(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
B43K 24/16 20060101AFI20230825BHJP
B43K 24/14 20060101ALI20230825BHJP
B43K 29/02 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B43K24/16
B43K24/14 110
B43K29/02
(21)【出願番号】P 2019211283
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】内山 雄也
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-091473(JP,A)
【文献】特開2016-168748(JP,A)
【文献】実開平05-046487(JP,U)
【文献】実開平05-031992(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 24/16
B43K 24/14
B43K 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノック操作によって中芯を出没可能な筆記具であって、
前端から後端に伸びる軸線を有し、前記前端に開口が形成された軸筒と、
前記軸筒の内部に配置される中芯と、
前記中芯を前記開口から外に出没させるための回転カムと、
前記中芯を保持すると共に中央から後端にかけて弾性突部及びアームを有する中駒であって、前記弾性突部が径方向外側に一部が突出すると共に径方向内側に弾性変形可能であり、且つ、前記アームが軸線方向に沿って延在する、中駒と、
前端側に棒状部及び当該棒状部よりも径方向外側に突出する突部を有すると共に後端側に前方に向かって窪む凹部を有し当該凹部の底部に前記アームが挿通可能な貫通孔が設けられる第1支持部材であって、前記棒状部及び前記突部が前記弾性突部の径方向内側に収納されて前記突部により前記弾性突部の径方向内側への移動を規制すると共に前記アームが前記凹部内に収納され、前記軸線方向に沿って所定距離を移動可能な状態で前記中駒に取り付けられる、第1支持部材と、
当該筆記具に所定機能を付与する部品を保持するための部材であって、前記第1支持部材の前記貫通孔を挿通した前記アームに前記凹部内で嵌合されて前記中駒と一体移動可能とされた第2支持部材であって、前記第1支持部材が前記第2支持部材に対して前記軸線方向に沿って所定距離を移動可能である、第2支持部材と、
前記第2支持部材を覆うように前記第1支持部材に取り付けられるキャップと、
を備え、
前記キャップが前記第1支持部材から取り外された状態で前記第2支持部材が前方に押圧されたときに、前記第1支持部材の前記突部により径方向内側への移動が規制された前記弾性突部が前記回転カムに係止することにより前記第2支持部材の押し下げが規制され、
前記キャップが前記第1支持部材に取り付けられた状態で前記キャップが前方に押圧されたときに、前記第1支持部材が前記軸線方向に沿って前方へ移動することにより前記突部が前記弾性突部よりも前方に移動して前記弾性突部が径方向内側に移動可能となり、前記中駒が前方に移動可能となる、筆記具。
【請求項2】
前記第1支持部材を後方に付勢する弾性部材を更に備え、
前記弾性部材は、前記軸筒の内周面の周方向に沿って延在する環状突部と前記第1支持部材との間に配置される、
請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記第2支持部材は、前記第1支持部材の後端が前記第2支持部材の後端よりも後方に位置しないように前記中駒に嵌合されている、
請求項1又は2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記突部は、前記棒状部の外周面の全周にわたって連続的に形成されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項5】
前記弾性突部は、前記弾性突部の前端から後方に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面を含んでいる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
軸筒の後端部をノック操作することによって中芯を出没させるノック機構を備える筆記具として、例えば、特許文献1又は特許文献2に記載された筆記具が知られている。これらの筆記具では、筆記具に所定機能を付与する部品(消しゴム又は印鑑)が取り付けられており、軸筒の内部において当該部品を支持する支持部材が設けられている。支持部材の外周面には、軸筒の内周面に形成される段差部に対して軸線方向に引っ掛かる引っ掛け部が設けられている。支持部材には当該部品を覆うキャップが着脱可能に取り付けられ、キャップが支持部材に取り外された状態では、引っ掛け部が軸筒の段差部に引っ掛かることによってノック操作が規制される。一方、キャップが支持部材に取り付けられた状態では、引っ掛け部がキャップの内周面に押圧されて軸筒の径方向内側に移動することで、引っ掛け部が軸筒の段差部に引っ掛からないようになり、ノック操作の規制が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭59-179088号公報
【文献】実登2607083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような筆記具では、軸筒の後端部に設けられた部品(消しゴム/印鑑等)を使用する際に不要なノック操作が行われてしまうことを抑制するために、キャップが支持部材から取り外された状態では、引っ掛け部が軸筒の段差部に引っ掛かる構成となっている。そして、キャップが支持部材に取り付けられた状態では、引っ掛け部が軸筒の径方向内側に移動することで、ノック操作が可能になる。しかし、この構成では、キャップが支持部材から取り外された状態において、引っ掛け部が、軸線方向において軸筒の段差部と対向する位置からずれてしまうことがあり、この場合、当該部品を使用する際に不要なノック操作が行われてしまうという問題が生じ得る。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、不要なノック操作をより確実に抑制できる筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る筆記具は、ノック操作によって中芯を出没可能な筆記具であって、前端から後端に伸びる軸線を有し、前端に開口が形成された軸筒と、軸筒の内部に配置される中芯と、中芯を開口から外に出没させるための回転カムと、中芯を保持すると共に中央から後端にかけて弾性突部及びアームを有する中駒であって、弾性突部が径方向外側に一部が突出すると共に径方向内側に弾性変形可能であり、且つ、アームが軸線方向に沿って延在する、中駒と、前端側に棒状部及び当該棒状部よりも径方向外側に突出する突部を有すると共に後端側に前方に向かって窪む凹部を有し当該凹部の底部にアームが挿通可能な貫通孔が設けられる第1支持部材であって、棒状部及び突部が弾性突部の径方向内側に収納されて突部により弾性突部の径方向内側への移動を規制すると共にアームが凹部内に収納され、軸線方向に沿って所定距離を移動可能な状態で中駒に取り付けられる、第1支持部材と、当該筆記具に所定機能を付与する部品(例:消しゴム/印鑑等)を保持するための部材であって、第1支持部材の貫通孔を挿通したアームに凹部内で嵌合されて中駒と一体移動可能とされた第2支持部材であって、第1支持部材が第2支持部材に対して軸線方向に沿って所定距離を移動可能である、第2支持部材と、第2支持部材を覆うように第1支持部材に取り付けられるキャップと、を備え、キャップが第1支持部材から取り外された状態で第2支持部材が前方に押圧されたときに、第1支持部材の突部により径方向内側への移動が規制された弾性突部が回転カムに係止することにより第2支持部材の押し下げが規制され、キャップが第1支持部材に取り付けられた状態でキャップが前方に押圧されたときに、第1支持部材が軸線方向に沿って前方へ移動することにより突部が弾性突部よりも前方に移動して弾性突部が径方向内側に移動可能となり、中駒が前方に移動可能となる。
