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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20230825BHJP
   B26B 15/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B25F5/00 C
B26B15/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018058730
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019166627
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 尚武
(72)【発明者】
【氏名】三輪 達哉
【合議体】
【審判長】見目 省二
【審判官】鈴木 貴雄
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-209782(JP,A)
【文献】特開2013-226626(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0216986(US,A1)
【文献】特開2000-94213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/00 - 5/02
B26B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定刃と可動刃とを含むカッター部と、
回転力を前記カッター部に伝達することで、前記可動刃を駆動し、前記固定刃と前記可動刃との間に配置された切断対象を切断する電動機と、
前記電動機にかかる負荷の大きさを測定する測定部と、
前記測定部で測定される前記負荷の大きさが所定の条件を満たすように低減すると前記電動機を停止させる制御部と、を備え
前記測定部は、前記電動機に供給される電流の大きさを測定し、
前記所定の条件は、前記測定部により測定された前記電流の値が、第1の閾値以上の値になってから所定時間が経過するまでに、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下の値になるという条件である、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記カッター部が前記切断対象の切断を完了したときに満たされる条件である
ことを特徴とする請求項1記載の電動工具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電動工具に関し、より詳細には、電動機により工具を駆動する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の電動工具を例示する。特許文献1記載の電動工具は、モータと、トリガスイッチと、制御部と、チャックと、を備える。制御部は、トリガスイッチの引き込み量に基づいてモータの回転数を制御する。チャックは、ホールソー等の先端工具が着脱可能となっている。トリガスイッチが引き込まれることで制御部によってモータが駆動される。これにより先端工具が回転し、穴開け等の作業が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-030112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の電動工具では、トリガスイッチが引き込まれている限り、穴開け等の作業を完了した後もモータ(電動機)が駆動され続ける。このため、モータを駆動するための電力を浪費してしまうことがあった。
【0005】
本開示は、電動機の電力消費を低減できる電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る電動工具は、カッター部と、電動機と、測定部と、制御部と、を備える。前記カッター部は、固定刃と可動刃とを含む。前記電動機は、回転力を前記カッター部に伝達することで、前記可動刃を駆動し、前記固定刃と前記可動刃との間に配置された切断対象を切断する。前記測定部は、前記電動機にかかる負荷の大きさを測定する。前記制御部は、前記測定部で測定される前記負荷の大きさが所定の条件を満たすように低減すると前記電動機を停止させる。前記測定部は、前記電動機に供給される電流の大きさを測定する。前記所定の条件は、前記測定部により測定された前記電流の値が、第1の閾値以上の値になってから所定時間が経過するまでに、前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値以下の値になるという条件である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る電動工具では、電動機の電力消費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電動工具の斜視図である。
図2図2は、同上の電動工具の要部の斜視図であって、可動刃が図1の位置から回転した状態を示す図である。
図3図3は、同上の電動工具の回路図である。
図4図4は、同上の電動工具において測定される電圧の時間変化を示すグラフである。
