(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】プロテーゼ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/66 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
A61F2/66
(21)【出願番号】P 2020550581
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 NL2018050823
(87)【国際公開番号】W WO2019112435
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-26
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】520199978
【氏名又は名称】ジャイロモティクス・ホールディング・ベスローテン・フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリクス,ギード・ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ロッヘフェーン,ヤーコプ・レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】リツマ,イリス・エリーネ
(72)【発明者】
【氏名】ズワルト,トーマス・セバスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】フォルカース,フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ヤガース・オプ・アッカーハウス,ステイン
(72)【発明者】
【氏名】ハイネン,クレメント・アールト・アイエ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ドノヴァン・デイン・レスター
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05139525(US,A)
【文献】特表2017-522102(JP,A)
【文献】特開2004-033693(JP,A)
【文献】国際公開第00/009046(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/049234(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテーゼのための関節であって、
-身体関節部分と、
-プロテーゼに接続され、回転軸を中心として前記身体関節部分に対して回転するように構成されたプロテーゼ関節部分と、
-前記身体関節部分及び前記プロテーゼ関節部分を互いに接続するように構成された接続部分と、
を備
え、
-前記身体関節部分及び前記接続部分の第1の側の一方は、第1の周期的配列を有する第1の組の当接部を備え、
-前記プロテーゼ関節部分及び前記接続部分の第2の側の一方は、第2の周期的配列を有する第2の組の当接部を備え、
-前記身体関節部分及び前記接続部分の前記第1の側の他方は、前記第1の組の当接部の内の当接部と係合するように構成された第3の組の当接部を備え、
-前記プロテーゼ関節部分及び前記接続部分の
前記第2の側の他方は、前記第2の組の当接部の内の当接部と係合するように構成された第4の組の当接部を備え、
-前記接続部分は、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置の間で
、前記回転軸と平行に移動するように又は前記回転軸を中心として平行移動するように構成され、
-前記第1の位置におい
て、
-前記第3の組の当接部の少なくとも一部が、前記第1の組の当接部の少なくとも一部と係合し、
-前記第4の組の当接部の少なくとも一部が、前記第2の組の当接部の少なくとも一部と係合し、
それによって、前記接続部分は、前記身体関節部分及び前記プロテーゼ関節部分を互いに剛性接続し、その結果、前記身体関節部分及び前記プロテーゼ関節部分は、前記回転軸を中心として互いに回転することができず、
-前記第2の位置において、
-前記第3の組の当接部の少なくとも一部が、前記第1の組の当接部の少なくとも一部と係合し、
-前記第4の組の当接部は、前記第2の組の当接部と係合せず、
それによって、前記接続部分は、前記身体関節部分に剛性接続され、その結果、前記回転軸を中心とする前記接続部分の回転は、前記回転軸を中心とする前記身体関節部分の回転に連動され、その一方で、前記プロテーゼ関節部分は、前記接続部分に対して前記回転軸を中心として自在に回転することが可能であり、
-前記第3の位置において、
-前記第3の組の当接部は、前記第1の組の当接部と係合せず、
-前記第4の組の当接部は、前記第2の組の当接部と係合
せず、
それによって、前記接続部分、前記身体関節部分、及び前記プロテーゼ関節部分は、いずれも互いに対して自在に、前記回転軸を中心として回転することが可能である、
関節。
【請求項2】
-前記身体関節部分は、第1の開口を備え、
-前記プロテーゼ関節部分は、第2の開口を備え、
-前記第1の開口及び前記第2の開口は、前記回転軸と真っすぐに並んでおり、
-前記接続部分は、実質的に円筒状であり、前記第2の開口内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている、
請求項1に記載の関節。
【請求項3】
-前記第1の組の当接部は、前記身体関節部分の前記第1の開口内に設けられ、
-前記第2の組の当接部は、前記プロテーゼ関節部分の前記第2の開口内に設けられ、
-前記第3の組の当接部及び前記第4の組の当接部は、前記接続部分の外側に設けられている、
請求項2に記載の関節。
【請求項4】
-前記第1の組の当接部及び前記第2の組の当接部の少なくとも一方は、外径が前記第1の位置の方向において増大するように、円錐形に形作られ、
-前記第3の組の当接部及び前記第4の組の当接部の少なくとも一方は、外径が前記第1の位置の方向において減少するように、円錐形に形作られている、
請求項1~請求項3のいずれか
1つに記載の関節。
【請求項5】
前記接続部分は、前記接続部分を摺動させることによって平行移動するように構成されている、
