(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】蒸気封じ込めを備えた毛髪を処理するための装置
(51)【国際特許分類】
A45D 1/00 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
A45D1/00 D
(21)【出願番号】P 2020534320
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2018086738
(87)【国際公開番号】W WO2019122399
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-10-05
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レジス フェレイレ
(72)【発明者】
【氏名】ジョアン サバティエ
(72)【発明者】
【氏名】マシアス ゲイネム
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515590(JP,A)
【文献】中国実用新案第203943226(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0201527(US,A1)
【文献】特開2005-080850(JP,A)
【文献】国際公開第2017/103228(WO,A1)
【文献】特表2017-519591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00ー 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪を処理するための装置であって、
互いに対して可動である2つのアーム(4,5)であって、それらの間に毛髪の束を挿入することができる離間構成、及び、前記毛髪の束を処理するための閉鎖構成とすることができ、前記閉鎖構成において、前記毛髪の束に沿って移動できる2つのアーム(4,5)と、
対向して配置された2つのアーム(4,5)により、それぞれ支持される2つの接触面(12,13)であって、少なくとも1つの前記接触面(12,13)が加熱されている2つの接触面(12,13)と、
前記アーム(4,5)の間にかみ合った前記毛髪を蒸すために、対応する前記接触面(13)から離れた一方の前記アーム(4)により支持される少なくとも1つの蒸気出口(20)と、
他方の前記アーム(5)により少なくとも部分的に支持される蒸気の少なくとも部分的な封じ込めを可能にする封じ込め構造(21)と、
前記少なくとも1つの蒸気出口(20)を支持する一方の前記アーム(4)により支持され、前記接触面(13)の縁部と直接対向する歯(31)を備えた櫛(30)と、
を含み、
前記少なくとも1つの蒸気出口(20)は、前記櫛(30)と前記接触面(12,13)との間に組み込むことができる、毛髪を処理するための装置。
【請求項2】
前記封じ込め構造(21)は、前記少なくとも1つの蒸気出口(20)に隣接して配置された少なくとも1つの凹部(25)を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記凹部は、溝(25)を形成する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記溝(25)の軸は、前記蒸気出口の軸(X)に平行である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記溝の軸(G)は、前記蒸気出口の軸(X)と0°以外の角度(α)を形成する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの蒸気出口(20)は、前記少なくとも1つの蒸気出口(20)の側面の前記接触面(12,13)と、前記櫛(30)の歯の基部との間の接触領域の縁部により画定される平面(T)に対して、一方の前記アーム(4)側に配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記封じ込め構造(21)は、前記櫛(30)用のケーシング(40)を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記封じ込め構造(21)は、前記アーム(4,5)が閉鎖構成にある場合に、前記接触面(12,13)と前記櫛の上部との間の接触領域の縁部を接続する平面(W)に対して、一方の前記アーム(4)側に少なくとも部分的に配置される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ケーシング(40)は、前記櫛(30)の前記歯(31)の一方の側面(32)のみを覆う、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記ケーシング(40)は、前記櫛(30)の前記歯(31)の両方の側面(32,33)を覆う、請求項7または8に記載の装置。
