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特許7337051オメガ形状補強材の三次元織物プリフォーム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】オメガ形状補強材の三次元織物プリフォーム
(51)【国際特許分類】
   D03D 11/00 20060101AFI20230825BHJP
   D03D 3/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
D03D11/00 Z
D03D3/00
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020520536
(86)(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054938
(87)【国際公開番号】W WO2019074881
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/571,467
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリング,ジョナサン
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0376735(US,A1)
【文献】特表2013-521209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
B29B 15/08 - 15/14
C08J 5/04 - 5/10
C08J 5/24
D03D 1/00 - 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D織物補強材を形成する方法であって、
織り合わされた縦繊維および横繊維の複数の層を、平織りするステップと、
前記層のうちのいくつかの部分を他の層と織り合わせ、キャップ部、第1のウェブ部および第2のウェブ部、第1の足部および第2の足部、ならびに内部ラップ部を有する、平織りされた織地にするステップと、
内部空間を有するオメガ形状補強材を形成するように前記平織りされた織地を形成するステップと
を含み、
少なくともいくつかの前記横繊維は、前記ウェブ部と前記足部との間の接合部にわたって連続し、
前記層のうちのいくつかの部分を他の層と織り合わせるステップは、前記キャップ部に、互いに対して折られた2つのキャップ領域を持たせ、かつ前記内部ラップ部に、互いに対して折られた2つの内部ラップ領域を持たせるステップを含む、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記補強材の前記内部空間は閉じられている、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記2つのキャップ領域が実質的に同一直線上になるよう、前記キャップ領域を展開し、かつ前記内部ラップ領域が実質的に同一直線上になるよう、前記2つの内部ラップ領域を展開するステップを含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法において、前記層のいくつかの部分を他の層と織り合わせるステップは、前記キャップ部に第1のキャップ領域および第2のキャップ領域を持たせるステップを含み、前記キャップ領域の各々は、前記キャップ部の所望の厚さ未満の厚さを有し、
前記第1のキャップ領域は、前記第1のウェブ部に織られ、前記第2のキャップ領域は前記第2のウェブに織られ、前記第1および第2のキャップ領域は、互いから離隔される、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記第1のキャップ領域が前記第2のキャップ領域の上に直接置かれて前記織物補強材の前記キャップ部を形成するよう、前記第1のキャップ領域を伴う前記第1のウェブ部を形成するステップ、および前記第2のキャップ領域を伴う前記第2のウェブ部を形成するステップを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記補強材の前記内部空間は開かれている、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、前記内部ラップ部は、第1の内部ラップ領域と、隣接する第2の内部ラップ領域とを有する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第1の内部ラップ領域および前記第2の内部ラップ領域を、実質的に同一直線上になるよう形成するステップと、
前記第1および第2の内部ラップ領域の一部を切断して、前記第1の内部ラップ領域と前記第2の内部ラップ領域との間に間隙を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
【請求項15】
3D織物補強材であって、
織り合わされた縦繊維および横繊維の複数の層を備え、
前記層のいくつかは、キャップ部、第1のウェブ部および第2のウェブ部、第1の足部および第2の足部、ならびに内部ラップ部を有する織られた織地になるように、他の層と織り合わされおり、
少なくともいくつかの前記横繊維は、前記ウェブ部と前記足部との間の接合部にわたって連続し、
前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、
補強材。
【請求項16】
請求項15に記載の補強材において、内部空間は閉じられている、補強材。
【請求項17】
請求項15に記載の補強材において、内部空間は開かれている、補強材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、三次元織物プリフォーム、およびその製造方法に関する。特に、織物プリフォームは実質的に平面のパネルの補強材として使用され得る。
【背景技術】
