(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】電力供給のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60L 9/18 20060101AFI20230825BHJP
B60L 7/14 20060101ALI20230825BHJP
B60L 13/00 20060101ALI20230825BHJP
B60L 50/53 20190101ALI20230825BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20230825BHJP
B60L 5/24 20060101ALI20230825BHJP
B60M 3/06 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B60L9/18 A
B60L7/14
B60L13/00 D
B60L50/53
B60L58/18
B60L5/24
B60M3/06 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021067194
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2020-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ,ジェフリー ジョン
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-049603(JP,A)
【文献】特開2019-193405(JP,A)
【文献】特開2010-264924(JP,A)
【文献】国際公開第2011/070609(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/033328(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/074329(WO,A1)
【文献】特開2018-011412(JP,A)
【文献】特開平04-178117(JP,A)
【文献】特開2019-205299(JP,A)
【文献】特開平01-133504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B60M 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給システムであって、当該
電力供給システムは、
車両に車上配置されるように構成される車上整流器を含み、当該車上整流器は、
発電所から1以上の送電線を介して、少なくとも50ヘルツ、且つ60ヘルツ以下の商用電力線周波数で導かれる、交流を受け取るように構成され、
当該車上整流器は、当該交流を直流に変化させるように構成され、
当該車上整流器が、当該車両の電気的推進システムに当該直流を出力し、当該電気的推進システムに電力供給して当該車両を推進
し、
前記車両に搭載され、且つ前記交流のピーク電圧を下げるように構成される車上変圧器を含み、
前記車上変圧器は、前記下げられた前記ピーク電圧を有する前記交流を前記車上整流器に出力するように構成され、
前記車上整流器が、少なくとも10キロボルトのピーク電圧で前記交流を受け取るように構成される、電力供給システム。
【請求項2】
前記電気的推進システムが、動的制動から追加的直流を発生させるように構成され、且つ前記車上整流器が、前記追加的直流を、前記車両から離れた前記1以上の送電線に導かれる追加的交流に変換するように構成される、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記車上整流器が、1以上の炭化ケイ素スイッチを含む、請求項1に記載の電力供給シ
ステム。
【請求項4】
前記車上整流器が、前記発電所からの前記交流を受け取るように構成され、
前記交流は、前記発電所と前記車両との間で、車外整流器によって整流されない、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記車上整流器が、単相電流として前記交流を受け取るように構成される、請求項1に
記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記車上整流器が、多相電流として前記交流を受け取るように構成される、請求項1に
記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記車上整流器によって出力される前記直流を受け取り、且つ可変周波数電流を前記
車両の前記電気的推進システムに出力するように構成される、可変周波数ドライブをさら
に含む、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項8】
1以上のエネルギー貯蔵デバイスであって、前記1以上のエネルギー貯蔵デバイスを充
電するために、前記直流を前記車上整流器から受け取るように構成される、1以上のエネ
ルギー貯蔵デバイスをさらに含み、前記1以上のエネルギー貯蔵デバイスは、前記1以上
