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  • 特許-ジアリールピリジン誘導体の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】ジアリールピリジン誘導体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 319/12 20060101AFI20230825BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230825BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230825BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20230825BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20230825BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
C07D319/12
A61K31/444
A61P35/00
C07B61/00 B
C07B61/00 300
C07D405/12
C07D405/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020529019
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(86)【国際出願番号】 JP2019026395
(87)【国際公開番号】W WO2020009132
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2018127197
(32)【優先日】2018-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安藝 祐一
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 史彦
(72)【発明者】
【氏名】桜井 なつ樹
(72)【発明者】
【氏名】亀田 藍
(72)【発明者】
【氏名】小倉 友和
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/006706(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/174219(WO,A1)
【文献】CHURCH, R. et al.,New Synthetic Routes to 3-, 5-, and 6-Aryl-2-chloropyridines,Journal of Organic Chemistry,1995年,Vol.60, No.12,pp.3750-3758,DOI: 10.1021/jo00117a029
【文献】EGE, G. et al.,A new synthesis of 4-(dimethylamino)-1,3-butadiene-1,1-dicarbonitriles and their cyclization to 2-am,Synthesis,1979年,No.5,pp.376-378,DOI: 10.1055/s-1080-28688
【文献】VILLEMIN, D. et al.,Solventless convenient synthesis of new cyano-2-aminopyridine derivatives from enamino nitriles,Tetrahedron Letters,2013年,Vol.54, No.13,pp.1664-1668,DOI: 10.1016/j.tetlet.2013.01.021
【文献】JUHASZ, L. et al.,Synthesis and glycogen phosphorylase inhibitor activity of 2,3-dihydrobenzo[1,4]dioxin derivatives,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2007年,Vol.15, No.12,pp.4048-4056,DOI: 10.1016/j.bmc.2007.03.084
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C07D 319/12
A61K 31/444
A61P 35/00
C07B 61/00
C07D 405/12
C07D 405/14
・DB
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
で示される化合物を、塩素化剤およびジメチルホルムアミドと反応させ、
式(II):
で示される化合物またはその塩を得る工程を包含する製造方法。
【請求項2】
塩素化剤が、塩化オキザリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩基存在下、式(II)で示される化合物またはその塩を
式(III):
で示される化合物と反応させ、
式(IV):
で示される化合物またはその塩を得ることをさらに包含する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
塩基が2,6-ルチジンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
式(IV)で示される化合物またはその塩をベンジルアミンと反応させ、
式(V):
で示される化合物又はその塩を得ることをさらに包含する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
(i)式(I’):
で示される化合物をWittig試薬と反応させる工程、
(ii)工程(i)で得られた化合物を塩素化剤およびジメチルホルムアミドと反応させる工程、
(iii)工程(ii)で得られた化合物を塩基存在下、式(III):
で示される化合物と反応させる工程、および
(iv)工程(iii)で得られた化合物をベンジルアミンと反応させ、式(V):
で示される化合物又はその塩を得る工程を包含する製造方法。
【請求項7】
工程(i)におけるWittig試薬が、PhP(Cl)CHOMeである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)における塩素化剤が、塩化オキザリルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
工程(iii)における塩基が、2,6-ルチジンである、請求項6から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
溶媒中、パラジウム炭素触媒存在下、式(V)で示される化合物またはその塩を水素と反応させ、
式(VI):
で示される化合物またはその塩を得ることをさらに包含する、請求項5から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
式(V)で示される化合物またはその塩が、式(V)で示される化合物の塩酸塩であり、溶媒が、1-プロパノールまたはN-メチルピロリドンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
式(VI)で示される化合物を式(VII):
で示される化合物またはその塩と縮合させ、
式(VIII):
で示される化合物またはその塩を得ることをさらに包含する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
式(VIII)で示される化合物またはその塩が、式(VIII)で示される化合物の硫酸塩である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアリールピリジン誘導体の新規な製造方法に関し、特にパラジウムを用いない、ピリジン環の新規な合成方法を含んだ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジアリールピリジン誘導体は、医薬あるいはその製造原料として有用であり、腫瘍の治療に有用であることが知られている(特許文献1)。
特許文献1において、種々のジアリールピリジン誘導体およびその製造方法が開示されている。当該文献に開示されているジアリールピリジン誘導体の製造方法は、いずれも、ハロゲン原子が置換したピリジン誘導体を出発化合物として、パラジウムを用いたカップリング反応によりピリジン環にアリール基を導入するものである(例えば、実施例中、中間体9aおよび中間体10a)。しかし、複数のハロゲン原子が置換しているピリジン誘導体は高価であり、複数回のパラジウムの使用は目的物中におけるパラジウムの残留に留意が必要となる。
【0003】
パラジウムを用いないピリジン環の合成方法としては、例えば、下記に示す化合物Aを出発化合物として用い、
【0004】
【化1】
【0005】
化合物Aをシアノ化し、下記に示す化合物Bを合成して、
【0006】
【化2】
【0007】
化合物Bをアンモニア等のアミノ基を有する化合物と反応させることで環化させ、ピリジン環を合成する方法が知られている(非特許文献1、2、3)。
【0008】
しかし、化合物Aの合成には、超低温での強塩基を用いた反応(非特許文献1)、または高温での反応(非特許文献3、4)が必要とされている。さらに、化合物Aから化合物Bへの変換反応は、強塩基存在下(非特許文献2、3)での反応が必要であり、化合物Bの環化反応は、高温条件下(非特許文献1、2)、多量の強塩基存在下(非特許文献2)、またはそのいずれも必要である(非特許文献3)等、取り扱いづらいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2016006706
