IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三協立山株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-窓 図1
  • 特許-窓 図2
  • 特許-窓 図3
  • 特許-窓 図4
  • 特許-窓 図5
  • 特許-窓 図6
  • 特許-窓 図7
  • 特許-窓 図8
  • 特許-窓 図9
  • 特許-窓 図10
  • 特許-窓 図11
  • 特許-窓 図12
  • 特許-窓 図13
  • 特許-窓 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/10 20060101AFI20230825BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
E06B7/10
E06B1/36 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020010467
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2020125673
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】P 2019016450
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 幸康
(72)【発明者】
【氏名】森下 大悟
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】大橋 貴文
(72)【発明者】
【氏名】藤園 武史
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209876(JP,A)
【文献】特開2015-187331(JP,A)
【文献】特開2005-90187(JP,A)
【文献】特開2011-208429(JP,A)
【文献】実開昭55-59078(JP,U)
【文献】特開平2-88876(JP,A)
【文献】実開昭62-42688(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、室外空間から中間層に連通する室外側通気部は、外窓に設けてあって、室外側通気部の室内側の通気口が内周側に向けて開口してあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることを特徴とする窓。
【請求項2】
外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、中間層から室内空間に連通する室内側通気部は、内窓に設けてあって、室内側通気部の室外側の通気口が内周側に向けて開口してあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることを特徴とする窓。
【請求項3】
外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、室外空間から中間層に連通する室外側通気部の室内側の通気口の室内側に対向して見付壁が位置しており、見付壁により空気の流れを外側ガラスの内周側に沿わせてあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることを特徴とする窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気を行いつつ熱の出入りを少なくできる窓に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内環境は、空調設備で制御していたが、窓からの熱の出入りが多く電気代がかかるため、経済的に優れたものが求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることのできる窓の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による窓は、外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、室外空間から中間層に連通する室外側通気部は、外窓に設けてあって、室外側通気部の室内側の通気口が内周側に向けて開口してあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による窓は、外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、中間層から室内空間に連通する室内側通気部は、内窓に設けてあって、室内側通気部の室外側の通気口が内周側に向けて開口してあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明による窓は、外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、室外空間から中間層に連通する室外側通気部の室内側の通気口の室内側に対向して見付壁が位置しており、見付壁により空気の流れを外側ガラスの内周側に沿わせてあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による窓は、外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、室外空間から中間層に連通する室外側通気部は、外窓に設けてあって、室外側通気部の室内側の通気口が内周側に向けて開口してあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
