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特許7336721環境制御システム、環境制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】環境制御システム、環境制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230825BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20230825BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20230825BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04Q9/00 301C
H05B47/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019137204
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2021022072
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 昌史
(72)【発明者】
【氏名】原田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】内田 達清
(72)【発明者】
【氏名】豊澄 幸太郎
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-217677(JP,A)
【文献】特開2017-201479(JP,A)
【文献】特表2015-509639(JP,A)
【文献】特開2010-257287(JP,A)
【文献】特開2016-032261(JP,A)
【文献】特開平04-055649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0257658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H04Q 9/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記複数のユーザに対応する複数の位置情報に基づいて、前記複数のユーザのうち同一の空間に存在する2以上のユーザを特定し、特定した前記2以上のユーザの間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を関連情報として取得する関連情報取得部と、
前記関連情報取得部が取得した前記関連情報を用いて、前記空間に存在する前記2以上のユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する予測部と、
前記予測部の予測結果に応じて、前記空間の環境パターンを決定する決定部と、を備える、
環境制御システム。
【請求項2】
前記決定部が決定した前記環境パターンに基づいて、前記空間の環境を制御する環境制御部を、更に備える、
請求項1に記載の環境制御システム。
【請求項3】
前記決定部が決定した前記環境パターンを、前記空間に存在する前記2以上のユーザのうち少なくとも一のユーザに通知する通知部を、更に備える、
請求項1又は2に記載の環境制御システム。
【請求項4】
前記予測部は、前記空間に存在するユーザの数が増加する度に、前記コミュニケーションの活発度合を予測する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項5】
前記予測部は、前記空間に設けられた装置に対して所定の操作が行われた場合に、前記コミュニケーションの活発度合を予測する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項6】
前記予測部は、前記所定の操作後、所定の時間が経過した場合に、前記コミュニケーションの活発度合を予測する、
請求項5に記載の環境制御システム。
【請求項7】
前記予測部は、前記所定の操作後、前記空間に存在する前記2以上のユーザの人数が所定数以上となった場合に、前記コミュニケーションの活発度合を予測する、
請求項5に記載の環境制御システム。
【請求項8】
前記予測部は、前記空間に存在する前記2以上のユーザのうち一のユーザが有する情報端末から指示を受け付けた場合に、前記コミュニケーションの活発度合を予測する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項9】
前記空間には、複数の照明機器が設けられており、
前記決定部は、前記複数の照明機器の各々の制御パターンを前記環境パターンとして決定する、
請求項1~8のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項10】
前記決定部は、前記空間の利用開始時における前記複数の照明機器の各々の第1制御パターン、及び前記空間の利用開始から所定時間経過後の前記複数の照明機器の各々の第2制御パターンを、前記環境パターンとして決定する、
請求項9に記載の環境制御システム。
【請求項11】
前記空間には、スピーカが設けられており、
前記決定部は、前記交流情報及び前記属性関係のうち少なくとも一方に応じて、前記スピーカから出力する音の有無を、前記環境パターンとして決定する、
請求項1~10のいずれか一項に記載の環境制御システム。
【請求項12】
位置情報取得部と、関連情報取得部と、予測部と、決定部と、を備える環境制御システムで用いられる環境制御方法であって、
前記位置情報取得部が、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記関連情報取得部が、前記複数のユーザに対応する複数の位置情報に基づいて、前記複数のユーザのうち同一の空間に存在する2以上のユーザを特定し、特定した前記2以上のユーザの間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を関連情報として取得する関連情報取得ステップと、
前記予測部が、前記関連情報取得ステップで取得した前記関連情報を用いて、前記空間に存在する前記2以上のユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する予測ステップと、
前記決定部が、前記予測ステップでの予測結果に応じて、前記空間の環境パターンを決定する決定ステップと、を含む、
環境制御方法。
【請求項13】
コンピュータに、請求項12に記載の環境制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に環境制御システム、環境制御方法及びプログラムに関し、より詳細には空間におけるユーザの存在に応じて環境を制御する環境制御システム、環境制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の動作状態によって照明を適切に制御することができる照明機器制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の照明機器制御装置は、人間の動きの程度を表す動作活性度を取得する取得部と、取得された動作活性度を用いて人間が起立した起立状態であるか、着座した着座状態であるかを判定する判定部と、判定の結果に応じて照明機器による照明分布を決定する決定部と、決定された照明分布に従って光を照射するよう照明機器を制御する制御部と、を有する。
