(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】アスファルト系遮水材及びアスファルト系遮水材の施工方法
(51)【国際特許分類】
E02B 3/16 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
E02B3/16 A
(21)【出願番号】P 2018213916
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 智弘
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-152241(JP,A)
【文献】特公昭46-019378(JP,B1)
【文献】特開2001-311004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト、石粉及び砂
だけから構成されるアスファルト系遮水材であって、
前記アスファルトは、針入度60~80のストレートアスファルトであり、
該ストレートアスファルトが、重量比で16%未満配合されてなることを特徴とするアスファルト系遮水材。
【請求項2】
請求項1に記載のアスファルト系遮水材を、水中の施工箇所に充填する施工方法であって、
該アスファルト系遮水材をブロック状に成形する成形工程と、
該成形工程後、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状のアスファルト系遮水材を水中の施工箇所に誘導して設置する設置工程と、
該設置工程後、潜水士による作業に依存することなく、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進させて、前記施工箇所に充填して遮水性を確保する変形充填工程と、
を含むことを特徴とするアスファルト系遮水材の施工方法。
【請求項3】
アスファルト、石粉及び砂を含むアスファルト系遮水材を、水中の施工箇所に充填する施工方法であって、
該アスファルト系遮水材をブロック状に成形する成形工程と、
該成形工程後、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状のアスファルト系遮水材を水中の施工箇所に誘導して設置する設置工程と、
該設置工程後、潜水士による作業に依存することなく、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進させて、前記施工箇所に充填して遮水性を確保する変形充填工程と、
を含み、
前記成形工程の後、前記設置工程の前段階において、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の表面に、生石灰を密封してなる生石灰密封袋を取り付けておき、
前記変形充填工程では、前記生石灰密封袋内に浸入した水との接触による生石灰の発熱反応を利用することで、前記ブロック状のアスファルト系遮水材を加熱してその変形を促進することを特徴とするアスファルト系遮水材の施工方法。
【請求項4】
アスファルト、石粉及び砂を含むアスファルト系遮水材を、水中の施工箇所に充填する施工方法であって、
該アスファルト系遮水材をブロック状に成形する成形工程と、
該成形工程後、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状のアスファルト系遮水材を水中の施工箇所に誘導して設置する設置工程と、
該設置工程後、潜水士による作業に依存することなく、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進させて、前記施工箇所に充填して遮水性を確保する変形充填工程と、
を含み、
前記変形充填工程では、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の上面に予め載置された錘により前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進することを特徴とするアスファルト系遮水材の施工方法。
【請求項5】
前記変形充填工程では、正面視形状が上辺長が底辺長よりも長い台形状、あるいは正面視にて、その上面及び下面が下方に凸する円弧状に成形された前記ブロック状のアスファ
ルト系遮水材の自重を利用して、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進することを特徴とする請求項2に記載のアスファルト系遮水材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋工学の分野において、大水深(例えば、水深20m以深)での遮水技術に適用するアスファルト系遮水材、及びアスファルト系遮水材の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、海洋の利用は、主に港湾施設(防波堤や岸壁、海上空港、洋上風力発電施設、管理型廃棄物海面処分場など)など、水深約20m以浅を対象に整備されるにとどまっていた。なお近年では、海底資源の採掘に向け、水深100m以深の深海での調査、開発が進められており、このような大水深での施工技術の開発が望まれている。
【0003】
このような水深20mを超える大水深に海底ドームや海上水力ダムを建設する場合には、施設内に海水が浸水しないように、構造部材間(例えば、基礎地盤と構造物側壁との取合部)を遮水する必要がある。水深20m以浅での従来の遮水材は、ゴムガスケット等のゴム材等が沈埋トンネルの継手部などに用いられる。しかしながら、水深20m以深の海域では、ゴム材では、海底における経年的に連続する小さな変位が積み重なった大変位や、地震時における瞬時の大変位に対して、必ずしも追従できるとは限らない。また、このような大規模構造物に採用される遮水材においては、メンテナンスフリーとなるような材料が望まれる。
