(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】配車管理装置、配車管理方法、及び配車管理システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20230825BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230825BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2019120895
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-03-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 事業者向け説明会にて公開した。(開催日:令和1年6月4日)
(73)【特許権者】
【識別番号】512200217
【氏名又は名称】GO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】若狭 達也
(72)【発明者】
【氏名】半田 豊和
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 隆由
(72)【発明者】
【氏名】織田 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】足立 宏
(72)【発明者】
【氏名】久田 歩
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0161752(US,A1)
【文献】国際公開第2018/176849(WO,A1)
【文献】特開2018-049408(JP,A)
【文献】特開2003-109190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06Q 10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得する配車依頼取得部と、
前記配車依頼取得部が前記配車依頼を取得した時刻である依頼時刻と、前記配車依頼を行ったユーザの識別情報と、前記乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部に記憶させる記憶制御部と、
空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、
前記空車検出部が前記空車の車両を検出すると、前記依頼順情報を参照し、前記乗車位置が前記空車の車両の位置から
所定距離以内のユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザ
、又は、前記空車の車両が前記空車の車両の位置から前記乗車位置に到着するまでにかかる到着見込時間が所定時間以内である前記乗車位置に対応するユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を前記空車の車両に指示する配車指示部と、
を備える配車管理装置。
【請求項2】
前記配車指示部は、前記ユーザが属する地域における前記車両の需給バランスに基づいて、前記
所定距離又は前記所定時間を調整する、
請求項1に記載の配車管理装置。
【請求項3】
前記配車依頼取得部は、前記配車依頼を取得する場合に、前記配車依頼を取得してから前記車両が前記乗車位置に到着するまでにかかる
前記到着見込時間を前記端末に表示させる、
請求項1又は2に記載の配車管理装置。
【請求項4】
前記配車依頼取得部は、前記配車依頼を取得してから、所定時間を経過しても前記配車依頼が行われない場合に、前記ユーザの端末から、前記配車依頼を継続するか否かを示す情報を取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の配車管理装置。
【請求項5】
前記配車指示部が前記依頼順情報を参照して配車指示を行うと、当該配車指示に対応するユーザに、前記配車依頼に対応する課金を行う課金部をさらに備える、
請求項1から4のいずれか1項に記載の配車管理装置。
【請求項6】
前記ユーザが属する地域における前記車両の需給バランスに基づいて前記配車依頼の料金を決定する料金決定部をさらに備える、
請求項5に記載の配車管理装置。
【請求項7】
前記料金決定部は、前記依頼順情報に基づく、前記配車依頼を行っているユーザの人数に基づいて前記配車依頼の料金を決定する、
請求項6に記載の配車管理装置。
【請求項8】
前記配車依頼取得部は、前記ユーザが属する地域における前記車両の需給バランスが逼迫していると判定したことを条件として前記配車依頼を取得する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の配車管理装置。
【請求項9】
前記配車依頼取得部は、前記ユーザの端末の位置か
ら所定範囲内に前記空車の車両が存在しないことを条件として前記配車依頼を取得する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の配車管理装置。
【請求項10】
コンピュータが実行する、
ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得するステップと、
前記配車依頼を取得した時刻である依頼時刻と、前記配車依頼を行ったユーザの識別情報と、前記乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部に記憶させるステップと、
空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出するステップと、
前記空車の車両が検出されると、前記依頼順情報を参照し、前記乗車位置が前記空車の車両の位置から
所定距離以内のユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザ
、又は、前記空車の車両が前記空車の車両の位置から前記乗車位置に到着するまでにかかる到着見込時間が所定時間以内である前記乗車位置に対応するユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を前記空車の車両に指示するステップと、
を備える配車管理方法。
【請求項11】
ユーザを輸送する車両の配車を依頼する前記ユーザの端末と、配車管理装置とを備える配車管理システムであって、
前記端末は、
前記ユーザから乗車位置を受け付け、前記配車管理装置に当該乗車位置への前記車両の配車依頼を行う配車依頼部を有し、
前記配車管理装置は、