請求項1~請求項4のいずれか1つに記載の関節。
【請求項6】
前記接続部分を前記第1の位置に付勢するように構成された第1の剛性を有する第1の付勢要素を更に備える、
請求項1~請求項5のいずれか
1つに記載の関節。
【請求項7】
前記接続部分を前記第2の位置に付勢するように構成された第2の剛性を有する第2の付勢要素を更に備え、前記第1の剛性は、前記第2の剛性よりも低い、
請求項6に記載の関節。
【請求項8】
前記第1の周期的配列及び前記第2の周期的配列は、1よりも大きい最大公約数を有していない、
請求項1~請求項7のいずれか
1つに記載の関節。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか
1つに記載の関節を備えるプロテーゼであって、
-
前記身体関節部分は、脚接続部に接続され、
-
前記プロテーゼ関節部分は、足プロテーゼに接続されるように構成され、
-前記足プロテーゼは、第1の湾曲帯片を備え、前記
第1の湾曲帯片は、
-第1の湾曲区域
と、
-近位端において前記第1の湾曲区域に設けられた第1の直線区域
と、
を備え、
-前記足プロテーゼは、前記第1の湾曲区域の凹面側において前記プロテーゼ関節部分に接続されるように構成され、
-前記足プロテーゼは、弾性的に屈曲するように構成されている、
プロテーゼ。
【請求項10】
-前記足プロテーゼは、第2の湾曲帯片を更に備え、前記第2の湾曲帯片は、第2の湾曲区域
と、近位端において前記第2の湾曲区域に設けられた第2の直線区域
と、を備え、
-前記第2の湾曲区域の凹面側が、前記第1の湾曲区域の
凸面側に接続され、
-前記第2の湾曲区域は、前記第2の湾曲区域が実質的に前記第2の直線区域に移行すると共に前記第1の湾曲区域が実質的に前記第1の直線区域に移行する交点において、前記第1の湾曲区域と交差し、
-前記第1の直線区域の遠位端及び前記第2の直線区域の遠位端は、実質的に平行に突出している、
請求項9に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記第1の湾曲帯片は、実質的に前記交点において前記第2の湾曲帯片に接続されている、
請求項10に記載のプロテーゼ。
【請求項12】
-前記足プロテーゼは、第2の直線区域を更に備え、
-前記第2の直線区域は、近位端において前記第1の湾曲区域に取り付けられ、
-前記第2の直線区域の遠位端は、前記第1の湾曲帯片の前記第1の直線区域と実質的に平行に突出している、
請求項9に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記足プロテーゼは、第1の端において前記第1の湾曲帯片に取り付けられた踵部分を更に備える、
請求項10~請求項12のいずれか1つに記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記踵部分は、第2の端において前記第2の湾曲帯片に取り付けられている、
請求項13が請求項10又は請求項11に従属する場合の、請求項13に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記第1の直線区域
の遠位端は、前記第2の直線区域
の遠位端よりも更に突出している、
請求項10~請求項14のいずれか1つに記載のプロテーゼ。
【請求項16】
足、踵、及び底面の少なくとも1つのモールドを更に備える、
請求項9~請求項15のいずれか
1つに記載のプロテーゼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテーゼの分野に関し、更に具体的には、足-足首プロテーゼに関する。
【背景技術】
【0002】
プロテーゼは、多くの異なる形状因子を有する多くの異なる身体部分に対して提供される。プロテーゼは、バネ及びダンパーのような受動部品のみならずアクチュエータのような能動部品を備えることもある。
【0003】
特許文献1は、義足を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際特許出願公開第2017/171104号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周知のプロテーゼは、種々の構成部品を備える点を考慮すれば、調整が複雑である。より単純なプロテーゼも存在するが、このようなプロテーゼは、調整の選択枝が乏しい。より高い融通性を有するプロテーゼを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、プロテーゼのための関節が提示される。関節は、身体関節部分と、プロテーゼに接続され、回転軸を中心として身体関節部分に対して回転するように構成されたプロテーゼ関節部分と、身体関節部分及びプロテーゼ関節部分を互いに接続するように構成された接続部分とを備えている。この関節において、身体関節部分及び接続部分の第1の側の一方は、第1の周期的配列を有する第1の組の当接部を備え、プロテーゼ関節部分及び接続部分の第2の側の一方は、第2の周期的配列を有する第2の組の当接部を備えている。更に、身体関節部分及び接続部分の第1の側の他方は、第1の組の当接部の内の当接部と係合するように構成された第3の組の当接部を備え、プロテーゼ関節部分及び接続部分の第2の側の他方は、第2の組の当接部の内の当接部と係合するように構成された第4の組の当接部を備えている。接続部は、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置の間で平行移動するように構成されている。第1の位置において、第3の組の当接部の少なくとも一部が、第1の組の当接部の少なくとも一部と係合し、第4の組の当接部の少なくとも一部が、第2の組の当接部の少なくとも一部と係合する。第2の位置において、第3の組の当接部の少なくとも一部が、第1の組の当接部の少なくとも一部と係合し、第4の組の当接部は、第2の組の当接部と係合しない。第3の位置において、第3の組の当接部は、第1の組の当接部と係合せず、第4の組の当接部は、第2の組の当接部と係合しない。
【0007】
係合可能な組の当接部の2つの対を設けることによって、仮にこれらの2つの対が制限された数の当接部しか備えていなくても、身体関節部分及びプロテーゼ関節部分の高い自由度の角度位置が得られることになる。
【0008】
