(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】塗布方法、塗布装置及び吐出装置
(51)【国際特許分類】
B05D 1/26 20060101AFI20230825BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20230825BHJP
B05C 9/06 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B05D1/26 A
B05D1/26 Z
B05D1/36 Z
B05C9/06
(21)【出願番号】P 2019108430
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2022-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩二
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-024121(JP,A)
【文献】特開2006-165092(JP,A)
【文献】特開2006-239628(JP,A)
【文献】特開2014-120745(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0108626(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0116552(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00- 7/26
B05C 7/00-21/00
B41F 15/00-15/46
B41M 1/00- 3/18;
7/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填させる印刷ユニットを用いて前記ワークに前記液体を印刷する印刷工程と、
前記印刷工程の後に複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワーク
の上方に配置した状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に、液体吐出ユニットにより液体を吐出する吐出工程と、を備える、
塗布方法。
【請求項2】
さらに、前記印刷工程と前記吐出工程との間に実施される、前記印刷用マスクを前記ワークから離間させる印刷用マスク離間工程を備え、
前記吐出工程では、
前記印刷工程後マスクは、前記印刷用マスクとは別のマスクであり、かつ、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔が形成された液体吐出用マスクとして用意され、
前記液体吐出用マスクを前記ワーク
の上方に配置した状態で、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔を通して前記液体吐出ユニットにより前記ワークに前記液体を吐出し、
前記印刷用マスク
を前記液体吐出用マスク
の上方に配置した状態を平面視した場合に、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔は、前記印刷パターンを構成する前記複数の貫通孔と重ならない位置に形成されている、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
前記液体吐出用マスクは、前記印刷工程によって前記ワークに印刷された液体と非接触となるように形成された貫通孔または凹部を有する、
請求項2に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記液体吐出用マスクを平面視した場合に、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔のそれぞれは、円形状である、
請求項2または3に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記吐出工程では、
前記印刷用マスクは、前記印刷工程後マスクとして用いられ、
前記印刷パターンを構成する前記複数の貫通孔のうち、少なくとも1つの貫通孔の上部から前記液体吐出ユニットを用いて前記ワークに液体を吐出する、
請求項1に記載の塗布方法。
【請求項6】
複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填させる印刷ユニットと、
複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワーク
の上方に配置した状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に液体を吐出する液体吐出ユニットと、を備える、
塗布装置。
【請求項7】
印刷ユニットにより、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填された後に、複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワーク
の上方に配置した状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に液体を吐出する液体吐出ユニットを備える、
吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、塗布方法、塗布装置及び吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の量の粘性媒体を基板の所定の位置にスクリーン印刷するステップと、スクリーン印刷した基板の所定の位置に所定の追加量の粘性媒体を追加噴射するステップとを含む粘性媒体を基板に塗布する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法のように、粘性媒体を基板であるワークの所定の位置に追加噴射する場合では、追加噴射した粘性媒体である液体が飛散することで、ワークの所定の位置に塗布されるだけでなく、所定の位置の周辺にも液体が塗布されてしまう。このため、高品質が要求される場合には、従来の方法で使用したワークを使用できなくなる。
