(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】拡張可能なインプラントデバイス
(51)【国際特許分類】
A61F 2/44 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
A61F2/44
(21)【出願番号】P 2020552691
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 US2018066297
(87)【国際公開番号】W WO2019126213
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508296440
【氏名又は名称】ニューヴェイジヴ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ベソー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー,トーマス,ザ サード
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/183382(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0211525(US,A1)
【文献】国際公開第2017/015165(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0100255(US,A1)
【文献】米国特許第09750618(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨接触面及び反対側の内表面と、第1の側面及び第2の側面とを有する、第1のエンドプレートと、
骨接触面及び反対側の内表面と、第1の側面及び第2の側面とを有する、第2のエンドプレートと、
前記第1のエンドプレートの前記内表面と前記第2のエンドプレートの前記内表面との間に配置される拡張機構とを含み、
前記第1のエンドプレートの前記第1の側面は、前記第2のエンドプレートの前記第1の側面に蝶番式に連結され、
前記拡張機構は、
第1のネジ山付きシャンクと第2のネジ山付きシャンクを含む駆動ネジと、
前記第1のネジ山付きシャンクの少なくとも一部と係合するように構成される
第1のネジ山付きナットと、
前記第2のネジ山付きシャンクの少なくとも一部と係合するように構成される第2のネジ山付きナットと、前記第1のネジ山付きシャンクと前記第2のネジ山付きシャンクとを連結するように構成されるスプラインと、前記第1のネジ山付きナットに連結される
第1のリンク機構と、前記第2のネジ山付きナットに連結される第2のリンク機構とを含み、
前記第1及び第2のリンク機構は、
前記第1及び第2のネジ山付きナットから前記第
2のエンドプレートの前記内表面に延びる、
拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項2】
前記拡張機構は、前記第1及び第2のエンドプレートの前記第2の側面に隣接して配置され、前記第1及び第2のエンドプレートの前記第2の側面は、前記第1の側面の反対側にある、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項3】
前記第1のエンドプレート又は前記第2のエンドプレートの少なくとも一方は、前記第1のエンドプレート又は前記第2のエンドプレートの少なくとも一方の前記骨接触面に対して垂直に延びる平面的な延長部を含む、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項4】
前記平面的な延長部は、当該拡張可能なインプラントデバイスの内部容積を囲むように構成される、請求項3に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項5】
前記第1のエンドプレート又は前記第2のエンドプレートの少なくとも一方は、前記第1のエンドプレート又は前記第2のエンドプレートの少なくとも一方の前記骨接触面から当該拡張可能なインプラントデバイスの前記内部容積内に延在する少なくとも1つの融合孔を更に含む、請求項4に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項6】
係止機構を更に含み、
該係止機構は、前記駆動ネジの望ましくない回転を防止するように構成される、
請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項7】
前記係止機構は、前記スプラインと係合するように構成されるバネを更に含む、請求項
6に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項8】
前記第1のエンドプレートは、前端と、後端とを有し、該後端は、前記インプラント
デバイスの内部容積と連通する孔を含む、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項9】
前記第1のエンドプレートの前記前端は、前記インプラント
デバイスの内部容積と連通する孔を含む、請求項
8に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項10】
前記駆動ネジは、前記第1のエンドプレートの前端から前記第1のエンドプレートの後端まで当該拡張可能なインプラントデバイスの全長に亘って延在する、請求項1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項11】
前記第1のネジ山付きシャンクは、右手ネジ山パターンを有し、前記第2のネジ山付きシャンクは、左手ネジ山付きパターンを有する、請求項
1に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項12】
前記駆動ネジは、前記第1のエンドプレートの前記前端又は前記後端で作動させられるように構成される、請求項
10に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項13】
前記孔は、ネジ山付き孔であり、該ネジ山付き孔は、当該拡張可能なインプラントデバイスの近位側面に配置され、前記ネジ山付き孔は、ネジの少なくとも一部分を受け入れて、当該拡張可能なインプラントデバイスにプレートを固定するように構成される、請求項
