(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】電力ケーブル端部処理装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/14 20060101AFI20230825BHJP
H02G 15/02 20060101ALI20230825BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H02G1/14
H02G15/02
H01B13/00 521
H01B13/00 541
(21)【出願番号】P 2020544808
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(86)【国際出願番号】 DK2019050081
(87)【国際公開番号】W WO2019170205
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-09
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】520316841
【氏名又は名称】リライボンド アーペーエス
【氏名又は名称原語表記】RELIBOND APS
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン, マーティン サンダー
(72)【発明者】
【氏名】マイケルセン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】イサクセン, ソーレン
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196901(JP,A)
【文献】特開昭58-138574(JP,A)
【文献】特開昭58-9775(JP,A)
【文献】特開2015-42045(JP,A)
【文献】特開平3-77291(JP,A)
【文献】特表2018-500866(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015210458(DE,A1)
【文献】特開平6-165330(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104439383(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102010039594(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2821159(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/14
H02G 15/02
H01B 13/00
H01R 43/22
H01R 43/28
B23Q 9/00
B23K 26/354
B23K 101/00
B25H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル(1)の端部セクション(7)の処理をするためのケーブル処理装置(100)であって、
-前記電力ケーブル(1)の外周に可逆的に固定される貼付手段(110)と、
-前記貼付手段(110)に取り付ける取付手段を有する駆動手段であって、前記取付手段に対して、複数の力投入接続部を通じて制御可能である駆動動作を提供するように適合された駆動手段と、
-前記駆動手段に取り付けられたツーリング手段(150)であって、前記駆動動作を受け入れるように適合され、前記駆動手段は、前記ツーリング手段(150)が、前記貼付手段(110)が固定可能な電力ケーブルの延長部の断面内を移動することを可能にするツーリング手段(150)と、
前記複数の力投入接続部を介して前記駆動手段に接続された複数のモータ(170)と、
を備えるケーブル処理装置(100)。
【請求項2】
前記貼付手段(110)によって固定可能な電力ケーブルのケーブル端部に面するケーブル端部処理工具である、前記ツーリング手段に接続された工具ヘッドをさらに備える、
請求項1に記載のケーブル処理装置
(100)。
【請求項3】
前記工具ヘッドは、付加製造工具である、
請求項2に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項4】
前記工具ヘッドは、溶接工具(200)、レーザ付加製造工具又はコールドスプレー工具である、
請求項2に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項5】
前記ツーリング手段(150)は、複数の異なったモジュラ工具ヘッド(390)が可逆的に取り付けられる工具ソケット(350)である、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項6】
前記工具ヘッドまたはモジュラ工具ヘッドは、2つのケーブル端部処理工具を備え、前記工具ヘッドの第1のケーブル端部処理工具は、コールドスプレー工具であり、第2のケーブル端部処理工具は、ピーニング工具、グラインダ工具、レーザ工具又は熱処理工具である、
請求項2に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項7】
前記駆動手段によって提供される、複数の力投入接続部を介して制御可能な駆動動作は、少なくとも3つの軸方向自由度および1つの回転自由度を有する、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項8】
-複数のモータ(170)の操作に変換可能なケーブル端部処理データを記憶する記憶手段(501)と、
-前記記憶手段(501)からのケーブル端部処理指示を伝達するシグナリング手段(503)と、
-前記ケーブル端部処理指示を受信して処理して、前記複数のモータ(170)への操作指示を生成するプロセッシング手段(505)と、
-前記操作指示を送信する送信手段(507)と、
を有する制御手段(500)をさらに備える、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項9】
前記制御手段(500)は、
-ケーブルタイプ、工具タイプまたは処理タイプの少なくとも1つに関連するプロファイルパラメータを有するプロファイルを記憶するプロファイル記憶手段(509)と、
-所定のケーブル端部処理のプロファイルの中からプロファイルを選択するユーザ入力手段(513)と、
前記選択されたプロファイルに従ってプロファイルデータを伝達するプロファイルシグナリング手段(511)と、をさらに備え、
-前記プロセッシング手段(505)は、前記プロファイルパラメータを受けて、前記プロファイルパラメータを考慮してプロファイル固有の操作指示を生成する、
請求項
8に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項10】
前記処理および/または前記貼付手段(110)によって固定された電力ケーブル(1)のパラメータを感知するように構成された感知手段(515)をさらに備える、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項11】
可撓性膜(138)が取り付けられた外壁(139)を有する密閉可能な作業チャンバ(143)をさらに備え、
前記外壁および前記可撓性膜は、前記密閉可能な作業チャンバ(143)を外部環境から実質的に密閉するように適合されており、
前記密閉可能な作業チャンバ(143)は、
-前記密閉可能な作業チャンバ(143)の第1の側にケーブル端部(7)を挿入するためのワーク開口であって、前記電力ケーブル(1)の端部(7)または外周に密閉係合するように適合されたワーク開口と、
-工具ヘッドを前記密閉可能な作業チャンバ(143)内に配置することを可能にする、前記密閉可能な作業チャンバ(143)の第2の側において前記ツーリング手段(150)に接続された工具ヘッド開口(153)であって、前記工具ヘッド開口(153)または前記ツーリング手段(150)が、挿入された工具と密閉して係合するように適合された工具ヘッド開口(153)と、
をさらに有する、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項12】
前記ケーブル処理装置は、手での持ち運びが可能である、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項13】