【非特許文献】
【0010】
【文献】Synthesis Issue05, 1979, 376
【文献】J. Prakt. Chem., 5, 1990, 332
【文献】J.Org.Chem. 60, 1995, 3750
【文献】Org.Proc.Res.Dev., vol.9, No.2, 2005, 141
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ジアリールピリジン誘導体の新規な製造方法に関し、特にパラジウム、強塩基、および高温下での反応を用いない、ピリジン環の新規な合成方法であって、工業的に有利で新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、次の(1)~(13)に関する。
【0013】
(1)式(I):
【0014】
【化3】
【0015】
で示される化合物を、塩素化剤およびジメチルホルムアミドと反応させる工程を包含する、
式(II):
【0016】
【化4】
【0017】
で示される化合物またはその塩の製造方法。
【0018】
(2)塩素化剤が、塩化オキザリルである、(1)に記載の製造方法。
【0019】
(3)(1)または(2)に記載の製造方法を用いて式(II)で示される化合物を製造した後に、塩基存在下、
式(III):
【0020】
【化5】
【0021】
で示される化合物と反応させる工程を包含する、
式(IV):
【0022】
【化6】
【0023】
で示される化合物またはその塩の製造方法。
【0024】
(4)塩基が2,6-ルチジンである、(3)に記載の製造方法。
【0025】
(5)(3)もしくは(4)に記載の製造方法を用いて式(IV)で示される化合物またはその塩を製造した後に、ベンジルアミンと反応させる工程を包含する、
式(V):
【0026】
【化7】
【0027】
で示される化合物又はその塩の製造方法。
【0028】
(6)(i)式(I’):
【0029】
【化8】
【0030】
で示される化合物をWittig試薬と反応させる工程、
(ii)工程(i)で得られた化合物を塩素化剤およびジメチルホルムアミドと反応させる工程、
(iii)工程(ii)で得られた化合物を塩基存在下、上記式(III)で示される化合物と反応させる工程、および
(iv)工程(iii)で得られた化合物をベンジルアミンと反応させる工程
を包含する、上記式(V)で示される化合物又はその塩の製造方法。
(7)工程(i)におけるWittig試薬が、Ph (Cl)CHOMeである、(6)に記載の方法。
【0031】
(8)工程(ii)における塩素化剤が、塩化オキザリルである、(6)または(7)に記載の製造方法。
【0032】
(9)工程(iii)における塩基が、2,6-ルチジンである、(6)から(8)のいずれか1つに記載の製造方法。
【0033】
(10)(5)から(9)のいずれか1つに記載の製造方法を用いて式(V)で示される化合物またはその塩を製造した後に、
溶媒中、パラジウム炭素触媒存在下、水素と反応させる工程を包含する、
式(VI):
【0034】
【化9】
【0035】
で示される化合物またはその塩の製造方法。
【0036】
(11)式(V)で示される化合物またはその塩が、式(V)で示される化合物の塩酸塩であり、溶媒が、1-プロパノールまたはN-メチルピロリドンである、(10)に記載の製造方法。
【0037】
(12)(10)または(11)に記載の製造方法を用いて式(VI)で示される化合物またはその塩を製造した後に、
式(VII):
【0038】
【化10】
【0039】
で示される化合物またはその塩と縮合させる工程を包含する、
式(VIII):
【0040】
【化11】
【0041】
で示される化合物またはその塩の製造方法。
【0042】
(13)式(VIII)で示される化合物またはその塩が、式(VIII)で示される化合物の硫酸塩である、(12)に記載の製造方法。
【0043】
本発明の製造方法における別の態様としては、(13)に記載の製造方法を用いて式(VIII)で示される化合物の硫酸塩を製造した後に、結晶化を行い、式(VIII)で示される化合物の硫酸塩の結晶を得る製造方法、があげられる。
【0044】
本発明における式(VIII)で示される化合物の硫酸塩の結晶は、例えば、CuKα放射線を用いた粉末X線回折において、3.71±0.2、6.48±0.2、7.37±0.2、9.80±0.2、10・29±0.2、11.01±0.2、18.44±0.2、20.53±0.2、22.91±0.2および24.15±0.2から選択される回折角度(2θ)に、少なくとも5つのピークを有する結晶である。
【発明の効果】
【0045】
本発明により、パラジウム、強塩基、および高温下での反応を用いない、ピリジン環の新規な合成方法を提供することができる。特に、合成には超低温での強塩基を用いた反応、または高温での反応が必要とされていたイミニウム塩について、極めて温和な反応条件で合成できる方法を見出し、さらに、イミニウム塩からシアノ化合物への合成およびピリジンへの環化についても、従来の強塩基を用いた反応や高温条件下での反応を必要としない合成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】実施例7に記載の化合物(26)のXRDチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明において、「塩素化剤」とは、ジメチルホルムアミドと反応してVilsmeier試薬を生じさせるものであればよく、例えば、塩素、塩化オキザリル、塩化チオニル、オキシ塩化リン等があげられる。好ましくは、塩化オキザリルである。
【0048】
本発明において、式(IV)で示される化合物またはその塩を製造する際に用いる「塩基」は、式(III)で示される化合物のベンジル位のプロトンを引き抜くことができるものであればよく、例えば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、ピリジン、2,6-ルチジン、N-メチルモルホリン、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等が挙げられる。好ましくはピリジン、2,6-ルチジン、TMEDAであり、さらに好ましくは2,6-ルチジンである。
【0049】
本発明において用いることのできる、「パラジウム炭素触媒」は、脱ベンジル化反応、およびニトロ基からアミノ基への還元反応に用いることのできるパラジウム炭素触媒であればよい。例えば、M (川研ファインケミカル)、PH (川研ファインケミカル)、PE type (NE Chemcat)、AER type (NE Chemcat)等があげられる。好ましくはPE type (NE Chemcat)である。
【0050】
本発明において、パラジウム炭素触媒を用いた反応に使用できる、「溶媒」は、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等があげられる。好ましくは、1-プロパノール、またはN-メチルピロリドンである。
【0051】
本発明において、「Wittig試薬」とは、アルデヒドおよびケトンと反応し、炭素-炭素二重結合を構築することができる試薬を意味する。二重結合にアルコキシ基が置換した化合物を得ることができるWittig試薬が好ましい。例えば、Ph (Cl)CHOMe、Ph (Br)CHOMeおよびPh (I)CHOMe等が挙げられる。
【0052】
本発明の式(I)で示される化合物、式(II)で示される化合物またはその塩、および式(IV)で示される化合物またはその塩は、幾何異性体が包含される。
【0053】
本発明の式(II)で示される化合物、式(IV)で示される化合物、式(V)で示される化合物、式(VI)で示される化合物、式(VII)で示される化合物、および式(VIII)で示される化合物は、酸と反応させることにより塩にすることができる。例えば、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のようなC-Cアルキルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリ-ルスルホン酸塩、酢酸塩、りんご酸塩、フマ-ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、アジピン酸塩等の有機酸塩;および、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。
【0054】
本発明における「塩」は、イオン結合を介して形成された分子だけでなく、水素結合または/およびファンデルワールス結合を介して形成された分子を含んでいてもよい。
【0055】
本発明の式(I)で示される化合物、式(I’)で示される化合物、式(II)で示される化合物、式(III)で示される化合物、式(IV)で示される化合物またはその塩、式(V)で示される化合物またはその塩、式(VI)で示される化合物またはその塩、式(VII)で示される化合物またはその塩、および式(VIII)で示される化合物またはその塩は、大気中に放置したり、又は、再結晶したりすることにより、水分子を取り込んで、水和物となる場合があり、そのような水和物も本発明に包含される。
【0056】
本発明の式(I)で示される化合物、式(I’)で示される化合物、式(II)で示される化合物またはその塩、式(III)で示される化合物、式(IV)で示される化合物またはその塩、式(V)で示される化合物またはその塩、式(VI)で示される化合物またはその塩、式(VII)で示される化合物またはその塩、および式(VIII)で示される化合物またはその塩は、溶媒中に放置されたり、又は、再結晶したりすることにより、ある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があり、そのような溶媒和物も本発明に包含される。
