IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図1
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図2
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図3
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図4
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図5
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図6
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図7
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図8
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図9
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図10
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図11
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図12
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図13
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図14
  • 特許-配線ダクト及び電気器具 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】配線ダクト及び電気器具
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230825BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20230825BHJP
   F21V 21/005 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H02G3/04 037
F21V23/06
F21V21/005
H02G3/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019129668
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021016245
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 常弘
(72)【発明者】
【氏名】井藤 好克
(72)【発明者】
【氏名】林 祐太朗
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-075281(JP,U)
【文献】実開昭51-011681(JP,U)
【文献】実開昭51-121279(JP,U)
【文献】特開昭51-074482(JP,A)
【文献】特開2006-230113(JP,A)
【文献】米国特許第09618172(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F21V 23/06
F21V 21/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電用導体を有する配線ダクト本体と、
前記配線ダクト本体を造営材に取り付けるための取付構造と
貫通溝が形成されたカバー部材と、を備え、
前記配線ダクト本体は、前記造営材に設置された照明器具の一部と、前記照明器具を設置するために前記造営材に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む既設構造に対して、前記取付構造にて取り付けられ
前記カバー部材は、前記既設構造を覆い、かつ、前記貫通溝を通して前記配線ダクト本体の少なくとも一部を露出させる、
配線ダクト。
【請求項2】
前記既設構造は、前記照明器具の一部である既設の器具部材を含む
請求項1の配線ダクト。
【請求項3】
前記器具部材は、全部又は一部が前記造営材の手前側を向く面よりも奥側に位置する凹部を有し、
前記配線ダクト本体は、前記凹部に取り付けられる
請求項2の配線ダクト。
【請求項4】
前記器具部材は、全部又は一部が前記造営材よりも手前側に位置する凸部を有し、
前記配線ダクト本体は、前記凸部に取り付けられる
請求項2の配線ダクト。
【請求項5】
前記既設構造は、前記照明器具を設置するために前記造営材に形成されている埋込孔である
請求項1の配線ダクト。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項の配線ダクト本体が有する前記給電用導体に電気的に接続される電気器具であって、
前記給電用導体に電気的に接続された状態で、その全部又は一部が前記既設構造に収容され、かつ、前記既設構造の長手方向において前記配線ダクト本体に対する相対的な位置が変更可能である
電気器具。
【請求項7】
配線ダクトに電気的に接続される電気器具であって、
前記配線ダクトは、
給電用導体を有する配線ダクト本体と、
