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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230825BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230825BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230825BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/00 302C
H02J7/00 302D
H01M10/48 P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019116707
(22)【出願日】2019-06-24
(65)【公開番号】P2021002976
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104204
【弁理士】
【氏名又は名称】峯岸 武司
(72)【発明者】
【氏名】村山 良平
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-298805(JP,A)
【文献】国際公開第2016/207949(WO,A1)
【文献】実開平01-180836(JP,U)
【文献】特開2016-208692(JP,A)
【文献】特表2013-501488(JP,A)
【文献】実開平02-065050(JP,U)
【文献】特開2011-055636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00 - 5/00
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 -11/00
H01M 10/42 -10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種類の複数の二次電池が並列に接続されて構成され、前記二次電池から、異なる定格消費電力量を持つ負荷へ電力を供給する給電部と、
各前記二次電池と前記負荷との間の接続を切り替える接続切替部と、
前記給電部から前記負荷へ供給される電力量を測定する電力測定部と、
前記電力測定部によって測定される電力量の各範囲に対応して、前記負荷の推定される定格消費電力量と、前記二次電池の使用すべき数とを記憶する記憶部と、
前記電力測定部で測定される電力量が属する前記範囲に対応して前記記憶部に記憶される、前記負荷の推定される定格消費電力量を判断し、前記接続切替部を制御して、前記給電部において並列接続される前記二次電池の数を、判断した前記定格消費電力量に対応した前記二次電池の使用すべき数に切り替える制御部と
を備える蓄電装置。
【請求項2】
各前記二次電池の端子間電圧を測定する電池電圧測定部を備え、
前記制御部は、前記接続切替部によって前記負荷に接続されている前記二次電池のいずれかについて前記電池電圧測定部によって測定される電圧が放電終止電圧に達すると、前記負荷に接続されていなかった所定の前記二次電池を前記負荷に接続する切り替え制御を前記接続切替部に対して行う
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記給電部から前記負荷へ電力が供給され始めた直後に前記電力測定部によって測定される電力量に対応する数の前記二次電池を前記負荷に接続する切替制御を、前記給電部から前記負荷へ電力が供給され始めた直後に前記接続切替部に対して行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記給電部は、前記負荷の稼働時にいずれかの前記二次電池が前記負荷に接続されて前記負荷の稼働時に前記負荷へ電力を常時供給することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一種類の複数の二次電池によって構成される給電部から負荷へ電力を供給する蓄電装置に関し、特に、負荷へ接続する二次電池の運用に特徴を有する蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置は、同一種類の複数の二次電池を収容して、負荷に電力を供給するものである。この蓄電装置により、商用電源を必要とする負荷がその使用場所の制約を受けることがなくなり、これまで負荷の設置が困難であった場所で、負荷の一時的な需要等にも対処することが可能となる。
