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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】抗SIRPA抗体およびその使用法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230825BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230825BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230825BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230825BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230825BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230825BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230825BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230825BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230825BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230825BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 65
(21)【出願番号】P 2020565405
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019033884
(87)【国際公開番号】W WO2019226973
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】62/676,813
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517041235
【氏名又は名称】アレクトル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピンセティック, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ホー, ウェイ-シャン
(72)【発明者】
【氏名】カルプ, パトリシア
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール, アーノン
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/057669(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068164(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/178653(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み;軽鎖可変領域が、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体。
【請求項2】
重鎖可変領域が、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH FR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH FR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR3、および配列番号28のアミノ酸配列を含むVH FR4をみ、つ軽鎖可変領域が、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL FR1、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL FR2、配列番号31のアミノ酸配列を含むVL FR3、および配列番号32のアミノ酸配列を含むVL FR4を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
重鎖可変領域が、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
軽鎖可変領域が、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含み;軽鎖可変領域が、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体。
【請求項6】
重鎖可変領域が、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH FR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH FR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR3、および配列番号28のアミノ酸配列を含むVH FR4をみ、つ軽鎖可変領域が、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL FR1、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL FR2、配列番号31のアミノ酸配列を含むVL FR3、および配列番号32のアミノ酸配列を含むVL FR4を含む、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
重鎖可変領域が、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5または6に記載の抗体。
【請求項8】
軽鎖可変領域が、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項5から7のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体。
【請求項10】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号35のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号41のアミノ酸配列を含む、抗体。
【請求項11】
モノクローナル抗体である、請求項1から10のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項12】
ヒト化抗体である、請求項1から11のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、またはscFv断片である、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項14】
多価抗体である、請求項1から13のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項15】
IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスの抗体である、請求項1から14のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項16】
IgGクラスの抗体であり、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、またはIgG4アイソタイプとしての抗体である、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
阻害型Fc受容体に結合する、請求項1から16のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項18】
阻害型Fc受容体が、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcgRIIB)である、請求項17に記載の抗体。
【請求項19】
FcgRIIBの細胞レベルを低下させる、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
抗SIRPA抗体が、ヒトのIgG1アイソタイプを有し、N297A、D265A、D270A、L234A、L235A、G237A、P238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、A330R、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、N297Q、P238S、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、N325S、L328F、T394D、およびこれらの任意の組合せ(残基の番号付けはEU番号付けに従う)からなる群から選択される、Fc領域内のアミノ酸残基における1つもしくは複数のアミノ酸置換を含むか、またはFc領域内のグリシン236に対応する位置におけるアミノ酸欠失を含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項21】
抗体が、C127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、N325S、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、およびこれらの任意の組合せ(アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けまたはカバット番号付けに従う)からなる群から選択される残基位置における1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項22】
N325S及びL328F置換を含む、請求項21に記載の抗体。
【請求項23】
全長抗体であり、重鎖がC末端リジン残基を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項24】
重鎖がC末端リジン残基を欠く、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項25】
重鎖が配列番号53のアミノ酸配列を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項26】
重鎖が、配列番号53のC末端リジン残基を除く配列番号53のアミノ酸配列を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項27】
軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項28】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体。
【請求項29】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号53のC末端リジン残基を除く配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖を含み、かつ配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、抗体。
【請求項30】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号53のアミノ酸配列からなる重鎖および配列番号50のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、抗体。
【請求項31】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号53のC末端リジン残基を除く配列番号53のアミノ酸配列からなる重鎖を含み、かつ配列番号50のアミノ酸配列からなる軽鎖を含む、抗体。
【請求項32】
ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、
a)重鎖が配列番号47のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
b)重鎖が配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
c)重鎖が配列番号49のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
d)重鎖が配列番号54のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
e)重鎖が配列番号51のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
f)重鎖が配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
g)重鎖が配列番号55のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;
h)重鎖が配列番号56のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む;または
i)重鎖が配列番号57のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、
抗体。
【請求項33】
抗SIRPA抗体が、SIRPAの細胞表面レベルを低下させるか、SIRPAの細胞内レベルを低下させるか、SIRPAの全細胞レベルを低下させるか、またはこれらの任意の組合せである、請求項1から32のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項34】
抗SIRPA抗体が、SIRPAの分解を誘導するか、SIRPAの切断を誘導するか、SIRPAの内部移行を誘導するか、SIRPAの放出を誘導するか、SIRPAの発現を下方調節するか、またはこれらの任意の組合せである、請求項1から33のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項35】
in vitroおよび/またはin vivoのSIRPAの細胞表面レベルを低減する、請求項1から34のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項36】
ヒト単球および/またはヒトマクロファージ内のSIRPAの発現を下方調節する、請求項1から35のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項37】
ヒトマクロファージ内のSIRPAの発現を約70~95%下方調節する、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
6nM未満の、ヒトSIRPA v1に対する親和性(K)を有する、請求項2から4及び6から37のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項39】
約0.1nM~2nMの、ヒトSIRPA v1に対する親和性(K)を有する、請求項2から4及び6から38のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項40】
in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、ヒトSIRPA v1に対して約0.05~0.20nM、ヒトSIRPA v2に対して約0.05~0.10nM、および/またはカニクイザルSIRPAに対して約0.05~1nMの50%効果濃度(EC50)で低減する、請求項2から4及び6から39のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項41】
抗SIRPA抗体が、M1マクロファージ内の腫瘍細胞に対する食作用を増大させ、M2マクロファージ内の腫瘍細胞に対する食作用を増大させ、マクロファージ内のCD14の発現を下方調節し、かつ/またはこれらの任意の組合せである、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項42】
抗SIRPA抗体が、T細胞の増殖を増強する、請求項1から41のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項43】
抗SIRPA抗体が、SIRPAとCD47との相互作用を遮断せずに、T細胞の増殖を増強する、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項44】
抗SIRPA抗体が、単球内のROSの産生を刺激し、かつ/または単球内のIL-8の発現を増大させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項45】
抗SIRPA抗体が、in vivoにおける腫瘍増殖を阻害する、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項46】
抗SIRPA抗体が、末梢血中のCD14+骨髄細胞の数を低減し、かつ/または腫瘍内のCD14+骨髄細胞の数を増大させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項47】
ヒトSIRPAに結合するが、SIRPAへのCD47の結合を実質的に遮断しない、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項48】
請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項49】
請求項1から47のいずれか一項に記載の抗体をコードする核酸配列を含む、単離された核酸。
【請求項50】
請求項49に記載の核酸を含むベクター。
【請求項51】
請求項49に記載の核酸または請求項50に記載のベクターを含む、単離された宿主細胞。
【請求項52】
請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体を発現する、単離された宿主細胞。
【請求項53】
対象におけるがんの治療における使用のための、治療的有効量の請求項1から4のいずれか一項に記載の抗SIRP抗体を含む組成物。
【請求項54】
がんが、肉腫、膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、腎盂がん、白血病、肺がん、小細胞肺がん、メラノーマ、リンパ腫、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、および線維肉腫、多形神経膠芽腫;腎明細胞癌;副腎皮質癌;膀胱尿路上皮癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肺腺癌;膵腺癌、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、無痛性B細胞リンパ腫、侵襲性B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性新生物、浸潤性乳癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、腎嫌色素細胞、腎乳頭細胞癌、低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌(cystadenomcarcinoma)、膵腺癌、クロム親和性細胞腫および傍神経節腫、前立腺癌、直腸腺癌、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫(thyumoma)、子宮体内膜癌、子宮(uternine)癌肉腫、ならびにブドウ膜メラノーマから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項55】
使用が、PD1、PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、CTLA4、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、またはCD73を阻害するか、またはアゴナイズする治療剤の対象への投与をさらに含む、請求項5または請求項5に記載の組成物。
【請求項56】
使用が、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体の対象への投与をさらに含む、請求項5から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体が、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L2抗体、抗PD-1抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、および抗HVEM抗体、抗BTLA(B- and T-lymphocyte attenuator)抗体、抗KIR(Killer inhibitory receptor)抗体、抗GAL9抗体、抗TIM-1抗体、抗TIM3抗体、抗TIM-4抗体、抗A2AR抗体、抗CD39抗体、抗CD73抗体、抗LAG-3抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、抗CD27抗体、抗CD30抗体、抗TNFα抗体、抗CD33抗体、抗Siglec-5抗体、抗Siglec-7抗体、抗Siglec-9抗体、抗Siglec-11抗体、アンタゴニスト性抗TREM1抗体、アンタゴニスト性抗TREM2抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗CD2抗体、抗CD5抗体、ならびにこれらの任意の組合せから選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項58】
使用が、1つまたは複数の標準的な抗がん治療または治験中の抗がん治療の対象への投与をさらに含む、請求項5から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
1つまたは複数の標準的な抗がん治療または治験中の抗がん治療が、放射線療法、細胞傷害性化学療法、ターゲティング療法、イマチニブ療法、トラスツズマブ療法、エタネルセプト療法、養子細胞移入(ACT)療法、キメラ抗原受容体T細胞移入(CAR-T)療法、ワクチン療法、およびサイトカイン療法から選択される、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
使用が、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体の対象への投与をさらに含む、請求項5から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体が、抗CCL2抗体、抗CSF-1抗体、抗IL-2抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項62】
使用が、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体の対象への投与をさらに含む、請求項5から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体が、アゴニストの抗CD40抗体、アゴニストの抗OX40抗体、アゴニストの抗ICOS抗体、アゴニストの抗CD28抗体、アゴニスト性抗TREM1抗体、アゴニスト性抗TREM2抗体、アゴニストの抗CD137/4-1BB抗体、アゴニストの抗CD27抗体、アゴニストの抗グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR抗体、アゴニストの抗CD30抗体、アゴニストの抗BTLA抗体、アゴニストの抗HVEM抗体、アゴニストの抗CD2抗体、アゴニストの抗CD5抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項64】
使用が、少なくとも1つの刺激性サイトカインの対象への投与をさらに含む、請求項5から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
少なくとも1つの刺激性サイトカインが、IFN-α4、IFN-β、IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-8、CRP、IL-20ファミリーメンバー、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、CXCL10、IL-33、MCP-1、MIP-1ベータ、およびこれらの任意の組合せから選択される、請求項6に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により任意の目的で本明細書に組み込まれる、2018年5月25日に出願された、米国特許仮出願第62/676,813号の利益を主張する。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットにおいて、電子的に提出され、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2019年5月14日に作成された前記ASCIIコピーは、「40004-PCT_SL.txt」と名付けられ、99,798バイトのサイズである。
【0003】
分野
本開示は、抗SIRPA抗体、およびこのような抗体の治療的使用に関する。
【背景技術】
【0004】
マクロファージ(MΦ)および樹状細胞(DC)などの食作用細胞は、細胞の活性化状態、増殖、および/またはエフェクター機能をモジュレートする、複雑な、一連の細胞表面受容体を介して、健常細胞を、異常細胞から識別する。これらの受容体の多くは、望ましくない細胞を、除去のためにマークする(いわゆる「貪食」シグナル)か、または正常細胞を、破壊から保護する(いわゆる「貪食停止」シグナル)、多様なリガンドを認識する。近年では、SIRPα-CD47軸が、がん細胞の生存~造血細胞移植の移植成功にわたる、多様な臨床状況下で、マクロファージによるプログラム細胞除去における、極めて重要な決定基として出現している。この経路に影響を与える治療剤は、多種類のヒトがんにおける、特に重要な疾患を改善する、重要な医療的必要を満たす可能性がある。
【0005】
SIRPα(シグナル制御タンパク質α)は、主に、骨髄細胞系統(MΦ、DC、顆粒球などを含む)内で発現される、膜貫通型受容体のSIRPファミリーに属し、膜近位IgCドメインおよび膜遠位IgVドメインの2つを含有する細胞外領域により特徴づけられる。SIRPαが、細胞内の、細胞質免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有することは、このファミリーの中では、固有なことである。受容体が架橋されると、チロシンがリン酸化されたTIM部位は、SHPホスファターゼを動員し、活性化させて、食作用または炎症性サイトカインの放出などの細胞機能を、負に調節する。CD47は、SIRPαに対する、主要なリガンドとして用いられ、内皮/上皮細胞、白血球、および赤血球を含む、大半の細胞型における、その広範な発現は、それが、「貪食停止」シグナルを媒介して、健常細胞を、食細胞依存性の除去から保護することを示唆する。CD47ノックアウトマウスから、野生型レシピエントへの、赤血球または白血球の養子移入が、CD47不全細胞の急速な除去を結果としてもたらすことを、いくつかの研究が示すことは、この見方を裏書きする。逆に、ヒト造血細胞を施される免疫障害マウスの複数の株における、遺伝子位置解析は、NODマウスにおいて、Sirpα対立遺伝子を、異種移植モデルにおける、移植の成功のための原因因子として同定した。後続の研究は、NODマウスだけにおいて発現される、SIRPαの対立遺伝子変異体が、ヒト造血幹細胞上で発現される、ヒトCD47に結合する能力を保持し、したがって、マクロファージ依存性の移植片拒絶を抑制することを裏付けた。
【0006】
SIRPαおよびCD47の発現の調節は、貪食細胞活性をモジュレートする、恒常性制御機構を確立する。例えば、アポトーシス細胞は、CD47の発現を下方調節して、常在マクロファージによる貪食を容易とする一方で、生細胞は、無傷を維持する。同様に、LPSなどの炎症性刺激は、マクロファージ内および樹状細胞(DC)内のSIRPα発現を低下させて、炎症時における、それらの活性化を強化する。しかし、SIRPαおよびCD47の発現の調節異常は、がんにおいて見られる通り、免疫関連疾患に寄与する。いくつかの腫瘍は、正常では、悪性細胞を消失させる、免疫監視機構を逃避するために、CD47の発現を、非がん性細胞と比べて、顕著に増進する。前臨床研究は、B16F10メラノーマなどの同系腫瘍モデルにおける、CD47の遺伝子ノックダウンが、免疫適格マウスにおける腫瘍増殖を阻害するのに十分であることを明らかにする。同様の結果は、免疫障害マウスへと移植された、CD47ノックダウンヒトがん細胞株に関しても観察されている。代替的に、抗CD47抗体など、SIRPα-CD47間相互作用を破壊する、生物学的薬剤もまた、マウスモデルにおける腫瘍の除去を増強する。トラスツズマブまたはリツキシマブなど、市販の抗腫瘍抗原抗体と組み合わされると、抗CD47抗体は、抗腫瘍応答の、標準的な単剤療法と比較した、相乗作用的増大を容易とする。しかし、CD47の遍在的発現を踏まえると、抗CD47抗体は、オフターゲット作用に起因する、重篤な毒性負荷の危険性を有することから、それらの治療有効性を制限している。しかしながら、これらの研究は、SIRPα-CD47経路について、がん免疫療法における、潜在的な適用を伴う、骨髄細胞の調節において、極めて重要な役割を確立している。
【0007】
抗SIRPA抗体については、例えば、国際特許出願公開第WO2018/057669号、同第WO2018/026600号、同第WO2017/178653号、同第WO2017/068164号、同第WO2016/063233号、同第WO2016/205042号、同第WO2015/138600号、同第WO2013/0956352号、同第WO2009/091547号、同第WO2009/131453号、および同第WO2009/046541号において記載されている。
【発明の概要】
【0008】
したがって、所望されないSIRPA活性と関連する、疾患、障害、および状態を処置するための、抗SIRPA治療抗体が必要とされている。
【0009】
特許出願および刊行物を含む、本明細書で引用される、全ての参考文献は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
【0010】
概要
本開示は、一般に、ヒトSIRPAに特異的に結合する抗体、例えば、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体断片などを含む組成物、およびこのような組成物の使用法を対象とする。
【0011】
本開示の、ある特定の態様は、少なくとも部分的に、機能的特性の改善および/もしくは増強を伴う(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを伴う、抗SIRPA抗体と比べた、機能的特性の改善および/もしくは増強であって、例えば、細胞上の、SIRPAの細胞表面レベルを低下させる能力の改善および/もしくは増強を含む、機能的特性の改善および/もしくは増強を伴う、抗SIRPA抗体、ならびに/あるいは結合反応速度値を改善および/もしくは増強し、かつ/またはKD値を改善および/もしくは増強し、かつ/またはEC50値を改善および/もしくは増強した抗SIRPA抗体の同定に基づく。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体の、少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、または少なくとも10分の1である、ヒトSIRPAに対するKDを有する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAに対する、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.9nM未満、0.8nM未満、0.7nM未満、0.6nM(nm)未満、または0.5nM未満のKDを有する。
【0012】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、in vitroにおける、SIRPAの細胞表面発現レベルを、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体より、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%低値のEC50で低減する。本開示の抗SIRPA抗体は、in vitroにおける、SIRPAの細胞レベルを、約0.4nM~約0.5nMの範囲の50%効果濃度(EC50)で低下させるので有利である。本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAについて、約0.6nM~0.7nMの範囲の解離定数(KD)を有するので有利である。
【0013】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v1に結合する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v2に結合する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPB(SIRPベータ)v3に結合する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPB v1に結合しない。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、マウスSIRPAに結合しない。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPγに結合しない。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、カニクイザルSIRPAに結合する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、カニクイザルSIRPB1に結合しない。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、マーモセットSIRPAに結合する。
【0014】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、ヒトSIRPA、ヒトSIRPA v1、ヒトSIRPA v2、カニクイザルSIRPA、マーモセットSIRPA、およびヒトSIRPβ3に結合する抗体を提示する。
【0015】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;ならびに配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、抗体を提示する。
【0016】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体を提示する。
【0017】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、抗体を提示する。
【0018】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0019】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域が、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0020】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH FR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH FR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR3、および配列番号28のアミノ酸配列を含むVH FR4から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワーク領域を含む、抗体を提示する。
【0021】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域が、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL FR1、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL FR2、配列番号31のアミノ酸配列を含むVL FR3、および配列番号32のアミノ酸配列を含むVL FR4から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワーク領域を含む、抗体を提示する。
【0022】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH FR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH FR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR3、および配列番号28のアミノ酸配列を含むVH FR4から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワーク領域を含み;軽鎖可変領域が、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL FR1、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL FR2、配列番号31のアミノ酸配列を含むVL FR3、および配列番号32のアミノ酸配列を含むVL FR4から選択される1つ、2つ、3つまたは4つのフレームワーク領域を含む、抗体を提示する。
【0023】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0024】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域が、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0025】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0026】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、抗体3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25の、HVR-H1、HVR-H2、およびHVR-H3(表8に示される)を含む、抗体を提示する。
【0027】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域が、抗体3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25の、HVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3(表7に示される)を含む、抗体を提示する。
【0028】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、抗体3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25のHVR-H1、HVR-H2、およびHVR-H3(表8に示される)を含み;軽鎖可変領域が、抗体3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25のHVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3(表7に示される)を含む、抗体を提示する。
【0029】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、HVR-H1、HVR-H2、およびHVR-H3を含む重鎖可変領域と、HVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3を含む軽鎖可変領域とを含み、抗体3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25のHVR-H1、HVR-H2、HVR-H3、HVR-L1、HVR-L2、およびHVR-L3(表7および8に示される)を含む、抗体を提示する。
【0030】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が、VH FR1、VH FR2、VH FR3(VH,Fr3)、およびVH FR4から選択される1つ、2つ、3つ、もしくは4つのフレームワーク領域を含み、VH FR1が配列番号25のアミノ酸配列を含み;VH FR2が配列番号26のアミノ酸配列を含み;VH FR3が配列番号27のアミノ酸配列を含み;VH FR4が配列番号28のアミノ酸配列を含み;かつ/または軽鎖可変領域が、VL FR1、VL FR2、VL FR3、およびVL FR4から選択される1つ、2つ、3つ、もしくは4つのフレームワーク領域を含み、VL FR1が配列番号29のアミノ酸配列を含み;VL FR2が配列番号30のアミノ酸配列を含み;VL FR3が配列番号31のアミノ酸配列を含み;VL FR4が配列番号32のアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0031】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号49のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提示する。
【0032】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号47のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗SIRPA抗体を提供する。
【0033】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0034】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号49のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0035】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号53のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0036】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号54のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0037】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号51のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0038】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0039】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号55のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0040】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号56のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0041】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、単離された抗SIRPA抗体であって、抗体が重鎖および軽鎖を含み、重鎖が配列番号57のアミノ酸配列を含み、軽鎖が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体を提供する。
【0042】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、モノクローナル抗体である抗体を提示する。
【0043】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、ヒト化抗体である抗体を提示する。
【0044】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、またはscFv断片である抗体を提示する。
【0045】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、多価抗体である抗体を提示する。
【0046】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスである抗体を提示する。
【0047】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、IgGクラスの抗体であり、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、またはIgG4アイソタイプとしての抗体である抗体を提示する。
【0048】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、阻害型Fc受容体に結合する抗体を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγRIIB)である。
【0049】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、FcγRIIBの細胞レベルを低下させる抗体を提示する。
【0050】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、ヒトまたはマウスのIgG1アイソタイプを有し、N297A、D265A、D270A、L234A、L235A、G237A、P238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、A330R、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E、P331S、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、N297Q、P238S、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、T394D、およびこれらの任意の組合せ(残基の番号付けはEU番号付けに従う)からなる群から選択される、Fc領域内のアミノ酸残基における1つもしくは複数のアミノ酸置換を含むか、またはFc領域内のグリシン236に対応する位置におけるアミノ酸欠失を含む、抗体を提示する。
【0051】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、C127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、およびこれらの任意の組合せ(アミノ酸残基の番号付けは、EU番号付けまたはカバット番号付けに従う)からなる群から選択される、Fc領域内の残基位置における1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、抗体を提示する。
【0052】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、SIRPAの細胞表面レベルを低下させるか、SIRPAの細胞内レベルを低下させるか、SIRPAの全細胞レベルを低下させるか、またはこれらの任意の組合せである、抗体を提示する。
【0053】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、SIRPAの分解を誘導するか、SIRPAの切断を誘導するか、SIRPAの内部移行を誘導するか、SIRPAの放出を誘導するか、SIRPAの発現の下方調節を誘導するか、またはこれらの任意の組合せである、抗体を提示する。
【0054】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを低減する抗体を提示する。
【0055】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vivoにおけるSIRPAの細胞表面レベルを低減する抗体を提示する。
【0056】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、ヒト単球内のSIRPAの発現を下方調節する、抗体を提示する。
【0057】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、ヒトマクロファージ内のSIRPAの発現を下方調節する、抗体を提示する。
【0058】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、ヒトマクロファージ内のSIRPAの発現を約70~95%下方調節する、抗体を提示する。
【0059】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、ヒトSIRPAに対する6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、または1nM未満の親和性(KD)を有する、抗体を提示する。
【0060】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、ヒトSIRPAに対する約0.1nM~2nMの親和性(KD)を有する、抗体を提示する。
【0061】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体の、ヒトSIRPAに対する親和性の少なくとも2分の1、少なくとも3分の1、少なくとも4分の1、少なくとも5分の1、少なくとも6分の1、少なくとも7分の1、少なくとも8分の1、少なくとも9分の1、または少なくとも10分の1であるKDで、ヒトSIRPAに対する親和性を有する、抗体を提示する。
【0062】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPA v1の細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、約0.05nM~2nMまたは約0.4nM~約0.5nMの50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。
【0063】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、ヒトSIRPA v1に対して約0.05~0.20nM、ヒトSIRPA v2に対して約0.05~0.10nM、および/またはカニクイザルSIRPAに対して約0.05~1nMの50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。
【0064】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号1のヒトSIRPA v1のD3ドメインに結合する抗体を提示する。
【0065】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、配列番号1のヒトSIRPA v1のアミノ酸残基R282、Q284、およびG337に結合する抗体を提示する。
【0066】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、マクロファージ内の腫瘍細胞に対する食作用を増大させ、M1マクロファージ内の腫瘍細胞に対する食作用を増大させ、M2マクロファージ内の腫瘍細胞に対する食作用を増大させ、マクロファージ内のCD14の発現を下方調節し、かつ/またはこれらの任意の組合せである、抗体を提示する。
【0067】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体がT細胞の増殖を増強する、抗体を提示する。
【0068】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、SIRPAのサーファクタントプロテインD(SP-D)との相互作用または結合を遮断する、抗体を提示する。
【0069】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、SIRPAのCD47との相互作用または結合を遮断しない、抗体を提示する。
【0070】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、細胞表面におけるCD32A/Bの発現を下方調節する、抗体を提示する。
【0071】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、細胞表面におけるCD14の発現を下方調節する、抗体を提示する。
【0072】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、SIRPγとCD47との相互作用を遮断せずに、T細胞の増殖を増強する、抗体を提示する。
【0073】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、単球内のROSの産生を刺激し、かつ/または単球内のIL-8の発現を増大させる、抗体を提示する。
【0074】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、in vivoにおける腫瘍増殖を阻害する、抗体を提示する。
【0075】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、末梢血中のCD14+骨髄細胞の数を低減し、かつ/または腫瘍内のCD14+骨髄細胞の数を増大させる、抗体を提示する。
【0076】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、ヒトSIRPAに結合するが、SIRPAへのCD47の結合を実質的に遮断しない、抗体を提示する。
【0077】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗体が第1の抗原および第2の抗原を認識し、第1の抗原がSIRPAであり、第2の抗原が、
(a)血液脳関門を越える輸送を容易とする抗原;
(b)トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1および2(LPR-1および2)、ならびにジフテリア毒素受容体から選択される、血液脳関門を越える輸送を容易とする抗原;
(c)疾患原因ペプチドまたは疾患原因タンパク質、疾患原因核酸から選択される疾患原因作用物質であって、疾患原因核酸が、アンチセンスGGCCCC(G2C4)リピート伸長RNAであり、疾患原因タンパク質が、アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータプラーク、アミロイド前駆体タンパク質、またはこれらの断片、タウ、IAPP、α-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、C9orf72(第9染色体オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2マイクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、ユビキチン、およびプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチドから選択される、疾患原因作用物質;ならびに
(d)免疫細胞上で発現される、リガンドおよび/またはタンパク質であって、PD1/PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、CD73、およびホスファチジルセリンから選択される、リガンドおよび/またはタンパク質;ならびに1つまたは複数の腫瘍細胞上で発現される、タンパク質、脂質、多糖類、または糖脂質
である、抗体を提示する。
【0078】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、血液脳関門を越える輸送を容易とするペプチドにコンジュゲートしている、抗体を提示する。一部の実施形態では、ペプチドは、CRM197、タンパク質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、angiopepペプチド、およびANG1005から選択される。
【0079】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体がオプソニン化抗体である、抗体を提示する。
【0080】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体がコンジュゲート抗体である、抗体を提示する。
【0081】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、検出用マーカー、毒素、または治療剤にコンジュゲートしている、抗体を提示する。
【0082】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、リシン、リシンA鎖、ドキソルビシン、ダウノルビシン、メイタンシノイド、タキソール、エチジウムブロマイド、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、アクチノマイシン、ジフテリア毒素、シュードモナス(Pseudomonas)属外毒素(PE)A、PE40、アブリン、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファサルシン、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、クルシン、クロチン、カリケアマイシン、サボンソウ(Saponaria officinalis)阻害剤、グルココルチコイド、アウリスタチン、アウロマイシン、イットリウム、ビスマス、コンブレスタチン、デュオカルマイシン、ドラスタチン、cc1065、およびシスプラチンから選択される毒素にコンジュゲートしている、抗体を提示する。
【0083】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、抗SIRPA抗体が、アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータプラーク、アミロイド前駆体タンパク質、またはこれらの断片、タウ、IAPP、α-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、C9orf72(第9染色体オープンリーディングフレーム72)、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2マイクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、ユビキチン、およびプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド、およびこれらの任意の組合せから選択される、疾患原因タンパク質に特異的に結合する、1つもしくは複数の抗体;またはPD1/PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、CD73、TREM1、TREM2、CD33、Siglec-5、Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11、ホスファチジルセリン、疾患原因核酸、アンチセンスGGCCCC(G2C4)リピート伸長RNA、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、免疫調節タンパク質に結合する1つもしくは複数の抗体と組み合わせて使用される、抗体を提示する。
【0084】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを防止するか、この危険性を低減するか、またはこれを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与して、これによりがんを処置することを含む方法を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本発明は、がんである、疾患、障害、もしくは損傷を防止するか、この危険性を低減するか、またはこれを有する個体を処置する方法であって、個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与して、これにより個体を防止するか、この危険性を低減するか、またはこれを処置することを含む方法を提供する。