【0004】
そこで、水深約20m以浅に築造される管理型海面処分場には、変形追随性遮水材として、アスファルトマスチック(アスファルト系遮水材)が採用されている。当該アスファルトマスチックは、ストレートアスファルト(針入度60~80)、石粉(75μm未満)及び砂(粒径2.5mm未満)を含む。例えば、このアスファルトマスチックは、合材工場にて温度150℃程度に加熱した状態で、ストレートアスファルト:石粉:砂の重量比(%)で20:30:50にて混合したものである。このストレートアスファルトの重量比は、港湾基準に定められたストレートアスファルトの重量比16%~20%の範囲内で最も多い配合(20%)である。また、このアスファルトマスチックは、40年程度経過しても劣化していないことが確認されている材料である。
【0005】
アスファルトマスチックの強度特性は、ストレートアスファルト量の減少や、温度の低下、変位速度が速くなるに伴い強度が増加する特徴がある。この強度発現は、主に配合される砂同士が変形時に次々と接触することで、徐々にせん断摩擦力が増加するためと考えられる。このように、アスファルトマスチックは、変位とともに強度が増加する材料である。そのために、上述したように、ストレートアスファルトが重量比20%で混合された配合では、比較的アスファルト分が多く、砂分が少ないため、比較的強度を発現せずに変形に対する追従性に富むことが知られている。しかしながら、低速度での変形においては、アスファルト中を砂が滑らかに移動・変位するために、砂同士が摩擦する機会が少なくなり、強度が発現しにくい。そのため、一方向の荷重が、アスファルトマスチックに隣接する構造物に作用し、アスファルトマスチックがゆっくりと大きく変形した場合、その反力(受ける荷重に対応できる強度)を十分に発揮することができない懸念がある。
【0006】
また、従来の、上述したアスファルトマスチックの施工方法は次のようになる。すなわち、アスファルトマスチックは、合材工場にて上述した配合にて製造される。続いて、合材工場から施工箇所までの運搬時に冷めて流動性の低下したアスファルトマスチックを、施工場所の気中部にて再加熱して流動性を高めた状態とする。続いて、この流動性を高めたアスファルトマスチックを、一定の保温が可能な打設バケット(例えば容量4m3のバケット)に移し替える。続いて、この打設バケットをクレーンにて海水中の所定の施工箇所近傍まで誘導して吊り下ろす。続いて、海水中において、潜水士が打設バケットの底開レバーを操作することで、流動化したアスファルトマスチックを、打設バケットの底部より流出させて所定の施工箇所に充填する。この作業を繰り返すことで、一定体積のアスファルトマスチックを打設し、連続した遮水体を構築している(特許文献1参照)。なお、この作業を行う潜水士は、アスファルトマスチックの打設管理の教育を受けた者であることが必要となっている。
【0007】
しかしながら、この従来の施工方法による、アスファルトマスチックの、水深20m以深への打設作業(充填作業)は、潜水士の潜水深度が深く、また潜水時間が短くなることにより、作業効率が悪化するとともに、潜水士が潜水病になる危険度が高くなる。すなわち、水中での作業を潜水士が行う場合、水深に応じて減圧管理を行う必要がある。そこで、減圧停止(潜水作業により体内に溶解した窒素を、安全に体外へ排出するために水中にて待機する時間を設けること)せずに、水中作業を行うことができる時間は、例えば、水深10m以浅の潜水であれば約6時間までは可能であるが、水深15mでは約100分、水深21mでは50分、水深30mでは25分となっている。
【0008】
このように、水深が深くなるとともに潜水士の水中での作業時間が短くなるために、同じ水中作業内容であっても、水深が深くなるにつれて、同じ潜水士数での作業進捗(作業効率)は低下する。この対策として潜水士の数を増加させて、作業中に潜水士を入れ替えていくことで同じ工程での作業進捗を確保することができるが、作業効率の悪化は避けられず、コストアップの要因となる。ところで、水深40m以深の作業では、呼吸のために特殊なガス(ヘリウム混合ガス)を使用したり、さらに水深が深くなる場合(例えば100m)は飽和潜水を行う場合がある。これらの作業は危険を伴うことがあるため、特別な教育・訓練された潜水士が必要となり、そのコストも高額となる。このように水深20m以深の大水深での水中作業は、潜水士に依存することなく、機械化(無人化)することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、水深20m以深の水圧が大きく作用する場所においては、従来の、比較的多くのストレートアスファルトを含んだアスファルトマスチックでは、変形しやすく、その強度不足が懸念される。しかも、アスファルトマスチックの、水深20m以深の打設作業(充填作業)は、潜水士による潜水深度が深く、また潜水時間が短いことにより、作業効率が悪化するとともに、潜水士の危険度が高くなる。そのために、水深20m以深の大水深での水中作業は、潜水士に依存することなく、機械化が必要になってくる。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、水深20m以深の施工箇所に充填する場合でも、その環境に対応可能な強度を有するアスファルト系遮水材、及び水深20m以深の施工箇所に、潜水士の作業に依存することなく充填可能なアスファルト系遮水材の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段として、アスファルト系遮水材に係る発明は、アスファルト、石粉及び砂だけから構成されるアスファルト系遮水材であって、前記アスファルトは、針入度60~80のストレートアスファルトであり、該ストレートアスファルトが、重量比で16%未満配合されてなることを特徴とするものである(請求項1の発明に相当)。
