(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20230825BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
(21)【出願番号】P 2019161860
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】戸田 順也
(72)【発明者】
【氏名】須田 貴志
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-214269(JP,A)
【文献】特開2011-181867(JP,A)
【文献】特開2009-302414(JP,A)
【文献】特開2007-302311(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部に対して第1方向で第2側から第1側に相対変位させることで前記本体部に対して装着可能な搬送部品とを備え、
前記本体部は、
前記本体部の面から前記第1方向に垂直な第2方向の第3側に突出
形成された第1突起部と、第1係合部とを有し、
前記搬送部品は、
搬送部品本体の面から前記第2方向で前記第3側とは逆の第4側に突出
形成された第2突起部と、第2係合部とを有し、
前記本体部に対して前記搬送部品が装着された装着状態で、前記第2係合部は、前記第2方向で前記第1係合部に係合することで前記第2方向における前記本体部と前記搬送部品との間の相対変位を規制し、
前記装着状態で、前記第2突起部は、前記第1突起部に対して前記第1方向の前記第1側に位置し、前記第1方向で前記第1突起部に係合することで前記本体部に対する前記搬送部品の前記第1方向の前記第2側への相対変位を規制し、
前記第2突起部に前記第2方向で前記第3側に向けて所定荷重を与えたときの、前記第2突起部の前記第2方向の変位量は、前記第1突起部に前記第2方向で前記第4側に向けて同所定荷重を与えたときの、前記第1突起部の前記第2方向の変位量よりも小さい、基板収納容器。
【請求項2】
前記装着状態で、前記第1突起部の前記第3側の頂部と前記第2突起部の前記第4側の頂部とは、前記第2方向の重なる範囲が、1.5mm~3.5mmである、請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記第1突起部は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に垂直な第3方向に視て、前記第3側に頂点が位置する三角形状を有し、
前記第2突起部における前記第4側の頂部は、前記第3方向に視て、前記第4側に頂点が位置する三角形状を有する、請求項1又請求項2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記第1突起部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で
前記第2側の辺の方が前記第1側の辺よりも前記第2方向に対する傾斜角度が大きく、
前記第2突起部における前記頂部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で前記第1側の辺の方が前記第2側の辺よりも前記第2方向に対する傾斜角度が大きい、請求項3に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記第2突起部の前記頂部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で前記第1側の辺の、前記傾斜角度が、60°~80°の範囲内である、請求項4に記載の基板収納容器。
【請求項6】
前記第2突起部の前記頂部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で前記第2側の辺の、前記傾斜角度が、0°~5°の範囲内である、請求項4又は請求項5に記載の基板収納容器。
【請求項7】
前記第2突起部の前記第3側の基部は、前記第3方向に視て、前記第2方向に対して傾斜する、請求項3から請求項6のうちのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項8】
前記基部は、前記第3方向に視て、前記第2方向に対して前記第1側で40°~50°の範囲内の角度をなし、かつ、前記第2方向に対して前記第2側で40°~50°の範囲内の角度をなす、請求項7に記載の基板収納容器。
【請求項9】
前記第2突起部の前記第3側の基部は、前記第1方向に凹む穴又は前記第1方向の貫通穴を有する、請求項1から請求項8のうちのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項10】
前記第1突起部の高さは、6.5mm~10mmの範囲内である、請求項1から請求項9のうちのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項11】
