(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】開閉ゲートの収納構造及び開閉ゲートの収納方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/06 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
E04H6/06 B
(21)【出願番号】P 2019108798
(22)【出願日】2019-06-11
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】712005920
【氏名又は名称】新明和パークテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹嶋 英樹
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-248767(JP,A)
【文献】特開2001-207667(JP,A)
【文献】特開平10-169228(JP,A)
【文献】特開2015-193990(JP,A)
【文献】特開平05-025948(JP,A)
【文献】特開2015-074940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を入出庫するための少なくとも1つの入出庫位置と、該入出庫位置よりも低い地下空間に収容される地下収容パレットを含む複数のパレットと、前記入出庫位置毎にその前面側に設けられた開閉ゲートと、を含む駐車装置における、前記開閉ゲートを前記地下空間に収納するための構造であって、
前記地下空間において前記開閉ゲートの側方向両側を支えると共に、前記開閉ゲートの昇降移動をガイドするように、前記開閉ゲートの側方向端部毎に別個に設けられた複数のゲート支柱を含み、
該複数のゲート支柱は、各々の延在方向と直交する断面形状が、前記開閉ゲート側に開口したチャネル状を成すと共に、前記地下空間の両側面側の壁と該壁の各々に最も近いゲート支柱との間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間が
、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保されて
おり、
前記駐車装置が、側方向に隣接する少なくとも2つの前記入出庫位置を含み、
異なる前記開閉ゲートを案内するように隣接して設置された2本の前記ゲート支柱間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間が、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保されており、
前記複数のゲート支柱の各々の前記断面形状における前記チャネル状の端部に、前記開閉ゲートの一部が係合することで、前記ゲート支柱の各々により前記開閉ゲートの端部が案内支持されることを特徴とする開閉ゲートの収納構造。
【請求項2】
前記地下空間の前面側の壁から突出するように設けられ、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを含むことを特徴とする請求項
1記載の開閉ゲートの収納構造。
【請求項3】
前記地下空間の前面側の壁から突出するように設けられ、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを含み、
該複数のブラケットに、前記隣接して設置された2本のゲート支柱の下端を同時に支えると共に、平面視で前記2本のゲート支柱間の隙間に対応する位置に切欠きが設けられた、中間部用ブラケットが含まれることを特徴とする請求項
1記載の開閉ゲートの収納構造。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項記載の開閉ゲートの収納構造と、前記少なくとも1つの入出庫位置と、前記複数のパレットと、前記開閉ゲートと、を含むことを特徴とする駐車装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記隙間に、前記地下空間に設けられた釜場から排水を行うための配管が設置されていることを特徴とする請求項
4記載の駐車装置。
【請求項6】
車両を入出庫するための少なくとも1つの入出庫位置と、該入出庫位置よりも低い地下空間に収容される地下収容パレットを含む複数のパレットと、前記入出庫位置毎にその前面側に設けられた開閉ゲートと、を含む駐車装置における、前記開閉ゲートを前記地下空間に収納するための方法であって、
前記地下空間において前記開閉ゲートの側方向両側を支えると共に、前記開閉ゲートの昇降移動をガイドするように、複数のゲート支柱を前記開閉ゲートの側方向端部毎に別個に設置し、
前記複数のゲート支柱の、各々の延在方向と直交する断面形状を、前記開閉ゲート側に開口したチャネル状に形成すると共に、前記地下空間の両側面側の壁と該壁の各々に最も近いゲート支柱との間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間を
、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保し
、
前記駐車装置が、側方向に隣接する少なくとも2つの前記入出庫位置を含み、
異なる前記開閉ゲートを案内するように隣接して設置した2本の前記ゲート支柱間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間を、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保し、
前記複数のゲート支柱の各々の前記断面形状における前記チャネル状の端部に、前記開閉ゲートの一部を係合させることで、前記ゲート支柱の各々により前記開閉ゲートの端部を案内支持することを特徴とする開閉ゲートの収納方法。
【請求項7】
前記地下空間の前面側の壁から突出するようにして、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを設けることを特徴とする請求項
6記載の開閉ゲートの収納方法。
【請求項8】
前記地下空間の前面側の壁から突出するようにして、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを設け、
該複数のブラケットとして、前記隣接して設置した2本のゲート支柱の下端を同時に支えると共に、平面視で前記2本のゲート支柱間の隙間に対応する位置に切欠きを設けた、中間部用ブラケットを設置することを特徴とする請求項
6記載の開閉ゲートの収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車装置に設けられた開閉ゲートを地下空間に収納するための、開閉ゲートの収納構造及び開閉ゲートの収納方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両を格納する複数のパレットに、地下空間に収容されるパレットが含まれている駐車装置には、通常、地下空間に溜まる水を一時的に貯水する釜場が設けられている(例えば特許文献1参照)。このような釜場からは、常時又は定期的に排水を行う必要があり、そのためにポンプに接続された配管が、地下空間を構成する壁に沿って、釜場から上方へと延びている。