【0005】
そこで、本開示は、ワークにおける規定位置以外の位置に飛散された液体が付着することを抑制する塗布方法、塗布装置及び吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る塗布方法の一態様は、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填させる印刷ユニットを用いて前記ワークに前記液体を印刷する印刷工程と、前記印刷工程の後に複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワークの上方に配置した状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に、液体吐出ユニットにより液体を吐出する吐出工程と、を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本開示に係る塗布装置の一態様は、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填させる印刷ユニットと、複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワークの上方に配置した状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に液体を吐出する液体吐出ユニットと、を備える。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示に係る吐出装置の一態様は、印刷ユニットにより、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記パターンに液体を充填された後に、複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワークの上方に配置した状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に液体を吐出する液体吐出ユニットを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ワークにおける規定位置以外の位置に飛散された液体が付着することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る部品実装システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置の印刷用マスクを示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置の液体吐出用マスクを示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置による塗布方法であり、初期工程から印刷工程までの動作を示す模式図である。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置による塗布方法であり、印刷用マスク離間工程から吐出用マスク離間工程までの動作を示す模式図である。
【
図6B】
図6Bは、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置による塗布方法の吐出用マスク載置工程で用いられる吐出用マスクを示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置による塗布方法の吐出工程の液体吐出用マスク及び基板を平面視した平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置による塗布方法によって得られた基板を平面視した平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係るスクリーン印刷装置の動作を例示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係るスクリーン印刷装置による塗布方法の動作であり、追加吐出工程を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係るスクリーン印刷装置による塗布方法の動作であり、印刷用マスク離間工程までの動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る塗布方法は、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填させる印刷ユニットを用いて前記ワークに前記液体を印刷する印刷工程と、前記印刷工程の後に複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワークに重ねた状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に、液体吐出ユニットにより液体を吐出する吐出工程と、を備える。
【0012】
例えば、スクリーン印刷ではない別の印刷手段(例えば、ジェット式ディスペンサー、スクリュー式ディスペンサー、エアー式ディスペンサー等)によって、ワークに液体を吐出する際に、液体吐出ユニットから吐出された液体の液滴本体から、サテライトとなって液滴本体の一部が飛散することがある。また、液体がワークの表面に衝突した衝撃で、液体の一部が飛散することがある。
【0013】
本開示の塗布方法によれば、印刷工程後マスクはワークに重ねた状態で配置されているため、液体が飛散しても、ワークに付着する前に印刷工程後マスクに付着する。
【0014】
したがって、この塗布方法では、ワークにおける規定位置以外の位置に飛散された液体が付着することを抑制することができる。その結果、高品質なワークを製造することができるとともに、高品質なワークを製造する場合に歩留まりの低下を抑制することができる。
【0015】
特に、この塗布方法では、印刷用マスクを用いてスクリーン印刷を行い、スクリーン印刷とは異なる液体吐出ユニットを用いた印刷を行うため、ワークにおける規定位置の塗布面積に応じた塗布量に調節することができるため、生産性に優れている。
