(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】水廻り部材及び浴室部材
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20230825BHJP
E04F 15/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
E03C1/20 A
E04F15/00 J
(21)【出願番号】P 2019084289
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】青木 基晋
(72)【発明者】
【氏名】入谷 響子
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071985(JP,A)
【文献】特開2018-035555(JP,A)
【文献】特開2010-037886(JP,A)
【文献】特開2008-082151(JP,A)
【文献】実開昭61-180263(JP,U)
【文献】特開2017-110468(JP,A)
【文献】特開2003-001658(JP,A)
【文献】特開2009-179938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
E04F 15/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の溝により構成される目地と、
前記目地によって区切られる複数の面状部とを備え、
前記複数の溝は、
所定方向へ延びる複数の第1溝と、
前記複数の第1溝とは異なる方向へ延びる複数の第2溝とを含み、
前記複数の第1溝と前記複数の第2溝と前記複数の面状部とは、前記複数の第1溝と前記複数の第2溝とが接続する接続領域において、三叉路を形成し、
前記三叉路を構成する各々の溝が前記接続領域内の接続中心点に接続する方向を溝接続方向としたとき、
各々の前記溝接続方向が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さく、
前記複数の面状部のそれぞれは、前記接続領域において、前記目地に向かって突出する突出部を有し、
前記三叉路は、前記複数の第1溝と、前記複数の第2溝と、前記突出部とによって形成される
水廻り部材。
【請求項2】
さらに、前記複数の溝は、前記複数の第1溝及び前記複数の第2溝とは異なる方向へ延びる複数の第3溝を含み、
前記三叉路を構成する各々の溝は、前記複数の第1溝と、前記複数の第2溝と、前記複数の第3溝とによって形成される
請求
項1に記載の水廻り部材。
【請求項3】
前記三叉路は、Y字形状を形成する
請求項
1又は2に記載の水廻り部材。
【請求項4】
前記角度は、120°である
請求項1から
3のいずれか1項に記載の水廻り部材。
【請求項5】
複数の溝により構成される目地と、
前記目地によって区切られる複数の面状部と
さらに、前記目地と前記複数の面状部との表面にストライプ状に並んで設けられ、幅及び深さの少なくとも一方がマイクロメートルオーダの溝状の複数の凹部を有する微細溝とを備え、
前記複数の溝は、
所定方向へ延びる複数の第1溝と、
前記複数の第1溝とは異なる方向へ延びる複数の第2溝とを含み、
前記複数の第1溝と前記複数の第2溝と前記複数の面状部とは、前記複数の第1溝と前記複数の第2溝とが接続する接続領域において、三叉路を形成し、
前記三叉路を構成する各々の溝が前記接続領域内の接続中心点に接続する方向を溝接続方向としたとき、
各々の前記溝接続方向が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さく、
前記微細溝の表面は、親水性を有する
水廻り部材。
【請求項6】
前記複数の凹部の延びる方向と各々の前記溝接続方向とは、平行でない
請求項
5に記載の水廻り部材。
【請求項7】
前記複数の凹部は、前記幅が10μm以上300μm以下であり、かつ、前記深さが5μm以上150μm以下である
請求項
5又は6に記載の水廻り部材。
【請求項8】
さらに、前記目地と前記複数の面状部との表面に位置するフィルム部材を備え、
前記微細溝は、前記フィルム部材の表面に設けられる
請求項
5から7のいずれか1項に記載の水廻り部材。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の水廻り部材を備える浴室部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水廻り部材及び浴室部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高い排水性能を有する水廻り部材及び浴室部材が盛んに用いられている。例えば、このような水廻り部材及び浴室部材は、浴室床に用いられている。
【0003】
特許文献1に開示されている浴室床は、溝によって、複数のエリアに区分けされた浴室床であって、上記エリアは、凹凸の施された化粧面とされている。このような浴室床において、化粧面の凹凸と溝とが浴室床に散布された水の排水に寄与するため、排水性能が高いとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、上記従来の浴室床では、溝と溝との交差点は、十字路(十字形状)又はT字路(T字形状)である。そのため、排水の際、当該交差点において水が途切れ、排水が停止し、溝内に水が残る。そのため、上記従来の浴室床は、排水性能に改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明は、優れた排水性能を有する水廻り部材及び浴室部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る水廻り部材は、複数の溝により構成される目地と、前記目地によって区切られる複数の面状部とを備え、前記複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝と、前記複数の第1溝とは異なる方向へ延びる複数の第2溝とを含み、前記複数の第1溝と前記複数の第2溝と前記複数の面状部とは、前記複数の第1溝と前記複数の第2溝とが接続する接続領域において、三叉路を形成し、前記三叉路を構成する各々の溝が前記接続領域内の接続中心点に接続する方向を溝接続方向としたとき、各々の前記溝接続方向が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。
【0008】
また、本発明の一態様に係る浴室部材は、前記水廻り部材を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れた排水性能を有する水廻り部材及び浴室部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る水廻り部材の上面図である。
【
図2】
図2は、
図1の領域IIにおける水廻り部材を拡大して示す上面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線における水廻り部材の断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る水廻り部材の表面に設けられた微細溝の一部を拡大して示す断面図である。
【
図6】
図6は、比較例の水廻り部材の排水時の挙動を説明する上面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係る水廻り部材の排水時の挙動を説明する上面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1の変形例1に係る水廻り部材の上面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1の変形例2に係る水廻り部材の上面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る水廻り部材の上面図である。
【
図11】
図11は、溝接続方向を決定する他の例を説明するための水廻り部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態に係る水廻り部材及び浴室部材について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
また、本明細書において、平行又は直交などの要素間の関係性を示す用語及び正方形又は長方形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0014】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系の三軸を示している。各実施の形態では、水廻り部材の表面に平行な二軸をx軸及びy軸とし、当該表面に直交する方向をz軸方向としている。x軸の正方向は、水廻り部材の第2床部材における排水方向である。水廻り部材の表面は、排水性能を高めるため、水平面に対して傾斜している。y軸の正方向は、水廻り部材の第1床部材における排水方向である。
【0015】
(実施の形態1)
[構成]
まず、本実施の形態に係る水廻り部材1の構成について、
図1を用いて説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る水廻り部材1の上面図である。より具体的には、
図1の(a)は、水廻り部材1の全体の上面図であり、
図1の(b)は、
図1の(a)に示される点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面図である。また、
図1の(a)には、さらに、水廻り部材1の表面の一部を拡大することで、一点鎖線の円で囲まれた円形範囲内に、水廻り部材1の表面に設けられた微細溝30の一部を模式的に図示している。なお、円形範囲内に図示された実線は、微細溝30が有する溝状の複数の凹部31を表している。まず、
図1の(a)を用いて、本実施の形態に係る水廻り部材1の概要を説明する。
【0017】