【0008】
請求項2記載の発明による窓は、外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、中間層から室内空間に連通する室内側通気部は、内窓に設けてあって、室内側通気部の室外側の通気口が内周側に向けて開口してあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
【0009】
請求項3記載の発明による窓は、外側ガラスと内側仕切体とを備え、室外空間から外側ガラスと内側仕切体の間の中間層に連通する室外側通気部と、中間層から室内空間に連通する室内側通気部を有し、室外空間から中間層に連通する室外側通気部の室内側の通気口の室内側に対向して見付壁が位置しており、見付壁により空気の流れを外側ガラスの内周側に沿わせてあり、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラスの内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の窓の第1実施形態を示す縦断面図である。
図2】同窓の外窓の上框を拡大して示す縦断面図である。
図3】外窓の上框の他の実施形態を示す縦断面図である。
図4】本発明の窓の第2実施形態を示す縦断面図である。
図5】本発明の窓の第3実施形態を示す内窓上部の縦断面図である。
図6】本発明の窓の第4実施形態を示す内窓上部の縦断面図である。
図7】本発明の窓の第5実施形態を示す縦断面図である。
図8】本発明の窓の第6実施形態を示す縦断面図である。
図9】本発明の窓の第7実施形態を示す縦断面図である。
図10】本発明の窓の第8実施形態を示す縦断面図である。
図11】本発明の窓の第9実施形態を示す縦断面図である。
図12】本発明の窓の第10実施形態を示す縦断面図である。
図13】同窓の横断面図である。
図14】本発明の窓の第11実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,2は、本発明の窓の第1実施形態を示している。この窓は、建物の窓開口部の室外側に設置した外窓1と、窓開口部の室内側に設置した内窓2とを備える二重窓となっている。
【0012】
外窓1は、図1に示すように、建物の窓開口部に固定される枠8と、枠8内に引違い状に開閉自在に収めた外障子9a及び内障子9bとを備えている。枠8は、アルミ形材よりなる上枠10と下枠11と左右の縦枠とを枠組みして構成されている。外障子9a及び内障子9bは、アルミ形材よりなる上框12と下框13と戸先框と召合せ框とを框組みし、その内側に外側ガラス14を嵌め込んで構成されている。
【0013】
外窓1は、図1に示すように、フレーム(枠又は框、図示のものは上框12)に室外空間から外窓・内窓間の中間層3に連通する室外側通気部4が設けてあり、室外側通気部4の室内側の通気口6は、フレーム12のガラス支持部室内側の内周側の見込面に形成してある。より詳細には、上框12は、図2に示すように、室内側に中空部15が設けてあり、室外側壁16と中間の縦壁17と中空部15の下壁18とにそれぞれ通気口19,20,6を設けることで、室外空間から外窓・内窓間の中間層3に連通する室外側通気部4が設けてある。室外側壁16と中間の縦壁17の通気口19,20は、縦長のスリット状であり、左右方向に間隔をおいて多数形成してある。室外側壁16の室内側には、上框12の長手方向にスライド自在に設けられ、室外側の通気口19を開閉自在なシャッター21が設けてある。また、中間の縦壁17の室内側には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルター22が設けてある。中空部15の下壁18に設けた通気口6は、内周側に向けて開口して設けてある。
【0014】
内窓2は、図1に示すように、四周の額縁23の内周側面に取付けた上枠24と下枠25及び左右の縦枠と、上下枠24,25間に引違い状に開閉自在に収めた外障子33a及び内障子33bを備えている。枠24,25は樹脂製である。外障子33a及び内障子33bは、複層ガラスよりなる内側ガラス(内側仕切体)26と、内側ガラス26の周囲を囲む樹脂製の框とを有している。外窓1の枠8と内窓2の枠24,25の間には木製の額縁23があるため、外窓1と内窓2とは熱的に分離されている。
上枠24の上部には、換気ブレス27を備えている。換気ブレス27は、室外側と室内側の見付面に多数の通気孔28を設け、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5が設けてある。室内側通気部5の室内側には、埃や花粉等の侵入を防ぐフィルター29が設けてある。
【0015】
本窓は、樹脂製の枠及び框と複層ガラスを用いた内窓2を設けたことに加え、外窓1の室外側通気部4と中間層3と内窓2の室内側通気部5を通じて室内外を空気が流れることで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、より一層の断熱効果を発揮する。