【0003】
従来、この種の二次電池の運用に関する技術として、例えば、特許文献1や特許文献2に開示された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-205480号公報
【文献】特開2013-172567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、例えば、自動販売機のような負荷に上記の蓄電装置によって電力を供給する場合、複数種類の自動販売機がそれぞれ異なる定格の消費電力量等を持つのにも関わらず、蓄電装置が収容する全ての二次電池から負荷に電力が供給されていた。
【0006】
したがって、全ての二次電池は負荷の稼働時に常に電力を負荷に供給し続ける状態にあり、全ての二次電池に常にストレスがかかって、二次電池の好ましい運用がなされていなかった。
【0007】
また、工事による停電や計画停電等の際に、商用電源からの電力の供給を受けることを前提とする負荷に上記の蓄電装置によって電力を供給しようとする場合、工事が開始されてから終了するまでの期間にわたり、電力を供給し続けることが求められる。このため、当該蓄電装置に収容される二次電池の運用においても、工事による停電や計画停電等の際に、上記と同様な問題があり、二次電池の好ましい運用が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
同一種類の複数の二次電池が並列に接続されて構成され、二次電池から、異なる定格消費電力量を持つ負荷へ電力を供給する給電部と、
各二次電池と負荷との間の接続を切り替える接続切替部と、
給電部から負荷へ供給される電力量を測定する電力測定部と、
電力測定部によって測定される電力量の各範囲に対応して、負荷の推定される定格消費電力量と、二次電池の使用すべき数とを記憶する記憶部と、
電力測定部で測定される電力量が属する範囲に対応して記憶部に記憶される、負荷の推定される定格消費電力量を判断し、接続切替部を制御して、給電部において並列接続される二次電池の数を、判断した定格消費電力量に対応した二次電池の使用すべき数に切り替える制御部と
を備え、蓄電装置を構成した。
【0009】
本構成によれば、電力測定部で測定される電力量が属する範囲に対応して記憶部に記憶される、負荷の推定される定格消費電力量が制御部によって判断され、給電部において並列接続される二次電池の使用すべき数は、制御部の接続切替部に対する制御により、制御部によって判断された定格消費電力量に対応した二次電池の使用すべき数に切り替えられる。したがって、給電部において並列接続される二次電池の使用すべき数は、負荷が消費する電力量に応じた適切な数に設定される。このため、負荷の種類によっては、給電部における全ての二次電池を使用しなくても負荷を稼働させることが出来、その際未使用の二次電池を待機させることができ、その結果、二次電池の好ましい運用が可能となる。
【0010】
また、本発明は、
各二次電池の端子間電圧を測定する電池電圧測定部を備え、
制御部が、接続切替部によって負荷に接続されている二次電池のいずれかについて電池電圧測定部によって測定される電圧が放電終止電圧に達すると、負荷に接続されていなかった所定の二次電池を負荷に接続する切り替え制御を接続切替部に対して行うことを特徴とする。
【0011】
収容する全ての二次電池から負荷に電力が供給される従来の蓄電装置では、いずれかの二次電池の端子間電圧が放電終止電圧に達すると、蓄電装置から負荷への電力供給を一旦停止し、蓄電装置が収容する二次電池を充電したり、充電された別の新たな二次電池に交換する必要があった。このため、その間、負荷の稼働が余儀なく停止される。しかし、本構成によれば、負荷に接続されている二次電池のいずれかが放電終止電圧に達したことが、電池電圧測定部の測定によって判明すると、制御部の接続切替部に対する切り替え制御により、負荷に接続されていなかった所定の二次電池が負荷に接続される。
【0012】
したがって、負荷へは、負荷に接続されていなかった所定の二次電池から電力が供給し続けられ、従来の蓄電装置のように負荷への電力供給を一旦停止する必要はない。このため、負荷に対して安定して電力を供給することが可能となり、蓄電装置に収容される二次電池の好ましい運用を持続して行うことができる。
【0013】