図5図5は、同上の電動工具の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電動工具について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(電動工具の概要)
図1、2に示すように、本実施形態の電動工具1は、工具本体2と、カッター部6(工具)と、を備えている。工具本体2には、カッター部6が取り付けられる。また、工具本体2には、電池パック13が着脱可能に取り付けられる。電池パック13は、電動工具1の構成に含まれていない。工具本体2は、ハウジング4と、電動機M1(図3参照)と、操作部22(トリガ)と、を含む。カッター部6は、固定刃61と、可動刃62と、を含む。操作部22が操作されると、電池パック13から電動機M1に電流が供給され、電動機M1が回転する。電動機M1の回転力がカッター部6に伝達されることで、カッター部6の可動刃62が駆動され、固定刃61と可動刃62との間に配置された電線100(切断対象)が切断される。
【0011】
(電動工具の回路構成)
図3に示すように、電動工具1の工具本体2(図1参照)は、電動機M1と、測定部11と、制御部122と、を備えている。工具本体2は、トリガスイッチSW1と、ダイオードD1と、スイッチング素子SW2と、ドライブ回路14と、増幅回路15と、を更に備えている。電動機M1、測定部11、制御部122、トリガスイッチSW1、ダイオードD1、スイッチング素子SW2、ドライブ回路14及び増幅回路15は、工具本体2のハウジング4(図1参照)に収容されている。
【0012】
電池パック13は、複数の二次電池131を有している。複数の二次電池131は、直列に接続されている。電池パック13は、複数の二次電池131からの電流を電動機M1に供給する。電動機M1は、電池パック13からの電流の供給を受けて駆動される。
【0013】
トリガスイッチSW1は、操作部22(図1参照)に対して操作がされることによりオンオフする。トリガスイッチSW1は、例えば、メカニカルスイッチである。スイッチング素子SW2は、例えば、FET(Field Effect Transistor)である。測定部11は、抵抗器110と、測定機能部121と、を含む。複数の二次電池131の直列回路の正極132と負極133との間には、トリガスイッチSW1と、電動機M1と、スイッチング素子SW2と、抵抗器110との直列回路が電気的に接続されている。また、電動機M1に並列にダイオードD1が接続されている。ダイオードD1のカソード側は、トリガスイッチSW1を介して複数の二次電池131の直列回路の正極132に電気的に接続されている。
【0014】
電動工具1は、測定機能部121と制御部122とを含む制御装置12を備えている。つまり、測定機能部121は、制御装置12の構成と測定部11の構成とを兼ねている。制御装置12は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータ(マイクロコンピュータ)により構成されている。コンピュータのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御装置12としての機能が実現される。電池パック13は、複数の二次電池131からの電力を、電源回路を介して制御装置12等に供給する。
【0015】
制御部122は、ドライブ回路14を制御する。ドライブ回路14は、制御部122の制御に応じて、スイッチング素子SW2のゲート電圧を制御することで、スイッチング素子SW2をオンオフさせる。これにより、制御部122は、電池パック13から電動機M1に電流が供給される状態と電流が供給されない状態とを切り替え、電池パック13から電動機M1に電流が供給される状態のときは、電流の大きさを制御する。
【0016】
また、制御部122は、電動機M1の回転数のフィードバック制御を行う。
【0017】
測定部11は、電池パック13から電動機M1に供給される電流の大きさを測定する。より詳細には、電池パック13から電動機M1に供給される電流は、抵抗器110の両端間の電圧V1に変換される。増幅回路15は、抵抗器110の一端に接続されている。増幅回路15は、例えば、オペアンプを含む。増幅回路15は、電圧V1を増幅して、増幅後の電圧V2を制御装置12に出力する。制御装置12の測定機能部121は、例えば、電圧V2をアナログ・デジタル変換して、電圧V2の大きさを測定する。電動機M1にかかる負荷の大きさが大きいほど、電池パック13から電動機M1に供給される電流が大きい。また、電池パック13から電動機M1に供給される電流が大きいほど、電圧V2は大きい。
【0018】
制御部122は、測定機能部121により測定される電圧V2が、所定の条件を満たすように低減すると、電動機M1を停止させる。より詳細には、電圧V2が所定の条件を満たすように低減すると、制御部122は、ドライブ回路14に停止信号を出力する。ドライブ回路14は、停止信号が入力されると、スイッチング素子SW2をオフにさせる。このようにして、制御部122は、電池パック13から電動機M1への電流の供給を遮断して、電動機M1を停止させる。
【0019】