【0004】
この構成によると、人との動作状態によって照明を適切に制御できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-65132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、初対面の人(ユーザ)が多い会議では、コミュニケーションが活発にならず会議等での議論が十分に行われない可能性がある。初対面の人同士の間でコミュニケーションが活発にならない原因として、初対面の人のそれぞれが相手に対して心理的な壁を作るためである。会議等においてユーザ間のコミュニケーションが活発になるよう会議室等の空間の環境を制御する必要がある。しかしながら、特許文献1では、人の動作状態に基づいて照明を制御しており、ユーザ間の関係性を用いていない。そのため、特許文献1では、複数のユーザ間のコミュニケーションが活発になるとは限らない。
【0007】
本開示は上記課題に鑑みてなされ、複数のユーザ間のコミュニケーションを活発にする環境制御システム、環境制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る環境制御システムは、位置情報取得部と、関連情報取得部と、予測部と、決定部と、を備える。前記位置情報取得部は、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する。前記関連情報取得部は、前記複数のユーザに対応する複数の位置情報に基づいて、前記複数のユーザのうち同一の空間に存在する2以上のユーザを特定し、特定した前記2以上のユーザの間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を関連情報として取得する。前記予測部は、前記関連情報取得部が取得した前記関連情報を用いて、前記空間に存在する前記2以上のユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する。前記決定部は、前記予測部の予測結果に応じて、前記空間の環境パターンを決定する。
【0009】
本開示の一態様に係る環境制御方法は、位置情報取得部と、関連情報取得部と、予測部と、決定部と、を備える環境制御システムで用いられる。前記環境制御方法は、位置情報取得ステップと、関連情報取得ステップと、予測ステップと、決定ステップと、を含む。前記位置情報取得ステップでは、前記位置情報取得部が、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する。前記関連情報取得ステップでは、前記関連情報取得部が、前記複数のユーザに対応する複数の位置情報に基づいて、前記複数のユーザのうち同一の空間に存在する2以上のユーザを特定し、特定した前記2以上のユーザの間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を関連情報として取得する。前記予測ステップでは、前記予測部が、前記関連情報取得ステップで取得した前記関連情報を用いて、前記空間に存在する前記2以上のユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する。前記決定ステップでは、前記決定部が、前記予測ステップでの予測結果に応じて、前記空間の環境パターンを決定する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、前記環境制御方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によると、複数のユーザ間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一態様に係る環境制御装置の構成を説明する図である。
図2図2は、同上の環境制御装置を備える管理システムの構成を説明する図である。
図3図3は、同上の環境制御装置の動作を説明する図である。
図4図4Aは、同上の管理システムが備える照明機器の設置例を説明する図である。図4Bは、空間を上方から見た場合における照明機器の設置例を説明する図である。
図5図5Aは、同上の環境制御装置が第1照明パターンで各照明機器を制御した場合を例示する図である。図5Bは、同上の環境制御装置が第1照明パターンで各照明機器を制御した後、第2照明パターンで各照明機器を制御した場合を例示する図である。
図6図6は、変形例1に係る環境制御装置の構成を説明する図である。
図7図7は、変形例3に係る管理システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、各実施形態及び変形例に限定されない。これらの実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(実施形態)
以下、本実施形態に係る環境制御システム1及び管理システム2について、図1図5Bを用いて説明する。
【0015】
(1)概要
本実施形態に係る管理システム2は、図2に示すように、環境制御システム1としての環境制御装置10と、位置情報システム3と、照明制御装置20と、複数(図示例では15台)の照明機器50と、スピーカ60と、操作装置70と、を備える。
【0016】
本実施形態では、複数の照明機器50は、例えばスポットライトである。複数の照明機器50は、空間E1の上方(例えば天井)に設けられたダクトレールL1(図4A図4B参照))に取り付けられる。本実施形態では、3本のダクトレールL1の各々に、所定数(例えば、5台)の照明機器50が取り付けられる。なお、複数の照明機器50を区別する場合には、照明機器50a~50oと記載する(図2図4A図4B参照)。
【0017】
本実施形態では、複数の照明機器50は、ユーザが操作装置70を操作することで、点灯、消灯が可能に構成されている。操作装置70は、例えば空間E1の壁に設けられたスイッチである。操作装置70が所定の操作(例えば点灯の操作)を受け付けると、照明制御装置20へ点灯指示を送信する。照明制御装置20は、点灯指示を受け取ると、複数の照明機器50が点灯するように複数の照明機器50を制御する。さらに、点灯指示を受け取った旨の指示受付情報を環境制御装置10に送信する。
【0018】
位置情報システム3は、図2に示すように、空間E1に設けられた受信装置30と、複数(図示例では4つ)のタグ40と、を含む。なお、位置情報システム3は、他の空間に設けられた受信装置をも含む。
【0019】
受信装置30は、例えば、施設5に設けられた会議室5aの空間E1に設けられる。受信装置30は、タグ40と無線通信が可能に構成されている。本実施形態では、受信装置30が無線通信可能な範囲は、空間E1内である。要は、受信装置30は、空間E1を無線通信可能な範囲としてタグ40と通信可能である。
【0020】