また、本発明は、制御部が、給電部から負荷へ電力が供給され始めた直後に電力測定部によって測定される電力量に対応する数の二次電池を負荷に接続する切替制御を、給電部から負荷へ電力が供給され始めた直後に接続切替部に対して行うことを特徴とする。
【0014】
本構成によれば、給電部における二次電池の並列接続数は、給電部から負荷へ電力が供給され始めた直後に、負荷の消費電力に応じた数に制御部によって切り替えられる。このため、給電部から負荷へ電力が供給され始めて時間が経ってから、二次電池の並列接続数が適切な数に切り替えられる場合に比較して、二次電池の好ましい運用に資することになる。
【0015】
また、本発明は、給電部が、負荷の稼働時にいずれかの二次電池が負荷に接続されて負荷の稼働時に負荷へ電力を常時供給することを特徴とする。
【0016】
本構成によれば、負荷の設置が困難であった場所でも負荷に電力を供給でき、しかも、収容する二次電池の好ましい運用を行える蓄電装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、収容する二次電池の好ましい運用を行える蓄電装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態による蓄電装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図1に示す蓄電装置の記憶部に記憶される電池数決定テーブルを示す図である。
図3図1に示す蓄電装置の記憶部に記憶される電池管理テーブルを示す図である。
図4図1に示す蓄電装置の動作を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の一実施の形態による蓄電装置について説明する。
【0020】
図1は、この一実施の形態による蓄電装置1の概略構成を示すブロック図である。蓄電装置1は、給電部2、制御部3、記憶部4、接続切替部5、DC/AC変換部6および電力測定部7から構成される。
【0021】
給電部2は、同一種類の10個のリチウムイオン二次電池2a1~2a10が並列に接続されて構成され、二次電池2a1~2a10から負荷9へ電力を供給する。本実施形態では負荷9として自動販売機が蓄電装置1に接続されており、給電部2から負荷9へその動作電力が供給される。二次電池2a1~2a10は10個の二次電池モジュール2~210のそれぞれに収容されており、各二次電池2a1~2a10にはそれぞれバッテリ・マネジメント・ユニット(Battery Management Unit:BMU)2b1~2b10が接続されている。各BMU2b1~2b10は、同じ二次電池モジュール2~1210が収容する各二次電池2a1~2a10の端子間電圧、出力電流、温度および充電率(State Of Charge:SOC) をそれぞれ常時測定し、制御部3へ出力する。SOCは例えば各二次電池2a1~2a10の出力電流値が積算することで得られる。
【0022】
制御部3はMPU(Micro Processing Unit)等からなり、記憶部4はROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等からなる。ROMにはMPU等の動作手順を規定するプログラムや、各種データが記憶されている。制御部3は、記憶部4のROMに記憶されたプログラムにしたがい、RAMを一時記憶作業領域として各部の制御を行う。また、本実施の形態では、RAMには図2に示す電池数決定テーブルや図3に示す電池管理テーブルが記憶されている。
【0023】
電力測定部7は給電部8から負荷9へ供給される電力量を測定する。図2に示す電池数決定テーブルは、この電力測定部7によって測定される電力量の各範囲に対応して、負荷9の推定される定格消費電力量および二次電池の使用すべき数を記憶している。本実施形態では、w1以上w2未満(w1~w2)の測定電力量の範囲に対応して、負荷9の推定される定格消費電力Wn1、使用すべき電池の数5を記憶し、w2以上w3未満(w2~w3)の測定電力量の範囲に対応して、負荷9の推定される定格消費電力Wn2、使用すべき電池の数10を記憶している。
【0024】
また、図3に示す電池管理テーブルには、各二次電池2a1~2a10の使用状態、各BMU2b1~2b10が測定する端子間電圧、出力電流、温度およびSOCが記憶されている。この電池管理テーブルでは、各二次電池2a1~2a10に電池No.1~No.10が付与されており、各二次電池2a1~2a10は電池No.1~No.10で識別されて管理される。