前記配線ダクト本体を造営材に取り付けるための取付構造と、を備え、
前記配線ダクト本体は、前記造営材に設置された照明器具の一部と、前記照明器具を設置するために前記造営材に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む既設構造に対して、前記取付構造にて取り付けられ、
前記電気器具は、前記給電用導体に電気的に接続された状態で、前記既設構造と、前記造営材における前記既設構造の周囲の部分とを覆うように設けられている
電気器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、造営材に取り付け可能な配線ダクト、この配線ダクトに電気的に接続される電気器具、造営材に取り付けられた配線ダクトを含む配線ダクトシステムの生産方法、及び配線ダクトを用いた電気器具の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線ダクトを用いて照明器具等の電気器具を設置する技術が、従来知られている(特許文献1等参照)。配線ダクトは、建物の天井材、側壁材等の造営材に取り付けられる長尺の部材である。配線ダクトの内部には、電気器具を電気的に接続することのできる給電用導体が、レール状に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-14700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の配線ダクトにおいて、これを造営材に設置するためには、専用の部材を用意して取り付け作業を行う必要があり、既設の構造を有効に活用するものではなかった。
【0005】
本開示は、既設の構造を有効に活用することができる配線ダクト、電気器具、配線ダクトシステムの生産方法、及び電気器具の設置方法を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る配線ダクトは、給電用導体を有する配線ダクト本体と、前記配線ダクト本体を造営材に取り付けるための取付構造と、を備える。前記取付構造は、前記造営材に設置された照明器具の一部と、前記照明器具を設置するために前記造営材に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む既設構造に対して、前記配線ダクト本体を取り付ける構造である。
【0007】
本開示の一態様に係る電気器具は、前記配線ダクト本体が有する前記給電用導体に電気的に接続される電気器具である。前記電気器具は、前記給電用導体に電気的に接続された状態で、その全部又は一部が前記既設構造に収容され、かつ、前記既設構造の長手方向において前記配線ダクト本体に対する相対的な位置が変更可能である。
【0008】
本開示の別態様に係る電気器具は、前記配線ダクト本体が有する前記給電用導体に電気的に接続される電気器具である。前記電気器具は、前記給電用導体に電気的に接続された状態で、前記既設構造と、前記造営材における前記既設構造の周囲の部分とを覆うように設けられている。
【0009】
本開示の一態様に係る配線ダクトシステムの生産方法は、造営材に設置された照明器具の少なくとも一部分を取り外す取外し工程と、前記取外し工程の後に残存した既設構造に対して、給電用導体を有する配線ダクトを取り付ける取付工程と、を備える。前記既設構造は、前記照明器具の一部と、前記照明器具を設置するために前記造営材に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む。
【0010】
本開示の一態様に係る電気器具の設置方法は、造営材に照明器具が設置された造営材に、前記照明器具とは異なる電気器具を設置する方法であって、前記照明器具の一部と、前記照明器具を設置するために前記造営材に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む既設構造に対して、給電用導体を有する配線ダクトを取り付ける取付工程と、前記給電用導体に対して前記電気器具を電気的に接続させる接続工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示は、既設の構造を有効に活用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第一実施形態の配線ダクトを取り付ける箇所に設置されていた従前の照明器具の斜視図である。
図2図2は、同上の箇所に形成された配線ダクトシステムの分解斜視図である。
図3図3は、同上の配線ダクトシステムに電気器具を取り付けた斜視図である。
図4図4は、同上の配線ダクトの要部拡大図である。
図5図5は、図4のA-A線断面図である。
図6図6は、同上の配線ダクトシステムの変形例の斜視図である。
図7図7は、第二実施形態の配線ダクトシステムに電気器具を取り付けた斜視図である。
図8図8は、同上の配線ダクトシステムの分解斜視図である。
図9図9は、同上の配線ダクトシステムの変形例に電気器具を取り付けた斜視図である。
図10図10は、同上の変形例の分解斜視図である。
図11図11は、第三実施形態の配線ダクトシステムに電気器具を取り付けた斜視図である。
図12図12は、同上の配線ダクトシステムの分解斜視図である。
図13図13は、配線ダクトシステムの変形例に電気器具を取り付けた斜視図である。
図14図14は、同上の変形例の分解斜視図である。
図15図15は、同上の電気器具の変形例が同上の配線ダクトシステムに取り付けられた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一実施形態)
