IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-宅配ボックス 図1
  • 特許-宅配ボックス 図2
  • 特許-宅配ボックス 図3
  • 特許-宅配ボックス 図4
  • 特許-宅配ボックス 図5
  • 特許-宅配ボックス 図6
  • 特許-宅配ボックス 図7
  • 特許-宅配ボックス 図8
  • 特許-宅配ボックス 図9
  • 特許-宅配ボックス 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】宅配ボックス
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/122 20060101AFI20230825BHJP
   A47G 29/124 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A47G29/122
A47G29/124
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021554209
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 JP2020036948
(87)【国際公開番号】W WO2021085012
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2019197962
(32)【優先日】2019-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 尚武
(72)【発明者】
【氏名】品川 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 英亮
(72)【発明者】
【氏名】酒見 隼也
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-066707(JP,A)
【文献】特開2017-225496(JP,A)
【文献】特開2019-131992(JP,A)
【文献】特開2000-237031(JP,A)
【文献】実開平07-021596(JP,U)
【文献】特開平07-225879(JP,A)
【文献】実開昭56-166891(JP,U)
【文献】国際公開第2019/130643(WO,A1)
【文献】特開平11-39053(JP,A)
【文献】特開2016-119804(JP,A)
【文献】国際公開第2009/147728(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/034869(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/122
A47G 29/124
E05B 49/00
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部を有する金属製の本体ケースと、
前記本体ケースの前記第1開口部に、開閉自在に設けられた金属製の扉と、
樹脂製のパネルと、
前記扉に対する施錠及び解錠を行うロック機構と、
前記ロック機構の動作を制御する制御部と、
アンテナを有し、外部と無線通信を行う通信部と、
前記ロック機構及び前記制御部に電力を給電する電池であって外装が金属面である電池を収納する電池収納部と、を備え、
前記扉は、第2開口部を有し、
前記第2開口部には、前記パネルが配置され、
前記パネルの背面側に前記通信部が設けられ、
前記制御部は、前記通信部が受信した信号に応じて、前記ロック機構に前記扉の解錠を行わせ、
前記電池収納部は、前記電池収納部と前記パネルの背面側との間で前記通信部を挟み込むように、前記パネルの背面側に配置される、
宅配ボックス。
【請求項2】
前記パネルは、所定の間隔で配置され、前記ロック機構による前記扉の解錠に関する操作を行うための複数の操作キーを含む操作パネルを有し、
前記通信部は、前記操作パネルの背面側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記扉を開閉させるヒンジ機構と、
前記パネルの前面に配置され、前記扉の開閉を行う利用者によって操作される扉操作体と、を更に備え、
前記ヒンジ機構、前記通信部及び前記扉操作体は、前記扉を正面視した場合に、所定の方向に沿って、前記ヒンジ機構、前記通信部及び前記扉操作体の順で配置されている、
請求項1又は2に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記扉操作体の少なくとも一部は、樹脂製である、
請求項3に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記本体ケースは、複数の前記第1開口部を有し、
前記複数の第1開口部は、所定の配列方向に沿って配置されており、
前記扉は、前記複数の第1開口部に一対一に対応し、
前記扉ごとに、前記パネルと、前記ロック機構と、前記制御部と、前記通信部と、を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の宅配ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に宅配ボックスに関し、より詳細には宅配業者によって荷物が収納され、受取人により荷物が取り出される宅配ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信機能を有する宅配ボックスが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の宅配ボックスは、宅配物を収容する収容部と、収容部に取付けられた開閉可能な扉と、扉を施錠および解錠するための扉ロック機構と、外部に動作状況の情報を送信し、外部から扉の施錠および解錠の指示を受信する通信装置と、を備える。通信装置は、インターネット網等の通信ネットワークと接続されたWi-Fi(登録商標)ルータと無線通信を行う。
【0004】
利用者の操作により携帯型情報端末装置は、通信ネットワークを介して宅配ボックスの通信装置に開錠指示を送信する。