【0085】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することを含み、がんが、肉腫、膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、腎盂がん、白血病、肺がん、小細胞肺がん、メラノーマ、リンパ腫、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、および線維肉腫、多形神経膠芽腫;腎明細胞癌;副腎皮質癌;膀胱尿路上皮癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、肺腺癌;膵腺癌、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、無痛性B細胞リンパ腫、侵襲性B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性新生物、浸潤性乳癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、腎嫌色素細胞、腎乳頭細胞癌、低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵腺癌、クロム親和性細胞腫および傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮体内膜癌、子宮癌肉腫、ならびにブドウ膜メラノーマから選択される方法を提示する。
【0086】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することを含み、PD1、PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、CTLA4、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、またはCD73を阻害する治療剤を投与することをさらに含む方法を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、治療剤は、PD1、PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、CTLA4、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、またはCD73を阻害する抗体である。
【0087】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することを含み、個体に、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体、および/または1つもしくは複数の、標準的な抗がん治療もしくは治験中の抗がん治療を投与することを含む方法を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L2抗体、抗PD-1抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、および抗HVEM抗体、抗BTLA(B- and T-lymphocyte attenuator)抗体、抗KIR(Killer inhibitory receptor)抗体、抗GAL9抗体、抗TIM-1抗体、抗TIM3抗体、抗TIM-4抗体、抗A2AR抗体、抗CD39抗体、抗CD73抗体、抗LAG-3抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、抗CD27抗体、抗CD30抗体、抗TNFα抗体、抗CD33抗体、抗Siglec-5抗体、抗Siglec-7抗体、抗Siglec-9抗体、抗Siglec-11抗体、アンタゴニスト性抗TREM1抗体、アンタゴニスト性抗TREM2抗体、抗TIGIT抗体、抗VISTA抗体、抗CD2抗体、抗CD5抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0088】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、1つまたは複数の、標準的な抗がん治療または治験中の抗がん治療は、放射線療法、細胞傷害性化学療法、ターゲティング療法、イマチニブ療法、トラスツズマブ療法、エタネルセプト療法、養子細胞移入(ACT)療法、キメラ抗原受容体T細胞移入(CAR-T)療法、ワクチン療法、およびサイトカイン療法から選択される。
【0089】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することを含み、個体に、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を投与することをさらに含む方法を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗CCL2抗体、抗CSF-1抗体、抗IL-2抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0090】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することを含み、個体に、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体を投与することをさらに含む方法を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体は、抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体は、アゴニストの抗CD40抗体、アゴニストの抗OX40抗体、アゴニストの抗ICOS抗体、アゴニストの抗CD28抗体、アゴニスト性抗TREM1抗体、アゴニスト性抗TREM2抗体、アゴニストの抗CD137/4-1BB抗体、アゴニストの抗CD27抗体、アゴニストの抗グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR抗体、アゴニストの抗CD30抗体、アゴニストの抗BTLA抗体、アゴニストの抗HVEM抗体、アゴニストの抗CD2抗体、アゴニストの抗CD5抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0091】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、それを必要とする個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することを含み、個体に少なくとも1つの刺激性サイトカインを投与することをさらに含む方法を提示する。一部の実施形態では、少なくとも1つの刺激性サイトカインは、IFN-α4、IFN-β、IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-8、CRP、IL-20ファミリーメンバー、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、CXCL10、IL-33、MCP-1、MIP-1ベータ、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0092】
一部の実施形態では、本発明は、本開示の抗SIRPA抗体をコードする核酸配列を含む単離された核酸を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本開示の抗SIRPA抗体をコードする核酸配列を含む単離された核酸を含むベクターを提供する。一部の実施形態では、本発明は、本開示の抗SIRPA抗体をコードする核酸配列を含む単離された核酸を含むベクターを含む単離された宿主細胞を提供する。
【0093】
一部の実施形態では、本発明は、ヒトSIRPAに結合する抗体を作製する方法であって、抗体が作製されるように、本開示の抗SIRPA抗体をコードする核酸配列を含む単離された核酸を含むベクターを含む宿主細胞を培養することを含む方法を提供する。本発明は、細胞により産生された抗体を回収することをさらに提供する。
【0094】
一部の実施形態では、本発明は、本開示の抗SIRPA抗体と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】ヒトSIRPA変異型1、および多様な種に由来するSIRPAタンパク質の細胞外ドメインの、アミノ酸配列のアライメントを示す図である。記録された同一性パーセントは、細胞外領域内の高相同性を裏付ける。寄託番号は、P78324(ヒトSIRPA変異型1)、XP015313153(カニクイザル)、JAB51896(マーモセット)、G1U0I5(ウサギ)、およびXP005634938(イヌ)である。配列番号59~63を、それぞれ、出現順に開示する。
図2A】抗SIRPA抗体である、3F9の、重鎖可変ドメインの、潜在的なヒト化配列を列挙する図である。ヒト化配列は、IGHV3-2301アクセプターフレームワーク、およびIGHJ401接合領域に基づく。配列番号64~65、2、64、および3~4を、それぞれ、出現順に開示する。
図2B】抗SIRPA抗体である、3F9の、軽鎖可変ドメインの、潜在的なヒト化配列を列挙する図である。ヒト化配列は、IGHV3-2301アクセプターフレームワーク、およびIGHJ401接合領域に基づく。配列番号66~67、5、66、および68~70を、それぞれ、出現順に開示する。
図3】マウス抗SIRPA3F9抗体およびヒト化抗SIRPA3F9抗体による、初代ヒトマクロファージ上における、抗体媒介性の、SIRPAの下方調節を示すデータを明示する図である。
図4A】抗体媒介性の、受容体の下方調節が、FcのN結合型グリカンに依存することを示すデータを明示する図である。
図4B】腫瘍細胞に対する食作用の、抗体媒介性増強が、FcのN結合型グリカンに依存することを示すデータを明示する。
図5A】ヒト化抗SIRPA 3F9 IgG4抗体変異体が、腫瘍細胞に対する食作用を誘導することができなかったことを示すデータを明示する図である。
図5B】ヒト化抗SIRPA 3F9 IgG4抗体変異体が、マクロファージ上の、CD14の発現を下方調節することができないことを示すデータを明示する図である。
図6A】抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG1による処置が、初代ヒトマクロファージ上の、CD32A/Bの発現を下方調節することを示す図である。
図6B】抗SIRPA抗体である、3F9による処置が、初代ヒトマクロファージ上の、CD32AおよびCD32Bの発現を下方調節することを示す図である。
図7A】CD32A/Bの遮断が、初代ヒトマクロファージ上の、抗SIRPA抗体である、3F9媒介性の、SIRPAの下方調節を阻害することを示すデータを明示する図である。
図7B】CD32A/Bの遮断が、腫瘍細胞に対する食作用の、抗SIRPA抗体である、3F9媒介性の増強を阻害することを示すデータを明示する図である。
図8A】CD32Aアロタイプが、抗SIRPA抗体である、3F9媒介性の、SIRPAの下方調節に影響を及ぼしたことを示すデータを明示する図である。ドナー507および508が、CD32A-R/H131ヘテロ接合性であったことを示す。
図8B】CD32Aアロタイプが、抗SIRPA抗体である、3F9媒介性の、SIRPAの下方調節に影響を及ぼしたことを示すデータを明示する図である。ドナー516および517が、CD32A-H/H131ホモ接合性であったことを示す。
図9A-9B】抗体媒介性の、受容体の下方調節が、SIRPAの分解をもたらすことを示すデータを明示する図である。図9Aでは、5μg、10μg、および20μgの、細胞全体の溶解物を、SDS-PAGEへとロードし、抗SIRPA細胞質ドメイン(a-SIRPAct)で、免疫ブロットした。図9Bでは、20μgの、細胞全体の溶解物を、SDS-PAGEへとロードし、a-SIRPActおよび抗SHP2で、プローブした。
図10A】抗SIRPA抗体である、3F9-22の、異なるFc変異体の貪食活性の増強を比較するデータを明示する図である。初代ヒトマクロファージを、野生型ヒトIgG1骨格上、またはS267E/L328F Fc突然変異抗体、もしくはアイソタイプコントロール抗体を保有するヒトIgG1上の、抗SIRPA 3F9-22抗体で処置した。
図10B】抗SIRPA 3F9-22抗体の、異なるFc変異体の貪食活性の増強を比較するデータを明示する図である。初代ヒトマクロファージを、S267E/L328FもしくはA330S/P331SのFc突然変異抗体、またはアイソタイプコントロール抗体を保有するヒトIgG1骨格上、抗SIRPA 3F9-22抗体で処置した。
図11A-11B】抗SIRPA 3F9-22抗体の、異なるFc変異体の貪食活性を、M1マクロファージ(図11B)上、およびM2マクロファージ(図11A)上の抗CD47と比べて比較するデータを明示する図である。
図12A-12B】抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージが、in vitroにおける、固形腫瘍細胞生存率を低減したことを示すデータを明示する図である。
図13A-13B】2元MLRアッセイにおける、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、異なるFc変異体による、T細胞増殖の増強を比較するデータを明示する図である。図13Bは、2元MLRアッセイにおける、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、異なるFc変異体、および抗SIRPA抗体である、3F9-14による、T細胞増殖の、抗CD47 IgG4と比べた増強を比較するデータを明示する。
図14A】1元MLRアッセイにおける、抗SIRPA 3F9-22抗体の、異なるFc変異体による、T細胞増殖の、抗CD47 IgG4と比べた増強を比較するデータを明示する図である。
図14B】1元MLRアッセイによる、代表的なFACSプロットを示す図である。
図15A-15B】LPSでプライミングされたマクロファージによるTNF放出の、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、異なるFc変異体による増強を比較するデータを明示する図である。
図16】ヒトSIRPAのモデルにおける、抗SIRPA抗体のために「極めて重要な」残基の、同定および可視化を示すデータを明示する図である。
図17A】同系マウス結腸癌モデルにおける、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、抗PD-L1抗体と組み合わせた、腫瘍増殖阻害に対する効果を示すデータを明示する図である。野生型MC38細胞株および操作MC38細胞株における、マウスCD47(上パネル)およびヒトCD47(下パネル)の発現を示す、FACSヒストグラムを明示する。
図17B】同系マウス結腸癌モデルにおける、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、抗PD-L1抗体と組み合わせた、腫瘍増殖阻害に対する効果を示すデータを明示する図である。マウスCD47の発現を欠くように操作され、ヒトCD47を過剰発現させるMC38細胞(MC38-mCD47KO/huCD47+)を皮下に植え込まれた、huSIRPA/huCD47 BACトランスジェニックマウスについての平均腫瘍増殖曲線を示すデータを明示する。
図17C-1】同系マウス結腸癌モデルにおける、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、抗PD-L1抗体と組み合わせた、腫瘍増殖阻害に対する効果を示すデータを明示する図である。図17Bの各処置群内の、各個別の動物についてのスパゲッティプロットを明示する。
図17C-2】同系マウス結腸癌モデルにおける、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、抗PD-L1抗体と組み合わせた、腫瘍増殖阻害に対する効果を示すデータを明示する図である。図17Bの各処置群内の、各個別の動物についてのスパゲッティプロットを明示する。
図18A】用量を増大させる、本開示の抗SIRPA抗体で処置された、腫瘍を保有するBACトランスジェニックマウスの骨髄細胞内の、SIRPAの、抗体媒介性下方調節の動態を示すデータを明示する図である。時間経過にわたる、腫瘍浸潤性骨髄細胞上の、SIRPA発現の相対変化を示すデータを明示する。
図18B】用量を増大させる、本開示の抗SIRPA抗体で処置された、腫瘍を保有するBACトランスジェニックマウスの骨髄細胞内の、SIRPAの、抗体媒介性下方調節の動態を示すデータを明示する図である。時間経過にわたる、脾臓骨髄細胞上の、SIRPA発現の相対変化を示すデータを明示する。
図19A】A375腫瘍を保有する、ヒト化NOG-EXLマウスにおける、SIRPA研究の、抗SIRPA抗体媒介性下方調節の処置条件を示す図である。
図19B】本開示の抗SIRPA抗体による処置と関連する、MFI値(左パネル)または正規化値(右パネル)としての、ヒト腫瘍マクロファージ上のSIRPAの発現レベルを示すデータを明示する図である。
図20A】本発明の抗SIRPA抗体による処置後における、A375腫瘍を保有する、ヒト化NOG-EXLマウスから単離された、ヒト腫瘍マクロファージ上の、M1マクロファージのマーカーである、HLA-DR/MHCクラス2の発現レベルを示す図である。それぞれ、MFI値(左パネル)または正規化値(右パネル)としての、HLA-DR/MHCクラス2およびCD86の発現を示すデータを明示する。
図20B】本発明の抗SIRPA抗体による処置後における、A375腫瘍を保有する、ヒト化NOG-EXLマウスから単離された、ヒト腫瘍マクロファージ上の、M1マクロファージのマーカーである、CD86の発現レベルを示す図である。それぞれ、MFI値(左パネル)または正規化値(右パネル)としての、HLA-DR/MHCクラス2およびCD86の発現を示すデータを明示する。
図21A】本発明の抗SIRPA抗体の投与と関連する、A375腫瘍を保有する、ヒト化NOG-EXLマウスから単離された脾臓単球内の、ヒトSIRPAの下方調節を示す図である。MFI値(左パネル)または正規化値(右パネル)としての、ヒトSIRPAの発現を示すデータを明示する。
図21B】本発明の抗SIRPA抗体の投与と関連する、A375腫瘍を保有する、ヒト化NOG-EXLマウスから単離された末梢血単球内の、ヒトSIRPAの下方調節を示す図である。MFI値(左パネル)または正規化値(右パネル)としての、ヒトSIRPAの発現を示すデータを明示する。
図22】抗SIRPA 3F9-22抗体の、異なるFc変異体による、初代ヒトマクロファージ上における、抗体媒介性の、SIRPAの下方調節を示すデータを明示する図である。
図23】抗SIRPA抗体である、3F9-22の、異なるFc変異体の貪食活性の、抗CD47遮断抗体と比較した増強を比較するデータを明示する図である。
図24】コントロールIgG抗体、抗SIRPA抗体である、3F9-22 PS、抗SIRPA抗体である、3F9-22 IgG4、抗SIRPA抗体である、3F9-IgG2、および抗SIRPA抗体である、3F9-22 NSLFを投与されたカニクイザルにおける、赤血球および血小板数を示すデータを明示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本明細書で記載される、多様な実施形態の特性の、1つ、一部または全部は、本発明の他の実施形態を形成するように組み合わされうることが理解されるものとする。当業者には、本発明の、これらの態様および他の態様が明らかとなろう。本発明の、これらの実施形態および他の実施形態は、後続の、「発明を実施するための形態」により、さらに記載される。
【0097】
本開示は、抗SIRPA抗体(例えば、モノクローナル抗体);このような抗体を作り、使用する方法;このような抗体を含む薬学的組成物;このような抗体をコードする核酸;およびこのような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞に関する。
【0098】
本明細書で記載または言及される技法および手順は、一般に、例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、3版(2001)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;「Current Protocols in Molecular Biology」、(F.M.Ausubelら編、(2003));「Methods in Enzymology」シリーズ(Academic Press,Inc.):「PCR2:A Practical Approach」(M.J.MacPherson、B.D.Hames、およびG.R.Taylor編(1995))、HarlowおよびLane編(1988)、「Antibodies,A Laboratory Manual」、ならびに「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney編(1987));「Oligonucleotide Synthesis」(M.J.Gait編、1984);「Methods in Molecular Biology」、Humana Press;「Cell Biology:A Laboratory Notebook」(J.E.Cellis編、1998)、Academic Press;「Animal Cell Culture」(R.I.Freshney)、編、1987);「Introduction to Cell and Tissue Culture」(J.P.MatherおよびP.E.Roberts、1998)、Plenum Press;「Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures」(A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編、1993年8月)、J.Wiley and Sons;「Handbook of Experimental Immunology」(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);「Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells」(J.M.MillerおよびM.P.Calos編、1987);「PCR:The Polymerase Chain Reaction」(Mullisら編、1994);「Current Protocols in Immunology」(J.E.Coliganら編、1991);「Short Protocols in Molecular Biology」(Wiley and Sons、1999);「Immunobiology」(C.A.JanewayおよびP.Travers、1997);「Antibodies」(P.Finch、1997);「Antibodies:A Practical Approach」(D.Catty編、IRL Press、1988~1989);「Monoclonal Antibodies:A Practical Approach」(P.ShepherdおよびC.Dean編、Oxford University Press、2000);「Using Antibodies:A Laboratory Manual」(E.HarlowおよびD.Lane (Cold Spring Harbor Laboratory Press、1999);「The Antibodies」(M.ZanettiおよびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995);ならびに「Cancer:Principles and Practice of Oncology」(V.T.DeVitaら編、J.B.Lippincott Company、1993)において記載されている、広く利用される方法など、当業者により、十分に理解され、常套的な方法を使用して、一般に利用される。
【0099】
I.定義
本明細書では、「SIRPα」または「SIRPαポリペプチド」または「SIRPA」または「SIRPAポリペプチド」という用語は、別途指示がない限り、霊長類(例えば、ヒトおよびカニクイザル)、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物供給源に由来する、任意の天然のSIRPAを指すように、互換的に使用される。一部の実施形態では、この用語は、野生型配列および天然に存在する変異体配列、例えば、スプライスバリアントまたは対立遺伝子変異体の両方を包摂する。一部の実施形態では、この用語は、「全長」の、プロセシングされていないSIRPA、ならびに細胞内のプロセシングから生じる、任意の形態のSIRPAを包摂する。一部の実施形態では、SIRPAは、ヒトSIRPAである。一部の実施形態では、例示的なSIRPAのアミノ酸配列は、2018年4月25日現在の、Uniprot寄託番号:P78324である。一部の実施形態では、例示的なヒトSIRPA v1のアミノ酸配列は、配列番号1である。一部の実施形態では、例示的なヒトSIRPA v2のアミノ酸配列は、GenBank:CAA71403である。
【0100】
「抗SIRPA抗体」、「SIRPAに結合する抗体」、および「SIRPAに特異的に結合する抗体」という用語は、抗体が、SIRPAのターゲティングにおいて、診断剤および/または治療剤として有用であるように、十分な親和性で、SIRPAに結合することが可能な抗体を指す。一実施形態では、抗SIRPA抗体の、非類縁の、非SIRPAポリペプチドへの結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)により測定される通り、抗体の、SIRPAへの結合の、約10%未満である。ある特定の実施形態では、SIRPAに結合する抗体は、<1μΜ、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8Mもしくはこれ未満、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。ある特定の実施形態では、抗SIRPA抗体は、異なる種に由来するSIRPAの間で保存される、SIRPAのエピトープに結合する。
【0101】
抗体の、標的分子への結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「への特異的な結合」またはこれら「に特異的に結合する」またはこれら「に特異的である」という用語は、非特異的な相互作用と、測定可能に異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、分子の結合を、コントロール分子の結合と比較して決定することにより測定されうる。例えば、特異的結合は、標的と類似するコントロール分子、例えば、過剰量の非標識化標的との競合により決定されうる。この場合、標識化標的の、プローブへの結合が、過剰量の非標識化標的により、競合的に阻害されれば、特異的結合が指し示される。本明細書で使用される、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「への特異的な結合」またはこれら「に特異的に結合する」またはこれら「に特異的である」という用語は、例えば、標的に対する、約10-4Mもしくはこれ未満、10-5Mもしくはこれ未満、10-6Mもしくはこれ未満、10-7Mもしくはこれ未満、10-8Mもしくはこれ未満、10-9Mもしくはこれ未満、10-10Mもしくはこれ未満、10-11Mもしくはこれ未満、10-12Mもしくはこれ未満のうちのいずれかのKD、または10-4M~10-6M、もしくは10-6M~10-10M、もしくは10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子により呈されうる。当業者により察知される通り、親和性とKD値とは、反比例する。抗原に対する高親和性は、低KD値により測定される。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに、他のいかなるポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも、実質的に結合せずに結合する場合の結合を指す。
【0102】
本明細書では、「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、「抗体」と互換的に使用される。本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用されるが、とりわけ、それらが、所望の生物活性を呈する限りにおいて、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体を含む、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を対象とする。
【0103】
「天然抗体」とは、通例、2つの同一な軽(「L」)鎖と、2つの同一な重(「H」)鎖とから構成される、約150,000ドルトンの、ヘテロテトラマーの糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有結合によるジスルフィド結合により、重鎖へと連結されるが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で変動する。各重鎖および各軽鎖はまた、規則的に隔てられた、鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、それに続いていくつかの定常ドメインを有する。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を有し、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと並び、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと並ぶ。特定のアミノ酸残基が、軽鎖可変ドメインと、重鎖可変ドメインとの接触面を形成すると考えられる。
【0104】
異なるクラスの抗体の、構造および特性については、例えば、「Basic and Clinical Immunology」、8版、Daniel P.Stites、Abba I.Terr、およびTristram G.Parslow(編)、Appleton & Lange、Norwalk、CT、1994、71頁および6章を参照されたい。
【0105】
任意の脊椎動物種に由来する軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパ(「κ」)およびラムダ(「λ」)と呼ばれる、2つの、明確に異なる種類のうちの1つへと割り当てられうる。それらの重鎖(CH)の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプへと割り当てられうる。それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)、およびミュー(「μ」)と名指される重鎖を有する、免疫グロブリンの5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在する。γクラスおよびαクラスは、CHの配列および機能の、比較的副次的な差違に基づき、サブクラス(アイソタイプ)へと、さらに分けられ、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2を発現させる。免疫グロブリンの、異なるクラスの、サブユニット構造および三次元的立体構成は、周知であり、一般に、例えば、Abbasら、「Cellular and Molecular Immunology」、4版(W.B.Saunders Co.、2000)において記載されている。
【0106】
本開示の抗SIRPA抗体などの抗体の、「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の重鎖または軽鎖の、アミノ末端ドメインを指す。重鎖および軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「V」および「V」と称されうる。これらのドメインは、一般に、抗体のうちで、最も可変性の大きな部分(同じクラスの、他の抗体と比べて)であり、抗原結合部位を含有する。
【0107】
「可変」という用語は、可変ドメインの、ある特定のセグメントの配列が、本開示の抗SIRPA抗体などの抗体間で、広範に異なるという事実を指す。可変ドメインは、抗原への結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を規定する。しかし、可変性は、可変ドメインの全域にわたり、均等に配分されているわけではない。そうではなくて、可変性は、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインのいずれにおいても、超可変領域(HVR)呼ばれる、3つのセグメントに集約されている。可変ドメインのうちの、より高度に保存的な部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインは、各々、ベータシート構造を接続し、場合によって、ベータシート構造の一部を形成する、ループを形成する、3つのHVRにより接続された、ベータシートの立体構造を主に取る、4つのFR領域を含む。各鎖内のHVRは、FR領域により、他の鎖に由来するHVRと、近接して、一体に保持され、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、「Sequences of Immunological Interest」、5版、National Institute of Health、Bethesda、MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の、抗原への結合に、直接は関与せず、抗体の、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害への参与など、多様なエフェクター機能を呈する。
【0108】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られた、本開示の抗SIRPAモノクローナル抗体などの抗体を指す、すなわち、個々の抗体を含む集団は、わずかな量で存在しうる、天然に存在することが可能な突然変異および/または翻訳後修飾(例えば、異性体化、アミド化など)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に対して方向付けられて、高度に特異的である。典型的に、異なる決定基(エピトープ)に対する、異なる抗体を含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の、単一の決定基に対して方向付けられる。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが、ハイブリドーマ培養物により合成され、他の免疫グロブリンにより夾雑されない点でも有利である。修飾語である「モノクローナル」とは、抗体の、実質的に均一の集団から得られる抗体の性格を指し示すものであり、任意の特定の方法による抗体の作製を要求するものとは見なされないものとする。例えば、本発明に従い使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、およびヒト免疫グロブリンの配列をコードする、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座または遺伝子の一部または全部を有する動物において、ヒト抗体またはヒト様抗体を作製するための技術を含む、様々な技法により作られうる。例えば、本開示に従い使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ファージディスプレイ技術(例えば、Clacksonら、Nature、352:624~628(1991);Marksら、J.Mol.Biol.、222:581~597(1992);Sidhuら、J.Mol.Biol.、338(2):299~310(2004);Leeら、J.Mol.Biol.、340(5):1073~1093(2004);Fellouse、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、101(34):12467~472(2004);およびLeeら、J.Immunol.Methods、284(1~2):119~132(2004)を参照されたい、ハイブリドーマ法(例えば、KohlerおよびMilstein.、Nature、256:495~97(1975);Hongoら、Hybridoma、14(3):253~260(1995)、Harlowら、「Antibodies:A Laboratory Manual」(Cold Spring Harbor Laboratory Press、2版、1988);Hammerlingら、「Monoclonal Antibodies and T Cell Hybridomas」、563~681(Elsevier、N.Y.、1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)、酵母提示技術(例えば、WO2009/036379A2;WO2010105256;WO2012009568、およびXuら、Protein Eng.Des.Sel.、26(10):663~70(2013)を参照されたい、およびヒト免疫グロブリンの配列をコードする、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座または遺伝子の一部または全部を有する動物において、ヒト抗体またはヒト様抗体を作製するための技術(例えば、WO1998/24893;WO1996/34096;WO1996/33735;WO1991/10741;Jakobovitsら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature、362:255~258(1993);Bruggemannら、Year in Immunol.、7:33(1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;および同第5,661,016号;Marksら、Bio/Technology、10:779~783(1992);Lonbergら、Nature、368:856~859(1994);Morrison、Nature、368:812~813(1994);Fishwildら、Nature Biotechnol.、14:845~851(1996);Neuberger、Nature Biotechnol.、14:826(1996);ならびにLonbergおよびHuszar、Intern.Rev.Immunol.13:65~93(1995)を参照されたい、を含む、様々な技法により作られうる。
【0109】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、または「全抗体」という用語は、抗体断片と対比されて、その実質的にインタクトな形態にある、本開示の抗SIRPA抗体などの抗体を指すように、互換的に使用される。具体的に、全抗体は、Fc領域を含む、重鎖および軽鎖を伴う抗体を含む。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)の場合もあり、このアミノ酸配列の変異体の場合もある。場合によって、インタクトな抗体は、1つまたは複数のエフェクター機能を有しうる。
【0110】
「抗体断片」とは、インタクトな抗体が結合する抗原に結合する、インタクトな抗体の部分を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、およびFv断片;ダイアボディー;直鎖状抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapataら、Protein Eng.、8(10):1057~1062(1995)を参照されたい);単鎖抗体分子および抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0111】
本開示の抗SIRPA抗体などの抗体のパパイン消化は、「Fab」断片と呼ばれる、2つの同一な抗原結合性断片と、たやすく結晶化する能力を反映する呼称である、残りの「Fc」断片とをもたらす。Fab断片は、重鎖(V)の可変領域ドメイン、および1つの重鎖の、第1の定常ドメイン(C1)を伴う、軽鎖の全体からなる。各Fab断片は、抗原への結合に関して一価である、すなわち、各Fab断片は、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、異なる抗原結合活性を有する、ジスルフィド連結された、2つのFab断片にほぼ対応し、抗原を架橋することがなおも可能な、単一の、大型のF(ab’)断片をもたらす。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域に由来する、1つまたは複数のシステインを含む、C1ドメインのカルボキシ末端において、少数の、さらなる残基を有することにより、Fab断片と異なる。本明細書では、Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が、遊離チオール基を保有する、Fab’についての呼称である。F(ab’)抗体断片は、元来、それらの間に、ヒンジシステインを有する、Fab’断片のペアとしてもたらされた。抗体断片の、他の化学的カップリングもまた、公知である。
【0112】
Fc断片は、ジスルフィドにより一体に保持された、両方の重鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、ある特定の種類の細胞上で見出される、Fc受容体(FcR)によってもまた認識される領域である、Fc領域内の配列により決定される。
【0113】
本開示の抗SIRPA抗体などの抗体の「機能的断片」は、一般に、インタクトな抗体の抗原結合性領域もしくは可変領域を含む、インタクトな抗体の部分、またはFcRへの結合能を保持するか、もしくはこれを改変された、抗体のFc領域を含む。抗体断片の例は、直鎖状抗体、単鎖抗体分子および抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0114】
「ダイアボディー」という用語は、可変ドメインの、鎖内ではなく、鎖間のペアリングが達成され、これにより、二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片を結果としてもたらすように、Vドメインと、Vドメインとの間に、短いリンカー(約5~10)残基)を伴う、sFv断片(先行の段落を参照されたい)を構築することにより調製される、小型の抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディーとは、2つの抗体の、Vドメインと、Vドメインとが、異なるポリペプチド鎖上に存在する、2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。
【0115】
本明細書で使用される、「キメラ抗体」とは、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種に由来するか、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体内の、対応する配列と同一であるか、または相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分は、それらが、所望の生物活性を呈する限りにおいて、別の種に由来するか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体内、ならびにこのような抗体の断片内の、対応する配列と同一であるか、または相同である、本開示のキメラ抗SIRPA抗体などの抗体(免疫グロブリン)を指す。本明細書における、目的のキメラ抗体は、抗体の抗原結合性領域が、例えば、マカクザルを、目的の抗原で免疫化することにより産生される抗体に由来する、PRIMATIZED(登録商標)抗体を含む。本明細書で使用される、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0116】
本開示の抗SIRPA抗体のヒト化形態など、非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒトHVRに由来するアミノ酸残基と、ヒトFRに由来するアミノ酸残基とを含む、キメラ抗体である。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、少なくとも1つであり、典型的に2つの可変ドメインの、実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全て、または実質的に全ては、非ヒト抗体のHVRに対応し、FRの全て、または実質的に全ては、ヒト抗体のFRに対応する。ヒト化抗体は、任意選択で、ヒト抗体に由来する、抗体定常領域の、少なくとも一部を含みうる。抗体の「ヒト化形態」、例えば、非ヒト抗体とは、ヒト化を経た抗体を指す。
【0117】
「ヒト抗体」とは、ヒトにより産生され、かつ/または本明細書で開示される、ヒト抗体を作るための技法のうちのいずれかを使用して作られた、本開示の抗SIRPA抗体などの抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を所有する抗体である。ヒト抗体についての、この定義は、とりわけ、非ヒト抗原結合性残基を含む、ヒト化抗体を除外する。ヒト抗体は、当技術分野で公知である、多様な技法であって、ファージディスプレイライブラリーおよび酵母ディスプレイライブラリーを含む技法を使用して作製されうる。ヒト抗体は、抗原を、抗原投与に応答して、このような抗体を産生するように改変されているが、その内因性の遺伝子座は、失効化されている、トランスジェニック動物、例えば、免疫化クセノマウスへと投与することにより調製されうるほか、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介しても作出されうる。ヒト抗体は、当技術分野で公知である、多様な技法であって、ファージディスプレイライブラリーを含む技法を使用して作製されうる。HoogenboomおよびWinter、J.Mol.Biol.、227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol.、222:581(1991)。Coleら、「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、Alan R.Liss、77頁(1985);Boernerら、J.Immunol.、147(1):86~95(1991)において記載されている方法もまた、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。また、van Dijkおよびvan de Winkel、Curr.Opin.Pharmacol.、5:368~74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原を、抗原投与に応答して、このような抗体を産生するように改変されているが、その内因性の遺伝子座は、失効化されている、トランスジェニック動物、例えば、免疫化クセノマウス(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号および同第6,150,584号を参照されたい)へと投与することにより調製されうる。例えば、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作出されるヒト抗体に関する、Liら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、103:3557~3562(2006)もまた参照されたい。代替的に、ヒト抗体はまた、酵母ライブラリー、ならびに、例えば、WO2009/036379A2;WO2010105256;WO2012009568;およびXuら、Protein Eng.Des.Sel.、26(10):663~70(2013)において開示されている方法を援用することによっても調製されうる。
【0118】
本明細書で使用される場合の、「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、配列内で超可変であり、かつ/または構造的に規定されたループを形成する、本開示の抗SIRPA抗体の領域など、抗体可変ドメインの領域を指す。一般に、抗体は、V(H1、H2、H3)内の3つ、およびV(L1、L2、L3)内の3つである、6つのHVRを含む。天然の抗体では、H3およびL3は、6つのHVRのうちで、最大の多様性を提示し、H3は、特に、抗体へと、微妙な特異性を付与するのに、固有の役割を果たすと考えられる。重鎖だけからなる、天然に存在するラクダ科の抗体は、軽鎖の非存在下で機能的かつ安定である。
【0119】
本明細書では、多数のHVR描出が使用され、本明細書に包摂される。一部の実施形態では、HVRは、配列可変性に基づく、カバットによる相補性決定領域(CDR)であることが可能であり、最も一般的に使用されている(Kabatら、前出)。一部の実施形態では、HVRは、コチアによるCDRでありうる。代わって、コチアは、構造ループの位置に言及する(CothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.、196:901~917(1987))。一部の実施形態では、HVRは、AbMによるHVRでありうる。AbMによるHVRは、カバットCDRと、コチア構造ループとの折衷を表し、Oxford Molecular製の、AbM抗体モデル化ソフトウェアにより使用されている。一部の実施形態では、HVRは、「コンタクト」HVRでありうる。「コンタクト」HVRは、利用可能な複合体の結晶構造についての解析に基づく。これらのHVRの各々に由来する残基が、下記で言及される。
【0120】
HVRは、以下:VLにおける、24~36または24~34(L1)、46~56または50~56(L2)、および89~97または89~96(L3)、ならびにVHにおける、26~35(H1)、50~65または49~65(好ましい実施形態)(H2)、および93~102、94~102、または95~102(H3)の通りに「拡大されたHVR」を含みうる。これらの拡大型HVRの定義の各々については、可変ドメインの残基は、Kabatら、前出に従い番号付けされる。
【0121】
「フレームワーク」残基または「FR」残基とは、本明細書で規定されるHVR残基以外の、可変ドメインの残基である。
【0122】
「EUまたはカバットにおける通りの、可変ドメイン残基の番号付け」または「EUまたはカバットにおける通りの、アミノ酸位置の番号付け」という語句、およびこれらの変化形は、EUまたはKabatら、前出における、抗体の集成物のうち、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインについて使用される番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはHVRの短縮、またはこれらへの挿入に対応して、より少数のアミノ酸を含有する場合もあり、さらなるアミノ酸を含有する場合もある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後における、単一のアミノ酸のインサート(カバットに従う、残基52a)、および重鎖FR残基82の後における、残基の挿入(例えば、カバットに従う、残基82a、82b、および82cなど)を含みうる。残基のEU番号付けまたはカバット番号付けは、抗体配列の相同性を有する領域における、「標準的な」カバット番号付け配列とのアライメントにより、所与の抗体について決定されうる。
【0123】
EU番号付けまたはカバット番号付けシステムは、一般に、可変ドメイン内の残基(軽鎖の残基1~107および重鎖の残基1~113の近傍における)に言及する場合に使用される(例えば、Kabatら、「Sequences of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md. (1991))。「EU番号付けまたはカバット番号付けシステム」または「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリンの重鎖定常領域内の残基に言及する場合に使用される(例えば、Kabatら、前出において報告されている、EUインデックス)。「カバットにおける通りのEUインデックス」とは、EUによる、ヒトIgG1抗体の残基番号付けを指す。本明細書において、特に明記しない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号への言及は、カバット番号付けシステムによる残基番号付けを意味する。特に明記しない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号への言及は、EU番号付けシステムまたはカバット番号付けシステムによる残基番号付けを意味する(例えば、米国特許公開第2010-280227号を参照されたい)。
【0124】
本明細書で使用される「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンフレームワーク、またはヒトコンセンサスフレームワークに由来する、VフレームワークまたはVフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク、またはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」、アクセプターヒトフレームワークは、これらと同じアミノ酸配列を含む場合もあり、既存のアミノ酸配列変化を含む場合もある。一部の実施形態では、既存のアミノ酸変化の数は、10またはこれ未満、9またはこれ未満、8またはこれ未満、7またはこれ未満、6またはこれ未満、5またはこれ未満、4またはこれ未満、3またはこれ未満、または2またはこれ未満である。既存のアミノ酸変化が、VH内に存在する場合、これらの好ましい変化は、71H、73H、および78H位のうちの3つ、2つ、または1つだけで生じ;例えば、これらの位置におけるアミノ酸残基は、71A、73T、および/または78Aでありうる。一実施形態では、VLのアクセプターヒトフレームワークは、配列において、Vのヒト免疫グロブリンフレームワーク配列、またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0125】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンの、Vフレームワーク配列またはVフレームワーク配列の選択において、最も一般に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンの、V配列またはV配列の選択は、可変ドメイン配列の亜群からの選択である。一般に、配列の亜群は、Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD (1991)における亜群である。Vについて、亜群は、Kabatら、前出における、Kabatら、前出における、亜群カッパI、カッパII、カッパIII、またはカッパIVでありうる。加えて、Vについて、亜群は、亜群I、亜群II、または亜群IIIでありうる。
【0126】
例えば、本開示の抗SIRPA抗体の、指定された位置における「アミノ酸修飾」とは、指定された残基の置換もしくは欠失、または指定された残基に隣接する、少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。指定された残基に「隣接する」挿入とは、この残基から、1~2残基以内における挿入を意味する。挿入は、指定された残基に対して、N末端側の場合もあり、C末端側の場合もある。本明細書における、好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
【0127】
本開示の、親和性成熟抗SIRPA抗体などの「親和性成熟」抗体は、その、1つまたは複数のHVR内に、1つまたは複数の変更を伴い、抗体の、抗原に対する親和性の、これらの変更(複数可)を所有しない親抗体と比較した改善を結果としてもたらす、親和性成熟抗体である。一実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対する、ナノモル単位、なおまたはピコモル単位の親和性を有する。親和性成熟抗体は、当技術分野で公知の手順により作製される。例えば、Marksら、Bio/Technology、10:779~783(1992)は、Vドメインと、Vドメインとのシャッフリングによる親和性成熟について記載する。HVR残基および/またはフレームワーク残基に対する、ランダム突然変異誘発については、例えば、Barbasら、Proc Nat.Acad.Sci.USA、91:3809~3813(1994);Schierら、Gene、169:147~155(1995);Yeltonら、J.Immunol.、155:1994~2004(1995);Jacksonら、J.Immunol.、154(7):3310~9(1995);およびHawkinsら、J.Mol.Biol.、226:889~896(1992)により記載されている。
【0128】
「Fv」とは、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む、最低限の抗体断片である。この断片は、緊密な、非共有結合的会合下にある、1つの重鎖可変領域ドメインと、1つの軽鎖可変領域ドメインとのダイマーからなる。これらの2つのドメインのフォールディングから、抗原結合性のためのアミノ酸残基に寄与し、抗原結合特異性を、抗体へと付与する、6つの超可変ループ(H鎖およびL鎖の各々に由来する、3つずつのループ)が生じる。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な、3つのHVRだけを含む、Fvの半分)であってもなお、全結合部位より低度の親和性においてであるが、抗原を認識し、これに結合する能力を有する。
【0129】
また、「sFv」または「scFv」とも略記される、「単鎖Fv」とは、単一ポリペプチド鎖へと接続された、VH抗体ドメインおよびVL抗体ドメインを含む、抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、Vドメインと、Vドメインとの間のポリペプチドリンカーであって、sFvが、抗原への結合に所望の構造を形成することを可能とするポリペプチドリンカーをさらに含む。
【0130】
抗体の「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列のFc領域、または変異アミノ酸配列のFc領域)に帰せられうる生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプにより変動する。
【0131】
本明細書における、「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するのに使用され、天然配列のFc領域および変異Fc領域を含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は、変動しうるが、ヒトIgG重鎖のFc領域は、通例、Cys226位におけるアミノ酸残基、またはPro230から、そのカルボキシル末端までの連なりであると規定される。Fc領域の、C末端のリジン(EU番号付けシステムに従う、残基447)は、例えば、抗体の作製時もしくは精製時に、または抗体の重鎖をコードする核酸の組換え操作により除去されうる。したがって、インタクトな抗体の組成は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、およびK447残基を伴う抗体と、K447残基を伴わない抗体との混合物を有する抗体集団を含みうる。本開示の抗体における使用に適する、天然配列のFc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。
【0132】
「天然配列のFc領域」は、天然において見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一なアミノ酸配列を含む。天然配列の、ヒトFc領域は、天然の配列の、ヒトIgG1 Fc領域(非AアロタイプおよびAアロタイプ);天然の配列の、ヒトIgG2 Fc領域;天然の配列の、ヒトIgG3 Fc領域;および天然の配列の、ヒトIgG4 Fc領域、ならびに天然に存在する、これらの変異体を含む。
【0133】
「変異Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは、1つまたは複数のアミノ酸置換(複数可)のために、天然配列のFc領域のアミノ酸配列と異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異Fc領域は、天然配列のFc領域、または親ポリペプチドのFc領域と比較した、少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列のFc領域内、または親ポリペプチドのFc領域内の、約1つ~約10のアミノ酸置換を有し、好ましくは、約1つ~約5つのアミノ酸置換を有する。本明細書の変異Fc領域は、好ましくは、天然配列のFc領域および/または親ポリペプチドのFc領域との、少なくとも約80%の相同性を所有し、最も好ましくは、これらとの、少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、これらとの、少なくとも約95%の相同性を所有する。
