(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】リペア溶接システム
(51)【国際特許分類】
B23K 9/10 20060101AFI20230825BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20230825BHJP
B23K 31/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B23K9/10 Z
B23K9/095 510D
B23K31/00 A
B23K31/00 D
B23K31/00 K
(21)【出願番号】P 2021526167
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 JP2020023284
(87)【国際公開番号】W WO2020251036
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2019111616
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019111617
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019111618
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】小松 嵩宙
(72)【発明者】
【氏名】毛利 年成
(72)【発明者】
【氏名】花田 和紀
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-247663(JP,A)
【文献】特開2000-167686(JP,A)
【文献】特開2013-226602(JP,A)
【文献】特開平6-278063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00、9/007 - 9/13、
9/04、9/14 - 10/02
B23K 31/00
B25J 9/10
G05B 19/18 - 19/416、
19/42 - 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項18】
前記統括制御装置は、
取得された前記検査ロボットの座標系上の任意の位置情報を前記検査における前記ワークの座標系上の対応する位置情報に変換する第2変換行列を有し、前記検査座標系不良位置情報を、前記第2変換行列を用いて、前記溶接座標系不良位置情報を作成し、
変換された前記検査における前記ワークの任意の位置情報を前記リペア溶接における前記ワークの座標系上の対応する位置情報に変換する第3変換行列を有し、前記不良箇所の位置情報と前記第3変換行列とを用いて、前記リペア溶接における前記ワークの座標系に対応する前記不良箇所の位置情報に変換し、
変換された前記リペア溶接における前記ワークの座標系上の任意の位置情報を前記溶接ロボットの座標系上の対応する位置情報に変換する第4変換行列を有し、前記不良箇所の位置情報と前記第4変換行列とを用いて、前記溶接座標系不良位置情報に変換して、前記溶接装置に送信する、
請求項17に記載のリペア溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リペア溶接システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像光学系を用いて被検査物の形状を検査する形状検査装置が開示されている。形状検査装置は、被検査物にスリット光を投射する投射手段と、スリット光の走査により被検査物上に順次形成される形状線を撮像する撮像手段と、各形状線の撮像データに基づいて、被検査物の三次元形状を点群データとして取得する点群データ取得手段と、点群データに基づいて表示された被検査物に、入力に応じて、スリット光の走査により形成された形状線とは異なる任意の切断線を設定する切断設定手段と、切断線に対応した点群データにより、切断線における被検査物の断面形状を算出する断面形状算出手段と、を備える。
【0003】
また、特許文献2には、複数のロボット機構部をそれぞれのロボット制御装置が制御し、前記各ロボット制御装置を通信路で接続しておきロボット機構部を同期又は協調させて動作させることで所望の作業を行う複数ロボットの同期又は協調動作制御装置が開示されている。複数ロボットの同期又は協調動作制御装置は、通信路で接続されたロボット制御装置の中の少なくとも1台をマスタロボット制御装置とし、通信路にて接続された他のロボット制御装置の内の一部をスレーブロボット制御装置とし、マスタロボット制御装置からスレーブロボット制御装置へ、通信路によってロボットの位置に関連したデータの送信を、マスタロボットプログラムの教示点又は補間点に対応して行い、データを用いてスレーブロボット制御装置が、スレーブロボット制御装置が制御するロボット機構部を、マスタロボット制御装置が制御するロボット機構部に同期又は協調させて動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2012-37487号公報
【文献】日本国特開2011-150372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、溶接装置が検査ロボット座標系での位置情報を用いなくてもリペア溶接を実行できるリペア溶接システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、検査ロボットと接続され、ワークの溶接箇所を検査する検査装置と、溶接ロボットと接続され、前記検査装置の検査結果に基づいて前記ワークのリペア溶接の実行を指示する溶接装置とを含み、前記検査装置は、前記溶接箇所に判定基準を満たさない不良箇所があるか否かを判定し、前記溶接箇所に不良箇所がある場合に、少なくとも、前記不良箇所の不良種別情報と、前記不良箇所の前記検査ロボットの座標系に基づいた位置情報である検査座標系不良位置情報と、を抽出し、少なくとも、前記検査座標系不良位置情報を、溶接ロボットの座標系に対応する位置情報に変換し、溶接座標系不良位置情報を作成し、少なくとも、前記不良種別情報と、前記溶接座標系不良位置情報と、を前記溶接ロボットと接続された溶接装置に送信し、前記溶接装置は、少なくとも前記不良種別情報と前記溶接座標系不良位置情報とに基づいて、前記不良箇所のリペア溶接の実行を指示する、リペア溶接システムを提供する。
【0007】
また、本開示は、検査ロボットと接続され、ワークの溶接箇所を検査する検査装置と、溶接ロボットと接続され、前記検査装置の検査結果に基づいて前記ワークのリペア溶接の実行を指示する溶接装置とを含み、前記検査装置は、前記溶接箇所に判定基準を満たさない不良箇所があるか否かを判定し、前記溶接箇所に不良箇所がある場合に、少なくとも、不良箇所の不良種別情報と、前記不良箇所の前記検査ロボットの座標系に基づいた位置情報である検査座標系不良位置情報と、を前記溶接装置へ送信し、前記溶接装置は、少なくとも、前記検査座標系不良位置情報を、前記溶接ロボットの座標系に対応する位置情報に変換し、溶接座標系不良位置情報を作成し、少なくとも、前記不良種別情報と、前記溶接座標系不良位置情報と、に基づいて、前記不良箇所のリペア溶接の実行を指示する、リペア溶接システムを提供する。
【0008】
また、本開示は、検査ロボットと接続され、ワークの溶接箇所を検査する検査装置と、溶接ロボットと接続され、前記検査装置の検査結果に基づいて前記ワークのリペア溶接の実行を指示する溶接装置と、前記検査装置および前記溶接装置と接続され、前記検査装置の検査結果を取得して前記溶接装置に通知する統括制御装置とを含み、前記検査装置は、前記溶接箇所に判定基準を満たさない不良箇所があるか否かを判定し、前記溶接箇所に不良箇所がある場合に、少なくとも、不良箇所の不良種別情報と、前記不良箇所の前記検査ロボットの座標系に基づいた位置情報である検査座標系不良位置情報と、を前記溶接装置へ送信し、前記統括制御装置は、少なくとも、前記検査座標系不良位置情報を、前記溶接ロボットの座標系に対応する位置情報に変換し、溶接座標系不良位置情報を作成し、少なくとも、前記不良種別情報と、前記溶接座標系不良位置情報と、を前記溶接装置に送信し、前記溶接装置は、少なくとも前記不良種別情報と前記溶接座標系不良位置情報とに基づいて、前記不良箇所のリペア溶接の実行を指示する、リペア溶接システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、溶接装置が検査ロボット座標系での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る溶接システムのユースケース例を示す概略図
【
図2】検査ロボットおよびリペア溶接ロボットのユースケース例を示す概略図
【
図3】実施の形態1に係るリペア溶接ロボットにおける溶接システムの内部構成例を示す図
【
図4】実施の形態1に係る検査ロボットにおける溶接システムの内部構成例を示す図
【
図5】実施の形態1に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図6A】実施の形態1に係る検査制御装置および検査装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図6B】実施の形態1に係るリペア制御装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図7】実施の形態1の変形例1に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図8】異なるセルに設置された検査ロボットおよびリペア溶接ロボットのユースケース例
【
図10A】ポジショナにおける複数の基準点のそれぞれの座標の設定例
【
図10B】ポジショナにおける座標系の設定例を示す図
【
図11A】実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置および検査装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図11B】実施の形態1の変形例1に係るリペア制御装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図12】実施の形態2に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図13A】実施の形態2に係る検査制御装置および検査装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図13B】実施の形態2に係るリペア制御装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図14】実施の形態3に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図15A】実施の形態3に係る検査制御装置および検査装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図15B】実施の形態3に係る上位装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図15C】実施の形態3に係るリペア制御装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図16】実施の形態3の変形例1に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図17A】実施の形態3の変形例1に係る検査制御装置および検査装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図17B】実施の形態3の変形例1に係る上位装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図18】実施の形態3の変形例2に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図19A】実施の形態3の変形例2に係る上位装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図19B】実施の形態3の変形例2に係るリペア制御装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図20】実施の形態3の変形例3に係る溶接システムの内部構成例を示す図
【
図21A】実施の形態3の変形例3に係る検査制御装置および検査装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図21B】実施の形態3の変形例3に係る上位装置の動作手順例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1の内容に至る経緯)
特許文献1には、撮像光学系を用いて被検査物(溶接箇所)の形状を検査する形状検査装置が開示されている。この形状検査装置は、被検査物(溶接箇所)にスリット光を投射して形成された形状線を撮像し、各形状線の撮像データに基づいて、被検査物(溶接箇所)の三次元形状を点群データとして取得し、入力に応じて形状線とは異なる任意の切断線を設定して切断線における被検査物(溶接箇所)の断面形状を算出する。これにより、形状検査装置は、任意の断面線における断面形状を検査できる。一方、近年、このような被検査物(溶接箇所)の検査において、検査の自動化が求められている。しかし、特許文献1に係る形状検査措置は、被検査物(溶接箇所)の点群データに対して、ユーザが任意の断面線を入力することで断面形状の検査を実行しなければならず、検査を自動化することはできなかった。
【0012】
また、特許文献2には、複数のロボット機構部のそれぞれを制御する複数のロボット制御装置のそれぞれが通信路で接続され、複数のロボット機構部のそれぞれを同期または協調させて動作させる複数ロボットの同期または協調動作制御装置が開示されている。この複数ロボットの同期または協調動作制御装置は、複数のロボット制御装置のそれぞれの中の少なくとも1台をマスタロボット制御装置とし、他の複数のロボット制御装置のそれぞれの内の一部をスレーブロボット制御装置として、マスタロボット制御装置からスレーブロボット制御装置へ、マスタロボットプログラムの教示点または補間点に対応したロボットの位置に関連したデータの送信を行う。これにより、複数ロボットの同期または協調動作制御装置は、スレーブロボット制御装置が制御するロボット機構部を、マスタロボット制御装置が制御するロボット機構部に同期または協調させて動作させることができる。
【0013】
一方、溶接システムにおいて、検査の実行からリペア溶接の実行までを自動化する場合には、検査を実行するための検査ロボットとリペア溶接を実行するためのリペア溶接ロボットとが異なる場合がある。このような場合、リペア溶接ロボットは、検査ロボットを制御する検査装置から受信される被検査物(溶接箇所)の異常箇所(例えば、検査時に所定の品質水準に満たないと判定された箇所)およびその位置とリペア溶接ロボットに設定された座標系の位置とが一致せず、リペア溶接位置がずれる可能性があった。
【0014】
そこで、以下の各種の実施の形態においては、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、溶接装置が検査座標系での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できるリペア溶接システムの例を説明する。
【0015】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るリペア溶接システムの構成および作用を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る溶接システム1000のユースケース例を示す概略図である。実施の形態1に係る溶接システム1000は、ユーザによる入力あるいは予め設定された溶接に関する情報に基づいて、ワークWk1に対して溶接された溶接箇所の検査および溶接箇所のうち不良と判定された不良箇所の修正溶接(以下、リペア溶接と表記)を実行するシステムである。なお、以下で説明する溶接箇所および不良箇所は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0017】
リペア溶接システムの一例としての溶接システム1000は、モニタMN1と、インターフェースUI1と、上位装置1と、外部ストレージSTと、リペア制御装置2と、検査装置3と、検査制御装置5と、本溶接ロボットMC1と、検査ロボットMC2と、リペア溶接ロボットMC3と、を含んで構成される。なお、
図1に示す本溶接ロボットMC1は、リペア溶接ロボットMC3と別のロボットとして示されているが、実施の形態1に係る溶接システム1000が既に溶接されたワークWk1に対して検査およびリペア溶接を実行する場合には必須の構成でなく、省略されてもよい。
【0018】
さらに、本溶接ロボットMC1は、リペア溶接ロボットMC3あるいは検査ロボットMC2のそれぞれと一体であってもよい。例えば、リペア溶接ロボットMC3は、ワークWk1を溶接する本溶接と、本溶接によって溶接された溶接箇所のうち不良箇所を修正するリペア溶接とを、同一のロボットで実行してもよい。また、例えば、リペア溶接ロボットMC3は、ワークWk1を溶接する本溶接と、本溶接によって溶接された溶接箇所のうち不良箇所があるか否かの検査とを、同一のロボットで実行してもよい。
【0019】
また、
図1に示す溶接システム1000は、本溶接ロボットMC1、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれの台数は、
図1に示す台数に限定されない。例えば、本溶接ロボットMC1、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれの台数は、複数台であってもよく、また同じ台数でなくてよい。例えば、溶接システム1000は、本溶接ロボットMC1を1台、検査ロボットMC2を3台、リペア溶接ロボットMC3を2台含んで構成されてよい。これにより、溶接システム1000は、各ロボットの処理範囲あるいは処理速度などに必要に応じて適応的に構成可能である。