8に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項14】
前記プレートは、骨ネジを受け入れるような寸法とされる固定プレートである、請求項
13に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項15】
前記第1のエンドプレートの前記後端は、複数の位置のうちの1つにおいて前記固定プレートを受けるように構成される、請求項
14に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【請求項16】
前記ネジは、止めネジである、請求項
14に記載の拡張可能なインプラントデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2017年12月18日に出願された米国仮出願第62/607,303号の利益を主張するものであり、その全文は、それが本明細書に完全に記載されているかのように、参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、一般的に、医療インプラントに関し、より具体的には、拡張可能な医療インプラントに関する。
【背景技術】
【0003】
背部問題は、全ての民族の人々において最も一般的であり且つ衰弱させる出来事(occurrences)の1つである。米国だけでも、毎年50万を越える脊椎腰椎固定術及び頸部固定術が行われている。背部痛及び背部障害の原因の1つは、脊椎における1つ又はそれよりも多くの椎間板の破裂(rupture)又は変性(degeneration)に起因する。
【0004】
外傷、疾患又は加齢に起因する椎間板の変位、損傷又は変性を伴う問題を治療するために、外科的処置が一般的に行われる。一般的に、脊椎固定術は、疾患した又は損傷した椎間板の一部又は全部を除去すること、及び結果として得られる椎間板空間内に1つ又はそれよりも多くの椎間インプラントを挿入することを含む。前方腰椎椎体間固定術(ALIF)及び側方腰椎椎体間固定術は、修復又は置換されるべき脊椎の部分にアクセスするために脊椎外科医が使用する2つの技法である。
【0005】
怪我した又は劣化した脊椎骨を人工インプラントと置換することは、脊椎に固有の応力のメカニズムについての知識のバランス、並びにデバイスに応答する身体の生物学的特性を必要とする。更に、人工インプラントのサイズ、構成、及び配置は、熟練した外科医による精密な位置決め及び取扱いを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、拡張可能なインプラントデバイスと、拡張可能なインプラントデバイスを使用するための方法を含む。拡張可能なインプラントデバイスは、とりわけ、患者のニーズ、患者の要求、外科医の標的処置によって影響されるような、特定の前弯角を形成するように調整されてよく、脊椎固定術に順応するよう様々な構成を組み込んでよい。
【0007】
幾つかの実施形態において、拡張可能なインプラントデバイスは、第1の側面と第2の側面とを有する第1のエンドプレートと、第1の側面と第2の側面とを有する第2のエンドプレートとを含み、第1のエンドプレートの第1の端は、第1のエンドプレートの第1の端に可動に取り付けられる。拡張可能なインプラントデバイスは、第1のエンドプレートに配置される角度作動機構を更に含む。角度作動機構は、第2エンドプレートと第1エンドプレートとの間の角度を変更するように構成されてよい。拡張可能なインプラントデバイスは、第1の閉鎖構成と、拡張可能なインプラントデバイスを選択的な前弯角に適合させる少なくとも1つの開放構成とを有してよい。
【0008】
幾つかの実施形態において、角度作動機構は、第1のエンドプレート又は第2のエンドプレートのうちの1つに回転可能に連結される駆動ネジを含んでよく、少なくとも1つのネジ山付きナットが、駆動ネジの少なくとも一部分を受け入れるように構成され、少なくとも1つのネジ山付きナットは、駆動ネジの回転後に駆動ネジの長さに沿って並進するように構成される。各ネジ山付きナットは、少なくとも1つのリンク機構に連結されてよく、各リンク機構は、少なくとも1つのネジ山付きナットのうちの1つから第2のエンドプレートに延びる。駆動ネジの回転後に、少なくとも1つのネジ山付きナットは、駆動ネジの長さに沿って並進し、少なくとも1つのネジ山付きナットの移動は、少なくとも1つのリンク機構の移動を付与し、それによって、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の角度を変化させることがある。
【0009】
拡張可能なインプラントデバイスの使用方法のある実施形態も提供され、この方法は、患者の椎間板空間にアクセスするステップと、インプラントを受け入れる椎間板空間を準備するステップと、閉鎖構成において、拡張可能なインプラントデバイスを準備された椎間板空間内に挿入するステップと、拡張ツールを使用して拡張可能なインプラントデバイスの駆動ネジを回転させて、拡張可能なインプラントデバイスを作動させて、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の角度を変更するステップとを含む。
【0010】
これらの及び他の構成は、添付の図面を検討した後に、当業者によって更に理解されるであろう
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの斜視図を示している。
【0012】
【
図2】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの分解図を示しており、拡張可能なインプラントデバイスは、第2のエンドプレートと、角度作動機構と、第1のエンドプレートとを含んで示されている。
【0013】
【
図3】第1の実施形態に従った駆動ネジの側断面図を示している。
【0014】
【
図4】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの側面図を示しており、拡張可能なインプラントデバイスは閉鎖構成において示されている。
【0015】
【
図5】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの側面図を示しており、拡張可能なインプラントデバイスは、例示的な前弯角に調整された開放構成において示されている。