【請求項11】
前記封じ込め構造(21)は、前記少なくとも1つの蒸気出口(20)に隣接して配置された少なくとも1つの凹部(25)を有し、
前記凹部は、溝(25)を形成し、
前記封じ込め構造(21)は、前記櫛(30)用のケーシング(40)を有し、
前記溝(25)及び前記櫛(30)の前記ケーシング(40)は、前記封じ込め構造(21)上で、前記溝(25)と平行に配置されたリブ(41)によって分離されている、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記封じ込め構造(21)は、同じ前記アーム(5)により支持される前記接触面に取り付けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記封じ込め構造(21)は、いくつかの部品を一緒に組み立て、熱可塑性材料で成形することにより、単一の部品で構成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記封じ込め構造(21)は、前記少なくとも1つの蒸気出口(20)に隣接して配置された少なくとも1つの凹部(25)を有し、
前記凹部は、溝(25)を形成し、
前記溝(25)は、1mm~20mmの間の幅(i)を有し、1mm~15mmの間の深さ(p)を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記蒸気出口(のすべて)の累積蒸気流量は、0.5~1.1g/分の間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの蒸気出口(20)は、少なくとも1つの蒸気噴出チャネル(26)及び少なくとも1つの蒸気噴出ノズル(27)を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの蒸気出口は、3~10個の蒸気噴出ノズル(27)を有し、ノズル(27)の最大幅(l)は、2mm~8mmの間であり、ノズル(27)の高さ(h)は、2~10mmの間である、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つの蒸気出口(20)は、少なくとも1つの蒸気噴出チャネル(26)及び少なくとも1つの蒸気噴出ノズル(27)を含み、
前記蒸気噴出ノズル(27)は、対応する前記蒸気噴出チャネル(26)の一端に取り付けられ、前記蒸気噴出チャネル(26)は、幅(l')が、0.2mm~5mmの間であり、高さ(h’)が、1mm~15mmの間である、請求項16または17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪を処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
矯正クランプで毛髪を滑らかにすることが知られている。これらのクランプは、ブラッシングとは異なり、毛髪を引っ張ることなく高温で毛髪の繊維を滑らかにすることができる。しかしながら、良好な滑らかな外観を得るためには、クランプを数回通過させる必要があり、トリートメント時間をかなり長くしている。さらに、矯正クランプを繰り返し適用すると、毛髪が曝される温度により、毛髪の繊維が劣化することがある。
【0003】
例えば、ホットプレートによる処理に関連して、毛髪の処理に蒸気を使用することが知られており、蒸気は毛髪に噴霧又は拡散される。そのような方法は、毛髪を処理するための装置によって実施され得、及び/又は異なる美容の毛髪の処理と関連し得る。例には、文書EP 659 395、EP 659 393、EP 659 396、EP 659 397、US 2004/0000319、US 2004/0045570、JP 2000157322、EP1396207、EPI515628、EPI515629、EPI516554、FR 2967017及びWO2004/002262が含まれる。
【0004】
国際出願WO2014/064660は、毛髪に化粧品を適用し、それを蒸気処理し、それを熱処理にかけそしてそれを梳くための装置を記載している。
【0005】
また、国際出願WO2017017158は、ホットプレートを用いた、毛髪繊維の梳き方、毛髪繊維への組成物の塗布、蒸気の塗布、伝導及び/又は放射線による毛髪繊維の熱処理を含む、毛髪処理のプロセスを示している。
【0006】
最後に、刊行物FR3020930及びWO2015/173507はまた、携帯用トリートメントユニットを含む美容機器が、互いに向き合って配置されたプレートによって規定される、2つの加熱された接触面を備えたクランプを形成するように構成された2つのアームを備え、同時に毛髪の締め付けを可能にすることを示している。