【0057】
本発明において、結晶とは、その内部構造が三次元的に構成原子や分子の規則正しい繰り返しで出来てなる固体をいい、そのような規則正しい内部構造を持たない無定形の固体、または非晶質体とは区別される。
【0058】
本発明においては、式(VIII)で示される化合物またはその塩が結晶形態であることは、偏光顕微鏡による観察、粉末X線結晶分析、または、単結晶X線回析測定を利用することによって確認することができる。さらに、結晶の特徴を予め測定しておいた各指標に基づくデータと比較することにより、その結晶のタイプを特定することもできる。よって、本発明の好ましい態様によれば、本発明による結晶は、このような測定手段を利用して結晶であることが確認できるものである。
【0059】
本発明においては、粉末X線回折における回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、回折角度が±0.2の範囲内で一致する結晶も本発明に含まれる。これは、一般に、計測器、試料および試料調製の差に起因して、ピーク値に内在する変動があることから、一般的な慣行である。粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2の範囲内で誤差が生じうるから、上記回折角度の値は±0.2程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要があるためである。
【0060】
次に本発明について説明する。本発明の反応条件はこれらに限定して解釈されるべきではない。本発明では、化合物の官能基を適当な保護基で保護する場合がある。このような官能基としては、例えば水酸基、カルボキシ基、アミノ基等を挙げることができ、保護基の種類、並びにそれらの保護基の導入と除去の条件は、例えばProtective Groups in Organic Synthesis(T.W.Green and P.G.M.Wuts,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2006)に記載のものを参考にすることができる。
【実施例
【0061】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0062】
実施例で用いる略号は、次のような意義を有する。
mg : ミリグラム,g : グラム,kg:キログラム, mL: ミリリットル,L:リットル,mol:モル, MHz : メガヘルツ。
以下の実施例において、核磁気共鳴(以下、1H NMR:500MHz)スペクトルは、テトラメチルシランを標準物質として、ケミカルシフト値をδ値(ppm)にて記載した。分裂パターンは一重線をs、二重線をd、三重線をt、四重線をq、多重線をm、ブロードをbrで示した。
【0063】
実施例中で用いた粉末X線回折装置の測定条件は以下の通りである。
測定範囲:3-40 deg
ステップ:0.020 deg
スピード:10 deg/min
ターゲット:Cu(Ka)
管電圧:40 kV
管電流:15 mA
測定温度:室温(25℃)
【0064】
(参考例1)
(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸カリウム(2)の製造
【0065】
【化12】
【0066】
窒素雰囲気下、反応容器に常水(25.7 L)、および(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸塩酸塩(1)(19.0 kg、 101 mol)を加え、0℃で攪拌した。-5℃以上10℃以下に保ちながら48%水酸化カリウム水溶液(23.24 kg)を加えた後、濃塩酸(0.15 kg)を用いてpHを12.6に調整した。塩化カリウムの析出を確認してから0℃で20分攪拌し、1-プロパノール(143 L)を滴下した。滴下終了後、25℃に昇温して15分攪拌し、液量が66.5 Lになるまで減圧濃縮した。20℃で1-プロパノール(143 L)を滴下し、再び液量が66.5 Lになるまで減圧濃縮した。その後1-プロパノール(143 L)を25℃で滴下し、50℃で熱時ろ過後、50℃の1-プロパノール(57 L)で洗浄し、不溶物を除去した。得られたろ液は、液量が95 Lになるまで減圧濃縮し、1-プロパノール水溶液(1-プロパノール19 L、常水1.9 L)を40℃で滴下した。その後、液量が38 Lになるまで減圧濃縮し、40℃で酢酸プロピル(181 L)を滴下した。25℃で18時間攪拌した後、析出した固体を濾取、酢酸プロピル/1-プロパノール溶液(酢酸プロピル51.3 L、1-プロパノール5.7 L)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(2)(18.15 kg、収率94.7%)を固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 2.21 (s, 3H), 3.25 (d, J = 3.5 Hz, 2H), 7.16 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.38 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.16 (s, 1H).
【0067】
(参考例2)
(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸カリウム(2)の製造
【0068】
【化13】
【0069】
窒素雰囲気下、反応容器にトルエン(315 mL)、2-フルオロ-4-メチルピリジン(3)(45 g、 405 mmol)、アセトニトリル(20.0 g、 487 mmol)を加え、0℃で攪拌した。カリウムヘキサメチルジシラジドのトルエン溶液(0.5 mol/L、 1.78 L、 890 mmol)を0℃以上10℃以下に保ちながら、ゆっくり滴下した。25℃で1時間攪拌した後、50℃で6時間攪拌した。5℃まで冷却後、常水(450 mL)を添加し、30分攪拌した。5℃のまま分液を行い、水層を廃棄した。有機層に対し、2N塩酸水溶液(522 mL)を加えてpHを2.4に調整した。25℃に昇温して15分攪拌後、4N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを8.7にした。25℃で15分攪拌後、水層を廃棄し、5℃で濃塩酸135 mLを加えた。25℃で15分攪拌し、有機層を廃棄した。水層を80℃に昇温し、4時間攪拌した。-5℃以上25℃以下に保ちながら48%水酸化カリウム水溶液(204 g)を加えた後、25℃で45分攪拌した。続いて1-プロパノール(450 mL)を加えて液量が225 mLになるまで減圧濃縮を行った。48%水酸化カリウム水溶液(11.8 g)を加え、pHを11.8に調整後、1-プロパノール(450 mL)を加えて液量が225 mLになるまで減圧濃縮を行った。さらに1-プロパノール(450 mL)を加えて液量が338 mLになるまで減圧濃縮を行い、そこへ1-プロパノール(338 mL)を加えた。50℃まで昇温し、同温度下で熱時ろ過を行い、50℃の1-プロパノール(135 mL)で洗浄し不溶物を除去した。25℃に冷却して起晶を確認後、液量が135 mLになるまで濃縮した。50℃で酢酸プロピル585 mLを滴下した。25℃で8時間攪拌した後、析出した固体を濾取、酢酸プロピル/1-プロパノール溶液(酢酸プロピル122 mL、1-プロパノール13.5 mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(2)(68.9 g、収率89.9%)を固体として得た。
【0070】
(参考例3)
(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸カリウム(2)の製造
【0071】
【化14】
【0072】
(工程1)(5-メチルピリジン-2-イル)プロパンジニトリル(6)の製造
窒素雰囲気下、反応容器にN-メチルピロリドン(7 L)、マロノニトリル(797 g、 12.1 mol)を加え、ナトリウムtert-ブトキシド(2.64 kg、 27.4 mol)を4回に分割して加えた。次に2-クロロ-4-メチルピリジン(5)(1.40 kg、 11.0 mol)を加え、窒素通気することで溶液中の酸素濃度を下げた。ビストリフェニルホスフィンパラジウムジクロリド(77.0 g、 0.11 mol)を加え、55℃で1.5時間攪拌した後、80℃で1時間攪拌した。50℃まで冷却後、同温度下で酢酸水溶液(酢酸1.0 kg、常水2.1 kg)を滴下し、さらに常水(18.9 kg)を加えて攪拌した。25℃に冷却した後、6N塩酸水溶液(0.95 kg)でpHを5.6に調整した。さらに1時間攪拌した後、析出した固体を濾取、N-メチルピロリドン水溶液(N-メチルピロリドン1.4 L、常水4.2 L)、常水(5.6 L)で順次洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(6)(1.67 kg、収率96.7%)を固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 2.15 (s, 3H), 7.04 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 7.63-7.66 (m, 2H), 12.85 (brs, 1H).