【0016】
【
図6】拡張可能なインプラントの第2の実施形態に従った第1のエンドプレートの斜視図を示しており、第1のエンドプレートは、その中に配置された角度作動機構を有し、角度作動機構は、開放構成に従って調整されて示されている。
【0017】
【
図7】拡張可能なインプラントの第2の実施形態に従った第1のエンドプレートの斜視図を示しており、第1のエンドプレートは、その中に配置された角度作動機構を有し、角度作動機構は、閉鎖構成に従って調整されて示されている。
【0018】
【
図8】第2のエンドプレートに可動に連結されたリンク機構の側断面図を示している。
【0019】
【
図9】拡張可能なインプラントの第3の実施形態に従った角度作動機構を示している。
【0020】
【
図10】拡張可能なインプラントの第3の実施形態に従った角度作動機構の断面図を示している。
【0021】
【
図11】拡張可能なインプラントデバイスの第1のエンドプレートの斜視図を示しており、第1のエンドプレートは、駆動ネジのスプラインと係合して駆動ネジの望ましくない回転を防止するように構成されたバネ端を備える板バネを含む。
【0022】
【
図12】1つの板バネと、駆動ネジのスプラインと係合して望ましくない回転を防止するように構成されたバネ端とを有する、第1の実施形態に従った第1のエンドプレートの側面図を示している。
【0023】
【
図13】2つの対向する板バネと、駆動ネジのスプラインと係合して駆動ネジの望ましくない回転を更に防止するように構成された2つのバネ端とを有する、第1のエンドプレートの実施形態を示している。
【0024】
【
図14】10mmの平面的な延長部を備える第2のエンドプレートの実施形態を示している。
【0025】
【
図15】4mmの平面的な延長部を備える第2のエンドプレートの実施形態を示している。
【0026】
【
図16】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの斜視図を示しており、拡張可能なインプラントデバイスは、拡張可能なインプラントデバイスの側面に配置されたネジ山付き孔を有する。
【0027】
【
図17】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの斜視図を示しており、拡張可能なインプラントデバイスは、止めネジを介して固定プレートに連結される。
【0028】
【
図18】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの斜視図を示しており、拡張可能なインプラントデバイスは、固定プレートに連結されており、固定プレートは、それを通じて骨ネジを受け入れるようにも構成されている。
【0029】
【
図19】第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスの分解図を示しており、固定プレートは、拡張可能なインプラントデバイスから切り離されて示されている。
【0030】
【
図20】第1の実施形態に従った固定プレートの斜視図を示している。
【0031】
【
図21】第1の実施形態に従った固定プレートの正面図を示している。
【0032】
【
図22】第1の実施形態に従った固定プレートの背面図を示しており、固定プレートは、拡張可能なインプラントデバイスと嵌合するように構成された少なくとも1つのガイドピンを有して示されている。
【0033】
【
図23】第1の実施形態に従った固定プレートの側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
限定の目的ではなく説明の目的のために、当業者が本発明を製造及び使用することを可能にするように、特定の実施形態及び方法の詳細及び記述が以下に提供される。これらの詳細及び記述は、特定の実施形態のみを代表する。しかしながら、本明細書に明示的に記載されていない無数の他の実施形態が、それらの詳細な考察の後に当業者によって容易に理解されるであろう。
【0035】
一般的な実施形態において、拡張可能なインプラントデバイスは、前端と、後端と、第1の側面と、第2の側面とを有する、第1のエンドプレートと、前端と、後端と、第1の側面と、第2の側面とを有する、第2のエンドプレートとを含み、第1のエンドプレートの第1の側面は、第2のエンドプレートの第1の側面に可動に取り付けられる。インプラントは、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間に配置される拡張機構を更に含む。拡張機構は、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の距離を変更するように構成されてよい。
【0036】
拡張機構は、第2のエンドプレートに回転可能に連結される駆動ネジを含んでよい。拡張機構は、駆動ネジの少なくとも一部分を受け入れるように構成される少なくとも1つのネジ山付きナットを含み、少なくとも1つのネジ山付きナットは、駆動ネジの回転後に駆動ネジの長さに沿って並進するように構成される。各ネジ山付きナットは、少なくとも1つのリンク機構に連結される。リンク機構は、ネジ山付きナットに枢動可能に連結される第1の端と、第1のエンドプレートの内表面に接触する第2の端とを有する。駆動ネジの回転後に、少なくとも1つのネジ山付きナットは、駆動ネジの長さに沿って移動し、少なくとも1つのナットの移動は、少なくとも1つのリンク機構を枢動させ、駆動ネジに対するリンク機構の角度を変化させ、それによって、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の距離を変化させる。例えば、第1の方向におけるネジ山付きナットの並進は、リンク機構を枢動させ、リンク機構をより垂直にする、即ち、リンク機構と駆動ネジとの間の角度を増加させ、それによって、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の距離を増加させ、第1の方向とは反対の方向におけるネジ山付きネジの並進は、リンク機構を枢動させ、リンク機構をより水平にする、即ち、リンク機構と駆動ネジとの間の角度を減少させ、それによって、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の距離を減少させる。例示的な実施形態によれば、拡張機構は、インプラントが使用されている間の駆動ネジの望ましくない又は意図しない回転を阻止する係止機構(ロック機構)を更に含む。
