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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 19/12 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
G09F19/12 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019209741
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2020126224
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2019017328
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 知徳
(72)【発明者】
【氏名】岡野 修輔
(72)【発明者】
【氏名】永原 孝行
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-337353(JP,A)
【文献】特表2014-503379(JP,A)
【文献】特開2002-55630(JP,A)
【文献】実開昭64-10779(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 7/00- 9/00
G09F 13/00-13/46
G09F 19/00-27/00
B60R 13/00-13/10
B60R 16/00-17/02
G09G 1/00- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの表面に設けられ、情報を表示する表示ユニットと、
前記表示ユニットに積層された熱源層と、
前記熱源層に積層されたデザイン層と、
を備え、
前記デザイン層は、
温度変化によって光透過率が変化する物質を含み、
前記熱源層の温度変化に追従して光透過率が変化する光透過率変化領域と、前記光透過率変化領域の外周に沿って、光透過率がグラデーション状に変化するグラデーション領域と、を形成する、
表示装置。
【請求項2】
前記温度変化によって光透過率が変化する物質は、サーモクロミック材料を含む、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記温度変化によって光透過率が変化する物質は、前記デザイン層の体積の5%より大きく、80%より小さい割合で前記デザイン層に含まれる、
請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記熱源層は、
温度変化を発生させる温度変化部と、
前記温度変化部の外周に沿って設けられ、温度が漸次変化する温度徐変部と、
を有し、
前記光透過率変化領域において、前記温度変化部の温度変化に追従して光透過率が変化し、
前記グラデーション領域において、前記温度徐変部の温度変化に追従して光透過率が変化する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記熱源層は、複数の前記温度変化部および複数の前記温度徐変部を有する、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
さらに、
前記複数の温度変化部を制御する接触式または非接触式の温度変化制御装置を有する、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記デザイン層の前記熱源層と対向する面に、前記表示ユニットからの光量または光の拡散を調整する透過光調整層が設けられている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記デザイン層は、天然素材の木材、石材、コルク、布、紙、革のうち少なくともいずれか1つを含む天然素材層を有する、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記天然素材層が木材を含み、前記天然素材層に分子量100以上50000以下である有機樹脂が含浸されている、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記天然素材層が木材、コルク、または革を含み、前記天然素材層の一部の成分を除去して脱色状態とする、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
前記天然素材層が木材を含み、着色顔料、染料、難燃剤、または蛍光塗料のいずれかの材料が前記天然素材層の内部または表面に添加されている、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項12】
前記デザイン層は、接触式の操作制御装置を有し、