【0002】
構造用構成材を生成するための、補強された複合材料の使用は現在、特に、軽量性、強度、耐久性、熱抵抗性、自立性、ならびに形成および形付けるための適応性において、望ましい特性が求められる用途に広く普及している。このような構成材は、例えば航空、航空宇宙、衛星、娯楽(レーシングボートおよびレーシングカーなど)、および他の用途に使用される。
【0003】
通常、このような構成材は、マトリックス材に埋め込まれた補強材から成る。補強構成材は、ガラス、炭素、セラミック、アラミド、ポリエチレン、ならびに/または、所望の物理特性、熱特性、化学特性、および/もしくは応力破壊に対する大きい強度を含む他の特性を呈する、他の材料から作られ得る。最終的には完成した構成材の組成要素となる、このような補強材の使用を介して、非常に高い強度などの補強材にとって望ましい特性は、完成した複合構成材に与えられる。通常、組成補強材は、補強プリフォームのための所望の構成および形状に、織られるか、編まれるか、または方向付けられ得る。一般に、組成補強材が選択されるための特性を、確実に最適に利用することに特に注意が払われる。一般に、このような補強プリフォームは、マトリックス材と組み合わされて所望の完成構成材を形成するか、または完成構成材を最終的に製作するための通常在庫を生成する。
【0004】
所望の補強プリフォームが構築された後、マトリックス材がプリフォームの中に導入されてよく、通常はそれによって補強プリフォームはマトリックス材の中に包まれ、マトリックス材は、補強プリフォームの組成要素の間の隙間領域を満たす。マトリックス材は、エポキシ、ポリエステル、ビスマレイミド、ビニルエステル、セラミック、炭素、ならびに/または、やはり所望の物理特性、熱特性、化学特性、および/もしくは他の特性を呈する他の材料など、広く様々な任意の材料とすることができる。
【0005】
マトリックスとして使用するために選択した材料は、補強プリフォームの材料と同じであってもよく、または同じでなくてもよく、同等の物理特性、化学特性、熱特性、もしくは他の特性を有してもよく、または有しなくてもよい。しかし通常、それらは同じ材料ではなく、または同等の物理特性、化学特性、熱特性、もしくは他の特性を有さない。なぜなら、複合材料の使用で求められる一般的な目的の第1番目は、1つの組成材のみの使用では得られない特性の組合せを、最終製品に実現することだからである。そのように組み合わせることで、補強プリフォームおよびマトリックス材は、熱硬化または他の公知の方法によって同じ工程で硬化かつ安定化され、次に所望の構成材を生成するための他の工程にかけられる。硬化後に、マトリックス材の凝固した塊は、一般に補強材(例えば補強プリフォーム)に強く接着することに留意することは重要である。その結果、最終構成材における応力は、特に繊維間の接着剤として作用するマトリックス材を通して、補強プリフォームの組成材に効果的に伝えられ、かつ支えられる。
【0006】
比較的平坦な複合パネルは、航空機、航空宇宙産業、自動車、および土木構造物を含む、多くの産業での使用が見出される。いくつかの場合、パネルは、構造物が損傷または不要の変形を避ける助けとなる、さらなる剛性を必要とし得る。例えば、機体などの航空機の部分は、通常外側パネルおよび内側パネルを含むパネルから作られる構造である。この外側パネルおよび内側パネルは、互いから離隔され、それらの間にチャネルを形成する。これらのパネルは、パネル間のチャネル内に配設された補強用のフレームまたは補強材によって、機体の内側で補強される。補強用の補強材は、機体セクションの外側パネルに沿って位置付けられ、機体面の長手方向軸に対して実質的に垂直である。補強材は、機体パネルの内側で支持され、それによって外部から加えられる力による外側の機体パネルの変形を軽減させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
3D織物補強材を形成する方法は、織り合わされた縦繊維および横繊維の複数の層を平織りすることと、層のいくつかの部分を他の層と織り合わせ、キャップ部、第1および第2のウェブ部、第1および第2の足部、ならびに内部ラップ部を有する平織りされた織地にすることと、内部空間を有するオメガ形状補強材を形成するように平織りされた織地を形成する/形付けることと、を含む。横繊維の少なくともいくつかは、ウェブ部と足部との間の接合部にわたって連続する。
【0008】
いくつかの実施形態において、補強材の内部空間は閉じられている。
【0009】
閉じられた内部空間を有する実施形態において、層のいくつかの部分を他の層を織り合わせることは、キャップ部に、互いに対して折られた2つのキャップ領域を持たせ、内部ラップ部に、互いに対して折られた2つの内部ラップ領域を持たせることを含む。これらのキャップ領域は、2つのキャップ領域が実質的に同一直線上となるよう折ることができ、2つの内部ラップ領域が実質的に同一線上となるよう展開することができる。
【0010】
閉じられた内部空間を有する別の実施形態において、層のいくつかの部分を他の層と織り合わせることは、第1のウェブ部および第2のウェブ部に、互いに対して折られたそれぞれ2つのウェブ領域を持たせることを含む。第1のウェブ部の第1のウェブ領域は、第1のウェブ部の第1のウェブ領域が実質的に同一直線上となるよう展開することができる。第2のウェブ部の第2のウェブ領域は、第2のウェブ部の第2のウェブ領域が実質的に同一直線上となるよう展開することができる。
【0011】
閉じられた内部空間を有する別の実施形態において、層のいくつかの部分を他の層と織り合わせることは、キャップ部に第1のキャップ領域および第2のキャップ領域を持たせることを含む。キャップ領域の各々は、キャップ部の所望の厚さ未満の厚さを有する。第1のキャップ領域は、第1のウェブ部に織られ、第2のキャップ領域は第2のウェブ領域に織られ、第1および第2のキャップ領域は、互いから離隔される。第1のキャップ領域を伴う第1のウェブ部、および第2のキャップ領域を伴う第2のウェブ部は、第1のキャップ領域が第2のキャップ領域の上に置かれて織物補強材のキャップ部を形成するよう、形成することができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、補強材の内部空間は開かれている。