第一実施形態の配線ダクト1と、これを用いて形成された第一実施形態の配線ダクトシステム3について、以下に説明する。
【0014】
配線ダクト1は、建物の天井材、側壁材等の造営材9に取り付けられる給電用の長尺部材である。配線ダクト1は、造営材9に既に設置されている既設構造7を有効に活用して取り付け可能に構成されている。
【0015】
造営材9のうち、配線ダクト1が取り付けられる箇所P1は、図1に示すような埋込型の照明器具8が設置されていた箇所である。この箇所P1において、造営材9には長尺の埋込孔95が形成されている。
【0016】
まず、照明器具8について説明する。
【0017】
図1に示す照明器具8は、埋込孔95に埋め込まれる器具部材82と、互いに距離をあけて位置するように器具部材82に設けられた一対のソケット84と、一対のソケット84の間に着脱可能に挿入される直管状のランプ86とを備える。
【0018】
器具部材82は、所定の方向(以下「長手方向D1」)において長尺であり、一対のソケット84は、長手方向D1に距離をあけて互いに対向する。一対のソケット84に間に挿入されたランプ86は、長手方向D1に長尺となる姿勢で一対のソケット84に保持される。
【0019】
器具部材82は、一対のソケット84が配置された凹部821と、凹部821の開口を囲むように形成された環状のフランジ823とを有する。凹部821は、長手方向D1に長尺である。
【0020】
埋込孔95に器具部材82が埋め込まれた状態において、フランジ823は、造営材9における埋込孔95の周縁部分に接触し、凹部821は、その全部又は一部が、造営材9の手前側を向く面(つまり造営面)よりも奥側に位置する。埋込孔95に器具部材82が埋め込まれた状態において、一対のソケット84とこれに接続されたランプ86は、造営材9の手前側を向く面よりも、奥側に位置する。
【0021】
ランプ86は蛍光灯ランプであるが、その種類は特に限定されず、例えばLEDランプでもよい。ランプ86の長手方向の両端部には、口金865が設けられている。口金865は、ソケット84に対して機械的にかつ電気的に接続されるピンを有する。
【0022】
第一実施形態において、配線ダクト1を造営材9に取り付けるために利用する既設構造7は、照明器具8の一部である既設の器具部材82を含む。器具部材82は、より具体的には、ランプ86を着脱可能に装着するように設けられた照明器具本体である。
【0023】
次に、配線ダクト1について説明する。
【0024】
図2図3等に示すように、配線ダクト1は、直線状の配線ダクト本体12と、配線ダクト本体12を器具部材82に取り付けるための取付構造14とを備える。第一実施形態において、取付構造14は、配線ダクト本体12に着脱可能に連結される一対の取付部材142を含む。
【0025】
配線ダクト本体12は、例えば合成樹脂を用いて直線状に成形されたケーシング121と、ケーシング121の内部空間に配置された二つのレール状の給電用導体125とを備える。二つの給電用導体125は、互いに平行である。
【0026】
ケーシング121は、その内部空間につながる長尺の開口123を有する。開口123の長手方向は、配線ダクト本体12の長手方向D1と一致し、また、各給電用導体125の長手方向と一致する。開口123を通して、電気器具2の少なくとも一部がケーシング121の内部空間に挿し入れられる。ケーシング121の内部空間において、電気器具2と給電用導体125とが接触し、両者は電気的に接続される。
【0027】
さらに、ケーシング121の内部空間には、二つの引掛け溝127が形成されている。二つの引掛け溝127は、それぞれケーシング121の長手方向に一直線状に形成されており、互いに平行である。二つの引掛け溝127は、互いに反対の方向に向けて凹んだ長溝である。
【0028】
二つの引掛け溝127は、二つの給電用導体125と開口123との間に位置しており、開口123を通して挿し入れられた電気器具2の一部が、二つの引掛け溝127に引っ掛かるようになっている。このように電気器具2の一部が二つの引掛け溝127に引っ掛かった状態で、電気器具2と二つの給電用導体125とが接触し、電気器具2と二つの給電用導体125とが電気的に接続される。
【0029】
図4図5に示すように、取付部材142は、配線ダクト本体12の長手方向の端部に着脱可能に挿し込まれる突起部142aと、突起部142aが挿し込まれた状態で配線ダクト本体12の端部を塞ぐように位置する蓋部142bとを、一体に有するT字状の部材である。さらに、取付部材142には、突起部142aとは反対の側に向けて蓋部142bから突出するように、二本のピン142cが一体に設けられている。二本のピン142cは、既設の器具部材82に設けられたソケット84に引っ掛かるように構成されている。
【0030】
配線ダクト1は、上記の構成を備えるので、既設の器具部材82を利用して造営材9に取り付けることができ、例えば造営材9に新たな埋込孔を形成する工程や、配線ダクト1を設置するための部材を造営材9に取り付ける工程が不要である。これにより、配線ダクト1を造営材9に設置するための初期投資が抑制される。
【0031】
配線ダクト1を既設の器具部材82に組み合わせたものが、第一実施形態の配線ダクトシステム3である。配線ダクトシステム3は、適宜の電気器具2を取り付けてこれに電力を供給することのできるシステムである。
【0032】