【0007】
この筆記具では、キャップを第1支持部材から取り外して消しゴム/印鑑等の部品を使用する際、当該部品は外力を受けて前方に押圧される。当該部品が前方に押圧されると、これに応じて、当該部品を保持する第2支持部材、及び第2支持部材と一体移動する中駒が共に前方に押圧され、中駒の弾性突部が回転カムに当接する。このとき、第1支持部材の突部により径方向内側への弾性突部の移動が規制されているので、弾性突部は、回転カムへの当接によって回転カムに係止される。これにより、第2支持部材の押し下げが規制され、ノック操作が規制される。一方、キャップを第1支持部材に取り付けた状態でキャップを押圧すると、第1支持部材が前方に移動することにより第1支持部材の突部が弾性突部よりも前方に移動し、これに応じて、弾性突部が径方向内側に移動可能となる。この状態では、弾性突部は、径方向内側に移動することで回転カムに対して軸線方向に当接しなくなる。これにより、中駒が前方に移動可能となり、ノック操作が可能となる。従って、上記の筆記具によれば、キャップを第1支持部材に取り付けた状態では通常のノック操作が可能になり、キャップを第1支持部材から取り外した状態で当該部品を使用する際には不要なノック操作が抑制される。そして、キャップを第1支持部材から取り外した状態では、第1支持部材の突部により径方向内側への弾性突部の移動が規制される構成となっているので、弾性突部が意図せずに径方向内側に移動して回転カムとの係止が解除されてしまう事態を抑制できる。従って、この構成によれば、当該部品を使用する際に不要なノック操作が行われてしまう事態をより確実に抑制できる。
【0008】
上記の筆記具は、第1支持部材を後方に付勢する弾性部材を更に備え、弾性部材は、軸筒の内周面の周方向に沿って延在する環状突部と第1支持部材との間に配置されてもよい。この場合、弾性部材の付勢力によって、ノック操作後の第1支持部材の位置を元の位置(ノック操作される前の位置)に復帰させることができる。
【0009】
上記の筆記具では、第2支持部材は、第1支持部材の後端が第2支持部材の後端よりも後方に位置しないように中駒に嵌合されていてもよい。この場合、キャップを第1支持部材から取り外した状態において、第1支持部材が外力を受けて前方に移動してノック操作が解除されてしまう事態を抑制できる。つまり、上記部品を使用する際に不要なノック操作が行われてしまう事態をより確実に抑制できる。
【0010】
上記の筆記具では、突部は、棒状部の外周面の全周にわたって連続的に形成されていてもよい。この場合、弾性突部に対する突部の周方向の位置を調整することなく、突部によって、径方向内側への弾性突部の移動を容易に規制することができる。
【0011】
上記の筆記具では、弾性突部は、弾性突部の前端から後方に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面を含んでいてもよい。この場合、第1支持部材が前方へ移動して弾性突部の傾斜面が回転カムに当接したときに、傾斜面によって、弾性突部が径方向内側に向かうようにガイドされる。これにより、第1支持部材が前方へ移動したときに弾性突部が径方向内側に移動可能となる機構を容易に構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不要なノック操作をより確実に抑制できる筆記具を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る筆記具の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、中駒を示す平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線に沿った断面図である。
【
図5】
図5(a)は、回転カムを示す平面図である。
図5(b)は、
図5(a)のVb-Vb線に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、回転カムの回転によって中芯を開口から外に出没させる機構を説明するための斜視図である。
【
図7】
図7(a)は、押子を示す平面図である。
図7(b)は、
図7(a)のVIIb-VIIb線に沿った断面図である。
【
図8】
図8(a)は、ノック部が押し下げられる前の押子及び回転カムの状態を示す平面図である。
図8(b)は、ノック部が押し下げられたときの押子及び回転カムの状態を示す平面図である。
【
図9】
図9(a)は、第2支持部材を示す斜視図である。
図9(b)は、
図9(a)の第2支持部材を示す正面図である。
図9(c)は、
図9(b)のIXc-IXc線に沿った断面図である。
【
図10】
図10(a)は、第1支持部材を示す斜視図である。
図10(b)は、
図10(a)の第1支持部材を示す正面図である。
図10(c)は、
図10(b)のXc-Xc線に沿った断面図である。
【
図11】
図11(a)は、キャップが取り外された状態における第1支持部材の付近を拡大した断面図である。
図11(b)は、
図11(a)に示す状態から消去部材が押圧されたときの第1支持部材の付近を拡大した断面図である。
【
図12】
図12(a)は、キャップが取り付けられた状態において第1支持部材の付近を拡大した断面図である。
図12(b)は、
図12(a)に示す状態からキャップが押圧されたときの第1支持部材の付近を拡大した断面図である。
図12(c)は、
図12(b)に示す状態からキャップが更に押圧されたときの第1支持部材の付近を拡大した断面図である。
【
図13】
図13(a)は、ノック部が押し下げられる前の筆記具の状態を示す断面図である。
図13(b)は、ノック部が押し下げられたときの筆記具の状態を示す断面図である。
【
図14】
図14(a)は、
図13(b)に示す状態から、ノック部が更に押し下げられたときの筆記具の状態を示す断面図である。
図14(b)は、
図14(a)に示す状態から、ノック部が元の位置に復帰したときの筆記具の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る筆記具について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、以下の説明において、「軸線」は、軸筒の前後に延びる中心線を意味し、「軸線方向」は、軸線に沿った方向(前後方向)を意味する。「径方向」は、軸線と直交する方向を意味し、「周方向/回転方向」は、軸線を中心とする環に沿う方向を意味する。「前/前方」は、軸線方向の一方側であって筆記具の先端側を意味し、「後/後方」は、軸線方向の他方側であって筆記具の先端方向とは逆の後端側を意味する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る筆記具1の外観を示す斜視図である。