【0037】
幾つかの実施形態において、駆動ネジは、その端でスプラインを受け入れるように構成される第1のネジ山付きシャンク部分と、その端でスプラインを受け入れるように構成される第2のネジ山付きシャンク部分と、第1のネジ山付きシャンク部分を第2のネジ山付きシャンク部分に連結するスプラインとを含む。例示的な実施形態において、第1のネジ山付きシャンクのネジ山付きパターンは、第2のネジ山付きシャンクのネジ山付きパターンとは反対である。例えば、第1のネジ山付きシャンクは、左手ネジ山付きパターンを有し、第2のネジ山付きシャンクは、右手ネジ山付きパターンを有してよい。
【0038】
例示的な実施形態に従った拡張可能インプラントデバイスの係止機構は、バネ端を備える少なくとも1つの板バネを含んでよく、板バネのバネ端は、駆動ネジのスプラインと係合して、駆動ネジの望ましくない回転を防止するように構成される。駆動ネジの移動のこの制限は、駆動ネジの望ましくない回転を防止し、それによって、拡張可能なインプラントデバイスがその所望の位置まで拡張された後の拡張可能なインプラントデバイスの折畳みを防止する。
【0039】
使用中、外科的処置は、拡張可能なインプラントデバイスが患者の準備された椎間板空間内に位置付けられる前及び/又は後に、拡張可能なインプラントデバイスを骨グラフト又は骨グラフト代替物で充填することを含んでよい。一般的な実施形態によれば、拡張機構は、インプラントの第1又は第2の側面に隣接して位置付けられる。1つの例示的な実施形態において、拡張機構は、拡張可能なインプラントの第2の側面に隣接して存在し、インプラントの第2の側面は、ひとたび患者の椎間板空間で位置付けられると、インプラントの前側面である。拡張可能なインプラントの第1又は第2の側面に隣接して拡張機構を配置することは、グラフト材料が拡張可能なインプラントデバイスの中心に配置されることを可能にし、且つ/或いは拡張可能なインプラントの中心を通じる骨成長を可能にし、それは融合プロセスに有利である。
【0040】
幾つかの実施態様において、第1又は第2のエンドプレートの少なくとも一方は、エンドプレートの骨接触面に対して概ね垂直に延びる平面的な延長部を更に含む。平面的な延長部は、拡張可能なインプラントデバイスの内部容積を囲んで、骨グラフト又は骨グラフト代替材料をインプラント内に収容するように構成されることができる。この意味において、骨グラフト又は骨グラフト代替物は、インプラントの側壁内に囲まれることがある。これらの側壁は、第1及び第2のエンドプレートの近位側壁と、第1及び第2のエンドプレートの遠位側壁と、第1及び第2のエンドプレートの前方側壁又は後方側壁と、第1及び第2のエンドプレートの間に形成されるヒンジと、第1及び第2のエンドプレートの平面的な延長部と、第1のエンドプレート及び第2のエンドプレートの内表面を含んでよい。
【0041】
幾つかの実施形態において、第1及び第2のエンドプレートの各々は、エンドプレートの骨接触面から拡張可能なインプラントデバイスの内部容積内にエンドプレートを通じて延在する少なくとも1つの融合孔を更に含んでよい。これらの融合孔は、拡張可能なインプラントデバイスの容積内に配置される骨グラフト又は骨グラフト代替材料と患者の骨との間の直接的な接触を可能にし、それによって、融合プロセスに利益をもたらす。ある例示的な実施形態によれば、融合孔は、インプラント内の拡張機構と融合孔の間にオーバーラップがないように、エンドプレート内に位置する。例えば、拡張機構は、第1のエンドプレート内の融合孔又は複数の融合孔と第2のエンドプレート内の融合孔又は複数の融合孔との間に直接的に配置される拡張可能なインプラントデバイスの内部容積を妨害せず或いはそのような内部容積に侵入しない。
【0042】
様々な外部固定デバイスを設計に組み込んで、患者の骨構造に対する原位置での拡張可能なインプラントデバイスの移動又は滑りを制限してよい。幾つかの実施形態において、第1又は第2エンドプレートのうちの1つ又はそれよりも多くは、そこを通じる骨固定デバイスの少なくとも一部分を受け入れるように構成された孔を含んでよい。骨固定デバイスの少なくとも一部分を孔を通じて挿入し、骨固定デバイスを患者の骨に固定した後に、骨固定デバイスは、骨に対する拡張可能なインプラントデバイスの滑りを防止する。
【0043】
幾つかの他の実施形態では、拡張可能なインプラントデバイスが拡張可能なインプラントデバイスの側面にネジ山付き孔を含んでよい。ネジ山付き孔は、例えば、拡張可能なインプラントデバイスの近位端又は遠位端の少なくとも一方に配置されてよく、結合器(combiner)を受け入れてプレートを拡張可能なインプラントデバイスに固定するように構成されてよい。
【0044】
プレートは、固定プレートであり、プレートは、プレートを通じて骨固定デバイスの少なくとも一部分を受け入れるように構成されてよい。固定プレートを通じて骨固定デバイスの少なくとも一部分を挿入し、骨固定デバイスを患者の骨に固定した後に、骨固定デバイス及び固定プレートは、骨に対する拡張可能なインプラントデバイスの滑りを防止する。
【0045】
当業者が理解することがあるように、骨固定デバイスは、骨ネジ、カニューレ付き骨ネジ、モジュール式骨ネジ、フック、又は当技術分野において知られておりかつ想定される任意の骨固定デバイスを含むことができる。
【0046】
次に、図面を参照すると、
図1は、第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイス100の斜視図を示している。拡張可能なインプラントデバイス100は、従来の拡張可能体内ケージに対して多くの利点を提供する。例えば、この開示に従った拡張可能インプラントデバイス100は、外科医がインプラントの相対角度を調整して、患者の椎間板空間(intervertebral disc space)内のカスタム適合を提供することを可能にすることがある。
【0047】
拡張可能なインプラントデバイス100の調整は、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間の相対角度を変更することがある。この角度は、それが全体として拡張可能なインプラントデバイス100の寸法に関係するので、患者の椎間板空間における前弯角に対応することがある。しかしながら、当業者が理解することがあるように、提供される拡張可能なインプラントデバイス100は、脊椎手術に加えて、整形外科の他の分野において使用されてよい。