また、空間E1とは異なる空間に設けられた受信装置は、空間E1に設けられた受信装置30と同様の構成を有しており、タグ40と無線通信が可能である。
【0021】
複数のタグ40のそれぞれは、受信装置30と無線通信が可能に構成されている。複数のタグ40は、複数のユーザにそれぞれ所持される。ユーザが会議室5aに入室すると、当該ユーザが所持するタグ40は、受信装置30と通信を行う。受信装置30は、タグ40から情報(例えば、タグ40の識別子)を受信すると、自機の識別子を含む情報であってユーザを検知したことを表す検知位置情報(以下、「位置情報」ともいう)を、環境制御装置10に送信する。
【0022】
環境制御装置10は、受信装置30及び空間E1とは異なる空間に設けられた受信装置(図示せず)のそれぞれから検知位置情報を受信すると、会議室5aに入室したユーザを特定する。環境制御装置10は、複数のユーザを特定すると、特定したユーザ間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に基づいて、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合を予測する。例えば、環境制御装置10は、ユーザ間での会話の発生度合を予測する。
【0023】
環境制御装置10は、予測結果を基に、空間E1の環境を制御する。例えば、環境制御装置10は、複数の照明機器50のうち少なくとも1つの照明機器50を、照明制御装置20を介して制御する。環境制御装置10は、予測結果を基に、スピーカ60から出力する音(例えば、音楽)の出力を制御する。
【0024】
(2)構成
(2-1)環境制御装置
環境制御装置10は、図1に示すように、通信部11、記憶部12及び制御部13を備える。
【0025】
環境制御装置10は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部13として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0026】
通信部11は、受信装置30、照明制御装置20及びスピーカ60と通信を行うための通信インタフェースを有している。
【0027】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等のいずれかのデバイスで構成される。
【0028】
記憶部12は、複数のタグ40の識別子(タグ識別子)と複数のユーザの識別子(ユーザ識別子)とを一対一に対応付けて記憶している。
【0029】
記憶部12は、複数のユーザのそれぞれに対応する属性情報を記憶している。具体的には、記憶部12は、表1に示すように、ユーザごとに、ユーザ名、ユーザ識別子、所属及び職位を記憶している。ここで、属性情報は、対応するユーザの所属及び職位を含む情報である。ユーザ識別子は、対応するユーザを識別する識別子である。所属は、対応するユーザが属する部署を表す。職位は、対応するユーザの職位を表す。表1において、職位“-”は、一般社員を表す。例えば、表1では、ユーザ“A”には、ユーザ識別子“ID01”、所属“商品部”、職位”リーダ“がそれぞれ対応付けられている。
【0030】
【表1】
【0031】
記憶部12は、ユーザ間の交流情報を記憶している。交流情報は、一のユーザと他のユーザとが会議室等の同一空間に同時に存在した回数を表す。言い換えると、交流情報は、一のユーザと他のユーザとが会議等で同席した回数を表す。具体的には、記憶部12は、表2に示すように、会議室5a等の同一空間において、各ユーザが他のユーザと同室した回数を記憶している。例えば、ユーザ“A”は、ユーザ“B”,“D”とは面識がなく、ユーザ“C”とは、会議等において面識がある。
【0032】
【表2】
【0033】
記憶部12は、複数の照明機器50、及びスピーカ60の制御パターンを記憶している。記憶部12は、表3に示すように、会議室5aの利用用途に応じた制御パターンを記憶している。第1照明パターンは、利用開始(会議開始)時における各照明機器50の照度[lux]及び調色[K]を表す。第2照明パターンは、利用開始(会議開始)から所定時間経過後の各照明機器50の照度[lux]及び調色[K]を表す。音出力パターンは、音楽の出力の有無を表す。なお、利用開始時から終了時まで第1照明パターンから変更が無い場合には、第2照明パターンは空白となる。本実施形態において、表3に記載する“周辺”とは、テーブルD1を上方から見た場合、テーブルD1と重ならない領域である。表3に記載する“テーブル”とは、テーブルD1を上方から見た場合、テーブルD1と重なる領域である。表3に記載する“スポット(全体)”とは、テーブルD1を上方から見た場合、テーブルD1と重なる領域に設けられたすべての照明機器50を点灯することである。表3に記載する“スポット(中心)”とは、テーブルD1を上方から見た場合、テーブルD1と重なる領域に設けられたすべての照明機器50のうち中心部に存在する照明機器50を点灯することである。以下の説明において、テーブルD1を上方から見た場合にテーブルD1と重ならない領域を、周辺領域という場合がある。またテーブルD1を上方から見た場合にテーブルD1と重なる領域をテーブル領域という場合がある。
【0034】
【表3】
【0035】
例えば、会議室5aの利用用途が来客対応である場合には、テーブルD1(図4A図4B参照)の上方に設けられたすべて照明機器50が点灯され、テーブルD1周辺の上方に設けられた1つ以上の照明機器50は照度の値を300lux、調色の値を3500Kとして点灯される。このとき、スピーカ60から音楽が出力される。なお、テーブルD1の上方に設けられたすべて照明機器50の照度の値は、テーブルD1の周辺の照明機器50に設定された照度の値以上である。さらに、テーブルD1の上方に設けられたすべて照明機器50の調色の値は、テーブルD1の周辺の照明機器50に設定された調色の値以上である。
【0036】
また、会議室5aの利用用途が研修である場合には、テーブルD1の上方に設けられた1つ以上の照明機器50のうち中心に位置する照明機器50が点灯され、テーブルD1周辺の上方に設けられた1つ以上の照明機器50は照度の値を150lux、調色の値を3500Kとして点灯される。このとき、スピーカ60から音楽は出力されない。なお、テーブルD1の上方に設けられたすべて照明機器50のうち点灯対象の照明機器50の照度の値は、テーブルD1の周辺の照明機器50に設定された照度の値以上である。さらに、テーブルD1の上方に設けられたすべて照明機器50のうち点灯対象の照明機器50の調色の値は、テーブルD1の周辺の照明機器50に設定された調色の値以上である。
【0037】
制御部13は、図1に示すように、位置情報取得部131、関連情報取得部132、予測部133、決定部134及び環境制御部135を有する。
【0038】
位置情報取得部131は、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する。具体的には、位置情報取得部131は、会議室5a(空間E1)に入室した複数のユーザのそれぞれのタグ40から受信装置30が受信したタグ識別子を含む位置情報を、通信部11を介して受け取る。
【0039】