冬期の場合について説明すると、換気扇等により室内を負圧に調整し、図1に示すように、本窓を空気が室外から室内に向けて流れるようにする(図中の矢印は、空気の流れを示す)。外窓1の通気部4から流入した冷たい空気(外気)は、室外側通気部4室内側の通気口6が内周側に向けて開口して設けてあることで、外窓1の外側ガラス14の室内側面に沿うように下向きに流出する。その後、冷たい空気はコールドドラフトにより中間層3の下まで流れてから折り返し、内窓2の内側ガラス26から室内の熱が伝わることで暖められ、内側ガラス26の室外側面に沿って上昇し、この間に内側ガラス26から室外に逃げる熱を空気の流れによって回収する。その後、暖められた空気は内窓2上部の室内側通気部5を通って室内に流入する。空気が室内側通気部5を通過する際にも、室内の熱で暖められた換気ブレス27や上枠24の熱を空気の流れによって回収する。そうして暖められた空気を室内に取り入れることで、回収した熱を室内に戻すことができる。
このように、中間層3内を外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室内に戻すことで、室内から室外への熱の損失がほとんどなくなるので、非常に高い断熱性が得られる。また、外気を暖めて室内に採り込めるので、室内に居る人が冷たい風を感じることがなく、暖房効率も良い。
本窓は、外窓1の室外側通気部4の室内側の通気口6を内周側に向けて開口して設けたことで、中間層3に整流板やブラインド等を設けて中間層3内を仕切らなくても、外窓1の通気部4から出る空気の流れを下向きにして、中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
【0016】
夏期には、換気扇等により室内を正圧に調整し、冬期とは逆に室内から室外に空気が流れるようにする。室内の空気の温度は室外よりも低いので、内窓2の室内側通気部5から出た空気は内側ガラス26の室外側面に沿って下向きに流れ、その後、中間層3の下部で折り返し、外窓1の外側ガラス14等の熱が伝わることで外窓1の外側ガラス14の室内側面に沿って上昇し、この間に外側ガラス14を通じて室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。その後、外窓1の室外側通気部4を通って空気が室外に放出される。空気が室外側通気部4を通過する際、上框12を伝って室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。そして、空気が室外に放出されることで、外側ガラス14や上框12から回収した熱を室外に捨てる。このように室外から室内に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室外に捨てることで、空気が流出する方向とは逆方向である室外側から室内側への熱輸送が妨げられ、優れた断熱効果を発揮して、室内が涼しく保たれる。
【0017】
図3は、外窓1の障子9a,9bの上框12の他の実施形態を示している。本実施形態は、上框12の室外側壁16と室内側壁30とに通気口19,20を設けると共に、室内側壁30の室内側にカバー31を設けることで、室外側通気部4の室内側の通気口6を内周側に向けて開口して設けている。本実施形態によっても、図2の実施形態と同様に、外窓1の通気部4から出る空気の流れを下向きにし、中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
【0018】
図4は、本発明の窓の第2実施形態を示している。本実施形態は、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5の室外側にフィン38を垂直に垂下して設けることで、室外側通気部5の室外側の通気口7を内周側に向けて開口して設けてある。
このようにすると、冬期において内側ガラス26の室外側面に沿って上昇した空気が室外側に逆流するのを防ぎ、スムーズに室内側通気部5より室内に導くことができる。また、夏期において室内側から室外側に空気を流す際に、室内側通気部5から中間層3へと流れる空気を、内側ガラス26の室外側面に沿うように下向きにできるので、冬期と同様に中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる(なお、空気の流れる向きは、冬期とは逆になる。)。
【0019】
図5は、本発明の窓の第3実施形態を示している。本実施形態は、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5の室外側にカバー32を設けることで、室内側通気部5の室外側の通気口7を内周側に向けて開口して設けてある。
このようにすると、冬期において内側ガラス26の室外側面に沿って上昇した空気が室外側に逆流するのを防ぎ、スムーズに室内側通気部5より室内に導くことができる。また、夏期においては、室内側通気部5から中間層3へと流れる空気を、内側ガラス26の室外側面に沿うように下向きにできる。
【0020】
図6は、本発明の窓の第4実施形態を示している。内窓2は、フレーム(枠又は框、図示のものは上框34)に中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5が設けてあり、室内側通気部5の室外側の通気口7は、フレーム34のガラス支持部室外側の内周側の見込面に形成してある。すなわち本実施形態は、内窓2の上枠24に換気ブレス27を設けずに、内窓2の障子33a,33bの上框34に室内側通気部5を設けてあり、室内側通気部5の室外側にカバー片35を設けることで、室内側通気部5の室外側の通気口7を内周側に向けて開口して設けてある。