【0048】
図1の拡張可能なインプラントデバイス100は、第1のエンドプレート110と、第2のエンドプレート120とを含む。第1及び第2のエンドプレート110、120の各々は、患者の骨又は椎間腔(intervertebral space)に対する拡張可能インプラントデバイス100の滑りを防止するための少なくとも1つの骨係合面121を含む。骨係合面121は、窪み(dimples)、細溝(trenches)、又は他の移動防止構成を含んでよい。代替的に、骨係合面は、エンドプレートの骨係合面への骨の内方成長及び/又は上方成長を促進するように構成された多孔質表面で形成されてよい。例示の実施形態は、1つ又はそれよりも多くのスパイク121aを含む。スパイク121aは、骨係合面121の移動防止構成及び/又は多孔質表面に加えて、骨係合面121上の様々な場所に分配されてよい。
【0049】
図1の拡張可能なインプラントデバイス100は、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間に形成されたヒンジを含む。例示的な実施形態によれば、ヒンジは、第2のエンドプレート120の1つ又はそれよりも多くのナックル部分114を第1のエンドプレート110の1つ又はそれよりも多くのナックル部分124と嵌合させること(mating)によって形成される。第1のエンドプレート110のナックル部分114は、ヒンジピン160によって第2のエンドプレート120のナックル部分124に移動可能に連結される。本実施形態において、第1のエンドプレート110及び第2のエンドプレート120の1つ又はそれよりも多くのエンドプレートのナックル部分は、骨係合面121を含む。ヒンジの上に骨係合面121を延ばすことは、患者の骨又は椎間腔に対する拡張可能なインプラントデバイス100の滑りを防止するのを助けることがある。
【0050】
図1の拡張可能なインプラントデバイスは、骨係合面から第2のエンドプレート120の反対側の内表面まで第2のエンドプレート120を通じて延びる融合孔120aを更に含む。従って、第1のエンドプレート110も、骨係合面から第1のエンドプレート110の反対側の内表面まで第1のエンドプレートを通じて延びる融合孔110aを含む。例示的な実施形態は、各エンドプレートに2つの融合孔を有するものとして例示されているが、各エンドプレートは、単一の融合孔のみを有してよく、或いは、代替的に、各エンドプレートは、2つ又はそれよりも多くの融合孔を有してよいことが想定される。
【0051】
図2は、
図1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイス100の分解図を提供している。第1のエンドプレート110は、2つの融合孔110aと、第1のエンドプレートの骨係合面に対して略垂直に延びる平面的な延長部222と、内表面113と、近位側壁と、遠位側壁と、ヒンジナックル部分114(指関節部分)とを含んで示されている。第2のエンドプレート120は、2つの融合孔120aと、平面的な延長部122と、内表面123と、ヒンジピン160を介して第2のエンドプレート120を第1のエンドプレート110に可動に接合するヒンジナックル部分124(指関節部分)とを含んで示されている。
【0052】
例示的な実施形態に例示されているように、ヒンジ嵌合は、本明細書では、ヒンジピン160について可動な相補的なヒンジナックル部分114、124を含んで示されている。しかしながら、例えば、単一の一体部品から2つのエンドプレートを形成することを含む、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の可動な接続又はヒンジ接続を提供する任意の既知の方法が提供されてよいことが想定される。
【0053】
図2は、第1及び第2のネジ山付きシャンク部分を有する駆動ネジ131と、第1及び第2のネジ山付きナット132と、第1及び第2のリンク機構133とを含む、例示的な拡張機構130を更に例示している。駆動ネジ131は、第1及び第2のヘッド131dを含んで示されており、各ヘッド131dは、拡張可能なインプラントデバイス100の反対側の端に配置されるように構成されている。
【0054】
図2及び
図3に例示するように、
図1の例示的な実施形態に従った駆動ネジ131は、スプライン131cによって第2のネジ山付きシャンク部分131bに接合された第1のネジ山付きシャンク部分131aを含む。駆動ネジ131は、その上に配置された1つ又はそれよりも多くの保持クリップ131eを含んで示されている。例示の実施形態によれば、第1のエンドプレート110の内表面に配置された保持クリップ溝116内に納められるとき、保持クリップ131eは、拡張可能なインプラントデバイス100内に位置付けられる駆動ネジ131を維持するよう軸方向運動に対する抵抗をもたらす。保持クリップ131eは、スプライン131cに対して2つのネジ山付きシャンク部分131a、131bを維持するのを補助することもある。
【0055】
当業者が理解するように、例示的実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイス100は、インプラントが、前端(leading end)と後端(trailing end)とを二分する中心平面について対称的であるように設計される。例示的な実施形態によれば、この特定の平面は、横方向アプローチにおける矢状面であると考えられてよい。しかしながら、この平面は、代替的な外科的アプローチのための他の解剖学的平面によって表されてよいことが代替的に想定される。この構成は、インプラントが前端又は後端のいずれかで椎間板空間(disc space)の両側に挿入されることを可能にする。加えて、インプラントはこの中心平面について鏡像であるので、駆動ネジ及びグラフトパッキング孔構成(graft packing aperture features)が存在し、前端又は後端のいずれかから作動可能であり、椎間板空間内への挿入後にいずれの側からも膨張及び骨グラフトパッキングを可能にする。
【0056】
図4~
図5は、第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイス100の後端及び/又は前端の側面図を示している。