図2は、筆記具1を示す分解斜視図である。
図3は、筆記具1を示す断面図である。
図1~
図3に示すように、筆記具1は、前筒11及び前筒11に対し回転可能に連結された後筒12を有する軸筒10と、軸筒10の内部に配置された複数の中芯20とを備えている。また、
図3に示すように、筆記具1は、前筒11と後筒12との回転に応じて複数の中芯20のうち一の中芯20を軸筒10の前端から外に出没させる第1出没機構M1と、ノック部100を押し下げる操作(ノック操作)により、複数の中芯20のうち特定の中芯を軸筒10の前端から外に出没させる第2出没機構M2と、を備えている。
【0016】
筆記具1は、第1出没機構M1を備えることによって、前筒11と後筒12との回転(回転操作)により複数の中芯20のうち一の中芯20を出没させることができる。また、筆記具1は、第2出没機構M2を備えることによって、ノック操作により複数の中芯20のうち特定の中芯を出没させることができる。本実施形態では、筆記具1は、第2出没機構M2が第1出没機構M1を利用して特定の中芯を出没させる構成となっている。具体的には、第2出没機構M2は、前筒11と後筒12との回転角度を特定の回転角度に規制し、第1出没機構M1によって特定の回転角度に応じた特定の中芯を出没させる。しかし、第2出没機構M2は、第1出没機構M1を利用せず、第1出没機構M1とは別の機構により特定の中芯を出没させてもよい。
【0017】
軸筒10は、軸線方向Dに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば樹脂材料によって形成されている。前筒11は軸筒10の前部を構成し、後筒12は軸筒10の後部を構成する。前筒11は、前筒11の前端を含む先筒13と、先筒13が取り付けられる中筒14と、中筒14を収容する表示カバー15と、を含んでいる。先筒13は、前方に向かうに従って先細りとなる円筒形状をなしている。先筒13の前端には、中芯20の先端部(ペン先)が出没可能な開口13aが形成されている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、中筒14は段付き円筒形状をなしており、中筒14の前部14a及び後部14bの外径は、中筒14の中央部14cの外径よりも小さくなっている。中筒14の前部14aは、先筒13に対し着脱可能に係合している。具体的には、前部14aの外周面に形成された雄螺子と、先筒13の後部の内周面に形成された雌螺子との螺合によって、先筒13は中筒14に対し取り外し可能となっている。中芯20を未使用の中芯に交換する際には、先筒13を中筒14から取り外すことで、中芯20を容易に交換することができる。
【0019】
表示カバー15は、中筒14の中央部14c及び後部14bの外周面を覆う円筒形状をなしている。表示カバー15の内周面は、中筒14の中央部14cの外径と同程度となっており、中央部14cの外周面に対し回転不能且つ軸線方向Dへ移動不能に係合している。表示カバー15の外周面は、筆記具1の外部に露出しており、外部から視認可能となっている。表示カバー15の外周面には、例えば、中芯20の種類を表示するマークが印刷されている。筆記具1の使用者は、表示カバー15のマークを確認することによって、出没させる中芯20の種類を区別することができる。
【0020】
後筒12は、前筒11に対し回転可能且つ軸線方向Dへ移動可能に連結されている。後筒12の外径は、表示カバー15の内径よりも小さく、後筒12の前部12aは、表示カバー15の内部に収容されている。後筒12の前部12aは、表示カバー15の内周面と中筒14の外周面との間に挟まれている。後筒12の前部12aが表示カバー15の内周面及び中筒14の外周面に沿って摺動することにより、後筒12は前筒11に対し回転可能且つ軸線方向Dへ移動可能となっている。後筒12には、前部12aの前端から軸線方向Dに沿って延在するスリット12bが形成されている。スリット12bには、後述するシャープペンシル用のノック部90が差し込まれる。後筒12の後側の内周面には、当該内周面から径方向内側に向かって突出すると共に周方向にわたって延在する環状突部12c(
図3参照)が形成されている。
【0021】
図2及び
図3に示すように、複数の中芯20は、例えば、2本のボールペン用の中芯20a及び20bと、シャープペンシル用の中芯20cと、を含んでいる。例えば、中芯20aは、赤色のインクが入った中芯であり、中芯20bは、黒色のインクが入った中芯である。中芯20a,20b,及び20cは、例えば、前筒11の内部において、周方向に沿って等間隔で並んで配置されている。なお、複数の中芯20は、中芯20a,20b,及び20cに限定されず、中芯20a,20b,及び20cとは異なる種類の中芯を含んでもよい。また、中芯20の数は2本以上であればよく、3本に限定されず4本以上であってもよい。以下の説明では、中芯20a,20b,及び20cを区別して説明する必要が無い場合には、中芯20a,20b,及び20cをまとめて中芯20と称する。
【0022】
中芯20の後方には中芯ホルダー21が設けられている。中芯ホルダー21は、軸線方向Dを中心軸方向とする円筒形状をなしており、中芯20の後端部を着脱可能に保持している。中芯ホルダー21の後方にはスライド駒22が設けられている。スライド駒22は、軸線方向Dを中心軸方向とする円筒形状をなしており、スライド駒22の前部の内部に中芯ホルダー21が差し込まれている。スライド駒22は、中芯ホルダー21の後端部に対し回転可能且つ軸線方向Dへ移動不能に係合している。スライド駒22の径方向内側の外周面は、後述する中駒30のガイド溝33a(
図3参照)に沿って摺動する摺動部となっている。また、スライド駒22の径方向外側の外周面には、当該外周面から径方向外側に突出する突部22aが設けられている。突部22aは、突部22aの突出方向から見て、後方に向かうに従って周方向の幅が徐々に狭くなる三角形状をなしている。
【0023】
中駒30は、軸筒10の内部に挿入されており、中芯20を保持している。中駒30は、
図3に示すように、前筒11の中筒14の内部から後筒12の内部にわたって軸線方向Dに延在している。中駒30は、前筒11の中筒14に対し回転不能に係合しており、後筒12に対し回転可能となっている。また、中駒30は、後筒12と共に前筒11に対し軸線方向Dに移動可能となっている。
【0024】
図4(a)は、中駒30を示す平面図である。
図4(b)は、
図4(a)のIVb-IVb線に沿った断面図である。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、中駒30は、中駒30の前部を構成する前側筒部31と、中駒30の後部を構成する後側筒部32と、前側筒部31及び後側筒部32を軸線方向Dに連結する棒状部33と、を含んでいる。前側筒部31は、前方に開口を有する有底筒状をなしており、中芯20の後端部及び中芯ホルダー21の前端部を収容している(
図3参照)。前側筒部31の底部には、当該底部を軸線方向Dに貫通する複数の貫通孔31aが形成されている。各貫通孔31aは、各中芯ホルダー21に対応するように配置されており、各貫通孔31aには、各中芯ホルダー21がそれぞれ挿通されている。
【0025】