関連情報取得部132は、複数のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに対応するタグ識別子に対応するユーザ識別子を記憶部12から取得する。関連情報取得部132は、複数のユーザのうち空間E1に存在する2以上のユーザのそれぞれについて、関連情報取得部132が取得した当該ユーザのユーザ識別子に対応する属性情報を、記憶部12から取得する。
【0040】
関連情報取得部132は、会議室5a(空間E1)に入室した2以上のユーザ間の交流情報を記憶部12から取得する。
【0041】
関連情報取得部132は、各ユーザの属性情報を基に、ユーザ間の属性関係を特定する。例えば、一のユーザと他のユーザとが、所属先が同一であり、一のユーザがリーダであり、他のユーザが一般社員である場合は、一のユーザと他のユーザとに対して上司、部下という属性関係を特定する。一のユーザと他のユーザとが、所属先が異なる場合には、属性関係は無いと判断する。
【0042】
予測部133は、交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を用いて、ユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する。具体的には、予測部133は、照明制御装置20から指示受付情報を受け取り、所定の時間(例えば、5分)が経過すると、空間E1に存在するユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する。
【0043】
例えば、予測部133は、各ユーザ間の交流情報を基に、会議等で同席した回数が0回であるユーザの組み合わせが全体の50%以上である場合、初対面のユーザが多い会議であるため、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は低いと予測する。つまり、予測部133は、ユーザ間での会話の発生度合は低いと予測する。
【0044】
また、会議室5a(空間E1)において2人のユーザのユーザ識別子が特定され、上司、部下の属性関係が得られた場合、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は低いと予測する。
【0045】
また、会議等で同席した回数が所定回数(例えば、3回)以上であるユーザの組み合わせが全体の50%以上である場合、面識のあるユーザが多い会議であるため、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は高いと予測する。つまり、予測部133は、ユーザ間での会話の発生度合は高いと予測する。
【0046】
決定部134は、ユーザ間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間E1の環境パターンを決定する。具体的には、決定部134は、交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に基づいた予測部133による予測結果に応じて、環境パターンを決定する。
【0047】
決定部134は、予測部133による予測結果に基づいて、会議室5aでの会議は表3に示す複数の利用用途のうち1つの利用用途を決定する。決定部134は、決定した利用用途に応じた照明パターン及び音出力パターンを環境パターンとして決定する。
【0048】
例えば、予測部133が初対面のユーザが多く、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は低いと予測した場合、決定部134は、会議室5aでの会議は表3に示す複数の利用用途のうち研修であると決定する。決定部134は、研修に応じた照明パターン及び音出力パターンを決定する。この場合、決定部134は、表2を用いて、研修に対応する第1照明パターン、第2照明パターン及び音出力パターンを決定する。
【0049】
また、会議室5a(空間E1)では2人のユーザのみが存在し、かつ上司、部下の属性関係が得られた場合においてユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は低いと予測部133が予測した場合、決定部134は、会議は面接と決定する。決定部134は、表2を用いて、面接に対応する第1照明パターン及び音出力パターンを決定する。
【0050】
また、面識のあるユーザが多く、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は高いと予測部133が予測した場合、決定部134は、会議はアイデア会議と決定する。決定部134は、表2を用いて、アイデア会議に対応する第1照明パターン及び音出力パターンを決定する。ここで、アイデア会議は、例えばブレーンストーミングである。
【0051】
環境制御部135は、決定部134が決定した環境パターンに基づいて、空間E1の環境を制御する。具体的には、環境制御部135は、決定部134が決定した照明パターンを照明制御装置20に送信し、照明制御装置20を介して各照明機器50を制御する。このとき、照明制御装置20は、決定部134が決定した第1照明パターンに基づいて、各照明機器50を制御する。照明制御装置20は、決定部134が第2照明パターンも決定している場合には、第1照明パターンに基づいて各照明機器50を制御した後、所定時間が経過すると、第2照明パターンに基づいて各照明機器50を制御する。さらに、環境制御部135は、決定部134が決定した音出力パターンに基づいて、スピーカ60を制御する。
【0052】
(2-2)照明制御装置
照明制御装置20は、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが照明制御装置20として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0053】
照明制御装置20は、環境制御装置10が取得した照明パターンを、環境制御装置10から受け取る。
【0054】
照明制御装置20は、空間E1に設けられた複数の照明機器50を、環境制御装置10から受け取った照明パターンの制御内容に基づいて制御する。
【0055】
(3)動作
ここでは、環境制御装置10の動作について、図3を用いて説明する。
【0056】
位置情報取得部131は、複数のユーザに対応する複数の位置情報を取得する(ステップS1)。具体的には、位置情報取得部131は、複数のユーザのそれぞれのタグ40が出力したタグ識別子を、受信装置30及び通信部11を介して受け取る。
【0057】
関連情報取得部132は、関連情報を取得する(ステップS2)。具体的には、関連情報取得部132は、複数のユーザのうち空間E1に存在する2以上のユーザのそれぞれについて、当該ユーザに対応するタグ識別子に対応するユーザ識別子を記憶部12から取得する。関連情報取得部132は、空間E1に存在する2以上のユーザのそれぞれの属性情報を、記憶部12から取得する。関連情報取得部132は、会議室5a(空間E1)に入室したユーザ間の交流情報を記憶部12から取得する。関連情報取得部132は、各ユーザの属性情報を基に、ユーザ間の属性関係を特定する。これにより、関連情報取得部132は、交流情報及び属性関係の各々を、関連情報として取得する。