前記操作制御装置は、前記表示ユニットを制御する、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記デザイン層は、非接触式の操作制御装置を有し、
前記操作制御装置は、前記表示ユニットを制御する、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記デザイン層は、接触式の第1操作制御装置および非接触式の第2操作制御装置を有し、
前記第1操作制御装置および前記第2操作制御装置は、それぞれ前記表示ユニットに対する操作の制御を割り当てられる、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の情報表示装置100を図12に示す。情報表示装置100は、最表面を構成する筐体101に液晶パネル102の表示範囲と同等もしくはそれよりも小さいサイズの四角孔が形成されており、外部から液晶パネル102に表示された情報を視認できる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-261978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の情報表示装置は、意匠性を向上させるという点で未だ改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の表示装置は、本体ケースの表面に設けられ、情報を表示する表示ユニットと、前記表示ユニットに積層された熱源層と、前記熱源層に積層されたデザイン層と、を備え、前記デザイン層は、温度変化によって光透過率が変化する物質を含み、前記熱源層の温度変化に追従して光透過率が変化する光透過率変化領域と、前記光透過率変化領域の外周に沿って、光透過率がグラデーション状に変化するグラデーション領域と、を形成する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によると、意匠性を向上させた表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1にかかる表示装置の基本構成を示す図である。
図2図1の表示装置の断面図である。
図3図1の表示装置のデザイン層を示す図である。
図4図1の表示装置の熱源層を示す図である。
図5図1の表示装置の変形例を示す図である。
図6図1の表示装置の変形例を示す図である。
図7】実施の形態2にかかる表示装置の熱源層を示す図である。
図8】実施の形態2にかかる表示装置のデザイン層を示す図である。
図9】実施の形態3にかかる表示装置の断面図である。
図10】実施の形態4にかかる表示装置の断面図である。
図11】実施の形態4にかかる表示装置の断面図である。
図12】特許文献1の情報表示装置を示す図である。
図13】従来の表示装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至った経緯)
顧客の嗜好の多様化から幅広いデザインの表現が求められており、意匠性の高いデザインが求められている。
【0009】
しかし、特許文献1の情報表示装置100では、筐体101と液晶パネル102は別の部品で構成されているため、液晶パネル102の点灯有無にかかわらず、その境界が外部から容易に認知されてしまう。その結果、意匠性が低下するという問題がある。
【0010】
また、図13に示す従来の情報表示装置200は、情報表示範囲201が透明な素材で形成され、その外周には任意の色で着色した加飾部202を有するとともに、情報表示範囲201と加飾部202との間に境界部203を有する。境界部203は任意の色から次第に透明となるグラデーションを施すことにより、情報表示範囲201に情報が表示されたときに、情報表示範囲201と加飾部202との境界がグラデーション状に表示される。このように、情報表示装置200では情報表示範囲201に情報が表示されているときには、その周囲がグラデーション状に表現される。しかし、情報表示範囲201に情報が表示されていないときには、情報表示範囲201と加飾部202とのデザインが異なるため、情報表示範囲201の存在が容易に認知されてしまう。その結果、意匠性が低下してしまうという問題がある。
【0011】
また、天然木をはじめとした天然素材を用いた情報表示装置もある。しかし、天然素材を用いたデザインの場合、液晶パネル等の情報表示部と天然素材との境界をグラデーション状に表現することが難しく、情報表示部と天然素材との境界が外部から容易に認知されてしまう。
【0012】
たとえば、これらの情報表示装置を車載機器として車両に搭載することがある。運転者が視線を移動する際に、情報表示範囲に情報が表示されていない場合でも、その存在が運転者に容易に認知されてしまうため、運転者が情報表示範囲に注目してしまうことがある。これにより運転者の安全確認の遅れが発生してしまうおそれがある。