所定の条件は、電動機M1の動作中に電圧V2が、第1の閾値Th1(規定の閾値:図4参照)以上の値になった後に、第2の閾値Th2(所定の閾値:図4参照)以下の値になるという条件である。制御部122は、電圧V2を第1の閾値Th1及び第2の閾値Th2と比較することによって、所定の条件が満たされたか否かを検知する。第1の閾値Th1は、第2の閾値Th2よりも大きい。
【0020】
(電動工具の動作)
以下、図5を参照して、電動工具1の動作例について説明する。
【0021】
作業者が操作部22(図1参照)を操作すると(ステップS1)、トリガスイッチSW1がオンになる。このとき、制御部122は、ドライブ回路14を介してスイッチング素子SW2をオンさせる。すると、電池パック13から電動機M1に電流が供給される。そのため、抵抗器110の両端間に電圧V1が発生する(ステップS2)。増幅回路15は、電圧V1を増幅して、増幅後の電圧V2を制御装置12に出力する(ステップS3)。
【0022】
制御部122は、電圧V2を第1の閾値Th1と比較する(ステップS4)。電圧V2が第1の閾値Th1よりも小さい場合、制御部122は、電圧V2を第1の閾値Th1と比較し続ける。電圧V2が第1の閾値Th1以上の場合、制御部122は、電圧V2を第2の閾値Th2と比較する(ステップS5)。
【0023】
電圧V2が第2の閾値Th2よりも大きい場合、制御部122は、電圧V2を第2の閾値Th2と比較し続ける。電圧V2が第2の閾値Th2以下の場合、制御部122は、ドライブ回路14に停止信号を出力する(ステップS6)。これに応じて、ドライブ回路14は、スイッチング素子SW2をオフにさせる(ステップS7)。したがって、電動機M1は停止する(ステップS8)。
【0024】
つまり、制御部122は、電動機M1の動作中に電圧V2が、第1の閾値Th1以上の値になった後に、第2の閾値Th2以下の値になるという所定の条件を満たした場合に、電動機M1を停止させる。
【0025】
以下では、図4を参照して、電圧V2の変化と制御部122による電動機M1の制御との関係の一例について説明する。
【0026】
まず、作業者は、電線100(図1参照)を固定刃61(図1参照)と可動刃62(図1参照)との間に配置する。次に、作業者が操作部22(図1参照)を操作することにより、電動機M1が回転を開始する(時点t1)。すなわち、時点t1において、作業者は、電動工具1を用いて電線100を切断する作業を開始する。カッター部6(図1参照)は、電動機M1から伝達される動力により駆動され、電線100に力を加えて電線100を切断しようとするので、カッター部6が電線100に接触していない場合よりも、電動機M1にかかる負荷の大きさは大きくなる。そのため、カッター部6が電線100に接触していない場合よりも、電池パック13から電動機M1に供給される電流が大きくなる。具体的には、時点t1以降、電池パック13から電動機M1に供給される電流は、時間が経過するにつれて増加する。電池パック13から電動機M1に供給される電流が増加するのに応じて、電圧V2が増加する。時点t2において、電圧V2は第1の閾値Th1以上の値になる。
【0027】
時点t3において、カッター部6は電線100の切断を完了する。具体的には、カッター部6は、電線100を切断して2つに分ける。すると、カッター部6から電線100に加えられる力が減少するので、電動機M1にかかる負荷の大きさが低減する。そのため、電池パック13から電動機M1に供給される電流が低減する。電池パック13から電動機M1に供給される電流が低減するのに応じて、電圧V2が低減する。例えば、時点t3以降、カッター部6が電線100から離れると、電動機M1が空転するので、電動機M1は無負荷となる。
【0028】
時点t4において、電圧V2は第2の閾値Th2以下になる。すなわち、電動機M1の動作中に電圧V2が、第1の閾値Th1以上の値になった後に、第2の閾値Th2以下の値になるという所定の条件が、時点t4において満たされる。すると、制御部122は、電動機M1を停止させる。より詳細には、制御部122は、ドライブ回路14を介してスイッチング素子SW2をオフにすることにより、電池パック13から電動機M1への電流の供給を遮断し、電動機M1を停止させる。したがって、時点t5において、電圧V2は0になる。また、作業者が操作部22への操作を止めると、トリガスイッチSW1がオフになる。
【0029】
時点t4以降は、操作部22(図1参照)が再び操作されてトリガスイッチSW1がオフからオンにされるまで、制御部122は、ドライブ回路14に対する制御を行わないことにより、スイッチング素子SW2をオフにさせ続ける。そのため、電動機M1は停止し続ける。操作部22が操作されてトリガスイッチSW1がオンにされると、制御部122は、ドライブ回路14を介してスイッチング素子SW2をオンにさせるので、再び電池パック13から電動機M1に電流が供給され、電動機M1が回転を開始する。
【0030】
以上の通り、電圧V2が所定の条件を満たすように低減すると、制御部122は、電動機M1を停止させる。したがって、制御部122がこのような動作を行わない場合と比較して、電動機M1の電力消費を低減できる。
【0031】
(電動工具の構造)
次に、図1、2を参照して、電動工具1の構造について、より詳細に説明する。
【0032】
電動工具1は、工具本体2と、カッター部6(工具)と、を備えている。工具本体2は、ハウジング4と、電動機M1(図3参照)と、操作部22と、を備えている。
【0033】