比較的わずかな数の当接部によって粗い精度しか得られなくても特定の調整には十分である場合、接続部分は、第2の位置に移動されるとよい。
【0009】
一実施形態では、身体関節部分は、第1の開口を備え、プロテーゼ関節部分は、第2の開口を備え、第1の開口及び第2の開口は、回転軸と真っすぐに並んでおり、接続部分は、実質的に円筒状であり、第2の開口内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている。
【0010】
このような実施形態によれば、接続部分は、関節に対して軸として機能することが可能である。
【0011】
他の実施形態では、第1の組の当接部は、身体関節部分の第1の開口内に設けられ、第2の組の当接部は、プロテーゼ関節部分の第2の開口内に設けられ、第3の組の当接部及び第4の組の当接部は、接続部分の外側に設けられている。この実施形態によれば、接続部分を種々の位置に平行移動させることによって、組の当接部の対を係合させ且つ離脱させることが可能である。
【0012】
更なる実施形態では、第1の組の当接部及び第2の組の当接部の少なくとも一方は、外径が第1の位置の方向において増大するように、円錐形に形作られ、第3の組の当接部及び第4の組の当接部の少なくとも一方は、外径が第1の位置の方向において減少するように、円錐形に形作られている。
【0013】
この実施形態では、第1及び第2の組の当接部の一方が、第3及び第4の組の当接部の一方と十分に位置ずれする必要がない。もし対応する円錐部分が互いに離れる方に移動したなら、これらの部分の組の当接部は、組の当接部が依然として部分的に重なっていても離脱することになる。
【0014】
更に他の実施形態は、接続部分を第1の位置に付勢するように構成された第1の剛性を有する第1の付勢要素を更に備えている。これによって、解除時に接続部分を第1の位置にしっかりと係止することが可能である。
【0015】
更に他の実施形態は、接続部分を第2の位置に付勢するように構成された第2の剛性を有する第2の付勢要素を更に備え、第1の剛性は、第2の剛性よりも低い。この実施形態によって、わずかな労力によって接続部分を第1の位置から第2の位置に移動させ、これによって、迅速な調整が可能になる。接続部分を第2の位置から第3の位置に移動させることによって精緻な調整を行うためには、より多くの労力が必要である。この第2の付勢要素によって、第2の位置及び第3の位置の間の選択の見極めが改良される。
【0016】
更に他の実施形態では、第1の周期的配列及び第2の周期的配列は、1よりも大きい最大公約数を有していない。この実施形態によれば、第1の周期的配列の当接部の数と第2の周期的配列の当接部の数との積に対応する角度を選択することによって、最もきめの細かい調整を行うことが可能である。
【0017】
第2の態様によれば、第1の態様による関節を備えるプロテーゼが提示される。このプロテーゼでは、身体関節部分は、脚接続部に接続され、プロテーゼ関節部分は、足プロテーゼに接続されるように構成され、足プロテーゼは、第1の湾曲帯片を備えている。第1の湾曲帯片は、第1の湾曲区域及び近位端において第1の湾曲区域に設けられた第1の直線区域を備えている。このプロテーゼでは、足プロテーゼは、第1の湾曲区域の凹面側においてプロテーゼ関節部分に接続されるように構成され、足プロテーゼは、弾性的に屈曲するように構成されている。
【0018】
一実施形態は、第2の湾曲帯片を更に備え、第2の湾曲帯片は、第2の湾曲区域及び近位端において第2の湾曲区域に設けられた第2の直線区域を備えている。この実施形態では、第2の湾曲区域の凹面側が第1の湾曲区域の凹面側に接続され、第2の湾曲区域は、第2の湾曲区域が実質的に第2の直線区域に移行すると共に第1の湾曲区域が実質的に第1の直線区域に移行する交点において、第1の湾曲区域と交差し、第1の直線区域の遠位端及び第2の直線区域の遠位端は、実質的に平行に突出している。
【0019】
この実施形態によれば、自然な足の動力学、特に内反/外反の改良された模倣が可能になる。
【0020】
他の実施形態によれば、第1の直線区域の遠位端は、第2の直線区域の遠位端よりも更に突出している。この実施形態は、大きな爪先を模倣することが可能である。
【0021】
第2の態様の実施形態は、第1の態様の使用例及びそれらの実施形態を提示しているが、少なくともいくつかの実施形態は、他の形式の関節と共に用いられる態様自体の基礎を提示している。
【0022】
以下、図面と関連して、種々の態様及び実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2B】第1の位置における接続部分を含む断面図である。
【
図2C】第2の位置における接続部分を含む断面図である。
【
図2D】第3の位置における接続部分を含む断面図である。
【
図3B】モールドと共に足プロテーゼを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、関節200と、身体関節部分210と、プロテーゼ関節部分220と、足プロテーゼ300とを備えるプロテーゼ100を示している。足プロテーゼ300は、プロテーゼ関節部分220に接続され、回転軸201を中心として身体関節部分210に対して回転するように構成されている。関節200は、プロテーゼ関節部分220に対する身体関節部分210の回転を可能とするように配置されている。
【0025】
足プロテーゼ300は、湾曲区域302を備え、湾曲区域302の凹面部は、プロテーゼ関節部分220に取り付けられているとよい。足プロテーゼ300の凹面部がプロテーゼ関節部分220に取り付けられているので、比較的大きい湾曲区域302によって弾力性をもたらしながら、プロテーゼ100によって占められる全容積を比較的小さくすることができる。更に、プロテーゼ100が足首プロテーゼとして用いられる時、該足首プロテーゼを足プロテーゼ300の凹面に取り付けることによって、足及び脚に対する足首の自然な位置に対応する自然な回転点が得られることになる。
【0026】
図1は、足及び足首に対するプロテーゼ100を示しているが、想定される他の実施形態では、プロテーゼ100は、どのような他の身体部分、例えば、肩、肘、腕、指、膝、股関節、等と置き換えられるように構成されてもよい。
【0027】