【0013】
開かれた内部空間を有する実施形態において、内部ラップ部は、第1のウェブ部と、キャップ部と、第2のウェブ部とによって互いに離隔された、第1の内部ラップ領域および第2の内部ラップ領域の中に織られる。第1の内部ラップ領域および第2の内部ラップ領域は、実質的に同一直線上に、かつ間隙によって互いから離隔させて形成することができる。
【0014】
開かれた内部空間を有する別の実施形態において、内部ラップ部は、第1の内部ラップ領域、および隣接する第2の内部ラップ領域を有する。第1の内部ラップ領域および第2の内部ラップ領域は、実質的に同一直線上に形成することができ、第1の内部ラップ領域と第2の内部ラップ領域との間に間隙を形成する。方法は、第1および第2の内部ラップ領域の一部を切断することを含む。
【0015】
任意の実施形態において、キャップ部は、ウェブ部よりも厚くてよく、ウェブ部は足部よりも厚くてよい。
【0016】
任意の実施形態において、オメガ形状補強材には、マトリックス材を詰める/含侵することができる。
【0017】
3D織物補強材は、織り合わされた縦繊維および横繊維の複数の層を有する。層のいくつかは、キャップ部、第1および第2のウェブ部、第1および第2の足部、ならびに内部ラップ部を有する、平織り織地になるように、他の層と織り合わされている。横繊維の少なくともいくつかは、ウェブ部と足部との間の接合部にわたって連続する。補強材の内部空間は、閉じる、または開くことができる。キャップ部はウェブ部よりも厚く、ウェブ部は足部よりも厚くてよい。3D織物補強材には、マトリックス材を詰めることができる。
【0018】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれた添付の図は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。本明細書で提示する図は、本発明の種々の実施形態を例示し、記述と共に本発明の原理を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】オメガ形状補強材を示す図である。
図2】実質的に平行な2枚のパネルの間で補強支持をもたらす、オメガ形状補強材の例示的な使用を示す図である。
図3A】織られた状態のオメガ形状プリフォームの第1の実施形態を示す図である。
図3B】折った後で形付けられた状態の、図3Aのオメガ形状プリフォームを示す図である。
図4A】織られた状態のオメガ形状プリフォームの第2の実施形態を示す図である。
図4B】折った後で形付けられた状態の、図4Aのオメガ形状プリフォームを示す図である。
図5A】織られた状態のオメガ形状プリフォームの第3の実施形態を示す図である。
図5B】折った後で形付けられた状態の、図5Aのオメガ形状プリフォームを示す図である。
図6A】織られた状態のオメガ形状プリフォームの第4の実施形態を示す図である。
図6B】折った後で形付けられた状態の、図6Aのオメガ形状プリフォームを示す図である。
図7A】織られた状態のオメガ形状プリフォームの第5の実施形態を示す図である。
図7B】折った後で形付けられた状態の、図7Aのオメガ形状プリフォームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の用語「備えている(comprising)」および「備える(comprise)」は、「含んでいる(including)」もしくは「含む(include)」を意味することができ、または米国特許法における用語「備える」または「備えている」に通常与えられる意味を有する。特許請求の範囲で使用される場合、用語「~から本質的に成っている(consisting essentially of)」または「~から本質的に成る(consist essentially of)」は、米国特許法においてそれらに帰する意味を有する。本発明の他の態様は、以下の開示で説明され、または以下の開示から(および本発明の範囲内で)明確となる。
【0021】
用語「繊条(thread)」、「繊維(fiber)」、「撚り糸(tow)」、および「紡ぎ糸(yarn)」は、以下の説明において互換可能に使用される。本明細書で使用される「繊条」、「繊維」、「撚り糸」、および「紡ぎ糸」は、モノフィラメント、マルチフィラメント紡ぎ糸、撚り糸、マルチフィラメント撚り糸、テクスチャード紡ぎ糸、網状撚り糸、コーティングされた紡ぎ糸、バイコンポーネント紡ぎ糸、ならびに当業者に知られた任意の材料の牽切繊維から作られた紡ぎ糸を指すことができる。紡ぎ糸は、炭素、ナイロン、レイヨン、繊維ガラス、綿、セラミック、アラミド、ポリエステル、金属、ポリエチレンガラス、および/または所望の物理特性、熱特性、化学特性、もしくは他の特性を呈する他の材料から作られ得る。
【0022】
用語「折られた(folded)」は、本明細書では広義に使用され、「形成する(forming)」を意味し、展開する、曲げる、および織られた織地の形状を扱うための他の用語を含む。
【0023】
本発明、その利点、および使用によって得られる目的をより良好に理解するため、添付の記述を参照する。そこにおいて、非限定の本発明の実施形態が、添付の図に示され、対応する構成材は同じ参照番号で識別される。
【0024】
上述のように、パネルが損傷または不要の変形を避ける助けとなる、さらなる剛性を伴う実質的に平面のパネルを提供することが望まれ得る。このパネルは曲率も有し得る。そうすることで、補強部材は、パネルの所望の箇所を支持するために追加され得る。
【0025】
