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特許7336668電力中継装置、電源システム及び配電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】電力中継装置、電源システム及び配電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20230825BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02B1/40 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019230952
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021100328
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 明実
(72)【発明者】
【氏名】末富 貴博
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-071977(JP,A)
【文献】特開2015-180117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02B 1/40 - 1/44
H02J 9/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開閉器を介して電力系統から供給された電力を出力する複数のコンセントのうちの一のコンセントと、分散電源の出力部とを中継する電力中継装置であって、
前記第1開閉器は、閉状態及び開状態に応じて前記電力系統と前記複数のコンセントとの間の電路を導通及び遮断し、
前記第1開閉器が開状態であるか否かを検出する開閉検出部と、
前記第1開閉器が開状態であることを前記開閉検出部が検出した場合、前記分散電源の前記出力部からの電力を前記一のコンセントに出力する給電制御部と、を備える、
電力中継装置。
【請求項2】
前記電力系統と前記複数のコンセントとの間の電路は、前記複数のコンセントに分岐する複数の分岐点を有し、
前記第1開閉器は、前記電路における前記複数の分岐点の上流側に設けられている、
請求項1に記載の電力中継装置。
【請求項3】
閉状態及び開状態に応じて前記分散電源と前記一のコンセントとの間の電路を導通及び遮断する第2開閉器を更に備え、
前記給電制御部は、前記第2開閉器の開閉を制御することで、前記分散電源の前記出力部から前記一のコンセントへの電力の出力を制御する、
請求項1又は2に記載の電力中継装置。
【請求項4】
前記第1開閉器が手動で開状態から閉状態に切り換えられた場合、前記第1開閉器を閉状態から開状態になるように制御する遮断制御部を更に備える、
請求項1~3の何れか1項に記載の電力中継装置。
【請求項5】
前記第1開閉器は、前記第1開閉器を経由する電路を流れる電流の漏電が検出された場合、閉状態から開状態に切り換わる機能を有し、
前記遮断制御部は、前記第1開閉器を経由する前記電路に流れる電流を疑似漏電させることで、前記第1開閉器を閉状態から開状態になるように制御する、
請求項4に記載の電力中継装置。
【請求項6】
前記開閉検出部は、前記第1開閉器を経由する電路の導通状態に基づいて、前記第1開閉器が開状態であるか否かを検出する、
請求項1~5の何れか1項に記載の電力中継装置。
【請求項7】
前記一のコンセントは、L相極、N相極及びE相極からなる3極のコンセントであり、
前記開閉検出部は、前記N相極と前記E相極との間の導通状態に基づいて、又は前記L相極と前記E相極との間の導通状態に基づいて、前記第1開閉器が開状態であるか否かを検出する、
請求項6に記載の電力中継装置。
【請求項8】
前記開閉検出部は、前記第1開閉器が開状態であるか否かを表す開閉信号を外部装置から取得し、取得した開閉信号に基づいて、前記第1開閉器が開状態であるか否かを検出する、
請求項1~7の何れか1項に記載の電力中継装置。
【請求項9】
前記第1開閉器が開状態であるか否かを表す開閉情報の入力を受け付ける操作入力部を備え、
前記開閉検出部は、前記操作入力部に入力された前記開閉情報に基づいて、前記第1開閉器が開状態であるか否かを検出する、
請求項1~8の何れか1項に記載の電力中継装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の電力中継装置と、
前記分散電源と、を備える、
電源システム。
【請求項11】
請求項1~9の何れか1項に記載の電力中継装置と、系統配電システムとを備え、
前記系統配電システムは、前記第1開閉器を介して前記電力系統から供給された電力を前記複数のコンセントに分配し、前記第1開閉器は、閉状態及び開状態に応じて前記電力系統と前記複数のコンセントとの間の電路を導通及び遮断する、
配電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力中継装置、電源システム及び配電システムに関する。より詳細には、本開示は、電力系統から供給された電力を出力する複数のコンセントのうちの一のコンセントと分散電源の出力部とを中継する電力中継装置、前記電力中継装置を備えた電源システム、及び、前記電力中継装置を備えた配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
停電時に建物の系統配電システムに電力を供給する手段として、特許文献1に記載の住宅用の手動式電源切り換え装置が知られている。この住宅用の手動式電源切り換え装置は、常用電源と非常用電源との切り換えを行う切換え開閉器を備えている。通常時は、切換え開閉器が手動で常用電源側に接続されることで、常用電源からの電力が建物の配電システムに出力される。非常時は、切換え開閉器が手動で非常用電源に接続されることで、非常用電源からの電力が建物の配電システムに出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3113914号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の住宅用の手動式電源切り換え装置では、住宅用の手動式電源切り換え装置を建物に設置する場合、建物に設置されている分電盤等に大掛かりな電気工事を行う必要があり、大きなコストが掛かる。また、非常用電源(分散電源)からの電力を建物の系統配電システムに出力する場合、非常用電源からの電力が常用電源(電力系統)に逆潮することを防止する必要がある。
【0005】
本開示は、安価な構成でかつ電力系統への逆潮を防止して、分散電源からの電力を建物の系統配電システムに供給できる電力中継装置、電源システム及び配電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様の電力中継装置は、第1開閉器を介して電力系統から供給された電力を出力する複数のコンセントのうちの一のコンセントと、分散電源の出力部とを中継する。前記第1開閉器は、閉状態及び開状態に応じて前記電力系統と前記複数のコンセントとの間の電路を導通及び遮断する。前記電力中継装置は、開閉検出部と、給電制御部とを備える。前記開閉検出部は、前記第1開閉器が開状態であるか否かを検出する。前記給電制御部は、前記第1開閉器が開状態であることを前記開閉検出部が検出した場合、前記分散電源の前記出力部からの電力を前記一のコンセントに出力する。
【0007】
本開示の一の態様の電源システムは、前記電力中継装置と、前記分散電源とを備える。
【0008】
本開示の一の態様の配電システムは、前記電力中継装置と、系統配電システムとを備える。前記系統配電システムは、前記第1開閉器を介して前記電力系統から供給された電力を前記複数のコンセントに分配し、前記第1開閉器は、閉状態及び開状態に応じて前記電力系統と前記複数のコンセントとの間の電路を導通及び遮断する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、安価な構成でかつ電力系統への逆潮を防止して、分散電源からの電力を建物の配電システムに供給できるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る電力中継装置、系統配電システム及び分散電源の各々のブロック図である。
図2図2は、同上の電力中継装置の導通検出部の動作を説明する説明図である。
図3図3は、同上の電力中継装置の疑似漏電回路の動作を説明する説明図である。
図4図4Aは、同上の電力中継装置の出力プラグを一部透視して側面から見た側面図である。図4Bは、同上の出力プラグの接触面を正面から見た正面図である。