つまり、第一実施形態の配線ダクト1によれば、これを既設の器具部材82と組み合わせることによって、既設の構造を有効に活用し、初期投資を抑えて配線ダクトシステム3を生産することが可能である。
【0033】
配線ダクトシステム3を生産する方法は、取外し工程と取付工程とを備える。
【0034】
取外し工程では、造営材9に埋込型の照明器具8が設置されていた箇所P1(図1参照)において、照明器具8の一部分を取り外す。具体的には、照明器具8の器具部材82から少なくともランプ86を取り外し、造営材9に埋め込まれた器具部材82を残存させる。器具部材82は、従前より造営材9に埋め込まれていた部材であるから、周囲と調和した外観で存在しやすい。
【0035】
取付工程は、取外し工程の後に行われる。取付工程では、造営材9に残存した器具部材82に対して、配線ダクト1を取り付ける。
【0036】
具体的には、配線ダクト本体12の両端部にそれぞれ取付部材142を連結させた状態で、両側の取付部材142の二本のピン142cを、対応するソケット84に引っ掛ける。これにより、配線ダクト本体12は、一対の取付部材142と一対のソケット84とを介して、既設の器具部材82に支持される。この状態において、配線ダクト本体12は、造営材9の手前側を向く面よりも奥側に位置し、かつ長手方向D1に長尺となる姿勢で支持される。
【0037】
上記のように組み立てられた配線ダクトシステム3の配線ダクト1には、例えばダウンライト型の照明ユニットである電気器具2を、機械的にかつ電気的に接続させることができる。
【0038】
配線ダクト1に接続可能な電気器具2は、ダウンライト型の照明ユニットに限定されず、例えば、直線状の照明ユニット、スクエア型の照明ユニット、又は円盤状の照明ユニット等でもよい。直線状の照明ユニットである場合、長尺の凹部821にすっぽりと収まる形状を有することも好ましい。
【0039】
また、配線ダクト1に接続可能な電気器具2は照明ユニットに限定されず、造営材9側から電源を供給することのできる器具であればよい。一例として電気器具2は、天井取付型コンセント、プロジェクター、スピーカー、スマートスピーカー、送風機、人感センサー、又はLPS(local Positioning System)用のセンサー(スキャナー)等でもよい。
【0040】
配線ダクトシステム3に取り付けられる電気器具2の数及び位置は特に限定されず、同一種類の複数の電気器具2を配線ダクトシステム3に取り付けることも可能であり、互いに異なる種類の複数の電気器具2を配線ダクトシステム3に取り付けることも可能である。配線ダクトシステム3に取り付けられた電気器具2を、給電用導体125の長手方向に移動させ、移動後の位置で給電用導体125に電気的に接続させることも可能である。これにより、配線ダクト本体12に対する電気器具2の相対的な位置が、器具部材82の長手方向D1において変更される。
【0041】
上記のように配線ダクトシステム3を設けてこれに電気器具2を取り付ける方法は、言い換えると、造営材9に照明器具8が設置されていた箇所P1に、この照明器具8の一部を利用して別の電気器具2を設置する方法である。
【0042】
この方法は、取付工程と接続工程とを備える。
【0043】
取付工程では、造営材9に残存する照明器具8の一部(つまり既設の照明器具本体である器具部材82)に対して、給電用導体125を有する配線ダクト1を取り付ける。
【0044】
接続工程は、取付工程の後に行われる。接続工程では、配線ダクト1が有する給電用導体125に対して、従前の照明器具8とは別の電気器具2を電気的に接続させる。
【0045】
この方法によれば、従前は照明器具8が設置されていた箇所P1において、この照明器具8の一部を有効活用して新たな電気器具2を設置することができ、初期投資が抑制される。特に、電気器具2が照明ユニットである場合には、従前の照明器具8に替えて、一つ又は複数の新たな照明ユニットを、簡単にかつ高い自由度で設置することができる。
【0046】
図6には、第一実施形態の配線ダクト1を用いて形成された配線ダクトシステム3の変形例を示している。
【0047】
この変形例において、配線ダクト1が取り付けられる箇所P1は、造営材9において、露出型の照明器具が設置されていた箇所である。露出型の照明器具は、造営材9から手前側に突出した位置にランプを保持する照明器具であり、自身の長手方向から見たときにV字状の形状を有する。従前の照明器具のうち造営材9に残存した部分である既設の器具部材82は、長手方向D1において長尺な五角柱状の凸部825を有し、この凸部825に、二対のソケット84が設けられている。凸部825は、互いに近づく方向に傾いた二つの斜面825a,825bを有し、各斜面825a,825bにおいて、一対のソケット84が長手方向D1に距離をあけて位置している。
【0048】
凸部825は、その全部又は一部が造営材9よりも手前側に位置する。二対のソケット84は、いずれも造営材9よりも手前側に位置する。
【0049】
配線ダクト1の構造は上記した通りであって、従前のランプの替わりに対をなすソケット84間に装着される構造を有している。この変形例では、既設の器具部材82を活用して、二つの配線ダクト1を互いに平行な姿勢で取り付けることができ、既設の構造を有効に活用して配線ダクトシステム3を提供することができる。
【0050】
(第二実施形態)
第二実施形態の配線ダクト1と、これを用いて形成された第二実施形態の配線ダクトシステム3について、図7及び図8に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0051】