【0025】
図3に示す電池管理テーブルでは、電池No.1~No.5の各二次電池2a1~2a5の使用状態が使用中、電池No.6~No.10の各二次電池2a6~2a10の使用状態が休止中になっている。また、電池No.1~No.10の各二次電池2a1~2a10の端子間電圧がV~V10[V]、出力電流がI~I10[A]、温度がT~T10[℃]、SOCがS~S10[%] となっている。これらのテーブル値は各BMU2b1~2b10が測定する毎に更新されて、常に各二次電池2a1~2a10の最新の値になっている。ここで、各BMU2b1~2b10は、各二次電池2a1~2a10の端子間電圧を測定する電池電圧測定部を構成している。
【0026】
制御部3は、接続切替部5を制御して、給電部2において並列接続される二次電池2a1~2a10の数を、電力測定部7で測定される電力量が属する範囲に対応して記憶部4の電池数決定テーブルに記憶される二次電池2a1~2a10の数に切り替える。接続切替部5はリレースイッチから構成され、制御部3の制御にしたがい、各二次電池2a1~2a10と負荷9との間の接続を切り替える。DC/AC変換部6は、接続切替部5によって負荷9に接続される二次電池2a1~2a10から出力される直流電力を交流電力に変換し、負荷9へ出力する。負荷9はこの交流電力の供給を受けて動作する。
【0027】
図4は、蓄電装置1の動作を表わすフローチャートである。
【0028】
蓄電装置1は、負荷9に併設されると、制御部3の接続切替部5に対する制御により、最初に、全ての二次電池2a1~2a10を負荷9に接続する(図4、ステップ101参照)。したがって、蓄電装置1の負荷9への併設時、全ての二次電池2a1~2a10から出力される直流電力がDC/AC変換部6によって交流電力に変換されて、負荷9へ供給される。
【0029】
次に、制御部3は、DC/AC変換部6から負荷9へ供給される電力量、つまり、負荷9で消費される電力量を電力測定部7によって測定する(ステップ102参照)。この際、制御部3は、BMU2b1~2b10によって測定される二次電池2a1~2a10の電圧および電流から、負荷9で消費される電力量を測定すると、蓄電装置1内で消費される電力量も併せて測定することになるため、DC/AC変換部6から負荷9へ供給される電力量を電力測定部7によって直接測定する。次に、制御部3は、図2に示す電池数決定テーブルを参照し、電力測定部7によって測定される負荷9への供給電力量がw1~w2の範囲にあるか否か、つまり、負荷9の推定される定格消費電力量がWn1で、使用すべき二次電池2a1~2a10の数が5個であるか否か、判断する(ステップ103参照)。
【0030】
負荷9への供給電力量がw1~w2の範囲になくてステップ103の判断結果がNoである場合、制御部3は、負荷9への供給電力量がw2~w3の範囲にあり、負荷9の推定される定格消費電力量がWn2で、使用すべき二次電池2a1~2a10の数が10個であると判断する。そして、次に、10個の二次電池2a1~2a10を負荷9に接続したままの状態にする(ステップ104参照)。この際、制御部3は、図3に示す電池管理テーブル中における使用状態をこの切替制御に応じた内容に書き換え、全ての二次電池2a1~2a10の使用状態を使用中にする。
【0031】
次に、制御部3は、図3に示す電池管理テーブルを参照し、負荷9に接続されている10個の二次電池2a1~2a10のなかのいずれかの端子間電圧が、放電終止電圧に達したか否かを判断する(ステップ105参照)。いずれの二次電池2a1~2a10の端子間電圧も放電終止電圧に達しておらず、ステップ105の判断結果がNoである場合、制御部3はステップ105の処理を繰り返す。その後、いずれかの二次電池2a1~2a10の端子間電圧が放電終止電圧に達し、ステップ105の判断結果がYesになると、制御部3は、接続切替部5を制御して全ての二次電池2a1~2a10と負荷9との間の接続を切り離し、処理を終了する。したがって、蓄電装置1から負荷9への電源供給が一旦停止され、給電部2に収容される二次電池2a1~2a10が充電されるか、別の新たな二次電池に二次電池2a1~2a10が交換されることになる。
【0032】