図5図5は、同上の電力中継装置の動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、変形例2に係る電力中継装置及び系統配電システムの各々のブロック図である。
図7図7は、変形例3及び変形例4に係る電力中継装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
図1図5を参照して、本実施形態に係る電力中継装置1について説明する。
【0012】
図1に示すように、電力中継装置1は、電力系統2からの電力を出力する複数のコンセント3のうちの一のコンセント3aと分散電源4の出力部4aとを中継する。これにより、分散電源4からの電力が複数のコンセント3のうちの他のコンセント3bに供給される。この結果、地震又は台風などの災害によって電力系統2からの電力の供給が停止した場合でも、分散電源4によって、他のコンセント3bに接続された電気機器5に電力の供給が可能となる。以下、電力中継装置1について詳しく説明する。
【0013】
まず、電力中継装置1について詳しく説明する前に、建物に設置された系統配電システム10について説明する。系統配電システム10は、電力系統2からの電力を建物に設置された複数のコンセント3に分配するシステムである。
【0014】
系統配電システム10は、柱上トランス6を介して電力系統2からの電力を受電する。より詳細には、電力系統2からの電力は、高電圧(例えば6600V)の単相2線式の交流電力である。電力系統2と柱上トランス6とは、2本の電路で接続されている。電力系統2からの電力は、2本の電路で電力系統2から柱上トランス6に送電される。柱上トランス6は、電力系統2からの電力を単相3線式の所定電圧(例えば100V又は200V)の交流電力に降圧する。柱上トランス6と系統配電システム10とは、3本の電路で接続されている。柱上トランス6で降圧された電力は、3本の電路で柱上トランス6から系統配電システム10に送電される。
【0015】
柱上トランス6は、鉄心に巻回された1次コイル61及び2次コイル62を備えている。電力系統2からの2本の電路は、1次コイル61の両端に接続されている。系統配電システム10からの3本の電路はそれぞれ、2次コイル62の両端及び中央に接続されている。3本の電路はそれぞれ、L1相電路、L2相電路、及びN相電路である。N相電路は、2次コイル62の中央に接続されている。N相電路は、N相電路の分岐点B1が接地点A1で接地されている。接地点A1での電気抵抗は、例えば10Ω以下である。L1相電路及びL2相電路はそれぞれ、2次コイル62の両端に接続されている。L1相電路及びL2相電路にはそれぞれ、N相電路を基準として100Vの電圧が印加されている。
【0016】
系統配電システム10は、主電路11、複数の枝電路12、分電盤13、複数のコンセント3、及びスマートメータ14を備えている。
【0017】
主電路11は、柱上トランス6と系統配電システム10とを繋ぐ電路であり、系統配電システム10の内部に引き込まれている。主電路11は、上記の3本の電路(L1相電路、L2相電路及びN相電路)で構成されている。
【0018】
複数の枝電路12は、主電路11上の複数の分岐点から分岐した電路であり、主電路11と複数のコンセント3とを接続する電路である。複数の枝電路12はそれぞれ、2本の電路で構成されている。複数のコンセント3は、L1側のコンセント3と、L2側のコンセント3とを含む。L1側のコンセント3は、枝電路12の2本の電路によって主電路11のL1相電路及びN相電路に接続されている。L2側のコンセント3は、枝電路12の2本の電路によって主電路11のL2相電路及びN相電路に接続されている。
【0019】
分電盤13は、主電路11を通じて柱上トランス6から送電された電力を複数のコンセント3に分配する装置である。分電盤13は、分岐回路131、主幹ブレーカ132、複数の分岐ブレーカ133、及び、複数の接地端子134を備えている。
【0020】
分岐回路131は、主電路11を通じて送電された電力を複数のコンセント3に分配する回路である。分岐回路131は、主電路11(より詳細には主電路11のうちの分電盤13の内部に引き込まれた部分)と、複数の枝電路12とで構成されている。
【0021】
主幹ブレーカ132(第1開閉器、系統側開閉器)は、主電路11における複数の分岐点の上流側に設けられている。主幹ブレーカ132は、主電路11における柱上トランス6の下流側に設けられている。なお、本実施形態では、主幹ブレーカ132は、主電路11に設けられるが、電力系統2と複数のコンセント3の間の電路であれば、どの位置に設けられてもよい。主幹ブレーカ132は、主電路11に流れる電流の電流量が規定値を超えるか否かに応じて開状態又は閉状態に切り換わる。そして、主幹ブレーカ132は、閉状態及び開状態に応じて、主電路11(電力系統2と複数のコンセント3との間の電路)を導通及び遮断する。主幹ブレーカ132は、複数のコンセント3に送電される電力を、一括して導通及び遮断する。
【0022】
なお、主幹ブレーカ132が主電路11を遮断するとは、主電路11を構成する3本の電路を全て遮断することであり、主幹ブレーカ132が主電路11を導通するとは、主電路11を構成する3本の電路を全て導通させることである。
【0023】
主幹ブレーカ132は、漏電検出回路132aを有する。漏電検出回路132aは、主幹ブレーカ132を経由する主電路11に流れる電流(すなわち電力系統2から複数のコンセント3に供給される電流)が漏電しているか否かを検出する。漏電検出回路132aは、漏電を検出しない場合、主幹ブレーカ132の閉状態を維持して主電路11を導通状態に維持する。また、漏電検出回路132aは、漏電を検出した場合は、主幹ブレーカ132を閉状態から開状態に切り換えることで、主電路11を遮断する。主幹ブレーカ132は、手動で開状態又は閉状態に切り換え可能である。従って、主幹ブレーカ132が閉状態から開状態に切り換わった場合、手動で主幹ブレーカ132を開状態から閉状態に切り換えることで、主電路11を導通させることが可能である。
【0024】
漏電検出回路132aは、主電路11を通じて供給される電力系統2からの電圧を動作電圧として動作(すなわち起動)する。本実施形態では、漏電検出回路132aは、主電路11のL1相電路とL2相電路の間の電圧(すなわち200V)の電圧を動作電圧として動作する。従って、本実施形態では、後述するように、分散電源4の出力電圧(100V)、及び、電力中継装置1の導通検出時の印加電圧(例えば100V)では、動作電圧が足りないため、漏電検出回路132aは動作しない。
【0025】
複数の分岐ブレーカ133は、複数の枝電路12に1対1に対応し、対応する枝電路12に設けられている。複数の分岐ブレーカ133は、対応する枝電路12に流れる電流の電流量が所定条件を満たすか否かに応じて開状態又は閉状態に切り換わり、閉状態及び開状態に応じて対応する枝電路12を導通及び遮断する。上記の所定条件は、例えば、枝電路12に所定値(例えば20A)の電流が所定時間(例えば1時間)流れるという条件である。複数の分岐ブレーカ133は、複数のコンセント3に送電される電力を、コンセント3毎に個別に導通及び遮断する。なお、分岐ブレーカ133が枝電路12を遮断するとは、枝電路12を構成する2本の電路を全て遮断することであり、分岐ブレーカ133が枝電路12を導通するとは、枝電路12を構成する2本の電路を全て導通させることである。
【0026】
複数の接地端子134は、各コンセント3の後述のE相極(接地極)を接地するときに使用される端子である。複数の接地端子134はそれぞれ、接地点A2に接地されている。接地点A2での電気抵抗は、例えば100Ω以下である。各コンセント3のE相極は、電路を介して接地端子134に接続される。各コンセント3のE相極は、接地端子134に接続されることで、接地点A2に接地される。
【0027】
スマートメータ14は、主電路11における柱上トランス6と分電盤13との間に設けられている。スマートメータ14は、柱上トランス6から分電盤13に送電された電力(すなわち建物内の電気機器5で消費された電力)を計測する。スマートメータ14の計測結果は、例えば、電力会社に送信可能である。
【0028】
複数のコンセント3は、建物の内部又は外部に設置されている。複数のコンセント3は、電気機器5の電源プラグが差し込まれる差込口であり、差し込まれた電源プラグを介して電気機器5に電力を供給する。電気機器5は、例えば、照明器具、冷蔵庫及びテレビなどである。
【0029】