【0013】
そこで、本発明者らは、これらの課題を解決するための表示装置を検討し、以下の構成を考案した。
【0014】
本開示の一態様にかかる表示装置は、本体ケースの表面に設けられ、情報を表示する表示ユニットと、前記表示ユニットに積層された熱源層と、前記熱源層に積層されたデザイン層と、を備え、前記デザイン層は、温度変化によって光透過率が変化する物質を含み、前記熱源層の温度変化に追従して光透過率が変化する光透過率変化領域と、前記光透過率変化領域の外周に沿って、光透過率がグラデーション状に変化するグラデーション領域とを形成する。
【0015】
このような構成により、意匠性を向上させることができる。
【0016】
前記温度変化によって光透過率が変化する物質は、サーモクロミック材料を含んでもよい。
【0017】
このような構成により、温度変化によって光透過率を変化させることにより情報の表示/非表示を選択することができるため、表示装置において、必要に応じて表示ユニットの情報を視認可能に表示させることができる。
【0018】
前記温度変化によって光透過率が変化する物質は、前記デザイン層の体積の5%より大きく、80%より小さい割合で前記デザイン層に含まれてもよい。
【0019】
このような構成により、デザイン層の意匠性を損ねることなく、温度変化に追従して光透過率を変化させることができる。
【0020】
前記熱源層は、温度変化を発生させる温度変化部と、前記温度変化部の外周に沿って設けられ、温度が漸次変化する温度徐変部と、を有し、前記光透過率変化領域において、前記温度変化部の温度変化に追従して光透過率が変化し、前記グラデーション領域において、前記温度徐変部の温度変化に追従して光透過率が変化してもよい。
【0021】
このような構成により、光透過率を段階的に変化させることができるため意匠性を向上させることができる。
【0022】
前記熱源層は、複数の温度変化部および複数の温度徐変部を有していてもよい。
【0023】
このような構成により、複数の情報を表示させることができる。
【0024】
さらに、前記複数の温度変化部を制御する接触式または非接触式の温度変化制御装置を有していてもよい。
【0025】
このような構成により、任意の箇所に情報を表示させることができる。
【0026】
前記デザイン層は、天然素材の木材、石材、コルク、布、紙、革のうち少なくともいずれか1つを含む天然素材層を有していてもよい。
【0027】
このような構成により、意匠性をさらに向上させることができる。
【0028】
前記デザイン層の前記熱源層と対向する面に、前記表示ユニットからの光量または光の拡散を調整する透過光調整層が設けられていてもよい。
【0029】
このような構成により、光量または光の拡散を調整することができ、情報表示部の良好な画質を得ることができる。
【0030】
前記天然素材層が木材を含み、前記天然素材層に分子量100以上50000以下である有機樹脂が含浸されていてもよい。
【0031】
このような構成により、新たな機能性を付与することができる。
【0032】
前記天然素材層が木材、コルク、または革を含み、前記天然素材層の一部の成分を除去して脱色状態としてもよい。
【0033】
このような構成により、新たな機能性や外観を付与することができる。
【0034】
前記天然素材層が木材を含み、着色顔料、染料、難燃剤、または蛍光塗料のいずれかの材料が前記天然素材層の内部または表面に添加されていてもよい。
【0035】
このような構成により、新たな機能性や外観を付与することができる。
【0036】
前記デザイン層は、接触式の操作制御装置を有し、前記操作制御装置は、前記表示ユニットを制御してもよい。
【0037】
このような構成により、外部から信号を入力して表示ユニットに対する制御を行うことができる。
【0038】
前記デザイン層は、非接触式の操作制御装置を有し、前記操作制御装置は、前記表示ユニットを制御してもよい。
【0039】
このような構成により、外部から信号を入力して表示ユニットに対する制御を行うことができる。
【0040】
前記デザイン層は、接触式の第1操作制御装置および非接触式の第2操作制御装置を有し、前記第1操作制御装置および前記第2制御装置は、それぞれ前記表示ユニットに対する操作の制御を割り当てられていてもよい。
【0041】
このような構成により、外部から信号を入力して表示ユニットに対する制御を行うことができる。
【0042】
以下、各実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(実施の形態1)
図1は、本開示の表示装置1の基本構成を示す図である。図2は、図1のデザイン層2から本体ケース5の方向に切断した際のA-A矢視断面図である。図3は、図2のデザイン層2の平面図である。図4は、図2の熱源層の平面図である。
【0044】