【0134】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体について記載する。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するFcR(ガンマ受容体)であり、FcγRIサブクラス、FcγRIIサブクラス、およびFcγRIIIサブクラスの受容体であって、これらの受容体の、対立遺伝子変異体および代替的スプライス形態を含む受容体を含み、FcγRII受容体は、主に、その細胞質ドメイン内で異なる、類似のアミノ酸配列を有する、FcγRIIA(「活性化型受容体」)およびFcγRIIB(「阻害型受容体」)を含む。活性化型受容体である、FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に、免疫受容活性化チロシンモチーフ(「ITAM」)を含有する。阻害型受容体である、FcγRIIBは、その細胞質ドメイン内に、免疫受容阻害チロシンモチーフ(「ITIM」)を含有する。本明細書では、将来において同定されるFcRを含む、他のFcRも、「FcR」という用語により包摂される。FcRはまた、抗体の血清半減期も延長しうる。
【0135】
in vivoにおける、FcRnへの結合、およびヒトFcRnに高親和性で結合するポリペプチドの血清半減期については、例えば、ヒトFcRnを発現させる、トランスジェニックマウス、もしくはトランスフェクトされたヒト細胞株、または変異Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類においてアッセイされうる。WO2004/42072(Presta)は、FcRへの結合を、改善するか、または低下させた、抗体の変異体について記載している。例えば、Shieldsら、J.Biol.Chem.、9(2):6591~6604(2001)もまた参照されたい。
【0136】
ペプチド配列、ポリペプチド配列、または抗体配列に関して、本明細書で使用される、「アミノ酸配列の同一性パーセント(%)」および「相同性」とは、保存的置換を、配列同一性の一部と考えずに、配列同一性パーセントの最大を達成するように、配列をアライメントし、必要な場合は、ギャップを導入した後で、特異的なペプチド配列内またはポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である、候補配列内のアミノ酸残基の百分率を指す。アミノ酸配列の同一性パーセントを決定することを目的とするアライメントは、当技術分野の技術の範囲内にある、多様な方式で、例えば、BLASTソフトウェア、BLAST-2ソフトウェア、ALIGNソフトウェア、またはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなど、公開されているコンピュータソフトウェアを使用して達成されうる。当業者は、比較される配列の全長にわたり、最大アライメントを達成するのに必要とされる、当技術分野で公知である、任意のアルゴリズムを含む、アライメントを測定するのに適切なパラメータを決定しうる。
【0137】
同じエピトープについて競合する抗体(例えば、中和抗体)の文脈で使用される場合の、「競合する」という用語は、被験抗体が、参照分子(例えば、リガンド、または参照抗体)の、共通の抗原(例えば、SIRPA、またはこれらの断片)への、特異的な結合を防止または阻害する(例えば、これを低減する)アッセイにより決定される、抗体間の競合を意味する。多数の種類の競合的結合アッセイ、例えば、固体相の、直接的または間接的ラジオイムノアッセイ(RIA)、固体相の、直接的または間接的酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahliら、1983、Methods in Enzymology、9:242~253を参照されたい);固体相の、直接的ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirklandら、1986、J.Immunol.、137:3614~3619を参照されたい);固体相の、直接的標識化アッセイ、固体相の、直接的標識化サンドイッチアッセイ(例えば、HarlowおよびLane、1988、「Antibodies,A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Pressを参照されたい);I-125標識を使用する、固体相の、直接的RIA(例えば、Morelら、1988、Molec.Immunol.、25:7~15を参照されたい);固体相の、直接的ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheungら、1990、Virology、176:546~552を参照されたい);および直接的標識化RIA(Moldenhauerら、1990、Scand.J.Immunol.、32:77~82)は、抗体が、別の抗体と競合するのかどうかを決定するのに使用されうる。典型的に、このようなアッセイは、これらの、標識化されていない被験抗体、または標識化された参照抗体を保有する、固体表面または細胞に結合した精製抗原の使用を伴う。競合的阻害は、被験抗体の存在下で、固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することにより測定される。通例、被験抗体は、過剰量で存在する。競合アッセイにより同定される抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体と、参照抗体が結合するエピトープに対して、立体障害が生じる程度に、十分に近位である、隣接するエピトープに結合する抗体とを含む。本明細書では、競合的結合を決定するための方法に関する、さらなる詳細が提示される。通例、競合抗体が、過剰量で存在する場合、参照抗体の、共通の抗原への特異的な結合を、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、および/またはほぼ100%阻害する(例えば、これを低減する)。
【0138】
本明細書で使用された、SIRPAポリペプチドと、第2のポリペプチドとの「相互作用」は、限定せずに述べると、タンパク質間相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合、およびイオン性結合を包摂する。本明細書で使用される抗体は、抗体が、2つのポリペプチドの間の相互作用を破壊するか、低減するか、または完全に消失させる場合に、2つのポリペプチドの間の「相互作用を阻害する」。本開示の抗体は、抗体が、2つのポリペプチドのうちの1つに結合する場合に、2つのポリペプチドの間の「相互作用を阻害する」。一部の実施形態では、相互作用は、少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、97.5%、および/またはほぼ100%のうちのいずれか阻害されうる。
【0139】
「エピトープ」という用語は、抗体が結合することが可能な任意の決定基を含む。エピトープは、この抗原をターゲティングする抗体が結合する抗原の領域であり、抗原がポリペプチドである場合、抗体に直接接触する、特異的なアミノ酸を含む。エピトープは、ポリペプチド上に存在することがもっと多いが、一部の場合には、核酸など、他の種類の分子上にも存在しうる。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル基、またはスルホニル基など、化学的に活性の表面分子群を含むことが可能であり、特異的な三次元構造特性、および/または特異的な荷電特徴を有しうる。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、ポリペプチドおよび/または高分子の複合混合物中で、標的抗原上のエピトープを、優先的に認識するであろう。
【0140】
「アゴニスト」抗体または「活性化」抗体とは、抗体が抗原に結合した後で、抗原の、1つまたは複数の活性または機能を誘導する(例えば、これを増大させる抗体である。
【0141】
「アンタゴニスト」抗体または「遮断」抗体または「阻害性」抗体とは、抗体が抗原に結合した後で、抗原の、1つまたは複数のリガンドへの結合を低減し、阻害し、かつ/もしくはこれを消失させる(例えば、これを低下させる)抗体、および/または抗体が抗原に結合した後で、抗原の、1つまたは複数の活性または機能を低減し、阻害し、かつ/もしくはこれを消失させる(例えば、これを低下させる)抗体である。一部の実施形態では、アンタゴニスト抗体、または遮断抗体、または阻害性抗体は、抗原の、1つもしくは複数のリガンドへの結合、および/または抗原の、1つもしくは複数の活性もしくは機能を、実質的に、または完全に阻害する。
【0142】
本開示の単離抗SIRPA抗体などの「単離された」抗体とは、その産生環境の成分から、同定、分離、および/または回収された抗体(例えば、天然または組換えである)である。好ましくは、単離された抗体は、その産生環境に由来する、他の全ての夾雑成分との会合から遊離している。組換えトランスフェクト細胞から生じる夾雑成分など、その産生環境に由来する夾雑成分は、典型的に、抗体についての研究使用、診断使用、または治療使用に干渉する材料であり、酵素、ホルモン、および他の、タンパク質性または非タンパク質性の溶質を含みうる。好ましい実施形態では、抗体は、(1)例えば、ローリー法により決定される通り、95重量%を超える抗体へと精製され、一部の実施形態では、99重量%を超える抗体へと精製されるか;(2)スピニングカップシークエネーターの使用により、N末端または内部のアミノ酸配列のうちの、少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで精製されるか、または(3)クーマシーブルー染色、または、好ましくは、銀染色を使用する、非還元条件下または還元条件下におけるSDS-PAGEにより、均質性まで精製されるであろう。抗体の天然環境の、少なくとも1つの成分が、存在しないので、単離された抗体は、組換えT細胞内の、in situにおける抗体を含む。しかし、通常、単離されたポリペプチドまたは単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程により調製されるであろう。
【0143】
本開示の抗SIRPA抗体などの抗体をコードする、「単離された」核酸分子とは、同定され、それが産生される環境内で、それが通常会合している、少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離された核酸分子である。好ましくは、単離された核酸は、産生環境と関連する、全ての成分との会合から遊離している。本明細書におけるポリペプチドおよび抗体をコードする単離された核酸分子は、それが天然において見出される形態または状況以外の形態にある。したがって、単離された核酸分子は、細胞内に、天然で存在する、本明細書におけるポリペプチドおよび抗体をコードする核酸から識別される。
【0144】
本明細書で使用される、「ベクター」という用語は、それが連結された、別の核酸を運ぶことが可能な核酸分子を指すように意図される。1つの種類のベクターは、さらなるDNAセグメントがライゲーションされうる、環状二本鎖DNAを指す、「プラスミド」である。別の種類のベクターは、ファージベクターである。別の種類のベクターは、さらなるDNAセグメントが、ウイルスゲノムへとライゲーションされうる、ウイルスベクターである。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞内の、自律複製が可能である(例えば、細菌性の複製開始点を有する細菌ベクター、および哺乳動物のエピソームベクター)。他のベクター(例えば、哺乳動物非エピソームベクター)は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムへと組み込まれる場合があり、これにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動的に連結された遺伝子の発現を方向付けることが可能である。本明細書では、このようなベクターは、「組換え発現ベクター」、または、単に、「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。プラスミドは、ベクターの、最も一般に使用される形態であるので、本明細書では、「プラスミド」および「ベクター」は、互換的に使用されうる。
【0145】
本明細書において互換的に使用される、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さの、ヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは修飾塩基、および/またはそれらのアナログ、あるいはDNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼ、または合成反応により、ポリマーへと組み込まれうる、任意の基質でありうる。
【0146】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートの組込みのためのベクター(複数可)のレシピエントでありうるか、またはこれらのレシピエントであった、個別の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、元の親細胞と、天然であるか、偶発的であるか、または意図的な突然変異のために、完全に同一(形状またはゲノムDNAの相補性において)ではない場合がある。宿主細胞は、in vivoにおいて、本発明のポリヌクレオチド(複数可)をトランスフェクトされた細胞を含む。
【0147】
本明細書で使用される「担体」は、利用される投与量および濃度で、これへと曝露される細胞または哺乳動物に対して非毒性である、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤を含む。生理学的に許容される担体は、水性のpH緩衝溶液であることが多い。生理学的に許容される担体の例は、ホスフェート、シトレート、および他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む、他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0148】
本明細書で使用される、「防止する」という用語は、個体における、特定の疾患、障害、または状態の、発生または再発に関する予防をもたらすことを含む。個体は、特定の疾患、障害、または状態にかかりやすい場合もあり、これに対して感受性の場合もあり、このような疾患、障害、または状態を発症する危険性がある場合もあるが、いまだ、疾患、障害、または状態を伴うと診断されていない。
【0149】
本明細書で使用された、特定の疾患、障害、または状態を発症する「危険性がある」個体は、検出可能な、疾患または疾患の症状を有する場合もあり、これを有さない場合もあり、本明細書で記載される処置法の前に、検出可能な、疾患または疾患の症状を提示している場合もあり、これを提示していない場合もある。「危険性がある」とは、個体が、当技術分野で公知の、特定の疾患、障害、または状態の発生と相関する、測定可能なパラメータである、1つまたは複数の危険性因子を有することを表す。これらの危険性因子のうちの1つまたは複数を有する個体は、特定の疾患、障害、または状態を発症する、高い確率であって、これらの危険性因子のうちの1つまたは複数を伴わない個体より高い確率を有する。
【0150】
本明細書で使用される、「処置」という用語は、臨床病理学の経過において、処置される個体の、自然の経過を変更するようにデザインされた、臨床的介入を指す。所望の処置効果は、特定の疾患、障害、または状態の進行速度を低下させること、これらの病理学的状態を、改善または緩和すること、およびこれらの寛解または予後の改善を含む。個体は、例えば、特定の疾患、障害、または状態と関連する、1つまたは複数の症状が、抑制されるか、または消失する場合、「処置」に成功している。
【0151】
「有効量」とは、所望の治療結果または予防結果を達成するのに必要な投与量で、これに必要な時間にわたり有効である、最小の量を指す。有効量は、1回の投与で施される場合もあり、複数回の投与で施される場合もある。本明細書における有効量は、個体の、病状、年齢、性別、および体重、ならびに処置が、個体において、所望の応答を誘発する能力などの因子に従い変動しうる。有効量はまた、処置の、任意の毒性または有害作用が、治療的に有益な効果により凌駕される量でもある。予防的使用では、有益な結果または所望の結果は、疾患の、生化学的、組織学的、および/または行動学的症状、疾患の発生時に存在する、疾患の合併症および中間的な病理学的表現型を含む、疾患の危険性を消失させるか、もしくは低減すること、疾患の重症度を軽減すること、または疾患の発生を遅延させることなどの結果を含む。治療的使用では、有益な結果または所望の結果は、疾患から生じる、1つまたは複数の症状を軽減すること、疾患を患う者の、生活の質を向上させること、疾患を処置するに要求される、他の医薬の用量を減少させること、ターゲティングを介するなど、別の医薬の効果を増強すること、疾患の進行を遅延させること、および/または生存を延長することなどの臨床結果を含む。薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量とは、予防的処置または治療的処置を、直接的に、または間接的に達するのに十分な量である。臨床的文脈で理解される通り、薬物、化合物、または薬学的組成物の有効量は、別の薬物、化合物、または薬学的組成物と併用して、達成される場合もあり、達成されない場合もある。したがって、「有効量」は、1つまたは複数の治療剤を投与する文脈でも検討される場合があり、1つまたは複数の、他の薬剤と併用して、所望結果が達成されうるか、または達成される場合、単一の薬剤は、有効量で施されることが検討されうる。
【0152】
処置、防止、または危険性の低減を目的とする場合の「個体」とは、哺乳動物として分類される、任意の動物であって、ヒト、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどの、馴致動物および家畜、ならびに動物園動物、競技動物、または愛玩動物を含む、任意の動物を指す。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
【0153】
本明細書で使用される、別の化合物または組成物との「併用」投与は、同時的投与および/または異なる時点における投与を含む。併用投与はまた、異なる投与頻度または投与間隔において、同じ投与経路または異なる投与経路を使用する投与を含む、共製剤としての投与、または別個の組成物としての投与も包摂する。一部の実施形態では、併用投与とは、同じ治療レジメンの一部としての投与である。
【0154】
本明細書で使用される「約」という用語は、本分野の当業者にたやすく公知である、それぞれの値についての、通例の誤差範囲を指す。本明細書における、「約」の値またはパラメータに対する言及は、この値またはパラメータ自体へと方向付けられた実施形態を含む(かつ、これについて記載する)。
【0155】
本明細書および付属の特許請求の範囲で使用される、単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その」は、文脈により、そうでないことが明確に指し示されない限りにおいて、複数の指示対象を含む。例えば、ある「抗体」に対する言及は、モル量など、1つ~多くの抗体に対する言及であり、当業者に公知である、その同等物を含むなどである。
【0156】
本明細書で記載される、本開示の態様および実施形態は、態様および実施形態「を含む」、これら「からなる」、およびこれら「から本質的になる」ことを含むことが理解される。
【0157】
抗SIRPA抗体
抗SIRPA抗体結合性領域
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、コンフォメーションエピトープに結合しうる。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、不連続のSIRPAエピトープに結合しうる。一部の実施形態では、不連続のSIRPAエピトープは、2つもしくはこれを超えるペプチド、3つもしくはこれを超えるペプチド、4つもしくはこれを超えるペプチド、5つもしくはこれを超えるペプチド、6つもしくはこれを超えるペプチド、7つもしくはこれを超えるペプチド、8つもしくはこれを超えるペプチド、9つもしくはこれを超えるペプチド、または10もしくはこれを超えるペプチドを含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、1つまたは複数のペプチドを含む、SIRPAエピトープに結合しうる。本明細書で開示される通り、SIRPAエピトープは、配列番号1のアミノ酸配列のうちの、5つもしくはこれを超えるか、6つもしくはこれを超えるか、7つもしくはこれを超えるか、8つもしくはこれを超えるか、9つもしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、11もしくはこれを超えるか、12もしくはこれを超えるか、13もしくはこれを超えるか、14もしくはこれを超えるか、15もしくはこれを超えるか、16もしくはこれを超えるか、17もしくはこれを超えるか、18もしくはこれを超えるか、19もしくはこれを超えるか、または20もしくはこれを超えるアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸配列に対応する、哺乳動物SIRPAタンパク質上の、5つもしくはこれを超えるか、6つもしくはこれを超えるか、7つもしくはこれを超えるか、8つもしくはこれを超えるか、9つもしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、11もしくはこれを超えるか、12もしくはこれを超えるか、13もしくはこれを超えるか、14もしくはこれを超えるか、15もしくはこれを超えるか、16もしくはこれを超えるか、17もしくはこれを超えるか、18もしくはこれを超えるか、19もしくはこれを超えるか、または20もしくはこれを超えるアミノ酸残基を含む、1つまたは複数のペプチドを含みうる。
【0158】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体が結合するSIRPAエピトープと同じであるか、またはこれらと重複する、ヒトSIRPAのエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体が結合する本質的に同じSIRPAエピトープに結合する。
【0159】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体、または配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む抗SIRPA抗体と、SIRPAへの結合について競合する。
【0160】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、表4、5、7、8、および10に列挙された抗体のうちのいずれかから選択される、少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、抗SIRPA抗体が、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体の、SIRPAへの結合を、抗SIRPA抗体の非存在下における、SIRPAへの結合と比較して、約50%~100%の範囲の量だけ低減する場合、SIRPAへの結合について、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体と競合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、抗SIRPA抗体が、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体の、SIRPAへの結合を、抗SIRPA抗体の非存在下における、SIRPAへの結合と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低減する場合、SIRPAへの結合について、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体と競合する。一部の実施形態では、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体の、SIRPAへの結合を、100%低減する、本開示の抗SIRPA抗体は、抗SIRPA抗体が、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体の、SIRPAへの結合を、本質的に、完全に遮断することを指し示す。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体と、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体とは、抗SIRPA抗体の、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体に対する、10:1の比、9:1の比、8:1の比、7:1の比、6:1の比、5:1の比、4:1の比、3:1の比、2:1の比、1:1の比、0.75:1の比、0.5:1の比、0.25:1の比、0.1:1の比、0.075:1の比、0.050:1の比、0.025:1の比、0.01:1の比、0.0075:1の比、0.0050:1の比、0.0025:1の比、0.001:1の比、0.00075:1の比、0.00050:1の比、0.00025:1の比、0.0001:1の比、1:10の比、1:9の比、1:8の比、1:7の比、1:6の比、1:5の比、1:4の比、1:3の比、1:2の比、1:0.75の比、1:0.5の比、1:0.25の比、1:0.1の比、1:0.075の比、1:0.050の比、1:0.025の比、1:0.01の比、1:0.0075の比、1:0.0050の比、1:0.0025の比、1:0.001の比、1:0.00075の比、1:0.00050の比、1:0.00025の比、または1:0.0001の比に対応する量で存在する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体の量と比較して、約1.5倍~100倍、または100倍を超える範囲である量、過剰に存在する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体の量と比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、または100倍の過剰である量で存在する。
【0161】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、表4、5、7、8、および10に列挙された抗体のうちのいずれかから選択される、少なくとも1つの抗体が結合する、SIRPAエピトープと同じであるか、またはこれらと重複する、ヒトSIRPAのエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25から選択される少なくとも1つの抗体が結合する、SIRPAエピトープと同じであるか、またはこれらと重複する、ヒトSIRPAのエピトープに結合する。
【0162】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、表4、5、7、8、および10に列挙された抗体のうちのいずれかから選択される、少なくとも1つの抗体が結合する、本質的に同じSIRPAエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25から選択される、少なくとも1つの抗体が結合する、本質的に同じSIRPAエピトープに結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための、詳細な例示的方法は、Morris(1996)、「Epitope Mapping Protocols」、「Methods in Molecular Biology」、66巻(Humana Press、Totowa、NJ)に提示されている。
【0163】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAへの結合について、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体と競合する。
【0164】
ビアコア解析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーなど、当技術分野で公知である、任意の、適切な競合アッセイまたはSIRPA結合アッセイは、抗SIRPA抗体は、SIRPAへの結合について、m3F9、h3F9 H1/L1(14.70.1)、h3F9 H1/L2(14.70.2)、h3F9 H1/L3、h3F9 H2/L1(14.70.4)、h3F9 H2/L2、h3F9 H2/L3、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、3F9-25、およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数の抗体と競合するのかどうかを決定するのに利用されうる。例示的競合アッセイでは、固定化されているSIRPA、または細胞表面上でSIRPAを発現させる細胞が、SIRPAに結合する第1の標識化抗体(例えば、ヒト抗体または非ヒト霊長類抗体)、およびSIRPAへの結合について、第1の抗体と競合する、その能力について調べられる、第2の非標識化抗体を含む溶液中でインキュベートされる。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在しうる。コントロールとして、固定化されているSIRPA、またはSIRPAを発現させる細胞が、第1の標識化抗体は含むが、第2の非標識化抗体は含まない溶液中でインキュベートされる。第1の抗体の、SIRPAへの結合を可能とする条件下における、インキュベーションの後で、過剰量の非結合抗体が除去され、固定化されているSIRPA、またはSIRPAを発現させる細胞と関連する標識の量が測定される。固定化されているSIRPA、またはSIRPAを発現させる細胞と関連する標識の量が、被験試料中で、コントロール試料中と比べて、実質的に低減される場合、これは、第2の抗体が、SIRPAへの結合について、第1の抗体と競合することを指し示す。HarlowおよびLane(1988)、「Antibodies:A Laboratory Manual」、14章(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、NY)を参照されたい。
【0165】
一部の実施形態では、本明細書では、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに(f)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗SIRPA抗体が提示される。
【0166】
一部の実施形態では、本明細書では、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号12のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号23のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号13のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号14のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号16のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号17のアミノ酸配列を含むHVR-L3;(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号18のアミノ酸配列を含むHVR-L3;ならびに(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)配列番号24のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(e)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;および(f)配列番号19のアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのHVRを含む、抗SIRPA抗体が提示される。
【0167】
一部の実施形態では、本明細書では、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2;ならびに(c)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのV HVR配列を含む、抗SIRPA抗体が提示される。
【0168】
一部の実施形態では、本明細書では、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1;(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2;ならびに(c)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのV HVR配列を含む、抗SIRPA抗体が提示される。
【0169】
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(iii)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのVH HVR配列を含む、Vドメインと、(b)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または3つ全てのV HVR配列を含む、Vドメインとを含む、抗SIRPA抗体が提示される。
【0170】
一部の実施形態では、本明細書では、(a)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(iii)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、Vドメインと、(b)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されたアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、Vドメインとを含む、抗SIRPA抗体が提示される。
【0171】
別の態様では、抗SIRPA抗体は、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列に対する、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する重鎖可変ドメイン(V)配列を含む。ある特定の実施形態では、配列番号33、34、および35から選択されるアミノ酸配列に対する、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV配列は、参照配列と比べた、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、この配列を含む抗SIRPA抗体は、SIRPAに結合する能力を保持する。ある特定の実施形態では、配列番号33、配列番号34、または配列番号35において、合計1~10アミノ酸が、置換され、挿入され、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、配列番号33、配列番号34、または配列番号35において、合計1~5アミノ酸が、置換され、挿入され、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVR外の領域内(すなわち、FR内)で生じる。任意選択で、抗SIRPA抗体は、この配列の翻訳後修飾を含む、配列番号33、配列番号34、または配列番号35のV配列を含む。特定の実施形態では、Vは、(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(c)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0172】
別の態様では、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列に対する、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する軽鎖可変ドメイン(V)を含む、抗SIRPA抗体が提供される。ある特定の実施形態では、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、および44から選択されるアミノ酸配列に対する、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するV配列は、参照配列と比べた、置換(例えば、保存的置換)、挿入、または欠失を含有するが、この配列を含む抗SIRPA抗体は、SIRPAに結合する能力を保持する。一部の実施形態では、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、または配列番号44において、合計1~10アミノ酸が、置換され、挿入され、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、または配列番号44において、合計1~5アミノ酸が、置換され、挿入され、かつ/または欠失している。ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、HVR外の領域内(すなわち、FR内)で生じる。任意選択で、抗SIRPA抗体は、この配列の翻訳後修飾を含む、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、または配列番号44のV配列を含む。特定の実施形態では、Vは、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3から選択される、1つ、2つ、または3つのHVRを含む。
【0173】
一部の実施形態では、上記で提示された実施形態のうちのいずれかにおける通りのVと、上記で提示された実施形態のうちのいずれかにおける通りのVとを含む、抗SIRPA抗体が提供される。一部の実施形態では、本明細書では、上記で提示された実施形態のうちのいずれかにおける通りのVと、上記で提示された実施形態のうちのいずれかにおける通りのVとを含む、抗SIRPA抗体が提示される。一実施形態では、抗体は、これらの配列の翻訳後修飾を含む、それぞれ、配列番号33、34、または35、および配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、または44における、V配列およびV配列を含む。
【0174】
一部の実施形態では、本明細書では、重鎖可変ドメイン(V)および軽鎖可変ドメイン(V)を含み、VおよびVが、配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号36のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号37のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号38のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号39のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号40のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号41のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号42のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号43のアミノ酸配列を含むV;配列番号33のアミノ酸配列を含むV、および配列番号44のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号36のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号38のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号39のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号40のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号41のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号42のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号43のアミノ酸配列を含むV;配列番号34のアミノ酸配列を含むV、および配列番号44のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号36のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号38のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号39のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号40のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号41のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号42のアミノ酸配列を含むV;配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号43のアミノ酸配列を含むV;ならびに配列番号35のアミノ酸配列を含むV、および配列番号44のアミノ酸配列を含むVからなる群から選択される、抗SIRPA抗体が提示される。
【0175】
さらに、本明細書では、(a)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(iii)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む、Vドメインと、(b)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されたアミノ酸配列を含むHVR-L3を含む、Vドメインとを含む、抗SIRPA抗体の結合を競合的に阻害し、かつ/または結合について、これらと競合する、抗SIRPA抗体が提示される。一部の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号33、34、または35、および配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、または44における、VH配列およびVL配列を含む。
【0176】
本明細書では、(a)(i)配列番号20のアミノ酸配列を含むHVR-H1、(ii)配列番号21のアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(iii)配列番号22、23、および24から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むVHドメインと、(b)(i)配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L2、ならびに(c)配列番号11、12、13、14、15、16、17、18、および19から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3を含むVLドメインとを含む、抗SIRPA抗体が結合するエピトープと同じであるか、またはこれらと重複する、ヒトSIRPAのエピトープに結合する、抗SIRPA抗体が提示される。一部の実施形態では、抗体は、それぞれ、配列番号33、34、または35、および配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、または44における、V配列およびV配列を含む。一部の実施形態では、ヒトSIRPAのエピトープは、抗SIRPA抗体が結合するエピトープと同じエピトープである。
【0177】
一部の実施形態では、上記の実施形態のうちのいずれかに従う抗SIRPA抗体は、ヒト化抗体および/またはヒト抗体を含む、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、抗体断片、例えば、Fv断片、Fab断片、Fab’断片、scFv断片、ダイアボディー断片、またはF(ab’)2断片である。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、実質的に、全長抗体、例えば、IgG1抗体、IgG2a抗体、または本明細書で規定される、他の抗体クラスもしくは抗体アイソタイプである。
【0178】
一部の実施形態では、上記の実施形態のうちのいずれかに従う抗SIRPA抗体は、本明細書で記載される特色のうちのいずれかを、単独で組み込む場合もあり、組合せで組み込む場合もある。
【0179】
本明細書では、抗SIRPA抗体が提示される。提示される抗体は、例えば、SIRPA媒介性障害の診断または処置に有用である。
【0180】
本開示は、部分的に、例えば、SIRPAの細胞レベルを低下させることが可能な抗SIRPA抗体、SIRPAの細胞表面レベルを低下させることが可能な抗SIRPA抗体、SIRPAを分解することが可能な抗SIRPA抗体、CD32A/Bの細胞レベルを低下させることが可能な抗SIRPA抗体、食作用を増大させるか、もしくは増強することが可能な抗SIRPA抗体、マクロファージによる、腫瘍細胞に対する食作用を増大させるか、もしくは増強することが可能な抗SIRPA抗体、抗がん治療の抗腫瘍活性を増大させるか、もしくは増強することが可能な抗SIRPA抗体、T細胞の増殖を増大させるか、もしくは増強することが可能な抗SIRPA抗体、マクロファージからの、炎症促進性サイトカインの放出を増大させるか、もしくは増強することが可能な抗SIRPA抗体、および/または動態を改善/増強した、ヒトSIRPAへの結合が可能な抗SIRPA抗体;このような抗SIRPA抗体を作り、使用する方法;このような抗SIRPA抗体を含有する薬学的組成物;このような抗SIRPA抗体をコードする核酸;ならびにこのような抗SIRPA抗体をコードする核酸を含有する宿主細胞を含む、1つまたは複数の機能的特性の改善および/または増強(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体と比べた)を呈する、抗SIRPA抗体に関する。
【0181】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAの分解、下方調節、切断、受容体の脱感作、および/またはリソソームによるターゲティングを誘導することにより、細胞によるSIRPAの発現(例えば、細胞表面発現)を低減する抗体の能力に、少なくとも部分的に起因する、1つまたは複数の活性を有しうる。一部の実施形態では、SIRPAの細胞レベルを低下させる、本開示の抗SIRPA抗体は、以下の特性:(1)1つまたは複数のSIRPA活性を阻害または低減すること;(2)SIRPA発現細胞内の、SIRPAの発現(mRNAレベルおよび/またはタンパク質レベルなどにおける)を低減する能力;(3)SIRPAタンパク質と相互作用するか、これに結合するか、またはこれを認識する能力;(4)SIRPAタンパク質と特異的に相互作用するか、またはこれに特異的に結合する能力;および(5)本明細書で記載または想定される、疾患または障害の、任意の側面を処置、改善する、または防止する能力のうちの1つまたは複数を呈する抗体である。
【0182】
一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、以下の特性:a)配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する抗SIRPA抗体のKDよりも低い、ヒトSIRPAに対する解離定数(KD)を有すること;b)ヒト単球およびヒトマクロファージなどのヒト細胞に結合すること;c)SIRPAの細胞表面レベルを低下させる(例えば、in vitroにおけるヒトマクロファージ細胞上のSIRPAの細胞表面レベルを、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する抗SIRPA抗体のEC50よりも低い、50%効果濃度(EC50)で低下させる)こと;d)約0.6nM~約0.7nMの範囲でありうる、ヒトSIRPAに対する解離定数(KD)を有すること;および/またはe)SIRPAの細胞表面レベルを低下させる(例えば、in vitroにおけるヒトマクロファージ上のSIRPAの細胞表面レベルを、約0.4nM~約0.5nMの範囲でありうる50%効果濃度(EC50)で低下させる)ことのうちの1つまたは複数を呈する。本明細書で開示される通り、50%効果濃度(EC50)とは、本開示の抗SIRPA抗体が、細胞上もしくは細胞内におけるSIRPAの細胞レベルを、非処置細胞のSIRPAの細胞レベルの半分へと低減する場合の濃度、または抗体が、細胞上のSIRPAへの最大半量の結合を達成する場合の濃度を指す。
【0183】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、約0.40nM~約0.5nMの、ヒトSIRPA v1に対する50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、約5nM、約4nM、約3nM、約2nM、約1nM、約0.9nM、約0.8nM、約0.7nM、約0.6nM、約0.5nM、約0.4nM、約0.3nM、約0.2nM、または約0.1nMの、ヒトSIRPA v1に対する50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、約5nM~1nM、約1nM~0.9nM、約1nM~0.8nM、約1nM~0.7nM、約1nM~0.6nM、約1nM~0.5nM、約1nM~0.4nM、約1nM~0.3nM、約1nM~0.2nM、約1nM~0.1nM、約0.9nM~0.8nM、約0.9nM~0.7nM、約0.9nM~0.6nM、約0.9nM~0.5nM、約0.9nM~0.4nM、約0.9nM~0.3nM、約0.9nM~0.2nM、約0.9nM~0.1nM、約0.8nM~0.6nM、約0.8nM~0.5nM、約0.8nM~0.4nM、約0.8nM~0.3nM、約0.8nM~0.2nM、約0.8nM~0.1nM、約0.7nM~0.5nM、約0.7nM~0.4nM、約0.7nM~0.3nM、約0.7nM~0.2nM、約0.7nM~0.1nM、約0.6nM~0.4nM、約0.6nM~0.3nM、約0.6nM~0.2nM、約0.6nM~0.1nM、約0.5nM~0.3nM、約0.5nM~0.2nM、約0.5nM~0.1nM、約0.4nM~0.2nM、約0.4nM~0.1nM、または約0.3nM~0.1nMの範囲の、ヒトSIRPA v1に対する50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。
【0184】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、ヒトSIRPA v1に対して約0.093nM、ヒトSIRPA v2に対して約0.080nM、および/またはカニクイザルSIRPAに対して約0.879nMの50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、約2nM~0.05nM、約1nM~0.05nM、約0.9nM~0.05nM、約0.8nM~0.05nM、約0.7nM~0.05nM、約0.6nM~0.05nM、約0.5nM~0.05nM、約0.4nM~0.05nM、約0.3nM~0.05nM、約0.20nM~0.05nM、約0.15nM~0.05nM、約0.10nM~0.05nM、約0.09nM~0.05nM、約0.08nM~0.05nM、約0.07nM~0.05nM、約0.06nM~0.05nM、約0.20nM~0.06nM、約0.15nM~0.06nM、約0.10nM~0.06nM、約0.09nM~0.06nM、約0.08nM~約0.06nM、約0.07nM~0.06nM、約0.20nM~0.07nM、約0.15nM~0.07nM、約0.10nM~約0.07nM、約0.09nM~0.07nM、約0.08nM~0.7nM、約0.20nM~0.08nM、約0.15nM~0.08nM、約0.10nM~0.08nM、約0.09nM~0.08nM、約0.20nM~0.09nM、約0.15nM~0.09nM、または約0.10nM~0.9nMの範囲の、ヒトSIRPA v1またはヒトSIRPA v2に対する50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。
【0185】
本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示は、ヒトSIRPAに結合する単離された抗体であって、in vitroにおけるSIRPAの細胞表面レベルを、フローサイトメトリーにより測定される、ヒトSIRPA v1に対して約0.107nM、ヒトSIRPA v2に対して約0.082nM、および/またはカニクイザルSIRPAに対して約0.107nMの50%効果濃度(EC50)で低減する、抗体を提示する。
【0186】
本開示の抗SIRPA抗体は、細胞表面における、SIRPAの発現を、コントロールの抗SIRPA抗体(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、コントロールの抗SIRPA抗体)と比較して、より強力に(例えば、低値のEC50で)低減するので有利である。さらに、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAに対する、コントロールの抗SIRPA抗体(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、コントロールの抗SIRPA抗体と比較した、高親和性(例えば、約100倍以下の高親和性)(例えば、表面プラズモン共鳴により測定される、低値のKD値)を有するので有利である。
【0187】
本開示の、ある特定の態様は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の機能的特性の改善および/または増強(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体と比べて)であって、細胞上の、SIRPAの細胞表面レベルを低下させる能力の改善/増強を含み、限定せずに述べると、単球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、および/またはミクログリアの細胞増殖の低減;樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、単球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、M2ミクログリア、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、および/またはM2マクロファージにより誘導される、T細胞の増殖の低減;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの生存の低下;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの増殖の低下;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの遊走の阻害;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、M2マクロファージ、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの、1つまたは複数の機能の低下;単球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、好中球、および/またはミクログリアの増殖の低減;単球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、好中球、および/またはミクログリアの、全体的な機能性の低減;膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、腎細胞がん、腎盂がん、白血病、肺がん、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、線維肉腫、および甲状腺がんから選択される、異なる種類のがんに対する、有益な免疫応答の阻害;認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパシー、那須ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、特発性振戦、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体認知症、多系統委縮症、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性(granulomartous)障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性、緑内障、網膜色素変性、網膜変質、および多発性硬化症から選択される、異なる種類の神経障害に対する、有益な免疫応答の阻害;腫瘍細胞上の、SIRPAリガンドへの結合;樹状細胞上の、SIRPAリガンドへの結合、骨髄由来樹状細胞、単球、ミクログリア、T細胞、好中球、および/またはマクロファージ;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数による腫瘍細胞殺滅の阻害;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数の、抗腫瘍細胞増殖活性の阻害;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数の、抗腫瘍細胞転移活性の阻害;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数上で発現された、CD86など、1つまたは複数の炎症性受容体の発現のモジュレート;免疫抑制性樹状細胞、免疫抑制性マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、腫瘍関連マクロファージ、免疫抑制性好中球、および調節性T細胞のうちの1つまたは複数の、腫瘍への浸潤の増強;末梢血中、または他のリンパ系器官内の、腫瘍内の、腫瘍促進性骨髄/顆粒球性免疫抑制細胞の数の増大;骨髄由来抑制細胞の、腫瘍促進性活性の増強;腫瘍殺滅可能性を伴う、腫瘍特異性Tリンパ球の活性化の低下;腫瘍殺滅可能性を伴う、腫瘍特異性Tリンパ球の浸潤の低下;腫瘍増殖速度の増大;腫瘍再発速度の増大;抗腫瘍T細胞応答をモジュレートする、1つまたは複数の免疫療法であり、任意選択で、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD39、CD70、TREM1、TREM2、Siglec-5、Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11、SirpA、CD447、CSF-1受容体およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数のタンパク質をターゲティングする免疫療法である、1つまたは複数の免疫療法、または1つもしくは複数の化学療法薬剤および/もしくはがんワクチンの有効性の低下を含む、1つまたは複数のSIRPA活性の、低減、中和、防止、または抑制を結果としてもたらす、改善および/または増強を呈する、抗SIRPA抗体の同定に基づく。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書で記載される、抗SIRPA抗体によるがんの処置は、(i)腫瘍浸潤性CD3+ T細胞の数を増大させることが可能であり;(ii)任意選択で、腫瘍浸潤性細胞であるか、または任意選択で、血液中に存在する、非腫瘍形成性CD14+骨髄細胞内の、SIRPAの細胞レベルを低下させることが可能であり;(iii)任意選択で、腫瘍浸潤性細胞であるか、または任意選択で、血液中に存在する、非腫瘍形成性CD14+骨髄細胞の数を低減することが可能であり;(iv)任意選択で、非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞(MDSC)である、1つまたは複数の細胞内の、PD-L1、PD-L2、B7-H7、B7-H3、CD200R、CD163、および/またはCD206のレベルを低減することが可能であり;(v)固形腫瘍の、腫瘍増殖速度を低下させることが可能であり;(vi)腫瘍体積を低減することが可能であり;(vii)1つまたは複数のPD-1阻害剤の有効性を増大させることが可能であり;(viii)任意選択で、CTL4、アデノシン経路、PD-L1、PD-L2、OX40、TIM3、LAG3、またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数をターゲティングする、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤療法および/または免疫調節療法の有効性を増大させることが可能であり;(ix)任意選択で、化学療法剤のうちの1つまたは複数が、ゲムシタビン、カペシタビン、アントラサイクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、エピルビシン(エレンス(登録商標))、タキサン、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標))、カルボプラチン(パラプラチン(登録商標))、およびこれらの任意の組合せである、1つまたは複数の化学療法剤の有効性を増大させることが可能であり;(x)非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞(MDSC)の存在下で、T細胞の増殖を増大させることが可能であり;(xi)非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞(MDSC)の、分化、生存、および/または1つもしくは複数の機能を阻害することが可能であり;(xii)化学物質または放射性毒素にコンジュゲートさせると、固形腫瘍内および血管内のCD33発現免疫抑制非腫瘍形成性骨髄細胞および/または非腫瘍形成性CD14発現細胞を死滅させうる。