【0020】
統括制御装置の一例としての上位装置1は、モニタMN1と、インターフェースUI1と、外部ストレージSTと、リペア制御装置2と、検査制御装置5との間で通信可能に接続される。また、
図1に示す上位装置1は、検査制御装置5を介して検査装置3と接続されるが、検査制御装置5を介さず、直接通信可能に接続されてもよい。
【0021】
なお、上位装置1は、モニタMN1およびインターフェースUI1を含んで一体に構成される端末装置P1であってもよく、さらに外部ストレージSTを含んで一体に構成されてもよい。この場合、端末装置P1は、例えば溶接を実行するにあたってユーザ(作業者)によって使用されるPC(Personal Computer)である。なお、端末装置P1は、上述したPCに限らず、例えばスマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistat)などの通信機能を有するコンピュータであってよい。
【0022】
上位装置1は、ユーザ(作業者)による入力操作あるいはユーザ(作業者)によって予め設定された溶接条件に基づいて、ワークWk1に対する本溶接、溶接箇所の検査および不良箇所のリペア溶接を実行するための制御信号のそれぞれを生成する。上位装置1は、生成されたワークWk1に対する本溶接を実行するための制御信号および不良箇所のリペア溶接を実行するための制御信号をリペア制御装置2に送信する。また、上位装置1は、本溶接によって溶接された溶接箇所の検査を実行するための制御信号を検査制御装置5に送信する。
【0023】
上位装置1は、検査制御装置5を介して検査装置3から受信された溶接箇所の検査結果を収集する。上位装置1は、受信された検査結果を外部ストレージSTおよびモニタMN1に送信する。なお、
図1に示す検査装置3は、検査制御装置5を介して上位装置1と接続されるが、直接的に通信可能に接続されてもよい。
【0024】
モニタMN1は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)などのディスプレイを用いて構成される。モニタMN1は、検査装置3から受信された溶接箇所の検査結果およびアラートを表示する。また、モニタMN1は、例えばスピーカ(不図示)を用いて構成されてよく、アラートを受信した際に音声によるアラートの通知を行ってもよい。
【0025】
インターフェースUI1は、ユーザ(作業者)の入力操作を検出するユーザインターフェース(UI:User Interface)であり、マウス、キーボードまたはタッチパネルなどを用いて構成される。インターフェースUI1は、ユーザの入力操作に基づく入力操作を上位装置1に送信する。インターフェースUI1は、例えば溶接線の入力、溶接線ごとの検査条件の設定、溶接システム1000の動作開始あるいは動作終了の操作などを受け付ける。
【0026】
外部ストレージSTは、例えばハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)を用いて構成される。外部ストレージSTは、上位装置1から受信された溶接箇所の検査結果を記憶する。
【0027】
溶接装置の一例としてのリペア制御装置2は、上位装置1、本溶接ロボットMC1およびリペア溶接ロボットMC3との間で通信可能に接続される。リペア制御装置2は、上位装置1から受信された本溶接に関する制御情報を受信し、受信された制御情報に基づいて本溶接ロボットMC1を制御し、ワークWk1に対する本溶接を実行させる。
【0028】
また、リペア制御装置2は、上位装置1から受信されたリペア溶接条件に応じた制御情報を受信し、受信された制御情報に基づいてリペア溶接ロボットMC3を制御し、溶接箇所のうち検査装置3によって不良と判定された不良箇所に対して、リペア溶接を実行させる。
【0029】
なお、
図1に示すリペア制御装置2は、本溶接ロボットMC1およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれを制御する。しかし、実施の形態1に係る溶接システム1000は、これに限らず、例えば本溶接ロボットMC1およびリペア溶接ロボットMC3のそれぞれを異なる制御装置を用いて制御してもよい。さらに、実施の形態1に係る溶接システム1000は、1つの制御装置で本溶接ロボットMC1と、検査ロボットMC2と、リペア溶接ロボットMC3と、を制御してもよい。
【0030】
検査制御装置5は、上位装置1、検査装置3および検査ロボットMC2との間で通信可能に接続される。検査制御装置5は、上位装置1から受信された溶接箇所ごとの溶接条件(例えば、溶接箇所の位置情報など)を受信する。なお、溶接箇所は、ワークWk1に対する溶接箇所(つまり、本溶接により溶接された箇所)とリペア溶接によって修正溶接された溶接箇所とを含む。検査制御装置5は、受信された溶接箇所ごとの溶接条件に基づいて検査ロボットMC2を制御し、溶接箇所の溶接ビードの形状を検出させる。また、検査制御装置5は、受信された溶接箇所に関する情報を溶接箇所の形状を検査する検査装置3に送信する。検査制御装置5は、検査装置3から受信された検査結果を上位装置1に送信する。
【0031】
検査装置3は、検査制御装置5および検査ロボットMC2との間で通信可能に接続される。検査装置3は、検査制御装置5から受信された溶接箇所に関する情報と、形状検出部500によって取得された溶接箇所の溶接ビードの形状データとに基づいて、溶接箇所に対する不良箇所の有無を検査(判定)する。検査装置3は、溶接箇所のうち不良であると判定された不良箇所に関する情報(例えば、不良区間、不良区間の位置情報、不良種別の一例としての不良要因など)を検査結果として検査制御装置5に送信する。なお、検査装置3は、直接上位装置1と通信可能に接続されてもよい。この場合、検査装置3は、検査制御装置5を介さず、検査結果を上位装置1に送信可能でもよい。
【0032】
本溶接ロボットMC1は、リペア制御装置2との間で通信可能に接続され、溶接処理されていないワークに溶接(本溶接)を実行するロボットである。本溶接ロボットMC1は、リペア制御装置2から受信された制御信号に基づいて、ワークWk1に対して本溶接を実行する。
【0033】
検査ロボットMC2は、検査制御装置5および検査装置3との間で通信可能に接続される。検査ロボットMC2は、検査制御装置5から受信された制御信号に基づいて、溶接箇所の溶接ビードの形状データを取得する。
【0034】
溶接ロボットの一例としてのリペア溶接ロボットMC3は、リペア制御装置2との間で通信可能に接続される。リペア溶接ロボットMC3は、リペア制御装置2から受信された溶接箇所の検査結果(つまり、不良箇所に関する情報)に基づいて、不良箇所に対してリペア溶接を実行する。
【0035】
図2は、検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のユースケース例を示す概略図である。なお、
図2に示す溶接ロボットは、本溶接ロボットMC1およびリペア溶接ロボットMC3が一体となったロボット、あるいはリペア溶接ロボットMC3そのものであってよいが、以下の説明においてはリペア溶接ロボットMC3として説明する。また、
図2に示す検査制御装置5は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2に基づく制御を実行する。一方で、リペア制御装置2は、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく制御を実行する。
【0036】
検査ロボットMC2は、検査制御装置5から受信された制御信号に基づいて、溶接箇所の溶接ビードの形状を検出し、検出結果に基づいて溶接ビードごとの形状データを取得する。検査ロボットMC2は、取得された溶接ビードごとの形状データを検査装置3に送信する。検査ロボットMC2は、マニピュレータ200bと、形状検出部500と、を含んで構成される。
【0037】
マニピュレータ200bは、所謂ロボットアームであり、多関節軸を有するロボットである。マニピュレータ200bは、検査制御装置5から受信された制御信号に基づいて、形状検出部500の位置を制御する。
【0038】
形状検出部500は、例えば3次元形状計測センサであり、検査制御装置5から受信された溶接箇所の位置情報に基づいて、ワークWk1上の溶接箇所を走査可能に構成されたレーザ光源(不図示)と、溶接箇所の周辺を含む撮像領域を撮像可能に配置され、溶接箇所に照射されたレーザ光のうち反射されたレーザ光の反射軌跡(つまり、溶接箇所の形状線)を撮像するカメラ(不図示)とによって構成される。形状検出部500は、カメラによって撮像されたレーザ光に基づく溶接箇所の形状データ(画像データ)を検査装置3に送信する。
【0039】
なお、上述したカメラ(不図示)は、少なくともレンズ(不図示)とイメージセンサ(不図示)とを有して構成される。イメージセンサは、例えばCCD(Charged-Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)の固体撮像素子であり、撮像面に結像した光学像を電気信号に変換する。
【0040】
リペア溶接ロボットMC3は、リペア制御装置2から受信された溶接箇所の検査結果(つまり、不良箇所に関する情報)に基づいて、不良箇所に対するリペア溶接を実行する。リペア溶接ロボットMC3は、マニピュレータ200aと、ワイヤ送給装置300と、溶接ワイヤ301と、溶接トーチ400と、を含んで構成される。
【0041】
マニピュレータ200aは、リペア制御装置2から受信されたリペア溶接に関する制御信号に基づいて、溶接トーチ400の位置および角度を制御する。
【0042】
ワイヤ送給装置300は、リペア制御装置2から受信された制御信号に基づいて、溶接ワイヤ301の送給速度を制御する。なお、ワイヤ送給装置300は、溶接ワイヤ301の残量を検出可能なセンサを備えていてもよい。
【0043】
溶接ワイヤ301は、ワイヤ送給装置300によってリペア溶接箇所に向かって送給される。溶接ワイヤ301は、溶接トーチ400を介して溶接電源装置4から供給される電力によって、溶接ワイヤ301の先端とワークWk1との間に発生したアーク熱によって溶解し、溶接箇所を接合する。
【0044】
溶接トーチ400は、溶接ワイヤ301を保持し、溶接電源装置4(
図3参照)から電力を供給される。また、溶接トーチ400は、マニピュレータ200aによって溶接箇所を溶接可能に移動される。
【0045】
図3は、実施の形態1に係るリペア溶接ロボットMC3における溶接システム1000の内部構成例を示す図である。リペア溶接ロボットMC3は、リペア制御装置2の制御信号に基づいて、不良箇所に対するリペア溶接を実行する。なお、
図3では、説明をわかりやすくするためにモニタMN1、インターフェースUI1、外部ストレージSTを省略して説明する。
【0046】
上位装置1は、ユーザ(作業者)による入力操作あるいはユーザ(作業者)によって予め設定された情報に基づいて、リペア溶接を実行するための制御信号を生成し、生成された制御信号をリペア制御装置2に送信する。上位装置1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12と、を含んで構成される。
【0047】
通信部10は、リペア制御装置2との間で通信可能に接続される。通信部10は、リペア溶接を実行させるための制御信号をリペア制御装置2に送信する。なお、ここでいうリペア溶接を実行させるための制御信号は、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4のそれぞれを制御するための制御信号を含む。
【0048】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されて、メモリ12と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ11は、メモリ12に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、セル制御部13の機能を実現する。
【0049】
セル制御部13は、インターフェースUI1を用いたユーザ(作業者)による入力操作と、ユーザ(作業者)によって予め設定され、外部ストレージSTに記憶された情報とに基づいて、リペア溶接および溶接箇所の検査などの各制御装置による制御を実行可能にするための制御信号を生成する。セル制御部13によって生成された制御信号は、通信部10を介してリペア制御装置2に送信される。
【0050】
メモリ12は、例えばプロセッサ11の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、プロセッサ11の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、プロセッサ11により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ11の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0051】
メモリ12は、ユーザによって入力されたワークWk1ごとに付与された種別情報、ワークWk1ごとに予め付与されたワークS/N(Serial Number)、ユーザによって設定され、溶接線ごとに付与された溶接線IDなどを記憶する。
【0052】
次に、リペア制御装置2について説明する。リペア制御装置2は、上位装置1から受信された制御信号に基づいてマニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4のそれぞれを制御する。リペア制御装置2は、通信部20と、プロセッサ21と、メモリ22と、プログラム記憶部23aと、プログラム呼出部23bと、プログラム編集部23cと、演算部24と、ロボット制御部26と、溶接電源制御部27と、を含んで構成される。
【0053】
通信部20は、上位装置1との間で通信可能に接続される。通信部20は、上位装置1からリペア溶接を実行させるための制御信号を受信する。また、通信部20は、上位装置1を介して、検査制御装置5から溶接箇所のうち検査の条件を満たさない不良箇所の位置情報および不良要因を受信する。
【0054】
プロセッサ21は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ22と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ21はメモリ22に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、プログラム記憶部23a、プログラム呼出部23b、プログラム編集部23c、演算部24、ロボット制御部26および溶接電源制御部27である。各部の機能は、例えば、予め記憶されたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムを編集して呼び出す機能、呼び出されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4のそれぞれを制御するための制御信号を生成する機能などである。
【0055】
なお、リペア溶接プログラムは、不良箇所ごとに設定されたリペア溶接条件(例えば、不良箇所の位置、リペア溶接方法など)に応じてリペア溶接を実行するためのプログラムであり、溶接電源装置4、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300、溶接トーチ400、形状検出部500、などを制御するための制御信号である。
【0056】
プログラム記憶部23aは、上位装置1から受信されたリペア溶接プログラムを記憶する。リペア溶接プログラムは、溶接箇所ごとに設定された溶接条件(例えば、溶接ビードの高さ、幅、形状など)に応じたリペア溶接を実行するためのプログラムである。リペア溶接プログラムは、プログラム記憶部23aに記憶され、プログラム呼出部23bによって参照され、プログラム編集部23cによって編集される。
【0057】
プログラム呼出部23bは、通信部20を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接箇所に応じたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムをプログラム記憶部23aから呼び出す。プログラム呼出部23bは、呼び出したリペア溶接プログラムをプログラム編集部23cに出力する。
【0058】
プログラム編集部23cは、通信部20を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接箇所に応じたリペア溶接を実行するためのリペア溶接プログラムを編集する。プログラム編集部23cは、プログラム呼出部23bによって呼び出されたリペア溶接プログラムを溶接箇所に応じて編集する。プログラム編集部23cは、編集後のリペア溶接プログラムを演算部24に出力するとともに、プログラム記憶部23aに記憶する。
【0059】
演算部24は、プログラム編集部23cから入力されたリペア溶接プログラムに基づいて、ロボット制御部26によって制御されるマニピュレータ200aおよびワイヤ送給装置300を制御するための演算を実行する。また、演算部24は、入力されたリペア溶接プログラムに基づいて、溶接電源装置4によって制御される溶接トーチ400に供給する電力および電力供給時間などの演算を実行する。演算部24は、演算結果をロボット制御部26および溶接電源制御部27に出力する。
【0060】
ロボット制御部26は、演算部24から入力されたリペア溶接プログラムおよび演算結果に基づいて、マニピュレータ200aおよびワイヤ送給装置300のそれぞれを駆動させるための制御信号を生成する。
【0061】
また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aおよび溶接トーチ400を用いて、マニピュレータ200aとワークWk1が設置されるワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の座標系(以下、リペア溶接座標系ΣW1と表記)に基づく制御信号を生成し、マニピュレータ200aに送信する。
【0062】
