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▶ コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】飲料を調製するためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/36 20060101AFI20230825BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
A47J31/36 122
A47J31/06 220
A47J31/36 124
A47J31/36 126
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019505059
(86)(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 NL2017050512
(87)【国際公開番号】W WO2018026272
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】2017283
(32)【優先日】2016-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】オジンク,ジューディス マーグリート ハネケ
(72)【発明者】
【氏名】コルネリッセン,マルヤン
(72)【発明者】
【氏名】リジスカンプ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】コーイケル,クラース
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533565(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0272375(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309946(US,A1)
【文献】特表2004-514488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0342394(US,A1)
【文献】特表2009-534143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフランジ状のリムを有する第1の本体及び前記第1のフランジ状のリムに取り付けられた第1の出口領域を有する第1の交換可能なカプセルと
第2のフランジ状のリムを有する第2の本体及び前記第2のフランジ状のリムに取り付けられた第2の出口領域を有する第2の交換可能なカプセルと、ここで前記第2のフランジ状のリムは前記第1のフランジ状のリムよりも大きい直径を有する
ある量の消費に適した飲料を調製するための装置であって、前記第1の交換可能なカプセル及び前記第2の交換可能なカプセルのうちの一方を選択的に保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分、及び前記第1の交換可能なカプセル又は前記第2の交換可能なカプセルの周囲で前記第1の淹出チャンバ部分を閉じるための第2の淹出チャンバ部分を含む、前記装置と、を含み、
前記第1の淹出チャンバ部分は前記空洞内に第1の実質的に環状の当接面を有する、ある量の消費に適した飲料を調製するためのシステムであって、
前記第1の淹出チャンバ部分は第2の実質的に環状の当接面を更に有し、
前記第2の実質的に環状の当接面の直径は前記第1の実質的に環状の当接面の直径よりも大きく、
前記第1の実質的に環状の当接面は、前記空洞が前記第1の交換可能なカプセルを保持しているときに、前記第1のフランジ状のリムに対して当接するように構成されており、
前記第2の実質的に環状の当接面は、前記空洞が前記第2の交換可能なカプセルを保持しているときに、前記第2のフランジ状のリムに対して当接するように構成されており、
前記第1の実質的に環状の当接面と前記第2の実質的に環状の当接面は、互いに対して不動である、
上記システム。
【請求項2】
前記第1の実質的に環状の当接面は、前記第1の淹出チャンバ部分の軸方向に、前記第2の実質的に環状の当接面から間隔を空けて配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の交換可能なカプセルの軸方向の長さは、前記第1の交換可能なカプセルの軸方向の長さよりも長い、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の実質的に環状の当接面は、前記空洞の開放端に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の淹出チャンバ部分は、前記第2の出口領域に対して当接する抽出プレートを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の淹出チャンバ部分は、前記第2の出口領域および前記第1の出口領域に対して当接する抽出プレートを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記抽出プレートは中央部分と周辺部分とを含み、前記中央部分は前記周辺部分に対して軸方向に移動可能である、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記周辺部分は、前記空洞が淹出中に前記第2の交換可能なカプセルを保持しているときに、前記第2の出口領域に対して当接するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記周辺部分は、前記空洞が淹出中に前記第1の交換可能なカプセルを保持しているときに、前記第1の淹出チャンバ部分に対して当接するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記中央部分は、前記空洞が淹出中に前記第2の交換可能なカプセルを保持しているときに、前記第2の出口領域に対して当接するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記中央部分は、前記空洞が淹出中に前記第1の交換可能なカプセルを保持しているときに、前記第1の出口領域に対して当接するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の淹出チャンバ部分及び/又は前記第2の淹出チャンバ部分は、前記第2のフランジ状のリムに対して封止を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の淹出チャンバ部分に液体を供給するための液体供給システムを備えており、前記第1の淹出チャンバ部分と前記第2の交換可能なカプセルとの間の隙間に、又は前記第1の淹出チャンバ部分と前記第1の交換可能なカプセルとの間の隙間に、液体が入り込むことができる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の交換可能なカプセル及び前記第2の交換可能なカプセルは、実質的に同じ長さ対直径比を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の淹出チャンバ部分は、前記空洞の底部にセンタリング手段を含み、前記第2の交換可能なカプセル及び前記第1の交換可能なカプセルは、前記第1の交換可能なカプセル及び前記第2の交換可能なカプセルを前記空洞の前記底部付近に選択的にセンタリングするために、前記センタリング手段と選択的に協働するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の淹出チャンバ部分と前記第1の交換可能なカプセルは、前記第1の交換可能なカプセルが前記第1のフランジ状のリムによって前記空洞内でセンタリングされるように互いに適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の淹出チャンバ部分と前記第2の交換可能なカプセルは、前記第2の交換可能なカプセルを前記第1の淹出チャンバ部分内に装填するときに前記第2の交換可能なカプセルの外側部分が前記第1の淹出チャンバ部分の内周壁に係合するように互いに適合されており、前記第1の淹出チャンバ部分と前記第2の交換可能なカプセルは、前記第2の交換可能なカプセルが前記外側部分によって前記空洞内でセンタリングされるように互いに適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の実質的に環状の当接面は前記空洞に階段状の形状を与える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記第2の本体は第2の底部と第2の周壁とを含む第2のカップ形状本体であり、前記第2のカップ形状本体は第2の開放端を有し、前記第2のフランジ状のリムは、前記第2のカップ形状本体の前記第2の開放端に沿って円周方向に連続して延びる、外向きに延びる第2のフランジ状のリムであり、前記外向きに延びる第2のフランジ状のリムは単一の第2の幅を実質的に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の本体は第1の底部と第1の周壁とを含む第1のカップ形状本体であり、前記第1のカップ形状本体は第1の開放端を有し、前記第1のフランジ状のリムは、前記第1のカップ形状本体の前記第1の開放端に沿って円周方向に連続して延びる、外向きに延びる第1のフランジ状のリムであり、前記外向きに延びる第1のフランジ状のリムは単一の第1の幅を実質的に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の本体は第2の底部と第2の周壁とを含む第2のカップ形状本体であり、前記第2のカップ形状本体は第2の開放端を有し、前記第2のフランジ状のリムは、前記第2のカップ形状本体の前記第2の開放端に沿って円周方向に連続して延びる、外向きに延びる第2のフランジ状のリムであり、前記外向きに延びる第2のフランジ状のリムは単一の第2の幅を実質的に有し、
