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  • 特許-クレンジング組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/895 20060101AFI20230825BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230825BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230825BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A61K8/895
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/31
A61K8/37
A61Q1/14
A61Q19/10
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/891
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019173495
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021050152
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】細川 欣哉
(72)【発明者】
【氏名】吉野 修之
(72)【発明者】
【氏名】入手 伸久
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0015684(US,A1)
【文献】特開昭63-313710(JP,A)
【文献】特開2005-314366(JP,A)
【文献】特開2007-084456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンエラストマー1~7.5質量%と、
前記シリコーンエラストマーの分散媒35~80質量%と、
微粒子二酸化チタン、及び微粒子シリカから選択される一種又は二種以上の、平均粒径0.1μm未満の微粒子粉体0.5質量%以上と、
タルク、マイカ、セルロース粉体、無孔質であるポリメタクリル酸メチルクロスポリマー、多孔質であるポリメタクリル酸メチルクロスポリマー及びポリメチルシルセスキオキサンから選択される一種又は二種以上の、平均粒径0.1μm以上の通常径粉体10~60質量%と、
を含み、
前記分散媒は、揮発性分散媒を含み、揮発性分散媒/全分散媒が質量比で0.5以上であることを特徴とする可塑性クレンジング組成物。
【請求項2】
請求項1記載の組成物において、さらに疎水化多糖を0.5~2質量%含むことを特徴とする可塑性クレンジング組成物。
【請求項3】
シリコーンエラストマー3~10質量%と、
前記シリコーンエラストマーの分散媒30~60質量%と、
平均粒径0.1μm以上で多孔質粉体であるポリメタクリル酸メチルクロスポリマー20~42質量%と、
を含むことを特徴とする可塑性クレンジング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレンジング組成物、特に可塑性をもった固形クレンジング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
顔面に塗布されたいわゆるメークを除去するため、クレンジング組成物が汎用される。これらのクレンジング組成物は通常液状であり、メークの溶媒として油分、或いは界面活性剤を含有している。
これらの液状クレンジング組成物は、使用時に垂れ落ちを生じることがあり、また特に外出時の携帯性、使用性には問題もあった。
そこで、易崩壊性の結晶中に液状クレンジング剤を含浸させ、使用時の結晶崩壊に伴い液状クレンジング剤を放出する固形クレンジング組成物も開発されている(特許文献1~4)。
これらの固形クレンジング組成物によれば、携帯性、使用性の改善は図れるが、一方で毛穴の奥に入り込んだメークを落とし、或いは水の使用を控えた状態でのメーク落としには十分な対応をすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-160176
【文献】特開2018-177651
【文献】特開2019-81740
【文献】特開2017-95375
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前記従来技術に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題はクレンジング組成物自体を可塑化し、肌に吸い付くようにメーク、汚れを除去できる可塑性クレンジング組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明にかかる可塑性クレンジング組成物は、
シリコーンエラストマーと、
粉体と、
油分と、
を含むことを特徴とする。
また、シリコーンエラストマー1~7.5質量%と、
前記シリコーンエラストマーの分散媒35~80質量%と、
平均粒径0.1μm未満の微粒子粉体0.5質量%以上と、
平均粒径0.1μm以上の通常径粉体10~60質量%と、
を含み、
前記分散媒は、揮発性分散媒を含み、揮発性分散媒/全分散媒が質量比で0.5以上であることが好適である。
また、前記組成物は、さらに疎水化多糖を0.5~2質量%含むことが好適である。
また、本発明にかかる可塑性クレンジング組成物は、
シリコーンエラストマー3~10質量%と、
前記シリコーンエラストマーの分散媒30~60質量%と、
平均粒径0.1μm以上である多孔質粉体20~42質量%と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のクレンジング組成物によれば、可塑性クレンジング組成物を肌に押し付けることにより、皮丘はもちろんのこと、皮溝に落ちた化粧料、老廃物までを除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ファンデーションを塗布した皮膚の状態を示す説明図である。
図2図1に示した皮膚に対し、本発明品(試験例6-2)を適用した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
[シリコーンエラストマー]
本発明において、好適に用いられるシリコーンエラストマーは、架橋された高分子シリコーンにより構成される弾性体である。
本発明で用いられるシリコーンエラストマーとしては、例えば、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマーなどの架橋型シリコーン樹脂粉体の一種または二種以上が挙げられる。
【0009】
シリコーンエラストマーは、架橋型シリコーン樹脂粉体と溶媒とからなるシリコーンゲルの状態で配合してもよい。このようなシリコーンゲルは市販品を使用することができ、例えば、KSG-18A、KSG-16、KSG-15AP(以上、信越シリコーン社製)、エラストマーブレンドDC9045(東レ・ダウコーニング社製)などを挙げることができる。なお、これらのシリコーンゲルに溶媒として含まれる油分は前記分散媒に分類され、その配合量は分散媒の配合量に加算される。
本発明におけるシリコーンエラストマーの配合量は、後述する微粒子粉体が配合されている場合には組成物中1~7.5質量%、微粒子粉体が配合されていない場合には組成物中3~10質量%であることが好ましい。
【0010】
[分散媒]
本発明にかかる可塑性クレンジング組成物は、前記シリコーンエラストマーの分散媒を含有する。
分散媒は液状油分からなり前記シリコーンエラストマーを良好に分散させることができる。
本発明に用いられる分散媒は、クレンジング作業時に肌上に残存する可能性があるため、特に揮発性分散媒を主とすることが好ましい。
本明細書における揮発性分散媒は、常温(25℃)で流動性を有する液状の油分であり、揮発性(常圧における沸点が260℃以下の低沸点)の炭化水素油及びシリコーン油(例えば環状シリコーン油)、並びに低粘度(10cs以下、好ましくは5cs以下)の直鎖状又は分岐鎖状のシリコーン油を包含する油分を意味するものとする。これらの揮発性分散媒は、1種又は2種以上の混合物として配合することができる。