前記貼付手段(110)は、様々な直径の電力ケーブル(1)に固定されるように適合され、前記貼付手段(110)は、所与の小さい直径Dと、少なくとも別の直径1.1・Dとの間の電力ケーブル(1)に固定されるように適合される、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項14】
貼付軸が、前記貼付手段(110)が固定された電力ケーブル(100)の中心軸と同一線上にあり、前記貼付軸は、前記電力ケーブルと直角に交差する平面に垂直であり、
前記駆動手段が、前記貼付手段に関する前記貼付軸に対して角度をなすように前記貼付手段に取り付けられるように適合され、それによって、前記ケーブル処理装置が、前記貼付手段によって固定された、前記平面に対して角度をなす端面を有するケーブル端部の電力ケーブル端面を処理するように適合される、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項15】
第2貼付手段を備え、
前記駆動手段は、この第2貼付手段に取り付ける第2取付手段を有し、
中心軸が同一線上にある2本の隣接する電力ケーブル(100)に固定された2つの隣接する貼付手段に、前記駆動手段を取り付けることを可能にし、
前記ケーブル処理装置は、前記2つの電力ケーブルの前記角度をなす端面である対向する端面を処理するように適合され、前記対向する端面は、V字形状またはX字形状で互いに近接して配置される、
請求項
14に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項16】
処理中に前記電力ケーブルの端部を冷却するために前記電力ケーブルの前記端部の周りに固定されるように適合された冷却手段をさらに備える、
請求項1に記載のケーブル処理装置(100)。
【請求項17】
電力ケーブル(1)の端部(7)を処理するための準備方法であって、
-前記電力ケーブル(1)の外周に可逆的に固定される貼付手段(110)であって、前記外周に固定することで前記電力ケーブル(1)に固定される前記貼付手段(110)を提供することと、
-前記貼付手段(110)に取り付ける取付手段(135)を有する駆動手段であって、前記取付手段(135)に対して、複数の力投入接続部を通じて制御可能である駆動動作を提供するように適合された駆動手段を提供することと、
-前記駆動手段に取り付けられたツーリング手段(150)であって、前記駆動動作を受け入れるように適合され、前記駆動手段は、前記ツーリング手段(150)が、前記貼付手段(110)が固定された電力ケーブル(1)の延長部の断面内を移動することを可能にするツーリング手段(150)を提供することと、
前記複数の力投入接続部を介して前記駆動手段に接続された複数のモータ(170)を提供することと、
を有する、電力ケーブル(1)の端部(7)を処理するための準備方法。
【請求項18】
前記準備方法は、制御手段(500)を提供することをさらに有し、
前記制御手段(500)に対して実行する、
-複数のモータ(170)の動作に変換可能なケーブル端部処理データを記憶する記憶手段(501)を提供することと、
-前記記憶手段(501)からケーブル端部処理指示を伝達するためのシグナリング手段(503)を提供することと、
-前記ケーブル端部処理指示を受信して処理して、前記複数のモータ(170)への操作指示を生成するプロセッシング手段(505)を提供することと、
-前記複数のモータ(170)への送信など、前記操作指示を送信する送信手段(507)を提供することと、
をさらに有する、
請求項
17に記載の電力ケーブル(1)の端部(7)を処理するための準備方法。
【請求項19】
可撓性膜(138)が取り付けられた外壁(139)を有する密閉可能な作業チャンバ(143)を提供することをさらに有し、前記外壁および前記可撓性膜は、前記作業チャンバ(143)を外部環境から実質的に密閉するように適合されており、
前記密閉可能な作業チャンバ(143)に対して実行する、
-前記密閉可能な作業チャンバ(143)の第1の側にケーブル端部(7)を挿入するためのワーク開口であって、前記電力ケーブル(1)の端部(7)または外周に密閉係合するように適合されたワーク開口を提供することと、
-工具ヘッドを前記密閉可能な作業チャンバ(143)内に配置することを可能にする、前記密閉可能な作業チャンバ(143)の第2の側において前記ツーリング手段(150)に接続された工具ヘッド開口(153)であって、前記工具ヘッド開口(153)または前記ツーリング手段(150)は、挿入された工具と密閉して係合するように適合された工具ヘッド開口(153)を提供することと、
をさらに有する、
請求項
17に記載の電力ケーブル(1)の端部(7)を処理するための準備方法。
【請求項20】
電力ケーブル(1)の端部(7)を処理するために、請求項1に記載のケーブル処理装置(100)を使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブル端部、とりわけマルチストランドケーブルの終端および連結の処理のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流や電力の伝達には、様々な大きさや素材のケーブルが用いられる。例えば、電力源と人口密度の高い地域や工業地域との間を結ぶ送電および配電システムなどのように、伝送する電力の需要が大きい場合には、必要とされるケーブルの寸法も同様に増大する。設置は、巻かれたケーブルを展開させた後、地中に埋設するか、導管やダクトに引っ張って行われる。ケーブルが大きければ大きいほど、1本のケーブルリールでケーブル工場から設置現場まで搬送できるケーブル長は短くなり、より多くのケーブル接続部が必要になる。これについては、近年のアルミニウムケーブルの使用の増加により、さらに悪化している。所定のケーブル電力伝送要件では、銅製のケーブルと比べて、アルミニウム製の場合、より大きな直径のケーブルを必要とするためである。したがって、現場ではより多くのケーブル連結が必要となるが、各ケーブル接続部は潜在的な障害点を表している。より大きなケーブルは、リールで運ぶことができるよう十分な曲げ柔軟性のあるストランドおよび/またはセクタ、さらにはワイヤニスや膨潤材などの非導電性材料も含む、非常に複雑な断面を有する。その上、大口径のケーブルを溶接することは困難であり、極めて手間がかかる。
【0003】
溶接プロセスは、接続部または終端の品質を低下させる多くのリスクを有している。溶接点における高温は、溶接点近くのケーブル絶縁材の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。ケーブルサイズと共に熱質量が増加するため、ケーブルのサイズが大きくなるほど問題も大きくなる。このリスクを軽減するため、溶接点に近いケーブル導体にアクティブ冷却が用いられるが、これは溶接プロセスの質を低下させるリスクがある。これらすべての要素は、大型ケーブルに信頼性のある接続部を作るためには、極めて能力があり、十分に訓練された労働力が必要であることと、接続部はテストで失敗し、やり直しになることが非常に多いということを意味している。
【0004】
接続部の品質および連結速度を向上させるための取り組みが提案されている。例えば、ワイヤを異なる方法で電気的に接続する方法が提案されている。米国特許出願公開第2014/000110号明細書では、ケーブルの個々のワイヤまたはセクタとケーブル接続部または終端との間に改良された電気接続を構築するため、ケーブル導線芯に食い込んだ多くの貫通ネジを有するスリーブでケーブルが終結されている。
【0005】
しかし、特にケーブルがアルミニウム製の場合、これらの終端は、耐用期間を通じて、温度変化を受けたケーブルの膨張と収縮による表面の接触の減少の可能性や、表面の酸化の可能性などがあって扱いづらく、基準を満たさない。したがって、良質なケーブル接続部および終端を達成するために、改良された手法が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上述の問題の少なくともいくつかを軽減することである。これは、電力ケーブルの端部セクションの処理のためのケーブル処理装置によって達成される。ケーブル処理装置は、電力ケーブルの外周に可逆的に固定する貼付手段(affixing means)と、貼付部材に取り付ける取付手段(attachment means)を有する、前述の貼付手段に対して、複数の力投入接続部を介して完全に制御可能な駆動動作(kinematic motion)を提供するように適合された駆動手段(kinematic means)と、前述の駆動動作を受け入れるように適合された、前述の駆動手段に取り付けられたツーリング手段(tooling means)と、を備え、駆動手段は、ツーリング手段が、貼付手段が固定された電力ケーブルの延長部の断面内を移動することを可能にする。
【0007】