図1および図2に示すように、この表示装置1は、デザイン層2、熱源層3、表示ユニット4、および本体ケース5を備える。本体ケース5に表示ユニット4、熱源層3、デザイン層2がこの順番に積層されて形成されている。デザイン層2と熱源層3は密着されて、または熱伝導率のよい接着材等によって接着されており、熱源層3で発生した熱量がデザイン層2に効率的に伝導される。
【0045】
デザイン層2は、外部からの温度変化に追従して光透過率が変化する物質を含んでいる。外部からの温度変化に追従して光透過率が変化する物質には、たとえば、ビアントロン類、スピロオキサジン類、スピロピラン、サリチルデンアニリン類、または二酸化バナジウム等の金属無機材料に代表される、サーモクロミック材料を使用することができる。外部からの温度変化に追従して光透過率が変化する物質は、水、ポリエチレングリコール等の高分子樹脂、または有機溶剤等の溶媒と混合し、塗装または含浸等の一般的な手法を用いてデザイン層2に含有させることができる。
【0046】
デザイン層2には、熱源層3の温度変化に追従して光透過率が変化することによって、表示ユニット4からの情報を表示する情報表示部6が形成される。たとえば、熱源層3によって温度が上昇すると、情報表示部6は表示ユニット4からの情報を表示する。情報表示部6は、表示ユニット4に表示された情報を、デザイン層2に外部から視認可能に表示するために設けられたものである。
【0047】
外部からの温度変化に追従して光透過率が変化する物質は、デザイン層2の体積の5%より大きく、80%より小さい割合でデザイン層2に含まれているとよい。外部からの温度変化に追従して光透過率が変化する物質の体積がデザイン層2の体積の5%以下である場合、温度変化に対する光透過率の変化が小さく、情報表示部6において、表示ユニット4からの情報を視認可能に表示させることが困難である。また、外部からの温度変化に追従して光透過率が変化する物質の体積がデザイン層2の体積の80%以上である場合、温度変化に追従して光透過率が変化する物質がデザイン層2に用いる素材の風合いを損ねてしまう恐れがある。
【0048】
また、デザイン層2は、図3に示すように、その表面もしくは裏面に外部から視認される加飾である外装デザイン7を有している。本実施の形態においては、外装デザイン7としてデザイン層2に木目柄が施されている。なお、外装デザイン7は木目柄に限らず、様々なデザインを採用することができる。
【0049】
デザイン層2においては、情報表示部の外周に沿って、光透過率がグラデーション状に変化する加飾グラデーション部11が形成される。加飾グラデーション部11は、熱源層3の温度変化に追従して光透過率がグラデーション状に変化する。
【0050】
なお、情報表示部6が本開示の請求項1における「光透過率変化領域」に相当し、加飾グラデーション部11が本開示の請求項1における「グラデーション領域」に相当する。
【0051】
図4に示すように、熱源層3は、外周部8、温度変化部9、および温度徐変部10を備える。温度変化部9は、熱を発生させることによって温度変化を発生させる。また、温度変化部9は、たとえば、熱源層3に透明ヒーターを配置するなどして形成することができる。また、温度変化部9は近赤外線または遠赤外線により加熱して形成することもできる。効率よく熱を伝導するために、最適な高熱伝導率、または保温機能を有する層をデザイン層2の裏面に設けてもよい。
【0052】
外周部8は、温度変化部9の周囲に設けられる。外周部8は、温度変化部9の熱が伝導されにくい材料で形成されている。
【0053】
温度徐変部10は、温度変化部9と外周部8との間に設けられている。具体的には、温度徐変部10は、温度変化部9の外周に沿って設けられている。温度徐変部10は、温度変化部9から外周部8に向かって熱伝導率が変化する部材で形成されている。
【0054】
温度徐変部10は、温度変化部9で発生した熱が伝導することによって、温度変化する。具体的には、温度徐変部10は、温度変化部9で発生した熱により温度変化部9側の温度が漸次高くなる、または低くなるような温度変化を発生させる。すなわち、温度徐変部10においては、温度徐変部10の内周端部10aから外周端部10bに向かって、段階的にまたは連続的に温度が高くなる、または低くなるような温度変化が発生する。温度徐変部10の内周端部10a付近の温度は温度変化部9の温度に近く、外周端部10b付近の温度は外周部8の温度に近くなるような温度変化を発生させることで、温度変化部9から外周部8までの温度分布がグラデーション状になる。温度徐変部10が設けられていることにより、温度変化部9で温度変化が発生している際、図3に示すように、デザイン層2には、情報表示部6から外側に向かって徐々に光透過率が低くなる加飾グラデーション部11が形成される。
【0055】