第二実施形態において、配線ダクト1を造営材9に取り付けるために利用する既設構造7は、埋込型の照明器具8(図1参照)を設置するために造営材9に形成されている埋込孔95である。
【0052】
第二実施形態の配線ダクト1は、第一実施形態と同様の配線ダクト本体12に加えて、埋込孔95を覆う平板状のカバー部材16と、カバー部材16の裏面に固定されるボックス18と、これらを埋込孔95の奥側に取り付けるための取付構造14とを備える。配線ダクト本体12は、ボックス18に収容される。カバー部材16には、ボックス18に収容された配線ダクト本体12の少なくとも一部を露出させるための貫通溝162が形成されている。カバー部材16は、埋込孔95をその手前側から覆うように、取付構造14を介して造営材9に取り付けられる。
【0053】
第二実施形態の取付構造14は、複数の挟み金具145を含む。第二実施形態において、複数の挟み金具145は、ボックス18の四隅にそれぞれ固定された四つの挟み金具145である。挟み金具145は、縦長箱型のガイド部145aと、ガイド部145aに回転自在に支持された引締めねじ145bと、引締めねじ145bのねじ溝に対して一部が噛み合った挟み片145cとを有する。
【0054】
挟み金具145において、引締めねじ145bをその軸まわりに回転させると、挟み片145cは、引締めねじ145bの軸方向に移動する。造営材9が天井材である場合、挟み片145cが移動する方向は上下方向である。そのため、ボックス18と四つの挟み金具145を埋込孔95に挿し込んだ後に、カバー部材16の四隅の操作孔163を通じて対応する引締めねじ145bを回転させると、造営材9のうち埋込孔95の周縁の部分が、造営材9に近づくように移動した挟み片145cと、カバー部材16の周縁部との間で挟み込まれる。これにより、第二実施形態の配線ダクト1は埋込孔95に取り付けられる。
【0055】
第二実施形態の配線ダクト1を、造営材9に既設の埋込孔95に組み合わせたものが、第二実施形態の配線ダクトシステム3である。つまり、第二実施形態の配線ダクト1によれば、これを既設構造7である埋込孔95と組み合わせることによって、既設の構造を有効に活用して配線ダクトシステム3を生産することが可能である。
【0056】
第二実施形態の配線ダクトシステム3を生産する方法は、取外し工程と取付工程とを備える。取外し工程では、造営材9に埋込型の照明器具8が設置されていた箇所P1において、埋込孔95が残存するように照明器具8の全部又は一部分を取り外す。
【0057】
取付工程では、造営材9に残存する埋込孔95に対して、第二実施形態の配線ダクト1を取り付け、第二実施形態の配線ダクトシステム3を形成する。造営材9に設置された配線ダクトシステム3において、配線ダクト本体12の開口123は手前側を向き、カバー部材16の貫通溝162を通して、手前側に露出する。カバー部材16は、周囲の造営材9に対して略面一である。ここでの略面一は、僅かな段差と隙間の両方又は一方が介在した状態であるが、段差と隙間が介在しない状態でもよい。
【0058】
上記のように組み立てられた配線ダクトシステム3には、例えばダウンライト型の照明ユニットである電気器具2を、貫通溝162を通して機械的にかつ電気的に接続させることができる。さらに、配線ダクト本体12が有する給電用導体125に電気的に接続された電気器具2の位置を、貫通溝162及び配線ダクト1の長手方向に沿って、適宜に変更することが可能である。
【0059】
上記のように配線ダクトシステム3を設けてこれに電気器具2を取り付ける方法は、言い換えると、造営材9に照明器具8が設置されていた箇所P1において、照明器具8を設置するために用いられていた埋込孔95を利用し、別の電気器具2を設置する方法である。
【0060】
この方法は、取付工程と接続工程とを備える。
【0061】
取付工程では、造営材9に残存する埋込孔95に対して、配線ダクト1を取り付ける。接続工程では、カバー部材16の貫通溝162に電気器具2を挿し入れ、配線ダクト本体12の内側の給電用導体125に対して、電気器具2を電気的に接続させる。
【0062】
この方法によれば、従前は照明器具8が設置されていた箇所P1において、既設の埋込孔95を有効活用して新たな電気器具2を高い自由度で設置することができ、初期投資が抑制される。特に、電気器具2が照明ユニットである場合には、従前の照明器具8に替えて、一つ又は複数の新たな照明ユニットを、簡単にかつ高い自由度で設置することができる。
【0063】
図9及び図10には、第二実施形態の配線ダクトシステム3の変形例を示している。この変形例において、取付構造14は、従前の照明器具8を取り付けるために用いられた取付ボルト88を利用して、配線ダクト本体12を取り付ける構造である。取付構造14は、取付ボルト88が貫通するように配線ダクト本体12に設けられた貫通孔と、取付ナット147とを含む。配線ダクト本体12を貫通した取付ボルト88に、取付ナット147を締結することで、配線ダクト本体12は取付ボルト88に吊り下げ支持される。
【0064】
(第三実施形態)
第三実施形態の配線ダクト1と、これを用いて形成された第三実施形態の配線ダクトシステム3について、図11及び図12に基づいて説明する。なお、第二実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0065】
第三実施形態において、配線ダクト1を造営材9に取り付けるために利用する既設構造7は、第二実施形態と同様、造営材9に形成されている埋込孔95である。
【0066】
