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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】消防ホース用継手
(51)【国際特許分類】
   A62C 33/00 20060101AFI20230825BHJP
   F16L 27/08 20060101ALI20230825BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A62C33/00 C
F16L27/08 Z
F16L33/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019016495
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020121069
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】509190598
【氏名又は名称】寧波瀛震机械部件有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 博己
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/211573(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0102794(US,A1)
【文献】特開平06-109177(JP,A)
【文献】特開2006-129971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00-99/00
F16L 27/08,33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
前記ベアリングボールが、周方向に偶数個、等間隔に収容されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の消防ホース用継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消防ホースに直接接続されるか或いは消防ホースに連結された受け口側を介して接続される消防ホース用継手に関する。
【背景技術】
【0002】
消防ホースのホース継手構造は各種存在するが、従来より一般に用いられている代表的な機構として、雄継手の一部に設けられた雄ねじと雌継手の一部に設けられた雌ねじとを螺合することによってホース同士を連結するねじ式継手や、雄継手を雌継手に単に差し込むことによってホース同士をワンタッチで連結する差込式(町野式:登録商標)継手等がある。ここで、ホースを使用する際に生じる問題点として、ホースの捻れがある。特に、継手装置を用いることによって複数本のホースを連結すると、ホース全体の長さが長くなり、ホースに捻れがより一層生じやすくなる。
【0003】
ホースが捻れると、水流が円滑でなくなるだけではなく、内部を流れる水流によって継手に回転力が掛かりホース同士の連結が不所望に解除されてしまう可能性がある。また、ホースが暴れたり跳ね回ったりすることもあり、付近にいる人や物に危害や損害を与えてしまうおそれがある。さらに、ホースの捻れによってホース先端の放水銃に回転力が生じることがあるが、これは放水銃を持つ消防士にとって操作しにくいだけでなく、大きな回転衝撃が加わるならば非常に危険でもある。
【0004】
そこで、雄継手を雌継手に嵌入することにより両者が連結され、内部に連続した流路が形成される消防ホース継手装置であって、軸方向内部を貫通する雄側内部流路が形成され一端側に雄側ホース取付部を備えた雄継手本体の他端側に雄側連結機構を有する雄継手、および、軸方向内部を貫通する雌側内部流路が形成され一端側に雌側ホース取付部を備えた雌継手本体の他端側に雌側連結機構を有する雌継手と、から成り、上記雄側連結機構が上記雄継手本体に対して回転自在に設けられ、または/および上記雌側連結機構が上記雌継手本体に対して回転自在に設けられた消防ホース同士を連結するための継手装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
上記に係る消防ホース継手装置によれば、ホース同士を確実に、且つ、迅速に連結することが可能な差込式継手において、雄側連結機構が雄継手本体に対して回転自在に設けられ、または/および雌側連結機構が雌継手本体に対して回転自在に設けられているため、雄継手と雌継手は相互が回転自在となるように連結される。このため、ホースに捻れが生じても、自然と捻れが解消し、先端の放水銃を保持する消防士に回転衝撃が加わることがなく、安全に、そして安定して使用することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-129971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の消防ホース継手装置では、雄側連結機構が雄継手本体に対して回転自在に設けられるようにするため、雄継手本体の他端の径方向外側に、軸方向に所定の幅を有する円環状の係合部材が雄継手本体に対してベアリングボールを介することにより回転自在に設置されているが、図10に示すように、ベアリングボールは、雄継手本体の外周面に沿って、円環状の係合部材との間に略隙間なく挿入されていることから、継手の組立て時には非常に多くのベアリングボールを順に入れていく必要があり、製造効率に影響を及ぼすものであった。またベアリングボールの収容部は摺動による消耗が激しい部分であるにもかかわらず、従来の継手は収容ボールの取出しや再組立てが容易ではなく、修理、メンテナンスにも手間がかかるものであった。