熱源層3に温度変化がない場合には、デザイン層2の光透過率は0%であり、表示ユニット4で表示される情報はデザイン層2の外装デザイン7で遮断されて外部から視認されず、デザイン層2に施されている外装デザイン7のみが視認される。一方、たとえば、熱源層3で熱を発生させて温度変化を起こすと、その発生した熱はデザイン層2に伝導され、デザイン層2の熱源層3の温度変化が発生した領域と重なる領域の光透過率が高くなる。これにより、表示ユニット4で表示される情報がデザイン層2を透過し、外部からその情報を視認できる状態になる。すなわち、熱源層3で熱が発生すると、デザイン層2の一部の光透過率が高くなり、表示ユニット4で表示された情報が情報表示部6に表示される。
【0056】
熱源層3の熱の調整することで、外部から見たときに、外装デザイン7を表示させるか、情報表示部6に表示ユニット4により情報を表示させるかを任意に選択することができる。
【0057】
表示ユニット4は、たとえば、LEDによる光パターン、ワンセグ、液晶、またはOLED等を採用することができる。本体ケース5は、たとえば、樹脂によって形成されており、デザイン層2、熱源層3、および表示ユニット4を収納するケースである。
【0058】
なお、温度変化部9および温度徐変部10の位置や大きさは、任意に変更することができる。たとえば、図5に示すように、小さい温度変化部9を熱源層3の端に寄せて配置してもよい。このようにすると、図6に示すように、デザイン層2に形成される情報表示部6の大きさがデザイン層2の大きさに比較して小さくなり、木目柄のデザインをより際立たせることができる。
【0059】
本開示の表示装置1によると、情報表示部6に情報が表示されているときには、情報表示部6とその周囲の外装デザイン7との間をグラデーション状に表現し、情報表示部6と外装デザイン7との一体感を向上することで高い意匠性を実現することができる。また、情報表示部6に情報が表示されていないときには、その情報表示部6をデザイン層2により隠蔽することができる。
【0060】
(変形例)
図7および図8に本実施の形態の変形例を示す。熱源層31は、2つの温度変化部19
および2つの温度徐変部20を有する。このため、デザイン層21には、2つの情報表示部16、および2つの加飾グラデーション部17が形成される。なお、温度変化部19および温度徐変部20は、任意の形状、大きさ、位置、個数で設けられていてもよい。各温度変化部19の外周に温度徐変部20を設けることにより、デザイン層21の情報表示部16の外周に加飾グラデーション部17が形成されている。
【0061】
このとき、温度変化制御装置を設けることにより、各温度変化部19を個別に加熱することができる。このようにすることで、デザイン層21の加熱された温度変化部19の分布に連動した位置に情報表示部16が形成され、デザイン層21の加熱されていない温度変化部19に連動した位置では、情報表示部16が隠蔽されて外装デザイン7が表示される。
【0062】
温度変化制御装置は、接触式または非接触式のもの、たとえば、透明のフィルムヒーターまたは近赤外シート等を採用することができる。温度変化制御装置は、各温度変化部19を制御して個別に温度変化を発生させるものである。各情報表示部16の分布と表示ユニット4で表示する情報のレイアウトを連動させることで、任意の箇所に複数の情報を表示することができる。このようにして、必要な箇所に必要な情報のみを表示することができ、情報表示部16の外周のグラデーション効果と複合して表現することでさらに高級感を得ることができる。さらに、安全性を向上させることもできる。
【0063】
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2にかかる表示装置について説明する。なお、実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0064】
図9は、本開示の表示装置1aの断面図である。
【0065】
実施の形態2の表示装置1aは、デザイン層22に天然素材シート12と透過光調整層14とを有する点で、実施の形態1と異なっている。
【0066】
図9に示すように、本実施の形態では、デザイン層22は、天然素材シート12、透明ベース層13、および透過光調整層14を備える。
【0067】
デザイン層22は、樹脂またはガラスからなる透明ベース層13の上面に、天然素材シート12が設けられて形成されている。
【0068】
天然素材シート12は、天然素材の木材、石材、コルク、布、紙(和紙)、または革のいずれか1つ以上を含む材料で形成されている。熱源層3に温度変化が発生しないときは天然素材由来の色味や外観を視認することができる。なお、本実施の形態において、天然素材シートが本開示の「天然素材層」に相当する。
【0069】
透明ベース層13は、表示ユニット4からの光を透過して天然素材シート12に情報表示部を形成するためのものである。
【0070】
透過光調整層14は、デザイン層22の熱源層3と対向する面に設けられており、光透過性または光拡散性を調整する。すなわち、透過光調整層14は、表示ユニット4からの光量または光の拡散を調整する。
【0071】