補強材100の一般的な断面形状が図1に示され、少なくとも1枚の外表面またはパネル102に取り付けられて示される。補強材100は、「ハット補強材」または「オメガ形状補強材」とも称され得る。これらの用語は、本明細書では互換可能に使用される。補強材100は、キャップ部104、足部106a、106b、ウェブ部108a、108b、および内部ラップ部110を含む。内部ラップ部110は、図1では連続的に示されるが、代替として不連続であり得る。すなわち、内部ラップ部は、例えば図5Bに示されるように間隙を有し得る。キャップ部104は、ウェブ部108a、108bによって、足部106a、106bおよび内部ラップ部に連結される。
【0026】
オメガ形状補強材の剛性は、ウェブ部108a、108b、およびキャップ部104によってもたらされる。オメガ形状補強材のさらなる剛性は、足部106a、106b、およびウェブ部108a、108bよりも厚いキャップ部104によってもたらすことができる。ウェブ部108a、108bは、足部106a、106bよりも厚くてよい。
【0027】
「オメガ形状補強材のフランジ」は、足部106a、106b、および任意選択で内部ラップ部110を含む、オメガ形状補強材の部分を意味する。キャップ部、ウェブ部、および内部ラップ部が、全ての辺(側部)で閉じられた補強材の内部空間112を形成する場合、オメガ形状補強材は「閉じられている」と定義される。キャップ部、ウェブ部、および内部ラップ部によって形成された補強材の内部空間112において、全ての辺(側部)が閉じられてはいない場合、オメガ形状補強材は「開かれている」と定義される。例えば、図5Bは、内部ラップ部に間隙がある、補強材の開かれた内部空間を示す。
【0028】
オメガ形状補強材は、そのフランジが接合または当業者に知られている他の装着技術によって外表面に接着され得る場合、外表面から独立して製作することができる。代替として、オメガ形状補強材は、1つまたは複数の外表面と同時に製作されるか、織られるか、または共に形付けられ得る。それによってオメガ形状補強材および外表面は、共通の補強されたアセンブリの一部となる。本明細書は、任意の外表面から独立して自立したオメガ形状補強材を製作するための技術を説明する。
【0029】
オメガ形状補強材は、従来技術の一定方向または織地のプリプレグ層を使用して製作され得る。この製作方法は、補強材の交差接合部にわたる連続的な繊維を有さない。これらの製作技術は、大きな労働力を要し、キャップ部とウェブ部との交差部、ならびにウェブ部および足部においても、薄片に裂けやすい。本開示は、これらの課題に対して、プリプレグの外表面と共に使用するために注入されてBステージ化(すなわち部分的に硬化)されるか、または乾燥織地の外表面を伴う乾燥状態から複数プレフォームに共に注入された三次元(3D)織物プリフォームを使用することを対象とする。
【0030】
図2は、表面に補強支持をもたらすために、オメガ形状補強材を利用した例示的な構造を示す。オメガ形状補強材210a~210eは、パネル222上に位置される。オメガ形状補強材は、表面220を支持するために使用され得る。しかし1つの例において、表面220は飛行機の機体の外側表面、または変形に対する抵抗が望まれる他の表面である。パネル222および表面220は、互いに実質的に平行に示されるが、それは必要な要件ではない。さらに、図2において5つのオメガ形状補強材が示されるが、補強材の用途によって必要に応じて、任意の数が使用され得る。オメガ形状補強材210aの足部206a、206bを、パネル222に接着または装着させることができる。任意選択で、内部ラップ部210を、パネル222に接着または装着させることができる。同様の方法で、残りのオメガ形状補強材210b~210eが、パネル222に取り付けられる。次いで表面220は、オメガ形状補強材210a~210eのキャップ部204a~204e上で支持される。キャップ部204a~204eも、当業者に知られている任意の方法を介して、表面220に接着され得る。オメガ形状補強材は、表面220に加えられた力Fをパネル222に伝えることができ、それによって力による変形に対する表面220の抵抗を助ける。さらに、パネル222と表面220との間のオメガ形状補強材の剛性および量は、加えられた力による変形に対する、表面220の抵抗を強化する。この用途におけるオメガ形状補強材の使用は、表面220の変形を軽減させるために必要な材料の重量を低減させ、いくつかの事例において、構造にわたって断熱および防音を提供することができる。
【0031】
複合材料のための多層織物プリフォームのオメガ形状補強材は、平織りにされ、縦繊維の層における層と層との間の噛み合い、ならびに各層内の繊維の噛み合いを伴う、三次元(3D)形状に折られ得る。
【0032】
本開示は、織物のオメガ形状補強材およびその製造方法のための、いくつかの事前形成コンセプトを確認する。一般的に、開示したオメガ形状補強材は、縦繊維および横繊維から成り、それらは、ウェブ部と足部との間の接合部にわたって連続した繊維を有する、従来技術の方法によって、平織りにされる。平織りにされた補強材は、必要に応じてオメガ形状断面を有するプリフォームに折られる。次にこのプリフォームは形付けられ、マトリックス材を詰められ/含侵されてよい。本開示は、平織りにされた状態(「織られた状態」)の補強材の構成を提供する。織られた状態は、3Dオメガ形状プリフォームに折ることによって形付けられ(「形付けられた状態」)、次にマトリックス材が詰められて、所望のオメガ形状補強材が得られる。
【0033】
開示した構成は、複数の個々の層を有する従来のオメガ形状補強材に対して利点を有し得る。開示した構成は、ウェブ部と足部との間の接合部にわたって連続的な繊維を提供することによって、補強材の引き離し強さを向上させることができる。引き離し強さは、外表面から補強材を引き離すために要する力である。開示した技術は、多くの個々の層を、単一の複数層のプリフォームに取り替えることにより、必要な接触労働量も軽減させることができる。
【0034】