【0005】
特許文献1の宅配ボックスは、通信ネットワークを介して、携帯型情報端末装置と通信を行うことを前提としている。そのため、通信装置(通信部)は宅配ボックスの外部に設けられている。しかしながら、携帯型情報端末装置と宅配ボックスの通信装置との間で直接無線通信を行いたいという要望がある。この場合、通信装置は、宅配ボックス内に設ける必要がある。宅配ボックスは、セキュリティの観点から金属で製造されている。そのため、通信装置を宅配ボックスの内部に設けると通信品質の低下を招く可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-146761号公報
【発明の概要】
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、通信品質の低下を抑制することができる宅配ボックスを提供することを目的とする。
【0008】
本開示の一態様に係る宅配ボックスは、金属製の本体ケースと、金属製の扉と、樹脂製のパネルと、ロック機構と、制御部と、通信部と、電池収納部と、を備える。前記本体ケースは、第1開口部を有する。前記扉は、前記本体ケースの前記第1開口部に、開閉自在に設けられる。前記ロック機構は、前記扉に対する施錠及び解錠を行う。前記制御部は、前記ロック機構の動作を制御する。前記通信部は、アンテナを有し、外部と無線通信を行う。前記電池収納部は、前記ロック機構及び前記制御部に電力を給電する電池であって外装が金属面である電池を収納する。前記扉は、第2開口部を有する。前記第2開口部には、前記パネルが配置される。前記パネルの背面側に前記通信部が設けられる。前記制御部は、前記通信部が受信した信号に応じて、前記ロック機構に前記扉の解錠を行わせる。前記電池収納部は、前記電池収納部と前記パネルの背面側との間で前記通信部を挟み込むように、前記パネルの背面側に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の一態様に係る宅配ボックスが備える扉の正面図である。
図2図2Aは、同上の宅配ボックスの正面図である。図2Bは、同上の宅配ボックスの斜視図である。
図3図3は、同上の扉が開閉している状態を表す図である。
図4図4Aは、同上の扉の背面図である。図4Bは、同上の扉において、電池カバーを取り除いた状態での背面図である。
図5図5は、同上の扉において、電池収納部を取り除いた状態での背面図である。
図6図6は、同上の宅配ボックスが備える複数の管理システムを含む宅配システムの構成を説明する図である。
図7図7は、同上の管理システムの構成を説明する図である。
図8図8は、荷物を収容する際における同上の宅配システムの動作を説明する図である。
図9図9は、荷物を取り出す際における同上の宅配システムの動作を説明する図である。
図10図10A図10Cは、同上の管理システムが備える通信部の通信特性を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に説明する実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。以下の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る宅配ボックスについて、図1図10を用いて説明する。
【0012】
(1)宅配ボックスの構造
本実施形態の宅配ボックス100は、複数(ここでは、5つ)の開口部3を有する本体ケース1と、複数の開口部3に一対一に対応する複数の扉4と、複数の開口部3に一対一に対応する複数(ここでは、5つ)の収納室2と、を備える(図2A図2B参照)。宅配ボックス100は、複数の扉4に一対一に対応しているロック機構19と、制御基板18aと、通信部12と、を備える(図1図5参照)。宅配ボックス100は、電池収納部101と、電池17と、を備える(図4A図4B参照)。
【0013】
本体ケース1は、金属製である。本体ケース1の複数の開口部3は、所定の配列方向D1(以下、第1方向D1ともいう)に沿って配置されている。複数の収納室2は、荷物を収納するための空間である。複数の収納室2は、対応する開口部3から、第1方向D1に直交する奥行き方向D2(以下、第2方向D2ともいう)に設けられている。ここで、収納室2の第2方向D2における一端は、対応する開口部3に対応する。
【0014】
宅配ボックス100は、第1方向D1及び第2方向の双方に直交する幅方向D3(以下、第3方向D3ともいう)において、各扉4の一端に設けられたヒンジ機構5を、更に備える(図3参照)。これにより、各扉4は、ヒンジ機構5が設けられた箇所を支点として開閉自在となる。
【0015】
各扉4は、金属製であり、開閉自在に設けられている。各扉4は、開口部6を有している(図2A参照)。開口部6は、対応する扉4において開口された部位である、開口部6は、対応する扉4の第3方向D3において、ヒンジ機構5が設けられた端部とは別の端部に近い位置に設けられている。言い換えると、開口部6は、対応する扉4の第3方向D3における中点よりも上記別の端部側に設けられている。
【0016】
開口部6には、樹脂製のパネル7が配置される(図2A参照)。
【0017】
パネル7は、扉4の一部であり、開口部6を形成する窓枠13の背面に複数のねじ14で取り付けられている(図4A図4B及び図5参照)。パネル7は、扉操作体8と、操作パネル11と、を有している。扉操作体8及び操作パネル11は、パネル7の前面7aに配置されている。操作パネル11は、扉4を正面視した場合に、扉操作体8と、ヒンジ機構5との間に配置される(図3参照)。
【0018】
扉操作体8は、パネル7の前面に配置され、扉4の開閉を行う利用者によって操作される。扉操作体8は、操作レバー8aと、操作レバー8aの根元部分の軸支部8bとを有する(図1参照)。扉操作体8は、その少なくとも一部は、樹脂製である。本実施形態では、操作レバー8aと、軸支部8bとは、樹脂製である。
【0019】
操作レバー8aは、利用者が扉4の開閉を行う際に、利用者によって操作される。軸支部8bは、軸(図示せず)によって、パネル7に対して軸支している。本実施形態では、操作レバー8aを手前に引けば、連結機構(図示せず)を介し、図3に示す爪9が、本体ケース1の係合孔10から引き出され、扉4を開放する構成となっている。