【0007】
このトリートメントユニットは、2つの表面のうちの1つから第2の表面に蒸気を拡散するように構成された蒸気拡散デバイスを含む。アームの1つは、接触面の1つの下流又は上流に配置された櫛を含む。
【0008】
従来技術の装置は、特に、例えば、ボリューム及びホールドに関して、毛髪繊維で得られた結果の観点から、完全な満足を与えない。これらの装置の使用は、特に、ユーザーの毛髪が存在する可能性のあるさまざまな要素のために、蒸気出口穴が塞がり、これらの装置のパフォーマンスが低下する可能性があることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、特に、毛髪の最初の通過から満足のいく結果が得られる、使いやすく効率的な新しい毛髪を処理するための装置を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、この必要性を満たすことを目的とし、以下を含む毛髪を処理するための装置によってそれを達成する。
互いに対して可動である2つのアームであって、それらの間に毛髪の束を挿入することができる離間構成、及び、毛髪の束を処理するための閉鎖構成とすることができ、閉鎖構成において、毛髪の束に沿って移動できる2つのアームと、
対向して配置された2つのアームにより、それぞれ支持される2つの接触面であって、少なくとも1つの接触面が加熱されている2つの接触面と、
アームの間にかみ合った毛髪を蒸気にさらすために、対応する接触面から距離を置いて一方のアームにより支持される少なくとも1つの蒸気出口と、
他方のアームにより少なくとも部分的に支持される蒸気の少なくとも部分的な封じ込めるための封じ込め構造であって、好ましくは、少なくとも1つの蒸気出口に対して配置された少なくとも1つの凹部を示す封じ込め構造と、を含む。
【0011】
有利には、封じ込め構造は、接触面の外側、すなわち、接触面の外部に、少なくとも部分的に蒸気を封じ込めることを可能にする。
【0012】
「毛髪」という用語は、対応するヒト又は動物のケラチン繊維、ならびに「エクステンション」と呼ばれる合成繊維を含み、これらは、例えば、人の自然な毛髪の外観を変更するために、特に結合することによって、様々な手段によって人の自然な毛髪に取り付けられる。
【0013】
「接触面」とは、後に詳述するように、有利には加熱された矯正板からなる、毛髪を処理するための表面、好ましくは矯正面を意味する。各処理するための表面は、毛髪を処理するときに、少なくとも1つの毛髪の束と接触するように意図されている。
【0014】
「封じ込め構造」とは、上記のように、少なくとも1つの蒸気出口によって生成された蒸気の少なくとも部分的な封じ込めを可能にする少なくとも1つの部品又は部品のセットを意味する。
【0015】
「凹部」とは、有利には、蒸気出口に沿って走り、蒸気を蓄積、封じ込め、又は少なくとも部分的に封じ込めることを意図した中空区域を意味する。それは縦に伸ばすことができる。好ましくは、凹部は、その中に蒸気を蓄積することができる容積を規定する凹面形状を有する。それは有利には溝を形成することができる。この場合、溝の中央平面に属する溝の軸は、蒸気出口の軸と平行にするか、又は、蒸気出口の軸と合流するか、又は、蒸気出口の軸と0°以外の角度、例えば、45度以下にすることができる。凹部は、断面がU字型の窪みを含む1つのパーツ又は複数のパーツで区切られる。
【0016】
本発明により得られる少なくとも部分的な封じ込めは、有利には接触面の外側で、少なくとも1つの蒸気出口と封じ込め構造との間に位置する容積内に、より多くの蒸気を局所的に蓄積することを可能にし、毛髪を処理するために必要な蒸気の流れの減少につながり得る。トリートメントに必要な蒸気量の減少により、デバイスの自律性を拡大し、装置を離れる毛髪からの残留水分量を減らすことができる。さらに、封じ込め構造は、蒸気出口間の縦方向の蒸気のより良い分配に貢献することができる。したがって、毛髪の束を横方向により均一に処理することができる。
【0017】
さらに、封じ込め構造によって作成された仕切りは、少なくとも1つの蒸気出口と溝との間に位置する区域内の毛髪の束の通過中に、ほとんどの蒸気を局所的にのみ加えることを可能にする。したがって、この区域は、蒸気適用区域とされている。
【0018】
少なくとも1つの蒸気出口が、ある距離に配置されている、言い換えれば、隣接する接触面から離れており、従来技術のように、その中にないことは、接触面間の毛髪の領域への蒸気の適用をもたらさない。したがって、接触面によって生成される熱処理は、少なくとも1つの蒸気出口からの蒸気の適用から分離される。
【0019】