水廻り部材1は、例えば、浴室の床などに利用される床材である。水廻り部材1は、排水口2に向かって水を速やかに流すことができる。
【0018】
なお、水廻り部材1は、浴室の床に限らず、浴室に配置された浴槽の底に設けられていてもよい。また、例えば、水廻り部材1は、洗面台若しくはキッチンなどの流し台(シンク)の底、排水口、水気のある部屋若しくは通路の床又は洗濯機の内部などに用いられてもよい。
【0019】
本実施の形態に係る水廻り部材1は、複数の溝により構成される目地10と、目地10によって区切られる複数の面状部20と、微細溝30と、フィルム部材40と、床部材60と、排水口2とを備える。床部材60は、目地10と、複数の面状部20とを有する。フィルム部材40は、目地10と複数の面状部20との表面、すなわち、床部材60の表面に設けられる。また、微細溝30は、フィルム部材40の表面に設けられる。しかしながら、
図1においては、図が煩雑になることを避けるため、フィルム部材40は、図示されない。また、フィルム部材40については、
図3を用いて後述する。
【0020】
目地10は、複数の溝により構成される目地である。複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝11と、複数の第1溝11とは異なる方向へ延びる複数の第2溝12とを含む。複数の第1溝11は、直線状に所定方向へ延びてもよく、複数の第2溝12は、第1溝11とは異なる方向へ直線状に延びてもよい。また、目地10は、水廻り部材1に散布された水を排水口2へ向かって流す排水機能を有する。すなわち、目地10を構成する複数の溝は、排水用の溝である。
【0021】
複数の第1溝11は、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第1溝11はそれぞれ、x軸方向に延びており、y軸方向に沿って並んで設けられている。
【0022】
複数の第2溝12は、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第2溝12はそれぞれ、y軸方向に延びており、x軸方向に沿って並んで設けられている。つまり、複数の第1溝11と複数の第2溝12とは、各々が互いに直交している。
【0023】
複数の第1溝11の並び間隔と複数の第2溝12の並び間隔とは、例えば、異なっている。また、複数の第1溝11の並び間隔と複数の第2溝12の並び間隔とは、例えば、同じであってもよい。
【0024】
また、複数の第1溝11と複数の第2溝12との溝幅は、同じであっても、異なってもよい。複数の第1溝11の幅は、複数の第1溝11の短手方向(すなわち、y軸方向)における長さである。複数の第2溝12の幅は、複数の第2溝12の短手方向(すなわち、x軸方向)における長さである。本実施の形態においては、複数の第1溝11と複数の第2溝12との溝幅は、同じであって、複数の第1溝11と複数の第2溝12との溝幅は、Wと定義される。
【0025】
複数の第1溝11と複数の第2溝12とは、凹状の溝構造であり、複数の第1溝11と複数の第2溝12とは、溝の底面と、溝の底面と滑らかに接続される溝の側面とを含む。溝の底面は、床部材60の傾斜方向と平行な面であり、溝の側面は、z軸方向に延びる壁面である。
【0026】
複数の面状部20は、目地10によって区切られている。また、隣り合う2本の第1溝11と、隣り合う2本の第2溝12とで囲まれた部分は、全て面状部20である。複数の面状部20は、床部材60の表面の平坦な面である。なお、複数の面状部20は、完全に平坦な面でなくてもよく、緩やかな曲面状の面であってもよい。
【0027】
複数の第1溝11と複数の第2溝12と複数の面状部20とは、複数の第1溝11と複数の第2溝12とが接続する接続領域50において、三叉路を形成する。三叉路には、三叉路を構成する各々の溝がある。つまり、三叉路は、3本の溝により構成される領域であり、また、三叉路は、3本の溝が集まり交差する領域である。なお、複数の第1溝11と複数の第2溝12と複数の面状部20と接続領域50と三叉路との詳細構造については、
図1の(b)と
図2とを用いて後述する。
【0028】
微細溝30は、目地10と複数の面状部20との表面にストライプ状に並んで設けられる溝である。すなわち、微細溝30は、複数の面状部20と、複数の面状部20の間の目地10に亘って、水廻り部材1の全体に設けられている。微細溝30は、幅及び深さの少なくとも一方がマイクロメートルオーダの溝状の複数の凹部31を有する。微細溝30及び複数の凹部31の詳細構造については、
図4及び
図5を用いて後述する。
【0029】
床部材60は、水廻り部材1の基材に相当する。床部材60は、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などから形成される。具体的には、床部材60は、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)又はガラス繊維を含有するSMC(Sheet Molding Compound)材料から形成される。あるいは、床部材60は、アクリル又はポリエステルなどを主成分として含む人工大理石から形成されてもよい。床部材60は、例えば、SMC材料を用いたプレス成型により形成される。
【0030】
床部材60は、排水口2へ向かって低くなるように傾斜して形成されている。床部材60は、第1床部材61と、第2床部材62と、第3床部材63とを有する。第1床部材61、第2床部材62及び第3床部材63の各々は、互いに異なる傾斜方向を有する。具体的には、第1床部材61、第2床部材62及び第3床部材63の各々は、排水口2に向かって傾斜している。つまり、第1床部材61、第2床部材62及び第3床部材63の各々の傾斜方向は、第1床部材61、第2床部材62及び第3床部材63の各々における水の排水方向に相当する。
【0031】
第1床部材61は、傾斜方向D1に沿って傾斜している。傾斜方向D1は、y軸の正方向である。第1床部材61は、y軸の正側ほど低い位置に位置し、y軸の負側ほど高い位置に位置している。第1床部材61は、x軸方向に沿って傾斜していない。
【0032】
第2床部材62は、傾斜方向D2に沿って傾斜している。傾斜方向D2は、x軸の正方向である。第2床部材62は、x軸の正側ほど低い位置に位置し、x軸の負側ほど高い位置に位置している。第2床部材62は、y軸方向に沿って傾斜していない。
【0033】
第3床部材63は、傾斜方向D3に沿って傾斜している。傾斜方向D3は、y軸の負方向である。第3床部材63は、y軸の負側ほど低い位置に位置し、y軸の正側ほど高い位置に位置している。第3床部材63は、x軸方向に沿って傾斜していない。
【0034】
第1床部材61、第2床部材62及び第3床部材63の各々の傾斜角は、1.2°以下であり、一例として1.1°である。これにより、第1床部材61、第2床部材62又は第3床部材63の上に人が立ったとしても、床が斜めになっていることの違和感を減らすことができる。
【0035】
第1床部材61と第2床部材62とは、境界線L1で接続されている。本実施の形態では、境界線L1は、傾斜方向D1及び傾斜方向D2の各々に斜めに交差している。傾斜方向D1及び傾斜方向D2の各々に対する境界線L1の交差角は、例えば45°であるが、これに限らない。交差角は、30°又は60°でもよい。
【0036】
第2床部材62と第3床部材63とは、境界線L2で接続されている。本実施の形態では、境界線L2は、傾斜方向D2及び傾斜方向D3の各々に斜めに交差している。傾斜方向D2及び傾斜方向D3の各々に対する境界線L2の交差角は、例えば45°であるが、これに限らない。交差角は、30°又は60°でもよい。
【0037】
排水口2は、床部材60に対し窪んで形成されている。床部材60に散布された水は、重力に従い、排水口2へ流れ込む。
【0038】
続いて、
図1の(b)を用いて、複数の第1溝11と複数の第2溝12と複数の面状部20との詳細構造を説明する。
【0039】
まず、複数の第1溝11と複数の第2溝12との配置について説明する。
【0040】
複数の第1溝11の延びる方向(x軸方向)に隣り合う2本の第1溝11は、複数の第1溝11の延びる方向と直交する方向(y軸方向)にずれて位置している。言い換えると、当該隣り合う2本の第1溝11は、お互いの溝の中心線を延伸しても、重なりあうことがない。
【0041】
また、複数の第2溝12の延びる方向(y軸方向)に隣り合う2本の第2溝12は、複数の第2溝12の延びる方向と直交する方向(x軸方向)にずれて位置している。言い換えると、当該隣り合う2本の第2溝12は、お互いの溝の中心線を延伸しても、重なりあうことがない。
【0042】
次に、複数の面状部20と、複数の面状部20のそれぞれが有する突出部21とについて説明する。
【0043】
上記の通り、本実施の形態に係る複数の第1溝11と複数の第2溝12とは、各々が互いに直交しており、複数の第1溝11の並び間隔と複数の第2溝12の並び間隔とは、異なっている。そのため、複数の面状部20の上面視形状は、略長方形である。
【0044】
しかしながら、複数の面状部20の上面視形状は、厳密には長方形ではない。本実施の形態に係る複数の面状部20のそれぞれは、接続領域50において、目地10に向かって突出する突出部21を有するためである。
【0045】
突出部21は、複数の面状部20のそれぞれが有する一領域であり、複数の面状部20の上面視形状において、目地10に向かってへ突出する領域である。突出部21は、複数の面状部20の上面視形状である長方形の4つの角の内、x軸正側かつy軸負側の角と、x軸負側かつy軸正側の角とにそれぞれ位置する。このように、1つの面状部20は、複数の突出部21を有してもよい。また、全ての面状部20が突出部21を有してもよく、一部の面状部20が突出部21を有してもよい。突出部21の詳細構造について、
図2を用いて説明する。
【0046】
図2は、
図1の領域IIにおける水廻り部材1を拡大して示す上面図である。
【0047】
上述の通り、突出部21は、目地10に向かって突出する領域である。突出部21は、具体的には、水廻り部材1を上面視したときに、目地10と複数の面状部20のそれぞれとの境界線を構成する直線から目地10へ突き出た領域である。本実施の形態においては、突出部21は、複数の面状部20の上面視形状である略長方形の4辺の内、2辺に跨って存在する。また、