【0058】
予測部133は、照明制御装置20から指示受付情報を受け取り、所定の時間(例えば、5分)が経過すると、交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を用いて、予測処理を行う(ステップS3)。具体的には、予測部133は、空間E1に存在するユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する。
【0059】
決定部134は、第1決定処理を行う(ステップS4)。具体的には、決定部134は、交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に基づいた予測部133による予測結果に応じて、環境パターンとして照明パターンを決定する。決定部134は、予測部133による予測結果に基づいて、会議室5aでの会議は表3に示す複数の利用用途のうち1つの利用用途を決定する。決定部134は、決定した利用用途に応じた照明パターンを決定する。
【0060】
決定部134は、第2決定処理を行う(ステップS5)。具体的には、決定部134は、予測部133による予測結果に応じて、環境パターンとして音出力パターンを決定する。決定部134は、上記利用用途に応じた照明パターンを決定する。
【0061】
環境制御部135は、制御処理を行う(ステップS6)。具体的には、環境制御部135は、決定部134が決定した照明パターンを照明制御装置20に送信し、照明制御装置20を介して各照明機器50を制御する。環境制御部135は、決定部134が決定した音出力パターンに基づいて、スピーカ60を制御する。
【0062】
(4)具体例
ここでは、環境制御装置10の具体的な動作について、図4A図5Bを用いて説明する。
【0063】
ここでは、空間E1(会議室5a)において、複数(例えば、6人)のユーザu1~u6がテーブルD1を囲んで会議を行う場合を想定する(図4A及び図4B参照)。なお、本具体例では、テーブルD1を上方から見た場合、複数の照明機器50a~50oのうち照明機器50g~50iが、テーブルD1と重なる領域に設けられている(図4A、及び図4B参照)。また、図4A図5A及び図5Bでは、ユーザu5,u6を省略している。
【0064】
例えば、環境制御装置10は、ユーザu1~u6が初対面である場合には、会議室5aで行われる会議は研修であると判別する。そのため、予測部133は、ユーザ間でのコミュニケーションの活発度合は低い、つまりユーザ間での会話の発生度合は低いと予測する。
【0065】
この場合、決定部134は、表3の内容に従って、研修に対応する第1照明パターン、第2照明パターン及び音出力パターンを決定する。ここでは、第1照明パターンは、空間E1における周辺領域の照明機器50の照度の値を150lux、調色の値を3500Kとし、テーブル領域の照明機器50のうち中心に存在する照明機器50を点灯する制御内容を含む。第2照明パターンは、空間E1における周辺領域の照明機器50の照度の値を150lux、調色の値を3500Kとし、テーブル領域のすべての照明機器50を点灯する制御内容を含む。
【0066】
環境制御部135は、第1照明パターン及び第2制御パターンを照明制御装置20に送信し、照明制御装置20を介して各照明機器50を制御する。
【0067】
ここでは、環境制御部135は、第1照明パターンの制御内容に基づいて、照明制御装置20を介して空間E1(会議室5a)に設けられた各照明機器50を制御する。具体的には、空間E1における周辺領域に設けられた照明機器50a~50e,50f,50j,50k~50oについては、照度の値を150lux、調色の値を3500Kとして点灯される(図5A参照)。空間E1におけるテーブル領域に設けられた照明機器50g~50iについては、中心に存在する照明機器50hのみが点灯される(図5A参照)。
【0068】
環境制御部135は、第1照明パターンの制御内容に基づいて、照明制御装置20を介して各照明機器50を制御した後、所定時間が経過すると、第2照明パターンに基づいて照明制御装置20に各照明機器50の制御を行わせる。具体的には、周辺領域に設けられた照明機器50a~50e,50f,50j,50k~50oについては、照度の値を150lux、調色の値を3500Kとして点灯される(図5B参照)。テーブル領域に設けられた照明機器50g~50iは点灯される(図5B参照)。
【0069】
(5)利点
以上説明したように、本実施形態の環境制御装置10は、位置情報取得部131と、決定部134と、を備える。位置情報取得部131は、複数のユーザu1~u6のそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する。決定部134は、複数のユーザu1~u6のうち空間E1に存在する2以上のユーザにそれぞれ対応する2以上の位置情報に基づいて得られる、ユーザ間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間E1の環境パターンを決定する。
【0070】
この構成によると、環境制御装置10は、ユーザ間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間E1の環境パターンを変更することができる。その結果、複数のユーザu1~u6の間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【0071】
例えば、環境制御装置10は、会議室5a(空間E1)の利用用途が、“研修”である場合、テーブルD1の周辺に設けられた1つ以上の照明機器50に対して薄暗く設定する。例えば,環境制御装置10は、テーブルD1の周辺に設けられた1つ以上の照明機器50(50a~50e,50f,50j,50k~50o)に対して、照度の値を150lux、調色の値を3500Kに設定する。さらに、環境制御装置10は、テーブルD1の中心の上方に設けられた照明機器50(50h)に対して明るく照らすように点灯させる。
【0072】
テーブルD1の中心、つまりユーザが集まる中心に設けられた照明機器50hを明るくし、周辺の照明機器50a~50e,50f,50j,50k~50oを照明機器50hよりも暗く点灯させることで、ユーザ間の心理的バリアが緩和される。そのため、空間E1において初対面のユーザが多い場合には、上記のように各照明機器50を制御することで、複数のユーザに対して会話がしやすい環境を提供することができる。
【0073】
上記状態において、時間が経過すると、複数のユーザは、お互いの存在に慣れはじめ、心理的バリアがなくなる。そこで、本実施形態では、第2照明パターンが取得されている場合には、所定時間が経過すると、各照明機器50は第2照明パターンに従って制御される。例えば、照明機器50hだけでなく、テーブルD1の上方に設けられた照明機器50g,50iに対しての照明機器50hと同様の照度、調色で点灯させる。これより、複数のユーザが同じ空間に包まれるので、グループに一体感を与えることができる。
【0074】