【0189】
一部の実施形態では、本開示の骨髄細胞は、限定せずに述べると、CD45+ CD14+骨髄細胞、CD14+骨髄細胞、および骨髄由来抑制細胞(MDSC)を含む。一部の実施形態では、本開示の骨髄細胞は、非腫瘍形成性骨髄細胞である。免疫抑制細胞はまた、場合によって、骨髄由来抑制細胞(MDSC)とも称される。ヒトでは、MDSCは、以下のマーカーの組合せ:(1)CD14+ HLA-DRlow/-、(2)CD14+ IL4Rα+、(3)CD14+ HLA-DR- IL4Rα+、(4)CD34+ CD14+ CD11b+ CD33+、(5)CD11b+ CD14+ CD33+、(6)CD33+ HLA-DR-、(7)Lin- HLA-DR-、(8)Lin- HLA-DR- CD33+、(9)Lin- HLA-DR- CD33+ CD11b+、(10)Lin- CD33+ CD11b+ CD15+、(11)Lin- HLA-DR- CD33+ CD11b+ CD14- CD15+、(12)CD11b+ CD14- CD33+、(13)CD11b+ CD14- HLA-DR- CD33+ CD15+、(14)CD33+ HLA-DR- CD15+、(15)CD15+ IL4Rα+、(16)CD11b+ CD15+ CD66b+、(17)CD15+ FSClow SSChigh、(18)CD15high CD33+、(19)CD11b+ CD14- CD15+、(20)CD66b+ SSChigh、および(21)CD11b+ CD15+(また、Solito Sら、Annals of NY Academy of Sciences、2014も参照されたい)のうちの1つにより規定されうる。マウスでは、MDSCは、表面マーカーの発現である、CD45+、CD11b+、Gr1+、および/またはIl4Ra+により規定されうる。さらなる、例示的な、免疫抑制性単球系統は、CD45+、CD11b+、Gr1low;およびCD45+、CD11c+である。
【0190】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAの天然リガンドまたは結合パートナーだけの存在下で、SIRPAの細胞表面レベルを低下させるか、SIRPAの細胞内レベルを低下させるか、SIRPAの全細胞レベルを低下させるか、またはこれらの任意の組合せである。
【0191】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、例えば、SIRPAのリガンドまたは結合パートナーである、CD47、サーファクタントプロテインA、および/またはサーファクタントプロテインDを含む、SIRPAのリガンドまたは結合パートナーのSIRPA媒介活性を、防止、低減、または阻害する。
【0192】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、本明細書ではまた、「多型」変異体とも称される、ヒト対立遺伝子変異体であって、ヒトSIRPA v1およびヒトSIRPA v2を含むヒト対立遺伝子変異体を含む、ヒトSIRPAに選択的に結合し、ヒトSIRPβ3に結合し、カニクイザルSIRPAに結合し、マーモセットSIRPAに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、マウス/マウスSIRPAに結合せず、SIRPB v1(SIRPβ1)に結合せず、ウサギSIRPAに結合せず、ラットSIRPAに結合しない。
【0193】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAに選択的に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAおよびカニクイザルSIRPAに選択的に結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v1、ヒトSIRPA v2、およびカニクイザルSIRPAに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v1、ヒトSIRPA v2、およびカニクイザルSIRPAに結合するが、マウスSIRPAに結合しない。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v1、ヒトSIRPA v2、およびカニクイザルSIRPAに結合するが、SIRPβ1に結合しない。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v1、ヒトSIRPA v2、およびカニクイザルSIRPAに結合するが、マウスSIRPAに結合せず、ヒトSIRPβ1に結合しない。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA v1、ヒトSIRPA v2、カニクイザルSIRPA、およびヒトSIRPAβ3に結合するが、マウスSIRPAに結合せず、ヒトSIRPβ1に結合しない。上記の実施形態についての、任意の組合せでは、本発明の抗SIRPA抗体は、SIRPAとCD47との結合または相互作用を遮断しない。
【0194】
本開示の、ある特定の態様は、SIRPAの細胞レベルを下方調節する、すなわち、低下させる、抗SIRPA抗体に関する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、SIRPAと、1つまたは複数のSIRPAリガンド、例えば、CD47との相互作用(例えば、結合)を阻害、遮断、または低減せずに、SIRPAの細胞レベルを低下させる。
【0195】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAの分解、下方調節、切断、受容体の脱感作、および/またはリソソームによるターゲティングを誘導することにより、SIRPAの細胞レベル(例えば、細胞表面発現)を低減する抗体の能力に、少なくとも部分的に起因する、1つまたは複数の活性を有しうる。
【0196】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、細胞内のSIRPAの発現を下方調節する。一部の実施形態では、細胞内のSIRPAの発現の下方調節は、SIRPA細胞表面発現の低減である。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、単球(例えば、ヒト単球)内のSIRPAの発現を下方調節する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、マクロファージ(例えば、ヒトマクロファージ)内のSIRPAの発現を下方調節する。一部の実施形態では、本発明の抗SIRPA抗体は、マクロファージの細胞表面における、SIRPAの発現を、本開示の抗SIRPA抗体で処置されていないマクロファージ内のSIRPA細胞表面発現のレベルと比較して、70%を超えて、75%を超えて、80%を超えて、85%を超えて、または95%を超えて下方調節する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、マクロファージの細胞表面における、SIRPAの発現を、本開示の抗SIRPA抗体で処置されていないマクロファージ内のSIRPA細胞表面発現のレベルと比較して、約70~90%、約70~85%、約70~80%であるが、約70~75%、約75~90%、約75~85%、約75~80%、約80~90%、約80~85%、または約85~95%下方調節する。一部の実施形態では、マクロファージは、ヒトM1マクロファージおよびヒトM2マクロファージを含むがこれらに限定されない、ヒトマクロファージである。
【0197】
SIRPAの細胞レベルは、限定せずに述べると、SIRPAの細胞表面レベル、SIRPAの細胞内レベル、および全SIRPAレベルを指す場合がある。一部の実施形態では、SIRPAの細胞レベルの低下は、SIRPAの細胞表面レベルの低下を含む。本明細書で使用される、抗SIRPA抗体は、それが、例えば、SIRPAの細胞表面レベルを測定するのに、蛍光活性化細胞分取(FACS)などの、フローサイトメトリーを利用する、本明細書で記載されるか、または当技術分野で公知である、任意の、in vitroにおける、細胞ベースのアッセイ、または適切なin vivoモデルにより測定される、SIRPAの細胞表面レベルの、25%またはこれを超える低下を誘導する場合、SIRPAの細胞表面レベルを低下させる。一部の実施形態では、SIRPAの細胞レベルの低下は、SIRPAの細胞内レベルの低下を含む。本明細書で使用される、抗SIRPA抗体は、それが、本明細書で記載されるか、または当技術分野で公知である、任意の、in vitroにおける、細胞ベースのアッセイ、または適切なin vivoモデル、例えば、免疫染色、ウエスタンブロット解析、共免疫沈降法、およびフロー(cell)サイトメトリーにより測定される、SIRPAの細胞内レベルの、25%またはこれを超える低下を誘導する場合、Siglec-9の細胞内レベルを低下させる。一部の実施形態では、SIRPAの細胞レベルの低下は、全SIRPAレベルの低下を含む。本明細書で使用される、抗SIRPA抗体は、それが、本明細書で記載されるか、または当技術分野で公知である、任意の、in vitroにおける、細胞ベースのアッセイ、または適切なin vivoモデル、例えば、免疫染色、ウエスタンブロット解析、共免疫沈降法、およびフロー(cell)サイトメトリーにより測定される、全SIRPAレベルの、25%またはこれを超える低下を誘導する場合、全SIRPAレベルを低下させる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、SIRPAの分解、SIRPAの切断、SIRPAの内部移行、SIRPAの放出、SIRPA発現の下方調節、またはこれらの任意の組合せを誘導する。一部の実施形態では、SIRPAの細胞レベルは、SIRPA細胞アッセイを利用して、初代細胞(例えば、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、単球、ミクログリア、およびマクロファージ)上、または細胞株上で測定される。
【0198】
一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の下方調節は、37℃で、4時間にわたる、ヒトマクロファージの、抗体への曝露の後で、200nMもしくはこれ未満、典型的に、100nMまたはこれ未満のIC50(細胞表面上で発現されるSIRPAのうちの50%が、下方調節される)を有する。一部の実施形態では、SIRPAは、本発明の抗体への曝露から、少なくとも24時間にわたり、下方調節を維持する。細胞は、任意の技術、例えば、フローサイトメトリーを使用して、SIRPAの表面発現について解析されうる。
【0199】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAの細胞レベルを、抗SIRPA抗体の非存在下におけるSIRPAの細胞レベルと比較して、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%、少なくとも31%、少なくとも32%、少なくとも33%、少なくとも34%、少なくとも35%、少なくとも36%、少なくとも37%、少なくとも38%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも41%、少なくとも42%、少なくとも43%、少なくとも44%、少なくとも45%、少なくとも46%、少なくとも47%、少なくとも48%、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも51%、少なくとも52%、少なくとも53%、少なくとも54%、少なくとも55%、少なくとも56%、少なくとも57%、少なくとも58%、少なくとも59%、少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、またはこれを超えて低下させる。
【0200】
先行段落にまとめられた下方調節活性のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、細胞表面における、SIRPAのクラスター化を阻害する。
【0201】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAを下方調節するが、SIRPAリガンド、例えば、SIRPAへのCD47の結合を遮断、阻害、または低減しない。本発明の文脈では、SIRPAへのCD47の結合を遮断しない、SIRPAに対する抗体とは、抗体が、CD47およびSIRPAを発現させる細胞と共にインキュベートされる場合に、SIRPAへのCD47の結合の、顕著な低下を結果としてもたらさない抗体を指す。CD47の、SIRPAへの結合の文脈における「顕著な低下」とは、SIRPAに結合しない、アイソタイプとマッチさせたコントロール抗体の存在下における、CD47の、SIRPAへの結合と比較して、30%またはこれ未満、典型的に、少なくとも25%、少なくとも20%、少なくとも15%、または少なくとも10%またはこれ未満の、結合の低下を指す。遮断活性を評価するための、例示的なアッセイは、本明細書の例で明示される。例えば、ヒトSIRPAを発現させる細胞、例えば、ヒトマクロファージ、またはヒトSIRPAを組換え発現させるように修飾されたCHO細胞などの細胞を、96ウェルプレート内に、ウェル1つ当たりの細胞10個で播種し、洗浄し、1.0μg/mlのモノクローナル抗体またはアイソタイプコントロールを含有する、蛍光活性化細胞分取のための、100μlのバッファー中でインキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、可溶型ヒトCD47と共に、氷上で30分間にわたりインキュベートする。次いで、細胞を、表面結合型CD47について解析する。
【0202】
一部の実施形態では、本発明の抗SIRPA抗体は、細胞内の、CD32A/B(すなわち、FcγRIIA/FcγRIIB)の発現を下方調節する。一部の実施形態では、細胞内の、CD32A/B(すなわち、FcγRIIA/FcγRIIB)の発現の下方調節は、CD32A/B(すなわち、FcγRIIA/FcγRIIB)の、細胞表面発現の低減である。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、マクロファージ(例えば、ヒトマクロファージ)内の、CD32A/Bの発現を下方調節する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRP抗体は、マクロファージ(例えば、ヒトマクロファージ)内の、CD32A(すなわち、FcγRIIA)の発現を下方調節する。一部の実施形態では、本発明の抗SIRPA抗体は、マクロファージ(例えば、ヒトマクロファージ)内の、CD32B(すなわち、FcγRIIB)の発現を下方調節する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトマクロファージ内の、CD32A(すなわち、FcγRIIA)の、細胞表面発現を、本発明の抗SIRPA抗体で処置されていない、ヒトマクロファージ内の、CD32Aの、細胞表面発現のレベルと比較して、約75%、約80%、または約85%下方調節する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトマクロファージ内の、CD32Aの、細胞表面発現を、本発明の抗SIRPA抗体で処置されていない、ヒトマクロファージ内の、CD32Aの、細胞表面発現のレベルと比較して、約70~85%下方調節する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトマクロファージ内の、CD32B(すなわち、FcγRIIB)の、細胞表面発現を、検出不能レベルまで下方調節する。
【0203】
一態様では、本開示は、本開示のSIRPAタンパク質内のエピトープなどの領域と相互作用するか、またはこれに他の形で結合する、単離(例えば、モノクローナル)抗体などの抗体を提示する。一部の実施形態では、抗体は、本開示のSIRPAタンパク質内のエピトープなどの領域と、動態を改善/増強して(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体と比べて)、相互作用するか、またはこれに他の形で結合する。一部の実施形態では、抗体は、コントロール抗体のEC50より(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体と比べて)低値の50%効果濃度(EC50)で、樹状細胞、骨髄細胞、単球、マクロファージなどのヒト細胞上の、SIRPAタンパク質内のエピトープなどの領域と相互作用するか、またはこれに他の形で結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAタンパク質に結合し、SIRPAタンパク質に結合した後で、1つまたは複数のSIRPA活性、例えば、細胞上の、SIRPAの発現と関連する活性をモジュレートする。本開示のSIRPAタンパク質は、限定せずに述べると、哺乳動物SIRPAタンパク質、ヒトSIRPAタンパク質、マウスSIRPAタンパク質、カニクイザルSIRPAタンパク質、およびラットSIRPAタンパク質を含む。
【0204】
一部の実施形態では、本開示の抗体は、SIRPAに、pH依存的に結合しうる。一部の実施形態では、本開示の抗体は、SIRPAに、中性のpHで結合することが可能であり、SIRPAタンパク質から解離せずに、内部化されうる。代替的に、酸性のpHでは、本開示の抗体は、内部化されると、SIRPAから解離することが可能であり、次いで、エンドソーム/リソソーム経路により分解されうる。ある特定の実施形態では、抗SIRPA抗体は、SIRPAに、5.5~8.0、5.5~7.5、5.5~7.0、5.5~6.5、5.5~6.0、6.0~8.0、6.5~8.0、7.0~8.0、7.5~8.0、6.0~7.5、6.0~7.0、6.5~7.5の範囲のpHで結合する。ある特定の実施形態では、抗SIRPA抗体は、SIRPAから、6.0未満、5.5未満、5.0未満、4.5未満、4.0未満、3.5未満、3.0未満、2.5未満、または2.0未満のpHで解離する。
【0205】
SIRPAは、I型1回膜貫通タンパク質である。ヒトSIRPAのアミノ酸配列(配列番号1)内では、細胞外ドメインは、アミノ酸残基31~373に位置し;膜貫通ドメインは、アミノ酸残基374~394に位置し;細胞内ドメインは、アミノ酸残基395~504に位置する。ヒトSIRPAは、それぞれ、D1ドメイン、D2ドメイン、およびD3ドメインと称される、Igスーパーファミリー(IgSF)ドメインの、単一のVセット、および2つのC1セットを含む。D1ドメインは、ヒトSIRPAのアミノ酸残基32~137を含み;D2ドメインは、ヒトSIRPAのアミノ酸残基148~247を含み;D3ドメインは、ヒトSIRPAのアミノ酸残基254~348を含む。当業者が察知する通り、本開示のドメインの起始残基および終始残基は、使用されるコンピュータモデル化プログラム、またはドメインを決定するために使用される方法に応じて変動しうる。
【0206】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPAのD3ドメインに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号1のヒトSIRPAのアミノ酸配列のうちのアミノ酸残基254~348を含む、ヒトSIRPAのD3ドメインに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAのD3ドメイン内のエピトープに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAのD3ドメイン内のエピトープに結合し、この場合、エピトープは、配列番号1のヒトSIRPAのアミノ酸配列のうちのアミノ酸残基254~348、アミノ酸残基254~274、アミノ酸残基264~279、アミノ酸残基274~289、アミノ酸残基273~331、アミノ酸残基281~315、アミノ酸残基281~337、アミノ酸残基284~299、アミノ酸残基294~309、アミノ酸残基304~319、アミノ酸残基314~329、アミノ酸残基324~339、およびアミノ酸残基334~348から選択されるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAのD3ドメイン内のエピトープに結合し、この場合、エピトープは、ヒトSIRPA v1のアミノ酸配列(配列番号1)のうちのアミノ酸残基R282、Q284、およびG337を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPAのD3ドメイン内のエピトープに結合し、この場合、エピトープは、ヒトSIRPA v1のアミノ酸配列(配列番号1)のうちのアミノ酸残基Q281、R282、Q284、L285、W287、R295、E297、V302、およびW315を含む。
【0207】
一部の実施形態では、抗体は、SIRPA、例えば、ヒトSIRPAのD3ドメインに結合する。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、本明細書で記載される通り、m3F9と名指される抗体のCDRを有する抗体が結合する、同じSIRPAエピトープ、またはSIRPAエピトープの一部に結合する。したがって、一部の実施形態では、本開示の抗体は、本明細書で記載される通り、m3F9と名指される抗体のCDRを有する抗体が結合する、同じSIRPAエピトープ、またはSIRPAエピトープの一部に結合する。
【0208】
本開示の、ある特定の態様は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の機能的特性の改善および/または増強(例えば、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する、抗SIRPA抗体と比べた)であって、細胞上の、SIRPAの細胞表面レベルを低下させる能力の改善/増強を含み、限定せずに述べると、単球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、および/またはミクログリアの細胞増殖の低減;樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、単球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、M2ミクログリア、マクロファージ、M1マクロファージ、活性化M1マクロファージ、および/またはM2マクロファージにより誘導される、T細胞の増殖の低減;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、M1マクロファージ、M1好中球、M1 NK細胞、活性化M1マクロファージ、活性化M1好中球、活性化M1 NK細胞、M2マクロファージ、M2好中球、M2 NK細胞、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの生存の低下;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、M1マクロファージ、M1好中球、M1 NK細胞、活性化M1マクロファージ、活性化M1好中球、活性化M1 NK細胞、M2マクロファージ、M2好中球、M2 NK細胞、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの増殖の低下または低減;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、M1マクロファージ、M1好中球、M1 NK細胞、活性化M1マクロファージ、活性化M1好中球、活性化M1 NK細胞、M2マクロファージ、M2好中球、M2 NK細胞、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの遊走の阻害;好中球、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、マクロファージ、NK細胞、M1マクロファージ、M1好中球、M1 NK細胞、活性化M1マクロファージ、活性化M1好中球、活性化M1 NK細胞、M2マクロファージ、M2好中球、M2 NK細胞、単球、破骨細胞、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、顆粒球、ミクログリア、M1ミクログリア、活性化M1ミクログリア、および/またはM2ミクログリアの、1つまたは複数の機能の低下または阻害;単球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、好中球、および/またはミクログリアの増殖の低減;単球、マクロファージ、T細胞、樹状細胞、好中球、および/またはミクログリアの、全体的な機能性の低減;膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、腎細胞がん、腎盂がん、白血病、肺がん、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、線維肉腫、および甲状腺がんから選択される、異なる種類のがんに対する、有益な免疫応答の阻害;認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパシー、那須ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、特発性振戦、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体認知症、多系統委縮症、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性(granulomartous)障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性、緑内障、網膜色素変性、網膜変質、および多発性硬化症から選択される、異なる種類の神経障害に対する、有益な免疫応答の阻害;腫瘍細胞上の、SIRPAリガンドへの結合;樹状細胞上の、SIRPAリガンド、骨髄由来樹状細胞、単球、ミクログリア、T細胞、好中球、および/またはマクロファージへの結合;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数による腫瘍細胞殺滅の阻害;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数の、抗腫瘍細胞増殖活性の阻害;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数の、抗腫瘍細胞転移活性の阻害;ミクログリア、マクロファージ、樹状細胞、骨髄由来樹状細胞、好中球、T細胞、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞のうちの1つまたは複数上で発現された、CD86など、1つまたは複数の炎症性受容体の発現のモジュレート;免疫抑制性樹状細胞、免疫抑制性マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、腫瘍関連マクロファージ、免疫抑制性好中球、および調節性T細胞のうちの1つまたは複数の、腫瘍への浸潤の増強;免疫抑制性樹状細胞、免疫抑制性マクロファージ、免疫抑制性好中球、免疫抑制性NK細胞、骨髄由来抑制細胞、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連好中球、腫瘍関連NK細胞、および調節性T細胞のうちの1つまたは複数の機能性の、促進またはレスキュー;免疫抑制性樹状細胞、免疫抑制性マクロファージ、免疫抑制性好中球、免疫抑制性NK細胞、骨髄由来抑制細胞、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連好中球、腫瘍関連NK細胞、非腫瘍形成性CD45+ CD14+骨髄細胞、および調節性T細胞のうちの1つまたは複数の、腫瘍への浸潤の増大;末梢血中、または他のリンパ系器官内の、腫瘍内の、腫瘍促進性骨髄/顆粒球性免疫抑制細胞の数の増大;骨髄由来抑制細胞の、腫瘍促進性活性の増強;腫瘍殺滅可能性を伴う、腫瘍特異性Tリンパ球の活性化の低下;非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞および/または非腫瘍形成性CD45+ CD14+骨髄細胞の生存の延長;腫瘍殺滅可能性を伴う、腫瘍特異性Tリンパ球の浸潤および/または活性化の低下;腫瘍増殖速度の増大;腫瘍再発速度の増大;抗腫瘍T細胞応答をモジュレートする、1つまたは複数の免疫療法であり、任意選択で、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD39、CD70、TREM1、TREM2、Siglec-5、Siglec-7、Siglec-9、Siglec-11、SIRPA、CD447、CSF-1受容体およびこれらの任意の組合せから選択される、1つまたは複数のタンパク質をターゲティングする免疫療法である、1つまたは複数の免疫療法、または1つもしくは複数の化学療法薬剤および/もしくはがんワクチンの有効性の低下を含む、1つまたは複数のSIRPA活性の、低減、中和、防止、または抑制を結果としてもたらす、改善および/または増強を呈する、抗SIRPA抗体の同定に基づく。
【0209】
上記の、他の実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、(i)腫瘍浸潤性CD3T細胞の数を増大させること;(ii)任意選択で、腫瘍浸潤性細胞であるか、または任意選択で、血液中に存在する、非腫瘍形成性CD14骨髄細胞内の、SIRPAの細胞レベルを低下させること;(iii)任意選択で、腫瘍浸潤性細胞であるか、または任意選択で、血液中に存在する、非腫瘍形成性CD14骨髄細胞の数を低減すること;(iv)任意選択で、非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞(MDSC)である、1つまたは複数の細胞内の、PD-L1、PD-L2、B7-H2、B7-H3、CD200R、CD163、および/またはCD206のレベルを低減すること;(v)固形腫瘍の、腫瘍増殖速度を低下させること;(vi)腫瘍体積を低減すること;(vii)1つまたは複数のPD-1阻害剤の有効性を増大させること;(viii)任意選択で、CTL4、アデノシン経路、PD-L1、PD-L2、OX40、TIM3、LAG3、またはこれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数をターゲティングする、1つまたは複数のチェックポイント阻害剤療法および/または免疫調節療法の有効性を増大させること;(ix)任意選択で、化学療法剤のうちの1つまたは複数が、ゲムシタビン、カペシタビン、アントラサイクリン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、エピルビシン(エレンス(登録商標))、タキサン、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、5-フルオロウラシル(5-FU)、シクロホスファミド(シトキサン(登録商標))、カルボプラチン(パラプラチン(登録商標))、およびこれらの任意の組合せである、1つまたは複数の化学療法剤の有効性を増大させること;(x)非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞(MDSC)の存在下で、T細胞の増殖を増大させること;(xi)非腫瘍形成性骨髄由来抑制細胞(MDSC)の、分化、生存、および/または1つもしくは複数の機能を阻害すること;かつ、(xii)化学物質または放射性毒素にコンジュゲートさせると、固形腫瘍内および血管内の、CD33発現免疫抑制非腫瘍形成性骨髄細胞および/または非腫瘍形成性CD14発現細胞を死滅させることを含む、1つまたは複数の活性を誘導するか、増強するか、またはこれを増大させる。
【0210】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、調節性T細胞、腫瘍包埋免疫抑制性樹状細胞、腫瘍包埋免疫抑制性マクロファージ、骨髄由来抑制細胞、腫瘍関連マクロファージ、急性骨髄性白血病(AML)細胞、慢性リンパ性白血病(CLL)細胞、または慢性骨髄性白血病(CML)の、活性、機能性、または生存を低下させる。
【0211】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、1つまたは複数の免疫細胞の、生存、成熟、機能性、遊走、または増殖を、誘導または促進し、例えば、1つまたは複数の免疫細胞は、個体における、樹状細胞、マクロファージ、好中球、NK細胞、ミクログリア、T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0212】
抗SIRPA抗体の結合親和性
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、<1μM、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、または<0.001nM(例えば、10-8Mもしくはこれ未満、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(Kd)を有する。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBio製のOctet Systemを参照されたい)、等温滴定熱量測定(ITC)、示差走査熱量測定(DSC)、円偏光二色性(CD)、ストップフロー解析、および比色解析または蛍光性タンパク質溶融解析など、任意の生化学的技法または生物物理的技法を含む、任意の解析法を介して決定されうる。一実施形態では、Kdは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)により測定される。一部の実施形態では、RIAは、例えば、ChenらJ.Mol.Biol.、293:865~881(1999))において記載されている通り、目的の抗体のFab形と、その抗原とにより実施される。一部の実施形態では、Kdは、ビアコア表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定され、例えば、BIACORE-2000またはBIACORE-3000(BIAcore,Inc.、Piscataway、NJ)を使用するアッセイは、約10反応単位(RU)で、抗原が固定化されている、CM5チップにより、25℃で実施される。一部の実施形態では、Kは、一価抗体(例えば、Fab)または全長抗体を使用して決定される。一部の実施形態では、Kは、一価形態にある全長抗体を使用して決定される。
【0213】
抗体断片
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、抗体断片である。抗体断片は、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)断片、Fv断片、およびscFv断片、ならびに下記で記載される他の断片を含むがこれらに限定されない。ある特定の抗体断片の総説については、Hudsonら、Nat.Med.、9:129~134(2003)を参照されたい。scFv断片の総説については、例えば、WO93/16185;ならびに米国特許第5571894号および同第5587458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、in vivoにおける半減期を延長した、Fab断片およびF(ab’)断片の議論については、米国特許第5869046号を参照されたい。
【0214】
ダイアボディーとは、二価または二重特異性でありうる、2つの抗原結合部位を伴う抗体断片である。例えば、EP404097;WO1993/01161;Hudsonら、Nat.Med.、9:129~134(2003)を参照されたい。トリアボディーおよびテトラボディーもまた、Hudsonら、Nat.Med.、9:129~134(2003)において記載されている。単一ドメイン抗体とは、抗体の、重鎖可変ドメインの全部もしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体(例えば、米国特許第6248516号を参照されたい)である。
【0215】
抗体断片は、本明細書で記載される通り、インタクトな抗体の、タンパク質分解性消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含むがこれらに限定されない、多様な技法により作られうる。
【0216】
キメラ抗体およびヒト化抗体
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体については、例えば、米国特許第4816567号において記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)と、ヒト定常領域とを含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが、親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した、「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合性断片を含む。
【0217】
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。典型的に、非ヒト抗体は、親非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減するように、ヒト化される。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒトにおいて、実質的に非免疫原性である。ある特定の実施形態では、ヒト化抗体は、標的に対して、ヒト化抗体が由来する、別の種に由来する抗体と、実質的に同じ親和性を有する。例えば、米国特許第5530101号、同第5693761号;同第5693762号;および同第5585089号を参照されたい。ある特定の実施形態では、その免疫原性を低減しながら、抗原結合性ドメインの天然の親和性を低下させずに修飾されうる、抗体の可変ドメインのアミノ酸が同定される。例えば、米国特許第5766886号および同第5869619号を参照されたい。一般に、ヒト化抗体は、HVR(またはその部分)が、非ヒト抗体に由来し、FR(またはその部分)が、ヒト抗体配列に由来する、1つまたは複数の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意選択で、ヒト定常領域の、少なくとも一部も含むであろう。一部の実施形態では、ヒト化抗体内の、一部のFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または改善するように、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)に由来する、対応する残基で置換される。
【0218】
ヒト化抗体、およびそれらを作る方法については、例えば、Almagroら、Front.Biosci.、13:1619~1633(2008)において総説されており、例えば、米国特許第5821337号、同第7527791号、同第6982321号、および同第7087409号において、さらに記載されている。ヒト化のために使用されうるヒトフレームワーク領域は、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Simsら、J.Immunol.、151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖可変領域または重鎖可変領域の、特定の亜群の、ヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);およびPrestaら、J.Immunol.、151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、AlmagroおよびFransson、Front.Biosci.、13:1619~1633(2008)を参照されたい);およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J.Biol.Chem.、272:10678~10684(1997);およびRosokら、J.Biol.Chem.、271:22611~22618(1996)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
【0219】
ヒト抗体
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知である、多様な技法を使用して作製されうる。ヒト抗体については、一般に、van Dijkら、Curr.Opin.Pharmacol.、5:368~74(2001);およびLonberg、Curr.Opin.Immunol.、20:450~459(2008)において記載されている。
【0220】
ヒト抗体は、免疫原を、抗原投与に応答して、インタクトなヒト抗体、またはヒト可変領域を伴う、インタクトな抗体を産生するように改変されている、トランスジェニック動物へと投与することにより調製されうる。このようなマウスが、マウス抗体の非存在下で、ヒト抗体を産生することを期待して、マウス抗体の産生を欠損するマウス株であって、ヒトIg遺伝子座の大型断片を伴うマウス株を操作することができる。大型のヒトIg断片は、可変遺伝子の大きな多様性、ならびに抗体の産生および発現の適正な調節を保存しうる。抗体の多様化および選択のためのマウス機構、ならびにヒトタンパク質に対する、免疫寛容の欠如を利用することにより、これらのマウス株において複製された、ヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含む、任意の、目的の抗原に対して、高親和性の、完全ヒト抗体をもたらしうる。ハイブリドーマ技術を使用して、所望の特異性を伴う、抗原特異的ヒトmAbが、作製および選択されうる。ある特定の例示的方法については、米国特許第5545807号、EP546073において記載されている。例えば、XENOMOUSE(商標)技術について記載する、米国特許第6075181号および同第6150584号;HUMAB(登録商標)技術について記載する、米国特許第5770429号;K-M MOUSE(登録商標)技術について記載する、米国特許第7041870号、およびVELOCIMOUSE(登録商標)技術について記載する、米国特許出願公開第US2007/0061900号もまた参照されたい。このような動物により作出される、インタクトな抗体に由来するヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることにより、さらに改変されうる。
【0221】
ヒト抗体はまた、ハイブリドーマベースの方法によっても作られうる。ヒトモノクローナル抗体を作製するための、ヒト骨髄腫細胞株、およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株については、記載されている(例えば、Kozbor、J.Immunol.、133:3001(1984);およびBoernerら、J.Immunol.、147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して作出されるヒト抗体もまた、Liら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、103:3557~3562(2006)において記載されている。さらなる方法は、例えば、米国特許第7189826号(ハイブリドーマ細胞株からの、ヒトIgMモノクローナル抗体の作製について記載する)において記載されている方法を含む。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)についてもまた、Vollmersら、Histology and Histopathology、20(3):927~937(2005);およびVollmersら、Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology、27(3):185~91(2005)において記載されている。ヒト抗体はまた、ヒト由来のファージディスプレイライブラリーから選択される、Fvクローンの可変ドメイン配列を単離することによっても作出されうる。次いで、このような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わされうる。ヒト抗体を、抗体ライブラリーから選択するための技法については、下記で記載される。
【0222】
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、in vitro法、および/またはコンビナトリアルライブラリーを、1つもしくは複数の、所望の活性を伴う抗体についてスクリーニングすることにより単離されたヒト抗体である。適切な例は、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(formerly Proliferon)、Affimed)、リボソームディスプレイ(CAT)、酵母ディスプレイ(Adimab)などを含むがこれらに限定されない。Winterら、Ann.Rev.Immunol.、12:433~455(1994)において記載されている通り、ある特定のファージディスプレイ法では、VH遺伝子およびVL遺伝子のレパートリーは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、個別にクローニングされ、ファージライブラリー内で、ランダムに組み換えられ、次いで、これが、抗原結合性ファージについてスクリーニングされうる。例えば、当技術分野では、ファージディスプレイライブラリーの作出、および所望の結合特性を所有する抗体についての、このようなライブラリーのスクリーニングのための、様々な方法が公知である。また、Sidhuら、J.Mol.Biol.、338(2):299~310、2004;Leeら、J.Mol.Biol.、340(5):1073~1093、2004;FellouseProc.Natl.Acad.Sci.USA、101(34):12467~12472(2004);およびLeeら、J.Immunol.Methods、284(1~2):119~132(2004)も参照されたい。ファージは、典型的に、抗体断片を、単鎖Fv(scFv)断片またはFab断片として提示する。免疫化供給源に由来するライブラリーは、ハイブリドーマの構築を要求せずに、免疫原に対する、高親和性の抗体をもたらす。代替的に、Griffithsら、EMBO J.12:725~734(1993)により記載されている通り、免疫化を伴わずに、広範にわたる非自己に対して、また、自己抗原にも対して、抗体の、単一の供給源をもたらすように、ナイーブレパートリーがクローニングされうる(例えば、ヒトから)。最後に、ナイーブライブラリーはまた、Hoogenboomら、J.Mol.Biol.、227:381~388、1992により記載されている通り、再配列されていないV遺伝子セグメントを、幹細胞からクローニングし、高度に可変性のHVR3領域をコードし、in vitroにおける再配列を達するように、ランダム配列を含む、PCRプライマーを使用することを介して、合成によっても作られうる。ヒト抗体ファージライブラリーについて記載する特許公開は、例えば、米国特許第5750373号、ならびに米国特許公開第2007/0292936号および同第2009/0002360号を含む。ヒト抗体ライブラリーから単離される抗体は、本明細書において検討される、ヒト抗体またはヒト抗体断片である。
【0223】
Fc領域を含む定常領域
本明細書で提示される抗SIRPA抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、Fcを含む。一部の実施形態では、Fcは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、および/またはIgG4アイソタイプである。一部の実施形態では、抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスの抗体である。
【0224】
本明細書で提示される抗SIRPA抗体のうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、1つまたは複数のSIRPA活性を誘導するか、またはこれを、Fc受容体への結合から独立して誘導する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、阻害型Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0225】
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、阻害型Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0226】
本明細書で提示される抗SIRPA抗体のうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、阻害型Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。
【0227】
本明細書で提示される抗SIRPA抗体のうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、ヒトIgG2の、EU番号付けに従う、アミノ酸118~260、およびヒトIgG4の、EU番号付けに従う、アミノ酸261~447を含むアミノ酸配列(WO1997/11971;WO2007/106585)を含む。
【0228】
一部の実施形態では、Fc領域は、アミノ酸置換を含まないFc領域を含む、対応する抗体と比較して、補体を活性化させずに、クラスター化を増大させる。一部の実施形態では、抗体は、抗体が特異的に結合する標的の、1つまたは複数の活性を誘導する。一部の実施形態では、抗体は、SIRPAに結合する。
【0229】
また、本開示の抗SIRPA抗体を改変して、エフェクター機能を修飾し、かつ/または抗体の血清半減期を延長することも所望されうる。例えば、定常領域上の、Fc受容体への結合部位は、FcγRI、FcγRII、および/またはFcγRIIIなど、ある特定のFc受容体への結合親和性を除去または低減して、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を低減するように、修飾または突然変異されうる。一部の実施形態では、エフェクター機能は、抗体のFc領域の(例えば、IgGのCH2ドメイン内の)N-グリコシル化を除去することにより損なわれる。一部の実施形態では、エフェクター機能は、WO99/58572、Armourら、Molecular Immunology、40:585~593(2003);Reddyら、J.Immunology、164:1925~1933(2000)において記載されている、ヒトIgGの、233~236、297、および/または327~331などの領域を修飾することにより損なわれる。他の実施形態ではまた、本開示の抗SIRPA抗体を改変して、ITIM含有FcgRIIb(CD32b)に対する選択性を増大させて、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、および抗体依存性細胞媒介性食作用を含む、体液性応答を活性化させずに、隣接する細胞上の、SIRPA抗体のクラスター化を増大させるように、エフェクター機能を修飾することも所望されうる。
【0230】
抗体の血清半減期を延長するために、例えば、米国特許第5739277号において記載されている通り、サルベージ受容体結合エピトープを、抗体(とりわけ、抗体断片)へと組み込むことができる。本明細書で使用される、「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子の、in vivoにおける血清半減期の延長の一因となる、IgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、またはIgG)のFc領域のエピトープを指す。
【0231】
多重特異性抗体
多重特異性とは、少なくとも2つの、異なるエピトープであって、同じであるか、または別のポリペプチド(例えば、本開示の、1つまたは複数のSIRPAポリペプチド)上のエピトープを含むエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、二重特異性抗体でありうる。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、三重特異性抗体でありうる。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、四重特異性抗体でありうる。このような抗体は、全長抗体に由来する場合もあり、抗体断片(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)に由来する場合もある。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、SIRPA上の第1の部位に結合する、第1の抗原結合性領域を含み、SIRPA上の第2の部位に結合する、第2の抗原結合性領域を含む。一部の実施形態では、多重特異性抗体は、SIRPAに結合する、第1の抗原結合性領域と、第2のポリペプチドに結合する、第2の抗原結合性領域とを含む。
【0232】
本明細書では、SIRPAに結合する、本明細書で記載される抗体の、6つのHVRを含む、第1の抗原結合性領域と、第2のポリペプチドに結合する、第2の抗原結合性領域とを含む、多重特異性抗体が提示される。一部の実施形態では、第1の抗原結合性領域は、本明細書で記載される抗体のVまたはVを含む。
【0233】
多重特異性抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、血液脳関門を越える輸送を容易とする抗原である。当技術分野では、血液脳関門を越える輸送を容易とする、多数の抗原およびペプチドが公知である(例えば、Gabathuler R.、Neurobiol.Dis.、37:48~57(2010)を参照されたい)。このような、第2の抗原およびペプチドは、限定せずに述べると、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1および2(LPR-1および2)、CRM197(ジフテリア毒素の、非毒性突然変異体)を含む、ジフテリア毒素受容体、TMEM 30(A)(フリッパーゼ)、TAT、Syn-B、またはペネトラチンなどのタンパク質移入ドメイン、ポリアルギニン、または、一般に、正に帯電したペプチド、ANG1005(例えば、Gabathuler、2010を参照されたい)などのAngiopepペプチド、および血液脳関門内皮細胞上で濃縮される、他の細胞表面タンパク質(例えば、Danemanら、PLoS One、5(10):e13741(2010)を参照されたい)を含む。
【0234】
多重特異性抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、第2のポリペプチドは、アミロイドベータ、オリゴマーアミロイドベータ、アミロイドベータプラーク、アミロイド前駆体タンパク質、またはこれらの断片、タウ、IAPP、α-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、C9orf72(第9染色体オープンリーディングフレーム72)、c9RANタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、アタキシン1、アタキシン2、アタキシン3、アタキシン7、アタキシン8、アタキシン10、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メジン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、ベータ2マイクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピセリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、ユビキチン、およびプロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド;(d)免疫細胞上で発現されるリガンドおよび/もしくはタンパク質であって、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、PD-L1、CTLA-4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BTLA、KIR、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、およびホスファチジルセリンから選択されるリガンドおよび/もしくはタンパク質;ならびに/または(e)1つもしくは複数の腫瘍細胞上で発現される、タンパク質、脂質、多糖類、もしくは糖脂質、およびこれらの任意の組合せから選択される、疾患原因タンパク質である。
【0235】
多価抗体は、SIRPA抗原のほか、限定せずに述べると、Aβペプチド抗原、α-シヌクレインタンパク質抗原、タウタンパク質抗原、TDP-43タンパク質抗原、プリオンタンパク質抗原、ハンチンチンタンパク質抗原、RAN翻訳産物抗原(グリシン-アラニン(GA)、グリシン-プロリン(GP)、グリシン-アルギニン(GR)、プロリン-アラニン(PA)、またはプロリン-アルギニン(PR)から構成される、ジペプチドリピート(DPRペプチド)を含む)、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、もしくはトランスフェリン受容体、または血液脳関門を越える、抗体の移動を容易とする、他の任意の抗原などさらなる抗原を認識しうる。一部の実施形態では、第2のポリペプチドはトランスフェリンである。一部の実施形態では、第2のポリペプチドはタウである。一部の実施形態では、第2のポリペプチドはAβである。一部の実施形態では、第2のポリペプチドはTREM2である。一部の実施形態では、第2のポリペプチドはα-シヌクレインである。
【0236】
多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(かつ、好ましくは、2つのポリペプチド鎖)を含有し、この場合、1つまたは複数のポリペプチド鎖は、2つまたはこれを超える可変ドメインを含む。例えば、1つまたは複数のポリペプチド鎖は、VD1-(X1)-VD2-(X2)-Fc[配列中、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の、1つのポリペプチド鎖であり、X1およびX2は、アミノ酸またはポリペプチドを表し、nは、0または1である]を含みうる。同様に、1つまたは複数のポリペプチド鎖は、V-C1-可撓性リンカー-V-C1-Fc領域鎖;またはV-C1-V-C1-Fc領域鎖を含みうる。本明細書における多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つの(かつ、好ましくは、4つの)軽鎖可変ドメインポリペプチドをさらに含む。本明細書における多価抗体は、例えば、約2つ~約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含みうる。本明細書で想定される、軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択で、CLドメインをさらに含む。
【0237】
多重特異性抗体を作るための技法は、異なる特異性を有する、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の、組換え共発現(MilsteinおよびCuello、Nature 305:537(1983)、WO93/08829、ならびにTrauneckerら、EMBO J.10:3655(1991)を参照されたい)、および「KIH(knob-in-hole)」操作(例えば、米国特許第5731168号を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。また、WO2013/026833(CrossMab)も参照されたい。多重特異性抗体はまた、抗体Fcのヘテロ二量体分子を作るために、静電ステアリング効果を操作すること(WO2009/089004A1);2つまたはこれを超える抗体を架橋すること(例えば、米国特許第4676980号を参照されたい);ロイシンを使用すること;二重特異性抗体断片を作るために、「ダイアボディー」技術を使用すること(例えば、Hollingerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6444~6448(1993)を参照されたい);および単鎖Fv(scFv)二量体を使用すること(例えば、Gruberら J.Immunol.、152:5368(1994)を参照されたい);ならびに、例えば、Tuttら、J.Immunol.、147:60(1991)において記載されている通りに、三重特異性抗体を調製することによっても作られうる。