本発明による装置は、一体型水タンクを備えた自律型であり得るか、又はアームと、ハンドピースが接続されるベースステーションとによって形成されるハンドピースを含み、ハンドピースは、蒸気生成用の水を含むタンクを備える。
【0020】
装置は、好ましくは、アームの1つによって担持される歯を有する櫛を有する。この場合、櫛と接触面の間に少なくとも1つの蒸気出口を組み込むことができる。したがって、櫛は蒸気の封じ込めに寄与することができる。また、この場合、封じ込め構造は櫛のための有利なケーシングを有する。このようなケーシングは、櫛の歯の片側のみを覆うことができる。あるいは、ケーシングは、毛髪の通過方向において櫛の歯の両側を覆う。あるいは、ケーシングは歯の上部のみを覆う。ケーシングの利点の1つは、蒸気の封じ込めに貢献できることである。別の利点は、毛髪の束が櫛の歯の間を通過するときに、毛髪の束が貫通するように強制し、毛髪をとかす効率を向上させることである。次に、毛髪の束が矯正プロセス中に最初にほどかれ、毛髪の繊維が蒸気処理を受ける前に整然と整えられ、蒸気処理の効率が向上する。次に、閉じた状態に保たれている接触面の間で毛髪が通過し、接触面に圧力を加えて矯正プロセスを完了する。この優先的な配置によれば、装置は完全に両手利きである。
【0021】
前述の溝及び櫛のケーシングは、封じ込め構造上で、溝に平行に配置されたリブによって分離することができる。このリブは、ケーシングと溝を別の方法で定義するパーツの一部で形成できる。このパーツは、たとえば成形材料による単一の保持でできる。このようなリブは、溝の奥と毛髪の束の間の接触のリスクを制限するのに役立つ。
【0022】
例えば、封じ込め構造は、同じアームによって支持される、好ましくはプレートの接触表面の近くに配置される。封じ込め構造は、プレートに、つまり接触面に取り付けることができる。又は、反対にプレートから独立していて、例えばわずかに調整可能である。これにより、プレートはある程度の可動性を維持でき、たとえばそれ自体で回転する。
【0023】
好ましくは、アームの1つは、接触面の1つ、少なくとも1つの蒸気出口、及び、おそらくは櫛を担持し、他方のアームは、他の接触表面、封じ込め構造、及び、おそらく櫛のケーシングを担持する。
【0024】
好ましくは、1つ又は複数の蒸気出口は、蒸気出口又は櫛の歯の基部の側の接触面(毛髪がない場合)間の接触領域の縁によって画定される平面から後退している。これにより、毛髪が蒸気ノズルに接触するのを防ぎ、汚れや目詰まりのリスクを軽減する。さらに、接触面の閉鎖平面は、装置の閉位置にある櫛の底部の上にあり、「クッション効果」として知られる、毛髪の処理の開始時に頭から毛髪が外れることを回避する。したがって、この特定の配置により、毛髪は櫛と接触面の間で適切にまっすぐに張ることができる。
【0025】
封じ込め構造は、アームが閉鎖構成にある場合に、封じ込め構造の側面の接触面と櫛の上部との間の接触領域の縁部を接続する平面の後方に、完全ではないにせよ、少なくとも部分的に優先的に配置され、封じ込め構造と毛髪の束の間の接触のリスクを制限する。
【0026】
封じ込め構造は、例えば、PBTなどの熱可塑性材料、又は、TPEなどの熱可塑性エラストマー材料で成形することによって、一緒に組み立てられて作られた単一の部品又はいくつかの部品からなってもよい。
【0027】
溝の幅は、接触面、優先的にはプレートの長手軸に垂直に測定され、アームの近接構成で加熱面に平行に、1~20mm、好ましくは、2~12mm、有利には、約4mm。溝は、1mm~15mm、好ましくは、2~5mm、有利には、約2.5mmの深さを有することができる。溝には、電気抵抗などの独自の加熱方法はありません。溝の底の表面の温度は、ほぼ専ら、蒸気の投射によって引き起こされるこの表面の加熱によるものであることが好ましい。溝の縁は、好ましくは、少なくとも1つの蒸気出口を有する反対側のアームの表面と接触しない。
【0028】
蒸気出口(のすべて)の累積蒸気流量は、好ましくは、0.5~1.1g/分であり、好ましくは、3.5g/分以下、さらにより好ましくは、1g/分以下、例えば、0.7g/分~0.9g/分である。
【0029】
蒸気出口には、好ましくは、それ自体がポンプによって水が供給される蒸気室によって蒸気が供給される。
【0030】
少なくとも1つの蒸気出口は、有利には、少なくとも1つの蒸気噴出チャネル及び少なくとも1つの蒸気噴出ノズルを備える。このチャネルは、対応するアームの長手軸に垂直に向けることができる。ノズルは同じ向きにすることができる。したがって、蒸気は、接触面に垂直な方向に放出され、優先的にはプレート、すなわち、装置内の毛髪の束の移動方向に垂直な方向に放出される。
【0031】
好ましくは、ノズルは、円形断面を有する円錐形状であり、ノズルの断面は、ノズルの出口の方向に広がる。
【0032】