前記端末から前記配車依頼と、前記乗車位置とを取得する配車依頼取得部と、
前記配車依頼取得部が前記配車依頼を取得した時刻である依頼時刻と、前記配車依頼を行ったユーザの識別情報と、前記乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部に記憶させる記憶制御部と、
空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、
前記空車検出部が前記空車の車両を検出すると、前記依頼順情報を参照し、前記乗車位置が前記空車の車両の位置から
所定距離以内のユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザ
、又は、前記空車の車両が前記空車の車両の位置から前記乗車位置に到着するまでにかかる到着見込時間が所定時間以内である前記乗車位置に対応するユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を前記空車の車両に指示する配車指示部と、
を有する、
配車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの配車を管理する配車管理装置、配車管理方法、及び配車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーの配車を管理するシステムが知られている。例えば、特許文献1には、タクシーが空車であるか否かを示すタクシーの状態と、タクシーの位置情報とを管理し、タクシーのユーザから現在位置を受け付けると、当該現在位置の周辺のタクシーを検索し、検索結果をユーザに通知するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるシステムでは、ユーザの現在位置の周辺に空車のタクシーが存在しない場合、ユーザは、空車のタクシーを再び検索する必要がある。当該ユーザが空車のタクシーを再び検索する前に、当該ユーザの近傍の他のユーザが空車のタクシーを検索した結果、空車のタクシーが見つかることがある。この場合、他のユーザの検索順が後であるにもかかわらず、他のユーザが先に配車依頼を行うことができてしまうという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、一例として、特定のユーザに優先的にタクシーを配車することができる配車管理装置、配車管理方法、及び配車管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る配車管理装置は、ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得する配車依頼取得部と、前記配車依頼取得部が前記配車依頼を取得した時刻である依頼時刻と、前記配車依頼を行ったユーザの識別情報と、前記乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部に記憶させる記憶制御部と、空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、前記空車検出部が前記空車の車両を検出すると、前記依頼順情報を参照し、前記乗車位置が前記空車の車両の位置から所定範囲内のユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を前記空車の車両に指示する配車指示部と、を備える。
【0007】
前記配車指示部は、前記ユーザが属する地域における前記車両の需給バランスに基づいて、前記所定範囲を調整してもよい。
前記配車依頼取得部は、前記配車依頼を取得する場合に、前記配車依頼を取得してから前記車両が前記乗車位置に到着するまでにかかる到着見込時間を前記端末に表示させてもよい。
【0008】
前記配車依頼取得部は、前記配車依頼を取得してから、所定時間を経過しても前記配車依頼が行われない場合に、前記ユーザの端末から、前記配車依頼を継続するか否かを示す情報を取得してもよい。
【0009】
前記配車管理装置は、前記配車指示部が前記依頼順情報を参照して配車指示を行うと、当該配車指示に対応するユーザに、前記配車依頼に対応する課金を行う課金部をさらに備えてもよい。
【0010】
前記配車管理装置は、前記ユーザが属する地域における前記車両の需給バランスに基づいて前記配車依頼の料金を決定する料金決定部をさらに備えてもよい。
前記料金決定部は、前記依頼順情報に基づく、前記配車依頼を行っているユーザの人数に基づいて前記配車依頼の料金を決定してもよい。
【0011】
前記配車依頼取得部は、前記ユーザが属する地域における前記車両の需給バランスが逼迫していると判定したことを条件として前記配車依頼を取得してもよい。
前記配車依頼取得部は、前記ユーザの端末の位置から前記所定範囲内に前記空車の車両が存在しないことを条件として前記配車依頼を取得してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る配車管理方法は、コンピュータが実行する、ユーザを輸送する車両の配車を依頼するユーザの端末から、前記車両の配車依頼と、前記ユーザの乗車位置とを取得するステップと、前記配車依頼を取得した時刻である依頼時刻と、前記配車依頼を行ったユーザの識別情報と、前記乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部に記憶させるステップと、空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出するステップと、前記空車の車両が検出されると、前記依頼順情報を参照し、前記乗車位置が前記空車の車両の位置から所定範囲内のユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を前記空車の車両に指示するステップと、を備える。
【0013】