さらに、平織りにされた織地を、織られた後で内部空間においてマンドレルの周りに形成する(形付ける)ことができる。内部空間に配設されたマンドレルは、後続の取り扱いを通して、補強材の内部空間の形状を維持する助けとなる。これは、詰められる/含侵時まで織地が補強材の形状を形成しないので、有利である。したがって織地を、より容易に取り扱うことができる。なぜなら、マンドレルが内部空間の形状を維持するので、最終的な所望のプリフォームの補強材形状を維持することを心配する必要がないからである。従来技術の設計は、織地が織られる間に、マンドレルの所望の形状の周りに織地を巻くことによって、補強材の形状を形成する。これは、詰める/含侵前において織地が形状を維持するよう、注意深い取り扱いが要求され、不利である。
【0035】
開かれた内部空間、および閉じられた内部空間の両方で、オメガ形状補強材は、実質的に平坦または湾曲したプレートを補強するために、有用となり得る。閉じられた内部空間のオメガ形状補強材で、補強材の所望の長さが長くなるほど、開かれた内部空間構成と比較して、閉じられた内部空間にマンドレルを挿入することが、より困難となり得る。対照的に、補強材の長さが長くなるほどマンドレルの周りに簡単に巻くことができる、開かれた内部空間構成は、閉じられた構成の補強材よりも製作が容易である。したがって、長い補強材に対して、開かれた構成の補強材は、閉じられた内部空間の補強材よりも好適となり得る。
【0036】
開かれた内部空間の補強材は、閉じられた内部空間の補強材よりも、より高い製造率に対しても、より良好に適応され得る。開かれた構成の補強材におけるフランジは、外表面上に位置され、マンドレルは単純にその頂部に配置される。次にウェブおよびキャップはマンドレルの周りに巻かれ、補強材が完成する。この構成は、キャップを作る2つの重複する層の間の空間をもたらすという、さらなる利点を有する。追加の層をこの空間の中に挿入して、必要に応じて剛性を増加させることができる。
【0037】
補強材は、「ほぼネット形状に」織ることができる。これは、アイテムの最初の製作が、最終形またはネット形状に非常に似ている製造技術であり、そのため表面仕上げまたは別の仕上げの必要性を軽減させる。本開示に適用されたように、織地は、大きいサイズに織ってから不要な材料を切断するのではなく、ほぼ最終形状に織られてよく、かつ全てのエッジ部が安定するよう取り込み式シャトル織機で織られ得る。シャトル織機の使用は必要要件ではないが、レピア織機または針編み織機などの他の選択肢と比較すると、費用効率が高い選択であると考察され得る。使用する織機のタイプに関わらず、プリフォームは、補強材の長手方向は織機の縦方向となるよう織られる。すなわち、本説明の図は、繊維の横方向にわたる補強材の断面を示しており、補強材の長さは、紙面に入るよう延びる縦方向である。
【0038】
全ての構成において、足、ウェブ、およびキャップの厚さは、異なる糸サイズおよび/または異なる縦糸間隙を使用することによって、独立して調整され得る。同様に、異なる噛み合いパターンをこれらのセクションの各々に使用して、異なる効果的な特性をもたらすことができる。サンプルの織地は、層から層の噛み合いパターンを使用して織られた。直交または角度を付けた噛み合いパターンなど、他の織りの選択肢も使用され得る。
【0039】
図3Aおよび図3Bは、本発明の一実施形態によるオメガ形状補強材の形成を示す。補強材は、織られた状態300aの形状に平織りにされる。織られた状態300aの形状は、キャップ部304、ウェブ部308a、308b、足部306a、306b、および内部ラップ部310を含み、それらは平織りにされ、閉じられた内部空間312を形成する。
【0040】
図3Aおよび図3Bに示された実施形態において、キャップ部304は、2つのキャップ領域304a、304bに分割され、織られた織地の分離層における屈折点Aで互いに対して角度が付けられるよう、平織りにされる。同様に、内部ラップ部310は、2つの内部ラップ領域310a、310bに分割され、織られた織地の分離層における屈折点Bで互いに対して角度が付けられる。閉じられた内部空間312は、内部ラップ領域310a、310bとキャップ領域304a、304bとの間の角度関係を表すために、誇張して示されている。内部ラップ領域310a、310bは、同じ、または異なる長さであってよい。キャップ領域304a、304bは、同じ、または異なる長さであってよい。
【0041】
補強材は単一片で平織りにされているため、横繊維は、少なくともウェブ部と足部との間の接合部にわたって、連続的となる。横繊維は、ウェブ部とキャップ部および/または内部ラップ部との間の接合部にわたっても連続的であってよい。
【0042】
織られた状態300aの形状は、形付けられた状態300のオメガ形状補強材を生成するために折られる。キャップ領域304a、304bは、互いに同一直線上となるよう展開され、キャップ部304を形成する。同様に、内部ラップ領域310a、310bは、互いに同一直線上となるよう展開され、内部ラップ部310を形成する。足部306a、306bは、内部ラップ部と実質的に同一直線上となるよう曲げることができる。このように、オメガ形状補強材は生成される。
【0043】
キャップ部304は、内部ラップ部310よりも長さが短く、内部ラップ部310の上方で中心に置くことができ、それによって、ウェブ部308a、308bは、内部ラップ部に対して角度が付けられる。内部ラップ部とウェブ部との間の一般的な角度は、60~90°の範囲である。脚部(足部)、内部ラップ部、ウェブ部、およびキャップ部自体のうちの任意または全ては、特定部分の厚さを変えるために、多層織地で織り合わせることができることを理解されたい。さらに、より多くの織り合わせた織地層を用いて、キャップ部304をウェブ部308a、308bよりも厚く、さらに、ウェブ部308a、308bを内部ラップ部310よりも厚くすることができる。
【0044】
形付けられた状態のオメガ形状補強材300の実施形態は、閉じられた内部空間312を有する。補強材の取り扱いを容易にするために、内部空間312の形状を有するマンドレル(図示せず)が、形付けられた状態300のオメガ形状補強材の内部空間312の中に導入され得る。マンドレルは、取り扱い中および詰める/含侵する作業中に、補強材を所望のオメガ形状に維持する助けとなり得る。