少なくとも1つの蒸気出口は、3~10個の蒸気噴射ノズル、好ましくは7個のノズルを有することができる。例えば、ノズルの最大幅は、2mm~8mmで、おおよそ5.3mmである。ノズルの高さは、例えば、2~10mm、好ましくは、3~6mm、有利には、約3.5mmに等しい。それらの軸間で測定された2つの隣接するノズル間の距離は、5~20mmの間であり得、有利には、おおよそ11mmに等しい。
【0033】
溝は、1つ又は複数の蒸気噴射ノズルの上端からの距離にあり、この距離は、閉位置にあるアームの長手方向軸によって測定した場合、たとえば3mm~20mm、好ましくは5mm~10mmである。
【0034】
蒸気は、特に添加剤を含まない、好ましくは水蒸気である。
【0035】
各蒸気噴出ノズルは、各蒸気噴出チャネルの一端に取り付けられることが好ましい。各チャネルは、例えば、0.2から5mmの間の幅を有し、有利には1.6mmにほぼ等しい。各チャネルは、例えば1~15mmの間の、有利には5mmにほぼ等しい高さを有する。
【0036】
ノズルは互いに同一にすることができる。チャネルは互いに同一にすることができる。
【0037】
装置は、化粧品組成物用のリザーバも、化粧品組成物用のアプリケーターも含まない場合がある。
【0038】
しかしながら、本発明は、例えば、アームの1つにより担持されたアプリケーターを用いたデバイスによるそのような組成物の適用、又は、装置によるトリートメント前もしくは後の適用を排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、以下の詳細な説明を読み、その実施の非限定的な例を読み、添付の図面を検討すると、より良好に理解されるであろう。
【0040】
【
図1】本発明による毛髪の装置の処理例を側面透視で概略的に示す。
【
図2】
図1の装置を反対側から透視して見た、
図1の装置を裏返した状態で概略的に示す。
【
図5】
図1の装置のアームの内部の概略的かつ部分的な平面図である。
【
図6】
図1の装置の部分的かつ概略的な縦断面図である。
【
図8】本発明による装置の別の例の概略的かつ部分的な断面図である。
【
図9】本発明による装置の別の例の概略かつ部分的な断面図である。
【
図10】本発明による装置の別の例の概略的かつ部分的な断面図である。
【
図11】本発明と一致する装置の変形例を断面で概略的に示す。
【
図12】
図1の装置のシーリング要素の分離された概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明では、同一の要素又は同一の機能には同じ参照符号が付されている。それらの説明は各図に関して繰り返されず、実施形態間の主な違いのみが述べられる。
【0042】
図1は、本発明による最初の例示的な実施形態による、毛髪を処理するための装置1を示す。
【0043】
図示の例では、装置1は、統合された水タンク2を備えた自律型である。
図1及び2では、電源コード3の一部だけが見える。
【0044】
装置1は、長手方向軸Yに沿って延びる2つのアーム4,5を含み、互いに対して移動可能である。この2つのアーム4,5は、互いの間に毛髪の束を導入するための離間構成と、毛髪の束を処理するための閉鎖構成をとることができる。
図1乃至3は、特に、この閉鎖構成を示す。
図10は、アームの間に毛髪の束を導入するために、アーム4及び5から分離された離間構成を示す。
【0045】
アーム4及び5は、クランプを形成するようにピボットリンク6により互いにヒンジ結合される。アーム4及び5のケースには、それぞれシェル17及び18があり、装置の様々なコンポーネントが収納されている。アーム4及び5は、閉鎖構成において、処理される毛髪の束に沿って移動可能であり、装置1を片手で操作するために、同時に握り得るそれぞれの近位部分4a及び5aを含む。
【0046】
また、アーム4及び5は、反対側の対応するプレート10及び11を有するとともに、それらの間に毛髪を挟み得るそれぞれの遠位部分4b及び5bを含む。
【0047】
プレート10及び11は、それぞれ接触面13及び12を規定する。
【0048】
図示の例では、接触面12及び13は実質的に平面である。
【0049】
プレート11は、接触面12から遠くないアーム5のケース22に収容された少なくとも1つの抵抗加熱要素15によって加熱される。変形例として、プレート10及び11はそれぞれ、別個の加熱装置によって加熱され、その場合、例えば、別の抵抗加熱要素がケース23に取り付けられる。
【0050】
接触面12及び13の形状については変形が可能であることに留意されたい。例えば、特定のヘアドレッシング装置のように、毛髪をカールさせることを可能にする曲面を実装したり、ヘアクリンパで使用されているような波状にしたり、歯などの多くの突起を装備したりすることもできる。
【0051】
装置1は、少なくとも1つの蒸気出口20を含み、この場合、プレート10から離れてアーム4によって運ばれるいくつかの出口を含み、これらがこの蒸気適用ゾーンにあるときに、アーム4と5の間にかみ合った毛髪を露出させる。
