(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】販売促進システムおよび販売促進方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20230825BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20230825BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20230825BHJP
【FI】
G06Q30/0251
G06Q30/0207 350
G06Q30/0601 330
(21)【出願番号】P 2020528806
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 JP2019025013
(87)【国際公開番号】W WO2020008938
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2018128020
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末次 圭介
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-281399(JP,A)
【文献】特開2018-041314(JP,A)
【文献】特開2003-022393(JP,A)
【文献】特開2010-049494(JP,A)
【文献】特開2018-022284(JP,A)
【文献】特開2003-077067(JP,A)
【文献】特開2015-041288(JP,A)
【文献】特開2002-007862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムであって、
管理サーバと、配信サーバとを備え、
前記管理サーバは、
インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を
商品ごとに取得し、
実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を
商品ごとに取得し、
人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの
各商品に対応した時系列の統合行動履歴情報を生成し、
前記統合行動履歴情報
が表す各商品の行動パターンに基づく分析処理を行い、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、
前記配信サーバは、
前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信することを特徴とする販売促進システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、
前記分析処理として、人物ごとの前記統合行動履歴情報のクラスタリングを行い、対象とする顧客が属するクラスに基づいて、その顧客に関する前記購買予測情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項3】
前記配信サーバは、
前記販売促進情報として、前記購買予測情報で対象とした商品に関するクーポンを、前記顧客の端末に配信することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項4】
前記配信サーバは、
前記販売促進情報として、対象となる顧客に対する接客を指示する情報を、前記従業員の端末に配信することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項5】
前記配信サーバは、
実店舗に設置されたセンサの検出情報に基づいて取得したリアルタイムの来店情報および店内行動情報に基づいて、来店中の顧客ごとの接客の優先度を判定し、その優先度に基づいて選択した顧客を対象とした接客を指示することを特徴とする請求項4に記載の販売促進システム。
【請求項6】
前記配信サーバは、
実店舗に設置されたセンサの検出情報に基づいて取得したリアルタイムの来店情報および店内行動情報に基づいて、前記販売促進情報を配信するタイミングを判定することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項7】
前記管理サーバは、
実店舗に設置されたセンサの検出情報に基づいて取得した過去の店内行動情報を含む前記リアル行動履歴情報を取得し、
前記過去の店内行動情報に基づいて、前記購買予測情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項8】
前記店内行動情報は、棚前での滞在に関する情報、および商品に手を伸ばす棚前行動に関する情報の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項5、請求項6および請求項7のいずれかに記載の販売促進システム。
【請求項9】
タッチポイント端末を備え、
前記管理サーバは、
人物が前記タッチポイント端末を利用したことで取得したリアルタイムの来店情報に基づいて、前記販売促進情報を配信することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項10】
タッチポイント端末を備え、
前記管理サーバは、
人物が前記タッチポイント端末を利用して特定の商品の情報を閲覧する行動に関するタッチポイント情報を含む前記リアル行動履歴情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項11】
前記管理サーバは、
前記統合行動履歴情報、およびその統合行動履歴情報を加工した情報の少なくともいずれかを、店舗を運営する事業者、マーケティングを助言する事業者、商品を製造する事業者、商品の広告を製作する事業者の少なくともいずれかが運用する装置に配信することを特徴とする請求項1に記載の販売促進システム。
【請求項12】
顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する処理を情報処理装置に行わせる販売促進方法であって、
インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を
商品ごとに取得し、
実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を
商品ごとに取得し、
人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの
各商品に対応した時系列の統合行動履歴情報を生成し、