図4は、拡張可能なインプラントデバイス100を、初期前弯角を有するその折り畳まれた(collapsed)又は拡張されていない構成において例示している。1つの例示的な実施形態によれば、インプラントの前弯角(即ち、第1及び第2のエンドプレートの骨接触面の間の角度)は、その拡張されていない状態において小さい。例えば0°~10°の間の小さい前弯角を備えるインプラントは、椎間板空間内へのインプラントの挿入中に有益である。
図5は、拡張されていない構成における拡張可能なインプラントデバイスを例示しており、前弯角は、拡張されていないインプラントの初期前弯角よりも大きい。
図4~
図5のインプラントは、拡張されていない構成において小さな初期前弯角を有して示されているが、インプラントは、初期前弯角が10°よりも大きい拡張されていない構成を有する場合があることも想定される。
【0057】
図6~
図7及び
図9~
図10は、例示的実施形態に従った第1のエンドプレート110内に配置された拡張機構130の機械的作動を例示している。
図6は、拡張機構130を、その拡張されていない状態又は挿入状態において示している。拡張されていない状態において、ネジ山付きナットは、スプライン131cに隣接してインプラントの中心付近に存在し、リンク機構133は、駆動ネジのシャンクに隣接して略水平位置に位置している。各リンク機構133は、ネジ山付きナットに枢動的に連結された第1の端144と、第2のエンドプレート120の内表面123にある対応するポケット143と枢動的に係合するように構成された第2の端146とを有する(例えば、
図8の例示を参照)。拡張機構130の作動中、駆動ネジ131は回転させられる。例えば、駆動ネジは、インプラント挿入装置又は他のドライバ器具を用いて駆動ネジヘッド131dにトルクを加えることによって回転させられてよい。駆動ネジ131の回転後に、駆動ネジのネジ山付きシャンク部分は、それぞれのネジ山付きナット132のネジ山に係合し、ネジ山付きナットを駆動ネジ131の中心から離れる方向に並進させる。ネジ山付きナット132が駆動ネジ131の中心から離れる方向に並進すると、リンク機構は、ネジ山付きナットとの接続部について、より垂直な位置に回動し、それによって、第2のエンドプレート120を第1のエンドプレート110から離れる方向に押し、第2のエンドプレート120をヒンジピン160について枢動させ、第1のエンドプレートの第1の側面と第2のエンドプレートの第1の側面との間の距離を増加させ、結果的に、第1のエンドプレートと第2のエンドプレートとの間の前弯角を増大させる。
図7は、同じ第1のエンドプレート110の斜視図を示しており、図示の拡張機構130は、その完全に拡張された状態に調整されて示されている。完全に拡張された状態において、ネジ山付きナット132は、インプラントのそれぞれの前端又は後端にそれぞれ隣接しており、リンク機構133は、拡張されていない状態よりも垂直な位置にある。
【0058】
例えば、当業者が理解するように、第1の方向Dにおける、
図6の駆動ネジ131の回転は、ネジ山付きナットが
図7に類似する位置に留まる最大調整点に達するまで、ネジ山付きナット132を駆動ネジ131に沿って並進させることがある。同様に、第1の方向Dとは反対の第2の方向D’における駆動ネジの回転は、ネジ山付きナットを、
図6に示されるのに類似する拡張されていない構成に移動させることがある。各ネジ山付きナット132は駆動ネジ131の少なくとも一部をその中に受け入れるように構成されるので、駆動ネジ131に沿う各ネジ山付きナット132の並進が生じる。各ネジ山付きナット132をリンク機構133に連結し、次に、各リンク機構133を第2エンドプレートに連結することによって、駆動ネジ131上での各ネジ山付きナット132の同軸回転が防止される。駆動ネジ131が回転すると、駆動ネジ131のネジ山付き表面と各ネジ山付きナット132の各相補的なネジ山付き表面との相互作用は、ネジの長さに沿って、各ネジ山付きナット132の上に(ネジD、D’のネジ及び回転方向に依存して)押す力又は引く力のいずれかをもたらす。
【0059】
例示的な実施形態によれば、駆動ネジ131は、複数の構成要素、例えば、スプラインによって連結された第1のシャンク部分及び第2のシャンク部分を含んでよい。しかしながら、駆動ネジは単一のモノリシック駆動ネジであってもよいことも代替的に想定される。駆動ネジのネジ山は1つの連続的なネジ山又は1つ又はそれよりも多くの対向するネジ山パターンであってよいことが更に想定される。
【0060】
図10は、拡張機構130の側断面図を示しており、駆動ネジ131は、スプライン131cによって第2のネジ山付きシャンク部分131bに連結された第1のネジ山付きシャンク部分131aを含む、スプライン131cは、第1のネジ山付きシャンク部分131bを第2のネジ山付きシャンク部分131bに連結して、駆動ネジ131を形成し、駆動ネジ131の回転を制限するために利用されることができ且つ駆動ネジ131の望ましくない回転又は拡張可能なインプラントデバイス100の折畳み(collapse)を防止するのを助けることがある不均一な表面を提供する、ように作用する。
【0061】
図11は、駆動ネジ131のスプライン(
図10、131c)に係合して駆動ネジ131の望ましくない回転を防止するように構成されたバネ端112aを備える板バネ112を含む第1のエンドプレート110の斜視図を示している。この構成は、板バネ112が、インプラントの振動及び/又は荷重によって引き起こされることがある駆動ネジ131の望ましくない滑り又は拡張可能なインプラントデバイス100の折畳みを防止する抵抗を提供するという点で、拡張可能なインプラントに付加的な剛性をもたらす。
【0062】
板バネ112は、駆動ネジ131が回転することがある方向に対する制限をもたらすことがある。この制限は、過度の負荷に起因して原位置で拡張可能インプラントデバイス100に加えられる圧縮力によって引き起こされることがあるような、拡張可能インプラントデバイス100の望ましくない滑りを防止する。
【0063】
図12は、1つの板バネ112と、望ましくない回転を防止するために駆動ネジのスプラインと係合するように構成されたバネ端112aとを含む、第1のエンドプレート110の側面図を示している。
【0064】
幾つかの実施形態では、追加的な剛性を提供するために、複数の板バネが追加される。
