(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
A61H 33/10 20060101AFI20230825BHJP
A61H 33/06 20060101ALI20230825BHJP
F24D 15/00 20220101ALI20230825BHJP
F26B 9/02 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A61H33/10 G
A61H33/06 Q
F24D15/00 B
F26B9/02 A
(21)【出願番号】P 2019220351
(22)【出願日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 福郎
(72)【発明者】
【氏名】今西 望
(72)【発明者】
【氏名】島田 将行
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-062101(JP,A)
【文献】特開2016-011769(JP,A)
【文献】特開2016-8723(JP,A)
【文献】特開2012-105755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 33/06-10
F24D 15/00
F26B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内に向けられたノズルを有し、当該ノズルから前記浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段と、
前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段と、
前記浴室内の空気の状態を検出する空気状態検出手段と、
前記ミスト噴霧手段によって前記浴室内にミストを噴霧するミスト運転と前記空気状態変化手段によって前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転とを実行する制御装置と、
前記浴室外に設けられ、少なくとも前記制御装置にミスト運転指令を送信可能な外部機器とを備えた浴室システムであって、
前記制御装置は、
前記ミスト運転及び前記空気状態変化運転を実行する運転制御部と、
前記空気状態変化運転中又は前記空気状態変化運転後に前記空気状態検出手段で検出された前記浴室内の空気の状態に基づいて、前記浴室が密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部とを備え、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に
前記ミスト運転の実行前に前記空気状態変化運転を実行し、前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に前記ミスト運転を実行する浴室システム。
【請求項2】
前記浴室内に空気を供給する送風手段を備え、
前記空気状態変化手段は、前記浴室内に供給する空気を加熱する加熱手段であり、
前記空気状態検出手段は、前記浴室内の温度を検出する温度検出手段であり、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に前記加熱手段及び前記送風手段によって前記浴室内に加熱された空気を供給する暖房運転を実行し、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に、前記ミスト運転を実行する請求項
1に記載の浴室システム。
【請求項3】
浴室内に向けられたノズルを有し、当該ノズルから前記浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段と、
前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段と、
前記浴室内の空気の状態を検出する空気状態検出手段と、
前記ミスト噴霧手段によって前記浴室内にミストを噴霧するミスト運転と前記空気状態変化手段によって前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転とを実行する制御装置と、
前記浴室外に設けられ、少なくとも前記制御装置にミスト運転指令を送信可能な外部機器とを備えた浴室システムであって、
前記制御装置は、
前記ミスト運転及び前記空気状態変化運転を実行する運転制御部と、
前記空気状態変化運転中又は前記空気状態変化運転後に前記空気状態検出手段で検出された前記浴室内の空気の状態に基づいて、前記浴室が密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部と、を備え、
前記浴室内に空気を供給する送風手段を備え、
前記空気状態変化手段は、前記浴室内に供給する空気を乾燥させる乾燥手段であり、
前記空気状態検出手段は、前記浴室内の湿度を検出する湿度検出手段であり、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に前記乾燥手段及び前記送風手段によって前記浴室内に乾燥した空気を供給する
前記空気状態変化運転としての乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に、前記ミスト運転を実行す
る浴室システム。
【請求項4】
浴室内に向けられたノズルを有し、当該ノズルから前記浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段と、
前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段と、
前記浴室内の空気の状態を検出する空気状態検出手段と、
前記ミスト噴霧手段によって前記浴室内にミストを噴霧するミスト運転と前記空気状態変化手段によって前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転とを実行する制御装置と、
前記浴室外に設けられ、少なくとも前記制御装置にミスト運転指令を送信可能な外部機器とを備えた浴室システムであって、
前記制御装置は、
前記ミスト運転及び前記空気状態変化運転を実行する運転制御部と、
前記空気状態変化運転中又は前記空気状態変化運転後に前記空気状態検出手段で検出された前記浴室内の空気の状態に基づいて、前記浴室が密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部とを備え、
前記浴室内に空気を供給する送風手段を備え、
前記空気状態変化手段は、前記浴室内に供給する空気を加熱する加熱手段と、前記浴室内に供給する空気を乾燥させる乾燥手段とからなり、
前記空気状態検出手段は、前記浴室内の温度を検出する温度検出手段と、前記浴室内の湿度を検出する湿度検出手段とからなり、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に、
前記加熱手段及び前記送風手段によって前記浴室内に加熱した空気を供給する
前記空気状態変化運転としての暖房運転を実行し、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合、並びに、前記乾燥手段及び前記送風手段によって前記浴室内に乾燥した空気を供給する
前記空気状態変化運転としての乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合のうちの少なくともいずれか一方の場合に、前記ミスト運転を実行す
る浴室システム。
【請求項5】