前記統合行動履歴情報
が表す各商品の行動パターンに基づく分析処理を行い、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、
前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信することを特徴とする販売促進方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムおよび販売促進方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上の電子商取引サイトに開設された仮想店舗(オンラインショップ)で消費者が商品を購買する機会が増えている。このような仮想店舗を利用する消費者は、実店舗に来店するが、実店舗で商品の実物を確認するだけで、商品の購買は仮想店舗で行う場合が多く、消費者が実店舗に来店したにも拘わらず商品を購買しないという問題がある。このため、実店舗に来店した顧客に対して、商品の購買につながる有効な方策をその場で実施して、実店舗での商品の販売を促進することが望まれる。
【0003】
このような実店舗での商品の販売を促進する技術として、従来、ネットワーク上の仮想店舗および実店舗における過去の購買履歴情報に基づいて、顧客ごとに個別のクーポンを発行する技術が知られている(特許文献1参照)。また、実店舗における最新来店日、来店頻度、購買金額累計等の過去の購買履歴情報に基づいて、各顧客に対して有効と予測されるクーポンを発行する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-22393号公報
【文献】特開2003-30749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、前記従来の技術では、実店舗で利用できるクーポンを発行することで、実店舗での商品の販売を促進するようにしている。しかしながら、この従来の技術のように、仮想店舗または実店舗における過去の購買履歴情報のみでは、顧客が購買することが予測される商品を精度よく特定することができない。このため、実際には利用されない無駄なクーポンを発行することになり、実店舗での十分な販売促進につながらないという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、顧客が購買することが予測される商品を精度よく特定して、その商品の購買意欲を高める方策を実店舗で実施することで、実店舗での商品の販売を促進することができる販売促進システムおよび販売促進方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の販売促進システムは、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムであって、管理サーバと、配信サーバとを備え、前記管理サーバは、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を商品ごとに取得し、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を商品ごとに取得し、人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの各商品に対応した時系列の統合行動履歴情報を生成し、前記統合行動履歴情報が表す各商品の行動パターンに基づく分析処理を行い、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、前記配信サーバは、前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信する構成とする。
【0008】
また、本発明の販売促進方法は、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する処理を情報処理装置に行わせる販売促進方法であって、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を商品ごとに取得し、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を商品ごとに取得し、人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの各商品に対応した時系列の統合行動履歴情報を生成し、前記統合行動履歴情報が表す各商品の行動パターンに基づく分析処理を行い、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信する構成とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報と、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報とを人物ごとに統合して、人物ごとの統合行動履歴情報を生成して、その統合行動履歴情報を分析処理するため、対象となる顧客が購買することが予測される商品、すなわち、現時点で顧客が高い購買意欲を示している商品を精度よく特定することができる。このため、顧客の購買意欲を効果的に高めて、顧客に購買を決断させることができるため、実店舗での商品の販売を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る販売促進システムの全体構成図
【
図3】サイバー行動管理サーバ1を示す機能ブロック図
【
図4】サイバー行動履歴データベース32の登録内容の一例を示す説明図
【
図5】リアル行動管理サーバ11、画像解析サーバ12、購買管理サーバ13、およびタッチポイントシステム管理サーバ14を示す機能ブロック図
【
図6】顔登録データベース45、顧客購買履歴データベース52、ユーザ管理データベース63、およびタッチポイント履歴データベース64の登録内容の一例を示す説明図
【
図7】リアル行動履歴データベース72、および顧客情報データベース73の登録内容の一例を示す説明図
【
図8】統合行動管理サーバ21、および販売促進情報配信サーバ22を示す機能ブロック図
【
図9】統合行動履歴データベース85、および販売促進情報データベース96の登録内容の一例を示す説明図
【
