(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】3次元電池のための電極構造体
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20230825BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20230825BHJP
H01G 11/68 20130101ALI20230825BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20230825BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20230825BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230825BHJP
H01M 4/46 20060101ALI20230825BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20230825BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20230825BHJP
H01G 11/26 20130101ALN20230825BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01G11/30
H01G11/68
H01M4/02 Z
H01M4/13
H01M4/134
H01M4/38 Z
H01M4/46
H01M4/66 A
H01M10/04 Z
H01G11/26
(21)【出願番号】P 2018188959
(22)【出願日】2018-10-04
(62)【分割の表示】P 2015527476の分割
【原出願日】2013-08-01
【審査請求日】2018-10-26
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-01
(32)【優先日】2012-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】323006529
【氏名又は名称】エノビクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Enovix Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ハロルド・ジョーンズ・ラスト・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】アショク・ラヒリ
(72)【発明者】
【氏名】ムラリ・ラマサブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エム・スポットニッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エイ・コール
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター・コーブルミラー
(72)【発明者】
【氏名】ニラブ・シャー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・イー・ブラスカ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジー・キャッスルダイン
(72)【発明者】
【氏名】ローリー・ジェイ・ロークラン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ディ・ウィルコックス
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】井上 信一
【審判官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-236768(JP,A)
【文献】特開平5-129036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 4/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉された電池筐体と、非水電解液と、電極構造体と、負電極タブ伸張部分を含む負電極タブと、正電極タブ伸張部分を含む正電極タブとを含む二次電池であって、
前記電極構造体は、
負電極群、負電極バス、正電極群、正電極バス、および前記負電極群の要素と前記正電極群の要素とを隔てるミクロ多孔性セパレータを含み、前記負電極群および前記正電極群は、前記負電極群の要素が前記正電極群の要素により互いから隔てられる交互シーケンスで配列され、前記交互シーケンスは第1方向に進行し、前記負電極群の各要素は、負電極活物質層および横方向表面を有する負電極電流コレクタ層を含み、前記負電極群の各要素は底部、上部、長さL
E、幅W
E、および高さH
Eを有し、前記長さL
Eはそれぞれの係る電極の前記底部から前記上部まで測定され、前記幅W
Eおよび前記高さH
Eは、互いに対して垂直であり且つ前記長さL
Eの測定方向に対して垂直である方向に測定され、L
Eの、W
EおよびH
Eのそれぞれと、の比はそれぞれ少なくとも5:1であり、H
EのW
Eとの比はそれぞれ0.4:1~1000:1の範囲であり、
(i)前記負電極活物質層は、前記負電極群の中の前記負電極電流コレクタ層の、各横方向表面の上に配置され、
(ii)前記負電極群の各要素の前記負電極電流コレクタ層は、前記長さL
Eと同一方向に測定された長さL
E-Cを有し、前記長さL
E-Cは前記長さL
Eの少なくとも50%であり、
(iii)前記負電極群の各要素の負電極電流コレクタ層は、前記負電極バスに電気的に接続し、続いて前記負電極タブ伸張部分に電気的に接続され、前記負電極群の要素のすべてからの電流を蓄積し、前記負電極群の個々と前記負電極タブとの間に導電性の経路を形成し、
(iv)前記負電極バスは、長さL
E-B、幅W
E-Bおよび高さH
E-Bを有する導電性ポリマーであり、前記長さL
E-Bは第1方向に測定され、幅W
E-Bおよび高さH
E-Bは、互いに対して垂直であり且つ前記第1方向に対して垂直な方向に測定され、L
E-Bの、W
E-BおよびH
E-Bのそれぞれと、の比は少なくとも5:1であり、
(v)前記
負電極群はNの要素を有し、前記
正電極群はN+1の要素を有し、Nは少なくとも10であり、
(a)前記負電極タブは、密閉された前記筐体の内側から外側に向かって延在し、電極構造と外部エネルギー供給との間に電気的な接続を提供し、前記負電極バスに取り付けられた前記負電極タブ伸張部分を前記密閉された筐体内に含み、
(b)前記正電極タブは、密閉された前記筐体の内側から外側に向かって延在し、電極構造と外部エネルギー供給との間に電気的な接続を提供し、前記正電極バスに取り付けられた前記正電極タブ伸張部分を前記密閉された筐体内に含む、二次電池。
【請求項2】
前記負電極群はN個の要素を有し、前記正電極群はN+1個の要素を有し、Nは少なくとも25である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
L
Eは約10mm~約250mmの範囲内の値を有する、請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
W
EおよびH
Eのそれぞれは約0.01mm~約5mmの範囲内の値を有する、請求項1~請求項3のうちのいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項5】
前記
負電極群の各要素に対してL
Eの、W
EおよびH
Eのそれぞれと、の比はそれぞれ少なくとも10:1である、請求項1~請求項4のうちのいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項6】
前記
負電極群の各要素の前記
負電極電流コレクタ層は、前記長さL
Eと同一方向に測定された長さL
E-Cを有し、前記長さL
E-Cは前記長さL
Eの少なくとも80%である、請求項1~請求項5のうちのいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項7】
前記
正電極群の各要素は
正電極活物質層および
正電極電流コレクタ層を含み、前記
正電極群の各要素は、底部、上部、長さL
CE、幅W
CE、および高さH
CEを有し、前記長さL
CEはそれぞれの係る
正電極の前記底部から前記上部まで測定され、前記幅W
CEおよび前記高さH
CEは、互いに対して垂直であり且つ前記長さL
CEの測定方向に対して垂直な方向に測定され、L
CEの、W
CEおよびH
CEのそれぞれと、の比はそれぞれ少なくとも5:1であり、H
CEのW
CEとの比はそれぞれ0.4:1~1000:1の範囲であり、前記
正電極群の各要素の前記
正電極電流コレクタ層は、前記長さL
CEと同一方向に測定された長さL
CE-Cを有し、前記長さL
CE-Cは前記長さL
CEの少なくとも50%である、請求項1~請求項6のうちのいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項8】
前記
負電極電流コレクタ層および前記
負電極活物質層は電気伝導性を有し、前記
負電極群の各要素に対して、前記
負電極電流コレクタ層の前記電気伝導性の前記
負電極活物質層の前記電気伝導性との比はそれぞれ少なくとも100:1である、請求項1~請求項7のうちのいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項9】
前記負
電極活物質層は炭素、アルミニウム、スズ、シリコン、またはこれらの合金を含む、請求項1~請求項8のうちのいずれか1つに記載の二次電池。
【請求項10】
前記負
電極活物質層はシリコンもしくはシリコンの合金のナノワイヤ、または多孔性シリコンもしくは多孔性シリコンの合金を含む、請求項9に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的に、エネルギー貯蔵装置において使用されるための構造体に、係る構造体を内蔵するエネルギー貯蔵装置に、および係る構造体およびエネルギー装置を作製するための方法に、関する。
【背景技術】
【0002】
ロッキングチェア型2次電池または挿入2次電池(insertion secodary battery)は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、またはマグネシウムイオンなどのキャリアイオンが電解質を通って正極と負極との間で移動する種類のエネルギー貯蔵装置である。2次電池は、単一の電池セル、または電気的に連結されて電池を形成する2つ以上の電池セルを含み得る。なお各電池セルは、正極、負極、ミクロ多孔性セパレータ、および電解質を含む。
【0003】
ロッキングチェア型の電池セルでは、正極および負極の両方は、キャリアイオンが提供され奪われる物質を含む。セルが放電される際は、キャリアイオンは負極から奪われ、正極に提供される。セルが充電される際は逆のプロセスが発生し、キャリアイオンは正極から奪われ、負極に提供される。
【0004】
図1は非水性リチウムイオン電池などの既存のエネルギー貯蔵装置の電気化学的スタックの断面図を示す。電気化学的スタック1は正極電流コレクタ12を含み、正極電流コレクタ12の上に正極活物質層13が組み立てられる。活物質層はミクロ多孔性セパレータ14により覆われ、ミクロ多孔性セパレータ14の上方には、負極電流コレクタ15および負極活物質層16の組立体が配置される。この電気化学的スタックは、時として負極電流コレクタ15の上方で他のセパレータ層(図示せず)により覆われ、巻かれ、缶に詰め込まれ、非水電解質が充填され、それにより2次電池が組み立てられ得る。
【0005】
正極電流コレクタおよび負極電流コレクタは、それぞれの活電気化学的電極からの電流を蓄え、電池外部の環境に電流が伝達されることを可能にする。負極電流コレクタの1部分は負極活物質に物理的に接触する一方で、正極電流コレクタの1部分は正極活物質に物理的に接触する。電流コレクタは電気化学反応には参加せず、したがってアノードおよびカソードに対してそれぞれの電気化学ポテンシャル範囲において電気的に安定した物質に限定される。
【0006】
電流コレクタから電池外部の環境に電流を運ぶために、負極電流コレクタおよび正極電流コレクタのそれぞれは通常、一般に端子と総称される電極バス、タブ、タグ、パッケージフィードスルー、またはハウジングフィードスルーに接続される。端子の一方端が1つまたは複数の電流コレクタに接続される一方で、他方端は電池外部の環境に電気接続するためにバッテリーパッケージを通過する。溶接、締め付け、もしくは超音波接合により、負極端子は負極電流コレクタに接続され正極端子は正極電流コレクタに接続されるかまたは、導電性接着剤により定位置に接着される。
【0007】
従来の巻回型電池(例えば米国特許第6,090,505号および米国特許第6,235,427号参照)は通常、セル組み立ての前に単一のホイル上にコーティングおよび圧縮された電極物質(活物質、結合剤、導電助剤)を有する。電極がコーティングされたホイルは通常、電流収集経路の1部分である。18650セルまたは角柱セルなどの単一のゼリーロール電池では、電流コレクタホイルは、活物質から電流コレクタホイルおよびタブを通って電池外部まで電流を運ぶ電極バス、タブ、タグ、その他に超音波溶接される。設計に応じて、タブが、単一ゼリーロールに沿った複数箇所に、または電流コレクタホイルの一方端または両端における一箇所に沿って、存在し得る。従来のスタックされた電池ポーチセルは、実質的に寄せられてタブに対して一緒に溶接された各ホイルの上部上のエリアを有する活物質の複数のプレート(またはホイル)を有し、次にこのプレート(またはホイル)が電池ポーチの外部に電流を搬送する(例えば米国特許公開第2005/0008939号参照)。
【0008】
再び
図1を参照すると、充電プロセスの間、リチウムはリチウムイオンとして正極カソード層13を出てセパレータ14を通って負極活物質層16へと移動する。使用される負極活物質に応じて、リチウムイオンはインターカレートされてもよく(例えば、合金を形成することなく、負極活物質のマトリクス内に位置する)、または合金を形成してもよい。放電プロセスの間、リチウムは負極活物質層16を出てセパレータ14を通って正極活物質層13に進入する。電流導体は電子を電池端子(図示せず)から電極へと伝導し、または電極から電子端子へと伝導する。
【0009】
電池、燃料セル、および電気化学的コンデンサなどの既存のエネルギー貯蔵装置は通常、
図1に図示するような、各薄板の表面積がその幾何学的占有面積に(多孔性および表面粗さを無視して)略等しい2次元層状アーキテクチャ(例えば平面状または渦巻き型薄板)を有する。
【0010】
電池容量および活物質利用を改善する方法として3次元電池が文献において提案されている。3次元アーキテクチャを使用して、2次元層状電池アーキテクチャと比較してより大きい表面積およびエネルギーが提供され得ることが提案されている。小さい幾何学的面積から得られ得るエネルギーが増加するため、3次元エネルギー貯蔵装置を作ることには利益が存在する。例えばRustらの国際公開第2008/089110号、およびLongらの”Three-Dimensional Battery Architectures,” Chemical Reviews,(2004),104,4463-4492を参照されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現時点まででもたらされている利点にも関わらず、増加されたエネルギー密度を有する2次電池および他のエネルギー貯蔵装置に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
電池、燃料セル、および電気化学的コンデンサなどのエネルギー貯蔵装置において使用されるための3次元構造体を提供することが、本発明の様々な態様に含まれる。有利なことに、本発明の1つの態様によれば、エネルギー貯蔵装置の他の構成要素(すなわちエネルギー貯蔵装置の非活物質構成要素)に対する電極活物質の比率が増大し得る。結果として、本発明に係る3次元構造体を備えるエネルギー貯蔵装置は増大したエネルギー密度を有し得る。係るエネルギー貯蔵装置は、例えば正極と負極との間における電子の輸送距離およびイオン輸送を最小化または低減することにより、貯蔵される特定のエネルギー量に対して2次元エネルギー貯蔵装置よりも高いエネルギー回収率も提供し得る。これらの装置は、小型化に対して、および、装置に対して利用可能な幾何学面積が限定された、および/または層状装置を用いて達成され得るよりもエネルギー密度要件が高い用途に対して、より好適であり得る。
【0013】
したがって簡潔には、本発明の1つの態様は、エネルギー貯蔵装置において使用されるための構造体である。この構造体は、 電極群と、対電極群と、電極群の要素と対電極群の要素とを隔てるミクロ多孔性セパレータと、を含む電極構造体を含む。電極群および対電極群は交互シーケンスで配列され、この交互シーケンスでは、電極群の要素は、交互シーケンスが第1方向に進行する状態で、対電極群の要素により互いから隔てられる。電極群の各要素は電極活物質層および電極電流導体層を含み、電極群の各要素は、底部、上部、長さLE、幅WE、および高さHEを有する。なお長さLEはそれぞれの係る電極の底部から上部まで測定され、幅WEおよび高さHEは、互いに対して垂直であり且つ長さLEの測定の方向に垂直な方向に測定され、LEのWEおよびHEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HEのWEとの比は0.4:1~1000:1の範囲である。電極群の各要素の電極電流コレクタ層は、長さLEと同一方向に測定された長さLCを有し、長さLCは長さLEの少なくとも50%である。
【0014】