【0016】
また、第1のアスファルト系遮水材の施工方法に係る発明は、前記アスファルト系遮水材を、水中の施工箇所に充填する施工方法であって、該アスファルト系遮水材をブロック状に成形する成形工程と、該成形工程後、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状のアスファルト系遮水材を水中の施工箇所に誘導して設置する設置工程と、該設置工程後、潜水士による作業に依存することなく、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進させて、前記施工箇所に充填して遮水性を確保する変形充填工程と、を含むことを特徴とするものである(請求項2の発明に相当)。
第2のアスファルト系遮水材の施工方法に係る発明は、アスファルト、石粉及び砂を含むアスファルト系遮水材を、水中の施工箇所に充填する施工方法であって、該アスファルト系遮水材をブロック状に成形する成形工程と、該成形工程後、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状のアスファルト系遮水材を水中の施工箇所に誘導して設置する設置工程と、該設置工程後、潜水士による作業に依存することなく、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進させて、前記施工箇所に充填して遮水性を確保する変形充填工程と、を含み、前記成形工程の後、前記設置工程の前段階において、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の表面に、生石灰を密封してなる生石灰密封袋を取り付けておき、前記変形充填工程では、前記生石灰密封袋内に浸入した水との接触による生石灰の発熱反応を利用することで、前記ブロック状のアスファルト系遮水材を加熱してその変形を促進することを特徴とするものである(請求項3の発明に相当)。
第3のアスファルト系遮水材の施工方法に係る発明は、アスファルト、石粉及び砂を含むアスファルト系遮水材を、水中の施工箇所に充填する施工方法であって、該アスファルト系遮水材をブロック状に成形する成形工程と、該成形工程後、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状のアスファルト系遮水材を水中の施工箇所に誘導して設置する設置工程と、該設置工程後、潜水士による作業に依存することなく、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進させて、前記施工箇所に充填して遮水性を確保する変形充填工程と、を含み、前記変形充填工程では、前記ブロック状のアスファルト系遮水材の上面に予め載置された錘により前記ブロック状のアスファルト系遮水材の変形を促進することを特徴とするものである(請求項4の発明に相当)。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るアスファルト系遮水材によれば、水深20m以深の施工箇所であっても、その環境に対応可能な強度を有することができる。すなわち、本発明に係るアスファルト系遮水材によれば、構造物の僅かな変位を許容しつつ追従して遮水性を確保しつつ、構造物から受ける荷重に対してその反力を十分に発揮(付与)することができる。また、本発明に係るアスファルト系遮水材の施工方法によれば、水深20m以深の施工箇所であっても、潜水士の作業に依存することなく、施工箇所にアスファルト系遮水材を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工場所の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工場所の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工場所の一例を示す概略図であり、(b)は、
図3(a)のA部拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材を型枠内に充填する様子を示す概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材を型枠から離脱させる様子を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材に吊り金具が一体化された斜視図である。
【
図7】
図7は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第1実施形態を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第1実施形態を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材を施工方法における変形充填工程の第2実施形態を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第2実施形態を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第3実施形態を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第3実施形態を説明するための図である。