一方、電力測定部7によって測定される負荷9への供給電力量がw1~w2の範囲にあって、ステップ103の判断結果がYesである場合、制御部3は、負荷9の推定される定格消費電力量がWn1で、使用すべき二次電池2a1~2a10の数が5個であると判断する。そして、次に、接続切替部5を制御して、5個の二次電池2a6~2a10を負荷9から切り離し、5個の二次電池2a1~2a5を負荷9に接続する切替制御を行う(ステップ106参照)。この際、制御部3は、図3に示す電池管理テーブル中における使用状態をこの切替制御に応じた内容に書き換える。図3に示す電池管理テーブルはステップ106が実行された際のテーブル値を示しており、電池No.1~No.5の使用状態が使用中、電池No.6~No.10が休止中になっている。
【0033】
次に、制御部3は、図3に示す電池管理テーブルを参照し、負荷9に接続されている5個の二次電池2a1~2a5のなかのいずれかの端子間電圧が、放電終止電圧に達したか否かを判断する(ステップ107参照)。いずれの二次電池2a1~2a5の端子間電圧も放電終止電圧に達しておらず、ステップ107の判断結果がNoである場合、制御部3はステップ107の処理を繰り返す。その後、いずれかの二次電池2a1~2a5の端子間電圧が放電終止電圧に達し、ステップ107の判断結果がYesになると、制御部3は、次に、接続切替部5を制御して、5個の二次電池2a1~2a5を負荷9から切り離し、他の5個の二次電池2a6~2a10を負荷9に接続する切替制御を行う(ステップ108参照)。そして、制御部3は、図3に示す電池管理テーブル中における使用状態をこの切替制御に応じた内容に書き換え、電池No.1~No.5の使用状態を休止中、電池No.6~No.10を使用中にする。
【0034】
次に、制御部3は、図3に示す電池管理テーブルを参照し、負荷9に接続されている5個の二次電池2a6~2a10のなかのいずれかの端子間電圧が、放電終止電圧に達したか否かを判断する(ステップ109参照)。いずれの二次電池2a6~2a10の端子間電圧も放電終止電圧に達しておらず、ステップ109の判断結果がNoである場合、制御部3はステップ109の処理を繰り返す。その後、いずれかの二次電池2a6~2a10の端子間電圧が放電終止電圧に達し、ステップ109の判断結果がYesになると、制御部3は、次に、他の5個の二次電池2a1~2a5が充電済みであるか否か、または、他の5個の二次電池2a1~2a5が交換済みの新たなものであるか否か、電池管理テーブルのSOC等を参照することで、判断する(ステップ110参照)。
【0035】
他の5個の二次電池2a1~2a5が充電済み、または、交換済みの新たなものであり、ステップ110の判断結果がYesである場合、制御部3は、次に、ステップ108の処理へ移行し、接続切替部5を制御して、5個の二次電池2a6~2a10を負荷9から切り離し、他の5個の二次電池2a1~2a5を負荷9に接続する切替制御を行う。その後、ステップ108~ステップ110の処理を繰り返す。
【0036】
その後、他の5個の二次電池2a6~2a10または2a1~2a5が充電済みでなく、かつ、交換済みの新たなものでなく、ステップ110の判断結果がNoになると、制御部3は、接続切替部5を制御して全ての二次電池2a1~2a10と負荷9との間の接続を切り離し、処理を終了する。したがって、蓄電装置1から負荷9への電源供給が一旦停止され、給電部2に収容される二次電池2a1~2a10が充電されるか、別の新たな二次電池に二次電池2a1~2a10が交換されることになる。
【0037】
このような本実施形態による蓄電装置1によれば、給電部2において並列接続される二次電池2a1~2a10の数は、図4、ステップ106で、制御部3の接続切替部5に対する制御により、電力測定部7で測定される電力量が属する範囲に対応して記憶部4の電池数決定テーブル(図2参照)に記憶される二次電池2a1~2a10の数に切り替えられる。したがって、給電部2において並列接続される二次電池2a1~2a10の数は、負荷9が消費する電力量に応じた適切な数に設定される。このため、負荷9の種類によっては、給電部2における全ての二次電池2a1~2a10を使用しなくても負荷9を稼働させることが出来、その際未使用の二次電池2a6~2a10または2a1~2a5を待機させることができ、その結果、二次電池2a1~2a10の好ましい運用が可能となる。
【0038】