複数のコンセント3のうち、少なくとも1つのコンセント3は、3極のコンセントである。3極のコンセントとは、3極の個口を有するコンセントである。3極の個口とは、3極のプラグの3つの栓刃(L相極、N相極及びE相極(接地極))に対応する3つの差込口を有する個口である。なお、3極のコンセントは、2極の個口を更に有していてもよい。2極の個口とは、2極のプラグの2つの栓刃(L相極及びN相極)に対応する2つの差込口のみを有する個口である。本実施形態では、複数のコンセント3のうち、コンセント3aは、3極のコンセントであり、残りのコンセント3b,3cは、2極のコンセントである。2極のコンセントとは、2極の個口のみを有するコンセントである。なお、複数のコンセント3の全部が3極のコンセントであってもよい。
【0030】
本実施形態では、例えば、L1側のコンセント3cは全て、2極のコンセントである。L2側のコンセント3のうち、コンセント3aのみが3極のコンセントであり、残りのコンセント3bは2極のコンセントである。L1側の2極のコンセント3cのL相極及びN相極はそれぞれ、枝電路12の2本の電路を介して主電路11のL1相電路及びN相電路に接続されている。L2側の3極のコンセント3aの3極のうち、L相極及びN相極はそれぞれ、枝電路12の2本の電路を介して主電路11のL2相電路及びN相電路に接続され、E相極は、電路16を介して接地端子134に接続されている。L2側の2極のコンセント3bのL相極及びN相極はそれぞれ、枝電路12の2本の電路を介して主電路11のL2相電路及びN相電路に接続されている。
【0031】
複数のコンセント3は、屋内コンセントと屋外コンセントとを含む。屋外コンセントは、建物の屋外(例えば外壁)に設置されたコンセントであり、本実施形態では、3極のコンセント3aが屋外コンセントである。屋内コンセントは、建物の内部に設置されたコンセントであり、本実施形態では、コンセント3b,3cが屋内コンセントである。なお、複数のコンセント3の全部が、屋内コンセントであってもよいし、屋外コンセントであってもよい。
【0032】
この系統配電システム10では、電力系統2からの電力(例えば6600V)は、柱上トランス6で所定電力(例えば100V/200V、15A)に降圧された後、主電路11を通じて分電盤13に送電される。分電盤13に送電された電力は、主幹ブレーカ132を経由した後に複数の枝電路12を通じて複数のコンセント3に分配される。各コンセント3からは所定規格(例えば100V、15A)の電力が出力可能である。各コンセント3に送電された電力は、コンセント3に接続された電気機器5に供給される。主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aは、主電路11に印加された電圧を動作電源として動作し、主電路11を流れる電流の漏電を検出する。漏電検出回路132aは、漏電を検出すると、主幹ブレーカ132を閉状態から開状態に切り換えて主電路11を遮断する。この遮断によって、電力系統2から複数のコンセント3への電力の供給が停止される。主幹ブレーカ132を手動で開状態から閉状態に切り換えることで、電力系統2から複数のコンセント3への電力の供給を再開することが可能である。
【0033】
なお、本実施形態では、電力中継装置1及び分散電源4は、建物に設置された系統配電システム10に電力を供給する電源システムを構成している。また、電力中継装置1及び系統配電システム10は、建物に設置された複数のコンセント3に電力を供給する配電システムを構成している。
【0034】
次に図1を参照して分散電源4について詳しく説明する。
【0035】
分散電源4は、交流電力を出力する電源であって、電力系統2以外の電源である。分散電源4は、例えば、電力系統2に対する予備電源である。予備電源とは、電力系統2が使用できない場合に、電力系統2の代わりに、交流電力を供給する電源である。分散電源4は、例えば、発電機又は太陽光発電器である。発電機は、ガソリン又はLPガスなどを燃料とする発電機である。また、分散電源4は、ハイブリッド自動車又は電気自動車等に備えられた電源出力部(例えばAC100Vコンセント)であってもよい。分散電源4は、電力を出力する出力部4aを有する。出力部4aは、メス型(すなわちプラグが差し込まれる差込口を有する構造)の出力部である。出力部4aは、3極の個口を有する3極の出力部である。
【0036】
次に図1を参照して電力中継装置1について詳しく説明する。
【0037】
まず電力中継装置1の主要な特徴(特徴1~3)を説明する。
【0038】
電力中継装置1は、分散電源4の出力部4aと複数のコンセント3のうちの一のコンセント3とを中継することで、分散電源4からの電力を一のコンセント3に出力する。中継される一のコンセント3は、後述のように電力中継装置1によって主幹ブレーカ132の開閉を制御する目的から、E相極(接地極)を含む3極のコンセント3が選択される。本実施形態では、一のコンセント3として屋外コンセント3aが選択される。
【0039】
以下の説明では、中継される一のコンセント3aを中継コンセント3aとも記載する。また、電力中継装置1が分散電源4の出力部4aと中継コンセント3aとに接続される時を、単に「電力中継装置1の接続時」とも記載する。また、電力中継装置1が分散電源4の出力部4aと中継コンセント3aとを中継する状態を、単に「電力中継装置1の中継状態」とも記載する。
【0040】
(特徴1)
電力中継装置1は、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、主幹ブレーカ132が開状態である場合のみ、分散電源4からの電力を中継コンセント3aに出力する。これにより、電力中継装置1の接続時に主幹ブレーカ132が閉状態である場合でも、また、電力中継装置1の中継状態で主幹ブレーカ132が手動で開状態から閉状態に切り換えられた場合でも、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮することを防止できる。
【0041】
(特徴2)
電力中継装置1は、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、主幹ブレーカ132が閉状態である場合、主幹ブレーカ132を強制的に閉状態から開状態になるように制御する。これにより、電力中継装置1の接続時に主幹ブレーカ132が閉状態である場合でも、また、電力中継装置1の中継状態で主幹ブレーカ132が手動で開状態から閉状態に切り換えられた場合でも、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮することを防止できる。
【0042】
(特徴3)
電力中継装置1は、後述のように2つのオス型のプラグ(入力プラグ20及び出力プラグ21)を有する。電力中継装置1は、入力プラグ20が分散電源4の出力部4aに接続され出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されない状態では、分散電源4の出力電圧が出力プラグ21から出力されることを禁止する。これにより、出力プラグ21の栓刃が、分散電源4の出力電圧が印加された状態で露出することを防止できる。
【0043】
次に図1を参照して電力中継装置1の構成を詳しく説明する。
【0044】
電力中継装置1は、2つのプラグ(入力プラグ20及び出力プラグ21)と、装置本体22とを備えている。
【0045】
入力プラグ20は、分散電源4の出力部4aに接続されて、分散電源4から出力される電力を入力する。出力プラグ21は、複数のコンセント3のうちの一のコンセント(中継コンセント)3aに接続されて、入力プラグ20に入力された分散電源4からの電力を中継コンセント3aに出力する。2つのプラグ20,21はそれぞれ、オス型のプラグであって3極のプラグである。3極のプラグは、3つの栓刃(L相極、N相極及びE相極)を有するプラグである。入力プラグ20の3極はそれぞれ、コンセント3の3極に対して、同じ相極同士が接続するように接続される。出力プラグ21の3極はそれぞれ、分散電源4の出力部4aの3極に対して、同じ相極同士が接続するように接続される。2つのプラグ20,21はそれぞれ、配線を介して装置本体22に接続されている。入力プラグ20が中継コンセント3aに接続され、出力プラグ21が分散電源4の出力部4aに接続されることで、電力中継装置1は、中継コンセント3aと分散電源4の出力部4aとを中継する。
【0046】
装置本体22は、入力プラグ20に入力された分散電源4からの電力を、出力プラグ21に接続された中継コンセント3aに出力する。装置本体22は、主電路23と、電磁開閉器24と、導通検出部25と、疑似漏電回路26と、接続検出部27と、2つの電圧検出部(第1電圧検出部28及び第2電圧検出部29)と、電源部30と、表示部と、制御部32とを備えている。
【0047】