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に、その時点での前記浴室内の温度が所定値以上であるか否かを判断し、
前記浴室内の温度が所定値以上である場合には、前記乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された際に、前記ミスト運転を実行し、
前記浴室内の温度が所定値以上でない場合には、前記暖房運転を実行し、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された際に、前記ミスト運転を実行する請求項
4に記載の浴室システム。
【請求項6】
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した時点での前記浴室内の温度が所定値以上でなく、且つ、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に、前記乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された際に、前記ミスト運転を実行する請求項
5に記載の浴室システム。
【請求項7】
前記密閉状態判定部は、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出される前記浴室内の温度が、暖房運転開始時からの経過時間と浴室内の温度との相関関係を示す近似線から所定の温度範囲内であるときに、前記浴室が密閉状態であると判定する請求項
2、4又は
5に記載の浴室システム。
【請求項8】
前記湿度検出手段は、前記浴室内及び浴室外の絶対湿度を検出し、
前記密閉状態判定部は、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出される前記浴室内の絶対湿度と前記浴室外の絶対湿度との差が所定値以上であるときに、前記浴室が密閉状態であると判定する請求項
3~
6のいずれか一項に記載の浴室システム。
【請求項9】
前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態でないと判定された場合に、前記ミスト運転が実行されない旨を報知する報知手段を備えている請求項1~8のいずれか一項に記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内に向けられたノズルを有し、このノズルから浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段や、ミスト噴霧手段によって浴室内にミストを噴霧するミスト運転を実行する制御装置などを備えた浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自宅の浴室にミストサウナを導入するためのミスト発生装置が提案されている(例えば、特許文献1記載のミストサウナ装置)。この種のミスト発生装置は、熱媒利用端末に加熱した熱媒体を循環させるように作動する熱源機や、浴室に臨むミストノズル、ミストノズルに水を供給する給水路、給水路に介設した液々熱交換器、熱媒体を液々熱交換器を介して循環させるミスト用熱媒循環路、各部の動作を制御する制御装置などを備えている。このような構成を備えたミスト発生装置では、制御装置がミスト運転の実行指令を受け付けた際に、当該制御装置が各部の動作を制御することで、給水路内を流れる水が液々熱交換器において熱媒体との熱交換によって温められ、この温められた水がミストノズルから浴室に向けて噴射される。
【0003】
近年、ミスト発生装置の利用者は、浴室内に設けられた浴室内リモコンによって宅内からミスト発生装置を操作できるだけでなく、インターネット回線を通じて接続された携帯端末やリビングなどに設置された浴室外リモコンなどの外部機器を通して、浴室に設置されたミスト発生装置を浴室外から操作できるようになってきている。
【0004】
ところが、浴室内にミストを発生させる場合、浴室が密閉状態でないと重大な事故に繋がりかねない事態が発生する可能性がある。例えば、浴室が密閉状態でない場合に浴室内にミストを発生させると、浴室内の湿った空気が浴室外に漏れ出て、トラッキング現象が発生する可能性がある。そのため、浴室内にミストを発生させる場合には、浴室が密閉状態であることを確認する必要があるが、外部機器を通して浴室外からミスト発生装置を操作する場合、浴室が密閉状態であるか否かを利用者が確認できなかったり、確認し忘れたりする場合がある。
【0005】
そこで、従来より、例えば、浴室の扉が閉じているか否かを検出する検出部(リミットスイッチや遮光センサ等)を備え、この検出部での検出結果を基にして、利用者が浴室の密閉状態を確認できる装置が提案されている(例えば、特許文献2記載の熱源装置)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-150264号公報
【文献】特開2016-8723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2記載の熱源装置において、浴室の扉の開閉状態を検出するための検出部は、湿度の高い環境下や飛散した湯水が付着し易い箇所に設置されるため、故障が発生し易く、故障が発生した場合の修理や交換などに伴う費用が必要となり、仮に、高い耐水性などを備えた検出部を使用する場合には故障のリスクを低減できるが検出部自体の価格が高く、コストを抑えることが難しい。
【0008】
また、浴室の扉に通気口が設けられているような場合には、浴室の扉が閉状態であったとしても通気口が開状態であれば、ミスト運転を行った際に通気口を通して湿った空気が浴室内から浴室外へと漏れ出て、上記と同様の事態が発生し得る。したがって、浴室の扉に通気口が設けられているような場合には、浴室の扉の開閉状態だけでなく、通気口の開閉状態も利用者が確認できる必要があり、そのためには、通気口の開閉状態を検出する検出部が別途必要になるため、複数の検出部を設置するための費用が掛かる。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、コストを抑えつつ、浴室の密閉状態を判定でき、且つ、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる浴室システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る浴室システムの特徴構成は、
浴室内に向けられたノズルを有し、当該ノズルから前記浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段と、
前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段と、
前記浴室内の空気の状態を検出する空気状態検出手段と、
前記ミスト噴霧手段によって前記浴室内にミストを噴霧するミスト運転と前記空気状態変化手段によって前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転とを実行する制御装置と、
前記浴室外に設けられ、少なくとも前記制御装置にミスト運転指令を送信可能な外部機器とを備えた浴室システムであって、
前記制御装置は、
前記ミスト運転及び前記空気状態変化運転を実行する運転制御部と、