本発明の第3の態様に係る配車管理システムは、ユーザを輸送する車両の配車を依頼する前記ユーザの端末と、配車管理装置とを備える配車管理システムであって、前記端末は、前記ユーザから乗車位置を受け付け、前記配車管理装置に当該乗車位置への前記車両の配車依頼を行う配車依頼部を有し、前記配車管理装置は、前記端末から前記配車依頼と、前記乗車位置とを取得する配車依頼取得部と、前記配車依頼取得部が前記配車依頼を取得した時刻である依頼時刻と、前記配車依頼を行ったユーザの識別情報と、前記乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部に記憶させる記憶制御部と、空車の車両と、当該空車の車両の位置とを検出する空車検出部と、前記空車検出部が前記空車の車両を検出すると、前記依頼順情報を参照し、前記乗車位置が前記空車の車両の位置から所定範囲内のユーザのうち、前記依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を前記空車の車両に指示する配車指示部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一例として、特定のユーザに優先的にタクシーを配車することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る配車管理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態に係る配車管理装置の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係るタクシー情報の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るユーザ端末の構成を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る乗車位置受付画面の一例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る配車依頼受付画面の一例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る優先配車依頼受付画面の一例を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る依頼順情報の一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係る配車管理装置における、優先配車依頼を受け付けるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第1実施形態に係る配車管理装置における、優先配車依頼を行ったユーザに対応する配車指示が空車のタクシーに行われるまでの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】第2実施形態に係る配車管理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
[配車管理システムSの概要]
図1は、第1実施形態に係る配車管理システムSの概要を説明するための図である。配車管理システムSは、ユーザを輸送する車両としてのタクシーの配車を依頼するユーザにタクシーを配車をするためのシステムであり、配車管理装置1と、ユーザ端末2と、乗務員端末3とを備える。なお、本実施形態において、タクシーは乗務員が乗車する有人の車両であるものとして説明を進めるが、これに限らず、無人で自動運転を行う無人のタクシーであってもよい。
【0017】
配車管理装置1は、タクシーの配車を管理するサーバであり、インターネット等の通信ネットワークを介して複数のユーザ端末2及び複数の乗務員端末3と接続されている。ユーザ端末2は、例えばタクシーを利用するユーザが使用するスマートフォンであり、タクシーの配車を行う乗客用プログラムとしての配車アプリケーションがインストールされている。乗務員端末3は、例えばタクシーの乗務員が利用するスマートフォンやタブレットであり、乗務員にタクシーの配車を依頼する乗務員用アプリケーションがインストールされている。
【0018】
本実施形態において、配車管理装置1は、ユーザ端末2から、タクシーの配車依頼と、ユーザの乗車位置とを取得する。配車管理装置1は、ユーザ端末2の位置を含む地域において、ユーザの乗車位置の周辺に空車のタクシーが存在すると、当該空車のタクシーに配車を指示する。
【0019】
配車管理装置1は、ユーザ端末2の位置を含む地域において、タクシーの需給バランスが逼迫しているとともに、ユーザの乗車位置の周辺に空車のタクシーが存在しない場合に、ユーザ端末2から、タクシーの優先配車依頼と、ユーザの乗車位置とを取得する。優先配車依頼とは、ユーザの乗車位置の周辺に空車のタクシーが見つかり次第、当該空車のタクシーに、当該ユーザに対して優先的に配車してもらうための依頼である。
【0020】
図1に示す例では、配車管理装置1は、ユーザ端末2としてのユーザ端末2A及びユーザ端末2Bのそれぞれから優先配車依頼と、乗車位置とを取得する(
図1の(1-1)、(1-2))。配車管理装置1は、優先配車依頼を受け付けると、ユーザの依頼時刻と、乗車位置とを関連付けた依頼順情報を記憶部に登録する(
図1の(2-1)、(2-2))。
【0021】
配車管理装置1は、優先配車依頼を受け付けるのと並行して、空車のタクシーと、当該タクシーの位置とを検出する。配車管理装置1は、空車のタクシーを検出すると、依頼順情報を参照し、当該空車のタクシーの位置から所定範囲内を乗車位置としたユーザのうち、依頼時刻が最も早いユーザを特定する。配車管理装置1は、特定したユーザに対応する配車指示を、当該空車のタクシーに行う(
図1の(3))。このようにすることで、タクシーの需給バランスが逼迫しておりタクシーを確保しづらい状況において、配車管理装置1は、優先配車依頼をしたユーザに優先的に配車することができる。
【0022】
[配車管理装置1の構成]
続いて、配車管理装置1の構成を説明する。
図2は、第1実施形態に係る配車管理装置1の構成を示す図である。
図2に示すように、配車管理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0023】
通信部11は、インターネット等の通信ネットワークを介してユーザ端末2及び乗務員端末3と通信を行うための通信インターフェースである。
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部12は、制御部13を、状態特定部131、配車依頼取得部132、記憶制御部133、空車検出部134、配車指示部135、課金部136及び通知部137として機能させる配車依頼プログラムを記憶している。
【0024】
また、記憶部12は、タクシーを識別する車両識別情報と、タクシーの位置を示す車両位置情報と、タクシーの状態を示す状態情報とを関連付けたタクシー情報を記憶する。車両位置情報は、例えば、タクシーが位置する経度及び緯度を示す情報である。また、状態情報には、「空車」、「配車」、「実車」が含まれる。なお、状態情報は、例えば、数字及び記号を組み合わせたコード情報であってもよい。
【0025】
図3は、第1実施形態に係るタクシー情報の一例を示す図である。