前記第1の本体は第1の底部と第1の周壁とを含む第1のカップ形状本体であり、前記第1のカップ形状本体は第1の開放端を有し、前記第1のフランジ状のリムは、前記第1のカップ形状本体の前記第1の開放端に沿って円周方向に連続して延びる、外向きに延びる第1のフランジ状のリムであり、前記外向きに延びる第1のフランジ状のリムは単一の第1の幅を実質的に有し、
前記第1の幅及び前記第2の幅は同一である、請求項に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の実質的に環状の当接面は連続して環状であり、前記第2の実質的に環状の当接面は連続して環状である、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
所定量の消費に適した飲料を調製するための装置であって、前記装置は、第1の本体および第1のフランジ状のリムを有する第1の交換可能なカプセル又は第2の本体及び第2のフランジ状のリムを有する第2の交換可能なカプセルを使用して所定量の消費に適した飲料を調製するように構成されており、ここで前記第2のフランジ状のリムは前記第1のフランジ状のリムよりも大きい直径を有する、
前記装置は、前記第1の交換可能なカプセル及び前記第2の交換可能なカプセルのうちの一方を選択的に保持するための空洞を有する淹出チャンバ部分を含み、前記淹出チャンバ部分は前記空洞内に第1の実質的に環状の当接面を有し、前記淹出チャンバ部分が第2の実質的に環状の当接面を有し、前記第1の実質的に環状の当接面は、前記空洞が前記第1の交換可能なカプセルを保持するときに、前記第1のフランジ状のリムに対して当接するように構成されており、前記第2の実質的に環状の当接面は、前記空洞が前記第2の交換可能なカプセルを保持するときに、前記第2のフランジ状のリムに対して当接するように構成されており、前記第2の実質的に環状の当接面の直径は前記第1の実質的に環状の当接面の直径よりも大きく、
前記第1の実質的に環状の当接面と前記第2の実質的に環状の当接面は、互いに対して不動である、
前記装置。
【請求項24】
前記第1の実質的に環状の当接面は、前記淹出チャンバ部分の軸方向に、前記第2の実質的に環状の当接面から間隔を空けて配置されている、請求項23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、飲料を調製するためのシステムに関する。本発明は、飲料を調製するための装置及び方法にも関する。より具体的には、本発明は、カプセルを用いて飲料を調製するためのシステムに関する。特に、本発明は、第2のフランジ状のリムを有する第2の本体及び第2のフランジ状のリムに取り付けられた第2の出口面を有する、第2の交換可能なカプセルと、ある量の消費に適した飲料を調製するための装置であって、第2の交換可能なカプセルを保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分及び第2の交換可能なカプセルの周囲で第1の淹出チャンバ部分を閉じるための第2の淹出チャンバ部分を含む、装置と、を含み、第1の淹出チャンバ部分は空洞内に第1の実質的に環状の当接面を有する、ある量の消費に適した飲料を調製するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費に適した飲料を調製するためのそのようなシステムは、国際特許公開第WO2015/004613A1号により知られている。この知られているシステムでは、異なるそれぞれの軸方向長さを有する、事前にパッケージングされたカプセルを使用できる。使用されるカプセルの長さは機械的に認識され、これに従って淹出チャンバの構成が、使用されるカプセルの横断方向のフランジの特定の形状に応じて各状況で決定される。特に、各カプセルのフランジ状のリムは、上記のカプセルの軸方向長さ又は高さと相関している周囲寸法を有する、少なくとも1つの陥凹部又は突出部を有する。例として、国際特許公開第WO2015/004613A1号には、カプセルの長さに反比例する幅を有する陥凹部を有するフランジ状のリムを有するカプセルについて記載されている。この場合、より短い長さを有するカプセルは、より大きい幅の陥凹部を有する。この知られているシステムの淹出ユニットは、本質的にカップ形状の中央部分を含む受け入れ要素を有するカプセルキャリアユニットを備え、この中央部分からは、一種のフランジが半径方向外向きに延びている。受け入れ要素のフランジから、水平方向に対面している2つの本質的に平面状の付属部が、垂直方向上向きに延びている。付属部は横断方向外向きに延びており、受け入れユニットのカップ形状の中央部分から間隔を空けて配置されている。付属部の正対している表面から二等辺三角形の形状の突出した形成物がそれぞれ延びており、これらの付属部の構成は、カプセルのフランジの2つの対置された陥凹部が、付属部の突出した形成物の斜辺にまず連結され、この斜辺に沿ってスライドするようになっている。この構造の結果として、例えば、より幅広の陥凹部を有するより短いカプセルは、カプセルの突出した形成物が突出した形成物の斜辺上に支持されこの斜辺によって停止されるまでに、カプセルキャリアユニットの付属部同士の間をより奥まで貫通できる。この知られている装置は更に、カプセルのフランジ状のリムの隆起部が突出した形成物と干渉し始めるとすぐに、カプセルが受け入れ要素を引き下ろし始めるように、及び、制御レバーの更なる回転が、使用されるカプセルの長さに適合された寸法を有する淹出チャンバのいくつかの他の構成要素と共に、この結果飲料を調製できるように、構築されている。この知られているシステムは、それぞれの様々な軸方向長さを有する事前にパッケージングされたカプセルを使用して飲料を調製するために使用することができるが、使用されるカプセルの長さに長さが適合可能である淹出チャンバの構造は、比較的複雑である。更に、使用される全てのカプセルのフランジ状のリムは陥凹部を備えているので、フランジ状のリムの表面積が小さくなる。結果的に、特により短い長さを有するカプセルに関して、フランジ状のリムの、淹出チャンバの構成要素との接触表面積が小さくなる。この接触表面積は淹出動作中にカプセルと淹出チャンバとの間の封止を少なくとも部分的に提供するので、特により短い長さのカプセルの封止が、例えばカプセルに比較的高圧下で熱湯が供給される装置の使用に関して、不十分である可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
したがって、淹出チャンバを比較的単純な様式で構築でき、様々な寸法を有するカプセルを使用できる、ある量の消費に適した飲料を調製するためのシステム提供することが、本発明の目的である。カプセルに液体が比較的高圧で供給されるときであっても淹出中の各カプセルについての封止が十分であり、様々な寸法を有するカプセルを使用できる、ある量の消費に適した飲料を調製するためのシステム提供することが、本発明の更なる目的である。本発明の別の更なる目的は、様々な寸法を有するカプセルを使用できる、ある量の消費に適した飲料を調製するための代替のシステムを提供することである。
【0004】
上で特定した目的のうちの少なくとも1つを達成するために、本発明は、第2のフランジ状のリムを有する第2の本体及び第2のフランジ状のリムに取り付けられた第2の出口面を有する、第2の交換可能なカプセルと、ある量の消費に適した飲料を調製するための装置であって、第2の交換可能なカプセルを保持するための空洞を有する第1の淹出チャンバ部分及び第2の交換可能なカプセルの周囲で第1の淹出チャンバ部分を閉じるための第2の淹出チャンバ部分を含み、第1の淹出チャンバ部分は空洞内に第1の実質的に環状の当接面を有する、ある量の消費に適した飲料を調製するためのシステムあって、第1の淹出チャンバ部分は第2の実質的に環状の当接面を更に有し、第2の環状の当接面の直径は第1の環状の当接面の直径よりも大きいことと、第2の当接面は空洞が第2の交換可能なカプセルを保持しているときに第2のフランジ状のリムに対して当接するように構成されていることと、を特徴とする、システムを提供する。このような第1の環状の当接面及び第2の環状の当接面を使用することにより、システムは、第1の環状の当接面に当接するような寸法となっているフランジ状のリムを有する第1の交換可能なカプセルと第2の環状の当接面に当接するような寸法となっているフランジ状のリムを有する第2の交換可能なカプセルとを選択的に使用して、ある量の消費に適した飲料を調製するために、比較的単純な様式で構築され得る。特定の実施形態では、システムはその場合、第1のフランジ状のリムを有する第1の本体及びフランジ状のリムに取り付けられた第1の出口面を有する第1の交換可能なカプセルを更に含み、装置の第1の淹出チャンバ部分の空洞は第1の交換可能なカプセル及び第2の交換可能なカプセルの一方を選択的に保持するように構成されており、第2の淹出チャンバ部分は第1の交換可能なカプセル又は第2の交換可能なカプセルの周囲で第1の淹出チャンバ部分を閉じるように構成されており、第1の当接面は空洞が第1の交換可能なカプセルを保持しているときに第1のフランジ状のリムに対して当接するように構成されており、第2のフランジ状のリムは第1のフランジ状のリムよりも大きい直径を有する。したがって、様々な直径を有する交換可能なカプセルを、ある量の消費に適した飲料を調製するためのこの新規なシステムにおいて、使用することができる。