本発明の他の態様は、電極群、対電極群、および電極群の要素と対電極群の要素とを隔てるミクロ多孔性セパレータを含む電極構造体である。なお電極群は負極群であり、対電極群は正極群である。電極群および対電極群は交互シーケンスで配列され、この交互シーケンスでは、電極群の要素は、交互シーケンスが第1方向に進行する状態で、対電極群の要素により互いから隔てられる。負極群の各要素は負極活物質層および負極電流導体層を含み、負極群の各要素は底部と、上部と、長さLNEと、幅WNEと、高さHNEと、を有し、長さLNEはそれぞれの係る負極の底部から上部まで測定され、幅WNEおよび高さHNEは、互いに対して垂直であり且つ長さLNEの測定方向に垂直な方向に測定され、LNEのWNEおよびHNEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HNEのWNEとの比は0.4:1~1000:1の範囲であり、当該群の各要素の負極電流コレクタ層は、LNEと同一方向に測定された長さLNCを有し、長さLNCはLNEの少なくとも50%である。
【0015】
本発明の他の態様は、電極群、対電極群、および電極群の要素と対電極群のメンバとを隔てるミクロ多孔性セパレータを含む電極構造体である。なお電極群は正極群であり、対電極群は負極群である。電極群および対電極群は交互シーケンスで配列され、この交互シーケンスでは、電極群の要素は、交互シーケンスが第1方向に進行する状態で、対電極群の要素により互いから隔てられる。対電極群は負極群であり、正極群の各要素は正極活物質層および正極電流導体層を含み、正極群の各要素は底部と、上部と、長さLPEと、幅WPEと、高さHPEと、を有する。長さLPEはそれぞれの係る正極の底部から上部まで測定され、幅WPEおよび高さHPEは、互いに対して垂直であり且つ長さLPEの測定方向に垂直な方向に測定され、LPEのWPEおよびHPEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HPEのWPEとの比はそれぞれ0.4:1~1000:1の範囲であり、正極群の各要素の正極電流コレクタ層は、LPEと同一方向に測定された長さLPCを有し、長さLPCはLPEの少なくとも50%である。
【0016】
本発明の他の態様は、電極群、負極群、および正極群の要素と負極群の要素とを隔てるミクロ多孔性セパレータを含む電極構造体であって、
(i)正極群の各要素は正極活物質層および正極電流導体層を含み、正極群の各要素は底部と、上部と、長さLPEと、幅WPEと、高さHPEと、を有し、長さLPEはそれぞれの係る正極の底部から上部まで測定され、幅WPEおよび高さHPEは、互いに対して垂直であり且つ長さLPEの測定方向に垂直な方向に測定され、LPEのWPEおよびHPEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HPEのWPEとの比はそれぞれ0.4:1~1000:1の範囲であり、正極群の各要素の正極電流コレクタ層は、LPEと同一方向に測定された長さLPCを有し、長さLPCはLPEの少なくとも50%であり、
(ii)負極群の各要素は負極活物質層および負極電流導体層を含み、負極群の各要素は底部と、上部と、長さLNEと、幅WNEと、高さHNEと、を有し、長さLNEはそれぞれの係る負極の底部から上部まで測定され、幅WNEおよび高さHNEは、互いに対して垂直であり且つ長さLNEの測定方向に垂直な方向に測定され、LNEのWNEおよびHNEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HNEのWNEとの比はそれぞれ0.4:1~1000:1の範囲であり、負極群の各要素の負極電流コレクタ層は、LNEと同一方向に測定された長さLNCを有し、長さLNCは少なくとも少なくともLNEである、
電極構造体である。
【0017】
本発明の他の態様は少なくとも2つの電極構造体を含む電極スタックであり、係る電極構造体のそれぞれは、電極群と、対電極群と、電極群の要素と対電極群の要素とを隔てるミクロ多孔性セパレータと、を含む。電極および対電極群は交互シーケンスで配列され、この交互シーケンスでは、電極群の要素は、交互シーケンスが第1方向に進行する状態で、対電極群の要素により互いから隔てられる。電極群の各要素は電極活物質層および電極電流導体層を含み、電極群の各要素は、底部、上部、長さLE、幅WE、および高さHEを有し、長さLEはそれぞれの係る電極の底部から上部まで測定され、幅WEおよび高さHEは、互いに対して垂直であり且つ長さLEの測定方向に垂直な方向に測定され、LEのWEおよびHEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HEのWEとの比は0.4:1~1000:1の範囲である。電極群の各要素の電極電流コレクタ層は、長さLEと同一方向に測定された長さLCを有し、長さLCは長さLEの少なくとも50%である。
【0018】
本発明の他の態様は少なくとも2つの電極構造体および非水電解質を含む2次電池であり、係る電極構造体のそれぞれは、電極群と、対電極群と、電極群の要素と対電極群の要素とを隔てる非水電解質が浸透されたミクロ多孔性セパレータと、を含む。電極群および対電極群は交互シーケンスで配列され、この交互シーケンスでは、電極群の要素は、交互シーケンスが第1方向に進行する状態で、対電極群の要素により互いから隔てられる。電極群の各要素は電極活物質層および電極電流導体層を含み、電極群の各要素は、底部、上部、長さLE、幅WE、および高さHEを有し、長さLEはそれぞれの係る電極の底部から上部まで測定され、幅WEおよび高さHEは、互いに対して垂直であり且つ長さLEの測定方向に垂直な方向に測定され、LEのWEおよびHEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HEのWEとの比は0.4:1~1000:1の範囲である。電極群の各要素の電極電流コレクタ層は、長さLEと同一方向に測定された長さLCを有し、長さLCは長さLEの少なくとも50%である。
【0019】
他の目的および特徴は以後、部分的に明らかにされ部分的に指摘されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】リチウムイオン電池などの一般的な先行技術に係る2次元エネルギー貯蔵装置の電気化学的スタックのセルの断面図である。
【
図2】内部構造を図示するために各部が破断された状態の、本発明に係る電極構造体の1つの実施形態の透視図である。
【
図3】線3-3を含む平面で取られた
図2の電極構造体の部分断面図である。
【
図4】
図2の電極構造体のサブ組立体の部分斜視図である。
【
図5】線5に沿って取られた
図4の電極構造体のサブ組立体の上面図である。
【
図6】線6に沿って取られた
図4の電極構造体のサブ組立体の上面図である。
【
図7】
図5の線7-7を含む平面で取られた電極構造体のサブ組立体の断面図である。
【
図8】
図6の線8-8を含む平面で取られた電極構造体のサブ組立体の断面図である。
【
図9】内部構造を図示するために各部が破断された状態の、線5に沿って取られた
図4の電極構造体のサブ組立体の部分斜視図である。
【
図10】内部構造を図示するために各部が破断された状態の、線6に沿って取られた
図4の電極構造体のサブ組立体の部分斜視図である。
【
図11】本発明に係る3次元2次電池の分解図である。
【
図12】
図11の組み立てられた3次元2次電池の部分透視図である。
【
図13】
図11の組み立てられた3次元2次電池の代替の実施形態の部分透視図である。
【
図14】
図11の組み立てられた3次元2次電池の代替の実施形態の部分透視図である。
【
図15】
図11の組み立てられた3次元2次電池の代替の実施形態の部分透視図である。
【
図16】
図5の線16-16を含む平面で取られた電極構造体のサブ組立体の断面図である。
【
図17】
図6の線17-17を含む平面で取られた電極構造体のサブ組立体の断面図である。
【
図18A】本発明に係る電極(正極または負極)の代替の実施形態の断面図である。
【
図18B】本発明に係る電極(正極または負極)の代替の実施形態の断面図である。
【
図18C】本発明に係る電極(正極または負極)の代替の実施形態の断面図である。
【
図18D】本発明に係る電極(正極または負極)の代替の実施形態の断面図である。
【
図18E】本発明に係る電極(正極または負極)の代替の実施形態の断面図である。
【0021】
対応する参照符号は、全図面を通して、対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の様々な態様の中で、電池、燃料セル、および電気化学的コンデンサなどのエネルギー貯蔵装置に組み込まれたとき、3次元構造体が特定的な利点を提供することに注意されたい。例えば係る構造体は、正極、負極、および/またはセパレータが本質的に非層状である2次電池に組み込まれ得る。有利なことに、係る非層状の正極構造体および負極構造体に対する表面積は、電極を支持する基部の幾何学的占有面積の1.5倍、2倍、2.5倍、さらには3倍以上となり得る。1つの好適な代表的実施形態では、係る構造体は、キャリアイオン(例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、およびマグネシウムイオンから選択される)が正極と負極との間で移動する2次電池に組み込まれる。
【0023】
一般的に、3次元構造体は、電極群、対電極群、および電極群の要素と対電極群の要素とを隔てるミクロ多孔性セパレータを含む電極構造体を含む。電極群および対電極群は、交互シーケンスが第1方向に進行する状態で、電極群の実質的に各要素が対電極群の2つの要素間に挟まれ、且つ対電極群の実質的に各要素が電極群の2つの要素間に挟まれた交互シーケンスで配列される。例えば、交互シリーズ内の最初および最後の電極または対電極を除き、1つの実施形態では、交互シリーズ内の各電極は2つの対電極間に挟まれ、交互シリーズ内の各対電極は2つの電極間に挟まれる。
【0024】
電極群の各要素は電極活物質層および電極電流導体層を含み、電極群の各要素は、底部、上部、長さLE、幅WE、高さHE、および周辺長PEを有し、長さLEはそれぞれの係る電極の底部から上部まで測定され、幅WEおよび高さHEは、互いに対して垂直であり且つ長さLEの測定方向に垂直な方向に測定され、LEのWEおよびHEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HEのWEとの比は0.4:1~1000:1の範囲であり、電極群の各要素に対してLEのPEとの比は少なくとも1.25:1である。電極群の各要素の電極電流コレクタ層は、長さLEと同一方向に測定された長さLE-Cを有し、長さLE-Cは長さLEの少なくとも50%である。一般に、電極群の要素は通常、約5mm~約500mmの範囲の長さ(LE)を有するであろう。ある特定の実施形態では、電極群の各要素は通常、約10mm~約250mmの範囲の長さLEを有する。さらなる例として1つの係る実施形態では、電極群の要素は約25mm~約100mmの長さ(LE)を有する。
【0025】
1つの実施形態では、対電極群の各要素は、対電極活物質層および対電極電流導体層を含み、対電極群の各要素の寸法は、電極群の各要素に釣り合う。すなわち対電極群の各要素は底部と、上部と、長さLCEと、幅WCEと、高さHCEと、周辺長PCEと、を有し、長さLCEはそれぞれの係る対電極の底部から上部まで測定され、幅WCEおよび高さHCEは互いに対して垂直であり且つ長さLCEの測定方向に垂直な方向に測定され、LCEのWCEおよびHCEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、HCEのWCEとの比は0.4:1~1000:1の範囲であり、対電極群の各要素に対してLCEのPCEとの比は少なくとも1.25:1である。この実施形態では、電極群の各要素の対電極電流コレクタ層は、長さLCEと同一方向に測定された長さLCE-Cを有し、長さLCE-Cは長さLCEの少なくとも50%である。一般に、対電極群の要素は通常、約5mm~約500mmの範囲の長さ(LCE)を有するであろう。ある特定の実施形態では、対電極群の各要素は通常、約10mm~約250mmの範囲の長さLCEを有する。さらなる例として1つの係る実施形態では、対電極群の要素は約25mm~約100mmの長さ(LCE)を有する。
【0026】
電極群は負極群であり得、対電極群は正極群であり得る。この実施形態では、電極群の各要素の長さLE、幅WE、高さHE、および周辺長PEはそれぞれ負極群の各要素の長さLNE、幅WNE、高さHNE、および周辺長PNEに対応し、電極群の各要素の電流コレクタの長さLE-Cは負極群の各要素の電流コレクタの長さLNCに対応する。加えて、対電極群の各要素の長さLCE、幅WCE、高さHCE、および周辺長PCEはそれぞれ電極群の各要素の長さLPE、幅WPE、高さHPE、周辺長PPEに対応し、対電極群の各要素の電流コレクタの長さLCE-Cは、正極群の各要素の電流コレクタの長さLPCに対応する。
【0027】
代替の実施形態では、電極群は正極群であり、対電極群は負極群である。したがってこの実施形態では、電極群の各要素の長さLE、幅WE、高さHE、および周辺長PEはそれぞれ正極群の各要素の長さLPE、幅WPE、高さHPE、および周辺長PPEに対応し、電極群の各要素の電流コレクタの長さLE-Cは正極群の各要素の電流コレクタの長さLPCに対応する。加えて、対電極群の各要素の長さLCE、幅WCE、高さHCE、および周辺長PCEはそれぞれ負極群の各要素の長さLNE、幅WNE、高さHNE、周辺長PNEに対応し、対電極群の各要素の電流コレクタの長さLCE-Cは、負極群の各要素の電流コレクタの長さLNCに対応する。
【0028】
ある特定の実施形態では、正極群および負極群は、直方体の長さ寸法、幅寸法、および高さ寸法に近似する長さ寸法、幅寸法、および高さ寸法を有する。係る事例では、それぞれの係る電極の幅WEおよび高さHEは互いに対して垂直であり且つ長さLEの測定方向に対して垂直な方向で測定される。他の実施形態では、正極群および/または負極群は、例えば台形、平行四辺形、三角形、ダイアモンド形、または長円形の断面形状を有するよう異なる形状に成形され得る。係る実施形態では、電極の長さLEはそれぞれの係る電極の底部から上部まで測定され、それぞれの係る電極の幅WEおよび高さHEは互いに対して垂直であり且つ長さLEの測定方向に対して垂直な方向に測定される。加えて幅WEおよび高さHEは、長さ方向に対して垂直な平面における電極の突起の最大幅および最大高さである。換言すると、幅WEおよび高さHEは、長さ方向に垂直である平面における仮想的な長方形であって、電極の突起の全部の点を含みながらも寸法が最小の長方形の2つの近接する側部の長さに相当する。
【0029】
図18A~
図18Eは、電極の長さ方向に対して垂直な平面における電極(正極または負極)の代表的ないくつかの代替の突起を図示する。
図18A~
図18Eでは、電極の突起は台形(
図18A)、平行四辺形(
図18B)、三角形(
図18C)、ダイアモンド形(
図18D)、および長円形(
図18E)の輪郭を有する。各事例において、電極の突起の全部の点を含みながらも寸法が最小である仮想的な長方形が、幅W
Eおよび高さH
Eを有するであろう。
【0030】
ここで
図2を参照して、本発明の1つの実施形態では、電極構造体20は、直接的に負極バス23に接続され負極バス23から延長する負極21の群と、直接的に正極バス24に接続され正極バス24から延長する正極22の群と、を含む。
図2に図示するように、負極21の群は4つの要素を含み、正極22の群は4つの要素を含むが、実際には負極群および正極群のそれぞれは、より多い個数またはより少ない個数の要素を含み得る。例えば、本発明に係る電極構造体により含まれる負極群および正極群のそれぞれは少なくとも5つの要素を含み得る。さらなる例として、1つの実施形態では、負極群および正極群のそれぞれは少なくとも10個の要素を含む。さらなる例として、1つの実施形態では、負極群および正極群のそれぞれは少なくとも50個の要素を含む。さらなる例として、1つの実施形態では、負極群および正極群のそれぞれは少なくとも100個の要素を含む。加えて正極群および負極群は、負極群の各要素が正極群の各要素に隣接するよう、電極の交互シリーズで互いに入り込んで配列される。1つの実施形態では例えば、各負極は、互いに入り込んだシリーズが正極で開始および終了するよう、正極群の2つの要素間に挟まれ、各陽極は、互いに入り込んだシリーズが方向Dに進行する状態で、2つの陽極に挟まれる(例えば電極のシリーズが以下の反復シーケンス、すなわち正極、負極、正極、負極、正極……を有する)。他の実施形態では例えば、各正極は、互いに入り込んだシリーズが負極で開始および終了するよう、負極群の2つの要素間に挟まれ、各陽極は、互いに入り込んだシリーズが方向Dに進行する状態で、2つの負極に挟まれる(例えば電極のシリーズが以下の反復シーケンス、すなわち負極、正極、負極、正極、負極……を有する)。1つの実施形態では、負極群はN個の要素を有し、正極群はN+1個の要素を有し、各負極は2つの陽極間に挟まれ、Nは少なくとも5、10、25、50であり、または少なくとも100になることさえある。他の実施形態では、正極群はN個の要素を有し、負極群はN+1個の要素を有し、各正極は2つの負極間に挟まれ、Nは少なくとも5、10、25、50であり、または少なくとも100になることさえある。さらに他の実施形態では、正極群および負極群のそれぞれはN個の要素を有し、N-1個の正極群要素は2つの負極間に挟まれ、N-1個の負極群要素のそれぞれは2つの正極間に挟まれ、Nは少なくとも5、10、25、50であり、または少なくとも100になることさえある。
【0031】
負極群の各要素21は負極バス23から延長し負極バス23に電気的に接続され、負極バス23は負極群の各要素からの電流を蓄える。負極バス23は、方向Dに測定され且つ電極の互いに入り込んだシリーズの全長にわたり実質的に延長する長さL
NBと、幅W
NB(
図5および
図9)と、高さH
NB(
図9)と、を有する。なおW