のエネルギー貯蔵デバイスに貯蔵された電気エネルギーを放電し、前記車両の前記電気的推進システムの1以上のモータに電力供給し、前記電気的推進システムに電力供給して前記車両を推進するように構成される、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項9】
前記1以上の送電線を介して導かれることが可能な最大電圧を制御し、それによって前記最大電圧を、前記車両のグランドに対する絶縁値に少なくとも部分的に基づく既定値に制限するように構成される、コントローラをさらに含む、請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項10】
請求項1に記載の電力供給システムを含む、電気車両であって、前記電気車両が、採掘
用車両または移動用車両である、電気車両。
【請求項11】
方法であって、当該方法は、
車両に車上配置される車上整流器で交流を受け取る工程であって、当該交流が、
1以上の送電線を介して、そして少なくとも商用電力線周波数である周波数と少なくとも10キロボルトのピーク電圧で、発電所から車上整流器によって受け取られる工程と、
当該交流を、当該車上整流器を使用して直流に変化させる工程と、および、
当該直流を、当該車上整流器から前記車両の電気的推進システムに供給する工程であって、
それによって前記電気的推進システムに電力供給して前記車両を推進する工程と、
を含
み、
前記交流を車上変圧器で前記送電線から受け取る工程と、および、
前記交流の前記ピーク電圧を前記車上変圧器を使用して下げる工程であって、
その後に、下げられた前記ピーク電圧を有する前記交流を前記車上整流器に導く工程と、をさらに含み、
前記交流が、少なくとも50ヘルツ、且つ60ヘルツ以下の商用電力線周波数で、前記車上整流器によって受け取られる、方法。
【請求項12】
前記交流が、少なくとも5キロヘルツの周波数で受け取られる、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記交流が、前記車上整流器によって前記発電所から受け取られ、前記交流は、前記発
電所と前記車両との間で
、車外整流器によって整流されない、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
方法であって、当該方法は、
交流を少なくとも50ヘルツ、且つ60ヘルツ以下の周波数で、車両上で発電所から1以上の送電線を介して受け取る工程と、
前記車両上で前記交流を直流に整流する工程と、および
、
推進システムに電力供給する工程であって、前記直流を使用して前記車両の推進
システムに電力供給し、前記推進システムに電力供給して前記車両を推進する工程と、
を含
み、
前記交流が、少なくとも10キロボルトのピーク電圧で前記車両上で受け取られる方法。
【請求項15】
前記交流が発電所から受け取られるが、前記交流
を車外で整流しない、
請求項14
に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月13日に出願された米国仮特許出願第63/009,176の優先権を主張し、その開示の全体は参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
記載される主題は、電力供給されるシステムに電力供給するために、電力供給されるシステムに電流を送達するシステムおよび方法に関する。技術に関する議論
【0003】
いくつかの電力供給されるシステムは、導電性の経路によって遠隔位置から電流を供給される。例えば、いくつかの車両は、ケーブルとパントグラフを介して車両に直流(DC)を供給する高架線と接触する、パントグラフを有しても良い。これらの車両の1つのタイプは、牽引用トラックなどの、地下鉱山や地上の露天堀り高山で動作する採掘用車両である。発電所(例えばパワープラント)は、1以上の静止している変圧器によって比較的大きな電圧まで昇圧された交流(AC)を、発生させることができる。この発生されたACは、138kVから765kV等の、100kV以上まで昇圧され、50または60ヘルツ(Hz)の周波数を有することができる。この高電圧で低周波数のACは、送電線(カテナリー式架線)を介して鉱山内の1以上の車外変圧器変電所に導かれることが可能で、そこで、高電圧で低周波数のACは、鉱山内の送電用の低下電圧および/または増加周波数に降圧される。一例として、鉱山内の送電用のこの低下電圧は11kV以下であって良く、そして、ACの増加周波数は50~60Hzであって良い。これらの変圧器変電所は、変圧器がすべて車外にあり、車両と共に移動しないという点で、道路沿いの変圧器である。
【0004】
低下電圧で増加周波数のACは、静止している道路沿いの変圧器変電所から1以上の車外整流器へ、送電線を介して導かれる。これらの整流器は、いずれの車両にも搭載されていない道路沿いの整流器である。例えば、整流器は静止しており、そして車両と共に移動しない。整流器は、低下電圧で増加周波数ACを、送電線を介して車両のパントグラフへの導かれる1.8kV~2.4kVのDCなどのDCへ変換する。車両は、送電線からDCを受け取り、車両の電力トラクションモータに電力供給して車両を推進する。
【0005】