また、環境制御装置10は、環境パターンとして音出力パターンを用いることで、空間E1に対して音楽の出力の有無を決定することができる。例えば、会議室5a(空間E1)の利用用途が“面接”である場合には、部下に当たるユーザの緊張度は普段よりも高い。そこで、環境制御装置10は、スピーカ60から音楽を出力することで、部下に当たるユーザの緊張を緩和させることができる。
【0075】
(6)変形例
以下、本実施形態に対する変形例を列記する。なお、以下に説明する変形例は、上記実施形態と適宜組み合わせて適用可能である。
【0076】
(6-1)変形例1
上記実施形態では、環境制御装置10は、決定部134が決定した環境パターン(照明パターン、音出力パターン)に基づいて複数の照明機器50及びスピーカ60を制御する構成としたが、この構成に限定されない。
【0077】
例えば、本変形例の環境制御装置10Aは、決定部134が決定した環境パターン(照明パターン、音出力パターン)に基づいて複数の照明機器50及びスピーカ60を制御する代わりに、環境パターンに応じた情報をユーザに通知をしてもよい。以下、本変形例における環境制御装置10Aについて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。また、本変形例では、操作装置70は、表示部を有しているとする。
【0078】
本変形例の環境制御装置10Aは、図6に示すように、通信部11、記憶部12及び制御部13Aを備える。
【0079】
環境制御装置10Aは、例えばプロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部13Aとして機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0080】
制御部13Aは、図6に示すように、位置情報取得部131、関連情報取得部132、予測部133、決定部134及び通知部136を有する。
【0081】
通知部136は、決定部134が決定した照明パターンに応じた第1パターン情報及び音出力パターンに応じた第2パターン情報を、空間E1に存在する2以上のユーザのうち一のユーザに通知する。例えば、通知部136は、第1パターン情報及び第2パターン情報を、当該一のユーザの操作装置70に送信する。
【0082】
ここで、第1パターン情報は、対応する照明パターンを表す情報である。具体的には、第1パターン情報は、決定部134が決定した照明パターンに対応する利用用途を表す情報である。例えば、予測部133が研修に応じた照明パターンを決定した場合には、第1パターン情報は、利用用途として“研修”を含む情報である。
【0083】
第2パターン情報は、対応する音出力パターンの内容を表す情報である。つまり、第2パターン情報は、音の出力の有又は無のいずれかを表す情報である。
【0084】
第1パターン情報及び第2パターン情報を受け取った操作装置70は、第1パターン情報が表す利用用途、及び第2パターン情報が表す音の出力の有又は無を、表示部に表示する。ユーザは、表示部に表示された利用用途で各照明機器50を制御するための指示を入力する照明制御操作を行う。さらに、表示部に音の出力が有ることが表示されている場合には、音楽を出力するための指示を入力する音出力操作を行う。
【0085】
操作装置70は、照明制御操作を受け付けると、受け付けた指示に応じた照明制御を各照明機器50に対して行う旨の指示を照明制御装置20に送信する。照明制御装置20は、受け取った指示に基づいて各照明機器50を制御する。
【0086】
操作装置70は、音出力操作を受け付けると、音楽を出力するようスピーカ60を制御するための指示を照明制御装置20を介して環境制御装置10Aに送信する。環境制御装置10Aは、受け取った指示に基づいてスピーカ60を制御する。
【0087】
なお、通知部136は、第1パターン情報及び第2パターン情報の通知先をユーザが有する情報端末としてもよい。この場合、通知部136は、複数のユーザのうち1以上のユーザのそれぞれが有する情報端末に、第1パターン情報及び第2パターン情報を送信する。
【0088】
つまり、通知部136は、第1パターン情報及び第2パターン情報の通知先を情報端末及び操作装置70のいずれにした場合でも、複数のユーザのうち少なくとも1人のユーザに通知することができる。ここで、第1パターン情報及び第2パターン情報の通知先である情報端末は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末である。
【0089】
なお、本変形例の環境制御装置10Aは、更に、実施形態1で説明した環境制御部135を備えてもよい。この場合、環境制御装置10Aは、環境制御部135が各照明機器50及びスピーカ60を制御した後、第1パターン情報及び第2パターン情報を操作装置70又はユーザの情報端末に送信する。このとき、操作装置70又は情報端末は、表示するのみであり、照明制御操作及びスピーカ60を制御するための指示を受け付ける必要はない。
【0090】
(6-2)変形例2
上記実施形態において、環境制御装置10の予測部133は、指示受付情報を受け取った後、所定の時間(例えば、5分)が経過すると、空間E1に存在するユーザ間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。
【0091】
予測部133は、指示受付情報を受け取った後、空間E1に所定の人数以上のユーザが存在していると判断したときに、コミュニケーションの活発度合を予測してもよい。例えば、予測部133は、指示受付情報を受け取った後、受信装置30から受け取ったタグ識別子の数が所定数以上となった場合に、空間E1に所定の人数以上のユーザが存在していると判断し、コミュニケーションの活発度合を予測する。
【0092】
なお、所定の時間が経過すること、又は空間E1に所定の人数以上のユーザが存在することは、コミュニケーションの活発度合の予測開始の条件として必須ではない。つまり、予測部133は、指示受付情報を受け取った後、無条件に複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測してもよい。
【0093】
ただし、指示受付情報を受け取った後に無条件に複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測部133が予測する場合、指示受付情報を受け取った時点では会議等のすべての参加者が会議室5a(空間E1)に存在するとは限らない。そこで、予測部133は、指示受付情報を受け取った後、所定の時間が経過した場合、又は空間E1に所定の人数以上のユーザが存在していると判断した場合に、複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測することがより好ましい。
【0094】
(6-3)変形例3
上記実施形態において、環境制御装置10は、操作装置70から照明制御装置20を介して指示受付情報を受け取り、所定の時間(例えば、5分)が経過すると、複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する構成とした。しかしながら、この構成に限定されない。
【0095】