前記本体部は、前記第1突起部に前記第2方向で前記第4側に向けて前記所定荷重を与えたときに、前記第1突起部まわりの部位が弾性変形することで、前記第1突起部の前記第2方向の変位が実現される、請求項1から請求項10のうちのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送部品を備える基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハなどの基板は、基板収納容器の内部空間に収納された状態で、倉庫での保管、半導体加工装置間での搬送、工場間での輸送などが行われている。この基板収納容器は、天井走行装置やロボットなどの自動搬送装置で取扱ができるように、容器本体の天井面に搬送部品が取付けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器本体の天井面に、ガイド片と干渉係合部とを組み合わせて二股部が形成された取付機構を設け、取付機構の二股部に搬送用の搬送部品に設けられた弾性係合片を着脱自在に取付けるようにした基板収納容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、弾性係合片の係合による取付け構造では、基板収納容器の搬送中の急停止又は移動による衝撃により、搬送部品が容器本体から外れる虞があった。また、作業者が取扱う場合でも、搬送部品が容器本体から簡単に外れないようにすることが望まれていた。
【0006】
そこで、1つの側面では、本発明は、搬送部品の装着力を高めた基板収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
(1)本体部と、前記本体部に対して第1方向で第2側から第1側に相対変位させることで前記本体部に対して装着可能な搬送部品とを備え、前記本体部は、前記第1方向に垂直な第2方向の第3側に突出する第1突起部と、第1係合部とを有し、前記搬送部品は、前記第2方向で前記第3側とは逆の第4側に突出する第2突起部と、第2係合部とを有し、前記本体部に対して前記搬送部品が装着された装着状態で、前記第2係合部は、前記第2方向で前記第1係合部に係合することで前記第2方向における前記本体部と前記搬送部品との間の相対変位を規制し、前記装着状態で、前記第2突起部は、前記第1突起部に対して前記第1方向の前記第1側に位置し、前記第1方向で前記第1突起部に係合することで前記本体部に対する前記搬送部品の前記第1方向の前記第2側への相対変位を規制し、前記第2突起部に前記第2方向で前記第3側に向けて所定荷重を与えたときの、前記第2突起部の前記第2方向の変位量は、前記第1突起部に前記第2方向で前記第4側に向けて同所定荷重を与えたときの、前記第1突起部の前記第2方向の変位量よりも小さい、ことを特徴とする基板収納容器である。
【0009】
(2)上記(1)の構成において、前記装着状態で、前記第1突起部の前記第3側の頂部と前記第2突起部の前記第4側の頂部とは、前記第2方向の重なる範囲が、1.5mm~3.5mmである、ことを特徴とする。なお、本明細書において、α~βで表す数値範囲は、α以上、β以下の範囲を表す。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記第1突起部は、前記第1方向及び前記第2方向の双方に垂直な第3方向に視て、前記第3側に頂点が位置する三角形状を有し、前記第2突起部における前記第4側の頂部は、前記第3方向に視て、前記第4側に頂点が位置する三角形状を有する、ことを特徴とする。
【0011】
(4)上記(3)の構成において、前記第1突起部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で第2側の辺の方が前記第1側の辺よりも前記第2方向に対する傾斜角度が大きく、前記第2突起部における前記頂部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で前記第1側の辺の方が前記第2側の辺よりも前記第2方向に対する傾斜角度が大きい、ことを特徴とする。
【0012】
(5)上記(4)の構成において、前記第2突起部の前記頂部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で前記第1側の辺の、前記傾斜角度が、60°~80°の範囲内である、ことを特徴とする。
【0013】
(6)上記(4)又は(5)の構成において、前記第2突起部の前記頂部の前記三角形状は、前記第3方向に視て、前記装着状態で前記第2側の辺の、前記傾斜角度が、0°~5°の範囲内である、ことを特徴とする。
【0014】
(7)上記(3)~(6)のうちいずれかの構成において、前記第2突起部の前記第3側の基部は、前記第3方向に視て、前記第2方向に対して傾斜する、ことを特徴とする。
【0015】
(8)上記(7)の構成において、前記基部は、前記第3方向に視て、前記第2方向に対して前記第1側で40°~50°の範囲内の角度をなし、かつ、前記第2方向に対して前記第2側で40°~50°の範囲内の角度をなす、ことを特徴とする。
【0016】
(9)上記(1)~(8)のうちいずれかの構成において、前記第2突起部の前記第3側の基部は、前記第1方向に凹む穴又は前記第1方向の貫通穴を有する、ことを特徴とする。
【0017】