【0045】
図4Aおよび図4Bは、本発明の別の実施形態によるオメガ形状補強材の形成を示す。補強材は、織られた状態400aの形状に平織りにされる。織られた状態の400a形状は、キャップ部404、ウェブ部408a、408b、足部406a、406b、および内部ラップ部410を含み、それらは平織りにされ、閉じられた内部空間412を形成する。
【0046】
図4Aおよび図4Bに示された実施形態において、ウェブ部408aが2つのウェブ領域408aa、408abに分割され、織られた織地の分離層における屈折点Cで互いに対して角度が付けられるよう、ウェブ部408a、408bは平織りにされる。同様に、ウェブ部408bが、2つのウェブ領域408ba、408bbに分割され、織られた織地の分離層における屈折点Dで互いに対して角度が付けられるよう、ウェブ部408a、408bは平織りにされる。閉じられた内部空間412は、ウェブ領域408aa、408abとウェブ領域408ba、408bbとの間の角度関係を表すために、誇張して示されている。
【0047】
補強材は単一片で平織りにされるため、横繊維は、少なくともウェブ部と足部との間の接合部にわたって、連続的となる。横繊維は、ウェブ部とキャップ部および/または内部ラップ部との間の接合部にわたっても連続的であってよい。
【0048】
織られた状態400aの形状は、形付けられた状態400のオメガ形状補強材を生成するために折られる。ウェブ領域408aa、408abは、互いに同一直線上となるよう展開され、ウェブ部408aを形成する。同様に、ウェブ領域408ba、408bbは、互いに同一直線上となるよう展開され、ウェブ部408bを形成する。足部406a、406bおよびキャップ部404は、必要に応じて形成され(形付けられ)得る。このように、オメガ形状補強材は生成される。
【0049】
キャップ部404は、内部ラップ部410よりも長さが短く、内部ラップ部310の上方で中心に置くことができ、それによって、ウェブ部408a、408bは、内部ラップ部に対して角度が付けられる。内部ラップ部とウェブ部との間の一般的な角度は、60~90°の範囲である。脚部、内部ラップ部、ウェブ部、およびキャップ部自体のうちの任意のものまたは全ては、特定部分の厚さを変えるために、多層織地で織り合わせることができることを理解されたい。さらに、より多くの織り合わせた織地層を用いて、キャップ部404をウェブ部408a、408bよりも厚く、さらに、ウェブ部408a、408bを内部ラップ部410よりも厚くすることができる。
【0050】
形付けられた状態のオメガ形状補強材400のこの実施形態は、閉じられた内部空間412を有する。補強材の取り扱いを容易にするために、内部空間412の形状を有するマンドレル(図示せず)が、形付けられた状態400のオメガ形状補強材の内部空間412の中に導入され得る。マンドレルは、取り扱い中および詰める作業中に、補強材を所望のオメガ形状に維持する助けとなり得る。
【0051】
図5Aおよび図5Bは、本発明の一実施形態によるオメガ形状補強材の形成を示す。補強材は、織られた状態500aの形状に平織りにされる。織られた状態500aの形状は、キャップ部504、ウェブ部508a、508b、足部506a、506b、および内部ラップ部510a、510bを含み、それらは平織りにされる。この実施形態において、内部ラップ部510a、510bは互いに隣接しない。むしろ、足部506aおよび内部ラップ部510aは、ウェブ部508aに装着され、かつウェブ部508aから延びる。同様に、足部506bおよび内部ラップ部510bは、ウェブ部508bに装着され、かつウェブ部508bから延びる。図5Aにおいて、間隙516aは、足部506aが内部ラップ510aと織り合わされていないことを示すために、誇張して示される。同様に、間隙516bは、足部506bが内部ラップ510bと織り合わされていないことを示すために、誇張して示される。
【0052】
補強材は単一片で平織りにされているため、横繊維は、少なくともウェブ部と足部との間の接合部にわたって、連続的となる。横繊維は、ウェブ部とキャップ部および/または内部ラップ部との間の接合部にわたっても連続的であってよい。
【0053】
織られた状態500aの形状は、形付けられた状態500のオメガ形状補強材を生成するために折られる。内部ラップ領域510a、510bは、互いに実質的に同一直線上に折られる。足部506a、506bは、内部ラップ領域と実質的に同一直線上となるよう、折ることができる。内部ラップ領域の長さは、補強材がオメガ形状に折られ、開かれた内部空間512を作り出す場合に、間隙514が生成されるよう選択される。このように、オメガ形状補強材は生成される。
【0054】
内部ラップ領域の長さおよび間隙は、所望の外形のオメガ形状補強材を形成するために選択される。キャップ部504は、内部ラップ領域510a、510bおよび間隙514の累積長さよりも長さが短く、それらの上方で中心に置くことができ、それによって、ウェブ部508a、508bは、内部ラップ部に対して角度が付けられる。内部ラップ部とウェブ部との間の一般的な角度は、60~90°の範囲である。さらに、より多く織り合わされた織地層を用いて、キャップ部504をウェブ部508a、508bよりも厚く、さらに、ウェブ部508a、508bを内部ラップ部510よりも厚くすることができる。
【0055】
形付けられた状態のオメガ形状補強材500のこの実施形態は、開かれた内部空間512を有する。補強材の取り扱いを容易にするために、内部空間512の形状を有するマンドレル(図示せず)が、形付けられた状態500のオメガ形状補強材の内部空間512の中に導入され得る。マンドレルは、取り扱い中および詰める作業中に、補強材を所望のオメガ形状に維持する助けとなり得る。
【0056】