これにより、ケーブル端部処理のための、完全に制御可能な動作が達成される。これにより、品質が重要であり、品質管理が最重要であるケーブル接続部や終端などのケーブル端部処理の再現性がさらに可能になり、その後の高額な修理の必要性につながりかねない、設置されたケーブルの誤った終端または連結が回避される。さらに、装置を電力ケーブルに直接取り付けることで、位置合わせが確実になり、装置が、取り扱いが簡単で、持ち運び可能になり、処理の質がさらに向上する。さらに、ケーブル処理装置を使用してケーブル端部を処理することにより、ユーザは、装置がケーブル端部を処理している間にその場を離れることができるので、ユーザが重い工具や有毒な煙に晒されることが少なくなり、また、装置がケーブル端部を処理する間、密閉かつ排気された環境でプロセスを行うことができる。
【0008】
したがって、ケーブル処理装置は、技術者を処理の煙に晒さずに、ケーブル端部セクションの処理を自動的に実行することを可能にする。ケーブル処理装置が実行できる重要な処理は、既存のケーブル端部の材料を溶かすか、ケーブル端部に材料を追加して、電力ケーブルの端部セクションのワイヤ/ストランドおよび/またはセクションを連結することで、それらすべてを電気的に接続することである。多くの場合、溶接中に2つのプロセスを混合したものが行われる。ケーブル導体のワイヤおよびセクタがすべて電気的に連結されると、外周のクリンプがすべてのワイヤに接続され、次のケーブルセグメントに電気を伝達することができる。
【0009】
これにより、様々な異なるケーブル端部で効果的に作動するように適合された、手動では実行できない方法で動作することもできる装置が達成される。例えば、装置は、溶接の際、温度の変化に応じて導体のある部分から反対の部分または異なる部分に移動することが可能であり、それによって処理ペースを維持しながらケーブルの損傷を防ぐことができる。これは、例えば、ケーブルの温度測定または少なくとも工具、プロセス、およびケーブルの熱質量に基づいた計算に応じて実行されてもよい。
【0010】
ケーブル処理装置とは、電力ケーブル端部セクションおよび/または電力ケーブル端面を処理する装置を意味する。一実施形態では、ケーブル処理装置は、具体的には電力ケーブル端部処理装置である。
【0011】
駆動手段が、貼付手段が固定された電力ケーブルの延長部の断面内をツーリング手段が移動することを可能にするとは、断面がケーブル端部の前方に離れていることを意味する。次いで、この断面は、正面または側面からアクセスされ得る。一実施形態では、駆動手段は、ツーリング手段が、貼付手段が固定された電力ケーブルの前の平面に沿って電力ケーブルの延長部の断面内を移動することを可能にする。
【0012】
一実施形態では、貼り付け(affixing)とは、可逆的に固定されることで、電力ケーブルを実質的に損傷することなく、電力ケーブルに取り付けたり取り外したりできることを意味している。
【0013】
好ましい実施形態では、貼付手段は、様々な直径のケーブルに固定されるように適合され、好ましくは、所与の小さい直径Dと少なくとも別の直径1.1・Dとの間のケーブルに固定されるように適合される。これには、導体の外周だけでなく、隔離を含むケーブルの外周と、隔離および被覆(isolation and sheathing)に貼り付けられることも含まれる。例えば、上部および下部は、連結ロッドで圧入し、締結ボルトで固定されてもよい。次いで、取付インタフェースは、例えばガイドスリットを用いることで、この可変距離直径に適応するように適合される。ボルト穴の相互線や、ねじ止めなどで上部へしっかり取り付けた上で反対の部分への締め具で締めるクランプ様機構など、代わりに任意の他の従来の順応性のある連結を用いてもよい。これにより、ケーブル端部処理に必要な装置が1つになり、装置がさらに取り扱いが簡単になる。順応性のある貼付手段の代替案は、様々なケーブルサイズのそれぞれに1つずつ、いくつかの異なる貼付手段を持つことである。一実施形態では、貼付手段は、電力ケーブルの外周に固定するように適合される。
【0014】
一実施形態では、貼付手段は、ある範囲の直径を有するケーブルに合うように適合され、最小直径の直径Dを有するケーブルに固定されるように適合され、また少なくとも、直径1.1・D、直径1.2・D、直径1.3・D、直径1.4・D、直径1.5・D、直径1.6・D、または直径1.7・Dを有するケーブルに取り付けることもできる。
【0015】
一実施形態では、貼付手段が電力ケーブルの軸方向に沿って取り付けられ、ケーブル処理装置の重さを支持する。これにより、より自立的かつ順応性のある装置が達成される。例えば、貼付手段は、装置の重さにより発生するはずみをよりよく打ち消し、さらに処理中の装置を安定させる二組の溝を備える。
【0016】
駆動手段が貼付手段に取り付け可能であることにより、この2つの部品は、一緒に固定されて供給されるか、またはそれらの分解および組み立てを可能にする相互インタフェースと共に供給される。一実施形態では、駆動手段は、貼付手段に固定して取り付けられる。これにより、より大きく、より簡潔な装置が供給される。好ましい実施形態では、駆動手段は、貼付手段に対して着脱可能である。これにより、貼付手段を最初にケーブル端部に取り付けることができ、さらに2つの持ち運び可能な部品が供給される。これは、より取り扱いが簡単になるよう装置を様々な直径のケーブルに、より適切に取り付けることを可能にし、またケーブル処理装置における、ケーブル端部の、より制御された位置合わせを可能にする。
【0017】
ケーブル端部とは、ケーブルの端全体を意味するもので、これには、導電性ワイヤストランドおよび場合によっては芯を含む導体、ならびに絶縁層と、機械的および電気的保護外層が含まれる。例えば、ケーブルの外層と連動して外層の端部を除去することができる工具ヘッドが想定されてもよい。導体の端面とは、ケーブルの導電性部分の端面を意味する。
【0018】
駆動手段は、取付手段に対するツーリング手段の制御された動作を容易にする。電力ケーブルに貼付手段が取り付けられると、これはケーブルに対する駆動手段も効果的に制御する。駆動手段は自動駆動ではなく、力投入接続部を介して接続された外部の力によって完全に制御可能である。これらの力投入接続部に力を投入することで、駆動手段は、これを予測可能なように駆動手段の変位、したがってツーリング手段の変位に変換する。駆動手段は、このように、複数のうまく拘束された駆動連鎖などを介して、予測可能な動作を生成するマニピュレータを備える。
【0019】
一組の力投入接続部に力を投入することにより、駆動手段の一部が制御可能に移動してツーリング手段の位置を変える。例えば、力投入接続部は、処理シーケンス/ステップの準備などにおいて、ツーリング手段がケーブル端部に対して中心に配置されるのを、ケーブル端部の外縁の位置に変換するように強制されてもよい。
【0020】
一実施形態では、貼付軸が、貼付手段が固定された電力ケーブルの中心軸と同一線上にあり、駆動手段は、貼付手段に関連する貼付軸に対して角度を成して、好ましくは貼付軸に垂直に配向および配置されるような方法で、貼付手段に取り付けられるように適合され、それによって、ケーブル処理装置は、連結するために配置された2本の電力ケーブルの端面の組み合わされたV字形を処理するように適合される。すなわち、駆動手段は、ケーブルの側面に配置され、正面からではなく側面からケーブル端部に作用するようにツーリング手段を移動させる。これは、ケーブル処理装置が、結合されるケーブルなどの、互いに接近し向かい合って配置される2つのケーブル端部に作用することを可能にする。
【0021】
この装置は、端部がケーブルの軸方向に対して垂直に切断されているケーブルに加えて、軸方向に対して45度の角度など、別の断面角度で切断されているケーブルにも作用するよう適合されている。角度のついたケーブル端部を処理することは、2本のケーブルを接合する場合、とくに興味深いものである。このような状況では、2本の切断されたケーブルを、それらの間でV字カットが達成されるように、互いに向き合わせて整列させてもよい。このカットはケーブルを完全に貫通して、または半分貫通して延在することができ、後者のケースでは、その後、ケーブルの反対側の半分に別の処理が行われることが好ましい。2本のケーブルは、例えばケーブルの両端に適用されたフェルールを用いることで整列状態に保つことができ、ケーブル処理装置は、片方のケーブルに固定されてもよく、また両方に対して固定されてもよい。一実施形態では、ケーブル処理装置は、第2貼付手段を備える。さらに、駆動手段は、この第2貼付手段に取り付ける第2取付手段を有し、これは、駆動手段が、中心軸が同一線上にある2本の隣接する電力ケーブル(100)に固定された2つの隣接する貼付手段に取り付けられることを可能にする。これにより、2本のケーブルを連結するためにケーブル処理装置を使用した場合に、さらに良好な貼り付けが達成される。ケーブルを整列させた後、装置は、どちらか一方のケーブル、または好ましくは両方のケーブルに取り付けられる。次に、ケーブルの端部セクションが処理され、溶接工具などの適切な工具が使用されている場合、例えば、これらの端部セクションを互いに結合することができる。