(10)上記(1)~(9)のうちいずれかの構成において、前記第1突起部の高さは、6.5mm~10mmの範囲内である、ことを特徴とする。
【0018】
(11)上記(1)~(10)にうちいずれかの構成において、前記本体部は、前記第1突起部に前記第2方向で前記第4側に向けて前記所定荷重を与えたときに、前記第1突起部まわりの部位が弾性変形することで、前記第1突起部の前記第2方向の変位が実現される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
1つの側面では、本発明によれば、搬送部品の装着力を高めた基板収納容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る基板収納容器を示す分解斜視図である。
【
図2】基板収納容器の搬送部品が装着された部分を示す平面図である。
【
図4】搬送部品の部品側突起部を示す斜視図である。
【
図5】搬送部品の部品側突起部を示す側面図である。
【
図6】容器本体の搬送部品装着部を示す斜視図である。
【
図7】搬送部品の装着方法を示す説明図であり、
図2のA-A線で切断した部分断面図である。
【
図8】搬送部品の装着方法を示す説明図であり、
図2のB-B線で切断した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。また、図中には、前後方向をX軸方向(第1方向)、上下方向をY軸方向(第2方向)、X軸方向及びY軸方向と直交する左右方向をZ軸方向(第3方向)として示した。
【0022】
[基板収納容器]
基板収納容器について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器の分解斜視図である。
図2は、基板収納容器の搬送部品が装着された部分を示す平面図である。
【0023】
図1に示される基板収納容器1は、蓋体10と、複数枚の基板Wを収納する容器本体20(本体部の一例)とを備えている。基板収納容器1に収納される基板Wとしては、直径が300mmや450mmの半導体ウェーハ、マスクガラスなどが挙げられる。
【0024】
容器本体20は、開口部21を形成する正面開口枠と、背面と、左右の側面23と、上面22と、底面とで形成される、いわゆるフロントオープンボックスタイプのものである。この容器本体20の開口部21は、蓋体10により閉鎖される。容器本体20の上面22には、後述する搬送部品30が取付けられている。
【0025】
これらの蓋体10及び容器本体20は、所定の樹脂を含有する成形材料により複数の部品がそれぞれ射出成形され、複数の部品が組立てられて構成されている。成形材料中の所定の樹脂としては、例えば機械特性や耐熱性などに優れるポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマー、あるいは環状オレフィン樹脂などが挙げられる。また、必要に応じてこれらの樹脂に、カーボン、金属繊維、導電性ポリマー、帯電防止剤、又は難燃剤などが選択的に添加されることもある。
【0026】
[搬送部品]
搬送部品について説明する。
図3は、搬送部品を下側から見た斜視図である。
図4は、搬送部品の第2突起部を示す斜視図である。
図5は、搬送部品の第2突起部を示す側面図である。
【0027】
図3に示される搬送部品30は、容器本体20の上面22の略中央部に装着されるものである。搬送部品30は、ロボティックフランジとも呼ばれ、容器本体20に装着された状態で、例えば、天井搬送装置に把持され、搬送される。この搬送部品30は、基板Wを収納した基板収納容器1を確実に支持する観点から、蓋体10及び容器本体20と同様の成形材料により成形される。
【0028】
搬送部品30は、平面視で略中空枠形の部品本体31を備えている。この部品本体31の下端部両側には、左右一対の被挟持板32(第2係合部の一例)が水平方向に延出している。一方、部品本体31の開口した上端部には、天井搬送装置に把持されるフランジ33が一体に形成されている。
【0029】
左右一対の被挟持板32は、容器本体20の上面22に重なる平坦な板状に形成されて、その外側面が容器正面側で近づくように傾斜している。
【0030】
フランジ33は、四隅部が面取りされた平面矩形に形成され、上面中央部に凹部330が形成されており、天井搬送装置でセンシングされたり、位置決めされたりする。
【0031】
フランジ33の下面中央部であって、部品本体31で囲まれる領域には、下方に突出する部品側突起部34(第2突起部の一例)が形成されている。部品側突起部34における下側の頂部340は、左右方向に視て、下側に頂点が位置する三角形状を有する。部品側突起部34における頂部340の三角形状は、左右方向に視て、装着状態で前側の辺341の方が後側の辺342よりも上下方向に対する傾斜角度が大きい。例えば、前側の辺341の上下方向に対する傾斜角度θ1は、60°~80°の範囲内であり、後側の辺342の上下方向に対する傾斜角度θ2は、0°~5°の範囲内である。その理由は後述する。
【0032】