【0020】
操作パネル11は、複数の操作キー11aを含む(図1参照)、複数の操作キー11aは、所定間隔を置いて配置されており、ロック機構19による扉4の解錠に関する操作を受け付ける。複数の操作キー11aは、第1方向D1及び第3方向D3に沿って行列状に配置されている。各操作キー11aは、例えば感圧式センサである。操作キー11aは、利用者(の指)による接触の圧力によって抵抗値が変化することで、その変化値を制御基板18aに出力する。
【0021】
利用者が解錠を所望する扉4に設けられた複数の操作キー11aを用いて、扉4を解錠するための解錠番号を入力することで、ロック機構19の動作により扉4は解錠される。扉4が解錠された後、利用者は、操作レバー8aを手前に引くことで、連結機構を介し、爪9を本体ケース1の係合孔10から引き出し、扉4を開放することができる。
【0022】
ロック機構19は、対応する扉4に対する施錠及び解錠を行う。ロック機構19は、連結機構及び爪9のうち少なくとも一方を含む。ロック機構19の詳細な構成については、既知の技術であるため、ここでの説明は省略する。
【0023】
通信部12、制御基板18a及び電池収納部101は、パネル7の背面7b側に設けられている。具体的には、通信部12、制御基板18a及び電池収納部101は、パネル7の操作パネル11の背面に設けられている。言い換えると、扉4を正面視した場合に、操作パネル11の少なくとも一部と、通信部12、制御基板18a及び電池収納部101とは重なっている。
【0024】
電池収納部101は、電池カバー15と電池収納ケース16とを有する。電池収納ケース16は、ロック機構19及び後述する制御部18に電力を給電する複数(ここでは、4つ)の電池17を収納する(図4B参照)。電池カバー15は、電池収納ケース16に収納された複数の電池17を覆うための蓋である。ここで、電池17の外装は、金属面となっている。
【0025】
図4Aは、電池収納部101が取り付けられた場合でのパネル7の背面図である。図4Bは、電池収納部101の電池カバー15が取り外された場合でのパネル7の背面図である。
【0026】
図5は、電池収納部101が取り外された場合でのパネル7の背面図である。図5に示すように、操作パネル11の背面側に、制御基板18aが配置されている。制御基板18aには、通信部12が配置されている。本実施形態では、通信部12は、制御基板18aの背面側に配置されている。すなわち、通信部12は、電池収納部101とパネル7との間に配置される。言い換えると、電池収納部101は、電池収納部101とパネル7の背面側との間に通信部12が配置されるように、パネル7の背面側に配置される。さらに、言い換えると、パネル7、電池収納部101及び通信部12は、扉4が閉じられた状態において、扉4から収納室2に向って、パネル7、通信部12及び電池収納部101の順に配置される。
【0027】
通信部12は、アンテナ12aと通信モジュール12bとを有し、情報端末と通信を行う。ここで、情報端末は、例えば宅配業者が有する宅配用端末23、荷物の受取人であり、宅配ボックス100の利用者が有する利用者用端末25である。宅配用端末23は、専用の携帯型の端末、スマートフォン、タブレット端末等である。利用者用端末25は、スマートフォン、タブレット端末等である。
【0028】
アンテナ12aは、例えば、導体パターンにより制御基板18aに形成される。通信モジュール12bは、外部との通信、例えば上述した情報端末と通信を行うための機能を有している。
【0029】
制御基板18aは、ロック機構19の動作を制御する機能、つまりロック機構19による扉4の施錠、解錠を制御する機能を有し、後述する制御部18に相当する。制御基板18aは、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが、制御部18として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0030】
制御基板18aは、メタルベース基板とは異なる基板、例えば樹脂製の基板を有する。制御基板18aでは、樹脂製の基板上に上述のマイクロコンピュータ、ロック機構19の動作の制御に必要な電子機器等が配置される。制御基板18aに相当する制御部18は、通信部12が受信した信号に応じて、ロック機構19に扉4の解錠を行わせる。
【0031】
本実施形態では、通信部12は、操作パネル11の背面側に配置されている。通信部12背面側に、外装が金属面となっている複数の電池17が配置されている。つまり、操作パネル11、制御基板18a、通信部12及び電池17(電池収納部101)は、宅配ボックス100の扉4から後方に向って、操作パネル11、制御基板18a、通信部12及び電池17(電池収納部101)の順に配置されている。言い換えると、電池収納部101は、パネル7(の操作パネル11)の背面7b側に配置され、かつパネル7の操作パネル11の背面との間で通信部12及び制御基板18aを挟み込むように、配置される。
【0032】
操作パネル11は、扉4を正面視した場合に、扉操作体8と、ヒンジ機構5との間に配置され、通信部12は、操作パネル11の背面側に配置されている。そのため、ヒンジ機構5、通信部12及び扉操作体8は、扉4を正面視した場合に、所定の方向としての第3方向D3に沿って、ヒンジ機構5、通信部12及び扉操作体8の順で配置されている。
【0033】
(2)システム構成
以下、扉4ごとに設けられる管理システム200を備える宅配システム1000について説明する。
【0034】
宅配システム1000は、図6に示すように、複数の管理システム200、宅配業者の配達員が持つ宅配用端末23、利用者(荷物の受取人)が持つ利用者用端末25及び、宅配ボックス100の利用状況を管理するサーバ24を備える。複数の管理システム200は、宅配ボックス100が備える複数の扉4にそれぞれに対応して設けられている。各管理システム200は、宅配用端末23及び利用者用端末25と通信可能に構成されている。宅配用端末23及び利用者用端末25は、サーバ24と通信可能に構成されている。
【0035】
(2-1)管理システム