棒状部33は、前側筒部31の底部から後方に軸線方向Dに延在している。棒状部33の外径は、前側筒部31の外径よりも小さく、棒状部33の外周面には、複数の貫通孔31aにそれぞれ連通する複数のガイド溝33aが形成されている。各ガイド孔は、各貫通孔31aからそれぞれ後方に直線状に延在している。
図3に示すように、ガイド溝33aの内部には、中芯ホルダー21及びスライド駒22が収容される。ガイド溝33aの内面では、スライド駒22の外周面が軸線方向Dに摺動する。ガイド溝33aの内部において、中芯ホルダー21にはスプリングS1が巻回されている。スプリングS1の前端は、前側筒部31と棒状部33との段差部に当接しており、スプリングS1の後端は、スライド駒22の前端に当接している。スプリングS1の付勢力によって、スライド駒22は、中駒30の前側筒部31に対し後方に付勢されている。
【0026】
後側筒部32は、棒状部33の後端から円筒状に突出している。後側筒部32の外径は、棒状部33の外径と同程度となっている。後側筒部32の前側部分には、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、径方向において互いに対面する一対の位置に一対の弾性突部32aがそれぞれ形成されている。弾性突部32aは、後側筒部32の外周面から径方向外側に突出している。
図4(a)に示すように、後側筒部32における弾性突部32aの周囲には、後側筒部32の内外を連通するU字状の切欠きが形成されており、当該切欠きによって弾性突部32aは径方向に弾性を有している。当該切欠きは、後側筒部32における弾性突部32aの周方向の両脇に穿設されて軸線方向Dに延在する一対のスリット32bと、後側筒部32における弾性突部32aの前方に穿設され一対のスリット32bに連続して周方向に延在するスリット32cと、を含んでいる。
【0027】
上記切欠きに囲まれた後側筒部32の壁部は、径方向に可撓性を有するアームをなしている。よって、当該アームの前端部の外面に配置された弾性突部32aは、径方向に付勢力を有する。従って、弾性突部32aは、径方向内側に弾性変形可能となっている。このため、弾性突部32aは、径方向内側に外力を受けると後側筒部32の内側に入り込み、当該外力が解除されると元の位置に復帰する。弾性突部32aは元の位置にある場合において、後述する回転カム40のカムケース41の後端に軸線方向Dに対面している(
図11(a)及び
図11(b)参照)。
【0028】
弾性突部32aは、弾性突部32aの前端部に形成された傾斜面P1と、弾性突部32aの後端部に形成された傾斜面P2と、を含んでいる。傾斜面P1は、弾性突部32aの前端から後方に向かうに従って径方向の外側に位置するように傾斜している。傾斜面P1は、弾性突部32aが回転カム40のカムケース41の後端に当接したときに、弾性突部32aが後側筒部32の内側に入り込みやすくする。傾斜面P2は、弾性突部32aの後端から前方に向かうに従って、径方向の外側に位置するように傾斜している。
【0029】
後側筒部32の後側部分は、後側筒部32の前側部分の後端から二股に分かれて互いに径方向に対面する一対のアーム32dを有している。一対のアーム32dは、後側筒部32の後端から前方に所定長さ延在する一対のスリット32eによって形成されており、当該後端から軸線方向Dに沿って延在している。一対のスリット32eは、一対のアーム32dの対面方向と直交する径方向に互いに対面する一対の位置にそれぞれ形成されている。
【0030】
再び
図3を参照する。
図3に示すように、回転カム40は、後筒12の内部に収容されており、後筒12に対し同期回転可能に係合している。また、回転カム40は、軸線方向Dを中心軸方向とする円筒形状をなしており、回転カム40の内部には、中駒30の棒状部33が挿通されている。回転カム40は、棒状部33に対し回転可能となっている。従って、回転カム40は、中駒30に対し後筒12と共に回転する。中駒30は、上述したように、前筒11に対し回転不能に係合しているので、前筒11と後筒12との回転角度は、中駒30と回転カム40との回転角度によって規制することができる。
【0031】
また、回転カム40の前端は、軸線方向Dにおいて中筒14の後部14bの後端(縁部)に当接している。これにより、前筒11に対する回転カム40の前方への移動が規制されている。つまり、回転カム40は、前筒11に対し前方に移動不能となっている。回転カム40の後方には、後述するスプリングS2が設けられており、スプリングS2の付勢力によって、回転カム40は前方に付勢されている。このように、回転カム40が後部14bの後端とスプリングS2とによって挟まれることにより、前筒11に対する回転カム40の軸線方向Dの位置が維持される。
【0032】
図5(a)は、回転カム40を示す平面図である。
図5(b)は、
図5(a)のVb-Vb線に沿った断面図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、回転カム40は、軸線方向Dを中心軸方向とする段付き円筒形状のカムケース41と、カムケース41とは別体の湾曲板状のカム部42と、を含んでいる。カムケース41は、カムケース41の前部を構成する前側筒部43と、カムケース41の後部を構成する後側筒部44と、を含んでいる。後側筒部44の外径は、前側筒部43の外径よりも小さく、前側筒部43と後側筒部44との境界には段差部45が形成されている。
【0033】
カム部42は、前側筒部43の内部に収容されており、前側筒部43の内周面に沿って湾曲している。カム部42は、前側筒部43の内周面と相対回転不能に係合している。また、カム部42の外周面が前側筒部43の内周面に軸線方向Dに摺動することで、カム部42は、前側筒部43に対し軸線方向Dにスライド可能となっている。カム部42の後端は、軸線方向Dにおいて前側筒部43の内周面(具体的には、カムケース41の内部における前側筒部43と後側筒部44との段差面)に当接している。これにより、前側筒部43に対するカム部42の後方への移動が規制されている。カム部42の前端は、前側筒部43の前端から前方に突出している。
【0034】
カム部42の内面には、
図5(b)に示すように、当該内面から径方向内側に突出する突部42aが形成されている。突部42aは、突部42aの突出方向から見て、前方に向かって周方向の幅が徐々に狭くなる三角形状をなしている。突部42aの前端部(先端部)には、後方に向かって僅かに窪む凹部42bが形成されている。カム部42の外面には、シャープペンシル用の中芯20を繰り出すためのシャープペンシル用のノック部90が取り付けられる(
図3参照)。シャープペンシル用のノック部90は、前側筒部43に形成されるスリットを介して前側筒部43の外側に突出しており、筆記具1の外部に露出している。シャープペンシル用のノック部90は、前側筒部43に対しカム部42と共に前方にスライド可能となっている。シャープペンシル用の中芯20cが開口13aから出没した状態においてシャープペンシル用のノック部90を前方に押し下げることによって、中芯20cのシャープ芯を繰り出すことが可能となる。
【0035】
後側筒部44は、円筒形状の本体部44aと、本体部44aの外周面に形成されるカム受け部44bとを含んでいる。カム受け部44bは、後述する押子50のカム部52(
図3及び