【0073】
(工程2)(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸カリウム(2)の製造
窒素雰囲気下、濃塩酸(150 mL)を40℃で攪拌し、(5-メチルピリジン-2-イル)プロパンジニトリル(6)(50 g、 318 mmol)を5分割して1時間おきに加えた。添加終了後40℃で1時間攪拌し、さらに80℃で1.5時間攪拌した。-5℃以上10℃以下に保ちながら48%水酸化カリウム水溶液(241.7 g)を加え、25℃まで昇温後、さらに常水(50 mL)を加えた。50℃まで昇温後、熱時ろ過を行い、50℃の常水(75 mL)で洗浄して不溶物を除去した。得られた溶液は液量が250 mLになるまで減圧濃縮し、45-50℃で1-プロパノール(500 mL)を滴下した。濃塩酸(12.4 mL)を用いてpHを12.6に調整後、液量が250 mLになるまで減圧濃縮し、45-50℃で1-プロパノール(500 mL)を滴下した。再び液量が250 mLになるまで減圧濃縮し、45-50℃で1-プロパノール(500 mL)を滴下した。50℃で熱時ろ過を行い、50℃の1-プロパノール(150 mL)で洗浄し、不溶物を除去した。ろ液に常水(50 mL)を加え液量が200 mLになるまで減圧濃縮した。酢酸プロピル(400 mL)を40℃で加え、液量が200 mLになるまで減圧濃縮した。もう一度、酢酸プロピル(400 mL)を40℃で加え、液量が200 mLになるまで減圧濃縮した。この濃縮液を25℃まで冷却し、さらに1時間攪拌した後、析出した固体を濾取、酢酸プロピル/1-プロパノール溶液(酢酸プロピル135 mL、1-プロパノール15 mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(2)(57.05 g、収率94.8%)を固体として得た。
【0074】
(参考例4)
5-メチル-4′-オキソ-1′-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1′,4′-ジヒドロ-2,3′-ビピリジン-5′-カルボン酸エチル(9)の製造
【0075】
【化15】
【0076】
窒素雰囲気下、反応釜にアセトニトリル(257 L)、(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸カリウム(2)(17.15 kg、 90.6 mol)を加え、82℃で2時間加熱還流した。液量が86 Lになるまで常圧濃縮し、25℃でアセトニトリル(171.5 L)を加えた。0℃でピリジン塩酸塩(12.57 kg、 109 mol)を加えて30分攪拌し、0℃でカルボニルジイミダゾール(16.16 kg、 100 mol)を加えて40分攪拌した。続いて、0℃でマロン酸エチルカリウム(23.14 kg、 136 mol)、トリエチルアミン(18.34 kg、 181 mol)を加え、塩化マグネシウム(12.08 kg、 127 mol)を10分割して加えた。0℃で1時間攪拌後、55℃で1時間攪拌した。トルエン(137.2 L)、常水(51.5 L)を加え、6N塩酸水溶液でpHを5.01とした。水層を廃棄した後、10%塩化ナトリウム水溶液(51.5 L)で2回洗浄した。有機層を液量が69 Lになるまで減圧濃縮し、トルエン(85.8 L)を加え、再び液量が69 Lになるまで減圧濃縮した。これを4-(5-メチルピリジン-2-イル)-3-オキソブタン酸エチル(7)溶液として、次反応に用いた。
窒素雰囲気下、別の反応釜にN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(76.8 kg、 645 mol)を加え、60℃とした。4-(5-メチルピリジン-2-イル)-3-オキソブタン酸エチル(7)溶液を脱塩ろ過し、60℃で反応釜に加えた。トルエン(17.2 L)で洗浄し、60℃のまま2時間半攪拌した。続いて、液量が86 Lになるまで減圧濃縮し、トルエン(85.8 L)を添加する作業を4回繰り返した。再び液量が86 Lになるまで減圧濃縮し、25℃で1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタンアミン(10.44 kg、 90.6 mol)を添加した。25℃で4時間攪拌後、種晶(9)(2 g)を添加した。起晶確認後、-5℃まで冷却し、16時間攪拌した。析出した固体を濾取、-5℃に冷却したトルエン(51.5 L)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(9)(17.84 kg、収率55.2%)を固体として得た。
*種晶(9)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 1.24-1.29 (m, 5H), 1.42-1.45 (m, 2H), 1.99-2.02 (m, 1H), 2.32 (s, 3H), 3.26 (dd, J = 10.0, 10.0 Hz, 2H), 3.85 (dd, J = 11.5, 3.0 Hz, 2H), 4.01 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 4.22 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 7.63 (dd, J = 7.5, 2.5 Hz, 1H), 8.29 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.49 (d, J = 2.5 Hz, 1H).