図2において、突出部21は、斜めの格子状が付された領域である。
【0048】
以上のように構成されることで、三叉路は、複数の第1溝11と、複数の第2溝12と、突出部21とによって形成される。本実施の形態においては、三叉路を構成する3本の溝は、1本の第1溝11と、1本の第2溝12と、2つの突出部21が向かい合う間の溝とによって構成される。また、2つの突出部21が向かい合う間の溝は、複数の第1溝11及び複数の第2溝12と同様に、凹状の溝構造である。2つの突出部21が向かい合う間の溝は、溝の底面と、溝の底面と滑らかに接続される溝の側面とを含む。溝の底面は、床部材60の傾斜方向と平行な面であり、溝の側面は、z軸方向に延びる壁面である。以後、複数の第1溝11と複数の第2溝12と2つの突出部21が向かい合う間の溝とが含む溝の側面は、単に、溝側面と称する。
【0049】
ここで、さらに、複数の第1溝11と複数の第2溝12とが接続する接続領域50について、
図2を用いて説明する。また、接続領域50と関連する構成要素である接続中心点51、端部と接する円52、内接三角形56及び溝接続方向55を決定する方法についても説明する。ここでは、特に、接続領域50、接続中心点51、端部と接する円52、内接三角形56及び溝接続方向55を決定する方法の一例について説明する。
【0050】
接続領域50は、複数の第1溝11と複数の第2溝12とが接続する領域である。また、1本の第1溝11と1本の第2溝12とが接続する領域が1つの接続領域50である。水廻り部材1は、複数の第1溝11と、複数の第2溝12とを備えているため、水廻り部材1には、複数の接続領域50が存在する。接続領域50は、例えば、
図2において、一点鎖線で囲まれ、ドットを付した領域である。接続領域50は、例えば、1本の第1溝11と1本の第2溝12とを溝幅Wのまま延長し、1本の第1溝11と1本の第2溝12との延長領域が重なる領域である。なお、上述の通り、1本の第1溝11と1本の第2溝12とが接続する領域が1つの接続領域50であるため、2つの接続領域50が重なることもある。
図2においては、第1溝111と第2溝112とが接続する接続領域50のみを図示する。
【0051】
なお、ここで、説明のために、水廻り部材1を上面視したときに、目地10と複数の面状部20との境界線を面状部20の端部と定義する。また、水廻り部材1を上面視したときに、目地10と突出部21との境界線を突出部21の端部と定義する。さらに、複数の面状部20の端部と突出部21の端部との両方を合わせて、面状部20等の端部と称する。
【0052】
端部と接する円52は、当該端部と接する円52の中心点を、1つの接続領域50の内側にもつ。さらに、端部と接する円52は、当該1つの接続領域50を構成する複数の第1溝11の内の1本又は複数の第2溝12の内の1本と接する面状部20の端部の内3か所と接する円である。また、本実施の形態においては、複数の面状部20のそれぞれは、突出部21を有する。そのため、本実施の形態に係る端部と接する円52は、当該1つの接続領域50を構成する複数の第1溝11の内の1本又は複数の第2溝12の内の1本と接する面状部20等の端部の内3か所と接する円である。本実施の形態においては、端部と接する円52は、1つの面状部20の端部と、2つの突出部21の端部と接している。
【0053】
次に、内接三角形56は、端部と接する円52を外接円とする三角形である。また、内接三角形56は、3か所の面状部20の端部と接する三角形である。また、本実施の形態においては、複数の面状部20のそれぞれは、突出部21を有する。そのため、本実施の形態においては、内接三角形56は、3か所の面状部20等の端部と接する三角形である。つまり、内接三角形56が接する3か所の面状部20等の端部と、端部と接する円52が接する3か所の面状部20等の端部とは、いずれも同一の面状部20等の端部である。また、言い換えると、端部と接する円52は、内接三角形56が有する3つの頂点を通る円である。
【0054】
ここで、本実施の形態においては、接続中心点51は、内接三角形56の重心である。
【0055】
溝接続方向55は、三叉路を構成する各々の溝が接続領域50内の接続中心点51に接続する方向である。本実施の形態においては、溝接続方向55は、内接三角形56の各々の辺の中点と、内接三角形56の重心とを接続する方向である。ここで、内接三角形56の各々の辺の中点とは、各々の辺の長さを半分に分割する点である。また、本実施の形態においては、溝接続方向55は、第1溝接続方向551と、第2溝接続方向552と、第3溝接続方向553とを含む。
【0056】
また、各々の溝接続方向55が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。すなわち、第1溝接続方向551と第2溝接続方向552とのなす角度、第2溝接続方向552と第3溝接続方向553とのなす角度、及び、第1溝接続方向551と第3溝接続方向553とのなす角度はいずれも、90°より大きく180°より小さい。本実施の形態においては、各々の溝接続方向55が互いになす角度はいずれも、120°である。
【0057】
ここで、水廻り部材1が備えるフィルム部材40について、
図3を用いて説明する。
【0058】
図3は、
図1のIII-III線における水廻り部材1の断面図である。具体的には、
図3は、複数の第2溝12に直交する断面(xz断面)を示している。
【0059】
フィルム部材40は、目地10と複数の面状部20との表面に位置する。具体的には、フィルム部材40は、目地10(
図3では、複数の第2溝12)と複数の面状部20との各々を覆うように設けられている。より具体的には、フィルム部材40は、複数の面状部20と、複数の面状部20の間の目地10に亘って、水廻り部材1の全体に設けられている。フィルム部材40の上面には、床部材60の目地10の形状と略同じ形状の溝が形成されている。フィルム部材40は、目地10及び複数の面状部20の表面の形状に追随するように設けられている。
【0060】
また、
図3に示されるように、複数の第2溝12の断面形状は、テーパーを有しない正方形であるが、これに限らない。複数の第2溝12の断面形状は、V字形状でもよく、U字形状でもよく、逆台形でもよい。なお、複数の第2溝12の断面形状は、テーパーを有しない長方形でもよい。複数の第1溝11の断面形状は、例えば、複数の第2溝12の断面形状と同じであるが、異なっていてもよい。
【0061】
なお、本実施の形態においては、微細溝30は、フィルム部材40の表面に設けられる。フィルム部材40は、複数の面状部20と、複数の面状部20の間の目地10に亘って、水廻り部材1の全体に設けられている。そのため、微細溝30は、フィルム部材40と同様に、水廻り部材1の全体に設けられている。ここで、微細溝30及び複数の凹部31の詳細構造について、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0062】
図4は、本実施の形態に係る水廻り部材1の表面に設けられた微細溝30の一部を拡大して示す断面図である。具体的には、
図4は、
図1に図示された微細溝30のIV-IV線における微細溝30の断面図であり、微細溝30の複数の凹部31が延びる方向(x軸方向)に直交する断面を示している。
【0063】
フィルム部材40は、基材41と、樹脂層42とを備える。基材41は、樹脂層42を支持する部材である。基材41は、床部材60上に設けられている。具体的には、基材41は、床部材60の目地10及び複数の面状部20に沿って設けられている。
【0064】
基材41は、例えば、樹脂フィルム、金属箔又は不織布などである。樹脂フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)などを用いることができる。基材41の大きさ及び形状は、特に限定されない。基材41は、使用目的及び使用環境などに応じて適切な大きさ及び形状を有する。
【0065】
樹脂層42は、基材41上に設けられている。樹脂層42は、例えば、紫外線硬化樹脂などの光硬化性樹脂材料を用いて形成される。紫外線硬化樹脂としては、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などを用いることができる。樹脂層42の厚さは、例えば、1μm以上50μm以下であるが、これに限定されない。
【0066】
樹脂層42は、
図4に示されるように、微細溝30を有する。微細溝30は、樹脂層42の上面に設けられており、水廻り部材1の最上面に設けられている。つまり、水廻り部材1を床部材などに利用した場合に、微細溝30が最表面に露出する。
【0067】
本実施の形態では、微細溝30を構成する材料、すなわち、樹脂層42の材料の水接触角θは、90°未満である。すなわち、樹脂層42は、親水性材料を用いて形成されている。
【0068】
また、微細溝30は、親水性を有する。微細溝30を構成する材料である樹脂層42は、親水性材料を用いて形成されているため、微細溝30は、親水性を有する。
【0069】
図3を用いて説明したとおり、フィルム部材40は、床部材60の目地10及び複数の面状部20に沿って設けられている。そのため、フィルム部材40の上面、すなわち、樹脂層42の上面に設けられる微細溝30は、目地10及び複数の面状部20の表面に設けられる。より具体的には、微細溝30は、目地10及び複数の面状部20の表面に連続して設けられている。
【0070】
さらに、
図4に示されるように、微細溝30が有する複数の凹部31は、ストライプ状に設けられる。つまりは、微細溝30は、溝状の複数の凹部31を有し、複数の凹部31は、ストライプ状に設けられている。複数の凹部31は、複数の凹部31の延伸方向に対して、直交する方向に沿って並んで複数設けられている。また、隣り合う2つの凹部31間に凸部が設けられている。すなわち、微細溝30は、上面視形状がストライプ状である凹凸構造である。ストライプ状は、互いに略平行に延伸する複数の凹部31が溝状に延伸しながら所定の間隔で並んだ形状である。