主電路23は、入力プラグ20に入力された電力を出力プラグ21に送電するための電路である。主電路23は、3つの電路(L相電路、N相電路及びE相電路)で構成されている。L相電路、N相電路及びE相電路はそれぞれ、2つのプラグのL相極同士、N相極同士、E相極同士を電気的に接続する。主電路23のうち、装置本体22の外に引き出されてプラグ20,21に接続されるまでの部分は、プラグと装置本体とを接続する上記の配線を構成している。
【0048】
電磁開閉器24(第2開閉器、中継側開閉器)は、閉状態及び開状態に切換可能であり、閉状態及び開状態に応じて主電路23を導通及び遮断する。この導通及び遮断により、入力プラグ20から出力プラグ21への電力の送電及び送電停止が行われる。より詳細には、電磁開閉器24は、閉状態及び開状態に応じて、主電路23を構成する3つの電路のうちの2つの電路(L相電路及びN相電路)を個別に導通及び遮断する。
【0049】
導通検出部25(開閉検出部)は、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、主幹ブレーカ132を経由する電路(換言すれば主電路11を含む電路)の導通状態に基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出する。より詳細には、導通検出部25は、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、出力プラグ21と電磁開閉器24との間で主電路23のN相電路とE相電路との間のインピーダンスに基づいて、上記の電路の導通状態を検出する。なお、本実施形態では、主電路23のN相電路とE相電路との間のインピーダンスを検出することは、出力プラグ21の3極のうちのN相極とE相極との間のインピーダンスを検出することと同じであり、さらに、中継コンセント3aの3極のうちのN相極とE相極との間のインピーダンスを検出すること同じである。
【0050】
疑似漏電回路26は、電力中継装置1の中継状態において主幹ブレーカ132が閉状態である場合に、電力中継装置1の主電路23を流れる電流を疑似漏電させる。これにより、分電盤13の主電路11(主幹ブレーカ132を経由する電路)を流れる電流が疑似漏電させられる。疑似漏電回路26は、上記の疑似漏電を主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aに検出させることで、強制的に主幹ブレーカ132を閉状態から開状態になるように制御する。
【0051】
疑似漏電回路26は、電力中継装置1の中継状態で、出力プラグ21と電磁開閉器24との間で主電路23のL相電路とN相電路とを短絡することで、主電路23を流れる電流に疑似漏電を発生させる。疑似漏電回路26は、リレー26aと、抵抗26bとを備えている。リレー26a及び抵抗26bは、互いに直列接続された状態で、主電路23のL相電路とN相電路との間に接続されている。リレー26aの閉状態及び開状態に応じてL相電路とN相電路との間が導通及び遮断され、導通によってL相電路とN相電路とが短絡する。
【0052】
接続検出部27は、出力プラグ21に設けられており、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されているか否かを検出する。接続検出部27は、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されているか否かに応じて、接続信号又は非接続信号を制御部32に出力する。接続信号は、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されていることを示す信号であり、非接続信号は、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されていないことを示す信号である。
【0053】
第1電圧検出部28は、電力中継装置1の中継状態で電磁開閉器24の開状態において、中継コンセント3aから出力プラグ21に出力される電圧が所定電圧(例えば0V)を超えるか否かを検出する。より詳細には、第1電圧検出部28は、電磁開閉器24と出力プラグ21との間で主電路23のL相電路とN相電路との間の電圧が所定電圧以上であるか否かを検出する。これにより、電力系統2が停電中であるか複電したかが検出可能である。すなわち、第1電圧検出部28の検出電圧が所定電圧以下である場合は、電力系統2は停電中と判断され、第1電圧検出部28の検出電圧が所定電圧を超える場合は、電力系統2は複電していると判断される。
【0054】
第2電圧検出部29は、入力プラグ20に入力された電圧(すなわち分散電源4の出力電圧)が規定電圧(例えばコンセント3の定格電圧、例えば100V)を超えているか否かを検出する。より詳細には、第2電圧検出部29は、電力中継装置1の中継状態で電磁開閉器24の開状態で、電磁開閉器24と入力プラグ20との間で主電路23のL相電路とE相電路との間の電圧が規定電圧を超えているか否かを検出する。
【0055】
なお、第2電圧検出部29の検出電圧が規定電圧を超える場合は、電磁開閉器24が閉状態から開状態に切り換えられて、分散電源4の出力が出力プラグ21に送電されることが禁止されてもよい。
【0056】
なお、本実施形態では、各検出部(導通検出部25、接続検出部27、第1電圧検出部28及び第2電圧検出部29)は、電力中継装置1の中継状態で、一定間隔で上記の検出を行う。上記の一定間隔を比較的短い間隔(例えば1秒)とすることで、各検出部は、実質的に電力中継装置1の接続時に速やかに上記の検出を行うことが可能である。
【0057】
電源部30は、電力中継装置1の電源として機能する。電源部30は、入力プラグ20に入力された分散電源4の出力電圧を所定電圧に降圧して電力中継装置1の動作電圧とする。
【0058】
表示部31は、電力中継装置1に関する各種情報(例えば導通検出部25、接続検出部27、第1電圧検出部28及び第2電圧検出部29の検出結果など)を表示する。表示部31は、液晶表示器などで構成される。
【0059】
制御部32(遮断制御部及び給電制御部)は、各検出部(導通検出部25、接続検出部27、第1電圧検出部28及び第2電圧検出部29)の検出結果に応じて、電磁開閉器24及び疑似漏電回路26を制御する。
【0060】
より詳細には、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、主幹ブレーカ132が閉状態であることを導通検出部25が検出した場合は、電磁開閉器24を閉状態から開状態になるように制御する。これにより、電力中継装置1の主電路23が遮断される。したがって、分散電源4からの電力が電力中継装置1を通じて中継コンセント3aに出力されることが禁止される。この結果、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮することが防止される。このように、制御部32は、電磁開閉器24の開閉を制御することで、分散電源4から中継コンセント3aへの電力の出力(送電)を制御する。
【0061】
また、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、主幹ブレーカ132が開状態であることを導通検出部25が検出した場合、電磁開閉器24を開状態から閉状態になるように制御する。これにより、電力中継装置1の主電路23が導通し、分散電源4からの電力が主電路23を通じて中継コンセント3aに出力される。このように、主幹ブレーカ132の開状態で、制御部32は、分散電源4からの電力を中継コンセント3aに出力させる。この結果、分散電源4からの電力が中継コンセント3aから分電盤13内の電路を通じて他のコンセント3bに供給される。
【0062】
また、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、主幹ブレーカ132が閉状態であることを導通検出部25が検出した場合、疑似漏電回路26を起動するように(すなわちリレー26aを開状態から閉状態になるように)制御する。これにより、分電盤13の主電路11を流れた電流に疑似漏電が発生する。そして、主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aが、その疑似漏電を検出することで、主幹ブレーカ132が自動的に閉状態から開状態に切り換わる。すなわち、制御部32は、疑似漏電回路26を起動させて疑似漏電を発生させ、漏電検出回路132aに疑似漏電を検出させることで、主幹ブレーカ132を強制的に開状態から閉状態になるように制御している。
【0063】
また、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、主幹ブレーカ132が開状態であることを導通検出部25が検出した場合、疑似漏電回路26を停止するように(すなわちリレー26aを開状態に維持するように)制御する。これにより、分電盤13の主電路11を流れた電流に疑似漏電が発生することが禁止される。