【0052】
本発明によれば、封じ込め構造21は、装置によって放出された蒸気の少なくとも部分的な格納を可能にする。この封じ込め構造21は、アーム5によって支えられている。この例では、蒸気出口20の前に溝25によって形成された凹部を有する。
【0053】
図示の例では、7つの蒸気出口20があるが、本発明は、特定の数の出口に限定されない。これらは、プレート10から離れた位置にあり、このプレート内にはありません。これは、所定の瞬間にプレート10と11の間にある毛髪の部分に蒸気を当てないようにするのに役立ち、また、残りの化粧品やフケなどの毛髪にある可能性のある要素によって詰まったりするリスクから蒸気出口を保護するのにも役立つ。したがって、プレート10及び11によって生成される熱処理は、出口20による蒸気の適用から分離される。
【0054】
また、アーム4は、図示の例では、特に、
図2及び7に見える単一列の歯31を提示する櫛30を特徴とする。櫛は、剛毛、及び/又は、例えば、剛毛の絹の房などの柔軟な剛毛を含んでもよい。
【0055】
各蒸気出口20は、
図4A及び4Cで見ることができるX軸上に延在し、ノズル27が上にあるチャネル26を有し、X軸は蒸気出口のそれである。各ノズル27は、外側に向かって広がる形状を有する。これにより、蒸気が封じ込め区域全体に均一に拡散し、特に、装置の前部及び/又は後部を通って、封じ込め区域から漏れる蒸気を継続的に更新することができる。
【0056】
溝25は、X軸を中心とする。これは、断面において、溝の軸が蒸気出口のX軸と混合されることを意味する。溝の底部は、アーム4及び5が閉位置にあるとき、この例では約8.5mmに等しいノズル27の上端28からの距離dにある。溝25はそれ自体の加熱システムを持たない。
【0057】
図6に見られるように、各ノズル27は、例えば、2.8mmの高さhと、その上端で3.4mmの最大幅lとを有する。各チャネル26は、例えば、1.6mmの内径に対応する4.8mmの高さh’及び幅l’を有する。
【0058】
アーム4の下側部分は、チャネル26及びノズル27を通過する出口20を通って突出する蒸気の生成を可能にする蒸気チャンバを収容する。
【0059】
このような蒸気室は、例えばPTCと呼ばれる正の温度係数を有するサーミスタからなる加熱装置と、NTCと呼ばれる例えば負の温度係数を有するサーミスタからなる加熱装置の温度を測定するための装置とを含み得る。これらの加熱及び測定装置は、
図4及び7に見えるハウジング23の下のハウジング24に配置されている。
【0060】
すべての蒸気出口から供給される総蒸気流量は、0.5g/minから0.8g/minの間である。
【0061】
蒸気出口20は、ポンプ、特に、それ自体がリザーバ2に接続された蠕動ポンプによって供給され得る蒸気チャンバを介して蒸気供給を受け取り、これらの要素は、好ましくは同じアーム4に配置される。
【0062】
この例では、
図4A乃至4Cに見られるように、アーム5は、プレート11を支持するための少なくとも第1の部分140と、第1とは異なりプレートから分離された少なくとも1つの第2の部分141とを備える。また、装置1は、シール要素150を含み、プレートと第1の部分140との間でプレート11の周りに少なくとも部分的に延びる近位部分151と、第2の部分141と接触して延びる遠位部分152とを備える。近位部分151及び遠位部分152は、第1の部分140と第2の部分141との間に延びる可撓性の中間部分153によって接続されている。近位部分151は、プレート11の全周にわたって延在する。
図4Bでより具体的に分かるように、シール要素150の近位部分151は、プレート11と第1の部分140のリブ155との間に挟まれている。この例では、近位部分151は、概してH形状の断面を有する。近位部分151は、プレート11の返し部157に係合する溝156と、第1の部分140のリブ155に係合する反対側の溝158とを有する。
【0063】
遠位部分152は、この例ではシェル18によって形成されたアーム5の第2の部分141と第3の部分142との間に挟まれている。
【0064】
中間部分153は、断面において少なくとも1つの屈曲を有する。図示の例では、中間部分153は、断面がU字形の底部を備え、反対側のアーム4に向かって凹状に湾曲している。次に、中間部分153は、シール要素150の中間部分153に大きな可撓性を与えるアコーディオンベローズなどのベローズのような形状を有し、有利には、プレート11の周りのシールを保証しながら、以下で説明するように、プレート11の動きに追従できるようにする。
【0065】