第三実施形態の配線ダクト1は、配線ダクト本体12と、埋込孔95を覆いかつ電気器具2を収容することのできるカバー部材16と、カバー部材の裏側に固定されるボックス18と、これらを埋込孔95の奥側に取り付けるための取付構造14とを備える。配線ダクト本体12は、ボックス18に収容される。
【0067】
第三実施形態の取付構造14は、第二実施形態と同様に、ボックス18の四隅にそれぞれ固定された四つの挟み金具145を含む。各挟み金具145は、ガイド部145aと、引締めねじ145bと、挟み片145cとを有する。
【0068】
カバー部材16は、長手方向D1に長尺の凹部164と、凹部164の開口を囲むように形成された環状のフランジ166とを有し、凹部164の底面を貫通する貫通溝162が形成されている。貫通溝162は、配線ダクト本体12の少なくとも一部を露出させるための溝である。
【0069】
造営材9にカバー部材16が取り付けられた状態において、フランジ166は、造営材9における埋込孔95の周縁部分に接触し、凹部164は、その全部又は一部が、造営材9の手前側を向く面よりも奥側に位置する。造営材9にカバー部材16が取り付けられた状態において、貫通溝162は、造営材9の手前側を向く面よりも、奥側に位置する。
【0070】
第三実施形態の配線ダクト1を、造営材9に既設の埋込孔95に組み合わせたものが、第三実施形態の配線ダクトシステム3である。つまり、第三実施形態の配線ダクト1によれば、これを既設構造7である埋込孔95と組み合わせることによって、既設の構造を有効に活用して配線ダクトシステム3を生産することが可能である。
【0071】
第三実施形態の配線ダクトシステム3を生産する方法は、取外し工程と取付工程とを備える。取外し工程では、造営材9に埋込孔95が残存するように照明器具8の全部又は一部分を取り外す。
【0072】
取付工程では、造営材9に残存する埋込孔95に対して、第三実施形態の配線ダクト1を取り付け、第三実施形態の配線ダクトシステム3を形成する。配線ダクトシステム3において、配線ダクト本体12の開口123は、カバー部材16の貫通溝162を通して、凹部164の内側のスペースに連通する。
【0073】
上記のように組み立てられた配線ダクトシステム3には、例えばダウンライト型の照明ユニットである電気器具2を、貫通溝162を通して機械的にかつ電気的に接続させることができる。さらに、配線ダクト本体12が有する給電用導体125に電気接続された電気器具2の位置を、貫通溝162及び凹部164の長手方向に沿って、適宜に変更することも可能である。
【0074】
第三実施形態の配線ダクトシステム3においては、これに接続されたボックス型の電気器具2の全部又は一部が、カバー部材16の凹部164に収容される。言い換えれば、配線ダクトシステム3に電気器具2が接続された状態において、電気器具2は、その全部又は一部がカバー部材16を介して埋込孔95に収容される。この状態において、電気器具2は凹部164の長手方向(つまり埋込孔95の長手方向)において位置変更が可能である。
【0075】
電気器具2の外側を向く面(第三実施形態では下面)は、カバー部材16の凹部164に収容された状態において、周囲の造営材9と略面一となるように専用設計されている。ここでの略面一は、僅かな段差と隙間の両方又は一方が介在した状態であるが、段差と隙間が介在しない状態でもよい。専用設計された電気器具2は、凹部164の幅方向において、凹部164にすっぽりと収まる外形を有している。凹部164の幅方向において、電気器具2の両側面は、凹部164の内側面に対して僅かな隙間を介して対向する。
【0076】
上記のように配線ダクトシステム3を設けてこれに電気器具2を取り付ける方法は、言い換えると、造営材9の箇所P1において照明器具8を設置するために用いられていた埋込孔95を利用し、別の電気器具2を設置する方法である。この方法は、取付工程と接続工程とを備える。
【0077】
取付工程では、造営材9に残存する埋込孔95に対して配線ダクト1を取り付ける。接続工程では、カバー部材16の貫通溝162から露出する配線ダクト本体12の開口123に、電気器具2を挿し入れる。これにより、配線ダクト本体12の内側の給電用導体125に対して、電気器具2を電気接続させる。
【0078】
この方法によれば、従前は照明器具8が設置されていた箇所P1において、既設の埋込孔95を有効活用して新たな電気器具2を設置することができ、初期投資が抑制される。特に、電気器具2が照明ユニットである場合には、従前の照明器具8に替えて、一つ又は複数の新たな照明ユニットを簡単に設置することができる。オフィス空間等においては、少ない光量で十分な場合や、照らす箇所を偏在させたい場合があり、このような要望に対応することが可能である。
【0079】
なお、カバー部材16の凹部164に収容される専用設計の電気器具2は、照明ユニットに限定されない。一例として、専用設計の電気器具2は、天井取付型コンセント、プロジェクター、スピーカー、スマートスピーカー、送風機、人感センサー、又はLPSセンサー等でもよい。また、異なる種類の電気器具2の外形を共通化し、例えばいずれも共通のボックス状の外形に設計することで、配線ダクトシステム3に接続されたときの外観上の統一感を得ることができる。
【0080】
図13及び図14には、第三実施形態の配線ダクト1の変形例を示している。この変形例において、取付構造14は、第二実施形態の配線ダクト1の変形例と同様に、取付ボルト88を利用して配線ダクト本体12を取り付ける構造であり、配線ダクト本体12に設けられた貫通孔と、取付ナット147とを含む。配線ダクト本体12を貫通した取付ボルト88に、取付ナット147を締結することで、配線ダクト本体12は取付ボルト88に吊り下げ支持される。