【0071】
なお、ストライプ状とは、ラインとスペースとが交互に並んで設けられ、かつ、同一方向に沿って延びた形状であり、ラインアンドスペース形状ともいう。複数の凹部31がスペースに相当し、隣り合う2つの凹部31間に存在する凸部がラインに相当する。複数の凹部31は、互いに交差していない。
【0072】
複数の凹部31の形状は互いに同じであるが、互いに異なっていてもよい。また、複数の凹部31のそれぞれの並び間隔は等間隔であるが、異なっていてもよい。
【0073】
以下では、微細溝30が有する複数の凹部31の形状について、
図5を用いて詳細に説明する。
【0074】
図5は、
図4の領域Vを拡大して示す断面図である。
図5は、本実施の形態に係る水廻り部材1の微細溝30の複数の凹部31の断面を示している。
図5では、さらに、一点鎖線の矩形枠で囲まれた範囲内に、複数の凹部31のそれぞれの開口に存在する第1端部34aを拡大した図が示されている。
【0075】
本実施の形態に係る複数の凹部31が延伸する方向に直交する断面において、複数の凹部31の形状は、逆台形であるが、これに限らない。例えば、複数の凹部31の断面形状は、V字形状、U字形状、正方形、長方形又は半円形などでもよい。なお、水廻り部材1が備える微細溝30は、断面形状が異なる複数の凹部31を有してもよい。
【0076】
複数の凹部31は、第1側面32aと、第2側面32bと、底面33と、第1端部34aと、第2端部34bとを有する。本実施の形態では、第1側面32a、第2側面32b及び底面33はそれぞれ、平面である。第1側面32a及び第2側面32bは、底面33に対して斜めに傾斜している。底面33に対する第1側面32aの傾斜角は、底面33に対する第2側面32bの傾斜角に等しいが、異なっていてもよい。本実施の形態では、複数の凹部31は、断面視において、線対称な形状を有する。すなわち、複数の凹部31の断面形状は、逆さまの等脚台形である。
【0077】
なお、断面形状が矩形の場合、第1側面32a及び第2側面32bはそれぞれ、底面33に対して垂直である。また、断面形状がU字形状である場合、底面33は湾曲面である。また、断面形状がV字形状又は半円形である場合、複数の凹部31は、底面33を有しない。また、断面形状が半円形である場合、第1側面32a及び第2側面32bはそれぞれ、湾曲面であり、具体的には、複数の凹部31の延伸方向を軸とする円柱側面の一部である。
【0078】
第1端部34a及び第2端部34bは、
図5に示される断面において、複数の凹部31の開口端部であり、互いに向かい合う部分である。第1端部34a及び第2端部34bはそれぞれ、滑らかである。
【0079】
具体的には、第1端部34a及び第2端部34bはそれぞれ、所定の曲率の湾曲面を有する。例えば、
図5に示される断面において、第1端部34aは、半径Rの円の一部を描く。第1端部34aは、複数の凹部31が延伸する方向を軸とする円柱側面の一部である。第2端部34bも同様である。第1端部34a及び第2端部34bの各々において、角が含まれておらず、すなわち、平面(断面視における直線)が含まれていない。また、第1端部34aは、例えば、第1側面32aに滑らかに接続されている。第2端部34bは、例えば、第2側面32bに滑らかに接続されている。
【0080】
第1端部34a及び第2端部34bの各々の半径Rは、例えば100nm以上である。これにより、金型を用いたインプリント法により複数の凹部31を成型した場合に、金型に樹脂材料が残留することを抑制できる。また、半径Rは、例えば2mm以下である。これにより、例えば水接触角が10°程度の親水性を示す材料を用い、複数の凹部31に汚れが溜まることを抑制するために複数の凹部31の深さHが100μm以下の場合でも、複数の凹部31は、複数の凹部31内に存在する水を濡れ広がらせることができる。
【0081】
図5に示される断面において、第1端部34a上の第1点P1と第2端部34b上の第2点P2との間の複数の凹部31の壁面に沿った長さをA、第1点P1と第2点P2との直線距離をBとする。具体的には、長さAは、長さA1と、長さA2と、長さA3との和で表される。直線距離Bは、複数の凹部31の開口幅に相当する。
【0082】
長さA1は、第1端部34aにおける第1点P1から第1側面32aに至るまでの湾曲部分の長さと、第1側面32aの直線部分の長さとの和である。長さA2は、第2端部34bにおける第2点P2から第2側面32bに至るまでの湾曲部分の長さと、第2側面32bの直線部分の長さとの和である。長さA3は、底面33の幅である。
【0083】
本実施の形態では、複数の凹部31の深さH及び直線距離Bは、マイクロメートルオーダである。すなわち、深さH及び直線距離Bはそれぞれ、1μm以上であり、1mmより短い長さである。また、複数の凹部31の深さHは、微細溝30における溝の深さを意味している。例えば、深さHは、5μm以上150μm以下であってもよい。また、直線距離Bは、10μm以上300μm以下であってもよい。なお、複数の凹部31の深さHは、第1点P1及び第2点P2を結ぶ直線から底面33までの距離である。
【0084】
なお、複数の凹部31の幅は、直線距離Bとみなすことができる。あるいは、複数の凹部31の幅は、底面33の幅、すなわち、長さA3とみなしてもよい。あるいは、複数の凹部31の幅は、直線距離Bと長さA3との平均値とみなしてもよい。また、複数の凹部31の幅は、微細溝30における溝の幅を意味している。
【0085】
また、複数の凹部31の延びる方向と各々の溝接続方向55とは、平行でない。つまり、本実施の形態においては、複数の凹部31の延びる方向と、3本の溝接続方向55とはいずれも平行でない。本実施の形態においては、複数の凹部31の延びる方向は、x軸と平行である。
【0086】
図5に示される断面において、第1点P1を通る、第1端部34aにおける接線L4と、水平面L3とがなす角度θは、複数の凹部31を有する部材、すなわち、フィルム部材40の水接触角θに等しい。言い換えると、第1端部34a上における任意の点のうち、第1端部34aに対する接線L4と水平面L3とがなす角度θが、フィルム部材40の水接触角θに等しくなる点が、第1点P1である。
【0087】
第2点P2についても同様である。すなわち、第2点P2を通る、第2端部34bにおける接線と、水平面L3とがなす角度も同様に、水接触角θに等しい。このように、第1点P1及び第2点P2はそれぞれ、水接触角θに基づいて定められる。したがって、第1点P1及び第2点P2に基づいて定められる長さA及び直線距離Bも、水接触角θに基づいて定まる。
【0088】
なお、ここでは、第1端部34a及び第2端部34bが湾曲面を有する例について示したが、これに限らない。第1端部34a及び第2端部34bは、断面視において一点で表されてもよい。つまり、第1端部34a及び第2端部34bはそれぞれ、複数の凹部31のそれぞれの上面の縁であってもよい。複数の凹部31のそれぞれの上面の縁に直接、第1側面32aと第2側面32bとがそれぞれ接続されていてもよい。この場合、第1点P1及び第2点P2はそれぞれ、複数の凹部31のそれぞれの上面の縁、すなわち、断面視において一点で表される第1端部34a及び第2端部34bそのものに相当する。
【0089】
本実施の形態では、長さA[単位:m]及び直線距離B[単位:m]、並びに、水接触角θは、式(1)を満たす。
【0090】
【0091】
これは、複数の凹部31の延伸方向に沿って、複数の凹部31が毛細管現象を起こす条件に相当する。
【0092】
複数の凹部31では、直線距離Bに相当する上面が開放されているので、上面は、完全に撥水性を有する面とみなすことができる。言い換えると、上面の水接触角は、180°であるとみなすことができる。
【0093】
これにより、毛細管現象によって発生する毛細管力(キャピラリ力)Pc[単位:N]は、以下の式(2)で表される。
【0094】
【0095】
なお、σは、水の表面張力[単位:N/m]であり、Sは、複数の凹部31の断面積[単位:m
2]である。複数の凹部31の断面積は、
図5に示される断面において、第1点P1と第2点P2とを結ぶ直線と、複数の凹部31の壁面とで囲まれた範囲の面積に相当する。
【0096】
毛細管力Pcが0より大きい場合、複数の凹部31において、複数の凹部31の延伸方向に毛細管現象が発生する。このように、毛細管現象が発生するためには、式(2)においてPc>0が成り立つので、上述した式(1)の関係が導かれる。
【0097】
複数の凹部31に毛細管現象が発生することで、複数の凹部31内に入った水は、複数の凹部31の延伸方向に沿って複数の凹部31内を延びるように進む。つまり、水は、毛細管現象によって、水廻り部材1の表面で広範囲に広がりやすくなる。水が広範囲に広がることにより、空気に触れる水の表面積が大きくなって、乾燥に要する時間が短くなる。
【0098】
本実施の形態においては、複数の凹部31を有する微細溝30は、複数の面状部20と目地10とに亘って設けられている。つまり、例えば、水廻り部材1に散布された水が目地10内に残った場合に、目地10上の複数の凹部31内に残った水は、複数の凹部31に発生する毛細管現象によって複数の面状部20までくみ上げられる。これにより、本実施の形態に係る水廻り部材1の乾燥性能が高まる。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態に係る水廻り部材1は、目地10と複数の面状部20との表面にストライプ状に並んで設けられ、幅及び深さHの少なくとも一方がマイクロメートルオーダの溝状の複数の複数の凹部31を有する微細溝30を備える。また、微細溝30の表面は、親水性を有する。
【0100】
これにより、水廻り部材1の表面に散布された水滴は、水廻り部材1の表面を濡れ広がりやすく、つまり、空気に触れる水の表面積が大きくなる。そのため、水廻り部材1の乾燥性能が高まる。
【0101】
また、上述のように、本実施の形態に係る複数の凹部31は、において、幅が、10μm以上300μm以下であり、かつ、深さHが、5μm以上150μm以下である。
【0102】