プレート11は、四辺を有する略長方形の輪郭を有する。中間部分153及び遠位部分152は、プレート11の4つの側面のうちの3つのみの周りに延在する。中間部分153及び遠位部分152は、少なくとも1つの蒸気出口20から最も遠いプレート11の側面16には存在しない。したがって、
図4A又は
図4Bでは、シール要素150が、蒸気出口20とは反対側のプレート11の側面16上の近位部分151のみを含むことが分かる。プレート11の他の3つの側面では、近位部分151は、特に
図4A又は4Cで見ることができるように、シール要素150の中間部分153によって延ばされる。プレートの側面16上の唯一の近位部分151に接合部を形成するシール要素150を制限することは、シールを著しく損なうことなく、装置1の幅を減少させる。
【0066】
特に、
図12を分離して見ることができるように、シール要素150は、装置1の長手方向軸Yに平行、かつ、プレート10に面するプレート11の加熱表面12に垂直であるプレート11を通過する中央の面に対して非対称の形状を有する。
【0067】
この例によれば、シール要素150の近位部分151は、プレート11とプレート支持体の第1の部分140との間に組み込むことにより、プレート11の全周囲に取り付けられた。言い換えると、プレート11の周縁は、シール要素150によってプレート支持体の第1の部分140から隔離され、これにより、接合部が確実にシールされる。
【0068】
さらにこの例では、シール要素150は、単一のアーム、すなわちアーム5上に存在し、少なくとも1つの蒸気出口20は、他のアーム、すなわちアーム4によって運ばれる。プレート11は、
図4Aに示す例では、球部分の形状のヘッド160の係合を介して対応するアームの自在軸受けに取り付けられており、ヘッド160は、プレート支持体の第1の部分140に相互依存している。次に、球部分は、アーム5のシェル18で形成された円筒壁161によって規定されるハウジングに取り付けられる。
【0069】
円筒壁161の円形縁部上でのヘッド160の球面の支持は、プレート間に挟まれた毛髪の束の厚さが均一でないときに、プレート11が旋回することを可能にするボールジョイントを作成し、したがって、ロックとの接触面が大きくなっている。中間部分153によるシール要素150の変形可能性は、蒸気に対する障壁の役割を果たす一方で、プレート11のこの旋回に追従することを可能にする。
【0070】
また、装置1は、動作温度を制御するために抵抗加熱要素の電力供給を管理するように構成された、図示されていない電子カードを含み得る。この電子カードは、2つのアーム4又は5の一方、例えばアーム4の近位部分4a内に配置することができ、ユーザーインターフェースを有する。
【0071】
さらに、装置1は、図示されていない、ILS可撓性ブレードスイッチタイプの磁気センサを備えてもよく、これにより、接触面12及び13が、処理されるべき毛髪の束を掴むために、実質的に互いに向かい合って掴むアーム4及び5の近接構成を検出することができる。別の変形例では、可撓性ブレードスイッチは、磁気抵抗センサMRSによって、又は任意の他の検出手段によって置き換えられる。
【0072】
図7に見られるように、蒸気出口20は、列で考慮される例において編成され、横方向は、長手方向Y軸、ホットプレート10の側縁37、及び、櫛30の歯列31に平行である。蒸気出口の列は、櫛30とプレート10の側縁37との間に配置されている。
図5に見られるように、これらの軸間で測定された2つの隣接するノズル27間の距離fは、例えば9.7mmに等しい。
【0073】
特に、
図4A及び
図4Cに見られるように、各蒸気出口20の上端28は、接触面13によって規定される平面(Y,Z)から後退し、蒸気出口20の上端28と平面(Y,Z)との距離eは、例えば、4.6mmに等しい。また、各蒸気出口20の上端28は、
図9に見られるように、接触面13の端部Mと櫛歯の基部Nとを接続するT平面から後退している。
【0074】
封じ込め構造21は、溝25に加えて、リブ41によって溝25から分離された櫛用のケーシング40を有する。リブ41は、長手方向Y軸に平行である。封じ込め構造21は、図示の例では、熱可塑性材料で成形された単一部品からなる。封じ込め構造21が一緒に組み立てられたいくつかの部品から作製される場合、検査の範囲を超えない。
【0075】
封じ込め構造21は、アーム4と5の近接構成でプレート10と11の間の接触領域の縁部Oと、櫛歯の端部を結合する線Fに対応する櫛31の上部とを接続する
図7の点線で示される平面Wの後方に大部分配置される。この例では、リブ41は、平面Wの下にわずかに突き出ている。
【0076】
関連するアームへの封じ込め構造21の固定は、様々な方法で行うことができる。図示の例では、封じ込め構造21を画定する部品は、ねじ込み、結合、溶接、又はクリックなどの既知の任意の組立て手段によって、シェル18に接合及び取り付けられる。
【0077】