図3に示すように複数のタクシーのそれぞれに対応して、車両識別情報と、車両位置情報と、状態情報とが関連付けられていることが確認できる。なお、本実施形態において、タクシー情報は、地域ごとに分けられており、配車管理装置1は、ユーザの乗車位置に基づいて地域を決定し、当該地域に対応するタクシー情報を参照するものとする。
【0026】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶された配車管理プログラムを実行することにより、状態特定部131、配車依頼取得部132、記憶制御部133、空車検出部134、配車指示部135、課金部136及び通知部137として機能する。
【0027】
状態特定部131は、記憶部12に記憶されているタクシー情報を更新することにより、複数のタクシーのそれぞれの状態を管理する。具体的には、状態特定部131は、複数の乗務員端末3のそれぞれからタクシー情報を受信し、受信したタクシー情報に含まれている車両識別情報を特定する。状態特定部131は、記憶部12において、特定した車両識別情報に関連付けられている車両位置情報及び状態情報を、受信したタクシー情報に含まれている車両位置情報及び状態情報に更新する。これにより、タクシー情報が常に最新の状態に保たれる。
配車依頼取得部132、記憶制御部133、空車検出部134、配車指示部135、課金部136及び通知部137の機能の詳細については後述する。
【0028】
[ユーザ端末2の構成]
続いて、ユーザ端末2の構成を説明する。
図4は、第1実施形態に係るユーザ端末2の構成を示す図である。
図4に示すように、ユーザ端末2は、通信部21と、操作部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25とを備える。
【0029】
通信部21は、インターネット等の通信ネットワークを介して配車管理装置1と通信を行うための通信インターフェースである。
操作部22は、例えば、表示部23に重畳して設けられているタッチパネルであり、ユーザから操作入力を受け付ける。
表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部23は、制御部25の制御に応じて各種情報を表示する。
【0030】
記憶部24は、ROM及びRAM等を含む記憶媒体である。記憶部24は、制御部25が実行するプログラムを記憶している。例えば、記憶部24は、制御部25を配車依頼部251として機能させる乗客用プログラムを記憶している。
【0031】
制御部25は、例えばCPUである。制御部25は、記憶部24に記憶された乗客用プログラムを実行することにより、配車依頼部251として機能する。
【0032】
[制御部の詳細]
続いて、制御部13が備える配車依頼取得部132、記憶制御部133、空車検出部134、配車指示部135、課金部136及び通知部137と、制御部25が備える配車依頼部251との詳細について説明する。
【0033】
配車依頼部251は、ユーザ端末2のユーザからタクシーの乗車位置を受け付け、配車管理装置1に、当該乗車位置へのタクシーの配車依頼を行う。例えば、配車依頼部251は、操作部22においてユーザから配車依頼の開始操作を受け付けると、表示部23に、ユーザの乗車位置を受け付ける乗車位置受付画面を表示させ、当該画面を介して乗車位置を受け付ける。
【0034】
図5は、第1実施形態に係る乗車位置受付画面の一例を示す図である。
図5(a)に示すように、乗車位置受付画面には、ユーザ端末2の位置Pの周辺の地図と、乗車位置を決定する乗車位置決定ボタンB1とが表示される。配車依頼部251は、地図上で、ユーザの乗車位置を受け付けると、
図5(b)に示すように乗車位置を示すマークMを地図上に表示させるとともに、乗車位置を示す乗車位置情報を配車管理装置1に送信する。
【0035】
配車管理装置1の配車依頼取得部132は、乗車位置受付画面を介して乗車位置情報を取得すると、乗車位置情報が示す位置と、記憶部12に記憶されているタクシー情報とに基づいて、空車のタクシーが乗車位置に到着するまでの到着見込時間を算出し、当該到着見込時間をユーザ端末2に通知する。配車依頼部251は、
図5(b)に示すように、配車管理装置1から通知された到着見込時間を乗車位置受付画面に表示させる。
【0036】
配車依頼部251は、乗車位置決定ボタンB1が押下されると、表示部23に配車依頼受付画面を表示させ、ユーザから配車依頼を受け付ける。
図6は、第1実施形態に係る配車依頼受付画面の一例を示す図である。
図6に示すように、配車依頼受付画面には、ユーザ端末2の位置Pと、タクシーの乗車位置を示すマークMと、タクシーの配車依頼を受け付ける配車依頼受付ボタンB2とが表示される。配車依頼部251は、配車依頼受付ボタンB2が押下されると、タクシーの乗車位置と、ユーザを識別するユーザ識別情報とを含み、タクシーの配車を依頼することを示す配車依頼情報を配車管理装置1に送信する。
【0037】
ここで、ユーザ識別情報は、例えばユーザの氏名である。ユーザ識別情報は、配車依頼時にタクシーの乗務員に通知される。なお、ユーザ識別情報は、氏名に限らず、年齢や性別等、タクシーの乗務員がユーザ端末2のユーザを特定するための情報も含んでいてもよい。
【0038】
配車依頼取得部132は、ユーザ端末2から、配車依頼情報を受信することにより、タクシーの配車依頼と、ユーザの乗車位置とを取得する。配車依頼取得部132は、配車依頼を取得すると、当該配車依頼に対して、空車のタクシーに配車指示を行うか、優先配車依頼を行うかをユーザに問い合わせてユーザの要求に応じて優先配車依頼を行うかを判定する。配車依頼取得部132は、例えば、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスと、乗車位置から所定範囲内における空車のタクシーの存在状況と、依頼順情報が示す優先配車依頼の待ち状況とに基づいて、配車依頼に対して、優先配車依頼を行うかをユーザに問い合わせるか、優先配車依頼を行うかをユーザに問い合わせることなく配車指示を行うかを判定する。
【0039】
配車依頼取得部132は、記憶部12に記憶されているタクシー情報を参照し、受け付けた乗車位置から所定範囲内に空車のタクシーが存在するか否かを判定する。ここで、所定範囲は、例えば、空車のタクシーの位置から、乗車位置までの距離であることとするが、これに限らず、空車のタクシーの位置から、乗車位置までの到着見込時間であってもよい。
【0040】