溶接電源制御部27は、演算部24から入力されたリペア溶接プログラムおよび演算結果に基づいて、溶接電源装置4を駆動させる。具体的には、溶接電源制御部27は、溶接トーチ400に供給する電力および電力供給時間を制御する。
【0063】
メモリ22は、例えばプロセッサ21の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ21の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ21により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ21の動作を規定するプログラムが書き込まれている。
【0064】
メモリ22は、上位装置1から受信されたワークWk1ごとに付与された種別情報、ワークWk1ごとに予め付与されたワークS/N、ユーザによって設定され、溶接線ごとに付与された溶接線IDなどを記憶する。また、メモリ22は、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1の情報を記憶する。
【0065】
溶接電源装置4は、リペア制御装置2から入力された制御信号に基づいて、溶接トーチ400に供給する電力および電力供給時間などを制御する。
【0066】
図4は、実施の形態1に係る検査ロボットMC2おける溶接システム1000の内部構成例を示す図である。検査ロボットMC2は、検査制御装置5の制御信号に基づいて制御され、溶接箇所の検査を実行する。なお、
図4では、説明をわかりやすくするためにモニタMN1、インターフェースUI1、外部ストレージSTおよび溶接箇所の検査に関する構成を省略する。また、
図3の説明と同一の構成であって同一の機能を有する構成については、説明を簡略化または省略し、異なる内容について説明する。
【0067】
上位装置1は、ユーザ(作業者)による入力操作あるいはユーザ(作業者)によって予め設定された情報に基づいて、溶接箇所に対する検査を実行するための制御信号を生成し、生成された制御信号を検査制御装置5に送信する。上位装置1は、通信部10と、プロセッサ11と、メモリ12と、を含んで構成される。
【0068】
検査ロボットMC2の制御において、通信部10は、検査制御装置5との間で通信可能に接続される。なお、通信部10は、検査装置3との間で通信可能に接続されてよい。通信部10は、溶接箇所の検査を実行させるための制御信号を検査制御装置5に送信する。ここで溶接箇所の検査を実行させるための制御信号は、マニピュレータ200b、形状検出部500および検査装置3のそれぞれを制御するための信号である。また、通信部10は、検査制御装置5における通信部50を介して、検査装置3から溶接箇所の検査結果に関する情報を受信する。受信された検査結果は、通信部10からモニタMN1に送信され、表示される。
【0069】
検査ロボットMC2の制御において、セル制御部13は、インターフェースUI1を用いたユーザ(作業者)による入力操作、あるいはユーザ(作業者)によって予め設定され、外部ストレージSTに記憶された情報に基づいて、溶接箇所に対する検査を実行するための制御信号を生成する。セル制御部13は、生成された制御信号を検査制御装置5に送信する。
【0070】
検査ロボットMC2の制御において、メモリ12は、検査装置3によって生成された溶接箇所の検査結果に関する情報を記憶してよい。
【0071】
次に、検査制御装置5について説明する。検査制御装置5は、上位装置1から受信された制御信号に基づいて、マニピュレータ200bを制御する。検査制御装置5は、通信部50と、プロセッサ51と、メモリ52と、プログラム記憶部53aと、プログラム呼出部53bと、プログラム編集部53cと、演算部54と、検査装置制御部55と、ロボット制御部56と、変換部5dと、を含んで構成される。
【0072】
通信部50は、上位装置1および検査装置3との間で通信可能に接続される。通信部50は、上位装置1から溶接箇所の検査を実行させるための制御信号を受信する。通信部50は、プロセッサ51の各部によって生成された溶接箇所に応じた検査に関する制御信号を検査装置3に送信する。また、通信部50は、検査装置3から受信された溶接箇所の検査結果(例えば、不良箇所の位置情報、不良要因など)を上位装置1に送信する。
【0073】
プロセッサ51は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ52と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ51はメモリ52に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、プログラム記憶部53a、プログラム呼出部53b、プログラム編集部53c、演算部54、ロボット制御部56および変換部5dを含む。各部の機能は、例えば、溶接箇所に対する検査を実行するための検査プログラムを編集して呼び出す機能、呼び出された検査プログラムに基づいて、マニピュレータ200bを制御するための制御信号を生成する機能などである。
【0074】
なお、検査プログラムは、溶接箇所ごとの検査を実行するためのプログラムであり、検査装置3、マニピュレータ200bおよび形状検出部500などを制御するための制御信号である。
【0075】
プログラム記憶部53aは、上位装置1から受信された検査プログラムを記憶する。検査プログラムは、溶接箇所ごとに設定された検査条件(例えば、溶接ビードの高さ、幅、形状など)に応じた検査を実行するためのプログラムである。検査プログラムは、プログラム記憶部53aに記憶され、プログラム呼出部53bによって参照され、プログラム編集部53cによって編集される。また、検査プログラムは、本溶接後の検査を実行するための検査条件に応じて生成された検査プログラムと、リペア溶接後の検査を実行するための検査条件に応じて生成された検査プログラムとが、異なる検査プログラムとして記憶されていてもよい。
【0076】
プログラム呼出部53bは、通信部50を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接箇所に応じた検査を実行するための検査プログラムをプログラム記憶部53aから呼び出す。プログラム呼出部53bは、呼び出した検査プログラムをプログラム編集部53cに出力する。
【0077】
プログラム編集部53cは、通信部50を介して上位装置1から受信された制御信号に基づいて、溶接箇所に応じた検査を実行するための検査プログラムを編集する。プログラム編集部53cは、プログラム呼出部53bによって呼び出された検査プログラムを溶接箇所に応じて編集する。プログラム編集部53cは、編集後の検査プログラムを演算部54に出力する。
【0078】
演算部54は、検査装置制御部55によって制御される検査装置3および形状検出部500のそれぞれを制御するための演算を実行する。また、演算部54は、プログラム編集部53cから入力された検査プログラムに基づいて、ロボット制御部56によって制御されるマニピュレータ200bを制御するための演算を実行する。演算部54は、演算結果含む検査プログラムを検査装置制御部55におよびロボット制御部56に出力する。
【0079】
検査装置制御部55は、演算部54から入力された検査プログラムに基づいて、溶接箇所の検査を実行するために必要な溶接箇所ごとの位置情報および検査条件などの情報を検査装置3に送信する。なお、検査条件は、本溶接後の検査条件とリペア溶接後の検査条件とが異なる検査条件であってよい。
【0080】
ロボット制御部56は、演算部54から入力された検査プログラムに基づいて、マニピュレータ200bを駆動させるための制御信号を生成する。
【0081】
また、ロボット制御部56は、マニピュレータ200bおよび形状検出部500を用いて、マニピュレータ200bとワークWk1が設置されるワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の座標系(以下、検査座標系ΣW2と表記)に基づく制御信号を生成し、マニピュレータ200bに送信する。
【0082】
メモリ52は、例えばプロセッサ51の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ51の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ51により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ51の動作を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ52は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2の情報を記憶する。
【0083】
変換部5dは、ロボットごとに予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1と検査座標系ΣW2とに基づいて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。変換部5dは、変換行列記憶部58と、座標変換部59と、を含んで構成される。
【0084】
変換行列記憶部58は、検査装置3によって取得された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報(座標情報)に変換するための変換行列を導出して、記憶する。具体的には、変換行列記憶部58は、同一ワークWk1に対して異なる3点のそれぞれの位置にリペア溶接ロボットMC3が保持する溶接トーチ400および検査ロボットMC2が保持する形状検出部500を位置した状態で、リペア溶接座標系ΣW1と検査座標系ΣW2とによって得られるそれぞれの座標系に基づく位置情報(座標情報)に基づいて、変換行列を導出する。記憶された変換行列は、座標変換部59によって参照される。なお、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報は、検査座標系不良位置情報の一例である。また、リペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報は、溶接座標系不良位置情報の一例である。
【0085】
座標変換部59は、変換行列記憶部58に記憶された変換行列を参照して、検査装置3によって取得された不良箇所の位置情報(座標情報)をリペア溶接ロボットMC3がリペア溶接可能なリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報(座標情報)に変換する。座標変換部59は、変換された不良箇所の位置情報(座標情報)を不良箇所に関する他の情報(例えば、不良要因など)と関連付け、上位装置1を介してリペア制御装置2に送信する。
【0086】
次に、検査装置3について説明する。検査装置3は、形状検出部500によって取得された溶接箇所ごとの溶接ビードの形状データに基づいて、溶接箇所に不良があるか否かを検査(判定)する。検査装置3は、通信部30と、プロセッサ31と、メモリ32と、形状検出制御部34と、データ処理部35と、判定閾値記憶部36と、判定部37と、を含んで構成される。
【0087】
通信部30は、検査制御装置5との間で通信可能に接続される。通信部50は、検査制御装置5から溶接箇所の検査を実行するために必要な位置情報および検査条件などの情報を受信する。また、通信部30は、溶接箇所の検査結果を検査制御装置5の通信部50を介して、上位装置1に送信する。
【0088】
プロセッサ31は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成されて、メモリ32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、プロセッサ31はメモリ32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。各部は、形状検出制御部34、データ処理部35、判定閾値記憶部36および判定部37を含む。各部の機能は、例えば、検査制御装置5から受信された溶接箇所に応じた検査に関する制御信号に基づいて形状検出部500を制御する機能、形状検出部500から受信された溶接ビードの形状データに基づいて、画像データを生成する機能、および生成された画像データに基づいて、溶接箇所に対する検査を実行する機能などである。
【0089】
メモリ32は、例えばプロセッサ31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、プロセッサ31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、プロセッサ31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、プロセッサ31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。また、メモリ32は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2の情報を記憶する。
【0090】
形状検出制御部34は、形状検出部500から受信された溶接箇所における溶接ビードの形状データと、検査制御装置5から受信された溶接箇所に応じた検査に関する制御信号とに基づいて、形状検出部500を制御する。形状検出制御部34は、形状検出部500が溶接箇所を撮像可能(形状検出可能)な位置に位置すると、レーザ光線を照射させて溶接箇所における溶接ビードの形状データを取得させる。形状検出制御部34は、形状検出部500によって取得された形状データを受信し、この形状データをデータ処理部35に出力する。
【0091】
データ処理部35は、形状検出制御部34から入力された溶接箇所における溶接ビードの形状データを画像データに変換する。形状データは、例えば、溶接ビードの表面に照射されたレーザ光線の反射軌跡からなる形状線の点群データである。データ処理部35は、入力された形状データに対して統計処理を実行し、溶接箇所における溶接ビードの形状に関する画像データを生成する。なお、データ処理部35は、溶接ビードの位置および形状を強調するために、溶接ビードの周縁部分を強調したエッジ強調補正を行ってもよい。データ処理部35は、生成された画像データを判定部37に出力する。
【0092】
判定閾値記憶部36は、溶接箇所に応じて不良の判定(つまり、検査)を実行するために溶接箇所ごとに設定された検査条件を記憶する。検査条件は、各検査項目に対する閾値として記憶され、例えば溶接箇所の位置ずれに関する閾値、溶接ビードの高さに関する閾値、溶接ビードの幅に関する閾値などである。また、判定閾値記憶部36は、リペア溶接後の各閾値のそれぞれとして、顧客から要求される品質を満たす程度の許容範囲(例えば、溶接ビードの高さに関する最小許容値、最大許容値など)を記憶する。なお、これらの各閾値は、本溶接後の検査条件とリペア溶接後の検査条件とが異なる検査条件として設定されてよい。
【0093】
判定部37は、データ処理部35から入力された溶接箇所における溶接ビードの画像データと判定閾値記憶部36に記憶された検査条件とに基づいて、溶接箇所に不良箇所があるか否かを判定する。判定部37は、不良箇所があると判定された場合には、不良箇所の位置(不良箇所の開始位置と終了位置)を計測し、不良箇所を分析して不良種別の一例としての不良要因を推定する。判定部37は、計測された不良箇所の位置情報および推定された不良要因を溶接箇所に対する検査結果として生成し、生成された検査結果を検査制御装置5に送信する。
【0094】
また、判定部37は、同一のワークWk1に対する検査回数の上限値を記憶する。これにより、検査装置3は、リペア溶接によって不良箇所を修正する際に所定の回数を上回るものに関して、リペア溶接による不良箇所の修正が困難あるいは不可能と判定することができ、溶接システム1000の稼働率の低下を抑制することができる。判定部37は、同一のワークWk1に対する検査回数が、予め設定された検査回数の上限値を超えるとアラートを生成する。生成されたアラートは、検査制御装置5を介して上位装置1に送信される。上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に送信されて表示され、ユーザに通知される。
【0095】
なお、判定部37は、溶接箇所に不良箇所がないと判定した場合には、不良箇所がないことを通知するアラートを生成し、生成されたアラートを、検査制御装置5を介して、上位装置1に送信する。上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に送信されて表示される。
【0096】
図5は、実施の形態1に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。
図5に示す溶接システム1000は、検査装置3によって取得された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を、検査制御装置5の変換部5dによってリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する場合の内部構成例である。
図5に示すリペア制御装置2は、受信された変換後のリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に基づいて、リペア溶接を実行するための制御を行う。
【0097】
次に、
図6Aおよび
図6Bを参照して、溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図6Aは、実施の形態1に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートである。
図6Bは、実施の形態1に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートである。
【0098】
まず、検査制御装置5および検査装置3の動作手順例について説明する。
【0099】
検査装置3は、本溶接後のワークWk1に対して、上位装置1から受信された溶接箇所ごとに設定された検査条件に基づく外観検査を実行する(St1)。具体的には、検査装置3は、形状検出部500から受信された溶接ビードの形状データに基づく画像データと検査条件とに基づいて、溶接箇所に対する不良箇所の有無を検査(判定)する。