前記空気状態変化運転中又は前記空気状態変化運転後に前記空気状態検出手段で検出された前記浴室内の空気の状態に基づいて、前記浴室が密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部とを備え、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に前記ミスト運転の実行前に前記空気状態変化運転を実行し、前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に前記ミスト運転を実行する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を行う前に空気状態変化運転を行うことで、浴室内の空気の状態を意図的に変化させることができる。また、上記特徴構成によれば、空気状態変化運転中又は空気状態変化運転後の浴室内の空気の状態を検出することができる。尚、浴室内の空気の状態とは、温度や湿度などである。
【0012】
ここで、浴室が密閉状態である場合に空気状態変化運転を行った場合と、浴室が密閉状態でない場合に空気状態変化運転を行った場合とでは、前者の場合の方が浴室内と浴室外との間での空気の出入りが少ないため、浴室内の空気の状態が変化し易くなる。したがって、空気状態変化運転中や空気状態変化運転後の浴室内の空気の状態を検出し、空気状態変化運転前の浴室内の空気の状態と比較した場合の変化の度合いなどから浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。具体的に、空気状態変化運転によって浴室内の空気の状態に大きな変化があった場合には浴室が密閉状態であると判定でき、逆に、浴室内の空気の状態に大きな変化が見られなかった場合には、浴室が密閉状態でないと判定することができる。
【0013】
このように、上記特徴構成においては、一般的な浴室システムが備える温度センサなどの検出手段を流用して、浴室内の空気の状態を検出し、その検出結果を利用することができる。したがって、浴室の扉の開閉状態や通気口の開閉状態をリミットスイッチや遮光センサなどの検出部を設けることなく、コストを抑えつつ、浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。
【0014】
そして、上記特徴構成によれば、密閉状態判定部において浴室が密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0015】
本発明に係る浴室システムの更なる特徴構成は、前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態でないと判定された場合に、前記ミスト運転が実行されない旨を報知する報知手段を備えている点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、利用者が浴室外の宅内や宅外からミスト運転を行わせるために外部機器を操作した場合に、ミスト運転が実行されない旨が報知手段によって報知されるため、ミスト運転が実行されないことを利用者が知ることができる。
【0017】
また、本発明に係る浴室システムの更なる特徴構成は、前記浴室内に空気を供給する送風手段を備え、
前記空気状態変化手段は、前記浴室内に供給する空気を加熱する加熱手段であり、
前記空気状態検出手段は、前記浴室内の温度を検出する温度検出手段であり、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に前記加熱手段及び前記送風手段によって前記浴室内に加熱された空気を供給する暖房運転を実行し、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に、前記ミスト運転を実行する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を実行する前に暖房運転を行い、加熱手段によって温めた空気を送風手段によって浴室内に供給して当該浴室内を暖めることができ、また、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度を温度検出手段によって検出でき、更に、浴室が密閉状態である場合にミスト運転を実行することができる。
【0019】
そして、上記のように、浴室が密閉状態である場合に暖房運転を行った場合と、浴室が密閉状態でない場合に暖房運転を行った場合とでは、前者の場合の方が浴室内外間での空気の出入りが少なく、浴室内の温度が変化し易い。具体的には、浴室が密閉状態である場合、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度は暖房運転前よりも高くなり易く、逆に、浴室が密閉状態でない場合、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度は、暖房運転前の浴室内の温度から変化し難い。したがって、暖房運転中や暖房運転後の浴室内の温度を検出し、暖房運転によって浴室内の温度が大きく上昇したような場合には浴室が密閉状態であると判定でき、逆に、浴室内の温度に大きな変化が見られなかった場合には、浴室が密閉状態でないと判定できる。
【0020】
このように、上記特徴構成によれば、温度センサなどのように浴室システムに設けられることの多い検出手段によって浴室内の温度を検出してその検出結果を利用できるため、上記と同様に、コストを抑えつつ、浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。更に、浴室が密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0021】
また、本発明に係る浴室システムの特徴構成は、
浴室内に向けられたノズルを有し、当該ノズルから前記浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段と、
前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段と、
前記浴室内の空気の状態を検出する空気状態検出手段と、
前記ミスト噴霧手段によって前記浴室内にミストを噴霧するミスト運転と前記空気状態変化手段によって前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転とを実行する制御装置と、
前記浴室外に設けられ、少なくとも前記制御装置にミスト運転指令を送信可能な外部機器とを備えた浴室システムであって、
前記制御装置は、
前記ミスト運転及び前記空気状態変化運転を実行する運転制御部と、
前記空気状態変化運転中又は前記空気状態変化運転後に前記空気状態検出手段で検出された前記浴室内の空気の状態に基づいて、前記浴室が密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部と、を備え、
前記浴室内に空気を供給する送風手段を備え、
前記空気状態変化手段は、前記浴室内に供給する空気を乾燥させる乾燥手段であり、
前記空気状態検出手段は、前記浴室内の湿度を検出する湿度検出手段であり、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に前記乾燥手段及び前記送風手段によって前記浴室内に乾燥した空気を供給する前記空気状態変化運転としての乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に、前記ミスト運転を実行する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を行う前に空気状態変化運転を行うことで、浴室内の空気の状態を意図的に変化させることができる。また、上記特徴構成によれば、空気状態変化運転中又は空気状態変化運転後の浴室内の空気の状態を検出することができる。尚、浴室内の空気の状態とは、温度や湿度などである。