【
図13】
図13は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第4実施形態を説明するための図である。
【
図14】
図14は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第5実施形態を説明するための図である。
【
図15】
図15は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第5実施形態を説明するための図である。
【
図16】
図16は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第6実施形態を説明するための図である。
【
図17】
図17は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第6実施形態を説明するための図である。
【
図18】
図18は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第6実施形態を説明するための図である。
【
図19】
図19は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第7実施形態を説明するための図である。
【
図20】
図20は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第7実施形態を説明するための図である。
【
図21】
図21は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材の施工方法における変形充填工程の第8実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を
図1~
図21に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の第1実施形態に係るアスファルト系遮水材1Aを説明する。当該第1実施形態に係るアスファルト系遮水材1Aは、ストレートアスファルト、石粉及び砂を含む。ストレートアスファルトは、針入度60~80である。石粉は、その粒径が75μm未満である。砂は、その粒径が2.5mm未満である。
そして、第1実施形態に係るアスファルト系遮水材1Aの配合比(重量%)では、針入度60~80のストレートアスファルトが16%未満に設定される。
例えば、具体的な配合比(重量%)として、針入度60~80のストレートアスファルト:石粉:砂=12:18:70である。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態に係るアスファルト系遮水材1Bを説明する。当該第2実施形態に係るアスファルト系遮水材1Bは、ストレートアスファルト、石粉及び砂を含む。ストレートアスファルトは、針入度40~60もしくは20~40である。石粉は、その粒径が75μm未満である。砂は、その粒径が2.5mm未満である。
そして、第2実施形態に係るアスファルト系遮水材1Bにおいて、例えば、配合比(重量%)として、針入度40~60もしくは20~40のストレートアスファルト:石粉:砂=8~20:12~30:50~80である。
【0021】
さらに詳しくは、第1の配合比(重量%)として、針入度40~60もしくは20~40のストレートアスファルト:石粉:砂=20:30:50である。
第2の配合比(重量%)として、針入度40~60もしくは20~40のストレートアスファルト:石粉:砂=16:24:60である。
第3の配合比(重量%)として、針入度40~60もしくは20~40のストレートアスファルト:石粉:砂=12:18:70である。
第4の配合比(重量%)として、針入度40~60もしくは20~40のストレートアスファルト:石粉:砂=8:12:80である。
【0022】
次に、本発明の第3実施形態に係るアスファルト系遮水材1Cを説明する。当該第3実施形態に係るアスファルト系遮水材1Cは、ストレートアスファルト、石粉及び砂を含む。ストレートアスファルトは、針入度60~80である。石粉は、その粒径が75μm未満である。砂は、その粒径が2.5~5.0mmである。
そして、第3実施形態に係るアスファルト系遮水材1Cにおいて、例えば、第1の配合比(重量%)として、針入度60~80のストレートアスファルト:石粉:砂=16:24:60である。
第2の配合比(重量%)として、針入度60~80のストレートアスファルト:石粉:砂=12:18:70である。
【0023】
第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1Dは、ブローンアスファルト、石粉及び砂を含む。ブローンアスファルトは、針入度20~40である。石粉は、その粒径が75μm未満である。砂は、その粒径が2.5mm未満である。
そして、第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1Dにおいて、例えば、第1の配合比(重量%)として、針入度20~40のブローンアスファルト:石粉:砂=16:24:60である。
第2の配合比(重量%)として、針入度20~40のブローンアスファルト:石粉:砂=12:18:70である。
【0024】