図6参照)を受けるために設けられている。カム受け部44bは、本体部44aの外周面に形成されている。カム受け部44bは、段差部45から後方に向かって爪状に突出しており、本体部44aの外周面を周方向に取り囲んでいる。カム受け部44bは、具体的には、軸線方向Dに延在する円筒形状を、軸線方向Dの垂直面から傾斜した平面で切断したときの形状をなしている。カム受け部44bは、当該平面で切断した断面形状をなすカム受け面44cを含んでいる。カム受け面44cは、カム受け部44bの後端に形成されており、軸線方向Dの後方を向いている。カム受け面44cは、軸線方向Dにおいてカム部52のカム面52aと対面している(
図3参照)。
【0036】
スライド駒22、中駒30、及び回転カム40は、前筒11と後筒12との回転角度に応じて複数の中芯20のうち一の中芯20を軸筒10の前端から外に出没させる第1出没機構M1を構成する。回転カム40は、前筒11と後筒12との回転を中芯20の軸線方向Dへの移動に変換することによって、前筒11と後筒12との回転角度に応じた中芯20を開口13aから外に出没させる。具体的には、前筒11に対し後筒12が回転すると、中駒30に対し回転カム40が回転し、回転カム40のカム部42が回転カム40の回転を中芯20の軸線方向Dへの移動に変換する。ここで、
図6を参照して、回転カム40の回転によって中芯20を開口13aから外に出没させる機構について説明する。
【0037】
図6は、回転カム40の回転によって中芯20を開口13aから外に出没させる機構を説明するための斜視図である。なお、
図6では、説明の便宜上、軸筒10及びシャープペンシル用のノック部90を省略して示している。中駒30に対し回転カム40が回転すると、回転カム40のカム部42の突部42aがスライド駒22の突部22aに当接する。カム部42の突部42aがスライド駒22の突部22aに当接すると、スライド駒22の突部22aは、カム部42の突部42aから力を受けて、ガイド溝33a(
図3参照)に沿って軸線方向Dに摺動する。
【0038】
そして、
図6に示すように、スライド駒22の突部22aがカム部42の突部42aの前端部に形成された凹部42bに入り込むと、そのスライド駒22に取り付けられた中芯20が開口13aから外に出没した状態となる。この状態から回転カム40を中駒30に対し更に回転させると、スライド駒22の突部22aがカム部42の凹部42bから外れてガイド溝33aに沿って後方に移動し、開口13aから出没した中芯20が軸筒10の内部に引き戻される。
【0039】
従って、中駒30に対する回転カム40の凹部42bの周方向の位置と、中駒30に対するスライド駒22の突部22aの周方向の位置(すなわち、中駒30に対する中芯20の周方向の位置)との位置関係に応じて、開口13aから出没する中芯20が切り替わる。例えば、凹部42bの周方向の位置が中芯20aの周方向の位置に一致したときに、中芯20aが開口13aから外に出没する。中芯20b及び中芯20cについても同様である。つまり、中駒30に対する凹部42bの回転角度が中駒30に対する中芯20の回転角度に一致したときに、その中芯20が開口13aから外に出没する。このように、複数の中芯20のうち、中駒30と回転カム40との回転角度(すなわち、前筒11と後筒12との回転角度)に応じた中芯20が、開口13aから外に出没する。
【0040】
再び、
図2及び
図3を参照する。上述した中駒30と、中芯20の後方において中駒30に固定される押子50と、中駒30の後方に設けられる消去部材60と、中駒30の後端部に設けられて消去部材60を支持する支持部70と、軸筒10の後端から後方に突出しており消去部材60を覆うように支持部70に取り付けられるキャップ80とは、前述のノック部100を構成する。ノック部100を構成する各部品は、前筒11に対し軸線方向Dにスライド可能となっている。使用者によりキャップ80が前方に押し下げられると、これに応じて、中駒30、押子50、消去部材60、及び支持部70が前方に押し下げられる。ノック部100及び第1出没機構M1は、ノック操作により複数の中芯20のうち特定の中芯を軸筒10の前端から外に出没させる第2出没機構M2を構成する。即ち、本実施形態では、第2出没機構M2は、第1出没機構M1を共用してこれを利用し、特定の回転角度に応じた特定の中芯を開口13aから外に出没させる。
【0041】
押子50は、軸線方向Dを中心軸方向とする円筒形状をなしており、押子50の内部には、中駒30の後側筒部32が挿通されている。押子50は、後側筒部32に対し回転不能且つ軸線方向Dへ移動不能に係合している。従って、押子50は、前筒11に対し回転不能となっており、中駒30及び後筒12と共に前筒11に対し軸線方向Dに移動可能となっている。
【0042】
図7(a)は、押子50を示す平面図である。
図7(b)は、
図7(a)のVIIb-VIIb線に沿った断面図である。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、押子50は、軸線方向Dを中心軸方向とする円筒形状の基部51と、基部51の前端から前方に爪状に突出するカム部52と、を含んでいる。基部51の内周面51aは、後側筒部32に対し回転不能且つ軸線方向Dへ移動不能に係合する部分である。カム部52の外径は基部51の外径よりも小さく、カム部52と基部51との境界には段差部53が形成されている。カム部52は、軸線方向Dに延在する円筒形状を、軸線方向Dの垂直面から傾斜した平面で切断したときの形状をなしている。カム部52は、当該平面で切断した断面形状をなすカム面52aを含んでいる。カム面52aの面形状は、回転カム40のカム受け面44cに対応しており、カム受け面44cに対し回転方向に係合可能に形成されている。カム面52aは、カム部52の前端に形成されており、軸線方向Dの前方を向いている。カム面52aは、上述したように、軸線方向Dにおいてカム受け面44cと対面している。
【0043】
図3及び
図6に示すように、押子50と回転カム40との間には、スプリングS2が設けられている。スプリングS2の前端は、金属性のリングR1を介して回転カム40の段差部45に当接しており、スプリングS2の後端は、金属性の別のリングR2を介して押子50の段差部53に当接している。リングR1及びR2は、第1出没機構M1(又は、第1出没機構M1及び第2出没機構M2)によって中芯を出没させる際に、相対回転する回転カム40と押子50との間にあるスプリングS2が、回転カム40と押子50との回転動作及び軸線方向Dに沿った摺動に伴って回転カム40の段差部45及び押子50の段差部53を傷つけないようにするために設けられている。押子50のカム部52及びカム受け部44bは、スプリングS2の内部に配置されている。スプリングS2の付勢力によって、回転カム40は、押子50に対し前方に付勢されている。回転カム40の前端は、上述したように、軸線方向Dにおいて中筒14の後部14bの後端に当接しているので、回転カム40は、スプリングS2の付勢力によって後部14bの後端(すなわち前筒11)に押し付けられる。これにより、前筒11に対する回転カム40の軸線方向Dの位置が維持されている。また、スプリングS2は、ノック部100が押し下げられたときに、押子50を後方に付勢することにより、ノック部100の位置を元の位置(押し下げられる前の位置)に復帰させる。
【0044】
押子50のカム部52、及び回転カム40のカム受け部44bは、ノック部100が押し下げられたときに、中駒30と回転カム40との回転角度、すなわち前筒11と後筒12との回転角度を規制する。
図8(a)は、ノック部100が押し下げられる前の押子50及び回転カム40の状態を示す平面図である。
図8(b)は、ノック部100が押し下げられたときの押子及び回転カムの状態を示す平面図である。なお、