【0064】
より詳細には、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、主幹ブレーカ132が開状態であることを導通検出部25が検出した場合において、第1電圧検出部28の検出電圧が所定電圧(例えば0V)を超える場合は、疑似漏電回路26を起動するように制御し、第1電圧検出部28の検出電圧が所定電圧以下である場合は、疑似漏電回路26を停止するように制御する。
【0065】
また、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、第2電圧検出部29の検出電圧が規定電圧(例えばコンセント3の定格電圧、例えば100V)を超える場合は、例えば、電磁開閉器24を閉状態から開状態になるように制御する。これにより、規定電圧を超えた電力が、分散電源4から電力中継装置1を通じて中継コンセント3aに出力されることが禁止される。また、制御部32は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、第2電圧検出部29の検出電圧が規定電圧以下である場合は、電磁開閉器24を開状態から閉状態になるように制御する。これにより、規定電圧を超えない電力は、分散電源4から電力中継装置1を通じて中継コンセント3aに出力される。
【0066】
次に図2を参照して電力中継装置1の上記の特徴1について詳しく説明する。
【0067】
特徴1では、電力中継装置1は、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、主幹ブレーカ132が開状態である場合のみ、分散電源4からの電力を中継コンセント3aに出力する。
【0068】
より詳細には、導通検出部25は、電力中継装置1の接続時又は中継状態で、電力中継装置1の主電路23のN相電路とE相電路との間のインピーダンスが所定値(例えば200Ω)以下であるか否かを検出する。これにより、導通検出部25は、図2に示す経路T1が閉じているか否かを検出し、その検出結果に応じて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを判断(検出)する。
【0069】
経路T1は、導通検出部25から順に、主電路23のN相電路の分岐点B2、出力プラグ21のN相極、中継コンセント3aのN相極、主電路11のN相電路の分岐点B3、主幹ブレーカ132のN相側リレー、N相電路の分岐点B1、接地点A1、接地点A2、接地端子134、電路16、中継コンセント3aのE相極、出力プラグ21のE相極、及び、主電路23のE相電路の分岐点B4を経て導通検出部25に戻る経路である。
【0070】
経路T1が導通している場合は、導通検出部25が検出するインピーダンスは、概略的に2つの接地点A1,A2での接地抵抗の和の値(例えば110Ω)となる。他方、経路T1が導通していない場合は、導通検出部25が検出するインピーダンスは、無限大になる。このため、導通検出部25が検出するインピーダンスが所定値(例えば200Ω)以下である場合は、導通検出部25は、経路T1は導通している(すなわち主幹ブレーカ132は閉状態である)と判断する。また、導通検出部25は、導通検出部25が検出するインピーダンスが所定値を超える場合は、経路T1は導通していない(すなわち主幹ブレーカ132は開状態である)と判断する。
【0071】
より詳細には、導通検出部25は、電力中継装置1の主電路23のN相電路とE相電路との間に所定電圧(数V程度の電圧)を印加する。そして、導通検出部25は、その印加の際に、N相電路とE相電路との間に流れる電流を検出する。そして、導通検出部25は、検出した電流に基づいて、主電路23のN相電路とE相電路との間のインピーダンスが所定値以下であるか(すなわち主幹ブレーカ132を経由する電路11,23が導通しているか)否かを検出する。なお、この検出時は、電磁開閉器24は、制御部32によって開状態に制御されていることが望ましい。
【0072】
なお、主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aは、分電盤13内の主電路11のL1相電路とL2相電路との間の電圧(200V)で起動する。このため、漏電検出回路132aは、導通検出部25の検出時の電圧印加、及び、分散電源4の出力電圧によって、漏電検出回路132aは起動しない。
【0073】
また、導通検出部25の検出が比較的短い一定間隔(例えば1秒間隔)で繰り返し行われることで、手動で主幹ブレーカ132が開状態から閉状態に切り換えられた場合、速やかに主幹ブレーカ132の閉状態を検出可能である。
【0074】
そして、主幹ブレーカ132が閉状態である場合は、仮に電磁開閉器24が閉状態であるとすると、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮する可能性がある。このため、この場合は、電磁開閉器24は、制御部32によって開状態に維持される。これにより、分散電源4の出力部4aと中継コンセント3aとの電気的な接続が遮断される。他方、主幹ブレーカ132が開状態である場合は、仮に電磁開閉器24が閉状態であっても、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮する可能性が無い。このため、この場合は、電磁開閉器24は、制御部32によって開状態から閉状態になるように制御される。これにより、分散電源4の出力部4aと中継コンセント3aとが電気的に接続される。
【0075】
次に図3を参照して電力中継装置1の上記の特徴2について詳しく説明する。
【0076】
特徴2では、電力中継装置1は、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、主幹ブレーカ132が閉状態である場合、主幹ブレーカ132を強制的に閉状態から開状態になるように制御する。
【0077】
例えば、電力系統2の給電中(復電後を含む)に、主幹ブレーカ132が手動で開状態から閉状態に切り換えられると、主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aが起動する。この場合、電力中継装置1の疑似漏電回路26は、図3に示す経路T2(すなわち主幹ブレーカ132を経由する電路)を流れる電流を疑似漏電させ、この疑似漏電を漏電検出回路132aに検出させる。漏電検出回路132aが疑似漏電を検出すると、主幹ブレーカ132は自動的に閉状態から開状態に切り換わる。このように、電力中継装置1は、漏電検出回路132aが起動している場合は、疑似漏電回路26によって疑似漏電を発生させ、漏電検出回路132aに疑似漏電を検出させることで、主幹ブレーカ132を強制的に閉状態から開状態になるように制御する。
【0078】
なお、経路T2は、柱上トランス6の2次コイルの下端B5から順に、主電路11のL2相電路の分岐点B6、分岐点B6に接続された枝電路12のL側の電路、中継コンセント3aのL相極、出力プラグ21の主電路23のL相電路の分岐点B7、抵抗26b、リレー26a、主電路23のE相電路の分岐点B8、出力プラグ21のE相極、中継コンセント3aのE相極、電路16、接地端子134、接地点A2、接地点A1、主電路11のN相電路の分岐点B1、2次コイル62の中央点、及び2次コイル62の下端B5に至る経路である。
【0079】
より詳細には、本実施形態では、電力中継装置1の接続時及び中継状態で、導通検出部25が、主幹ブレーカ132が閉状態であることを検出する。そして、この検出結果に応じて、制御部32が、疑似漏電回路26を起動するように(すなわちリレー26aを開状態から閉状態になるように)制御する。
【0080】
なお、本実施形態では、上述のように、疑似漏電回路26は、導通検出部25の検出結果に応じて起動(動作)される。ただし、疑似漏電回路26を、導通検出部25の検出結果に依らず、常時、動作させてもよい。すなわちリレー26aを常時、閉状態に維持していてもよい。この場合は、電力中継装置1の中継状態(すなわち電磁開閉器24の閉状態)において、電力系統2の給電中(複電後を含む)に主幹ブレーカ132が開状態から閉状態に切り換えられると、一時的に、電力系統2からの電力供給と、分散電源4からの電力供給とが併行して行われる。しかし、漏電検出回路132aが疑似漏電回路26による疑似漏電を検出することで、速やかに主幹ブレーカ132が閉状態から開状態に切り換えられて電力系統2からの電力供給が遮断される。
【0081】