図2Aは、身体関節部分210、プロテーゼ関節部分220、及び接続部分240を備える関節200の一実施形態を示している。接続部分240は、身体関節部分210及びプロテーゼ関節部分220を互いに接続するように構成されている。接続部分240は、回転軸201に対して実質的に軸対称に設けられているとよい。
【0028】
身体関節部分210は、身体部分との接続をもたらすための接続要素216を備えている。接続要素216は、雄型又は雌型ピラミッドアダプタ、チューブクランプ、4ホールアダプタ、任意の他のプロテーゼコネクタ、又は任意のそれらの組合せの少なくとも一部であるとよい。
【0029】
関節200の一実施形態では、接続部分240は、身体関節部分210とプロテーゼ関節部分220との間の回転軸201を中心とする回転を一時的に可能にするように構成されている。この回転を可能にするために、プロテーゼ100へのユーザーの介入が必要である。このような介入によって、回転の永久的又は一時的な係止又は係止解除又それらの任意の組合せがなされるとよい。ユーザーの介入は、ボタンを押すか、ノブを回転させるか、レバーを引くか、又はどのような他の手段によって行われてもよい。代替的又は追加的に、接続部分240の平行移動は、ロータリー式又はリニア式電動モータのようなアクチュエータによって行われてもよい。回転の係止は、例えば、摩擦要素を用いる力閉鎖機構、又は例えば、表面上又は表面内のカム、凹部、および他の変形物によってなされる当接部の係合に基づく形状閉鎖機構によってもたらされるとよい。
【0030】
関節200の他の実施形態では、身体関節部分210の第1の部分は、第1の周期的配列を有する第1の組の当接部241を備えている。接続部分240の第1の側は、第1の周期的配列を有する第3の組の当接部243を備えている。プロテーゼ関節部分220の第1の部分は、第2の周期的配列を有する第2の組の当接部242を備えている。接続部分240の第2の側は、第2の周期的配列を有する第4の組の当接部244を備えている。第3の組の当接部243は、第1の組の当接部241の一部の当接部に当接するように構成されている。第4の組の当接部244は、第2の組の当接部242の一部の当接部と当接するように構成されている。
【0031】
関節200の一実施形態では、接続部分240は、接続部分240を回転軸201を中心として平行移動させることによって、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置の間で移行するように構成されている。第1の位置では、第3の組の当接部243の少なくとも一部が第1の組の当接部241の少なくとも一部と係合し、第4の組の当接部244の少なくとも一部が第2の組の当接部242の少なくとも一部と係合するようになっている。これは、
図2Bに示されている。
【0032】
第2の位置では、第3の組の当接部243の少なくとも一部が第1の組の当接部2412の少なくとも一部と係合し、第4の組の当接部244は、第2の組の当接部242と係合しない。これは、
図2Cに示されている。第4の組の当接部が設けられた接続要素の円錐部分によって、第4の組の当接部244及び第2の組の当接部242は、接続要素240の第2の位置において離脱し、第1の組の当接部241及び第3の当接部243は、依然として係合されていることに留意されたい。
【0033】
第3の位置では、第3の組の当接部243は、第1の組の当接部241と係合せず、第4の組の当接部244は、第2の組の当接部242と係合しない。これは、
図2Dに示されている。
【0034】
第1の位置に配置された時、接続部分240は、身体関節部分210及びプロテーゼ関節部分220を互いに接続し、これによって、身体関節部分210及びプロテーゼ関節部分220は、回転軸201を中心として互いに回転することができない。これは、接続部分240の第3の組の当接部243と係合する身体関節部分210の第1の組の当接部241と、接続部分の第4の組の当接部244に係合する第2の組の当接部242とによって達成される。これによって、接続部分240は、身体関節部分210とプロテーゼ関節部分220との間に実質的に剛性の接続をもたらすことになる。
【0035】
第2の位置に配置された時、接続部分240は、身体関節部分210に接続され、これによって、回転軸201を中心とする接続部分240の回転は、回転軸20を中心とする身体関節部分210の回転に連動される。換言すれば、接続部分240及び身体関節部分210は、離脱可能に剛性接続されたことになる。しかし、この位置では、プロテーゼ関節部分220は、身体関節部分210に剛性連結された接続部分240に対して回転軸201を中心として自在に回転することが可能である。何故なら、これらの対応する当接部が互いに係合していないからである。
【0036】
接続部分240がこの第2の位置に配置された時、プロテーゼのユーザーは、プロテーゼ関節部分220を身体関節部分210に対して第1の周期的配列に対応して得られる角度で配置することが可能になる。所望の角度が設定されたなら、接続部分240は、第1の位置に後退されるとよい。この第2の位置は、身体関節部分210とプロテーゼ関節部分220との間の迅速な角度調整を可能にする。
【0037】
第3の位置に配置された時、接続部分240は、身体関節部分210及びプロテーゼ関節部分220のいずれにも剛性接続されない。このような構成では、接続部分240、身体関節部分210、及びプロテーゼ関節部分220は、いずれも互いに対して自在に回転することが可能である。接続部分240がこの第3の位置に配置された時、第1の周期的配列と第2の周期配列とが1よりも大きい最大公約数を有していない限り、プロテーゼ関節部分220を身体関節部分210に対して第1の周期的配列(第1の当接部241の数)に第2の周期的配列(第2の当接部242)を掛けた値に対応して得られる角度で配置することが可能になる。所望の角度が設定されたなら、前述したように、接続部分240は、対応する当接部が互いに係合される第1の位置に後退されるとよい。
【0038】
接続部分240を第1の位置、第2の位置、及び第3の位置に配置する能力によって、ユーザーは、接続部分240の第2の位置及び第3の位置のそれぞれにおいて、プロテーゼ関節部分220と身体関節部分210との間の角度をより大きい値又はより小さい値に設定することが可能になる。
【0039】