【0011】
揮発性又は低粘度のシリコーン油には、ケイ素原子数4~6の環状ジメチルポリシロキサン、ケイ素原子数2~5の鎖状ジメチルポリシロキサンが含まれる。具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルテトラシクロシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、及びドデカメチルシクロヘキサシロ
キサン(D6)等の環状シリコーン油、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジメチコン(10cs、6cs、5cs、2cs、又は1.5cs)などを挙げることができる。特にシリコーンエラストマーとの相性から、シリコーン油を用いることが好ましいが、低沸点のイソパラフィン系炭化水素油、具体例として、イソドデカン、イソヘキサデカンなども使用できる。
【0012】
また、本発明に用いられる分散媒は非揮発性油分を用いることができる。ここで、非揮発性油分は、常温(25℃)で流動性を有する液状の油分であって、上記(A)揮発性油分に該当しないものをいう。化粧料等に用いることのできる油分から選択することができる。例えば、常圧における沸点が260℃より高い油性成分の炭化水素油又はシリコーン油、あるいは粘度が10csを超えるシリコーン油の1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
非揮発性流動油分の具体例としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボガド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ブドウ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマワリ
油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、卵黄油、肝油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル等の液状油脂;オクタン酸セチル等のオクタン酸エステル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等のイソオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のリンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油;流動パラフィン、スクワラン等の液状炭化水素油;さらに、シリコーン油として、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アンモニウム塩変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0014】
本発明において、組成物中の分散媒の配合量は35~80質量%であることが好ましい。
また、本発明に用いられる分散媒は、揮発性分散媒/全分散媒の質量比が0.5以上となるように調整されることが好適である。揮発性分散媒の質量比が0.5未満であると、クレンジング作業時に肌上に油分が残存することがある。
【0015】
[粉体]
本発明において、粉体としては微粒子粉体と通常径粉体が用いられる。
ここで微粒子粉体は、平均粒子径が0.1μm未満の粉体を意味し、通常径粉体は、平均粒子径が0.1μm以上、特に1μm以上のものを意味する。
微粒子粉体、通常径粉体とも、皮膚外用剤に配合しうる各種粉体であることができる。粉体成分の具体例としては、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト等の無機粉体;ポリアミド樹脂粉体(ナイロン粉体)、ポリエチレン粉体、ポリメタクリル酸メチル粉体、ポリスチレン粉体、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉体、セルロース粉体等の有機粉体;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)等の無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉体顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β-カロチン等の天然色素が挙げられる。
【0016】
このうち、微粒子粉体としては、微粒子二酸化チタン、微粒子シリカが特に好適に用いられる。また、その配合量は組成物中0.5質量%以上であることが好適である。
また、通常径粉体としては、セルロース粉体、多孔質粉体が好適に用いられる。なおここでいう多孔質粉体とは、粉体内に非常に多くの細孔を有し、その比表面積が100m2/g以上であるものをいう。その配合量は組成物中10~60質量%であることが好ましい。
多孔質粉体は市販品を用いることができ、好適には、テクポリマーMPBシリーズ(積水化成品工業株式会社製)などである。
特に、微粒子粉体を用いない場合には、通常径粉体として多孔質粉体を用いることが好ましく、配合量は組成物中20~42質量%であることが好ましい。
【0017】
[疎水化多糖]
本発明において、クレンジング作業時に可塑性クレンジング組成物が千切れてしまうのを抑制するため、疎水化多糖を用いることが好適である。疎水化多糖としては、トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、アルキル化キサンタンガム等が挙げられる。シリコーンエラストマー及びその分散媒としてシリコーン油を用いた場合には、トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルランが特に好適に用いられる。
疎水化多糖の配合量は、組成物中0.5~2質量%であることが好ましい。
【0018】
[その他の任意成分]
上記以外の任意成分としては、例えば、増粘剤、セラミド類、ビタミン類、紫外線吸収剤、キレート剤、殺菌剤、防腐剤、植物抽出液、アミノ酸、各種薬剤、エタノール等の低級アルコール類等が挙げられる。
【0019】
以下、本発明のより具体的な実施形態について説明する。
【0020】
[評価方法]
(A)硬度
本発明にかかる可塑性クレンジング組成物は、練消しゴムによる黒鉛除去に類似した作用により、肌上の残存化粧料、老廃物を除去する。通常の液状クレンジング組成物のように残存化粧料、老廃物を溶解・洗い流しにより除去するものではない。
このため、適度な硬度、可塑性が要求される。
硬度は、25℃に保管したサンプルを、サンレオメーター(株式会社サン科学製)5φのプローブを用い、針入速度1mm/sで10mmまで針入した場合のピーク値とし、20~700gfを許容範囲とした。
【0021】
(B)肌への付着
本発明にかかる可塑性クレンジング組成物は、その可塑性を利用して肌に密着させ、練消しゴムのように残存化粧料、老廃物などを吸着除去するものである。このため、可塑性クレンジング組成物自体が肌上に付着・残存することは好ましくない(油分は除く)。
そこで、実際に肌に対して組成物を密着させ、肌への付着度を観察した。
A:付かない
B:わずかにつく
C:少しつく
D:かなりついてしまう
E:ついてしまう
A~Cを許容範囲とした。
【0022】
(C)切れやすさ
本発明にかかる可塑性クレンジング組成物は、可塑性により肌に密着させることができる。このため、使用時に組成物を引き延ばすように力が働き、この際に千切れてしまうと作業性が著しく低下する。
そこで、実際に肌に対して組成物を適用し、切れやすさについて検討を行った。
A:切れにくい
B:やや切れにくい
C:切れやすい
A,Bを許容範囲とした。
【0023】
まず、本発明者らは練消しゴムのような物性を有し、且つ肌への密着性の良い可塑性クレンジング組成物の基本組成について検討を行った。
結果を表1に示す。
【0024】
【表1】