部品側突起部34の上側の基部343は、左右方向に視て、上下方向に対して傾斜している。例えば、基部343の前側の面344は、左右方向に視て、上下方向に対して40°~50°の範囲内の角度θ3をなし、また、基部343の後側の面345は、上下方向に対して40°~50°の範囲内の角度θ4をなしている。つまり、基部343は、左右方向に視て、上側ほど前後幅が広くなる台形状を有する。
【0033】
また、基部343は、前後方向に貫通する貫通穴346を有する。このような貫通穴346によれば、成形時におけるヒケ、ボイド等の外観不良を抑制することで、搬送部品30の成形性が高められるだけでなく、洗浄後の水残りを抑制できる。なお、基部343は、貫通穴346の代わりに、前後方向に凹む穴を有してもよい。
【0034】
[搬送部品装着部]
つぎに、搬送部品装着部について説明する。
図6は、容器本体の搬送部品装着部を示す斜視図である。
【0035】
搬送部品30が装着される搬送部品装着部24は、容器本体20の上面22に一体に形成されている。そのため、搬送部品装着部24は、容器本体20と同様の成形材料により成形されている。
【0036】
搬送部品装着部24は、装着状態で、搬送部品30の上下方向及び左右方向への変位を規制する支持レール25(第1係合部の一例)と、装着状態で、搬送部品30の前方への変位を規制する第1~第3のストッパ26~28と、装着状態で、搬送部品30の後方への変位を規制する本体側突起部29(第1突起部の一例)とを備える。
【0037】
支持レール25は、前後方向に沿い、かつ左右方向に並列するように容器本体20の上面22に形成される第1~第4のレール部251~254を備える。第1レール部251は、搬送部品30の左側の被挟持板32の外側面部を支持し、第2レール部252は、搬送部品30の左側の被挟持板32の内側面部を支持し、第3レール部253は、搬送部品30の右側の被挟持板32の内側面部を支持し、第4レール部254は、搬送部品30の右側の被挟持板32の外側面部を支持する。
【0038】
第1レール部251と第2レール部252、及び第3レール部253と第4レール部254は、容器本体20の正面側に向かうに従い、レール間の幅が徐々に狭まるよう傾斜して設けられている。また、各レール部251~254は、容器本体20の上面22との間に係合溝を形成するように、上面22から立ち上がる断面略L字状に屈曲形成され(
図7参照)、前後方向に直線的に延びている。このような支持レール25によれば、装着状態で、搬送部品30の左右一対の被挟持板32の外側面部及び内側面部を係合支持することにより、少なくとも搬送部品30の上下方向及び左右方向の変位を規制できる。
【0039】
容器本体20の上面22において、第1ストッパ26は、第1レール部251の前端部と第2レール部252の前端部との間に左右方向に沿って形成され、第2ストッパ27は、第3レール部253の前端部と第4レール部254の前端部との間に左右方向に沿って形成されている。第1ストッパ26及び第2ストッパ27は、支持レール25と同様の断面略L字形であり、装着状態で、搬送部品30の左右一対の被挟持板32の前端部に係合し、少なくとも搬送部品30の前方への変位を規制する。
【0040】
第3ストッパ28は、容器本体20の上面22において、第2レール部252の後端部と第3レール部253の後端部との間に左右方向に沿って形成されている。第3ストッパ28は、支持レール25と同様の断面略L字形であり(
図8参照)、装着状態で、搬送部品30の部品本体31の後端部に係合し、少なくとも搬送部品30の前方への変位を規制する。
【0041】
本体側突起部29は、容器本体20の上面22において、第2レール部252と第3レール部253との間に形成されている。本体側突起部29は、所定の高さH1を有するように、容器本体20の上面22から上方に突出形成される。例えば、本体側突起部29の高さH1は、6.5mm~10mmの範囲内で規定される。
【0042】
本体側突起部29は、左右方向に沿う板形状であり、その頂部290は、左右方向に視て、丸みを帯びて形成されている。また、本体側突起部29は、左右方向に沿う板形状の突起本体291と、突起本体291の左右両端部から後方に延出する左右一対の補強リブ292とを備える。左右一対の補強リブ292は、左右方向に視て、三角形であり、突起本体291と容器本体20の上面22との結合領域を拡張することで、本体側突起部29の倒れ強度を高めている。
【0043】
[搬送部品の装着方法]
搬送部品の装着方法について説明する。
図7は、搬送部品の装着方法を示す説明図であり、
図2のA-A線で切断した部分断面図である。
図8は、搬送部品の装着方法を示す説明図であり、
図2のB-B線で切断した部分断面図である。
【0044】
搬送部品30を容器本体20の搬送部品装着部24に装着するには、容器本体20の上面22の後方側に搬送部品30を配置し、搬送部品装着部24の支持レール25を構成する複数のレール部251~254間に搬送部品30の被挟持板32を後方から前方にスライド状に差し込む。搬送部品30は、所定の装着位置まで差し込まれると、被挟持板32の左右両側面部が支持レール25で係合支持されるとともに、被挟持板32の前端部及び部品本体31の後端部が各ストッパ26~28で係合支持される。これにより、装着状態の搬送部品30は、上下方向、左右方向及び前方への変位が規制される。
【0045】