一方、
図9には、地下空間に収容されるパレットを含む駐車装置の一例を示している。
図9に図示された駐車装置100は、連動して昇降する上下2段のパレット82、84を含む連動パレット機構80が、側方向(図中左右方向)に3列設けられた、2段3連基の所謂ピット式の駐車装置であり、下段のパレット84の各々が地下空間Uに収容される。なお、
図9では、上述した釜場や配管の図示を省略している。
【0003】
連動パレット機構80の各々は、パレット82、84に対する車両の入出庫が行われる入出庫位置86を、地下空間Uの直上に備えている。
図9には、図中左側の連動パレット機構80において下段のパレット84が入出庫位置86にあり、残り2つの連動パレット機構80において上段のパレット82が入出庫位置86にある状態が図示されている。又、駐車装置100は、各連動パレット機構80の入出庫位置86の前面側に、開閉ゲート74を有している。これらの開閉ゲート74は、常時は
図9に示す位置にあって、駐車装置100内への侵入を防止し、車両の入出庫が行われる場合のみ、各々の開閉ゲート74が独立して地下空間Uに収納される。すなわち、開閉ゲート74の各々は、地下空間Uに設けられた2本のゲート支柱104の間で昇降可能に支持されており、開状態でその全体が地下空間Uに収納される。
【0004】
複数(
図9の例では図示されない1本を含む4本)のゲート支柱104は、各々の延在方向(図中上下方向)と直交する断面形状がH状を成す、所謂H形鋼で構成されており、H状の開口が開閉ゲート74側(図中左右両側)へ向くように、地下空間Uの底面から立設されている。4本のゲート支柱104のうち、最も左側のゲート支柱104と図示されていない最も右側のゲート支柱104とは、H状の2つの開口側の一方のみが開閉ゲート74を案内支持するように利用され、それらの間の残り2本のゲート支柱104は、H状の2つの開口側の双方が、異なる開閉ゲート74を案内支持するように利用される。なお、入出庫位置86の前面側で開閉ゲート74の両側に位置する支柱88の各々は、開閉ゲート74を支持するためのものではなく、非収納状態の開閉ゲート74間の隙間を塞ぐと共に、センサや操作盤等の設置場所として利用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、地下空間Uを利用した従来の駐車装置には、
図9に示したような開閉ゲート74が設置されていないものもあり、このような駐車装置では、上述したように釜場から上方へ延びる配管が、地下空間Uの前面側の壁に沿って設置されている場合が多い。このため、そのような駐車装置に対して、
図9に示したような開閉ゲート74を増設する場合、地下空間Uの前面側の壁に沿って立ち上がる配管が干渉してしまい、開閉ゲート74を案内支持するゲート支柱104を、地下空間Uに設置できないことがある。これに対して、配管の位置を変更することを考慮すると、より大がかりな工事が必要になり、コストや手間がかかることとなってしまう。又、ゲート支柱104を地上側に設けることも考えられるが、この場合は地上の構造物に影響を与える虞があると共に、地下空間Uの上にゲート支柱104を支える強度を確保する必要があるため、現実的ではない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、地下空間の構造物に干渉することなく開閉ゲートを設置することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0009】
(1)車両を入出庫するための少なくとも1つの入出庫位置と、該入出庫位置よりも低い地下空間に収容される地下収容パレットを含む複数のパレットと、前記入出庫位置毎にその前面側に設けられた開閉ゲートと、を含む駐車装置における、前記開閉ゲートを前記地下空間に収納するための構造であって、前記地下空間において前記開閉ゲートの側方向両側を支えると共に、前記開閉ゲートの昇降移動をガイドするように、前記開閉ゲートの側方向端部毎に別個に設けられた複数のゲート支柱を含み、該複数のゲート支柱は、各々の延在方向と直交する断面形状が、前記開閉ゲート側に開口したチャネル状を成すと共に、前記地下空間の両側面側の壁と該壁の各々に最も近いゲート支柱との間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間が、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保されている開閉ゲートの収納構造。
【0010】
本項に記載の開閉ゲートの収納構造は、駐車装置が備える入出庫位置毎に具備される開閉ゲートを、地下空間に収納するためのものであり、開閉ゲートの側方向端部毎に別個に地下空間に設けられた、複数のゲート支柱を含んでいる。すなわち、これらのゲート支柱は、例えば、入出庫位置を1つ備える駐車装置においては、1つの開閉ゲートの側方向端部毎に設置される合計で2本、入出庫位置を3つ備える駐車装置においては、3つの開閉ゲートの側方向端部毎に設置される合計で6本といったように、開閉ゲート毎に2本1組の数量で設置される。更に、これらのゲート支柱は、通常は平面視で略矩形に設けられる地下空間において車両の出庫方向を前方向とした場合に、地下空間の前面側の壁に沿って側方向に並べられて配置されることになる。
【0011】
又、ゲート支柱の各々は、地下空間において開閉ゲートの側方向の何れか一方、換言すれば、同じ組のゲート支柱2本で開閉ゲートの側方向両側を支えると共に、開閉ゲートの昇降移動をガイドするように設けられる。このために、複数のゲート支柱は、各々の延在方向と直交する断面形状が、開閉ゲート側に開口したチャネル状を成しており、同じ開閉ゲートを支える2本のゲート支柱同士で、チャネル状の開口が向き合う態様となる。そして、地下空間の両側面側の壁と、これらの壁の各々に最も近いゲート支柱との間に、ゲート支柱の全長にわたる隙間が確保されているものである。すなわち、上述したように地下空間において側方向に並べて配置された複数のゲート支柱のうち、地下空間の一方の側面側の壁に最も近いゲート支柱とその壁との間、及び、地下空間のもう一方の側面側の壁に最も近いゲート支柱とその壁との間に、各ゲート支柱の全長にわたる隙間が確保されている。壁との間に隙間が確保されたこれら2本のゲート支柱の各々は、断面チャネル状の開口側と反対側が、隙間を挟んで各壁に対向した状態となる。
【0012】
上記のような構成により、本項に記載の開閉ゲートの収納構造は、地下空間の平面視で前面側の2つの隅の近傍に、例えば配管のような壁に沿って上下方向に延在する構造物が設けられている場合でも、その構造物がゲート支柱と壁との間に確保される隙間に位置するように、ゲート支柱が設置される。このため、地下空間の構造物に干渉することなく、地下空間にゲート支柱が設置されるものとなり、上記のような構造物を地下空間に有する駐車装置に対して開閉ゲートを増設する場合であっても、問題なく開閉ゲートが設置されるものとなる。更に、ゲート支柱と壁との間に確保された隙間は、予め地下空間に設置された構造物のみではなく、事後的に設置される構造物の設置スペースとしても利用されるため、限られた地下空間のスペースが有効利用されて様々な構造物が設置されるものとなる。