【0016】
また、本開示の他の一形態に係る塗布装置は、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記印刷パターンに液体を充填させる印刷ユニットと、複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワークに重ねた状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に液体を吐出する液体吐出ユニットと、を備える。
【0017】
この塗布装置によっても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0018】
また、本開示の他の一形態に係る吐出装置は、印刷ユニットにより、複数の貫通孔からなる印刷パターンが形成された印刷用マスクとワークとを重ねた状態でスキージを摺動させて前記パターンに液体を充填された後に、複数の貫通孔からなるパターンが形成された印刷工程後マスクを前記ワークに重ねた状態で、前記パターンを構成する当該複数の貫通孔に対応する前記ワークの部分に液体を吐出する液体吐出ユニットを備える。
【0019】
この吐出装置によっても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0020】
また、本開示の他の一形態に係る塗布方法は、さらに、前記印刷工程と前記吐出工程との間に実施される、前記印刷用マスクを前記ワークから離間させる印刷用マスク離間工程を備え、前記吐出工程では、前記印刷工程後マスクは、前記印刷用マスクとは別のマスクであり、かつ、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔が形成された液体吐出用マスクとして用意され、前記液体吐出用マスクを前記ワークに重ねた状態で、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔を通して前記液体吐出ユニットにより前記ワークに前記液体を吐出し、前記印刷用マスクと前記液体吐出用マスクとを重ねた状態を平面視した場合に、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔は、前記印刷パターンを構成する前記複数の貫通孔と重ならない位置に形成されている。
【0021】
これによれば、印刷用マスクを用いてスクリーン印刷によりワークに液体を印刷した後に、印刷用マスクとは別の印刷工程後マスクである液体吐出用マスクを印刷後のワークの上に配置する。このため、液体吐出ユニットによりワークに液体を吐出した際、液体が飛散しても、液体吐出用マスクに付着するため、この塗布方法では、規定位置以外の位置に飛散された液体がワークに付着することを抑制することができる。
【0022】
また、本開示の他の一形態に係る塗布方法において、前記液体吐出用マスクは、前記印刷工程によって前記ワークに印刷された液体と非接触となるように形成された貫通孔または凹部を有する。
【0023】
これによれば、スクリーン印刷によりワークに液体を印刷した後に、液体吐出用マスクを印刷後のワークの上に配置する場合に、液体吐出用マスクに貫通孔又は凹部が形成されているため、ワークに印刷された液体が液体吐出用マスクと接触し難くなる。このため、ワークに印刷された液体と液体吐出用マスクとの接触による損傷が生じ難くなる。このため、製品の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0024】
また、本開示の他の一形態に係る塗布方法において、前記液体吐出用マスクを平面視した場合に、前記パターンを構成する前記複数の貫通孔のそれぞれは、円形状である。
【0025】
これによれば、吐出された液体は、液滴本体を中心に放射状に広がるため、ワークに飛散した液体が付着することを、より効果的に抑制することができる。
【0026】
また、本開示の他の一形態に係る塗布方法において、前記吐出工程では、前記印刷用マスクは、前記印刷工程後マスクとして用いられ、前記印刷パターンを構成する前記複数の貫通孔のうち、少なくとも1つの貫通孔の上部から前記液体吐出ユニットを用いて前記ワークに液体を吐出する。
【0027】
例えば、スクリーン印刷により半田を基板に印刷した場合、塗布面積が大きい部分には、印刷された半田の厚みを増やしたい。そこで、マスクの厚みを厚くすればよいと考えられるが、マスクのパターン(貫通孔)には、塗布面積の小さい部分も存在するため、小さい塗布面積に合わせるために、マスクの厚みを厚くすることはできない。つまり、塗布面積の小さい部分に対応できるよう、印刷用マスクの厚みを薄くする必要がある。この場合、塗布面積の大きい部分は、塗布量が不足してしまう。また、基板に印刷された半田にさらにスクリーン印刷することは、困難である。このため、塗布面積に応じて印刷する半田の厚みを変えることは、容易ではない。
【0028】
しかし、本開示によれば、特別な印刷工程後マスクを用いることなく、ワークにおける規定位置の塗布面積に応じて、塗布量の調節を簡易に行うことができる。つまり、塗布面積が大きい部分に対して追加の塗布を行うことで塗布量を補正(調節)することができる。また、印刷用マスクをそのまま印刷工程後マスクとして用いるため、印刷用マスクを交換する必要もないため、印刷用マスクを交換する場合に比べて、生産性を向上させることができる。これらのため、この塗布方法は、生産性に優れている。
【0029】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0030】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0031】
また、以下の実施の形態において、略平行等の表現を用いている。例えば、略平行は、平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略平行は、本開示による効果を奏し得る範囲において平行という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0032】
以下、本開示の実施の形態に係る塗布方法、塗布装置及び吐出装置について説明する。
【0033】
(実施の形態)