NBおよびH
NBの測定方向は互いに対して垂直であり、長さL
NBの測定方向に対して垂直である。
図2に示すX-Y-Z座標系の状況で、幅W
NBは、図示されたX-Y-Z座標系の「X」軸に沿って測定され、高さH
NBは「Z」軸に沿って測定され、長さL
NBは「Y」軸に沿って測定される。なおX軸、Y軸、およびZ軸は違いに対して垂直であり、方向Dと「Y」軸とは一致する。加えて、負極バスの長さL
NBは負極バスの幅W
NBおよび高さH
NBよりも長い。換言すると、当該長さは負極バスの最長寸法である。一般にL
NBのW
NBおよびH
NBのそれぞれとの比は少なくとも5:1である。例えば1つの実施形態では、L
NBのW
NBおよびH
NBのそれぞれとの比は少なくとも10:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
NBのW
NBおよびH
NBのそれぞれとの比は少なくとも25:1である。加えて、H
NBのW
NBとの比は一般にそれぞれ約1:1~約10,000:1の範囲であり、いくつかの実施形態ではH
NBのW
NBとの比は約100:1~約1,000:1の範囲である。
【0032】
図5および
図9に示す実施形態では、負極バスは長さの関数として一定の幅W
NBおよび一定の高さH
NBを有する。他の実施形態では、負極バスの幅W
NBまたは高さH
NBは負極バスの長さの関数として変化してもよく、または負極バスは長方形以外の断面(長さ方向に対して垂直な平面で取られた)を有してもよい。係る他の実施形態では、幅W
NBおよび高さH
NBは、長さ方向すなわち方向Dに対して垂直な平面における負極バスの突起の最大幅および最大高さを指す(例えば、
図18A~
図18Eを参照されたい。これらの図面では、台形(
図18A)、平行四辺形(
図18B)、三角形(
図18C)、ダイアモンド形(
図18D)、および長円形(
図18E)の断面形状を有する一連の電極に対する最大幅W
Eおよび最大高さH
Eが示される)。換言すると、幅W
NBおよび高さH
NBは、長さ方向に垂直な平面に存在する仮想的な長方形であって負極バスの突起の全部の点を含みながらも寸法が最小である長方形の2つの隣接する側部の長さに対応する。
【0033】
負極群の各要素21に加えて、負極バス23は、負極21の群をエネルギー貯蔵装置(図示せず)の負端子に電気的に接続するために使用され得る負極タブ41に電気的に接続される。
図2に示す実施形態では、負極タブ41は、実質的に負極バス23の長さL
NB全体にわたって伸びる長さL
NTを有する負極タブ伸張部分25を含む。例えば1つの実施形態では、負極タブ伸張部分25は負極バス23の長さL
NBの少なくとも50%もしくは少なくとも75%である長さL
NTを有してもよく、または少なくとも90%である長さL
NTさえも有し得る。他の実施形態では、負極タブ伸張部分25は、長さL
NBよりも大幅に短い長さL
NTを有してもよく(例えばL
NTは長さL
NBの50%未満、25%未満、または10%未満になることさえある)、または負極タブ伸張部分25は完全に省略され、負極タブ41が、いずれかの端部において、または負極バス23の長さL
NBに沿った負極バス23の中間位置において、直接的に負極バス23と電気的に接続されてもよい。
【0034】
正極群の各要素22は正極バス24から延長し正極バス24に電気的に接続され、正極バス24は正極群の各要素22からの電流を蓄える。正極バス24は、方向Dに測定され且つ電極の互いに入り込んだシリーズの全長にわたり実質的に延長する長さL
PBと、幅W
PB(
図6および
図10)と、高さH
PB(
図10)と、を有する。なおW
PBおよびH
PBの測定方向は互いに対して垂直であり、長さL
PBの測定方向に対して垂直である。
図2に示すX-Y-Z座標系の状況で、幅W
PBは、図示されたX-Y-Z座標系の「X」軸に沿って測定され、高さH
PBは「Z」軸に沿って測定され、長さL
PBは「Y」軸に沿って測定される。なおX軸、Y軸、およびZ軸は違いに対して垂直であり、方向Dと「Y」軸とは一致する。加えて、負極バスの長さL
PBは正極バスの幅W
PBおよび高さH
PBよりも長い。換言すると、当該長さは正極バスの最長寸法である。一般にL
PBのW
PBおよびH
PBのそれぞれとの比は少なくとも5:1である。例えば1つの実施形態では、L
PBのW
PBおよびH
PBのそれぞれとの比は少なくとも10:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
PBのW
PBおよびH
PBのそれぞれとの比は少なくとも25:1である。加えて、H
PBのW
PBとの比は一般にそれぞれ約1:1~約10,000:1の範囲であり、いくつかの実施形態ではH
PBのW
PBとの比は約100:1~約1,000:1の範囲である。
【0035】
図6および
図10に示す実施形態では、正極バスは長さの関数として一定の幅W
PBおよび一定の高さH
PBを有する。他の実施形態では、正極バスの幅W
PBまたは高さH
PBは正極バスの長さの関数として変化してもよく、または正極バスは長方形以外の断面(長さ方向に対して垂直な平面で取られた)を有してもよい。係る他の実施形態では、幅W
PBおよび高さH
PBは、長さ方向すなわち方向Dに対して垂直な平面における正極バスの突起の最大幅および最大高さを指す。換言すると、幅W
PBおよび高さH
PBは、当該平面に存在する仮想的な長方形であって正極バスの突起の全部の点を含みながらも寸法が最小である長方形の2つの隣接する側部の長さに対応する。
【0036】
正極群の各要素22に加えて、正極バス24は、負極22の群をエネルギー貯蔵装置(図示せず)の正端子に電気的に接続するために使用され得る正極タブ42に電気的に接続される。
図2に示す実施形態では、正極タブ42は、実質的に正極バス24の長さL
PB全体にわたって伸びる長さL
PTを有する正極タブ伸張部分26を含む。例えば1つの実施形態では、正極タブ伸張部分25は正極バス23の長さL
PBの少なくとも50%もしくは少なくとも75%である長さL
PTを有してもよく、または少なくとも90%である長さL
PTさえも有し得る。他の実施形態では、正極タブ伸張部分26は、長さL
PBよりも大幅に短い長さL
PTを有してもよく(例えばL
PTは長さL
PBの50%未満、25%未満、または10%未満になることさえある)、または正極タブ伸張部分26は完全に省略され、正極タブ42が、いずれかの端部において、または正極バス24の長さL
PBに沿った正極バス24の中間位置において、直接的に正極バス24と電気的に接続されてもよい。
【0037】
ミクロ多孔性セパレータ層43は負極群の各要素21を正極群の各要素22から電気的に絶縁し、負極バス23を正極バス24から電気的に絶縁する。2次電池に組み込まれる際、ミクロ多孔性セパレータ層43は通常、非水電解質2次電池に対して従来使用される非水電解質が浸透される。一般にミクロ多孔性セパレータは、少なくとも50Åの、通常は約2,500Åの範囲の直径を有する細孔を含むであろう。加えてミクロ多孔性セパレータは通常、少なくとも25%の多孔率を有するであろう。しかし通常、ミクロ多孔性セパレータは約75%未満の多孔率を有するであろう。1つの実施形態ではミクロ多孔性セパレータは約35~55%の多孔率を有するであろう。
【0038】
ここで
図3を参照して1つの実施形態では、負極群の各要素21は、負極基幹部51と、負極活物質層49と、負極電流コレクタ層47と、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bと、を含む。同様に、正極群の各要素22は、正極基幹部52と、正極電流コレクタ層48と、補助正極電流コレクタ層48Aおよび48Bと、正極活物質層50と、を含む。負極群の各要素21はミクロ多孔性セパレータ層43により正極群の各要素22から隔てられる。
【0039】
放電プロセスの間、リチウムイオン(またはナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、またはマグネシウムイオンなどの他のキャリアイオン)は負極活物質層49から出て、負極電流コレクタ層47およびセパレータ層43を通り、正極活物質層50に移動する。充電プロセスの間、リチウムイオン(または他のキャリアイオン)は正極活物質層50から出て、セパレータ層43および負極電流コレクタ層47を通り、負極活物質層49に移動する。使用される負極活物質に応じて、リチウムイオン(または他のキャリアイオン)はインターカレートされてもよく(例えば、合金を形成することなく、負極活物質のマトリクス内に位置する)、または合金を形成してもよい。正極と負極との間でのリチウムイオン(または他のキャリアイオン)の移動に一致して、電子は、負極電流コレクタ47と、補助負極電流コレクタ47Aおよび47Bと、正極電流コレクタ48と、補助正極電流コレクタ48Aおよび48Bと、により、それぞれ負極バス23および正極バス24(
図2参照)へとまたは負極バス23および正極バス24から搬送される。次に負極バス23および正極バス24はそれぞれ、負極タブ41および正極タブ42を介して、エネルギー貯蔵装置(図示せず)の負端子および正端子に対して電気的に接続される。
【0040】
ここで
図4を参照すると負極群の各負極(すなわち要素)21は負極バス23の内側表面27から延長し、正極群の各正極(すなわち要素)22は正極バス24の内側表面28から延長する。なお内側表面27および28は互いに対して対面または対向する。前述のように、負極バス23は、負極群の各要素21を、負極群の他の要素に対して、および負極タブ伸張部分25(
図2)に対して、電気的に接続する導電性物質を含む。同様に、正極バス24は、正極群の各要素22を、互いに対して、および正極タブ伸張部分26に対して、電気的に接続する導電性物質を含む。
【0041】
ここで
図5を参照すると、負極群の要素21のそれぞれは、負極バス23の内側表面27の近位にある底部31と、内側表面27の遠位にある上部33と、底部31と上部33との間の距離により画定される長さL
NEと、を有する。長さL
NEは、負極バス23の内側表面27から、互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して好適な実施形態では実質的に垂直である方向に測定される。
図2に示すX-Y-Z座標系の状況で、長さL
NEは「X」軸に沿って(および方向Dに対して垂直に)測定される。ある特定の実施形態では、負極群の要素の全部は直線状の側部を有する(すなわち底部31と上部33との間で延長する側部のそれぞれは平面状)であろう。他の実施形態では、負極群の要素は多角形である側部を有し、または湾曲した側部を有する(例えば底部31と上部33との間で延長する側部は正弦曲線状)ことさえあるであろう。それぞれの係る実施形態では、長さL
NEは底部31と上部33との間の直線距離である。
【0042】
ここで
図6を参照すると、正極群の要素22のそれぞれは、正極バス24の内側表面28の近位にある底部32と、正極基板表面26の遠位にある上部34と、底部32と上部34との間の距離により画定される長さL
PEと、を有する。長さL
PEは、正極バス24の内側表面28から、互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して好適な実施形態では実質的に垂直な方向に測定される。
図2に示すX-Y-Z座標系の状況で、好適な実施形態では、長さL
PEは「X」軸に沿って(および方向Dに対して垂直に)測定される。ある特定の実施形態では、正極群の要素は直線状の側部を有する(すなわち底部32と上部34との間で延長する側部のそれぞれは平面状)であろう。他の実施形態では、正極群の要素は多角形である側部を有し、または湾曲した側部を有する(例えば底部32と上部34との間で延長する側部は正弦曲線状)ことさえあるであろう。それぞれの係る実施形態では、長さL
PEは底部32と上部34との間の直線距離である。
【0043】
ここで
図7を参照すると、負極群の要素21のそれぞれの断面(すなわち長さL
NEが測定された方向に対して垂直な方向で取られた断面)は、幅W
NE、高さH
NE、および周辺長P
NEを有する。この実施形態では負極群の要素の断面は長方形であり、周辺長P
NEは2W
NE+2H
NEに等しい値を有する。加えて負極群の要素21のそれぞれは、その幅W
NBおよびその高さH
NBよりも大きい長さL
NEを有する。換言すると、当該長さは負極群の各要素の最大寸法である。幅W
NEおよび高さH
NEはエネルギー貯蔵装置およびその意図する使用に応じて変化し得るが、多数の実施形態では、幅W
NEおよび高さH
NEのそれぞれは約0.01mm~約5mmの範囲内となるであろう。例えば1つの実施形態では、幅W
NEおよび高さH
NEのそれぞれは、約0.025mm~約2mmの範囲内の値を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、幅W
NEおよび高さH
NEのそれぞれは、約0.05mm~約1mmの範囲内の値を有するであろう。一般に、L
NE(
図5参照)はW
NEおよびH
NEのそれぞれよりも大幅に大きくなるであろう。例えば1つの実施形態では、L
NEのW
NEおよびH
NEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1である(すなわちL
NEのW
NEとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、L
NEのH
NEとの比はそれぞれ少なくとも5:1である)。さらなる例として1つの実施形態では、L
NEのW
NEおよびH
NEのそれぞれとの比は少なくとも10:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
NEのW
NEおよびH
NEのそれぞれとの比は少なくとも15:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
NEのW
NEおよびH
NEのそれぞれとの比は少なくとも20:1である。加えて、L
NEが周辺長P
NEよりも大幅に大きい(例えば1つの実施形態ではL
NEのP
NEとの比がそれぞれ少なくとも1.25:1である)ことが一般に好適である。さらなる例として1つの実施形態では、L
NEのP
NEとの比はそれぞれ少なくとも2.5:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
NEのP
NEとの比はそれぞれ少なくとも3.75:1である。加えてH
NEのW
NEとの比は一般にそれぞれ少なくとも0.4:1となるであろう。例えば1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ少なくとも2:1となるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ少なくとも10:1となるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ少なくとも20:1となるであろう。しかし通常は、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ1,000:1よりも小さくなるであろう。例えば1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ500:1より小さくなるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ100:1より小さくなるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ10:1より小さくなるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
NEのW
NEとの比はそれぞれ約2:1~約100:1の範囲内となるであろう。
図2に示すX-Y-Z座標系の状況で、長さL
NEは「X」軸に沿って(および方向Dに対して垂直に)測定され、W
NEは「Y」軸に沿って測定され、H
NEは「Z」軸に沿って測定される。
【0044】
図7に示す実施形態では、負極群の要素21は長さの関数として一定の幅W
NEおよび一定の高さH
NEを有する。他の実施形態では、負極群の要素21は負極の長さに沿った位置の関数として変動する幅W
NEおよび高さH
NEを有してもよく、または負極群の要素は長方形以外の断面(長さ方向に対して垂直な平面で取られた)を有してもよい。係る他の実施形態では、幅W
NEおよび高さH
NEは、負極群の要素21の長さ方向に対して垂直な平面における負極群の要素21の突起の最大幅および最大高さを指す。換言すると、幅W
NEおよび高さH
NEは、負極群の要素の突起の全部の点を含みながらも寸法が最小である平面において存在する仮想的な長方形の2つの隣接する側部の長さに対応する。
【0045】
ここで
図8を参照すると、正極群の要素21のそれぞれの断面(すなわち長さL
PEが測定された方向に対して垂直な方向で取られた断面)は、幅W
PE、高さH
PE、および周辺長P
PEを有する。この実施形態では正極群の要素の断面は長方形であり、周辺長P
PEは2W
PE+2H
PEに等しい値を有する。加えて正極群の要素22のそれぞれは、その幅W
PBおよびその高さH
PBよりも大きい長さL
PEを有する。換言すると、当該長さは正極群の各要素の最大寸法である。幅W
PEおよび高さH
PEはエネルギー貯蔵装置およびその意図する使用に応じて変化し得るが、多数の実施形態では、幅W
PEおよび高さH
PEのそれぞれは約0.01mm~約5mmの範囲内となるであろう。例えば1つの実施形態では、幅W
PEおよび高さH
PEのそれぞれは、約0.025mm~約2mmの範囲内の値を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、幅W
PEおよび高さH
PEのそれぞれは、約0.05mm~約1mmの範囲内の値を有するであろう。一般に、L
PE(
図6参照)はW