【0022】
ケーブル処理装置は、使用される際、駆動手段を駆動して動作させるために、各力投入接続部でモータなどの強制手段に接続されることが好ましい。モータは、ステッパモータ、サーボモータ、アクチュエータ、油圧または空気圧タイプなどといった、任意の従来のタイプのものであってよい。
【0023】
一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも2つの自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも3つの自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも4つの自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも5つの自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって6つの自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも3つの軸方向自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも2つの軸方向自由度および1つの回転自由度が与えられる。一実施形態では、駆動手段によって提供され、複数の力投入接続部を介して制御可能な駆動動作は、少なくとも3つの空間自由度および1つの回転自由度を有する。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも3つの軸方向自由度および2つの回転自由度が与えられる。一実施形態では、ツーリング手段は、駆動手段によって少なくとも3つの軸方向自由度および3つの回転自由度が与えられる。好都合には、ケーブル処理装置は、自由度ごとに駆動手段に接続されたモータまたは他の強制手段を有する。軸方向自由度を言い換えると、並進/線形自由度である。
【0024】
これにより、改善された処理が達成される。例えば、ケーブル導体の端部に導電性材料の層を構築する場合は、ケーブル端部においてストランド同士の間に穴があいている場合、以前に適用した材料の上に少なくとも部分的に斜めに構築することが好ましい場合がある。さらに、3つの軸方向自由度を持つことで、ケーブル端部と工具との間の距離を変更して、より局所的な処理や広範囲の処理を行うことが可能になる。
【0025】
一実施形態では、駆動手段は、ロボットアームなどのシリアルマニピュレータ、またはデカルト式プリンタスタイルの運動マニピュレータを備える。これにより、座標への到達が予測可能となり、必要なソフトウェアの符号化が容易となる。
【0026】
好ましい実施形態では、駆動手段は、デルタロボットまたはスチュワートプラットフォームの運動部分などの並列マニピュレータを備える。これにより、剛性および操作精度が向上し、操作中のマニピュレータ自体のマストランスポートが少ないため、制御を維持したまま、より高速な動きが可能になる。さらに、その場合、装置はコンパクトであり得る。
【0027】
一実施形態では、駆動手段は、並列マニピュレータを形成するように、うまく拘束および配置された複数の駆動連鎖を有し、ツーリング手段は、並列マニピュレータにエンドエフェクタを形成する。すなわち、駆動手段は、それぞれが予測可能に動く(駆動連鎖である)、またそれぞれがモータなどの外部の力によって外部から駆動される(うまく拘束されている)、リンケージおよび接続部で構成された複数の連鎖を備える。次いで、これらは、それぞれの駆動体から最も離れた単一の共通リンクであるエンドエフェクタ(ツーリング手段)に結合され、駆動連鎖が個別に持つものよりも高い自由度を有するエンドエフェクタをまとめて動かす。エンドエフェクタに与えられるすべての自由度は駆動連鎖によって制御され、これにより、エンドエフェクタの動きは、駆動手段を通じて予測可能かつ完全に制御可能になる。
【0028】
駆動手段が並列マニピュレータを備える好ましい実施形態では、並列マニピュレータは、処理中のケーブル端部が配置される場所の周りに力投入接続部が配置されるように構成される。言い換えると、それは、取付手段の近くに、またはさらに言い換えると、ケーブル処理装置の作業領域の隣に配置される。ケーブルに設置されると、力投入接続部は、ケーブル端部の近くに配置される。これにより、特に剛性および耐振動性のある装置が達成される。このようにして、装置の重量がケーブルへの取り付け点の近くに置かれるため、振動が吸収さる。これにより、装置をより高速に動作させることができる。さらに、装置は非常にコンパクトであり、輸送が容易である。
【0029】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、複数の力投入接続部を介して駆動手段に接続された複数のモータを備える。これにより、ケーブル処理装置は、電気的入力が駆動手段の動きを制御することと、動力を与えることを可能にし、それにより、ツーリング手段を予測可能に動かして、電力ケーブルの端部を処理する。複数のモータは、電気エネルギーまたは化学エネルギーを運動エネルギーに変換するように適合された、サーボモータ、ステッパモータ、DCモータ、アクチュエータ、油圧モータなどの任意のタイプのモータであってよい。サーボモータおよびステッパモータは、サイズの小型化の可能性ならびに、摩耗が少ないことから便利である。動作が予測可能であることは、稼働領域内の特異点が必ずしも排除されることを意味しない。
【0030】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、制御手段をさらに備える。制御手段は、複数のモータの動作に変換可能なケーブル端部処理データを記憶する記憶手段と、記憶手段からのケーブル端部処理指示を伝達するシグナリング手段と、複数のモータへの操作命令を生成するためにケーブル端部処理指示を受信して処理するプロセッシング手段と、複数のモータへの送信などといった操作指示を送信する送信手段と、を有する。複数のモータおよびプロセッシングユニットを備える実施形態では、送信手段は、操作命令を複数のモータに送信する。
【0031】
これにより、ケーブル端部の自動化された処理を実行するよう適合された装置が達成される。これは、より正確な処理、ならびに再現可能かつ制御可能な処理を可能にする。
【0032】
記憶手段は、任意の便利な場所に配置することができ、クラウドベースの記憶手段を装置に接続するなど、遠くからネットワークを介してアクセスすることができる。プロセッサも、装置に接続されたクラウドベースの演算ユニットを有するなど、遠くからネットワークを介してアクセスすることができる。送信手段およびシグナリング手段は、当然ながら、従来の有線および無線手段などの任意のタイプの送信手段またはシグナリング手段とすることができる。
【0033】
一実施形態では、御制手段は、ケーブルタイプ、工具タイプまたは処理タイプの少なくとも1つに関連するプロファイルパラメータを有するプロファイルを記憶するプロファイル記憶手段と、所定のケーブル端部処理のプロファイルの中からプロファイルを選択するユーザ入力手段と、選択されたプロファイルに従ってプロファイルデータを伝達するプロファイルシグナリング手段と、をさらに備え、プロセッシング手段は、プロファイルパラメータを受け取るように適合され、プロセッシング手段では、プロファイルパラメータが考慮され、プロファイル固有の操作指示が生成される。
【0034】
一実施形態では、プロファイル記憶手段は、ケーブルプロファイルを含む。これらのケーブルプロファイルは、導体の直径と、ストランドの数と、ケーブル断面レイアウトを含むケーブルタイプと、導体の材料と、閾値温度と、処理前および/または処理と同時に、2Dまたは3D画像を提供するセンサでマッピングされてよい、特定のケーブル端部の表面トポロジーと、ケーブル長と、のうちの少なくとも1つを含むパラメータを有する。ケーブルの長さは、少なくともケーブルの熱吸収に影響する。特定の材料のケーブルは、より長い/より短い最初のフレーム処理、異なる溶接処理、針ハンマリングの異なる力などといった様々な処理の恩恵を受けることができる。これにより、個々の処理タイプにより適した、改善されたケーブル端部処理が実現される。
【0035】