第1の組の当接部241、第2の組の当接部242、第3の組の当接部243、及び第4の組の当接部は、1つのみの当接部を含むどのような数の当接部であってもよい。もし第1の組の当接部241が1つのみの当接部であってなら、第3の当接部243は、1つよりも多い数の当接部であるとよく、又はその逆であってもよいことに留意されたい。もし第2の組の当接部242が1つのみの当接部であったなら、第4の当接部244は、1つよりも多い数の当接部であるとよく、又はその逆であってもよい。関節200の好ましい実施形態では、第1の周期的配列及び第2の周期的配列は、1よりも大きい最大公約数を有していない。前記最大公約数は、整数である。これによって、身体関節部分210に対するプロテーゼ関節部分220の角度をより正確に設定することが可能になる。
【0040】
例えば、第1の周期的配列が2であり、第2の周期的配列が8の場合、身体関節部分210に対するプロテーゼ関節部分220の角度として8通りの角度値しかもたらさないが、第1の周期的配列が2であり、第2の周期的配列が7の場合、身体関節部分210に対するプロテーゼ関節部分22の角度として14通りの角度値をもたらす。想定される更なる実施形態では、対応する第1の周期的配列及び第2の周期的配列によって、50、250、500、又はそれを超える数の角度値も考えられ、これによって、身体関節部分210及びプロテーゼ関節部分220間の角度の正確な設定が可能になる。関節200の実施形態では、第1の周期的配列は、第2の周期的配列よりも小さい。関節200の他の実施形態では、第1の周期的配列が第2の周期的配列よりも大きくてもよい。第1の周期的配列が19で、第2の周期的配列が58であると好ましい。これは、第1の組の当接部241及び第3の組243の当接部の少なくとも一方が19個の歯から成っており、第2の組の当接部243及び第4の当接部244の少なくとも一方が58個の歯又はカムから成っていることを意味している。
【0041】
任意選択的に、関節200は、第1の付勢要素251を備えているとよい。本明細書では、第1の付勢要素251は、接続部分240を第1の位置に向かって付勢するように構成されている。更なる選択枝として、代替的又は付加的に、関節200は、第2の付勢要素252を備えていてもよい。第2の付勢要素252は、接続部分240を第2の位置に向かって付勢するように構成されている。第1の付勢要素251の第1の剛性は、好ましくは、第2の付勢要素252の第2の剛性よりも低いとよい。剛性の差は、例えば、約2倍、5倍、10倍、又はそれよりも大きいとよい。この剛性の差によって、プロテーゼ300のユーザーは、接続部分240をより容易に所望の位置に位置決めすることが可能である。所望の位置は、好ましくは、きめ細かく角度を設定することができる第2の位置である。代替的に、この所望の位置は、身体関節部分210とプロテーゼ関節部分220との間でより小さい間隔を隔てた複数の角度を設定することができる第3の位置であってもよい。
【0042】
第1の付勢要素251及び第2の付勢要素252は、コイルバネ、螺旋バネ、べレヴィルワッシャー、任意の他の付勢要素、又は任意のそれらの組合せとして設けられるとよい。
【0043】
関節200の他の実施形態では、身体関節部分210は、第1の開口211を備え、プロテーゼ関節部分220は、第2の開口221を備えている。第1の開口211及び第2の開口221は、回転軸201を中心として実質的に軸対称に設けられ、これによって、互いに真っすぐに並んでいる。この実施形態では、接続部分240は、第2の開口221内に少なくとも部分的に配置されると共に、任意選択的に第1の開口211内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている
【0044】
関節200の一実施形態では、第1の組の当接部241は、第1の開口211の内側に設けられ、第2の組の当接部242は、第2の開口221の内側に設けられている。第3の組の当接部243及び第4の組の当接部244は、接続部分240の外側に設けられている。
【0045】
関節200の更に他の実施形態では、第1の組の当接部241及び第2の組の当接部242の一方が設けられた接続部分240の少なくとも一部は、円錐状に形作られ、接続要素のこの当接部の外径は、第1の位置に向かって増大している。また、第3の組の当接部243及び第4の組の当接部244の少なくとも一方は、円錐形に形作られ、これらの当接部の外径は、第1の位置に向かって減少している。このような実施形態では、第1の位置と第2の位置との間の距離は、円錐状の組の当接部間の接触面を保った状態で小さく維持されるとよい。
【0046】
図2Aに示される実施形態では、第4の組の当接部244が設けられた接続部分240の一部には、第3の組の当接部243に近づくにつれてより小さい直径になるようなテーパが付されている。第2の開口221に設けられた第2の組の当接部242には、相補的な形状のテーパが付されている。従って、第3の組の突起243がプロテーゼ関節部分220から突出するように接続部分240が第2の開口221に配置されると、第2の組の突起242が第4の組の突起244と係合する。これらのテーパ形状の利点は、接続部分240を第4の組の当接部244が第2の組の当接部242を完全に超えて配置されるように平行移動させなくてもよいことにある。これらの組の当接部の円錐形状によって、第2の組の当接部242を第4の組の当接部244に対して部分的に移動させることによって、これらの当接部を離脱させることができる。
【0047】
関節200の更なる実施形態では、この関節は、第2の身体関節部分部材212を備えている。第2の身体関節部分部材212は、接続部分240の軸方向の平行移動を拘束するように構成されている。この目的を達成するために、第2の身体関節部分部材212は、身体関節部分210に剛性的に接続されるとよい。
【0048】
身体関節部分210は、プロテーゼ関節部分212を身体関節部分210に対して真っすぐに並べるように構成された第1の位置合せ当接部215を備えているとよく、これによって、身体関節部分210の中心線及びプロテーゼ関節部分212の中心線が回転軸201と真っすぐに並ぶことになる。好ましくは、第1の開口211は、第2の開口221と真っすぐに並んでいる。第2の身体関節部分部材212を備える関節200の実施形態では、第2の身体関節部分部材212は、プロテーゼ関節部分212を回転軸201に沿って第2の身体関節部分部材212と真っすぐに並べるように構成された第2の位置合せ当接部225を備えているとよい。
【0049】