上述した第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1D(以下、本アスファルト系遮水材1A~1Dという)は、例えば、
図1~
図3に示すような施工箇所に充填される。すなわち、本アスファルト系遮水材1A~1Dは、
図1及び
図2に示すように、例えば、水深20m以深に築造した海上水力ダム10の下部側壁に充填される。すなわち、当該海上水力ダム10は、
図1に示すように、海底に設けた多数の捨石にて構成される捨石マウンド14上にケーソン等の構造物11が築造される。そして、当該構造物11の下部側壁面と、ブロック等で構成される型枠構造物12との間に、本アスファルト系遮水材1A~1Dが充填される。
【0025】
また、
図2に示すように、海上水力ダム10であって、海底に設置凹部17を設け、該設置凹部17の底面に多数の捨石にて構成される捨石マウンド14が築造され、その捨石マウンド14上にケーソン等の構造物11が築造される場合には、設置凹部17内の、構造物11の下部側壁面と設置凹部17の内壁面との間に、本アスファルト系遮水材1A~1Dが充填される。さらに、
図3に示すように、例えば、水深20m以深に海底ドーム20を建設する際には、例えば海底に環状に延びる環状凹部22が形成される。ドーム本体20Aの周端部20Bが環状凹部22の底面に設置され、環状凹部22内であって、ドーム本体20Aの周端部20Bを、ドーム本体20Aの外側及び内側から挟み込むように、本アスファルト系遮水材1A~1Dが充填される。
【0026】
そして、上述した、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1Dでは、従来のアスファルト系遮水材、すなわち、その配合比(重量%)が、針入度60~80のストレートアスファルト:石粉:砂=20:30:50である従来のアスファルト系遮水材よりも高い強度を有することができる。これにより、上述した施工箇所、すなわち施工箇所が約水深20m以深であって、遮水材の片側が気中部となる構造物の遮水材に利用される場合、従来の配合であれば、大きな水圧により変形が続き必要となる遮水層厚が欠損して確保できなくなる懸念があるが、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1Dにおいては、強度の観点から、大きな水圧においても初期の変位にのみ遮水材が変形し施工箇所が充填され、それ以上の変形に対しては、ストレートアスファルトの粘性増加により、本アスファルト系遮水材1A~1Dの液圧(パスカル圧的な応力)が大きくなることに加え、砂の摩擦抵抗が増大することにより当該本アスファルト系遮水材1A~1Dからの反力(強度)が大きくなる。その結果、充填された形状からの変形が抑制される。その上、この本アスファルト系遮水材1A~1Dは、施工後に生じる構造物の変位に対して追随することが可能となる。すなわち、本アスファルト系遮水材1A~1Dでは、大水深の環境に対応することができ、メンテナンスフリーを実現することができる。このような強度特性を有する配合の本アスファルト系遮水材1A~1Dを提供することができる。
【0027】
要するに、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1Dでは、その施工箇所が水深20m以深であっても、構造物11、12の変位を許容して追随できその遮水性を確保しつつ、構造物11、12から受ける変形荷重や構造物内外水頭差により生じる水圧に対して十分な反力を発揮することができる。
【0028】
そして、本アスファルト系遮水材1A~1Dを、上述した施工箇所(
図1~
図3参照)に充填する施工方法を、
図4~
図21に基づいて説明する。
まず、成形工程として、本アスファルト系遮水材1A~1Dを、合材工場内、あるいは施工場所などの陸上ヤードにて、加熱して流動性を高めた状態として、
図4に示すように、型枠20等の内部に充填して、時間経過後、気温相当まで冷却して固化することでブロック状に成形する。なお、剥離材などを型枠20の内面に塗るもしくは貼って、離型し易くしたほうが好ましい。また、本アスファルト系遮水材1A~1Dを、例えば、ブロック状に成形する際には、
図10を参照して、施工箇所(例えば構造物11、12間)の設置面積よりもその底面の面積を小さくして、その分、施工箇所に充填時の体積と同じ体積になるようにその高さを高くする。続いて、
図5に示すように、型枠20をブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dから取り除く。その結果、本アスファルト系遮水材1A~1Dは、転置可能なブロック状に成形される。なお、本アスファルト系遮水材1A~1Dは、その基本的な形状は上述したブロック状であるが、後述する変形充填工程における実施形態に基づいて、その変形充填工程に対応する形状に成形される。
【0029】
続いて、設置工程を実施する。すなわち、当該設置工程では、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを、それに一体的に連結された、例えば、本アスファルト系遮水材1A~1Dを成形する際一体成形された吊り金具26(
図6参照)により吊り上げ運搬して、上述した施工箇所(
図1~
図3参照)に誘導して設置する。なお、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの水中における誘導は、クレーン位置のGPS測量(図示略)やトランスポンダー(図示略)等の技術を利用して、また施工箇所への設置は自動玉外し装置(図示略)等を利用する。このように、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを施工箇所に設置する際の、この設置工程では、潜水士による設置作業は必要ない。