図10】統合行動管理サーバ21の行動分析予測部83で行われる処理の概要を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムであって、管理サーバと、配信サーバとを備え、前記管理サーバは、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を商品ごとに取得し、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を商品ごとに取得し、人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの各商品に対応した時系列の統合行動履歴情報を生成し、前記統合行動履歴情報が表す各商品の行動パターンに基づく分析処理を行い、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、前記配信サーバは、前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信する構成とする。
【0012】
これによると、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報と、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報とを人物ごとに統合して、人物ごとの統合行動履歴情報を生成して、その統合行動履歴情報を分析処理するため、対象となる顧客が購買することが予測される商品、すなわち、現時点で顧客が高い購買意欲を示している商品を精度よく特定することができる。このため、顧客の購買意欲を効果的に高めて、顧客に購買を決断させることができるため、実店舗での商品の販売を促進することができる。
【0013】
また、第2の発明は、前記管理サーバは、前記分析処理として、人物ごとの前記統合行動履歴情報のクラスタリングを行い、対象とする顧客が属するクラスに基づいて、その顧客に関する前記購買予測情報を生成する構成とする。
【0014】
これによると、人物ごとの統合行動履歴情報から、対象となる顧客に関する適切な購買予測情報を生成することができる。
【0015】
また、第3の発明は、前記配信サーバは、前記販売促進情報として、前記購買予測情報で対象とした商品に関するクーポンを、前記顧客の端末に配信する構成とする。
【0016】
これによると、顧客の購買意欲をより一層高めて、顧客に購買を決断させることができる。
【0017】
また、第4の発明は、前記配信サーバは、前記販売促進情報として、対象となる顧客に対する接客を指示する情報を、前記従業員の端末に配信する構成とする。
【0018】
これによると、商品の購買に結びつく効果的な接客ができるため、接客の効率を向上させることができる。
【0019】
また、第5の発明は、前記配信サーバは、実店舗に設置されたセンサの検出情報に基づいて取得したリアルタイムの来店情報および店内行動情報に基づいて、来店中の顧客ごとの接客の優先度を判定し、その優先度に基づいて選択した顧客を対象とした接客を指示する構成とする。
【0020】
これによると、接客対象となる顧客を絞り込むため、接客の効率を向上させることができる。
【0021】
また、第6の発明は、前記配信サーバは、実店舗に設置されたセンサの検出情報に基づいて取得したリアルタイムの来店情報および店内行動情報に基づいて、前記販売促進情報を配信するタイミングを判定する構成とする。
【0022】
これによると、適切なタイミングで販売促進情報を配信することができる。
【0023】
また、第7の発明は、前記管理サーバは、実店舗に設置されたセンサの検出情報に基づいて取得した過去の店内行動情報を含む前記リアル行動履歴情報を取得し、前記過去の店内行動情報に基づいて、前記購買予測情報を生成する構成とする。
【0024】
これによると、過去の店内行動情報、すなわち、人物が過去に実店舗において陳列された商品に対して関心を示した行動に関する情報に基づいて、精度の高い購買予測情報を生成することができる。
【0025】
また、第8の発明は、前記店内行動情報は、棚前での滞在に関する情報、および商品に手を伸ばす棚前行動に関する情報の少なくともいずれかを含む構成とする。
【0026】
これによると、棚前での滞在や、商品に手を伸ばす棚前行動は、商品に対する関心の高さを表すことから、接客の優先度を的確に判定し、また、販売促進情報を配信するタイミングを的確に判定し、また、精度の高い購買予測情報を生成することができる。
【0027】
また、第9の発明は、タッチポイント端末を備え、前記管理サーバは、人物が前記タッチポイント端末を利用したことで取得したリアルタイムの来店情報に基づいて、前記販売促進情報を配信する構成とする。
【0028】
これによると、精度の高いリアルタイムの来店情報により、効果的な販売促進情報を配信することができる。
【0029】
また、第10の発明は、タッチポイント端末を備え、前記管理サーバは、人物が前記タッチポイント端末を利用して特定の商品の情報を閲覧する行動に関するタッチポイント情報を含む前記リアル行動履歴情報を取得する構成とする。
【0030】
これによると、タッチポイント端末では、ユーザがタッチ操作を行うことでユーザに情報が提供されるプル型の情報提供となることから、ユーザが高い関心を示す商品に絞り込むことができる。
【0031】
また、第11の発明は、前記管理サーバは、前記統合行動履歴情報、およびその統合行動履歴情報を加工した情報の少なくともいずれかを、店舗を運営する事業者、マーケティングを助言する事業者、商品を製造する事業者、商品の広告を製作する事業者の少なくともいずれかが運用する装置に配信する構成とする。
【0032】
これによると、各種の事業者に有益な情報を提供することができる。
【0033】
また、第12の発明は、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する処理を情報処理装置に行わせる販売促進方法であって、インターネット上での各人物の過去の行動に関するサイバー行動履歴情報を商品ごとに取得し、実店舗での各人物の過去の行動に関するリアル行動履歴情報を商品ごとに取得し、人物ごとに前記サイバー行動履歴情報と前記リアル行動履歴情報とを統合して、人物ごとの各商品に対応した時系列の統合行動履歴情報を生成し、前記統合行動履歴情報が表す各商品の行動パターンに基づく分析処理を行い、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成し、前記購買予測情報に基づいて、対象となる顧客に関する前記販売促進情報を、対象となる顧客の端末および実店舗の従業員の端末の少なくともいずれかに配信する構成とする。
【0034】
これによると、第1の発明と同様に、対象となる顧客が購買することが予測される商品、すなわち、現時点で顧客が高い購買意欲を示している商品を精度よく特定することができる。このため、顧客の購買意欲を効果的に高めて、顧客に購買を決断させることができるため、実店舗での商品の販売を促進することができる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本実施形態に係る販売促進システムの全体構成図である。
【0037】