環境制御装置10の予測部133は、ユーザが有する情報端末71(図7参照)から予測開始を指示する予測開始指示情報を受け取り、所定の時間が経過すると、コミュニケーションの活発度合を予測してもよい。ここで、情報端末71は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型の端末である。本変形例では、管理システム2は、環境制御システム1としての環境制御装置10と、位置情報システム3と、照明制御装置20と、複数(図示例では15台)の照明機器50と、スピーカ60と、情報端末71と、を備える。
【0096】
なお、予測部133は、変形例1と同様に、予測開始指示情報を受け取った後、空間E1に所定の人数以上のユーザが存在していると判断したときに、コミュニケーションの活発度合を予測してもよい。または、予測部133は、予測開始指示情報を受け取った後、無条件に複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測してもよい。
【0097】
ただし、予測開始指示情報を受け取った後に無条件に複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測部133が予測する場合、予測開始指示情報を受け取った時点では会議等のすべての参加者が会議室5a(空間E1)に存在するとは限らない。そこで、予測部133は、予測開始指示情報を受け取った後、所定の時間が経過した場合、又は空間E1に所定の人数以上のユーザが存在していると判断した場合に、複数のユーザの間におけるコミュニケーションの活発度合を予測することがより好ましい。
【0098】
(6-4)変形例4
上記実施形態、変形例2及び変形例3では、予測部133は、指示受付情報又は予測開始指示情報を受け取ることを前提とする構成としたが、この構成に限定されない。
【0099】
予測部133は、1つのタグ情報を取得した後に他のタグ情報を取得する度に、つまり空間E1に存在するユーザの人数が増加する度に、予測を行ってもよい。
【0100】
また、指示受付情報又は予測開始指示情報を受け取ることを前提とする場合には、予測部133は、指示受付情報又は予測開始指示情報を受け取った後、空間E1に存在するユーザの人数が増加する度に、予測を行ってもよい。
【0101】
(6-5)変形例5
上記実施形態では、環境制御装置10は、環境制御として、複数の照明機器50の制御、及び音出力の制御の双方を行う構成としたが、この構成に限定されない。
【0102】
環境制御装置10は、複数の照明機器50の制御、及び音出力の制御のうち一方の制御を行ってもよい。要は、環境制御装置10は、環境制御として、複数の照明機器50の制御、及び音出力の制御のうち少なくとも一方の制御を行う構成であればよい。
【0103】
(6-6)変形例6
上記実施形態では、空間E1の各利用用途には、1つ又は2つの照明パターンが対応付けられる構成としたが、この構成に限定されない。
【0104】
複数の利用用途のうち少なくとも1つの利用用途に対して、3つ以上の照明パターンが対応付けられてもよい。この場合、環境制御装置10は、複数の照明機器50のうち少なくとも1つの照明機器50に対して、3段階以上で調光、調色を制御することができる。そのため、環境制御装置10は、複数の照明機器50のうち少なくとも1つの照明機器50に対して、例えば徐々に明るくすることができる。
【0105】
(6-7)変形例7
上記実施形態では、環境制御装置10は、複数の照明機器50及びスピーカ60の制御を行う構成としたが、これに限定されない。
【0106】
環境制御装置10は、空間E1の利用要路に応じて、においを発生する発生装置によるにおいの発生の有無、空調機器の風量、設定温度等の制御等を行ってもよい。
【0107】
(その他の変形例)
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、環境制御システム1と同様の機能は、環境制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る環境制御方法は、位置情報取得ステップと、決定ステップと、を含む。位置情報取得ステップは、空間E1に存在する複数のユーザu1~u6のそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する。決定ステップは、複数のユーザu1~u6に対応する複数の位置情報に基づいて得られる、複数のユーザu1~u6の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間E1の環境パターンを決定する。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムを、上述した環境制御方法として機能させるためのプログラムである。
【0108】
本開示における環境制御システム1又は環境制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを有する。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における環境制御システム1又は環境制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0109】
コンピュータシステムである環境制御システム1は、1又は複数のコンピュータで構成されるシステムであってもよい。例えば、環境制御システム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0110】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の環境制御システム(1)は、位置情報取得部(131)と、決定部(134)と、を備える。位置情報取得部(131)は、複数のユーザ(u1~u6)のそれぞれについて、同一の空間(E1)に存在する当該ユーザに係る位置情報を取得する。決定部(134)は、複数のユーザ(u1~u6)に対応する複数の位置情報に基づいて得られる、複数のユーザ(u1~u6)のうち同一の空間(E1)に存在する2以上のユーザの間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)の環境パターンを決定する。
【0111】
この構成によると、環境制御装置(10)は、複数のユーザ(u1~u6)の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)の環境パターンを変更することができる。その結果、複数のユーザ(u1~u6)の間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【0112】
第2の態様の環境制御システム(1)は、第1の態様において、環境制御部(135)を、更に備える。環境制御部(135)は、決定部(134)が決定した環境パターンに基づいて、空間(E1)の環境を制御する。
【0113】
この構成によると、環境制御システム(1)は、環境パターンに基づいて空間(E1)の環境を制御するので、空間(E1)に存在する複数のユーザ(u1~u6)が環境を制御する手間が省ける。
【0114】