図13は、駆動ネジ131のスプライン131cと同時に係合して駆動ネジ131の望ましくない回転を更に防止するように構成された、2つの対向する板バネ(112、112’)と2つのバネ端(112a、112a’)とを有する、第1のエンドプレート110の実施形態を示している。駆動ネジ131のスプライン131cに係合する2つの対向するバネ端112aは、拡張可能なインプラントデバイス100に追加的な支持をもたらし、拡張可能なインプラントデバイス100を補強し、折畳みを防止するのを助ける。
【0065】
図14及び
図15は、様々な長さの平面的な延長部122を備える第2のエンドプレート120の様々な実施形態を例示している。平面的な延長部122の長さは、第1のエンドプレート110と第2のエンドプレート120との間の拡張可能なインプラントデバイス100内の相対容積を囲むために、標的前弯角を補完するように選択されてよい。この容積は、拡張可能なインプラントデバイス100が所望のレベルの前弯まで拡張される前又は後のいずれかで、インプラントに骨グラフト又は骨グラフト代替物を充填するために利用されてよい。平面的な延長部122の長さは、所要の前弯角に応じて変化することがある、拡張可能なインプラントデバイス100の内部容積を実質的に囲むように選択されることができる。当業者が理解することがあるように、任意の数の他の長さが、平面的な延長部122のために提供されてよい。
【0066】
図16は、第1の実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイス100の斜視図を示しており、拡張可能なインプラントデバイス100は、その近位端又は後端に配置されたネジ山付き孔140を有する。ネジ山付き孔140は、拡張可能インプラントデバイス100が所望の前弯角に調節された後に、パッキング後の目的のために、拡張可能なインプラントデバイス100を骨グラフト又は骨グラフト代替物で充填するために利用されてよい。拡張可能なインプラントデバイス100に骨グラフト又は骨グラフト代替物を詰め込んだ後に、固定プレート150が、例えば、止めネジ141を介して、ネジ山付き孔140に連結されてよい。
【0067】
例示的な実施形態は、インプラントの片側に隣接する1つだけの拡張機構を有するデバイスを例示しているが、2つの拡張機構を有する拡張可能なインプラントデバイスも想定される。例えば、拡張可能なインプラントデバイスの代替的な実施形態は、第1及び第2の拡張機構を含み、第1の拡張機構は、拡張可能なインプラントデバイスの一方の側面に隣接し、第2の拡張機構は、拡張可能なインプラントデバイスの反対の側面に隣接する。この代替的な実施形態に従った拡張可能なインプラントデバイスは、第1及び第2のエンドプレートの第1の側面を連結するヒンジの代わりに、インプラントの第1の側面に隣接する第2の拡張機構を有する。この例示的な代替的な実施形態によれば、第1及び第2の拡張機構は、独立して作動させられることで、ユーザが、前弯角を調整するために拡張可能なインプラントの一方の側面のみを作動させ、従って、拡張させることを選択するか、或いはインプラントの第1及び第2の側面の両方に隣接するインプラントの全高を調整するために第1及び第2の拡張機構の両方を作動させるかを選択することを可能にしてよい。例えば、両方の拡張機構を作動させることは、ユーザが、インプラントの並列拡張を行うことを可能にし、或いは患者の特定の必要性に応じてインプラントの第1及び第2の側面の高さを調整することによって前弯角を微調整することを可能にする。この実施形態によれば、第2の拡張機構は、第1の拡張機構と構造的に同一であってよく、第1のインプラントに概ね平行に位置付けられてよい。また、この代替的な実施形態によれば、第1及び/又は第2のエンドプレートの第1及び第2の側面の両方とも、インプラントの内部容積内に骨グラフト又は骨グラフト代替物を収容するための平面的な延長部を含んでよい。
【0068】
拡張可能なインプラントデバイス100は、固定プレートのガイドピン(151、
図22)を受け入れる1つ又はそれよりも多くのガイドピン孔(117、117’)を含んでよい。
図16及び
図22の注意深い考察は、拡張可能なインプラントデバイス100のこの例示の実施形態は、第1のエンドプレートの1つ又はそれよりも多くのガイドピン孔117のうちの3つが、キー付き固定プレートの小さなガイドピン(151、
図22)を受け入れるようなサイズにされている、キー付き設計を含むことを明らかにする。同様に、第1のエンドプレートの3つのガイドピン孔117’は、キー付き固定プレートの大きなガイドピン(151’、
図22)を受け入れるようなサイズにされている。これは、外科医が拡張可能なインプラントデバイスの固定プレートを3対のガイドピン孔の各々によって許容されるような様々な角度で方向付けることを可能にする一方で、外科医が固定プレートを逆さまに装着することを防止する。この例示において、ネジ山付き孔140の左側にある3つのガイドピン孔117は、ネジ山付き孔140の右側にある3つのガイドピン孔117’よりも大きい。この実施形態において、ガイドピン孔117、117’は、ネジ山付き孔140の中心からガイドピン孔の各々への距離が同じであるように、ネジ山付き孔140の周囲に半径方向に位置付けられる。よって、固定プレート上のガイドピン間の距離は固定されるので、固定プレートは、第1のエンドプレート110に対する3つの可能な向きにおいて拡張可能なインプラントデバイス上にのみ取り付けられることができる。これらの3つの向きは、3対のキー付きガイドピン孔に対応する。例示の実施形態は、3対のキー付き孔を含み、当業者が理解することがあるように、このキー付き構成を利用しながら、任意の数及びサイズのガイドピン及びガイドピン孔が選択されてよい。
【0069】
図17は、止めネジ141を介してある実施形態の固定プレート150に連結された拡張可能なインプラントデバイス100の斜視図を示している。固定プレート150は、骨固定要素を介して患者の骨に対して拡張可能なインプラントデバイス100を固定するために、移動防止構成として利用されるように構成される。
【0070】
図18は、第1の実施形態に従った拡張可能インプラントデバイス100を示しており、拡張可能インプラントデバイスは、固定プレート150に連結され、固定プレート150は骨ネジ155に連結されて示されている。固定要素、ここでは、骨ネジ155は、拡張可能なインプラントデバイスを所定の位置に固定するのを助け、滑りを防止する。
【0071】