【0008】
本発明は、内管と外管との間に挿入されるベアリングボールの数を低減することで、継手の組立て時に多数のベアリングボールを順に入れていく必要がなく、製造効率を向上させ、また収容したベアリングボールの取出しや再組立てが比較的容易であり、修理、メンテナンスに比較的手間がかからない消防ホース用継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る消防ホース用継手は、内管の繋ぎ部と外管の繋ぎ部とが内外で互いに重ね合わされ、この繋ぎ部の重ね合わせ区間にまたがって周方向に複数個の収容空間が形成され、各収容空間に収容されたベアリングボールによって、内管と外管とが自由回転可能に組み合わされた消防ホース用継手であって、前記各収容空間は、共通する一つの軸断面(軸方向位置)において外管の繋ぎ部の重ね合わせ区間を径方向に貫通する貫通孔と、貫通孔の上部を塞ぐ閉塞体とによって形成され、前記各収容空間に前記ベアリングボールが一つずつ収容されることを特徴とする。
【0010】
上記のように構成することで、内管と外管との間に挿入されるベアリングボールの数を低減することができ、継手の組立て時に多数のベアリングボールを順に入れていく必要がなく、製造効率を向上させ、また収容したベアリングボールの取出しや再組立てが比較的容易であり、修理、メンテナンスに比較的手間がかからない。
【0011】
本発明の請求項2に係る消防ホース用継手は、内管の繋ぎ部であって前記重ね合わせ区間に、収容空間の下部を構成する周溝が形成され、この周溝は、少なくとも溝底の曲率が、ベアリングボールの曲率と同じかそれよりも大きい(ベアリングボールの半径以上の曲率半径)曲面からなることを特徴とする。
【0012】
上記のように構成することでベアリングボールが周溝内で安定して転動する。特に、溝底の曲率を大きい曲率とした場合は、ベアリングボールが周溝の底部を接点として接するとともに、接点の周囲(軸方向前後)に循環油の収容空間が隣接形成されるため、安定した転動が可能となる。
【0013】
本発明の請求項3に係る消防ホース用継手は、内管の繋ぎ部であって前記重ね合わせ区間に、収容空間の下部を構成する周溝が形成され、この周溝は、少なくとも溝底の曲率が、ベアリングボールの曲率と同じかそれよりも小さい(ベアリングボールの半径以下の曲率半径)曲面からなることを特徴とする。
【0014】
上記のように構成することで、ベアリングボールの摩耗を低減することができる。特に、溝底の曲率を小さい曲率とした場合は、ベアリングボールが周溝の内周面と複数個所で接することになるためベアリングボールに印加される力が複数ある接点で分散され、ベアリングボールの一点に力が集中せずに、ベアリングボールの摩耗を低減することができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る消防ホース用継手は、前記周溝の溝深さは前記ベアリングボールの半径と同じかそれ以下であることを特徴とする。
【0016】
上記のように構成することで、貫通孔下縁ではなく孔側面でベアリングボールが接するため、貫通孔下縁の摩耗を防ぐことができる。
【0017】
本発明の請求項5に係る消防ホース用継手は、前記周溝の溝深さはベアリングボールの半径と同じかそれ以上であることを特徴とする。
【0018】
上記のように構成することで、閉塞体とともに貫通孔下縁部でベアリングボールを上方から(すなわち複数点で)抑えることとなるため、ベアリングボールが一定位置で安定して転動する。
【0019】
本発明の請求項6に係る消防ホース用継手は、前記ベアリングボールが、周方向に偶数個、等間隔に収容されてなることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、周方向に偶数個、等間隔に収容されてなるので、ベアリングボールの数が少なくても、内管と外管とがスムーズに自由回転する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、継手の組立て時に多数のベアリングボールを順に入れていく必要がなく、製造効率を向上させ、また収容したベアリングボールの取出しや再組立てが比較的容易であり、修理、メンテナンスに比較的手間がかからない消防ホース用継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施例1に係る消防ホース用継手の半断面図である。