第3の態様の環境制御システム(1)は、第1又は第2の態様において、通知部(136)を、更に備える。通知部(136)は、決定部(134)が決定した環境パターンを、空間(E1)に存在する2以上のユーザ(u1~u6)のうち少なくとも一のユーザに通知する。
【0115】
この構成によると、通知を受けたユーザは、空間(E1)に対して適切な環境パターンを知ることができる。そのため、通知を受けたユーザは、空間(E1)を適切な環境に変更することができる。
【0116】
第4の態様の環境制御システム(1)は。第1~第3のいずれかの態様において、予測部(133)を、更に備える。予測部(133)は、交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方を用いて、空間(E1)に存在する2以上のユーザ(u1~u6)間におけるコミュニケーションの活発度合を予測する。決定部(134)は、予測部(133)の予測結果に応じて、環境パターンを決定する。
【0117】
この構成によると、コミュニケーションの活発度合を予測し、予測結果に応じた環境パターンを決定するので、決定された環境パターンの精度を高めることができる。
【0118】
第5の態様の環境制御システム(1)では、第4の態様において、予測部(133)は、空間(E1)に存在するユーザ(u1~u6)の数が増加する度に、コミュニケーションの活発度合を予測する。
【0119】
この構成によると、空間(E1)に存在するユーザ(u1~u6)の数が増加する度にコミュニケーションの活発度合を予測するので、複数のユーザ(u1~u6)の間のコミュニケーションの活発度合をより適切に予測することができる。
【0120】
第6の態様の環境制御システム(1)では、第4の態様において、予測部(133)は、空間(E1)に設けられた装置(例えば、操作装置70)に対して所定の操作が行われた場合に、コミュニケーションの活発度合を予測する。
【0121】
この構成によると、コミュニケーションの活発度合の予測を適切なタイミングで行うことができる。
【0122】
第7の態様の環境制御システム(1)では、第6の態様において、予測部(133)は、所定の操作後、所定の時間が経過した場合に、コミュニケーションの活発度合を予測する。
【0123】
この構成によると、コミュニケーションの活発度合の予測をより適切なタイミングで行うことができる。
【0124】
第8の態様の環境制御システム(1)では、第6の態様において、予測部(133)は、所定の操作後、空間(E1)に存在する2以上のユーザ(u1~u6)の人数が所定数以上となった場合に、コミュニケーションの活発度合を予測する。
【0125】
この構成によると、コミュニケーションの活発度合の予測をより適切なタイミングで行うことができる。
【0126】
第9の態様の環境制御システム(1)では、第4の態様において、予測部(133)は、空間(E1)に存在する2以上のユーザ(u1~u6)のうち一のユーザが有する情報端末から指示を受け付けた場合に、コミュニケーションの活発度合を予測する。
【0127】
この構成によると、コミュニケーションの活発度合の予測を適切なタイミングで行うことができる。
【0128】
第10の態様の環境制御システム(1)では、第1~第9のいずれかの態様において、空間(E1)には、複数の照明機器(50)が設けられている。決定部(134)は、複数の照明機器(50)の各々の制御パターンを環境パターンとして決定する。
【0129】
この構成によると、環境制御装置(10)は、複数のユーザ(u1~u6)の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)に設けられた複数の照明機器(50)の照明パターンを変更することができる。その結果、複数のユーザ(u1~u6)の間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【0130】
第11の態様の環境制御システム(1)では、第10の態様において、決定部(134)は、空間(E1)の利用開始時における複数の照明機器(50)の各々の第1制御パターン、及び空間(E1)の利用開始から所定時間経過後の複数の照明機器(50)の各々の第2制御パターンを、環境パターンとして決定する。
【0131】
この構成によると、環境制御装置(10)は、複数のユーザ(u1~u6)の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間E1に設けられた複数の照明機器(50)のうち少なくとも1つの照明機器(50)に対して照明パターンを多段階に変更することができる。
【0132】
第12の態様の環境制御システム(1)では、第1~第11のいずれかの態様において、空間(E1)には、スピーカ(60)が設けられている。決定部(134)は、交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、スピーカ(60)から出力する音の有無を、環境パターンとして決定する。
【0133】
この構成によると、環境制御装置(10)は、複数のユーザ(u1~u6)の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)に対して音の出力を制御することができる。その結果、複数のユーザ(u1~u6)の間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【0134】
第13の態様の環境制御方法は、位置情報取得ステップと、決定ステップとを、含む。位置情報取得ステップは、空間(E1)に存在する複数のユーザ(u1~u6)のそれぞれについて、当該ユーザに係る位置情報を取得する。決定ステップは、複数のユーザ(u1~u6)に対応する複数の位置情報に基づいて得られる、複数のユーザ(u1~u6)のうち同一の空間(E1)に存在する2以上のユーザの間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)の環境パターンを決定する。
【0135】
この環境制御方法によると、複数のユーザ(u1~u6)の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)の環境パターンを変更することができる。その結果、複数のユーザ(u1~u6)の間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【0136】
第14の態様のプログラムは、コンピュータに、第13の態様の環境制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0137】
このプログラムによると、複数のユーザ(u1~u6)の間の交流情報及び属性関係のうち少なくとも一方に応じて、空間(E1)の環境パターンを変更することができる。その結果、複数のユーザ(u1~u6)の間のコミュニケーションを活発にすることができる。
【符号の説明】
【0138】
1 環境制御システム
10 環境制御装置
50,50a~50o 照明機器
60 スピーカ
70 操作装置
71 情報端末
131 位置情報取得部
133 予測部
134 決定部
135 環境制御部
136 通知部
E1 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7