【0238】
3つまたはこれを超える、機能的な抗原結合部位を伴う操作抗体であって、「オクトパス抗体」を含む操作抗体もまた、本明細書に含まれる(例えば、US2006/0025576を参照されたい)。本明細書における抗体はまた、複数のSIRPAに結合する抗原結合部位を含む、「二重作用性FAb」または「DAF」(例えば、US2008/0069820を参照されたい)も含む。
【0239】
抗体の変異体
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体のアミノ酸配列変異体が想定される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改善することが所望でありうる。
【0240】
置換変異体、挿入変異体、および欠失変異体
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換を有する、抗体の変異体が提供される。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体をコードするヌクレオチド配列へと、適切な修飾を導入することにより調製される場合もあり、ペプチド合成により調製される場合もある。このような修飾は、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはこれらへの挿入、および/またはこれらの置換を含む。
【0241】
抗体の生物学的特性の、実質的な改変は、(a)置換領域内の、ポリペプチド骨格の構造であって、例えば、シート構造またはへリックス構造としての構造、(b)標的部位における、分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクの維持に対する、それらの効果が顕著に異なる置換を選択することにより達せられる。天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づく群:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;および
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
へと分けられる。
【0242】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーの、別のクラスに由来するメンバーへの交換を伴いうる。このような置換残基は、例えば、ヒト抗体の、非ヒト抗体と相同な領域へと導入される場合もあり、分子の非相同領域へと導入される場合もある。
【0243】
ある特定の実施形態に従い、本明細書で記載されるポリペプチドまたは抗体へと変化を施す場合、アミノ酸の疎水性指数が検討されうる。各アミノ酸は、その疎水性および荷電特徴に基づき、疎水性指数を割り当てられている。疎水性指数は、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);スレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタメート(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);およびアルギニン(-4.5)である。
【0244】
当技術分野では、相互作用性の生物学的機能を、タンパク質に付与する場合における、アミノ酸の疎水性指数の重要性が理解されている。Kyteら、J.Mol.Biol.、157:105~131(1982)。ある特定のアミノ酸は、同様の疎水性指数または疎水性スコアを有する、他のアミノ酸で置換される場合があり、なおかつ、同様の生物活性を保持することが公知である。疎水性指数に基づき、変化を施す場合、ある特定の実施形態では、それらの疎水性指数が±2内のアミノ酸置換が含まれる。ある特定の実施形態では、それらの疎水性指数が±1内の置換が含まれ、ある特定の実施形態では、それらの疎水性指数が±0.5内の置換が含まれる。
【0245】
当技術分野ではまた、それにより、創出される、生物学的に機能的なタンパク質またはペプチドが、本発明の場合のように、免疫学的実施形態における使用のために意図される場合は特に、類似のアミノ酸による置換が、親水性に基づき、効果的になされうることも理解される。ある特定の実施形態では、その隣接するアミノ酸の親水性により統御される、タンパク質の、最大局所平均親水性は、その免疫原性および抗原性、すなわち、タンパク質の生物学的特性と相関する
【0246】
これらのアミノ酸残基へは、以下の親水性値:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0±1);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5)、およびトリプトファン(-3.4)が割り当てられている。同様の親水性値に基づき、変化を施す場合、ある特定の実施形態では、それらの親水性値が±2内のアミノ酸置換が含まれ、ある特定の実施形態では、それらの親水性値が±1内の置換が含まれ、ある特定の実施形態では、それらの親水性値が±0.5内の置換が含まれる。エピトープを、親水性に基づき、一次アミノ酸配列からもまた同定することができる。これらの領域はまた、「エピトープコア領域」とも称される。
【0247】
ある特定の実施形態では、置換、挿入、または欠失は、抗体が、抗原に結合する能力を、このような変更が、実質的に低減しない限りにおいて、1つまたは複数のHVR内で生じうる。例えば、HVR内では、結合親和性を、実質的に低減しない保存的変更(例えば、本明細書で提示される、保存的置換)がなされうる。このような変更は、例えば、HVR内の、抗原接触残基の外部でありうる。上記で提示された、変異体のVH配列およびVL配列についての、ある特定の実施形態では、各HVRは、変更されないか、または1つ、2つ、もしくは3つを超えるアミノ酸置換を含有しない。
【0248】
アミノ酸配列の挿入は、アミノ末端および/またはカルボキシル末端における、1残基~100またはこれを超える残基を含むポリペプチドの長さの範囲の融合のほか、1つまたは複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例は、N末端のメチオニル残基を伴う抗体を含む。抗体分子の、他の挿入変異体は、抗体のN末端またはC末端の、酵素(例えば、ADEPTのために)、または抗体の血清半減期を延長するポリペプチドへの融合を含む。
【0249】
抗体の、適正なコンフォメーションの維持に関与しない、任意のシステイン残基もまた、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋形成を防止するように、一般に、セリンで置換されうる。逆に、その安定性を改善するように(特に、抗体が、Fv断片などの抗体断片である場合)、システイン結合(複数可)が、抗体へと付加される場合もある。
【0250】
グリコシル化変異体
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、抗体がグリコシル化される程度を増大させるか、または低下させるように変更される。グリコシル化部位の、抗体への付加または欠失は、1つまたは複数のグリコシル化部位が、創出または除去されるように、アミノ酸配列を変更することにより、簡便に達せられうる。
【0251】
抗体のグリコシル化は、典型的に、N結合型またはO結合型である。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への、炭水化物部分の接合を指す。トリペプチド配列である、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニン[Xは、プロリンを除く、任意のアミノ酸である]は、炭水化物部分の、アスパラギン側鎖への酵素結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド内の、これらのトリペプチド配列のうちのいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を創出する。O結合型グリコシル化とは、糖類である、N-アセチルガラクトサミン(N-aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンもまた使用されうるが、最も一般には、セリンまたはスレオニンである、ヒドロキシアミノ酸への接合を指す。
【0252】
グリコシル化部位の、抗体への付加は、それが、上記で記載されたトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含有するように、アミノ酸配列を変更することにより簡便に達せられる(N結合グリコシル化部位の場合)。変更はまた、1つまたは複数のセリンまたはスレオニン残基の、元の抗体の配列への付加によりなされる場合もあり、これらの残基による、元の抗体の配列の置換によりなされる場合もある(O結合型グリコシル化部位の場合)。
【0253】
抗体が、Fc領域を含む場合、これと接合した炭水化物は、変更されうる。哺乳動物細胞により産生される天然抗体は、典型的に、Fc領域のCH2ドメインのカバット番号付けに従う、Asn297と、一般に、N結合により接合した、分枝状の、二分岐オリゴ糖を含む。オリゴ糖は、多様な炭水化物、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、およびシアル酸のほか、二分岐オリゴ糖構造の「ステム」内の、GlcNAcと接合したフコースを含みうる。一部の実施形態では、本発明の抗体内の、オリゴ糖の修飾は、ある特定の、改善された特性を伴う、抗体の変異体を創出するためになされうる。
【0254】
一実施形態では、Fc領域と(直接的にまたは間接的に)接合したフコースを欠く糖鎖構造を有する、抗体の変異体が提供される。例えば、米国特許公開第2003/0157108号および同第2004/0093621号を参照されたい。「脱フコシル化」または「フコース欠損」抗体の変異体と関連する刊行物の例は、US2003/0157108;US2003/0115614;US2002/0164328;US2004/0093621;US2004/0132140;US2004/0110704;US2004/0110282;US2004/0109865;Okazakiら、J.Mol.Biol.336:1239~1249(2004);Yamane-Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87:614(2004)を含む。脱フコシル化抗体を作製することが可能な細胞株の例は、タンパク質のフコシル化が欠損する、Led 3 CHO細胞(Ripkaら、Arch.Biochem.Biophys.、249:533~545(1986);US2003/0157108)、およびアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子である、FUT8をノックアウトしたCHO細胞などのノックアウト細胞株(例えば、Yamane-Ohnukiら、Biotech.Bioeng.、87:614(2004);およびKandaら、Biotechnol.Bioeng.、94(4):680~688(2006)を参照されたい)を含む。
【0255】
修飾定常領域
本明細書で提示される抗SIRPA抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体のFcは、抗体Fcのアイソタイプおよび/または修飾である。一部の実施形態では、抗体Fcのアイソタイプおよび/または修飾は、Fcガンマ受容体への結合が可能である。
【0256】
例示的な、抗体Fcのアイソタイプおよび修飾を、下記の表2に提示する。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体に結合することが可能な、本開示の抗SIRPA抗体は、下記の表2に列挙されるFcアイソタイプを有する。
【0257】
表2に記載されたアイソタイプに加えて、かつ、理論に束縛されずに述べると、ヒトにおけるFcg受容体I、Fcg受容体IIA、Fcg受容体IIC、Fcg受容体IIIA、Fcg受容体IIIB、および/またはマウスにおけるFcg受容体I、Fcg受容体III、およびFcg受容体IVに結合する、ヒトIgG1アイソタイプまたはヒトIgG3アイソタイプ、およびこれらの突然変異体を伴う抗体(例えば、Strohl(2009)、Current Opinion in Biotechnology、2009、20:685~691)はまた、一過性のアゴニスト抗体としても作用しうることが考えられる。
【0258】
一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、IgGクラス、IgMクラス、またはIgAクラスの抗体である。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、またはIgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、Fc領域内の、任意の組合せにおける、C127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y(EU番号付けまたはカバット番号付けに従う残基位置)からなる群から選択される残基位置において、1つまたは複数の(例えば、1つもしくはこれを超えるか、2つもしくはこれを超えるか、3つもしくはこれを超えるか、4つもしくはこれを超えるか、5つもしくはこれを超えるか、6つもしくはこれを超えるか、7つもしくはこれを超えるか、8つもしくはこれを超えるか、9つもしくはこれを超えるか、10もしくはこれを超えるか、11もしくはこれを超えるか、12もしくはこれを超えるか、または13全ての)アミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430Gにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置L243A、L235A、およびP331Aにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置L243A、L235A、P331Aにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置K322AおよびE430Gにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置P331SおよびE430Gにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置A330S、P331S、およびE430Gにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置K322A、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置K322A、P331S、およびE430Gにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置A330S、P331S、およびE430Gにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置S267EおよびL328Fにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置C127Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E345R、E430GおよびS440Yにおけるアミノ酸置換を含む。
【0259】
ある特定の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、阻害型Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、V234A(Alegreら(1994)、Transplantation、57:1537~1543.31;Xuら(2000)、Cell Immunol、200:16~26)、G237A(Coleら(1999)、Transplantation、68:563~571)、H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armourら(1999)、Eur J Immunol、29:2613~2624;Armourら(2000)、The Haematology Journal 1(増刊1号):27)、C232S、および/またはC233S(Whiteら(2015)、Cancer Cell、27、138~148)、S267E、L328F(Chuら(2008)、Mol Immunol、45:3926~3933)、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。
【0260】
一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、C127Sアミノ酸置換を含有する、重鎖定常ドメインを伴う、IgG2アイソタイプを有し、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う(Whiteら(2015)、Cancer Cell、27、138~148;Lightleら(2010)、PROTEIN SCIENCE、19:753~762;およびWO2008079246)。
【0261】
一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、C214Sアミノ酸置換を含有する、カッパ軽鎖定常ドメインを伴う、IgG2アイソタイプを有し、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う(Whiteら(2015)、Cancer Cell、27、138~148;Lightleら(2010)、PROTEIN SCIENCE、19:753~762;およびWO2008079246)。
【0262】
ある特定の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、阻害型Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、N297A(Bolt Sら(1993)、Eur J Immunol、23:403~411)、D265A(Shieldsら(2001)、R.J.Biol.Chem.、276、6591~6604)、D270A、L234A、L235A(Hutchinsら(1995)、Proc Natl Acad Sci USA、92:11980~11984;Alegreら(1994)、Transplantation、57:1537~1543;Xuら(2000)、Cell Immunol、200:16~26)、G237A(Alegreら(1994)、Transplantation、57:1537~1543.31;Xuら(2000)、Cell Immunol、200:16~26)、P238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、A330R、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchernら(2007)、Blood、109:1185~1192)、P331S(Sazinskyら(2008)、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105:20167~20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、T256E、N297Q、P238S、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、および/またはT394Dから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。
【0263】
一部の実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプの重鎖定常ドメイン1(CH1)およびヒンジ領域を含む(Whiteら(2015)、Cancer Cell、27、138~148)。ある特定の実施形態では、IgG2アイソタイプのCH1領域およびヒンジ領域は、ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCP(配列番号58)のアミノ酸配列を含有する。一部の実施形態では、抗体のFc領域は、S267Eのアミノ酸置換、L328Fのアミノ酸置換、もしくはこれらの両方、および/またはN297AもしくはN297Qのアミノ酸置換を含有し、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。
【0264】
ある特定の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、阻害型Fc受容体に結合する。ある特定の実施形態では、阻害型Fc受容体は、阻害型Fcガンマ受容体IIB(FcγIIB)である。一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、L235A、G237A、S228P、L236E(Reddyら(2000)、J Immunol、164:1925~1933)、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。
【0265】
ある特定の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、ハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、Fcガンマ受容体結合性抗体は、ヒトIgG2の、EU番号付けまたはカバット番号付けに従う、アミノ酸118~260、およびヒトIgG4の、EU番号付けまたはカバット番号付けに従う、アミノ酸261~447(WO1997/11971;WO2007/106585)を含有するアミノ酸配列を含む。
【0266】
ある特定の実施形態では、抗体は、マウスIgG4定常領域を含有する(Bartholomaeusら(2014)、J.Immunol.、192、2091~2098)。
【0267】
一部の実施形態では、Fc領域は、EU番号付けまたはカバット番号付け;およびこれらの任意の組合せに従う、A330L、L234F;L235E、およびP331Sから選択される、1つまたは複数の、さらなるアミノ酸置換をさらに含有する。
【0268】
ある特定の実施形態では、抗体は、Fc領域内の、C127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、およびこれらの任意の組合せから選択される残基位置において、1つまたは複数のアミノ酸置換を含有し、この場合、残基の番号付けは、EU番号付けまたはカバット番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430G、L243A、L235A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430GおよびP331Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430GおよびK322Aにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430G、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430G、K322A、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430G、K322A、およびA330Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E430G、K322A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置S267EおよびL328Fにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置C127Sにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。一部の実施形態では、Fc領域は、位置E345R、E430GおよびS440Yにおけるアミノ酸置換を含有し、この場合、残基位置の番号付けは、EU番号付けに従う。
【0269】
一部の実施形態では、SIRPAタンパク質に結合する抗体は、SIRPAの細胞レベル(例えば、SIRPAの細胞表面レベル)を低減し、SIRPA、および/または1つもしくは複数のSIRPAリガンドの間の相互作用(例えば、結合)を阻害し、SIRPAタンパク質の、1つまたは複数の活性を阻害する抗体を含みうる。このような抗体は、SIRPAと、1つもしくは複数のSIRPAリガンドとの相互作用(例えば、結合)を防止するか、または1つもしくは複数のSIRPAリガンドの存在下で、SIRPAの細胞外ドメインから、細胞質へのシグナル伝達を防止することにより、SIRPAタンパク質の、1つまたは複数の活性を阻害する。抗体はまた、SIRPAの分解、SIRPAの脱感作、SIRPAの切断、SIRPAの内部移行、SIRPAの放出、SIRPAの発現の下方調節、および/またはリソソームによるSIRPAの分解を誘導することを介して、SIRPAの細胞表面レベルを低下させることにより、SIRPAタンパク質の、1つまたは複数の活性も阻害しうる。一部の実施形態では、このような抗SIRPA抗体は、SIRPAを、一過性に活性化させない場合がある。
【0270】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、本開示の、一過性アゴニストの、抗SIRPA抗体のエピトープ特異性を有しうるが、Fcg受容体に結合することが可能ではないFcドメインを有し、したがって、例えば、一過性にクラスター化し、SIRPAを活性化させることが不可能である。
【0271】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、限定せずに述べると、以下の活性:SIRPAタンパク質の、シアル酸含有糖脂質またはシアル酸含有糖タンパク質など、1つまたは複数のSIRPAリガンドへの結合を低下させる能力、サイトカインシグナル伝達(SOCS)タンパク質(例えば、SOCS3タンパク質)の抑制因子の、SIRPAタンパク質への結合を低下させる能力、プロテアソームによる、SIRPAタンパク質の分解を増大させる能力、循環する樹状細胞、マクロファージ、単球、T細胞、および/またはミクログリアの表面における、SIRPAの機能的発現を低減する能力、LCKおよびFYNなど、Srcファミリーのチロシンキナーゼによる、Tyr-340およびTyr-358のリン酸化を低下させる能力、チロシン特異性タンパク質ホスファターゼであるの動員およびこれへの結合を低下させる能力、SHP1およびSHP2、グアニンヌクレオチドとして作用するPLC-g1の動員およびこれへの結合を低下させる能力、ダイナミン1の交換因子、Crklの動員およびこれへの結合を低下させる能力、脾臓チロシンキナーゼであるSykの動員およびこれへの結合を低下させる能力、SH3-SH2-SH3である、成長因子受容体結合型タンパク質2(Grb2)の動員およびこれへの結合を低下させる能力、複数のSH2含有タンパク質の動員およびこれへの結合を低下させる能力、細胞内カルシウム移動を増大させる能力、炎症促進性サイトカインである、IL-1β、IL-8、およびTNF-αの産生をモジュレートする能力、ホスホイノシチド3キナーゼの活性化を低下させる能力、単球、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、および/またはミクログリアの増殖を増大させる能力、単球、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、および/またはミクログリアの生存を増大させる能力、複数の細胞性タンパク質上の、チロシンのリン酸化を増大させる能力、単球、マクロファージ、樹状細胞、および/またはミクログリアの貪食活性を増大させる能力、単球、マクロファージ、樹状細胞、T細胞、および/またはミクログリアの細胞増殖を増大させる能力、ITAMシグナル伝達を媒介するシグナル伝達分子のリン酸化を増大させる能力、パターン認識受容体の機能を増大させる能力、Toll様受容体の機能を増大させる能力、損傷関連分子パターン(DAMP)受容体の機能を増大させる能力、C-Cケモカイン受容体7(CCR7)の発現をモジュレートする能力、ならびに細胞破砕物およびタンパク質破砕物の除去を増大させる能力のうちの1つまたは複数を有する。
【0272】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、1つまたは複数のFcγ受容体への結合の低減を提示するFc領域を有する。このようなFc領域および修飾の例を、下記の表3に提示する。一部の実施形態では、抗体は、下記の表3に列挙されるFcアイソタイプを有する。
【0273】
一部の実施形態では、Fcガンマ受容体への結合が低減された、本開示の抗SIRPA抗体は、下記の表3に列挙されるFcアイソタイプを有する。
【0274】
ある特定の実施形態では、抗SIRPA抗体は、IgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含有する。
【0275】
一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、N297A、N297Q(Bolt Sら(1993)、Eur J Immunol、23:403~411)、D265A、D270A、L234A、L235A(McEarchernら(2007)、Blood、109:1185~1192)、C226S、C229S(McEarchernら(2007)、Blood、109:1185~1192)、P238S(Davisら(2007)、J Rheumatol、34:2204~2210)、E233P、L234V(McEarchernら(2007)、Blood、109:1185~1192)、P238A、A327Q、A327G、P329A(Shields RLら(2001)、J Biol Chem.、276(9):6591~604)、K322A、L234F、L235E(Hezarehら(2001)、J Virol、75、12161~12168;Oganesyanら(2008)、Acta Crystallographica、64、700~704)、P331S(Oganesyanら、(2008)Acta Crystallographica、64、700~704)、T394D(Wilkinsonら(2013)、MAbs、5(3):406~417)、A330L、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。ある特定の実施形態では、Fc領域は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う、グリシン236に対応する位置において、アミノ酸欠失をさらに含む。
【0276】
一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う、C220Sのアミノ酸置換を含有する、重鎖定常領域を伴うIgG1アイソタイプを有する。一部の実施形態では、Fc領域は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う、A330L、L234F;L235E、および/またはP331Sから選択される、1つまたは複数の、さらなるアミノ酸置換をさらに含有する。ある特定の実施形態では、抗SIRPA抗体は、IgG2アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、P238S、V234A、G237A、H268A、H268Q、H268E、V309L、N297A、N297Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う(Vafa O.ら(2014)、Methods、65:114~126)。
【0277】
ある特定の実施形態では、抗SIRPA抗体は、IgG4アイソタイプを有する。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。一部の実施形態では、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数の修飾を含有する。例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含有する。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A(Hutchinsら(1995)、Proc Natl Acad Sci USA、92:11980~11984)、S228P、L234A/F234A、L236E、S241P、L248E(Reddyら(2000)、J Immunol、164:1925~1933;Angalら(1993)、Mol Immunol.、30(1):105~8;US8614299B2;Vafa O.ら(2014)、Methods、65:114~126)、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、および/またはN297Qから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。一部の実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプを有し、残基228位における、S228Pのアミノ酸置換、残基234位における、F234Aのアミノ酸置換、および残基235位における、L235Aのアミノ酸置換(EU番号付けに従う残基位置)を含む。
【0278】
一部の実施形態では、Fc領域は、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択される、1つまたは複数の、さらなるアミノ酸置換をさらに含有し、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けまたはカバット番号付けの慣例に従う。
【0279】
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、修飾抗体のFcは、IgG1の修飾Fcである。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、1つまたは複数の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含む。一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、N297A(Bolt Sら(1993)、Eur J Immunol、23:403~411)、D265A(Shieldsら(2001)、R.J.Biol.Chem.、276、6591~6604)、L234A、L235A(Hutchinsら(1995)、Proc Natl Acad Sci USA、92:11980~11984;Alegreら(1994)、Transplantation、57:1537~1543;Xuら(2000)、Cell Immunol、200:16~26)、G237A(Alegreら(1994)、Transplantation、57:1537~1543;Xuら(2000)、Cell Immunol、200:16~26)、C226S、C229S、E233P、L234V、L234F、L235E(McEarchernら(2007)、Blood、109:1185~1192)、P331S(Sazinskyら(2008)、Proc Natl Acad Sci USA、2008、105:20167~20172)、S267E、L328F、A330L、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択され、この場合、アミノ酸位置は、EU番号付けの慣例に従う。
【0280】
IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、N297Aの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、D265AおよびN297Aの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、D270Aの突然変異を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、L234AおよびL235Aの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、L234AおよびG237Aの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、L234A、L235A、およびG237Aの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、P238D、L328E、E233、G237D、H268D、P271G、およびA330Rのうちの1つまたは複数(全てを含む)の突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、S267E/L328Fのうちの1つまたは複数の突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、P238D、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、およびA330Rの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、P238D、L328E、G237D、H268D、P271G、およびA330Rの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、P238D、S267E、L328E、E233D、G237D、H268D、P271G、およびA330Rの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、P238D、S267E、L328E、G237D、H268D、P271G、およびA330Rの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、C226S、C229S、E233P、L234V、およびL235Aの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、L234F、L235E、およびP331Sの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、S267EおよびL328Fの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、S267Eの突然変異を含む。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、IgG1の重鎖定常領域1(CH1)およびヒンジ領域の、カッパ軽鎖を伴う、IgG2のCH1およびヒンジ領域(EU番号付けに従う、IgG2のアミノ酸118~230)による置換を含む。
【0281】
IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、2つまたはこれを超えるアミノ酸置換を含まないFc領域を有する、対応する抗体と比較して、補体を活性化させずに、抗体のクラスター化を増大させる、2つまたはこれを超えるアミノ酸置換を含む。したがって、IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、Fc領域を含む抗体であり、この場合、抗体は、EU番号付けに従う、位置E430Gにおけるアミノ酸置換、ならびにFc領域内の、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331Sから選択される残基位置における、1つまたは複数のアミノ酸置換およびこれらの任意の組合せを含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、L243A、L235A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430GおよびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430GおよびK322Aにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、K322A、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、K322A、およびA330Sにおけるアミノ酸置換を含む。一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、K322A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。
【0282】
IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、本明細書におけるIgG1の修飾Fcは、補体活性化を消失させるように、EU番号付けの慣例に従う、A330Lの突然変異(Lazarら、Proc Natl Acad Sci USA、103:4005~4010(2006))、またはL234F、L235E、および/もしくはP331Sの突然変異のうちの1つまたは複数(Sazinskyら、Proc Natl Acad Sci USA、105:20167~20172(2008))、と組み合わされうる。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、A330L、A330S、L234F、L235E、および/またはP331Sのうちの1つまたは複数をさらに含みうる。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、ヒト血清中の、抗体の半減期を延長する、1つまたは複数の突然変異(例えば、EU番号付けの慣例に従う、M252Y、S254T、およびT256Eの突然変異のうちの、1つまたは複数(全てを含む))をさらに含みうる。IgG1の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG1の修飾Fcは、EU番号付けに従う、E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、および/またはS440Wのうちの1つまたは複数をさらに含みうる。
【0283】
本開示の、他の態様は、修飾定常領域(すなわち、Fc領域)を有する抗体に関する。標的受容体を活性化させるのに、FcgR受容体への結合に依存する抗体は、FcgRへの結合を消失させるように操作されると、そのアゴニスト活性を喪失しうる(例えば、Wilsonら、Cancer Cell、19:101~113(2011);Armourら、Immunology、40:585~593(2003);およびWhiteら、Cancer Cell、27:138~148(2015)を参照されたい)。このように、適正なエピトープ特異性を伴う、本開示の抗SIRPA抗体は、抗体が、ヒトIgG2アイソタイプに由来するFcドメイン(CH1領域およびヒンジ領域)、または阻害型0FcgRIIB受容体、もしくはこの変異体(variation)に優先的に結合することが可能な、別の種類のFcドメインを有する場合、有害作用を最小として、標的抗原を活性化させうることが考えられる。
【0284】
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、修飾抗体のFcは、IgG2の修飾Fcである。一部の実施形態では、IgG2の修飾Fcは、1つまたは複数の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、IgG2の修飾Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、EU番号付けの慣例に従う、V234A(Alegreら、Transplantation、57:1537~1543(1994);Xuら、Cell Immunol、200:16~26(2000));G237A(Coleら、Transplantation、68:563~571(1999));H268Q、V309L、A330S、P331S(US2007/0148167;Armourら、Eur J Immunol、29:2613~2624(1999);Armourら、Haematology Journal、1(増刊1号):27(2000))、C219S、および/またはC220S(Whiteら、Cancer Cell、27、138~148(2015));S267E、L328F(Chuら、Mol Immunol、45:3926~3933(2008));ならびにM252Y、S254T、および/またはT256Eから選択される。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置V234AおよびG237Aにおけるアミノ酸置換を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置C219SまたはC220Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置A330SおよびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置S267EおよびL328Fにおけるアミノ酸置換を含む。
【0285】
IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けの慣例に従う、C127Sのアミノ酸置換を含む(Whiteら(2015)、Cancer Cell、27、138~148;Lightleら、Protein Sci.、19:753~762(2010);およびWO2008/079246)。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、EU番号付けの慣例に従う、C214Sのアミノ酸置換を含む、カッパ軽鎖定常ドメインを伴うIgG2アイソタイプを有する(Whiteら、Cancer Cell、27:138~148(2015);Lightleら、Protein Sci.、19:753~762(2010);およびWO2008/079246)。
【0286】
IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けの慣例に従う、C220Sのアミノ酸置換を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、EU番号付けの慣例に従う、C214Sのアミノ酸置換を含む、カッパ軽鎖定常ドメインを伴うIgG2アイソタイプを有する。
【0287】
IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けの慣例に従う、C219Sのアミノ酸置換を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、EU番号付けの慣例に従う、C214Sのアミノ酸置換を含む、カッパ軽鎖定常ドメインを伴うIgG2アイソタイプを有する。
【0288】
IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、IgG2アイソタイプの重鎖定常ドメイン1(CH1)およびヒンジ領域を含む(Whiteら、Cancer Cell、27:138~148(2015))。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、IgG2アイソタイプのCH1領域およびヒンジ領域は、EU番号付けに従う、118~230のアミノ酸配列を含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体のFc領域は、EU番号付けの慣例に従う、S267Eのアミノ酸置換、L328Fのアミノ酸置換、もしくはこれらの両方、および/またはN297AもしくはN297Qのアミノ酸置換を含む。
【0289】
IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、E430S、E430F、E430T、E345K、E345Q、E345R、E345Y、S440Y、およびS440Wにおける、1つまたは複数のアミノ酸置換をさらに含む。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、ヒト血清中の、抗体の半減期を延長する、1つまたは複数の突然変異(例えば、EU番号付けの慣例に従う、M252Y、S254T、およびT256Eの突然変異のうちの、1つまたは複数(全てを含む))をさらに含みうる。IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、A330SおよびP331Sをさらに含みうる。
【0290】
IgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、IgG2/4ハイブリッドFcである。一部の実施形態では、IgG2/4ハイブリッドFcは、IgG2のアミノ酸118~260およびIgG4のアミノ酸261~447を含む。IgG2の、任意の修飾Fcについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置H268Q、V309L、A330S、およびP331Sにおける、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
【0291】
IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付け;およびこれらの任意の組合せに従う、A330L、L234F;L235E、またはP331Sから選択される、1つまたは複数の、さらなるアミノ酸置換を含む。
【0292】
IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、C127S、L234A、L234F、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、A330S、P331S、E345R、E430G、S440Y、およびこれらの任意の組合せから選択される残基位置における、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、L243A、L235A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430GおよびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430GおよびK322Aにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、K322A、A330S、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、K322A、およびA330Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、K322A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置S267EおよびL328Fにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置C127Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG1および/またはIgG2の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E345R、E430GおよびS440Yにおけるアミノ酸置換を含む。
【0293】
本明細書で提示される抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、修飾抗体のFcは、IgG4の修飾Fcである。一部の実施形態では、IgG4の修飾Fcは、1つまたは複数の修飾を含む。例えば、一部の実施形態では、IgG4の修飾Fcは、1つまたは複数のアミノ酸置換(例えば、同じアイソタイプの、野生型Fc領域と比べた)を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸置換は、EU番号付けの慣例に従う、L235A、G237A、S229P、L236E(Reddyら、J Immunol、164:1925~1933(2000))、S267E、E318A、L328F、M252Y、S254T、および/またはT256Eから選択される。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けの慣例に従う、L235A、G237A、およびE318Aをさらに含みうる。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けの慣例に従う、S228PおよびL235Eをさらに含みうる。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG4の修飾Fcは、EU番号付けの慣例に従う、S267EおよびL328Fをさらに含みうる。
【0294】
IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG4の修飾Fcは、抗体の安定化を増強するように、EU番号付けの慣例に従う、S228Pの突然変異(Angalら、Mol Immunol.、30:105~108(1993))、および/または(Petersら、J Biol Chem.、287(29):24525~33(2012))において記載されている、1つもしくは複数の突然変異と組み合わされうる。
【0295】
IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、IgG4の修飾Fcは、ヒト血清中の、抗体の半減期を延長する、1つまたは複数の突然変異(例えば、EU番号付けの慣例に従う、M252Y、S254T、およびT256Eの突然変異のうちの、1つまたは複数(全てを含む))をさらに含みうる。
【0296】
IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、L235Eを含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、ある特定の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、C127S、F234A、L235A、L235E、S267E、K322A、L328F、E345R、E430G、S440Y、およびこれらの任意の組合せから選択される残基位置における、1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430G、L243A、L235A、およびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430GおよびP331Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430GおよびK322Aにおけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E430におけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fc領域は、EU番号付けに従う、位置E430GおよびK322Aにおけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置S267EおよびL328Fにおけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置C127Sにおけるアミノ酸置換を含む。IgG4の修飾Fcのうちのいずれかについての、一部の実施形態では、Fcは、EU番号付けに従う、位置E345R、E430GおよびS440Yにおけるアミノ酸置換を含む。
【0297】
他の抗体の改変
抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、抗体は、誘導体である。「誘導体」という用語は、アミノ酸(または核酸)の、挿入、欠失、または置換以外の化学修飾を含む分子を指す。ある特定の実施形態では、誘導体は、ポリマー、脂質、または他の有機部分もしくは無機部分との化学結合を含むがこれらに限定されない、共有結合的修飾を含む。ある特定の実施形態では、化学修飾された抗原結合性タンパク質は、化学修飾されていない、抗原結合性タンパク質より長い、循環半減期を有しうる。ある特定の実施形態では、化学修飾された抗原結合性タンパク質は、所望の細胞、組織、および/または臓器に対する、ターゲティング能の改善を有しうる。一部の実施形態では、誘導体の抗原結合性タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の水溶性ポリマーの接合を含むように共有結合的に修飾される。例えば、米国特許第4640835号、同第4496689号、同第4301144号、同第4670417号、同第4791192号、および同第4179337号を参照されたい。ある特定の実施形態では、誘導体の抗原結合性タンパク質は、モノメトキシポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ-1、3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/マレイン酸無水物共重合体、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマー)、ポリ(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリ酸化プロピレン/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、およびポリビニルアルコールのほか、このようなポリマーの混合物を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数のポリマーを含む。
【0298】
ある特定の実施形態では、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有結合的に修飾される。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の水溶型ポリマーは、1つまたは複数の特異的な位置、例えば、誘導体のアミノ末端において結合している。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の水溶型ポリマーは、誘導体の、1つまたは複数の側鎖へと、ランダムに接合している。ある特定の実施形態では、PEGは、抗原結合性タンパク質について、治療能力を改善するのに使用される。ある特定の実施形態では、PEGは、ヒト化抗体について、治療能力を改善するのに使用される。ある特定のこのような方法については、例えば、参照により任意の目的で本明細書に組み込まれる、米国特許第6133426号において論じられている。
【0299】
医薬業界では、ペプチドアナログは、一般に、鋳型ペプチドの特性と類似する特性を伴う、非ペプチド薬物として使用される。これらの種類の、非ペプチド化合物は、「ペプチド模倣物(peptide mimetics)」または「ペプチド模倣物(peptidomimetics)」と称される。参照により任意の目的で本明細書に組み込まれる、Fauchere、J.Adv.Drug Res.、15:29(1986);およびEvansら、J.Med.Chem.、30:1229(1987)。このような化合物は、コンピュータ化された分子モデル化を一助として開発されることが多い。治療的に有用なペプチドと、構造的に類似するペプチド模倣物は、同様の治療効果または予防効果をもたらすのに使用されうる。一般に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体などのパラダイムポリペプチド(すなわち、生化学特性または薬理活性を有するポリペプチド)と、構造的に類似するが、任意選択で、当技術分野で周知の方法により、-CHNH-、-CHS-、-CH-CH-、-CH=CH-(cisおよびtrans)、-COCH-、-CH(OH)CH-、および-CHSO-、から選択される結合で置きかえられた、1つまたは複数のペプチド結合を有する。ある特定の実施形態では、より安定なペプチドを作出するのに、コンセンサス配列の、1つまたは複数のアミノ酸の、同じ種類のD-アミノ酸(例えば、L-リジンの代わりに、D-リジン)による、体系的置換が使用されうる。加えて、コンセンサス配列、または実質的に同一なコンセンサス配列による変動を含む、拘束ペプチドは、当技術分野で公知の方法(参照により任意の目的で本明細書に組み込まれる、RizoおよびGierasch、Ann.Rev.Biochem.、61:387(1992))により;例えば、ペプチドを環化させる、分子内ジスルフィド架橋を形成することが可能な、内部システイン残基を付加することにより作出されうる。
【0300】