この販売促進システムは、家電量販店などの実店舗で利用できるクーポンを発行したり、実店舗に来店した顧客に対する接客を店員(店舗の従業員)に指示したりして、実店舗での商品の販売を促進するものである。
【0038】
この販売促進システムは、サイバー行動管理サーバ1と、ECサイトサーバ2と、広告配信サーバ3と、Webサイトサーバ4と、顧客端末5と、を備えている。
【0039】
サイバー行動管理サーバ1は、ECサイトサーバ2、広告配信サーバ3、およびWebサイトサーバ4に接続されている。ECサイトサーバ2、広告配信サーバ3、およびWebサイトサーバ4は、ネットワーク(インターネット)を介して顧客端末5と通信を行うことができる。
【0040】
ECサイトサーバ2は、顧客と電子商取引(EC:Electronic Commerce)を行うECサイト(オンラインショップなどの電子商取引サイト)を公開するものである。広告配信サーバ3は、各種の商品に関する広告を顧客端末5に配信するものである。Webサイトサーバ4は、各種の商品に関する情報を提供するWebサイトを公開するものである。
【0041】
顧客端末5は、スマートフォンやタブレット端末やPCなどであり、顧客が所持する。この顧客端末5には、顧客が個人情報の利用に同意をしたことを条件に、販売促進システム専用のアプリケーションがインストールされる。
【0042】
また、販売促進システムは、リアル行動管理サーバ11と、画像解析サーバ12と、購買管理サーバ13と、タッチポイントシステム管理サーバ14と、カメラ15と、POS端末16と、タッチポイント端末17と、を備えている。
【0043】
画像解析サーバ12および購買管理サーバ13は、実店舗(加盟店)に設置され、リアル行動管理サーバ11に接続されている。タッチポイントシステム管理サーバ14は、リアル行動管理サーバ11に接続されている。
【0044】
カメラ15は、店舗の各所、具体的には、店舗の出入口や、商品の陳列棚の周辺などに設置される。このカメラ15は、画像解析サーバ12に接続されており、カメラ15で撮影した画像が画像解析サーバ12に送信される。
【0045】
POS端末16は、店舗の各所、具体的には、顧客が商品の会計を行うレジカウンターに設置される。このPOS端末16は、購買管理サーバ13に接続されており、POS端末16で入力された購買情報が購買管理サーバ13に送信される。
【0046】
タッチポイント端末17は、店舗内の各所、具体的には、店舗の出入口の近傍などに設置される。また、タッチポイント端末17は、店舗外、具体的には、鉄道駅の構内などに設置される。このタッチポイント端末17は、タッチポイントシステム管理サーバ14に接続されている。
【0047】
タッチポイント端末17は、可視光通信によるID信号を顧客端末5に送信する。顧客端末5では、受信したID信号に対応するWebサイトのURLを、タッチポイントシステム管理サーバ14から取得し、取得したURLに基づいてWebサイトサーバ4にアクセスすることで、ユーザがWebサイトを閲覧することができる。
【0048】
なお、タッチポイント端末17は、専用の装置の他に、広告コンテンツなどを表示するデジタルサイネージや、商品の陳列棚に設置されて商品の価格などを表示する電子棚札などに可視光通信の機能を付加して、タッチポイント端末17としてもよい。
【0049】
また、タッチポイント端末17は、可視光通信に限定されず、2次元コードの読取りや、NFC(Near field communication)などの非接触通信(近距離無線通信)により、所要の情報、例えばWebサイトのURLを顧客端末5に送信するものでもよい。
【0050】
また、販売促進システムは、統合行動管理サーバ21と、販売促進情報配信サーバ22と、店員端末23と、事業者サーバ24と、を備えている。
【0051】
統合行動管理サーバ21は、サイバー行動管理サーバ1とリアル行動管理サーバ11と販売促進情報配信サーバ22とに接続されている。また、統合行動管理サーバ21は、ネットワークを介して、事業者サーバ24と通信を行うことができる。販売促進情報配信サーバ22は、ネットワークを介して、顧客端末5および店員端末23と通信を行うことができる。
【0052】
店員端末23は、スマートフォンやタブレット端末やPCなどであり、店員が所持する。事業者サーバ24は、各種の事業者が運用するものである。
【0053】
なお、本実施形態では、各種のサーバを設けたが、これらのサーバの機能を適宜に統合したサーバを設けるようにしてもよい。例えば、統合行動管理サーバ21と販売促進情報配信サーバ22とを統合して、両方の機能を備えたサーバを設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、各種のサーバを相互に接続して所要の情報の受け渡しを行うようにしたが、適宜な記憶媒体を用いて情報を受け渡すようにしてもよい。
【0054】
次に、本販売促進システムの概要について説明する。
図2は、本販売促進システムの概要を示す説明図である。
【0055】
顧客は、顧客端末5において、ECサイトサーバ2にアクセスして、ECサイトを閲覧し、電子商取引を行う。また、顧客は、顧客端末5において、広告配信サーバ3から配信される広告や、インターネット検索サービスの検索結果などに応じて、Webサイトサーバ4にアクセスして、Webサイトを閲覧する。
【0056】
また、顧客は、関心のある商品の実物を見るため、実店舗に来店する。このとき、店舗の入口に設置されたカメラ15が顧客を撮影する。また、顧客は、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末17で、入店ポイントを獲得するためのタッチ操作を行う。
【0057】
次に、顧客は、店内を回遊し、売場などに設置されたタッチポイント端末17が関心のある商品に関するものであれば、そのタッチポイント端末17でタッチ操作を行い、これに応じて配信されたURLに基づいてWebサイトを閲覧する。
【0058】
また、顧客は、店内を回遊し、関心のある商品の陳列棚の前に来ると、そこに滞在し、棚前行動、すなわち、商品に手を伸ばしたり、商品を陳列棚に戻したり、商品の品定めをしたりする。このとき、陳列棚の近傍に設置されたカメラ15が顧客を撮影する。
【0059】
次に、顧客は、商品の購買を決断すると、レジカウンターで商品の会計を行う。このとき、店員が、販売する商品の情報をPOS端末16に入力する。
【0060】
サイバー行動管理サーバ1では、ECサイトサーバ2、およびWebサイトサーバ4から、サイトの閲覧および商品の購買に関する情報を収集して、それらの情報をサイバー行動履歴情報として蓄積する。
【0061】