【0013】
(2)上記(1)項において、前記駐車装置が、側方向に隣接する少なくとも2つの前記入出庫位置を含み、異なる前記開閉ゲートを案内するように隣接して設置された2本の前記ゲート支柱間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間が、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保されており、前記複数のゲート支柱の各々の前記断面形状における前記チャネル状の端部に、前記開閉ゲートの一部が係合することで、前記ゲート支柱の各々により前記開閉ゲートの端部が案内支持される開閉ゲートの収納構造(請求項1)。
本項に記載の開閉ゲートの収納構造は、側方向に隣接する少なくとも2つの入出庫位置を含む駐車装置、すなわち、隣接する少なくとも2つの開閉ゲートを備える駐車装置に対して適用されるものである。このため、開閉ゲートの側方向端部毎に別個に設けられるゲート支柱は、少なくとも2組の合計で4本設けられることになり、これら複数のゲート支柱には、隣接する2つの開閉ゲート毎にそれらの間に設置され、断面チャネル状の開口側と反対側が互いに対向した、隣接する2本のゲート支柱が含まれている。そして、このように異なる開閉ゲートを案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱間に、ゲート支柱の全長にわたる隙間が確保されているものである。これにより、地下空間の両側面側の壁とそれらの壁の各々に最も近いゲート支柱との間に確保された隙間に加えて、隣接する2本のゲート支柱の間に確保された隙間も、例えば配管のような地下空間の前面側の壁に沿って上下方向に延在する構造物の設置スペースとして利用されるものとなる。従って、地下空間に開閉ゲートを収納する構造でありながら、地下空間に対するより多くの構造物の設置に対応するものとなる。更に、複数のゲート支柱の各々の、その断面形状におけるチャネル状の端部に、開閉ゲートの一部が係合することで、ゲート支柱の各々により開閉ゲートの端部が案内支持されるようになっている。
【0014】
(3)上記(2)項において、前記地下空間の前面側の壁から突出するように設けられ、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを含む開閉ゲートの収納構造(請求項2)。
本項に記載の開閉ゲートの収納構造は、複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを含み、これら複数のブラケットが、地下空間の前面側の壁から突出するように設けられたものである。すなわち、上記(1)項に記載したように、複数のゲート支柱は、地下空間の前面側の壁に沿って側方向に並べられて配置されるため、前面側の壁のこれらのゲート支柱に対応した位置に、例えば壁に対して略直交する角度で複数のブラケットが突設される。そして、ブラケットの上にゲート支柱が立設されることで、地下空間の底面にゲート支柱の支持構造を構築する必要なく、ゲート支柱が設置されるものとなる。このため、ゲート支柱の直下に、例えば釜場等のゲート支柱の支持構造を構築することが困難な構造物が位置するような地下空間であっても、そのような構造物に干渉せずに問題なく、開閉ゲートの収納構造が設置されるものである。
【0015】
(4)上記(2)項において、前記地下空間の前面側の壁から突出するように設けられ、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを含み、該複数のブラケットに、前記隣接して設置された2本のゲート支柱の下端を同時に支えると共に、平面視で前記2本のゲート支柱間の隙間に対応する位置に切欠きが設けられた、中間部用ブラケットが含まれる開閉ゲートの収納構造(請求項3)。
本項に記載の開閉ゲートの収納構造は、上記(3)項に記載したものと同様の複数のブラケットを含むと共に、これら複数のブラケットに中間部用ブラケットが含まれるものである。中間部用ブラケットは、複数のゲート支柱のうち、異なる開閉ゲートを案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱の下端を、同時に支える構造のものである。
【0016】
これに対し、地下空間の一方の側面の壁に最も近いゲート支柱の下端を支えるブラケット、及び、それと反対側の側面の壁に最も近いゲート支柱の下端を支えるブラケットの双方は、夫々、1本のゲート支柱の下端を支えるものである。更に、中間部用ブラケットは、地下空間の前面側の壁に突設された状態の平面視で、隣接する2本のゲート支柱間に確保された隙間に対応する位置に、切欠きが設けられている。このため、2本のゲート支柱間の隙間に設置される配管等の構造物は、ゲート支柱の下端よりも下方において、中間部用ブラケットに設けられた切欠きを通ることになる。従って、このような構造物に干渉することなく、2本のゲート支柱の下端を同時に支えることで、部品点数の削減に寄与するものとなる。
【0017】
(5)上記(2)から(4)項のいずれか1項記載の開閉ゲートの収納構造と、前記少なくとも1つの入出庫位置と、前記複数のパレットと、前記開閉ゲートと、を含む駐車装置(請求項4)。
本項に記載の駐車装置は、上記(2)から(4)項のいずれか1項記載の開閉ゲートの収納構造と、車両を入出庫するための少なくとも1つの入出庫位置と、地下空間に収容される地下収容パレットを含む複数のパレットと、入出庫位置毎にその前面側に設けられた開閉ゲートと、を含むものである。これにより、上記(2)から(4)項の開閉ゲートの収納構造と同様の作用を奏し、地下空間を有する駐車装置としての付加価値が向上されるものである。
【0018】
(6)上記(5)項において、少なくとも1つの前記隙間に、前記地下空間に設けられた釜場から排水を行うための配管が設置されている駐車装置(請求項5)。
本項に記載の駐車装置は、上記(1)項や(2)項に記載したような隙間の少なくとも1つに、地下空間に設けられた釜場から排水を行うための配管が設置されたものである。すなわち、そのような隙間には、地下空間の両側面側の壁とこれらの壁の各々に最も近いゲート支柱との間に確保された隙間が含まれ、更に、駐車装置が2つ以上の開閉ゲートを具備する場合は、異なる開閉ゲートを案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱間に確保された隙間も含まれる。このような隙間の少なくとも1つに、排水のために釜場から上方へ延びる配管が設置されることで、従来構造では地下空間の前面側の壁に沿って設置されることが多い配管に干渉することなく、開閉ゲートが地下空間に収納されるものである。これにより、本項に記載の駐車装置は、開閉ゲートを備えない従来構造の駐車装置に対して開閉ゲートが増設されたものとして、対応するものともなる。
【0019】