【0100】
検査装置3は、溶接箇所において検査条件を満たさない不良箇所(不合格箇所)があるか否かを判定する(St2)。
【0101】
検査装置3は、ステップSt2の処理における判定結果に基づいて、不良箇所(不合格箇所)がある場合(St2,YES)には、ワークWk1に対する現在の検査回数が、ユーザによって設定された検査回数の上限としての検査回数N回以下であるか否かを判定する(St3)。
【0102】
一方、検査装置3は、ステップSt2の処理における判定結果に基づいて、不良箇所(不合格箇所)がない場合(St2,NO)には、不良箇所がなくリペア溶接が不要である旨を通知するアラートを生成する。検査装置3は、生成されたアラートを、検査制御装置5を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される(St4)。検査装置3は、ステップSt4における処理に移行した場合、ワークWk1に対する検査を終了する。
【0103】
検査装置3は、ステップSt3の処理における判定結果に基づいて、ワークWk1に対する現在の検査回数がN回以下である場合(St3,YES)には、不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を検査制御装置5に送信する。検査制御装置5は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列Rを読み出す(St102a)。
【0104】
検査制御装置5は、読み出された変換行列Rを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St102b)。
【0105】
ここで、検査座標系ΣW2に基づく位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換する方法について説明する。(数式1)は、検査座標系ΣW2に基づく位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換するための行列式である。なお、座標W1は、リペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報(座標)を示す行列である。座標W2は、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報(座標)を示す行列である。変換行列Rは、検査座標系ΣW2に基づく位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換するための変換行列である。
【0106】
なお、この変換行列Rは、検査制御装置5において予め設定された検査座標系ΣW2とリペア制御装置2において予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1とに基づいて、導出された変換行列であり、検査座標系ΣW2に基づく位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換することができる。
【0107】
【0108】
一方、ステップSt3の処理における判定結果に基づいて、ワークWk1に対する現在の検査回数がN回以下でない場合(St3,NO)には、これ以上リペア溶接を実行しても不良箇所の修正が困難である旨を通知するアラートを生成する。検査装置3は、生成されたアラートを、検査制御装置5を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される(St4)。検査装置3は、ステップSt4における処理に移行した場合、ワークWk1に対する検査を終了する。
【0109】
検査制御装置5は、変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、上位装置1を介してリペア制御装置2に送信する(St5)。
【0110】
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000における検査制御装置5および検査装置3は、溶接箇所に対する検査を終了する。次に、リペア制御装置2の動作手順例について説明する。
【0111】
リペア制御装置2は、検査制御装置5によって変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St6)。
【0112】
リペア制御装置2は、受信された検査結果に基づいて、リペア溶接プログラムを呼び出して編集し、不良箇所に応じたリペア溶接プログラムを生成する(St7)。
【0113】
リペア制御装置2は、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4の制御を実行する(St8)。
【0114】
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、不良箇所に対するリペア溶接を終了する。溶接システム1000は、ステップSt8の処理を終了した後、ステップSt1の処理に移行し、再度検査装置3による溶接箇所の検査を実行する。なお、この際、検査装置3はリペア溶接された溶接箇所のみを検査してもよい。
【0115】
(実施の形態1の変形例1)
実施の形態1に係る溶接システム1000は、検査制御装置5によって検査座標系ΣW2における位置情報をリペア溶接座標系ΣW1における位置情報に変換する例を示した。実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000は、検査制御装置5だけでなく、リペア制御装置2においても同様に位置情報の変換を実行する例について説明する。このように検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)がある。
【0116】
図7は、実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態1に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有する。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0117】
上位装置1は、ワークWk2の位置情報とワークWk2の位置を固定する治具(不図示)の位置情報とがユーザによって予め設定される。上位装置1は、設定されたこれらの情報をリペア制御装置2と検査制御装置5とに送信する。
【0118】
実施の形態1の変形例1に係るリペア制御装置2は、ワークWk2あるいはワークWk2の位置を固定する治具(不図示)とワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づく座標系の設定を実行する(
図8~
図10B参照)。
【0119】
リペア制御装置2は、ワークWk2とワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1を設定する。なお、リペア制御装置2は、ワークWk2の位置を固定する治具とワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1を設定してもよい。これにより、リペア制御装置2は、マニピュレータ200aとワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、リペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な行列式を導出できる。なお、ワーク座標系ΣWk1およびワーク座標系ΣWk2のそれぞれは、ワーク座標系ΣWkおよびワークの座標系の一例である。
【0120】
リペア制御装置2は、さらに変換部2dを含んで構成される。
【0121】
変換部2dは、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。変換部2dは、変換行列記憶部28と、座標変換部59と、を含んで構成される。
【0122】
変換行列記憶部28は、設定されたリペア溶接座標系ΣW1およびワーク座標系ΣWk1と、リペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列とを記憶する。
【0123】
座標変換部29は、変換行列記憶部28を参照して、後述する検査制御装置5から受信された検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報を、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換し、さらにリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換することができる。
【0124】
また、同様に、実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5は、ワークWk2あるいはワークWk2の位置を固定する治具(不図示)とワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づく座標系の設定を実行する(
図8~
図10B参照)。
【0125】
検査制御装置5は、ワークWk2とワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2を設定する。なお、検査制御装置5は、ワークWk2の位置を固定する治具とワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2を設定してもよい。これにより、検査制御装置5は、マニピュレータ200aとワーク固定台PsFあるいはポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出できる。
【0126】
変換行列記憶部58は、設定された検査座標系ΣW2およびワーク座標系ΣWk2と、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列とを記憶する。
【0127】
座標変換部59は、変換行列記憶部58を参照して、後述する検査装置3から受信された検査工程における検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換し、さらにリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換することができる。
【0128】
以上により、実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000は、検査制御装置5とリペア制御装置2とによって、ワーク座標系ΣWk1,ΣWk2のそれぞれを通じて不良箇所の位置情報の変換が実行される(つまり、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される)場合、リペア制御装置2が検査座標系ΣW2での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できる。
【0129】
図8は、異なるセルに設置された検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3のユースケース例を示す概略図である。
図8に示す検査ロボットMC2およびリペア溶接ロボットMC3は、それぞれ異なるセル(工程)に設置され、それぞれのセル(工程)に送られた同一のワークWk2に対して、検査およびリペア溶接を実行する。なお、リペア溶接ロボットMC3には、予めリペア溶接座標系ΣW1が設定されている。また、検査ロボットMC2にも同様に、予め検査座標系ΣW2が設定されている。
【0130】
このような場合、検査ロボットMC2を制御する検査制御装置5と、リペア溶接ロボットMC3を制御するリペア制御装置2との間における相対位置関係は、ワークWk2に対して設定される座標系を利用して定義される。なお、ワークWk2に基づく座標系は、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1と検査工程におけるワーク座標系ΣWk2とが設定される。
【0131】
次に、
図9を参照して、ワーク座標系ΣWk1,ΣWk2の設定例について説明する。
図9は、ワーク固定台PsFにおけるワーク座標系ΣWk1,ΣWk2の設定例を示す図である。ワーク固定台PsFは、検査あるいはリペア溶接の際にワークWkを固定する。リペア制御装置2は、マニピュレータ200aとワーク固定台PsFとの間の相対位置関係に基づいて、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1を設定する。検査制御装置5は、マニピュレータ200bとワーク固定台PsFとの間の相対位置関係に基づいて、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2を設定する。
【0132】
以下、リペア制御装置2におけるリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1の設定例について説明する。
【0133】
リペア制御装置2におけるロボット制御部26は、マニピュレータ200aを制御し、保持された溶接トーチ400をワーク固定台PsFに対して垂直となるように姿勢を維持する。ロボット制御部26は、ワーク固定台PsF上の基準点Ps1を座標(X11,Y11,Z11)と設定する。また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aに保持された溶接トーチ400の初期回転角度(初期設定時の角度)を基準として、ワーク固定台PsF上の基準点Ps1に対して溶接トーチ400を垂直に位置させた際の基準点Ps1における回転角度Φ11を計測する。さらに、ロボット制御部26は、設定された座標と計測された回転角度とを関連付け、基準点Ps1を座標(X11,Y11,Z11,Φ11)としてメモリ22に記憶する。
【0134】
ロボット制御部26は、基準点Ps1の座標(X11,Y11,Z11,Φ11)を記憶した後、基準点Ps1の座標(X11,Y11,Z11,Φ11)を基準として、同一ワーク固定台PsF上の他の基準点Ps2における座標(X12,Y12,Z12)を計測する。また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aに保持された溶接トーチ400の初期回転角度(初期設定時の角度)を基準として、ワーク固定台PsF上の基準点Ps2に対して溶接トーチ400を垂直に位置させた際の回転角度Φ12を計測する。さらに、ロボット制御部26は、設定された座標と計測された回転角度とを関連付け、基準点Ps2を座標(X12,Y12,Z12,Φ12)としてメモリ22に記憶する。
【0135】
ロボット制御部26は、基準点Ps2の座標(X12,Y12,Z12,Φ12)を記憶した後、基準点Ps1の座標(X11,Y11,Z11,Φ11)を基準として、同一ワーク固定台PsF上の他の基準点Ps3における座標(X13,Y13,Z13)を計測する。また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aに保持された溶接トーチ400の初期回転角度(初期設定時の角度)を基準として、ワーク固定台PsF上の基準点Ps3に対して溶接トーチ400を垂直に位置させた際の回転角度Φ13を計測する。さらに、ロボット制御部26は、設定された座標と計測された回転角度とを関連付け、基準点Ps3を座標(X13,Y13,Z13,Φ13)としてメモリ22に記憶する。
【0136】
ロボット制御部26は、3つの基準点Ps1,Ps2,Ps3のそれぞれの座標に基づいて、ワーク固定台PsFの平面を算出し、ワーク固定台PsF上の基準点Ps1を通過し、かつこの平面に対する法線ベクトルにおける単位ベクトルをワーク座標系ΣWk1のZ軸として設定する。また、ロボット制御部26は、ワーク固定台PsFの基準点Ps1を通過し、基準点Ps3に向かう単位ベクトルをワーク座標系ΣWk1のX軸として設定する。
【0137】
ロボット制御部26は、設定されたワーク座標系ΣWk1のX軸の単位ベクトルとZ軸の単位ベクトルとの外積に基づくベクトルをワーク座標系ΣWk1のY軸として設定する。以上により、ワーク座標系ΣWk1は、原点を基準点Ps1としたベクトル(VX1,VY1,VZ1)として設定される。なお、上述したX軸の設定は、設定される基準点の位置に応じて設定に用いる基準点を変更してもよく、例えば基準点Ps2および基準点Ps3の位置が入れ替わる場合には、ワーク座標系ΣWk1のX軸を基準点Ps2に向かう単位ベクトルで設定してよい。
【0138】
なお、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2の設定例についても同様に設定され、検査制御装置5は、ワーク固定台PsF上における3つの基準点のそれぞれに基づいてワーク座標系ΣWk2を設定する。なお、ワーク座標系ΣWk2の設定において、検査制御装置5は、形状検出部500の先端部を3つの基準点Ps1,Ps2,Ps3のそれぞれに合わせてワーク座標系ΣWk2を設定する。
【0139】
図10Aおよび
図10Bを参照して、ワークWk1がポジショナPsRに固定される場合の座標系の設定例について説明する。
図10Aは、ポジショナPsRにおける複数の基準点Ps4,Ps5,Ps6のそれぞれの座標の設定例を示す図である。
図10Bは、ポジショナPsRにおける座標系の設定例を示す図である。ポジショナPsRは、ポジショナPsR上に固定されたワークWk1を固定したまま回動することにより、溶接箇所に応じた溶接を容易にするために位置および姿勢を変化させることができる。リペア制御装置2は、マニピュレータ200aとポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1を設定する。検査制御装置5は、マニピュレータ200bとポジショナPsRとの間の相対位置関係に基づいて、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2を設定する。
【0140】