画像解析サーバ12では、店舗の入口に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく顔照合により、顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する。したがって、店舗の入口に設置されたカメラ15は、顧客の来店を検知するためのセンサとして機能する。また、画像解析サーバ12では、売場に設置されたカメラ15の撮影画像に基づく行動解析により、顧客の棚前行動(顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動など)を検出して、店内行動情報を生成する。
【0062】
購買管理サーバ13では、顧客の購買情報をPOS端末16から収集する。
【0063】
タッチポイントシステム管理サーバ14では、各ユーザのタッチポイント端末17の利用状況に関する情報をタッチポイント端末17から収集する。特に、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末17での顧客のタッチ操作により顧客の来店を検知して、リアルタイムの来店情報を生成する。したがって、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末17は、顧客の来店を検知するためのセンサとして機能する。
【0064】
リアル行動管理サーバ11では、画像解析サーバ12、購買管理サーバ13、およびタッチポイントシステム管理サーバ14の各々に蓄積された情報を収集して、それらの情報を人物ごとに統合して、リアル行動履歴情報として蓄積する。
【0065】
統合行動管理サーバ21では、サイバー行動管理サーバ1からサイバー行動履歴情報を収集し、また、リアル行動管理サーバ11からリアル行動履歴情報を収集して、それらの情報を人物ごとに統合する。これにより、インターネット上での過去の行動と実店舗での過去の行動とを人物ごとに一括管理することができる。
【0066】
また、統合行動管理サーバ21は、人物ごとの統合行動履歴情報を分析して、対象となる顧客がどの商品を購買するかに関する購買予測情報を生成する。
【0067】
また、統合行動管理サーバ21では、統合行動履歴情報に対して統計処理などの加工を行って、事業者向け情報を生成して、その事業者向け情報を事業者サーバ24に配信する。ここで、情報配信の対象となる事業者は、店舗を運営する事業者、マーケティングを助言する事業者、商品を製造する事業者、商品の広告を製作する事業者などである。
【0068】
販売促進情報配信サーバ22では、統合行動管理サーバ21から購買予測情報を収集して、その購買予測情報に基づいて、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を顧客端末5および店員端末23に配信する。本実施形態では、顧客向けの販売促進情報として、クーポンを顧客端末5に配信する。また、接客の必要性がある場合に、店員向けの販売促進情報として、接客指示を店員端末23に配信する。
【0069】
なお、接客が完了すると、接客を行った旨の情報(接客実施情報)を店員端末23に入力して、統合行動管理サーバ21などのデータベースに接客実施情報を登録するようにしてもよい。これにより、接客時と非接客時とで購買の有無を比較することで、接客の効果を評価することができる。
【0070】
次に、サイバー行動管理サーバ1について説明する。
図3は、サイバー行動管理サーバ1を示す機能ブロック図である。
図4は、サイバー行動履歴データベースの登録内容の一例を示す説明図である。
【0071】
図3に示すように、サイバー行動管理サーバ1は、情報収集部31と、サイバー行動履歴データベース32とを備えている。なお、サイバー行動管理サーバ1の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0072】
情報収集部31は、ECサイトにおける顧客ごとの閲覧履歴情報および購買履歴情報を、ECサイトサーバ2から収集して、その情報をサイバー行動履歴情報としてサイバー行動履歴データベースに登録する。また、情報収集部31は、Webサイトにおける顧客ごとの閲覧履歴情報を、Webサイトサーバ4から収集して、その情報をサイバー行動履歴情報としてサイバー行動履歴データベースに登録する。
【0073】
サイバー行動履歴データベース32は、人物ごとのサイバー行動履歴情報を管理するものであり、
図4に示すように、会員ID、日時、閲覧サイト、購買した商品に関する情報(商品名(品番)、価格)などが登録される。なお、サイトを閲覧しただけで、商品を購入していない場合には、購買した商品に関する情報は登録されない。
【0074】
次に、リアル行動管理サーバ11、画像解析サーバ12、購買管理サーバ13、およびタッチポイントシステム管理サーバ14について説明する。
図5は、各サーバを示す機能ブロック図である。
図6は、顔登録データベース45、顧客購買履歴データベース52、ユーザ管理データベース63、およびタッチポイント履歴データベース64の登録内容の一例を示す説明図である。
図7は、リアル行動履歴データベース72、および顧客情報データベース73の登録内容の一例を示す説明図である。
【0075】
図5に示すように、画像解析サーバ12は、撮影画像収集部41と、顔照合部42と、来店情報取得部43と、行動解析部44と、顔登録データベース45とを備えている。なお、画像解析サーバ12の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0076】
撮影画像収集部41は、カメラ15から撮影画像を収集する。
【0077】
顔照合部42は、カメラ15の撮影画像に対する顔照合(人物認識)を行う。具体的には、カメラ15の撮影画像から検出した顔画像から特徴量を抽出し、その顔画像の特徴量と、予め登録された各顧客の顔画像の特徴量とを比較して、撮影画像に写る人物を特定する。この顔照合により、来店した顧客の会員IDを取得して、その会員IDと、顔画像の特徴量(顔特徴情報)とを顔登録データベース45に登録する。
【0078】
来店情報取得部43は、顔照合部42の照合結果に基づいて、来店した顧客を検知して、来店した顧客に関する情報(来店情報)を取得する。本実施形態では、来店情報として、日時、店舗ID、来店時間を取得する。また、顔照合部42の照合結果に基づいて、退店する顧客を検知して、退店時間を取得する。
【0079】
行動解析部44は、カメラ15の撮影画像に写る人物の行動を検出して、店舗内での顧客の行動に関する店内行動情報を取得する。具体的には、商品の陳列棚の前での顧客の滞在を検出する。また、顧客が商品に手を伸ばす行動、商品を陳列棚に戻す行動、商品を品定めする行動を検出する。また、顧客が滞在する位置や顧客の手の位置に基づいて、顧客の行動の対象となる商品、すなわち、顧客が関心を示した商品に関する情報(商品カテゴリ、商品名、品番などの商品情報)を取得する。