(7)車両を入出庫するための少なくとも1つの入出庫位置と、該入出庫位置よりも低い地下空間に収容される地下収容パレットを含む複数のパレットと、前記入出庫位置毎にその前面側に設けられた開閉ゲートと、を含む駐車装置における、前記開閉ゲートを前記地下空間に収納するための方法であって、前記地下空間において前記開閉ゲートの側方向両側を支えると共に、前記開閉ゲートの昇降移動をガイドするように、複数のゲート支柱を前記開閉ゲートの側方向端部毎に別個に設置し、前記複数のゲート支柱の、各々の延在方向と直交する断面形状を、前記開閉ゲート側に開口したチャネル状に形成すると共に、前記地下空間の両側面側の壁と該壁の各々に最も近いゲート支柱との間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間を、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保した開閉ゲートの収納方法。
【0020】
(8)上記(7)項において、前記駐車装置が、側方向に隣接する少なくとも2つの前記入出庫位置を含み、異なる前記開閉ゲートを案内するように隣接して設置した2本の前記ゲート支柱間に、該ゲート支柱の全長にわたる隙間を、前記地下空間の壁に沿って上下方向に延在する構造物を位置させるために確保し、前記複数のゲート支柱の各々の前記断面形状における前記チャネル状の端部に、前記開閉ゲートの一部を係合させることで、前記ゲート支柱の各々により前記開閉ゲートの端部を案内支持する開閉ゲートの収納方法(請求項6)。
(9)上記(8)項において、前記地下空間の前面側の壁から突出するようにして、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを設ける開閉ゲートの収納方法(請求項7)。
【0021】
(10)上記(8)項において、前記地下空間の前面側の壁から突出するようにして、前記複数のゲート支柱の下端を支える複数のブラケットを設け、該複数のブラケットとして、前記隣接して設置した2本のゲート支柱の下端を同時に支えると共に、平面視で前記2本のゲート支柱間の隙間に対応する位置に切欠きを設けた、中間部用ブラケットを設置する開閉ゲートの収納方法(請求項8)。
そして、(7)項から(10)項に記載の開閉ゲートの収納方法は、各々、上記(1)から(4)項の開閉ゲートの収納構造を用いて実行されることで、上記(1)から(4)項の開閉ゲートの収納構造と同様の作用を奏するものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明はこのように構成したので、地下空間の構造物に干渉することなく開閉ゲートを設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造を、地下空間の背面側から図示した背面図である。
【
図3】開閉ゲートがゲート支柱に係合する様子を示す断面図である。
【
図4】開閉ゲートの他側方を支えるゲート支柱を示しており、(a)が側面図、(b)が背面図、(c)が(b)におけるB-B線での断面図、(d)が(b)におけるC-C線での断面図である。
【
図5】開閉ゲートの一側方を支えるゲート支柱を示しており、(a)が背面図、(b)が側面図、(c)が(a)におけるB-B線での断面図、(d)が(a)におけるC-C線での断面図である。
【
図6】
図1に示した端部用のブラケットを示す三面図であり、(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が背面図である。
【
図7】
図1に示した
図6と反対側の端部用のブラケットを示す三面図であり、(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が背面図である。
【
図8】
図1に示した中間部用ブラケットの三面図であり、(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が背面図である。
【
図9】一部を破断して従来の駐車装置を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略するものとし、特に、開閉ゲートの昇降機構等の構造は従来と同様であるため、詳しい説明や図示を省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10を、地下空間Uの背面側から図示したものである。
図1に示された開閉ゲートの収納構造10は、図中上下方向に関して地下空間Uに1段及び地下空間Uより上に少なくとも1段、図中左右方向に関して3列、図中の紙面と直交する方向に関して少なくとも1列の、パレットの収容可能位置を備えた駐車装置に適用される構成のものである。このような駐車装置は、パレットに対して車両が入出庫される入出庫位置86を、側方向(図中左右方向)に隣接する3箇所に有すると共に、これらの入出庫位置86毎に開閉ゲート74を備えており、例えば、
図9に示した駐車装置100もそのような駐車装置に含まれる。このため、駐車装置の構成については、適宜、
図9を参照してもよい。なお、
図1には、入出庫位置86の高さに相当する車両乗入面90を仮想線で図示している。
【0025】
図示のように、開閉ゲートの収納構造10は、何れも地下空間Uに設置された複数のゲート支柱12と複数のブラケット40とを含んでいる。複数のゲート支柱12は、地下空間Uにおいて開閉ゲート74の側方向(図中左右方向)両側を支えると共に、開閉ゲート74の昇降移動をガイドするように、開閉ゲート74の側方向端部毎に別個に設けられている。このため、3つの開閉ゲート74を収納する
図1の例では、開閉ゲート74毎に1組の合計で6本のゲート支柱12が設けられている。
図1では、説明の便宜上、各開閉ゲート74の図中左側端部を支えている3本のゲート支柱12を、ゲート支柱12Aとしても図示し、各開閉ゲート74の図中右側端部を支えている3本のゲート支柱12を、ゲート支柱12Bとしても図示している。
【0026】
複数のブラケット40は、地下空間Uの前面側の壁66から、
図1の紙面と直交する方向の手前側に向かって突出するように設けられており、複数のゲート支柱12の下端を支えている。
図1の例では、合計で4つのブラケット40が設置されており、図中左側に位置するブラケット40Aが、地下空間Uの図中左側の側面の壁68に最も近いゲート支柱12Aの下端を支え、図中右側に位置するブラケット40Bが、地下空間Uの図中右側の側面の壁70に最も近いゲート支柱12Bの下端を支えている。又、それら2つのブラケット40A、40Bの間に位置する残り2つのブラケット40Cの各々が、隣接する2本のゲート支柱12A、12Bの下端を同時に支えており、以降は、これら2つのブラケット40Cを中間部用ブラケット40Cとも呼ぶこととする。
【0027】
ここで、
図2には、
図1のA-A線における断面図を示し、
図3には、開閉ゲート74がゲート支柱12に係合する様子を図示しているが、これらの説明は後ほど行うこととし、先に
図4~
図8を参照して、ゲート支柱12及びブラケット40の各々の単体の構成について説明する。