配車依頼取得部132は、受け付けた乗車位置から所定範囲内に空車のタクシーが存在する場合に、優先配車依頼を行うかをユーザに問い合わせることなく配車指示部135に配車指示を行わせる。配車指示部135は、配車依頼情報に含まれる乗車位置から所定範囲内に位置するタクシーであって、当該乗車位置に最も近いタクシーに配車指示を行う。例えば、配車指示部135は、当該タクシーの乗務員が使用する乗務員端末3に、ユーザの乗車位置と、ユーザ識別情報とを含み、配車依頼を指示する指示情報を送信することにより、当該タクシーに配車指示を行う。ここで、配車指示部135は、乗務員端末3に、タクシーの位置からユーザの乗車位置までの最適なルートを通知するようにしてもよい。
【0041】
配車依頼取得部132は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスが逼迫していると判定した場合において、ユーザ端末2の位置から所定範囲内に空車のタクシーが存在しないことを条件として、優先配車依頼を示す優先配車依頼情報を取得するための画面をユーザ端末2に表示させる。
【0042】
この場合、配車依頼取得部132は、まず、ユーザ端末2において優先配車依頼をユーザから受け付けるための優先配車依頼画面を表示させる指示情報をユーザ端末2に送信する。ユーザ端末2の配車依頼部251は、当該指示情報を受信すると、優先配車依頼受付画面を表示部23に表示させる。
図7は、第1実施形態に係る優先配車依頼受付画面の一例を示す図である。
図7に示すように、優先配車依頼受付画面には、「優先配車依頼しますか?」というメッセージとともに、優先配車依頼を受け付ける優先配車依頼受付ボタンB3が表示される。なお、
図7に示す例では、優先配車依頼受付画面に、「優先配車依頼しますか?」というメッセージを表示させることとしたが、これに限らない。例えば、「空車待ちリストに登録しますか?」、「配車待機状態にしますか?」といった、システム、仕組み、サービスの名称等に合致した文言が表示されてもよい。
【0043】
ここで、配車依頼取得部132は、優先配車依頼を受け付ける場合に、優先配車依頼を受け付けてからタクシーがユーザの乗車位置に到着するまでにかかると予想される時間である到着見込時間をユーザ端末2に表示させる。例えば、配車依頼取得部132は、過去に優先配車依頼が行われたときの需給バランスと、乗車位置との関係に基づいて、到着見込時間を算出し、優先配車依頼画面を表示させる指示情報に、当該到着見込時間を含める。ユーザ端末2の配車依頼部251は、当該指示情報に含まれる到着見込時間を優先配車依頼受付画面に表示させる。
図7では、優先配車依頼受付ボタンB3の上部に、到着見込時間として「約10-15分で到着」と表示されていることが確認できる。このようにすることで、配車管理装置1は、優先配車依頼が行われ、タクシーがユーザの乗車位置に到着するまでの到着見込時間をユーザに把握させることができる。
【0044】
配車依頼取得部132は、例えば、記憶部12に記憶されているタクシー情報を定期的に参照することにより、ユーザが属する地域におけるタクシーの供給量と需要量とを予測する。配車依頼取得部132は、例えば、予測したタクシーの供給量に対する需要量の割合に基づいて需給バランスを示す指標値を算出する。本実施形態では、需給バランスを示す指標値が高ければ高いほど、需給バランスが逼迫しているものとする。配車依頼取得部132は、需給バランスを示す指標値が第1の閾値を超えているか否かを判定することにより、需給バランスが逼迫しているか否かを判定する。
【0045】
配車依頼取得部132は、ユーザの乗車位置から所定範囲内に空車のタクシーが存在する場合に、依頼順情報を参照し、当該ユーザの乗車位置から所定範囲内に優先配車依頼を行ったユーザが存在するか否かを判定してもよい。そして、配車依頼取得部132は、優先配車依頼を行っている他のユーザが存在しないと判定したときに、優先配車依頼を行うかをユーザに問い合わせることなく配車指示部135に配車指示を行わせてもよい。また、配車依頼取得部132は、優先配車依頼を行ったユーザが存在すると判定したときには、通常の配車依頼を取得したとしても配車指示を行わずに、優先配車依頼画面を表示させる指示情報をユーザ端末2に送信し、ユーザから優先配車依頼を受け付けるようにしてもよい。
【0046】
また、配車依頼取得部132は、需給バランスが逼迫していない場合に優先配車依頼を無料で受け付け、需給バランスが逼迫している場合に、優先配車依頼を有料で受け付けるようにしてもよい。例えば、配車依頼取得部132は、需給バランスを示す指標値が第1の閾値を超えており、需給バランスが逼迫していると判定した場合に、指示情報に料金を示す情報を含める。ユーザ端末2の配車依頼部251は、指示情報に料金を示す情報が含まれている場合、優先配車依頼受付画面に、優先配車依頼を有料で受け付ける旨を示すメッセージを表示させる。ユーザ端末2の配車依頼部251は、指示情報に料金を示す情報が含まれていない場合、優先配車依頼受付画面に、優先配車依頼を無料で受け付ける旨を示すメッセージを表示させてもよい。
【0047】
また、配車依頼取得部132は、空車のタクシーが乗車位置に到着するまでの到着見込時間が第2の閾値を超えている場合には、配車が成立しないと判定し、ユーザ端末2に優先配車依頼受付画面を表示させないようにしてもよい。この場合、配車依頼取得部132は、到着見込時間が第2の閾値を超えている場合に、優先配車依頼受付画面を表示させる指示情報をユーザ端末2に送信しないように制御する。
【0048】
また、配車依頼取得部132は、配車依頼に対して、空車のタクシーに配車指示を行った後、当該空車のタクシーから配車指示に対応する配車の承諾を示す情報を取得してもよい。配車依頼取得部132は、承諾を示す情報を取得しなかった場合には、配車が成立しないと判定し、ユーザ端末2に優先配車依頼受付画面を表示させるようにしてもよい。
【0049】
また、配車依頼取得部132は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスが逼迫していると判定した場合において、ユーザ端末2の位置から所定範囲内に空車のタクシーが存在しないとき、ユーザ端末2に優先配車依頼受付画面を表示させることとしたが、これに限らない。配車依頼取得部132は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスが逼迫しているか否かにかかわらず、ユーザ端末2の位置から所定範囲内に空車のタクシーが存在しないことを条件としてユーザ端末2に優先配車依頼受付画面を表示させ、ユーザ端末2において優先配車依頼を受け付けるようにしてもよい。
【0050】
配車依頼部251は、優先配車依頼受付ボタンB3が押下されると、タクシーの乗車位置と、ユーザ識別情報と、ユーザ端末2を識別する端末識別情報とを含み、タクシーの優先配車依頼を行う優先配車依頼情報を配車管理装置1に送信する。配車依頼取得部132は、ユーザ端末2から優先配車依頼情報を受信することにより、優先配車依頼と、ユーザの乗車位置を示す乗車位置情報とを取得する。