一実施形態では、プロファイル記憶手段は、処理プロファイルを含む。処理プロファイルに関連するパラメータは、処理領域のサイズと、処理領域の形状と、処理強度と、効果の低い多くのパスと効果の高い少ないパスとの間の選択である処理の忠実性と、処理速度と、任意で使用される特定の工具によって通知される、充填される体積または処理される領域と、表面上の工具ヘッドによって行われる動作と、の間の変換アルゴリズムを含む処理パスと、後に続く処理および事前の処理に関する情報と、のうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
一実施形態では、プロファイル記憶手段は、様々な異なる工具に固有のツーリングプロファイルを含んでいる。これは、少なくとも2つの異なる工具が同じ処理を適切に実行できる場合に特に有利であり得るもので、装置を事前にプログラミングして、すべての関連する置換可能な工具での改善された処理を可能にする。ツーリングプロファイルに関連するパラメータは、動作変更子と、パス変更子と、特定の工具で利用可能な処理オプション/バリエーションと、工具が、処理中に何をどのように潜在的に自己補正するのかと、のうちの少なくとも1つを含む。これにより、個々の状態により適した、改善されたケーブル端部処理が達成される。例えば、データベースは、針ハンマリングに固有のツーリングプロファイル指示と、溶接に固有のツーリングプロファイル指示とを記憶してもよく、針ハンマリングツーリング指示は、ケーブル端面上でのより速い動き、または端面に沿った連続する経路間の距離がより大きいなどといった異なる動きを含むことができる。さらに、特定の工具は、工具を使用して様々な処理を実現するために、複数のツーリングプロファイルを有してもよい。例えば、フレームまたはアーク処理は、最初に裸のケーブル端部の不純物を除去するために使用されてもよく、また、コールドスプレープロセスの後に、添加された物質を熱処理するため使用されてもよく、また、これらの処理は当然、著しく異なっていてもよい。これにより、個々のケーブルタイプに、より適した、改善されたケーブル端部処理が達成される。
【0037】
一実施形態では、装置は、処理および/または貼付手段が固定された電力ケーブルのパラメータを感知するように構成された感知手段をさらに備える。これにより、処理の進捗を監視することができ、また、コンプライアンス目的のために記録することもできる。例えば、ガスが発生した場合、これを早期に特定して、処理の変更を行うことができる。特定の処理ステップで目的の結果が得られなかった場合は、最初に装置を取り外すことなく、それを繰り返すことができる。
【0038】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、所与の処理ステップの前、最中および/または後にケーブル端面および/または処理パラメータを評価するためのカメラ、レーザ走査センサまたは他のタイプのセンサを備える。感知手段は、ケーブルの端部または処理について有益に通知することができる、任意のタイプのセンサを備えてもよい。好ましくは、感知手段は、赤外線センサおよび/またはカメラなどの視覚センサを備える。好ましくは、感知手段は、複数のセンサを有することなどにより、工具ヘッドの向きおよび位置に関係なくケーブル端面を感知することを可能にする。その他の有用なタイプのセンサには、点/表面温度センサと、ガス温度センサと、チャンバ内の圧力が許容範囲内に保たれているかどうかをチェックするチャンバ圧力センサと、が含まれる。
【0039】
一実施形態では、初期ケーブル端部パラメータセンサデータを用いて実施する特定の処理を決定する。すなわち、センサデータは、特定の処理ステップの前に収集される。これを軽くするために、様々な方法を用いることができる。問題のある領域は処理の前に識別されてもよく、これらの領域を最適に処理するための好ましいアプローチ角度は、センサデータに基づいて選択されてもよく、またはその領域は、例えばより強くまたはより長い時間にわたり処理されてもよい。
【0040】
一実施形態では、センサデータは、ケーブル端部処理中に収集され、処理の進行をリアルタイムで通知する。これにより、センサデータを用いて処理を通知することができる。例えば、特定の領域が十分に溶接されていない場合、これはすぐに識別され、それに応じてツーリング手段を傾けたり、異なる角度から問題のある領域にアプローチしたりするなどによって、処理を調整することができる。
【0041】
一実施形態では、特定の工具を使用した処理の後、処理後のケーブル端部パラメータのセンサデータを用いて、処理が十分に効果的であったかどうかを判定する。その後、結果を技術者に報告して、装置に処理を繰り返すように促すことができ、この場合、特定の問題や特定の領域に焦点を当てたり、このような電力ケーブルに連結する際に、誤って塗布された物質を除去するために研磨機などの特定の他の工具に変更するように、またはケーブル準備作業の次のステップに進むように技術者に助言したりすることができる。
【0042】
一実施形態では、装置は、ケーブル温度を測定するように適合されたケーブル端部温度センサを備える。これは例えば、熱が発生してケーブルに伝達される溶接処理において、隔離および被覆などといったケーブルの一部が90℃などの閾値温度を超えてはならない場合に有効である。閾値温度に近づくか、それを超えると、温度がより許容できるレベルにまで下がるよう、処理を一時停止することができる。
【0043】
一実施形態では、装置はケーブル冷却手段を備える。一実施形態では、装置は、処理中にケーブル端部を冷却するためにケーブル端部の周りに固定されるように適合された冷却手段、好ましくは液体冷却手段を備える。一実施形態では、装置は、処理中にケーブル端部を冷却するためにケーブル端部の周りに固定されるように適合された液体冷却手段を備える。一実施形態では、装置は、液体冷却手段および温度感知手段を備え、液体冷却手段は、処理中にケーブル端部を冷却するためにケーブル端部の周りに固定されるように適合され、冷却は、温度センサデータに従って制御される。これにより、処理中にケーブル端部を冷却することができる。これは例えば、熱が発生してケーブルに伝達される溶接処理において、ケーブルの一部が90℃などの閾値温度を超えてはならない場合に有効である。ケーブル冷却手段とケーブル端部温度センサとを組み合わせると、さらに優れた熱制御が達成される。
【0044】
工具がツーリング手段にどのように取り付けられているかにかかわらず、すべてのタイプの工具について言及される場合、工具ヘッドという用語が本出願全体にわたって使われる。固定して取り付けられている工具が言及される場合、これは一体型工具ヘッドと呼ばれる。工具ソケットに挿入される工具が言及される場合、これはモジュラ工具ヘッドと呼ばれる。
【0045】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、ツーリング手段に接続された、ケーブル端部処理工具である工具ヘッドをさらに備える。これにより、装置が電力ケーブル端部の処理を開始する準備が整う。
【0046】
一実施形態では、工具ヘッドは、付加製造工具である。付加製造工具とは、電力ケーブルの端部に導電性物質を堆積させるための工具を意味している。付加製造工具の例としては、溶接工具、レーザクラッディングのようなレーザ付加製造工具や、コールドスプレー工具のような粉末添加またはスプレー工具がある。これにより、簡潔な構造が達成され、その操作に必要なシーケンスステップが最小限となるので、取り扱いが簡単になる。
【0047】
一実施形態では、工具ヘッドは溶接工具である。これにより、簡潔な構造が達成され、その操作に必要なシーケンスステップが最小限となるので、取り扱いが簡単になる。溶接は、レーザ溶接を含む従来の溶接タイプのいずれであってもよい。
【0048】
ツーリング手段が溶接工具である実施形態では、溶接工具の電力は、ケーブル端部処理の全体にわたって効果的な溶接プロセスを維持するように制御される。これにより、処理管理および品質が向上する。
【0049】
一実施形態では、ツーリング手段は、複数の異なるモジュラ工具ヘッドに可逆的に取り付ける工具ソケットである。これにより、ケーブル端部の全体的な処理手順が簡素化および改善され、その後の処理ステップを調整できるため、ユーザの使いやすさが向上し、技術者が重い工具を使用する必要性が低減される。
【0050】
一実施形態では、工具ヘッドまたはモジュラ工具ヘッドは、2つのケーブル端部処理工具を備え、工具ヘッドの第1ケーブル端部処理工具は、コールドスプレー工具であるのが好ましく、第2ケーブル端部処理工具は、ピーニング工具または熱処理工具、溶接工具であるのが好ましい。これにより、より簡潔な操作と、より隔離された環境が達成される。一実施形態では、工具ヘッドまたはモジュラ工具ヘッドは、3つのケーブル端部処理工具を備える。