図1に示された6本のゲート支柱12のうち、各開閉ゲート74の
図1における左側端部を支えている3本のゲート支柱12Aの各々は、
図4に示すような構成を有している。具体的に、ゲート支柱12Aは、チャネル部14、上端プレート16、下端プレート18及び補強プレート20を含んでおり、これらが何れも鉄鋼等で形成されている。チャネル部14は、ゲート支柱12Aが地下空間Uに設置された状態で、
図1における上下方向に延在するものであり、
図4(c)(d)で確認できるように、延在方向と直交する断面形状がチャネル状を成している。
【0028】
上端プレート16は、チャネル部14の延在方向と略直交する向きで、チャネル部14の上端に溶接等で固定されており、下端プレート18は、チャネル部14の延在方向と略直交する向きで、チャネル部14の下端に溶接等で固定されている。このとき、下端プレート18は、
図4(d)で確認できるように、平面視でチャネル部14の開口側と反対側(図中左側)の面から、図中左側へと突出しないような位置に固定される。上端プレート16及び下端プレート18は、ゲート支柱12Aが固定される際に使用される部位であり、特に下端プレート18は、ゲート支柱12Aがブラケット40に対して固定される際に使用される(
図2参照)。補強プレート20は、ゲート支柱12Aの上端側を補強するものであり、チャネル部14の開口側と反対側の面と、上端プレート16の下面との双方に対して、略直交する向きで溶接等で固定されている。又、チャネル部14、上端プレート16及び下端プレート18の各々には、固定用のボルト等のための挿通孔が設けられている。なお、チャネル部14、上端プレート16、下端プレート18及び補強プレート20のうち、2つ以上の部位が一体的に形成されていてもよく、一部の部位が変更、削除された構成や、別の部位が追加された構成であってもよい。
【0029】
一方、
図1に示された6本のゲート支柱12のうち、各開閉ゲート74の
図1における右側端部を支えている3本のゲート支柱12Bの各々は、
図5に示すような構成を有している。具体的に、ゲート支柱12Bは、チャネル部24、上端プレート26、下端プレート28及び補強プレート30を含んでおり、これらが何れも鉄鋼等で形成されている。チャネル部24は、ゲート支柱12Bが地下空間Uに設置された状態で、
図1における上下方向に延在するものであり、
図5(c)(d)で確認できるように、延在方向と直交する断面形状がチャネル状を成している。そして、このチャネル部24が成すチャネル状は、
図4に示したゲート支柱12Aのチャネル部14が成すチャネル状と比較して、反対の向きに開口している。
【0030】
上端プレート26は、チャネル部24の延在方向と略直交する向きで、チャネル部24の上端に溶接等で固定されており、下端プレート28は、チャネル部24の延在方向と略直交する向きで、チャネル部24の下端に溶接等で固定されている。このとき、下端プレート28は、
図5(d)で確認できるように、平面視でチャネル部24の開口側と反対側(図中右側)の面から、図中右側へと突出しないような位置に固定される。上端プレート26及び下端プレート28は、ゲート支柱12Bが固定される際に使用される部位であり、特に下端プレート28は、ゲート支柱12Bがブラケット40に対して固定される際に使用される(
図2参照)。補強プレート30は、ゲート支柱12Bの上端側を補強するものであり、チャネル部24の開口側と反対側の面と、上端プレート26の下面との双方に対して、略直交する向きで溶接等で固定されている。又、チャネル部24、上端プレート26及び下端プレート28の各々には、固定用のボルト等のための挿通孔が設けられている。なお、チャネル部24、上端プレート26、下端プレート28及び補強プレート30のうち、2つ以上の部位が一体的に形成されていてもよく、一部の部位が変更、削除された構成や、別の部位が追加された構成であってもよい。
【0031】
他方、
図1に示された4つのブラケット40のうち、
図1における左側端部に位置するブラケット40Aは、
図6に示すような構成となっている。すなわち、ブラケット40Aは、略直交する位置関係で一体的に形成された受け板部42及び固定部44と、補強部46とを含み、これらが何れも鉄鋼等で形成されている。受け板部42は、ゲート支柱12Aの下端プレート18が載置されて固定される部位であり、実質的にゲート支柱12Aの下端を受ける部位である(
図2参照)。固定部44は、地下空間Uの前面側の壁66(
図1及び
図2参照)に対して、ボルト等によって固定される部位であり、
図6(b)で確認できるように、受け板部42の図中左側端部から下方へと延びている。補強部46は、受け板部42の、ゲート支柱12Aの下端プレート18が載置される面と反対側の面(
図6(b)における下側の面)と、固定部44の、前面側の壁66と接触する面と反対側の面(
図6(b)における右側の面)との双方に対して、略直交する向きで溶接等で固定され、ブラケット40Aを補強している。
【0032】
又、
図1に示された4つのブラケット40のうち、
図1における右側端部に位置するブラケット40Bは、
図7に示すような構成となっている。すなわち、ブラケット40Bは、略直交する位置関係で一体的に形成された受け板部48及び固定部50と、補強部52とを含み、これらが何れも鉄鋼等で形成されている。受け板部48は、ゲート支柱12Bの下端プレート28が載置されて固定される部位であり、実質的にゲート支柱12Bの下端を受ける部位である(
図2参照)。固定部50は、地下空間Uの前面側の壁66(
図1及び
図2参照)に対して、ボルト等によって固定される部位であり、
図7(b)で確認できるように、受け板部48の図中左側端部から下方へと延びている。補強部52は、受け板部48の、ゲート支柱12Bの下端プレート28が載置される面と反対側の面(
図7(b)における下側の面)と、固定部50の、前面側の壁66と接触する面と反対側の面(
図7(b)における右側の面)との双方に対して、略直交する向きで溶接等で固定され、ブラケット40Bを補強している。なお、ブラケット40Bは、
図6に示したブラケット40Aと比較して、受け板部48の平面視形状や、補強部52の取り付け位置等が異なっている。
【0033】
これに対し、
図1に示された4つのブラケット40のうち、
図1における左右方向の中ほどに位置する2つの中間部用ブラケット40Cの各々は、
図8に示すような構成となっている。すなわち、中間部用ブラケット40Cは、略直交する位置関係で一体的に形成された受け板部54及び固定部56と、2つの補強部58とを含み、これらが何れも鉄鋼等で形成されている。受け板部54は、ゲート支柱12Aの下端プレート18とゲート支柱12Bの下端プレート28とが、載置されて固定される部位であり、実質的にゲート支柱12A、12Bの双方の下端を受ける部位である(
図2参照)。又、特に
図8(a)で確認できるように、受け板部54には切欠き60が形成されており、この切欠き60よりも図中上側の部分にゲート支柱12Aの下端プレート18が載置され、切欠き60よりも図中下側の部分にゲート支柱12Bの下端プレート28が載置される。
【0034】
固定部56は、地下空間Uの前面側の壁66(
図1及び