ハウジング4は、筒状部41と、グリップ部42と、装着部43と、を含む。グリップ部42は、筒状部41の側面410から突出している。グリップ部42には、操作部22が取り付けられている。筒状部41の軸方向の一端には、カッター部6が取り付けられている。より詳細には、カッター部6は、筒状部41に着脱可能に取り付けられている。
【0034】
装着部43は、グリップ部42のうち、筒状部41側とは反対側の先端につながっている。装着部43には、電池パック13が着脱可能に取り付けられる。
【0035】
作業者が操作部22を引き込む操作をすると、電動機M1(図3参照)が回転する。作業者が操作部22を引き込む動作を止めると、電動機M1が停止する。
【0036】
工具本体2は、伝達機構を更に備えている。伝達機構は、複数の歯車を含む。電動機M1の回転力は、伝達機構によりカッター部6に伝達される。
【0037】
カッター部6は、固定刃61と可動刃62とに加えて、取手63と、収容部64と、取付部65と、歯車と、を更に備えている。歯車は、収容部64に収容されている。歯車は、電動機M1(図3参照)から伝達機構を介して伝達された回転力により回転する。収容部64は、開口部640を有している。開口部640は、収容部64のうち、工具本体2側とは反対側に設けられている。
【0038】
固定刃61及び可動刃62の各々は、円弧状に形成されている。固定刃61は、収容部64につながっている。より詳細には、固定刃61は、収容部64と一体に形成されている。可動刃62は、固定刃61に回転可能に取り付けられている。取手63は、可動刃62に取り付けられている。作業者は、取手63を掴んで可動刃62を固定刃61に対して回転させることができる。
【0039】
可動刃62は、複数の歯621を有している。複数の歯621は、可動刃62の外縁に設けられている。作業者が電動工具1を用いて電線100を切断する際には、可動刃62の一部は、収容部64の開口部640に通される。すると、可動刃62の複数の歯621と、収容部64に収容された歯車とが接触する。可動刃62の複数の歯621は、収容部64に収容された歯車の複数の歯と噛み合う。
【0040】
取付部65は、収容部64につながっている。取付部65には、ねじ67が通されるねじ孔が形成されている。取付部65は、ねじ67を用いたねじ止めにより、工具本体2に着脱可能に取り付けられている。
【0041】
(電動工具を用いた作業)
以下では、作業者が電動工具1を用いて電線100を切断する手順の一例を説明する。
【0042】
まず、作業者は、取手63を掴んで可動刃62を回転させ、図2に示すように、可動刃62の複数の歯621を、収容部64に収容された歯車から離れた状態にする。
【0043】
次に、作業者は、電線100を固定刃61の内縁側に配置する。さらに、作業者は、取手63を掴んで可動刃62を回転させ、可動刃62の複数の歯621を、収容部64に収容された歯車に接触した状態にする。これにより、図1に示すように、電線100は、固定刃61と可動刃62との間に配置された状態となる。
【0044】
次に、作業者は、操作部22を引き込む操作を行う。これにより、電動機M1が回転する。電動機M1の回転力は、伝達機構を介して収容部64に収容された歯車に伝達され、歯車が回転する。これにより、可動刃62の複数の歯621が歯車の複数の歯と噛み合いながら、可動刃62が回転する。可動刃62が回転することで、電線100は、固定刃61と可動刃62とから剪断応力を受けて切断される。
【0045】
上述の通り、電動機M1の動作中に電圧V2が所定の条件を満たすように低減すると、制御部122は、電動機M1を停止させる。電動機M1にかかる負荷の大きさが大きいほど、電圧V2は大きいので、電動機M1に駆動されたカッター部6から電線100に加えられている力が低減すると、電圧V2が低減することがある。そのため、作業者は、電動機M1が停止したとき、カッター部6から電線100に加えられている力が低減したということを知ることができる。
【0046】
より詳細には、カッター部6が電線100の切断を完了すると、電圧V2が低減する。そのため、作業者は、電動機M1が停止したとき、カッター部6が電線100の切断を完了したということを知ることができる。
【0047】
(実施形態の変形例)
次に、実施形態の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0048】
制御部122は、電動機M1の動作中に電圧V2が、第1の閾値Th1以上の値になった後に、第2の閾値Th2以下の値になるという所定の条件を満たした場合に、電動機M1を停止させるのではなく、電動機M1の出力を低減させてもよい。より詳細には、制御部122は、ドライブ回路14を介してスイッチング素子SW2をオンオフさせることにより、電池パック13から電動機M1に供給される電流を低減させ、これにより、電動機M1の出力を低減させてもよい。あるいは、制御部122は、電動機M1の出力を低減させるために、電池パック13から電動機M1に供給される電流及び電動機M1の回転数のうち少なくとも一方を低減させてもよい。
【0049】
また、電動工具1は、電線を切断するための電動工具に限定されない。例えば、電動工具1は、電動式のドリル、ドライバ、レンチ、ニブラ又はグラインダであってもよい。あるいは、電動工具1は、電線以外の切断対象(例えば、ねじ等の金属材料、又は木材)を切断するための電動工具であってもよい。あるいは、電動工具1は、工具本体2にホールソーが取り付けられて、ホールソーにより天井材等に孔を開ける電動工具であってもよい。