【0051】
一実施形態では、工具ヘッドまたはモジュラ工具ヘッドは、4つのケーブル端部処理工具を備え、任意の関連する工具タイプをツーリング手段に接続することができる。一実施形態では、溶接工具ヘッド、ハンマリング工具ヘッド、コールドスプレー工具ヘッド、ブロートーチ工具ヘッド、レーザ工具ヘッド、グラインダ工具ヘッド、剥離工具ヘッド、フライス工具ヘッド、または研磨工具ヘッドのうちの1つが、ツーリング手段に取り付けられる。一実施形態では、少なくとも2つの工具を有する工具ヘッドがツーリング手段に取り付けられる。一実施形態では、少なくともコールドスプレー工具と1つの他の工具を有する工具ヘッドがツーリング手段に取り付けられる。一実施形態では、少なくともコールドスプレー工具と溶接工具とを有する工具ヘッドがツーリング手段に取り付けられる。一実施形態では、針ハンマー工具などの少なくともハンマリング工具とコールドスプレー工具を有する工具ヘッドがツーリング手段に取り付けられる。一実施形態では、少なくとも溶接工具と1つの他の工具を有する工具ヘッドがツーリング手段に取り付けられる。
【0052】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、密閉された作業チャンバをさらに備える。密閉された作業チャンバは、可撓性膜が取り付けられた外壁を有し、壁および膜は、作業チャンバを外部環境から実質的に密閉するものであり、密閉された作業チャンバの第1の側にケーブル端部を挿入するためのワーク開口をさらに有し、ワーク開口は電力ケーブルの端部セクションまたは外周に密閉して係合するように適合され、工具ヘッド開口は、前記密閉された作業チャンバの対向する第2の側にてツーリング手段に接続され、工具ヘッドを密閉された作業チャンバ内に配置することを可能にし、工具ヘッド開口またはツーリング手段は挿入された工具と密閉して係合するように適合される。
【0053】
これにより、ケーブル端部の処理中、作業環境は少なくとも実質的に外部環境から隔離される。これにより、有毒な煙、灰、ほこり、粒子からの隔離が改善する。また、異物の混入がケーブル端部の処理を汚染するのを確実に防止することで、処理品質が向上する。
【0054】
一実施形態では、装置は、密閉された作業チャンバの環境パラメータを管理するための環境管理手段を備え、環境パラメータは、少なくともガス圧に関連し、管理手段は、少なくともチャンバの外部の状態に対して密閉された作業チャンバ内のガス圧を下げるように適合される。これにより、密閉された作業チャンバの密閉が不完全であっても、ケーブル端部の処理中に、密閉された作業チャンバから危険なガス、煙、または粒子が漏れることはない。この減圧は例えば、濾過された真空ポンプに接続された吸引チャネルによって達成され得る。
【0055】
一実施形態では、密閉された作業チャンバは、ガス吸気チャネルをさらに備える。このチャネルは、遠端において、好ましくはフロー制御機構を介してガス供給システムに接続され、ガスを供給し、作業チャンバの制御された空気、例えば主に不活性ガスからなる空気を確保することができる。このようなガス供給チャネルは、視覚カメラ、センサ、またはガラスウィンドウの近くに空気の制御された流れを維持し、カメラ、センサ、またはウィンドウの表面に沈殿する汚染物質を避けることで、清潔でほこりのない状態に保つためにも使用できる。作業チャンバのウィンドウは、人が直接またはカメラを介して目視検査に使用することができ、または、処理中のケーブル端面を強力なレーザービームでスキャンして、ケーブル端面の材料を局所的に熱処理するために使用することができる。一実施形態では、ガス吸気口は、ケーブル端部の処理に用いられる工具ヘッドの一部である。
【0056】
一実施形態では、力投入接続部は、密閉された作業チャンバの外側に配置される。これにより、ケーブル処理装置に取り付けられたいずれのモータも、密閉された作業チャンバ内には存在しない。これにより、モータの耐久性が向上し、作業チャンバとモータの相対的なサイズが互いに直接影響することがなくなる。
【0057】
一実施形態では、駆動手段は、作業チャンバの外側に配置される。これにより、駆動手段の耐久性が向上し、作業チャンバと駆動手段の相対的なサイズが互いに直接影響することがなくなる。
【0058】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、手での持ち運びが可能である。これにより、技術者は、手動でケーブル処理装置を作業現場に持ち込むことができ、ユーザの利便性が向上する。一実施形態では、ユーザは、ケーブル処理装置を手動で持ち上げることができる。
【0059】
一実施形態では、ケーブル処理装置の重量は、100kg未満、95kg未満、90kg未満、85kg未満、80kg未満、75kg未満、70kg未満、65kg未満、60kg未満、55kg未満、50kg未満、45kg未満、40kg未満、35kg未満、30kg未満、25kg未満、20kg未満、15kg未満、または10kg未満である。
【0060】
一実施形態では、ケーブル処理装置は、密閉された作業チャンバを含み、密閉された作業チャンバは、可撓性膜が取り付けられた外壁を有し、壁および膜は、作業チャンバを外部環境から実質的に密閉するものであり、密閉された作業チャンバは、密閉された作業チャンバの第1の側にケーブル端部を挿入するためのワーク開口をさらに有し、前記ワーク開口は、電力ケーブルの端部セクションまたは外周に密閉して係合するように適合され、工具ヘッド開口は、前記密閉された作業チャンバの対向する第2の側にてツーリング手段に接続され、工具ヘッドを密閉された作業チャンバ内に配置することを可能にし、工具ヘッド開口またはツーリング手段は、挿入された工具と密閉して係合するように適合され、前記密閉された作業チャンバに対して取り付けるための駆動手段であって、前記密閉された作業チャンバに対して、複数の力投入接続部を通じて完全に制御可能である駆動動作を提供するように適合された駆動手段と、前記駆動手段に取り付けられたツーリング手段と、をさらに有し、駆動手段は、ツーリング手段が、電力ケーブルの延長部の断面内を移動することと、密閉された作業チャンバ内に挿入されたその端部セクションを横切って移動することを可能にする。これにより、流体環境制御およびケーブル端部処理プロセスの自動化を可能にするケーブル端部処理装置が提供される。
【0061】
本発明の一態様では、本発明は、説明されたような電力ケーブルの端部セクションを処理するための準備方法に関するものであって、電力ケーブルの外周に可逆的に固定する貼付手段を提供するステップと、次いで、貼付手段を電力ケーブルの外周に固定することで電力ケーブルに固定するステップと、貼付部材に取り付ける取付手段を有する、複数の力投入接続部を介して完全に制御可能である駆動動作を取付手段に対して提供するように適合された駆動手段を提供するステップと、駆動手段に取り付けられたツーリング手段であって、駆動動作を受け入れるように適合されたツーリング手段を提供するステップと、を備え、駆動手段は、貼付手段が固定された電力ケーブルの延長部の断面内をツーリング手段が移動することを可能にする。装置の実施形態は、方法にも同様に適用可能である。
【0062】
一の態様では、本発明は、説明されたような、電力ケーブルの端部セクションを処理するためのケーブル処理装置を使用する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
以下に、本発明に係る実施形態例を説明する。
【
図1】本発明に係るケーブル処理装置の等角図である。
【
図2】本発明に係るケーブル処理装置の等角内部図である。
【
図3】本発明に係る持ち運び可能なケーブル処理装置である。
【
図4】本発明に係るケーブル処理装置の断面図である。
【
図5】本発明に係る一体型溶接ケーブル処理装置を示す。
【
図9】本発明に係るケーブル処理装置の組立てを示す。
【
図10】本発明に係るケーブル処理装置の組立てを示す。
【
図11】本発明に係るケーブル処理装置の組立てを示す。
【
図12】本発明に係るケーブル処理装置の組立てを示す。
【
図13】本発明に係る制御手段を有するケーブル処理装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下において、本発明は、本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではない実施形態を通じて詳細に説明される。
【0065】