図6Aおよび図6Bは、本発明の一実施形態によるオメガ形状補強材の形成を示す。補強材は、織られた状態600aの形状に平織りにされる。織られた状態600aの形状は、キャップ部604、ウェブ部608a、608b、足部606a、606b、および内部ラップ領域610a、610bを有する内部ラップ部を含み、それらは平織りにされる。
【0057】
この実施形態において、内部ラップ領域610a、610b、および足部606a、606bは、互いに隣接して織られ、平織りにされた補強材600aの第1の層を形成する。ウェブ部608a、608bは、互いに対して連続的に織られ、かつキャップ部604によって互いから離隔され、平織りにされた補強材600aの第2の層を形成する。第1および第2の層は、ウェブ部の端部が、それぞれ内部ラップ部と脚部との接合部616a、616bと接続する箇所に装着される。第1および第2の層は、それ以外では織り合わされない。
【0058】
むしろ、足部606aおよび内部ラップ領域610aは、ウェブ部608aに装着され、かつウェブ部608aから延びる。同様に、足部606bおよび内部ラップ領域610bは、ウェブ部608bに装着され、かつウェブ部608bから延びる。
【0059】
補強材は単一片で平織りにされているため、横繊維は、少なくともウェブ部と足部との間の接合部にわたって、連続的となる。横繊維は、ウェブ部とキャップ部および/または内部ラップ部との間の接合部にわたっても連続的であってよい。
【0060】
織られた状態600aの形状は、形付けられた状態600のオメガ形状補強材を生成するために折られる。内部ラップ領域610a、610bは、互いに実質的に同一直線上に折られる。足部606a、606bは、内部ラップ領域と実質的に同一直線上となるよう、折ることができる。間隙614は、内部ラップ部610から一片を切り取ることによって生成され、開かれた内部空間612を形成する。このように、オメガ形状補強材は生成される。
【0061】
内部ラップ部および間隙の長さは、所望の外形のオメガ形状補強材を形成するために選択される。キャップ部604は、内部ラップ部610a、610bおよび間隙614の累積長さよりも長さが短く、それらの上方で中心に置くことができ、それによって、ウェブ部608a、608bは、内部ラップ部に対して角度が付けられる。内部ラップ部とウェブ部との間の一般的な角度は、60~90°の範囲である。脚部、内部ラップ部、ウェブ部、およびキャップ部自体のうちの任意のものまたは全ては、特定部分の厚さを変えるために、多層織地で織り合わせることができることを理解されたい。さらに、より多く織り合わせた織地層を用いて、キャップ部604をウェブ部608a、608bよりも厚く、さらに、ウェブ部608a、608bを内部ラップ部610よりも厚くすることができる。
【0062】
形付けられた状態のオメガ形状補強材600の実施形態は、開かれた内部空間612を有する。補強材の取り扱いを容易にするために、内部空間612の形状を有するマンドレル(図示せず)が、形付けられた状態600のオメガ形状補強材の内部空間612の中に導入され得る。マンドレルは、取り扱い中および詰める作業中に、補強材を所望のオメガ形状に維持する助けとなり得る。
【0063】
図7Aおよび図7Bは、本発明の別の実施形態によるオメガ形状補強材の形成を示す。補強材は、織られた状態700aの形状に平織りにされる。織られた状態700aの形状は、キャップ部704、ウェブ部708a、708b、足部706a、706b、および内部ラップ部710を含み、それらは平織りにされ、閉じられた内部空間712を形成する。
【0064】
図7Aおよび図7Bに示された実施形態において、キャップ部704は、2つのキャップ領域704a、704bを有するよう、平織りにされる。キャップ領域704a、704bの各々は、キャップ部704の所望の厚さ未満となるよう織られる。キャップ領域704a、704bは、それぞれのウェブ部708a、708bに織られるが、互いに離隔される。補強材は単一片で平織りにされているため、横繊維は、少なくともウェブ部と足部との間の接合部にわたって、連続的となる。横繊維は、ウェブ部とキャップ部および/または内部ラップ部との間の接合部にわたっても連続的であってよい。
【0065】
織られた状態700aの形状は、形付けられた状態700のオメガ形状補強材を生成するために折られる。ウェブ部708a、708b、およびキャップ領域704a、704bは折られ、キャップ領域を互いに上下に置き、キャップ部704を形成する。キャップ領域704a、704bの厚さは結合して、所望の厚さを有するキャップをもたらす。キャップ領域は、任意の公知の方法により、互いに接触する箇所716で共に接合され得る。このように、オメガ形状補強材は生成される。
【0066】
キャップ部704は、内部ラップ部710よりも長さが短く、内部ラップ部710の上方で中心に置くことができ、それによって、ウェブ部708a、708bは、内部ラップ部に対して角度が付けられる。内部ラップ部とウェブ部との間の一般的な角度は、60~90°の範囲である。脚部、内部ラップ部、ウェブ部、およびキャップ部自体のうちの任意のものまたは全ては、特定部分の厚さを変えるために、多層織地で織り合わせることができることを理解されたい。さらに、より多くの織地層を用いて、キャップ部704をウェブ部708a、708bよりも厚く、さらに、ウェブ部708a、708bを内部ラップ部710よりも厚くすることができる。
【0067】
形付けられた状態のオメガ形状補強材700のこの実施形態は、閉じられた内部空間712を有する。補強材の取り扱いを容易にするために、内部空間712の形状を有するマンドレル(図示せず)が、形付けられた状態700のオメガ形状補強材の内部空間712の中に導入され得る。マンドレルは、取り扱い中および詰める作業中に、補強材を所望のオメガ形状に維持する助けとなり得る。
【0068】
オメガ形状補強材の任意の実施形態において、補強材にマトリックス材を詰めることができる。マトリックス材として、エポキシ、ビスマレイミド、ポリエルテル、ビニルエステル、セラミック、炭素、および他のこのような材料が挙げられる。
【0069】