図8(a)及び
図8(b)では、説明の便宜上、軸筒10及びスプリングS2,S3を省略して示している。
図8(a)に示す状態から、ノック部100が押し下げられると、押子50が前方に移動し、押子50のカム面52aが回転カム40のカム受け面44cに当接する。この状態から押子50が更に前方に移動すると、カム受け面44cがカム面52aから受ける力によって、カム受け面44cは、カム面52aに対し回転し、カム面52aと回転方向に係合する。このように、カム受け面44cがカム面52aに回転方向に係合することにより、押子50に対する回転カム40の回転角度が特定の回転角度に規制される。
【0045】
押子50に対する回転カム40の回転角度は、押子50が固定される中駒30に対する回転カム40の回転角度、すなわち前筒11と後筒12との回転角度によって規定することができる。従って、カム受け面44cがカム面52aに回転方向に係合することにより、前筒11と後筒12との回転角度が特定の回転角度に規制され、回転カム40は、複数の中芯20のうち特定の回転角度に応じた特定の中芯を開口13aから外に出没させる。
【0046】
本実施形態において、「特定の回転角度」は、中駒30に対する回転カム40の凹部42bの回転方向の位置が、中駒30に対する中芯20a,20b又は20cの回転方向の位置に一致するときの、前筒11と後筒12との回転角度を意味する。本実施形態では、「特定の回転角度」が、中駒30に対する回転カム40の凹部42bの回転方向の位置が、中駒30に対する中芯20bの回転方向の位置に一致するときの前筒11と後筒12との回転角度である場合を例示する。「特定の回転角度」は、筆記具1の製造時に、中駒30に対する押子50の回転方向の位置を調整することによって設定することができる。「特定の中芯」は、「特定の回転角度」に対応する位置にあるいずれかの中芯20a,20b又は20cである。本実施形態では、「特定の中芯」は使用頻度の高い中芯20bとなる。
【0047】
従って、本実施形態では、ノック部100が押し下げられると、複数の中芯20のうち中芯20bが開口13aから外に出没する構成となっている。なお、「特定の中芯」は、使用者の意図に応じて変更することが可能である。中芯20は、上述したように、中芯ホルダー21から取り外し可能であるので、「特定の回転角度」に対応する位置にある中芯20bを他の中芯20a又は20cと入れ替えることによって、「特定の中芯」を他の中芯20a又は20cに設定することができる。従って、使用者は、開口13aから直ちに出没させたい所望の中芯(特定の中芯)を任意に設定することができる。
【0048】
再び、
図2及び
図3を参照する。消去部材60は、筆記具1による筆跡を消去するための部材であり、例えば消しゴムなどである。消去部材60は、例えば円柱形状をなしており、キャップ80の内部に配置されている。なお、消去部材60は、筆記具1に所定機能を付与する部品であれば、他の部品(例えば印鑑等)に置き代えることも可能である。支持部70は、後筒12の後端部の内部に挿入されて(差し込まれて)おり、消去部材60の前側部分を収容している。支持部70は、第1支持部材72及び第2支持部材71を含んでいる。第2支持部材71は、消去部材60を保持する部材であり、第1支持部材72は、第2支持部材71を支持する部材である。キャップ80は、第1支持部材72に対し着脱可能に取り付けられている。第1支持部材72からキャップ80が取り外されることによって、消去部材60が使用可能な状態となる。
【0049】
図9(a)は、第2支持部材71を示す斜視図である。
図9(b)は、第2支持部材71を示す正面図である。
図9(c)は、
図9(b)のIXc-IXc線に沿った断面図である。第2支持部材71は、例えば、軸線方向Dを中心軸方向とする円柱形状をなしており、樹脂材料によって形成されている。第2支持部材71の前側部分には、該前側部分の前端から軸線方向Dに沿って後方に延在する一対の挿入孔71aが形成されている。一対の挿入孔71aは、径方向において第2支持部材71の中心軸を挟む一対の位置にそれぞれ配置されており、中駒30の後側筒部32の一対のアーム32d(
図3及び
図4参照)に対応するように形成されている。後述する第1支持部材72の凹部72fの内部において、一対の挿入孔71aには一対のアーム32dがそれぞれ挿入されて嵌合している。一対のアーム32dが一対の挿入孔71aにそれぞれ嵌合することにより、第2支持部材71は、中駒30の後側筒部32に対し回転不能且つ軸線方向Dへ移動不能となっている。つまり、第2支持部材71は、軸線方向Dにおいて中駒30と一体移動可能となっている。第2支持部材71の後側部分には、消去部材60が嵌合する凹部71bが形成されている。凹部71bは、第2支持部材71の後端から前方に向かって窪んでおり、消去部材60を収容する円筒形状をなしている。消去部材60の後端は、凹部71bから後方に突出している。即ち、消去部材60の後端は、軸線方向Dにおいて第2支持部材71の後端よりも後方に位置している(
図3参照)。凹部71bの底部71cの中心部分には、該中心部分から前方に窪む凹部71dが形成されている。凹部71dは、径方向において一対の挿入孔71aに挟まれる位置に形成されている。
【0050】
図10(a)は、第1支持部材72を示す斜視図である。
図10(b)は、第1支持部材72を示す正面図である。
図10(c)は、
図10(b)のXc-Xc線に沿った断面図である。第1支持部材72は、第2支持部材71とは別体で構成されている。第1支持部材72は、例えば、第2支持部材71と同じ樹脂材料によって形成されている。しかし、第1支持部材72は、第2支持部材71とは異なる材料によって形成されていてもよい。第1支持部材72は、第2支持部材71に対し軸線方向Dに沿った所定距離を移動可能な状態で中駒30に取り付けられている。従って、第2支持部材71が中駒30に軸線方向Dに固定される一方、第1支持部材72は、第2支持部材71及び中駒30に対し軸線方向Dに沿って所定距離移動可能となっている。第1支持部材72は、第2支持部材71を支持する本体部72aと、本体部72aの前端から前方に突出する棒状部72bと、棒状部72bの前端部から径方向外側に突出する突部72cと、を含んでいる。
【0051】
本体部72aは、後方に開口する有底筒状をなしており、第2支持部材71を収容している。本体部72aの底部には、軸線方向Dに貫通する一対の貫通孔72dが形成されている。一対の貫通孔72dは、一対の挿入孔71aにそれぞれ対応している。一対の貫通孔72dには、中駒30の後側筒部32の一対のアーム32d(
図3及び
図4参照)がそれぞれ挿通されている。一対のアーム32dが一対の貫通孔72dにそれぞれ挿通されることにより、第1支持部材72は、中駒30に対し回転不能となっている。また、アーム32dは、貫通孔72dに対し軸線方向Dに摺動可能となっている。これにより、第1支持部材72は、中駒30に対しスライド可能となっている。なお、本体部72aの底部が第2支持部材71の前端に軸線方向Dに当接することによって、第2支持部材71に対する第1支持部材72の後方への移動が規制されている。
【0052】
本体部72aの後側部分には、第2支持部材71を収容する円筒状の凹部72fが形成されている。第2支持部材71の後端は、凹部72fから後方に突出している(