上記の場合(すなわちリレー26aを常時閉状態に維持し電磁開閉器24が閉状態である場合)は、電力中継装置1の主電路23のE相電路の電位が上昇する場合がある。このため、E相電路の電位が規定電位以上にならないように、抵抗26bの値を設定することが望ましい。
【0082】
なお、疑似漏電回路26のリレー26aは、電磁開閉器24が開状態のときは、開状態に制御されることが望ましい。
【0083】
次に図4A及び図4Bを参照して電力中継装置1の上記の特徴3について詳しく説明する。
【0084】
図4Aに示すように、電力中継装置1の出力プラグ21は、プラグ本体211と、3つの栓刃212~214と、接続検出部27とを備えている。接続検出部27は、突起部271と、スイッチ272とを備えている。
【0085】
3つの栓刃212~214はそれぞれ、L相極の栓刃212、N相極の栓刃213及びE相極の栓刃214である。プラグ本体211は、3つの栓刃212~214を保持する部材である。プラグ本体211は、接触面211aを有する。接触面211aは、出力プラグ21と中継コンセント3aとの接続時に中継コンセント3aの表面と接触する平坦面である。接触面211aは、突起部271が収容可能な孔部を有する。3つの栓刃212~214は、接触面211aから接触面211aの法線方向に突出している。
【0086】
突起部271は、接触面211aの上記の孔部から突出可能で上記の孔部の内部に収容可能に、プラグ本体211に設けられている。突起部271は、弾性部材によって接触面211aの上記の孔部から突出するように付勢されている。上記の弾性部材は、上記の孔部の内部に収容されている。突起部271は、外力によって弾性部材の付勢力に抗して孔部の内部に押し込むことが可能(すなわち孔部の内部に収容可能)である。突起部271は、例えば、接触面211aの周縁部に設けられている。
【0087】
スイッチ272は、プラグ本体211の内部に設けられている。スイッチ272は、突起部271の突出状態及び収容状態に応じてオン又はオフに切り換わる。スイッチ272は、突起部271が突出状態のときは、オンからオフに切り換わってオフ信号を制御部32に出力し、突起部271が収容状態のときは、オフからオンに切り換わってオン信号を制御部32に出力する。
【0088】
この出力プラグ21では、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されていないときは、突起部271が接触面211aから突出する。この突出状態では、スイッチ272は、オンからオフに切り換わって、オフ信号を制御部32に出力する。本実施形態では、オフ信号は、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されていないことを示す信号(非接触信号)である。他方、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されているときは、突起部271の先端部は、中継コンセント3aに接触して、中継コンセント3aによって上記の孔部の内部に押し込まれて収容されている。この収容状態では、スイッチ272は、オフからオンに切り換わって、オン信号を制御部32に出力する。オン信号は、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されていることを示す信号(接触信号)である。
【0089】
本実施形態では、突起部271は、接触面211aの周縁部に設けられるが、3つの栓刃212~214の間に設けられてもよい。また、本実施形態では、突起部271は、1つであるが、複数設けられてもよい。この場合、複数の突起部271はそれぞれ、各突起部271の接触面211aからの突出量を検出する。これにより、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されているか否かだけでなく、出力プラグ21が中継コンセント3aに対して垂直に接続されているか、或いは斜めに傾いて接続されているかを検出することができる。
【0090】
なお、本実施形態では、接続検出部27は、出力プラグ21のみに設けられるが、更に入力プラグ20に設けられてもよい。この場合は、入力プラグ20に設けられた接続検出部は、入力プラグ20が分散電源4の出力部4aに接続されているか否かを検出し、制御部32は、入力プラグが分散電源4の出力部4aに接続されている場合のみ、電磁開閉器24を閉状態に制御してもよい。
【0091】
次に図5のフローチャートを参照して電力中継装置1の動作を説明する。なお、以下の説明において、Sn(n=1、2、…)は、図5のフローチャートにおける各ステップを示している。
【0092】
電力系統2で停電が発生する(S1)。この状況で、利用者は、手動で主幹ブレーカ132を閉状態から開状態に切り換えた後(S2)、又は主幹ブレーカ132を閉状態に放置して(S3)、電力中継装置1を分散電源4の出力部4aと中継コンセント3aとの間に接続する(S4)。このとき、入力プラグ20は分散電源4の出力部4aに接続され、出力プラグ21は中継コンセント3aに接続される。出力プラグ21がコンセント3に接続されると、電力中継装置1の接続検出部27が、その接続を検出する(S5)。
【0093】
また、利用者は、電力中継装置1の接続後、分散電源4を起動させる(S6)。これにより、分散電源4の出力部4aからの電力が入力プラグ20に入力される。
【0094】
そして、電力中継装置1の導通検出部25が、電力中継装置1の主電路23のN相電路とE相電路との間のインピーダンスに基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出する(S7)。この検出の結果、主幹ブレーカ132が開状態である場合(S7のYes)は、電力中継装置1の制御部32は、電磁開閉器24を開状態から閉状態になるように制御する(S8)。これにより、分散電源4の出力部4aからの電力が電力中継装置1を経由して中継コンセント3aに出力される。この結果、分散電源4からの電力が、中継コンセント3aから分電盤13の内部の電路を流れて他のコンセント3bに供給される。これにより、分散電源4からの電力が他のコンセント3bに接続された電気機器5に供給される。このように、電力系統2の停電時でも、電気機器5を他のコンセント3bに接続して使用することができる。
【0095】
そして、電力中継装置1の接続検出部27は、出力プラグ21が中継コンセント3aに接続されているか否か(換言すれば出力プラグ21が中継コンセント3aから外されたか否か)を常時検出している(S9)。そして、利用者が電力中継装置1の出力プラグ21を中継コンセント3aから取り外すと、電力中継装置1の接続検出部27がその取り外しを検出する(S9のYes)。そして、この検出結果に応じて、制御部32が電磁開閉器24を閉状態から開状態になるように制御する(S10)。そして、電力中継装置1の処理が終了する。
【0096】
他方、ステップS9で、電力中継装置1の出力プラグ21が中継コンセント3aから取り外されていない場合(S9のNo)、ステップS7に戻り、ステップS7以降の処理が実行される。
【0097】
他方、ステップS7の検出の結果、主幹ブレーカ132が開状態でない(すなわち閉状態である)場合(S7のNo)は、電力中継装置1の制御部32は、電磁開閉器24を閉状態から開状態になるように制御する(S11)。これにより、分散電源4からの電力の入力プラグ20から出力プラグ21への送電が遮断される。この結果、分散電源4からの電力が主幹ブレーカ132を通じて電力系統2に逆潮することを防止できる。
【0098】
そして、電力中継装置1の制御部32は、第1電圧検出部28の検出結果(出力プラグ21のL相極とN相極との間のインピーダンス)が所定値を超える否かを検出する(S12)。そして、第1電圧検出部28が検出するインピーダンスが所定値を超える場合(S12のYes)は、制御部32は、主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aは起動していると判断して、疑似漏電回路26を起動させる。すなわち制御部32は、リレー26aを開状態から閉状態になるように制御する(S13)。この結果、図3に示す経路T2を流れる電流に疑似漏電が発生し、漏電検出回路132aが疑似漏電を検出することで、主幹ブレーカ132を閉状態から開状態になるように制御する。これにより、分散電源4からの電力が主幹ブレーカ132を介して電力系統2に逆潮することを防止できる。
【0099】