図1は、ケーブル1に取り付けられた本発明に係るケーブル処理装置100を示す。細長部材116によって接続された上部112と下部114とを備える貼付手段110は、上部112と下部114とを一緒に押圧する4つの固定ボルト111を締めることで、ケーブルに摩擦的に取り付けられる。ケーブル1への取り付けは、ケーブル被覆に食い込む、上部112および下部114の両方の溝113を有利に使用することで改善される。もちろん、他の貼付手段110を代わりに用いてもよい。これは、ケーブルへのしっかりとした取り付けを保証するものである。
【0066】
貼付手段110は、ガイドを介してボルト115で上部112および下部114に取り付けられたインタフェース板117をさらに有する。これらのガイドは、上部プレート112と下部プレート114との間の様々な距離に適応するので、インタフェース板117を様々なケーブル寸法に使用することができる。
【0067】
処理制御手段130は、インタフェース板117を介してボルト135で貼付手段110に取り付けられる。
図1は、
処理制御手段130およびツーリング手段150を運ぶためのハンドル131をさらに示す。
【0068】
図2は、
図1に関連して説明された
ケーブル処理装置100の処理制御手段130の等角内部図である。
図1と同様に、貼付手段110は、ケーブル1の周囲に取り付けられ、処理制御手段130は、インタフェース板117およびボルト115、135を使用して貼付手段110に取り付けられる。
【0069】
処理制御手段130の内部には、駆動手段が配置されている。複数のモータ170は、スピンドル171を駆動する。スピンドルは、隣接するガイドレール172と共に、スピンドルブロック173の動きをスピンドル171の上下に方向付けるように係合する。次いで、スピンドルブロックは、連結ロッド175に取り付けられる。連結ロッドは、ツーリング手段150に取り付けられ、複数のモータ170の組み合わされた制御が、ツーリング手段150の動きの方向付けをする。ツーリング手段150は、ツーリング手段の自由な動きを妨げない可撓性被覆138へ取り付けられて終わる。可撓性被覆138は、円筒壁139に取り付けられる。
【0070】
図3は、持ち運び可能なケーブル処理装置に関する本発明の好ましい実施形態を示す。図示の実施形態では、技術者は、貼付手段110と処理制御手段130の両方を容易に持ち上げて運ぶことができ、例えば、それらを自分のトラックから作業現場に運ぶことができる。つまり、それは技術者の工具レパートリーに容易に適合するものである。有利には、貼付手段110および処理制御手段130を持ち運び可能にすることで、それらはまた、重量関連および他の関連する規制にも準拠するものとなる。
【0071】
図4は、本発明に係るケーブル処理装置の断面図である。ケーブル1は、導体3と、隔離および被覆5とを備えるものとして示されている。導体は多くの場合、いくつかの個別の電力伝達ストランド/ワイヤおよびセクタを含み、隔離および被覆は一般に、様々な材料の複数の機能層を含む。ケーブル1はさらに、ケーブル端部7を有する。
【0072】
貼付手段110は、溝113と、固定ボルト111とを有する。インタフェース板117は、ボルト115および135を用いて、貼付手段110と処理制御手段130とを接続する。処理制御手段130は、ハンドル131を有する。
【0073】
ケーブル端部7は、円筒壁139と、可撓性膜138と、遮蔽板4との間に形成された作業チャンバ143内に延在し、この遮蔽板は、作業チャンバ143内にケーブル端部7を挿入する前にケーブル1に取り付けられ、隔離および被覆5の少なくとも一部を保護する。
【0074】
作業チャンバ143の壁の一部としてガス通気孔または吸引チャネル141が存在することが好ましく、これにより、流体および固体材料を抜くとともに、作業チャンバ内にわずかな負圧を発生させて周囲の空気環境の汚染を最小限に抑える。チャネルの遠端に真空ポンプを取り付けることができる。ツーリング手段150はさらに、作業チャンバ143に通じる工具チャネル153を有する。これにより、この機構を備え、図示の実施形態ではさらにモータ170を備えるツーリング手段によって制御される方法で、所与の工具がケーブル端部7にアクセスすることができる。ツーリング手段150は、特定の工具に必要なものを除いて、工具チャネル153を通る流体の動きを遮断する工具を受け入れるように適合されている。これにより、作業チャンバ143は、外部環境に対して液密シールを有する。これにより、技術者10にとってより安全な作業環境が可能になる。
【0075】
ツーリング手段150は、駆動手段によって制御可能に動かされる。複数のモータ170は、スピンドル171を駆動する。スピンドルは、それらの隣接するガイドレール172と共に、スピンドルブロック173の動きをスピンドル171の上下に方向付けるように係合する。次いで、スピンドルブロックは、連結ロッド175に取り付けられる。連結ロッドは、ツーリング手段150に取り付けられ、複数のモータ170の組み合わされた制御が、ツーリング手段150の動きの方向付けをする。
図4に示されるようなデルタロボットタイプの制御機構を用いることで、ツーリング手段は、3次元空間におけるツーリング手段150の制御された動きを可能にし、さらにそれの回転を可能にする。これにより、ケーブル端面処理の質が向上し、位置合わせが可能になる。各駆動連鎖(kinematic chain)は、うまく拘束されてモータ170に接続されているため、予測可能な動作を可能にする。駆動連鎖は、同じ要素であるツーリング手段150に取り付けることで、それらの端部177で接続される。すなわち、図示される駆動手段は、並列マニピュレータである。本発明によれば、他のマニピュレータのレイアウトを構想することができる。
【0076】
作業チャンバ143が液密であり、駆動手段がこの作業チャンバ143の外部にあることで、モータおよび機構の大きさ、したがって動力および剛性がそれぞれ維持されたまま、駆動手段の摩耗が最小限に抑えられる。
【0077】
図5は、本発明による溶接ケーブル処理装置200を示しており、取付手段210および駆動手段230は共に、
図4などの前の図と関連して説明される。ツーリング手段は、溶接、螺着、またはボルト締めなどによって、一体化された溶接工具ヘッド250に取り付けられる。これにより、簡単なケーブル処理装置と簡潔な操作が確保され、技術者はケーブル端部を溶接するだけで、他の工具を持ち込む必要がなくなる。
【0078】
図6から8は、本発明による様々な工具を使用してケーブル端部7を処理するモジュラケーブル処理装置300を示す。この実施形態では、ツーリング手段は、簡単かつ使いやすいように、様々なモジュラ工具ヘッド390を差込んだり差込み解除したりできるよう適合された工具ソケット350を有する。これは、プロセスと、プロセス全体にわたる空気環境の制御とを維持しながら、より完全かつ簡潔なケーブル端部7の処理を可能にするものである。モジュラ工具ヘッド390は、工具ソケット350を通る流体通路を密閉および防止または制限する方法で工具ソケット350にはめ込まれるように適合され、それにより、ケーブル端部7の処理中に作業チャンバ343を隔離し続ける。
【0079】
図6は、工具ソケット350に差し込まれたモジュラコールドスプレー工具ヘッド391を有するモジュラケーブル処理装置300を示す。粒子状物質392がケーブル端部7に排出されている。
【0080】
図7は、工具ソケット350に差し込まれたモジュラ針ハンマー工具ヘッド393を有するモジュラケーブル処理装置300を示す。モジュラ針ハンマー工具ヘッド393は、さらなる処理の準備のために、ケーブル端部7を打撃(394)している。
【0081】
図8は、工具ソケット350に差し込まれた、ケーブル端部7を溶接(396)するモジュラ溶接工具ヘッド395を有するモジュラケーブル処理装置300を示す。
【0082】
図9から12は、ケーブル端部7の処理前にケーブル処理装置100をケーブル1に取り付ける、および/または使用前にケーブル処理装置100を組み立てる方法を示す側面図である。
【0083】
図9は、隔離および被覆5が、ケーブル端部7から取り外され、スリーブ9および遮蔽板4が取り付けられた後のケーブル1を示す。スリーブ9は、個々のワイヤおよびセクタの長手方向の動きを回避するために、および/または後のケーブル連結/終端のために導電性外殻に給電するために、導線のストランドを互いに近接して保持し、ワイヤおよびセクタを係止するように取り付けられてもよい。
遮蔽板4は、隔離および被覆5の構成要素を、ケーブル端部処理のプロセスおよび材料から保護するために取り付けられる。
【0084】
図10は、固定ボルト111によってケーブル1に取り付けられた貼付手段110を有する
図9のケーブル1を示している。インタフェース板117は、インタフェース板117のガイドスリットを介して上部112および下部114に固定されるボルト115を用いて貼付手段110に取り付けられる。これは、貼付手段110がケーブル1に十分に取り付けられた後に設置されてもよく、または予め設置されてもよい。