[構成:部品実装システム1]
図1は、実施の形態1に係る部品実装システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0034】
図1に示すように、部品実装システム1は、基板に半田ペースト(以下、半田ペーストのことを半田と呼ぶ。)等を印刷し、印刷した半田に部品を装着することで、基板に部品が装着された部品実装基板を製造するシステムである。具体的には、部品実装システム1は、部品接合用の半田が印刷された後の基板に、部品を搭載する部品実装装置、及び、部品搭載後の基板を加熱することにより電子部品を基板に半田接合するリフロー装置等を備えた構成である。
【0035】
基板に部品が装着とは、基板に印刷された半田及びこの半田に装着された部品がリフローによって半田を介して基板に接合されたことを意味する。また、基板は、電子回路を形成する回路基板であり、ワークの一例である。さらに、部品は、半田以外の電子部品である。また、半田は、液体の一例である。
【0036】
部品実装システム1は、基板供給装置3と、スクリーン印刷装置5と、部品実装ライン7とを備える。
【0037】
<基板供給装置3>
基板供給装置3は、スクリーン印刷装置5の上流工程側に配置され、基板をスクリーン印刷装置5に受け渡すことができる装置である。例えば、基板供給装置3は、複数の基板が搭載され、搬出コンベア等の移動機構によって、基板をスクリーン印刷装置5に受け渡す。
【0038】
<スクリーン印刷装置5>
スクリーン印刷装置5は、基板供給装置3の下流工程側に配置され、基板供給装置3から送り出された基板を搬入コンベア110によって受け取ると、受け取った基板の表面21に半田をスクリーン印刷する印刷する印刷装置である。基板の表面とは、半田が配置される面である。
【0039】
スクリーン印刷装置5は、搬入コンベア110と、基板移動部120と、載置部130と、マスク移動部140と、半田供給部150と、
図1に不図示のスキージ40と、スキージ駆動部160と、ディスペンサー170と、搬送コンベア180と、画像センサ190と、制御部200とを有する。
【0040】
搬入コンベア110は、基板供給装置3から搬入された基板を、基板移動部120が受け取り可能な位置まで搬送するためのコンベアである。つまり、搬入コンベア110は、搬入された基板を基板移動部120に受け渡す。搬入コンベア110は、電動モータ等のアクチュエータ等によって構成され、その動作が制御部200によって制御される。
【0041】
基板移動部120は、搬入コンベア110によって搬送された基板を載置部130に載置したり、半田及び液剤が印刷された基板を搬送コンベア180に送り出したりする装置である。つまり、基板移動部120は、搬送された基板を受け取ると、制御部200によって制御されることで、基板を載置部130の上部に運ぶ。また、基板移動部120は、制御部200によって制御されることで、基板の表面に半田及び液剤が印刷された基板である部材を、搬送コンベア180の上部に運ぶ。液剤は、例えば、クリーム状又は液状の半田、接着剤等の液体であり、液体の一例である。
【0042】
載置部130は、基板の表面21を水平面と略平行となる姿勢で支持するための装置である。本実施の形態では、載置部130は、その上部に、基板を載置するための載置面を有する。載置面は、水平面と略平行な面である。載置部130は、基板が載置面に載置された際に、基板を水平面と略平行な姿勢で支持する。
【0043】
載置部130は、載置面に支持された基板を固定するための、基板を載置部130に支持する基板支持部(不図示)を有する。基板支持部は、制御部200によって制御されることで、基板を挟むように支持し、スクリーン印刷が終了すれば、基板の固定を解除する。
【0044】
マスク移動部140は、載置部130に載置された基板の表面の上に、さらに、
図1に不図示の印刷用マスク31、又は、
図1に不図示の液体吐出用マスク32等(以下、総称してマスクと言う場合がある)を配置したり、基板の表面の上に配置したマスクを取り外したりする移動装置である。マスク移動部140は、マスクを配置したり取り外したりするアクチュエータ等によって構成され、その動作が制御部200によって制御される。
【0045】
本実施の形態では、印刷用マスク31と液体吐出用マスク32とを用いる。
【0046】
図2は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5の印刷用マスク31を示す平面図である。
【0047】
図2に示すように、印刷用マスク31には、複数の第1貫通孔31aからなる印刷パターンが形成されている。具体的には、印刷用マスク31を基板の表面に配置した場合(印刷用マスク31を基板に重ねた場合)、印刷用マスク31には、半田を塗布すべき基板の表面の規定位置と対応する箇所に、第1貫通孔31aがそれぞれ形成されている。規定位置は、半田を塗布する対象となる目的の位置である。
【0048】
本実施の形態では、印刷用マスク31を平面視した場合に、第1貫通孔31aは、方形状をなしているが、円形状、多角形状であってもよく、形状は特に限定されない。
【0049】
また、印刷用マスク31を基板の表面に配置する場合、印刷用マスク31は、基板の表面と接触している。つまり、印刷用マスク31と基板の表面とが離間していないことが好ましい。
【0050】
図3は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5の液体吐出用マスク32を示す平面図である。
【0051】
図2及び
図3に示すように、液体吐出用マスク32は、印刷用マスク31を用いて基板に半田を印刷した後に用いられるマスクであり、印刷工程後マスクの一例である。液体吐出用マスク32には、複数の第2貫通孔32aからなるパターンと、複数の逃げ部32bとが形成されている。
【0052】
具体的には、液体吐出用マスク32を基板の表面に配置した場合(液体吐出用マスク32を基板に重ねた場合)、液体吐出用マスク32には、基板に液剤を塗布すべき規定位置と対応する箇所に、第2貫通孔32aがそれぞれ形成されている。本実施の形態では、液体吐出用マスク32を平面視した場合に、第2貫通孔32aは、円形状をなしているが、形状は特に限定されない。
【0053】