【0005】
本発明による有利なシステムにおいては、第1の実質的に環状の当接面は、第1の淹出チャンバ部分の軸方向に、第2の実質的に環状の当接面から間隔を空けて配置されている。特にその場合、本発明によるシステムの実施形態では、第2のカプセルの軸方向長さは、第1のカプセルの軸方向長さよりも長いことが可能である。したがって、様々な長さを有する交換可能なカプセルを、ある量の消費に適した飲料を調製するためのこの新規なシステムにおいて使用することが可能である。
【0006】
本発明によるシステムの実施形態は、第2の実質的に環状の当接面が空洞の開放端に配置されているときに、比較的単純な様式でかつ比較的コンパクトに構築され得る。
【0007】
本発明によるシステムの更なる実施形態では、システムは、第1の実質的に環状の当接面と第2の実質的に環状の当接面が互いに対して不動であるときに、比較的単純な様式で構築され得る。第1の淹出チャンバ部分の空洞は、第1のカプセル又は第2のカプセルを保持するように構成された所定の空洞有り得る。キャビティは、第1又は第2のカプセルを保持するための不変の形状を有することができる。第1の淹出チャンバ部分は、第1の淹出チャンバ部分の構成を変更することなく、第1のカプセル又は第2のカプセルを保持するように構成され得る。第1の淹出チャンバ部分はモノリシック部分であることができる。
【0008】
好ましくは、第2の淹出チャンバ部分は、第2の出口面及び任意選択的に第1の出口面に対して当接する抽出プレートを有する。その場合は構造的な観点から、抽出プレートが中央部分及び周辺部分を含み、中央部分が周辺部分に対して軸方向に移動可能であれば有利である。好ましくは、周辺部分は、空洞が淹出中に第2のカプセルを保持しているときに、第2の出口面に対して当接するように構成されており、このことは、淹出中に適切な封止を提供するのに役立ち得る。同じことが、空洞が淹出中に第1のカプセルを保持しているときに、周辺部分が前記第1の淹出チャンバ部分に対して当接するように構成されている場合にあてはまる。中央部分は、空洞が淹出中に第2のカプセルを保持しているときに、第2の出口面に対して当接するように構成することができ、中央部分は更に、空洞が淹出中に第1のカプセルを保持しているときに、第1の出口面に対して当接するように構成することができる。
【0009】
第1の淹出チャンバ部分及び/又は第2の淹出チャンバ部分が、第2のフランジ状のリム又は任意選択的に第1のフランジ状のリムに対して封止を行うように構成されるとき、カプセルに液体が比較的高圧で供給されるときであっても淹出中の各カプセルについての封止が十分であり、様々な寸法を有するカプセルを使用できる、ある量の消費に適した飲料を調製するためのシステム。好ましくは、第1の淹出チャンバ部分に液体を供給するための液体供給システムが含まれ、第1の淹出チャンバ部分と第2のカプセルとの間の隙間に、又は任意選択的に第1の淹出チャンバ部分と第1のカプセルとの間の隙間に、液体が入り込むことができる。
【0010】
本発明によるシステムは、実質的に同じ長さ対直径比を有する第1の交換可能なカプセル及び第2の交換可能なカプセルが使用されるとき、特に好適である。
【0011】
本発明によるシステムの更なる実施形態では、第1の淹出チャンバ部分は空洞の底部にセンタリング手段を含み、第2の交換可能なカプセル及び任意選択的に第1の交換可能なカプセルは、第1の交換可能なカプセル及び第2の交換可能なカプセルを空洞の底部付近にセンタリングするために、センタリング手段と選択的に協働するように構成されている。本発明によるシステムの別の更なる実施形態では、第1の淹出チャンバ部分と前記第1の交換可能なカプセルは、第1の交換可能なカプセルがフランジ状のリムによって空洞内でセンタリングされるように、互いに適合されている。本発明によるシステムのまた別の更なる実施形態では、第1の淹出チャンバ部分と第2の交換可能なカプセルは、第2の交換可能なカプセルを第1の淹出チャンバ部分内に装填するときに第2の交換可能なカプセルの外側部分が第1の淹出チャンバ部分の内周壁に係合するように互いに適合されており、第1の淹出チャンバ部分と第2の交換可能なカプセルは、第2の交換可能なカプセルが外側部分によって空洞内でセンタリングされるように互いに適合されている。これらの様式では、カプセルを淹出チャンバ部分で正確にセンタリングすることができ、これにより適正な淹出が容易になる。
【0012】
第1の当接面が空洞に階段状の形状を与える、本発明によるシステムの実施形態では、第1の交換可能なカプセル及び第2の交換可能なカプセルを、淹出チャンバ部分に容易にかつ適正に挿入できる。
【0013】
本発明によるシステムの更なる実施形態では、第2の本体は第2の底部と第2の周壁とを含む第2のカップ形状本体であり、上記の第2のカップ形状本体は第2の開放端を有し、第2のフランジ状のリムは第2のカップ形状本体の第2の開放端に沿って円周方向に連続して延びる、外向きに延びる第2のリムであり、上記の外向きに延びる第2のリムは単一の第2の幅を実質的に有する。好ましくは、第1の本体は第1の底部と第1の周壁とを含む第1のカップ形状本体であり、上記の第1のカップ形状本体は第1の開放端を有し、第1のフランジ状のリムは第1のカップ形状本体の第1の開放端に沿って円周方向に連続して延びる、外向きに延びる第1のリムであり、上記の外向きに延びる第1のリムは単一の第1の幅を実質的に有する。このような単一の幅を有する円周方向に連続して延びるリムは、カプセルに加圧した液体が供給される場合であっても、淹出中に十分な封止部を提供できる。第1の幅及び第2の幅が同一である場合、淹出チャンバ部分は比較的容易な様式で構築できる。特に、第1のほぼ環状の当接面はその場合連続して環状とすることができ、第2のほぼ環状の当接面はその場合連続して環状とすることができる。
【0014】
本発明は更に、所定量の消費に適した飲料を調製するための装置であって、装置は第2の本体及び第2のフランジ状のリムを有する第2の交換可能なカプセルを使用して所定量の消費に適した飲料を調製するように構成されており、装置は第2の交換可能なカプセルを保持するための空洞を有する淹出チャンバ部分を含み、淹出チャンバ部分は空洞内に第1の環状の当接面を有する、装置において、淹出チャンバ部分が第2の環状の当接面を有し、第2の当接面は空洞が第2の交換可能なカプセルを保持するときに第2のフランジ状のリムに対して当接するように構成されていることと、第2の環状の当接面の直径は第1の環状の当接面の直径よりも大きいことと、を特徴とする、装置に関する。好ましくは、装置は、第1の本体及び第1のフランジ状のリムを有する第1の交換可能なカプセルを使用して所定量の消費に適した飲料を調製するように更に構成されており、淹出チャンバ部分の空洞は、第1の交換可能なカプセル及び第2の交換可能なカプセルの一方を選択的に保持するように構成された空洞であり、第1の当接面は空洞が第1の交換可能なカプセルを保持しているときに、第1のフランジ状のリムに対して当接するように構成されている。装置はしたがって、第1のフランジ状のリムよりも大きい直径を有する第2のフランジ状のリムを有する第2の交換可能なカプセルを使用して、所定量の消費に適した飲料を調製するのに好適である。第1の実質的に環状の当接面が第1の淹出チャンバ部分の軸方向に第2の実質的に環状の当接面から間隔を空けて配置されている場合、装置が様々な長さを有するカプセルを使用することが可能である。
【0015】
装置は、第2の実質的に環状の当接面が空洞の開放端であるときに、比較的単純に構築され得る。装置は更に、第1の実質的に環状の当接面と前記第2の実質的に環状の当接面が互いに対して不動であるときに、比較的単純に構築され得る。
【0016】
好ましくは、第2の淹出チャンバ部分は抽出プレートを有し、これはその場合中央部分と周辺部分とを含み、中央部分は周辺部分に対して軸方向に移動可能である。
【0017】
本発明による装置の実施形態では、第1の淹出チャンバ部分は空洞の底部に、カプセルを淹出チャンバ部分内で適正にセンタリングするためのセンタリング手段を含む。
【0018】
本発明による装置の更なる実施形態では、第1の当接面は空洞に階段状の形状を与え、これにより、様々な直径のカプセルを比較的容易に挿入できるようになる。飲料を淹出するために加圧した液体が使用されるときであっても適正な封止を提供するために、第1のほぼ環状の当接面が連続して環状であり、第2のほぼ環状の当接面が連続して環状であることが好ましい。
【0019】
ある態様によれば、本明細書に記載するようなある量の消費に適した飲料を調製する方法が提供される。
【0020】
ある態様によれば、本明細書に記載するような、カプセル、並びに第1のカプセル及び第2のカプセルの組が提供される。