管理システム200は、図6に示すように、通信部12、複数の電池17、制御部18、ロック機構19、扉センサ20及び記憶部21を備える。
【0036】
通信部12は、上述したように、アンテナ12aと通信モジュール12bとを有する。通信モジュール12bは、アンテナ12aを介して、宅配用端末23及び利用者用端末25と無線による通信を行う機能を有する。通信部12と、宅配用端末23及び利用者用端末25との間の通信は、例えばBluetooth(登録商標)及びZigBee(登録商標)等を用いた通信方式による通信である。
【0037】
複数の電池17は、上述した電池収納部101に収納される。複数の電池17は、制御部18、ロック機構19及び扉センサ20に対して給電を行う。
【0038】
扉センサ20は、対応する扉4の開閉を検知する。扉センサ20は、検知結果を制御部18に出力する。
【0039】
制御部18は、ロック機構19の動作の制御、通信部12による通信の制御、及び対応する収納室2における荷物の有無の管理を行う。制御部18の各機能は、制御基板18aに配置されたマイクロコンピュータ等により実現される。
【0040】
制御部18は、通信部12による宅配用端末23及び利用者用端末25との通信により、扉4の解錠又は施錠を行うようにロック機構19を制御する。
【0041】
制御部18は、操作パネル11の複数の操作キー11aのうち少なくとも1つの操作キー11aに対する操作に応じて、扉4の解錠又は施錠を行うようにロック機構19を制御する。
【0042】
制御部18は、扉センサ20の検知結果に応じて、対応する収納室2での荷物の有無を判断する。例えば、制御部18は、宅配用端末23との通信が行われた場合に、扉センサ20が扉の開閉を検知したときは、荷物が収納されたとして、対応する収納室2で荷物が有ると判断する。制御部18は、利用者用端末25との通信が行われた場合に、扉センサ20が扉の開閉を検知したときは、荷物が取り出されたとして、対応する収納室2で荷物が無いと判断する。
【0043】
ロック機構19は、対応する扉4に対する施錠及び解錠を行う。ロック機構19は、上述した連結機構及び爪9のうち少なくとも一方を含む。ロック機構19は、施錠、解錠を行うモータを含む。ロック機構19は、制御部18による制御によりモータが回転することで、扉4に対する施錠及び解錠を行う。具体的には、ロック機構19のモータは、複数の電池17からの給電を受け、かつ制御に応じて扉4の施錠を行う方向、又は解錠を行う方向に回転する。
【0044】
記憶部21は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部21は、対応する収納室2に割り当てられた識別子を記憶している。記憶部21は、収納室2に収納された荷物の受取に係る履歴を記憶している。例えば、記憶部21は、収納室2に荷物が収納された日時(宅配業者が荷物を配送した日時)と収納された当該荷物が取り出された日時(利用者が当該荷物を受け取った日時)とを対応付けて記憶する。
【0045】
記憶部21は、サーバ24に送信すべき送信対象情報がサーバ24に送信済みであるか否かを表すフラグを、当該送信対象情報に対応付けて記憶している。
【0046】
記憶部21は、荷物の受取時の認証に用いる認証コードを記憶する。なお、認証コードは、利用者による荷物の受取が完了すると破棄される。
【0047】
(2-2)宅配用端末
宅配用端末23は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが宅配用端末23の機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0048】
宅配用端末23は、各管理システム200及びサーバ24と通信を行うように構成されている。
【0049】
宅配用端末23は、サーバ24と通信を行い、各収納室2での荷物の有無に係る情報を取得する。宅配用端末23は、収納室2ごとに、荷物の有無に係る情報を宅配用端末23が備える表示部に表示する。
【0050】
宅配用端末23は、複数の収納室2のうち荷物の収納対象である1つの収納室2に対応する管理システム200に、扉4の解錠要求を送信する。
【0051】
宅配用端末23は、認証コードを生成する。宅配用端末23は、複数の収納室2のうち荷物の収納対象である1つの収納室2に対応する管理システム200に、認証コードを送信する。宅配用端末23は、荷物の配達伝票の伝票番号、認証コード、及び荷物の収納対象である収納室2の識別子を含む認証情報を、当該利用者の利用者用端末25にサーバ24を介して送信する。
【0052】
また、宅配用端末23は、複数の管理システム200のうち少なくとも1つから送信対象情報を受け取ると、受け取った送信対象情報をサーバ24に送信する。
【0053】
(2-3)利用者用端末
利用者用端末25は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが利用者用端末25の機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0054】
利用者用端末25は、各管理システム200及びサーバ24と通信を行うように構成されている。
【0055】
利用者用端末25は、サーバ24を介して管理システム200から認証コード、及び収納室2の識別子を受け取る。利用者用端末25は、受け取った認証コード、及び収納室2の識別子を記憶する。
【0056】
利用者用端末25は、荷物を受け取る際には、受け取った識別子に対応する収納室2の管理システム200に、認証コードを送信する。
【0057】
利用者用端末25は、宅配用端末23と同様に、複数の管理システム200のうち少なくとも1つから送信対象情報を受け取ると、受け取った送信対象情報をサーバ24に送信する。
【0058】
(2-4)サーバ
サーバ24は、例えばプロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータがサーバ24の機能を実現する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0059】
サーバ24は、宅配用端末23及び利用者用端末25と通信を行うように構成されている。
【0060】