本実施形態によっても、図4の実施形態と同様に、冬期において内側ガラス26の室外側面に沿って上昇した空気が室外側に逆流するのを防ぎ、スムーズに室内側通気部5より室内に導くことができる。また、夏期においては、室内側通気部5から中間層3へと流れる空気を、内側ガラス26の室外側面に沿うように下向きにできる。上枠24の換気ブレス27を無くしたことで、採光面積を広くできる。
【0021】
図7は、本発明の窓の第5実施形態を示している。本実施形態は、外窓1の上枠10のアングル36を内周側に延長して、上框12が室内側から見て見えないように隠し框にしている。上框12には、室外側通気部4が室内外方向に連通して設けてあり、室外側通気部4の室内側の通気口20の室内側に対向してアングル36の見付壁37が位置している。
冬期において、外窓1の室外側通気部4から流入した空気は、アングル36の見付壁37に当たることで下向きに向きを変えて流れ、これにより中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
窓に日射を受ける場合には、見付壁37の室外側の空間に日射により暖められた温かい空気が溜まるが、冬期にはその温かい空気を室内に取り入れることになるので、暖房負荷を抑える効果が高められる。また、夏期には、見付壁37の室外側の空間に溜まる温かい空気を室外に排出することになるので、冷房負荷を抑える効果が高められる。
【0022】
図8は、本発明の窓の第6実施形態を示している。本実施形態は、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5の室外側にフィン38を垂直に垂下して設けることで、室内側通気部5の室外側の通気口7を内周側に向けて開口して設けてある。
このようにすると、冬期において内側ガラス26の室外側面に沿って上昇した空気が室外側に逆流するのを防ぎ、スムーズに室内側通気部5より室内に導くことができる。また、夏期において室内側から室外側に空気を流す際に、室内側通気部5から中間層3へと流れる空気を、内側ガラス26の室外側面に沿うように下向きにできるので、冬期と同様に中間層3内に外窓1と内窓2に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
【0023】
図9は、本発明の窓の第7実施形態を示している。本実施形態は、外窓1の上枠10のアングル36を内周側に延長することで、上框12が室内側から見て見えないように隠し框にするとともに、額縁23に溝38を形成して凹型にすることで、内窓2の上框34も室内側から見て見えないように隠し框にしている。
冬期において、外窓1の室外側通気部4から流入した空気は、アングル36の見付壁37に当たることで下向きに向きを変えて流れ、外側ガラス14の内側面に沿って下降し、また、内側ガラス26の外側面に沿って上昇した空気は、溝38の室外側面38aと上枠24の間を通り内窓2の室内側通気部5へと導かれ、室内側通気部5から出た空気は、溝38の室内側面38bにガイドされて内周側に向けて流出する。
夏期においても、内窓2の室内側通気部5から中間層3に流出する空気は、溝38の室外側面38aにガイドされて内周側に向けて流出する。
このように、本実施形態によれば、冬期と夏期のいずれの使用状態においても、中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。外窓1及び内窓2の上框12,34を隠し框にしたことで、窓の内観意匠がすっきりしたものになり、採光面積を大きくできる。
【0024】
図10は、本発明の窓の第8実施形態を示している。本実施形態は、外窓1の上枠10のアングル36を内周側に延長することで、上框12が室内側から見て見えないように隠し框にするとともに、額縁23をL型にすることで、内窓2の上框34の内周側縁が外窓1の上框12の内周側縁と同じ高さになるように、内窓2の上枠24を外周側にオフセットしている。
冬期において、外窓1の室外側通気部4から流入した空気は、アングル36の見付壁37に当たることで下向きに向きを変えて流れ、外側ガラス14の内側面に沿って下降し、また、内側ガラス26の外側面に沿って上昇した空気は、額縁23の垂下部39と上枠24の間を通り内窓2の室内側通気部5へと導かれる。
夏期においても、内窓2の室内側通気部5から中間層3に流出する空気は、額縁23の垂下部39にガイドされて内周側に向けて流出する。
このように、本実施形態によれば、冬期と夏期のいずれの使用状態においても、中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
【0025】
図11は、本発明の窓の第9実施形態を示している。本実施形態は、ダブルスキンのカーテンウォールに適用したものであって、躯体開口部に設置した外窓1と内窓2を備え、外窓1には外側ガラス14が、内窓2には内側ガラス26がそれぞれ取付けてある。外窓1の上枠10には室内外方向に連通する室外側通気部4を有し、内窓2の上枠24には室内外方向に連通する室内側通気部5を有している。外窓1の上枠10の室外側通気部4の室内側には、躯体40を隠すように取付けたカバーの垂れ壁41が対向して位置している。
冬期において、外窓1の室外側通気部4から流入した空気は、垂れ壁41に当たることで下向きに向きを変えて流れ、これにより中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
【0026】