【0080】
なお、行動解析部44では、店舗内に陳列された商品を注視する行動や、店舗内に設置された広告を注視する行動を検出するようにしてもよい。また、顧客の棚前の滞在の検出結果に基づいて、棚前の滞在時間を測定するようにしてもよい。また、商品に手を伸ばす行動の検出結果に基づいて、商品に手を伸ばす動作の回数を測定するようにしてもよい。また、顧客が商品に手を伸ばすことなく退店した回数を測定するようにしてもよい。また、人物追跡により、顧客の動線情報を取得するようにしてもよい。また、棚前の滞在時間や動線の分析により、顧客の購買意欲の高さを判定して、顧客が高い購買意欲を示した商品を特定するようにしてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、カメラ15の撮影画像を解析して来店情報および店内行動情報を取得するようにしたが、カメラ15以外のセンサを店舗に設置して、そのセンサの検出情報に基づいて、実店舗に陳列された商品に対して関心を示す行動を検出するようにしてもよい。
【0082】
顔登録データベース45は、顧客ごとの顔画像の特徴量を管理するものである。この顔登録データベース45には、
図6(A)に示すように、会員ID、および顔画像から抽出した特徴量の情報などが登録される。
【0083】
図5に示すように、購買管理サーバ13は、情報収集部51と、顧客購買履歴データベース52を備えている。なお、購買管理サーバ13の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0084】
情報収集部51は、POS端末16から顧客ごとの購買情報を収集して、その情報を顧客購買履歴情報として顧客購買履歴データベース52に登録する。
【0085】
顧客購買履歴データベース52は、人物ごとの顧客購買履歴情報を管理するものである。この顧客購買履歴データベース52には、
図6(B)に示すように、会員ID、店舗ID、POS端末16の番号、接客を行った店員の店員ID、購買した商品に関する情報(商品名(品番)、価格)、およびクーポンの使用の有無に関する情報などが登録される。
【0086】
図5に示すように、タッチポイントシステム管理サーバ14は、情報収集部61と、来店情報取得部62と、ユーザ管理データベース63と、タッチポイント履歴データベース64とを備えている。なお、タッチポイントシステム管理サーバ14の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0087】
情報収集部61は、タッチポイント端末17で顧客がタッチ操作を行った際に取得した情報(タッチポイント情報)をタッチポイント端末17から収集して、その情報をタッチポイント履歴情報としてタッチポイント履歴データベース64に登録する。
【0088】
来店情報取得部62は、店舗の入口の近傍に設置されたタッチポイント端末17から収集したタッチポイント情報に基づいて、来店した顧客を検知して、来店した顧客に関する情報(来店情報)を取得する。本実施形態では、来店情報として、日時、店舗ID、来店時間を取得することができる。
【0089】
ユーザ管理データベース63は、タッチポイントシステムのユーザに関する情報を管理するものである。このユーザ管理データベース63には、
図6(C)に示すように、タッチポイントシステムのユーザID、および店舗ごとの会員IDなどが登録される。
【0090】
タッチポイント履歴データベース64は、ユーザごとのタッチポイント履歴情報を管理するものである。このタッチポイント履歴データベース64には、
図6(D)に示すように、タッチポイントシステムのユーザID、店舗ID、タッチポイント端末17の端末ID、およびタッチポイント端末17の関連商品に関する情報などが登録される。
【0091】
図5に示すように、リアル行動管理サーバ11は、情報収集部71と、リアル行動履歴データベース72と、顧客情報データベース73とを備えている。なお、リアル行動管理サーバ11の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0092】
情報収集部71は、画像解析サーバ12から来店情報および店内行動情報を収集して、その来店情報および店内行動情報をリアル行動履歴データベース72に登録する。また、情報収集部71は、購買管理サーバ13から顧客購買履歴情報(
図6(B)参照)を収集して、その顧客購買履歴情報をリアル行動履歴データベース72に登録する。また、情報収集部71は、タッチポイントシステム管理サーバ14からタッチポイント履歴情報(
図6(D)参照)を収集して、そのタッチポイント履歴情報をリアル行動履歴データベース72に登録する。
【0093】
なお、タッチポイントシステム管理サーバ14からユーザ管理情報(
図6(C)参照)を取得して、そのユーザ管理情報に基づいて、会員IDとタッチポイント履歴情報のユーザIDとを紐付ければよい。
【0094】
リアル行動履歴データベース72は、顧客ごとのリアル行動履歴情報を管理するものである。このリアル行動履歴データベース72には、
図7(A)に示すように、会員ID、来店情報、顧客購買履歴情報、店内行動情報、タッチポイント情報などが登録される。来店情報には、日時、店舗ID、来店時間、退店時間が含まれる。また、顧客購買履歴情報には、POS端末16の番号、クーポンの使用の有無に関する情報、購入した商品に関する情報(商品名(品番)、価格)が含まれる。また、店内行動情報には、棚前の滞在、陳列棚の商品に手を伸ばす動作、商品を陳列棚に戻す動作、商品を品定めする動作の各行動の対象となる商品(商品カテゴリ、商品名、品番)に関する情報などが含まれる。タッチポイント情報には、タッチポイント端末17の関連商品に関する情報が含まれる。
【0095】
顧客情報データベース73は、顧客の情報を管理するものである。この顧客情報データベース73には、
図7(B)に示すように、会員ID、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス、およびアンケート結果に関する情報などが登録される。
【0096】
次に、統合行動管理サーバ21、および販売促進情報配信サーバ22について説明する。
図8は、各サーバを示す機能ブロック図である。
図9は、統合行動履歴データベース85、および販売促進情報データベース96の登録内容の一例を示す説明図である。
【0097】
図8に示すように、統合行動管理サーバ21は、情報収集部81と、統合処理部82と、行動分析予測部83と、事業者向け情報生成部84と、統合行動履歴データベース85と、を備えている。なお、統合行動管理サーバ21の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0098】