【0081】
図15に示す別の変形例では、既設構造7である埋込孔95を利用して組み立てられた配線ダクトシステム3に、直線状の照明ユニットである電気器具2を電気的にかつ機械的に接続させている。この電気器具2は、埋込孔95を覆い、かつ造営材9における埋込孔95の周囲の部分を覆うように設けられている。電気器具2は、埋込孔95の周囲の部分の少なくとも一部を覆うように設けられていればよい。
【0082】
この変形例における電気器具2は、直線状の照明ユニットに限定されず、例えば、スクエア型の照明ユニット、円盤状の照明ユニット、又はダウンライト型の照明ユニット等でもよい。また、この変形例における電気器具2は、照明ユニットに限定されず、例えば、天井取付型コンセント、プロジェクター、スピーカー、スマートスピーカー、送風機、人感センサー、又はLPS用のセンサー等でもよい。また、埋込孔95は長尺の孔に限定されず、例えば丸形の孔でもよい。
【0083】
以上、本開示の配線ダクト1とこれを用いて形成された配線ダクトシステム3について、添付図面に示す各実施形態に基づいて説明したが、本開示の配線ダクト1及び配線ダクトシステム3は、上記した実施形態に限定されず、適宜の設計変更を行うことが可能である。
【0084】
例えば、第一実施形態において、配線ダクト1を取り付けるために利用する既設構造7は従前の照明器具8の一部(器具部材82)を含んだ構造であるが、既設構造7はこれに限定されない。つまり、第二、第三実施形態のように従前の照明器具8は取り外し、造営材9に残存した埋込孔を既設構造7として利用することも可能である。
【0085】
同様に、第二、第三実施形態において、配線ダクト1を取り付けるために利用する既設構造7は造営材9に残存した埋込孔95であるが、これに限定されず、従前の照明器具8の一部(器具部材82)を既設構造7として利用することも可能である。第二、第三実施形態において、照明器具8の一部を既設構造7として利用した場合には、カバー部材16で、この照明器具8の一部を覆うことになる。
【0086】
第一から第三実施形態のいずれにおいても、配線ダクト1は、交流電力が供給されるタイプのものでもよいし、直流電力が供給されるタイプのものでもよい。後者の場合、例えば、PoE(Power over Ethernet)のケーブルからPoE給電アダプタを通して直流電力を取り出し、その直流電力を配線ダクト1に供給することが可能である。
【0087】
(態様)
第一から第三実施形態に基づいて説明したように、本明細書は、以下の態様の配線ダクト(1)を開示している。
【0088】
第1の態様の配線ダクト(1)は、給電用導体(125)を有する配線ダクト本体(12)と、配線ダクト本体(12)を造営材(9)に取り付けるための取付構造(14)と、を備える。配線ダクト本体(12)は、造営材(9)に設置された照明器具(8)の一部と、照明器具(8)を設置するために造営材(9)に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む既設構造(7)に対して、取付構造(14)にて取り付けられる。
【0089】
第1の態様の配線ダクト(1)によれば、既設の構造を有効に活用して造営材(9)に設置することができる。
【0090】
第2の態様の配線ダクト(1)は、第1の態様に加えて、既設構造(7)は、照明器具(8)の一部である既設の器具部材(82)を含む。
【0091】
第2の態様の配線ダクト(1)によれば、照明器具(8)の一部を有効に活用して造営材(9)に設置することができる。
【0092】
第3の態様の配線ダクト(1)は、第2の態様に加えて、器具部材(82)は、全部又は一部が造営材(9)の手前側を向く面よりも奥側に位置する凹部(821)を有する。配線ダクト本体(12)は、凹部(821)に取り付けられる。
【0093】
第3の態様の配線ダクト(1)によれば、造営材(9)に埋め込まれた形態の配線ダクト(1)を、既設の構造を有効に活用して提供することができる。
【0094】
第4の態様の配線ダクト(1)は、第2の態様に加えて、器具部材(82)は、全部又は一部が造営材(9)よりも手前側に位置する凸部(825)を有する。配線ダクト本体(12)は、凸部(825)に取り付けられる。
【0095】
第4の態様の配線ダクトによれば、造営材(9)から突出した位置に支持される配線ダクト(1)を、既設の構造を有効に活用して提供することができる。
【0096】
第5の態様の配線ダクト(1)は、第1の態様に加えて、既設構造(7)は、照明器具(8)を設置するために造営材(9)に形成されている埋込孔(95)である。
【0097】
第5の態様の配線ダクト(1)によれば、造営材(9)に形成されていた埋込孔(95)を有効に活用して、配線ダクト(1)を設置することができる。
【0098】
第6の態様の配線ダクト(1)は、第1から第5のいずれか一つの態様に加えて、貫通溝(162)が形成されたカバー部材(16)を、更に備える。カバー部材(16)は、既設構造(7)を覆い、かつ、貫通溝(162)を通して配線ダクト本体(12)の少なくとも一部を露出させる部材である。
【0099】
第6の態様の配線ダクト(1)によれば、既設構造(7)をカバー部材(16)で隠すことができ、かつ配線ダクト(1)には、カバー部材(16)の貫通溝(162)を通して電気器具(2)を挿し込むことが可能である。
【0100】