これにより、効果的に毛細管現象を発生させることができる。例えば、複数の凹部31の幅が10μm以上又は深さHが5μm以上であることで、複数の凹部31の断面積を確保することができ、複数の凹部31内を水が進行しやすくすることができる。また、例えば、複数の凹部31の幅が300μm以下又は深さHが150μm以下であることで、優れた乾燥性能を実現することができる。
【0103】
また、微細溝30を有するフィルム部材40は、例えば、ナノインプリント装置又はロールツーロール方式のグラビア印刷装置などを用いた転写技術を利用して製造される。
【0104】
具体的には、樹脂層42を構成する紫外線硬化樹脂材料を基材41の表面に塗布することで、基材41上に樹脂膜を成膜する。微細溝30を転写するための凹凸構造(すなわち、微細溝30を反転させた構造)を有する金型を樹脂膜に押し当て、押し当てた状態で基材41側から紫外線を照射することによって、樹脂膜を硬化させる。これにより、微細溝30を有する樹脂層42が形成される。最後に、金型を外すことで、微細溝30を有するフィルム部材40が形成される。なお、形成されたフィルム部材40を床部材60の表面に貼り付けることで、水廻り部材1が製造される。
【0105】
また、上述のように、フィルム部材40は、目地10と複数の面状部20との表面に位置し、微細溝30は、フィルム部材40の表面に設けられる。
【0106】
以上のように、微細溝30を有するフィルム部材40は、床部材60と分離して、別体で製造される。フィルム部材40を目地10と複数の面状部20との表面、すなわち、床部材60の表面に設けることで水廻り部材1を得られるため、製造が容易になる。
【0107】
[排水時の挙動]
本実施の形態に係る水廻り部材1の排水時の挙動について、
図6及び
図7を用いて、説明する。
【0108】
まず、
図6を用いて、比較例の水廻り部材1hの排水時の挙動について示す。詳細は後述するが、比較例の水廻り部材1hは、本実施の形態の水廻り部材1に比べ、排水性能が低い例のひとつである。
【0109】
図6は、比較例の水廻り部材1hの排水時における水80の挙動を説明する上面図である。また、
図6は、比較例の水廻り部材1hにおいて、第1床部材に相当する一部を拡大した上面図である。より詳しくは、
図6の(a)は、比較例の水廻り部材1hに水80が散布された直後の状態を示す。
図6の(b)は、比較例の水廻り部材1hにおいて排水が完了した状態を示す。
図6の(c)は、
図6の(b)の領域VIを拡大して示す上面図である。
図6の(a)及び
図6の(b)において、水80が残存する範囲は、模式的にドットを付して示されている。また、
図6の(c)においては、水80が残存する範囲を示すドットは、省略されている。
【0110】
ここで、比較例の水廻り部材1hの構成について、本実施の形態に係る水廻り部材1と異なる点を中心に説明する。
【0111】
比較例の水廻り部材1hは、複数の溝により構成される目地10hと、目地10hによって区切られる複数の面状部20hとを備える。当該複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝11hと、複数の第1溝11hとは異なる方向へ延びる複数の第2溝12hとを含む。
【0112】
目地10は、格子状に設けられている。つまり、目地10は、例えば、通し目地(「いも目地」とも言う)状である。
【0113】
複数の第1溝11hの延びる方向(x軸方向)に隣り合う2本の第1溝11hは、お互いの溝の中心線を延伸すると、重なりあう場所に位置している。複数の第2溝12hの延びる方向(y軸方向)に隣り合う2本の第2溝12hは、お互いの溝の中心線を延伸すると、重なりあう場所に位置している。すなわち、1本の第1溝11hと1本の第2溝12hとが交差する交差領域は、十字路(十字形状)を形成する。当該十字路は、x軸方向に隣接する2本の第1溝11hと、y軸方向に隣接する2本の第2溝12hとを合わせた4本の溝が集まり、交差する領域である。
【0114】
複数の面状部20hの上面視形状は、長方形であり、複数の面状部20hは、突出部を有さない。
【0115】
また、比較例の水廻り部材1hにおいて、第1床部材に相当する一部は、傾斜方向D1に沿って傾斜しており、傾斜方向D1に向けて水を排水する。
【0116】
まずは、
図6の(a)を用いて、比較例の水廻り部材1hに水80が散布された直後の状態について説明する。
【0117】
水廻り部材1hに水80が撒かれると、水80の大部分は、比較例の水廻り部材1hの傾斜に基づいて、傾斜方向D1(y軸の正方向)に向かって流れ落ち、排水される。
図6の(a)が示すように、流れ落ちなかった水80の一部は、重力に従って、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12h内に落ち、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12h内に残存する。この段階では、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hは、水80に満たされた状態である。
【0118】
さらに排水が進むと、
図6の(b)に示すように、十字路における水80は、無くなり、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hにおける水80は、残留する。この現象のメカニズムは、複数の第1溝11h又は複数の第2溝12hの溝側面の表面張力と、水80自身の表面張力とを用いて説明される。
【0119】
複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hにおいては、水80は、溝側面の表面張力の影響を強く受け、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hに強く引き寄せられる。そのため、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hにおける水80は、傾斜方向D1に向かって流れ落ちることなく、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hに残留する。
【0120】
一方で、十字路は、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hに比べて、溝側面までの距離が大きい領域を含む。
図6の(c)に示すように、十字路は、溝側面までの距離がW/2以上となる領域90hを有する。当然ながら、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hは、溝側面までの距離がW/2以上となる領域90hを有さない。このように、溝側面までの距離が大きい領域においては、水80は、溝側面の表面張力の影響を受けにくい。また、水80は、水80自身の表面張力により、表面積を最小にしようとする力がはたらき、水80同士は、引き寄せあうように移動する。そのため、十字路における水80は、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hに残留する水80に強く引き寄せられる。そのため、十字路における水80は、無くなる。
【0121】
複数の第1溝11h及び複数の第2溝12h内の水80が連続的に繋がり、水80が傾斜方向D1へ流れることで、排水は、効果的に進む。
図6の(b)に示すように、十字路における水80が無くなり、水80が途切れることで、複数の第1溝11h及び複数の第2溝12hにおける水80は、排水されることなく、残留する。つまり、比較例の水廻り部材1hの排水性能は、低い。
【0122】
以上まとめると、比較例の水廻り部材1hにおいては、複数の第1溝11h又は複数の第2溝12hの溝側面の表面張力と水80自身の表面張力とにより、十字路において、水80が途切れ、複数の第1溝11h又は複数の第2溝12h内に水80が残る。そのため、比較例の水廻り部材1hの排水性能は、低い。
【0123】
続いて、
図7を用いて、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水時における水80の挙動について示す。
図7は、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水時の挙動を説明する上面図である。また、
図7は、本実施の形態に係る水廻り部材1において、第1床部材61に相当する一部を拡大した上面図である。より詳しくは、
図7の(a)は、本実施の形態に係る水廻り部材1に水80が散布された直後の状態を示す。また、
図7の(b)は、本実施の形態に係る水廻り部材1において排水が完了した状態を示す。
図7の(c)は、
図7の(b)の領域VIIを拡大して示す上面図である。
図7の(a)及び
図7の(b)において、水80が残存する範囲は、模式的にドットを付して示されている。また、
図7の(c)においては、水80が残存する範囲を示すドットは、省略されている。
【0124】
水廻り部材1に水80が撒かれると、水80の大部分は、水廻り部材1の傾斜に基づいて、傾斜方向D1(y軸の正方向)に向かって流れ落ち、排水される。
図7の(a)が示すように、流れ落ちなかった水80の一部は、重力に従って、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内に落ち、目地10内に残存する。この段階では、複数の第1溝11及び複数の第2溝12は、水80に満たされた状態である。
【0125】
さらに排水が進むと、
図7の(b)に示すように、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80は、傾斜方向D1に向かって途切れることなく排水される。つまり、比較例の水廻り部材1hとは異なり、本実施の形態に係る水廻り部材1においては、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が連続的に繋がり、排水方向へ水が流れる。
【0126】