【0030】
続いて、変形充填工程を実施する。当該変形充填工程では、潜水士による作業に依存することなく、例えば、
図1に示す施工箇所としての構造物11、12間に設置されたブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを変形しやすい、すなわちその変形を促進する形態にすることで、施工箇所の構造物11、12間に隙間なく密着させるように充填して遮水性を確保するようにしている。その具体的な実施形態を以下に説明する。
まず、変形充填工程における第1の実施形態を
図7及び
図8に基づいて説明する。当該第1の実施形態では、成形工程の後で、設置工程の前段階において、合材工場、または施工場所の陸上ヤードにて、
図7に示すように、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの底面に生石灰密封袋27を取り付けておく。当該生石灰密封袋27は、生石灰(酸化カルシウム)を内部に密封して構成される。そして、設置工程において、生石灰密封袋27を取り付けた状態で本アスファルト系遮水材1A~1Dを、例えば、
図8(a)に示す施工箇所の構造物11、12間に設置する。すると、その後の変形充填工程において、本アスファルト系遮水材1A~1Dの自重により生石灰密封袋27が潰れ、施工箇所の設置面からの突起等により、その底面が破れることで、その箇所から内部に水が浸入する。
【0031】
その後、生石灰密封袋27内に浸入した水との接触による生石灰(酸化カルシウム)の発熱反応により、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱される。その結果、施工箇所(例えば構造物11、12間)に設置されたブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱されて変形しやすい状態になる。そして、
図8(b)に示すように、当該本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その変形により、例えば、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。
【0032】
次に、変形充填工程における第2の実施形態を
図9及び
図10説明する。当該第2の実施形態では、成形工程の後で、設置工程の前段階において、合材工場、または施工場所の陸上ヤードにて、
図9に示すように、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの底面に生石灰密封袋27を取り付けておく。また設置工程の直前で、ブロック状のアスファルト系アスファルト1A~1Dを吊り金具26を介して吊り上げた際、穿孔具32を本アスファルト系遮水材1A~1Dから吊り下げる。穿孔具32は、画鋲等に類似した形状であって、円形状の頭部から針が突設されて構成される。穿孔具32を吊り下げる際には、その針が生石灰密封袋27を向くように、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dから吊り下げる。そして、設置工程にて、
図10(a)に示すように、生石灰密封袋27及び穿孔具32を取り付けた状態で本アスファルト系遮水材1A~1Dを、例えば、
図10(a)に示す施工箇所の構造物11、12間に設置する。
【0033】
すると、その後の変形充填工程において、穿孔具32の針により生石灰密封袋27の底面が穿孔されることで、その孔から内部に水が浸入する。その後、生石灰密封袋27内に浸入した水との接触による生石灰(酸化カルシウム)の発熱反応により、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱される。その結果、施工箇所(例えば構造物11、12間)に設置されたブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱されて変形しやすい状態になる。そして、
図10(b)に示すように、当該本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その変形により、例えば、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。
【0034】
次に、変形充填工程における第3の実施形態を
図11及び
図12に基づいて説明する。当該第3の実施形態では、生石灰密封袋27の底面(施工箇所の設置面に当接する面)に、設置工程の後、本アスファルト系遮水材1A~1Dの自重により生石灰密封袋27が容易に破れるように弱化線34を設けておく。この弱化線34は、生石灰密封袋27の底面に、ミシン目のような多数の切り込みを長手方向に沿って形成して構成される。なお、弱化線34を間隔を置いて複数本設けてもよい。これにより、設置工程時、
図12(a)に示すように、本アスファルト系遮水材1A~1Dを施工箇所(例えば構造物11、12間)に設置すると、その後の変形充填工程において、その自重により生石灰密封袋27が潰れて、該生石灰密封袋27が弱化線34に沿って破れることで、その内部に水が浸入する。
【0035】
その後、生石灰密封袋27内に浸入した水との接触による生石灰(酸化カルシウム)の発熱反応により、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱して変形しやすい状態になる。そして、