液体吐出用マスク32は、平面視した場合に、印刷用マスク31と同等の大きさである。液体吐出用マスク32と印刷用マスク31とを重ねた場合、複数の第2貫通孔32aのそれぞれは、複数の第1貫通孔31aのそれぞれと異なる位置に形成されている。つまり、複数の第2貫通孔32aのそれぞれは、複数の第1貫通孔31aのそれぞれと重ならない。
【0054】
また、液体吐出用マスク32を基板の表面に配置した場合(液体吐出用マスク32を基板に重ねた場合)、液体吐出用マスク32には、基板の表面に印刷された半田を避ける位置に、逃げ部32bが形成されている。逃げ部32bは、液体吐出用マスク32に形成された貫通孔又は凹部である。
【0055】
液体吐出用マスク32と印刷用マスク31とを重ねた場合、複数の逃げ部32bのそれぞれは、複数の第1貫通孔31aのそれぞれと同様の位置に形成されている。つまり、複数の逃げ部32bのそれぞれは、複数の第1貫通孔31aのそれぞれと重なる。印刷用マスク31を平面視した場合に、逃げ部32bは、第1貫通孔31aと略同一の形状であり、本実施の形態では、方形状をなしている。なお、液体吐出用マスク32が基板に接触する場合、逃げ部32bは、第1貫通孔31aよりも大きく、液体吐出用マスク32が基板に非接触の場合、逃げ部32bは、第1貫通孔31aと同一の大きさであってもよい。また、逃げ部32bを平面視したときの形状は、方形状に限らず、円形状、多角形状であってもよく、形状は特に限定されない。
【0056】
また、液体吐出用マスク32を基板の表面に配置する場合、液体吐出用マスク32は、基板の表面と接触していてもよく、離間していてもよい。つまり、液体吐出用マスク32と基板の表面との間には隙間が空くように、液体吐出用マスク32が配置されていてもよい。
【0057】
半田供給部150は、ペースト状の半田を蓄えており、蓄えたこの半田をマスクの表面に供給する吐出部である。半田供給部150は、
図1に示すように、制御部200によって制御されることで、印刷用マスク31の表面における規定位置に規定量の半田を供給する。なお、規定位置は、基板の型番等によって異なり、常に同様の位置であることに限定されない。マスクの表面とは、基板の表面と対向している裏面とは反対側の面であり、鉛直上方向側の面である。半田供給部150は、塗布装置の一部を構成する。
【0058】
スキージ40は、マスクの表面を摺動しながら、マスクの表面に塗布された半田を掻き寄せ、マスクに形成されている貫通孔に充填することができるヘラである。スキージ40は、印刷ユニットの一部を構成する。
【0059】
スキージ駆動部160は、スキージ40の移動を制御するアクチュエータ等によって構成され、動作が制御部200によって制御される。スキージ駆動部160は、マスクの表面に塗布された半田をマスクの貫通孔に充填するために、スキージ40の先端をマスクの表面と接触する位置に配置する。また、スキージ駆動部160は、マスクの表面と接触する位置に配置したスキージ40を規定方向へ移動するように制御する。スキージ駆動部160は、印刷ユニットの一部を構成する。また、印刷ユニットは、塗布装置の一部を構成する。
【0060】
ディスペンサー170は、基板に印刷するための液剤を蓄えており、蓄えたこの液剤をマスクに形成されている貫通孔を通過させるように、基板に印刷する印刷ヘッドを有する。印刷ヘッドは、制御部200によって制御されることで、基板の表面における規定位置に液剤を塗布する。なお、規定位置は、基板の型番等によって異なり、常に同様の位置であることに限定されない。なお、貫通孔を通過させるようにとは、液剤が貫通孔を完全に通過するだけでなく、貫通孔を実質的に通過したとみなせる場合も含む。ディスペンサー170は、液体吐出ユニットの一例であり、吐出装置を構成する。また、液体吐出ユニットは、塗布装置の一部を構成する。
【0061】
また、ディスペンサー170は、印刷ヘッドの移動を制御するアクチュエータ等で構成される印刷ヘッド駆動部(不図示)を有する。印刷ヘッド駆動部は、制御部200によって制御されることで、印刷ヘッドをマスクの表面に対して水平方向に走査する。これより、印刷ヘッド駆動部は、マスクの貫通孔の上方に印刷ヘッドのノズルを位置させる。つまり、印刷ヘッド駆動部は、基板の表面における規定位置に液剤を印刷することができるように、印刷ヘッドを適宜移動させる。
【0062】
また、ディスペンサー170は、ジェット式ディスペンサー、スクリュー式ディスペンサー、エアー式ディスペンサー等であってもよく、吐出方式は限定されない。なお、液体吐出用マスク32が基板に非接触であっても、基板に液体を塗布できるため、ジェット式ディスペンサーを使用することが好ましい。
【0063】
搬送コンベア180は、基板の表面に半田及び液剤が印刷されることで構成された基板である部材を部品実装ライン7に搬送するためのコンベアである。つまり、搬送コンベア180は、上述の部材を部品実装ライン7に受け渡す。搬送コンベア180は、電動モータ等のアクチュエータ等によって構成され、動作が制御部200によって制御される。
【0064】
画像センサ190は、基板及びマスク等の向き、位置、姿勢等を認識するために、基板及びマスク等を撮像することで、基板又はマスク等を含む画像の画像データを制御部200に出力する撮像装置である。
【0065】
制御部200は、基板移動部120、載置部130、マスク移動部140、半田供給部150、スキージ駆動部160、ディスペンサー170、及び、搬送コンベア180等のそれぞれの処理部を制御するコントローラである。
【0066】
また、制御部200には、画像センサ190が接続され、画像センサ190から出力された画像の画像データによって、上述の処理部を制御する。例えば、制御部200は、画像センサ190が撮像した基板の画像データを画像処理することで、基板の向き、基板の位置、基板の姿勢等を算出する。この場合、基板には、画像データを画像処理する際に認識し易いマークが付されていてもよい。
【0067】