【0050】
また、カッター部6(工具)は、電動工具1の構成に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0051】
また、電池パック13は、電動工具1の構成に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0052】
また、電動機M1は、電池パック13から電流の供給を受けることに限定されず、商用電源等の外部電源から電流の供給を受けてもよい。
【0053】
また、電動機M1に供給される電流の大きさは、電動機M1にかかる負荷の大きさに対応する物理量であり、実施形態の測定部11は、電動機M1に供給される電流の大きさに基づく電圧V2を測定する。これに対して、測定部11は、電動機M1に供給される電流の大きさそのものを測定する構成であってもよい。あるいは、測定部11は、電動機M1にかかる負荷の大きさに対応する物理量である、電動機M1のトルク及び回転数のうち少なくとも一方を測定する構成であってもよい。
【0054】
また、所定の条件は、電圧V2が第1の閾値Th1以上の値になった後に、第2の閾値Th2以下である状態が規定の時間継続するという条件であってもよい。
【0055】
また、所定の条件は、電動機M1にかかる負荷の大きさ(又は電動機M1にかかる負荷の大きさに対応する物理量)が所定量以上低減するという条件であってもよい。あるいは、所定の条件は、所定時間の間に電動機M1にかかる負荷の大きさ(又は電動機M1にかかる負荷の大きさに対応する物理量)が所定量以上低減するという条件であってもよい。あるいは、所定の条件は、電圧V2が、第1の閾値Th1以上の値になってから所定時間が経過するまでに第2の閾値Th2以下の値になるという条件であってもよい。
【0056】
また、測定機能部121及び制御部122が1つの筐体内に集約されていてもよいし、測定機能部121及び制御部122が複数の筐体に分散して設けられていてもよい。
【0057】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る電動工具1は、電動機M1と、測定部11と、制御部122と、を備える。電動機M1は、工具(カッター部6)を駆動する。測定部11は、電動機M1にかかる負荷の大きさを測定する。制御部122は、測定部11で測定される負荷の大きさが所定の条件を満たすように低減すると、電動機M1の出力を低減させる又は電動機M1を停止させる。
【0058】
上記の構成によれば、電動機M1にかかる負荷の大きさが所定の条件を満たすように低減すると、制御部122は電動機M1の出力を低減させる又は電動機M1を停止させる。したがって、制御部122がこのような動作を行わない場合と比較して、電動機M1の電力消費を低減できる。
【0059】
また、第2の態様に係る電動工具1では、第1の態様において、工具(カッター部6)は、電動機M1により駆動され切断対象(電線100)を切断可能である。所定の条件は、工具が切断対象の切断を完了したときに満たされる条件である。
【0060】
上記の構成によれば、工具(カッター部6)が切断対象(電線100)の切断を完了したときに制御部122が電動機M1の出力を低減させる又は電動機M1を停止させることで、電動機M1の電力消費を低減できる。
【0061】
また、第3の態様に係る電動工具1では、第1又は2の態様において、測定部11は、電動機M1に供給される電流の大きさを測定する。所定の条件は、電動機M1の動作中に、測定部11により測定された電流値(電圧V2)が、所定の閾値(第2の閾値Th2)よりも大きい値から、所定の閾値以下の値になるという条件である。
【0062】
上記の構成によれば、制御部122は、電動機M1に供給される電流の大きさに応じて電動機M1の出力を低減させる又は電動機M1を停止させる。電動機M1に負荷が接続されているとき、電動機M1にかかる負荷の大きさは電動機M1に供給される電流に応じて変化するので、制御部122は、電動機M1にかかる負荷の大きさに応じて電動機M1の出力を低減させる又は電動機M1を停止させることができる。
【0063】
また、第4の態様に係る電動工具1では、第3の態様において、所定の条件は、電動機M1の動作中に、測定部11により測定された電流値(電圧V2)が、規定の閾値(第1の閾値Th1)以上の値になった後に、所定の閾値(第2の閾値Th2)以下の値になるという条件である。規定の閾値は、所定の閾値よりも大きい。
【0064】
電動機M1に供給される電流の大きさが所定の閾値(第2の閾値Th2)から規定の閾値(第1の閾値Th1)まで増加する途中で、ノイズ等により電流が変動して所定の閾値以下になることがある。この場合に、上記の構成によれば、制御部122が電動機M1の出力を低減させてしまう又は電動機M1を停止させてしまうことを抑制できる。
【0065】
第1の態様以外の構成については、電動工具1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 電動工具
11 測定部
122 制御部
6 カッター部(工具)
100 電線(切断対象)
M1 電動機
Th1 第1の閾値(規定の閾値)
Th2 第2の閾値(所定の閾値)
図1
図2
図3
図4
図5