図2図1のa-a部分拡大図である。
図3図2のb-b部分拡大図である。
図4】実施例1に係る消防ホース用継手の分解状態の半断面図である。
図5図4のc-c断面図である。
図6】実施例2に係る消防ホース用継手の半断面図である。
図7図6のd-d部分拡大図である。
図8図7のf-f部分拡大図である。
図9図6のe-e断面図である。
図10】従来の自在回転継手の半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態例について、実施例として示す各図とともに説明する。なお各用語に続けて記載する文字列、アルファベット又は文字とアルファベットの組合せは、図面を参照して実施例の構成を理解するために便宜的に付した符号であり、これにより構成の内容を限定するものではない。
【0024】
(第1実施例)
図1は、実施例1に係る消防ホース用継手の半断面図である。図2は、図1のa-aでの部分拡大図である。図3は、図2のb-bでの部分拡大図である。図4は、実施例1に係る消防ホース用継手の分解状態の半断面図である。図5は、図4のc-cでの断面図である。以下、図1から図5を参照して実施例1に係る消防ホース用継手1について説明する。
【0025】
第1実施例に係る消防ホース用継手1(以下、たんに消防ホース用継手1ともいう)は、内管2の繋ぎ部21と外管3の繋ぎ部31とが内外で互いに重ね合わされ、この繋ぎ部21,31の重ね合わせ区間にまたがって周方向に複数個の収容空間4が形成され、各収容空間4に収容されたベアリングボールBによって、内管2と外管3とが自由回転可能に組み合わされている。各収容空間4は、共通する一つの軸断面において外管3の繋ぎ部の重ね合わせ区間を径方向に貫通する貫通孔40と、貫通孔40の上部を塞ぐ閉塞体41(イモネジ)とによって形成されている。そして、各収容空間40には、ベアリングボールBが一つずつ収容されている。
【0026】
より具体的には、消防ホース用継手1は、受け口を有する消防継手の受け金具内に一端側を差し込まれて接続可能な内管2と、内管2の他端側の外周面に沿って、回転自在に嵌め込み固定される外管3とを備える。また、消防ホース用継手1は、外管3の嵌め込み固定側とは反対側の他端側の先側は、外周に連続段差を有して消防ホースを外周接続可能なホース接続管構造(いわゆる、たけのこ管)が一体形成されてなる。また、第1実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の繋ぎ部21と、これに嵌め込まれる外管3の繋ぎ部31との間に、上記複数個のベアリングボールBを有する。また、複数個(本実施形態では5個)のベアリングボールBは、周方向に等間隔に収容されてなる(図5参照)。なお、3個以上のベアリングボールBが周方向に等間隔に収容されてなればよい。
【0027】
そして、内管2の繋ぎ部21を外管3の繋ぎ部31に嵌め込んだ後、外管3の繋ぎ部31に設けられた各貫通孔40内へ一つずつベアリングボールBを投入した後、各貫通孔40を閉塞体41(イモネジ)で塞ぐことにより、内管2の繋ぎ部21の外周面と、外管3の繋ぎ部31の内周面との間、換言すると繋ぎ部21,31の重ね合わせ区間に沿って複数個のベアリングボールBが狭設される。
【0028】
閉塞体41(イモネジ)の上端には、角穴410が設けられている。また、外管3の嵌め込み部分(繋ぎ部31)の外周面には、周方向に沿って区間溝31Dが設けられており、上述のように各貫通孔40内へ一つずつベアリングボールBを投入した後、各貫通孔40を閉塞体41(イモネジ)で塞いた後、この区間溝31Dを保護リング33(保護ラベル)で覆うことにより、閉塞体41(イモネジ)の緩みや抜けを防止又は抑制することができる。
【0029】
さらに、第1実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の繋ぎ部21の外周面と、外管3の繋ぎ部31の内周面には、複数個のベアリングボールBを挟むようにして管周面に沿って一対のリング溝22,32がそれぞれ設けられており、各リング溝22、32には、それぞれOリングG2、G3(ガスケット)が嵌め込まれている。
【0030】
なお、内管2と外管3との繋ぎ部21の重ね合わせ区間において、外側に設けられている溝をリング溝22、内側に設けられている溝をリング溝32とする。また、複数個のベアリングボールBを挟むようにして管周面に沿って一対のリング溝22,32がそれぞれ設けられており、とは、消防ホース用継手1の管体軸方向(長手方向)に沿って、複数個のベアリングボールBを挟むようにして一対のOリングG2,G3を有しているとの意である。
【0031】
また、消防ホース用継手1が備える内管2の一端側の先部は、管先端が拡径した拡径端部25を有する短管からなり、管外周に消防継手の受け金具を取り外すリリースリング24が、管長方向に沿って回転枠2の嵌め込み部分から拡径端部25までをスライド可能に嵌め込まれてなる。リリースリング24は、回転枠2の管外周の外径よりも少し内径の大きなリング状部材24aと
、このリング状部材24aの端部に外周方向に立設してなる押し輪24bとが一体成形されてなる。