図2参照)に対して、ボルト等によって固定される部位であり、
図8(b)で確認できるように、受け板部54の図中左側端部から下方へと延びている。2つの補強部58の各々は、受け板部54の、ゲート支柱12A、12Bが載置される面と反対側の面(
図8(b)における下側の面)と、固定部56の、前面側の壁66と接触する面と反対側の面(
図8(b)における右側の面)との双方に対して、略直交する向きで溶接等で固定されている。
図8(c)における右側の補強部58は、主に受け板部54のゲート支柱12Aが載置される部分を補強するものであり、
図8(c)における左側の補強部58は、主に受け板部54のゲート支柱12Bが載置される部分を補強するものである。
【0035】
なお、
図6~
図8に示すように、ブラケット40Aの受け板部42及び固定部44と、ブラケット40Bの受け板部48及び固定部50と、中間部用ブラケット40Cの受け板部54及び固定部56との各々には、固定用のボルト等のための挿通孔が設けられている。特に、各ブラケット40の受け板部42、48、54に設けられた挿通孔は、平面視で長穴状になっており、これらの挿通孔を介して固定されるゲート支柱12A、12Bの位置が調整可能になっている。より詳しくは、
図6(a)、
図7(a)、
図8(a)における左右方向に関して、ブラケット40に対するゲート支柱12A、12Bの取り付け位置が調整可能になっており、この結果、地下空間Uの前面側の壁66に対するゲート支柱12A、12Bの位置が調整可能になっている(
図2参照)。又、ブラケット40の各々は、
図6~
図8に示した構成に限定されるものではなく、図示された一部の部位が変更、削除された構成や、別の部位が追加された構成であってもよい。更に、各部位の形状や大きさも図示の例に限定されるものではなく、任意の形状や大きさであってよい。
【0036】
図2を参照すると、ブラケット40の各々が地下空間Uの前面側の壁66に固定され、各ブラケット40にゲート支柱12が固定されている状態を確認できる。なお、
図2に示された4つのブラケット40は、何れも、
図1で確認できるように、地下空間Uの底面72よりも上方の位置で、前面側の壁66に対して固定されている。まず、
図2の左側に位置するブラケット40Aは、地下空間Uの図中左側面の壁68から間隔を空けた位置で、前面側の壁66に対して2本のボルトで固定されており、受け板部42にゲート支柱12Aの下端プレート18がボルト固定されている。このゲート支柱12Aは、
図1の左側に示した開閉ゲート74の左側端部を支えるものである。このとき、ゲート支柱12Aのチャネル部14の開口側と反対側の面(図中左側の面)が、図中左側面の壁68と対向する向きで、かつ、チャネル部14の開口側と反対側の面から、ブラケット40Aが図中左側へと突出しないような位置で、ブラケット40Aに対してゲート支柱12Aが固定される。これにより、ブラケット40Aによって支持されたゲート支柱12Aと、図中左側面の壁68との間に、少なくともゲート支柱12Aのチャネル部14の全長にわたる隙間62Aが確保されており、この隙間62Aは地下空間Uの底面72(
図1参照)まで続いている。
【0037】
又、
図2の右側に位置するブラケット40Bを確認すると、このブラケット40Bは、地下空間Uの図中右側面の壁70から間隔を空けた位置で、前面側の壁66に対して2本のボルトで固定されており、受け板部48にゲート支柱12Bの下端プレート28がボルト固定されている。このゲート支柱12Bは、
図1の右側に示した開閉ゲート74の右側端部を支えるものである。このとき、ゲート支柱12Bのチャネル部24の開口側と反対側の面(図中右側の面)が、図中右側面の壁70と対向する向きで、かつ、チャネル部24の開口側と反対側の面から、ブラケット40Bが図中右側へと突出しないような位置で、ブラケット40Bに対してゲート支柱12Bが固定される。これにより、ブラケット40Bによって支持されたゲート支柱12Bと、図中右側面の壁70との間に、少なくともゲート支柱12Bのチャネル部24の全長にわたる隙間62Aが確保されており、この隙間62Aは地下空間Uの底面72(
図1参照)まで続いている。
【0038】
更に、2つの中間部用ブラケット40Cを確認すると、これらの中間部用ブラケット40Cは、開閉ゲート74の幅に応じた距離で、中間部用ブラケット40C同士で互いに間隔を空け、かつ、ブラケット40A、40Bからも間隔を空けた位置で、前面側の壁66に対して2本のボルトで固定されている。各中間部用ブラケット40Cの受け板部54には、ゲート支柱12Bの下端プレート28と、ゲート支柱12Aの下端プレート18との双方がボルト固定されている。これら2本のゲート支柱12A、12Bは、異なる開閉ゲート74を案内するように隣接して設置されたものである。具体的に、
図2の左側の中間部用ブラケット40Cに固定されているゲート支柱12Bは、
図1の左側に示した開閉ゲート74の右側端部を支えるものであり、それと同じ中間部用ブラケット40Cに固定されているゲート支柱12Aは、
図1の左右方向中央に示した開閉ゲート74の左側端部を支えるものである。又、
図2の右側の中間部用ブラケット40Cに固定されているゲート支柱12Bは、
図1の左右方向中央に示した開閉ゲート74の右側端部を支えるものであり、それと同じ中間部用ブラケット40Cに固定されているゲート支柱12Aは、
図1の右側に示した開閉ゲート74の左側端部を支えるものである。
【0039】
中間部用ブラケット40Cの各々には、ゲート支柱12Bのチャネル部24の開口側と反対側の面(図中右側の面)が、同じ中間部用ブラケット40Cに固定されたゲート支柱12Aと対向する向きで、かつ、中間部用ブラケット40Cに設けられた切欠き60に沿った位置で、ゲート支柱12Bが固定される。又、中間部用ブラケット40Cの各々には、ゲート支柱12Aのチャネル部14の開口側と反対側の面(図中左側の面)が、同じ中間部用ブラケット40Cに固定されたゲート支柱12Bと対向する向きで、かつ、中間部用ブラケット40Cに設けられた切欠き60に沿った位置で、ゲート支柱12Aが固定される。これにより、異なる開閉ゲート74を案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱12A、12B間に、少なくともゲート支柱12Aのチャネル部14やゲート支柱12Bのチャネル部24の全長にわたる、隙間62Bが確保されている。更に、この隙間62Bに対応する位置に、中間部用ブラケット40Cに形成された切欠き60が配置されていることで、隙間62Bが地下空間Uの底面72(
図1参照)まで続いている。
【0040】
続いて、
図3を参照すると、共通の開閉ゲート74の端部を支える1組のゲート支柱12A、12Bが図示されている。図示のように、ゲート支柱12Aは、そのチャネル部14の開口側が、開閉ゲート74側(図中右側)へ向けられており、チャネル部14の端部14aに開閉ゲート74の一部が係合することで、ゲート支柱12Aにより開閉ゲート74の一方の端部が案内支持されるようになっている。同様に、ゲート支柱12Bは、そのチャネル部24の開口側が、開閉ゲート74側(図中左側)へ向けられており、チャネル部24の端部24aに開閉ゲート74の一部が係合することで、ゲート支柱12Bにより開閉ゲート74の他方の端部が案内支持されるようになっている。