【0077】
(参考例5)
5-メチル-4′-オキソ-1′-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1′,4′-ジヒドロ-2,3′-ビピリジン-5′-カルボン酸エチル(9)の製造
【0078】
【化16】
【0079】
窒素雰囲気下、反応釜にアセトニトリル(97.5 mL)、(5-メチルピリジン-2-イル)酢酸一塩酸塩(1)(6.5 g、 0.035 mol)を加え、0℃でトリエチルアミン(2.74 g、 0.027 mol)を加えて30分攪拌し、0℃でカルボニルジイミダゾール(6.18 g、 0.038 mol)を加えて1時間攪拌した。続いて、0℃でマロン酸エチルカリウム(8.84 g、 0.052 mol)、トリエチルアミン(7.01 g、 0.069 mol)を加え、塩化マグネシウム(4.62 g、 0.049 mol)を10分割して加えた。0℃で1時間攪拌後、57℃で2時間攪拌した。トルエン(52 mL)、常水(20 mL)を加え、5N塩酸水溶液でpHを約5とした。約50℃で分液を行い、水層を廃棄した後、10%塩化ナトリウム水溶液(20 mL)で洗浄した。50℃で分液を行い、水層を廃棄した後、室温に冷却し、2N塩酸水溶液32.5 mLを加えて約5分攪拌した。分液した有機層を廃棄した後、トルエン32.5 mLを加え25%塩化ナトリウム水溶液で約pH5に調整後、約5分攪拌した。分液した水層にトルエン20 mLを加えて約5分攪拌した。水層を廃棄した後、有機層を合致し、液量が26 mLになるまで減圧濃縮し、トルエン(32.5 mL)を加え、再び液量が26 mLになるまで減圧濃縮した。これを4-(5-メチルピリジン-2-イル)-3-オキソブタン酸エチル(7)溶液として、次反応に用いた。
窒素雰囲気下、別の反応容器にN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(29.12 g、 0.244 mol)を加え、60℃とした。4-(5-メチルピリジン-2-イル)-3-オキソブタン酸エチル(7)溶液を脱塩ろ過し、60℃で約1時間かけて反応容器に滴下した。トルエン(6.5 mL)で洗浄し、60℃のまま2時間攪拌した。続いて、液量が32.5 mLになるまで減圧濃縮し、トルエン(32.5 mL)を添加する作業を4回繰り返した。再び液量が32.5 mLになるまで減圧濃縮し、25℃で1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)メタンアミン(3.96 g、 0.034 mol)を添加した。25℃で4時間攪拌後、種晶(9)(7 mg)を添加した。起晶確認後、-5℃まで冷却し、終夜攪拌した。析出した固体を濾取、-5℃に冷却したトルエン(20 mL)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(9)(5.87 kg、収率47.5%)を固体として得た。
*種晶(9)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
【0080】
(参考例6)
5-メチル-4′-オキソ-1′-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1′,4′-ジヒドロ-2,3′-ビピリジン-5′-カルボン酸(10)の製造
【0081】
【化17】
【0082】
窒素雰囲気下、反応容器にエタノール(50 mL)、常水(225 mL)、5-メチル-4′-オキソ-1′-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1′,4′-ジヒドロ-2,3′-ビピリジン-5′-カルボン酸エチル(9)(50 g、 14.0 mmol)、25%水酸化ナトリウム水溶液(26.9 g、 16.8 mmol)を加え、25℃で2時間半攪拌した。トルエン(150 mL)、常水(50 mL)を加え、有機層を廃棄した。水層にエタノール(185 mL)を加え、6N塩酸水溶液(28 mL)でpHを4.8に調整した。さらに25℃で30分攪拌後、析出した固体を濾取、エタノール水溶液(エタノール75 mL、常水75 mL)、常水(150 mL)で順次洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(10)(42.93 g、収率93.1%)を固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 1.29-1.33 (m, 2H), 1.43-1.45 (m, 2H), 2.06-2.07 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 3.27 (dd, J = 10.0, 9.5 Hz, 2H), 3.84 (dd, J = 11.5, 2.5 Hz, 2H), 4.23 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.72(dd, J = 8.0, 2.5 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.53 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.78 (s, 1H), 8.84 (s, 1H).
【0083】
(参考例7)
(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)アセトニトリル(13)の製造
【0084】
【化18】
【0085】
窒素雰囲気下、N、N-ジメチルアセトアミド(5.00 L)を25℃で攪拌し、炭酸カリウム(0.956 kg、 6.92 mol)、1,2-ジフルオロ-4-ニトロベンゼン(11)(1.00 kg、 6.29 mol)、シアノ酢酸エチル(0.782 kg、 6.91 mol)を添加後、90℃まで昇温した。同温度で4時間攪拌後、25℃まで冷却した。この溶液に常水(3.50 L)を30分間かけて滴下し、続けて2N塩酸水溶液(6.91 L)を15分間かけて滴下した後、酢酸エチル(10.0 L)を添加した。25℃で5分攪拌、静置後、水層を廃棄した。有機層に常水(8.50 L)、塩化ナトリウム(1.50 kg)を添加し、25℃で5分攪拌、静置後、水層を廃棄した。得られた有機層を液量3.0 Lまで減圧濃縮し、ジメチルスルホキシド(2.50 L)を添加した。この溶液を液量4.0 Lまで減圧濃縮した後、常水(1.50 L)と塩化リチウム(0.400 kg)の混合物を添加した。100℃まで昇温した後、同温度で5時間攪拌し、50℃まで冷却した。この溶液にメタノール(5.00 L)を添加した後、常水(2.00 L)を10分間かけて滴下し、続けて種晶(13)(1.00 g)を加え、結晶を析出させた。結晶析出を確認した後、50℃で30分間攪拌し、常水(2.50 L)を1時間かけて滴下した。同温度で1時間攪拌した後、1時間かけて25℃まで冷却した。その後、50℃まで昇温し、常水(4.50 L)を45分間かけて滴下した。同温度で30分間攪拌した後、1時間かけて25℃まで冷却した。同温度で1時間攪拌した後、析出した固体を濾取、水/メタノール溶液(水3.00L、メタノール1.00 L)で洗浄し、50℃で減圧乾燥することで、標記化合物(1.05 kg、収率92.8%)を固体として得た。
*種晶(13)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) : δ= 3.89 (s, 2H), 7.71 (dd, J = 8.5, 8.0 Hz 1H), 8.01 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz,, 1H), 8.12 (dd, J = 8.0, 2.0 Hz, 1H).