図12(b)に示すように、当該本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その変形により、例えば、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。なお、この実施形態では、正面視における、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの幅長をLとして、生石灰密封袋27の外周長をL’とすると、2L>L’となるように、生石灰密封袋27の外周長L’を設定するほうが好ましい。この結果、本アスファルト系遮水材1A~1Dの自重により生石灰密封袋27が潰れて、該生石灰密封袋27が弱化線34に沿って破れた際、生石灰(酸化カルシウム)の発熱反応が、本アスファルト系遮水材1A~1Dの底面から外方に逃げることなく、底面全域に効果的に行き渡るようになる。
【0036】
次に、変形充填工程における第4の実施形態を
図13に基づいて説明する。第4の実施形態においては、成形工程時、または設置工程の前段階において、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの内部、またはその表面に複数の熱電対28を一体化しておく。なお、熱電対28から延びるケーブル(電線)29は、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの上面から上方に延びるようにしておく、これにより、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを、施工箇所(例えば構造物11、12間)に設置する際、ケーブル29が、隣接する構造物11、12等に干渉するのを防ぐことができる。そして、設置工程後の変形充填工程において、海上にて、本アスファルト系遮水材1A~1D内の各熱電対28にケーブル29を介して通電することで、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱されて変形しやすい状態になる。そして、当該本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その変形により、例えば、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。なお、この実施形態の場合には、水中部において漏電・漏熱が起きないように、被覆したケーブル29を用いるようにする。
【0037】
次に、変形充填工程における第5の実施形態を
図14及び
図15に基づいて説明する。当該第5の実施形態では、設置工程の直前、すなわち、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを吊り金具26を介して吊り上げる直前に、
図14に示すように、当該本アスファルト系遮水材1A~1Dの上面に、略矩形状の金属製板材やコンクリート製板材等の錘36を載置する。その後、設置工程において、
図15(a)に示すように、この錘36と共に本アスファルト遮水材1A~1Dを吊り金具26を介して吊り上げて、施工箇所(例えば構造物11、12間)に設置する。すると、その後の変形充填工程において、
図15(b)に示すように、錘36により、本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その上下方向の高さが低くなるように変形することで、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。なお、この錘36は、その短手方向長さ(幅長)が設置工程前のブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの短手方向長さ(幅長)よりも長く、その長手方向長さがブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの長手方向長さよりも長く形成されている。その結果、この錘36により、変形充填工程において、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを局所的ではなく、略均一に上下方向の高さが低くなるように変形させることができる。
【0038】
次に、変形充填工程における第6の実施形態を
図16~
図18に基づいて説明する。当該第6の実施形態では、成形工程時に、
図16及び
図18に示すように、本アスファルト系遮水材1A~1Dを、その正面視形状を上辺長が底辺長より長い台形状で、且つその側面視形状を平行四辺形状とするブロック状に成形する。そして、設置工程において、
図17(a)に示すように、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを、施工場所(例えば構造物11、12間)に設置する。すると、その後の変形充填工程において、
図17(b)に示すように、本アスファルト系遮水材1A~1Dがその上下方向の高さが低くなるように自重変形することで、例えば、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。さらに、設置工程時、本アスファルト系遮水材1A~1Dを長手方向に沿って直列に配置する際には、
図18に示すように、隣接する本アスファルト系遮水材1A~1Dを長手方向に沿って互いにオーバラップするように配置する。すると設置工程後の変形充填工程において、本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その上下方向の高さが低くなるように自重変形することで、隣接する本アスファルト系遮水材1A~1Dの端部が互いに密着するようになる。