以下、リペア制御装置2におけるワーク座標系ΣWk1の設定例について説明する。
【0141】
リペア制御装置2におけるロボット制御部26は、マニピュレータ200aを制御し、保持された溶接トーチ400をポジショナPsRに対して垂直となるように姿勢を維持する。ロボット制御部26は、ポジショナPsRの周縁部上の基準点Ps4を座標(X14,Y14,Z14)と設定する。また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aに保持された溶接トーチ400の初期回転角度(初期設定時の角度)を基準として、ポジショナPsR上の基準点Ps4に対して溶接トーチ400を垂直に位置させた際の回転角度Φ14を計測する。さらに、ロボット制御部26は、設定された座標と計測された回転角度とを関連付け、基準点Ps4を座標(X14,Y14,Z14,Φ14)としてメモリ22に記憶する。
【0142】
ロボット制御部26は、基準点Ps4の座標(X14,Y14,Z14,Φ14)を記憶した後、基準点Ps4の座標(X14,Y14,Z14,Φ14)を基準として、同一ポジショナPsRの周縁部上の他の基準点Ps5における座標(X15,Y15,Z15)を計測する。また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aに保持された溶接トーチ400の初期回転角度(初期設定時の角度)を基準として、ポジショナPsR上の基準点Ps5に対して溶接トーチ400を垂直に位置させた際の回転角度Φ15を計測する。さらに、ロボット制御部26は、設定された座標と計測された回転角度とを関連付け、基準点Ps5を座標(X15,Y15,Z15,Φ15)としてメモリ22に記憶する。
【0143】
ロボット制御部26は、基準点Ps5の座標(X15,Y15,Z15,Φ15)を記憶した後、基準点Ps4の座標(X14,Y14,Z14,Φ14)を基準として、同一ポジショナPsRの周縁部上の他の基準点Ps6における座標(X16,Y16,Z16)を計測する。また、ロボット制御部26は、マニピュレータ200aに保持された溶接トーチ400の初期回転角度(初期設定時の角度)を基準として、ポジショナPsR上の基準点Ps6に対して溶接トーチ400を垂直に位置させた際の回転角度Φ16を計測する。さらに、ロボット制御部26は、設定された座標と計測された回転角度とを関連付け、基準点Ps6を座標(X16,Y16,Z16,Φ16)としてメモリ22に記憶する。
【0144】
ロボット制御部26は、ポジショナPsRの周縁部上に位置する3つの基準点Ps4,Ps5,Ps6のそれぞれの座標に基づいて、ポジショナPsRの回転中心Ps7の座標(X17,Y17,Z17,Φ17)を算出する。
【0145】
ロボット制御部26は、3つの基準点Ps4,Ps5,Ps6のそれぞれの座標に基づいて、ポジショナPsR上の平面を算出し、ポジショナPsRの回転中心Ps7を通過し、かつこの平面に対する法線ベクトルにおける単位ベクトルをワーク座標系ΣWk1のZ軸として設定する。また、ロボット制御部26は、ポジショナPsRの回転中心Ps7を通過し、基準点Ps4に向かう単位ベクトルをワーク座標系ΣWk1のX軸として設定する。
【0146】
ロボット制御部26は、設定されたワーク座標系ΣWk1のX軸の単位ベクトルとZ軸の単位ベクトルとの外積に基づくベクトルをワーク座標系ΣWk1のY軸として設定する。以上により、ワーク座標系ΣWk1は、原点を回転中心Ps7としたベクトル(VX2,VY2,VZ2)として設定される。
【0147】
検査工程におけるワーク座標系ΣWk2の設定例についても同様に設定され、検査制御装置5は、ポジショナPsR上における3つの基準点Ps4,Ps5,Ps6のそれぞれ(つまり、マニピュレータ200aとポジショナPsRとの間の相対位置関係)に基づくワーク座標系ΣWk2を設定する。
【0148】
図11Aおよび
図11Bを参照して、実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図11Aは、実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートである。
図11Bは、実施の形態1の変形例1に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートである。
【0149】
まず、検査制御装置5および検査装置3の動作手順例について説明する。なお、検査制御装置5および検査装置3の動作手順例は、ステップSt1~ステップSt4の処理において実施の形態1に示す動作手順例と同一の処理を実行するため、説明を省略する。
【0150】
検査装置3は、ステップSt3の処理における判定結果に基づいて、ワークWk2に対する現在の検査回数がN回以下である場合(St3,YES)には、不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を検査制御装置5に送信する。検査制御装置5は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、複数の変換行列S1,S2のそれぞれを読み出す(St102c)。
【0151】
検査制御装置5は、読み出された変換行列S1を用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。さらに、検査制御装置5は、読み出された変換行列S2を用いて、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St102d)。
【0152】
ここで、検査制御装置5およびリペア制御装置2によって実行される検査座標系ΣW2に基づく位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換する方法について説明する。(数式2),(数式3),(数式4)のそれぞれは、検査座標系ΣW2に基づく位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換するための変換行列式である。なお、座標W1は、リペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報(座標)を示す行列である。座標V1は、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報(座標)を示す行列である。座標V2は、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報(座標)を示す行列である。座標W2は、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報(座標)を示す行列である。変換行列S1は、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するための変換行列である。
【0153】
(数式2)は、検査座標系ΣW2に基づく位置情報を、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく位置情報に変換する行列式である。(数式3)は、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく位置情報を、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく位置情報に変換する行列式である。(数式4)は、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく位置情報を、リペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換する行列式である。
【0154】
なお、変換行列S1は、予め設定された検査座標系ΣW2とワーク座標系ΣWk2とに基づいて導出される。変換行列S2は、予め設定されたワーク座標系ΣWk2とワーク座標系ΣWk1とに基づいて導出される。変換行列S3は、予め設定されたワーク座標系ΣWk1とリペア溶接座標系ΣW1とに基づいて導出される。導出された複数の変換行列S1,S2のそれぞれは、検査制御装置5に記憶されて参照される。また、導出された変換行列S3は、リペア制御装置2に記憶されて参照される。
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
なお、ステップSt102dに示す不良箇所の位置情報の変換処理において、検査制御装置5は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する例を示したが、これに限らない。例えば、検査制御装置5は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をそのままリペア制御装置2に送信してもよい。
【0159】
一方、ステップSt3の処理における判定結果に基づいて、ワークWk2に対する現在の検査回数がN回以下でない場合(St3,NO)には、これ以上リペア溶接を実行しても不良箇所の修正が困難である旨を通知するアラートを生成する。検査装置3は、生成されたアラートを、検査制御装置5を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される(St4)。検査装置3は、ステップSt4における処理に移行した場合、ワークWk2に対する検査を終了する。
【0160】
検査制御装置5は、変換されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、上位装置1を介してリペア制御装置2に送信する(St5)。
【0161】
以上により、実施の形態1に係る溶接システム1000における検査装置3は、溶接箇所に対する検査を終了する。次に、リペア制御装置2の動作手順例について説明する。なお、リペア制御装置2の動作手順例は、ステップSt7~ステップSt8の処理において実施の形態1に示す動作手順例と同一の処理を実行するため、説明を省略する。
【0162】
リペア制御装置2は、検査制御装置5によって変換されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St6)。
【0163】
リペア制御装置2は、受信された検査結果に含まれるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列S3を読み出す(St101a)。
【0164】
検査制御装置5は、読み出された変換行列S3を用いて、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St101b)。
【0165】
なお、ステップSt101bに示す位置情報の変換処理において、リペア制御装置2は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する例を示したが、これに限らない。例えば、リペア制御装置2は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報を検査制御装置5から受信し、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する処理を実行してもよい。
【0166】
以上により、実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、不良箇所に対するリペア溶接を終了する。溶接システム1000は、ステップSt8の処理を終了した後、ステップSt1の処理に移行し、再度検査装置3による溶接箇所の検査を実行する。なお、この際、検査装置3はリペア溶接された溶接箇所のみを検査してもよい。
【0167】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る溶接システム1000は、検査制御装置5によって検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する例を示した。実施の形態2に係る溶接システム1000は、リペア制御装置2によって検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する例について説明する。
【0168】
図12は、実施の形態2に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態1に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有する。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0169】
実施の形態2に係るリペア制御装置2は、さらに変換部2dを含んで構成される。リペア制御装置2は、検査制御装置5から検査座標系ΣW2の設定情報を受信する。
【0170】
変換行列記憶部28は、設定されたリペア溶接座標系ΣW1および検査座標系ΣW2と、リペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報を検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列とを記憶する。
【0171】
座標変換部29は、変換行列記憶部28を参照して、後述する検査制御装置5から受信された検査座標系ΣW2に基づく位置情報を、リペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換することができる。
【0172】
図13Aおよび
図13Bを参照して、実施の形態2に係る溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図13Aは、実施の形態2に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートである。
図13Bは、実施の形態2に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートである。
【0173】
検査制御装置5および検査装置3の動作手順例は、実施の形態1に示すステップSt102aおよびステップSt102bの処理が不要となり、さらに他のステップSt1~ステップSt4の処理において実施の形態1に示す動作手順例と同一の処理を実行するため、説明を省略する。
【0174】
検査制御装置5は、検査装置3から受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を、上位装置1を介してリペア制御装置2に送信する(St5)。
【0175】
リペア制御装置2は、検査制御装置5から受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St6)。
【0176】
リペア制御装置2は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列Rを読み出す(St101c)。
【0177】
検査制御装置5は、読み出された変換行列Rを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St101d)。
【0178】
ここで、検査座標系ΣW2に基づく位置情報からリペア溶接座標系ΣW1に基づく位置情報に変換する方法は、
図6AのフローチャートにおけるステップSt102bの処理で説明した(数式1)を用いた変換方法と同一であるため、説明を省略する。
【0179】
リペア制御装置2は、ステップSt101cの処理において変換された検査結果に基づいて、リペア溶接プログラムを呼び出して編集し、不良箇所に応じたリペア溶接プログラムを生成する(St7)。
【0180】
リペア制御装置2は、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4の制御を実行する(St8)。
【0181】
以上により、実施の形態2に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、不良箇所に対するリペア溶接を終了する。溶接システム1000は、ステップSt8の処理を終了した後、ステップSt1の処理に移行し、再度検査装置3による溶接箇所の検査を実行する。なお、この際、検査装置3はリペア溶接された溶接箇所のみを検査してもよい。これにより、実施の形態2に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、検査制御装置5が溶接ロボット座標系での位置情報への変換を行わなくても、リペア溶接を実行できる。
【0182】
(実施の形態3)
実施の形態1、実施の形態1の変形例1および実施の形態2に係る溶接システム1000は、検査制御装置5またはリペア制御装置2のいずれか一方、あるいは検査制御装置5およびリペア制御装置2において不良箇所の位置情報が変換される例を示した。実施の形態3に係る溶接システム1000は、リペア制御装置2および検査制御装置5を制御する上位装置1がリペア制御装置2によって検査座標系ΣW2における不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1における不良箇所の位置情報に変換する例について説明する。
【0183】
なお、以降の説明において、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合については、なお書きにて説明をする。
【0184】
図14は、実施の形態3に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。実施の形態3に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態1、実施の形態1の変形例1および実施の形態2に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有する。実施の形態1、実施の形態1の変形例1および実施の形態2と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0185】
上位装置1は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2と、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1とを取得し、メモリ12に記憶する。