ここで、浴室が密閉状態である場合に空気状態変化運転を行った場合と、浴室が密閉状態でない場合に空気状態変化運転を行った場合とでは、前者の場合の方が浴室内と浴室外との間での空気の出入りが少ないため、浴室内の空気の状態が変化し易くなる。したがって、空気状態変化運転中や空気状態変化運転後の浴室内の空気の状態を検出し、空気状態変化運転前の浴室内の空気の状態と比較した場合の変化の度合いなどから浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。具体的に、空気状態変化運転によって浴室内の空気の状態に大きな変化があった場合には浴室が密閉状態であると判定でき、逆に、浴室内の空気の状態に大きな変化が見られなかった場合には、浴室が密閉状態でないと判定することができる。
このように、上記特徴構成においては、一般的な浴室システムが備える温度センサなどの検出手段を流用して、浴室内の空気の状態を検出し、その検出結果を利用することができる。したがって、浴室の扉の開閉状態や通気口の開閉状態をリミットスイッチや遮光センサなどの検出部を設けることなく、コストを抑えつつ、浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。
そして、上記特徴構成によれば、密閉状態判定部において浴室が密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0023】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を実行する前に乾燥運転を行い、乾燥手段によって乾燥させた空気を送風手段によって浴室内に供給して当該浴室内の湿度を下げることができ、また、乾燥運転中又は乾燥運転後の浴室内の湿度を湿度検出手段によって検出でき、更に、浴室が密閉状態である場合にミスト運転を実行することができる。
そして、上記のように、浴室が密閉状態である場合に乾燥運転を行った場合と、浴室が密閉状態でない場合に乾燥運転を行った場合とでは、前者の場合の方が浴室内外間での空気の出入りが少なく、浴室内の湿度が変化し易い。具体的には、浴室が密閉状態である場合、乾燥運転中又は乾燥運転後の浴室内の湿度は乾燥運転前よりも低くなり易く、逆に、浴室が密閉状態でない場合、乾燥運転中又は乾燥運転後の浴室内の湿度は、乾燥運転前の浴室内の湿度から変化し難い。したがって、乾燥運転中や乾燥運転後の浴室内の湿度を検出し、乾燥運転によって浴室内の湿度が大きく下がったような場合には浴室が密閉状態であると判定でき、逆に、浴室内の湿度に大きな変化が見られなかった場合には、浴室が密閉状態でないと判定できる。
【0024】
このように、上記特徴構成によれば、湿度センサなどのように浴室システムに設けられることの多い検出手段によって浴室内の湿度を検出してその検出結果を利用できるため、上記と同様に、コストを抑えつつ、浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。更に、浴室が密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0025】
また、本発明に係る浴室システムの特徴構成は、
浴室内に向けられたノズルを有し、当該ノズルから前記浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段と、
前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段と、
前記浴室内の空気の状態を検出する空気状態検出手段と、
前記ミスト噴霧手段によって前記浴室内にミストを噴霧するミスト運転と前記空気状態変化手段によって前記浴室内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転とを実行する制御装置と、
前記浴室外に設けられ、少なくとも前記制御装置にミスト運転指令を送信可能な外部機器とを備えた浴室システムであって、
前記制御装置は、
前記ミスト運転及び前記空気状態変化運転を実行する運転制御部と、
前記空気状態変化運転中又は前記空気状態変化運転後に前記空気状態検出手段で検出された前記浴室内の空気の状態に基づいて、前記浴室が密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部とを備え、
前記浴室内に空気を供給する送風手段を備え、
前記空気状態変化手段は、前記浴室内に供給する空気を加熱する加熱手段と、前記浴室内に供給する空気を乾燥させる乾燥手段とからなり、
前記空気状態検出手段は、前記浴室内の温度を検出する温度検出手段と、前記浴室内の湿度を検出する湿度検出手段とからなり、
前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に、
前記加熱手段及び前記送風手段によって前記浴室内に加熱した空気を供給する前記空気状態変化運転としての暖房運転を実行し、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合、並びに、前記乾燥手段及び前記送風手段によって前記浴室内に乾燥した空気を供給する前記空気状態変化運転としての乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合のうちの少なくともいずれか一方の場合に、前記ミスト運転を実行する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を行う前に空気状態変化運転を行うことで、浴室内の空気の状態を意図的に変化させることができる。また、上記特徴構成によれば、空気状態変化運転中又は空気状態変化運転後の浴室内の空気の状態を検出することができる。尚、浴室内の空気の状態とは、温度や湿度などである。
ここで、浴室が密閉状態である場合に空気状態変化運転を行った場合と、浴室が密閉状態でない場合に空気状態変化運転を行った場合とでは、前者の場合の方が浴室内と浴室外との間での空気の出入りが少ないため、浴室内の空気の状態が変化し易くなる。したがって、空気状態変化運転中や空気状態変化運転後の浴室内の空気の状態を検出し、空気状態変化運転前の浴室内の空気の状態と比較した場合の変化の度合いなどから浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。具体的に、空気状態変化運転によって浴室内の空気の状態に大きな変化があった場合には浴室が密閉状態であると判定でき、逆に、浴室内の空気の状態に大きな変化が見られなかった場合には、浴室が密閉状態でないと判定することができる。
このように、上記特徴構成においては、一般的な浴室システムが備える温度センサなどの検出手段を流用して、浴室内の空気の状態を検出し、その検出結果を利用することができる。したがって、浴室の扉の開閉状態や通気口の開閉状態をリミットスイッチや遮光センサなどの検出部を設けることなく、コストを抑えつつ、浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。
そして、上記特徴構成によれば、密閉状態判定部において浴室が密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0027】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を実行する前に、暖房運転や乾燥運転を行い、浴室内を暖めたり、浴室内の湿度を下げたりすることができる。また、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度を温度検出手段によって検出したり、乾燥運転中又は乾燥運転後の浴室内の湿度を湿度検出手段によって検出したりすることができる。更に、浴室が密閉状態である場合にミスト運転を実行することができる。