【0021】
システムを考慮して説明された実施形態、態様、特徴及び任意選択肢のいずれも、装置、カプセル及び方法に等しく適用されることが理解されよう。上記の実施形態、態様、特徴及び任意選択肢任意の1つ以上を組み合わせることができることも明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明は、図面に表される例示的な実施形態に基づいて更に説明される。例示的な実施形態は、非限定的な例示として与えられる。図面は、非限定的な例として与えられる本発明の実施形態の概略的な表現に過ぎないことに留意されたい。
【0023】
図において、
図1A】本発明によるシステムの実施形態の概略的な表現を示す。
図1B】本発明によるシステムの実施形態の概略的な表現を示す。
図2A図1A及び図1Bのシステムの第1の淹出チャンバ部分をより詳細に示す図である。
図2B図1A及び図1Bのシステムの第1の淹出チャンバ部分をより詳細に示す図である。
図3A】空洞が第1のカプセルを保持するときの、図1Aに示すようなシステムのロック機構の機能を示す図である。
図3B】空洞が第1のカプセルを保持するときの、図1Aに示すようなシステムのロック機構の機能を示す図である。
図4A】空洞が第2のカプセルを保持するときの、図1Bに示すようなシステムのロック機構の機能を示す図である。
図4B】空洞が第2のカプセルを保持するときの、図1Bに示すようなシステムのロック機構の機能を示す図である。
図5A】空洞が第1のカプセルを保持するときの、図1Aに示すようなシステムの拘束リングの機能を示す図である。
図5B】空洞が第1のカプセルを保持するときの、図1Aに示すようなシステムの拘束リングの機能を示す図である。
図5C】空洞が第1のカプセルを保持するときの、図1Aに示すようなシステムの拘束リングの機能を示す図である。
図6A】抽出中の淹出チャンバ内の第1のカプセル、及び抽出中の淹出チャンバ内の第2のカプセルをそれぞれ示す図である。
図6B】抽出中の淹出チャンバ内の第1のカプセル、及び抽出中の淹出チャンバ内の第2のカプセルをそれぞれ示す図である。
図7A】それぞれ、使用済みの第1のカプセル及び第2のカプセルを重力の影響下で空洞から排出するために下向きに旋回した、第1の淹出チャンバ部分を示す図である。
図7B】それぞれ、使用済みの第1のカプセル及び第2のカプセルを重力の影響下で空洞から排出するために下向きに旋回した、第1の淹出チャンバ部分を示す図である。
図8A】第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分によって形成された淹出チャンバに挿入された、第1のカプセル及び第2のカプセルの例をそれぞれ示す図である。
図8B】第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分によって形成された淹出チャンバに挿入された、第1のカプセル及び第2のカプセルの例をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1A及び図1Bは、飲料を調製するためのシステム1の概略断面図を示す。システムは、装置2と交換可能なカプセルとを含む。ここで、システム1は、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bと協働するように構成されている。図1A及び図1Bに示す装置2は、1つの同じ装置である。装置2は、第1のカプセル4A(図1A参照)又は第2のカプセル4B(図1B参照)のいずれかと選択的に協働するように構成されている。システム1は、装置2、第1カプセル4A及び第2カプセル4Bを含むことができることが理解されよう。
【0025】
第1及び第2のカプセル4A、4Bは異なるタイプである。この例では、第2のカプセル4Bは、第1のカプセル4Aよりも大きい。第2のカプセル4Bの軸方向長さLBは、第1のカプセル4Aの軸方向長さLAよりも大きい。第2のカプセル4Bの直径DBは、第1のカプセル4Aの直径DAよりも大きい。相違にもかかわらず、この例では、第1及び第2のカプセル4A、4Bは同様の視覚的印象を作るように設計されている。第1及び第2のカプセル4A、4Bは、ファミリのルックアンドフィールを有するように設計されている。ここで、第1のカプセル4Aの軸方向長さと直径との比LA/DAは、第2のカプセル4Bの軸方向長さと直径との比LB/DBと実質的に同じである。好ましくは、第1及び第2のカプセルの長さ対直径比は、20%以内、好ましくは10%以内、例えば同一である。
【0026】
類似性を考慮して、両方のカプセル4A、4Bをここで同時に説明する。この例では、カプセル4A、4Bの両方がカップ形状本体6A、6Bを含む。ここで、カップ形状本体6A、6Bは、底部8A、8B及び周壁10A、10Bを含む。底部8A、8B及び周壁10A、10Bは、モノリス部分を形成していてもよい。カプセル4A、4Bは、いずれも蓋12A、12Bを含む。蓋12A、12Bは、カップ形状本体6A、6Bの開放端を閉じる。蓋12A、12Bは、後述するように飲料をカプセルから排出することができる出口領域13A、13Bを含む。この例では、蓋12A、12Bは、カプセル4A、4Bのフランジ状のリム14A、14Bに接続している。ここで、リム14A、14Bは、外向きに延びているリムである。リム14A、14Bは開放端に沿って円周方向に連続して延びており、すなわち、中断部又は陥凹部を有さず、各リム14A、14Bはその周縁全体にわたって1つの同じ幅を有する、すなわち、リムはその円周の全周にわたって単一の均一な幅を有する。リム14Aの第1の幅及びリム14Bの第2の幅は互いに異なっていてもよいが、これらの幅は好ましくは同一である。底部8A、8B、周壁10A、10B、及びリム14A、14Bは、モノリス部分を形成していてもよい。ここで、出口領域13A、13Bは、蓋12A、12Bの領域のうち、飲料が潜在的にカプセル4A、4Bから出て行くことができる領域を画定する。したがって、リム14A、14Bに対して封止された蓋12A、12Bの領域は、出口領域13A、13Bの部分を構成しない。この例では、カプセル4A、4Bは、底部8A、8Bから蓋12A、12Bまで延びる軸線を中心にして実質的に回転対称である。カップ形状本体6A、6Bと蓋12A、12Bは、カプセルの内部空間16A、16Bを取り囲む。内部空間16A、16Bは、ある量の飲料原材料、例えば抽出可能な物質又は可溶性物質を含む。飲料原材料は、例えば、ローストして挽いたコーヒー豆、茶葉、などであり得る。飲料原材料は、粉末状コーヒーであってもよい。飲料原材料は、液体であってもよい。カプセル4A、4Bのサイズの違いを考慮すると、第2のカプセル4Bは第1のカプセル4Aよりも多量の飲料原材料を含み得ることが理解されよう。この例では、第2のカプセル4Bの内部空間16Bは、第1のカプセル4Aの内部空間16Aの約2倍である。例えば、第1のカプセル4Aは、4~8グラム、例えば、約6グラムの挽いたコーヒー豆を含んでいてもよい。例えば、第2のカプセル4Bは、8~16グラム、例えば、約12グラムの挽いたコーヒー豆を含んでいてもよい。
【0027】
カップ形状本体6A、6Bは、アルミニウム箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、あるいはこれらの組み合わせから製造できる。カップ形状本体6A、6Bは、プレス加工、深絞り、真空成形、射出成形などにより製造することができる。この蓋は、アルミニウム箔などの金属箔、ポリプロピレン又はポリエチレンなどのプラスチック材料、あるいはこれらの組み合わせから製造できる。この例では、カプセル4A、4Bは、いわゆる閉じたカプセルである。これは、装置に挿入する前に密閉して閉じられたカプセルを指す。この閉じたカプセルは、以下に記載するように、装置によって開けることができる。代わりに、封止されていないカプセル又は再充填可能なカプセルも使用可能である。
【0028】
装置は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20とを含む。第1の淹出チャンバ部分18及び第2の淹出チャンバ部分20を互いに閉じ合わせて、淹出チャンバ22A、22Bを形成することができる(図1A図1Bには示されていない)。
【0029】