前記表1に示す結果より、シリコーンエラストマーとシクロペンタシロキサン、微粒子酸化チタン、及びメチルクロスポリマーにより練消しゴム様のクレンジング組成物が得られる(試験例1-1)。シリコーンエラストマーを含まない試験例1-2では固形にならず、また微粒子粉体ないし通常径粉体のいずれかを含まない試験例1-3,1-4では、いずれも粘着性が強く、組成物が肌に付着・残存してしまった。
【0025】
次に本発明者らは、微粒子粉体について検討を行った。
結果を表2に示す。
【0026】
【表2】

前記表2に示す結果より、平均粒径0.03μmである微粒子酸化チタン(試験例2-1)、ないし0.012μmである微粒子シリカ(試験例2-2)は、硬度、肌への付着性ともに優れた特性を示したが、0.25μmの顔料級酸化チタン(試験例2-3)、5μmの球状シリカ(試験例2-4)を用いた場合には組成物が肌に付着・残存してしまい、クレンジング組成物としての機能を十分に発揮できなかった。
本発明者らがさらに詳細な検討を行ったところ、平均粒径0.1μm未満の微粒子粉体を配合することが好適であることが確認された。
【0027】
次に本発明者らは平均粒径0.1μm以上の通常径粉体について検討を行った。
結果を表3に示す。
【0028】
【表3】