また、第一から第三実施形態に基づいて説明したように、本明細書は、以下の態様の電気器具(2)を開示している。
【0101】
第1の態様の電気器具(2)は、第1から第6のいずれか一つの態様の配線ダクト本体(12)が有する給電用導体(125)に電気的に接続される電気器具(2)である。電気器具(2)は、給電用導体(125)に電気的に接続された状態で、その全部又は一部が既設構造(7)に収容され、かつ、既設構造(7)の長手方向(D1)において配線ダクト本体(12)に対する相対的な位置が変更可能である。
【0102】
第1の態様の電気器具(2)によれば、既設構造(7)を利用して、従前の照明器具(8)とは異なる電気器具(2)を、すっきりとした外観で設置することができる。
【0103】
第2の態様の電気器具(2)は、第1から第6のいずれか一つの態様の配線ダクト本体(12)が有する給電用導体(125)に電気的に接続される電気器具(2)である。電気器具(2)は、給電用導体(125)に電気的に接続された状態で、既設構造(7)と、造営材(9)における既設構造(7)の周囲の部分とを覆うように設けられている。
【0104】
第2の態様の電気器具(2)によれば、既設構造(7)を利用して、従前の照明器具(8)とは異なる電気器具(2)を、すっきりとした外観で設置することができる。
【0105】
また、第一から第三実施形態に基づいて説明したように、本明細書は、以下の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法を開示している。
【0106】
第1の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法は、造営材(9)に設置された照明器具(8)の少なくとも一部分を取り外す取外し工程と、この取外し工程の後に残存した既設構造(7)に対して、給電用導体(125)を有する配線ダクト(1)を取り付ける取付工程と、を備える。既設構造(7)は、照明器具(8)の一部と、照明器具(8)を設置するために造営材(9)に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む。
【0107】
第1の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法によれば、既設構造(7)を有効に活用して、造営材(9)に配線ダクトシステム(3)を形成することができる。
【0108】
第2の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法は、第1の態様に加えて、既設構造(7)は、照明器具(8)の一部である既設の器具部材(82)を含む。
【0109】
第2の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法によれば、照明器具(8)の一部を有効に活用して、造営材(9)に配線ダクトシステム(3)を形成することができる。
【0110】
第3の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法は、第1の態様に加えて、既設構造(7)は、照明器具(8)を取り付けるために造営材(9)に形成されている埋込孔(95)である。
【0111】
第3の態様の配線ダクトシステム(3)の生産方法によれば、造営材(9)に形成されていた埋込孔(95)を有効に活用して、造営材(9)に配線ダクトシステム(3)を形成することができる。
【0112】
また、第一から第三実施形態に基づいて説明したように、本明細書は、以下の態様の電気器具(2)の設置方法を開示している。
【0113】
第1の態様の電気器具(2)の設置方法は、照明器具(8)が設置された造営材(9)に、照明器具(8)とは異なる電気器具(2)を設置する方法である。この設置方法は、既設構造(7)に対して、給電用導体(125)を有する配線ダクト(1)を取り付ける取付工程と、給電用導体(125)に電気器具(2)を電気的に接続させる接続工程と、を備える。既設構造(7)は、照明器具(8)の一部と、照明器具(8)を設置するために造営材(9)に形成されている構造と、の少なくとも一方を含む。
【0114】
第1の態様の電気器具(2)の設置方法によれば、既に設けられていた既設構造(7)を有効に活用して、造営材(9)に電気器具(2)を設置することができる。
【0115】
第2の態様の電気器具(2)の設置方法は、第1の態様に加えて、既設構造(7)は、照明器具(8)の一部である既設の器具部材(82)を含む。
【0116】
第2の態様の電気器具(2)の設置方法によれば、照明器具(8)の一部を有効に活用して、造営材(9)に電気器具(2)を設置することができる。
【0117】
第3の態様の電気器具(2)の設置方法は、第1の態様に加えて、既設構造(7)は、照明器具(8)を設置するために造営材(9)に形成されている埋込孔(95)である。
【0118】
第3の態様の電気器具(2)の設置方法によれば、造営材(9)に形成されていた埋込孔(95)を有効に活用して、造営材(9)に電気器具(2)を設置することができる。
【符号の説明】
【0119】
1 配線ダクト
12 配線ダクト本体
125 給電用導体
14 取付構造
16 カバー部材
162 貫通溝
2 電気器具
3 配線ダクトシステム
7 既設構造
8 照明器具
82 器具部材
821 凹部
825 凸部
9 造営材
95 埋込孔
D1 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15