図12,13は、本発明の窓の第10実施形態を示している。本窓は、単体サッシに適用したものであって、躯体開口部に取付けられる一つの枠43と、枠43内の室外側位置に嵌め殺し状態で取付けた外側ガラス14と、枠43内の室内側位置に開閉自在に取付けた障子44とを備える。
枠43は、上枠45と下枠46と左右の縦枠47,47とを四周枠組みして構成されている。
障子44は、上框48と下框49と左右の縦框50,50とを四周框組みし、その内側に内側ガラス26を嵌め込んで形成してある。障子44は、上枠45と上框48間、下枠46と下框49間に設けたステー51により、室内側にたてすべり出し式に開くようになっている。
【0027】
上枠45は、上枠本体52と、上枠本体52の室外側に取付けた上枠カバー53と、上枠本体52の室内側に取付けた樹脂カバー54とを有している。上枠本体52は、アルミ形材よりなる室外側部52aと室内側部52bとを樹脂製の断熱ブリッジ55,55で連結して構成してあり、室外側部52aと室内側部52bはそれぞれ中空部56,57を有している。室外側の中空部56は、室内側の中空部57より外周側に位置している。
室外側の中空部56の内周側壁には、中間層3に通じる通気口58aが内周側に向けて開口して設けてあり、その通気口58aの下方の室外側及び室内側に見付壁59a,59bが設けてあり、室内側の見付壁59bの下部に整流体60が垂下して設けてある。室外側の中空部56の室外側壁には、通気口58bが設けてある。室内側の中空部57の内周側壁と室内側壁にも通気口58c,58dが設けてある。
上枠カバー53は、アルミ形材で形成してあり、上枠本体52の室外側に取付けて上枠本体52の室外側壁の通気口58bを覆っている。上枠カバー53は、上下方向の中間部に設けた横壁61に、室外に通じる通気口58eが下向きに開口して設けてあり、当該通気口58eには虫の侵入を防ぐために網62が取付けてある。上枠カバー53は、通気口58eの室外側に垂下片63が設けてある。
樹脂カバー54は、樹脂形材で形成してあり、上枠本体52の室内側に取付けて上枠本体52の室内側の通気口58dを覆っている。樹脂カバー54には、室内外方向に連通する通気口58fが設けてあり、通気口58fにはフィルタ64が取付けてある。
【0028】
本窓は、図12に示すように、上枠カバー53の通気口58eと、上枠本体52の室外側の中空部56に形成した通気口58b,58aとにより、室外空間から中間層3に連通する室外側通気部4が形成されている。室外側通気部4の室内側の通気口58aが内周側に向けて開口して設けてあるので、空気を室外から室内に流すときに室外側通気部4から流入する空気は、外側ガラス14の内側面に沿うように下向きに流れる。さらに、通気口58aの下方に見付壁59a,59bと整流体60を設けてあるので、より確実に空気を下向きに流すことができる。また、整流体60が設けてあることで、内側ガラス26の外側面に沿って上昇した温かい空気が、室外側通気部4から流入する冷たい空気と混ざるのを防ぐことができる。また、室外側通気部4の室外側の通気口58eが下向きに開口して設けてあり、且つ通気口58eの室外側に垂下片63が設けてあることで、室外側通気部4からの雨水の浸入を防止できる。
また本窓は、上枠本体52の室内側の中空部57に形成した通気口58c,58dと、樹脂カバー54に形成した通気口58fとにより、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5が形成されている。室内側通気部5の室外側の通気口58cが内周側に向けて開口してに設けてあることで、空気を室内から室外に流すときに室内側通気部5から中間層3に流出する空気は、内側ガラス26の外側面に沿うように下向きに流れる。
このように本実施形態の窓も、他の実施形態と同様に、中間層3内に外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
【0029】
図14は、本発明の窓の第11実施形態を示している。本実施形態は、中間層3に整流体としてブラインド65が取付けてある。
ブラインド65は、上枠45の室外側の中空部56と室内側の中空部57の間の熱伝導遮断位置(断熱ブリッジ55)に取付けてある。ブラインド65の下端と下枠46の内周側面との間には、隙間が設けてある。
【0030】
このように、中間層3に整流体としてブラインド65を設置した場合も、板状の整流体60を設置した場合と同様に、中間層3内の空気の流れを外側ガラス14の内側面と内側ガラス26の外側面に沿うように迂回させることができる上、中間層3を室内外に仕切って外側ガラス14の内側面に沿う空気の流れと内側ガラス26の外側面に沿う空気の流れとが混ざらないようにすることができる。
ブラインド65は、上枠45の熱伝導遮断位置(断熱ブリッジ55)の内周側に設けてあることで、ブラインド65上部の結露が抑えられる。
【0031】
以上に述べたように本窓(図1,2,3,4,12,14に記載のもの)は、外側ガラス14と内側仕切体(内側ガラス)26とを備え、室外空間から外側ガラス14と内側仕切体26の間の中間層3に連通する室外側通気部4と、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5を有し、室外空間から中間層3に連通する室外側通気部4は、室外側通気部4の室内側の通気口6,58aが内周側に向けて開口して設けてあり、室外と連通して外側ガラス14の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層3の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体26の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体26の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層3の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラス14の内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