また、本実施形態による蓄電装置1では、各二次電池2a1~2a10の端子間電圧を測定するBMU2b1~2b10を備え、制御部3は、上記のように、図4、ステップ107またはステップ109で、接続切替部5によって負荷9に接続されている二次電池2a1~2a5のいずれか、または二次電池2a6~2a10のいずれかについて測定される端子間電圧が放電終止電圧に達すると、負荷9に接続されていなかった所定の二次電池2a6~2a10または2a1~2a5を負荷9に接続する切り替え制御を接続切替部5に対して行う。
【0039】
収容する全ての二次電池から負荷に電力が供給される従来の蓄電装置では、いずれかの二次電池の端子間電圧が放電終止電圧に達すると、蓄電装置から負荷への電力供給を一旦停止し、蓄電装置が収容する二次電池を充電したり、充電された別の新たな二次電池に交換する必要があった。このため、その間、負荷の稼働が余儀なく停止されていた。しかし、本実施形態による蓄電装置1によれば、負荷9に接続されている二次電池2a1~2a5のいずれか、または二次電池2a6~2a10のいずれかの端子間電圧が放電終止電圧に達したことが、BMU2b1~2b5またはBMU2b6~2b10の測定によって判明すると、制御部3の接続切替部5に対する切り替え制御により、負荷9に接続されていなかった所定の二次電池2a6~2a10または2a1~2a5が負荷9に接続される。
【0040】
したがって、負荷9へは、負荷9に接続されていなかった所定の二次電池2a6~2a10または2a1~2a5から電力が供給し続けられ、従来の蓄電装置のように負荷9への電力供給を一旦停止する必要はない。このため、負荷9に対して安定して電力を供給することが可能となり、蓄電装置1に収容される二次電池2a1~2a10の好ましい運用を持続して行うことができる。
【0041】
また、本実施形態による蓄電装置1は、制御部3が、上記のように、給電部2から負荷9へ電力が供給され始めた直後の図4、ステップ106において、電力測定部7によって測定される電力量に対応する数の二次電池2a1~2a10を負荷9に接続する切替制御を接続切替部5に対して行う。したがって、本実施形態による蓄電装置1によれば、給電部2における二次電池2a1~2a10の並列接続数は、給電部2から負荷9へ電力が供給され始めた直後に、負荷9の消費電力に応じた数に制御部3によって切り替えられる。このため、給電部2から負荷9へ電力が供給され始めて時間が経ってから、二次電池2a1~2a10の並列接続数が適切な数に切り替えられる場合に比較して、二次電池2a1~2a10の好ましい運用に資することになる。
【0042】
また、本実施形態による蓄電装置1では、給電部2が、負荷9の稼働時にいずれかの二次電池2a1~2a10が負荷9に接続されて、負荷9の稼働時に負荷9へ電力が常時供給される。したがって、本実施形態による蓄電装置1によれば、負荷9の設置が困難であった場所でも負荷9に電力を供給でき、しかも、収容する二次電池2a1~2a10の好ましい運用を行える蓄電装置1が提供される。
【0043】
また、本実施形態による蓄電装置1は、工事による停電や計画停電等の際に、商用電源からの電力の供給を受けることを前提とする負荷9に対して電力を供給する場合にも使用することができ、工事が開始されてから終了するまでの期間にわたり、負荷9に対して電力を供給し続けることができる。このため、本実施形態による蓄電装置1は、工事による停電や計画停電等の際における、蓄電装置1に収容される二次電池2a1~2a10の運用においても、上記と同様な作用効果が発揮され、二次電池2a1~2a10の好ましい運用を行うことができる。
【0044】
なお、上記の実施形態では、二次電池2a1~2a10の並列接続数が、給電部2から負荷9へ電力が供給され始めた直後に、負荷9の消費電力に応じた数に切り替えられる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、二次電池2a1~2a10と負荷9とが接続されているときにはいつでも、負荷9の消費電力量が測定されて、測定された負荷9の消費電力量に応じた数の二次電池2a1~2a10が並列接続されるように構成してもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、制御部3は、図4、ステップ106において、10個の二次電池2a1~2a10から5個を選ぶときに、電池管理テーブルに記憶されている電池No.のうちの若い5個の番号を持つ二次電池2a1~2a5を選択したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御部3は、予め定義された所定のルール、例えば、偶数または奇数の電池No.