第1の淹出チャンバ部分18は、空洞24を含む。空洞24は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを受け入れるように構成されている。ここでは、第1の淹出チャンバ部分18の空洞24は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを保持するように構成された、所定の空洞24である。ここで、空洞24は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを保持するための、不変の形状を有している。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の淹出チャンバ部分18の構造を変えることなく第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bを保持するように構成されている。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、モノリス部分である。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第1の当接面26を含む。第1の当接面は、空洞24の内部に位置する。ここで、第1の当接面26は、第1のほぼ環状の当接面である。第1のほぼ環状の当接面26は、連続して環状であってもよく、又は、中断された環状、例えば、環に沿って複数のセグメントを含むものであってもよい。第1の当接面26は、空洞24の中に突き出た、例えばアーチ状の、1つ以上の隆起部の形状をとってもよい。ここで、第1の当接面26は、空洞24に階段状の形状を与える。この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の当接面28を含む。第2の当接面は、空洞24の開放端付近に位置する。第2の環状の当接面28の直径は、第1の環状の当接面26の直径よりも大きい。ここで、第2の当接面28は、第2のほぼ環状の当接面である。第2のほぼ環状の当接面28は、連続して環状であってもよく、又は中断された環状、例えば、環に沿って複数のセグメントを含むものであってもよい。第2の当接面28は、例えばアーチ状の、1つ以上の隆起部の形状をとってもよい。第1の当接面26と第2の当接面28は、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向に、互いに距離を空けて配置されていることが理解されよう。第1の当接面26と第2の当接面28は一定の間隔で配置されている。第1の当接面26と第2の当接面は、互いに対して不動である。ここで、第1の淹出チャンバ部分18は、エジェクタ38を含む。この例では、エジェクタ38は、円錐形リング及び/又は弾性要素42、ここでは螺旋ばねを含む。第1の淹出チャンバ部分18は、カプセルの底部を穿孔するための穿孔手段44を含む。ここで、穿孔手段は、複数のナイフ、例えば3つのナイフを含む。
【0030】
第2の淹出チャンバ部分20は、抽出プレート30を含む。この例では、抽出プレート30は、中央部分32と周辺部分34とを含む。中央部分32は、周辺部分34に対して移動可能である。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。
【0031】
ここまで記載したようなシステム1を、以下のように飲料を調製するために使用することができる。システム1の更なる特徴を、流れに沿って説明する。
【0032】
図1A及び図1Bの例では、装置2は、カプセルを受け入れる準備ができている状態にある。図1A及び図1Bでは、カプセル4A、4Bは、第1の淹出チャンバ部分18の空洞にちょうど挿入されたところである。第1の淹出チャンバ部分18は、傾いた位置にある。空洞24の開放端は上向きに配置される。
【0033】
図1Aに示すように、第1のカプセル4Aは、重力の影響で空洞24内に落下することができる。ここで、第1のカプセル4Aのリム14Aは、第1の淹出チャンバ部分18の内面36によって導かれる。第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に対して当接するまで、空洞24の中を下がっていく。ここで、第1のカプセル4Aの底部8Aは、エジェクタ38に対して中央にある。第1のカプセル4Aのリム14Aが、第1の当接面26と第2の当接面28との間に位置することが理解されよう。第1のカプセル4Aの底部8Aは、この状態ではまだ穿孔されていない。
【0034】
図1Bに示すように、第2のカプセル4Bも、重力の影響で空洞24内に落下することができる。ここで、第2のカプセル4Bの周壁10Bは、第1の淹出チャンバ部分18の内面46によって導かれる。第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に対して当接するまで、空洞24の中を下がっていく。ここで、第2のカプセル4Bの底部8Bは、エジェクタ38に対して中央にある。穿孔手段44からみると、第2のカプセル4Bのリム14Bが第2の当接面28よりも奥に位置することが、理解されよう。第2のカプセル4Bの底部8Bは、この状態ではまだ穿孔されていない。
【0035】
図1A及び図1Bに示すように、カプセル4A、4Bが空洞24に挿入されると、カプセル4A、4Bの周囲で淹出チャンバを閉じるために、第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20に向かって移動することができる。第1の淹出チャンバ部分18は、装置のフレーム48内を導かれる。
【0036】
この例では、第1の淹出チャンバ部分18は、図2A及び図2Bに示すように、第1のボス50及び第2のボス52を含む。第1のボス50は、フレーム48の第1の溝54の中を導かれる。第2のボス52は、フレーム48の第2の溝56の中を導かれる。ボス50、52と、溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18が従うことになる経路を決定づけることが理解されよう。ここで、第1の溝54と第2の溝56は、フレーム48の側壁57に設けられている。第1の溝54は、側壁57の中に第1の深さまで延びている。第2の溝56は、側壁の中に第2の深さまで延びている。第2の深さは、第1の深さよりも深い。第1のボス50は、第2のボス52よりも大きな直径を有する。第1の溝54は、第2の溝56よりも大きな幅を有する。第1の溝54の幅は、第1のボス50の直径に対応する。第2の溝56の幅は、第2のボス52の直径に対応している。第1の溝54が、第2の溝56とは異なる軌道に沿って延びていることが理解されよう。これらの溝の幅及び深さが異なることによって、第1のボス50及び第2のボス52が異なる軌道に従うことが可能になる。この構造によって、第1のボス50及び第2のボス52を導くための非常にコンパクトな構造が可能になる。
【0037】
装置2は、レバー58を備えている。レバーはユーザが手で作動させることができる。レバーは、フレーム48に、レバー軸60を中心に枢動可能に接続している。第1の淹出チャンバ部分18は、ニージョイント62を介して、フレーム48に接続している。ニージョイント62は、プッシュロッド64とクランク66とを含む。プッシュロッド64は、ニー軸68で、クランク66に枢動可能に接続している。クランク66は、クランク軸70でフレーム48に枢動可能に接続している。レバー58は、第1の淹出チャンバ部分18を作動させて移動させるためのニージョイント62に接続している。ここで、レバー58は、レバーリンク74を介して、ニージョイント62に接続している。レバーリンク74は、レバーリンク軸76で、レバー58に枢動可能に接続している。レバーリンク74は、ニーリンク軸78で、プッシュロッド74に枢動可能に接続している。
【0038】
拘束リング80は、は、第1の淹出チャンバ部分18の周囲に構成されている。拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18に対して軸方向に移動可能である。ここで、拘束リング80は、第1の淹出チャンバ部分18の外面によって導かれる。拘束リングは、1つ以上の弾性要素82、ここでは螺旋ばねを介して、第1の淹出チャンバ部分に接続している。プッシュロッドは、プッシュロッド軸72で、拘束リング80に枢動可能に接続する。したがって、ここでは、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18に間接的に、すなわち拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して、接続する。拘束リングの機能を以下に記載する。
【0039】
レバー58を下方向に動かすと、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18を、第2の淹出チャンバ部分20の方に押す。同時に、第1の溝54及び第2の溝56の形状に起因して、第1の淹出チャンバ部分18は、上側に傾いた向きから、第1の淹出チャンバ部分18の軸方向が第2の淹出チャンバ部分20の軸方向と整列するような整列した向きへと回転する。
【0040】
上述のように、装置2は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bのいずれかと選択的に協働するように構成されている。ここで、システム1は、第1のカプセルが挿入されたか、又は第2のカプセルが挿入されたかに応じて、淹出チャンバを自動的に調整するように構成されている。このことは、第1のカプセル又は第2のカプセルの適切な取り扱いを選択するのに、ユーザの入力が必要ではないという利点を提供する。したがって、エラーのリスクが大きく減る。
【0041】
上述のように、第2の淹出チャンバ部分20は、中央部分32と周辺部分34とを有する抽出プレート30を含む。ここで、中央部分32は、第2の淹出チャンバ部分20の軸方向に移動可能である。中央部分32は、この例では、フレーム48に対して軸方向にスライドして移動可能なシャフト32’を備えている。中央部分32は弾性部材84、ここでは螺旋ばねを介して、フレーム48に接続している。弾性部材84は、中央部分32を図1A及び図1Bの準備位置へと付勢する。準備位置は、この例では延ばした位置である。中央部分32は、第1のカプセル4Aと協働するための第1の淹出位置に位置付けることができる。中央部分32は、第2のカプセル4Bと協働するために第2の淹出位置に位置していてもよい。この例では、システム1は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32を第1の淹出位置に又は第1の淹出位置付近にロックするように構成された、ロック機構86を含む。
