EEは、骨形成を促進可能であった。ゼブラフィッシュモデルにおいて、コントロール群の稚魚に10±0.63の骨節が形成されたのに対し、濃度0.05~50μg/mlのアツバノリ属抽出物EE群は、それぞれ、13.8±0.80、15.33±0.68、15.00±0.84及び15.4±0.68というように骨節数が増加した(図4参照)。
【0112】
ラットの頭蓋骨欠損実験では、EEを毎週3回投与した。投与量は、1.5mg/kg/週及び7.5mg/kg/週とした。4週間後に動物を殺処分し、頭蓋骨組織を採取するとともに、X線装置で撮影した画像を利用して面積定量を行った。図5は、ラットの頭蓋骨欠損に対する異なる濃度のアツバノリ属酢酸エチル抽出物EEの治療効果を示す頭蓋外観の比較図である。また、図6の(A)は、各群のラットの頭蓋骨欠損状況のX線図を示す。図6の(B)は、各群のラットの頭蓋骨の回復率を示す。この結果から明らかなように、コントロール群(媒液)の頭蓋骨の回復率が51.90±10.01%であったのに対し、EEを1.5mg/kg/週及び7.5mg/kg/週投与した頭蓋骨の回復率は、それぞれ97.47±4.86%及び15.47±15.86%であった。上記の結果は、EEが骨形成を促進可能であることを示している。
【0113】
(3)アトピー性皮膚炎に対するEEの治療効果
マウスのDNCB誘発アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis,AD)の症状には、紅斑、浮腫、表皮 離、乾燥及び苔癬化等の現象が含まれた。マウスに明らかな紅斑、浮腫、表皮剥離及び乾燥等の症状が現れたあと、EE又はクリサボロール(crisaborole)を毎日塗布し、EEがアトピー性皮膚炎の治療効果を有するか否かをテストした。マウスの皮膚外観の症状を観察及び撮影・記録するとともに(図7A参照)、臨床皮膚炎スコアでEEの治療効果を定量化した(図7B参照)。コントロール群は、被毛が少ないために皮膚表面が乾燥しており、点数は0.75±0.25となった。AD群及びADV群の皮膚表面は角質細胞が増殖し、分厚いかさぶたが形成された。日を追うごとに一部のかさぶたは剥離し、誘発周囲の皮膚の乾燥が観察された。また、皮膚には皺が見られた。且つ、炎症によって、皮膚に紅斑及び浮腫が現れた。しかし、角質細胞が増殖を続けたことで、皮膚表面にはかさぶたも存在していた。これら2つの群の臨床皮膚炎スコアはコントロール群に比べて著しく上昇し、それぞれ、9.17±0.40及び9.50±0.56となった。これに対し、日を追うごとに、EE及びクリサボロール(Cri)を塗布した群は、かさぶたの剥離後に、乾燥、紅斑及び浮腫が観察されたものの、角質細胞の増殖度合はAD群よりも軽微とみられた。そのため、動物の殺処分前に、EEL群及びEEH群の皮膚炎スコアはAD群に比べて著しく低下した(4.50±0.76及び3.67±0.49)。一方、Cri群の皮膚炎スコアは4.80±0.37であり、AD群に対し統計的に有意であった。上記の結果は、EEがAD症状の緩和効果を有することを示している。
【0114】
IgEは、アトピー性皮膚炎の臨床診断指標の1つである。マウスの殺処分前に、血清を採取してIgEの含有量を測定したところ、結果は図8に示す通りとなった。コントロール群の血清中IgE含有量は1.71±0.14μg/mLであった。また、AD群及びADV群のIgE濃度は明らかに上昇していた(68.89±4.12μg/mL及び68.95±2.60μg/mL)。これに対し、EEL群及びEEH群のIgE濃度はわずかだけ低下し、それぞれ、59.33±2.11μg/mL及び59.35±2.05μg/mLであった。しかし、統計的には有意であった。一方、Cri群の血清IgE含有量は、65.61±1.74μg/mLまで低下した。アトピー性皮膚炎に伴って上昇した血清中IgEは、EEを塗布することで低下させることができた。
【0115】
脾臓重量の結果は図9に示す通りとなった。コントロール群の脾臓重量は91.08±3.61mgであった。また、AD群及びADV群の脾臓は明らかに腫大し、コントロール群の2.5倍となった(234.46±6.56mg及び221.14±13.32mg)。これに対し、EEL群及びEEH群の脾臓重量は著しく低下し、それぞれ、160.74±9.10mg及び167.41±10.39mgとなった。一方、Cri群の脾臓重量は著しく低下し、167.46±10.61mgとなった。
【0116】
リンパ節の総重量の結果は図10に示す通りとなった。コントロール群の2つのリンパ節の総重量は4.46±0.29mgであった。また、AD群及びADV群のリンパ節は明らかに腫大し、コントロール群の3倍となった(12.07±0.33mg及び11.61±0.54mg)。これに対し、EEL群及びEEH群のリンパ節重量は著しく低下し、それぞれ9.10±0.68mg及び6.50±0.59mgとなった。且つ、用量依存性(dose dependent)を有していた。一方、Cri群のリンパ節重量は著しく低下し、9.49±0.81mgとなった。以上の結果より、アトピー性皮膚炎による炎症又は免疫反応に伴って腫大したリンパ節及び脾臓は、EEを塗布することで上記のような現象を抑制可能であった。
【0117】
本発明は、本文中で具体的に開示していない要件又は制限の下で実施可能であることを適切に記載している。記載のために使用した用語は制限を意図していない。これらの用語及びそれ以外の何らかの同等物を使用した表現及び記載に違いはないが、本発明における権利は修正される可能性があると認識すべきである。そのため、本発明では実施例及びその他の状況について説明したが、本文中で開示した内容は当業者によって補足及び変形可能であり、且つ、このような修正及び変形は本発明の権利範囲内であるとみなされる。
図1
図2
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図8
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図10