【0086】
(参考例8)
(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル-メタンスルホナート(17)の製造
【0087】
【化19】
【0088】
(工程1)(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメタノール(16)の製造
窒素雰囲気下、反応容器に2-クロロエタノール(210.0 kg)、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン(0.26 kg、 1.86 mol)を添加して攪拌し、75℃まで昇温した。(R)-エピクロロヒドリン(14)(35.00 kg、 378.3 mol)を1時間かけて滴下し、キシレン(17.5 L)を添加した。75℃で1.5時間攪拌した後、液量70 Lまで減圧濃縮した。この溶液にキシレン(105.0 L)を添加し、再び液量70 Lまで減圧濃縮した。キシレン添加、減圧濃縮の操作を合計3回繰り返した。得られた濃縮液を15℃まで冷却し、25%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液(302.64 kg、 1.89 kmol)を添加した。65℃まで昇温し、同温度で5.5時間攪拌した後、25℃まで冷却した。この溶液にトルエン(105.0 L)を添加し、25℃で5分攪拌、静置後、有機層を廃棄した。水層に再びトルエン(105.0 L)を添加し、25℃で5分攪拌、静置後、有機層を廃棄した。得られた水層に濃塩酸(127.89 kg)を添加し、pHを7.2に調整した。この溶液に1-プロパノール(175.0 L)を添加し、液量350 Lまで減圧濃縮した。この溶液に1-プロパノール(210.0 L)を添加し、液量290 Lまで減圧濃縮した。この溶液に1-プロパノール(297.5 L)を添加し、液量210 Lまで減圧濃縮した。この溶液に1-プロパノール(367.5 L)を添加し、液量175 Lまで減圧濃縮した。この溶液に1-プロパノール(70.0 L)を添加し、液量175 Lまで減圧濃縮した。濃縮で得られた懸濁液を1-プロパノール(175.0 L)を用いて濾過し、析出している無機塩を除去した。得られた濾液を液量30 Lまで減圧濃縮し、トルエン(52.5 L)を添加した。この懸濁液をトルエン(17.5 L)を用いて濾過し、析出している無機塩を除去した。得られた濾液を液量30 Lまで減圧濃縮し、トルエン(70.0 L)を添加した。さらに液量約20 Lまで減圧濃縮を行い、標記化合物(16)(22.47 kg、収率45.3%)を得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d6) : δ= 3.26 (dd, J = 10.0, 11.5 Hz, 1H), 3.25-3.49 (m, 4H), 3.54 (ddd, J = 2.5, 11.0, 11.5 Hz, 1H), 3.62 (dd, J = 2.5, 11.5 Hz, 1H), 3.68 (dd, J = 3.0, 11.5 Hz, 1H), 3.73 (dd, J = 2.5, 11.0 Hz, 1H), 4.68 (t, J = 5.5 Hz, 1H).
【0089】
(工程2)(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル-メタンスルホナート(17)の製造
得られた(2S)-1,4-ジオキサン-2-イルメタノール(16)(22.00 kg、 186.2 mol)を別の反応容器に添加し、続けて酢酸エチル(440.0 L)、トリエチルアミン(26.57 kg、 262.6 mol)、メタンスルホニルクロリド(32.64 kg、 284.9 mol)を添加後、30℃で1時間攪拌した。この溶液に常水(112.2 L)を添加し、25℃で15分攪拌、静置後、水層を廃棄した。得られた有機層を液量40 Lまで減圧濃縮した。この溶液にメタノール(68.2 L)を添加し、液量40 Lまで減圧濃縮した。この溶液にメタノール(68.2 L)を添加し、再び液量40 Lまで減圧濃縮した。この溶液にメタノール(220.0 L)を添加し、5℃まで冷却した後、種晶(17)(1 g)を添加し、結晶を析出させた。結晶析出後、5℃で1時間攪拌した。その後、2時間かけて-15℃まで冷却した後、同温度で24時間攪拌した。析出した固体を濾取、-15℃に冷却したメタノール(88.0 L)で洗浄し、25℃で減圧乾燥することで、標記化合物(17)(21.19 kg、収率63.6%)を固体として得た。
*種晶(17)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
1H NMR (500MHz, DMSO-d6) : δ= 3.07 (s, 3H), 3.46 (dd, J = 10.0, 11.5 Hz, 1H), 3.62 (dt, J = 3.0, 11.0 Hz, 1H), 3.70-3.92 (m, 5H), 4.16-4.25 (m, 2H).
【0090】
(参考例9)
4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシベンズアルデヒド(18)の製造
【0091】
【化20】
【0092】
窒素雰囲気下、N、N-ジメチルアセトアミド(45.5 L)、炭酸ナトリウム(9.96 kg、 93.97 mol)、バニリン(13.00 kg、 85.44 mol)を添加し、20℃で5分間攪拌した。この懸濁液に(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメチル-メタンスルホナート(17)(17.60 kg、 89.70 mol)を添加し、120℃まで昇温後、同温度で6.5時間攪拌した。70℃まで冷却後、この温度を維持しながら常水(97.5 L)を1時間かけて滴下した。この溶液に種晶(18)(13 g)を添加し、結晶を析出させた。結晶析出後、70℃で1時間攪拌した。この懸濁液に60℃を維持しながら常水(84.5 L)を1.5時間かけて滴下し、同温度で1時間攪拌した。1時間かけて30℃まで冷却後、同温度で30分間攪拌した。さらに1.5時間かけて0℃まで冷却後、同温度で15時間攪拌した。析出した固体を濾取、常水(104.0 L)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(18)(20.51 kg、収率95.2%)を固体として得た。
*種晶(18)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 3.40 (dd, J =10.0, 11.0 Hz, 1H), 3.47-3.53 (m. 1H), 3.60-3.70 (m, 2H), 3.74-3.79 (m, 1H), 3.80-3.86 (m, 4H), 3.87-3.93 (m, 1H), 4.03-4.10 (m, 2H), 7.19 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.53 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1H), 9.84 (s, 1H).
【0093】
(実施例1)
N-ベンジル-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}-3-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)ピリジン-2-アミン一塩酸塩(22)の製造
【0094】
【化21】
【0095】
窒素雰囲気下、トルエン(475 mL)、4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシベンズアルデヒド(18)(39.0 g、 0.155 mol)、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロライド(58.3 g、 0.17 mol)を添加し、液量220 gまで減圧濃縮した。トルエン(136 g)を添加し、135 gまで減圧濃縮を行う操作を2回実施した。テトラヒドロフラン(243 g)を添加し、0℃まで冷却した。この溶液に28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(13.31 g、 0.185 mol)を2時間かけて滴下し、同温度で36時間攪拌した。反応液に常水(156.0 mL)を添加し、25℃で1分攪拌、静置後、水層を廃棄した。有機層に常水(156.0 mL)、食塩(15.6 g)を添加し、25℃で5分攪拌、静置後、水層を廃棄した。得られた有機層を流出液が477 gになるまで減圧濃縮した。続けてトルエン(169.7 g)を添加し、再び流出液が166 gになるまで減圧濃縮した。この溶液にジメチルホルムアミド(33.9 g、 0.464 mol)、トルエン(18 g)を添加し、約0℃まで冷却した。その後、塩化オキサリル(27.5 g、 0.217 mol)を10℃以下を維持しながら20分間かけて滴下し、30℃まで昇温した後、同温度で14時間攪拌した。反応終了後、25℃まで冷却した後、脱気操作を4回行った。その後、15℃まで冷却し、N、N-ジメチルアセトアミド(110 g)、(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)アセトニトリル(13)(30.6 g、 0.17 mol)の混合溶液を20分かけて滴下し、N、N-ジメチルアセトアミド(147 g)を20分かけて滴下し、最後に2,6-ルチジン(49.7 g、0.464、 mol)を15℃を維持しながら15分間かけて滴下した。25℃まで昇温し、同温度で17時間攪拌した。反応液を10℃まで冷却し、ベンジルアミン(49.7 g、 0.464 mol)を20℃以下を維持しながら15分間かけて滴下した。25℃まで昇温し、同温度で9時間攪拌した。反応終了後、常水(546 mL)、メチルイソブチルケトン(468 g)、4N水酸化ナトリウム水溶液(39 g)を添加し、25℃で5分攪拌し、静置後、水層を廃棄した。その後、有機層に常水(585 L)を添加し、25℃で5分攪拌し、静置後、水層を廃棄した。得られた有機層にメチルイソブチルケトン(156 g)、常水(156 g)を添加し、40℃に昇温した後7%塩酸水溶液(58.5 g)を40℃を維持しながら20分間かけて滴下した。この溶液に、種晶(22)(39 mg)を添加し、結晶を析出させた。結晶析出を確認後、40℃で30分間攪拌し、2N塩酸水溶液(39 g)を用いて懸濁液のpHを6.67に調整した。25℃に冷却した後、2N塩酸水溶液(19.5 g)を用いて懸濁液のpHを6.78に調整した。15分以上攪拌した後、析出した固体を濾取、メチルイソブチルケトン(374 g)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(22)(62.56 g、収率69.5%)を固体として得た。
*種晶(22)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
1H NMR (500MHz, DMSO-d6) : δ= 3.39 (dd, J = 11.5, 10 Hz, 1H), 3.49 (dt, J = 3, 11Hz, 1H), 3.58-3.70 (m, 2H), 3.72-3.78 (m, 1H), 3.79-3.90 (m, 5H), 3.93-4.04 (m, 1H), 5.80 (s, 2H), 7.09 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.28-7.52 (m, 7H), 7.91 (dd, J = 7.0, 8.0 Hz, 1H), 8.26-8.38 (m, 4H), 8.48 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.87 (d, J = 1.5 Hz, 1H).