【0041】
なお、
図2において、ブラケット40Aに支持されているゲート支柱12Aと、図中左側の中間部用ブラケット40Cに支持されているゲート支柱12Bとの組、図中左側の中間部用ブラケット40Cに支持されているゲート支柱12Aと、図中右側の中間部用ブラケット40Cに支持されているゲート支柱12Bとの組、及び、図中右側の中間部用ブラケット40Cに支持されているゲート支柱12Aと、ブラケット40Bに支持されているゲート支柱12Bとの組が、
図3に示された1組のゲート支柱12A、12Bに相当する。又、
図3で確認できるように、開閉ゲート74は、地下空間Uの前面側の壁66に近接した位置に収納される。
【0042】
ここで、
図1に示した構成の開閉ゲートの収納構造10は、上述したように、例えば
図9に示したような駐車装置100に対して適用される。すなわち、この駐車装置100は、上述した開閉ゲートの収納構造10と、少なくとも1つ(
図9の例では3つ)の入出庫位置86と、入出庫位置86毎に設けられる(すなわち
図9の例では3つの)開閉ゲート74と、地下空間Uに収容される地下収容パッレット84を含む複数のパレット(
図9の例では6つのパレット82、84)と、を含んでいる。このため、
図9に示されているゲート支柱104に替えて、
図1~
図8に示したような、複数のゲート支柱12及びそれらを支えるブラケット40が設置される。そして、前面側の壁66、両側面側の壁68、70、及び、底面72を有する地下空間Uには、図示しない釜場や釜場から上方へ延びる配管が設置され、特に配管は、
図2に示した隙間62に設置される。一例として、
図2には、4つの隙間62のうち、図中左側の隙間62Aに配管94が設置された状態を仮想線で示している。
【0043】
なお、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10が適用される駐車装置は、
図9の駐車装置100の構成に限定されるものではなく、開閉ゲート74の数量、パレット82、84の数量、入出庫位置86の数量等が、駐車装置100と異なっていてもよい。更に、地下空間Uに収容される地下収容パレット84を含んでいれば、ピット式の駐車装置に限定されるものではなく、横行移動や昇降を行うパレットを含む駐車装置であってもよい。又、パレットの収容可能位置を、上下方向に関して地下空間Uよりも上に2段以上、側方向に関して2列以下や4列以上、及び/又は、奥行方向に関して2列以上備えた駐車装置であってもよい。
【0044】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10は、
図1及び
図2に示すように、駐車装置が備える入出庫位置86毎に具備される開閉ゲート74を、地下空間Uに収納するためのものであり、開閉ゲート74の側方向端部毎に別個に地下空間Uに設けられた、複数のゲート支柱12を含んでいる。すなわち、これらのゲート支柱12は、開閉ゲート74毎に2本1組の数量で設置され、図示の例では、3つの開閉ゲート74に対応した3組6本のゲート支柱12が設置されている。更に、これらのゲート支柱12は、通常は平面視で略矩形に設けられる地下空間Uにおいて車両の出庫方向(
図1及び
図2における紙面と直交する方向の奥側)を前方向とした場合に、地下空間Uの前面側の壁66に沿って側方向(図中左右方向)に並べられて配置されることになる。
【0045】
又、ゲート支柱12の各々は、地下空間Uにおいて開閉ゲート74の側方向の何れか一方、換言すれば、同じ組の2本のゲート支柱12で開閉ゲート74の側方向両側を支えると共に、開閉ゲート74の昇降移動をガイドするように設けられる。このために、複数のゲート支柱12は、
図3~
図5で確認できるように、各々の延在方向と直交する断面形状が、開閉ゲート74側に開口したチャネル状を成しており、同じ開閉ゲート74を支える2本のゲート支柱12同士で、チャネル状の開口が向き合う態様となる。そして、
図2に示すように、地下空間Uの両側面側の壁68、70と、これらの壁68、70の各々に最も近いゲート支柱12との間に、ゲート支柱12の全長にわたる隙間62Aが確保されているものである。すなわち、上述したように地下空間Uにおいて側方向に並べて配置された複数のゲート支柱12のうち、地下空間Uの一方の側面側の壁68に最も近いゲート支柱12Aとその壁68との間、及び、地下空間Uのもう一方の側面側の壁70に最も近いゲート支柱12Bとその壁70との間に、各ゲート支柱12A、12Bの全長にわたる隙間62Aが確保されている。壁68、70との間に隙間62Aが確保されたこれら2本のゲート支柱12A、12Bの各々は、断面チャネル状の開口側と反対側が、隙間62Aを挟んで各壁68、70に対向した状態となる。
【0046】
上記のような構成により、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10は、地下空間Uの平面視で前面側の2つの隅の近傍に、例えば配管94のような壁66、68、70の何れかに沿って上下方向に延在する構造物が設けられている場合でも、その構造物がゲート支柱12と壁68、70との間に確保される隙間62Aに位置するように、ゲート支柱12が設置される。このため、地下空間Uの構造物に干渉することなく、地下空間Uにゲート支柱12を設置することができ、上記のような構造物を地下空間Uに有する駐車装置に対して開閉ゲート74を増設する場合であっても、問題なく開閉ゲート74を設置することが可能となる。更に、ゲート支柱12と壁68、70との間に確保された隙間62Aは、予め地下空間Uに設置された構造物のみではなく、事後的に設置される構造物の設置スペースとしても利用できるため、限られた地下空間Uのスペースを有効利用して様々な構造物を設置することが可能となる。加えて、開閉ゲートの収納構造10が備えるゲート支柱12は、
図9に示した従来のゲート支柱104と比較して、1本当たりの重量が小さくなっているため、取り扱いが容易になるものである。
【0047】
又、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10は、例えば
図9に示すような側方向に隣接する少なくとも2つの入出庫位置86を含む駐車装置、すなわち、隣接する少なくとも2つの開閉ゲート74を備える駐車装置に対して適用されるものである。このため、
図1及び
図2に示すように、開閉ゲート74の側方向端部毎に別個に設けられるゲート支柱12は、少なくとも2組の合計で4本(図示の例では3組6本)設けられることになる。これら複数のゲート支柱12には、隣接する2つの開閉ゲート74毎にそれらの間に設置され、断面チャネル状の開口側と反対側が互いに対向した、隣接する2本のゲート支柱12が含まれており、図示の例では、中間部用ブラケット40Cに支えられているゲート支柱12A、12Bがそれらに相当する。
【0048】