を持つものを選択するルールなどに従って、10個の二次電池2a1~2a10から5個を選ぶように構成してもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、図3に示す電池管理テーブルにおいて、各二次電池2a1~2a10に電池No.を付与して、各二次電池2a1~2a10を電池No.で識別・管理する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各二次電池2a1~2a10にその製造番号といった固有の番号を付与して、固有の番号で各二次電池2a1~2a10を識別・管理するように構成してもよい。
【0047】
この場合、図4、ステップ110において、他の5個の二次電池2a1~2a5が充電済みであるか否か、または、他の5個の二次電池2a1~2a5が交換済みの新たなものであるか否かを、固有の番号によって識別することができる。すなわち、他の5個の二次電池2a1~2a5の固有番号が電池管理テーブルに登録されていない固有番号である場合には、交換済みの新たなものであると識別することができる。
【0048】
また、上記の実施形態において、蓄電装置1は、制御部3の制御に応じて、電池管理テーブルのうちの一部の内容、たとえば、使用状態などを図示しない表示部に表示するように構成してもよい。この場合、制御部3は、図4、ステップ104,106およびステップ108で二次電池2a1~2a10と負荷9との間の接続が確立したとき、現在負荷9に接続されて負荷9に給電している、使用状態が使用中の二次電池2a1~2a10を表示部8に表示させる。
【0049】
また、上記の実施形態において、蓄電装置1は、いずれかの二次電池2a1~2a10に放電終止電圧を検出した図4、ステップ105において、また、5個の二次電池2a6~2a10または2a1~2a5について充電済みおよび交換済みが検出されないステップ110において、図示しない無線/有線通信部を制御部3によって制御して、負荷9への電力供給が停止した旨を遠隔地の管理センタ等に通知するように構成してもよい。
【0050】
また、上記の実施形態においては、図2に示す電池数決定テーブルが、電力測定部7によって測定される電力量の各範囲に対応して、負荷9の推定される定格消費電力量および二次電池の使用すべき数を記憶し、制御部3が、電力測定部7の測定結果に基づいて負荷9の定格消費電力量を推定し、推定される定格消費電力量に応じて二次電池の数を決定していた。特に、DC/AC変換部6から負荷9に供給されている電力量を電力測定部7によって測定することで負荷9の定格消費電力量を推定していた。本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電池数決定テーブルが、電力測定部7によって測定される電力量の各範囲に対応して二次電池の使用すべき数だけを記憶し、電力測定部7の測定結果に基づいて、負荷9の定格消費電力量を推定することなく、使用すべき二次電池の数を決定するように構成してもよい。
【0051】
また、上記の実施の形態では、10個の二次電池モジュール2~210を個々に蓄電装置1の筐体に収容する構成としていた。本発明はこれに限定されず、例えば10個の二次電池モジュール2~210が1つの筐体として構成され、この1つの筐体が専用のキャスタ付き台車上に搭載される構成としても良い。この場合、10個の二次電池モジュール2~210からなる筐体を搭載した専用のキャスタ付き台車を蓄電装置1の筐体内に直接収容して負荷に給電する構成としても良い。これにより、二次電池モジュールの充電/交換に係る作業の負担を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明による蓄電装置は、商用電源からの電力の供給を受けることを前提としない負荷に対して電力を供給する場合のみならず、工事による停電や計画停電等の際に、商用電源からの電力の供給を受けることを前提とする負荷に対して電力を供給する場合にも、利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…蓄電装置、2…給電部、2~210…二次電池モジュール、2a1~2a10…二次電池、2b1~2b10…BMU(バッテリ・マネジメント・ユニット:電池電圧測定部)、2~210…二次電池モジュール、3…制御部、4…記憶部、5…接続切替部、6…DC/AC変換部、7…電力測定部、9…負荷
図1
図2
図3
図4