例えば、制御部200は、画像処理によって算出したデータ等に基づいて、基板移動部120を制御することで、搬入コンベア110によって搬送された基板を載置部130に移動させる。また、制御部200は、載置部130の載置面に載置された基板を固定するために、基板が水平面と略平行な姿勢となるように載置部130に支持するように、基板支持部を制御する。また、制御部200は、載置部130に支持された基板の上に、基板と略平行となるようにマスクを配置したり、基板の上に配置されたマスクを取り外したりするように、マスク移動部140を制御する。また、制御部200は、画像処理によって算出したデータ等に基づいて、半田供給部150を制御することで、マスクの表面に吐出する半田の位置、量等を調節する。また、制御部200は、基板の上に配置されたマスクの表面にスキージ40を配置したり、マスクの表面のスキージ40を移動させたりするように、スキージ駆動部160を制御する。この場合、制御部200は、画像処理によって算出したデータ等に基づいて、スキージ駆動部160を制御してもよい。また、制御部200は、画像処理によって算出したデータ等に基づいて、ディスペンサー170を制御することで、マスクの貫通孔を通過して基板の表面に吐出する液剤の位置、量等を調節する。また、制御部200は、上述の部材を搬送コンベア180の上に運ぶように、基板移動部120を制御する。
【0068】
<部品実装ライン7>
部品実装ライン7は、スクリーン印刷装置5の下流工程側に配置され、スクリーン印刷装置5から送り出された、半田等が印刷された基板を受け取ると、受け取った当該基板の表面の半田等に部品を装着する製造ラインである。具体的には、部品実装ライン7は、半田等が印刷された基板に部品を装着することで、部品実装基板を製造し、製造した部品実装基板において、基板と部品とが半田によって適切に接合されているかどうかの品質管理を検査する製造ラインである。部品実装ライン7は、半田等が印刷された後の基板に、部品を搭載する部品実装装置、部品搭載後の基板を加熱することにより電子部品を基板に半田接合するリフロー装置、及び、基板に装着された電子部品の外観状態等を検査する検査装置等を有する。
【0069】
[動作]
次に、本実施の形態における塗布方法、塗布装置及び吐出装置の動作について説明する。
【0070】
図4は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5の動作を例示するフローチャートである。
図5は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5による塗布方法であり、初期工程から印刷工程までの動作を示す模式図である。
図6Aは、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5による塗布方法の動作であり、印刷用マスク離間工程から吐出用マスク離間工程までの動作を示す模式図である。
図5及び
図6Aでは、スクリーン印刷装置5を用いて基板20に半田51及び液剤52を印刷する工程を例示している。
【0071】
まず、
図1、
図4及び
図5に示すように、基板移動部120は、制御部200によって制御されることで、搬入コンベア110によって搬送された基板20を、載置部130の載置面に載置する。つまり、制御部200は、画像センサ190から取得した画像データを画像処理することで基板20を認識し、認識した基板20が規定の姿勢となるように基板移動部120を制御することで、基板20が載置部130の載置面に載置される。基板20が載置面に載置された後に、載置部130の基板支持部は、制御部200によって制御されることで、基板20を載置部130に支持する。マスク移動部140は、制御部200によって制御されることで、載置部130に載置された基板20の表面21の上に、さらに、印刷用マスク31を、基板20の表面21に接触させた状態で配置する。これにより初期工程(S1)が完了する。
【0072】
次に、半田供給部150は、制御部200によって制御されることで、印刷用マスク31の表面31cにおける規定位置に規定量の半田51を供給する。そして、スキージ駆動部160は、制御部200によって制御されることでスキージ40の移動を制御し、スキージ40の先端を印刷用マスク31の表面31cと接触する位置に配置する。スキージ駆動部160は、印刷用マスク31に形成されている複数の第1貫通孔31aに半田51を充填するために、スキージ40を規定方向へ移動させることで、スキージ40が半田51を掻き寄せながら印刷用マスク31の表面31cを摺動する。これにより印刷工程(実行中)(S2)が行われる。
【0073】
次に、スキージ駆動部160がスキージ40の走査を終了すると、印刷用マスク31の複数の第1貫通孔31aには、半田51が充填される。これにより印刷工程(実行後)(S2)が完了する。
【0074】
次に、
図1、
図4~
図6Aに示すように、マスク移動部140は、制御部200によって制御されることで、基板20の表面21の上に配置されている印刷用マスク31を、基板20から取り除く。このとき、印刷用マスク31の複数の第1貫通孔31aに充填された半田51は、基板20の表面21に接着されるため、基板20の表面21に残ったままとなる。これにより印刷用マスク離間工程(S3)が完了する。こうして、基板20の表面21に半田51が印刷された部材を得る。
【0075】
次に、マスク移動部140は、制御部200によって制御されることで、ステップS3で得られた部材(基板20)の表面21の上に、液体吐出用マスク32を配置する。マスク移動部140は、ステップS3で得られた基板20の表面21の半田51と、液体吐出用マスク32の逃げ部32bとが重なるように、当該部材の上に配置する。つまり、ステップS3で得られた基板20の表面21の半田51と、液体吐出用マスク32とが接触しない様に(非接触の状態で)、マスク移動部140は、液体吐出用マスク32を配置する。つまり、液体吐出用マスク32の逃げ部32bが、基板20の表面21の半田51と接触しないように、この基板20の表面21に配置される。なお、液体吐出用マスク32は、ステップS3で得られた基板20の表面21に接触した状態で配置されてもよく、当該表面21から離間した状態で配置されてもよい。これにより吐出用マスク載置工程(S4)が完了する。
【0076】
ここで、逃げ部32bは、
図6Aに示すように、液体吐出用マスク32に形成された貫通孔である。なお、
図6Bに示すように、逃げ部32b1は、液体吐出用マスク32に形成された凹部であってもよい。