PEおよびH
PEのそれぞれよりも大幅に大きくなるであろう。例えば1つの実施形態では、L
PEのW
PEおよびH
PEのそれぞれとの比はそれぞれ少なくとも5:1である(すなわちL
PEのW
PEとの比はそれぞれ少なくとも5:1であり、L
PEのH
PEとの比はそれぞれ少なくとも5:1である)。さらなる例として1つの実施形態では、L
PEのW
PEおよびH
PEのそれぞれとの比は少なくとも10:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
PEのW
PEおよびH
PEのそれぞれとの比は少なくとも15:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
PEのW
PEおよびH
PEのそれぞれとの比は少なくとも20:1である。加えて、L
PEが周辺長P
PEよりも大幅に大きい(例えば1つの実施形態ではL
PEのP
PEとの比がそれぞれ少なくとも1.25:1である)ことが一般に好適である。さらなる例として1つの実施形態では、L
PEのP
PEとの比はそれぞれ少なくとも2.5:1である。さらなる例として1つの実施形態では、L
PEのP
PEとの比はそれぞれ少なくとも3.75:1である。加えてH
PEのW
PEとの比は一般にそれぞれ少なくとも0.4:1となるであろう。例えば1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ少なくとも2:1となるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ少なくとも10:1となるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ少なくとも20:1となるであろう。しかし通常は、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ1,000:1よりも小さくなるであろう。例えば1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ500:1より小さくなるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ100:1より小さくなるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ10:1より小さくなるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、H
PEのW
PEとの比はそれぞれ約2:1~約100:1の範囲内となるであろう。
図2に示すX-Y-Z座標系の状況で、好適な実施形態では、長さL
PEは「X」軸に沿って(および方向Dに対して垂直に)測定され、W
PEは「Y」軸に沿って測定され、H
PEは「Z」軸に沿って測定される。
【0046】
図9に示す実施形態では、正極群の要素22は、それらの長さの関数として一定の幅W
PEおよび一定の高さH
PEを有する。他の実施形態では、正極群の要素22は正極の長さに沿った位置の関数として変動する幅W
PEおよび高さH
PEを有してもよく、または正極群の要素は長方形以外の断面(長さ方向に対して垂直な平面で取られた)を有してもよい。係る他の実施形態では、幅W
PEおよび高さH
PEは、正極群の要素22の長さ方向に対して垂直な平面における正極群の要素22の突起の最大幅および最大高さを指す。換言すると、幅W
PEおよび高さH
PEは、当該平面に存在する仮想的な長方形であって正極バスの突起の全部の点を含みながらも寸法が最小である長方形の2つの隣接する側部の長さに対応する。
【0047】
図2および
図5~
図8を参照すると、正極22の群の要素および負極23の群の要素のそれぞれは合計すると、それぞれの電極を支持する正極バスおよび負極バス(または他の支持構造体)の幾何学的専有面積を越える表面積を有する。好適には、正極22の群の要素および負極23の群の要素のそれぞれは合計すると、それぞれの電極を支持する正極バスおよび負極バス(または他の支持構造体)の幾何学的専有面積の1.5倍、2倍、もしくは2.5倍の表面積を有し、または3倍以上の表面積を有しさえする。例えば、「N」個の要素を有する負極群または正極群の幾何学的専有面積は、以下の方程式にしたがって決定され得る:
負極幾何学的占有面積=(N×L
NE×(2×H
NE+W
NE))
「N」個の要素を有する正極群の幾何学的専有面積は、以下の方程式にしたがって決定され得る:
正極幾何学的占有面積=(N×L
PE×(2×H
PE+W
PE))
ただし式中L
NE、H
NE、W
NE、L
PE、H
PE、およびW
PEは前述のように負極群要素および正極群要素の長さ、幅、および高さである。
【0048】
ここで
図9を参照すると、負極基幹部51、負極活物質層49、負極電流コレクタ層47、および補助負極電流コレクタ層47Aならびに47Bは、好適には、負極群の各要素21の底部31から上部33までの距離の大部分にわたり延長する。補助負極電流コレクタは、追加的な電気伝導性を提供するために、負極群要素に組み込まれ得る。ある特定の実施形態では、補助負極電流コレクタは、負極電流コレクタの電気伝導性の少なくとも2倍である電気伝導性を有する。ある特定の実施形態では、補助負極電流コレクタの電気伝導性は負極電流コレクタの電気伝導性の少なくとも5倍であり、または10倍となることさえある。有利に、補助負極電流コレクタにより提供される追加的な電気伝導性により、負極電流コレクタ層47の電流コレクタ重量全体および体積要件が低減され得る。加えて、負極電流コレクタ層がイオン透過性の電流コレクタ(本明細書の他の箇所でより詳細に説明する)である場合、補助負極電流コレクタは、電極長さL
NEに沿って電流の大部分を搬送し得、負極電流コレクタ層は、主に電極から電流を収集し、収集した電流を補助負極電流コレクタに提供するよう機能し得る。次にこれにより、イオン浸透性電流コレクタ層に要求される電子伝導性が低減され、より良好なセル性能のために、より低い電子伝導性およびより高いイオン伝導性を有するようにイオン浸透性層を設計することが可能となる。
【0049】
いくつかの実施形態では、補助負極電流コレクタは、電極に沿った特定場所における充放電反応をブロックするための手段を提供する。ここで
図3を参照すると、補助電流コレクタ47Aおよび47Bは、この層のイオン伝導性が実質的にゼロとなりそれにより補助電流コレクタの直接的に下方にある電極上の充放電反応が抑制され得るよう、設計され得る。
【0050】
1つの実施形態では、負極群の各要素21により含まれる負極電流導体層47は、係る負極電流コレクタを含む要素の長さLNEの少なくとも50%である長さLNCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極群の各要素21により含まれる負極電流導体層47は、係る負極電流コレクタを含む要素の長さLNEの少なくとも60%である長さLNCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極群の各要素21により含まれる負極電流導体層47は、係る負極電流コレクタを含む要素の長さLNEの少なくとも70%である長さLNCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極群の各要素21により含まれる負極電流導体層47は、係る負極電流コレクタを含む要素の長さLNEの少なくとも80%である長さLNCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極群の各要素21により含まれる負極電流導体層47は、係る負極電流コレクタを含む要素の長さLNEの少なくとも90%である長さLNCを有する。前述の実施形態のそれぞれでは、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bは、同一の、または相当な割合の部分(例えば負極電流コレクタ層47の長さLNCの少なくとも60%、70%、または80%、さらには90%にさえなり得る)である長さ(長さLNCと同一方向に測定された)を独立的に有する。代替的に、前述の実施形態のそれぞれでは、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bは、相当な割合の部分(例えば負極電流コレクタ層47の長さLNCの少なくとも40%、30%、または20%、さらには10%にさえなり得る)より小さい長さ(長さLNCと同一方向に測定された)を独立的に有する。負極群の要素21のそれぞれの長さLNEはエネルギー貯蔵装置およびその意図する使用に応じて変化し得るが、多数の実施形態では、長さLNEは約5mm~約500mmの範囲内となるであろう。例えば1つの実施形態では、要素21のそれぞれに対する長さLNEは約10mm~約250mmの範囲内となるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、要素21のそれぞれに対する長さLNEは約25mm~約100mmの範囲内となるであろう。
【0051】
ここで
図10を参照すると、正極基幹部52、正極活物質層50、正極電流コレクタ層48、および補助正極電流コレクタ層48Aならびに48Bは、好適には、負極群の各要素22の底部32から上部34までの距離の大部分にわたり延長する。補助正極電流コレクタは、追加的な電気伝導性を提供するために、正極群要素に組み込まれ得る。ある特定の実施形態では、補助正極電流コレクタは、正極電流コレクタの電気伝導性の少なくとも2倍である電気伝導性を有する。ある特定の実施形態では、補助正極電流コレクタの電気伝導性は正極電流コレクタの電気伝導性の少なくとも5倍であり、さらには10倍にさえなり得る。有利に、補助正極電流コレクタにより提供される追加的な電気伝導性により、正極電流コレクタ層48の電流コレクタ重量全体および体積要件が低減され得る。加えて、正極電流コレクタ層がイオン透過性の電流コレクタ(本明細書の他の箇所でより詳細に説明する)である場合、補助正極電流コレクタは、電極長さL
PEに沿って電流の大部分を搬送し得、正極電流コレクタ層は、主に電極から電流を収集し、収集した電流を補助正極電流コレクタに提供するよう機能し得る。次にこれにより、イオン浸透性電流コレクタ層に要求される電子伝導性が低減され、より良好なセル性能のために、より低い電子伝導性およびより高いイオン伝導性を有するようにイオン浸透性層を設計することが可能となる。
【0052】
いくつかの実施形態では、補助正極電流コレクタは、電極に沿った特定場所における充放電反応をブロックするための手段を提供する。ここで
図3を参照すると、補助電流コレクタ48Aおよび48Bは、この層のイオン伝導性が実質的にゼロとなりそれにより補助電流コレクタの直接的に下方にある電極上の充放電反応が抑制され得るよう、設計され得る。
【0053】
例えば1つの実施形態では、正極群の各要素22により含まれる正極電流導体層48は、係る正極電流コレクタを含む要素の長さLPEの少なくとも50%である長さLPCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、正極群の各要素22により含まれる正極電流導体層48は、係る正極電流コレクタを含む要素の長さLPEの少なくとも60%である長さLPCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、正極群の各要素22により含まれる正極電流導体層48は、係る正極電流コレクタを含む要素の長さLPEの少なくとも70%である長さLPCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、正極群の各要素22により含まれる正極電流導体層48は、係る正極電流コレクタを含む要素の長さLPEの少なくとも80%である長さLPCを有する。さらなる例として1つの実施形態では、正極群の各要素22により含まれる正極電流導体層48は、係る正極電流コレクタを含む要素の長さLPEの少なくとも90%である長さLPCを有する。前述の実施形態のそれぞれでは、補助正極電流コレクタ層48Aおよび48Bは、同一の、または相当な割合の部分(例えば正極電流コレクタ層48の長さLPCの少なくとも60%、70%、または80%、さらには90%にさえなり得る)である長さ(長さLPCと同一方向に測定された)を独立的に有する。代替的に、前述の実施形態のそれぞれでは、補助正極電流コレクタ層48Aおよび48Bは、同一の、または相当な割合の部分(例えば正極電流コレクタ層48の長さLPCの少なくとも40%、30%、または20%、さらには10%にさえなり得る)より小さい長さ(長さLPCと同一方向に測定された)を独立的に有する。正極群の要素22のそれぞれの長さLPEはエネルギー貯蔵装置およびその意図する使用に応じて変化し得るが、多数の実施形態では、長さLPEは約5mm~約500mmの範囲内となるであろう。例えば1つの実施形態では、要素21のそれぞれに対する長さLPEは約10mm~約250mmの範囲内となるであろう。さらなる例として1つの実施形態では、要素21のそれぞれに対する長さLPEは約25mm~約100mmの範囲内となるであろう。
【0054】
ここで
図3および
図7を参照すると負極基幹部51は、正極(単数または複数)に対向する負極基幹部51の横方向表面上に配置された負極活物質層49に対して機械的安定性を提供する。通常、負極基幹部51は少なくとも1マイクロメートルの肉厚(負極の幅W
NEと同一方向に測定された場合)を有するであろう。負極基幹部51は、大幅により大きい肉厚を有し得るが、通常は100マイクロメートルを越える肉厚を有することはないであろう。より大きい肉厚も可能であるが、エネルギー密度に悪影響を及ぼし得る。例えば1つの実施形態では、負極基幹部51は約1~約50マイクロメートルの肉厚を有するであろう。一般に、負極基幹部51は少なくとも約50マイクロメートルの、さらに典型的には少なくとも約100マイクロメートルの高さ(負極の高さH
NEと同一方向に測定された場合)を有するであろう。しかし一般に負極基幹部51は典型的には約10,000マイクロメートルを超えない高さを、さらに典型的には約5,000マイクロメールを超えない高さを有するであろう。一例として1つの実施形態では、負極基幹部51は約5~約50マイクロメートルの肉厚と、約50~約5,000マイクロメートルの高さと、を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極基幹部51は約5~約20マイクロメートルの肉厚と、約100~約1,000マイクロメートルの高さを有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極基幹部51は約5~約20マイクロメートルの肉厚と、約100~約2,000マイクロメートルの高さを有するであろう。
【0055】
用途に応じて、負極基幹部51は導電性または電気絶縁性を有し得る。例えば1つの実施形態では、負極基幹部51は導電性を有し、負極活物質層49に対する電流コレクタを含み得、またはさらには係る電流コレクタを構成さえし得る。1つの係る実施形態では負極基幹部は少なくとも約103ジーメンス/cmの伝導性を有する電流コレクタを含む。さらなる例として1つの係る実施形態では、負極基幹部は少なくとも約104ジーメンス/cmの伝導性を有する電流コレクタを含む。さらなる例として1つの係る実施形態では、負極基幹部は少なくとも約105ジーメンス/cmの伝導性を有する電流コレクタを含む。他の実施形態では負極基幹部51は比較的非伝導性である。例えば1つの実施形態では、負極基幹部51は10ジーメンス/cm未満の電気伝導性を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極基幹部51は1ジーメンス/cm未満の電気伝導性を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極基幹部51は10-1ジーメンス/cm未満の電気伝導性を有する。
【0056】
負極基幹部51は、金属、半導体、有機物、セラミック、およびガラスなどの成形され得る任意の物質を含み得る。現在、好適には、物質は、シリコンおよびゲルマニウムなどの半導体物質を含む。しかし代替的に、炭素ベースの有機物質または金属(例えばアルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、およびタングステン)も負極基幹部に組み込まれ得る。1つの代表的な実施形態では負極基幹部51はシリコンを含む。例えばシリコンは単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0057】
負極基幹部51の横方向表面のそれぞれに接する負極活物質49の層は、少なくとも1マイクロメートルの肉厚(負極の幅W
NEと同一方向に測定された場合)を有するであろう。しかし一般に負極活物質層49は通常、200マイクロメートルを越えない肉厚(すなわち負極基幹部51と負極基幹部51の一方の側部に接する電流コレクタ層47との間の層の肉厚)を有するであろう。例えば1つの実施形態では、負極活物質層49は約1~約100マイクロメートルの肉厚を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約2~約75マイクロメートルの肉厚を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約10~約100マイクロメートルの肉厚を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約5~約50マイクロメートルの肉厚を有するであろう。加えて負極基幹部51の横方向表面のそれぞれに接する負極活物質49の層は、少なくとも約50マイクロメートルの、さらに典型的には少なくとも約100マイクロメートルの高さ(
図5に示す負極の高さH