上記のように、ミスト運転を行う前に暖房運転や乾燥運転を行い、これらの運転中や運転後の浴室内の温度や湿度を検出し、暖房運転によって浴室内の温度が大きく上昇したり、乾燥運転によって浴室内の湿度が大きく下がったりしたような場合に浴室が密閉状態であると判定でき、浴室内の温度や湿度に大きな変化がみられなかった場合に浴室が密閉状態でないと判定できる。
【0028】
このように、上記特徴構成によれば、浴室システムに設けられることの多い温度検出手段や湿度検出手段などの検出手段によって浴室内の温度や湿度を検出し、その検出結果を利用できるため、上記と同様に、コストを抑えつつ、浴室が密閉状態であるか否かを判定できる。更に、浴室が密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室外への湿った空気の流出を抑え、利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0029】
また、本発明に係る浴室システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した場合に、その時点での前記浴室内の温度が所定値以上であるか否かを判断し、
前記浴室内の温度が所定値以上である場合には、前記乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された際に、前記ミスト運転を実行し、
前記浴室内の温度が所定値以上でない場合には、前記暖房運転を実行し、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された際に、前記ミスト運転を実行する点にある。
【0030】
夏場など比較的気温が高い時期においては、暖房運転を行う前の時点で浴室内の温度が暖房運転において設定可能な最大目標温度になっている場合がある。このような場合、ミスト運転を実行する前に目標温度を最大目標温度に設定して暖房運転を行ったとしても、浴室の密閉状態にかかわらず、浴室内の温度が変化し難く、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度を基にして浴室が密閉状態であるか否かを判定することができない。
【0031】
上記特徴構成においては、浴室内の温度が所定値以上(例えば、暖房運転において設定可能な最大目標温度以上)である場合には、ミスト運転を行う前に暖房運転を行ったとしても浴室が密閉状態であるか否かを正確に判断できないため、ミスト運転を行う前に暖房運転を行うことなく乾燥運転を行い、乾燥運転中又は乾燥運転後に検出された浴室内の湿度を基にして浴室が密閉状態であるか否かを判定する。
【0032】
一方、浴室内の温度が所定値未満である場合には、ミスト運転を行う前に暖房運転を行ったとしても浴室が密閉状態であるか否かを判定することができるため、ミスト運転を行う前に暖房運転を行い、暖房運転中又は暖房運転後に検出された浴室内の温度を基にして浴室が密閉状態であるか否かを判定する。
【0033】
このように、上記特徴構成によれば、ミスト運転を実行する前の浴室内の温度に応じて、ミスト運転の実行前に行う運転を選択することで、浴室が密閉状態であるか否かを判定できなくなるような事態の発生を抑えられる。
【0034】
また、本発明に係る浴室システムの更なる特徴構成は、前記運転制御部は、前記外部機器から前記ミスト運転指令を受信した時点での前記浴室内の温度が所定値以上でなく、且つ、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出された前記浴室内の温度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された場合に、前記乾燥運転を実行し、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出された前記浴室内の湿度に基づいて前記密閉状態判定部において前記浴室が密閉状態であると判定された際に、前記ミスト運転を実行する点にある。
【0035】
上記特徴構成によれば、ミスト運転を実行する前の浴室内の温度が所定値以上でない場合には、ミスト運転の実行前に暖房運転を行い、その運転中又は運転後における浴室内の温度を基に浴室が密閉状態であると判定された場合に、更に乾燥運転を行い、その運転中又は運転後における浴室内の湿度を基に浴室が密閉状態であるか否かを判定する。
【0036】
これにより、例えば、温度検出手段の不具合によって、実際には浴室が密閉状態でないにもかかわらず、密閉状態であると判定されてしまったような場合でも、その後に浴室内の湿度を基にして浴室が密閉状態であるか否かを判定するため、浴室内の湿度に基づいて正しい判定がなされれば、浴室が密閉状態でないにもかかわらず、ミスト運転が実行されるような事態が生じない。したがって、上記特徴構成によれば、浴室が密閉状態であるか否かを浴室内の温度だけでなく、浴室内の湿度を基に判定することで、浴室が密閉状態でないにもかかわらず、ミスト運転が実行されるような事態が生じ難くなる。
【0037】
また、本発明に係る浴室システムの更なる特徴構成は、前記密閉状態判定部は、前記暖房運転中又は前記暖房運転後に前記温度検出手段で検出される前記浴室内の温度が、暖房運転開始時からの経過時間と浴室内の温度との相関関係を示す近似線から所定の温度範囲内であるときに、前記浴室が密閉状態であると判定する点にある。
【0038】
上記のように、ミスト運転の実行前に暖房運転を行った場合、浴室が密閉状態である場合には、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度は暖房運転前よりも上昇し易く、逆に浴室が密閉状態でない場合には、暖房運転中又は暖房運転後の浴室内の温度は、暖房運転前の浴室内の温度から変化し難い。したがって、暖房運転中又は暖房運転後において温度検出手段で検出される浴室内の温度が、暖房運転開始時からの経過時間と浴室内の温度との相関関係を示す近似線から所定の温度範囲内となっている場合には、浴室が密閉状態であると判定できる。
【0039】
また、本発明に係る浴室システムの更なる特徴構成は、前記湿度検出手段は、前記浴室内及び浴室外の絶対湿度を検出し、
前記密閉状態判定部は、前記乾燥運転中又は前記乾燥運転後に前記湿度検出手段で検出される前記浴室内の絶対湿度と前記浴室外の絶対湿度との差が所定値以上であるときに、前記浴室が密閉状態であると判定する点にある。
【0040】
上記のように、ミスト運転の実行前に乾燥運転を行った場合、浴室が密閉状態である場合には、乾燥運転中又は乾燥運転後の浴室内の絶対湿度が下がり易く、浴室内の絶対湿度と浴室外の絶対湿度との差が大きくなり、逆に、浴室が密閉状態でない場合には、乾燥運転中又は乾燥運転後の浴室内の絶対湿度にあまり変化が見られず、浴室内の絶対湿度と浴室外の絶対湿度との差が小さくなる。したがって、乾燥運転中又は乾燥運転後に湿度検出手段で検出される浴室内の絶対湿度と浴室外の絶対湿度との差が所定値以上となっている場合には、浴室が密閉状態であると判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】実施形態に係る浴室システムの概略構成を示す図である。
【
図2】暖房運転開始時からの経過時間と浴室内の温度との相関関係の一例を示すグラフである。
【
図3】実施形態に係る浴室システムによりミスト運転を実行するまでの制御の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る浴室システムによりミスト運転を実行するまでの制御の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る浴室システム1について説明する。