溝25は、特に有意に、半円形の凹状断面を有し、プレート10及び11の長手方向Y軸に垂直、かつ、アーム4及び5の近接構成において接触面12及び13に平行に測定された幅iは、例えば、3.5mmに等しく、深さpは、例えば、1.8mmに等しい。しかしながら、本発明は、特定の断面形状に限定されず、U字断面、V字断面又は半楕円断面が可能である。図示の例では、溝25は、X軸に平行な平面と比較して対称的な縁部を有していない。
【0078】
この例では、ケーシング40は、アームの近接構成で、櫛30の歯31の内側32の一部のみ、すなわち、対向するプレート11のみを覆う。
【0079】
図8に示される変形形態では、櫛30のケーシング40は、歯31の内側32及び外側33の一部を覆う。ケーシング40は、歯31の側部32及び33から離れて、X軸に従って上方にシフトされ、歯31の側部32及び33に著しく平行な壁44及び45を特徴とすることができる。この場合、この図に見られるように、歯31の上部のみがケーシング40によって覆われている。
【0080】
ケーシング40によって提供される封じ込めは、蒸気が櫛30の歯31を通って、ケーシング40の下の歯31の上縁の上の空間を通って逃げるのを妨げない。しかしながら、この封じ込めは、蒸気放出に関して、プレート10及び11の上流の蒸気の封じ込めに寄与する追加の障害として作用する可能性がある。
【0081】
図4Aは、蒸気が主に封じ込められている体積Vを点線で示している。この体積は、プレート10と11の横方向の縁部37と38によって内側が、外側が櫛の歯31によって、そして溝25、リブ41及びケーシング40によって上部を覆う。また、シール要素150は、この容積の輪郭をしており、蒸気を封じ込めるのに役立つ。この体積Vは、例えば、5,500mm
3に近く、2,000から10,000mm
3の間であり得る。したがって、言い換えれば、体積Vの蒸気は、櫛30、封じ込め構造21、プレート10、11、及び、蒸気出口20の間に封じ込められる。
【0082】
特に
図6に見られるように、少なくとも1つの蒸気障壁43は、蒸気出口20の列の近位部分4aの端部でアーム4に配置され、蒸気をその側に封じ込めることができる。
【0083】
プレート10及び11は、装置1の中心に置かれず、装置1の側縁6にシフトされるが、櫛30は装置1の他の側縁7と平行に隣接することに留意されたい。蒸気出口20の列は、櫛とプレート10及び11との間に、櫛とプレート及び長手方向Y軸に平行に延びる。
【0084】
装置1を使用するとき、処理された毛髪の束は、この束に沿った装置の動きを考慮して、装置1に対して
図4Aに示される方向に従う。まず、特定の毛髪の領域が歯31と接触する。ケーシングの形状が与えられると、毛髪は、それによって櫛30の歯31の間を通過するように強いられる。毛髪の束の前述の領域は、蒸気が蓄積する可能性のある体積Vに達し、蒸気出口20によって放出された蒸気に曝される。最後に、毛髪の束の当領域は、加熱表面12と13の間に挟まれ、蒸気なしで熱処理を受ける。このような構成により、最初の通過から満足のいくストレートヘアが得られる。封じ込めによって許容される蒸気の流れを、好ましくは3.5g/min未満に減らすことで、プレート間の仕上げでの残留水分を減らし、良好な結果を得ることができる。
【0085】
本発明は、説明された実施例に限定されるものではない。
【0086】
例えば、装置は、例えば、プレート間の接触領域の縁部に又は櫛の前に配置される、又は、櫛と蒸気封じ込め領域の間、又は、蒸気とプレートの間に組み込まれているヘア製品アプリケーターを有し得る。
【0087】
封じ込め構造は変更できる。例えば、溝25は、別の形状又は配向を与えることができる。
【0088】
必要に応じて、
図8の例において、ケーシングから溝を分離するリブが削除される。
【0089】
図11に示す実施形態では、溝とケーシングとの間にリブはなく、溝25とケーシング40を形成する凹状部分を分離する凸状区域50がある。溝25は、ケーシング40に対して横方向に著しく閉じられた空洞ではない。さらに、溝25は、この例では、溝の底部を通過する断面G軸を示し、このG軸は、蒸気出口のX軸と45度に等しい0°以外の角度を形成する。図に見られるように、G軸は、通常、溝25が櫛の方に向けられている。このような配置は、蒸気の封じ込めを櫛30に向けてプレート10、11から遠ざけることを有利にする。
【0090】
さらに、この
図11では、円筒壁161によって画定されるケースの底部に対して一端で支持され、他端でヘッド160に対して支持されるコイルばね162を見ることができる。この図では、封じ込め構造21は、アーム4と5の近接構成でプレート10と11の間の接触領域の縁部と接続するW平面の後方に配置され、毛髪の束との接触を避けるために、櫛31の上部の封じ込め構造21は、この構造21と毛髪の束との間に一定量の蒸気を確保している。