NEに対応する方向に測定された場合)を有するであろう。しかし一般に負極活物質層49は典型的には約10,000マイクロメートルを超えない高さを、さらに典型的には約7,500マイクロメールを超えない高さを有するであろう。一例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約1~約200マイクロメートルの肉厚と、約50~約7,500マイクロメートルの高さと、を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約1~約50マイクロメートルの肉厚と、約100~約1,000マイクロメートルの高さを有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約5~約20マイクロメートルの肉厚と、約100~約1,000マイクロメートルの高さを有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約10~約100マイクロメートルの肉厚と、約100~約1,000マイクロメートルの高さを有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は約5~約50マイクロメートルの肉厚と、約100~約1,000マイクロメートルの高さを有するであろう。
【0058】
負極活物質層49は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンまたはマグネシウムイオンなどのキャリアイオンを吸収および放出する能力を有する負極活物質を含み得る。係る物質は、黒鉛などの炭素物質および軟質炭素または硬質炭素、または、リチウムとの合金を形成する能力を有する多様な金属のうちの任意のもの、半金属、酸化物、および化合物を含む。アノード物質を構成する能力を有する金属または半金属の具体例としては、鉛、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、シリコン、インジウム、ジルコニウム、ゲルマニウム、ビスマス、カドミウム、アンチモン、銀、亜鉛、ヒ素、ハフニウム、イットリウム、およびパラジウムが挙げられる。1つの代表的な実施形態では負極活物質層49は、アルミニウム、スズ、もしくはシリコン、これらの酸化物、これらの窒化物、これらのフッ化物、またはこれらの他の合金を含む。他の代表的な実施形態では負極活物質層49はシリコンまたはシリコンの合金を含む。この段落で挙げた実施形態および事例のそれぞれでは、負極活物質層49は粒子凝集電極またはモノリシック電極であり得る。
【0059】
1つの実施形態では負極活物質層49は、リチウムイオン(または他のキャリアイオン)が充放電プロセスの間に負極活物質層49に対して吸収または放出される際の体積膨張および体積収縮に順応するために顕著な空隙体積率を提供するよう微細構造化される。一般に負極活物質層の空隙体積率は少なくとも0.1である。しかし典型的には、負極活物質層の空隙体積率は0.8を越えない。例えば1つの実施形態では、負極活物質層の空隙体積率は約0.15~約0.75である。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層の空隙体積率は約0.2~約0.7である。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層の空隙体積率は約0.25~約0.6である。
【0060】
微細構造化された負極活物質層の組成およびその形成方法に応じて、微細構造化された負極活物質層は、マクロ多孔性、ミクロ多孔性、もしくはメソ多孔性、またはこれらの組み合わせ(例えばミクロ多孔性およびメソ多孔性の組み合わせ、またはメソ多孔性およびマクロ多孔性の組み合わせ)の物質層を含み得る。ミクロ多孔性物質は通常、10nm未満の細孔寸法と、10nm未満の壁部寸法と、1~50マイクロメートルの細孔深さと、「スポンジ状」ならびに不規則的な外観、滑らかでない壁部、および枝分かれした細孔により全般的に特徴付けられる細孔形態と、により特徴付けられる。メソ多孔性物質は通常、10~50nmの細孔寸法と、10~50nmの壁部寸法と、1~100マイクロメートルの細孔深さと、ある程度良好に画成された枝分かれした細孔または樹木状の細孔により全般的に特徴付けられる細孔形態と、により特徴付けられる。マクロ多孔性物質は通常、50nmを越える細孔寸法と、50nmを越える壁部寸法と、1~500マイクロメートルの細孔深さと、変化に富んだ、直線状の、枝分かれした、または樹木状の、および滑らかまたは粗い壁部により全般的に特徴付けられる細孔形態と、により特徴付けられる。加えて空隙体積は、開放型もしくは閉鎖型、またはこれらの組み合わせの空隙を含み得る。1つの実施形態では空隙体積は開放型空隙を含む。すなわち負極活物質層は負極活物質層の前面(すなわちセパレータおよび正極活物質層に対向する表面)において、開口部を有する空隙を含み、係る空隙を通過してリチウムイオン(または他のキャリアイオン)は、負極活物質層に入ること、または負極活物質層から出ることが可能である。例えばリチウムイオンは、正極活物質層を出た後、空隙開口部を通り、負極活物質層に進入し得る。他の実施形態では、空隙体積は閉鎖型空隙を含む。すなわち負極活物質層は負極活物質により閉塞された空隙を含む。一般に開放型空隙および閉鎖型空隙の両者はキャリアイオンの進入時に負極活物質層の拡張のための余地を提供するが、開放型空隙はより大きい境界表面積をキャリアイオンに対して提供し、その一方で、閉鎖型空隙は固体電解質界面の影響を受けにくい傾向を有する。したがってある特定の実施形態では、負極活物質層が開放型空隙および閉鎖型空隙の組み合わせを含むことが好適である。
【0061】
1つの実施形態では負極活物質層49は、多孔性アルミニウム、スズ、もしくはシリコン、またはこれらの合金を含む。多孔性シリコン層は、例えば陽極酸化およびエッチング(例えば金、白金、銀、または金/パラジウムなどの貴金属を単結晶シリコンの(100)表面上に堆積し、当該表面をフッ化水素酸および過酸化水素の混合物でエッチングすること)により、またはパターン形成された化学エッチング(patterned chemical etching)などの当該技術分野で周知の他の方法により、形成され得る。加えて、多孔性負極活物質層は一般に、少なくとも約0.1であるが0.8を越えない多孔率と、約1~約100マイクロメートルの肉厚と、を有するであろう。例えば1つの実施形態では、負極活物質層49は多孔性シリコンを含み、約5~約100マイクロメートルの肉厚を有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は多孔性シリコンを含み、約10~約80マイクロメートルの肉厚を有し、約0.15~約0.7の多孔率を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は多孔性シリコンを含み、約20~約50マイクロメートルの肉厚を有し、約0.25~約0.6の多孔率を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49は多孔性シリコン合金(例えばニッケルシリサイドなど)を含み、約5~約100マイクロメートルの肉厚を有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0062】
他の実施形態では負極活物質層49はアルミニウム、スズ、もしくはシリコンの繊維またはこれらの合金を含む。個々の繊維は約5nm~約10,000nmの直径(肉厚寸法)と、負極活物質層49の肉厚に略対応する長さと、を有し得る。シリコンの繊維(ナノワイヤ)は例えば、化学気相成長、または気液固相(VLS)成長および固液固相(SLS)成長などの当該技術分野で周知の他の技法により、形成され得る。加えて負極活物質層49は一般に、少なくとも約0.1であるが0.8を越えない多孔率と、約1~約200マイクロメートルの肉厚と、を有するであろう。例えば1つの実施形態では、負極活物質層49はシリコンナノワイヤを含み、約5~約100マイクロメートルの肉厚を有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49はシリコンナノワイヤを含み、約10~約80マイクロメートルの肉厚を有し、約0.15~約0.7の多孔率を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49はシリコンナノワイヤを含み、約20~約50マイクロメートルの肉厚を有し、約0.25~約0.6の多孔率を有する。さらなる例として1つの実施形態では、負極活物質層49はシリコン合金(例えばニッケルシリサイドなど)のナノワイヤを含み、約5~約100マイクロメートルの肉厚を有し、約0.15~約0.75の多孔率を有する。
【0063】
顕著な繊維と繊維の変動が存在し得るが、アルミニウム、スズ、またはシリコン(またはこれらの合金)のナノワイヤは、負極基幹部51に対して(負極活物質層に対するナノワイヤの取り付け地点において)主に垂直である主軸(時には中心軸とも呼称される)を有する。
【0064】
他の実施形態では負極活物質層49はシリコンのナノワイヤもしくはシリコンの合金、または多孔性シリコンもしくは多孔性シリコンの合金を含む。係る実施形態では、負極活物質層49は一般に、多孔性シリコンおよびシリコンナノワイヤに関して前述したように、少なくとも約0.1であるが0.8を越えない多孔率と、約1~約100マイクロメートルの肉厚と、を有するであろう。
【0065】
図3および
図5を再び参照すると1つの実施形態では、負極電流コレクタ層47は、イオン伝導性および導電性の両方を有するイオン透過性の伝導性物質を含む。換言すると、負極電流コレクタ層は、電気化学的スタックにおいてイオン浸透性の導体層の一方の側部に接する直接的に隣接する活電極物質層と、負極電流コレクタ層の他方の側部に接する直接的に隣接するセパレータ層と、の間のキャリアイオンの移動を支援する、肉厚と、電気伝導性と、キャリアイオンに対するイオン伝導性と、を有する。相対的に、負極電流コレクタ層は、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、そのイオン伝導性よりも大きい電気伝導性を有する。例えば、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層の電気伝導性とイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は通常、それぞれ少なくとも1,000:1となるであろう。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層の電気伝導性とイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも5,000:1である。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層の電気伝導性とイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも10,000:1となるであろう。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層の電気伝導性とイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも50,000:1となるであろう。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層の電気伝導性とイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも100,000:1である。
【0066】
負極電流コレクタ層47がイオン伝導性および導電性の両方を有するイオン透過性の伝導性物質を含む実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき(例えば2次電池の充放電時など)、負極電流コレクタ層47は、隣接するセパレータ層のイオン伝導性に匹敵するイオン伝導性を有し得る。例えば1つの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーを貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されると、負極電流コレクタ層47はセパレータ層のイオン伝導性の少なくとも50%(すなわちそれぞれ0.5:1の比)であるイオン伝導性(キャリアイオンに対して)を有する。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)とセパレータ層のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は少なくとも1:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)のセパレータ層のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は少なくとも1.25:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)のセパレータ層のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は少なくとも1.5:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)のセパレータ層のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は少なくとも2:1である。
【0067】
1つの実施形態では負極電流コレクタ層47は負極活物質層の電気伝導性よりも大幅に大きい電気伝導性も有する。例えば1つの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47の電気伝導性の負極活物質層の電気伝導性との比は少なくとも100:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47の電気伝導性の負極活物質層の電気伝導性との比は少なくとも500:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47の電気伝導性の負極活物質層の電気伝導性との比は少なくとも1000:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47の電気伝導性の負極活物質層の電気伝導性との比は少なくとも5000:1である。さらなる例としていくつかの実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、負極電流コレクタ層47の電気伝導性の負極活物質層の電気伝導性との比は少なくとも10,000:1である。
【0068】
この実施形態における負極電流コレクタ層47の肉厚(すなわちセパレータと負極活物質層との間の最短距離。セパレータと負極活物質層との間に負極電流コレクタ層47が挟まれる)は当該層の組成と、電気化学的スタックに対する性能仕様と、に依存するであろう。一般に負極電流コレクタ層がイオン透過性の導体層である場合、負極電流コレクタ層は少なくとも約300オングストロームの肉厚を有するであろう。例えばいくつかの実施形態では、負極電流コレクタ層は約300~800オングストロームの範囲の肉厚を有し得る。しかしさらに典型的には、負極電流コレクタ層は約0.1マイクロメートルを越える肉厚を有するであろう。一般にイオン透過性の導体層は、約100マイクロメートルを越えない肉厚を有するであろう。したがって例えば1つの実施形態では、負極電流コレクタ層47は約0.1~約10マイクロメートルの範囲の肉厚を有するであろう。さらなる例としていくつかの実施形態では、負極電流コレクタ層47は約0.1~約5マイクロメートルの範囲の肉厚を有するであろう。さらなる例としていくつかの実施形態では、負極電流コレクタ層47は約0.5~約3マイクロメートルの範囲の肉厚を有するであろう。一般に、負極電流コレクタ層47の肉厚は略均一であることが好適である。例えば1つの実施形態では、負極電流コレクタ層47は約25%未満の肉厚非均一性を有することが好適である。なお肉厚非均一性は、電流収集層の最大肉厚から電流収集層の最小肉厚を減算した値を平均電流収集層肉厚により除算した量として定義される。ある特定の実施形態では、肉厚変動はさらに小さい。例えばいくつかの実施形態では、負極電流コレクタ層47は約20%未満の肉厚非均一性を有する。さらなる例としていくつかの実施形態では、負極電流コレクタ層47は約15%未満の肉厚非均一性を有する。いくつかの実施形態では、イオン透過性の導体層は約10%未満の肉厚非均一性を有する。
【0069】
1つの好適な実施形態では、負極電流コレクタ層47は、イオン透過性および電気伝導性に寄与する導電性成分およびイオン伝導性成分を含むイオン透過性の導体層である。典型的には導電性構成要素は、連続的な導電性物質(例えば連続的な金属または金属合金)を含むメッシュ表面もしくはパターン化された表面、薄膜、または複合材料の形態の連続的における導電性物質(例えば連続的な金属または金属合金など)を含むであろう。加えてイオン伝導性成分は通常、細孔(例えばメッシュの細隙、金属層を含むパターン化された金属間または金属合金間の空間、金属膜またはキャリアイオンに対する十分な拡散率を有する固体イオン伝導体における細孔)を含むであろう。ある特定の実施形態ではイオン透過性の導体層は、堆積された多孔性物質、イオン輸送物質、イオン反応物質、複合物質、または物理的に多孔性の物質を含む。例えば多孔性の場合、イオン透過性導体層は少なくとも約0.25の空隙率を有し得る。しかし一般に、空隙率は通常約0.95を越えないであろう。さらに典型的には、イオン透過性導体層が多孔性である場合、空隙率は約0.25~約0.85の範囲内であり得る。例えばいくつかの実施形態ではイオン透過性導体層が多孔性である場合、空隙率は約0.35~約0.65の範囲内であり得る。
【0070】