前記表3より明らかなように、通常径粉体については種類を選ばないが、特に多孔質粉体(試験例3-5)、セルロース粉体(試験例3-4)が好ましい。
【0029】
次に本発明者らは、前記多孔質粉体の使用が好適であることに鑑み、無孔質粉体と多孔質粉体の比較を行った。
結果を表4に示す。
【0030】
【表4】

前記表4より明らかなように、ポリメタクリル酸メチルクロスポリマーには多孔質粉体と無孔質粉体が存在し、多孔質粉体を用いた場合にはやや硬度が上がる傾向にあるが、通常径粉体の25質量%を多孔質粉体に置換した場合(試験例4-1)、50%を置換した場合(試験例4-2)、75%を置換した場合(試験例4-3)にはいずれも肌への付着性について良好な特性を発揮することが可能となった。
このため、通常径粉体は、多孔質粉体/通常粉体が質量比で0.25以上であることが好ましい。
【0031】
次に本発明者らは、シクロペンタシロキサン(分散媒)と通常径粉体の配合量について検討を行った。
結果を表5に示す。
【0032】
【表5】

前記表5に示す結果より、粉体の種類やエラストマーの量にもよるが、通常径粉体の配合量は組成物中10~60質量%、また分散媒の配合量は35~80質量%が好ましい。
【0033】
次に本発明者らは、可塑性クレンジング組成物の使用性の改善について検討を行った。すなわち、前記シリコーンエラストマー、分散媒、粉体でクレンジング組成物を調製した場合、肌にこすり付けると千切れてしまうことがある。そこで本発明者らは、さらに疎水化多糖を配合し、使用性の改善を図った。
結果を表6に示す。
【0034】
【表6】
表6より明らかなように、疎水化多糖(トリ(トリメチルシロキシ)シリルプロピルカルバミド酸プルラン)を配合することにより、組成物の切れやすさが顕著に改善される。しかしながら、シリコーン化プルランの配合量が多くなると肌への付着性が上昇する傾向にあるため、0.5~2質量%の配合とすることが好ましい。
ペースト状になっている本発明のクレンジング組成物(試験例6-2)を肌に接触させ、ファンデーションなどメイクアップや皮脂汚れをからめとるようにすると、図1図2に示すように皮丘はもちろんのこと、皮溝に落ちたものまでもきれいに除去できる。
【0035】
次に本発明者らは、シリコーンエラストマーの配合量について検討を行った。
結果を表7に示す。
【0036】
【表7】

表7に示す結果より明らかなように、シリコーンエラストマーの好適な配合量は1~7.5質量%である。
【0037】
次に本発明者らは微粒子粉体の配合量について検討を行った。
結果を表8に示す。
【0038】
【表8】

表8より、平均粒子径0.1μm以下の微粒子粉体を0.5質量%以上配合することにより、硬度が上昇し、肌への付着性が抑制できる。
【0039】
次に本発明者らは、通常径粉体として多孔質粉体を用いた場合の、微粒子粉体の必要性について検討を行った。
結果を表9に示す。
【0040】
【表9】

表9より、多孔質粉体を配合した場合には、その配合量を多くすることにより、微粒子粉体を配合しなくても、適正な硬度および肌への付着抑制を図ることができることが明らかとなった。微粒子粉体を配合しない場合の多孔質粉体の配合量は、組成物中20質量%以上、好ましくは30質量%以上であるが、42質量%を超えると可塑性を有する固体とならず、粉体のまま吸油してしまうことがある。また、シリコーンエラストマーは3~10質量%用いることが好ましい。
図1
図2