【0051】
ここで、端末識別情報は、例えば、乗客用アプリケーションをインストールする際に設定された、ユーザ端末2に固有の文字列情報である。端末識別情報は、例えば、後述する、優先配車依頼を継続するか否かを問い合わせる場合に用いられる。
【0052】
記憶制御部133は、配車依頼取得部132が優先配車依頼を受け付けた時刻である依頼時刻と、優先配車依頼を行ったユーザのユーザ識別情報と、ユーザ端末2を識別する端末識別情報と、乗車位置を示す乗車位置情報とを関連付けて依頼順情報として記憶部12に記憶させる。ここで、乗車位置情報は、例えば、経度及び緯度を示す情報である。
【0053】
図8は、第1実施形態に係る依頼順情報の一例を示す図である。
図8に示すように、各ユーザの優先配車依頼に対応して、依頼時刻、乗車位置、ユーザ識別情報、端末識別情報が関連付けられていることが確認できる。
【0054】
空車検出部134は、空車のタクシーと、当該空車のタクシーの位置とを検出する。例えば、空車検出部134は、第1の所定時間(例えば1秒)おきに、記憶部12に記憶されているタクシー情報を参照し、状態情報が「空車」のタクシーを検出する。空車検出部134は、空車のタクシーを検出すると、当該空車のタクシーに対応する車両位置情報を特定することにより、当該空車のタクシーの位置を検出する。
【0055】
配車指示部135は、空車検出部134が空車のタクシーを検出すると、記憶部12に記憶されている依頼順情報を参照し、乗車位置が当該空車のタクシーの位置から所定範囲内に存在するユーザのうち、依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を空車のタクシーに指示する。
【0056】
例えば、配車指示部135は、空車検出部134が空車のタクシーを検出すると、記憶部12に記憶されている依頼順情報を参照し、依頼時刻が最も早いユーザを選択する。配車指示部135は、選択したユーザの乗車位置が、空車検出部134が検出したタクシーの位置から所定範囲内であるか否かを判定する。配車指示部135は、選択したユーザの乗車位置が、空車検出部134が検出したタクシーの位置から所定範囲内であると判定すると、検出した空車のタクシーに、当該ユーザに対応する配車指示を行う。配車指示部135は、配車指示を行ったユーザに対応する依頼順情報を記憶部12から消去する。
【0057】
なお、配車指示部135は、配車指示を行ったユーザに対応する依頼順情報を記憶部12から消去することとしたが、これに限らない。配車指示部135は、配車指示を行ったユーザに対応する依頼順情報に、配車指示済を示す情報を関連付けて記憶させてもよい。この場合、配車指示部135は、空車検出部134が空車のタクシーを検出すると、記憶部12に記憶されている依頼順情報のうち、配車指示済を示す情報が関連付けられていない依頼順情報を参照し、依頼時刻が最も早いユーザを選択するものとする。さらに、配車指示部135は、乗務員側から配車のキャンセルが行われた場合に、優先配車依頼を継続するかをユーザに問い合わせて、ユーザが継続に同意した場合には、当該キャンセルに対応する依頼順情報に関連付けられている配車指示済を示す情報を消去するものとする。このようにすることで、乗務員側がキャンセルを行った場合であっても、優先配車依頼を継続することができる。
【0058】
配車指示部135は、選択したユーザの乗車位置が、空車検出部134が検出したタクシーの位置から所定範囲外であると判定すると、依頼時刻が次に早いユーザを選択する。以降、配車指示部135は、選択したユーザの乗車位置が、検出した空車のタクシーの位置から所定範囲内であるか否かに基づいて、当該ユーザに対応する配車指示を行うか、次のユーザを選択するかを繰り返す。
【0059】
このようにすることで、配車管理装置1は、空車のタクシーが発生した場合に、当該空車のタクシーの位置から所定範囲内において、優先配車依頼を行った時刻が早いユーザから順番にタクシーを配車することができる。また、配車管理装置1は、第1の所定時間おきに、空車のタクシーを検出する。そして、配車管理装置1は、空車のタクシーが検出されたことに応じて、依頼順情報を参照して、配車依頼を空車のタクシーに対して行うので、空車が発生したことに応じて速やかに優先配車依頼に対応する配車指示を行うことができる。
【0060】
配車指示部135は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスに基づいて所定範囲を調整するようにしてもよい。例えば、配車指示部135は、タクシーの需給バランスが逼迫していると判定すると、逼迫していない場合(配車依頼に対して配車指示を直接行う場合)に比べて所定範囲を小さくする。配車指示部135は、所定範囲の下限値を設けるとともに、需給バランスの指標値が高ければ高いほど、所定範囲が狭くなるように所定範囲を調整する。この場合、記憶部12に、需給バランスを示す複数の指標値と、当該指標値に対応する所定範囲とを関連付けた調整用テーブルを記憶させておく。配車指示部135は、当該調整用テーブルを参照し、需給バランスを示す複数の指標値に対応する所定範囲を特定することにより、所定範囲を調整する。
【0061】
なお、配車指示部135は、所定範囲の調整を、一律に全てのタクシーに行ってもよいし、事業者や乗務員ごとに行ってもよい。また、配車指示部135は、配車前に所定範囲を調整してもよいし、配車の有無に関わらず所定範囲を調整してもよい。配車指示部135は、需給バランスが所定の状態である場合、又は現在時刻が所定時間帯に含まれる場合において、配車前に所定範囲を調整してもよいし、配車の有無に関わらず所定範囲を調整してもよい。例えば、配車指示部135は、需給バランスが逼迫していない状態である場合又は現在時刻が閑散時間帯に含まれる場合に、所定範囲を広くし、現在時刻が繁忙時間帯に含まれる場合に、所定範囲を狭くしてもよい。このようにすることで、配車管理装置1は、需給バランス及び時間帯に適した配車指示を行うことができる。
【0062】
所定範囲は、配車依頼に対して配車指示を直接行う場合における空車のタクシーの検出時にも適用される。所定範囲を狭くすることで、配車管理装置1が、需給バランスが逼迫している場合にユーザ端末2から配車依頼を取得したことに応じて、配車指示を直接行う確率を低くし、結果として、優先配車依頼に対して配車指示が行われる確率を上昇させることができる。また、需給バランスが逼迫している場合に、所定範囲を狭くしておくことにより、優先配車依頼に対応する配車指示が空車のタクシーに行われてから当該タクシーが乗車位置に到着するまでの時間を短くすることができる。