図3Aは、第1の湾曲帯片310、第2の湾曲帯片320、及び踵部分330を備える足プロテーゼ300を示している。第1の湾曲帯片310は、その近位端に第1の湾曲区域311を備え、その遠位端に第1の直線区域312を備えている。第2の湾曲帯片320は、その近位端に第2の湾曲区域321を備え、その遠位端に第2の直線区域322を備えている。
【0050】
第1の湾曲帯片310は、プロテーゼ300のユーザーとユーザーが直立している地面との間に弾性支持をもたらすように配置されている。プロテーゼ300に加えられるユーザーの体重がプロテーゼ300を圧縮し、この体重が解放されると、例えば、歩行中に脚を持ち上げると、プロテーゼ300は、所定の形状に戻ることによる。
【0051】
プロテーゼ300のユーザーとプロテーゼ300が置かれる地面との間に弾性支持をもたらすために、プロテーゼ300は、少なくとも第2の湾曲帯片320、任意選択的に第1の湾曲帯片310、及び選択的に踵部分330を備えている。この配置の理由は、
図3Aに示されるように、プロテーゼ300は、第2の直線端322のような親指として機能する部分を備えると好ましいからである。踵部分330は、プロテーゼ関節部分220が身体関節部分に対して所定範囲の角度内にある時にのみ、プロテーゼ300のユーザーと地面との間に支持をもたらすように更に構成されているとよい。例えば、プロテーゼ300が走行に用いられる時、ユーザーは、踵部分330が直接的であっても又は間接的であっても走行している地面と接触することを望まない。これは、例えば、前述したようにプロテーゼ300の関節を旋回させることによって達成される。
【0052】
足プロテーゼ300の実施形態では、足プロテーゼ300は、第1の湾曲帯片310を備えている。第1の湾曲帯片310は、第1の湾曲区域311の凹面側においてプロテーゼ関節部分220に取り付けられるように構成されている。第1の湾曲帯片310の湾曲形状、特に、その材料の弾性特性によって、第1の湾曲帯片310は、足プロテーゼ300の上側に加えられる負荷によって屈曲するように構成されている。
【0053】
足プロテーゼ300の他の実施形態では、足プロテーゼ300は、第1の湾曲帯片310及び第2の湾曲帯片320を備えている。第2の湾曲帯片320は、その近位端に第2の湾曲区域321を備え、その遠位端に第2の直線区域322を備えている。第2の湾曲帯片320は、第1の湾曲帯片310の凹面側に接続されている。第1の湾曲帯片310は、交点312において第2の湾曲帯片320と交差している。この交点312において、第1の湾曲帯片310は、第2の湾曲帯片320に接続されているとよい。このような接続は、固定されていてもよいし、又は代替的に、第2の湾曲帯片に対する第1の湾曲帯片310の回転運動又は平行運動の少なくとも一方を可能にするようになっていてもよい。
【0054】
交点312の遠位側において、第1の直線区域312及び第2の直線区域322は、それぞれ、第1の直線区域312の遠位端及び第2の直線区域322の遠位端に向かって突出している。一実施形態では、第1の直線区域312は、第2の直線区域322よりも更に突出している。他の実施形態では、第2の直線区域322は、第1の直線区域312よりも更に突出している。第1の直線区域312と直線区域322との間のこの長さの差は、人の足の親指及び小指に類似し、足プロテーゼ300の安定性を高めるようになっているとよい。走行のような活動時には、足プロテーゼ300のユーザーは、最遠部まで突出する直線区域によってのみ支持されるとよい。
【0055】
第1の直線区域312及び第2の直線区域322を備える足プロテーゼ300の実施形態では、足プロテーゼ300は、捩じり力が加えらえた時に捻ることが可能である。この所謂外反/内反は、以下の事実、すなわち、第1の直線区域312及び第2の直線区域322が互いに対して移動することが可能であり、特に、互いに対して少なくとも屈曲又は偏移することが可能であり、且つ関節に接続する箇所に近い端部において互いに捻じれることが可能であるという事実によって可能になる。これは、でこぼこ面を歩行する時にユーザーの安定性を増大することになる。
【0056】
歩行時に、人は、最初、踵を地面に置く。次に、足を動かし、ユーザーの体重が爪先に掛かるまで、更に足を動かす。このような挙動を模倣するために、足プロテーゼ300では、第1の湾曲帯片310及び任意選択的な第2の湾曲帯片320は、曲げモーメントによって屈曲するように構成された弾性要素として設けられている。このような曲げモーメントは、ユーザーが地面に対して足を動かす時に生じる。
【0057】
足プロテーゼ300の更に他の実施形態では、足プロテーゼ300は、第1の湾曲区域311、第1の直線区域312、及び第2の直線区域322を備える第1の湾曲帯片310を備えている。この実施形態では、第2の直線区域322は、第2の直線区域322の近位端において第1の湾曲帯片310に接続されている。
【0058】
足プロテーゼ300の他の実施形態では、足プロテーゼ300は、第1の湾曲帯片310、第2の湾曲帯片320、及び踵部分330を備えている。足プロテーゼ300の一実施形態では、踵部分330は、その第1の端において第1の湾曲帯片310に接続されている。足プロテーゼ300の他の実施形態では、踵部分330は、その第2の端において第2の湾曲帯片310に接続されている。足プロテーゼ300の更に他の実施形態では、踵部分330は、その第1の端において第1の湾曲帯片310に接続され、その第2の端において第2の湾曲帯片320に接続されている。
【0059】
第1の湾曲帯片310及び第2の湾曲帯片320は、負荷が加えられ、次いで、負荷がと除かれた後、所定の形状に戻るように構成された弾性材料から成っている。この材料は、プラスチック、炭素繊維、チタン、他の金属、レジン、任意の他の材料、又はそれらの任意の組合せ、例えば、複合材料の形態にある組合せであるとよい。
【0060】
更に他の実施形態では、第1の湾曲帯片310及び第2の湾曲帯片320は、単一部品として製造されている。更に、第1の湾曲帯片310、第2の湾曲帯片320、及び踵部分330は、単一部品として製造されてもよい。また、第1の湾曲帯片310、第2の湾曲帯片320、及び踵部分330の2つの任意の他の組合せが、単一部品として製造されてもよい。このような単一部品又は多重部品は、例えば、3D印刷、成型、任意の他の製造方法、又はそれらの任意の組合せによって製造されるとよい。