また、搬送部品30を後方から前方にスライドさせると、搬送部品30の部品側突起部34の頂部340が搬送部品装着部24の本体側突起部29の頂部290を乗り越え、本体側突起部29の頂部290の前側に部品側突起部34の頂部340が係合する。これにより、装着状態の搬送部品30は、後方への変位も規制される。
【0046】
搬送部品30の部品側突起部34の頂部340が搬送部品装着部24の本体側突起部29の頂部290を乗り越えるには、本体側突起部29及び部品側突起部34の少なくとも一方が上下方向に弾性的に変位する必要がある。本開示の基板収納容器1では、部品側突起部34に上方に向けて所定荷重を与えたときの、部品側突起部34の上方への変位量は、本体側突起部29に下方に向けて同所定荷重を与えたときの、本体側突起部29の下方への変位量よりも小さくしている。
【0047】
例えば、本実施形態の基板収納容器1では、本体側突起部29に下方に向けて所定荷重を与えたときに、本体側突起部29の周辺部位(上面22の一部)が下方に弾性変形することで、本体側突起部29の下方への変位が実現される。また、部品側突起部34に上方に向けて所定荷重を与えたときの、部品側突起部34の上方への変位量は、本体側突起部29の下方への変位量に比べて極めて小さい。
【0048】
このような基板収納容器1によれば、従来のように弾性係合片と突起部との係合ではなく、突起部29、34同士の係合で容器本体20に搬送部品30を装着させるので、搬送部品30の装着力を高められる。これにより、基板収納容器1の搬送中の急停止又は移動による衝撃により、搬送部品30が容器本体20から外れたり、作業者が取扱う際に、搬送部品30が容器本体20から外れることを防止できる。
【0049】
上記の装着状態において、本体側突起部29の頂部290と部品側突起部34の頂部340とは、上下方向の重なる範囲が、1.5mm~3.5mmとしてある。その理由は、上下方向の重なる範囲が、1.5mm未満であると、必要な装着力(取外し荷重)を実現できず、また、3.5mmを超えると、装着時の荷重(取付け荷重)が増大し、搬送部品30の装着性が低下するからである。
【0050】
また、前述したように、本体側突起部29の高さH1は、6.5mm~10mmの範囲内で規定されるので、本体側突起部29の頂部290と部品側突起部34の頂部340との上下方向の重なる範囲を最適化しつつ、本体側突起部29の破損を防止できる。つまり、本体側突起部29の高さH1が、6.5mm未満の場合は、本体側突起部29の頂部290と部品側突起部34の頂部340との上下方向の重なる範囲が小さくなる可能性があり、また、10mmを超える場合は、本体側突起部29の強度が不足し、装着時に破損したり、装着状態において必要な係合力を維持できない可能性がある。
【0051】
また、前述したように、部品側突起部34の基部343は、前側の面344が、左右方向に視て、上下方向に対して40°~50°の範囲内の角度θ3をなし、また、後側の面345が、上下方向に対して40°~50°の範囲内の角度θ4をなすことで、左右方向に視て、上側ほど前後幅が広くなり、強度的に優れた台形状を有するので、装着時の荷重で部品側突起部34が破損することを防止できるだけでなく、装着状態において必要な係合力を維持できる。
【0052】
また、前述したように、部品側突起部34における頂部340の三角形状は、左右方向に視て、装着状態で前側の辺341の方が後側の辺342よりも上下方向に対する傾斜角度が大きいので、部品側突起部34の頂部340が本体側突起部29の頂部290を乗り越えやすくなり、装着時の取付け荷重を低減できるだけでなく、必要な係合力を実現できる。
【0053】
また、前述したように、前側の辺341の上下方向に対する傾斜角度θ1が、60°~80°の範囲内である場合は、装着時の取付け荷重を低減しつつ、本体側突起部29を所定量(例えば、1.5mm~3.5mm)下方に押し込むことができる。
【0054】
また、前述したように、後側の辺342の上下方向に対する傾斜角度θ2が、0°~5°の範囲内である場合は、装着状態の係合力が高められる。
【0055】
ちなみに、容器本体20に装着された搬送部品30を後方側に押して、容器本体20から搬送部品30が外れるか否かを、本実施形態の基板収納容器1と、特許文献1にみられる従来の基板収納容器とを比較して実験したところ、本実施形態の基板収納容器1では、従来の基板収納容器に比べて更に1000N以上の力が必要であった。
【0056】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 基板収納容器
10 蓋体
20 容器本体
21 開口部
22 上面
23 側面
24 搬送部品装着部
25 支持レール
251 第1レール部
252 第2レール部
253 第3レール部
254 第4レール部
26 第1ストッパ
27 第2ストッパ
28 第3ストッパ
29 本体側突起部
290 頂部
291 突起本体
292 補強リブ
30 搬送部品
31 部品本体
32 被挟持板
33 フランジ
330 凹部
34 部品側突起部
340 頂部
341 辺
342 辺
343 基部
344 面
345 面
346 貫通穴
W 基板