このように、主幹ブレーカ132が開状態から閉状態に切り換えられた場合(S11)において、第1電圧検出部28が検出するインピーダンスが所定値を超える場合(S12のYes)は、電力系統2が複電し、電力系統2からの電圧によって主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aが起動している。このため、制御部32は、疑似漏電回路26を起動させて疑似漏電を流すことで、主幹ブレーカ132の漏電検出回路132aの機能を利用して、主幹ブレーカ132を強制的に開状態から閉状態になるように制御している。
【0100】
そして、処理がステップS13からステップS7に戻り、ステップS7以降の処理が実行される。これにより、電力中継装置1の導通検出部25が、主幹ブレーカ132が開状態であることを検出すると(S7のYes)、電力中継装置1の制御部32が、電磁開閉器24を開状態から閉状態になるように制御する(S8)。これにより、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮することを防止して、分散電源4からの電力が電力中継装置1を経由して中継コンセント3aに供給される。
【0101】
他方、ステップS12で、第1電圧検出部28が検出するインピーダンスが所定値以下である場合(S12のNo)は、制御部32は、電力系統2は複電していないと判断する。すなわち、制御部32は、ステップS11における主幹ブレーカ132の開状態から閉状態への切り換わりは、利用者の誤操作であると判断する。そして、処理がステップS2に戻り、ステップS2以降の処理が実行される。これにより、電力中継装置1の制御部32は、利用者が手動で主幹ブレーカ132を閉状態から開状態に切り換えた後(S2)、各処理(S4~S7)を経て、電磁開閉器24を開状態から閉状態になるように制御する(S8)。これにより、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮することを防止して、分散電源4からの電力が電力中継装置1を経由して中継コンセント3aに供給される。
【0102】
(主要な効果)
以上、本実施形態の電力中継装置1によれば、分散電源4の出力部4aと、複数のコンセント3のうちの一のコンセント3aとを中継することで、複数のコンセント3のうちの他のコンセント3bに分散電源4からの電力を供給できる。このため、工事を必要とせず(すなわち安価な構成で)、分散電源4からの電力を建物の系統配電システム10に供給できる。また、主幹ブレーカ132の開状態で、分散電源4からの電力が一のコンセント3aに出力されるため、分散電源4からの電力が電力系統2に逆潮することを防止できる。よって、安価な構成でかつ電力系統2への逆潮を防止して、分散電源4からの電力を系統配電システム10に供給できる。
【0103】
また、入力プラグ20及び出力プラグ21の各々がオス型のプラグであるため、分散電源4のメス型の出力部4aと一のコンセント3aとを中継できる。すなわち、一般の分散電源4の出力部4aはメス型であるため、一般の分散電源4の出力部4aと一のコンセント3aとを中継できる。この結果、一般の分散電源4を用いて(すなわち安価な構成で)、分散電源4からの電力を建物の系統配電システム10に供給できる。
【0104】
(変形例)
上記の実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0105】
(変形例1)
上記の実施形態では、導通検出部25は、出力プラグ21の3極のうちのN相極とE相極との間のインピーダンスが所定値を超えるか否かに基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出する。ただし、導通検出部25は、出力プラグ21のL相極とE相極との間のインピーダンスが所定値を超えるか否かに基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出してもよい。また、導通検出部25は、出力プラグ21のL相極とN相極との間のインピーダンスが所定値を超えるか否かに基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出してもよい。
【0106】
(変形例2)
上記の実施形態では、導通検出部25は、出力プラグ21の3極のうちのN相極とE相極との間のインピーダンスが所定値を超えるか否かに基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出する。ただし、図6に示すように、系統配電システム10は、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出する検出器40(外部装置)を備えてもよい。この場合は、導通検出部25は、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを表す開閉信号を検出器40から取得し、取得した開閉信号に基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出してもよい。この場合、導通検出部25及び検出器40は、互いに通信(例えば無線通信)を行う通信機能を有し、それらの通信機能を用いて上記の開閉信号の送受を行う。なお、本変形例では、上記の通信機能は、無線通信を行うことを想定するが、有線通信を行ってもよい。
【0107】
(変形例3)
上記の実施形態では、導通検出部25は、出力プラグ21の3極のうちのN相極とE相極との間のインピーダンスが所定値を超えるか否かに基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出する。ただし、図7に示すように、電力中継装置1は、利用者による開閉情報の入力を受け付ける操作入力部50を備えてもよい。この場合は、導通検出部25は、操作入力部50に入力された開閉情報に基づいて、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを検出してもよい。なお、上記の開閉情報とは、主幹ブレーカ132が開状態であるか否かを表す情報である。
【0108】
(変形例4)
変形例3において、図7に示すように、電力中継装置1の主電路23に漏電ブレーカ33を更に備えてもよい。漏電ブレーカ33は、開状態及び閉状態に切換可能であり、開状態及び閉状態に応じて主電路23を遮断及び導通する。漏電ブレーカ33は、主電路23に規定値未満の電流が流れる場合は閉状態になって主電路23を導通し、主電路23に規定値以上の電流(例えば漏電電流及び短絡電流)が流れると開状態になって主電路23を遮断する。なお、漏電ブレーカ33は、手動で開状態及び閉状態の切り換えが可能であってもよい。漏電ブレーカ33は、例えば、主電路23における電磁開閉器23と出力プラグ27との間(すなわち電力中継装置1の出力段)に設けられている。漏電ブレーカ33は、主電路23の3つの電路のうちのL相電路及びE相電路を個別に導通及び遮断する。漏電ブレーカ33により、電力中継装置1の中継状態で系統配電システム10の内部で漏電又は短絡があった場合に、電力中継装置1の内部回路を漏電電流又は短絡電流から保護することができる。
【0109】
なお、本変形例は変形例3に適用する場合を例示するが、上記の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。
【0110】
(変形例5)
上記の実施形態では、複数のコンセント3は全て、建物の壁に設けられる壁コンセントを想定する。壁コンセントとは、屋内配線を経由したコンセントである。屋内配線とは、枝電路12における分岐ブレーカ133とコンセント3との間の電路部分である。ただし、複数のコンセント3は、壁コンセントでないコンセントとして、分電盤コンセントを含んでもよい。分電盤コンセントは、分電盤13に設けられており、屋内配線が省略されたコンセントである。この場合、電力中継装置1の出力プラグ27は、分電盤コンセントに接続されてもよい。すなわち、この場合は、分電盤コンセントが中継コンセントになる。
【0111】
(その他の変形例)
上記の実施形態では、電力中継装置1の制御部32は、逆潮防止のために、主幹ブレーカ132を閉状態から開状態に制御する。ただし、スマートメータ14が主電路11を開閉する開閉器を備える場合は、制御部32は、逆潮防止のために、主幹ブレーカ132の代わりにスマートメータ14の開閉器を閉状態から開状態に制御してもよい。この場合は、スマートメータ14の開閉器が第1開閉器となる。
【0112】
また、上記の実施形態では、電力中継装置1は、更に、入力プラグ20に入力される電流(すなわち分散電源4の出力電流)を検出する電流検出部を備えてもよい。この場合、制御部32は、電流検出部の検出電流が規定電流(例えばコンセント3の定格電流、例えば15A)を超える場合は、電磁開閉器24を開状態から閉状態になるように制御する。また、制御部32は、電流検出部の検出電流が規定電流以下である場合は、電磁開閉器24を閉状態から開状態になるように制御する。