負極活物質層とセパレータとの間に配置されるため、負極電流コレクタ層47は、電流を負極活物質層の表面を越えて負極電流コレクタから分散させることにより、より均一なキャリアイオン輸送を支援し得る。次に、これにより、キャリアイオンのより均一な挿入および抽出が支援され、サイクル中の負極活物質におけるストレスが低減されるであろう。負極電流コレクタ層47は電流を、セパレータに対向する負極活物質層の表面に分散させるので、キャリアイオンに対する負極活物質層の反応性は、キャリアイオン濃度が最大である場所において、最大となるであろう。
【0071】
補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bは、負極電流コレクタ層47との関連で前に特定した物質のいずれかを含み得る。補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bは負極活物質層と正極活物質層との間に配置されないため、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bはキャリアイオンに対してイオン透過性を有する必要はない。したがって補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bは、例えば炭素、コバルト、クロム、銅、ニッケル、チタン、またはこれらの1つまたは複数の合金などの負極のための電流コレクタ物質として従来使用される任意の金属または導体を含み得る。加えて1つの実施形態では、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bは独立的に、負極電流コレクタ層47の電気伝導性を越える電気伝導性を有する。例えば1つの実施形態では、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bのうちの少なくとも1つは負極電流コレクタ層の電気伝導性の少なくとも200%(例えば少なくとも1000%)である電気伝導性を有する。
【0072】
代替の実施形態では、負極電流コレクタ層47Aおよび47Bのうちの一方または両方は負極群の各要素21から省略される。例えば1つの係る実施形態では、負極群の各要素21は負極電流コレクタ層47および補助負極電流コレクタ層47Aを含むが、補助負極電流コレクタ層47Bは含まない。さらなる例として1つの係る実施形態では、負極群の各要素21は負極電流コレクタ層47および補助負極電流コレクタ層47Bを含むが補助負極電流コレクタ層47Aは含まない。さらなる例として1つの係る実施形態では、負極群の各要素21は、負極電流コレクタ層47を含むが、補助負極電流コレクタ層47Aも補助負極電流コレクタ層47Bも含まない。
【0073】
代替の実施形態では、負極電流コレクタ層47および負極活物質層の位置は
図3および
図6に図示するそれぞれの位置に対して逆転される。換言するといくつかの実施形態では、負極電流コレクタ層47は負極基幹部51と負極活物質層49との間に配置される。係る実施形態では、負極電流コレクタ層は、例えば炭素、コバルト、クロム、銅、ニッケル、チタン、またはこれらの1つもしくは複数の合金などの負極のための電流コレクタとして従来使用される任意の金属または他の導体を含み得る。唯一の電流コレクタとして。加えて係る代替の実施形態では、補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bのうちの一方または両方が負極群の各要素21から省略され得、負極基幹部51が負極電流コレクタを構成する。
【0074】
再び
図2および
図3を参照すると、ミクロ多孔性セパレータ層43は負極群の各要素21と正極群の各要素22との間に配置される。ミクロ多孔性セパレータ層43は、例えばミクロ多孔性ポリエチレン、ポリプロピレン、TiO
2ポリマー複合材料、SiO
2、Al
2O
3などを含む、2次電池セパレータとして従来使用される多孔性物質のうちのいずれかを含み得る(P.Arora and J.Zhang,“Battery Separators”Chemical Reviews 2004,104,4419-4462)。係る物質は例えば、粒子状セパレータ物質の電気泳動堆積、粒子状セパレータ物質のスラリー堆積(スピンまたはスプレーコーティングを含む)、イオン伝導性粒子状セパレータ物質のスパッタコーティングにより、堆積され得る。ミクロ多孔性セパレータ層43は例えば、約5~100マイクロメートルの肉厚(負極群および正極群の隣接する要素を隔てる最短距離)と、約0.25~約0.75の空隙率と、を有し得る。
【0075】
動作時、ミクロ多孔性セパレータ層43は好適には、非水電解質2次電池に対して従来使用される任意の非水電解質を含む非水電解質で浸透される。典型的には、非水電解質は有機溶媒中に溶解されたリチウム塩を含む。代表的なリチウム塩は、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiCl、およびLiBrなどの無機リチウム塩と、LiB(C6H5)4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF3)3、LiNSO2CF3、LiNSO2CF5、LiNSO2C4F9、LiNSO2C5F11、LiNSO2C6F13、およびLiNSO2C7F15などの有機リチウム塩と、を含む。リチウム塩を溶解するための代表的な有機溶媒としては環状エステル、鎖状エステル、環状エーテル、および鎖状エーテルが挙げられる。環状エステルの具体例としてはプロピレンカルボナート、ブチレンカルボナート、γ-ブチロラクトン、ビニレンカルボナート、2-メチル-γ-ブチロラクトン、アセチル-γ-ブチロラクトン、およびγ-バレロラクトンが挙げられる。鎖状エステルの具体例としてはジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、ジブチルカルボナート、ジプロピルカルボナート、メチルエチルカルボナート、メチルブチルカルボナート、メチルプロピルカルボナート、エチルブチルカルボナート、エチルプロピルカルボナート、ブチルプロピルカルボナート、アルキルプロピオナート、ジアルキルマロナート、およびアルキルアセテートが挙げられる。環状エーテルの具体例としてはテトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、ジアルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、アルキル-1,3-ジオキソラン、および1,4-ジオキソランが挙げられる。鎖状エーテルの具体例としては1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシタン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、およびテトラエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
【0076】
ここで
図3および
図7を参照すると、正極基幹部52は、負極(単数または複数)に対向する正極基幹部52の横方向表面上に配置された正極活物質層50と、正極電流コレクタ層48と、に対して機械的安定性を提供する。典型的には、正極基幹部52は少なくとも1マイクロメートルの肉厚(正極の幅W
PEと同一方向に測定された場合)を有するであろう。正極基幹部52は、大幅により大きい肉厚を有し得るが、通常は100マイクロメートルを越える肉厚を有することはないであろう。例えば1つの実施形態では、正極基幹部52は約1~約50マイクロメートルの肉厚を有するであろう。一般に、正極基幹部52は少なくとも約50マイクロメートルの、さらに典型的には少なくとも約100マイクロメートルの高さH
PE(負極の高さH
NEと同一方向に測定された場合)を有するであろう。しかし一般に、正極基幹部52は典型的には約10,000マイクロメートルを越えない高さを、さらに典型的には約5,000マイクロメートルを越えない高さを、有するであろう。例として1つの実施形態では、正極基幹部52は約5~約50マイクロメートルの肉厚と、約50~約5,000マイクロメートルの高さと、を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、正極基幹部52は約5~約20マイクロメートルの肉厚と、約100~約1,000マイクロメートルの高さと、を有するであろう。さらなる例として1つの実施形態では、正極基幹部52は約5~約20マイクロメートルの肉厚と、約100~約2,000マイクロメートルの高さと、を有するであろう。
【0077】
用途に応じて、正極基幹部52は導電性または電気絶縁性を有し得る。例えば1つの実施形態では、正極基幹部52は導電性を有し、正極活物質層50に対する電流コレクタを含み得る。1つの係る実施形態では正極基幹部は少なくとも約103ジーメンス/cmの伝導性を有する電流コレクタを含む。さらなる例として1つの係る実施形態では、正極基幹部は少なくとも約104ジーメンス/cmの伝導性を有する電流コレクタを含む。さらなる例として1つの係る実施形態では、正極基幹部は少なくとも約105ジーメンス/cmの伝導性を有する電流コレクタを含む。他の実施形態では正極基幹部アノード基幹部52は比較的非伝導性である。例えば1つの実施形態では、正極基幹部52は10ジーメンス/cm未満の電気伝導性を有する。さらなる例として1つの実施形態では、正極基幹部52は1ジーメンス/cm未満の電気伝導性を有する。さらなる例として1つの実施形態では、正極基幹部52は10-1ジーメンス/cm未満の電気伝導性を有する。
【0078】
正極基幹部52は金属、半導体、有機物、セラミック、およびガラスなどの成形され得る任意の物質を含み得る。現在、好適には、物質は、シリコンおよびゲルマニウムなどの半導体物質を含む。しかし代替的には、炭素ベースの有機物質または金属(例えばアルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、チタン、およびタングステンなど)も正極基幹部に組み込まれ得る。1つの代表的な実施形態では正極基幹部52はシリコンを含む。例えばシリコンは単結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0079】
正極活物質層50は、カソード活物質の混合物を含む、多様なカソード活物質のいずれかを含み得る。例えばリチウムイオン電池に対して、正極活物質層50は、遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、遷移金属窒化物、リチウム-遷移金属酸化物、リチウム-遷移金属硫化物、およびリチウム-遷移金属窒化物から選択されるカソード物質を含み得る。これらの遷移金属酸化物、遷移金属硫化物、および遷移金属窒化物の遷移金属元素は、d殻またはf殻を有する金属元素を含み得る。係る金属元素の具体例としてはSc、Y、ランタノイド、アクチノイド、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pb、Pt、Cu、Ag、およびAuが挙げられる。追加的なカソード活物質としてはLiCoO2、LiNi0.5Mn1.5O4、Li(NixCoyAl2)O2、LiFePO4、Li2MnO4、V2O5、モリブデンオキシ硫化物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。正極活物質層を、例えば電気泳動堆積、電気溶着、共析出、またはスラリー堆積を含む一定範囲の技法のいずれかにより、堆積させ、正極構造体が形成され得る。1つの代表的な実施形態では、粒子形態における前述の正極活物質のうちの1つ、またはこれらの組み合わせは、電気泳動により堆積される。他の代表的な実施形態では、V2O5などの正極活物質が電着される。他の代表的な実施形態では、前述の正極活物質のうちの1つ、またはこれらの組み合わせは、粒子形態で、ポリアニリンなどの導電性マトリックスにおいて共堆積される。他の代表的な実施形態では、粒子形態における前述の正極活物質のうちの1つ、またはこれらの組み合わせは、スラリー堆積される。
【0080】
正極群の各要素22は正極電流コレクタ層48をさらに含み、この正極電流コレクタ層48は
図3に図示する実施形態では、正極基幹部52上に覆い被さる(すなわち正極基幹部52と正極活物質層50との間に配置される)。正極電流コレクタ48は、負極電流コレクタに対して前に特定した金属のいずれかを含み得る。例えば1つの実施形態では、正極電流コレクタ48は、アルミニウム、炭素、クロム、金、ニッケル、NiP、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、シリコンおよびニッケルの合金、チタン、またはこれらの組み合わせを含む(A.H.WhiteheadおよびM.Schreiberによる“Current collectors for positive electrodes of lithium-based batteries”, Journal of the Electrochemical Society,152(11) A2105-A2113 (2005)参照)。さらなる例として1つの実施形態では、正極電流コレクタ48は金、または金の合金(例えば金シリサイドなど)を含む。さらなる例として1つの実施形態では、正極電流コレクタ48はニッケル、またはニッケルの合金(例えばニッケルシリサイドなど)を含む。
【0081】
補助負極電流コレクタ層48Aおよび48Bは、正極電流コレクタ層48との関連で前に特定した物質のいずれかを含み得る。加えて1つの実施形態では、補助正極電流コレクタ層48Aおよび48Bのうちの少なくとも1つは、正極電流コレクタ層48の電気伝導性を越える電気伝導性を有する。例えば1つの実施形態では、補助正極電流コレクタ層48Aおよび48Bのうちの少なくとも1つは、正極電流コレクタ層の電気伝導性の少なくとも200~1,000%である電気伝導性を有する。
【0082】
代替の実施形態では、正極電流コレクタ層48Aおよび48Bのうちの一方または両方は正極群の各要素22から省略される。例えば1つの係る実施形態では、正極群の各要素22は正極電流コレクタ層48および補助正極電流コレクタ層48Aを含むが、補助正極電流コレクタ層48Bは含まない。さらなる例として1つの係る実施形態では、正極群の各要素22は正極電流コレクタ層48および補助正極電流コレクタ層48Bを含むが、補助正極電流コレクタ層48Aは含まない。さらなる例として1つの係る実施形態では、正極群の各要素22は正極電流コレクタ層48を含むが、補助正極電流コレクタ層48Aも補助正極電流コレクタ層48Bも含まない。
【0083】
代替の実施形態では、正極電流コレクタ層および正極活物質層の位置は
図3および
図6に図示するそれぞれの位置に対して逆転される。換言するといくつかの実施形態では、正極電流コレクタ層はセパレータ層と正極活物質層との間に配置される。係る実施形態では、直接的に隣接する正極活物質層に対する正極電流コレクタは、負極電流コレクタ層に関連して説明した組成および構造を有するイオン透過性導体を含む。すなわち正極電流コレクタ層は、イオン伝導性および導電性の両方を有するイオン透過性の伝導性物質の層を含む。この実施形態では、正極電流コレクタ層は、電気化学的スタックにおいて正極電流コレクタ層の一方の側部に接する直接的に隣接する正極活物質層と、正極電流コレクタ層の他方の側部に接する直接的に隣接するセパレータ層と、の間のキャリアイオンの移動を支援する、肉厚と、電気伝導性と、キャリアイオンに対するイオン伝導性と、を有する。相対的に、この実施形態では、正極電流コレクタ層は、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、そのイオン伝導性よりも大きい電気伝導性を有する。例えば、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、正極電流コレクタ層の電気伝導性のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は通常、それぞれ少なくとも1,000:1となるであろう。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、正極電流コレクタ層の電気伝導性のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも5,000:1である。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、正極電流コレクタ層の電気伝導性のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも10,000:1である。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、正極電流コレクタ層の電気伝導性のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも50,000:1である。さらなる例として1つの係る実施形態では、電流が印加されてデバイスにエネルギーが貯蔵されるとき、または負荷が印加されてデバイスが放電されるとき、正極電流コレクタ層の電気伝導性のイオン伝導性(キャリアイオンに対する)との比は、それぞれ少なくとも100,000:1である。
【0084】
再び
図2および