【0039】
次に、変形充填工程における第7の実施形態を
図19及び
図20に基づいて説明する。当該第7の実施形態では、成形工程時に、
図19に示すように、本アスファルト系遮水材1A~1Dを、正面視にて、その上面及び底面が下方に凸する円弧状に形成され、且つ側面視形状を平行四辺形状とするブロック状に成形する。正面視において、この円弧状の底面及び上面の周長L’は、例えば、施工箇所の、例えば構造物11、12の間の距離Lに設定される。そして、設置工程において、
図20(a)に示すように、このブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを施工場所(例えば構造物11、12間)に設置する。すると、その後の変形充填工程において、
図20(b)に示すように、本アスファルト系遮水材1A~1Dが、正面視でその両側の上下方向の高さが低くなりつつ、全体の上下方向の高さが低くなるように自重変形することで、例えば、施工箇所の構造物11、12間に密着されて、遮水性を確保することができる。さらに、第6実施形態と同様に、設置工程時、本アスファルト系遮水材1A~1Dを長手方向に沿って直列に配置する際には、隣接する本アスファルト系遮水材1A~1Dを長手方向に沿って互いにオーバラップするように配置する。その結果、本アスファルト系遮水材1A~1Dが、その上下方向の高さが低くなるように自重変形することで、隣接する本アスファルト系遮水材1A~1Dの端部が互いに密着するようになる。
【0040】
なお、上述した、変形充填工程の第1~第7の実施形態を適宜組み合わせて採用することもできる。例えば、変形充填工程の第8の実施形態として、
図21に示すように、第7の実施形態にて採用した、
図19に示す、正面視において、その上面及び底面が下方に凸する円弧状に形成されるブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを採用して、このブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの底面及び上面に、第1~第3の実施形態にて採用した、
図7、
図9及び
図11に示す生石灰密封袋27、27をそれぞれ取り付け、さらに、この上側の生石灰密封袋27上に、第5の実施形態にて採用した、
図14に示す錘36を載置するように構成する。
【0041】
そして、設置工程において、このブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを、施工場所(例えば構造物11、12間)に設置する。すると、その後の変形充填工程において、本アスファルト系遮水材1A~1Dが、錘36によりその上下方向の高さが低くなるように変形すると共に上下に配置した各生石灰密封袋27、27がそれぞれ潰れて破れ、各生石灰密封袋27、27の内部に水が浸入して生石灰の発熱反応により、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dが加熱される。そして、錘36、及び生石灰の発熱反応による加熱により、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの変形が促進されて、本アスファルト系遮水材1A~1Dが、施工箇所の構造物11、12間に確実に密着されて、遮水性を確保することができる。
【0042】
以上説明した、本アスファルト系遮水材1A~1Dの施工方法では、成形工程において、本アスファルト系遮水材1A~1Dをブロック状に成形する。続いて、設置工程において、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dを、潜水士による作業に依存することなく、例えば
図1に示す施工箇所に設置する。続いて、変形充填工程において、潜水士による作業に依存することなく、ブロック状の本アスファルト系遮水材1A~1Dの変形を促進させて、当該施工箇所(隙間等)に密着するように充填することができる。このように本施工方法では、基本的には潜水士による作業を伴わないことから安全性が向上する。しかも、施工上の不確実さが軽減されるために、精度の高い工程計画が立案可能になり、工程通りの施工を実現することができる。
【0043】
なお、本実施形態に係る施工方法は、上述した第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1Dを施工箇所に充填する方法として説明したが、配合比(重量%)として、針入度60~80のストレートアスファルト:石粉:砂=20:30:50である、従来のアスファルト系遮水材を含む、他の配合比で製造されたアスファルト系遮水材を、施工箇所に充填する際にも適用することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る施工方法は、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1Dを含むアスファルト系遮水材を、水深20m以深の施工箇所に充填する施工方法として説明したが、当然ではあるが、第1~第4実施形態に係るアスファルト系遮水材1A~1Dを含むアスファルト系遮水材を、水深20m以浅の施工箇所に充填する方法として採用することも可能である。
【符号の説明】
【0045】
1A、1B、1C、1D アスファルト系遮水材,27 生石灰密封袋,36 錘