【0032】
本窓(図4,5,6,8,12,14に記載のもの)は、外側ガラス14と内側仕切体(内側ガラス)26とを備え、室外空間から外側ガラス14と内側仕切体26の間の中間層3に連通する室外側通気部4と、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5を有し、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5は、室内側通気部5の室外側の通気口7,58cが内周側に向けて開口して設けてあり、室外と連通して外側ガラス14の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層3の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体26の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体26の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層3の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラス14の内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
【0033】
本窓(図7~11に記載のもの)は、外側ガラス14と内側仕切体(内側ガラス)26とを備え、室外空間から外側ガラス14と内側仕切体26の間の中間層3に連通する室外側通気部4と、中間層3から室内空間に連通する室内側通気部5を有し、室外空間から中間層3に連通する室外側通気部4の室内側の通気口20の室内側に対向して見付壁37,41が位置しており、見付壁37,41により空気の流れを外側ガラス14の内周側に沿わせてあり、室外と連通して外側ガラス14の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層3の端部付近で折り返し、室内と連通して内側仕切体26の外側面に沿って他方向に空気が流れることで、室内から室外に逃げる熱を回収し、室内と連通して内側仕切体26の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層3の端部付近で折り返し、室外と連通して外側ガラス14の内側面に沿って他方向に空気が流れることで、室外から室内に入ってくる熱を室外に捨てることで、窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。なお、図7及び図11に記載のもので、空気を室内から室外に向けて流す場合には、室内側通気部5から中間層3に流出する空気の流れを内周側に向けるための整流体(図8のフィン38参照)を備えることが好ましい。
【0034】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。外窓と内窓の形態は任意であり、引違い窓に限らず、嵌め殺し窓や開き窓等であってもよい。外窓及び内窓の納まりは、適宜変更することができる。また、外窓と内窓を備える二重窓に限らず、一つの枠に外側ガラスと内側ガラスを支持した単体サッシであってもよい。
室外空間から中間層に連通する室外側通気部、中間層から室内空間に連通する室内側通気部はどこに形成してあってもよく、例えば縦枠や下枠に設けてあったり、上框と上枠との隙間を通気部とし、その隙間から空気が流入・流出するものであってもよい。通気口の具体的な形状は問わない。外窓と内窓の枠は、一体に形成してあってもよい。
内側仕切体は、中間層と室内空間とに仕切るものであればよく、内側ガラスの他、カーテン、ロールスクリーン、障子等であってもよい。
請求項1~3中の「中間層の端部付近で折り返し」には、例えば、枠内に障子を設けた単体サッシの場合に、空気が内周側フレーム(下框)の内部で折り返すもの、内周側フレーム(下框)と外周側フレーム(下枠)との間で折り返すもの、外周側フレーム(下枠)内で折り返すもののいずれも含まれる。
本発明の窓は、空気が流れる向きが室外から室内だけのもの、室内から室外だけのもの、室外から室内と室内から室外の両方向に空気が流れるものの何れであってもよい。本発明は、新築の建物に外窓と内窓を新たに設置する場合の他、既存の単体のサッシ(外窓)が取付けられた窓に、後から内窓を増設して二重窓とする場合にも適用でき、既存の外窓を利用することで、コストが抑えられる。
【符号の説明】
【0035】
1 外窓
2 内窓
3 中間層
4 室外側通気部
5 室内側通気部
14 外側ガラス
26 内側ガラス(内側仕切体)
6,7,20,58a,58c 通気口
37 見付壁
41 垂れ壁(見付壁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14