この現象のメカニズムは、次のように説明される。本実施の形態に係る水廻り部材1は、比較例の水廻り部材1hとは異なり、十字路を備えない。一方で、本実施の形態に係る水廻り部材1は、三叉路を備える。さらに、各々の溝接続方向55が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。このように形成された三叉路は、十字路にくらべ、溝側面までの距離が大きい領域が狭い。
図7の(c)が示すように、三叉路は、十字路に比べ、溝側面までの距離がW/2以上となる領域90が狭い。
【0127】
すなわち、本実施の形態に係る三叉路は、十字路に比べ、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。そのため、三叉路を備える本実施の形態に係る水廻り部材1は、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る水廻り部材1は、優れた排水性能を有する。
【0128】
また、本実施の形態においては、三叉路は、複数の第1溝11と、複数の第2溝12と、突出部21とによって形成される。つまり、本実施の形態に係る三叉路を構成する3本の溝の内の1本の溝は、2つの突出部21が向かい合う間の溝とによって構成される。突出部21を設けることで、三叉路において、溝幅を制御し、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。すなわち、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水性能を高めることができる。
【0129】
また、本実施の形態においては、各々の溝接続方向55が互いになす角度はいずれも、120°である。そのため、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域をより狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。すなわち、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水性能をより高めることができる。
【0130】
また、複数の凹部31の延びる方向と各々の溝接続方向55とは、平行でない。例えば本実施の形態においては、複数の凹部31の延びる方向は、x軸と平行な方向である。
【0131】
上述の通り、目地10から複数の面状部20へ水をくみ上げることで、水廻り部材1の乾燥性能が高まる。例えば、三叉路において、接続中心点51に水が残った場合を考える。接続中心点51からみた溝接続方向55には、必ず溝があり、接続中心点51からみた溝接続方向55は、接続中心点51と面状部20等の端部との距離が比較的遠い方向である。そのため、複数の凹部31の延びる方向と溝接続方向55とはいずれも、平行でない構成とすることで、より速く目地10から複数の面状部20へ水をくみ上げることができ、水廻り部材1の乾燥性能を高めることができる。
【0132】
なお、三叉路は、Y字形状を形成してもよい。三叉路をY字形状とすることで、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域をより狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。すなわち、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水性能をより高めることができる。
【0133】
また、
図1に示すように、本実施の形態に係る水廻り部材1は、浴室の床などに利用される床材である。また、本実施の形態における浴室部材は、水廻り部材1を備える。浴室部材は、浴室に設けられ、排水口2に向かって速やかに水を流す部材である。このような浴室部材において、水廻り部材1は、三叉路を備える。また、三叉路を形成する接続領域において、各々の溝接続方向55が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。そのため、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る浴室部材は、優れた排水性能を有する。
【0134】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る水廻り部材1は、複数の溝により構成される目地10と、目地10によって区切られる複数の面状部20とを備える。複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝11と、複数の第1溝11とは異なる方向へ延びる複数の第2溝12とを含む。また、複数の第1溝11と複数の第2溝12と複数の面状部20とは、複数の第1溝11と複数の第2溝12とが接続する接続領域50において、三叉路を形成する。三叉路を構成する各々の溝が接続領域50内の接続中心点51に接続する方向を溝接続方向55としたとき、各々の溝接続方向55が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。
【0135】
これにより、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る水廻り部材1は、優れた排水性能を有する。
【0136】
また、本実施の形態に係る複数の面状部20のそれぞれは、接続領域50において、目地10に向かって突出する突出部21を有し、三叉路は、複数の第1溝11と、複数の第2溝12と、突出部21とによって形成される。
【0137】
これにより、三叉路において、溝幅を制御し、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。すなわち、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水性能を高めることができる。
【0138】
また、本実施の形態に係る水廻り部材1において、三叉路は、Y字形状を形成する。
【0139】
これにより、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域をより狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。すなわち、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水性能をより高めることができる。
【0140】
また、本実施の形態に係る水廻り部材1は、上記各々の溝接続方向55が互いになす角度は、120°である。
【0141】
これにより、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域をより狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。すなわち、本実施の形態に係る水廻り部材1の排水性能をより高めることができる。
【0142】
また、本実施の形態に係る水廻り部材1は、さらに、目地10と複数の面状部20との表面にストライプ状に並んで設けられ、幅及び深さHの少なくとも一方がマイクロメートルオーダの溝状の複数の凹部31を有する微細溝30を備える。また、微細溝30の表面は、親水性を有する。
【0143】
これにより、水廻り部材1の表面に散布された水滴は、水廻り部材1の表面を濡れ広がりやすく、つまり、空気に触れる水の表面積が大きくなる。そのため、水廻り部材1の乾燥性能が高まる。
【0144】
また、本実施の形態に係る水廻り部材1において、複数の凹部31の延びる方向と各々の溝接続方向55とは、平行でない。
【0145】
これにより、より速く目地10から複数の面状部20へ水をくみ上げることができ、水廻り部材1の乾燥性能を高めることができる。
【0146】
また、本実施の形態に係る水廻り部材1において、複数の凹部31は、幅が10μm以上300μm以下であり、かつ、深さHが5μm以上150μm以下である。
【0147】
これにより、効果的に毛細管現象を発生させることができる。例えば、複数の凹部31の幅が10μm以上又は深さHが5μm以上であることで、複数の凹部31の断面積を確保することができ、複数の凹部31内を水が進行しやすくすることができる。また、例えば、複数の凹部31の幅が300μm以下又は深さHが150μm以下であることで、優れた乾燥性能を実現することができる。
【0148】
また、本実施の形態に係る水廻り部材1は、さらに、目地10と複数の面状部20との表面に位置するフィルム部材40を備え、微細溝30は、フィルム部材40の表面に設けられる。
【0149】
これにより、フィルム部材40は、床部材60と分離して別体で製造され、フィルム部材40を目地10と複数の面状部20との表面、すなわち、床部材60の表面に設けることで水廻り部材1を得られるため、製造が容易になる。
【0150】
また、本実施の形態に係る浴室部材は、上記水廻り部材1を備える。
【0151】
これにより、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11及び複数の第2溝12内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る浴室部材は、優れた排水性能を有する。
【0152】
(実施の形態1の変形例1)
以上のように、実施の形態1では、複数の面状部20の上面視形状である長方形の角に、突出部21が存在する構成を示した。しかしながら、この構成に限らない。ここでは、
図8を用いて、実施の形態1の変形例1に係る水廻り部材1aについて、説明する。
【0153】
図8は、本変形例に係る水廻り部材1aの上面図である。より具体的には、
図8の(a)は、本変形例に係る水廻り部材1aの全体の上面図であり、
図8の(b)は、
図8の(a)に示される点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面図である。
【0154】
ここでは、変形例1の水廻り部材1aについて、実施の形態1に係る水廻り部材1との相違点を中心に説明する。水廻り部材1aは、複数の面状部20aの上面視形状と目地10aの配置とを除き、実施の形態1の水廻り部材1と同様の構成である。具体的には、以下の通りである。