なお、天然素材シート12は透明ベース層13の下面に配置されていてもよい。また、透過光調整層14は天然素材シート12の下面に配置されていてもよい。また、透過光調整層14は設けられていなくてもよい。
【0072】
天然素材には分子量が100以上50000以下の有機樹脂が含浸されていてもよい。たとえば、天然素材シート12が木材を含むときに、天然素材シート12に分子量100以上50000以下である有機樹脂を含浸してもよい。また、たとえば、天然素材シート12が木材、コルク、または革を含み、含浸が困難な素材である場合には、天然素材シート12の一部の成分を除去して脱色状態としてもよい。脱色処理を施した後に着色顔料や染料で加飾を行うことで、有機樹脂を含浸させることができる。また、たとえば、天然素材シート12が木材を含むとき、着色顔料、染料、難燃剤または蛍光塗料等を天然素材シート12の内部または表面に添加してもよい。
【0073】
本開示の表示装置1aによれば、天然素材由来の外観を付与することができる。また、天然素材シート12に有機樹脂を含浸させることにより、天然素材シート12の光透過率を高めたり、天然素材シート12に撥水性または親水性を付与したりすることができる。また、着色顔料、染料、難燃剤または蛍光塗料等を添加したりすることにより、難燃性を向上させたり、蛍光色または原色等の天然素材にはない新たな外観を付与することができたり、凹凸、色、または柄等をより天然素材に近づけたりすることができる。このように、新たな機能を付与することもできる。また、透過光調整層14を設けることにより、表示ユニットからの光量および光の拡散を調整して、情報表示部6から発光される光の輝度や均一性を調整することができ、良好な外観や画質を得ることができる。
【0074】
(実施の形態3)
本開示の実施の形態3にかかる表示装置について説明する。なお、実施の形態3では、主に実施の形態2と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態2と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態2と重複する記載は省略する。
【0075】
図10は、本開示の表示装置1bの断面図である。
【0076】
実施の形態3の表示装置1bは、デザイン層23に操作制御装置15を有する点で、実施の形態2と異なっている。
【0077】
図10に示すように、デザイン層23に、静電容量等を利用した接触式、または、距離画像センサー等による非接触式の操作制御装置15が設けられている。本実施の形態では、デザイン層23の天然素材シート12と透明ベース層13との間に操作制御装置15が配置されている。操作制御装置15により、表示ユニット4を制御して利用者が外部から信号を入力することが可能となる。
【0078】
なお、図11に示す表示装置1cのように、デザイン層24の透過光調整層14の熱源層3側の面に操作制御装置15が配置されていてもよい。
【0079】
なお、表示装置1b、1cにおいて、接触式の操作制御装置(本開示の「第1操作制御装置」に相当する)および非接触式の操作制御装置(本開示の「第2操作制御装置」に相当する)の両方をともに備えることもできる。接触式の操作制御装置および非接触式の操作制御装置のそれぞれに、表示ユニット4に対する操作の制御を割り当てて、利用者の使用内容に応じた制御を行うことができる。
【0080】
本開示の表示装置1b、1cによれば、操作制御装置15を設けることで、たとえば、情報表示部の表面に直接触れて、「輝度の調整」や「音量の調整」等のボリューム制御をすることが可能となる。すなわち、操作制御装置15により、表示ユニット4の制御をすることができる。また、使用用途に応じて、利用者の指の接触により任意に情報表示部を移動、拡大/縮小、増加/削減等したり、熱源層3の温度変化部の大きさや位置を制御することで情報表示部の大きさや位置等を変更したりすることができる。
【0081】
なお、上述した各実施の形態では、デザイン層2の光透過率の変化は、温度が低から高へ変化するにつれて、光透過率が小から大となるようにしたが、温度が高から低へ変化するにつれて、光透過率が小から大となるようにしてもよい。このような構成であっても、上述した表示装置の効果を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示は各種の家庭電化製品などの外装や、車載内装等の高級デザイン化に寄与する。
【符号の説明】
【0083】
1、1a~1c 表示装置
2、21~24 デザイン層
3、31 熱源層
4 表示ユニット
5 本体ケース
6、16 情報表示部
8 外周部
9、19 温度変化部
10、20 温度徐変部
11、17 加飾グラデーション部
12 天然素材シート(天然素材層)
14 透過光調整層
15 操作制御装置
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13