【0113】
(まとめ)
第1の態様の電力中継装置(1)は、第1開閉器(132)を介して電力系統(2)から供給された電力を出力する複数のコンセント(3)のうちの一のコンセント(3a)と、分散電源(4)の出力部(4a)とを中継する。第1開閉器(132)は、閉状態及び開状態に応じて電力系統(2)と複数のコンセント(3)との間の電路(11)を導通及び遮断する。電力中継装置(1)は、開閉検出部(25)と、給電制御部(32)とを備える。開閉検出部(25)は、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出する。給電制御部(32)は、第1開閉器(132)が開状態であることを開閉検出部(25)が検出した場合、分散電源(4)の出力部(4a)からの電力を一のコンセント(3a)に出力する。
【0114】
この構成によれば、分散電源(4)の出力部(4a)と、複数のコンセント(3)のうちの一のコンセント(3a)とを中継することで、複数のコンセント(3)のうちの他のコンセント(3b)に分散電源(4)からの電力を供給できる。このため、工事を必要とせず(すなわち安価な構成で)、分散電源(4)からの電力を建物の系統配電システム(10)に供給できる。また、第1開閉器(132)の状態で、分散電源(4)からの電力が一のコンセント(3a)に出力されるため、分散電源(4)からの電力が電力系統(2)に逆潮することを防止できる。以上より、安価な構成でかつ電力系統(2)への逆潮を防止して、分散電源(4)からの電力を建物の系統配電システム(10)に供給できる。
【0115】
第2の態様の電力中継装置(1)では、第1の態様において、電力系統(2)と複数のコンセント(3)との間の電路(11)は、複数のコンセント(3)に分岐する複数の分岐点を有する。第1開閉器(132)は、電路(11)における複数の分岐点の上流側に設けられている。
【0116】
この構成によれば、分散電源(4)からの電力の電力系統(2)への逆潮を防止するために、第1開閉器(132)として、建物に設置された主幹ブレーカ、又はスマートメータ内の開閉器を制御することができる。
【0117】
第3の態様の電力中継装置(1)は、第1又は第2の態様において、第2開閉器(24)を更に備える。第2開閉器(24)は、閉状態及び開状態に応じて分散電源(4)と一のコンセント(3a)との間の電路(23)を導通及び遮断する。給電制御部(32)は、第2開閉器(24)の開閉を制御することで、分散電源(4)の出力部(4a)から一のコンセント(3a)への電力の出力を制御する。
【0118】
この構成によれば、第2開閉器(24)の開閉を制御することで、分散電源(4)の出力部(4a)から一のコンセント(3a)への電力の出力を制御することができる。
【0119】
第4の態様の電力中継装置(1)は、第1~第3の態様の何れか1つの態様において、遮断制御部(32)を更に備える。遮断制御部(32)は、第1開閉器(132)が手動で開状態から閉状態に切り換えられた場合、第1開閉器(132)を閉状態から開状態になるように制御する。
【0120】
この構成によれば、分散電源(4)からの電力が一のコンセント(3a)に出力されているときに、第1開閉器(132)が手動で開状態から閉状態に切り換えられた場合、遮断制御部(32)によって第1開閉器(132)が閉状態から開状態になるように制御される。このため、分散電源(4)からの電力が電力系統(2)に逆潮することを防止できる。
【0121】
第5の態様の電力中継装置(1)では、第4の態様において、第1開閉器(132)は、第1開閉器(132)を経由する電路(11,23)を流れる電流の漏電が検出された場合、閉状態から開状態に切り換わる機能を有する。遮断制御部(32)は、第1開閉器(132)を経由する電路(11,23)に流れる電流を疑似漏電させることで、第1開閉器(132)を閉状態から開状態になるように制御する。
【0122】
この構成によれば、第1開閉器(132)の漏電遮断機能(漏電が検出された場合に閉状態から開状態に切り換わる機能)を利用することで、安価な構成で、電力中継装置(1)から第1開閉器(132)の開閉を制御できる。
【0123】
第6の態様の電力中継装置(1)では、第1~第5の態様の何れか1つの態様において、開閉検出部(25)は、第1開閉器(132)を経由する電路(11,23)の導通状態に基づいて、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出する。
【0124】
この構成によれば、第1開閉器(132)を含む電路の導通状態に基づいて、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出するため、安価な構成で、第1開閉器(132)の開閉状態を検出できる。
【0125】
第7の態様の電力中継装置(1)では、第6の態様において、一のコンセント(3a)は、L相極、N相極及びE相極からなる3極のコンセント(3)である。開閉検出部(25)は、前記N相極と前記E相極との間の導通状態に基づいて、又は前記L相極と前記E相極との間の導通状態に基づいて、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出する。
【0126】
この構成によれば、一のコンセント(3a)が3極のコンセントである場合は、一のコンセント(3a)のN相極とE相極との間の導通状態、又はL相極とE相極との間の導通状態に基づくことで、安価な構成で、第1開閉器(132)の開閉状態を検出できる。
【0127】
第8の態様の電力中継装置(1)では、第1~第7の態様の何れか1つの態様において、開閉検出部(25)は、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを表す開閉信号を外部装置(40)から取得する。開閉検出部(25)は、取得した開閉信号に基づいて、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出する。
【0128】
この構成によれば、外部装置(40)から取得する開閉信号に基づいて、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出できる。すなわち、外部装置(40)が第1開閉器(132)の開閉状態を検出している場合は、その検出結果を利用して、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出できる。
【0129】
第9の態様の電力中継装置(1)では、第1~第8の態様の何れか1つの態様において、操作入力部(50)を備える。操作入力部(50)は、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを表す開閉情報の入力を受け付ける。開閉検出部(25)は、操作入力部(50)に入力された開閉情報に基づいて、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出する。
【0130】
この構成によれば、開閉情報の入力を受け付ける操作入力部(50)を備える場合は、操作入力部(50)に入力された開閉情報を利用して、第1開閉器(132)が開状態であるか否かを検出できる。
【0131】
第10の態様の電源システムは、第1~第9の態様の何れか1つの態様の電力中継装置(1)と、分散電源(4)とを備える。
【0132】
この構成によれば、電力中継装置(1)を備えた電源システムを提供できる。
【0133】
第11の態様の配電システムは、第1~第9の態様の何れか1つの態様の電力中継装置(1)と、系統配電システム(10)とを備える。系統配電システム(10)は、第1開閉器(132)を介して電力系統(2)から供給された電力を複数のコンセント(3)に分配する。第1開閉器(132)は、閉状態及び開状態に応じて電力系統(2)と複数のコンセント(3)との間の電路(11)を導通及び遮断する。
【0134】
この構成によれば、電力中継装置(1)を備えた配電システムを提供できる。
【符号の説明】
【0135】
1 電力中継装置
2 電力系統
3,コンセント
3a 中継コンセント(一のコンセント)
4 分散電源
4a 出力部
10 系統配電システム
11,23 主電路(電路)
20 入力プラグ
21 出力プラグ
24 電磁開閉器(第2開閉器、中継側開閉器)
25 導通検出部(開閉検出部)
27 接続検出部
32 制御部(遮断制御部、給電制御部)
40 検出器(外部装置)
50 操作入力部
132 主幹ブレーカ(第1開閉器、系統側開閉器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7