【0186】
なお、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合には、上位装置1は、さらにリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1と、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2とをさらに取得して、メモリ12に記憶する。
【0187】
実施の形態3に係る上位装置1は、さらに変換部1dを含んで構成される。
【0188】
変換部1dは、ロボットごとに予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1と検査座標系ΣW2とに基づいて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。変換部1dは、変換行列記憶部18と、座標変換部19と、を含んで構成される。
【0189】
変換行列記憶部18は、予め設定された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を記憶する。
【0190】
座標変換部19は、変換行列記憶部18を参照して、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0191】
なお、上述した変換部1dにおける変換処理は、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合には、ワーク座標系への変換処理が追加される。具体的には、変換部1dは、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報からワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換し、さらにワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換してから、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0192】
図15A、
図15Bおよび
図15Cを参照して、実施の形態3に係る溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図15Aは、実施の形態3に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートである。
図15Bは、実施の形態3に係る上位装置1の動作手順例を示すフローチャートである。
図15Cは、実施の形態3に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートである。
【0193】
まず、検査制御装置5および検査装置3の動作手順例について説明する。
【0194】
検査装置3は、本溶接後のワークWk2に対して、上位装置1から受信された溶接箇所ごとに設定された検査条件に基づく外観検査を実行する(St11)。具体的には、検査装置3は、形状検出部500から受信された溶接ビードの形状データに基づく画像データと検査条件とに基づいて、溶接箇所に対する不良箇所の有無を検査(判定)する。
【0195】
検査装置3は、溶接箇所において検査条件を満たさない不良箇所(不合格箇所)があるか否かを判定する(St12)。
【0196】
検査装置3は、ステップSt12の処理における判定結果に基づいて、不良箇所(不合格箇所)がある場合(St12,YES)には、ワークWk2に対する現在の検査回数が、ユーザによって設定された検査回数の上限としての検査回数N回以下であるか否かを判定する(St13)。
【0197】
一方、検査装置3は、ステップSt12の処理における判定結果に基づいて、不良箇所(不合格箇所)がない場合(St12,NO)には、不良箇所がなくリペア溶接が不要である旨を通知するアラートを生成する。検査装置3は、生成されたアラートを、検査制御装置5を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される(St14)。検査装置3は、ステップSt14における処理に移行した場合、ワークWk2に対する検査を終了する。
【0198】
一方、ステップSt13の処理における判定結果に基づいて、ワークWk2に対する現在の検査回数がN回以下でない場合(St13,NO)には、これ以上リペア溶接を実行しても不良箇所の修正が困難である旨を通知するアラートを生成する。検査装置3は、生成されたアラートを、検査制御装置5を介して上位装置1に送信する。なお、上位装置1に送信されたアラートは、モニタMN1に表示されてユーザに通知される(St14)。検査装置3は、ステップSt14における処理に移行した場合、ワークWk2に対する検査を終了する。
【0199】
検査制御装置5は、変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、上位装置1を介してリペア制御装置2に送信する(St15)。
【0200】
以上により、実施の形態3に係る溶接システム1000における検査制御装置5および検査装置3は、溶接箇所に対する検査を終了する。次に、上位装置1の動作手順例について説明する。
【0201】
上位装置1は、検査制御装置5から検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St16)。
【0202】
上位装置1は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列Rを読み出す(St103a)。
【0203】
上位装置1は、読み出された変換行列Rと(数式1)とを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St103b)。
【0204】
なお、上位装置1は、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合には、ステップSt103aの処理において、複数の変換行列S1,S2,S3それぞれを読み出す。さらに、上位装置1は、読み出された複数の変換行列S1,S2,S3それぞれと(数式2)~(数式4)のそれぞれとを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0205】
上位装置1は、変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、リペア制御装置2に送信する(St17)。
【0206】
以上により、実施の形態3に係る溶接システム1000における上位装置1は、不良箇所の位置情報の変換を終了する。次に、リペア制御装置2の動作手順例について説明する。
【0207】
リペア制御装置2は、上位装置1によって変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St18)。
【0208】
リペア制御装置2は、受信された検査結果に基づいて、リペア溶接プログラムを呼び出して編集し、不良箇所に応じたリペア溶接プログラムを生成する(St19)。
【0209】
リペア制御装置2は、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4の制御を実行する(St20)。
【0210】
以上により、実施の形態3に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、不良箇所に対するリペア溶接を終了する。溶接システム1000は、ステップSt20の処理を終了した後、ステップSt11の処理に移行し、再度検査装置3による溶接箇所の検査を実行する。なお、この際、検査装置3はリペア溶接された溶接箇所のみを検査してもよい。
【0211】
よって、実施の形態3に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0212】
(実施の形態3の変形例1)
実施の形態3に係る溶接システム1000は、リペア制御装置2および検査制御装置5を制御する上位装置1が、リペア制御装置2によって検査座標系ΣW2における不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1における不良箇所の位置情報に変換する例について説明した。実施の形態3の変形例1に係る溶接システム1000は、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合において、検査制御装置5および上位装置1で位置情報の変換を実行する例について説明する。
【0213】
なお、実施の形態3の変形例1に係る溶接システム1000は、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合に限定されず、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが同一の工程で実行されてもよい。
【0214】
図16は、実施の形態3の変形例1に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。実施の形態3の変形例1に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態3に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有するため、実施の形態3と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0215】
上位装置1は、検査制御装置5によって設定された検査工程におけるワーク座標系ΣWk2と、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1と、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されリペア溶接座標系ΣW1とを取得し、メモリ12に記憶する。
【0216】
なお、実施の形態3の変形例1に係る上位装置1は、ワーク座標系ΣWk2を記憶しなくてもよい。この場合、上位装置1は、ワーク座標系ΣWk1の情報を検査制御装置5に送信し、検査制御装置5において、不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報からワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換させる。
【0217】
変換部1dは、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報を、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。さらに、変換部1dは、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。変換部1dは、変換された不良箇所の位置情報をリペア制御装置2に送信する。
【0218】
また、上位装置1が検査制御装置5からワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報を含む検査結果を受信する場合、変換部1dは、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換してもよい。
【0219】
変換行列記憶部18は、予め設定されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。また、変換行列記憶部18は、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。
【0220】
なお、上位装置1が検査制御装置5からワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報を含む検査結果を受信する場合、変換行列記憶部18は、予め設定されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列の導出および記憶しなくてもよい。
【0221】
座標変換部19は、変換行列記憶部18に記憶された変換行列を参照して、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換し、さらに、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0222】
検査制御装置5は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2と、ワークWk2に対して設定された検査工程におけるワーク座標系ΣWk2とを記憶する。また、検査制御装置5は、ワーク座標系ΣWk2の情報を上位装置1に送信する。
【0223】
変換部5dは、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。なお、変換部5dは、さらに検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換してもよい。変換部5dは、変換された不良箇所の位置情報を上位装置1に送信する。
【0224】
変換行列記憶部58は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。また、変換行列記憶部58は、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶してもよい。
【0225】
座標変換部59は、変換行列記憶部58に記憶された変換行列を参照して、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。また、座標変換部59は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換してもよい。
【0226】
図17Aおよび
図17Bを参照して、実施の形態3の変形例1に係る溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図17Aは、実施の形態3の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートである。
図17Bは、実施の形態3の変形例1に係る上位装置1の動作手順例を示すフローチャートである。なお、実施の形態3の変形例1に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートは、
図15Cに示すフローチャートの説明と同一の内容であるため、図および説明を省略する。
【0227】
まず、検査制御装置5および検査装置3の動作手順例について説明する。検査制御装置5および検査装置3の動作手順例は、ステップSt11~ステップSt14の処理において実施の形態3に示す動作手順例と同一の処理を実行するため、説明を省略する。
【0228】
検査制御装置5は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列S1を読み出す(St102e)。
【0229】
検査制御装置5は、読み出された変換行列S1と(数式2)とを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St102f)。
【0230】
検査制御装置5は、変換されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、上位装置1に送信する(St15)。
【0231】
以上により、実施の形態3の変形例1に係る溶接システム1000における検査制御装置5および検査装置3は、溶接箇所に対する検査を終了する。次に、上位装置1の動作手順例について説明する。
【0232】
上位装置1は、検査制御装置5から受信されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St16)。
【0233】
上位装置1は、受信されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、複数の変換行列S2,S3のそれぞれを読み出す(St103c)。
【0234】
上位装置1は、読み出された変換行列S2と(数式3)とを用いて、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。上位装置1は、さらに読み出された変換行列S3と(数式4)とを用いて、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St103d)。
【0235】
上位装置1は、変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、リペア制御装置2に送信する(St17)。
【0236】
以上により、実施の形態3に係る溶接システム1000における上位装置1は、不良箇所の位置情報の変換を終了する。
【0237】
これにより、
図17Aおよび
図17Bに示すフローチャートに示す動作手順例において、溶接システム1000は、検査制御装置5における不良箇所の位置情報の変換に要する処理の負荷および処理に要する時間を低減することができる。また、溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0238】
また、
図17Aおよび
図17Bに示すフローチャートにおいて、検査制御装置5が不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換して上位装置1に送信する場合の溶接システム1000の動作手順例について説明したが、これに限定されないことは言うまでもない。例えば、検査制御装置5は、不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換し、上位装置1に送信してもよい。
【0239】
(実施の形態3の変形例2)