【0032】
消防ホース用継手1は、内管2がマチノ式継手(不図示)に差し込まれ、マチノ式継手の係止爪が内管2の先部に設けられた管先端が拡径した拡径端部25の端面に当接することで、消防ホース用継手1がマチノ式継手に接続される。消防ホース用継手1をマチノ式継手から取り外す(リリースする)際には、リリースリング24の押し輪24bに手を当接させてリリースリング24を拡径端部25までスライドさせることで、マチノ式継手の係止爪が押し上げられて、マチノ式継手から消防ホース用継手1がリリースされる。
【0033】
また、消防ホース用継手1には、内管2の繋ぎ部21であって重ね合わせ区間に、収容空間4の下部を構成する周溝42が形成されているが、この周溝42は、少なくとも溝底42Bの曲率が、ベアリングボールBの曲率と同じかそれよりも大きい曲面からなる(図3参照)。また、周溝42の溝深さ42Dは、ベアリングボールBの半径BRよりも深くなっている。このため、ベアリングボールBは、接点BT1からBT4において、それぞれ閉塞体41(イモネジ)の下端面、貫通孔下縁40E(孔縁角部)及び周溝42の底部42Bと接することとなり、周溝42の側部42Sとの間に空間が形成される。つまり、これら接点の周囲(軸方向前後)に循環油の収容空間4が隣接形成されるため、安定した転動が可能となる。また、ベアリングボールBは、複数点で接することとなり、ベアリングボールに印加される力が複数ある接点で分散される。
【0034】
以上のように、本実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の繋ぎ部21と外管3の繋ぎ部31とが内外で互いに重ね合わされ、この繋ぎ部21の重ね合わせ区間にまたがって周方向に複数個の収容空間4が形成されている。そして、各収容空間4に収容されたベアリングボールBによって、内管2と外管3とが自由回転可能に組み合わされた消防ホース用継手である。各収容空間4は、共通する一つの軸断面(軸方向位置)において外管3の繋ぎ部31の重ね合わせ区間を径方向に貫通する貫通孔40と、貫通孔40の上部を塞ぐ閉塞体41とによって形成され、各収容空間40にベアリングボールBが一つずつ収容されている。このため、内管2と外管3との間に挿入されるベアリングボールBの数を低減することができ、消防ホース用継手1の組立て時に多数のベアリングボールBを順に入れていく必要がなく、製造効率を向上させ、また収容したベアリングボールBの取出しや再組立てが比較的容易であり、修理、メンテナンスに比較的手間がかからないという利点がある。
【0035】
また、本実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の繋ぎ部21であって重ね合わせ区間に、収容空間4の下部を構成する周溝42が形成され、この周溝42は、少なくとも溝底42Bの曲率が、ベアリングボールBの曲率と同じかそれよりも大きい(ベアリングボールBの半径以上の曲率半径)曲面からなる。このため、ベアリングボールBが周溝42内で安定して転動する。特に、溝底42Bの曲率を大きい曲率とした場合は、ベアリングボールBが周溝42の底部42Bを接点として接するとともに、接点の周囲(軸方向前後)に循環油の収容空間が隣接形成されるため、安定した転動が可能となる。
【0036】
なお、本実施例に係る消防ホース用継手1において、収容空間4の下部を構成する周溝42の溝底42Bの曲率をベアリングボールBの曲率と同じかそれよりも小さい(ベアリングボールBの半径以下の曲率半径)曲面からなるようにしてもよい。このように構成した場合、ベアリングボールBの摩耗を低減することができる。特に、溝底42Bの曲率を小さい曲率とした場合は、ベアリングボールBが周溝42の内周面(周溝の側部42S及び底部42B)と複数個所で接することになるためベアリングボールBに印加される力が複数ある接点で分散され、ベアリングボールBの一点に力が集中せずに、ベアリングボールの摩耗を低減することができる。
【0037】
また、本実施例に係る消防ホース用継手1は、周溝42の溝深さ42DはベアリングボールBの半径BRと同じかそれ以上である。このため、閉塞体41とともに貫通孔40下縁部でベアリングボールBを上方から(すなわち複数点で)抑えることとなるため、ベアリングボールBが一定位置で安定して転動する。
【0038】
また、本実施例に係る消防ホース用継手1は、ベアリングボールBが、周方向に偶数個、等間隔に収容されている。このため、ベアリングボールBの数が少なくても、内管2と外管3とがスムーズに自由回転する。
【0039】
(第2実施例)
図6は、実施例2に係る消防ホース用継手1の半断面図である。図7は、図6のd-dでの部分拡大図である。図8は、図7のf-fでの部分拡大図である。図9は、図6のe-eでの断面図である。以下、図6から図9を参照して実施例2に係る消防ホース用継手1について説明するが、図1から図5を参照して説明した実施例1に係る消防ホース用継手1と同様の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0040】