図4を参照すると、負極バス23および正極バス24は、広範な導電性物質からなり得る。例えば負極バス23および正極バス24は、負極群および正極群の要素をそれぞれ負極導電性経路25および正極導電性経路26に電気的に接続するために、導電性セラミック、ガラス、ポリマー、半導体、または金属を独立的に含み得る。さらなる例として1つの実施形態では、負極バス23および正極バス24のそれぞれは、シリコン、炭素、炭素複合材、金属シリサイドなどの導電性物質を独立的に含む。正極バスのための代表的な物質としては、アルミニウム、炭素、クロム、金、ニッケル、NiP、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、シリコンならびにニッケルの合金、チタン、これらのうちの1つまたは複数の合金、およびこれらの組み合わせが挙げられる。負極バスのための代表的な物質としては、銅、ニッケル、クロム、チタン、タングステン、コバルト、炭素、これらのうちの1つまたは複数の合金、およびこれらの組み合わせが挙げられる。正極バスおよび負極バスのための物質は、蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、浸漬メッキ、電気メッキなどの、一定範囲の周知の金属堆積処理のいずれかにより、堆積され得る。ある特定の実施形態では、正極バスおよび負極バスの伝導性部分は同一物質を含み得る。他の実施形態では、正極バスおよび負極バスの伝導性部分は組成的に異なる物質を含み得る。ある特定の実施形態では、正極バスおよび/または負極バスは、伝導性物質殻により部分的にまたは完全に覆われた非伝導性コア部を含む。加えて、正極バスおよび負極バスが伝導性物質殻により部分的にまたは完全に覆われた非伝導性コア部を含む係る実施形態では、正極バスおよび負極バスの非伝導性コア部は、伝導性殻が組成的に異なる一方で、同一組成を有し得る。
【0085】
負極タブ41および負極タブ伸張部分25と、正極タブ42および正極タブ伸張部分42と、は広範な導電性物質のいずれかを含み得る。例えば1つの実施形態では、負極タブ41、負極タブ伸張部分25、正極タブ42、および正極タブ伸張部分42は、シリコン、炭素、炭素複合材、金属シリサイドなどの導電性物質を独立的に含む。正極タブおよび正極タブ伸張部分のための代表的な物質としては、正極バスに対して特定されたものと同一の物質が挙げられ、負極タブおよび負極タブ伸張部分のための代表的な物質としては、負極バスに対して特定されたものと同一の物質が挙げられる。
【0086】
多様な技法により、負極タブ41および負極タブ伸張部分25は負極バス23に取り付けられ得、正極タブ42および正極タブ伸張部分26は正極バス24に取り付けられ得る。タブ、タブ伸張部分、およびバスの取り付け方法は、接着、はんだ付け、接合、焼結、圧着接続、ブレージング、溶射接合、圧締め、またはこれらの組み合わせを含み得る。接着は、伝導性エポキシ、伝導性エラストマー、伝導性金属で充填された絶縁性有機接着剤(例えばニッケルで充填されたエポキシ、炭素で充填されたエポキシ、その他)の混合物などの伝導性物質を用いて物質を接合することを含み得る。伝導性ペーストが、物質を一緒に接合するために使用され得、接合強度は、温度(焼結)、光(UV硬化、架橋)、化学硬化(触媒ベースの架橋)により調節され得る。接合処理はワイヤ接合、リボン接合、超音波接合を含み得る。溶接処理は超音波溶接、抵抗溶接、レーザビーム溶接、電子ビーム溶接、誘導溶接、および冷間溶接を含み得る。これらの物質を接合することとは、物質を一緒に接合するために、熱溶射コーティング(例えばプラズマ溶射、フレーム溶射、アーク溶射)などのコーティング処理を使用して実行され得る。例としてニッケルまたは銅メッシュが、接着剤としてニッケルの溶射を使用してニッケルバス上に接合され得る。
【0087】
図2および
図3を再び参照して、負極基幹部51および正極基幹部52は、3次元構造体を製作するための当該技術分野で周知の任意の方法で製作され得る。例えば正極(カソード)のためのシリコン基幹部、および負極(アノード)のためのシリコン基幹部は、一時的、永久多的、または半永久的接合により基部に接合されたウェーハを使用することにより同時に製造され得る。基部をウェーハに接合する非網羅的な方法としては、無機接着祭または有機接着剤を使用する接着、アノード酸化接合、圧着、熱接合など挙げられる。シリコン・オン・インシュレータ・ウェーハ、アノードガラス接合されたウェーハ、一時的キャリアが取り付けられたウェーハが、活基板上に接合された基部の例である。次いでウェーハはパターン形成され、シリコンは、不要な部分において除去され、それにより、電極のための基幹部として機能し得る構造体が残される。いくつかの実施形態では基幹部は、レーザ加工、放電加工、高精度加工、アブレーション、および穿孔により、不要なエリアにおいて平坦な基板から物質を除去することにより、消極的な様式で製造され得る。他の実施形態では、各基幹部は、焼結、マイクロ形成、電鋳法、その他を用いてまたは用いることなく、3D印刷、ステンシル印刷および積層化、グラビア印刷、射出成形、プレス成形および焼結、ゲルキャストおよび焼結、スラリーキャスト、テープキャストなどの方法を使用して層を構築することにより、個別的にまたは別個に、積極的な様式で作られ得る。基幹部を作るために使用され得る他の代表的プロセスは、マスクを通してのスパッタリング、蒸着などの真空ベースの堆積処理を使用して、支柱、棒状体、波形、その他を成長することを含み得る。さらなる代表的な製造方法は、バターン形成された基部材料上でのナノワイヤ成長またはナノ構造成長の使用を含む。
【0088】
図2および
図3を再び参照して、負極電流コレクタ47および正極電流コレクタ48は、電気溶着、無電解堆積、浸漬堆積、物理気相成長、化学気相成長などの処理により製作され得る。正極(カソード)および負極(アノード)電流コレクタは、周知のパターン形成および金属堆積の技法を使用して、同時に堆積されてもよく、または逐次的に製作されてもよい。
【0089】
補助負極電流コレクタ層47Aおよび47Bおよび/または補助正極電流コレクタ層48Aおよび48Bは、ある特定の実施形態において改善された速度特性(rate performance)を提供し得る。補助正極電流コレクタおよび/または負極電流コレクタは、正極電流コレクタおよび負極電流コレクタの形成に関連して説明したものと同様の方法を使用して、電極構造体上に形成され得る。マスキングおよびパターン形成の周知の方法が、補助電流コレクタを所望の部分に選択的に堆積するために、基幹部を準備するために使用され得る。いくつかの事例では、電流コレクタの堆積は、イオン透過性電流収集方式を提供するために、活電極が堆積された後に行われるであろう。
【0090】
図3を参照すると、負極物質層49は、電気溶着、電気泳動堆積、蒸着、蒸気-液体-固体堆積などの触媒ベースの成長、ゲルキャスト、テープキャスト、パターン形成およびスラリー堆積の後に、焼結、結合などの方法による高密度化などの方法を使用して、形成または別様に組み立てられ得る。いくつかの実施形態では、負極物質層および負極基幹部は、シリコン、アルミニウム、およびスズなどの同一物質を含み得、負極物質層および負極基幹部は同時に製作され得る。同様に正極物質層50も、電気溶着、電気泳動堆積、蒸着、蒸気-液体-固体堆積などの触媒ベースの成長、ゲルキャスト、テープキャスト、パターン形成およびスラリー堆積の後に、焼結、結合などの方法による高密度化などの方法を使用して、組み立てられ得る。
【0091】
依然として
図3を参照して、ミクロ多孔性セパレータ層43は多様な従来の方法のいずれかにより形成され得る。代表的な方法としては、電気泳動堆積、蒸着、浸漬コーティング、ゲルキャスト、テープキャスト、パターン形成およびスラリー堆積の後に、圧縮、焼結、結合、硬化などの方法による高密度化が挙げられる。
【0092】
ここで
図11を参照すると1つの実施形態では、本発明に係る3次元電池70は、電池筐体72、電極スタック74、電極スタック74を外部のエネルギー供給または消費者(図示せず)に電気的に接続するための負極タブ41、および正極タブ42を含む。電極スタック74は、各電極構造体20内で互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して垂直な方向に積まれた6つの電極構造体20(
図2参照)を含む。再び
図2を参照すると、この実施形態における6つの電極構造体の積む方向は、
図2に図示するX-Y-Z座標系に対する「Z」方向であり、方向Dに対して垂直である。電極スタック74内の電極構造体の個数は決定的ではなく、例えば1~50の範囲内であり得る。2個~20個の電極構造体が通常、電極スタック内に存在する。電池筐体を非水電解質で充填した後、電池筐体72は、蓋部72Aをヒンジ72Bにおいて折り曲げて蓋部72Aを上方表面72Cに接着することにより、密閉され得る。
【0093】
有利に、負極タブ伸張部分25は、スタック74内の各電極構造体20の負極バス23に電気的に接続され(例えば導電性接着剤を使用して)、正極バス26は、スタック74内の各電極構造体20の正極バス24に電気的に接続される(例えば導電性接着剤を使用して)。図示のように、負極タブ伸張部分25は6つの電極構造体20の負極バス23に電気的に接続され、正極タブ伸張部分26は正極バス24に電気的に接続される。他の実施形態では、負極タブ伸張部分25および正極タブ伸張部分26は、電極スタック74内のより少数のまたはより多数の負極タブ伸張部分および正極タブ伸張部分に接続され得、例えば1~50個の範囲であり得、通常は2~20個であり得る。1つの代替の実施形態では、スタック内の電極構造体の個数に対して独立的に、スタック74は、2つ以上の負極タブ伸張部分25と、2つ以上の正極タブ伸張部分26と、を含み得る。
【0094】
タブ41は例えば導電性接着剤を使用して負極タブ伸張部分25に電気的に接続され得、タブ42は例えば導電性接着剤を使用して正極タブ伸張部分26に電気的に接続され得る。代替的にタブ41および42は、それぞれ負極タブ伸張部分25および正極タブ伸張部分26の折り曲げられた端部であり得る。
【0095】
ここで
図12を参照すると、電池筐体72は非水電解質(図示せず)で充填され、蓋部72Aは上方表面(
図11参照)上に折り曲げられ、上方表面に密閉され、それにより電極スタック74が封入される。エネルギー供給または消費者(図示せず)に対する接続を可能にするために、タブ41および42は、密閉された筐体から、電極スタック74内の個々の電極構造体20のスタックの方向に対して垂直であり且つ電極スタック74内の各電極構造体20内の互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して平行な方向に延長する。
【0096】
ある特定の実施形態では、電池筐体は、互いに対して垂直に、水平または垂直に、水平にスタックされた、2つ以上の電極構造体(ダイと呼称されることもある)を含み得、タブ伸張部分は、電池外部の環境に対する電気接続を提供するために、電極のそれぞれに対して接続される。ダイが垂直にスタックされる場合、異なる電極構造体(または負極バス、いずれにせよ存在するバス)における負極群の底部は、互いに対して垂直に配置され、異なる電極構造体(または正極バス、いずれにせよ存在するバス)における正極群の底部は、互いに対して垂直に配置される。ある特定の実施形態では、スタック内の各電極構造体は、
図2に図示するようにセパレータ物質の上部および底部コーティングを有する。しかし他の実施形態では、セパレータ物質の上部、底部または上部、および底部コーティングは省略され得、自立型のセパレータ層が、電気的絶縁を提供するために、電極構造体(ダイ)間に挿入され得る。市販の電池セパレータが所望のサイズに切断され、この目的のために使用され得る。ダイがスタックされると、いくつかの実施形態では、電極構造体内の正極群および負極群のタブ伸張部分(単数または複数)は、接着、プラズマ溶射、溶接、その他により、電極バス(存在する場合)の端部に、またはそれぞれの群の電極端部に、電気的に接続される。意図される用途に応じて、各タブ伸張部分は電極スタック内の個々の電極構造体(ダイ)に接続され得る。代替的に、単一のタブ伸張部分がスタック内の2つ以上の電極構造体(ダイ)に電気的に接続され得る。1つの係る実施形態では、タブ伸張部分は、スタックの高さ(例えば
図11における26)にわたって延長し、スタック内の全電極構造体(ダイ)に対して電気的に接続する。
【0097】
ここで
図13~
図15を参照すると、タブ41および42に対する代替の構成が図示される。
図13では、タブ41および42は、それぞれ負極タブ伸張部分25および正極タブ伸張部分26の折り曲げられた端部であり、45度の角度で折り曲げられる。この実施形態では、タブ41および42は、密閉された筐体から、電極スタック74内の個々の電極構造体20のスタックの方向に対して垂直であり且つ電極スタック74内の各電極構造体20内の互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して平行な方向に延長する。
図14では、負極タブ伸張部分25および正極タブ伸張部分26は、電極構造体のスタックの上部上に折り曲げられ、タブ41および42は負極タブ伸張部分25の1つの端部から、および正極タブ伸張部分26の1つの端部から延長する。この実施形態では、タブ41および42は、密閉された筐体から、電極スタック74内の個々の電極構造体20のスタックの方向に対して垂直であり且つ電極スタック74内の各電極構造体20内の互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して平行な方向に延長する。
図15では、タブ41および42は、負極タブ伸張部分25の端部のうちの1つおよび正極タブ伸張部分26の端部のうちの1つには配置されず、むしろ2つの端部の中間点から延長する。この実施形態では、タブ41および42は、密閉された筐体から、電極スタック74内の個々の電極構造体20のスタックの方向に対して垂直であり且つ電極スタック74内の各電極構造体20内の互いに入り込んだ電極のシリーズの進行方向に対して垂直な方向に延長する。
【0098】
ダイを積み上げて垂直にスタックすることに代わり、1つの実施形態ではダイは、X平面において隣同士に並べられ得る。並べることは、1つの軸に沿ってのみ(例えばX軸のみ)、または両方の軸に沿って、生じ得る。1つの係る実施形態では、各ダイ上の電極バスの極性は、1つのダイからのカソードバスが次のダイからのカソードバスに隣接し、1つのダイのアノードバスが次のダイのアノードバスに隣接するよう、交替して反転される。このようにして、共通のタブが、2つの隣接するダイに接続するために使用され得、これにより重量および体積が節約されることとなる。XY平面において並べる際、複数のアノードタブおよび/またはカソードタブが、一緒に接続されて、単一のアノード接点および単一のカソード接点を形成することが必要となり得る。これは、電池筐体内部で、または電池筐体外部で、達成され得る。ある特定の実施形態では、複数のアノードタブおよび/または複数のカソードタブは、未接続状態に保持され、電池筐体から出てき得る。代替的に、単一のアノードおよびカソード接点が、電池筐体から引き出され得る。この実施形態では、カソードタブは最初、T字構成で成形される。Tの上部は2つの隣接するカソードバスに接続される。Tの底部は90度で折り曲げられ、並べられたダイの底部に沿って延長する。複数のカソードタブの底部分は、並べられたダイの底部に沿って、重ねられる。次に、これらの複数のタブは、抵抗溶接、レーザ溶接、スポット溶接により一緒に接続されてもよく、または伝導性接着剤を用いて接続されてもよい。次に、これらのカソードタブのうちのただ1つが、電池筐体の外部に引き出される。同様に、複数のアノードタブは最初、T字構成で成形される。Tの上部は2つの隣接するアノードバスに接続される。Tの底部は90度で折り曲げられ、並べられたダイの底部に沿って延長する。複数のアノードタブの底部分は、傾斜されたダイの底部に沿って、重ねられる。次に、これらの複数のタブは、抵抗溶接、レーザ溶接、スポット溶接により一緒に接続されてもよく、または伝導性接着剤を用いて接続されてもよい。次に、これらのアノードタブのうちのただ1つが、電池筐体の外部に引き出される。XY平面において並べることは、Z平面においてダイを積むことと組み合わされ得る。このようにして、それぞれの個々のダイよりも遥かに大きい電池が製造され得る。
【0099】
携帯電話およびコンピュータなどの携帯型電子機器のためのリチウムイオン電池に対して、例えばポーチまたは他の従来の電池筐体が、電池筐体72に対して代用され得る。
【0100】
図7および
図8に図示する長方形の断面形状に代わって、負極群および正極群の要素は、多様な代替の断面プロファイルを独立的に有し得る。負極群および正極群の例えば要素21および要素22は、多角形の断面形状(例えば三角形、四辺形、五角形、または六角形の断面)もしくは滑らかに湾曲した断面(例えば楕円形または円形)またはこれらの組み合わせを有し得る。したがって一般に、負極群および正極群の要素は、一定範囲の多面体、円錐形、または円筒形(例えば長円状円筒、放物線状円筒形、または双曲線状円筒形)の形状を独立的に有し得る。
図18A~
図18Eはいくつかの係る代替の断面形状を図示する。
【実施例】
【0101】
以下の非限定的な実施例は、本発明をさらに示すために提供されるものである。
【0102】
実施例1:3D単一セルの製作
櫛構造体の作製
200μm/3μm/675μmの層肉厚(デバイス層/絶縁層/バッキング層)を有するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェーハが試料として使用された。1000ÅのPdがデバイス層の上部にスパッタ堆積され、その後、2000Åのシリコンジオキサイドの硬質マスク層が堆積された。
【0103】
次に、このウェーハは、5μmのレジストでスピンコーティングされ、マスクを用いてパターン形成され、それにより、2つの互いに入り込んだ櫛が互いから分離され、それぞれが電気接点を作るのに好適なランディングパッドで終端する状態の、櫛形状の構造体が獲得された。次にこのパターンにおけるフォトレジストは、イオンミリングによりシリコンジオキサイドおよびパラジウムを除去するためのフォトマスクとして使用された。
【0104】
シリコンジオキサイド、フォトレジスト、およびPdの組み合わせが、フッ化物プラズマにおける深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)を使用してシリコンを除去するためのマスクとして使用された。DRIEは、マスク間隙におけるデバイス層を構成するシリコンが完全に除去され、オキサイド層上で停止するまで、実行された。使用されたオーバーエッチング時間は、トレンチフロアのシリコンのアイランドを除去するためにDRIE時間全体の10%であった。あらゆる上部フォトレジストが、アセトンにおいてストリップすることにより除去され、それによりDRIEにより互いから電気的に絶縁された2つの櫛が残された。