実施の形態3に係る溶接システム1000は、リペア制御装置2および検査制御装置5を制御する上位装置1が、リペア制御装置2によって検査座標系ΣW2における不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1における不良箇所の位置情報に変換する例について説明した。実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000は、上位装置1およびリペア制御装置2によって不良箇所の位置情報の変換を実行する例について説明する。
【0240】
なお、実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000は、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合に限定されず、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが同一の工程で実行されてもよい。
【0241】
図18は、実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態3に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有するため、実施の形態3と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0242】
上位装置1は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2と、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2と、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1とを取得し、メモリ12に記憶する。
【0243】
なお、実施の形態3の変形例2に係る上位装置1は、ワーク座標系ΣWk1を記憶しなくてもよい。この場合、上位装置1は、ワーク座標系ΣWk1の情報を検査制御装置5に送信し、リペア制御装置2において、不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報からワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換させる。
【0244】
変換部1dは、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。さらに、変換部1dは、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。変換部1dは、変換されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア制御装置2に送信する。
【0245】
また、上位装置1がワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報を含む検査結果をリペア制御装置2に送信する場合、変換部1dは、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換しなくてもよい。
【0246】
変換行列記憶部18は、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。また、変換行列記憶部18は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。
【0247】
なお、上位装置1がワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報を含む検査結果をリペア制御装置2に送信する場合、変換行列記憶部18は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列の導出および記憶しなくてもよい。
【0248】
座標変換部19は、変換行列記憶部18に記憶された変換行列を参照して、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換し、さらに、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0249】
リペア制御装置2は、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1と、ワークWk2に対して設定されたリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1とを記憶する。また、リペア制御装置2は、ワーク座標系ΣWk1の情報を上位装置1に送信する。
【0250】
変換部2dは、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。なお、変換部2dは、さらに検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換してもよい。リペア制御装置2は、変換された不良箇所の位置情報に基づいて、リペア溶接プログラムを生成し、リペア溶接を実行する。
【0251】
変換行列記憶部28は、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1をリペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。また、変換行列記憶部28は、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶してもよい。
【0252】
座標変換部29は、変換行列記憶部28に記憶された変換行列を参照して、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。また、座標変換部29は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換してもよい。
【0253】
図19Aおよび
図19Bを参照して、実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図19Aは、実施の形態3の変形例2に係る上位装置1の動作手順例を示すフローチャートである。
図19Bは、実施の形態3の変形例2に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートである。なお、実施の形態3の変形例2に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートは、
図15Aに示すフローチャートの説明と同一の内容であるため、図および説明を省略する。
【0254】
まず、上位装置1の動作手順例について説明する。
【0255】
上位装置1は、検査制御装置5から受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St16)。
【0256】
上位装置1は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、複数の変換行列S1,S2のそれぞれを読み出す(St103e)。
【0257】
上位装置1は、読み出された変換行列S1と(数式2)とを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。上位装置1は、さらに読み出された変換行列S2と(数式3)とを用いて、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St103f)。
【0258】
上位装置1は、変換されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、リペア制御装置2に送信する(St17)。
【0259】
以上により、実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000における上位装置1は、不良箇所の位置情報の変換を終了する。次に、リペア制御装置2の動作手順例について説明する。
【0260】
リペア制御装置2は、上位装置1によって変換されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St18)。
【0261】
リペア制御装置2は、受信されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列S3を読み出す(St101g)。
【0262】
リペア制御装置2は、読み出された変換行列S3と(数式4)とを用いて、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St101h)。
【0263】
リペア制御装置2は、変換された不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果に基づいて、リペア溶接プログラムを呼び出して編集し、不良箇所に応じたリペア溶接プログラムを生成する(St19)。
【0264】
リペア制御装置2は、生成されたリペア溶接プログラムに基づいて、マニピュレータ200a、ワイヤ送給装置300および溶接電源装置4の制御を実行する(St20)。
【0265】
以上により、実施の形態3の変形例2に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、不良箇所に対するリペア溶接を終了する。
【0266】
これにより、
図19Aおよび
図19Bに示すフローチャートに示す動作手順例において、溶接システム1000は、リペア制御装置2における不良箇所の位置情報の変換に要する処理の負荷および処理に要する時間を低減することができる。また、溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0267】
また、
図19Aおよび
図19Bに示すフローチャートにおいて、上位装置1が不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換して、リペア制御装置2に送信する場合の溶接システム1000の動作手順例について説明したが、これに限定されないことは言うまでもない。例えば、上位装置1は、不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換し、リペア制御装置2に送信してもよい。これにより、溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0268】
(実施の形態3の変形例3)
実施の形態3に係る溶接システム1000は、リペア制御装置2および検査制御装置5を制御する上位装置1が、リペア制御装置2によって検査座標系ΣW2における不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1における不良箇所の位置情報に変換する例について説明した。実施の形態3の変形例3に係る溶接システム1000は、上位装置1、リペア制御装置2および検査制御装置5によって不良箇所の位置情報の変換を実行する例について説明する。
【0269】
図20は、実施の形態3の変形例3に係る溶接システム1000の内部構成例を示す図である。実施の形態3の変形例3に係る溶接システム1000の内部構成例は、実施の形態3に係る溶接システム1000の内部構成とほぼ同一の構成を有するため、実施の形態3と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
【0270】
上位装置1は、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2と、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1とを取得し、メモリ12に記憶する。
【0271】
変換部1dは、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報を、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。変換部1dは、変換されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア制御装置2に送信する。
【0272】
変換行列記憶部18は、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。
【0273】
座標変換部19は、変換行列記憶部18に記憶された変換行列を参照して、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0274】
リペア制御装置2は、リペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1と、ワークWk2に対して設定されたリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1とを記憶する。また、リペア制御装置2は、ワーク座標系ΣWk1の情報を上位装置1に送信する。
【0275】
変換部2dは、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。リペア制御装置2は、変換された不良箇所の位置情報に基づいて、リペア溶接プログラムを生成し、リペア溶接を実行する。
【0276】
変換行列記憶部28は、リペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1をリペア溶接ロボットMC3に予め設定されたリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。
【0277】
座標変換部29は、変換行列記憶部28に記憶された変換行列を参照して、ワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報をリペア溶接座標系ΣW1に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0278】
検査制御装置5は、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2と、ワークWk2に対して設定された検査工程におけるワーク座標系ΣWk2とを記憶する。また、検査制御装置5は、ワーク座標系ΣWk2の情報を上位装置1に送信する。
【0279】
変換部5dは、検査ロボットMC2に予め設定された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。検査制御装置5は、変換された不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を上位装置1に送信する。
【0280】
変換行列記憶部58は、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換可能な変換行列を導出して、記憶する。
【0281】
座標変換部29は、変換行列記憶部28に記憶された変換行列を参照して、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報を検査工程におけるワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する。
【0282】
図21Aおよび
図21Bを参照して、実施の形態3の変形例3に係る溶接システム1000の動作手順例について説明する。
図21Aは、実施の形態3の変形例3に係る検査制御装置5および検査装置3の動作手順例を示すフローチャートである。
図21Bは、実施の形態3の変形例3に係る上位装置1の動作手順例を示すフローチャートである。なお、実施の形態3の変形例3に係るリペア制御装置2の動作手順例を示すフローチャートは、
図19Bに示すフローチャートの説明と同一の内容であるため、図および説明を省略する。
【0283】
まず、検査制御装置5および検査装置3の動作手順例について説明する。検査制御装置5および検査装置3の動作手順例は、ステップSt11~ステップSt14の処理において実施の形態3に示す動作手順例と同一の処理を実行するため、説明を省略する。
【0284】
検査制御装置5は、受信された検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列S1を読み出す(St102m)。
【0285】
検査制御装置5は、読み出された変換行列S1と(数式2)とを用いて、検査座標系ΣW2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St102n)。
【0286】
検査制御装置5は、変換されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、上位装置1に送信する(St15)。
【0287】
以上により、実施の形態3の変形例3に係る溶接システム1000における検査制御装置5および検査装置3は、溶接箇所に対する検査を終了する。次に、上位装置1の動作手順例について説明する。
【0288】
上位装置1は、検査制御装置5から受信されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を受信し、読み出す(St16)。
【0289】
上位装置1は、受信されたワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換するため、変換行列S2を読み出す(St103m)。
【0290】
上位装置1は、読み出された変換行列S2と(数式3)とを用いて、ワーク座標系ΣWk2に基づく不良箇所の位置情報をワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報に変換する(St103n)。
【0291】
上位装置1は、変換されたワーク座標系ΣWk1に基づく不良箇所の位置情報、不良要因などを含む検査結果を生成し、リペア制御装置2に送信する(St17)。
【0292】
以上により、実施の形態3の変形例3に係る溶接システム1000における上位装置1は、不良箇所の位置情報の変換を終了する。
【0293】
これにより、
図21Aおよび
図21Bに示すフローチャートに示す動作手順例において、溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0294】