【0155】
まず、
図8の(a)を用いて、実施の形態1の変形例1の水廻り部材1aの概要を説明する。
【0156】
水廻り部材1aは、複数の溝により構成される目地10aと、目地10aによって区切られる複数の面状部20aと床部材60と排水口2とを備える。
【0157】
また、目地10aは、複数の溝により構成される目地である。複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝11aと、複数の第1溝11aとは異なる方向へ延びる複数の第2溝12aとを含む。複数の第1溝11aと複数の第2溝12aと複数の面状部20aとは、複数の第1溝11aと複数の第2溝12aとが接続する接続領域50aにおいて、三叉路を形成する。
【0158】
ここで、
図8の(b)を用いて、目地10aと複数の面状部20aとの詳細構造を説明する。
【0159】
目地10aは、複数の溝によって構成される。また、
図8の(b)に示すように、目地10aは、例えば、馬踏み目地状である。つまり、x軸方向に隣り合う2つの面状部20aは、y軸方向に複数の面状部20aの長手方向の長さの半分だけずれて配置される。
【0160】
複数の第1溝11aは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第1溝11aはそれぞれ、x軸方向に延びており、y軸方向に沿って並んで設けられている。
【0161】
複数の第2溝12aは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第2溝12aはそれぞれ、y軸方向に延びており、x軸方向に沿って並んで設けられている。つまり、複数の第1溝11aと複数の第2溝12aとは、各々が互いに直交している。
【0162】
次に、複数の面状部20aのそれぞれが有する突出部21aについて説明する。
【0163】
上記の通り、複数の第1溝11aと複数の第2溝12aとは、各々が互いに直交しており、複数の第1溝11aの並び間隔と複数の第2溝12aの並び間隔とは、異なっている。そのため、複数の面状部20aの上面視形状は、略長方形である。
【0164】
しかしながら、複数の面状部20aの上面視形状は、厳密には長方形ではない。複数の面状部20aは、接続領域50aにおいて、突出部21aを有するためである。
【0165】
突出部21aは、複数の面状部20aのそれぞれが有する一領域であり、複数の面状部20aの上面視形状において、目地10aに向かってへ突出する領域である。また、本変形例に係る突出部21aは、半円状の形状を有する。突出部21aは、複数の面状部20aの上面視形状である長方形の4つの辺の内、1本の第1溝11aと1本の第2溝12aとが接続する接続領域50aに接する辺に位置する。
【0166】
また、本変形例においては、三叉路は、複数の第1溝11aと、複数の第2溝12aと、突出部21aによって形成される。具体的には、三叉路を構成する3本の溝の内の1本の溝は、1本の第1溝11aによって構成される。また、三叉路を構成する3本の溝の内の他の2本の溝は、突出部21aと向かい合う面状部20aとの間の溝によって構成される。また、突出部21aと向かい合う面状部20aとの間の溝は、複数の第2溝12aでもある。
【0167】
このように、1つの面状部20aは、1つの突出部21aを有してもよい。また、全ての面状部20aが突出部21aを有してもよく、一部の面状部20が突出部21を有してもよい。このような構成とすることで、接続領域50aにおいて、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。
【0168】
以上まとめると、本変形例に係る水廻り部材1aは、三叉路を備える。また、三叉路を形成する接続領域50aにおいて、各々の溝接続方向が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。そのため、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11a及び複数の第2溝12a内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11a及び複数の第2溝12a内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る水廻り部材1aは、優れた排水性能を有する。
【0169】
(実施の形態1の変形例2)
以上のように、実施の形態1では、複数の面状部20の1つが2つの突出部21を有する構成を示した。しかしながら、この構成に限らない。ここでは、
図9を用いて、実施の形態1の変形例2に係る水廻り部材1bについて、説明する。
【0170】
図9は、本変形例に係る水廻り部材1bの上面図である。より具体的には、
図9の(a)は、本変形例に係る水廻り部材1bの全体の上面図であり、
図9の(b)は、
図9の(a)に示される点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面図である。
【0171】
ここでは、本実施の形態の変形例1の水廻り部材1bについて、実施の形態1に係る水廻り部材1との相違点を中心に説明する。水廻り部材1bは、複数の面状部20bの上面視形状と目地10bの配置とを除き、実施の形態1の水廻り部材1と同様の構成である。具体的には、以下の通りである。
【0172】
まず、
図9の(a)を用いて、実施の形態1の変形例2の水廻り部材1bの概要を説明する。
【0173】
水廻り部材1bは、複数の溝により構成される目地10bと、目地10bによって区切られる複数の面状部20bと床部材60と排水口2とを備える。
【0174】
また、目地10bは、複数の溝により構成される目地である。複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝11bと、複数の第1溝11bとは異なる方向へ延びる複数の第2溝12bとを含む。複数の第1溝11bと複数の第2溝12bと複数の面状部20bとは、複数の第1溝11bと複数の第2溝12bとが接続する接続領域50bにおいて、三叉路を形成する。
【0175】
ここで、
図9の(b)を用いて、目地10bと複数の面状部20bとの詳細構造を説明する。
【0176】
目地10bは、複数の溝によって構成される。また、
図9の(b)に示すように、目地10bによって区切られる複数の面状部20bは、例えば、フランス貼り形状に、配置されている。
【0177】
複数の第1溝11bは、互いに平行であり、かつ、等間隔に並んでいない。具体的には、複数の第1溝11bはそれぞれ、x軸方向に延びており、y軸方向に沿って並んで設けられている。
【0178】
複数の第2溝12bは、互いに平行であり、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第2溝12bはそれぞれ、y軸方向に延びており、x軸方向に沿って並んで設けられている。つまり、複数の第1溝11bと複数の第2溝12bとは、各々が互いに直交している。
【0179】
次に、複数の面状部20bのそれぞれが有する突出部21bについて説明する。
【0180】
上記の通り、複数の面状部20bは、フランス貼り形状に配置されている。すなわち、複数の面状部20bの一方向(本変形例ではy軸方向)の長さが異なる2種類の複数の面状部20bが存在する。ここで説明のために、複数の面状部20bは、一方向の長さがより長い面状部20b1と、一方向の長さがより短い面状部20b2とよって構成される、と定義する。
【0181】
上述の通り、複数の面状部20bは、フランス貼り形状に配置されている。さらに、複数の第1溝11bと複数の第2溝12bとは、各々が互いに直交し、複数の第1溝11bの並び間隔と複数の第2溝12bの並び間隔とは、異なっている。そのため、複数の面状部20bの上面視形状は、略長方形である。
【0182】
しかしながら、複数の面状部20bの1種類である面状部20b1の上面視形状は、厳密には長方形ではない。面状部20b1は、接続領域50bにおいて、突出部21bを有するためである。
【0183】
突出部21bは、複数の面状部20bのそれぞれが有する一領域であり、複数の面状部20bの上面視形状において、目地10bに向かってへ突出する領域である。突出部21bは、面状部20b1の上面視形状である長方形の4つの角に位置する。このように、1つの面状部20b1は、複数の突出部21bを有してもよい。このような構成とすることで、接続領域50bにおいて、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。
【0184】
本変形例に係る水廻り部材1bは、三叉路を備える。また、三叉路を形成する接続領域50bにおいて、各々の溝接続方向が互いになす角度は、90°より大きく180°より小さい。そのため、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11b及び複数の第2溝12b内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11b及び複数の第2溝12b内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る水廻り部材1bは、優れた排水性能を有する。
【0185】
(実施の形態2)
以上のように、実施の形態1では、複数の面状部20のそれぞれが突出部21を有する構成を示した。しかしながら、この構成に限らない。ここで、
図10を用いて、実施の形態2に係る水廻り部材1cについて説明する。
【0186】
図10は、本実施の形態に係る水廻り部材1cの上面図である。より具体的には、
図10の(a)は、本実施の係る水廻り部材1cの全体の上面図であり、
図10の(b)は、
図10の(a)に示される点線で囲まれた矩形領域を拡大した上面図である。
【0187】
ここでは、実施の形態2の水廻り部材1cについて、実施の形態1に係る水廻り部材1との相違点を中心に説明する。水廻り部材1cにおいては、複数の面状部20cのそれぞれが突出部を有さない点が、実施の形態1の水廻り部材1と異なる構成である。具体的には、以下の通りである。