薬物コンジュゲーションは、生物学的に活性の、細胞傷害性(抗がん)ペイロードまたは薬物の、ある特定の腫瘍マーカー(例えば、理想的には、腫瘍細胞内または腫瘍細胞上だけで見出されるポリペプチド)を特異的にターゲティングする抗体へのカップリングを伴う。抗体は、体内で、これらのタンパク質を追跡し、自身を、がん細胞の表面へと接合させる。抗体と、標的タンパク質(抗原)との生化学反応は、腫瘍細胞内で、シグナルを誘発し、次いで、腫瘍細胞は、抗体を、細胞毒素と併せて、吸収または内部化する。ADCが内部化された後、細胞傷害性薬物が放出され、がんを死滅させる。このターゲティングのために、理想的に、薬物は、低度の副作用を有し、他の化学療法剤より広範な治療域をもたらす。抗体をコンジュゲートする技法については、開示されており、当技術分野でも公知である(例えば、Jane de Lartigue、OncLive、2012年7月5日;「ADC Review on antibody-drug conjugates」;およびDucryら、Bioconjugate Chemistry、21(1):5~13(2010)を参照されたい)。
【0301】
抗体のフレームワーク
本明細書で記載される、抗SIRPA抗体のうちのいずれかは、フレームワーク(FR)をさらに含む。一部の実施形態では、フレームワークは、ヒト免疫グロブリンフレームワークである。例えば、一部の実施形態では、抗体(例えば、抗SIRPA抗体)は、上記の実施形態のうちのいずれかにおけるようなHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。ヒト免疫グロブリンフレームワークがヒト抗体の一部である場合もあり、1つまたは複数の内因性のフレームワークを、ヒトフレームワーク領域(複数可)で置きかえることにより、非ヒト抗体がヒト化される場合もある。ヒト化のために使用されうるヒトフレームワーク領域は、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Simsら、J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);軽鎖可変領域または重鎖可変領域の、特定の亜群の、ヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285(1992);およびPrestaら、J.Immunol.、151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、AlmagroおよびFransson、Front.Biosci.、13:1619~1633(2008)を参照されたい);およびFRライブラリーのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Bacaら、J.Biol.Chem.、272:10678~10684(1997)、およびRosokら、J.Biol.Chem.、271:22611~22618(1996)を参照されたい)を含むがこれらに限定されない。
【0302】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、VH FR1、VH FR2、VH FR3、およびVH FR4(表9に示される)から選択される、1つまたは複数の(例えば、1つもしくはこれを超えるか、2つもしくはこれを超えるか、3つもしくはこれを超えるか、または4つ全ての)フレームワーク領域を含む、重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む、VH FR1を含む、重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含む、VH FR2を含む、重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号27のアミノ酸配列を含む、VH FR3を含む、重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を含む、VH FR4を含む、重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH FR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH FR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR3、および配列番号28のアミノ酸配列を含むVH FR4を含む、重鎖可変領域を含む。
【0303】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、抗SIRPA抗体である、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25の、VH FR1、VH FR2、VH FR3、およびVH FR4を含む、重鎖可変領域を含む。
【0304】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、VL FR1、VL FR2、VL FR3、およびVL FR4(表9に示される)から選択される、1つまたは複数の(例えば、1つもしくはこれを超えるか、2つもしくはこれを超えるか、3つもしくはこれを超えるか、または4つ全ての)フレームワーク領域を含む、軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含む、VL FR1を含む、軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を含む、VL FR2を含む、軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む、VL FR3を含む、軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を含む、VL FR4を含む、軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL FR1、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL FR2、配列番号31のアミノ酸配列を含むVL FR3、および配列番号32のアミノ酸配列を含むVL FR4を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0305】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、抗SIRPA抗体である、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25の、VL FR1、VL FR2、VL FR3、およびVL FR4を含む、軽鎖可変領域を含む。
【0306】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含むVH FR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むVH FR2、配列番号27のアミノ酸配列を含むVH FR3、および配列番号28のアミノ酸配列を含むVH FR4を含む重鎖可変領域と、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL FR1、配列番号30のアミノ酸配列を含むVL FR2、配列番号31のアミノ酸配列を含むVL FR3、および配列番号32のアミノ酸配列を含むVL FR4を含む軽鎖可変領域とを含む。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、抗体である、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25の、VH FR1、VH FR2、VH FR3、およびVH FR4を含む重鎖可変領域と、抗体である、3F9-1、3F9-2、3F9-3、3F9-4、3F9-5、3F9-6、3F9-7、3F9-8、3F9-9、3F9-10、3F9-11、3F9-12、3F9-13、3F9-14、3F9-15、3F9-16、3F9-17、3F9-18、3F9-19、3F9-20、3F9-21、3F9-22、3F9-23、3F9-24、または3F9-25の、VL FR1、VL FR2、VL FR3、およびVL FR4を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0307】
一部の実施形態では、本発明は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号47のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗SIRPA抗体を提供する。
【0308】
一部の実施形態では、本発明は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号48のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗SIRPA抗体を提供する。
【0309】
一部の実施形態では、本発明は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号49のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗SIRPA抗体を提供する。
【0310】
一部の実施形態では、本発明は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号51のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗SIRPA抗体を提供する。
【0311】
一部の実施形態では、本発明は、重鎖および軽鎖を含み、重鎖が、配列番号52のアミノ酸配列を含み、軽鎖が、配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗SIRPA抗体を提供する。
【0312】
核酸、ベクター、および宿主細胞
本開示の抗SIRPA抗体は、例えば、米国特許第4816567号において記載されている、組換え法および組成物を使用して作製されうる。一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体のうちのいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する単離された核酸が提供される。このような核酸は、抗SIRPA抗体(例えば、抗体の軽鎖および/または重鎖)の、Vを含むアミノ酸配列、および/またはVを含むアミノ酸配列をコードしうる。一部の実施形態では、このような核酸を含む、1つまたは複数のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。一部の実施形態では、このような核酸を含む宿主細胞もまた提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、(1)抗体のVを含むアミノ酸配列、および抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、または(2)抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む、第1のベクター、および抗体のVを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む、第2のベクターを含む(例えば、これらが形質導入される)。一部の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。本開示の宿主細胞はまた、限定せずに述べると、単離細胞、in vitroにおける培養細胞、およびエクスビボにおける培養細胞も含む。
【0313】
本開示の抗SIRPA抗体を作る方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、抗SIRPA抗体をコードする核酸を含む、本開示の宿主細胞を、抗体の発現に適する条件下で培養することを含む。一部の実施形態では、抗体は、その後、宿主細胞(または宿主細胞培地)から回収される。
【0314】
本開示の抗SIRPA抗体の組換え作製のために、抗SIRPA抗体をコードする核酸が単離され、さらなるクローニングおよび/または宿主細胞内の発現のために、1つまたは複数のベクターへと挿入される。このような核酸は、常套的な手順を使用して(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)、たやすく単離およびシーケンシングされうる。
【0315】
本明細書で記載される、本開示の抗SIRPA抗体、またはその細胞表面発現断片もしくはポリペプチド(抗体を含む)のうちのいずれかをコードする核酸配列を含む、適切なベクターは、限定せずに述べると、クローニングベクターおよび発現ベクターを含む。適切なクローニングベクターは、標準的な技法に従い構築される場合もあり、当技術分野で利用可能な、多数のクローニングベクターから選択される場合もある。選択されるクローニングベクターは、使用されることが意図される宿主細胞に従い変動しうるが、有用クローニングベクターは、一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼのための、単一の標的を所有することが可能であり、かつ/またはベクターを含むクローンの選択において使用されうるマーカーのための遺伝子を保有しうる。適切な例は、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)、およびこれらの誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3およびpAT28などのシャトルベクターを含む。これらのクローニングベクター、および他の多くのクローニングベクターは、BioRad、Strategene、およびInvitrogenなどの販売元から市販されている。
【0316】
抗体をコードするベクターのクローニングまたは発現に適する宿主細胞は、原核細胞または真核細胞を含む。例えば、本開示の抗SIRPA抗体は、特に、グリコシル化およびFcのエフェクター機能が必要とされない場合は、細菌内で作製されうる。細菌内の、抗体断片およびポリペプチドの発現については(例えば、米国特許第5648237号、同第5789199号、および同第5840523号。発現の後で、抗体は、可溶型画分中の、細菌細胞ペーストから単離され、さらに精製されうる。
【0317】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物であって、それらのグリコシル化経路が「ヒト化」されている結果として、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを伴う抗体の作製をもたらす、真菌株および酵母株を含む真核微生物もまた、抗体をコードするベクターに適する、クローニングまたは発現の宿主である(例えば、Gerngross、Nat.Biotech.、22:1409~1414(2004);およびLiら、Nat.Biotech.、24:210~215(2006))。
【0318】
グリコシル化抗体の発現に適する宿主細胞はまた、多細胞生物(無脊椎動物および脊椎動物)にも由来しうる。無脊椎動物細胞の例は、植物細胞および昆虫細胞を含む。特に、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのための昆虫細胞と共に使用されうる、多数のバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物もまた、宿主として利用されうる(例えば、トランスジェニック植物内で、抗体を作製するための、PLANTIBODIES(商標)技術について記載する、米国特許第5959177号、同第6040498号、同第6420548号、同第7125978号、および同第6417429号)。
【0319】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用されうる。例えば、懸濁液中で増殖するように適応された、哺乳動物細胞株も、有用でありうる。有用な哺乳動物宿主細胞株の、他の例は、SV40(COS-7)により形質転換された、サル腎臓CV1細胞株;ヒト胎児腎臓細胞株(例えば、Grahamら、J.Gen Virol.、36:59(1977)において記載されている、293または293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather、Biol.Reprod.、23:243~251(1980)において記載されている、TM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳房腫瘍(MMT 060562);例えば、Matherら、Annals N.Y.Acad.Sci.、383:44~68(1982)において記載されている、TRI細胞;MRC5細胞;およびFS4細胞である。他の有用な、哺乳動物宿主細胞株は、DHFR- CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaubら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216(1980));ならびにY0、NS0およびSp2/0などの骨髄腫細胞株を含む。抗体の作製に適する、ある特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えば、YazakiおよびWu、「Methods in Molecular Biology」、248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、Totowa、NJ)、255~268頁(2003)を参照されたい。
【0320】
薬学的組成物/製剤
本明細書では、本開示の抗SIRPA抗体と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物および/または薬学的製剤が提示される。
【0321】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、好ましくは、利用される投与量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。本明細書で記載される抗体は、固体形態、半固体形態、液体形態、または気体形態にある調製物へと製剤化されうる。このような製剤の例は、限定せずに述べると、錠剤、カプセル、粉剤、顆粒剤、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフェア、およびエアゾールを含む。薬学的に許容される担体は、製剤化に応じて、動物またはヒトへの投与のための薬学的組成物を製剤化するのに、一般に使用されるビヒクルである希釈剤による、所望の、薬学的に許容され、非毒性である担体を含みうる。ある特定の実施形態では、薬学的組成物は、例えば、組成物の、pH、オスモル濃度、粘度、透明性、色、等張性、匂い、無菌状態、安定性、溶解もしくは放出の速度、吸着または浸透を、修飾、維持、または保存するための、製剤材料を含みうる。
【0322】
ある特定の実施形態では、薬学的に許容される担体は、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、またはリジンなど);抗微生物剤;抗酸化剤(など、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム);バッファー(ボレート、バイカーボネート、トリス-HCl、シトレート、ホスフェート、または他の有機酸など);増量剤(マンニトールまたはグリシンなど);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、ベータ-シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリンなど);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンなど);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど);着色剤、芳香剤、および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウムなど);保存剤(ベンザルコニウムクロライド、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素など);溶媒(グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなど);糖アルコール(マンニトールまたはソルビトールなど);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニクス、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサポールなど);安定性増強剤(スクロースまたはソルビトールなど);等張性増強剤(アルカリ金属のハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マンニトール、ソルビトールなど);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または医薬アジュバントを含むがこれらに限定されない。多様な種類の投与に適する製剤の、さらなる例は、「The Remington:Science and Practice of Pharmacy」、Pharmaceutical Press 22版(2013)において見出されうる。薬物送達のための方法の簡潔な総説については、Langer、Science、249:1527~1533(1990)を参照されたい。
【0323】
非経口投与に適する製剤は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および製剤を、意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含みうる、水性および非水性の、等張の滅菌注射溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および保存剤を含みうる、水性および非水性の滅菌懸濁液を含む。
【0324】
製剤は、脳または中枢神経系における、保持および安定化のために、最適化されうる。薬剤が、頭蓋内区画へと投与される場合、薬剤は、この区画内に保持されたことが所望され、拡散されたり、他の形で血液脳関門を越えたりしないことが所望される。安定化法は、分子量の増大を達成するための、架橋、マルチマー化、またはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミドなどの基、中性タンパク質担体への連結などを含む。
【0325】
保持を増大させるための、他の戦略は、生分解性または生体内分解性のインプラント内の、本開示の抗SIRPA抗体などの抗体の封入を含む。治療的に活性な薬剤の放出速度は、ポリマーマトリックスを通した輸送速度、およびインプラントの生分解により制御される。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラーク、線維、マイクロカプセルなどであることが可能であり、選択された挿入部位と適合性である、任意のサイズまたは形状でありうる。利用されうる、生分解性ポリマー組成物は、分解されると、モノマーを含む、生理学的に許容される分解産物を結果としてもたらす、有機エステルまたは有機エーテルでありうる。無水物、アミド、オルトエステルなどは、それら自身で使用される場合もあり、他のモノマーと組み合わせて使用される場合もある。ポリマーは、縮合ポリマーとなるであろう。ポリマーは、架橋される場合もあり、架橋されない場合もある。特に目的のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーである、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、および多糖である。目的のポリエステルの中には、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトンのポリマー、およびこれらの組合せが含まれる。目的の多糖の中には、アルギン酸カルシウム、および機能化セルロース、特に、水中で不溶性であること、約5kD~500kDの分子量などにより特徴づけられる、カルボキシメチルセルロースエステルがある。生分解性ハイドロゲルもまた、対象発明のインプラント内で利用されうる。ハイドロゲルとは、典型的に、液体を吸収する能力により特徴づけられる、共重合体材料である。
【0326】
治療的使用
本明細書で開示される通り、本開示の抗SIRPA抗体は、疾患および障害を防止するか、この危険性を低減するか、またはこれを処置するために使用されうる。
【0327】
本発明の一態様では、SIRPAを下方調節する薬剤、例えば、抗SIRPA抗体が、治療剤として使用される。このような薬剤は、対象における、SIRPAの発現、活性、および/またはシグナル伝達と関連する、疾患または病理を処置し、緩和し、かつ/または防止するように投与される。治療レジメンは、標準法を使用して、SIRPAの発現、活性、および/またはシグナル伝達と関連する疾患または障害、例えば、がんまたは他の腫瘍性障害を患う(またはこれらを発症する危険性がある)対象、例えば、ヒト患者を同定することにより実行される。一部の実施形態では、SIRPAの発現、活性、および/またはシグナル伝達と関連する病理を有する細胞は、SIRPAリガンド、例えば、CD47を発現させる。一部の実施形態では、SIRPAの発現、活性、および/またはシグナル伝達と関連する病理を有する細胞は、SIRPAを発現させる。
【0328】
下記でさらに詳述される通り、SIRPAを下方調節する薬剤、例えば、抗SIRPA抗体は、SIRPAの発現、活性、またはシグナル伝達と関連する、疾患または病理を処置するのに使用される、さらなる治療剤と組み合わせて使用されうる。本開示では、「組み合わせて」および「併用して」という用語は、互換的に使用される。抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される、さらなる治療剤は、SIRPAを下方調節する薬剤、例えば、抗SIRPA抗体の前に投与される場合もあり、この後で投与される場合もあり、これと共時的に投与される場合もある。
【0329】
本開示の一態様では、例えば、細胞表面上のSIRPAの発現を低下させるが、リガンド、例えば、SIRPAへのCD47の結合を実質的に遮断しない抗SIRPA抗体を含む、抗SIRPA抗体調製物が、ヒト対象へと投与される。抗体の投与は、リガンドへの結合、例えば、CD47への結合により媒介される、SIRPAの発現、活性、および/またはシグナル伝達機能を失効化させうるか、または阻害しうるか、またはこれらに干渉しうる。
【0330】
一実施形態では、SIRPAの発現と関連する、疾患または障害は、がんである。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、SIRPAを発現させる骨髄細胞の、血液増殖性疾患などのがんを有する患者へと投与される。典型的な実施形態では、抗SIRPA抗体は、CD47を発現させるがんを有する患者へと投与される。
【0331】
ある特定の実施形態では、本開示の方法により防止または処置されるがんは、限定せずに述べると、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)(例えば、扁平上皮癌(epithelial squamous cell carcinoma))、肺がん、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)、肺腺癌、肺扁平上皮癌、非扁平上皮NSCLC、神経膠腫、腹膜がん、肝細胞がん、胃腸がん、胃腸がんおよび胃腸間質がんを含む胃(gastricまたはstomach)がん、腎がん(例えば、明細胞癌)、卵巣がん、肝がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん(例えば、腎細胞癌(RCC))、前立腺がん(例えば、ホルモン不応性前立腺腺癌)、甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん、膠芽細胞腫(多形神経膠芽腫)、子宮頸がん、胃がん、膀胱がん、肝がん、乳がん、結腸癌、および頭頸部がん(または癌)、胃がん、生殖細胞腫瘍、小児科肉腫、副鼻腔ナチュラルキラー細胞リンパ腫、メラノーマ(例えば、皮膚悪性メラノーマまたは眼内悪性メラノーマなどの転移性悪性メラノーマ)、骨がん、皮膚がん、子宮がん、肛門領域がん、精巣がん、ファローピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん、副甲状腺がん、副腎がん、軟組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、小児固形腫瘍、尿管がん、腎盂癌、中枢神経系(central nervous system)(中枢神経系(CNS))腫瘍、原発中枢神経系リンパ腫、骨髄異形成症候群、結腸直腸新生物、固形腫瘍、腫瘍血管新生、脊椎腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮がん、扁平上皮がん、T細胞リンパ腫、アスベストにより誘導されたがんを含む、環境誘導性がん、ウイルス関連がん(例えば、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)関連腫瘍)、ならびに全ての種類の白血病、リンパ腫、および骨髄腫など、2つの主要な血液細胞系統、すなわち、骨髄系細胞株(顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージ、およびマスト細胞を産生する)、またはリンパ系細胞株(B細胞、T細胞、NK細胞、および形質細胞を産生する)に由来する血液腫瘍、例えば、急性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、および慢性骨髄性白血病(CML)、未分化AML(M0)、骨髄芽球性白血病(M1)、骨髄芽球性白血病(M2;細胞の成熟を伴う)、前骨髄球性白血病(M3またはM3変異型[M3V])、骨髄単球性白血病(M4または好酸球増加症を伴うM4変異型[M4E])、単球性白血病(M5)、赤白血病(M6)、巨核芽球性白血病(M7)、孤発性顆粒球性肉腫、および緑色腫などの、急性白血病、慢性白血病、リンパ性白血病、および/または骨髄性白血病;ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、無痛性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、B細胞血液腫瘍、例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、単球性B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ系組織(MALT)リンパ腫、未分化(例えば、Ki 1+)大細胞型リンパ腫、成人T細胞リンパ腫/白血病、マントル細胞リンパ腫、血管免疫芽球性(angio immunoblastic)T細胞リンパ腫、血管中心性リンパ腫、腸管T細胞リンパ腫、縦隔原発B細胞性リンパ腫、前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫、Tリンパ芽球性などのリンパ腫;ならびにリンパ腫/白血病(T-Lbly/T-ALL)、末梢性T細胞リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、移植後リンパ増殖性疾患、真性組織球性リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫、原発滲出性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫(LBL)、リンパ系統造血系腫瘍、急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(原発難治性であるか、リツキシマブ不応性であるか、リツキシマブ/CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン)に対して不応性であるDLBCL患者、再発性もしくは難治性(R/R)DLBCL患者、および/またはCAR-T不適格性DLBCL患者を含む)、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性組織球性リンパ腫(DHL)、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫(CTLC)(また、菌状息肉症またはセザリー症候群とも呼ばれる)、およびヴァルデンストレームマクログロブリン血症を伴うリンパ形質細胞性リンパ腫(LPL);骨髄腫、例えば、IgG骨髄腫、軽鎖骨髄腫、非分泌性骨髄腫、くすぶり型骨髄腫(また、無痛性骨髄腫とも呼ばれる)、孤立性形質細胞腫、および多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、毛様細胞リンパ腫;骨髄系統の造血系腫瘍、線維肉腫および横紋筋肉腫を含む、間葉由来の腫瘍;精上皮腫、奇形癌、星状細胞腫、神経鞘腫を含む、中枢神経腫瘍および末梢神経腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫を含む、間葉由来の腫瘍;ならびにメラノーマ、色素性乾皮症、ケラトアカントーマ、精上皮腫、甲状腺濾胞がん、および奇形癌、リンパ系統の造血系腫瘍、例えば、小細胞および脳状細胞型を含む、T前リンパ球性白血病(T-PLL)などのT細胞障害を含むがこれらに限定されない、T細胞腫瘍およびB細胞腫瘍を含む、他の腫瘍;好ましくは、T細胞型の、大顆粒リンパ球性白血病(LGL);成人T細胞型NHL肝脾(heptasyllabic)リンパ腫;末梢性/成熟T細胞リンパ腫(多形性亜型および免疫芽球性亜型);血管中心性(鼻型)T細胞リンパ腫;頭頸部がん、腎がん、直腸がん、甲状腺がん;急性骨髄性リンパ腫のほか、前記がんの、任意の組合せを含む。本開示の抗SIRPA抗体もまた、転移性がんを処置するのに使用されうる。
【0332】
一部の実施形態では、がんは、肉腫、膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、腎盂がん、白血病、肺がん、メラノーマ、リンパ腫、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、および線維肉腫から選択される。一部の実施形態では、がんは、トリプルネガティブ乳癌である。一部の実施形態では、がんは、早期がんの場合もあり、後期がんの場合もある。一部の実施形態では、がんは、原発腫瘍でありうる。一部の実施形態では、がんは、上記の種類のがんのうちのいずれかに由来する、第2の部位における転移性腫瘍でありうる。
【0333】
一部の実施形態では、がんは、多形神経膠芽腫;腎明細胞癌;副腎皮質癌;膀胱尿路上皮癌;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;肺腺癌;膵腺癌、腎細胞がん、非ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、浸潤性乳癌、子宮頸部扁平上皮癌、子宮頸部腺癌、胆管癌、結腸腺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道癌、頭頸部扁平上皮癌、腎嫌色素細胞、腎乳頭細胞癌、低悪性度神経膠腫、肝細胞癌、肺扁平上皮癌、中皮腫、卵巣漿液性嚢胞腺癌、膵腺癌、クロム親和性細胞腫および傍神経節腫、前立腺腺癌、直腸腺癌、皮膚黒色腫、胃腺癌、精巣生殖細胞腫瘍、甲状腺癌、胸腺腫、子宮体内膜癌、子宮癌肉腫、ならびにブドウ膜メラノーマから選択される。
【0334】
一部の実施形態では、本開示は、個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することにより、がんを防止するか、この危険性を低減するか、またはチェックポイント阻害剤療法に対して難治性である、これを有する個体を処置する方法を提示する。
【0335】
一部の実施形態では、本開示は、個体に、治療的有効量の本開示の抗SIRPA抗体を投与することにより、がんを防止するか、この危険性を低減するか、またはこれを有する個体を処置する方法を提示する。
【0336】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、チェックポイント阻害剤として作用する治療剤と共に投与されうる。一部の実施形態では、方法は、個体に、阻害性免疫チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体、および/または別の標準的な抗がん治療もしくは治験中の抗がん治療を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子は、PD1、PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、CTLA4、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、およびCD73から選択される。典型的な実施形態では、治療剤は、PD1(D1)、PDL1、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-1BB、CD27、GITR、CTLA4、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、LIGHT、BTLA、CD30、TIGIT、VISTA、KIR、GAL9、TIM1、TIM3、TIM4、A2AR、LAG3、DR-5、CD2、CD5、CD39、またはCD73から選択されるチェックポイント阻害剤に対する抗体である。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、本開示の抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤に対して方向付けられた抗体の組合せは、本発明の抗SIRPA抗体と共に投与される。
【0337】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体、例えば、アゴニストの抗CD40抗体、アゴニストの抗OX40抗体、アゴニストの抗ICOS抗体、アゴニストの抗CD28抗体、アゴニスト性抗TREM1抗体、アゴニスト性抗TREM2抗体、アゴニストの抗CD137/4-1BB抗体、アゴニストの抗CD27抗体、アゴニストの抗グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR抗体、アゴニストの抗CD30抗体、アゴニストの抗BTLA抗体、アゴニストの抗HVEM抗体、アゴニストの抗CD2抗体、アゴニストの抗CD5抗体、およびこれらの任意の組合せと共に投与されうる。
【0338】
一部の実施形態では、方法は、個体に、阻害性免疫チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体、および/または別の標準的な抗がん治療もしくは治験中の抗がん治療を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、本開示の抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、阻害性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗PD-L1抗体、抗CTLA4抗体、抗PD-L2抗体、抗PD-1抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、および抗HVEM抗体、抗BTLA(B- and T-lymphocyte attenuator)抗体、抗KIR(Killer inhibitory receptor)抗体、抗GAL9抗体、抗TIM3抗体、抗A2AR抗体、抗LAG-3抗体、抗ホスファチジルセリン抗体、抗CD27抗体、ならびにこれらの任意の組合せから選択される。一部の実施形態では、標準的な抗がん治療または治験中の抗がん治療は、放射線療法、細胞傷害性化学療法、ターゲティング療法、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、養子細胞移入(ACT)、キメラ抗原受容体T細胞移入(CAR-T)、ワクチン療法、およびサイトカイン療法から選択される、1つまたは複数の治療である。一部の実施形態では、方法は、個体に、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、本開示の抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体は、抗CCL2抗体、抗CSF-1抗体、抗IL-2抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0339】
一部の実施形態では、方法は、個体に、刺激性免疫チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体は、本開示の抗SIRPA抗体と組み合わせて投与される。一部の実施形態では、刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト性抗体は、アゴニストの抗CD40抗体、アゴニストの抗OX40抗体、アゴニストの抗ICOS抗体、アゴニストの抗CD28抗体、アゴニストの抗CD137/4-1BB抗体、アゴニストの抗CD27抗体、アゴニストの抗グルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITR抗体、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0340】
一部の実施形態では、本発明の抗SIRPA抗体は、放射線療法および/または化学療法剤と組み合わせて投与される。化学療法剤は、例えば、以下の群:ピリミジンアナログ(5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、およびシタラビン)およびプリンアナログ、葉酸アンタゴニストおよび類縁の阻害剤(メトトレキセート、ペメトレキセド、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン、および2-クロロデオキシアデノシン(クラドリビン))などの代謝拮抗剤/抗がん剤;ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)などの天然生成物、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロン、エリブリン、およびナベルビンなどの微小管撹乱剤を含む抗増殖剤/抗有糸分裂剤;エピジポドフィロトキシン(エトポシド、テニポシド);DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミン、オキサリプラチン(hexamethylmelamineoxaliplatin)、イホスファミド、メルファラン、メルクロレタミン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソウレア、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テモゾロミド(temozolamide)、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミド、およびエトポシド(VP 16));DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(アザシチジン);ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシンなどの抗生剤;酵素(L-アスパラギンを、全身的に代謝し、それら自身のアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を欠乏させる、L-アスパラギナーゼ);抗血小板剤;ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミド、およびアナログである、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル(ブスルファン)、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)、およびアナログである、ストレプトゾシン)、トリアゼン(ダカルバジン(DTIC))などの抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤;葉酸アナログ(メトトレキセート)などの抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗剤;白金配位錯体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、アミノグルテチミド;ホルモン、ホルモンアナログ(エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド)、およびアロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾ-ル);抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩、および他のトロンビン阻害剤);線溶剤(組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼなど)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;抗遊走剤;抗分泌剤(ブレフェルディン);免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);抗血管新生化合物(TNP470、ゲニステイン、ポマリドミド)および増殖因子阻害剤(ziv-アフリベルセプトなどの血管内皮増殖因子(VEGF)阻害剤;線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害剤);アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)アンタゴニスト(ビリナパント);ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(ボリノスタット、ロミデプシン、チダミド、パノビノスタット、モセチノスタット、アベキシノスタット、ベリノスタット、エンチノスタット、レミノスタット、ジビノスタット、キシノスタット、SB939);プロテアソーム阻害剤(イキサゾミブ);アンジオテンシン受容体遮断剤;一酸化窒素ドナー;アンチセンスオリゴヌクレオチド;抗体(トラスツズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブ、アレムツズマブ、アブシキシマブ、アトリズマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、エファリズマブ、エロツズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、ゲムツズマブオゾガミシン、ブレンツキシマブ・ベドチン);キメラ抗原受容体;細胞周期阻害剤(フラボピリドール、レスコビチン、ブリオスタチン-1)、および分化誘導剤(トレチノイン);mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)、およびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、コルチコステロイド(コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン(methylpednisolone)、プレドニゾン、およびプレドニゾロン(prenisolone));PARP阻害剤(ニラパリブ、オラパリブ);接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤(デファクチニブ(VS-6063)、VS-4718、VS-6062、GSK2256098);増殖因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤(セディラニブ、ガルニセルチブ、ロシレチニブ、バンデタニブ、アファチニブ、EGF816、AZD4547);c-Met阻害剤(カプマチニブ、INC280);ALK阻害剤(セリチニブ、クリゾチニブ);ミトコンドリア機能不全誘導剤、毒素例えば、コレラ毒素、リシン、シュードモナス(Pseudomonas)属外毒素、百日咳菌(Bordetella pertussis)アデニル酸シクラーゼ毒素、またはジフテリア毒素、およびカスパーゼ活性化因子;およびクロマチン撹乱剤を含む。一部の実施形態では、化学療法剤は、B-Raf阻害剤、MEK阻害剤、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗有糸分裂薬剤、またはこれらの任意の組合せである。
【0341】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、養子細胞移入(ACT)療法、キメラ抗原受容体T細胞移入(CAR-T)療法、ワクチン療法、および/またはサイトカイン療法と組み合わせて投与される。
【0342】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、阻害性サイトカイン、例えば、抗CCL2抗体、抗CSF-1抗体、または抗IL-2抗体などの阻害性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体と組み合わせて投与される。
【0343】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体は、少なくとも1つの刺激性サイトカインと組み合わせて投与される。本明細書における実施形態のうちのいずれかと組み合わされうる、一部の実施形態では、少なくとも1つの刺激性サイトカインは、IFN-α4、IFN-β、IL-1β、TNF-α、IL-6、IL-8、CRP、IL-20ファミリーメンバー、LIF、IFN-γ、OSM、CNTF、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-23、CXCL10、IL-33、MCP-1、MIP-1ベータ、およびこれらの任意の組合せから選択される。
【0344】
一部の実施形態では、SIRPAを下方調節する薬剤、例えば、抗SIRPA抗体は、神経障害を有する患者へと投与されるか、または神経障害の危険性を低減するか、神経障害の発生を緩徐化させるか、もしくは神経障害を防止するように投与される。一部の実施形態では、神経障害は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、軽度認知障害、パーキンソン病、萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、タウオパシー(Taupathy)、または多発性硬化症を含む認知症である。
【0345】
一部の実施形態では、SIRPAを下方調節する薬剤、例えば、抗SIRPA抗体が、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパシー(Taupathy)、または多発性硬化症を有する患者へと投与される。一部の実施形態では、薬剤は、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、那須ハコラ病、脳卒中、感染、外傷性脳損傷、進行性核上性麻痺、拳闘家認知症(慢性外傷性脳症)、第17染色体と連関するパーキンソン病、リティコ-ボディグ病(グアム型パーキンソン-認知症複合)、神経原線維変化型認知症、神経節膠腫および神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性汎脳炎、鉛脳症、結節性硬化症、ハラーフォルデン-シュパッツ病、リポフスチン症、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀顆粒病(AGD)、前頭側頭葉変性、レビー小体認知症、多系統委縮症、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、または大脳皮質基底核変性症を有する患者へと投与される。
【0346】
認知症
認知症とは、かつて身体障害を患ったことのない人における、通常の老化から予測されうる状態を越える、全般的な認知能力の、重篤な喪失として顕在化する、非特異的な症候群(すなわち、徴候および症状のセット)である。認知症は、固有の、全般的な脳損傷の結果として、不変でありうる。代替的に、認知症は、体内の損傷または疾患に起因する、長期にわたる減衰を結果としてもたらす、進行性でありうる。認知症は、高齢者集団において、より一般的であるが、また、65歳以前でも生じうる。認知症の影響を受ける、認知領域は、限定せずに述べると、記憶、集中力の持続時間、言語、および問題の解決を含む。一般に、個体が、認知症を伴うと診断される前に、少なくとも6カ月間にわたり、症状が存在しなければならない。
【0347】
認知症の例示的形態は、限定せずに述べると、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、意味認知症、およびレビー小体認知症を含む。
【0348】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、認知症を防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体は、認知症を有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0349】
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症(FTD)とは、脳の前頭葉の進行性劣化から生じる状態である。時間経過にわたり、変性は、側頭葉へと進行しうる。有病率において、アルツハイマー病(AD)に次ぐFTDは、初老性認知症症例のうちの20%を占める。FTDの臨床特徴は、記憶障害、行動の異常、性格の変化、および言語機能障害を含む(Cruts,M.およびVan Broeckhoven,C.、Trends Genet.、24:186~194(2008);Neary,D.ら、Neurology、51:1546~1554(1998);Ratnavalli,E.、Brayne,C.、Dawson,K.、およびHodges,J.R.、Neurology、58:1615~1621(2002))。
【0350】
FTD症例の実質的な部分は、常染色体優性的に受け継がれるが、1つの家族内であってもなお、症状は、行動障害を伴うFTDから、原発進行性失語症、大脳皮質基底核神経節変性症までのスペクトルに及びうる。FTDは、大半の神経変性疾患と同様に、罹患脳内の、特異的なタンパク質凝集物の、病理学的存在により特徴づけられうる。歴史的に、FTDの最初の記載は、神経原線維変化における、過リン酸化タウタンパク質の、ニューロン内蓄積、またはピック小体の存在を認識した。微小管と関連するタンパク質である、タウの病原的役割は、いくつかの家族における、タウタンパク質をコードする遺伝子内の、突然変異の同定により裏書きされた(Hutton,M.ら、Nature、393:702~705(1998)。しかし、FTD脳の大部分は、過リン酸化タウの蓄積を示さず、ユビキチン(Ub)およびTAR DNA結合性タンパク質(TDP43)に対する免疫反応性を呈する(Neumann,M.ら、Arch.Neurol.64:1388~1394(2007))。Ubの封入を伴うFTD症例(FTD-U)の大部分は、プログラニュリン遺伝子内に、突然変異を保有することが示された。
【0351】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、FTDを防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、FTDを有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0352】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)とは、認知症の、最も一般的な形態である。ADは、治癒することがなく、進行するにつれて増悪し、最終的に、死をもたらす。ADは、65歳を超える人々において診断されることがもっと多い。しかし、低有病率の、早発性アルツハイマー病は、はるかに若年において生じうる。アルツハイマー病の一般的症状は、最近の出来事を想起することの困難などの行動学的症状;認知症状、意識混濁、易刺激性および攻撃性、気分変動、言語障害、および長期にわたる記憶喪失を含む。疾患が進行するにつれて、身体機能が失われ、最終的に、死がもたらされる。アルツハイマー病は、完全に明白となる前の、未知で可変量の時間にわたり発症し、診断されないまま、多年にわたり進行しうる。
【0353】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、アルツハイマー病を防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、アルツハイマー病を有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0354】
パーキンソン病
特発性パーキンソン病もしくは原発パーキンソン病、運動不全硬直症候群(HRS)、または振戦麻痺とも称されうる、パーキンソン病とは、運動系の制御に影響を及ぼす、神経変性脳障害である。脳内の、ドーパミン産生細胞の、進行性の死は、パーキンソン病の、主要な症状をもたらす。パーキンソン病は、50歳を超える人々において、診断されることがもっと多い。パーキンソン病は、大半の人々において、特発性(公知の原因を有さない)である。しかし、パーキンソン病では、遺伝子的因子もまた、役割を果たしうる。
【0355】
パーキンソン病の症状は、限定せずに述べると、手掌、腕、脚、顎、および顔面の震え、四肢および体幹における、筋肉の硬直、運動の緩慢(動作緩慢)、姿勢の不安定性、歩行困難、神経精神科的問題、発話または行動の変化、うつ病、不安、疼痛、精神症、認知症、幻覚、および睡眠問題を含む。
【0356】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、パーキンソン病を防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、パーキンソン病を有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0357】
萎縮性側索硬化症(ALS)
本明細書で使用される、萎縮性側索硬化症(ALS)、または運動ニューロン病、またはルーゲーリック病は、互換的に使用され、急速進行性筋力低下、筋萎縮および筋痙攣、筋痙縮、発話困難(構音障害)、嚥下困難(嚥下障害)、ならびに呼吸困難(呼吸障害)により特徴づけられる、多様な病因を伴う、消耗性疾患を指す。
【0358】
プログラニュリンは、ALSにおいて、役割を果たし(Schymick,JCら(2007)、J Neurol Neurosurg Psychiatry.、78:754~6)、TDP-43など、ALS原因タンパク質により引き起こされた損傷を、再度保護する(Laird,ASら(2010)、PLoS One、5:e13368)ことが示されている。また、プロNGFが、脊髄損傷後において、希突起膠細胞および皮質脊髄ニューロンのp75媒介性死を誘導することも裏付けられた(Beattyら、Neuron(2002)、36、375~386頁;Giehlら、Proc.Natl.Acad.Sci USA(2004)、101、6226~30頁)。
【0359】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、ALSを防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、筋委縮性側索硬化症を有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0360】
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)とは、ハンチンチン遺伝子(HTT)内の、常染色体優性突然変異により引き起こされる、遺伝性の神経変性疾患である。ハンチンチン遺伝子内の、シトシン(cytokine)-アデニン-グアニン(CAG)トリプレットリピートの拡大は、HTT遺伝子によりコードされる、ハンチンチンタンパク質(Htt)の突然変異形態の産生を結果としてもたらす。この、突然変異体のハンチンチンタンパク質(mHtt)は、毒性であり、ニューロンの死に寄与する。ハンチントン病の症状は、最も一般的に、35~44歳の間に出現するが、これらは、任意の年齢において出現しうる。
【0361】
ハンチントン病の症状は、限定せずに述べると、運動制御問題、ギクシャクした、ランダムな運動(舞踏病)、眼運動の異常、平衡障害、発作、咀嚼困難、嚥下困難、認知問題、発話の変化、記憶障害、思考困難、不眠、疲労、認知症、性格の変化、うつ病、不安、および強迫性行動を含む。
【0362】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、ハンチントン病(HD)を防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、ハンチントン病を有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0363】
タウオパシー