このタイプの電源供給システムについての1つの問題は、車両によって使用され得るDCの波形に、送電線に沿って導かれるACを調節かつ変更する、車外の、静止している、道路沿いの降圧変圧器と、車外の、静止している、道路沿いの整流器を必要とすることである。現在送電線に沿って導かれるACは、少なくともいくつかの既知の採掘用車両では、使用することができない。さらに、送電線を介して導かれるACは、車両のモータと送電線との間でどの電子部品と連結することができるのかを制限し得る。送電線で導かれるACの周波数とピーク電圧は固定されている(例えば、発電所のような外部ソースによって制御されている)ので、送電線からACを受け取ることができる電子部品は特定の電子部品に制限される。ACを受け取り、モータによる使用のためにACを修正する電子部品は、一般に、外部ソースによって提供されるACの固定の周波数およびピーク電圧のために、単純に他の電子部品に切り替えることができないかもしれない。現在利用可能なものと異なるシステムと方法を有することが望まれ得る。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、電源供給システムは、車両に車上配置されるように構成される、車上整流器を含む。車上整流器は、発電所から送電線を介して、少なくとも商用電力線周波数である周波数で導かれる、交流を受け取るように構成され得る。車上整流器は、交流を直流に変化させ、車両の電気的推進システムに直流を出力して、推進システムに電力供給し、車両を推進し得る。
【0007】
一実施形態では、方法は、電気車両に車上配置される車上整流器で交流を受け取る工程を含む方法が提供される。交流は、送電線を介して、そして少なくとも商用電力線周波数である周波数で、発電所から車上整流器によって受け取られる。方法はまた、交流を、車上整流器を使用して直流に変化させる工程と、直流を、車上整流器から車両の電気的推進システムに供給する工程であって、それによって推進システムに電力供給して車両を推進する、工程と、を含む。
【0008】
一実施形態では、方法は、交流を少なくとも50Hzの周波数で電気車両上で発電所から1以上の送電線を介して受け取る工程と、電気車両上で交流を直流に整流する工程と、および、電気車両の推進システムに電力供給する工程であって、直流を使用して、推進システムに電力供給して電気車両を推進する工程と、を含む。
【0009】
一実施形態では、方法が提供され、該方法は、商用電力線周波数で発電所から1以上の送電線を介して交流を導電する工程と、車両上の整流器で交流を受け取る工程であって、交流は発電所と車両のとの間で車外で整流されない工程と、車両上で交流を整流する工程であって、それによって直流を発生させる工程と、および、直流を使用して車両の1以上の電気トラクションモータに電力供給する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態に関する以下の記載を読むことで、理解され得る。
【
図6】車両のモータに電力を供給し、モータに電力供給するための方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図7】車両のモータに電力を供給し、モータに電力供給するための別の方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図8】車両のモータに電力を供給し、モータに電力供給するための別の方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図9】車両のモータに電力を供給し、モータに電力供給するための別の方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【
図10】車上整流器の実施形態を示す概略図である。
【
図11】
図2に示される電源供給システムの別の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載される主題の実施形態は、車両に電力供給するために、遠隔位置から車両に電流を供給する、電力供給システムと方法に関する。本システムと方法は、車両の電気モータに電力供給をして、車両を推進するのに使用することができる。
【0012】
適切な車両は、一実施形態では、牽引トラックなどの採掘用車両であるかもしれない。しかし、本明細書に記載される本発明主題のすべての実施形態が、採掘用車両への電力供給に限定されるわけではない。例えば、本明細書に記載される車両は、トロリー車両、電動バス、電動自動車などの、移動用車両を表わすかもしれない。本明細書に記載される本発明主題の少なくとも1つの実施形態は、車両以外の電力供給されるシステムへ電力を供給することに関連して使用されても良い。
【0013】
図1は、電力供給システム(100)の一例を示す。電力供給システムは、1または複数の車外の、静止している道路沿いの変圧器および/または整流器に起因して、本明細書に記載される他の電力供給システムの1以上の実施形態ほど、望ましいものでないかもしれない。示される通り、電力供給システムは、生成昇圧変圧器(104)、1以上の導電性の送電線(106)(例えばケーブル、ワイヤ等)、1以上の降圧変圧器(108)、および1以上の顧客ステーション(110)によって、発電所(102)に導電的に連結される。