【0105】
引き続き、上部マスキングオキサイド層が、希釈(5:1)緩衝酸化物エッチング(BOE)溶液中で試料を1分間浸漬することにより、除去された。なお溶解時間は、トレンチの底部における絶縁オキサイド層がエッチングで完全に除去されないよう、調節された。
【0106】
分離されたアノード櫛およびカソード櫛を有する櫛構造体は、電流コレクタおよび電極の製作のための基部構造として基部構造体として使用された。
【0107】
2.アノード電流コレクタおよびアノード電極の製作
分離されたペアの櫛状構造体(以後、アノード基幹部櫛と呼称する)がパラジウム導体を通して電気的に接続され、銅メッキ槽内で浸漬された。銅メッキ槽条件は、堆積が、パラジウムおよびシリコン層の両方の上で生じて櫛構造体が構成され、それによりアノード電流コレクタとして機能するCu層が形成されるよう、調節された。
【0108】
他の櫛構造体(ここではカソード基幹部櫛と呼称される)が引き続き電気泳動レジスト槽内に浸漬された。市販の電気泳動レジスト槽が使用され(Shipley EAGLE)、櫛は、Pd導体を使用して50Vで120秒間にわたり電気泳動により堆積され、それによりレジストコーティングが形成された。ダイは120℃で30分間にわたり焼成され、それによりレジストが硬化された。
【0109】
次に、シリコン試料が蒸着チャンバ内に挿入され、20ÅのAuが試料表面上に堆積された。このAu堆積プロセスにより、ハニカム状構造の上部、その側壁部、および底部オキサイド層上に、Auが生成された。カソード基幹部櫛上に存在するフォトレジストにより、Auはアノード基幹部櫛構造体上の銅のみと接触した。シリコンバッキング層はこの時、接着テープマスクにより保護され、試料は15分にわたりアセトン内で浸漬され、それにより、電気泳動レジストと、電気泳動レジストの上部上に蒸着されたAuと、が除去された。これにより、Auナノクラスタはアノード基幹部櫛のみに対して分離された。
【0110】
次に、シリコンナノワイヤが、化学気相成長(CVD)によりアノード基幹部櫛構造体の上部上に成長された。試料はCVDチャンバ内に挿入され、550℃に加熱された。シランガスがチャンバ内に導入され、反応器圧力は10トールに保持された。堆積速度は毎時4μmであった。堆積は、20μmの目的ナノワイヤ肉厚までなされた。アノード基幹部櫛の上部上のこれらのナノワイヤは、リチウムイオン電池に対するアノードとして機能した。
【0111】
3.カソード電流コレクタおよびカソード電極の製作
次に、カソード基幹部櫛はパラジウム導体を通して電気的に接続され、金をパラジウムおよびシリコン層上にメッキし、それにより櫛構造体が構成されるよう、金電気メッキ槽内で浸漬された。カソード基幹部櫛を包囲するこのAu層はカソード電流コレクタとして機能した。
【0112】
カソード基幹部櫛はリチウムイオン電池のカソード物質で電気泳動により堆積された。電気泳動堆積溶液はアセトンの溶液中にカソード物質(LiCoO2)、15重量%のカーボンブラック、150ppmのヨウ素を含んだ。溶液混合物は、粒子を均一に分散させるために、終夜攪拌された。Pd接点パッドがカソード堆積のための電気接続部のための端子として使用された。Pt対電極が使用された。試料は3分間にわたり100Vの電圧で堆積され、それにより40μm肉厚のカソード構造体が堆積された。
【0113】
4.セパレータの製作
試料はスピンコーターに送られ、スピンコーターにおいて、ミクロ多孔性セパレータが電池上に加えられた。この場合におけるミクロ多孔性セパレータは、2体積パーセントのPVDF結合剤と、アセトン中に分散された微細ガラス粉末(2μm未満の直径)と、の組み合わせであった。このスラリーはダイ上にコーティングされ、過剰なスラリーは、セパレータ層を充填および平坦化するために、スピンオフされた。乾燥プロセスにより溶媒が蒸発し、微孔性セパレータ層が形成された。
【0114】
5.構造的層の除去
引き続き、ダイの上側部は、UV剥離ダイシングテープの助けにより犠牲ガラス基板に結合された。この構成は、従来のウェーハラッピング技法を使用してバッキングシリコン層を機械的に除去するために使用された。このラッピングプロセスは、バッキングウェーハが除去されて中間酸化層が露出されるまで、実行された。UV剥離が、犠牲ガラス基板から能動ダイを除去するために使用された。それにより後続の電流収集および包装プロセスのためにダイの準備が整った。
【0115】
実施例2:3D単一セルの製作
1.櫛構造体の製作
この実施例に対する櫛構造体は、実施例1で説明したように製作された。
【0116】
2.アノード電流コレクタおよびアノード電極の製作
分離されたペアの櫛状構造体(以後、アノード基幹部櫛と呼称する)がパラジウム導体を通して電気的に接続され、銅メッキ槽内で浸漬された。銅メッキ槽条件は、堆積が、パラジウムおよびシリコン層の両方の上で生じ、それにより櫛構造体が構成されるよう、調整された。このCu層はアノード電流コレクタとして機能した。
【0117】
アノード基幹部櫛は非水性電気泳動体積スラリーを使用して電気泳動により黒鉛粒子を櫛表面上に堆積するために使用された。堆積スラリーは、黒鉛粒子(メソカーボンマイクロビーズ、95重量%)と、電荷剤として25ppmのヨウ素とともにアセトン中に分散されたカーボンブラック(5重量%)と、からなった。電気泳動堆積は60μmの平均薄膜肉厚を堆積するために100Vで180秒にわたって白金対向電極を用いてなされた。
【0118】
3.カソード電流コレクタおよびカソード電極の製作
引き続き、カソード基幹部櫛層はパラジウム導体を通して電気的に接続され、金をパラジウムおよびシリコン層上にメッキし、それにより櫛構造体が構成されるよう、金メッキ槽内で浸漬された。カソード基幹部櫛を包囲するこのAu層はカソード電流コレクタとして機能した。
【0119】
アノード基幹部櫛はアノード電極とともに電気泳動レジスト槽内に浸漬された。市販の電気泳動レジスト槽が使用され(Shipley EAGLE)、櫛は、Pd/Cu導体を使用して75Vで180秒間にわたり電気泳動により堆積され、それによりレジストコーティングが形成された。ダイは120℃で30分間にわたり焼成され、それによりレジストが硬化された。
【0120】
引き続き、ダイは以下の組成のリチウムイオンカソード物質のスラリーでコーティングされた。リチウムコバルト酸化物80g、黒鉛5g、カーボンブラック5g、およびPDVF10gの全部が、1:2の体積比のN-メチルピロリドンおよび速乾溶媒としてのアセトン中で混合された。スラリーは乾燥され、溶媒は蒸発されて、伝導性カソード物質が残された。次に、この物質は、アノード櫛上に電気泳動により堆積されたレジストを露出するために、櫛表面にラッピングされた。このレジストは、セパレータ充填のための空隙を残すために、PGMEA内でストリッピングすることにより、除去された。
【0121】
4.セパレータの製作
セパレータは実施例1で説明したように製作された。
【0122】
5.構造的層の除去
構造的層は実施例1で説明したように除去された。
【0123】
実施例3:3D単一セルの製作
1.櫛構造体の製作
櫛構造体は、実施例1で説明したように準備された。
【0124】
2.アノード電流コレクタおよびアノード電極の製作
分離された櫛構造体(ここではカソード基幹部櫛と呼称される)の1つが電気泳動レジスト槽内に浸漬された。市販の電気泳動レジスト槽が使用され(Shipley EAGLE)、カソード基幹部櫛は、Pd導体を使用して50Vで120秒間にわたり電気泳動により堆積され、それによりレジストコーティングが形成された。ダイは120℃で30分間にわたり焼成され、それによりレジストが硬化された。
【0125】
次に、シリコン試料が蒸着チャンバ内に挿入され、100ÅのAuが試料表面上に堆積された。このAu堆積プロセスにより、櫛の上部、その側壁部、および底部オキサイド層上に、Auが生成された。しかし櫛上に存在するフォトレジストにより、Auは2つの櫛構造体のうちのただ1つの上のシリコンと接触した。シリコンバッキング層もこの時、接着テープマスクにより保護された。引き続きこの試料は、フッ化水素酸(49%)および過酸化水素(30%)の体積比で1:1の溶液中に30℃で浸漬され、それにより多孔性シリコン層が形成された。多孔性シリコンの深さはエッチング時間を変化させることにより調整された。多孔性シリコンの形成速度はおよそ750~1000nm/分であった。当該部分は除去され、30μmの目的細孔深さが到達されたとき、乾燥された。
【0126】
多孔性シリコンは、電気泳動レジストがその上部にパターン形成されなかった櫛セット上にのみ形成された。多孔性シリコンセットは、リチウムイオン電池内のアノードとしての使用に好適であった。引き続き、電気泳動レジストは15分にわたりアセトン中で除去された。
【0127】
引き続き、アノード基幹部櫛はパラジウム導体を通して電気的に接続され、非常に希薄な(10mM)硫酸銅および硫酸を含む銅メッキ槽内で浸漬された。銅メッキ槽条件は、堆積が、パラジウムおよび多孔性シリコンの両方の上で生じるよう、調整された。銅濃度は、銅堆積物が多孔性シリコンの外側層に沿って輸送制限(transport limited)され多孔性となるよう、低い値に保持された。このCu層は、その多孔性のためにイオン透過性も有するアノード電流コレクタとして機能し得る。しかしPd層上の銅は、アノードに対する2次的バシングコレクタ(bussing collector)として機能するために、肉厚がより大きく非多孔性であった。
【0128】
3.カソード電流コレクタおよびカソード電極の製作
カソード電流コレクタおよびカソード電極は、実施例2で説明したように準備された。
【0129】
4.セパレータの製作
セパレータは実施例2で説明したように準備された。
【0130】
5.構造的層の除去
構造的層は実施例2で説明したように除去された。
【0131】
実施例4:3D単一電池の製作
1.単一ダイの準備
実施例1~実施例3においてダイを処理するために使用された接点パッドは、ダイシングソーを使用するダイシングにより除去され、その一方で、アノードバスおよびカソードバスの接点は完全な状態のまま残された。ダイの縁部を覆いバス線に張り出すいかなるセパレータ物質も、電流コレクタ物質(アノードの場合にはCu、カソードの場合にはAu)を除去および露出するために、清掃された。
【0132】
2.タブ伸張体の接続:
タブ伸張部分は、電流コレクタの露出の後、アノードバスおよびカソードバスに接続された。金バス線が、市販の炭素接着剤(DAG-T-502)を使用してアルミニウムタブに接続された。炭素の薄層がタブ伸張部分上にコーティングされ、金バスの側部上に接着された。ニッケルタブ伸張部分が、同じく市販の炭素接着剤を使用して銅電流コレクタに接着された。接着剤は120℃で1時間にわたり焼成されて硬化された。タブ伸張部分は、パッケージから出るタブも含んだ。このタブ伸張部分は、曲げられて水平方向に平坦化され、パッケージされる準備が整った。
【0133】
電池のパッケージおよび電解質の充填:
2つのタブ伸張部分を有するダイが市販の電池ポーチパッケージ物質内に挿入された。ポーチ物質はタブを通してタブ側部上に密閉された。他の3つの側部のうちの1つは、電解質充填のためのポートを提供するために、開放状態で残された。真空が加えられ、1:1:3の比率のプロピレンカルボナート、エチレンカルボナート、およびエチルメチルカルボナートと、リチウムヘキサフルオロリン酸塩(1M)と、を含む従来の電解質が、グローブボックス内にある間にセルに加えられた。引き続き、ダイがグローブボックス内に入ったとき、ポーチの最後の側部も、湿気および酸素がポーチ内に侵入することと、
図12に示す概略図に対応する組み立てられたパッケージの電池寿命が喪失することと、を防ぐために密閉された。次に電池は市販の電池サイクラーを使用して充放電された。
【0134】
実施例5:3D単一電池の製作
1.単一ダイの準備
ダイの準備は実施例4におけるように実施された。
【0135】
2.タブ伸張体の接続:
タブ伸張部分は、電流コレクタの露出の後、アノードバスおよびカソードバスに接続された。アルミニウムタブ伸張部分(150μm肉厚)は、タブ伸張部分をバス線に良好に接着するために、バス線に沿って複数のスポットにおいてバス表面上に超音波溶接された。引き続き、200μmのニッケルタブ伸張部分が、抵抗溶接を使用して銅バス線に接続された。再び複数の接点が、タブ伸張部分をバス線に良好に接着するために、作られた。タブ伸張部分は、パッケージから出るタブも含んだ。このタブ伸張部分は、曲げられて水平方向に平坦化され(
図12に図示するように)、パッケージされる準備が整った。
【0136】
3.電池のパッケージおよび電解質の充填
電池のパッケージおよび電解質の充填は実施例4におけるように実施された。
【0137】
実施例6:3D単一電池の製作
1.単一ダイの準備
実施例1~実施例3においてダイを処理するために使用された接点パッドは、ダイシングソーを使用するダイシングにより除去された。加えてカソードバス接点およびアノードバス接点もダイシングされ、アノード基幹部の端部およびカソード基幹部の端部が側部上で露出された状態で残された。
【0138】
2.タブ伸張体の接続:
バス層への接続に代わってアノード基幹部およびカソード基幹部のそれぞれに直接的に接続されることを除き、タブ伸張部分は実施例4と同様に接続された。この場合、タブ伸張部分と、タブ伸張部分を接続するために使用された接着層と、は各電極に対するバシング層(bussing layer)としても機能した。
【0139】
3.電池のパッケージおよび電解質の充填
電池のパッケージおよび電解質の充填は実施例4におけるように実施された。
【0140】
実施例7:3D単一電池の製作
1.単一ダイの準備
単一ダイ準備プロセスは実施例6において説明したように実行された。
【0141】
2.バスの形成
アルミニウムの50μm肉厚の層が、ダイの上部および底部をマスキングし、溶射層がダイの断面のみに沿うことを確保した後に、カソード端部の側部上に溶射された。この溶射層は、露出された個々のカソード基幹部および電流コレクタのそれぞれに接触し、それらをバス接続した。それによりカソードバスが作られた。同様のプロセスがニッケル溶射でアノード側部において使用され、溶射アノードバスが作られた。
【0142】
3.タブ伸張体の接続:
接続が、溶射されたアノードバス層およびカソードバス層に対してなされたことを除き、タブ伸張部分は実施例4と同様に接続された。
【0143】
4.電池のパッケージおよび電解質の充填
電池のパッケージおよび電解質の充填は実施例4におけるように実施された。
【0144】
実施例8:3D単一電池の製作
1.単一ダイの準備
実施例6と同様の単一ダイ準備プロセスが実行された。
【0145】
2.バスの形成:
実施例7と同様のバス形成プロセスが実行された。
【0146】
3.タブの接続:
タブは溶射されたバス層(カソード上のAlおよびアノード上のNi)の上部に溶接された。タブは短い寸法の電池から直接的に出された。
【0147】
4.電池のパッケージおよび電解質の充填
電池のパッケージおよび電解質の充填は実施例4におけるように実施された。
【0148】
実施例9:3D積層電池の製作
1.単一ダイの準備
実施例7と同様の単一ダイ準備プロセスが、3つの異なるダイ上で別々に実行された点を除き、実行された。
【0149】
2.バスの形成:
アルミニウムバス層およびニッケルバス層をそれぞれカソード端部およびアノード端部に溶射堆積する以前に、ダイは互いの上部に垂直に積み重ねられた。溶射されたアルミニウムは、ダイの全部に対して単一カソードバスを作ることに加えて、ダイのそれぞれに対して電極バスを作った。同様に、溶射されたNiは全部のダイに対してアノードバスを作った。
【0150】
3.タブの接続:
タブは溶射されたバス層(カソード上のAlおよびアノード上のNi)の上部に溶接された。タブは短い寸法の電池から直接的に出された。
【0151】
4.電池のパッケージおよび電解質の充填
電池のパッケージおよび電解質の充填は実施例4におけるように実施された。
【0152】
実施例10:3Dの並べられた電池の製作
1.単一ダイの準備
単一ダイ準備プロセスが、3つの異なるダイ上で別々に実行された点を除き、実施例7におけるように実行された。
【0153】
2.バスの形成:
実施例7と同様の溶射によるバス形成が個々に全部のダイ上で行われた。
【0154】
3.タブ伸張体の接続:
タブ伸張部分が実施例7と同様の伝導性接着剤を用いて接続された。しかしダイは、ダイ間を単一タブ伸張部分により接続されて、カソードバス接点が互いに当接する状態で並べられた。
【0155】
4.電池のパッケージおよび電解質の充填
電池のパッケージおよび電解質の充填は実施例4におけるように実施された。
【0156】
上記を鑑みて、本発明のいくつかの目的が達成され、他の有利な結果が獲得されることが見られるであろう。
【0157】
本発明の、または本発明の好適な実施形態(単数または複数)の要素を導入するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」(前記)は1つまたは複数の当該要素の存在を意味することを意図する。「~を含む」、「~を包含する」、および「~を有する」という用語は、包含的であることを意図し、列挙された要素の他に追加的な要素が存在し得ることを意味するものである。
【0158】
本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更が上述の項目、組成、および方法においてなされることが可能であるため、上記の説明に含まれ、添付の図面で図示される全部の事項は例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきでないことが本明細書の意図するところである。