サーバ24は、各収納室2での荷物の有無を管理する。サーバ24は、伝票番号と、当該伝票番号に対応する荷物の受取人(利用者)の利用者用端末とを対応付けて記憶している。
【0061】
サーバ24は、宅配用端末23から認証情報を受け取ると、受け取った認証情報に含まれる認証コード及び収納室2の識別子を、認証情報に含まれる伝票番号に対応付けられた利用者用端末25に送信する。
【0062】
(3)動作
(3-1)荷物収納時の動作
ここでは、荷物を収納する際の宅配システム1000の動作について、図8を用いて説明する。図8に示す管理システム200は、収納対象となる収納室2の管理システム200である。
【0063】
管理システム200による無線通信の範囲領域に宅配業者の配達員が進入すると、宅配用端末23は、管理システム200の通信部12から送信された発信情報を取得する(ステップS1)。このとき、宅配用端末23は、宅配ボックス100の他の管理システム200の通信部12から送信された発信情報をも取得する。ここで、発信情報は、通信方式がBluetooth(登録商標)である場合には、アドバタイズパケットである。
【0064】
宅配用端末23は、サーバ24から収納情報を取得する(ステップS2)。ここで、収納情報は、各収納室2の利用の有無、つまり荷物の有無を表す情報である。
【0065】
宅配用端末23は、表示処理を行う(ステップS3)。具体的には、宅配用端末23は、取得した収納情報を基に、収納室2ごとに、利用の有無を表示する。
【0066】
宅配用端末23は、選択処理を行う(ステップS4)。宅配用端末23は、表示された収納室2ごとの利用の有無の表示画面に対するユーザの操作に応じて、複数の収納室2のうち、荷物を収納する収納室2を選択する。
【0067】
宅配用端末23は、選択された収納室2に対応する管理システム200の通信部12に対して、通信の接続を要求する旨の接続要求を送信する(ステップS5)。
【0068】
管理システム200の通信部12は、接続要求を受信すると、宅配用端末23との間での通信接続に係る処理を行い、処理が完了すると、接続が完了した旨の接続完了通知を、宅配用端末23に送信する(ステップS6)。
【0069】
宅配用端末23は、接続完了通知を通信部12から受信すると、扉4の解錠を要求する解錠要求を管理システム200の通信部12に送信する(ステップS7)。
【0070】
管理システム200の制御部18は、通信部12が解錠要求を受信すると、解錠処理を行う(ステップS8)。具体的には、制御部18は、扉4を解錠するようにロック機構19のモータを動作させる。
【0071】
管理システム200の通信部12は、制御部18による解錠処理が完了すると、扉4の解錠が完了した旨の解錠完了通知を宅配用端末23に送信する(ステップS9)。
【0072】
管理システム200の制御部18は、扉センサ20が扉4が開いたことを検知し、その後、扉4が閉じられたことを検知すると、施錠処理を行う(ステップS10)。具体的には、制御部18は、扉4を施錠するようにロック機構19のモータを動作させる。
【0073】
管理システム200の通信部12は、制御部18による施錠処理が完了すると、扉4の施錠が完了し、荷物が収納された旨の着荷情報を宅配用端末23に送信する(ステップS9)。ここで、着荷情報は、荷物が収納されたことを表す情報、収納室2の識別子、荷物が収納された日時(施錠処理が行われた時刻)及び収納室2が利用中である旨の情報を含む。
【0074】
宅配用端末23は、着荷情報を管理システム200の通信部12から受信すると、受信した着荷情報を、サーバ24に送信する(ステップS12)。
【0075】
サーバ24は、着荷情報を受信すると、更新処理を行う(ステップS13)。具体的には、サーバ24は、収納室2に荷物が収納された日時(宅配業者が荷物を配送した日時)を記憶部21に記憶する。これにより、サーバ24は、収納室2に荷物が有ることを管理することができる。
【0076】
宅配用端末23は、着荷情報をサーバ24に送信した後、認証コードを生成する(ステップS14)。宅配用端末23は、収納対象の収納室2の管理システム200の通信部12に、認証コードを送信する(ステップS15)。さらに、宅配用端末23は、認証データ、伝票番号及び荷物が収納された収納室2の識別子を含む認証情報をサーバ24に送信する(ステップS16)。
【0077】
管理システム200の制御部18は、通信部12が認証コードを受信すると、更新処理を行う(ステップS17)。具体的には、制御部18は、認証コードを記憶部21に記憶する。さらに、制御部18は、宅配用端末23に送信した着荷情報に、着荷情報を送信したことを表すフラグを対応付けて使用履歴として記憶する。
【0078】
サーバ24は、認証情報を受信すると、送信処理を行う(ステップS18)。具体的には、サーバ24は、認証情報に含まれる認証コード及び収納室2の識別子を、認証情報に含まれる伝票番号に対応付けられた利用者用端末25に送信する。
【0079】
(3-2)荷物収納時の動作
ここでは、荷物を受け取る際の宅配システム1000の動作について、図9を用いて説明する。図9に示す管理システム200は、収納室2に荷物が収納された管理システム200である。
【0080】
管理システム200による無線通信の範囲領域に荷物の受取人(利用者)が進入すると、利用者用端末25は、管理システム200の通信部12から送信された発信情報を取得する(ステップS101)。このとき、利用者用端末25は、宅配ボックス100の他の管理システム200の通信部12から送信された発信情報をも取得する。ここで、発信情報は、通信方式がBluetooth(登録商標)である場合には、アドバタイズパケットである。
【0081】
利用者用端末25は、荷物の受取に係る受取要求処理を行う(ステップS102)。具体的には、利用者用端末25は、利用者の操作により専用のアプリケーションを起動し、荷物の受取に係る受取指示を受け付ける。利用者用端末25は、受取指示を受け付けると、記憶している認証コード及び荷物が収納されている収納室2の識別子を取得する。
【0082】
利用者用端末25は、取得した識別子に対応する収納室2の管理システム200の通信部12に、通信の接続を要求する旨の接続要求を送信する(ステップS103)。