【0096】
(実施例2)
N-ベンジル-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}-3-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)ピリジン-2-アミン一塩酸塩(22)の製造条件検討
【0097】
【化22】
【0098】
実施例1と同様の方法にて、各種塩基を用いてピリジン環化反応の検討を行った。
【0099】
【表1】
【0100】
(実施例3)
3-(4-アミノ-2-フルオロフェニル)-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-2-アミン一塩酸塩(23)の製造
【0101】
【化23】
【0102】
窒素雰囲気下、常水(41.7 L)、N-ベンジル-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}-3-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)ピリジン-2-アミン一塩酸塩(22)(6.95 kg、 119 mol)、1-プロパノール(97.3 L)、5%Pd/C(TYPE PE、0.76 kg)を加え、0.3 MPaGの圧力で3回窒素置換を行った。50℃に昇温し、0.3 MPaGの圧力で3回水素置換を行った。その後、50℃、水素0.3 MPaGの圧力下で2時間攪拌した。70℃に昇温し、7時間攪拌した後、系内を窒素置換した。同温度で濾過を行い、触媒を除去した後、70℃の常水/1-プロパノール溶液(常水6.3 L、1-プロパノール14.6 L)で洗浄し、得られた濾液を40℃まで冷却した。40℃を維持しながらこの濾液を52 Lになるまで減圧濃縮し、1-プロパノール(69.5 L)を加えた。もう一度40℃を維持しながら液量が52 Lになるまで減圧濃縮し、1-プロパノール(52.1 L)を加えた。この溶液を55℃に加温し、2時間攪拌した。その後、25℃まで冷却し、18時間攪拌した後、析出した固体を濾取、1-プロパノール(34.8 L)で洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(23)(4.97 kg、収率90.1%)を固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 3.43 (dd, J = 10, 11 Hz, 1H). 3.53 (dt J = 3.0, 11Hz, 1H), 3.64-3.72 (m, 2H), 3.80 (dd, J = 2.0, 11.5Hz, 1H), 3.85-3.92 (m, 5H), 3.97-4.04 (m, 2H), 5.86 (br, 1H), 6.51 (dd, J = 2.0, 12.5 Hz, 1H), 6.57 (dd, J= 2.0, 8.5 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.17 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.65 (br, 2H), 8.17 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.37 (d, J = 2.0 Hz, 1H).
【0103】
(実施例4)
3-(4-アミノ-2-フルオロフェニル)-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-2-アミン一塩酸塩(23)の製造
【0104】
窒素雰囲気下、N-ベンジル-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}-3-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)ピリジン-2-アミン一塩酸塩(22)(40 g、 0.069 mol)、N-メチルピロリドン(200 mL)、5%Pd/C(TYPE PE、4.5 g)を加え、0.3 MPaGの圧力で窒素置換、水素置換を其々3回行った。その後50℃に昇温し、水素0.3 MPaGの圧力下で1時間攪拌した。70℃に昇温し、2時間攪拌した後、系内を窒素置換した。室温に冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液(8.08 g、0.069 mol)を加え、終夜攪拌した。その後、濾過を行い、触媒を除去した後、N-メチルピロリドン(40 mL)で洗浄し、同温度で2-プロパノール(240 mL)を加え、6N-塩酸水溶液(4 g)を添加し、種晶(23)(40 mg)を添加した。起晶確認後、2時間攪拌し、2-プロパノール(240 mL)を加え、6N-塩酸水溶液でpH3.5に調整後、3時間攪拌した。析出した固体を濾取し、1回目はN-メチルピロリドン(28 mL)と2-プロパノール(56 mL)の混合液で洗浄し、2回目は2-プロパノール(80 mL)で洗浄した。その後、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(23)(29.90 kg、収率94.2%)を固体として得た。
*種晶(23)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
【0105】
(実施例5)
N-[4-(2-アミノ-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-3-イル)-3-フルオロフェニル]-5-メチル-4’-オキソ-1’-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1’,4’-ジヒドロ-2,3’-ビピリジン-5’-カルボキサミド(25)の製造
【0106】
【化24】
【0107】
窒素雰囲気下、N、N-ジメチルアセトアミド(35.6 L)、5-メチル-4′-オキソ-1′-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1′,4′-ジヒドロ-2,3′-ビピリジン-5′-カルボン酸(10)(3.56 kg、 10.8 mol)、精製水(152 g)を添加し、-8℃まで冷却した。その後、塩化チオニル(2.46 kg、 20.7 mol)を50分間かけて滴下し、同温度で1.5時間攪拌した。続いて3-(4-アミノ-2-フルオロフェニル)-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-2-アミン一塩酸塩(23)(4.77 kg、 10.3 mol)、N、N-ジメチルアセトアミド(3.6 L)を添加し、-8℃で40時間攪拌した。その後、N、N-ジメチルアセトアミド(14.3 L)と常水(3.6 L)の混合液を添加し、-8℃で1.5時間攪拌した後、60℃まで昇温した。この溶液に常水(7.1 L)を添加した後、トリエチルアミンを用いて溶液のpHを5.5に調整した。その後、種晶(25)(0.4 g)を添加し、結晶を析出させた。結晶の析出確認後、60℃で3.5時間攪拌し、同温度を維持しながら常水(16.0 L)を1時間かけて滴下した。この懸濁液にトリエチルアミンを加えてpHを5.7に調整した後、1時間かけて25℃まで冷却した。同温度で14時間攪拌した後、析出した固体を濾取、33%N、N-ジメチルアセトアミド水溶液(N、N-ジメチルアセトアミド11.7 L,常水23.8 L)と常水(35.6 L)で順次洗浄、40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(25)(7.17 kg、収率94.4%)を固体として得た。
*種晶(25)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) : δ= 1.42-1.62 (m, 4H), 2.16 (m, 1H), 2.40 (s, 3H), 3.39 (dt, J = 2.0, 12Hz, 2H), 3.55 (dd, J = 12, 10 Hz, 1H), 3.65-3.89 (m, 4H), 3.91 (s, 3H), 3.93-4.10 (m, 8H), 4.55 (br, 2H), 6.96 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1H), 7.38 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 2.0, 8.5 Hz, 1H), 7.59 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 2.5, 8.0 Hz,1H), 7.92 (dd, J = 4.0, 12 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 8.41 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.47-8.48 (m, 2H), 8.56 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 13.01 (s, 1H).