【0043】
〔浴室システム〕
図1に示すように、浴室システム1は、浴室Y内に設けられたノズル5aを有し、このノズル5aから浴室Y内に水(液体)を噴出するミスト装置2(ミスト噴霧手段)と、浴室Y内の空気の状態を変化させる空気状態変化手段としての加熱部7(加熱手段)及び乾燥部11(乾燥手段)と、浴室Y内の空気の状態を検出する空気状態検出手段としての温度検出部12(温度検出手段)及び湿度検出部13(湿度検出手段)と、ミスト装置2によって浴室Y内にミストを噴霧するミスト運転及び空気状態変化手段によって浴室Y内の空気の状態を変化させる空気状態変化運転を実行する制御装置20と、浴室Y外に設けられ、少なくとも制御装置20にミスト運転指令を送信可能な外部機器としての携帯端末S及び浴室外リモコンRとを備えている。以下、各部の構成について説明する。
【0044】
ミスト装置2は、所謂「給湯直結方式」であって、熱源機3で加熱した温水をこの温水の供給圧力を利用してそのままノズル5aからミスト状に噴霧するミスト運転方式を採用した装置である。
【0045】
具体的に、ミスト装置2は、水を加熱して温水を生成する熱源機3と、熱源機3からの温水を温水路L2及びノズル供給路L3を介して供給を受け、複数のノズル5aからミストを噴霧するミスト部4とを備えている。
【0046】
熱源機3は、内部に複数の熱交換機構(図示せず)を備えている。一の熱交換機構は、入口に給水路L1が接続され、出口に温水路L2が接続されており、給水路L1から供給された水を加熱して温水を生成する。尚、生成された温水は温水路L2に供給され、ノズルユニット5からの噴霧(ミスト運転)や、給湯部B(蛇口部B1や湯張り部B2)からの供給のために使用される。また、他の一の熱交換機構は、後述する空気加熱用熱交換器9と熱媒循環路L5によって連通接続されており、熱媒循環路L5を流通する熱媒を加熱する。尚、加熱された熱媒は、空気加熱用熱交換器9での空気の加熱に使用される。
【0047】
ミスト部4は、
図1に示すように、浴室Yの天井Ycの裏側に設置される本体ケーシング6aと、浴室Yの天井Ycの表側に設置されるグリル板6bとを備えている。これら本体ケーシング6aとグリル板6bとからなる筐体内には、浴室Y内へのミスト用水の噴霧及び浴室Y内の暖房運転や乾燥運転を行う各種部材が収められている。
【0048】
本実施形態において、ミスト部4は、
図1に示すように、グリル板6bと一体に形成された平板状の支持板6cに支持されたノズルユニット5を備えている。このノズルユニット5は、浴室Y内に向かってミスト用水を噴霧する複数のノズル5aを有しており、ノズルユニット5が有する複数のノズル5aが、支持板6cにより天井Ycに支持されている。また、複数のノズル5aは、天井Yc側の支持板6cから浴室Y内に向けて先端が突出した状態で設けられている。尚、ノズルユニット5は、浴槽と洗い場との境目近傍において、天井Ycから突出するように設けられており、ノズル5aからのミスト用水の噴霧方向は、浴槽と洗い場との境目から洗い場に向かう方向である。
【0049】
また、ノズルユニット5には、後述するノズル供給路L3が接続されており、熱源機3において加熱された温水が、温水路L2を介してノズル供給路L3に供給される。これにより、ノズルユニット5のノズル5aからミスト用水である温水が浴室Y内に向けてミストとして噴霧されるミスト運転が行われる。尚、ノズル5aは、所謂一流体ノズルであり、ミスト用水の圧力で当該ミスト用水を噴霧する。
【0050】
ノズル供給路L3は、温水路L2に連通接続され、温水路L2とノズル5aとを連通し、温水がミスト用水として流通する管である。このノズル供給路L3には、噴霧流量を調節するための噴霧流量調節弁V1などが設けられている。噴霧流量調節弁V1としては、開閉のみならず、例えば、流路面積の変更動作(開度調整)が自在の流量調整弁を例示できる。尚、噴霧流量調節弁V1がノーマルクローズタイプの開閉弁であると、停電時などに閉状態となるため好ましい。
【0051】
加熱部7は、浴室Y内から内気を吸引するとともに、熱源機3から加熱供給される熱媒により当該内気を加温して温風として浴室Y内に戻す暖房運転を行うことができるように構成されており、加熱部7は、循環ファン8や、空気加熱用熱交換器9、換気ファン10などを有している。尚、循環ファン8は、送風手段に相当する。
【0052】
循環ファン8は、グリル板6bに形成された吸引口6dを通して浴室Y内の空気(内気)を吸引し、吸引した空気を浴室Y内に向けて送風路L4を通して噴き出す送風・循環手段である。循環ファン8としては、例えばシロッコファンを用いることができる。
【0053】
空気加熱用熱交換器9は、循環ファン8にて通風される空気を加熱するための熱交換器である。この空気加熱用熱交換器9は、上記のように、熱源機3の熱交換機構と熱媒循環路L5によって連通接続されており、熱源機3の熱交換機構で加熱された熱媒によって空気を加熱する。
【0054】
換気ファン10は、吸引口6dを通して浴室Y内の空気(内気)を吸引し、外部に排出する送風及び換気手段である。例えば、シロッコファンを用いることができる。
【0055】
乾燥部11は、浴室Y内から内気を吸引するとともに、吸引した内気を乾燥剤に接触させて乾燥させた空気として浴室Y内に戻す乾燥運転を行うことができるように構成されており、乾燥部11は、乾燥剤が充填された乾燥部材11aに加え、上記循環ファン8及び換気ファン10で構成されている。即ち、本実施形態において、循環ファン8及び換気ファン10は、加熱部7と乾燥部11とにより共用される。
【0056】
温度検出部12は、支持板6cの浴室Y側の面に設けられており、浴室Y内の温度を検出する温度センサである。
【0057】
本実施形態において、湿度検出部13は、浴室Y内の絶対湿度を検出する浴室内用湿度検出部13a及び浴室Y外の絶対湿度を検出する浴室外用湿度検出部13bであり、これら湿度検出部としては、一般的な湿度センサを用いることができる。浴室内用湿度検出部13aは、支持板6cの浴室Y側の面に設けられており、浴室外用湿度検出部13bは、浴室Y外の絶対湿度を検出可能な箇所に適宜設けられている。
【0058】
制御装置20は、各部の動作を制御して所定の運転を実行する運転制御部21と、暖房運転中又は暖房運転後、或いは乾燥運転中又は乾燥運転後に温度検出部12や浴室内用湿度検出部13aで検出された浴室Y内の温度や湿度に基づいて、浴室Yが密閉状態であるか否かを判定する密閉状態判定部22とを有している。
【0059】
具体的に、本実施形態において、運転制御部21は、後述する携帯端末Sや浴室外リモコンRから送信されたミスト運転指令を制御装置20が受信した場合に、その時点での温度検出部12で検出される浴室Y内の温度が所定値以上であるか否かを判断する。尚、ここでいう所定値は、利用者が適宜決定することができるが、一般的な暖房運転時の最大目標設定温度を考慮すれば、40℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましく、30℃以下が更に好ましい。
【0060】
そして、温度検出部12で検出された浴室Y内の温度が所定値以上である場合には、乾燥運転を実行し、乾燥運転中又は乾燥運転後に浴室内用湿度検出部13aで検出された浴室Y内の湿度に基づいて密閉状態判定部22において浴室Yが密閉状態であると判定された際に、ミスト運転を実行する。
【0061】