図3参照)。即ち、第2支持部材71の後端は、軸線方向Dにおいて第1支持部材72の後端よりも後方に位置している。凹部72fは、本体部72aの後端から前方に向かって窪んでおり、一対の貫通孔72dからそれぞれ後方に突き出す一対のアーム32dの後端部を収納している。本体部72aの後側部分の外周面には、キャップ80(
図3参照)が取り付けられる。具体的には、本体部72aの後側部分の外周面に形成された雄螺子と、キャップ80の前側部分の内周面に形成された雌螺子との螺合によって、キャップ80が本体部72aに対し着脱可能に取り付けられる。本体部72aの中央部分の外周面には、当該外周面から径方向外側に向かって突出すると共に周方向にわたって延在する環状突部72eが形成されている。
【0053】
図3に示すように、環状突部72eは、後筒12の後端部の内周面に対し回転不能に係合しており、後筒12の環状突部12cと軸線方向Dに対面している。環状突部72eと後筒12の環状突部12cとの間には、スプリングS3(弾性部材)が設けられている。スプリングS3の内部には、中駒30の後側筒部32と、第1支持部材72の環状突部72eよりも前側の部分とが配置されている。スプリングS3の前端は、後筒12の環状突部12cに当接し、スプリングS3の後端は、本体部72aの環状突部72eに当接している。スプリングS3の付勢力によって、第1支持部材72は、後筒12に対し後方に付勢されている。スプリングS3は、ノック部100が押し下げられたときに、第1支持部材72を後方に付勢することにより、ノック部100の位置を元の位置に復帰させる。
【0054】
棒状部72bは、本体部72aの底部の中心部分から前方に突出しており、軸線方向Dに延在する円筒状をなしている。突部72cは、棒状部72bの前端部の全周にわたって連続的に形成されており、軸線方向Dから見て円形状をなしている(
図10(b)参照)。棒状部72bは、
図3に示すように、中駒30の後側筒部32の内部に挿入されており、棒状部72bの外径は、後側筒部32の内径よりも小さくなっている。一方、突部72cの外径は、棒状部72bの外径よりも大きく、後側筒部32の内径と同一か僅かに小さくなっている。このため、後側筒部32の弾性突部32a(
図4(a)及び
図4(b)参照)の内側(裏側)に突部72cが位置するとき、すなわち、軸線方向Dにおいて弾性突部32aと突部72cとが同じ位置にあるときは、弾性突部32aが外力を受けて後側筒部32の内側に入り込もうとしても、弾性突部32aが突部72cに径方向に当接することによって、後側筒部32の内側への弾性突部32aの入り込みが抑制される。一方、棒状部72bの外径は、後側筒部32の内径よりも小さくなっており、棒状部72bと後側筒部32との径方向の隙間は、弾性突部32aが後側筒部32の内側に入り込むことを許容する。このため、突部72cが前方に移動して弾性突部32aの内側に位置しないとき(すなわち、軸線方向Dにおいて弾性突部32aと突部72cとがずれた位置にあるとき)は、後側筒部32の内側への弾性突部32aの入り込みが可能になる。
【0055】
図11(a)は、キャップ80が第1支持部材72から取り外された状態における突部72cの付近を拡大した断面図である。
図11(b)は、
図11(a)に示す状態から消去部材60が押圧されたときの突部72cの付近を拡大した断面図である。
図11(a)に示すように、ノック部100が押し下げられる前の元の位置にあるとき、後側筒部32の弾性突部32aの内側に突部72cが位置している。この状態において消去部材60を使用する際、消去部材60は、消去対象物から受ける力によって前方に押圧される。このとき、消去部材60が前方に押圧されても、第1支持部材72には前方への力が付与されないので、
図11(b)に示すように、第1支持部材72は前方にスライドせず、突部72cは、弾性突部32aの内側の位置から移動しない。この状態では、消去部材60及び第2支持部材71を介して中駒30が前方に押圧されると、弾性突部32aが回転カム40のカムケース41の後端に当接する。このとき、弾性突部32aがカムケース41の後端から受ける力によって後側筒部32の内側に入り込もうとしても、突部72cが妨げとなって(すなわち、弾性突部32aが突部72cに径方向に当接することによって)後側筒部32の内側への弾性突部32aの入り込みが規制される。従って、この状態では、弾性突部32aがカムケース41の後端に軸線方向Dに当接することによって(すなわち、弾性突部32aがカムケース41の後端に係止されることによって)、回転カム40に対する中駒30の前方へのスライドが規制される。つまり、ノック部100の押し下げが規制される。
【0056】
図12(a)は、キャップ80が第1支持部材72に取り付けられた状態において突部72cの付近を拡大した断面図である。
図12(b)は、
図12(a)に示す状態からキャップ80が押圧されたときの突部72cの付近を拡大した断面図である。
図12(c)は、
図12(b)に示す状態からキャップ80が更に押圧されたときの突部72cの付近を拡大した断面図である。通常のノック操作を行う際には、キャップ80が取り付けられた状態でキャップ80を前方に押圧する。このとき、キャップ80が押圧されると、
図12(b)に示すように、キャップ80が取り付けられた第1支持部材72が、スプリングS3の付勢力に抗して第2支持部材71及び中駒30対し前方にスライドする。これに応じて、第1支持部材72の突部72cも前方にスライドし、突部72cが弾性突部32aよりも前方に位置するようになる。つまり、突部72cは、弾性突部32aの内側の位置から前方にずれた位置に移動し、弾性突部32aの内側に位置しなくなる。これにより、後側筒部32の内側への弾性突部32aの入り込みの規制が解除された状態となる。
【0057】
図12(b)に示す状態からキャップ80が更に押し下げられると、
図12(c)に示すように、弾性突部32aが回転カム40のカムケース41の後端に軸線方向Dに当接し、弾性突部32aがカムケース41の後端から受ける力によって後側筒部32の内側へ入り込む。これにより、弾性突部32aがカムケース41の後端と軸線方向Dに当接しなくなるので(すなわち、弾性突部32aとカムケース41の後端との係止が解除されるので)、中駒30が回転カム40に対し前方にスライドするようになる。これに応じて、中駒30、中駒30に支持される第2支持部材71、第2支持部材71に保持される消去部材60が共に前方にスライドし、ノック部100の押し下げが可能となる。
【0058】
以上の動作をまとめると、キャップ80を第1支持部材72から取り外して消去部材60を使用する際には、弾性突部32aがカムケース41の後端と軸線方向Dに当接することによりノック操作が規制される。一方、キャップ80を第1支持部材72に取り付けてキャップ80を押圧する際には、第1支持部材72が前方にスライドして突部72cが弾性突部32aよりも前方にスライドすることにより、弾性突部32aが後側筒部32の内側に入り込むようになる。これにより、弾性突部32aがカムケース41の後端と軸線方向Dに当接しなくなるので、ノック操作の規制が解除される。つまり、キャップ80を第1支持部材72に取り付けた状態では、通常のノック操作が可能になる。
【0059】
続いて、ノック操作により特定の中芯20bを開口13aから出没させる際の動作について説明する。
図13(a)は、ノック部100が押し下げられる前の筆記具1の状態を示す断面図である。
図13(b)は、ノック部100が押し下げられたときの筆記具1の状態を示す断面図である。
図13(a)に示すように、ノック操作される前の状態では、赤色ボールペン用の中芯20aが開口13aから出没している。