【0083】
管理システム200の通信部12は、接続要求を受信すると、利用者用端末25との間での通信接続に係る処理を行い、処理が完了すると、接続が完了した旨の接続完了通知を、利用者用端末25に送信する(ステップS104)。
【0084】
利用者用端末25は、接続完了通知を通信部12から受信すると、扉4の解錠を要求する解錠要求、及び認証コードを管理システム200の通信部12に送信する(ステップS105)。
【0085】
管理システム200の制御部18は、通信部12が解錠要求及び認証コードを受信すると、認証処理を行う(ステップS106)。具体的には、制御部18は、記憶している認証コードと、利用者用端末25から取得した認証コードとが一致するか否かを判断する。一致すると判断する場合には、制御部18は認証が成功したと判断する。一致しないと判断する場合には、制御部18は認証が失敗したと判断する。認証が失敗したと制御部18が判断する場合には、以降の処理は行われない。
【0086】
管理システム200の制御部18は、認証が成功したと判断する場合には、解錠処理を行う(ステップS107)。具体的には、制御部18は、扉4を解錠するようにロック機構19のモータを動作させる。
【0087】
管理システム200の通信部12は、制御部18による解錠処理が完了すると、扉4の解錠が完了した旨の解錠完了通知を利用者用端末25に送信する(ステップS108)。
【0088】
管理システム200の制御部18は、扉センサ20が扉4が開いたことを検知し、その後、扉4が閉じられたことを検知すると、施錠処理を行う(ステップS109)。具体的には、制御部18は、扉4を施錠するようにロック機構19のモータを動作させる。
【0089】
管理システム200の通信部12は、制御部18による施錠処理が完了すると、扉4の施錠が完了し、荷物が取り出された旨、つまり荷物の受取が行われた旨の荷受情報を利用者用端末25に送信する(ステップS110)。ここで、荷受情報は、荷物の受取が完了したことを表す情報、収納室2の識別子、収納室2から荷物が取り出された日時(利用者が当該荷物を受け取った日時)及び収納室2が未利用である旨の情報を含む。
【0090】
利用者用端末25は、荷受情報を管理システム200の通信部12から受信すると、受信した荷受情報を、サーバ24に送信する(ステップS111)。
【0091】
サーバ24は、荷受情報を受信すると、更新処理を行う(ステップS112)。具体的には、サーバ24は、収納室2から荷物が取り出された日時(利用者が当該荷物を受け取った日時)を記憶部21に記憶する。これにより、サーバ24は、収納室2に荷物が無いことを管理することができる。
【0092】
管理システム200の制御部18は、荷受情報を送信した後、更新処理を行う(ステップS113)。具体的には、制御部18は、利用者用端末25に送信した荷受情報に、荷受情報を送信したことを表すフラグを対応付けて使用履歴として記憶する。
【0093】
(3-3)その他の動作1
ここでは、操作キー11aを用いて荷物を収納する際の宅配システム1000の動作について説明する。ここでは、通信部12は、宅配用端末23との通信は行わない。
【0094】
宅配業者の配達員は、操作キー11aを用いて、荷物の収納対象である収納室2の扉4の解錠操作を行う。
【0095】
収納対象の管理システム200の制御部18は、解錠操作による解錠指示を受け付けると、ロック機構19に扉4の解錠を行わせる。このとき、制御部18は、記憶している最新の履歴情報を基に、収納室2の利用状況を判断する。制御部18は、最新の履歴情報が荷受情報である場合には、収納室2には荷物は無い、つまり収納室2は未利用であると判断する。
【0096】
収納対象の管理システム200の制御部18は、扉センサ20が扉4が開いたことを検知し、その後、扉4が閉じられたことを検知すると、施錠処理を行う。管理システム200の通信部12は、制御部18による施錠処理が完了すると、着荷情報を生成し、記憶する。このとき、制御部18は、着荷情報に、着荷情報を送信していないことを表すフラグを対応付けて使用履歴として記憶する。
【0097】
以降、管理システム200の制御部18は、着荷情報を送信していないことを表すフラグを対応付けた着荷情報を記憶している場合には、定期情報とともに、着荷情報を送信する。定期情報とともに着荷情報を受け取った情報端末は、着荷情報をサーバ24に送信する。さらに、定期情報とともに着荷情報を受け取った情報端末は、着荷情報をサーバ24に送信した旨の送信完了情報を管理システム200に送信する。管理システム200の制御部18は、通信部12が送信完了情報を受信すると、送信した着荷情報に対応するフラグの内容を、着荷情報を送信したことを表す内容に更新する。ここで、情報端末は、サーバ24と通信可能な端末であり、例えば宅配用端末23、利用者用端末25である。
【0098】
(3-4)その他の動作2
ここでは、操作キー11aを用いて荷物を受け取る際の宅配システム1000の動作について説明する。ここでは、通信部12は、利用者用端末25との通信は行わない。
【0099】
荷物の受取人(利用者)は、操作キー11aを用いて、受取対象の荷物の収納された収納室2の扉4の解錠操作を行う。
【0100】
収納対象の管理システム200の制御部18は、解錠操作による解錠指示を受け付けると、ロック機構19に扉4の解錠を行わせる。このとき、制御部18は、記憶している最新の履歴情報を基に、収納室2の利用状況を判断する。制御部18は、最新の履歴情報が着荷情報である場合には、収納室2には荷物は有る、つまり収納室2は利用中であると判断する。
【0101】
収納対象の管理システム200の制御部18は、扉センサ20が扉4が開いたことを検知し、その後、扉4が閉じられたことを検知すると、施錠処理を行う。管理システム200の通信部12は、制御部18による施錠処理が完了すると、荷受情報を生成し、記憶する。このとき、制御部18は、荷受情報に、荷受情報を送信していないことを表すフラグを対応付けて使用履歴として記憶する。
【0102】