タウオパシー(Tauopathy(Taupathy) disease)またはタウオパシー(Tauopathy)とは、脳内の、微小管関連タンパク質である、タウの凝集により引き起こされる、神経変性疾患のクラスである。アルツハイマー病(AD)は、最もよく知られたタウオパシーであり、不溶性の神経原線維変化(NFT)の形態にある、ニューロン内のタウタンパク質の蓄積を伴う。他のタウオパシーおよび障害は、進行性核上性麻痺、拳闘家認知症(慢性外傷性脳症)、第17染色体と連関する前頭側頭型認知症およびパーキンソン病、リティコ-ボディグ病(グアム型パーキンソン-認知症複合)、神経原線維変化型認知症、神経節膠腫および神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性汎脳炎、鉛脳症、結節性硬化症、ハラーフォルデン-シュパッツ病、リポフスチン症、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀顆粒病(AGD)、ハンチントン病、および前頭側頭葉変性を含む。
【0364】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、タウオパシーを防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、タウオパシーを有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0365】
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)はまた、散在性硬化症または散在性脳脊髄炎とも称される。MSとは、脳および脊髄の、アクソン周囲の、脂肪性の髄鞘が、損傷し、脱髄および瘢痕化、ならびに広範なスペクトルにわたる、徴候および症状をもたらす、炎症性疾患である。MSは、脳内および脊髄内の神経細胞が、互いと、効果的に連絡し合う能力に影響を及ぼす。神経細胞は、ミエリンと呼ばれる絶縁物質内に含有される、アクソンと呼ばれる線維に沿って、活動電位と呼ばれる電気信号を送信することにより連絡する。MSでは、体内の固有の免疫系が、ミエリンを攻撃し、損傷させる。ミエリンが失われると、アクソンは、もはや、効果的に、信号を伝えることができない。MSの発生は通例、若齢の成人において生じ、女性において、より一般的である。
【0366】
MSの症状は、限定せずに述べると、感受性の喪失またはヒリヒリ感など、感覚の変化;感覚麻痺および感覚異常など、チクチクする痛みまたは無感覚;筋力低下;クローヌス;筋痙攣;運動困難;運動失調など、協調運動および平衡に伴う困難;構音障害などの発話問題、または嚥下障害などの嚥下問題;眼振、眼内閃光を含む視神経炎、および複視などの視覚問題;疲労;急性疼痛または慢性疼痛;ならびに膀胱および腸の困難;多様な程度の認知障害;うつ病または気分不安定の情緒症状;常温より高温への曝露に起因する、現存する症状の増悪である、ウートフ現象;ならびに首を曲げると、背筋に走る、電気的感覚である、レミット徴候を含む。
【0367】
一部の実施形態では、本開示の抗SIRPA抗体の投与は、多発性硬化症を防止し、この危険性を低減し、かつ/またはこれを処置しうる。一部の実施形態では、抗SIRPA抗体の投与は、多発性硬化症を有する個体における、1つまたは複数のSIRPA活性をモジュレートしうる。
【0368】
一部の実施形態では、対象または個体は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定せずに述べると、馴致動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、およびウマ)、霊長類(例えば、ヒト、およびサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、およびげっ歯類(例えば、マウスおよびラット)を含む。一部の実施形態では、対象または個体は、ヒトである。
【0369】
本明細書で提示される抗体(および任意の、さらなる治療剤)は、非経口経路、肺内経路、鼻腔内経路、病巣内投与、脳脊髄内経路、頭蓋内経路、脊髄内経路、滑膜内経路、髄腔内経路、経口経路、局所経路、または吸入経路を含む、任意の、適切な手段により投与されうる。非経口注入は、筋肉内投与、ボーラスとしての、または時間経過にわたる連続的注入による、静脈内投与、動脈内投与、関節内投与、腹腔内投与、または皮下投与を含む。一部の実施形態では、投与は、静脈内投与である。一部の実施形態では、投与は、皮下投与である。投与は、投与が、短期であるのか、長期であるのかに、部分的に応じて、任意の、適切な経路、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射による投与でありうる。本明細書では、単回投与、または多様な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、およびパルス点滴を含むがこれらに限定されない、多様な投与スケジュールが想定される。
【0370】
本明細書で提示される抗体は、医学行動規範と一致した様式で、製剤化、投薬、および投与されるであろう。この文脈における検討のための因子は、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与法、投与スケジュール、および医療従事者に公知の、他の因子を含む。抗体は、問題の障害を防止または処置するのに、現在使用されている、1つまたは複数の薬剤と共に、製剤化される必要はないが、任意選択で、このように製剤化される。このような、他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または処置の種類、および上記で論じられた、他の因子に依存する。これらは、一般に、本明細書で記載されるのと同じ投与量および投与経路で使用されるか、または本明細書で記載される投与量の、約1~99%で使用されるか、または適切であることが、経験的に/臨床的に決定される、任意の投与量および任意の経路で使用される。
【0371】
疾患を防止または処置するのに適切な、本発明の抗体(単独で、または1つもしくは複数の、他のさらなる治療剤と組み合わせて使用される)の投与量は、処置される疾患の種類、抗体の種類、疾患の重症度および経過、抗体が、予防目的で投与されるのか、治療目的で投与されるのか、既往の治療、患者の病歴、および抗体に対する応答、ならびに主治医の熟慮に依存するであろう。抗体は、患者へと、単回で、または一連の処置にわたり、適切に投与される。
【0372】
例えば、1回または複数回にわたる個別の投与によるのであれ、連続的注入によるのであれ、疾患の種類および重症度に応じて、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の抗体が、患者への投与のための、初期の候補投与量でありうる。1つの、典型的な、毎日の投与量は、上述の因子に応じて、約1μg/kg~100mg/kg、またはこれを超える範囲にわたりうるであろう。数日間またはこれを超える反復投与では、状態に応じて、処置は、一般に、病徴の、所望の抑制が生じるまで持続されるであろう。抗体の、1つの例示的投与量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲であろう。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはこれらの任意の組合せ)の、1回または複数回の投与が、患者に対してなされうる。このような用量は、間欠的に、例えば、毎週または3週間ごとに(例えば、患者が、約2~約20回、または、例えば、約6回の抗体の投与を受けるように)投与されうる。ある特定の実施形態では、投与頻度は、毎日3回、毎日2回、毎日1回、隔日1回、毎週1回、2週間ごとに1回、4週間ごとに1回、5週間ごとに1回、6週間ごとに1回、7週間ごとに1回、8週間ごとに1回、9週間ごとに1回、10週間ごとに1回、または毎月1回、隔月1回、3カ月ごとに1回、またはこれより長い期間ごとに1回である。初期の高負荷用量に続き、1回または複数回の低用量が投与されうる。しかし、他の投与量レジメンも、有用でありうる。この治療の進行は、常套的な技法およびアッセイにより、容易にモニタリングされる。
【0373】
診断的使用
抗体のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、本明細書で提示される抗SIRPA抗体のうちのいずれかは、試料または個体における、SIRPAの存在を検出するために有用である。本明細書で使用される、「~を検出すること」という用語は、定量的検出または定性的検出を包摂する。本明細書では、本開示の抗体を、個体または個体に由来する組織試料における、SIRPAの検出などの、診断目的で使用する方法が提示される。一部の実施形態では、個体は、ヒトである。
【0374】
検出法は、抗原に結合した抗体の定量を伴いうる。生物学的試料の、抗体の検出は、免疫蛍光顕微鏡法、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS解析、免疫沈降法、またはマイクロポジトロン断層法を含む、当技術分野で公知である、任意の方法によりなされうる。ある特定の実施形態では、抗体は、例えば、18Fで放射性標識化され、その後、マイクロポジトロン断層解析を利用して検出される。抗体の結合はまた、ポジトロン断層法(PET)、X線コンピュータ断層法、単一光子コンピュータ断層法(SPECT)、コンピュータ断層法(CT)、およびコンピュータ断層法(CAT)などの非侵襲的技法によっても、患者において定量されうる。
【0375】
製造品
本明細書では、本明細書で記載される、抗SIRPA抗体を含む、製造品(例えば、キット)が提示される。製造品は、本明細書で記載される抗体を含む、1つまたは複数の容器を含みうる。容器は、バイアル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えば、密封マイラーまたはプラスチックバッグ)などを含むがこれらに限定されない、任意の、適切な包装でありうる。容器は、単位用量、バルクパッケージ(例えば、複数回投与用量のパッケージ)、または単位未満用量でありうる。
【0376】
一部の実施形態では、キットは、第2の薬剤をさらに含みうる。一部の実施形態では、第2の薬剤は、静菌性の注射用水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、およびデキストローズ液など、を含むがこれらに限定されない、薬学的に許容されるバッファーまたは希釈剤である。一部の実施形態では、第2の薬剤は、上記で記載した、薬学的に活性の薬剤である。
【0377】
製造品のうちのいずれかについての、一部の実施形態では、製造品は、本開示の方法に従う使用のための指示書をさらに含む。指示書は、一般に、意図された処置のための、投与量、投与スケジュール、および投与経路に関する情報を含む。一部の実施形態では、これらの指示書は、本開示の任意の方法に従い、認知症、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、混合型認知症、クロイツフェルト-ヤコブ病、正常圧水頭症、筋委縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパシー、那須ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性大腸炎および慢性大腸炎、関節リウマチ、創傷治癒、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、肥満、マラリア、特発性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体認知症、多系統委縮症、シャイ-ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、急性播種性脳脊髄炎、肉芽腫性(granulomartous)障害、サルコイドーシス、加齢疾患、発作、脊髄損傷、外傷性脳損傷、加齢黄斑変性、緑内障、網膜色素変性、網膜変質、気道感染、敗血症、眼感染症、全身性感染、狼瘡、関節炎、多発性硬化症、低骨密度、骨粗鬆症、骨形成、大理石骨病、骨パジェット病、および膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、腎細胞がん、腎盂がん、白血病、肺がん、メラノーマ、非ホジキンリンパ腫、膵臓がん、前立腺がん、卵巣がん、線維肉腫、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫、真性多血症、本態性血小板増加症、原発骨髄線維症または特発性骨髄線維症、原発骨髄硬化症または特発性骨髄硬化症、骨髄由来腫瘍、SIRPAを発現させる腫瘍、甲状腺がんを含むがん、感染症、中枢神経系ヘルペス、寄生虫感染、トリパノソーマ属(Trypanosoma(Trypanosome))感染、トリパノソーマ・クルジ(Trypanosoma cruzi(Cruzi)感染、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)感染、B群連鎖球菌属(Streptococcus)感染、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)感染、髄膜炎菌(Neisseria meningiditis)感染、I型HIV、およびインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)から選択される、疾患、障害、または損傷を防止するか、これらの危険性を低減するか、またはこれらを有する個体を処置するための、本開示の単離抗SIRPA抗体(例えば、本明細書で記載される、抗SIRPA抗体)の投与についての記載を含む。一部の実施形態では、指示書は、抗SIRPA抗体、および第2の薬剤(例えば、第2の、薬学的に活性の薬剤)の使用のための指示書を含む。
【0378】
本開示は、以下の例を参照することにより、より完全に理解されるであろう。しかし、これらの例は、本開示の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本開示を通した、全ての引用は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0379】
以下の例は、例示だけを目的として提示されるものであり、限定を目的として提示されるものではない。当業者は、本質的に同様の結果をもたらすように、変化または改変されうる、様々なパラメータを、たやすく認識するであろう。
【0380】
実施例1
抗SIRPA抗体の作製
ヒトSIRPAタンパク質のアミノ酸配列を、下記の、配列番号1に明示する。ヒトSIRPAは、配列番号1のアミノ残基1~30に位置するシグナルペプチドを含有する。ヒトSIRPAは、配列番号1のアミノ残基32~137に位置する細胞外免疫グロブリン様可変型(IgV)ドメイン;配列番号1のアミノ残基148~247および254~348に位置する、さらなる、細胞外免疫グロブリン様定常型(IgC)ドメイン配列;配列番号1のアミノ残基374~394に位置する、膜貫通ドメイン;ならびに配列番号1のアミノ残基395~504に位置する、細胞内ドメインを含有する。
【0381】
ヒトSIRPA v1のアミノ酸配列(配列番号1):
10 20 30 40 50
MEPAGPAPGR LGPLLCLLLA ASCAWSGVAG EEELQVIQPD KSVLVAAGET
60 70 80 90 100
ATLRCTATSL IPVGPIQWFR GAGPGRELIY NQKEGHFPRV TTVSDLTKRN
110 120 130 140 150
NMDFSIRIGN ITPADAGTYY CVKFRKGSPD DVEFKSGAGT ELSVRAKPSA
160 170 180 190 200
PVVSGPAARA TPQHTVSFTC ESHGFSPRDI TLKWFKNGNE LSDFQTNVDP
210 220 230 240 250
VGESVSYSIH STAKVVLTRE DVHSQVICEV AHVTLQGDPL RGTANLSETI
260 270 280 290 300
RVPPTLEVTQ QPVRAENQVN VTCQVRKFYP QRLQLTWLEN GNVSRTETAS
310 320 330 340 350
TVTENKDGTY NWMSWLLVNV SAHRDDVKLT CQVEHDGQPA VSKSHDLKVS
360 370 380 390 400
AHPKEQGSNT AAENTGSNER NIYIVVGVVC TLLVALLMAA LYLVRIRQKK
410 420 430 440 450
AQGSTSSTRL HEPEKNAREI TQDTNDITYA DLNLPKGKKP APQAAEPNNH
460 470 480 490 500
TEYASIQTSP QPASEDTLTY ADLDMVHLNR TPKQPAPKPE PSFSEYASVQ
VPRK
【0382】
SIRPA-CD47複合体の結晶構造解析は、SIRPAの、IgVドメイン内の、β-シート鎖を連結する可変ループへのリガンド結合部位を分解する。CD47結合接触面は、SIRPAのアミノ酸残基S59~P65、L96~F104、およびK123~D130からなる。
【0383】
ヒトでは、SIRPAの、複数の多型が同定されている。配列内の、大半の変動は、CD47リガンド結合部位の向こう側にあるので、検討される、大半のSIRPA変異体は、CD47に、同様の親和性で結合すると考えられる。SIRPファミリーの、別のメンバーである、SIRPB1は、高度な配列相同性を、SIRPAと共有するが、CD47に結合することができない。単一のA57M置換は、S59~P65にわたる、リガンド結合性接触面を再配列して、SIRPB1の、CD47への結合を防止するのに十分である。さらに、SIRPA-CD47間相互作用は、高度に種特異的である。ヒトSIRPAは、マウスまたはラットまたはウシのCD47(被験種の中で)に結合することができず、ヒトCD47だけが、NODマウス株により発現される、マウスSIRPAの、単一の対立遺伝子変異体を認識する。
【0384】
複数の種に由来するSIRPA配列についての、タンパク質BLAST解析は、ヒトSIRPAとの、顕著な程度の同一性を示す(図1)。SIRPファミリー内の、高配列相同性は、非ヒトSIRPA抗原への交差反応性を、やはり維持しながら、SIRPA特異性抗体を作出することにおける、顕著な難題を提示する。
【0385】
実施例2
ヒト化抗SIRPA抗体の特徴づけ
本明細書で論じられる、マウスSIRPA抗体m3F9は、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含有する。
【0386】
下記の表4および5は、マウス抗SIRPA抗体である、m3F9、ならびに対応するヒト化配列(「h3F9」と称される)の、ハイブリドーマ由来の、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を列挙する。抗SIRPA抗体である、3F9の重鎖可変ドメインのための、第1のヒト化抗体配列(h3F9-H1)は、ヒトフレームワーク配列を変化させない、「CDRスワッピング」である。
【0387】
後続のヒト化重鎖可変領域配列(h3F9-H2)は、ある特定のCDR接合部において、フレームワーク残基が変更されている(図2Aを参照されたい)。図2Aは、抗SIRPA抗体である、3F9の、重鎖可変ドメインの、潜在的なヒト化配列を列挙する。ヒト化配列は、IGHV3-2301アクセプターフレームワーク、およびIGHJ401接合領域に基づく。
【0388】
抗SIRPA抗体である、3F9の軽鎖可変ドメインのための、第1のヒト化配列(h3F9-L)は、ヒトフレームワーク配列を変化させない、軽鎖可変ドメインの「CDRスワッピング」である。後続のヒト化軽鎖可変領域配列は、ある特定のフレームワークアミノ酸残基(h3F9-L2およびh3F9-L3)を変更する(図2Bを参照されたい)。図2Bは、抗SIRPA抗体である、3F9の、軽鎖可変ドメインの、潜在的なヒト化配列を列挙する。
【0389】
ヒト化配列は、IGKV3-1101アクセプターフレームワーク、およびIGKJ201接合領域に基づく。CDR配列は、太字で表記される。CDRの定義は、ウェブサイトである、www.bioinf.org.uk/abs/による、AbMによる定義である。「b」は、包埋された側鎖を表記し;「p」は、部分的に包埋された側鎖を表記し;「i」は、VHドメインと、VLドメインとの接触面間の側鎖を表す。ヒト生殖系列と、マウス生殖系列との配列差は、アステリスク()で表記される。フレームワーク内の、潜在的なさらなる突然変異は、配列の下方に表記される。CDR配列内の、潜在的な変化は、各CDR配列の下方に表記される。これらは、アスパラギン(N)の脱アミド化を防止しうる。抗SIRPA抗体である、3F9の、6つの異なるヒト化型全て(重鎖可変領域と、軽鎖可変領域との、以下の組合せ:h3F9-H1/L1;h3F9-H1/L2;h3F9-H1/L3;h3F9-H2/L1;h3F9-H2/L2;およびh3F9-H2/L3に基づく)を、CHO-K1細胞内で、組換えにより作製された、ヒトIgG4骨格へとグラフトし、下記でさらに記載される通りに特徴づけた。
【0390】
抗SIRPA抗体についての親和性の測定は、以下の通りに実施した。バイオレイヤー干渉法(BLI)データは、Pall ForteBio Octet RED96測定器上で収集した。データ解析は、ForteBioデータ解析ソフトウェア、version 9.0を使用して実施した。標準的な反応速度バッファー(PBS、0.1%のBSA、0.02%のTween-20、pH7.2)を、アッセイおよび試薬の調製のために使用した。バッファー中における、センサーの平衡化の後、ヒト化3F9抗SIRPA抗体の各々(2.5μg/mL、ローディング時間を300秒間とする)を、Anti-Human IgG Fc Capture Dip and Read Biosensors(Pall ForteBio、Menlo Park、CA)上で捕捉した。次いで、異なる濃度(0~200nM)の、ヒスチジンでタグ付けしたヒトSIRPA(Sino Biological、Beijing、China)を、捕捉された抗SIRPA表面に結合させた(300秒間の会合時間、600秒間の解離時間)。結果として得られるBLIシグナルは、参照(2.5μg/mLのIgG+0nMのSIRPA)センサーからの応答の差違として得た。ゼロリガンドコントロール(0μg/mLのIgG+200nMのSIRPA)は、SIRPAの、センサーチップ表面への、測定可能な非特異的結合を示さなかった。親m3F9抗体に対する親和性の測定は、抗マウスIgG Fcバイオセンサー上に捕捉された抗体を伴うことを除き、同様の方法を使用して実施した。複数濃度による反応速度解析は、各抗体について、会合速度定数および解離速度定数(それぞれ、kaおよびkd)を抽出する、1:1の相互作用モデルを使用して実施した。結合親和性定数(KD)は、比である、kd/kaから計算した。
【0391】
固定化されている、抗マウスIgG Fcまたは抗ヒトIgG Fc抗体は、それぞれ、バイオセンサー上の、マウス抗SIRPA抗体である、3F9、およびヒト化抗SIRPA抗体である、3F9を捕捉した。漸増濃度の、ヒスチジンでタグ付けしたhuSIRPAアイソフォーム1(10~500nM)は、捕捉された抗SIRPA抗体である、3F9の上を流過して、出力波形を記録した。結果として得られるセンサーグラムによる、ベストフィットの出力波形を、解析して、会合速度値、解離速度値、および親和性値を計算した。3つの、被験ヒト化抗SIRPA抗体である、3F9変異体は、mAb 14.70.1(配列番号3の重鎖可変配列、および配列番号6の軽鎖可変配列)、mAb 14.70.2(配列番号3の重鎖可変配列、および配列番号7の軽鎖可変配列)、およびmAb 14.70.4(配列番号4の重鎖可変配列、および配列番号6の軽鎖可変配列)であった。ヒト化抗SIRPA3F9抗体の、測定された結合反応速度を、下記の表6に、ka値、kd値、およびKD値の抽出値としてまとめる。作製された、6つのh3F9変異体のうち、3つの抗SIRPA抗体(mAb 14.70.1:H1/L1;mAb 14.70.2:H1/L2;mAb 14.70.4:H2/L1)は、可溶型SIRPA抗原に対して、親m3F9抗SIRPA抗体(配列番号2の重鎖可変配列、および配列番号5の軽鎖可変配列)と同様の親和性を呈した。
【0392】
可溶型抗原への結合に加えて、細胞ベースの親和性の測定もまた実施して、h3F9抗SIRPA抗体の、膜結合型SIRPA v1抗原に対する、m3F9抗SIRPA抗体と比べた、見かけの親和性を確認した。EC50値は、漸増濃度の抗SIRPA3F9抗体を、ヒトSIRPAを過剰発現させるBWZ細胞へと添加することにより、相対親和性を割り当てる。受容体に結合した抗体は、細胞を、抗マウスIgG Fc APC、または抗ヒトIgG PE二次抗体で染色することにより検出した。モノクローナル抗体の段階希釈液を、huSIRPAを過剰発現させる、10個のBWZ細胞(BWZ-huSIRPA)へと添加し、4℃で、結合平衡を達成することを可能とした。蛍光標識化二次抗体の添加、および短い洗浄工程の後で、FACS解析を介して、滴定された抗体濃度の関数としての、平均値蛍光強度(MFI)値を記録した。曲線は、Graphpad Prism 6ソフトウェアによる非線形回帰分析を使用してフィッティングした。h3F9抗SIRPA抗体である、mAb 14.70.1、mAb 14.70.2、およびmAb 14.70.4による、細胞ベースの滴定実験は、それぞれ、1.065nM、0.9682nM、および1.607nMのEC50値をもたらした。ヒト化3F9抗SIRPA抗体が、m3F9抗SIRPA抗体(EC50=2.1nM)より低値のEC50値をもたらしたことから、ヒト化抗体の結合親和性の、マウス3F9抗SIRPA抗体について決定された結合親和性と比べた改善が示される。
【0393】
漸増濃度の、ヒト化3F9抗SIRPA抗体およびマウス3F9抗SIRPA抗体を、BWZ-huSIRPA v1細胞へと添加して、フルオロフォアで標識化された参照抗体を置きかえる、競合ベースのアッセイもまた実施して、抗SIRPA抗体のIC50値を計算した。IC50値は、相対親和性についての、別の比較をもたらす。競合ベースのアッセイでは、漸増濃度の抗SIRPA3F9抗体を、huSIRPA発現細胞へと添加して、フルオロフォアで標識化された参照抗体を置きかえた。IC50値は、以下の通り:m3F9=11.54nM;mAb 14.70.1=3.303nM;mAb 14.70.2=2.185nM;mAb 14.70.4=4.606nM)であると決定された。これらの結果は、本開示のヒト化抗SIRPA抗体が、参照m3F9抗SIRPA抗体の、SIRPAへの結合に対する、より有効な競合体であることを裏付けた。
【0394】
h3F9抗SIRPA抗体が、細胞表面における、SIRPAの発現を低減する能力を、初代ヒトマクロファージ(huMac)上で査定した。ヒト単球を、健常ドナーの末梢血から単離し、増殖培地に、ヒトM-CSFを補充することにより、in vitroにおいて、マクロファージへと分化させた。分化の後、huMacを採取し、漸増濃度のアイソタイプコントロールまたは可溶型抗SIRPA抗体と共に、96ウェル組織培養プレートへと播種し、37℃で、一晩にわたりインキュベートした。抗SIRPA抗体である、3F9と別個のエピトープビンに属する、DyLight650コンジュゲート抗ヒトSIRPA抗体(クローンSA56)を使用して、フローサイトメトリーにより、SIRPAの表面発現について、細胞を解析した。図3に示される通り、h3F9抗SIRPA抗体の変異体(mAb 14.70.1(70.1)、mAb 14.70.2(70.2)、およびmAb 14.70.4(70.4))は、マクロファージ内の、SIRPA受容体の発現レベルを、用量依存的に下方調節した。しかし、親m3F9抗SIRPA抗体は、上記で論じられた、同様の抗原結合特性にもかかわらず、ヒト化抗体より大幅な、最大の受容体下方調節を呈した。これらの結果は、抗SIRPA抗体の特性が、受容体への係合を越えて、マクロファージ上の、抗SIRPA抗体である、3F9の機能活性を決定することを示唆した。
【0395】
実施例3
抗SIRPA抗体は、機能活性のために、Fcガンマ受容体(FcγR)を要求する
ヒト3F9抗SIRPA抗体と、マウス3F9抗SIRPA抗体との、主要な差違は、Fcガンマ受容体(FcγR)に係合する能力である。ヒト化抗SIRPA抗体を、低度のFcγR結合特性を所有することが公知の、ヒトIgG4 Fc骨格へとグラフトした。ハイブリドーマによる、m3F9抗SIRPA抗体は、マウスIgG1抗体であるにもかかわらず、やはり、ある特定のヒトFcγRに対する結合活性を保持する。FcγRが、抗SIRPA抗体の機能活性をモジュレートすることを検証するために、m3F9抗SIRPA抗体を、EndoSで処理して、IgG-FcγR間相互作用を媒介する、鍵となる決定基である、Asn297上のFcグリカンを、酵素的に除去した。2例の健常ドナーに由来する、初代ヒトマクロファージを、漸増濃度の、グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体または脱グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体で、一晩にわたり処置した。その後、細胞を、顕著に異なるエピトープビンに結合する、DyLight650コンジュゲート抗SIRPA参照抗体(SA56-DyL650)で染色し、次いで、FACS解析により、SIRPAの表面発現について解析した。
【0396】
図4Aに示される通り、m3F9抗SIRPA抗体の、いずれの糖型も、細胞表面における、SIRPAの発現を、顕著に下方調節した。しかし、いずれのドナーにおいても、脱グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体の変異体は、最大活性の、抗体のグリコシル化形態について観察される最大活性と比較した低減を呈した。特に、グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体が、SIRPAの発現を、ドナー(Dnr)413およびドナー414において、それぞれ、最大で、90%および85%下方調節したのに対し、脱グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体は、同じドナーのマクロファージ内で、それぞれ、70%および75%のSIRPA受容体の下方調節を達成したに過ぎなかった。この所見は、抗SIRPA抗体、とりわけ、SIRPAの、細胞表面における発現の下方調節の増強のために、抗体m3F9が、FcγRへの係合を要求することを示唆した。図4A内の結果を、抗SIRPA抗体で処置された試料のMFI値を、アイソタイプコントロールで処置された試料のMFI値で除することにより、参照抗体の結合に対するパーセントとして提示する。
【0397】
上記で開示された、抗体媒介性の、受容体の下方調節に加えて、腫瘍細胞に対する食作用の、3F9抗SIRPA抗体媒介性増強における、FcRの役割も査定した。腫瘍細胞に対する食作用アッセイは、pHrodo蛍光に基づき開発した。初代ヒトマクロファージを、アイソタイプコントロール抗体(MOPC)、または表示の抗SIRPA3F9抗体の変異体で、一晩にわたり処置した。pHrodoで標識されたRaji細胞染料を、マクロファージへと添加し、37℃で、2時間にわたりインキュベートした。Red Avidin(Invitrogen)とは、ファゴソームなど、酸性環境内で、蛍光を帯びる、蛍光発光性マーカーである、pHrodo Red染料とコンジュゲートさせた、ストレプトアビジン分子である。標的腫瘍細胞の標識化のために、500nMのRed Avidinを、15nMの、ビオチニル化レンズ豆(Lens culinaris)アグルチニン(LCA;Vector Labs)と混合した。次いで、Red Avidin-LCA複合体を、1:1の体積比で、氷上の、無血清RPMI培地中のRaji細胞400,000個と混合した。LCAの糖結合特性は、Red Avidinを、腫瘍細胞表面上の糖鎖構造へと連結する。短い洗浄工程の後で、Red Avidin-LCAで標識化されたRaji細胞を、無血清RPMI培地中で、単球由来ヒトマクロファージと混合し、37℃で、2時間にわたりインキュベートした。次いで、マクロファージを回収し、氷上の、FcγR遮断抗体を含有するFACSバッファー中の、抗CD14 APCで染色した。食作用活性は、CD14/pHrodo二重陽性マクロファージのパーセントをカウントすることにより測定した。コントロールとして、標識化されていないRaji細胞を、マクロファージと混合して、バックグラウンドの蛍光レベルを確立した。図4B内の結果を、pHrodo/CD14二重陽性マクロファージ集団のパーセントの増大倍数として提示する。
【0398】
図4Bに示される通り、グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体で、一晩にわたり処置されたマクロファージは、腫瘍細胞に対する食作用の、アイソタイプコントロール抗体で処置されたマクロファージを使用して観察される食作用と比べた、約2倍の増大を提示した。脱グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体で処置されたマクロファージは、腫瘍細胞に対する食作用の、アイソタイプコントロールで処置されたマクロファージと比べた、約1.5倍の増大を提示した。この、腫瘍細胞に対する食作用の、約1.5倍の増大は、活性の、グリコシル化m3F9抗SIRPA抗体に関して観察される食作用と比べて、統計学的に有意な約50%の低下を表す。さらに、h3F9 IgG4(mAb 14.70.1またはmAb 14.70.2)で処置されたマクロファージは、腫瘍細胞に対する食作用を、ベースラインレベルを上回って増強する能力を提示しなかった。
【0399】
先行研究は、マクロファージを、3F9抗SIRPA抗体で刺激したときの、貪食活性の増大と、CD14の下方調節との相関を確立した。この相関がまた、少なくとも部分的に、FcγRにも依存するのかどうかを決定するために、初代ヒトマクロファージを、グリコシル化されたm3F9またはh3F9 IgG4抗SIRPA抗体の変異体(mAb 14.70.1、mAb 14.70.2、およびmAb 14.70.4)で、一晩にわたり処置し、腫瘍細胞に対する食作用およびCD14の発現についてアッセイした。図5Aに示される通り、m3F9抗SIRPA抗体で処置されたマクロファージだけが、Raji細胞に対する食作用の、アイソタイプコントロール抗体で処置されたマクロファージに関して観察される食作用と比べた増強を示した。結果を、pHrodo/CD14二重陽性マクロファージ集団のパーセントの増大倍数として提示する。ヒト化抗SIRPA IgG4抗体は、Raji細胞に対する食作用を増強することができなかった。同様に、m3F9抗SIRPA抗体による刺激だけが、マクロファージ上の、CD14の発現を下方調節したのに対し、h3F9 IgG4抗SIRPA抗体の変異体は、CD14の発現を変更しなかった(図5B)。マクロファージ内の、CD14の発現レベルと、貪食活性との相関を裏書きすることに加えて、これらの結果は、3F9抗SIRPA抗体の機能活性が、少なくとも部分的に、FcγRに依存することを確認した。
【0400】
実施例4
抗SIRPA抗体による、CD32の下方調節
目的の標的抗原に加えて、骨髄系統の細胞はまた、治療抗体のFcドメインに結合することが可能な、複数のFc受容体も発現させる。Fcガンマ受容体(FcγR)は、Fc依存的エフェクター機能を媒介する、最もよく特徴づけられ、最も強力な受容体のクラスを構成する。FcγRは、ITAM関連活性化型受容体(CD64/FcγRI、CD32A/FcγRIIA、およびCD16A/FcγRIIIA)およびITIM保有阻害型受容体(CD32B/FcγRIIB)の両方からなり、活性化型/阻害型受容体の、同じ細胞上の共発現は、細胞活性化の閾値を確立する。一般に、免疫複合体による、活性化型FcγRへのリガンド結合は、細胞の活性化、および後続のエフェクター機能の誘導をもたらす、いくつかのシグナル伝達カスケードを誘発する。これらの活性は、骨髄細胞型の間で変動するが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害、抗体依存性細胞媒介性食作用、ならびにいくつかの炎症促進性サイトカインおよびケモカインの上方調節などを含みうる。これに対し、免疫複合体による、阻害型受容体である、FcγRIIBへのリガンド結合は、活性化型FcγRの免疫刺激シグナルに対抗し、組織ホメオスタシスの維持を支援する。例えば、いくつかの研究は、FcγRIIBの遺伝子ノックアウトが、免疫複合体媒介性炎症についてのマウスモデルにおいて、炎症促進性マクロファージ活性の増強を結果としてもたらすことを確立している。FcγRIIBは、阻害活性を伴う、唯一のFcγRであるので、骨髄細胞によるFcγR媒介性炎症の調節において、中心的役割を果たす。腫瘍微小環境の文脈では、FcγRIIBの発現レベルは、in vivoにおける、腫瘍関連マクロファージの極性化状態、およびマクロファージのエフェクター機能の調節を決定しうる。
【0401】
どのFcγRが、3F9抗SIRPA抗体のin vitro活性に寄与するのかを決定するために、2例の健常ドナーから得られる、単球由来マクロファージを、アイソタイプコントロール抗体、または抗SIRPA抗体である、m3F9で、一晩にわたり処置し、次いで、FcγRIIIA(CD16)、FcγRI(CD64)、およびFcγRIIA/B(CD32A/B)の表面発現レベルについて評価した。図6Aに示される通り、m3F9抗SIRPA抗体による処置は、CD32A/Bの表面発現を、アイソタイプコントロール抗体で処置されたマクロファージ内で観察される、CD32A/Bの表面発現と比べて、実質的に低減した。FcγRII(クローンFUN-2;Biolegend)の表面レベルを測定するのに使用される検出抗体は、活性化型受容体である、FcγRIIAと、阻害型受容体である、FcγRIIBとを識別しないので、このアッセイを、受容体特異性抗体により繰り返した。既に記載した通り、2例の健常ドナーから得られる、単球由来マクロファージを、アイソタイプコントロール抗体、または表示の、3F9抗SIRPA抗体の変異体で、一晩にわたり処置した。図6Bは、抗SIRPA抗体である、m3F9が、マクロファージ内のFcγRIIAを、アイソタイプコントロール抗体で処置された細胞内で観察される場合と比べて、顕著に、約70~85%下方調節したことを示す。この効果は、h3F9 IgG4変異型(mAb 14.70.2)、およびマウス抗体の脱グリコシル化形態のいずれも、FcγRIIA下方調節を失効化させたので、Fcドメインに依存した。
【0402】
FcγRIIBの表面発現を評価する場合、抗SIRPA抗体である、m3F9による処置は、阻害型受容体の発現を、アイソタイプコントロール抗体で処置されたマクロファージ内で観察される、阻害型受容体の発現と比べて、ほぼ検出不能レベルまで低減した(図6B)。これに対し、FcγRI/CD64またはFcγRIIIA/CD16Aの顕著な下方調節は、抗SIRPA抗体である、3F9で処置されたマクロファージ上では、アイソタイプコントロールで処置された細胞と比べて明らかではなかったことから、抗SIRPA3F9抗体による処置は、初代ヒトマクロファージ上の、CD16およびCD64の発現を変更しないことが指し示される(データは示さない)。
【0403】
CD32A/Bが、抗SIRPA抗体である、m3F9の機能活性に要求されることを確認するために、選択的FcγR遮断実験を実施して、個別のFcγRの、抗体媒介性の、SIRPAの下方調節、および腫瘍細胞に対する食作用における役割を評価した。遮断実験では、2例の健常ドナーに由来する、初代ヒトマクロファージを、抗CD16遮断抗体、または抗CD32A/B遮断抗体と共に、氷上で15分間にわたりプレインキュベートした。その後、細胞を、アイソタイプコントロール(MOPC21)またはm3F9抗SIRPA抗体と共に、一晩にわたりインキュベートした。SIRPAの発現は、DyLight650コンジュゲート抗SIRPA参照抗体(SA56-DyL650)により検出した。結果を、抗SIRPA抗体で処置された試料のMFI値を、アイソタイプコントロールで処置された試料のMFI値で除することにより、参照抗体の結合に対するパーセントとして提示する。図7Aに示される通り、CD16の遮断は、抗SIRPA抗体である、m3F9による処置の後における、SIRPAの下方調節を、FcγR遮断抗体で処置されなかったマクロファージ内で観察される、SIRPAの下方調節と比べて破壊しなかった。これに対し、SIRPAの、m3F9媒介性下方調節は、抗CD32A/Bを遮断抗体と共にプレインキュベートされたマクロファージ内では、顕著に損なわれた。
【0404】
CD32A/Bの遮断がまた、食作用も妨げるのかどうかを確認するために、初代ヒトマクロファージを、抗CD32A/Bを遮断抗体と共にプレインキュベートし、アイソタイプコントロール抗体、または抗SIRPA抗体である、m3F9で、一晩にわたり処置した。pHrodo染料で標識されたRaji細胞を、マクロファージと共に混合し、37℃で、2時間にわたりインキュベートした。結果を、pHrodo/CD14二重陽性マクロファージ集団のパーセントの増大倍数として提示する。図7Bに示される通り、m3F9で処置された、両方ドナーに由来するマクロファージは、Raji細胞に対する食作用を、アイソタイプコントロール抗体で処置されたマクロファージ内で観察される食作用と比べて、約2倍に増強した。しかし、CD32A/Bの遮断は、腫瘍細胞に対する食作用の、m3F9媒介性増強を、部分的にまたは完全に遮断した。まとめると、これらの結果は、CD32A/Bへの係合が、抗SIRPA抗体である、m3F9の活性に、機能的に要求されることを確立した。
【0405】
実施例5
h3F9抗SIRPA抗体の親和性成熟
ヒト化h3F9抗SIRPA抗体の親和性成熟を実施した。略述すると、重鎖内または軽鎖内の、ある特定のアミノ酸残基に、選択的に突然変異誘発し、さらなるスクリーニングラウンドを通して、結合を改善する突然変異体を選択した。この工程は、特異性プロファイル、種間交差反応性プロファイル、および開発可能性プロファイルを、同時に改善し、所望の作用機序、生物学的アッセイにおける力価、および前臨床モデル化に関与する特性の、正確な微調整を可能とする。特徴づけは、ForteBioおよびMSDによる親和性測定アッセイ、細胞結合アッセイ、ならびにいくつかの開発可能性アッセイを含んだ。親和性成熟の第1ラウンドの後、親和性が改善された抗体はまた、抗体の非特異的結合を決定するのに使用される、多重特異的反応性(PSR)の改善も提示した。こうして、親和性成熟の第2ラウンドを実施して、PSRを上昇させずに親和性を改善した。
【0406】
抗体の重鎖および軽鎖の可変ドメイン配列
標準的な技法を使用して、本明細書で記載される、親和性成熟抗体の、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインのアミノ酸配列を決定した。抗体の軽鎖HVR配列を、表7~8に明示する。抗体の軽鎖HVR配列を、表7に明示する。抗体の重鎖HVR配列を、表8に明示する。抗体の軽鎖および重鎖のフレームワーク(FR)配列を、表9に明示する。抗体の重鎖の可変領域配列および軽鎖の可変領域配列を、下記の表10に明示する。
【0407】
実施例6
親和性成熟抗SIRPA抗体の特徴づけ
本明細書で開示される、親和性成熟抗SIRPA抗体の、初期特徴づけは、Pall ForteBio Octet RED96測定器上で、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して、抗原親和性の測定値を収集することを含んだ。固定化されている、抗マウスIgG Fc、または抗ヒトIgG Fc抗体は、それぞれ、バイオセンサー上の、マウス抗SIRPA3F9抗体、およびヒト化抗SIRPA3F9抗体を捕捉した。25nMのhuSIRPA[どの変異型であるのか]または50nMのhuSIRPB1を、捕捉された抗体である、3F9上に流過させる、単一サイクルの反応速度法を実施して、出力波形を記録した。データ解析は、ForteBioデータ解析ソフトウェア、version 9.0を使用して実施した。標準的な反応速度バッファー(PBS、0.1%のBSA、0.02%のTween-20、pH7.2)を、アッセイおよび試薬の調製のために使用した。バッファー中における、センサーの平衡化の後、抗SIRPA抗体である、h3F9(2μg/mL、ローディング時間を300秒間とする)、または抗SIRPA抗体h3F9の親和性成熟変異体を、Anti-Human IgG Fc Capture Dip and Read Biosensors(Pall ForteBio、Menlo Park、CA)上で捕捉した。次いで、50nMのヒスチジンでタグ付けした、ヒトSIRPA v1、またはヒトSIRPB1(Novoprotein、Summit、NJ、USA)を、捕捉された抗SIRPA抗体でコーティングされた表面に結合させた(200秒間の会合時間、900秒間の解離時間)。結果として得られるBLIシグナルは、参照(2μg/mLの3F9+0nMのSIRPA)センサーからの応答の差違として得た。ゼロリガンドコントロール(0μg/mLの3F9+200nMのSIRPA)は、SIRPAの、センサーチップ表面への、測定可能な非特異的結合を示さなかった。単一曲線による反応速度解析は、各抗体について、会合速度定数および解離速度定数(それぞれ、kaおよびkd)を抽出する、1:1の相互作用モデルを使用して実施した。結合親和性定数(KD)は、比である、kd/kaから計算した。可溶型のhuSIRPAおよびhuSIRPB1に結合する、25の抗SIRPA子孫抗体、および1つの親抗体についてのセンサーグラムを得、ベストフィットの出力波形を使用して、会合速度値、解離速度値、および親和性値を計算した。これらの実験から得られたセンサーグラムについてのカーブフィッティング解析に由来する、親和性の測定値(ka、kd、およびKD)を、表11にまとめる。全ての親和性成熟抗SIRPA抗体は、huSIRPB1に対する、測定可能な交差反応性を欠き(データは示さない)、6つの親和性成熟抗SIRPA抗体(3F9-18、3F9-12、3F9-23、3F9-14、3F9-22、および3F9-20)は、可溶型huSIRPAに対する親和性の、親抗SIRPA抗体h3F9に関して観察される親和性と比べた、約10倍の増大を呈した。
【0408】
細胞ベースの親和性の測定もまた実施して、親和性成熟3F9抗SIRPA抗体の、細胞表面発現抗原に対する、見かけの親和性を確認した。抗SIRPAモノクローナル抗体の各々の段階希釈液を、10個のBWZ-huSIRPA細胞へと添加し、4℃で、結合平衡を達成することを可能とした。蛍光標識化二次抗体の添加、および短い洗浄工程の後で、FACS解析を介して、滴定された抗体濃度の関数としての、MFI値を記録した。EC50値(下記で列挙される)は、漸増濃度の3F9抗体の変異体を、ヒトSIRPAを過剰発現させるBWZ細胞へと添加することにより、相対親和性を割り当てる。受容体に結合した抗体は、細胞を、抗ヒトIgG PE二次抗体で染色することにより検出した。曲線は、Graphpad Prism 6ソフトウェアによる非線形回帰分析を使用してフィッティングした。マウス3F9およびヒト化親和性成熟抗SIRPA抗体による、細胞ベースの滴定実験は、ヒト化親和性成熟抗SIRPA抗体の、EC50値の改善を示し;2つの抗SIRPA抗体は、EC50値(mAb3F9-14=0.42nM、およびmAb3F9-22=0.49nM)の、抗SIRPA 3F9 mIgG1抗体に関して観察されるEC50値(0.72nM)と比較した、有意な改善を示した。下記の表12を参照されたい。
【0409】
実施例7
親和性成熟抗SIRPA抗体の、SIRPA抗原の変異体に対する交差反応性
ヒトSIRPAのCD47結合性ドメインは、高度に多型であり、これは、ヒト集団内で発現される、全てのSIRPA対立遺伝子変異体を認識することが可能な、CD47遮断抗SIRPA抗体の開発を妨げうる。実際に、ヒトSIRPAの、2つの最も一般的な対立遺伝子(v1およびv2)はまた、配列が最も多様でもあり、IgVドメイン内で、13の残基が異なる。CD47競合研究は、抗SIRPA抗体である、m3F9が、CD47リガンド結合部位と、顕著に異なる領域に結合することを解明したので、ヒトSIRPAのv1とv2との交差反応性のほか、種間反応性も検証して、毒性研究に関与性の動物モデルを決定するように、結合アッセイを実施した。
【0410】
ELISAアッセイでは、96ウェルImmulon HBXプレートを、表示の通り、所与の種の、HisまたはFcでタグ付けしたSIRPAにより、4℃(4C)、PBS中に1μg/mLで、一晩にわたりコーティングした。プレートを、PBS中に5%(w/v)のウシ血清アルブミンで、1時間にわたりブロックし、この後、PBS/0.05%Tween 20(PBS/T)で、3回にわたり洗浄した。希釈系列下の抗SIRPA抗体を、プレートへと添加し、室温で、2時間にわたりインキュベートし、この後、結合しなかった抗体を、PBS/Tを伴う洗浄により除去した。次いで、ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート抗マウスIgG、または抗ヒトカッパ軽鎖(Jackson Immunoresearch)を、ウェルへと添加し、30分間にわたりインキュベートした。結合しなかった抗体を、PBS/Tを伴う洗浄により除去し、この後、テトラメチルベンジジン(TMB)を使用して、結合した抗体を検出した。2NのHSOで、反応を停止させ、この後、プレートを、A450で読み取った。
【0411】
親のマウス3F9抗SIRPA抗体は、ヒトSIRPA-Fcのv1形およびv2形の両方に、同様のEC50値(それぞれ、0.695および0.789nM)で結合する。Hisでタグ付けしたヒト抗原に対する、見かけの親和性の、部分的な低下が観察されることから、Fcでタグ付けしたSIRPAへの、より大きなアビディティーの結合が示唆される。加えて、親のマウス3F9抗SIRPA抗体は、FcおよびHisでタグ付けした、カニクイザルSIRPAに対する、弱い交差反応性も裏付ける(EC50=1.09nM)。ラットSIRPAに対する、検出可能な結合は、観察されなかった。
【0412】
上記で記載した、親抗体の親和性成熟の後、2つ子孫抗SIRPA抗体である、mAb 3F9-14およびmAb 3F9-22を、SIRPA抗原の、同じパネルに対してスクリーニングして、交差反応性を評価した。抗SIRPA抗体である、m3F9の場合と同様に、ヒト化抗SIRPA抗体および親和性成熟抗SIRPA抗体のいずれも、ヒトSIRPAのv1およびv2に対する結合活性を保持したが、顕著に低値のEC50値を示したことから、上記で記載した、バイオセンサーによる測定および細胞結合アッセイにおいて観察された親和性の増大が確認される。ヒトSIRPAのv1およびv2に対する、親和性の増大にもかかわらず、抗SIRPA抗体である、3F9-14は、カニクイザルSIRPAに対する、弱い交差反応性を呈し;結合曲線は、抗SIRPA抗体である、m3F9に関して観察されるEC50値と同様のEC50値(EC50=0.879nM)をもたらした。これに対し、抗SIRPA抗体である、3F9-22は、カニクイザルSIRPAに対して、ヒトSIRPAの、いずれの変異体と同等の結合活性を裏付けた(EC50=0.107nM)。3F9-14抗体も、3F9-22抗体も、ラットSIRPAに結合しなかった(データは示さない)。結合曲線から計算されたEC50を、下記に列挙し、全ての抗SIRPA抗体が、ヒトSIRPAの対立遺伝子変異体のいずれにも結合したことを確立する。抗SIRPA抗体である、hu3F9-22だけが、カニクイザルSIRPAに、ヒトSIRPAへの結合と同様の親和性で結合した。下記の表13は、抗SIRPA抗体の、多様なSIRPAタンパク質に対するEC50値(nM)を示す。
同様のELISA実験を実施して、抗SIRPA抗体である、9C2(抗SIRPA抗体である、9C2のアミノ酸配列については、下記を参照されたい)および3F9について、異なるSIRPAタンパク質およびSIRPBタンパク質のパネルに対するEC50値を決定した。下記の表14は、これらの抗SIRPA抗体の、多様なSIRPAタンパク質に対するEC50値(nM)を示す。
【0413】
図1に示される、複数の種に由来する、SIRPAタンパク質の間の、高度な配列類似性を踏まえ、抗SIRPA抗体の子孫クローンを、多様な哺乳動物種に由来する、さらなるSIRPA抗原に対する交差反応性についてもまたスクリーニングした。プレートを、Fcでタグ付けしたマーモセットSIRPA(寄託番号:JAB51896)またはイヌSIRPA(寄託番号:XP005634938)またはウサギSIRPA(寄託番号:G1U0I5)でコーティングし、漸増濃度の抗SIRPA抗体である、hu3F9-14およびhu3F9-22と共にインキュベートした。抗SIRPA mAb 3F9-14およびmAb 3F9-22のいずれも、ヒトSIRPAに関して観察される親和性より低値の親和性によってであるが、マーモセットSIRPAおよびイヌSIRPAを認識した。例えば、3F9-14の、マーモセットSIRPAおよびイヌSIRPAへの結合についてのEC50値は、それぞれ、1.2nMおよび0.64nMであった。同様に、3F9-22の、マーモセットSIRPAおよびイヌSIRPAへの結合についてのEC50値は、それぞれ、4.3nMおよび0.83nMであった。抗SIRPA抗体クローンである、3F9-14も、3F9-22も、ウサギSIRPAには結合しなかった。
【0414】
実施例8
親和性成熟抗SIRPA抗体は、SIRPAおよびCD32A/Bを下方調節する
先行の実験は、抗SIRPA抗体である、m3F9が、SIRPAの表面発現を低減することにより、SIRPAへのCD47の結合を、非競合的にアンタゴナイズし、この結果として、マクロファージによる、腫瘍細胞の貪食を刺激する能力の、CD47遮断抗SIRPA抗体と比較した増大をもたらすことを確立した。親和性成熟抗SIRPA抗体を、マウス抗体に対する、同様の機能的特性の保持についてアッセイした。
【0415】
抗SIRPA抗体である、m3F9(マウスIgG1骨格上の)は、SIRPAおよびCD32A/Bを、Fc依存的に下方調節したので、親抗SIRPA抗体である、m3F9のFab配列を、野生型ヒトIgG1(3F9 huIgG1)、または重鎖内に、S267E/L328F突然変異(3F9-SELF)を保有する、ヒトIgG1 FcのFcドメインと融合させた、キメラ抗体を作製した。FcのSELF突然変異は、ヒトFcγR2B/CD32Bへの結合を、野生型ヒトIgG1 Fcと比べて、>100倍に増強する。ヒト単球を、健常ドナーの末梢血から単離し、ヒトM-CSFにより、in vitroにおいて、マクロファージへと分化させた。分化の後、huMacを採取し、漸増濃度のアイソタイプコントロールまたは可溶型抗SIRPA抗体と共に、96ウェル組織培養プレートへと播種し、37℃で、一晩にわたりインキュベートした。DyLight650コンジュゲート抗ヒトSIRPA抗体(クローンSA56)と、FITCで標識化された抗CD32A/B(FUN-2)とを使用して、フローサイトメトリーにより、SIRPAおよびC32A/Bの表面発現について、細胞を解析した。抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG1が、SIRPAおよびCD32A/Bの両方の、頑健な、用量依存的下方調節を呈したことは、かつての観察と符合した。しかし、キメラ抗SIRPA 3F9 huIgG1抗体は、受容体の下方調節力価の、マウス抗体と比較した低下(データは示さない)を示した。これらの結果は、抗体のFcドメインが、活性において、重要な役割を果たすことの、さらなる証拠をもたらした。SELF突然変異を、キメラ3F9のFcドメインへと操作すること(3F9-SELF)は、SIRPAおよびCD32A/Bを、抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG1に関して観察される、同様のレベルまで下方調節する能力を回復させた。この結果は、CD32A/Bが、マクロファージ上の、m3F9活性に重要な、共受容体として用いられることを確認する。
【0416】
初期の実験は、ヒトIgG4骨格へとグラフトされた、抗SIRPA抗体である、3F9のヒト化変異体が、機能活性を喪失したことを明らかにした。親和性成熟抗SIRPA抗体である、3F9変異体を、ヒトIgG1骨格上で作製し、SIRPAおよびCD32A/Bを、親抗SIRPA抗体である、m3F9、およびキメラ抗SIRPA抗体である、3F9 huIgG1と比較して下方調節する、それらの能力について査定した。SIRPAおよびCD32A/Bの発現は、抗SIRPA DyLight650(クローンSA56)、および抗CD32A/B FITC(クローンFUN2)により検出した。親和性成熟抗体である、3F9-14、3F9-18、3F9-20、および3F9-22は、SIRPAを、親抗SIRPA m3F9抗体(データは示さない)に関して観察されるレベルと同様のレベルまで下方調節した。しかし、同じ親和性成熟抗SIRPA抗体は、CD32A/Bの下方調節を、キメラ抗SIRPA 3F9 huIgG1抗体に関して観察される、CD32A/Bの下方調節と比較して、わずかに改善したに過ぎなかった。これらの結果は、抗体の、抗原に対する親和性の増強が、Fcの、標的受容体(すなわち、SIRPA)への依存性の下方調節は補償するが、FcγRとの、Fc媒介性相互作用は補償しないことを指し示した。
【0417】
Fc操作が、親和性成熟抗SIRPA抗体による、SIRPAの下方調節をさらに増強するのかどうかを決定するために、SELF点突然変異を、抗SIRPA 3F9-22 huIgG1抗体のFcドメインへと導入した。4例の健常ドナーに由来する初代ヒトマクロファージを、野生型ヒトIgG1 Fc、またはヒトIgG1 S267E/L328F Fc(SELF)を保有する、漸増濃度の、ヒト化抗SIRPA 3F9-22抗体で、一晩にわたり処置した。SIRPAの発現は、抗SIRPA DyLight650(クローンSA56)により検出した。血液ドナーを、qPCRにより、CD32A-R/H131多型について遺伝子型解析した。図8Aおよび8Bは、両方のFc変異体の活性を比較する、これらの実験の、典型的な結果を例示する。CD32A-H131の対立遺伝子について、ホモ接合性の個体の間では(ドナー516および517を、qPCRにより検証した)、抗SIRPA 3F9-22抗体の、両方のFc変異体は、SIRPAを、ヒトマクロファージ上で観察されるレベルと、同様のレベルへと、下方調節した(図8B)。この結果は、FcγR2Bへの結合の増強が、抗体媒介性の、SIRPAの下方調節を増強することができないことを指し示した。
【0418】
CD32A-H131およびCD32A-R131の、両方の対立遺伝子について、ヘテロ接合性の個体の間では、抗SIRPA 3F9-22 hIgG1 Fc変異型は、SELF Fc変異型(図8A)に関して観察される、SIRPAの最大下方調節より大きな、SIRPAの最大下方調節を示した。SIRPAの下方調節を増強するよりも、SELF Fcは、この機能を制限しうる。SELFの突然変異は、Fcの、CD32B、ならびにCD32A-R131対立遺伝子に対する親和性を増強することに注目されたい。ヒトマクロファージが、CD32Bより高レベルのCD32Aを発現させることを踏まえると、CD32A-R131を発現させる個体に由来するマクロファージは、抗SIRPA抗体である、3F9-22を、SIRPAまたはCD32Bから封鎖して、下方調節活性の最大値を制限する可能性がある。
【0419】
下記の表15は、ヒトマクロファージ細胞株である、U937上の、SIRPAおよびCD32の抗体媒介性下方調節の結果についての概要を提示する。これらの研究では、本開示の抗SIRPA抗体を、既に記載されている、抗SIRPA抗体である、KWAR23(国際特許出願公開第WO2015/138600号において開示されている)と比較した。表15に示される通り、本開示の抗SIRPA抗体は、U937細胞の、細胞表面における、SIRPAの発現を、68%~76%の間の、最大下方調節パーセントで、下方調節または低減した。比較のために述べると、抗SIRPA抗体である、KWAR23は、細胞表面における、SIRPAの発現を、9%下方調節することができただけであった。
【0420】
表15はまた、本開示の抗SIRPA抗体が、U937細胞内の、CD32の、細胞表面発現の下方調節または低減においても、有効であったことも示す。表に示される通り、本開示の抗SIRPA抗体は、これらの細胞における、CD32細胞表面発現を、49%~73%の間の最大下方調節パーセントで、下方調節または低減した。
【0421】
実施例9
親和性成熟抗SIRPA抗体は、マクロファージ内のSIRPAを分解する
抗体媒介性の、受容体の下方調節を、FACSにより測定することは、抗SIRPA抗体による標的への係合が、細胞表面発現を低下させることを確認する。内部化された受容体が分解され、その後、細胞表面へとリサイクルされるのかどうかを決定するために、ヒトマクロファージを、以下の通りに、ウエスタンブロット法により、全SIRPAタンパク質レベルについてアッセイした。単球由来初代ヒトマクロファージを、5μg/mlのアイソタイプコントロールまたは抗SIRPA3F9-22A330S/P331S(ASPS)Fc変異型で、一晩にわたり処置した。細胞を採取し、低温のPBSで洗浄し、HALTプロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤を補充した、RIPAバッファーにより、氷上で15分間にわたり溶解させた。溶解させた細胞を遠心分離して、膜画分をペレット化させ、全細胞溶解物を包摂する上清画分を回収した。図9Aに示される通り、アイソタイプコントロール抗体、または抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージに由来する、漸増量の細胞溶解物画分を、SDS-PAGEへとロードし、抗原特異抗体により、SIRPAタンパク質について免疫ブロットした。図9Aでは、細胞全体の溶解物5μg、10μg、および20μgを、SDS-PAGEへとロードし、抗SIRPA細胞質ドメイン(a-SIRPAct)により免疫ブロットした。予測される分子量のSIRPAを伴うバンドの泳動は、アイソタイプコントロールで処置されたマクロファージ内では検出されるが、抗SIRPA 3F9-22抗体で処置されたマクロファージ内では観察されない。同様の実験では、アイソタイプコントロールで処置されたマクロファージ、または抗体3F9-22 ASPS処置されたマクロファージに由来する細胞溶解物を、SDS-PAGEへとロードし、SIRPAと、SIRPAおよび他のITIM受容体と会合しうるチロシンホスファターゼである、SHP-2とについて免疫ブロットした。図9Bでは、細胞全体の溶解物20μgを、SDS-PAGEへとロードし、抗SIRPActおよび抗SHP2でプローブした。ブロットは、SIRPAのタンパク質レベルが、mAb 3F9-22処置により低下することを裏付ける。図9Bに示される通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22による刺激は、SIRPAの分解はもたらすが、SHP2の分解はもたらさない。