一方、温度検出部12で検出される浴室Y内の温度が所定値以上でない場合には、暖房運転を実行し、暖房運転中又は暖房運転後に温度検出部12で検出された浴室Y内の温度に基づいて密閉状態判定部22において浴室Yが密閉状態であると判定された場合に、乾燥運転を実行し、乾燥運転中又は乾燥運転後に浴室内用湿度検出部13aで検出された浴室Y内の湿度に基づいて密閉状態判定部22において浴室Yが密閉状態であると判定された際に、ミスト運転を実行する。
【0062】
また、本実施形態において、運転制御部21は、密閉状態判定部22において浴室Y内が密閉状態でないと判定された場合には、ミスト運転が実行されない旨を表示させるための信号を携帯端末Sや浴室外リモコンRに送信する。
【0063】
密閉状態判定部22は、運転制御部21により暖房運転が実行された場合、暖房運転中又は暖房運転後において温度検出部12で検出された浴室Y内の温度に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定する。本実施形態において、密閉状態判定部22は、暖房運転開始時の浴室Y内の温度及び暖房運転時の設定目標温度ごとに予め複数定められた、暖房運転開始時からの経過時間と浴室Y内の温度との相関関係を示す近似線と、暖房運転前における浴室Y内の温度と、暖房運転中又は暖房運転後における浴室Y内の温度とに基づいて浴室Y内が密閉状態であるか否かを判定する。例えば、暖房運転前における浴室Y内の温度が5℃であり、暖房運転時の設定目標温度を30℃とする場合、
図2に示すような近似線から所定の温度範囲内(
図2中の網掛け部分)に、暖房運転中や暖房運転後の浴室Y内の温度が収まっているか否かを逐次判断し、収まっている場合には浴室Yが密閉状態であると判定し、収まっていない場合には浴室Yが密閉状態でないと判定する。
【0064】
尚、暖房運転開始時からの経過時間と浴室Y内の温度との相関関係を示す近似線は、予め暖房運転前における浴室Y内の温度や暖房運転時の設定目標温度を変えながら、暖房運転開始時からの経過時間に対してその時点での浴室Y内の温度をプロットすることで予め実験的に得られるものであり、適宜記憶部に記憶されている。したがって、暖房運転前の浴室Y内の温度が10℃であり、暖房運転時の設定目標温度が25℃である場合には、この条件に対応する近似線から所定の温度範囲内に、暖房運転中や暖房運転後の浴室Y内の温度が収まっているか否かを逐次判断すればよい。尚、近似線から所定の温度範囲とは、ある経過時間における浴室Y内の温度に対して-7℃~+7℃の範囲、より好ましくは-5℃~+5℃、更に好ましくは-3℃~+3℃である。
【0065】
また、密閉状態判定部22は、運転制御部21により乾燥運転が実行された場合、乾燥運転中又は乾燥運転後において浴室内用湿度検出部13aで検出された浴室Y内の湿度に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定する。本実施形態において、密閉状態判定部22は、浴室内用湿度検出部13aで検出される乾燥運転後の浴室Y内の絶対湿度と、浴室外用湿度検出部13bで検出される乾燥運転後の浴室Y外の絶対湿度とに基づいて浴室Y内が密閉状態であるか否かを判定する。より具体的に言えば、本実施形態の密閉状態判定部22は、乾燥運転後の浴室Y内の絶対湿度と乾燥運転後の浴室Y外の絶対湿度との差が所定値以上であるか否かを判断し、所定値以上である場合には浴室Yが密閉状態であると判定し、所定値以上でない場合には浴室Yが密閉状態でないと判定する。乾燥運転後の浴室Y内の絶対湿度と乾燥運転後の浴室Y外の絶対湿度との差がどの程度以上である場合に浴室が密閉状態であると判定するかは、利用者が適宜設定することができる。尚、乾燥運転後の浴室Y内の絶対湿度と乾燥運転後の浴室Y外の絶対湿度との差が10%以上である場合、より好ましくは20%以上である場合、更に好ましくは30%以上である場合に、浴室Yが密閉状態であると判定するようにすればよい。
【0066】
携帯端末S及び浴室外リモコンRは、浴室システム1への操作を利用者から受け付けて制御装置20に送信可能に構成されている。
【0067】
具体的に、本実施形態において、携帯端末Sは、制御装置20との間でインターネット回線を介して信号を送受信可能に構成されており、適宜ボタン操作や画面タッチ等によって利用者から受け付けた各種指令(各種運転の開始等に関する指令)に関する信号等を制御装置20に送信するように構成されている。
【0068】
また、本実施形態において、浴室外リモコンRは、リビングルームなどの宅内であるが浴室外である場所に設けられ、制御装置20との間で無線又は有線によって各種信号を送受信可能に構成されている。この浴室外リモコンRは、適宜ボタン操作や画面タッチ等によって利用者から受け付けた各種運転の開始に関する信号等を制御装置20に送信するように構成されている。
【0069】
また、本実施形態において、携帯端末S及び浴室外リモコンRは、それぞれ上記ミスト運転を実行しない旨を制御装置20から受信した場合には、各表示部(図示せず)にその旨を表示するように構成されている。即ち、本実施形態において、携帯端末Sの表示部及び浴室外リモコンRの表示部は、報知手段としての機能も有する。
【0070】
〔浴室システムによりミスト運転を実行するまでの制御の流れ〕
次に、以上のような構成を備えた浴室システム1によりミスト運転を実行するまでの制御の流れについて、
図3及び
図4を参照しつつ説明する。尚、以下の説明においては、利用者が携帯端末Sに対してミスト運転を開始するための操作を行うものとする。
【0071】
まず、利用者が携帯端末Sに対してミスト運転を開始するための操作を行い、携帯端末Sがミスト運転指令を受け付けると、当該指令が携帯端末Sから制御装置20に送信され、制御装置20が当該指令を受信し(工程#10)、工程#11へ移行する。
【0072】
ついで、工程#11において、運転制御部21が、ミスト運転指令を受信した時点での浴室Y内の温度を温度検出部12から受信し、この受信した浴室Y内の温度が所定値以上(本実施形態では25℃以上)であるか否かを判断し、浴室Y内の温度が25℃以上である場合には工程#18に移行し、浴室Y内の温度が所定値以上でない場合には工程#12に移行する。
【0073】
工程#12において、運転制御部21が暖房運転を実行して工程#13へ移行し、工程#13において、密閉状態判定部22が、浴室Y内の温度を温度検出部12から受信し、受信した浴室Y内の温度が近似線から所定の温度範囲内に収まっているか否かを判断し、収まっている場合には工程#14へ移行し、収まっていない場合には工程#24へ移行する。
【0074】
工程#14において、運転制御部21が暖房運転を開始してから所定時間(本実施形態では10分)が経過したか否かを判断し、経過している場合には工程#15へ移行し、経過していない場合には工程#13へ戻る。
【0075】
工程#15において、密閉状態判定部22が、浴室Y内の温度を温度検出部12から受信し、受信した浴室Y内の温度が、暖房運転開始から10分経過時での近似線から所定の温度範囲内に収まっているか否かを判断し、収まっている場合には工程#16へ移行し、収まっていない場合には工程#24へ移行する。
【0076】
そして、工程#16において、密閉状態判定部22が浴室Yが密閉状態であると判定して工程#17へ移行し、工程#17において、運転制御部21が暖房運転を停止し、工程#18へ移行する。
【0077】
工程#18において、運転制御部21が乾燥運転を実行して工程#19へ移行し、工程#19において、運転制御部21が乾燥運転を開始してから所定時間(本実施形態では10分)が経過したか否かを判断し、所定時間経過した場合には工程#20に移行し、所定時間経過していない場合には工程#19を繰り返す。
【0078】
ついで、工程#20において、運転制御部21は、乾燥運転を停止するとともに、換気ファン10を停止して、浴室Yの内外間での空気の出入りを遮断し、工程#21へ移行する。