【0108】
(実施例6)
N-[4-(2-アミノ-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-3-イル)-3-フルオロフェニル]-5-メチル-4’-オキソ-1’-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1’,4’-ジヒドロ-2,3’-ビピリジン-5’-カルボキサミド(25)の製造
【0109】
【化25】
【0110】
反応容器1に窒素雰囲気下、N、N-ジメチルアセトアミド(67.5 mL)、5-メチル-4′-オキソ-1′-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1′,4′-ジヒドロ-2,3′-ビピリジン-5′-カルボン酸(10)(6.72 g、 0.020 mol)を添加し、-10℃まで冷却した。その後、塩化チオニル(2.55 g、 0.021 mol)を50分間かけて滴下し、同温度で4時間攪拌した。
反応容器2に窒素雰囲気下、N、N-ジメチルアセトアミド(49.5 mL)、3-(4-アミノ-2-フルオロフェニル)-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-2-アミン一塩酸塩(23)(9.00 g、 0.019 mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(3.11 g、 0.020 mol)を添加し、室温で0.5時間攪拌して完全に溶解させた後、-10℃まで冷却した。
続いて、反応容器1へ反応容器2の溶液を-10℃を維持しながら、1時間かけて滴下した。同温で2時間攪拌した後、常水(18 mL)を添加し、60℃まで昇温した。この溶液にトリエチルアミンを添加し溶液のpHを7.5に調整した後、種晶(25)(1.0 mg)を添加して結晶を析出させた。結晶の析出確認後、60℃で3時間攪拌し、同温度を維持しながら常水(45.0 mL)を1時間かけて滴下した。その後、1時間かけて25℃まで冷却した。同温度で16時間攪拌した後、析出した固体を濾取し、33%N、N-ジメチルアセトアミド水溶液(N、N-ジメチルアセトアミド45.2 mL,常水22.3 mL)と常水(67.5 mL)で順次洗浄して40℃で減圧乾燥することで、標記化合物(25)(13.55g、収率94.5%)を固体として得た。
*種晶(25)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
【0111】
(実施例7)
N-[4-(2-アミノ-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-3-イル)-3-フルオロフェニル]-5-メチルー4’-オキソ-1’-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1’,4’-ジヒドロ-2,3’-ビピリジン-5’-カルボキサミド硫酸塩水和物(26)の製造
【0112】
窒素雰囲気下、アセトン(49 mL)、N-[4-(2-アミノ-5-{4-[(2R)-1,4-ジオキサン-2-イルメトキシ]-3-メトキシフェニル}ピリジン-3-イル)-3-フルオロフェニル]-5-メチルー4’-オキソ-1’-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルメチル)-1’,4’-ジヒドロ-2,3’-ビピリジン-5’-カルボキサミド(25)(10.00 g、 0.014 mol)、精製水(1.7 mL)を添加し、45℃まで昇温した後、45℃を維持しながら25%硫酸水溶液(5.87 g)を添加した。結晶の溶解を確認した後、不溶物を除去するために同温度で濾過操作を行い、精製水/アセトンの混合溶液(精製水9 mL,アセトン21 mL)で洗浄した。その後、25%硫酸水溶液(4.27 g)、種晶(26)(10 mg)を順次添加し、結晶を析出させた。結晶の析出を確認し、終夜攪拌した後、精製水(3 mL)を加え、55℃まで昇温し1時間攪拌した。45℃に冷却した後、アセトン(40 mL)を30分かけて滴下した。45℃で30分攪拌した後、アセトン(40 mL)を30分かけて滴下した。45℃で30分攪拌した後、アセトン(40 mL)を30分かけて滴下した。45℃で30分攪拌した後、アセトン(80 mL)を1時間かけて滴下した。その後、60分間かけて25℃まで冷却し、同温度で終夜攪拌した。析出した固体を濾取、1回目はアセトン/精製水の混合液(アセトン44 mL、精製水6 mL)で結晶を洗浄し、2回目はアセトン(50 mL)で結晶を洗浄し、35℃、3 kPaの条件で減圧乾燥することで、標記化合物(26)(11.95 g)を固体として得た。
*種晶(26)は、反応溶液を一部採取し、減圧濃縮することで得られた。
得られた結晶について粉末X線結晶構造解析を行った。結果を図1および表2に示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) : δ= 1.37 (dq, J = 4.0, 12 Hz, 2H), 1.52 (d, J = 11.5 Hz, 2H), 2.15 (m, 1H), 2.49 (s, 1H), 3.31 (dt, J = 1.5, 11.5 Hz, 2H), 3.44 (dd, J = 10, 11.5 Hz, 1H), 3.53 (dt, J = 1.5, 11 Hz, 1H), 3.64-3.73 (m, 2H), 3.80 (dd, J = 2.0, 12 Hz, 1H), 3.85-3.92(m, 5H), 3.98-4.05 (m, 2H), 4.26 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 2.5, 8.5 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.57-7.62 (m, 2H), 7.77 (br, 2H), 8.04 (dd, J = 2.0, 13 Hz, 1H), 8.11 (br, 1H), 8.38 (dd, J = 2.5, 9.0 Hz, 2H), 8.48 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 8.69 (s, 1H), 8.88 (dd, 2.0, 7.0 Hz, 2H), 13.02 (br, 1H).
【0113】
【表2】
図1