以降、管理システム200の制御部18は、荷受情報を送信していないことを表すフラグを対応付けた荷受情報を記憶している場合には、定期情報とともに、荷受情報を送信する。定期情報とともに荷受情報を受け取った情報端末は、荷受情報をサーバ24に送信する。さらに、定期情報とともに荷受情報を受け取った情報端末は、荷受情報をサーバ24に送信した旨の送信完了情報を管理システム200に送信する。管理システム200の制御部18は、通信部12が送信完了情報を受信すると、送信した荷受情報に対応するフラグの内容を、荷受情報を送信したことを表す内容に更新する。ここで、情報端末は、サーバ24と通信可能な端末であり、例えば宅配用端末23、利用者用端末25である。
【0103】
(4)利点
以上説明したように、本実施形態の宅配ボックス100は、開口部3を有する金属製の本体ケース1と、金属製の扉4と、ロック機構19と、制御部18と、通信部12と、を備える。扉4は、開口部3に開閉自在に設けられる。ロック機構19は、扉4に対する施錠及び解錠を行う。制御部18は、ロック機構19の動作を制御する。通信部12は、アンテナ12aを有し、外部と通信を行う。扉4が有する開口部6には、樹脂製のパネル7が配置される。パネル7の背面側に通信部12が設けられる。制御部18は、通信部12が受信した信号に応じて、ロック機構19に扉4の解錠を行わせる。
【0104】
ここで、通信部12のアンテナ12a、例えばアンテナ12aの先端を原点とする3軸方向を規定する。ここでは、第2方向D2をX軸、第3方向D3をY軸、第1方向D1をZ軸と、それぞれする。X軸において扉4が閉じられた状態において収納室2から扉4に向う方向をプラスX方向、プラスX方向と逆方向をマイナスX方向という。また、Y軸において、扉操作体8から操作パネル11に向う方向をプラスY方向、プラスY方向と逆方向をマイナスY方向という。さらに、Z軸において、宅配ボックス100を配置した場合において上方向をプラスZ方向、プラスZ方向と逆方向をマイナスZ方向という。以下、X軸及びY軸を含む平面をXY平面と、Y軸及びZ軸を含む平面をYZ平面と、X軸及びZ軸を含む平面をXZ平面と、それぞれ記載する。XY平面は、扉4と直交し、かつ宅配ボックス100を設置した場合における水平面と平行な平面である。YZ平面は、扉4が閉じられた状態での扉4と平行な平面である。XZ平面は、扉4と直交し、かつ宅配ボックス100を設置した場合における水平面とも直交する平面である。
【0105】
図10A図10Cは、通信部12を宅配ボックス100に組み込んだ場合での各平面における通信特性を表す。図10Aは、XY平面における水平偏波及び垂直偏波の特性を表す。図10Bは、XZ平面における水平偏波及び垂直偏波の特性を表す。図10Cは、YZ平面における水平偏波及び垂直偏波の特性を表す。
【0106】
図10A及び図10Bに示すように、マイナスX方向に比べてプラスX方向における通信状態、つまり扉4の後方に比べて扉4の前方の通信状態が極めて良好であることが分かる。
【0107】
また、図10Cに示すように、プラスY方向及びマイナスY方向の双方向、つまり第3方向D3において、通信状態が極めて良好であることが分かる。さらに、プラスZ方向及びマイナスZ方向の双方向、つまり第1方向D1においても、通信状態が極めて良好であることが分かる。
【0108】
したがって、本実施形態では、本体ケース1(の扉4)の前方においては、上下(第1方向D1)、左右方向(第3方向)の広いエリアにおいて、通信状態が極めて良好なものとなり、その結果として、極めて使い勝手がよくなる。
【0109】
このように、本実施形態においては、扉4の前方において、上下、左右方向の広いエリアでの通信状態が極めて良好になる。その理由として、開口部6に設けるパネル7を樹脂製としたこと、扉操作体8のうち、パネル7の前面側に存在する操作レバー8aと、軸支部8bを樹脂製としたことである。その結果、パネル7の背面側に配置された通信部12は、金属体による障害を受けず、本体ケース1(の扉4)の前方にある情報端末との通信環境が極めて良好になる。
【0110】
また、パネル7の前面において、扉操作体8とヒンジ機構5との間に操作パネル11が配置されている。操作パネル11の背面側に通信部12が配置されているので、通信部12は、第3方向D3において、十分な通信範囲を確保することができる。
【0111】
さらに、通信部12は、操作パネル11の背面側に配置されている。また、操作パネル11は、所定間隔で配置された複数の操作キー11aを有している。このとき、通信部12は、操作キー11a間の隙間を介して、本体ケース1の前方のある情報端末と、良好な通信が行える。
【0112】
さらに、通信部12の背面側には、複数の電池17が、電池収納ケース16内に収納された状態で配置される。つまり、通信部12の電波は、複数の電池17により前方に反射されることとなる。その結果、本体ケース1の前方において通信部12と情報端末との間の通信状態が、極めて良好になる。
【0113】
(5)変形例
以下、本実施形態に対する変形例を列記する。以下の変形例は、実施形態と適宜組み合わせ可能である。
【0114】
上記実施形態では、通信部12は、制御基板18aの背面側に配置される構成としたがこの構成に限定されない。通信部12は、操作パネル11と制御基板18aとの間に配置されてもよい。
【0115】
上記実施形態では、通信部12は、操作パネル11の背面側に配置される構成としたが、この構成に限定されない。通信部12は、パネル7の背面側に配置されていればよい。特に、通信部12は、パネル7において樹脂で形成された領域の背面側に配置されていることが好ましい。
【0116】
上記実施形態では、宅配ボックス100は、複数の収納室2を備える構成としたが、この構成に限定されない。宅配ボックス100は、1つの収納室2を備えてもよい。この場合、宅配ボックス100には、1つの管理システム200が設けられる。
【0117】
上記実施形態では、宅配ボックス100は、第3方向D3における扉4の両端のうち一端にヒンジ機構5を設ける構成としたが、この構成に限定されない。宅配ボックス100は、第1方向D1における扉4の両端のうち一端にヒンジ機構5を設けてもよい。この場合、ヒンジ機構5、通信部12及び扉操作体8は、扉4を正面視した場合に、所定の方向としての第1方向D1に沿って、ヒンジ機構5、通信部12及び扉操作体8の順で配置される。
【0118】