【0042】
ロック機構86はロッカー88を含む。ここで、ロッカー88は枢動可能な指部として設計され、枢動軸90を中心に枢動可能である。ロッカー88は、シャフト32’から枢動して離れる位置へと付勢される。ロッカーは、任意の他の好適な位置へと付勢されてもよい。ロック機構86はプッシャー92を更に含む。プッシャーは、第2の淹出部分20の本体94内をスライドして導かれる。プッシャー92は弾性部材96、ここでは螺旋ばねを介して、本体94に接続している。弾性部材96は、延びた位置でプッシャーを付勢する。第1の淹出チャンバ部分18はアクチュエータ98を含む。ここで、アクチュエータは、第1の淹出チャンバ部分18の前側表面によって形成されている。
【0043】
図3A及び図3Bは、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときのロック機構86の機能を示す。この例では、ここでは蓋12A、出口領域13A、及び/又はリム14Aによって形成される、第1のカプセル4Aの最外部分は、アクチュエータ98と比較して後方に、すなわちより穿孔手段44に向かう方に位置している。結果として、第1のカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部分20の方に向けて前進させると、アクチュエータ98は、第1のカプセル4Aの最外部分が中央部分32に触れる前に、プッシャー92に触れることになる。プッシャーは、弾性部材96の付勢力に対抗して押される。プッシャー92のリップ100は、ロッカー88のスロープ表面102に沿ってスライドし、ロッカー88をシャフト32’に向けて枢動させる。その結果、ロッカー88の親指104は、中央部分32(図3B参照)の部分106の移動経路内に配置される。第1のカプセル4Aを第2の淹出チャンバ部分20に向かって更に前進させると、第1のカプセル4Aは中央部分32に対して当接する。これにより、中央部分32が弾性部材84の付勢力に対抗して押し出され得る。枢動したロッカー88は、部分106が親指104に当接する位置を越えて中央部分32が移動することを防止する。これは、本明細書では、第1の淹出位置として定義される。したがって、第1のカプセル4Aは、中央部分32を準備位置から第1の淹出位置まで移動させるように構成されている。第1のカプセル4Aは、淹出中に第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間で保持され、中央部分32は第1の淹出位置にある。
【0044】
図4A及び図4Bは、空洞24が第2のカプセル4Bを保持するときのロック機構86の機能を示す。この例では、ここでは蓋12B、出口領域13B、及び/又はリム14Bによって形成される、第2のカプセル4Bの最外部分は、アクチュエータ98と比較して前方に、すなわちより第2の淹出チャンバ部分20に向かう方に位置している。結果として、第2のカプセル4Bを第2の淹出チャンバ部分20の方に向けて前進させると、第2のカプセル4Bの最外部分は、アクチュエータ98がプッシャー92に触れる前に、中央部分32に対して当接することになる。中央部分32は弾性部材84の付勢力に対抗して押され、一方、ロッカー88は依然としてシャフト32’から離れるように枢動される。結果として、部分106は、サム104の下を通った。部分106がサム104を通過した後で初めて、プッシャーは、アクチュエータ98によって、弾性部材96の付勢力に対抗して押される。プッシャー92のリップ100は、依然としてロッカー88のスロープ表面102に沿ってスライドし、ロッカー88をシャフト32’に向けて枢動させる。しかしながら、部品106はその瞬間に既に親指104を通過している。この例では、第2のカプセル4Bは、本体94に当接する中央部分32を押す。これは、本明細書では、第2の淹出位置として定義される。したがって、第2のカプセル4Bは、中央部分32を準備位置から第2の淹出位置まで移動させるように構成されている。第2のカプセル4Bは、淹出中に第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間で保持され、中央部分32は第2の淹出位置にある。
【0045】
したがって、ロック機構86は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32を第1の淹出位置にロックするように構成されている。なお、ロックは片側であってもよい、すなわち、ロック機構は、空洞24が第1のカプセル4Aを保持するときに、中央部分32が第1の淹出位置を越えて移動するのを防止してもよい。しかし、第1の淹出位置から準備位置への中央部分32の移動は妨げられなくてもよい。ロックユニット86は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバ内に入ったときに、中央部分32が、第1の淹出位置に又は第1の淹出位置付近にロックされるのを、選択的に防止するように構成されている。ロックユニット86は、第2のカプセルが淹出チャンバ内に入ったときに、中央部分32が第2の淹出位置へと移動するのを選択的に可能にするように構成されている。
【0046】
図3A及び図4Aと比較すると、第1の淹出チャンバ部分18を第2の淹出チャンバ部分20に向けて前進させている間、第1のカプセル4Aは、第2のカプセル4Bよりも更に第1の淹出チャンバ部分内に窪んでいることが理解されよう。次いで、第1の蓋12A、出口領域13A及び/又はリム14Bは、第2の蓋12B、出口領域13B、及び/又はリム14Bよりも、第1の淹出チャンバ部分18内に更に窪んでいることが理解されよう。
【0047】
図3B及び図4Bと比較すると、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するとき、中央部分32が空洞24内に延びることが理解されよう。中央部分32は、第2のカプセルが第1の淹出チャンバ部分18内に入っていれば、第2のカプセル4Bの蓋12B、出口領域13B、及び/又はリム14Bが存在したであろう位置を越えて、第1の淹出チャンバ部分18内に延びる。
【0048】
上述のように、ニージョイント62は、第1の淹出チャンバ部分18に間接的に、すなわち拘束リング80及び1つ以上の弾性要素82を介して、接続する。図5A図5Cは、拘束リング80の機能を示す。
【0049】
図5Aでは、第1のカプセル4Aは中央部分32に対して当接しており、中央部分32は第1の淹出位置にある。拘束リング80は、依然として後方位置にある。レバー58はその終了位置にまだ達していないことが理解されよう。第1の淹出チャンバ部分18は、突出部108を含む。ここで、突出部108は、実質的に環状の突出部である。突出部108は、外向きに延びている。ここで、突出部108は、第1の淹出チャンバ部分18の最外縁部を形成する。第2の淹出チャンバ部分20は、リテーナ110を含む。ここで、リテーナ110は、リテーナリップの円周リングとして設計されている。リテーナ110は、本体94に枢動可能に接続する。ここで、リテーナ110は、本体94に弾性的に枢動可能に接続する。リテーナ110は、歯部112を含む。ここで、歯部は、第1の傾斜面114と第2の傾斜面116とを有する。
【0050】
レバー58を下げると、拘束リング80は、第2の淹出チャンバ部分20に向かって前進する。1つ以上の弾性要素82は、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ20部分に対して当接するまで、例えばカプセル4A、4Bを間に挟んで、第1の淹出チャンバ部分18を拘束リング80の前方に押す。この移動中、突出部108は、第1の傾斜面114に対向して前進する。これにより、リテーナ110を外向きに枢動させる(図5A参照)。更に前進すると、突出部108は第2の傾斜面116を通過し、リテーナ110を内向きに枢動させる(図5B参照)。レバー58を更に下げると、第1の淹出チャンバ部分が第2の淹出チャンバ20部分に対して当接し、1つ以上の弾性要素82を圧縮させる。その結果、拘束リング80は、第2の淹出チャンバ部分20に向かって前進する。レバー58を完全に下げると、拘束リング80がリテーナ110とロックリング118との間に挿入される(図5C参照)。リテーナ110を取り囲む拘束リング80は、リテーナ110が外向きに枢動することを防止する。したがって、第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20に対してロックされる。第1の淹出チャンバ部分は、第2の淹出チャンバ部分20上にロックされる。
【0051】