【0085】
図11は、処理制御手段130が取り付けられた
図9および10のケーブル1を示す。処理制御手段130にインタフェース板117を介してボルト135が取り付けることで、処理制御手段130をケーブル端部に対して固定している。処理制御手段130が、そのツーリング手段150に永久的に取り付けられた工具(図示せず)を有する場合、組立ては完了する。これは、例えばケーブル処理装置100が
図5に関連して説明したような溶接ケーブル処理装置である場合である。このような場合、ケーブル端部処理は、処理制御手段130を取り付けた後に開始することができる。ツーリング手段は、この時点でケーブル端部からある程度離れている。この間隔は、貼付手段110がどれだけケーブルに沿って固定されているかに応じて変化してもよい。これは、センサ手段または手動設定手段によっても対応でき、貼付手段110を固定するときに完全な適合が必要でないことを確実にしている。
【0086】
図12は、モジュラケーブル処理装置300のような、本実施形態の組立ての最終段階を示している。このステップにおいて、モジュラ工具ヘッド390は、ケーブル端部の処理に用いるために工具ソケット350に挿入される。
【0087】
図13は、ケーブル処理装置100を制御するための制御手段500を示している。制御手段500は、ケーブル端部7の処理に関するケーブル端部処理データを記憶するためのデータベースのような記憶手段501を有する。これは、導体端部の表面積に対応するマップ、ならびにツーリング速度、すなわち、工具ヘッドがどれくらい速く、または遅く移動すべきかに関する情報を含んでもよい。また、所与の処理を行うために工具ヘッドが着手すべき特定の経路に関連するものであってもよい。これは、ケーブル端面7に対して経路が平坦か、および/または処理距離が変化するか、またはケーブル端寸法が漸進的に変化するケーブルを収容可能かを含むことができる。
【0088】
制御手段500はさらに、記憶手段501からプロセッシング手段505にケーブル端部処理データを伝達するためのシグナリング手段を含む。
【0089】
プロセッシング手段505は、例えば、マイクロプロセッサまたはパーソナルコンピュータのCPUであってもよく、いずれにしても、ケーブル端部処理データを、力投入接続部を介して駆動手段に接続された複数のモータにより実行されるように適合された動作命令に変換する。ケーブル端面に沿う動きが駆動手段の駆動動作にどのように変換されるか、そして最終的には個々のモータがどのように操作されるべきかのマッピングは、予め確立されていることが好ましいが、ケーブル処理手段100の操作と同時に参照されてもよい。
【0090】
制御手段は最後に、動作命令を送信するための送信手段507を備える。そして、これらは、複数のモータ170に伝達されて、工具ヘッドをケーブル端部に対して動かし、工具ヘッドそのものを操作すると共に、ケーブル端部が処理される。
【0091】
制御手段(500)は、複数のモータに加えて、ツーリング手段に取り付けられた工具ヘッドの動作を制御することもできる。
【0092】
破線は、制御手段500の任意の変形例を示す。第1の変形例は、プロファイルパラメータを有するプロファイルを記憶するためにプロファイル記憶手段509を使用することである。プロファイルパラメータは、ケーブルの種類、工具の種類、および/または処理の種類に関連する。
【0093】
次いで、技術者は、タッチスクリーンまたはスクリーンおよびキーボード/マウスの組合せなどのユーザ入力手段513によって、実行されるべき特定の処理に関連するプロファイルを選択することができる。次に、関連するプロファイルパラメータは、プロファイルシグナリング手段511を用いてプロセッシング手段505に伝達され、プロセッシング手段505は、複数のモータの動作命令を作成するときにプロファイルパラメータを考慮に入れる。
【0094】
プロファイルパラメータを使用することは、処理の質を向上させ、多数の様々な状況に対してケーブル処理装置100を正確に使用することを可能にする。
【0095】
制御手段500の第2の任意の変形例は、処理前、処理中、および/または処理後にケーブルパラメータおよび/または処理パラメータを感知するための感知手段515を含む。次いで、これはプロセッシング手段505に送信され、これは溶接時に弱い箇所を識別するなど、特定の感覚基準を満たす場合に、動作命令を適合させることができる。
【0096】
もちろん、制御手段500は、処理制御手段130に一体化、または装置本体の別の部分に一体化することができる。
<本発明の処理方法の例>
【0097】
以下の実施例は特に明記しない限り、前述の実施形態のいずれにも適用することができる。実施例は選択肢の範囲の意味を与えるために例示的に特定的であり、本発明の範囲を限定するものと考えられるべきではない。
【0098】
例1:
ケーブル端部は、溶接工具を有するモジュラケーブル処理装置または一体型の溶接ケーブル処理装置を用いて、簡単なワンステップのプロセスを経て処理される。装置は、すべての必要なストランドの端部を一緒に溶接するように、また他の溶接を行うように制御され、処理パターンは、ケーブル端面のトポロジーデータに従って適合される。
【0099】
例2:
本発明によれば、ケーブル端部に、より複雑な処理を行うことができる。処理の例としては、まずモジュラケーブル端部処理装置を取り付ける。モジュラ針ハンマー工具ヘッドを工具ソケットに挿入して、ケーブル端部をより平坦にする。その後、モジュラ針ハンマー工具ヘッドは、モジュラコールドスプレー工具ヘッドに切り替えられ、新たに平坦化されたケーブル端部に導電層を形成する。
【0100】
例3:
本発明によるケーブル端部処理の第3の例は、準備処理である。空気圧/ブローランプを組み合わせた工具ヘッドは、表面の特性に応じて、粗い粒子を吹き飛ばし、不純物を燃焼除去するために用いられる。光学センサは、表面パラメータに関するデータをプロセッサに送信し、プロセッサは、洗浄処理と同時に表面を評価して、どの工具が所与の領域を処理するかを決定、ならびにケーブル端部の清浄度を通知する。特定の光学パラメータが満たされると、処理は停止する。
【0101】
例4:
ケーブルの端面は、光学センサが進行状況を監視し、溶接を補正するために、リアルタイムで処理を通知しながら、溶接される。それは、溶接部自体の品質だけでなく、溶接部の溶融ポリマーを示し得る蒸気の形成も監視する。プロセスに沿って収集された情報は、レポートを提供し、品質管理を提示するためにデータベースにアップロードされる。
【0102】
例5:
溶接が不十分であることが判明した後、ケーブル端部は、弱い箇所を特定するためにケーブル処理装置に挿入されるが、弱い箇所を特定することは困難である。そこで、装置は、潜在的に問題のある領域を見つけ、弱い箇所を処理するための特定の工具を要求してもよい。
<実施形態>
【0103】
A.電力ケーブル(1)の端部セクション(7)の処理をするためのケーブル処理装置(100)であって、
-可撓性膜(138)が取り付けられた外壁(139)を有する密閉された作業チャンバ(143)を備え、前記壁および膜は、外部環境から前記作業チャンバ(143)を実質的に密閉するものであり、
前記密閉された作業チャンバ(143)は、
-ケーブル端部(7)を前記密閉された作業チャンバ(143)の第1の側に挿入するためのワーク開口であって、前記電力ケーブル(1)の端部セクション(7)または外周に密閉係合するように適合されたワーク開口と、
-工具ヘッドを密閉された作業チャンバ(143)に配置することを可能にする、前記密閉された作業チャンバ(143)の対向する第2の側にてツーリング手段(150)に接続された工具ヘッド開口(153)であって、前記工具ヘッド開口(153)または前記ツーリング手段(150)が、挿入された工具と密閉して係合するように適合された工具ヘッド開口(153)と、
をさらに備え、
前記ケーブル処理装置(100)は、
-前記密閉された作業チャンバ(143)に対して取り付けるための駆動手段であって、前記密閉された作業チャンバ(143)に対して、複数の力投入接続部を通じて完全に制御可能である駆動動作を提供するように適合された駆動手段と、
-前記駆動手段に取り付けられたツーリング手段(150)であって、前記駆動動作を受け入れるように適合され、前記駆動手段は、前記ツーリング手段(150)が電力ケーブル(1)の延長部の断面内を移動することと密閉された作業チャンバ(143)に挿入されている端部(7)を横切ることを可能にするツーリング手段(150)と、
をさらに備える、
前記ケーブル処理装置(100)。