図6Bは、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置による塗布方法の吐出用マスク載置工程で用いられる液体吐出用マスク32を示す模式図である。このため、
図6Bの液体吐出用マスク32の厚みは、
図5の印刷用マスク31の厚みと同一又はこの厚みよりも厚くてもよい。
【0077】
次に、ディスペンサー170の印刷ヘッド171は、制御部200によって制御されることで、液体吐出用マスク32の第2貫通孔32aを通過する液剤52を、基板20の表面21の規定位置に規定量だけ供給する。つまり、制御部200は、画像処理によって算出したデータ等に基づいて、液剤52を塗布する位置である規定位置に印刷ヘッド171を移動させる。印刷ヘッド171はスキージ駆動部160によって走査されることで、印刷ヘッド171のノズル172は、液体吐出用マスク32の第2貫通孔32aのそれぞれの上方に配置される。具体的には、印刷ヘッド171のノズル172の開口の中心軸と、それぞれの第2貫通孔32aの開口の中心軸とが一致するように、印刷ヘッド171が液体吐出用マスク32の上方にそれぞれ配置される。そして、印刷ヘッド171は、第2貫通孔32aの開口によって露出している基板20の表面21に向けて、液剤52を吐出する。こうして、ノズル172から吐出された液剤52は、基板20の表面21の規定の位置に印刷される。液剤52が落下する際に、ノズル172から吐出された液剤52の液滴本体から、空気等の影響によって液滴本体の一部が飛散することがある。また、液剤52が基板20の表面21に衝突した衝撃で、液剤52の一部が飛散することがある。これにより吐出工程(実行中)(S5)が行われる。これらの場合、飛散した液剤52は、液体吐出用マスク32の表面32cに付着するため、基板20の表面21に付着し難い。
【0078】
次に、ディスペンサー170の印刷ヘッド171の走査が停止すると、印刷ヘッド171が液剤52を吐出することで、液体吐出用マスク32の複数の第2貫通孔32aから露出した基板20の表面21(複数の第2貫通孔32aに対応した基板20の部分)には、液剤52が印刷される。これにより吐出工程(実行後)(S5)が完了する。ステップS5の完了後の液体吐出用マスク32及び基板20と平面視した様子を
図7に示す。
図7は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5による塗布方法の吐出工程の液体吐出用マスク32及び基板20を平面視した平面図である。
【0079】
次に、
図1、
図4及び
図6Aに示すように、マスク移動部140は、制御部200によって制御されることで、基板20の表面21の上に配置されている液体吐出用マスク32を、基板20の表面21から取り除く。これにより吐出用マスク離間工程(S6)が完了する。こうして、
図8に示すように、基板20の表面21に半田51及び液剤52が印刷された部材を得る。
図8は、実施の形態1に係るスクリーン印刷装置5による塗布方法によって得られた基板20を平面視した平面図である。液体吐出用マスク32が基板20を覆っていたため、基板20の表面21への液剤52の飛散が抑制された部材を得ることができる。つまり、基板20の表面21には、飛散した液剤52が付着していない。
【0080】
[作用効果]
次に、本実施の形態おける塗布方法、塗布装置及び吐出装置の作用効果について説明する。
【0081】
このように、スクリーン印刷によって印刷用マスク31を用いて基板20に半田51を印刷した後に、印刷用マスク31とは別の液体吐出用マスク32を用いて、ディスペンサー170が基板20に液剤52を印刷する。ディスペンサー170が基板20に液剤52を印刷する際に、ディスペンサー170のノズル172から液剤52が落下するとき、ディスペンサー170から吐出された液剤52の液滴本体から、空気等の影響によって液滴本体の一部が飛散することがある。また、液剤52が基板20の表面21に衝突した衝撃で、液剤52の一部が飛散することがある。しかし、本実施の形態では、液体吐出用マスク32はワークに重ねた状態で配置されているため、飛散した液剤52は、基板20に付着する前に液体吐出用マスク32に付着する。
【0082】
したがって、この塗布方法では、基板20における規定位置以外の位置に飛散された液体が付着することを抑制することができる。その結果、高品質な基板20を製造することができるとともに、高品質な基板20を製造する場合に歩留まりの低下を抑制することができる。
【0083】
特に、この塗布方法では、印刷用マスク31を用いてスクリーン印刷を行い、スクリーン印刷とは異なるディスペンサー170による印刷を行うため、基板20における規定位置の塗布面積に応じた塗布量を調節することができるため、生産性に優れている。
【0084】
(実施の形態2)
[構成]
本実施の形態の塗布装置及び吐出装置の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、構成に関する詳細な説明を省略する。
【0085】
また、本実施の形態の塗布方法では、印刷用マスク31が印刷工程後マスクとしても用いる点で、実施の形態1と異なる。また、本実施の形態の塗布方法は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、実施の形態1の塗布方法で用いられる部品実装システム1等の構成については、実施の形態1と同一の符号を付し、同一の方法に関する詳細な説明を省略する。
【0086】
図9は、実施の形態2に係るスクリーン印刷装置5の動作を例示するフローチャートである。
図10は、実施の形態2に係るスクリーン印刷装置5による塗布方法の動作であり、追加吐出工程を示す模式図である。
図11は、実施の形態2に係るスクリーン印刷装置5による塗布方法の動作であり、印刷用マスク離間工程の動作を示す模式図である。
【0087】
図4と同様の初期工程(S1)及び印刷工程(S2)が完了した後に、
図1、
図9から