情報収集部81は、サイバー行動管理サーバ1からサイバー行動履歴情報(
図4参照)を収集する。また、情報収集部81は、リアル行動管理サーバ11からリアル行動履歴情報(
図7(A)参照)を収集する。
【0099】
統合処理部82は、サイバー行動履歴情報とリアル行動履歴情報とを人物ごとに統合して、人物ごとの統合行動履歴情報を生成して、その統合行動履歴情報を統合行動履歴データベース85に登録する。このとき、同一の人物に関する情報であることを条件にして、サイバー行動履歴情報とリアル行動履歴情報とを紐付ける。
【0100】
なお、サイバー行動履歴情報とリアル行動履歴情報との紐付けは、顧客がインターネット上のサイトと実店舗との両方で利用する人物の識別子で行えばよい。例えば、購入金額に応じたポイントを付与するポイントサービスを、インターネット上のサイトと実店舗との両方で利用する場合には、ポイントサービスの会員IDで紐付けを行うことができる。また、サイトの閲覧やタッチポイント端末17でのタッチ操作などの行動の際に、顧客端末5の端末IDを顧客端末5から取得するようにすると、その端末IDで紐付けを行うことができる。
【0101】
行動分析予測部83は、統合行動履歴データベース85に登録された人物ごとの統合行動履歴情報を分析して、対象となる顧客がどの商品を購買するかに関する購買予測情報を生成する。
【0102】
なお、行動分析予測には、機械学習モデルを用いるようにしてもよい。この場合、対象となる顧客の統合行動履歴情報を入力情報して機械学習モデルを実行して、対象となる顧客の購買予測情報を出力情報として取得する。
【0103】
事業者向け情報生成部84は、統合行動履歴データベース85に登録された人物ごとの統合行動履歴情報に対して統計処理などの加工を行い、事業者向け情報を生成する。この事業者向け情報は、統合行動管理サーバ21から事業者サーバ24に配信される。なお、統合行動履歴情報をそのまま事業者サーバ24に配信するようにしてもよい。
【0104】
なお、加工処理では、人物ごとの統合行動履歴情報を、各人物の属性(年齢、性別など)に基づいて、属性に応じた情報に加工したり、商品への関心の高さと人物の属性との関連性に関する情報に加工したりすればよい。これにより、事業者にとって扱いやすい内容の情報を事業者に提供することができる。
【0105】
統合行動履歴データベース85は、人物ごとの統合行動履歴情報を管理するものである。この統合行動履歴データベース85には、
図9(A)に示すように、会員IDおよび日時と、サイバー行動履歴情報と、リアル行動履歴情報とが登録される。サイバー行動履歴情報は、サイバー行動履歴データベース32(
図4参照)の登録内容と同様である。また、リアル行動履歴情報は、リアル行動履歴データベース72(
図7(A)参照)の登録内容と同様である。
【0106】
図8に示すように、販売促進情報配信サーバ22は、情報収集部91と、顧客向け情報配信部92と、店員向け情報配信部93と、優先度判定部94と、配信タイミング判定部95と、販売促進情報データベース96とを備えている。なお、販売促進情報配信サーバ22の各部は、メモリに記憶したプログラムをプロセッサ(制御部)で実行することで実現される。
【0107】
情報収集部91は、統合行動管理サーバ21から購買予測情報を収集する。また、情報収集部91は、画像解析サーバ12からリアルタイムの来店情報および店内行動情報を収集する。この来店情報および店内行動情報は、カメラ15の撮影画像の解析により取得したものである。また、情報収集部91は、タッチポイントシステム管理サーバ14からリアルタイムの来店情報を収集する。この来店情報は、店舗内に設置されたタッチポイント端末17をユーザが利用することで取得したものである。
【0108】
顧客向け情報配信部92は、統合行動管理サーバ21から取得した購買予測情報に基づいて、顧客向けの販売促進情報を、実店舗に来店中の顧客が所持する顧客端末5に配信する。本実施形態では、顧客向けの販売促進情報として、購買予測情報で対象とした商品、すなわち、顧客が購買することが予測される商品(購買意欲の高い商品)に関するクーポン(割引券、優待券、無料サービス券など)を、顧客端末5に配信する。
【0109】
なお、商品を顧客に薦めるメッセージ(商品レコメンド情報)を、クーポンに加えて、または、クーポンとは別に顧客端末5に配信するようにしてもよい。
【0110】
また、クーポンでは、対象となる顧客のみの割引率を適用した個人限定としたり、現在来店している店舗で当日だけ利用できる期間限定としたりするとよい。これにより、顧客の購買意欲を効果的に高めて、顧客が来店中にその場で商品の購買を決断させることができる。
【0111】
また、クーポンではなく、対象となる顧客に対するお薦め商品の割引価格を顧客に提示することも可能である。提示の仕方としては、クーポン同様にメッセージで顧客端末5に配信してもよいし、あるいは画像解析サーバ12で解析された顧客の位置情報に即して、その顧客の目の前や近くにある電子POP、サイネージ等(図示せず)に対して、お薦め商品の割引価格を配信し表示させたり、お勧め商品の電子棚札に当該顧客向け割引価格を表示させることで、その顧客だけに対する割引価格の提示を行ってもよい。その場合、同じ商品でも顧客ごとに価格が異なるため、顧客と割引価格との紐づけを行う必要がある。その方法としては、例えば顧客端末5に搭載するアプリケーションに割引価格を提示した時点で購入・決済する機能を持たせたり、顧客端末5に提示された割引価格でその製品を購入する意思(提示価格への合意)を顧客側で入力したうえで、レジで決済する仕組みを導入することも有効である。レジでの決済の仕組みとしては、例えば、購入意思入力時に当該顧客の会員IDをPOSレジの決済システムに送信し、POSレジでの決済時に会員IDを顧客端末5等から取得してその会員IDを照合することで、当該顧客が合意した割引価格での決済を実施する等の方法がある。なお割引価格の決定には、顧客の過去の行動履歴から推測されるその商品に対する顧客の要求度合いとともに、該当商品の在庫量や仕入れ量・生産量等も考慮するようにしてもよい(要求度合いが高く、在庫量が少ない場合には、割引率は相対的に低くするが、要求度合いが低く、在庫量も多い場合は、割引率を高くする等)。
【0112】
店員向け情報配信部93は、統合行動管理サーバ21から取得した購買予測情報に基づいて、店員向けの販売促進情報を店員端末23に配信する。本実施形態では、店員向けの販売促進情報として、対象となる顧客に対する接客を指示する情報を店員端末23に配信する。
【0113】