<付記>
[形態1]
3D織物補強材を形成する方法であって、
織り合わされた縦繊維および横繊維の複数の層を、平織りするステップと、
前記層のうちのいくつかの部分を他の層と織り合わせ、キャップ部、第1のウェブ部および第2のウェブ部、第1の足部および第2の足部、ならびに内部ラップ部を有する、平織りされた織地にするステップと、
内部空間を有するオメガ形状補強材を形成するように前記平織りされた織地を形成するステップと
を含み、
少なくともいくつかの前記横繊維は、前記ウェブ部と前記足部との間の接合部にわたって連続する、方法。
[形態2]
形態1に記載の方法において、前記補強材の前記内部空間は閉じられている、方法。
[形態3]
形態2の方法において、前記層のうちのいくつかの部分を他の層と織り合わせるステップは、前記キャップ部に、互いに対して折られた2つのキャップ領域を持たせ、かつ前記内部ラップ部に、互いに対して折られた2つの内部ラップ領域を持たせるステップを含む、方法。
[形態4]
形態3に記載の方法において、前記2つのキャップ領域が実質的に同一直線上になるよう、前記キャップ領域を展開し、かつ前記内部ラップ領域が実質的に同一直線上になるよう、前記2つの内部ラップ領域を展開するステップを含む、方法。
[形態5]
形態4に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
[形態6]
形態4に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
[形態7]
形態2の方法において、前記層のうちのいくつかの部分を他の層と織り合わせるステップは、前記第1のウェブ部に、互いに対して折られた2つの第1のウェブ領域を持たせ、かつ前記第2のウェブ部に、互いに対して折られた2つの第2のウェブ領域を持たせるステップを含む、方法。
[形態8]
形態7に記載の方法において、前記第1のウェブ部の前記第1のウェブ領域が実質的に同一直線上になるよう、前記第1のウェブ部の前記第1のウェブ領域を展開するステップと、
前記第2のウェブ部の前記第2のウェブ領域が実質的に同一直線上になるよう、前記第2のウェブ部の前記第2のウェブ領域を展開するステップと
を含む、方法。
[形態9]
形態8に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
[形態10]
形態8に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
[形態11]
形態2に記載の方法において、前記層のいくつかの部分を他の層と織り合わせるステップは、前記キャップ部に第1のキャップ領域および第2のキャップ領域を持たせるステップを含み、前記キャップ領域の各々は、前記キャップ部の所望の厚さ未満の厚さを有し、
前記第1のキャップ領域は、前記第1のウェブ部に織られ、前記第2のキャップ領域は前記第2のウェブ領域に織られ、前記第1および第2のキャップ領域は、互いから離隔される、方法。
[形態12]
形態11に記載の方法において、前記第1のキャップ領域が前記第2のキャップ領域の上に直接置かれて前記織物補強材の前記キャップ部を形成するよう、前記第1のキャップ領域を伴う前記第1のウェブ部を形成するステップ、および前記第2のキャップ領域を伴う前記第2のウェブ部を形成するステップを含む、方法。
[形態13]
形態12に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
[形態14]
形態12に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
[形態15]
形態1に記載の方法において、前記補強材の前記内部空間は開かれている、方法。
[形態16]
形態15に記載の方法において、前記内部ラップ部は、前記第1のウェブ部と、前記キャップ部と、前記第2のウェブ部とによって互いに離隔された、第1の内部ラップ領域および第2のラップ領域の中に織られる、方法。
[形態17]
形態16に記載の方法において、第1の内部ラップ領域および第2の内部ラップ領域を、実質的に同一直線上になるよう、かつ間隙によって互いに離隔されるよう形成するステップを含む、方法。
[形態18]
形態17に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
[形態19]
形態18に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
[形態20]
形態15に記載の方法において、前記内部ラップ部は、第1の内部ラップ領域と、隣接する第2の内部ラップ領域とを有する、方法。
[形態21]
形態20に記載の方法であって、
第1の内部ラップ領域および第2の内部ラップ領域を、実質的に同一直線上になるよう形成するステップと、
前記第1および第2の内部ラップ領域の一部を切断して、前記第1の内部ラップ領域と前記第2の内部ラップ領域との間に間隙を形成するステップと
を含む、方法。
[形態22]
形態21に記載の方法において、前記キャップ部は、前記ウェブ部よりも厚く、前記ウェブ部は前記足部よりも厚い、方法。
[形態23]
形態22に記載の方法において、前記オメガ形状補強材にマトリックス材を詰めるステップを含む、方法。
[形態24]
3D織物補強材であって、
織り合わされた縦繊維および横繊維の複数の層を備え、
前記層のいくつかは、キャップ部、第1のウェブ部および第2のウェブ部、第1の足部および第2の足部、ならびに内部ラップ部を有する平織りされた織地になるように、他の層と織り合わされおり、
少なくともいくつかの前記横繊維は、前記ウェブ部と前記足部との間の接合部にわたって連続する、補強材。
[形態25]
形態24に記載の補強材において、内部空間は閉じられている、補強材。
[形態26]
形態24に記載の補強材において、内部空間は開かれている、補強材。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B