図11に示すように、ディスペンサー170の印刷ヘッド171は、制御部200によって制御されることで、印刷用マスク31の第1貫通孔31aに充填されている半田51の上面に液剤52aを、規定量だけ供給する。つまり、印刷ヘッド171はスキージ駆動部160によって走査されることで、印刷ヘッド171のノズル172は、印刷用マスク31の第1貫通孔31aに充填されている半田51のそれぞれの上方に配置される。具体的には、印刷ヘッド171のノズル172の開口の中心軸と、それぞれの第1貫通孔31aの開口の中心軸とが一致するように、印刷ヘッド171が印刷用マスク31の上方にそれぞれ配置される。そして、印刷ヘッド171は、第1貫通孔31aに充填されている半田51の上面に向けて、液剤52aを吐出する。こうして、ノズル172から吐出された液剤52aは、この上面に盛られるように印刷される。液剤52aが落下する際に、ノズル172から吐出された液剤52aの液滴本体から、空気等の影響によって液滴本体の一部が飛散することがある。また、液剤52aが基板20の表面21に衝突した衝撃で、液剤52aの一部が飛散することがある。これらの場合、飛散した液剤52aは、印刷用マスク31の表面31cに付着するため、基板20の表面21に付着し難い。これにより追加吐出工程(実行中)(S2A)が行われる。追加吐出工程は、吐出工程の一例である。また、ディスペンサー170は、液体吐出ユニットの一例である。
【0088】
次に、ディスペンサー170の印刷ヘッド171の走査が停止すると、印刷用マスク31の複数の第1貫通孔31aには、印刷ヘッド171が液剤52aを吐出することで、充填された半田51の上面に、さらに半田51が盛られる。これにより追加吐出工程(実行後)(S2A)が完了する。本実施の形態では、半田51の上面に盛られる液剤52aは上述の半田51と同一である。このように、印刷用マスク31は、印刷工程後マスクとしての役割も果たす、つまり、印刷工程後マスクの一例である。
【0089】
[作用効果]
次に、本実施の形態おける塗布方法、塗布装置及び吐出装置の作用効果について説明する。
【0090】
例えば、スクリーン印刷により半田を基板に印刷した場合、塗布面積が大きい部分には、印刷された半田の厚みを増やしたい。そこで、マスクの厚みを厚くすればよいと考えられるが、マスクのパターン(貫通孔)には、塗布面積の小さい部分も存在するため、小さい塗布面積に合わせるために、マスクの厚みを厚くすることはできない。つまり、塗布面積の小さい部分に対応できるよう、マスクの厚みを薄くする必要がある。この場合、塗布面積の大きい部分は、塗布量が不足してしまう。また、基板に印刷された半田にさらにスクリーン印刷することは、困難である。このため、塗布面積に応じて印刷する半田の厚みを変えることは、容易ではない。
【0091】
そこで、本実施の形態では、スクリーン印刷により半田51を基板20に印刷した後、ディスペンサー170により、印刷された半田51の上面にさらに液体(例えば半田)を印刷する。このため、塗布面積に応じて半田51の厚みを増やすことができる、つまり、塗布面積に応じた液体の塗布量を調節することができる。また、スクリーン印刷により基板20に液体を印刷した後に、簡易に、液体を追加することで、塗布量を補正(調節)することができる。例えば、ディスペンサー170により基板20に液体を印刷した場所にも、既に印刷した液体と異なる液体も印刷することができる。これらのため、この塗布方法は、生産性に優れている。
【0092】
また、ディスペンサー170により、印刷された半田51の上面にさらに液体を印刷しても、印刷用マスク31が基板20の表面21に配置されているため、ディスペンサー170から吐出された液剤52が飛散しても、基板20に付着する前に印刷用マスク31に付着する。
【0093】
したがって、この塗布方法では、基板20における規定位置以外の位置に飛散された液体が付着することを抑制することができる。その結果、高品質な基板20を製造することができるとともに、高品質な基板20を製造する場合に歩留まりの低下を抑制することができる。
【0094】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態1、2に基づいて説明したが、本開示は、上記塗布方法、塗布装置及び吐出装置に限定されるものではない。
【0095】
例えば、上記各実施の形態1、2に係る塗布装置及び吐出装置において、塗布装置は、スキージ及びスキージ駆動部を有する印刷ユニットと、ディスペンサーを有する液体吐出ユニットとで構成されているが、他の構成を有していてもよい。また、吐出装置は、ディスペンサーによって構成されているが、他の構成を有していてもよい。
【0096】
また、上記各実施の形態1、2に係る塗布装置及び吐出装置に含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0097】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0098】
なお、上記各実施の形態1、2において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0099】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態1、2は例示された数字に制限されない。
【0100】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0101】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0102】
その他、実施の形態1、2に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態1、2における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本開示は、基板に液体を印刷する印刷装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0104】
20 基板(ワーク)
31 印刷用マスク(印刷工程後マスク)
31a 第1貫通孔
32a 第2貫通孔
32 液体吐出用マスク(印刷工程後マスク)
32b、32b1 逃げ部(貫通孔または凹部)
40 スキージ(印刷ユニット)
51 半田(液体)
52、52a 液剤(液体)
150 半田供給部(塗布装置)
160 スキージ駆動部(印刷ユニット、塗布装置)
170 ディスペンサー(液体吐出ユニット、吐出装置、塗布装置)