第2実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の消防継手の受け金具との接続構造が、図1図5を参照して説明した第1実施例に係る消防ホース用継手1と異なる。具体的には、内管2の消防継手の受け金具との接続構造が、図1図5を参照して説明した第1実施例に係る消防ホース用継手1のようなマチノ式継手ではなく、ネジ接続により消防継手の受け金具に接続される構造となっている。このため、図6に示すように、第2実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の一端側の外周面に螺子溝が設けられた雄螺子溝部G1を有してなる。
【0041】
また、消防ホース用継手1には、内管2の繋ぎ部21であって重ね合わせ区間に、収容空間4の下部を構成する周溝42が形成されているが、この周溝42は、少なくとも溝底42Bの曲率が、ベアリングボールBの曲率と同じかそれよりも大きい曲面からなる(図8参照)。また、周溝42の溝深さ42Dは、周溝42の溝深さ42DはベアリングボールBの半径BR以下となっている。このため、貫通孔4下縁ではなく孔側面でベアリングボールBが接するため、貫通孔下縁の摩耗を防ぐことができる。
【0042】
なお、本実施例に係る消防ホース用継手1は、第1実施例に係る消防ホース用継手1と同様に、内管2の繋ぎ部21と、これに嵌め込まれる外管3の繋ぎ部31との間に、上記複数個のベアリングボールBを有する。そして、図9に示すように、4個のベアリングボールBが、周方向に等間隔に収容されてなるが、第1実施例に係る消防ホース用継手1と同様に、5個のベアリングボールBが、周方向に等間隔に収容されてなるように構成してもよい。なお、3個以上のベアリングボールBが周方向に等間隔に収容されてなればよい。
【0043】
以上のように、本実施例に係る消防ホース用継手1は、周溝42の溝深さ42DはベアリングボールBの半径BRと同じかそれ以下である。このため、貫通孔4下縁ではなく孔側面でベアリングボールBが接するため、貫通孔下縁の摩耗を防ぐことができる。
【0044】
なお、第1実施例に係る消防ホース用継手1と同様に、本実施例に係る消防ホース用継手1においても、収容空間4の下部を構成する周溝42の溝底42Bの曲率をベアリングボールBの曲率と同じかそれよりも小さい(ベアリングボールBの半径以下の曲率半径)曲面からなるようにしてもよい。効果は、第1実施例に係る消防ホース用継手1において、収容空間4の下部を構成する周溝42の溝底42Bの曲率をベアリングボールBの曲率と同じかそれよりも小さい曲面からなるようにした場合と同様である。
【0045】
(その他の実施例)
本発明のいくつかの実施例を説明したが、各実施例に示した構成、各種条件に限定されることはなく、これらの実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0046】
例えば、第1,第2実施例に係る消防ホース用継手1は、内管2の他端側の外周面に沿って、外管3が回転自在に嵌め込み固定されている(外管3内に内管2内が差し込み固定されている)が、内管2の他端側の内周面に沿って、外管3が回転自在に嵌め込み固定される(内管2内に外管3が差し込み固定されている)ようにしてもよい。
【0047】
また、第1,第2実施例に係る消防ホース用継手1のOリングG2,G3を設ける位置は、種々のバリエーションが考えられる。例えば、内管2の外周面にOリングG3のリング溝を有し、外管3の内周面に外側のOリングG2のリング溝を有するように構成してもよく、外管3の内周面に一対のOリングG2,G3のリング溝を有するようにしてもよく、内管2の外周面に一対のOリングG2,G3のリング溝を有するようにしてもよい。
【0048】
また、第1,第2実施例に係る消防ホース用継手1は、外管3の嵌め込み固定側とは反対側の他端側の先側は、外周に連続段差を有して消防ホースを外周接続可能なホース接続管構造(たけのこ管)が一体形成されているが、内管2の一端側の先部に、消防用ホースが接続されるホース接続構造(たけのこ管)を有し、外管3を、消防継手の受け金具内に一端側を差し込まれて接続可能としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 消防ホース用継手
2 内管
21 繋ぎ部
21T 内テーパー部
22 リング溝
2T 面取り部
24 リリースリング
25 拡径端部
3 外管
31 繋ぎ部
31D 区間溝
32 リング溝
33 保護リング(保護ラベル)
34 突合せ面(段付き面)
4 収容空間
40 貫通孔
41 閉塞体(イモネジ)
410 角穴
41T 頭頂部
42 周溝
42B 周溝の底部
42S 周溝の側部
42D 周溝の溝深さ
40E 貫通孔下縁(孔縁角部)
40S ストレート部(ネジなし部)
B ベアリングボール
BR ベアリングボールの半径
BT1,BT2,BT3,BT4
接点
G2,G3 Oリング(ガスケット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10