【0063】
配車依頼取得部132は、優先配車依頼を受け付けてから、優先配車依頼のキャンセルを受け付けてもよい。例えば、配車依頼取得部132は、優先配車依頼を受け付けてから、当該優先配車依頼に対応する配車指示が空車のタクシーに対して行われるまでは、キャンセルを無料で受け付ける。また、配車依頼取得部132は、優先配車依頼に対応する配車指示が空車のタクシーに対して行われた後は、キャンセルを有料で受け付ける。
【0064】
配車依頼取得部132は、優先配車依頼を受け付けてから、第2の所定時間を経過しても配車指示が行われない場合に、ユーザから、優先配車依頼を継続するか否かの選択を受け付けてもよい。例えば、配車依頼取得部132は、依頼順情報を参照し、依頼時刻から第2の所定時間(例えば、10分)経過している優先配車依頼の端末識別情報を特定し、当該優先配車依頼を行ったユーザのユーザ端末2に、優先配車依頼を継続するか、キャンセルするかの選択を受け付ける継続受付画面を表示させる。この場合、キャンセルは無料で受け付けるものとする。
【0065】
配車依頼取得部132は、継続受付画面において、優先配車依頼をキャンセルすることを示す選択を受け付けると、当該優先配車依頼に対応する依頼順情報を記憶部12から消去する。この場合、配車管理装置1は、優先配車依頼を継続しなかったユーザに対してクーポン等の特典を付与してもよい。このようにすることで、配車管理装置1は、ユーザの不満を軽減するとともに、優先配車依頼を行っているユーザの数を減少させることができる。
【0066】
なお、配車依頼取得部132は、継続受付画面において、優先配車依頼を継続することを示す選択を受け付けた場合、依頼順情報を更新しないものとし、優先配車依頼を継続することを選択したユーザの依頼順が下がらないようにする。
【0067】
また、配車依頼取得部132は、配車依頼を受け付ける前に、乗務員端末3に、配車アプリケーションを操作しているユーザの位置を表示させるようにしてもよい。この場合において、乗務員端末3は、ユーザの選択を受け付け、タクシーの位置から、選択されたユーザの位置までのルートを表示させるようにしてもよい。
【0068】
課金部136は、配車指示部135が依頼順情報を参照して配車指示を行うと、当該配車指示に対応するユーザに、優先配車依頼に対応する課金を行う。例えば、課金部136は、優先配車依頼に対応する料金を、配車指示を行った空車のタクシーの乗務員端末3に通知し、運賃の支払時に、優先配車依頼に対応する料金を徴収できるようにする。なお、ユーザが、クレジットカードの情報等を配車アプリケーションに登録している場合、課金部136は、優先配車依頼に対応する料金を、当該クレジットカードの情報を用いてユーザに請求してもよい。
【0069】
課金部136は、配車依頼取得部132が、継続受付画面において、優先配車依頼を継続することを示す選択を受け付けた場合、優先配車依頼に対応する料金を割引したうえで課金を行ったり、優先配車依頼を無償化して課金を行わないようにしたりしてもよい。このようにすることで、優先配車依頼を継続することを選択したユーザの不満を軽減することができる。
【0070】
通知部137は、配車指示部135が依頼順情報を参照して配車指示を行うと、当該配車指示に対応するユーザに、優先配車依頼に対応してタクシーの配車が行われたことを通知する。この場合、通知部137は、タクシーの位置と、乗車位置とに基づく到着見込時間を算出し、当該到着見込時間をユーザ端末2に通知する。これにより、ユーザは、あとどのくらいでタクシーが到着するかを容易に把握することができる。
【0071】
[配車管理装置1における処理の流れ]
続いて、配車管理装置1における処理の流れについて説明する。
図9は、第1実施形態に係る配車管理装置1における、優先配車依頼を受け付けるまでの処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートにおける処理と並行して、状態特定部131により、記憶部12に記憶されているタクシー情報の更新が行われており、タクシー情報が常に最新の状態に保たれているものとする。
【0072】
まず、配車依頼取得部132は、ユーザ端末2から、タクシーの配車依頼を取得する(S1)。
続いて、配車依頼取得部132は、タクシーの需給バランスが逼迫しているか否かを判定する(S2)。配車依頼取得部132は、タクシーの需給バランスが逼迫していると判定すると、S3に処理を移す。配車依頼取得部132は、タクシーの需給バランスが逼迫していないと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了する。
【0073】
続いて、配車依頼取得部132は、記憶部12に記憶されている依頼順情報を参照し、配車依頼を行ったユーザの乗車位置から所定範囲において優先配車依頼中のユーザが存在するか否かを判定する(S3)。配車依頼取得部132は、優先配車依頼中のユーザが存在すると判定すると、S7に処理を移し、優先配車依頼中のユーザが存在しないと判定すると、S4に処理を移す。
【0074】
続いて、配車依頼取得部132は、記憶部12に記憶されているタクシー情報を参照してユーザの乗車位置から所定範囲内に空車のタクシーがあるか否かを判定する(S4)。配車依頼取得部132は、乗車位置から所定範囲内に空車のタクシーがあると判定すると、S5に処理を移し、乗車位置から所定範囲内に空車のタクシーがないと判定すると、S7に処理を移す。
【0075】
配車指示部135は、空車のタクシーに対して、S1において取得した配車依頼に対応する配車指示を行う(S5)。
配車依頼取得部132は、タクシーの配車指示に対してタクシーの乗務員から承諾があったか否かを判定する(S6)。配車依頼取得部132は、承諾があったと判定すると、本フローチャートに係る処理を終了し、承諾がないと判定すると、S7に処理を移す。
【0076】
S7において、配車依頼取得部132は、優先配車依頼を受け付けるための優先配車依頼画面を表示させる指示情報をユーザ端末2に送信し、優先配車依頼画面をユーザ端末2に表示させる。その後、記憶制御部133は、配車依頼取得部132がユーザ端末2から優先配車依頼を取得すると、依頼順情報を記憶部12に記憶させる。
【0077】
図10は、第1実施形態に係る配車管理装置1における、優先配車依頼を行ったユーザに対応する配車指示が空車のタクシーに行われるまでの処理の流れを示すフローチャートである。なお、本フローチャートにおける処理と並行して、状態特定部131により、記憶部12に記憶されているタクシー情報の更新が行われているものとする。