【0061】
図3Bは、足モールド351、踵モールド352、及び底面モールド353を更に備えるプロテーゼ100を示している。足モールド351は、第1の湾曲帯片310及び第2の湾曲帯片320の少なくとも1つに取り付けられるとよい。
【0062】
図3Bでは、プロテーゼ100は、斜面400上に置かれている。身体関節部分210に対するプロテーゼ関節部分220の角度は、この構成では、プロテーゼによってユーザーが可能な限り斜面を寛いで歩くことが可能になるように選択されている。
【0063】
図3Bに示されるように、プロテーゼ100は、足モールド351、踵モールド352、及び底面モールド352を備えている。しかし、足モールド351、踵モールド、及び底面モールド353の1つのみ又は2つを有する他の実施形態も考えられる。
【0064】
足モールド351、踵モールド352、及び底面モールドの少なくとも1つは、足プロテーゼ300の外観又は性能を変更するために、交換可能に設けられているとよい。例えば、水泳に用いられる時、第1の設定として足の形状を模倣した足モールド351は、ひれ足の形状を模倣した足モールド351と交換されてもよい。
【0065】
身体関節部分210に対するプロテーゼ関節部分220の角度の更なる設定も考えられる。これらの角度の設定は、歩行、ランニング、下り坂のジョギング、寛いだ着座、階段昇降、水泳、(テニス、フットボール、ホッケー等の)スポーツ、ハイヒールでの歩行、子供との遊戯、又は任意の他の活動に対応する。
【0066】
特定の活動において身体関節部分210に対してプロテーゼ関節部分220が位置決めされる角度を示す角度指示計が、プロテーゼ100に設けられてもよい。
【0067】
プロテーゼ100の任意の部分の設計は、特定のユーザーに着用されるように、例えば、ユーザーの身長、体重、任意の他のパラメータ、又はそれらの任意の組合せに適するように構成されているとよい。更に、プロテーゼ100のいくつかの部品は、特定の目的、例えば、ランニング又は水泳に適合するように作製されてもよいし、又は特定の靴、例えば、スニーカー、ビーチサンダル、又はハイヒールに適合するように作製されてもよい。
【0068】
足プロテーゼ300の任意の部品、例えば、第1の湾曲帯片310、第2の湾曲帯片320、及び踵部品330は、少なくとも部分的に中空部品として作製されてもよい。更に、足プロテーゼ300を構成する部品は、チタン、他の金属、樹脂、カーボン、カーボン繊維、テフロン(登録商標)、任意の他の材料、又はそれらの任意の組合せ、例えば、複合材料の形態にある組合せから作製されるとよい。プロテーゼ100を構成する材料は、特定の目的、例えば、水中での使用に適合しているとよい。
【0069】
第2の態様によるプロテーゼ100は、第1の態様による関節によって、プロテーゼ関節部分220を身体関節部分210に対して回転軸201を中心としてある角度だけ回転させることが可能である。プロテーゼ関節部分220が身体関節部分210に対して回転する角度の大きさは、身体関節部分210が取り付けられた脚の裏に踵モールド352が衝突する第1の限界位置によってのみ制限される。第2の限界位置は、身体関節部分210が取り付けられた脚の正面に足モールド351、第1の直線区域312、又は第2の直線区域322の1つが衝突する位置である。
【0070】
ユーザーは、プロテーゼ関節部分220と身体関節部分210との間の角度を変化させた後、個別的な第1の周的配列及び個別的な第2の周期的配列に起因してプロテーゼ関節部分220と身体関節部分210との間の特定の大きさの回転角が適していることに気付いた時、この特定の大きさの回転角を再び設定することができる。この再現性は、前述の種々の状況でプロテーゼ100を用いるユーザーにとって特に有利である。
【0071】
要約すると、プロテーゼ用関節は、プロテーゼ部分及び身体部分を備えている。これらの2つの部分は、接続部分によって互いに接続されている。第1の対の互いに係合する当接部の組が接続部分及びプロテーゼ部分に設けられ、第2の対の互いに係合する当接部の組が接続部分及び身体部分に設けられている。接続部分の位置を調整することによって、第1の対の当接部の組が離脱され、接続部分の位置を更に調整することによって、第2の対の当接部の組も離脱される。これによって、関節の調整を2段階で行うことが可能になる。プロテーゼは、弾性材料から成る2つの帯片を備え、これらの帯片の少なくとも1つは、湾曲部分及び直線部分を有している。関節は、その遠位端に凹面状の帯片を備えている。直線部分において、これらの帯片は、交差し、一方の帯片が他方の帯片を超えて延びている。
【0072】
前述の説明において、層、領域、又は基板のような要素が他の要素の「上に」位置すると記載される時、この要素は、他の要素の上に直接位置するか又は介在要素が存在してもよいことを理解されたい。また、前述の説明において提示される値は、単なる例示にすぎず、他の値も可能であり及び/又は他の値が考えられてもよいことを理解されたい。
【0073】
更に、本発明は、本明細書に記載される実施形態において提示される構成要素よりも少ない構成要素によって実施されてもよく、この場合、1つの構成要素が多数の機能を果たすことになる。同様に、本発明は、図面に示される要素よりも多い要素を用いて実施されてもよく、この場合、提示される実施形態において1つの構成要素によって実施される機能が多数の構成要素に分配されることになる。
【0074】
図面は、非制限的な例によって与えられる本発明の実施形態を単に概略的に表しているにすぎないことに留意されたい。明瞭且つ正確な説明のために、特徴は、同一又は個別の実施形態の一部として本明細書において記載されるが、本発明の範囲は、記載される特徴の全て又は一部の組合せを有する実施形態を含むことを理解されたい。「comprising(備える)」という語は、請求項に列挙される以外の特徴又はステップの存在を排除するものではない。更に、冠詞の「a」及び[an]は、「1つのみ」に制限されると解釈されるべきではなく、代わって、「少なくとも1つ」を意味するために用いられ、複数を排除するものではない。
【0075】
当業者であれば、明細書に開示される種々のパラメータ及び値が修正され得ること及び開示される種々の実施形態及び/又は請求項に係る種々の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく組み合わされ得ることを容易に理解するだろう。