そして、このように異なる開閉ゲート74を案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱12A、12B間に、ゲート支柱12の全長にわたる隙間62Bが確保されているものである。これにより、地下空間Uの両側面側の壁68、70とそれらの壁68、70の各々に最も近いゲート支柱12A、12Bとの間に確保された隙間62Aに加えて、隣接する2本のゲート支柱12A、12Bの間に確保された隙間62Bも、例えば配管94のような地下空間Uの前面側の壁66に沿って上下方向に延在する構造物の設置スペースとして利用することができる。このような隙間62Bは、
図9に示すような従来の断面H状のゲート支柱104では形成し得なかったものである。従って、地下空間Uに開閉ゲート74を収納する構造でありながら、地下空間Uに対するより多くの構造物の設置に対応することができる。
【0049】
更に、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10は、複数のゲート支柱12の下端を支える複数のブラケット40を含み、これら複数のブラケット40が、地下空間Uの前面側の壁66から突出するように設けられたものである。すなわち、上述したように、複数のゲート支柱12は、地下空間Uの前面側の壁66に沿って側方向に並べられて配置されるため、前面側の壁66のこれらのゲート支柱12に対応した位置に、例えば壁66に対して略直交する角度で、一例として
図6~
図8に示したような構成の複数のブラケット40が突設される。そして、ブラケット40の上にゲート支柱12を立設することで、地下空間Uの底面72にゲート支柱12の支持構造を構築する必要なく、ゲート支柱12を設置することができる。このため、ゲート支柱12の直下に、例えば釜場等のゲート支柱12の支持構造を構築することが困難な構造物が位置するような地下空間Uであっても、そのような構造物に干渉せずに問題なく、開閉ゲートの収納構造10を設置することができる。
【0050】
又、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10は、上述した複数のブラケット40に中間部用ブラケット40Cが含まれるものである。例えば
図8に示すような構成の中間部用ブラケット40Cは、
図1及び
図2に示すように、複数のゲート支柱12のうち、異なる開閉ゲート74を案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱12A、12Bの下端を、同時に支える構造のものである。これに対し、地下空間Uの一方の側面の壁68に最も近いゲート支柱12Aの下端を支える、例えば
図6に示すような構成のブラケット40A、及び、それと反対側の側面の壁70に最も近いゲート支柱12Bの下端を支える、例えば
図7に示すような構成のブラケット40Bの双方は、夫々、1本のゲート支柱12の下端を支えるものである。
【0051】
更に、中間部用ブラケット40Cは、地下空間Uの前面側の壁66に突設された状態の平面視で、隣接する2本のゲート支柱12A、12B間に確保された隙間62Bに対応する位置に、切欠き60が設けられている。このため、2本のゲート支柱12A、12B間の隙間62Bに設置される配管94等の構造物は、ゲート支柱12の下端よりも下方において、中間部用ブラケット40Cに設けられた切欠き60を通ることになる。従って、このような構造物に干渉することなく、2本のゲート支柱12A、12Bの下端を同時に支えることで、部品点数の削減に寄与することができる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10は、
図1及び
図2に示した構成に限定されるものではなく、適用される駐車装置の構成に合わせて様々な形態を取り得るものである。例えば、開閉ゲートの収納構造10は、開閉ゲート74毎に1組2本のゲート支柱12が設置されればよいため、開閉ゲート74を1つ備える駐車装置では2本、開閉ゲート74を4つ備える駐車装置では8本、といったような数量のゲート支柱12が設置される。又、当然のことながら、ブラケット40の数量もゲート支柱12の数量に合わせて変動し、ゲート支柱12が2本の場合はブラケット40が2つ、ゲート支柱12が8本の場合は3つの中間部用ブラケット40Cを含むブラケット40が5つ、といった数量が設置される。更に、ブラケット40に中間部用ブラケット40Cが含まれていなくてもよく、この場合は、例えば8本のゲート支柱12を別個で支えるために、ゲート支柱12の数量と同じ8つのブラケット40が設置される。又、この場合は、異なる開閉ゲート74を案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱12を支える2つのブラケット40が、
図2に示した隙間62Bが確保される程度に互いに間隔を空けて設置される。
【0053】
一方、本発明の実施の形態に係る駐車装置は、上述したような開閉ゲートの収納構造10と、車両を入出庫するための少なくとも1つの入出庫位置86と、地下空間Uに収容される地下収容パレット84を含む複数のパレット82、84(
図9参照)と、入出庫位置86毎にその前面側に設けられた開閉ゲート74と、を含むものである。これにより、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10と同様の作用効果を奏し、地下空間Uを有する駐車装置としての付加価値を向上することができる。
更に、本発明の実施の形態に係る駐車装置は、
図2に示したような隙間62の少なくとも1つに、地下空間Uに設けられた釜場から排水を行うための配管94が設置されたものである。すなわち、そのような隙間62には、地下空間Uの両側面側の壁68、70とこれらの壁68、70の各々に最も近いゲート支柱12との間に確保された隙間62Aが含まれ、更に、駐車装置が2つ以上の開閉ゲート74を具備する場合は、異なる開閉ゲート74を案内するように隣接して設置された2本のゲート支柱12A、12B間に確保された隙間62Bも含まれる。
【0054】
そして、このような隙間62の少なくとも1つに、排水のために釜場から上方へ延びる配管94が設置されることで、従来構造では地下空間Uの前面側の壁66に沿って設置されることが多い配管94に干渉することなく、開閉ゲート74を地下空間Uに収納することができる。これにより、本発明の実施の形態に係る駐車装置は、開閉ゲート74を備えない従来構造の駐車装置に対して開閉ゲート74が増設されたものとして、対応することも可能となる。
他方、本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納方法は、上述したような本発明の実施の形態に係る開閉ゲートの収納構造10を用いて実行されることで、開閉ゲートの収納構造10と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0055】
10:開閉ゲートの収納構造、12(12A、12B):ゲート支柱、40(40A、40B、40C):ブラケット、40C:中間部用ブラケット、60:切欠き、62(62A、62B):隙間、66:前面側の壁、68、70:側面側の壁、74:開閉ゲート、82:パレット、84:地下収容パレット、86:入出庫位置、94:配管、U:地下空間