図19は、固定プレート150と骨ネジ155とから切り離された拡張可能なインプラントデバイス100の分解図を示している。拡張可能なインプラントデバイス100の配置後、固定プレート150は、止めネジ141を介して拡張可能なインプラントデバイス100に連結されてよい。次に、骨ネジ155のような固定デバイスを使用して、拡張可能インプラントデバイス10を椎間腔内に固定し、拡張可能インプラントデバイスの滑りの防止を助けてよい。
【0072】
図20~
図23は、固定プレート150の1つの実施形態の様々な図を示している。
図20は、固定プレート150の斜視図を示しており、固定プレート150は、固定プレート150を拡張可能なインプラントデバイス100に固定する止めネジを受け入れるための2つの孔を含む。骨ネジを受け入れるような寸法とされた孔は、傾斜コイル機構152を含んで示されている。
図21は、固定プレート150の正面図を示しており、図示の固定プレート150は、挿入装置嵌合孔を含んで示されている。
図22は、固定プレート150の背面図を示しており、図示の固定プレート150は、拡張可能なインプラントデバイスと嵌合するように構成された2つのガイドピン151を有して示されている。この実施形態において、固定プレート150は、1つの大きなガイドピン151’と1つの小さなガイドピン151とでキー止めされる(keyed)。
図23は、固定プレート150の側面図を示している。
【0073】
固定プレート150は、バックアウト防止構成としての傾斜コイル機構152を含んで示されているが、ひとたび配置されてサイズが定められると、隣接する骨に対するインプラント位置を固定するために、他のタイプが使用されてよい。例えば、幾つかの実施形態は、超音波溶接のためのポリマ部材を含んでよい。
【0074】
加えて、拡張可能なインプラントデバイス100のための使用方法が提供される。幾つかの方法は、側方アプローチ又は前方アプローチを介して椎間板空間にアクセスするステップと、椎間板空間を準備するステップと、初期前弯角を有する閉鎖構成において拡張可能なインプラントデバイスを準備された椎間板空間内に挿入するステップと、調整ツールを使用して拡張可能なインプラントデバイスの駆動ネジを回転させ、それによって、拡張可能なインプラントデバイスを作動させて、所望の前弯角を達成するまで前弯角を変化させるステップと、調整ツールを拡張可能なインプラントデバイスから取り外すステップと、挿入された拡張可能なインプラントデバイスの近位端にあるネジ山付き孔を通じて拡張可能なインプラントデバイスを骨グラフト又は骨グラフト代替物で充填するステップ及び/又は骨グラフト又は骨グラフト代替物を椎間板空間内の拡張可能なインプラントデバイスの周囲に詰めるステップと、固定プレートを拡張可能なインプラントデバイスの後端に取り付けるステップと、固定プレートを使用者の骨に固定して、デバイスの滑りを防止して、融合プロセスを助けるステップとを含む。使用方法は、デバイスを椎間板空間内に挿入する前医に、骨グラフト又は骨グラフト代替物をデバイスの融合孔内に詰めるステップを更に含むことが想定される。固定部レートを拡張可能なデバイスの後端に取り付けるステップは、デバイスが椎間板空間内に移植される前又は後に並びにデバイスがその初期前弯角からその所望の前弯角まで調整される前又は後に生じる場合があることも想定される。
【0075】
拡張可能なインプラントの個々の部品は、チタン又は外科用インプラントを製造するために一般的に使用される任意の材料から製造されてよい。選択された材料に依存して、既知の製造方法が利用されてよい。例えば、金属及び/又は熱可塑性成分は、3D印刷、ブロー成形、又は射出成形されてよい。
【0076】
幾つかの実施形態では、インプラントの少なくとも一部が、PEEK又は多孔質PEEK材料から構築されてよいことが想定される。多孔性ピーク(peek)表面に第1のエンドプレート110及び第2のエンドプレート120のうちの1つ又はそれよりも多くのエンドプレートの骨係合面121を画定させることが望ましい場合がある。この多孔質骨接触面は、エンドプレートの骨係合面への骨の内方成長又は上方成長を促進することがあり、移動防止構成として作用することを促進することもある。
【0077】
組立指示は、以下を含んでよい。
【0078】
開放端が横方向を向いた状態で、右ネジ山付きナットを第1のエンドプレート内で正しい向きに配置する。ボルトの内側端及びネジ山付きナットが面一になるまで、右ボルトを第1のエンドプレートにある横方向孔を通じて右ネジ山付きナット内に螺装する。
【0079】
スプラインローブ付き構成を板バネ上の(しばしばナブと呼ばれる)バネ端と整列させ、板バネで恒久的な変形が起こらないことを保証しながら、板バネを通じてスプラインをスライドさせる。
【0080】
開放端が横方向を向いた状態で、左ネジ山付きナットを第1のエンドプレート内に配置する。左ボルトのネジ山が図示のように左ナットの内側と面一になるまで、左ボルトを第1のエンドプレートを通じて並びに左ネジ山付きナットに通じて螺装する。プレスする前に両方の内側ボルト面がナットの内側面と整列されていることを確実にする。これは拡張可能なインプラントデバイスが均一に拡張することを保証する。内側面が第1のエンドプレートの中央の支持支柱にちょうど接触するまで、両方のボルトを一緒に押す。Eクリップを駆動ネジの溝に差し込む。ネジ山付きナットが完全に分離されるまで駆動ネジを回転させる。プルダウンピンが拡張可能なインプラントデバイスの後方に向かって方向付けられた状態で、右リンク機構の脚を右ネジ山付きナットにある嵌合スロット構成内に差し込む。第2のエンドプレートを第1のエンドプレートに対して約60°に方向付けて、右リンク機構プルダウンピンが第2のエンドプレートの嵌合スロット内にスライドすることを可能にする。アセンブリの右側を共に維持して、リンク機構が緩むのを防止し、例えば、ピンセットを使用して、左リンク機構のプルダウンピンを第2のエンドプレートのプルダウンスロット内にスライドさせ、左リンク機構の脚を左ネジ山付きナットの嵌合スロット内に整列させる。両方のリンク機構がネジ山付きナット内に完全に位置していることを確実にし、静止及び第2のエンドプレートのピン穴を整列させる。駆動ネジを回転させて、インプラントを第1の又は完全に折り畳まれた構成に至らせる。第2のエンドプレートの第1の端を第1のエンドプレートの第1の端に接合するために、中心化されるまで静止及び第2のエンドプレートのヒンジ穴を通じてピンをプレスする。