図13(a)に示す筆記具1の状態からノック部100が押し下げられると、
図13(b)に示すように、軸筒10の後端から突出するキャップ80と、キャップ80が取り付けられた第1支持部材72とが、スプリングS3の付勢力に抗して前方に押し下げられる。
【0060】
このとき、上述したように、第1支持部材72の突部72cが、軸線方向Dにおいて中駒30の後側筒部32の弾性突部32aの内側の位置から前方に移動し、弾性突部32aの内側に突部72cが位置しなくなる。このため、第1支持部材72と共にスプリングS3が押し下げられると、スプリングS3によって後筒12の環状突部12cが押し下げられる。その結果、後筒12、中駒30、押子50、消去部材60、及び支持部70が一体となって前方に押し下げられる。中駒30が前方に押し下げられて中駒30の弾性突部32aが回転カム40のカムケース41の後端に当接すると、弾性突部32aは、カムケース41の後端から力を受けて後側筒部32の内部に入り込む。これにより、後筒12、中駒30、押子50、消去部材60、及び支持部70は、更に前方に押し下げられる。そして、押子50が前方に押し下げられて回転カム40に到達すると、押子50のカム面52aが回転カム40のカム受け面44cに当接する。
【0061】
図14(a)は、
図13(b)に示す状態から、ノック部100が更に押し下げられたときの筆記具1の状態を示す断面図である。
図14(b)は、
図14(a)に示す状態から、ノック部100が元の位置に復帰したときの筆記具1の状態を示す断面図である。
図14(a)に示すように、カム面52aがカム受け面44cに当接すると、カム受け面44cがカム面52aから受ける力により、回転カム40が押子50に対し回転する(
図8(a)及び
図8(b)参照)。そして、カム面52aがカム受け面44cに回転方向に係合することにより、回転カム40と中駒30との回転角度、すなわち前筒11と後筒12との回転角度が特定の回転角度に規制される。
【0062】
これにより、
図14(b)に示すように、複数の中芯20のうち特定の回転角度に対応する特定の中芯20bが開口13aから出没する。このとき、前筒11と後筒12との回転に応じて、中駒30と回転カム40とが回転することにより、中芯20bに取り付けられたスライド駒22の突部22aの後端が、回転カム40のカム部42の突部42aに当接しながら中駒30のガイド溝33aに沿って軸線方向Dに摺動する。そして、スライド駒22の突部22aが突部42aの前端に形成された凹部42bに入り込むことで、前筒11の開口13aから特定の中芯20bが出没した状態が維持される。そして、スプリングS2及びスプリングS3の付勢力によって、ノック部100は元の位置に復帰する。
【0063】
続いて、本実施形態に係る筆記具1によって得られる効果を説明する。
【0064】
筆記具1では、キャップ80を第1支持部材72から取り外して消去部材60を使用する際、消去部材60は外力を受けて前方に押圧される。消去部材60が前方に押圧されると、これに応じて、消去部材60を保持する第2支持部材71、及び第2支持部材71と一体移動する中駒30が共に前方に押圧され、中駒30の弾性突部32aが回転カム40に当接する。このとき、第1支持部材72の突部72cにより径方向内側への弾性突部32aの移動が規制されているので、弾性突部32aは、回転カム40への当接によって回転カム40に係止される。これにより、第2支持部材71の押し下げが規制され、ノック操作が規制される。一方、キャップ80を第1支持部材72に取り付けた状態でキャップ80を押圧すると、第1支持部材72が前方に移動することにより第1支持部材72の突部72cが弾性突部32aよりも前方に移動し、これに応じて、弾性突部32aが径方向内側に移動可能となる。この状態では、弾性突部32aは、径方向内側に移動することで回転カム40に軸線方向Dに当接しなくなる。これにより、中駒30が前方に移動可能となり、ノック操作が可能となる。従って、筆記具1によれば、キャップ80を第1支持部材72に取り付けた状態では通常のノック操作が可能になり、キャップ80を第1支持部材72から取り外した状態で消去部材60を使用する際には不要なノック操作が抑制される。そして、キャップ80を第1支持部材72から取り外した状態では、第1支持部材72の突部72cにより径方向内側への弾性突部32aの移動が規制される構成となっているので、弾性突部32aが意図せずに径方向内側に移動して回転カム40との係止が解除されてしまう事態を抑制できる。従って、この構成によれば、消去部材60を使用する際に不要なノック操作が行われてしまう事態をより確実に抑制できる。
【0065】
本実施形態に係る筆記具1では、スプリングS3は、軸筒10の内周面の周方向に沿って延在する環状突部12cと第1支持部材72との間に配置されている。これにより、スプリングS3の付勢力によって、ノック操作後の第1支持部材72の位置を元の位置(ノック操作される前の位置)に復帰させることができる。
【0066】
本実施形態に係る筆記具1では、第2支持部材71は、第1支持部材72の後端が第2支持部材71の後端よりも後方に移動しないように中駒30に嵌合されている。これにより、キャップ80を第1支持部材72から取り外した状態において、第1支持部材72が外力を受けて前方に移動してノック操作が解除されてしまう事態を抑制できる。つまり、消去部材60を使用する際に不要なノック操作が行われてしまう事態をより確実に抑制できる。
【0067】
本実施形態に係る筆記具1では、突部72cは、棒状部72bの外周面の全周にわたって連続的に形成されている。これにより、弾性突部32aに対する突部72cの周方向の位置を調整することなく、突部72cによって、径方向内側への弾性突部32aの移動を容易に規制することができる。
【0068】
本実施形態に係る筆記具1では、弾性突部32aは、弾性突部32aの前端から後方に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面P1を含んでいる。この構成では、第1支持部材72が前方へ移動して弾性突部32aの傾斜面P1が回転カム40に当接したときに、傾斜面P1によって、弾性突部32aが径方向内側に向かうようにガイドされる。これにより、第1支持部材72が前方へ移動したときに弾性突部32aが径方向内側に移動可能となる機構を容易に構成することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。例えば、上記実施形態では、中駒30の弾性突部32aの形状、及び支持部70の第1支持部材72の突部72cの形状は、適宜変更可能である。例えば、弾性突部32aは、傾斜面P1及びP2を含んでいなくてもよい。また、突部72cは、棒状部72bの前端部に形成されていなくてもよく、棒状部72bの中央部又は後端部に形成されていてもよい。また、突部72cは、棒状部72bの外周面の全周にわたって形成されていなくてもよく、棒状部72bの外周面の周方向における一部に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…筆記具
10…軸筒
12c…環状突部
13a…開口
20,20a,20b,20c…中芯
72c…突部
30…中駒
72d…貫通孔
32a…弾性突部
32d…アーム
72b…棒状部
40…回転カム
60…消去部材(部品)
72f…凹部
71…第2支持部材
72…第1支持部材
80…キャップ
D…軸線方向
P1…傾斜面
S3…スプリング(弾性部材)