【0079】
工程#21において、密閉状態判定部22が、浴室Y内の絶対湿度及び浴室Y外の絶対湿度を各湿度検出部13a,13bから受信し、この受信した浴室Y内の絶対湿度と浴室Y外の絶対湿度との差が所定値以上(本実施形態では20%以上)であるか否かを判断し、20%以上である場合には工程#22へ移行し、20%以上でない場合には工程#24へ移行する。
【0080】
そして、工程#22において、密閉状態判定部22が浴室Yが密閉状態であると判定して工程#23へ移行し、工程#23において、運転制御部21が当該判定結果を受けて、ミスト運転を実行する。
【0081】
一方、工程#24では、密閉状態判定部22が浴室Yが密閉状態でないと判定して工程#25へ移行し、工程#25では、運転制御部21が当該判定結果を受けてミスト運転を実行しないことを決定して、制御装置20から携帯端末Sへとミスト運転を実行されない旨を表示部に表示させるための信号が制御装置20から携帯端末Sへと送信され、携帯端末Sの表示部にその旨が表示される。
【0082】
このように、本実施形態に係る浴室システム1によれば、浴室システム1に設けられることの多い検出手段(温度検出部や湿度検出部)によって浴室Y内の温度や湿度を検出し、その検出結果を利用して浴室Y内が密閉状態であるか否かを判定することができるため、コストを抑えつつ、浴室Yが密閉状態であるか否かを判定できる。また、浴室Yが密閉状態であると判定された場合にミスト運転を実行するため、浴室Y外への湿った空気の流出を抑え、トラッキング現象などのような利用者の予期しない事態の発生を防止できる。
【0083】
更に、ミスト運転を行う前の浴室Y内の温度が所定値以上である場合に、暖房運転を行わずに乾燥運転を行うようにしていることで、ミスト運転を実行する前に目標温度を最大目標温度に設定して暖房運転を行ったとしても、浴室Yの密閉状態にかかわらず、浴室Y内の温度が変化し難く、暖房運転中又は暖房運転後の浴室Y内の温度を基にして浴室Yが密閉状態であるか否かを判定することができなくなるような事態の発生を避けられる。また、ミスト運転の実行前に暖房運転を行う場合、浴室Y内の温度に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定した上で、更に乾燥運転を行い、浴室Y内の湿度に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定するようにしているため、浴室Y内の温度に基づいて行った判定結果が誤っていたような場合でも、浴室Yが密閉状態であるか否かを浴室Y内の温度だけでなく、浴室Y内の湿度を基に判定することで、浴室Yが密閉状態でないにもかかわらず、ミスト運転が実行されるような事態が生じ難くなる。
【0084】
〔別実施形態〕
〔1〕上記実施形態では、暖房運転開始時からの経過時間と浴室Y内の温度との相関関係を示す近似式として、暖房運転開始時の浴室Y内が5℃である場合の相関関係を示す近似式を用いるようにしたが、これに限られるものではなく、利用者が任意の温度における相関関係の近似式を用いることができる。
また、上記実施形態では、暖房運転中や暖房運転後における浴室Y内の温度が上記相関関係を示す近似式から所定の温度範囲内に収まっているか否かを判断して、浴室Yが密閉状態であるか否かを判定するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、暖房運転開始時の浴室Y内がある温度である場合の相関関係を示す近似式を満たす値となっているか否かを判断して、近似式を満たす値となっている場合に浴室Yが密閉状態であり、近似式を満たす値となっていない場合に浴室Yが密閉状態でないと判定することもできる。
【0085】
〔2〕上記実施形態においては、運転制御部21がミスト運転指令を受信した時点での浴室Y内の温度が所定値以上でない場合に、暖房運転を実行してから乾燥運転を実行し、浴室Yが密閉状態であるか否かを浴室Y内の温度に基づいて判定し、更に、浴室Y内の湿度等に基づいて判定し、いずれの判定結果も浴室Yが密閉状態である場合にミスト運転を実行するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、運転制御部21がミスト運転指令を受信した時点での浴室Y内の温度が所定値以上である場合には乾燥運転を実行して、浴室Y内の湿度等に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定し、この判定結果を基にミスト運転を実行するか否かを決定する一方、浴室Y内の温度が所定値以上でない場合には暖房運転を実行して、浴室Y内の温度に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定し、この判定結果を基にミスト運転を実行するか否かを決定するようにしても良い。
また、運転制御部21が暖房運転及び乾燥運転のうちの少なくともいずれか一方のみを実行するように構成され、運転制御部21がミスト運転指令を受信した場合に、暖房運転及び乾燥運転のうちの少なくともいずれか一方のみを実行し、これらの運転中や運転後における浴室Y内の温度や湿度に基づいて、浴室Yが密閉状態であるか否かを判定するようにしても良い。
【0086】
〔3〕上記実施形態では、ミスト運転の実行前に乾燥運転を行う場合、乾燥運転中又は乾燥運転後における浴室Y内の絶対湿度と乾燥運転中又は乾燥運転後における浴室Y外の絶対湿度との差が所定値以上であるときに浴室Yが密閉状態であると判定するようにしたが、これに限られるものではない。即ち、浴室Y内の湿度に基づいて浴室Yの密閉状態を判定する場合の判定基準としては、浴室Y内の絶対湿度と浴室Y外の絶対湿度との差に限られるものではなく、例えば、乾燥運転中や乾燥運転後の浴室Y内の絶対湿度が乾燥運転前の浴室Y内の絶対湿度からどの程度変化したかを判定基準として採用しても良い。
【0087】
〔4〕上記実施形態においては、運転制御部21が、携帯端末S等から送信されたミスト運転指令を制御装置20が受信した場合に、その時点での温度検出部12で検出される浴室Y内の温度が所定値以上であるか否かを判断するようにしているが、例えば、制御装置20がミスト運転指令を受信した場合に、適宜Webサーバ等と通信して現在の季節に関する情報を取得し、現在が夏季であるとの情報を取得した場合には、浴室Y内の温度が所定値以上であると判断するようにしても良い。
【0088】
〔5〕上記実施形態では、浴室Y内の温度や湿度に基づいて浴室Yが密閉状態であるか否かを判定するようにしたが、これに限られるものではなく、浴室Yが密閉状態であるか否かによって変化し得るようなものであれば、温度や湿度以外の浴室Y内の空気の状態を基に浴室Yが密閉状態であるか否かを判定するようにしても良い。
【0089】
〔6〕上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、浴室内に向けられたノズルを有し、このノズルから浴室内に液体を噴出するミスト噴霧手段や、ミスト噴霧手段によって浴室内にミストを噴霧するミスト運転を実行する制御装置などを備えた浴室システムに利用できる。
【符号の説明】
【0091】
1 浴室システム
2 ミスト装置(ミスト噴霧手段)
5a ノズル
7 加熱部(空気状態変化手段、加熱手段)
8 循環ファン(送風手段)
11 乾燥部(空気状態変化手段、乾燥手段)
12 温度検出部(空気状態検出手段、温度検出手段)
13a 浴室内用湿度検出部(空気状態検出手段、湿度検出手段)
20 制御装置
21 運転制御部
22 密閉状態判定部
S 携帯端末(外部機器)
R 浴室外リモコン(外部機器)
S1,R1 表示部(報知手段)