【0076】
請求項における参照符号は、請求項の範囲を制限するものではなく、請求項の読みやすさを高めるためにのみ付されたものであることを理解されたい。
[請求項1]
プロテーゼのための関節であって、
-身体関節部分と、
-プロテーゼに接続され、回転軸を中心として前記身体関節部分に対して回転するように構成されたプロテーゼ関節部分と、
-前記身体関節部分及び前記プロテーゼ関節部分を互いに接続するように構成された接続部分と、
を備え、
-前記身体関節部分及び前記接続部分の第1の側の一方は、第1の周期的配列を有する第1の組の当接部を備え、
-前記プロテーゼ関節部分及び前記接続部分の第2の側の一方は、第2の周期的配列を有する第2の組の当接部を備え、
-前記身体関節部分及び前記接続部分の前記第1の側の他方は、前記第1の組の当接部の内の当接部と係合するように構成された第3の組の当接部を備え、
-前記プロテーゼ関節部分及び前記接続部分の前記第2の側の他方は、前記第2の組の当接部の内の当接部と係合するように構成された第4の組の当接部を備え、
-前記接続部分は、第1の位置、第2の位置、及び第3の位置の間で平行移動するように構成され、
-前記第1の位置において、
-前記第3の組の当接部の少なくとも一部が、前記第1の組の当接部の少なくとも一部と係合し、
-前記第4の組の当接部の少なくとも一部が、前記第2の組の当接部の少なくとも一部と係合し、
-前記第2の位置において、
-前記第3の組の当接部の少なくとも一部が、前記第1の組の当接部の少なくとも一部と係合し、
-前記第4の組の当接部は、前記第2の組の当接部と係合せず、
-前記第3の位置において、
-前記第3の組の当接部は、前記第1の組の当接部と係合せず、
-前記第4の組の当接部は、前記第2の組の当接部と係合しない、
関節。
[請求項2]
-前記身体関節部分は、第1の開口を備え、
-前記プロテーゼ関節部分は、第2の開口を備え、
-前記第1の開口及び前記第2の開口は、前記回転軸と真っすぐに並んでおり、
-前記接続部分は、実質的に円筒状であり、前記第2の開口内に少なくとも部分的に配置されるように構成されている、
請求項1に記載の関節。
[請求項3]
-前記第1の組の当接部は、前記身体関節部分の前記第1の開口内に設けられ、
-前記第2の組の当接部は、前記プロテーゼ関節部分の前記第2の開口内に設けられ、
-前記第3の組の当接部及び前記第4の組の当接部は、前記接続部分の外側に設けられている、
請求項2に記載の関節。
[請求項4]
-前記第1の組の当接部及び前記第2の組の当接部の少なくとも一方は、外径が前記第1の位置の方向において増大するように、円錐形に形作られ、
-前記第3の組の当接部及び前記第4の組の当接部の少なくとも一方は、外径が前記第1の位置の方向において減少するように、円錐形に形作られている、
先行する請求項のいずれかに記載の関節。
[請求項5]
前記接続要素は、前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記第3の位置の間で前記回転軸と平行に移動されるように、更に好ましくは、前記回転軸を中心として平行移動されるように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載の関節。
[請求項6]
前記接続部分は、前記接続部分を摺動させることによって平行移動するように構成されている、請求項5に記載の関節。
[請求項7]
前記接続部分を前記第1の位置に付勢するように構成された第1の剛性を有する第1の付勢要素を更に備える、先行する請求項のいずれかに記載の関節。
[請求項8]
前記接続部分を前記第2の位置に付勢するように構成された第2の剛性を有する第2の付勢要素を更に備え、前記第1の剛性は、前記第2の剛性よりも低い、請求項7に記載の関節。
[請求項9]
前記第1の周期的配列及び前記第2の周期的配列は、1よりも大きい最大公約数を有していない、先行する請求項のいずれかに記載の関節。
[請求項10]
先行する請求項のいずれかに記載の関節を備えるプロテーゼであって、
-前記身体関節部分は、脚接続部に接続され、
-前記プロテーゼ関節部分は、足プロテーゼに接続されるように構成され、
-前記足プロテーゼは、第1の湾曲帯片を備え、前記第1の湾曲帯片は、
-第1の湾曲区域と、
-近位端において前記第1の湾曲区域に設けられた第1の直線区域と、
を備え、
-前記足プロテーゼは、前記第1の湾曲区域の凹面側において前記プロテーゼ関節部分に接続されるように構成され、
-前記足プロテーゼは、弾性的に屈曲するように構成されている、
プロテーゼ。
[請求項11]
-前記足プロテーゼは、第2の湾曲帯片を更に備え、前記第2の湾曲帯片は、第2の湾曲区域と、近位端において前記第2の湾曲区域に設けられた第2の直線区域と、を備え、
-前記第2の湾曲区域の凹面側が、前記第1の湾曲区域の凸面側に接続され、
-前記第2の湾曲区域は、前記第2の湾曲区域が実質的に前記第2の直線区域に移行すると共に前記第1の湾曲区域が実質的に前記第1の直線区域に移行する交点において、前記第1の湾曲区域と交差し、
-前記第1の直線区域の遠位端及び前記第2の直線区域の遠位端は、実質的に平行に突出している、
請求項10に記載のプロテーゼ。
[請求項12]
-前記足プロテーゼは、第2の直線区域を更に備え、
-前記第2の直線区域は、近位端において前記第1の湾曲区域に取り付けられ、
-前記第2の直線区域の遠位端は、前記第1の湾曲帯片の前記第1の直線区域と実質的に平行に突出している、
請求項10に記載のプロテーゼ。
[請求項13]
前記第1の直線区域の遠位端は、前記第2の直線区域の遠位端よりも更に突出している、請求項11又は12に記載のプロテーゼ。
[請求項14]
前記第1の湾曲帯片は、実質的に前記交点において前記第2の湾曲帯片に接続されている、請求項11又は13に記載のプロテーゼ。
[請求項15]
前記足プロテーゼは、第1の端において前記第1の湾曲帯片に取り付けられた踵部分を更に備える、請求項11-14のいずれかに記載のプロテーゼ。
[請求項16]
前記踵部分は、第2の端において前記第2の湾曲帯片に取り付けられている、請求項11,13,及び14のいずれか1つに従属する場合の請求項15に記載のプロテーゼ。
[請求項17]
足、踵、及び底面の少なくとも1つのモールドを更に備える、請求項10-16のいずれかに記載のプロテーゼ。