装置は、流体、例えば加圧した熱湯などの液体を、第1の淹出チャンバ部分18に供給するための、流体供給システムを含むことができる。飲料を淹出するための流体により淹出チャンバが加圧されるとき、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20は、流体圧力によって互いから押し離されることになる。リテーナ110、拘束リング80、及び任意選択的にロックリング118には、流体圧力によって及ぼされる力の全て又は一部がかかることになる。リテーナ110とロックリング118との間に介在する拘束リング80は機械的安定性を高める。拘束リング80はリテーナ110によって及ぼされる全ての力に耐える必要はないが、その理由は、拘束リング80がロックリング118に対して当接し、その力の少なくとも一部をロックリング118に伝えることができるためである。ロックリング118は不動とすることができ、したがって容易に強化することができる。第1の淹出チャンバ部分は第2の淹出チャンバ部分20上にロックされているため、フレーム48とアクチュエーション機構、例えばニージョイントは、この力に、又は少なくともそのより小さな一部に、耐える必要はない。したがって、フレーム及び/又は作動機構は、より弱く及び/又はより安価に設計することができる。
【0052】
拘束リング80の機能は、第1のカプセル4Aに対して図5A図5Cに示されているが、拘束リング80は、第2のカプセル4Bに対して同様に機能し得ることが理解されよう。
【0053】
図6Aは抽出中の淹出チャンバ内の第1のカプセル4Aを示す。
【0054】
図6Bは抽出中の淹出チャンバ内の第2のカプセル4Bを示す。
【0055】
穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの底部8A、8Bを穿孔するように構成されている。図5A図5Cにも見られるように、この例では、穿孔部材44は、カプセル4A、4Bの蓋12A、12Bが第1の淹出位置又は第2の淹出位置で中央部分32に対して当接するまで、底部8A、8Bを穿孔しない。それに対して、弾性要素42及び弾性要素84の剛性を選択することができる。この例では、弾性要素42の剛性は、弾性部材84の剛性よりも大きくなるように選択される。しかし、弾性要素42の剛性が弾性部材84の剛性に等しいか、又は弾性要素42の剛性が弾性部材84の剛性よりも小さいことも可能であることが理解されよう。
【0056】
カプセル4A、4Bが淹出チャンバ内に入り、底部8A、8Bが穿孔されると、流体、この例では加圧した熱湯を、淹出チャンバに供給することができる。したがって、淹出チャンバは気密性であることが望まれる。更に、中央部分32は、第1の封止部材120を備えている。周辺部分34は、第2の封止部材122を備えている。飲料調製装置2は、第1のカプセル4A又は第2のカプセル4Bのいずれかを使用して、消費に適したある量の飲料を調製するように構成されている。量は、所定量とすることができる。この量は、ユーザ選択可能、ユーザ設定可能、又はユーザプログラム可能な量であってもよい。
【0057】
図3Bを参照すると、第1のカプセル4Aを考慮した封止が記載されている。第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aを保持するための淹出チャンバ22Aを形成するときに、中央部分32と第1の淹出チャンバ18部分との間に流体封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aが淹出チャンバに入っているときに、第1の淹出チャンバ部分18に対して当接する。これは、カプセル4Aの外側の空洞24内に存在する水に対する封止を提供する。このように、淹出チャンバ22Aに注入される淹出液は、カプセル4Aの外側を迂回することが防止されている。図3Bの例では、第1の封止部材120は、弾性リップ121を含む。弾性リップ121は、淹出チャンバ内の液体圧力の影響下で、中央部分32と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己強化性の封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第1の封止部材120は、第1のカプセル4Aのリム14Aに対して当接している。リム14Aは、第1の当接面26によって第1の封止部材120に押し付けられている。これにより、中央部分32とカプセル4Aとの間に、出口領域13Aを介してカプセル4Aを出て行く飲料に対する封止係合部が提供される。ここでは、リム14Aの、カップ形状本体6Aから離れる方に面する面が、第2の淹出チャンバ部分20に対して封止されることが理解されよう。代わりに又は加えて、リム14Aの、カップ形状本体6Aの方に面する面が、第1の淹出チャンバ部分18に対して封止されてもよい。更に、第1の淹出チャンバ部分18に対して、例えば第1の当接面26に対して、及び/又は、カプセル4Aに対して、例えばリム14Aに対して、追加の封止を提供することができる。カプセルに対する封止は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の封止に対する追加であってもよいことは明らかであろう。これにより、第1の封止部材120による封止負担を軽減することができる。
【0058】
図4Bを参照すると、第2のカプセル4Bを考慮した封止が説明されている。第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bを保持するための淹出チャンバ22Bを形成するときに、周辺部分34と第1の淹出チャンバ18部分との間に流体封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bが淹出チャンバ内に入っているときに、第1の淹出チャンバ部分18に対して当接する。これは、カプセル4Bの外側の空洞24内に存在する水に対する封止を提供する。図4Bの例では、第2の封止部材122は弾性リップ123を含む。弾性リップ123は、淹出チャンバ内の液体圧力の影響下で、周辺部分34と第1の淹出チャンバ部分18との間に自己強化性の封止係合部を提供するように構成されている。この例では、第2の封止部材122は、第2のカプセル4Bのリム14Bに対して当接する。リム14Bは、第2の当接面28によって第2の封止部材122に押し付けられている。これにより、周囲部分34とカプセル4Bとの間に、出口領域13Bを介してカプセル4Bを出て行く飲料に対する封止係合部を提供することができる。図4Bでは、第2のカプセル4Bを保持する22Bための淹出チャンバを形成するときに、第1の封止部材120が中央部分32と周辺部分34との間に封止係合部を提供する。中央部分32と周辺部分34との間のこの封止係合は自己補強的であり得る。更に、周辺部分34と第2のカプセル4Bとの間の係合によって、淹出液が第1の封止部材120へと流れることが可能になり得る。したがって、第1の封止部材120は、中央部分32とカプセル4Bとの間に、出口領域13Bを介してカプセル4Bを出て行く飲料に対する封止係合部を提供する。ここで、蓋によって、例えば箔によって覆われていてもいなくてもよいリム14Bの、カップ形状本体6Bから離れる方に面する面が、第2の淹出チャンバ部分20に対して封止されることが理解されよう。代わりに又は加えて、リム14Bの、カップ形状本体6Bの方に面する面は、第1の淹出チャンバ部分18に対して封止されてもよい。更に、第1の淹出チャンバ部分18に対して、例えば第2の当接面28に対して、及び/又は、カプセル4Bに対して、例えばリム14Bに対して、追加の封止を提供することができる。カプセルに対する封止は、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20との間の封止に対する追加であってもよいことは明らかであろう。これにより、第2の封止部材122による封止負担を軽減することができる。
【0059】
流体が淹出チャンバ内のカプセル4A、4Bに圧力下で供給される場合、出口領域13A、13Bは、抽出プレート30に対向して開口していてもよい。この例における抽出プレート30は、複数のレリーフ要素124を含む。ここで、レリーフ要素124は切頭角錐形である。カプセル4A、4B内の圧力が上昇すると、出口領域13A、13Bがレリーフ要素に押し付けられて引き裂かれ、飲料がカプセル4A、4Bから出ることが可能になる。
【0060】
飲料は、抽出プレートの開口を介して抽出プレート30を通過することができる。次に、飲料は出口126まで流れることができる。出口126から、飲料はカップなどの容器に流れ込むことができる。
【0061】
飲料が淹出されたら、レバー58を上向きに動かすことができる。これにより、拘束リング80がリテーナ110から離れて移動する。次に、第1の淹出チャンバ部分18を後方に移動する。リテーナ110の第2の傾斜面116は、リテーナが突起部108を通過することを可能にすることができる。第1の淹出チャンバ部分18は、第2の淹出チャンバ部分20から離れる方に移動する。中央部分32は準備位置に戻る。ボス50、52と、溝54、56は、第1の淹出チャンバ部分18が従うことになる経路を決定づける。図7A及び図7Bに示すように、第1の淹出チャンバ部分は下向きに旋回する。これにより、重力の影響下で使用済みのカプセル4A、4Bの空洞24からの排出が促進される。エジェクタ38は、カプセル4A、4Bを穿孔部材44から押し離して空洞24から押し出すのを助けることができる。使用済みのカプセル4A、4Bは、装置2の廃棄物バスケット内に落下することができる。
【0062】