以上、各実施の形態について説明したが、複数の変換部1d,2d,5dのそれぞれは、不良箇所の位置情報の変換に限定されず、他の位置情報(例えば、リペア溶接時のオフセット量の開始位置と終了位置とに関する位置情報など)を変換してもよい。
【0295】
また、各実施の形態において複数の変換行列S1,S2,S3のそれぞれは、検査座標系ΣW2からワーク座標系ΣWkに変換する変換行列S1と、ワーク座標系ΣWkからリペア溶接座標系ΣW1に変換する変換行列S2との2つであってもよい。なお、ここでいうワーク座標系ΣWkは、検査工程におけるワーク座標系ΣWk2からリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1への変換を実行した後の座標系を示す。このような場合、例えば検査工程におけるワーク座標系ΣWk2からリペア溶接工程におけるワーク座標系ΣWk1への変換を、1つの装置(例えば、上位装置1、リペア制御装置2、検査制御装置5)内で実行してもよい。
【0296】
また、各実施の形態における検査制御装置5および検査装置3は、別体として示され、説明されているが、検査制御装置5が検査装置3の構成および機能を有してよい。
【0297】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000における検査装置(検査制御装置5および検査装置3の一例)は、検査ロボットMC2と接続され、ワークの溶接箇所を検査する検査装置であって、検査装置3は、溶接箇所に不良箇所があるか否かを判定し、溶接箇所に不良箇所がある場合に、少なくとも、不良箇所の不良種別情報と、不良箇所の検査ロボットの検査座標系ΣW2に基づいた位置情報である検査座標系不良位置情報と、を抽出し、少なくとも、検査座標系不良位置情報を、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する位置情報に変換し、溶接座標系不良位置情報を作成し、少なくとも、不良種別情報と、溶接座標系不良位置情報と、をリペア溶接ロボットMC3と接続されたリペア制御装置2に送信する。
【0298】
これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000、における検査装置は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、リペア制御装置2が検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できる。
【0299】
また、実施の形態1に係る検査制御装置5および検査装置3は、検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2上の任意の位置情報をリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1上の対応する位置情報に変換する第1変換行列の一例としての変換行列Rを有し、第1変換行列を用いて、検査座標系不良情報を、溶接ロボット座標系不良位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、リペア制御装置2が検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できる。
【0300】
また、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3は、リペア溶接により修正可能な不良箇所がなくなるまで、判定(つまり、溶接箇所の検査)を繰り返す。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、溶接箇所のうち所定の判定基準を満たさない不良箇所のリペア溶接を実行できる。
【0301】
また、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3は、判定の判定回数をカウントし、カウントされた判定回数が所定回数に到達すると、不良箇所がリペア溶接により修正不能である旨を通知するアラートを出力する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、溶接箇所のうち所定の判定基準を満たさない不良箇所がリペア溶接しきれない不良である場合、無駄なリペア溶接を実行せずユーザに通知することができる。
【0302】
また、実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3は、検査ロボット座標系不良位置情報を、ワークの座標系に対応する位置情報に変換し、リペア制御装置2は、ワークの座標系に対応する位置情報を、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、かつ検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合、リペア制御装置2が検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できる。
【0303】
また、実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3は、検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2上の任意の位置情報をワーク座標系ΣWk2上の対応する位置情報に変換する第2変換行列の一例としての変換行列S1を有し、第2変換行列を用いて、検査座標系不良位置情報を、ワークの座標系に対応する不良箇所の位置情報に変換してリペア制御装置2に送信し、リペア制御装置2は、ワーク座標系ΣWk1上の任意の位置情報をリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1上の対応する位置情報に変換する第3変換行列の一例としての変換行列S3を有し、検査制御装置5から送信された不良箇所の位置情報と第3変換行列とを用いて、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する不良箇所の位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、かつ検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合、リペア制御装置2が検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できる。
【0304】
以上により、実施の形態2および実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、リペア溶接ロボットMC3と接続され、検査装置(つまり、検査制御装置5および検査装置3)の検査結果に基づいてワークのリペア溶接の実行を指示するリペア制御装置2であって、リペア制御装置2は、少なくとも、不良箇所の不良種別情報と、不良箇所の検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2に基づいた位置情報である検査座標系不良位置情報と、を検査ロボットMC2と接続された検査装置から受信し、少なくとも、検査座標系不良位置情報を、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する位置情報に変換し、溶接座標系不良位置情報を作成し、少なくとも、不良種別情報と、溶接座標系不良位置情報と、に基づいて、不良箇所のリペア溶接の実行を指示する。
【0305】
これにより、実施の形態2および実施の形態1の変形例1に係る溶接システム1000におけるリペア制御装置2は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、検査装置(つまり、検査制御装置5および検査装置3)がリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1への変換を行わなくても、リペア溶接を実行できる。
【0306】
また、実施の形態2に係るリペア制御装置2は、検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2上の任意の位置情報をリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1上の対応する位置情報に変換する第1変換行列の一例としての変換行列Rを有し、第1変換行列を用いて、検査座標系不良位置情報を、溶接座標系不良位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、検査装置(つまり、検査制御装置5および検査装置3)がリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1への変換を行わなくても、リペア溶接を実行できる。
【0307】
また、実施の形態2に係る検査制御装置5および検査装置3は、リペア溶接により修正可能な不良箇所がなくなるまで、判定(つまり、溶接箇所の検査)を繰り返す。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、溶接箇所のうち所定の判定基準を満たさない不良箇所のリペア溶接を自動で実行できる。
【0308】
また、実施の形態2に係る検査制御装置5および検査装置3は、判定の判定回数をカウントし、カウントされた判定回数が所定回数に到達すると、不良箇所がリペア溶接により修正不能である旨を通知するアラートを出力する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、溶接箇所のうち所定の判定基準を満たさない不良箇所がリペア溶接しきれない不良である場合、無駄なリペア溶接を実行せずユーザに通知することができる。
【0309】
また、実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3は、検査座標系不良位置情報を、ワークの座標系に対応する位置情報に変換し、リペア制御装置2は、ワークの座標系に対応する位置情報を、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、かつ検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合、検査装置(つまり、検査制御装置5および検査装置3)がリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1への変換を行わなくても、リペア溶接を実行できる。
【0310】
また、実施の形態1の変形例1に係る検査制御装置5および検査装置3は、検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2上の任意の位置情報をワーク座標系ΣWk2上の対応する位置情報に変換する第2変換行列の一例としての変換行列S1を有し、第2変換行列を用いて、検査座標系不良位置情報を、ワークの座標系に対応する不良箇所の位置情報に変換してリペア制御装置2に送信し、リペア制御装置2は、ワーク座標系ΣWk1上の任意の位置情報をリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1上の対応する位置情報に変換する第3変換行列の一例としての変換行列S3を有し、検査制御装置5から通知された不良箇所の位置情報を、第3変換行列を用いて、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する不良箇所の位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、かつ検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合、検査装置(つまり、検査制御装置5および検査装置3)がリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1への変換を行わなくても、リペア溶接を実行できる。
【0311】
以上により、実施の形態3に係る溶接システム1000における上位装置1は、検査ロボットMC2と接続され、ワークの溶接箇所を検査する検査装置(つまり、検査制御装置5および検査装置3)およびリペア溶接ロボットMC3と接続されたリペア制御装置2と接続され、検査装置の検査結果を取得してリペア制御装置2に通知する上位装置1であって、上位装置1は、少なくとも、不良箇所の不良種別情報と、不良箇所の検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2に基づいた位置情報である検査座標系不良位置情報と、を検査装置から受信し、少なくとも、検査座標系不良位置情報を、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する位置情報に変換し、溶接座標系不良位置情報を作成し、少なくとも、不良種別情報と、溶接座標系不良位置情報と、をリペア制御装置2に送信する。
【0312】
これにより、実施の形態3に係る溶接システム1000における上位装置1は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0313】
また、実施の形態3に係る上位装置1は、検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2上の任意の位置情報をリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1上の対応する位置情報に変換する第1変換行列の一例としての変換行列Rを有し、第1変換行列を用いて、検査座標系不良位置情報を、溶接座標系不良位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0314】
また、実施の形態3に係る上位装置1は、検査座標系不良位置情報を、ワークの座標系に対応する位置情報に変換し、リペア制御装置2は、ワークの座標系に対応する位置情報を、リペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1に対応する位置情報に変換する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、かつ検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0315】
また、実施の形態3に係る上位装置1は、リペア溶接により修正可能な不良箇所がなくなるまで、判定(つまり、溶接箇所の検査)を繰り返す。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、溶接箇所のうち所定の判定基準を満たさない不良箇所のリペア溶接を自動で実行できる。
【0316】
また、実施の形態3に係る検査制御装置5および検査装置3は、判定の判定回数をカウントし、カウントされた判定回数が所定回数に到達すると、不良箇所がリペア溶接により修正不能である旨を通知するアラートを出力する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、溶接箇所のうち所定の判定基準を満たさない不良箇所がリペア溶接しきれない不良である場合、無駄なリペア溶接を実行せずユーザに通知することができる。
【0317】
また、実施の形態3に係る上位装置1は、取得された検査ロボットMC2の検査座標系ΣW2上の任意の位置情報をワーク座標系ΣWk2上の対応する位置情報に変換する第2変換行列の一例としての変換行列S1を有し、検査座標系不良位置情報を、第2変換行列を用いて、溶接座標系不良位置情報を作成し、変換された検査におけるワークの任意の位置情報をリペア溶接におけるワーク座標系ΣWk1上の対応する位置情報に変換する第3変換行列の一例としての変換行列S2を有し、不良箇所の位置情報と第3変換行列とを用いて、リペア溶接におけるワーク座標系ΣWk1に対応する不良箇所の位置情報に変換し、リペア溶接におけるワーク座標系ΣWk1上の任意の位置情報をリペア溶接ロボットMC3のリペア溶接座標系ΣW1上の対応する位置情報に変換する第4変換行列の一例としての変換行列S3を有し、不良箇所の位置情報と第4変換行列とを用いて、溶接ロボット座標系不良位置情報を変換して、リペア制御装置2に送信する。これにより、実施の形態に係る溶接システム1000は、検査とリペア溶接とが異なるロボット(つまり、検査ロボットMC2、リペア溶接ロボットMC3)のそれぞれによって実行され、かつ検査制御装置5とリペア制御装置2とによって位置情報の変換が実行される例として、検査の工程とリペア溶接の工程とが別工程で実行される(つまり、検査ロボットMC2とリペア溶接ロボットMC3とが異なるセルで実行される)場合、それぞれが座標変換機能を有さなくても、上位装置1を用いることにより、リペア溶接を実行できる。
【0318】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0319】
なお、本出願は、2019年6月14日出願の日本特許出願(特願2019-111616、特願2019-111617および特願2019-111618)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【産業上の利用可能性】
【0320】
本開示は、検査とリペア溶接とが異なるロボットのそれぞれによって実行され溶接装置が検査ロボット座標系での位置情報を用いなくても、リペア溶接を実行できるリペア溶接システムの提示の提示として有用である。
【符号の説明】
【0321】
1 上位装置
2 リペア制御装置
3 検査装置
4 溶接電源装置
5 検査制御装置
10,20,30,50 通信部
11,21,31,51 プロセッサ
12,22,32,52 メモリ
55 検査装置制御部
26,56 ロボット制御部
1d,2d,5d 変換部
18,28,58 変換行列記憶部
19,29,59 座標変換部
200a,200b マニピュレータ
400 溶接トーチ
500 形状検出部
1000 溶接システム
MC2 検査ロボット
MC3 リペア溶接ロボット
MN1 モニタ
UI1 インターフェース
ST 外部ストレージ
Wk1,Wk2 ワーク
ΣW1 リペア溶接座標系
ΣW2 検査座標系
ΣWk1,ΣWk2 ワーク座標系