この店員向けの販売促進情報では、顧客が高い購買意欲を示す商品、例えば、過去に顧客がインターネット上のサイトで閲覧した商品の情報を店員に提示するようにしてもよい。また、顔照合による人物認識結果と、顧客の動線情報とに基づいて、対象となる顧客の現在位置を取得して、顧客の現在位置を店員に通知するようにしてもよい。この場合、顧客の現在位置を店舗のエリアマップ上に表示する画面を店員端末23に表示させるとよい。
【0114】
なお、購買予測情報に基づいて、顧客の購買意欲を高める接客方法を決定して、その接客方法を接客指示とともに店員に通知するようにしてもよい。
【0115】
優先度判定部94は、情報収集部91で取得したリアルタイムの来店情報および店内行動情報に基づいて、来店中の顧客ごとの接客の優先度を判定する。具体的には、顧客の行動の対象となる商品(例えば、顧客が手を伸ばした商品)と、購買予測情報で対象とした商品との関連性が高い場合に、優先度を高く設定する。この優先度判定部94の判定結果に基づいて、優先度が高い顧客を選択して、その顧客を接客対象とした販売促進情報を店員端末23に配信する。
【0116】
なお、店内行動情報などに基づいて、来店中の顧客ごとに購買意欲の高さを判定して、その購買意欲の高さに基づいて、接客対象とする顧客を選択するようにしてもよい。
【0117】
配信タイミング判定部95は、情報収集部91で取得したリアルタイムの来店情報および店内行動情報に基づいて、販売促進情報を配信するタイミングを判定する。リアルタイムの来店情報に基づいてタイミング判定を行うことで、顧客が実店舗に滞在している最中に販売促進情報を配信することができる。また、リアルタイムの店内行動情報には、実店舗に陳列された商品に対して関心を示す行動(商品棚の前での滞在、商品に手を伸ばす動作など)に関する情報が含まれており、この情報に基づいてタイミング判定を行うことで、顧客が商品に関心を示す行動の最中に販売促進情報(クーポン、接客指示)を配信することができる。このため、顧客の購買意欲を確実に高めて、顧客に購買を決断させることができる。
【0118】
なお、本実施形態では、実店舗に来店中の顧客が所持する顧客端末5に販売促進情報を配信するようにしたが、実店舗の周辺エリアに進入したタイミング、すなわち、実店舗に向かって移動している最中に、顧客端末5に販売促進情報(クーポン)を配信するようにしてもよい。この場合、GPSなどの測位システムを利用して顧客端末5の位置情報を取得すればよい。また、顧客がタッチポイント端末17を利用したタイミングで、顧客端末5に販売促進情報を配信するようにしてもよい。
【0119】
販売促進情報データベース96は、顧客端末5および店員端末23に配信した販売促進情報を管理するものである。この販売促進情報データベース96には、
図9(B)に示すように、商品に関する情報(商品カテゴリ、商品名、品番)、クーポンに関する情報(割引率、クーポンのバーコードを取得するサイトのURL)、および販売促進情報の通知メッセージの内容に関する情報などが登録される。なお、接客が必要と判定した顧客に関する情報を登録するようにしてもよい。
【0120】
次に、統合行動管理サーバ21の行動分析予測部83で行われる処理について説明する。
図10は、行動分析予測部83で行われる処理の概要を示す説明図である。
【0121】
統合行動管理サーバ21の行動分析予測部83では、統合行動履歴データベース85に登録された人物ごとの統合行動履歴情報を分析して、対象となる顧客がどの商品を購買するかに関する購買予測情報を生成する。統合行動履歴情報には、顧客の行動の対象となる商品に関する情報が含まれており、この行動の対象となる商品は、人物が高い関心を示した商品であり、統合行動履歴情報を分析することで、人物が高い関心を示した商品、すなわち、購買意欲の高い商品を特定することができる。
【0122】
具体的には、まず、統合行動履歴データベース85に登録された人物ごとの統合行動履歴情報に対して、人物の各行動を日時順に並び替えるソート処理を実行して、時系列で行動の推移状況(行動パターン)を確認できるようにする。
【0123】
次に、人物ごとの統合行動履歴情報に対してクラスタリングを行い、人物ごとの統合行動履歴情報を複数のクラス(グループ)に分類して、クラスごとの標準的な行動パターンを表すモデルを生成する。
【0124】
次に、顧客の来店を検知すると、その対象となる顧客の統合行動履歴情報を取得して、その対象となる人物の統合行動履歴情報が、どのクラスに属するかを判定する。すなわち、対象となる人物の統合行動履歴情報が表す行動パターンと、クラスごとのモデルの行動パターンとを比較して、対象とする人物の統合行動履歴情報が表す行動パターンと相関性が高いクラスを選択する。
【0125】
次に、対象とする人物が属するクラスで実際に購入した商品に関する情報を取得して、その情報に基づいて、対象となる顧客が購買することが予測される商品に関する購買予測情報を生成する。
【0126】
図10に示す例では、横軸が、時系列で並べた人物の行動、具体的には、Webサイトの閲覧、ECサイトの閲覧、実店舗への来店、実店舗での棚前行動(商品に手を伸ばす動作など)、実店舗での商品購入などの行動となり、縦軸が、商品のカテゴリを表す商品ID(A、B、C、D...)となる。これにより、人物が、過去にどのような商品を対象とした行動をとったかを時系列で確認することができる。
【0127】
ここで、対象とする会員(ID=X)の現在までの行動パターンと、クラスごとのモデルの行動パターンとを比較して、会員(ID=X)が、どのクラスに属するかを判定する。そして、対象とする会員(ID=X)が属するクラスで実際に購買した商品に基づいて、対象とする会員(ID=X)が次に買いそうな商品、すなわち、高い購買意欲を示す商品を予測する。
【0128】
このようにして対象とする会員(ID=X)が高い購買意欲を示す商品として、例えば商品Cが予測されると、その商品Cを対象にしたクーポンを発行し、また、接客で商品Cを顧客に薦めるように店員に指示する。
【0129】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係る販売促進システムおよび販売促進方法は、顧客が購買することが予測される商品を精度よく特定して、その商品の購買意欲を高める方策を実店舗で実施することで、実店舗での商品の販売を促進することができる効果を有し、顧客の購買意欲を高める販売促進情報を生成して配信する販売促進システムおよび販売促進方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0131】
1 サイバー行動管理サーバ
2 ECサイトサーバ
3 広告配信サーバ
4 Webサイトサーバ
5 顧客端末
11 リアル行動管理サーバ
12 画像解析サーバ
13 購買管理サーバ
14 タッチポイントシステム管理サーバ
15 カメラ
16 端末
17 タッチポイント端末
21 統合行動管理サーバ
22 販売促進情報配信サーバ
23 店員端末
24 事業者サーバ