上記実施形態では、宅配ボックス100は、複数の収納室2を第1方向D1に沿って設ける構成としたが、この構成に限定されない。宅配ボックス100は、複数の収納室2を第3方向D3に沿って設けてもよい。または、宅配ボックス100は、複数の収納室2を第1方向D1及び第3方向D3に沿って設けてもよい。
【0119】
上記実施形態では、宅配用端末23が認証コードを生成する構成としたが、この構成に限定されない。管理システム200が認証コードを生成してもよいし、サーバ24が認証コードを生成してもよい。
【0120】
本開示における管理システム200の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における管理システム200の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0121】
また、管理システム200における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは管理システム200に必須の構成ではなく、管理システム200の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、管理システム200の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0122】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の宅配ボックス(100)は、金属製の本体ケース(1)と、金属製の扉(4)と、樹脂製のパネル(7)と、ロック機構(19)と、制御部(18)と、通信部(12)と、を備える。本体ケース(1)は、開口部(3)を有する。扉(4)は、本体ケース(1)の開口部(3)に、開閉自在に設けられる。ロック機構(19)は、扉(4)に対する施錠及び解錠を行う。制御部(18)は、ロック機構(19)の動作を制御する。通信部(12)は、アンテナ(12a)を有し、外部(例えば、宅配用端末23、利用者用端末25)と無線通信を行う。扉(4)は、開口部(6)を有する。開口部(6)には、パネル(7)が配置される。パネル(7)の背面側に通信部(12)が設けられる。制御部(18)は、通信部(12)が受信した信号に応じて、ロック機構(19)に扉(4)の解錠を行わせる。
【0123】
この構成によると、樹脂製のパネル(7)を備え、パネル(7)の背面側に通信部(12)が配置されているので、通信部(12)は、金属体による障害を受けず無線通信を行うことができる。したがって、宅配ボックス(100)は、無線通信を行う際の通信品質の低下を抑制することができる。
【0124】
第2の態様の宅配ボックス(100)では、第1の態様において、パネル(7)は、操作パネル(11)を有する。操作パネル(11)は、所定の間隔で配置され、ロック機構(19)による扉(4)の解錠に関する操作を行うための複数の操作キー(11a)を含む。通信部(12)は、操作パネル(11)の背面側に設けられる。
【0125】
この構成によると、通信部(12)は、操作キー(11a)間の隙間を介して、通信を行うことができる。したがって、宅配ボックス(100)は、無線通信を行う際の通信品質の低下を抑制することができる。
【0126】
第3の態様の宅配ボックス(100)は、第1又は第2の態様において、電池収納部(101)を、更に備える。電池収納部(101)は、ロック機構(19)、及び制御部(18)に電力を給電する電池(17)を収納する。電池収納部(101)は、電池収納部(101)とパネル(7)の背面側との間に通信部(12)が配置されるように、パネル(7)の背面側に配置される。
【0127】
この構成によると、通信部(12)から放射された電波は、複数の電池(17)によりで前方に反射されることとなる。その結果、宅配ボックス(100)は、無線通信を行う際の通信品質の低下を抑制することができる。
【0128】
第4の態様の宅配ボックス(100)は、第1~第3のいずれかの態様において、扉(4)を開閉させるヒンジ機構(5)と、扉操作体(8)と、を更に備える。扉操作体(8)は、パネル(7)の前面に配置され、扉(4)の開閉を行う利用者によって操作される。ヒンジ機構(5)、通信部(12)及び扉操作体(8)は、扉(4)を正面視した場合に、所定の方向(第3方向D3)に沿って、ヒンジ機構(5)、通信部(12)及び扉操作体(8)の順で配置されている。
【0129】
この構成によると、ヒンジ機構(5)、通信部(12)及び扉操作体(8)の並び方向において、十分な通信範囲を確保することができる。
【0130】
第5の態様の宅配ボックス(100)では、第4の態様において、扉操作体(8)の少なくとも一部は、樹脂製である。
【0131】
この構成によると、通信部(12)は、金属体による障害を受けず無線通信を行うことができるので、無線通信を行う際の通信品質の低下を抑制することができる。
【0132】
第6の態様の宅配ボックス(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、本体ケース(1)は、複数の開口部(3)を有する。複数の開口部(3)は、所定の配列方向(例えば、第1方向D1)に沿って配置されている。扉(4)は、複数の開口部(3)に一対一に対応している。扉(4)ごとに、パネル(7)と、ロック機構(19)と、制御部(18)と、通信部(12)と、を備える。
【0133】
この構成によると、各通信部(12)で無線通信が行われる際の通信品質の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 本体ケース
3 開口部
4 扉
5 ヒンジ機構
6 開口部
7 パネル
8 扉操作体
11 操作パネル
11a 操作キー
12 通信部
12a アンテナ
12b 通信モジュール
17 電池
18 制御部
18a 制御基板
19 ロック機構
23 宅配用端末
24 サーバ
25 利用者用端末
100 宅配ボックス
101 電池収納部
200 管理システム
1000 宅配システム
D1 配列方向(第1方向)
D2 奥行き方向(第2方向)
D3 幅方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10