この例では、第1のカプセル4A及び第2のカプセル4Bは、同様の視覚的印象を与えるように設計されている。図8Aは、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20によって形成された淹出チャンバ22Aに挿入された第1のカプセル4Aの例を示す。周壁10Aはその位置で空洞24よりも狭いことが理解されよう。結果的に、空洞24の内部の第1のカプセル4Aの周囲に、第1の容積126が存在する。図8Bは、第1の淹出チャンバ部分18と第2の淹出チャンバ部分20によって形成された淹出チャンバ22Bに挿入された第2のカプセル4Bの一例を示す。周壁10Bの部分128は、その位置で空洞24よりも狭いことが理解されよう。この部分128は、第1の当接面26を越えて延びる周壁10Bの部分によって形成される。結果的に、空洞24の内部の第2のカプセル4Bの周囲に、第2の容積130が存在する。
【0063】
なお、淹出チャンバ22Aが第1のカプセル4Aを保持するとき、第1の容積126は、第1のカプセル4Aによって占有されていない。しかし、この第1の容積126は、淹出チャンバ22Bが第2のカプセル4Bを保持するときに、第2のカプセル4Bの一部によって占有される。第2の容積130は、淹出チャンバが第2のカプセル4Bを保持するときに、第2のカプセル4Bによって占有されない。この第2の容積130は、淹出チャンバが第1のカプセル4Aを保持するときに、抽出プレート30の中央部分32を受け入れる。
【0064】
第1のカプセル4Aを用いて飲料を淹出するとき、第1の容積126は、飲料の淹出には使用されない流体(例えば水)で満たされる。この流体は、淹出後、廃棄物バスケットに廃水されてもよい。第2のカプセル4Bを用いて飲料を淹出するとき、第2の容積130は流体、例えば水で満たされ、これは飲料の淹出には使用されない。この流体は、淹出後、容器、例えば廃棄物バスケットに廃水することができる。この例では、第1の容積126は、第2の容積130と実質的に等しい。したがって、廃棄物バスケットに向かう流体の体積は、第1のカプセル4Aを用いて飲料を淹出するとき及び第2のカプセル4Bを用いて飲料を淹出するときに、実質的に等しい。
【0065】
本明細書では、本発明を、本発明の実施形態の具体例を参照しつつ説明してきた。しかし、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正及び変更が行われ得ることは明らかであろう。明瞭さ及び簡潔な説明の目的のために、本明細書では同一又は別々の実施形態の一部として特徴を説明するが、これら別々の実施形態に記載の特徴の全部又は一部の組み合わせを有する代替実施形態も考えられる。
【0066】
この例では、抽出プレートの中央部分は、複数のレリーフ要素を含む。周辺部分にはレリーフ要素は含まれない。しかし、周辺部分にはレリーフ要素も含まれ得ることが理解されよう。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域の開放時の流れ抵抗が第1の出口領域の開放時の流れ抵抗よりも小さくなるように、互いに適合されてもよい。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域が、抽出プレート上で第1の出口領域よりも大きな表面積にわたって引き裂かれるように、互いに適合されてもよい。抽出プレートと第2の出口領域は、第2の出口領域が、抽出プレート上で第1の出口領域よりも多くの位置で引き裂かれるように、互いに適合されてもよい。外側レリーフ要素は、第1の出口領域及び第2の出口領域の両方を引き裂くように設計されてもよく、第2の出口領域は、外側レリーフ要素上で、第1の出口領域よりも大きな表面積にわたって引き裂かれる。抽出プレートは、第1の種類のレリーフ要素と少なくとも1つの第2の種類のレリーフ要素とを含むことができ、第1の種類のレリーフ要素は、第1の出口領域に対応する領域内に配置されており、少なくとも1つの第2の種類のレリーフ要素は、第2の出口領域に対応する領域内でかつ第1の出口領域に対応する領域外に配置されている。第2の種類のレリーフ要素は、第1の種類のレリーフ要素よりも鋭い縁部を有してもよい。第2の出口領域は、弱化された区域を含んでいてもよい。弱化された区域は、第2の出口領域の周辺領域に配置されてもよい。
【0067】
この例では、第1のカプセル及び第2のカプセルは、実質的に同じ形状を有している。異なる形状を有する第3のカプセルを提供することも可能である。第3のカプセルは、例えば、中央部分が第1の淹出位置にあるときに、淹出チャンバを実質的に満たすような形状とすることができる。異なる形状を有する第4のカプセルを提供することも可能である。第4のカプセルは、例えば、中央部分が第2の抽出位置にあるときに、淹出チャンバを実質的に満たすような形状とすることができる。
【0068】
この例では、カプセル本体と蓋は、本体に蓋を容易に溶接するために、アルミニウム箔、好ましくは、ポリマーコーティングされたアルミニウム箔から形成される。カプセル本体及び/又は蓋は、当業者によって好適であると考えられ、押出し、共押出し、射出成形、ブロー成形、真空成形、などの当該分野で従来公知の技術を使用して、シート、フィルム、又は箔に加工できる、多種多様な材料で作製され得ることが理解されよう。カプセル本体及び/又は蓋のための好適な材料としては、プラスチック材料、具体的には、熱可塑性材料、例えばポリオレフィンポリマー、例えばポリエチレン若しくはポリプロピレン、PVC、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム、ステンレス鋼、金属合金などの金属箔、又は、紙、ポリエステルなどのような織布若しくは不織布若しくは他の方法で処理された繊維材料のシート、又はそれらの組み合わせ、例えば多層、が挙げられるが、これらに限定されない。カプセル用の材料は、生分解性ポリマー又は他の生分解性材料であり得る。当業者は、カプセルの使用中の食品材料との想定される使用及び他の関連する状況を考慮して、適切な材料を選択することができるであろう。シート又は箔の厚さは、形状安定なカプセルが提供されるように選択され得る。シート又は箔の厚さは材料の性質によって変わり得る。
【0069】
実施例では、カプセルは密閉カプセルである。システムで開放カプセルを使用することも可能である。開放カプセルは装置への挿入前に開放されている。開放カプセルは予め穿孔することができる。開放カプセルは、開放カプセルを装置に挿入する前に取り除く必要がある密閉封止パッケージに包装することができる。実施例では、カプセルは穿孔手段によって穿孔されている。穿孔手段によって穿孔されていないカプセルをシステムで使用することも可能である。そのようなカプセルは、例えば入口フィルタを含むことができる。実施例では、カプセルは抽出プレートに対向して開く。抽出プレートに対向して開かないカプセルをシステムで使用することも可能である。そのようなカプセルは、例えば出口フィルタを含むことができる。
【0070】
この例では、カプセル自体は封止部材を含まない。カプセルが封止部材、例えば弾性封止部材を備えることが可能であることが理解されよう。封止部材は、リム上に、例えばカップ形状本体の方に面する面上に又はカップ形状本体から離れる方に面する面上に、例えば載置することができる。代わりに又は加えて、周壁上に及び/又は底部上に、封止部材を提供することができる。
【0071】
この例では、拘束リング及びリテーナは、第1の淹出チャンバ部分及び第2の淹出チャンバ部分の、実質的に周囲全体に沿って延びている。これにより、2つの淹出チャンバ部分が互いに特に良好にロックされる。ただし、拘束リング及びリテーナが、周囲に沿った1つ以上の別々の位置、例えば2つ、3つ、4つ、6つ、又は8つの位置に、拘束手段及び保持手段を含むことも可能であることが理解されよう。
【0072】
第1のカプセルを用いて飲料を淹出するように構成されており、第2のカプセルを用いて飲料を淹出することはできない、第1の装置を提供することも可能であることが理解されよう。このような第1の装置は、図と関連させて記載される装置と、第1のカプセルと、任意選択的に第2のカプセルと、を有するシステムに含まれ得る。
【0073】
第2のカプセルを用いて飲料の淹出するように構成されており、第1のカプセルを用いて飲料を淹出することはできない、第2の装置を提供することも可能であることが理解されよう。このような第2の装置は、図と関連させて記載される装置と、第2のカプセルと、任意選択的に第1のカプセルと、を有するシステムに含まれ得る。
【0074】
しかし、他の改変、変形、及び変更も可能である。したがって、明細書、図面及び実施例は、限定的な意味ではなく例示的な意味で検討されるべきである。
【0075】
明確にするために、また簡潔な説明のために、特徴は同一又は別々の実施形態の一部として本明細書に記載されているが、本発明の範囲は説明した特徴の全部又は一部の組み合わせを有する実施形態を含み得ることが理解されよう。
【0076】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれた任意の参照記号は、特許請求の範囲を限定すると解釈すべきではない。単語「~を含む(comprising)」は、特許請求の範囲に列挙されるもの以外の特徴又は工程の存在を除外しない。更に、単語「a」及び「an」は、「ただ1つ」に限定されると解釈されるべきではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を除外しない。特定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B