【0188】
水廻り部材1cは、複数の溝により構成される目地10cと、目地10cによって区切られる複数の面状部20cと床部材60と排水口2とを備える。
【0189】
また、目地10cは、複数の溝により構成される目地である。複数の溝は、所定方向へ延びる複数の第1溝11cと、複数の第1溝11cとは異なる方向へ延びる複数の第2溝12cとを含む。また、複数の溝は、複数の第1溝11c及び複数の第2溝12cとは異なる方向へ延びる複数の第3溝13cを含む。本実施の形態においては、三叉路を構成する各々の溝は、複数の第1溝11cと、複数の第2溝12cと、複数の第3溝13cとによって形成される。より具体的には、三叉路は、1本の第1溝11cと、1本の第2溝12cと、1本の第3溝13cとによって形成される。また、複数の面状部20cは、目地10c(すなわち、複数の第1溝11c、複数の第2溝12c及び複数の第3溝13c)によって区切られるため、目地10cは、複数の面状部20c同士の間の溝でもある。そのため、目地10cの形状と複数の面状部20cと形状は、お互いに、関係しあう。つまり、本実施の形態の三叉路は、複数の第1溝11cと、複数の第2溝12cと、複数の面状部20cとによって形成されるともいえる。
【0190】
ここで、
図10の(b)を用いて、目地10cと複数の面状部20cとの詳細構造を説明する。
【0191】
複数の第1溝11cは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第1溝11cはそれぞれ、x軸方向に延びており、y軸方向に沿って並んで設けられている。
【0192】
複数の第2溝12cは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。具体的には、複数の第2溝12cはそれぞれ、y軸方向に延びており、x軸方向に沿って並んで設けられている。つまり、複数の第1溝11cと複数の第2溝12cとは、各々が互いに直交している。
【0193】
複数の第3溝13cは、互いに平行で、かつ、等間隔に並んでいる。本実施の形態においては、具体的には、第3溝13cが伸びる方向と、複数の第1溝11cが伸びる方向及び複数の第2溝12cが伸びる方向とがなす角度は、45°である。
【0194】
複数の第1溝11cの並び間隔と複数の第2溝12cの並び間隔とは、例えば、異なっている。また、複数の第1溝11cの並び間隔と複数の第2溝12cの並び間隔とは、例えば、同じであってもよい。
【0195】
次に、複数の面状部20cついて説明する。
【0196】
上記の通り、本実施の形態に係る複数の第1溝11cと複数の第2溝12cとは、各々が互いに直交しており、複数の第1溝11cの並び間隔と複数の第2溝12cの並び間隔とは、異なっている。そのため、複数の面状部20cの上面視形状は、略長方形である。
【0197】
しかしながら、複数の面状部20cの上面視形状は、厳密には長方形ではない。本実施の形態においては、複数の第3溝13cが存在するためである。
【0198】
接続領域50cにおいて、三叉路を構成する各々の溝は、複数の第1溝11cと、複数の第2溝12cと、複数の第3溝13cとによって形成される。そのため、複数の面状部20cの上面視形状は、略長方形の形状の内、対角となる角が1本の第3溝13cによって切り取られた形状となる。本実施の形態においては、複数の面状部20cの上面視形状である長方形の4つの角の内、x軸正側かつy軸負側の角と、x軸負側かつy軸正側の角とが複数の第3溝13cによって切り取られた形状となる。このような構成とすることで、接続領域50cにおいて、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。
【0199】
以上のように本実施の形態に係る水廻り部材1cにおいては、複数の溝は、複数の第1溝11c及び複数の第2溝12cとは異なる方向へ延びる複数の第3溝13cを含む。また、三叉路を構成する各々の溝は、複数の第1溝11cと、複数の第2溝12cと、複数の第3溝13cとによって形成される。そのため、三叉路において、水80が溝側面の表面張力の影響を受けにくい領域を狭くすることができる。その結果、複数の第1溝11c、複数の第2溝12c及び複数の第3溝13c内の水80が途切れにくく、複数の第1溝11c、複数の第2溝12c及び複数の第3溝13c内の水80が十分に排水される。つまり、本実施の形態に係る水廻り部材1cは、優れた排水性能を有する。
【0200】
(その他)
以上、本発明に係る水廻り部材及び浴室部材について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0201】
実施の形態1の水廻り部材1においては、三叉路を構成する3本の溝は、1本の第1溝11と、1本の第2溝12と、2つの突出部21が向かい合う間の溝とによって構成された。すなわち、実施の形態1の三叉路は、複数の第1溝11と、複数の第2溝12と、突出部21とによって形成された。一方で、上記の2つの突出部21が向かい合う間の溝は、複数の第3溝の1本であるともいえる。ここで説明する複数の第3溝とは、複数の第1溝11及び複数の第2溝12とは異なる方向へ延びる溝である。そのため、実施の形態1の三叉路を構成する各々の溝は、複数の第1溝11と、複数の第2溝12と、複数の第3溝とによって形成されてもよい。
【0202】
なお、内接三角形56が有する3つの内角がいずれも60°の場合、溝側面までの距離がW/2以上となる領域90は、最小となる。そのため、内接三角形56が有する3つの内角のそれぞれは、50°より大きく75°より小さいことが好ましい。また、内接三角形56が有する3つの内角のそれぞれは、54°より大きく63°より小さいことがより好ましい。また、内接三角形56が有する3つの内角のそれぞれは、56°より大きく62°より小さいことがさらに好ましい。
【0203】
なお、実施の形態1においては、接続領域50、接続中心点51、端部と接する円52、内接三角形56及び溝接続方向55を決定する方法の一例が示されたが、これに限らない。例えば、溝接続方向は、以下の様に決定してもよい。また、ここで示す溝接続方向55xを決定する方法の例は、内接三角形56を用いず、半径Wの円53x及び線分54xを用いる。
【0204】
図11は、溝接続方向55xを決定する他の例を説明するための水廻り部材の上面図である。ここでは、主に、実施の形態1とは異なる点について説明する。
【0205】
まず、接続領域50xは、実施の形態1で示す接続領域50と同じ領域である。また、端部と接する円52xは、実施の形態1で示す端部と接する円52と同じ円である。上記の通り、端部と接する円52xは、3か所の端部と接する円である。
【0206】
ここで示す例においては、接続中心点51xは、端部と接する円52xの中心点である。そのため、端部と接する円52xの位置が決定することで、接続中心点51xの位置が決定する。また、接続中心点51xは、さらに、半径Wの円53xとの中心点である。すなわち、接続中心点51xは、端部と接する円52xの円周上のいずれの点からも距離が等しい。また、接続中心点51xは、半径Wの円53xの円周上のいずれの点からも距離が等しい。
【0207】
半径Wの円53xは、接続中心点51xを円の中心とし、溝幅の長さWを半径とする円である。
【0208】
線分54xは、半径Wの円53xと面状部20等の端部との交点を結んだ線分であって、さらに、三叉路を構成する3本の溝を跨るように構成された線分である。また、ここで示す例においては、線分54xは、第1線分541xと、第2線分542xと、第3線分543xとを含む。すなわち、第1線分541xは、1本の第1溝11を跨る線分であり、第2線分542xは、1本の第2溝12を跨る線分であり、第3線分543xは、2つの突出部21が向かい合う間の溝を跨る線分である。
【0209】
溝接続方向55xは、三叉路を構成する各々の溝が接続領域50x内の接続中心点51xに接続する方向である。ここで示す例においては、溝接続方向55xは、線分54xの中点から接続中心点51xへ向かう線の方向である。また、ここで示す例においては、溝接続方向55xは、第1溝接続方向551xと、第2溝接続方向552xと、第3溝接続方向553xとを含む。第1溝接続方向551xは、第1線分541xの中点から接続中心点51xへ向かう線の方向である。第2溝接続方向552xは、第2線分542xの中点から接続中心点51xへ向かう線の方向である。第3溝接続方向553xは、第3線分543xの中点から接続中心点51xへ向かう線の方向である。このような方法で溝接続方向が決定されてもよい。
【0210】
また、例えば、上記の実施の形態では、床部材60の表面の傾斜角φは、1.2°以下である例について示したが、傾斜角φは1.2°より大きくてもよい。例えば、人が立つことがあまり想定されない構造物に水廻り部材1を用いる場合、傾斜角φが1.2°より大きくても人に使用時の違和感を与えなくて済む。したがって、傾斜角φを1.2°より大きくすることで、排水性能を高めることができる。
【0211】
なお、フィルム部材40は、接着層を備えていてもよい。例えば、接着層は、基材41において樹脂層42がある面と反対側の面に形成されてもよい。接着層は、フィルム部材40と、床部材60を接着する材料で構成されている。これにより、フィルム部材40を床部材60の表面に貼り付けることができる。
【0212】
また、例えば、目地10を有する床部材60の上面に直接、樹脂層42により構成される微細溝30が設けられてもよい。つまり、水廻り部材1は、基材41を備えていなくてもよい。さらに、また、目地10を有する床部材60の上面に直接、床部材60により構成される微細溝30が設けられてもよい。つまり、水廻り部材1は、フィルム部材40、基材41及び樹脂層42を備えていなくてもよい。
【0213】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0214】
1 水廻り部材
10 目地
11 第1溝
12 第2溝
13c 第3溝
20 面状部
21 突出部
30 微細溝
31 凹部
40 フィルム部材
50 接続領域
51 接続中心点
55 溝接続方向
H 深さ