【0422】
実施例10
親和性成熟抗SIRPA抗体は、マクロファージ内の、腫瘍細胞に対する食作用を刺激する
先行の実験は、親和性成熟抗SIRPA抗体が、SIRPAおよびCD32A/Bを下方調節し、ヒトマクロファージ内のSIRPAの分解をもたらす能力を保持することを検証した。本発明の、親和性成熟抗体を、腫瘍細胞に対する食作用を誘導する能力についてアッセイした。初代ヒトマクロファージを、アイソタイプコントロールまたは3F9-22ヒトIgG1または3F9-22 SELFで、一晩にわたり処置して、抗体機能に対する、Fc依存的効果について評価した。pHrodoで標識化されたRaji細胞を、マクロファージと混合し、37℃で、2時間にわたりインキュベートした。食作用活性は、CD14/pHrodo二重陽性マクロファージのパーセントをカウントすることにより測定した。結果を、pHrodo/CD14二重陽性マクロファージ集団のパーセントの増大倍数として提示する。加えて、食作用後における、CD14の発現レベルも示す。図10Aに示される通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、Fc変異体のいずれも、Raji細胞に対する食作用を、アイソタイプコントロールで処置されたマクロファージと比べて増強した。抗体である、3F9-22 SELFは、抗体である、3F9-22 huIgG1と比較して、より大きな食作用を誘導すると考えられたが、この差違は、統計学的有意性に到達しなかった。加えて、抗SIRPA 3F9-22の、いずれのFc変異体も、CD14の発現を、貪食活性およびマクロファージ活性化状態の、同様の誘導を指し示す、同様のレベルまで下方調節した。
【0423】
アンタゴナイズ性の、SIRPA-CD47シグナル伝達軸の顕著な符牒は、オプソニン化された腫瘍細胞に対する、抗体依存的食作用の増強である。図10Bでは、オプソニン化抗CD20 huIgG1の添加を伴うか、または伴わない、Raji細胞に対する食作用を、抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージ上で評価した。アイソタイプコントロールで処置されたマクロファージ内では、抗CD20 huIgG1による、Raji細胞のオプソニン化は、腫瘍細胞の食作用を、オプソニン化されていないRaji細胞と比較して、約50%増強する。結果を、pHrodo/CD14二重陽性マクロファージ集団のパーセントとして提示する。既に示した通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22 SELFまたは3F9-22 ASPSで刺激されたマクロファージは、オプソニン化されていないRaji細胞に対する食作用を、アイソタイプコントロールで処置されたマクロファージと比べて、約30~40%増強した。同様に、抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージは、オプソニン化されたRaji細胞に対する食作用を、抗CD20と混合されたコントロールで処置されたマクロファージと比べて、約30%増強した。抗CD20でオプソニン化されたRaji細胞の、抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージへの添加は、食作用に対して、オプソニン化されていないRaji細胞と混合された、コントロールで処置されたマクロファージに関して観察される食作用と比べて、約2倍の増大を伴う相加効果を示した。抗体である、3F9-22の、いずれのFc変異体も、腫瘍細胞に対する食作用を誘導したが、SELF Fc変異型は、ASPS Fc変異型より大きな、統計学的に有意な貪食活性を呈した。これらの結果は、本開示の、親和性成熟抗SIRPA抗体が、SIRPA-CD47経路をアンタゴナイズすることにより、マクロファージ内の、腫瘍細胞に対する食作用を増強することを確認した。
【0424】
下記の表16は、ヒト初代マクロファージ内の、SIRPAおよびCD32の、抗体媒介性下方調節について決定された、IC50値の概要を提示する。加えて、表16は、ヒト初代マクロファージ内の、本開示の、多様な抗SIRPA抗体と関連する食作用の増大倍数を示す。これらの研究では、本発明の抗SIRPA抗体を、既に記載されている、抗SIRPA抗体である、HEFLB(国際特許出願公開第WO2017/178653号において開示されている)と比較した。表16に示される通り、本開示の、抗SIRPA親和性成熟抗体は、抗SIRPA 3F9 huIgG1抗体に関して観察されるIC50値と比較して、低値のIC50値を有する。加えて、抗SIRPA抗体である、3F9-14、3F9-18、3F9-20、および3F9-22は、抗SIRPA抗体である、HEFLBより低値のIC50値を示した。同様に、本開示の抗SIRPA抗体は、抗SIRPA抗体である、HEFLBと比較して、良好な食作用活性を示した。
【0425】
実施例11
親和性成熟抗SIRPA抗体は、M1マクロファージ内およびM2マクロファージ内の、腫瘍細胞に対する食作用を刺激する
マクロファージは、微小環境のキューに応答して、深甚な表現型の形質転換を経、顕著に異なる、炎症促進性(M1)表現型、または抗炎症性(M2)表現型を獲得する。本開示の抗SIRPA抗体を、恒常性(M2様)マクロファージ内、および炎症性(M1様)マクロファージ内で、腫瘍細胞に対する食作用を誘導する、それらの能力について査定した。Ficoll上の密度勾配遠心分離を使用して、健常ボランティアの血液から、単球を単離した。単球を、GM-CSF(800U/ml;Peprotech)またはM-CSF(25ng/ml;Peprotech)の存在下で、6日間にわたり培養することにより、M1様マクロファージおよびM2様マクロファージを作出した。極性化したマクロファージを、アイソタイプコントロール抗体、または抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異体で、一晩にわたり処置した。オプソニン化抗CD20 huIgG1を伴うか、または伴わない、蛍光標識化されたRaji細胞を、37℃で、2時間にわたり、マクロファージと混合した。代替的に、抗CD47 IgG4(クローンhu5F9)単独により、または抗CD47 huIgG1および抗CD20 huIgG1により、Raji細胞をオプソニン化し、非処置マクロファージへと添加した。食作用活性は、CD14/pHrodo二重陽性マクロファージのパーセントをカウントすることにより測定した。
【0426】
図11Aに示される通り、抗体である、3F9-22の、両方のFc変異体で処置されたM2様マクロファージは、腫瘍細胞に対する食作用を、コントロールで処置されたマクロファージと比べて増強した。SELF Fc変異型抗体が、オプソニン化されていないRaji細胞、およびオプソニン化されたRaji細胞に対する食作用の、抗体である、3F9-22 huIgG1と比較して、統計学的に有意な、より大きな増大を示したことは、前出でなされた観察と符合する。さらに、抗SIRPA抗体である、3F9-22 SELFで処置されたM2様マクロファージは、オプソニン化されていないRaji細胞、およびオプソニン化されたRaji細胞に対する食作用を、抗CD47 IgG4で処置されたRaji細胞と、同様の程度まで増強した。
【0427】
GM-CSFの存在下で培養された単球から分化した、M1様マクロファージは、MCSF由来のM2様マクロファージと異なる特性を有する。例えば、GM-CSF由来のM1様マクロファージは、CD14、CD32A/B、およびSIRPAの発現を低下させる。加えて、M1様マクロファージは、オプソニン化されていないRaji細胞を、同じ健常ドナーに由来するM2様マクロファージ(図11B)より、高比率で貪食すると考えられる。いずれかの抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異体で刺激したところ、M1様マクロファージは、オプソニン化されていないRaji細胞に対する食作用を、コントロールで処置されたマクロファージと比べて、約50%増大させた。Raji細胞の、抗CD20 huIgG1によるオプソニン化は、抗体である、3F9-22で処置されたM1様マクロファージによる食作用に対する相加効果を示すことができず、これは、M2様マクロファージに対してなされた観察と対照的である。同様に、抗CD20 huIgG1を伴うか、または伴わない、抗CD47 IgG4でオプソニン化されたRaji細胞もまた、M1様マクロファージへと添加された場合、食作用を、ベースラインレベルを上回って増大させることができなかった(図11B)。GM-CSF由来のマクロファージは、FcgRの発現を下方調節したので、これらの細胞は、抗体依存性食作用を媒介する、低度の可能性を所有しうる。これらの結果はまた、抗SIRPA抗体である、3F9-22が、SIRPAをアンタゴナイズすることにより、M1マクロファージ内およびM2マクロファージ内の両方における食作用を誘導するように機能するのに対し、抗CD47抗体は、食作用を誘導するのに、M2様マクロファージ上の、FcgRの係合を要求する、オプソニン化剤として、主に機能することも示唆した。
【0428】
実施例12
併用療法は、親和性成熟抗SIRPA抗体の抗腫瘍活性を増強する
腫瘍始原細胞(TIC)またはがん幹細胞(CSC)と称する、がん細胞の小さなサブセットは、自己再生し、腫瘍バルクを維持する能力を有する、自律的がん細胞のレザバーを形成する。証拠は、ヒト固形腫瘍細胞およびCSCが、免疫監視機構を逃避ように、CD47の発現を上方調節し、腫瘍細胞の増殖および転移を可能とすることを示唆する。がん細胞が、三次元の球状細胞クラスターとして増殖する、腫瘍塊培養モデルは、CSCの自己再生能を解析し、in vivoにおける細胞の増殖状態を、良好にシミュレートするのに、広く使用されている。腫瘍塊の形成は、上皮増殖因子および塩基性線維芽細胞増殖因子などの増殖因子を補充された無血清培地中の、超低付着性プレート上で、がん細胞を培養することに基づく。腫瘍塊の、初代ヒトマクロファージを伴う共培養は、抗SIRPA抗体の、単剤としての、または他の抗腫瘍治療と組み合わせた、腫瘍細胞の生存についての評価を可能とする。
【0429】
MDA-MB-231細胞株は、腫瘍塊を形成することが、既に示されている、十分に特徴づけられた、ヒトトリプルネガティブ乳がん細胞株である。共培養アッセイにおいて、腫瘍細胞の生存率を測定するために、ルシフェラーゼおよびGFPの構成的発現のためのレンチウイルスを、MDA-MB-231細胞へと形質導入した(MB231-Luc)。腫瘍塊の形成のために、ウェル1つ当たりのMB231-Luc細胞10,000個を、96ウェルプレートの、ヘパリンおよびヒドロコルチゾンを補充された、StemXVivo Serum-Free Tumorsphere Media(R&D Systems)中に播種した。Tumorsphere培地にはまた、マクロファージの生存を支援するように、MCSFも補充した。MB231-Lucを、単独で、またはウェル1つ当たりのマクロファージ50,000個の存在下で、2~3日間にわたり培養した。腫瘍細胞生存率は、各ウェルへと添加されたOneGlo試薬(Promega)により、ルシフェラーゼ活性を測定し、試料を、プレートシェーカー上、室温で、3分間にわたりインキュベートすることにより定量した。発光シグナルは、GEN5(商標)2.04ソフトウェアを使用する、BioTek Synergy(商標)Microplate Readerにより検出した。
【0430】
ルシフェラーゼを構成的に発現させる、MDA-MB-231乳がん細胞を、MCSFを補充された、無血清Tumorsphere培地中、単独で、またはヒトマクロファージの存在下で培養した。細胞を、37℃、抗SIRPA抗体である、3F9-22を伴うか、または伴わない、抗EGFR(2ug/mL)、抗PDL1(2ug/mL)、またはパクリタキセル(0.5uM)で、2日間にわたり処置した。比較として、単独の、またはマクロファージの存在下における腫瘍細胞を、抗CD47 IgG4で処置した。腫瘍細胞生存率は、OneGlo基質試薬により、ルシフェラーゼ活性を測定することにより定量した。図12Aに示される通り、MB231-Luc細胞の、マクロファージを伴うか、または伴わない培養物中の増殖は、発光値に基づいた。MB231-Luc細胞が、マクロファージの存在下で、腫瘍塊を形成したところ、抗SIRPA抗体である、3F9-22だけが、腫瘍細胞の生存を阻害した。この結果は、マクロファージが、腫瘍の生存に最適化された培養条件下で、腫瘍殺滅可能性を保持することを裏付けた。同様の条件下で、抗CD47 IgG4は、MB231-Lucの生存を、顕著に阻害しなかった。
【0431】
この腫瘍塊生存率アッセイにおいて、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、単剤の有効性を検証した後で、組合せ処置の効果を示す、さらなる研究を実施した。腫瘍細胞の生存は、培地中に存在するEGFに依拠するので、MB231-Luc細胞を、単独で培養する場合、抗EGFR遮断抗体の添加は、腫瘍増殖の深甚な阻害を示した。非処置マクロファージの存在下では、抗EGFR抗体の抗腫瘍活性は、増強されなかった。しかし、抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージは、抗EGFR抗体の抗腫瘍活性を、統計学的に有意な程度に強化した。同様の培養条件下で、抗PDL1抗体は、マクロファージの存在に関わらず、頑健な腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することにより、予測外の表現型を顕示した。MB231-Luc細胞の生存率はまた、複数のがんを処置するのに、一般に使用される、微小管安定化化学療法剤である、500nMのパクリタキセルへと曝露された場合にも低減された。パクリタキセルの、抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたマクロファージとの組合せもまた、腫瘍細胞生存率の、統計学的に有意な低減を示す。これらの結果は、本開示の抗SIRPA抗体が、腫瘍細胞のオプソニン化を越えて、多様な作用機構により機能する、抗腫瘍治療の活性を増強することを裏付けた。
【0432】
ルシフェラーゼを構成的に発現させる、MDA-MB-231乳がん細胞を、MCSFを補充された、無血清Tumorsphere培地中、またはMCSF+IL-4+IL-10中、単独で、またはヒトマクロファージの存在下で培養した。表示の通り、細胞を、37℃、抗SIRPA抗体である、3F9-22、または抗CD47 IgG4で、3日間にわたり処置した。腫瘍細胞生存率は、ルシフェラーゼ基質を含有する、OneGlo試薬を添加した後における発光値を測定することにより定量した。状況により、MB231-Luc細胞と共培養された、健常ボランティアに由来する、単球由来マクロファージは、処置を伴わずに、腫瘍細胞の生存を阻害する(図12B)。MB231-Luc細胞と共に共培養されたマクロファージが、より腫瘍様の、免疫抑制性の表現型を取ることを確認するために、Tumorsphere培地に、IL-4およびIL-10を補充した。図12Bに示される通り、単独で培養された増殖したMB231-Luc細胞は、MCSFまたはMCSF+IL-4およびIL-10を補充された培地中でも、同様に良好に増殖した。しかし、MCSFだけを補充された培地中では、ドナー570に由来するマクロファージは、腫瘍細胞の生存率を、統計学的に有意な程度に低減した。この阻害は、IL-4およびIL-10を添加することにより抑制されたことから、異なる培養戦略が、腫瘍細胞の増殖をモジュレートするように、マクロファージを極性化することが裏付けられる。重要なことは、抗SIRPA抗体である、3F9-22による、マクロファージの処置が、いずれの増殖条件下でも、腫瘍細胞の生存率を顕著に低下させたことである。
【0433】
実施例13
親和性成熟抗SIRPA抗体は、T細胞の増殖を増強する
T細胞は、抗原提示細胞(APC)と共に、免疫シナプスを形成して、T細胞の活性化および増殖を誘発する。T細胞上の、CD47の発現は、SIRPAを介して、APCへと阻害性シグナルを伝達することにより、活性化に対抗しうる。しかし、T細胞はまた、APC上で発現されたCD47に結合することが可能な、SIRPファミリーの別のメンバーである、SIRPGも発現させる。SIRPG(T細胞)-CD47(APC)間の相互作用は、免疫シナプスを安定化させ、T細胞の活性化および増殖を促進することが示されている。抗CD47抗体は、SIRPAを介して送達される阻害性シグナルを遮断するが、抗CD47抗体はまた、SIRPGの結合に由来する刺激効果も遮断するので、有効な抗腫瘍T細胞応答を及ぼすのに有害であることが分かる場合がある。したがって、アンタゴニスト性抗SIRPA抗体は、免疫シナプス内の、極めて重要な相互作用を破壊せずに、SIRPAシグナル伝達を阻害することにより、この潜在的な欠点を回避する。この仮説を検証するために、抗SIRPA抗体を、1元MLRアッセイおよび2元MLRアッセイにおいて査定した。
【0434】
MLRアッセイの原理は、1つのドナーに由来するAPC、通例は、DCが、MHC分子上において、ペプチドを、別個のドナーから単離されたT細胞へと提示することである。T細胞の小画分は、MHC:ペプチド複合体を認識することが可能なTCRを発現させ、共刺激時に増殖するであろう。この1元MLRでは、1つのドナーに由来する細胞は、抗原提示に関与し、別のドナーに由来する細胞は、増殖することにより応答する。2元MLRでは、両方のドナーが、APCおよび反応するT細胞に寄与するので、2つの別個のT細胞集団が、増殖することにより応答する。
【0435】
まず、抗SIRPA抗体の、T細胞の増殖に対する効果を、2元MLRアッセイにおいて評価した。PBMCを、健常ドナーから単離し、漸増濃度の、3F9-22 Fc変異体またはアイソタイプコントロールの存在下で、3日間にわたり共培養した。T細胞の増殖は、細胞数の指標としての、代謝的に活性の細胞の存在を定量することにより推定した。代謝活性は、存在するATPの量に比例する発光シグナルを発生させる、CellTiter Glo試薬(Promega)により定量した。図13Aに示される通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22で処置されたPBMCは、発光の、アイソタイプで処置されたPBMCと比べた、約1.5倍の増大を示し、これは、T細胞増殖の増大を示唆した。前出で記載された食作用アッセイに対し、抗体である、3F9-22 huIgG1 Fc変異型は、T細胞の増殖を、SELF Fc変異型より有効に刺激する傾向にあった。
【0436】
抗SIRPA抗体である、3F9-22について観察された発光の増大が、抗SIRPA抗体について特異的であるのかどうかを決定するために、抗CD47抗体を伴う、2元MLRアッセイを繰り返した。2例の健常ドナーに由来するPBMCを単離し、各ドナーに由来する細胞100,000個ずつを、漸増濃度の被験抗体またはアイソタイプコントロール抗体と併せて混合した。細胞増殖は、3日間にわたる共培養物の後で、CellTiter Glo試薬により測定した。図13Bに示される通り、抗SIRPA抗体である、3F9-14 huIgG1および3F9-22 huIgG1、ならびにASPS Fc変異体は、発光シグナルを、アイソタイプコントロール抗体により処置されたPBMCに関して観察される発光シグナルと比べて、約70%増大させた。SELF Fc上の抗SIRPA抗体(3F9-14 SELFおよび3F9-22 SELF)は、同じ条件下のコントロールと比べて、発光シグナルを増大させることができなかったことから、抗体機能に対する、別のFc依存的効果が確立される。抗体である、3F9-22 huIgG1とは対照的に、抗CD47処置は、発光の、約10%という、わずかな増大を示した。まとめると、2元MLR実験からの結果は、SIRPAを、抗SIRPA抗体である、3F9-22 huIgG1でアンタゴナイズすることが、T細胞の増殖を促進することを示唆した。
【0437】
2元MLRにおける、代謝活性の定量は、T細胞増殖の、間接的な測定であるので、より従来型の、1元MLRアッセイを実施して、抗SIRPA抗体である、3F9-22 huIgG1に関して観察される刺激効果を確認した。初代ヒト樹状細胞(DC)は、健常ドナーの単球から導出し、CFSE染料で標識化された同種異系T細胞と共に、1:5の比で共培養した。樹状細胞を、抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異体、もしくは抗CD47(hu5F9)、またはアイソタイプコントロール抗体で処置し、37℃で、5日間にわたりインキュベートした。T細胞の増殖は、T細胞を、抗CD3 APCで染色し、CFSE-low集団についてゲートをかけることにより測定した。図14Aは、抗体である、3F9-22 huIgG1または3F9-22 ASPSで処置された、異なるドナーに由来するDCが、T細胞の増殖を、アイソタイプ、または抗CD47で処置されたDCと比べて、約50%増大させたことを示す。このT細胞増殖の増大は、2元MLRにおいて、抗体である、3F9-22 huIgG1で処置されたPBMCに関して観察される発光の増大と比例する。図14Bは、図14Aに提示されたデータについての、代表的なFACSプロットを示す。したがって、1元MLRおよび2元MLRからの結果は、SIRPG-CD47間の相互作用を遮断せずに、抗SIRPA抗体である、3F9-22 huIgG1で、SIRPAをアンタゴナイズすることは、T細胞の増殖を促進することを示唆した。
【0438】
実施例14
親和性成熟抗SIRPA抗体は、炎症促進性サイトカインの放出を増強する
抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異体の活性を、さらに差別化するために、2例の健常ボランティアに由来する、初代ヒトマクロファージを、抗SIRPA抗体である、3F9-22またはアイソタイプコントロール抗体と組み合わせた、ある用量のLPSで、一晩にわたり刺激した。図15Aでは、2例の健常ドナーに由来する、初代ヒトマクロファージを、37℃、抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異型またはアイソタイプコントロール抗体と組み合わせた、0.5ng/mLのLPSで、一晩にわたり刺激した。上清画分を回収し、ELISAにより、TNFαレベルについて解析した。図15Bでは、初代ヒトマクロファージを、37℃、漸増濃度の抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異型またはアイソタイプコントロール抗体と組み合わせた、0.5ng/mLのLPSで、一晩にわたり刺激した。上清画分を回収し、ELISAにより、TNFαの放出について解析した。図15Aおよび図15Bに示される通り、抗体である、3F9-22 ASPSで共刺激されたマクロファージは、TNFα分泌の、アイソタイプコントロール抗体、または抗体である、3F9-22 SELFで共刺激された細胞と比べた、顕著な増大を呈した。抗体である、3F9-22 SELF Fc変異型は、最小の共刺激活性を示した。抗SIRPA抗体の滴定は、抗体である、3F9-22 huIgG1およびASPS変異体が、LPSでプライミングされたマクロファージによるTNFαの放出を、用量依存的に明白に増進させたのに対し、抗体である、3F9-22 SELFは、TNFα応答の低下を、大きな変動を伴って示すという、同様のパターンを示した。これらの結果は、非CD47遮断抗SIRPA抗体が、SIRPAを、Fc依存的にアンタゴナイズして、ITIMシグナル伝達を、阻害から解放することを裏付けた。
【0439】
実施例15
抗SIRPA抗体の結合部位についてのエピトープマッピング
抗SIRPA抗体のエピトープマッピングは、ヒトSIRPA cDNA配列の、ショットガン突然変異誘発により創出された、アラニンスキャニングライブラリーを使用して実施した。C末端のV5エピトープタグをコードする、SIRPAの発現コンストラクトを、ハイスループットアラニンスキャニング突然変異誘発(DavidsonおよびDoranz、2014、Immunology、143、13~20において概括されている)にかけて、包括的な突然変異ライブラリーを作出した。SIRPAの細胞外ドメイン(配列番号1のアミノ酸31~374)を表す残基の各々を、大半は、アラニンへと突然変異させる一方で、アラニンコドンは、セリンへと突然変異させた。
【0440】
HEK-293T細胞に、384ウェルマイクロプレート内にアレイ化されたSIRPA突然変異体ライブラリークローンを、個別にトランスフェクトし、22時間にわたりを発現させた。抗体を消化して、Fabを作出し、この後、細胞を、10%の正常ヤギ血清(NGS)(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)中で希釈されたFabと共にインキュベートした。ライブラリースクリーニングの前に、独立の免疫蛍光滴定曲線を、野生型SIRPAを発現させる細胞に対して使用して、シグナルが、直線的な検出範囲内にあることを確認するように、初期Fab濃度を決定した。Fabは、10%のNGS中に、7.5μg/mlのAlexaFluor488コンジュゲート二次抗体(Jackson ImmunoResearch Laboratories、Westgrove、PA)を使用して検出した。細胞を、PBSで、2回にわたり洗浄し、0.1%のBSA(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を伴うCellstripper(Cellgro、Manassas、VA)中に再懸濁させた。場合によって、pHの増大、温度の上昇、および増大させた解離時間の延長を含む、高厳密性の条件を使用した。平均値細胞蛍光は、Intellicytハイスループットフローサイトメーター(HTFC、Intellicyt、Albuquerque、NM)を使用して検出した。Fabの、各突然変異体クローンに対する反応性は、モックトランスフェクトコントロールによるシグナルを控除することにより、野生型SIRPAタンパク質の反応性と比べて計算し、野生型SIRPAトランスフェクトコントロールによるシグナルに照らして正規化した。
【0441】
ライブラリークローン内の突然変異残基は、被験Fabの反応性を支援しないが、市販の参照抗体である、MAB4546(R&D Systems)、またはさらなる抗SIRPA Fabの反応性を支援する場合、Fab結合性エピトープにとって、「極めて重要」であると同定された。この対抗スクリーニング戦略は、局所的にミスフォールドするか、または発現の欠損を示す、SIRPA突然変異体の除外を容易とした。
【0442】
抗SIRPA抗体である、9C2については、国際特許出願第PCT/US2017/65366号に記載されている。
mAb 9C2:重鎖可変ドメイン配列
EFQLQQSGAELVKPGASVKISCKASGYSLTGYNMNWVKQSRGKSLEWIGNINPHYGSSTYNQNFKDKATLTVDKSSSAAYMQFNSLTSEDSAVYYCAREGYDGVFDYWGQGTTLTVSS(配列番号45)
mAb 9C2:軽鎖可変ドメイン配列
QIVLSQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSYMHWYQQKPGSSPKPWIYVTSNLASGVPTRFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWSSNPRTFGGGTKLEIK(配列番号46)
【0443】
下記の表17は、スクリーンにおいて、極めて重要であると同定された、全ての残基について、平均値結合反応性および範囲を描示する。主要な、極めて重要な残基は、突然変異が、被験抗体による結合について陰性である(野生型への結合の30%未満である)が、コントロール抗体については陽性である(野生型の80%超である)残基として規定した。図16は、抗SIRPA抗体である、3F9および9C2による結合に、極めて重要な残基を、影を付した球体として強調する、SIRPAについての結晶構造モデル(PDB ID 2WNG;Hatherleyら、2009、J Biol Chem、284:26613~9)を描示する。
【0444】
表18に表示の通り、抗SIRPA抗体3F9による結合に関与する、極めて重要なSIRPA残基は、上記に示された、ヒトSIRPA v1配列のアミノ酸残基R282、Q284、およびG337を含む。抗体9C2(国際特許出願第PCT/US2017/65366号に開示されている)による結合に関与する、極めて重要なSIRPA残基は、上記で開示された、ヒトSIRPA v1配列のアミノ酸残基Q281、R282、Q284、L285、W287、R295、E297、V302、およびW315を含む。これらの残基は、SIRPAについての学術文献では、D3ドメインと称され、ヒトSIRPA v1配列のアミノ酸254~348に対応する、SIRPAの膜近位Igドメイン内にある。複数の、公表された報告は、ヒトSIRPAのD3ドメインが、コレクチンファミリー内のパターン認識分子、すなわち、サーファクタントプロテインDおよびサーファクタントプロテインA(それぞれ、Sp-DおよびSp-A)に結合することを裏付ける。
【0445】
実施例16
抗SIRPα抗体は、同系腫瘍モデルにおいて、チェックポイント阻害剤の抗腫瘍活性を増強する
SIRPA-CD47経路をターゲティングする治療抗体は、概念実証研究のために、免疫不全NODマウスまたは免疫不全NOGマウスが、植え込まれたヒトがん細胞の増殖を維持する、異種移植腫瘍モデルに依拠しうる。NODマウスにより発現される、マウスSIRPAの対立遺伝子変異体は、ヒトCD47に結合するので、この相互作用は、ヒト細胞の、マウス宿主への移植を可能とする。しかし、NOD SIRPAは、ヒトCD47に、ヒトSIRPAより大きな親和性で結合するため、これらのマウスはまた、経路の役割を誇張する場合もある。さらに、マウスの免疫不全株内の、PrkdcSCID突然変異およびIL2RγNull突然変異は、T細胞、B細胞、およびNK細胞を消失させるので、骨髄細胞および自然免疫系を、腫瘍の増殖を阻害するために利用可能な、唯一のエフェクター細胞とする。腫瘍の異種移植モデルは、抗腫瘍獲得免疫応答をプライミングまたは増強するように、自然免疫細胞をターゲティングする治療についての精査を可能としない。したがって、本開示のヒト抗SIRPA抗体を、免疫コンピテント動物宿主の文脈で査定するために、ヒトSIRPAおよびヒトCD47のための遺伝子を、C57BL6/Jマウス株へと導入した。
【0446】
略述すると、UCSCゲノムブラウザー、およびNCBIによるCloneDBを使用して、関与性のヒト遺伝子調節エレメントを含むように、フランキング配列を伴う、ヒトSIRPAをコードする核酸、またはヒトCD47をコードする核酸を保有する、細菌人工染色体(BAC)を同定した。ヒトSIRPA遺伝子のコード配列を含有することが予測される、1つのBACクローン(BACRP11-636L228)を同定した。ヒトCD47遺伝子のコード配列を含有することが予測される、別のBACクローン(BACRP11-671F8)を同定した。次いで、標準的な前核注入法を使用して、精製BAC DNAを、マウスC57BL6/J接合子へと注入することにより、目的のBACクローンを保有するマウスを作出した。接合子を、雌マウスへと戻し、結果として得られる仔マウスを、所望の導入遺伝子の存在について遺伝子型解析した。次いで、導入遺伝子を含有する初代動物を、非トランスジェニック動物と交配させ、標準的な技法を使用するPCRにより、加えて、動物に由来する末梢血細胞のFACS染色により、子孫を、導入遺伝子の発現についてスクリーニングした。ヒトSIRPAおよびヒトCD47の両方を発現させる「ヒト化」マウスを作製するために、各個別の目的の遺伝子を保有する、BACトランスジェニックマウスを交雑させた。
【0447】
上記で記載した通り、ヒトSIRPAおよびヒトCD47を発現させるように操作されたマウスに加えて、また、同系腫瘍細胞株も、マウスCD47を、ヒトCD47で置きかえるように操作した。略述すると、CRISPR-Cas9技術を利用して、Cas9/ガイドRNA(gRNA)複合体を、MC38標的細胞へと導入した。標的領域(マウスCD47のエクソン2)における、Cas9/gRNA媒介性インデル形成は、フレームシフトおよび/または未成熟終止を結果としてもたらし、これにより、内因性のマウスCD47遺伝子の発現をノックアウトした。gRNAおよびCas9をトランスフェクトした後で、シーケンシングにより、単一細胞由来クローンをスクリーニングし、所望の突然変異を含有する、ホモ接合性クローンを拡大した。図17A(上パネル)に示される通り、抗マウスCD47抗体で染色された、親MC38細胞およびマウスCD47ノックアウト細胞株(MC38-mCD47 KO)についてのFACS解析は、これらの操作細胞内の、マウスCD47の発現の喪失を確認する。その後、ヒトCD47遺伝子のインサートを含有するレンチウイルスを、MC38-mCD47 KO細胞へと形質導入した。MC38-mCD47 KO-huCD47+細胞を、ピューロマイシンにより選択し、拡大した。図17A(下パネル)は、選択された細胞集団内の、ヒトCD47の発現を検証する、FACSヒストグラムを示す。
【0448】
本開示の抗SIRPA抗体の抗腫瘍効果を、MC38-mCD47 KO-huCD47+細胞を生着させた、huSIRPA/huCD47 BACtgマウスによるマウス結腸癌モデルを、T細胞チェックポイント阻害剤と組み合わせて、in vivoにおいて使用して査定した。これらのマウスの右脇腹に、MC38細胞500,000個を皮下注入した。細胞移植の約10日後に、マウスを、群へと無作為化するか、または腫瘍が、80mmの平均体積に達したら、抗体療法を開始した。マウスには、抗SIRPA抗体(ant-SIRPA antibody)である、3F9 mIgG1、または抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG2Aの、10mg/kgで、毎週2回ずつの腹腔内(IP)注射を、最適未満用量である、5mg/kgの、抗マウスPDL1抗体(クローン10F.9G2、Bioxcell)と組み合わせて、3週間にわたり施された。腫瘍が、約2000mmの体積に達したら、動物を屠殺した。
【0449】
図17Bは、マウスCD47の発現を欠き、ヒトCD47を過剰発現させる(MC38-mCD47KO/huCD47+)ように操作されたMC38細胞を、皮下に植え込まれた、huSIRPa/huCD47BACトランスジェニックマウスについての平均腫瘍増殖曲線を示す。マウスを、表示の通りに、アイソタイプコントロール抗体、抗マウスPDL1抗体、抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG1+抗マウスPDL1抗体、または抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG2A+抗マウスPDL1抗体で処置した。腫瘍が、80mmの平均に達したら、処置を開始した。図17Bに示される通り、抗PDL1抗体による処置は、腫瘍増殖を、アイソタイプコントロール抗体による処置された動物と比べて、20%阻害したが、これは、統計学的有意性を達成しなかった。しかし、抗PDL1抗体の、抗SIRPA抗体である、3F9 mIgG1、または抗SIRPA抗体(ant-SIRPA antibody)である、3F9 mIgG2Aとの併用療法は、これらの動物における腫瘍増殖を、それぞれ、40%および47%と、さらに阻害した。図17Cは、処置群内の各動物の腫瘍体積についてのスパゲッティプロットを示す。併用療法処置群内の、大半の動物では、少数の応答不良例を除き、腫瘍体積が、1000mmを超えなかったのに対し、アイソタイプコントロール群内、または抗PDL1抗体単剤療法群内の、何匹かの動物の腫瘍は、2000mmの限界に到達した。
【0450】
これらの結果は、本開示の抗SIRPA 3F9抗体が、ヒトSIRPA-CD47経路をコードする、免疫コンピテント動物モデルにおいて、チェックポイント阻害剤の抗腫瘍活性を増強するのに有効であることを裏付けた。これらの結果は、本開示の抗SIRPA抗体が、チェックポイント阻害剤の抗腫瘍活性を増強するために有用であることを指し示した。したがって、本開示の抗SIRPA抗体は、チェックポイント阻害剤療法と組み合わせて使用される場合に、がんを処置するのに有効である。
【0451】
実施例17
抗SIRPα抗体は、マウス同系腫瘍内の、腫瘍浸潤性骨髄細胞上における、SIRPAの発現を下方調節する
前出の実施例は、本開示の抗SIRPA抗体の抗腫瘍活性を、ヒトSIRPA/CD47 BACトランスジェニックマウスにおいて裏付けた。抗腫瘍活性が、腫瘍内のマクロファージ上の、SIRPAの、抗体媒介性下方調節と相関したことを検証するために、薬物投与後において、腫瘍骨髄細胞を特徴づけた。
【0452】
ヒトSIRPA/huCD47 BACトランスジェニックマウスの右脇腹の皮下に、MC38-mCD47 KO/huCD47+細胞500,000個を植え込んだ。マウスにおける腫瘍が、約400mmの平均体積へと増殖してから、抗体の投与を行った。マウスは、抗SIRPA抗体である、3F9-22 mIgG2Aの、3mg/kg、10mg/kg、または30mg/kgで、3日間を隔てて、2回にわたる、IP注射を施された。コントロールマウスは、mIgG2Aアイソタイプの、10mg/kgで、2回にわたるIP注射を施された。腫瘍組織および脾臓は、抗体の、2回目の投与の、1日、4日、および8日後に、マウスから採取した。脾臓は、70μmの細胞ストレイナーを介する、機械的解離により、単一細胞懸濁液へと加工した。次いで、細胞を、PBSで洗浄し、赤血球を、ACK溶解バッファーで溶解させた。その後、細胞を、PBS/2%FBSからなるFACSバッファー中に再懸濁させ、染色のために調製した。同様に、腫瘍組織も、酵素的解離、およびgentleMACS(商標)Dissociator(Miltenyi Biotec)を伴う機械的解離により、単一細胞懸濁液へと加工した。組織ホモジネートを、70μmの細胞ストレイナーを通して濾過し、染色のために、PBS/2%FBSからなるFACSバッファー中に再懸濁させた。細胞は、以下のパネルに従い染色した。
【0453】
図18Aは、時間経過にわたる、腫瘍浸潤性骨髄細胞(単球およびマクロファージ)上の、SIRPA発現の相対変化を示す。腫瘍関連マクロファージを、CD45+ CD11b+ F4/80+ Ly6C- Ly6G-細胞として規定したのに対し、腫瘍浸潤性単球は、CD45+ CD11b+ F4/80- Ly6C+ Ly6G-細胞として規定した。アイソタイプコントロール抗体を投与された動物と比較して、抗SIRPA抗体を投与された動物は、抗体投与の1日後の、腫瘍内の単球上および腫瘍内のマクロファージ上の両方の、細胞表面におけるSIRPAの発現の、ほぼ80%の低減を示した。それぞれ、3mg/kgまたは10mg/kgの、抗SIRPA抗体である、3F9-22 mIgG2Aを投与されたマウスでは、SIRPAの発現は、4日後または8日後に、ベースラインレベルへと戻った。30mg/kgの、抗SIRPA抗体である、3F9-22 mIgG2Aを投与されたマウスでは、SIRPAの発現レベルは、ベースラインを約50%下回るレベルへと安定化した。
【0454】
腫瘍微小環境との、何らかの相関が決定されうるのかどうかを決定するように、脾臓区画もまた、免疫プロファイリングした。脾臓内の単球は、抗体媒介性の、受容体の下方調節に対して、腫瘍内の単球で観察される場合と比べて、より抵抗性であると考えられた(図18B)。脾臓内の単球は、CD45+ CD11b+ F4/80- Ly6C+ Ly6G-細胞として規定した。脾臓赤脾髄内のマクロファージは、CD45+ CD11b- F4/80+ Ly6C-細胞として規定した。脾臓内の単球は、抗体投与の1日後に、約40%の、SIRPAの最大下方調節を裏付け、後続の時点において、受容体の発現を、急速に回復させた。他方、脾臓赤脾髄内のマクロファージは、SIRPA受容体発現の、腫瘍内のマクロファージに関して観察されるパターンと同様のパターンに従った。
【0455】
まとめると、これらの結果は、本開示の抗SIRPA抗体が、マクロファージ上、特に、腫瘍関連マクロファージ上のSIRPAレベルの低減(下方調節)において有効であり、マクロファージ上の、SIRPAレベルの低減または下方調節は、本開示の抗SIRPA抗体の抗腫瘍活性と相関することを裏付けた。
【0456】
実施例18
抗SIRPa抗体は、ヒト免疫系(HIS)マウス内の、腫瘍浸潤性骨髄細胞上における、SIRPAの発現を下方調節する
抗SIRPA抗体のFcドメインは、受容体の下方調節、および抗体機能において役割を果たすので、ヒト免疫系で再構成されたマウスを利用して、異なるFc変異体の活性を、本開示の抗SIRPA抗体と比較した。HISマウスモデルは、臍帯血から得られた、CD34+ヒト造血幹細胞(hHSC)の、致死線量未満の照射で、それらを前処理した後における、免疫不全マウス(すなわち、NOG株)への移植を必須とする。HSCは、広範にわたる細胞系統、とりわけ、リンパ球集団を、末梢血、骨髄、胸腺、および脾臓(ならびに他の組織)において、安定的に発生させる。ヒトGM-CSFおよびヒトIL-3を発現させるように操作されたNOGマウス(NOG-EXL;Taconic)は、他のマウス株と比較して、より大きな骨髄細胞の分化を支援する、さらなる利点をもたらす。HISマウスは、ヒトがん細胞株を植え込まれたマウスのin vivoにおいて、ヒト腫瘍-免疫系間相互作用を研究する機会を提供する。加えて、HISマウスは、治療抗体候補物質の作用機構を、in vivo状況下で査定する一助ともなる。
【0457】
マウスの脇腹領域の皮下に、A375ヒトメラノーマ細胞を、50%のマトリゲル(型番:354234;Corning)を伴う、マウス1匹当たりの細胞3×10個の細胞密度で接種した。腫瘍が、400mmの平均体積へと増殖してから、マウスは、3F9-22 huIgG1 P331S(PS)、3F9-22 huIgG1 N325S/L328F(NSLF)、またはhuIgG1アイソタイプコントロールの、10mg/kgで、3日間を隔てて、2回にわたるIP注射を施された。血液、脾臓、および腫瘍組織は、抗体の、2回目の注射の1日後に採取した。脾臓は、70μmの細胞ストレイナーを介する、機械的解離により、単一細胞懸濁液へと加工した。細胞を、PBSで洗浄し、赤血球を、ACK溶解バッファーで溶解させた。その後、細胞を、PBS/2%FBSからなるFACSバッファー中に再懸濁させ、染色のために調製した。同様に、腫瘍組織も、酵素的解離、およびgentleMACS(商標)Dissociator(Miltenyi Biotec)を伴う機械的解離により、単一細胞懸濁液へと加工した。組織ホモジネートを、70μmの細胞ストレイナーを通して濾過し、染色のために、PBS/2%FBSからなるFACSバッファー中に再懸濁させた。末梢血細胞を、ACK溶解バッファーで処理し、RBCを溶解させ、PBS/2%FBSからなるFACSバッファー中に再懸濁させた。細胞は、以下のパネルに従い染色した。
【0458】
NOG-EXLマウスに、2例の異なるドナー(ドナーAおよびB)からの、ヒト臍帯血由来CD34+造血幹細胞(HSC)を生着させた。全てのマウスの皮下に、ヒトメラノーマ細胞株である、A375細胞300万個を植え込んだ。腫瘍が、約400mmの平均体積へと増殖してから、抗体の投与を行った。マウスは、抗SIRPA抗体の、10mg/kgで、3日間を隔てて、2回にわたるIP注射を施された。コントロールマウスは、huIgG1アイソタイプの、10mg/kgで、2回にわたるIP注射を施された。腫瘍組織は、抗体の、2回目の投与の1日後に、マウスから採取した。
【0459】
図19は、研究デザインと、これらの研究の、A375腫瘍を保有する、ヒト化NOG-EXLマウスにおける、SIRPAの、抗体媒介性下方調節の結果とを示す。図19Aは、8匹のマウスに、ドナーAに由来するCD34+ HSCを生着させ、29匹のマウスに、ドナーBに由来するCD34+ HSCを生着させたことを示す。略述すると、2例の異なるドナーに由来する、CD34+ HSCを生着した、40匹のマウスを、Taconic、NYから入手した。移植の10週間後である、出荷の前に、マウスは、ヒト白血球の再構成について、フローサイトメトリーによる品質チェックを受けた。大半のマウス(40匹中36匹)は、末梢血中に、>50%のhuCD45+細胞を含有した。
【0460】
NOG-EXLマウスにおける腫瘍関連マクロファージは、CD45+ CD11b+ CD14+ CD16+ CD3- CD19-細胞として規定した。図19Bは、MFI値(左パネル)または正規化値(右パネル)として描示された、ヒト腫瘍マクロファージ上のSIRPAの発現レベルを示す。抗SIRPA抗体による処置は、いずれのドナーに由来するヒト腫瘍マクロファージ内でも、SIRPAの、アイソタイプコントロール群と比較して有意な下方調節を結果としてもたらした。MFI値を、各ドナーについて正規化することは、SIRPAの発現の、約70%の低減を明らかにし、これは、in vitroの単球由来マクロファージ、およびBACトランスジェニックマウスの、腫瘍内のマクロファージにおいて観察される、下方調節の程度を近似する。これらの実験では、抗SIRPA 3F9-22 PSFc変異型と、抗SIRPA抗体のNSLF Fc変異型との間における、活性の有意差は、観察されなかった。
【0461】
SIRPAの発現に加えて、これらの実験による腫瘍内のマクロファージは、M1マーカーの発現について検討するためにもまたプロファイリングした。腫瘍内のマクロファージは、huCD45+ huCD11b+ CD14+ huCD16+細胞として規定した。図20Aに示される通り、本開示の抗SIRPA抗体は、HLA-DRの発現を上方調節した。MFI値を、各ドナーについて正規化することは、抗SIRPA抗体である、3F9-22 PS Fc変異型が、HLA-DRの発現を、いずれのドナーにおいても、アイソタイプコントロール抗体による処置に関して観察される、HLA-DRの発現の、約3倍にすることを裏付けた。これに対し、抗SIRPA抗体である、3F9-22 NSLF Fc変異型は、HLA-DRの発現を、アイソタイプコントロール抗体による処置に関して観察される、HLA-DRの発現の、約1.5~2倍にした。ドナーBのマクロファージ上で測定された増大だけが、抗SIRPA抗体である、3F9-22 NSLF Fc変異型に関する、統計学的有意性に到達した。同様に、本開示の抗SIRPA抗体は、ドナーBに由来する、腫瘍内のマクロファージ上だけで、CD86の発現を増大させた(図20B)。PS Fc変異体およびNSLF Fc変異体のいずれも、CD86の発現を、アイソタイプコントロール抗体群と比べて、約40%増大させたが、PS Fc変異型だけが、CD86の発現の増大について、統計学的有意性を達成した。これらの結果は、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、PS Fc変異体およびNSLF Fc変異体のいずれもが、SIRPAを下方調節し、ヒト腫瘍マクロファージ上のM1マーカーを増大させることを裏付けたが;これらの実験では、PS変異体は、部分的に、NSLF変異体より強力であると考えられた。
【0462】
本開示の抗SIRPA抗体の活性を、腫瘍内および末梢免疫区画内で比較するために、抗体媒介性の、SIRPAの下方調節を、末梢血単球内および脾臓単球内でもまた評価した。ヒト単球集団は、CD45+ CD11b+ CD14+ CD16- CD3- CD19-細胞として規定した。マウスは、抗SIRPA抗体の、10mg/kgで、3日間を隔てて、2回にわたるIP注射を施された。コントロールマウスは、huIgG1コントロール抗体の、10mg/kgで、2回にわたるIP注射を施された。脾臓および血液は、抗体の、2回目の投与の1日後に、マウスから採取した。図21Aに示される通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22 NSLF Fc変異型は、脾臓単球内の抗SIRPA抗体である、3F9-22 PSFc変異型に関して観察される、SIRPAの下方調節と比較して、優れた、SIRPAの下方調節を呈した。しかし、末梢血単球内では、いずれのFc変異体も、同様の活性を提示した(図21B)。本開示の抗SIRPA抗体は、ドナーBに由来する単球において、ドナーAに由来する単球より大きな受容体下方調節を示したが、これは、ベースラインの、ドナーBにおける単球上の、ドナーAにおける単球上より高度のSIRPAの発現と相関しうる。
【0463】
まとめると、これらの結果は、本開示の抗SIRPA抗体が、末梢血単球ならびに脾臓単球の両方における、SIRPAレベルの下方調節において有効であることを裏付けた。
【0464】
実施例19
選択的なFcRへの係合のために操作された抗SIRPA抗体は、抗体媒介性の、受容体の下方調節活性を保持する
本開示の抗SIRPA抗体の活性における、FcRの役割を、さらに査定するために、抗SIRPA抗体である、3F9-22の可変ドメインを、FcRへの結合プロファイルが顕著に異なる、異なるFcドメインと共に発現させた。抗SIRPA抗体のFc変異体についての、FcRに対する親和性の測定値は、Pall ForteBio Octet RED96測定器上で、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して得た。固定化されている抗ヒトFab-CH1抗体は、ヒト化抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異体を、バイオセンサー上で捕捉した(10μg/mL、ローディング時間を300秒間とする)。100nMの可溶型ヒトFcRを、捕捉された抗体上に流過させる、単一サイクルの反応速度法を実施して、出力波形を記録した(300秒間の会合時間、300秒間の解離時間)。データ解析は、ForteBioデータ解析ソフトウェア、version 9.0を使用して実施した。標準的な反応速度バッファー(PBS、0.1%のBSA、0.02%のTween-20、pH7.2)を、アッセイおよび試薬の調製のために使用した。
【0465】
これらの実験から得られたセンサーグラムについてのカーブフィッティング解析に由来する、相対親和性の測定値を、下記の表19にまとめる。Fc変異体は、予測された、FcRへの結合パターンを提示した。例えば、LALAPSのFc突然変異は、高親和性の受容体である、FcgR1を除き、全てのFcRへの結合を失効化させた。N325S/L328F(NSLF)のFc突然変異は、ヒトFcgR3Aへの結合を特異的に消失させた。同様に、IgG2アイソタイプおよびIgG4アイソタイプは、FcgR3Aに結合することができず、IgG4だけが、FcgR1への結合を保持する。
【0466】
その後、抗SIRPA抗体である、3F9-22 Fc変異体を、ヒト単球由来マクロファージ内の、SIRPAの発現またはレベルを下方調節する、それらの能力について評価した。既に記載した通り、ヒト単球を、健常ドナーの末梢血から単離し、増殖培地に、ヒトM-CSFを補充することにより、in vitroにおいて、マクロファージへと分化させた。分化の後、ヒトマクロファージを採取し、漸増濃度のコントロール抗体、または可溶型抗SIRPA抗体と共に、96ウェル組織培養プレートへと播種し、37℃で、一晩にわたりインキュベートした。抗SIRPA抗体である、3F9-22と別個のエピトープビンに属する、DyLight650コンジュゲート抗ヒトSIRPA抗体を使用して、フローサイトメトリーにより、SIRPAの、細胞表面における発現について、細胞を解析した。
【0467】
図22に示され、表20にまとめられる通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、大半のFc変異体は、マクロファージ上の、SIRPAの細胞表面レベルを、同様のIC50値で、最大限に下方調節した。しかし、抗SIRPA抗体である、3F9-22 LALAPSだけは、SIRPAの細胞表面レベルを、部分的に下方調節したことから、FcRへの係合が、抗SIRPA抗体の、この活性を強化することに関与することが確認される。加えて、FcgR3Aに結合しないFc変異体も、全てのFcRに結合する、抗SIRPA抗体である、3F9-22 PSと同様の、受容体の下方調節を裏付けるので、FcgR3Aへの係合は、抗体媒介性の受容体の内部移行に可欠であることが示唆された。
【0468】
実施例20
選択的なFcRへの係合のために操作された抗SIRPA抗体は、マクロファージによる、腫瘍細胞に対する食作用を増強する
上記で開示された、抗体媒介性の、受容体の下方調節に加えて、抗SIRPA 3F9-22抗体の、Fc変異体が異なる場合の、腫瘍細胞に対する食作用の、抗SIRPA抗体媒介性増強における、FcRの役割も査定した。加えて、この経路をターゲティングする、他の抗体についても、並行して、貪食活性を評価した。
【0469】
初代ヒトマクロファージを、コントロール抗体または表示の被験抗体で、一晩にわたり処置した。腫瘍細胞を、CFSE染料で標識し、37℃で、一晩にわたり、マクロファージへと添加した。翌日、マクロファージを回収し、氷上の、FcR遮断抗体を含有するFACSバッファー中で、抗CD14 APCにより染色した。食作用活性は、CD14/CFSE二重陽性マクロファージのパーセントをカウントすることにより測定した。
【0470】
これらの実験の結果を、図23に示し、CD14/CFSE二重陽性マクロファージ集団パーセントの増大倍数として提示する。図23に示され、下記の表21にまとめられる通り、抗SIRPA抗体である、3F9-22 PS変異体、および抗SIRPA抗体である、3F9-22 NSLF変異体のいずれも、A375メラノーマ細胞に対する食作用を、コントロール抗体で処置されたマクロファージにおいて観察される食作用と比べて、有意に増強した。観察される食作用の増強は、CD47発現腫瘍細胞を、ADCPのためにオプソニン化することにより、主に機能する、これらの研究における、被験抗CD47抗体(抗CD47)と同等であると考えられた。これに対し、2つの異なるCD47遮断抗SIRPA抗体である、KWAR23(WO2015/138600を参照されたい)、および18D5(WO2017/178653を参照されたい)は、腫瘍細胞に対する食作用の、いかなる増強も示すことができなかった。これらの結果は、抗SIRPA抗体である、3F9-22の、PS Fc変異体およびNSLF Fc変異体のいずれもが、オプソニン化抗腫瘍抗原抗体の非存在下で、腫瘍細胞に対する食作用を増強する特性を保持することを裏付けた。本開示の抗SIRPA抗体は、SIRPA/CD47間相互作用に関して、非遮断性であるので、これらの結果また、本開示の、非遮断性抗SIRPA抗体が、腫瘍細胞に対する食作用を、非遮断性の抗SIRPA抗体である、KWAR23および18D5に関して観察される食作用と比較して、増大させるか、または増強することにおいて有効であることも示した。
【0471】
実施例21
抗SIRPA抗体である、3F9-22変異体は、赤血球数および血小板数の変化を誘導しない
報告は、非ヒト霊長類へと投与された、抗CD47抗体である、5F9が、貧血を結果としてもたらしたこと(Liuら、2015、PLOS ONE、DOI:10.1371/journal.pone.0137345)、および抗SIRPA Fcである、TTI-621の、ヒトへの投与が、血小板の用量依存的低下を結果としてもたらしたこと(Ansellら、2016、Blood、128:1812)を指し示している。本開示の抗SIRPA抗体が、in vivoにおいて、赤血球数または血小板数に対して、何らかの効果を及ぼすのかどうかを検討するために、以下の研究を実施した。雌カニクイザルを、5つの群へと割り当て、下記の表22に表示の通りに、コントロール抗体、抗SIRPA抗体である、3F9-22 PS、抗SIRPA抗体である、3F9-22 IgG4、抗SIRPA抗体である、3F9-22IgG2、または抗SIRPA抗体である、3F9-22 NSLFを投与した。伏在静脈を介する静脈内注入により、動物に抗体を投与した。
【0472】
赤血球(RBC)数および血小板数のために、投与前期中に1回、次いで、抗体投与の約72、168、240、408、576、672、および744時間後において、大腿静脈を介して、血液を動物から回収した。
【0473】
図24に示される通り、赤血球数および血小板数は、これらの実験の経過を通して、抗SIRPA抗体である、3F9-22 PS、3F9-22 IgG4、3F9-22 IgG2、および3F9-22 NSLFのうちのいずれによっても変更されなかった。
【0474】
ある特定の、さらなる、本開示の抗SIRPA抗体の配列を、下記に示す。下線を付されたアミノ酸は、以下の抗SIRPA抗体のアミノ酸配列内で、ある特定の差違を指し示す。
3F9-22 - IgG1野生型重鎖(配列番号47)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFQYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-22 huIgG1 PS重鎖(配列番号48)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFQYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-22 SELF重鎖(配列番号49)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFQYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-22 hIgG1 NSLF重鎖(配列番号53)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFQYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSSKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-22 hIgG1 LALAPS重鎖(配列番号54)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFQYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-22 huIgG1軽鎖(配列番号50)
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSVSSGGYSYMHWYQQKPGKAPKLLIYLASNLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSVQPEDFATYYCQHNRELPVTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
3F9-14 huIgG1野生型重鎖(配列番号51)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFRYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-14 PS重鎖(配列番号57)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFRYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-14 SELF重鎖(配列番号52)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFRYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVEHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-14 NSLF重鎖(配列番号55)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFRYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSSKAFPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-14 LALAPS重鎖(配列番号56)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISEYGGSYTYYAESVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPPYDDYYGGFRYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
3F9-14 huIgG1軽鎖(配列番号50)
DIQLTQSPSSLSASVGDRVTITCRASKSVSSGGYSYMHWYQQKPGKAPKLLIYLASNLESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSVQPEDFATYYCQHNRELPVTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A-9B】
図10A
図10B
図11A-11B】
図12A-12B】
図13A-13B】
図14A
図14B
図15A-15B】
図16
図17A
図17B
図17C-1】
図17C-2】
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
図24
【配列表】
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