【0078】
まず、配車指示部135は、空車検出部134が空車のタクシーを検出したか否かを判定する(S11)。配車指示部135は、空車検出部134が空車のタクシーを検出したと判定すると、S12に処理を移し、空車検出部134が空車のタクシーを検出していないと判定すると、S11を再実行する。
【0079】
S12において、配車指示部135は、記憶部12に記憶されている依頼順情報を参照し、優先配車依頼を行った全てのユーザを選択済か否かを判定する。配車指示部135は、全てのユーザを選択済と判定すると、S11に処理を移し、全てのユーザを選択していないと判定すると、S13に処理を移す。
【0080】
S13において、配車指示部135は、記憶部12に記憶されている依頼順情報を参照し、未選択のユーザのうち、依頼時刻が最も早いユーザを選択する。
続いて、配車指示部135は、選択したユーザの乗車位置が、S11において検出された空車のタクシーの位置から所定範囲内か否かを判定する(S14)。配車指示部135は、選択したユーザの乗車位置が、空車のタクシーの位置から所定範囲内と判定すると、S15に処理を移し、所定範囲外と判定すると、S12に処理を移す。
【0081】
S15において、配車指示部135は、S11において検出された空車のタクシーに、選択したユーザに対応する配車を指示する。
配車指示部135は、配車指示を行ったユーザに対応する依頼順情報を記憶部12から消去し(S16)、その後、S11に処理を移す。
【0082】
[変形例]
上述の実施形態では、ユーザが属する地域にタクシーが走行していることを前提として説明を行ったが、これに限らない。配車依頼取得部132は、ユーザが属する地域において、空車のタクシーが存在しない場合に優先配車依頼を有料又は無料で受け付けるようにしてもよい。記憶制御部133は、優先配車依頼を受け付けたことに応じて、配車依頼取得部132が優先配車依頼を受け付けた時刻である依頼時刻と、優先配車依頼を行ったユーザのユーザ識別情報と、ユーザ端末2を識別する端末識別情報と、乗車位置を示す乗車位置情報とを関連付けて依頼順情報として記憶部12に記憶させてもよい。そして、空車検出部134が、ユーザが属する地域において空車のタクシーを検出したことに応じて、配車指示部135が、記憶部12に記憶されている依頼順情報を参照し、当該地域に存在するユーザのうち、依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を空車のタクシーに指示するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザは、自身が属する地域においてタクシーが走行していない場合に、複数回操作をすることなく、タクシーの配車を待つことができる。
【0083】
[第1実施形態における効果]
以上説明したように、第1実施形態に係る配車管理装置1は、ユーザ端末2からタクシーの優先配車依頼と、ユーザの乗車位置とを受け付けると、優先配車依頼を受け付けた時刻である依頼時刻と、優先配車依頼を行ったユーザの識別情報と、乗車位置とを関連付けて依頼順情報として記憶部12に記憶させる。配車管理装置1は、空車のタクシーを検出すると、記憶部12の依頼順情報を参照し、検出したタクシーの位置から所定範囲内に存在するユーザのうち、依頼時刻が最も早いユーザに対応する配車を空車のタクシーに指示する。このようにすることで、配車管理装置1は、優先配車依頼をしたユーザにタクシーを優先的に配車することができる。
【0084】
<第2実施形態>
[需給バランスに基づいて優先配車依頼の料金を決定する]
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る配車管理装置1は、需給バランスに基づいて優先配車依頼の料金を決定する点で第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態に係る配車管理装置1について説明する。なお、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0085】
図11は、第2実施形態に係る配車管理装置1の構成を示す図である。第2実施形態に係る配車管理装置1は、料金決定部138をさらに備える。
【0086】
料金決定部138は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスに基づいて優先配車依頼の料金を決定する。例えば、料金決定部138は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスの指標値が高ければ高いほど、優先配車依頼の料金が高くなるように料金を決定する。また、料金決定部138は、さらに依頼順情報を参照し、優先配車依頼を行っているユーザの数が多ければ多いほど、優先配車依頼の料金が高くなるように料金を決定してもよい。
【0087】
配車依頼取得部132は、優先配車依頼を受け付けるための優先配車依頼画面に、料金決定部138が決定した料金を表示させる。
課金部136は、配車指示部135が依頼順情報を参照して配車依頼を行うと、当該配車依頼に対応するユーザに、料金決定部138が決定した料金を、優先配車依頼に対応する料金として課金する。
【0088】
[第2実施形態における効果]
以上説明したように、第2実施形態に係る配車管理装置1は、ユーザが属する地域におけるタクシーの需給バランスに基づいて優先配車依頼の料金を決定し、依頼順情報を参照して配車依頼を行うと、当該配車依頼に対応するユーザに、当該料金を、優先配車依頼に対応する料金として課金する。配車管理装置1は、このように、タクシーの需給バランスが逼迫している場合に優先配車依頼の料金を調整することにより、優先配車依頼の受付数を調整することができる。
【0089】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施形態も、本発明の実施形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施形態の効果は、もとの実施形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0090】
1 配車管理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 状態特定部
132 配車依頼取得部
133 記憶制御部
134 空車検出部
135 配車指示部
136 課金部
137 通知部
2 ユーザ端末
21 通信部
22 操作部
23 表示部
24 記憶部
25 制御部
251 配車依頼部
3 乗務員端末
S 配車管理システム