【0014】
示される実施形態では、発電所は、4kVを上回る電圧でACを発生させる発電所である。他の実施形態では、電圧は、約6kV未満の範囲、約6kV~約6.5kVの範囲、約6.6kV~約10kVの範囲、約10kV~約20kVの範囲、約21kV~約22kVの範囲であり得る。様々な実施形態では、適切なAC電圧は、11kV、13kV、および7.200kVから選択されても良い。他の実施形態では、電圧は、4.160kV、7.200kVなどの、比較的小さなものであり得る。電圧は、用途に特異的なパラメータを参照して選択され、そして、すべての用途において代用可能であるわけではない。
【0015】
この生成されたACは、生成昇圧変圧器に導電されても良く、そこで生成されたACの電圧が増加する。一実施形態では、電圧は100kV以上(例えば138kV~765kV)に増加されても良い。この高電圧ACは、1以上の前記送電線を介して、前記降圧変圧器の1以上に導かれても良い。降圧変圧器は、ACの電圧を下げても良い。一実施形態では、この降圧は、約4kV~14kVの範囲の電圧に低下させるものである。降圧されたACは、顧客ステーションへ導かれても良い。適切な顧客ステーションは、例えば鉱山内を移動する車両に電力供給するために、鉱山にACを供給することに特化した電気変電所であっても良い。その後、顧客ステーションは、降圧されたACを、鉱山内の電力供給システムの1以上の導電性送電線(112)に導く。
【0016】
鉱山の送電線内に導かれるACは、比較的高電圧であっても良い。鉱山の送電線内に導かれるACの周波数は、鉱山の外から導かれるACの周波数に、制御されるか、あるいは制限されても良い。一例では、顧客ステーションから送電線に導かれるACの周波数は、発電所から送電線を介して顧客ステーションに導かれるACの周波数が50Hzまたは60Hzの周波数であるかもしれないので、50Hzまたは60Hzのうちの1つでもあっても良い。
【0017】
鉱山内では、電力供給システムは、降圧されたACを顧客ステーションから受取る、1以上の静止している、車外の道路沿いの変圧器(114)を含んでも良い。静止している、車外の道路沿いの変圧器は、電力供給システムの送電線に沿って導かれるACの電圧を、さらに降圧する(例えば下げる)。電力供給システムは、1以上の静止している、車外の道路沿いの整流器(116)を含んでいても良い。これらの整流器は、降圧された電圧を有するACを、DCに変換しても良い。適切な、降圧された電圧は、約1.8kV~2.4kVのDCの範囲にあっても良い。単一の変圧器と単一の整流器のみが
図1に示されるが、変圧器と整流器のいくつかが、特に送電線が長い場合に、提供され得る。例えば、変圧器と整流器は、送電線に沿って、規則的な反復的分離距離で互いに離間されて良い。
【0018】
送電線の各々は、送電線を通じて導かれるAC電流のピーク電圧と周波数により、比較的大きな直径(例えば低ゲージ)を有する必要があるかもしれない。一実施形態では、適切な送電線は、2重の(平行な)150mm2の銅線であるかもしれない。いくつかのシステムは、車両のパントグラフに直接接触しないが、ポールに沿って伸長して有効抵抗の不足低下(dry drop)に起因する損失を減少させる、追加的なアルミニウム製または銅製の給電ケーブルを有しても良い。例示のインフラシステムは、ポールとジャンパ線上を平行に伸長する、2つの150mm2の銅線と、3つの454mm2のアルミニウム線を有していても良い。より小さな(例えばより大きなゲージの)送電線は、この大きなピーク電圧および/またはこの高い周波数を有するACを、鉱山や他の領域の至る場所において導くことはできないかもしれない。
【0019】
この降圧されたDCは、鉱山内の送電線に沿って、鉱山内の車両(120)上のパントグラフまたは他の集電体(118)に導かれても良い。(集電体は、車両が移動している時に静止している車外のソースと車両との間で電力を導く、車両上のパントグラフ、摺動シュー(sliding shoe)、または他のデバイスである。)単一の車両だけが示されているが、いくつかの車両が同時に送電線を介して整流器からDCを受け取ることもできる。これらの車両は、車両のパントグラフと導電的に連結している推進システム(例えば電気トラクションモータ(122))を有する、採掘用車両または他の車両であり得る。車両は、推進システムに加えて補助負荷を有していても良い。適切な補助負荷は、電力ツール、加熱と冷却、動力取り出し装置、通信システム等を含み得る。トラクションモータは、車両を推進するために電力供給システムの送電線から受け取られるDCによって電力供給されても良い。適切な車両は、パントグラフから充電され得るバッテリーパックを有していても良い。トラクションモータは、送電線から(パワーエレクトロニクス(power electronics)を介して)直接的に、バッテリーパックから間接的に、あるいはバッテリーパックと送電線のいずれかまたは両方から選択的に、電力供給されても良い。一実施形態では、電気の別のソースが、推進および/または補助負荷のために存在しても良い。適切な追加的電気ソースは、燃料電池を含んでいても良い。
【0020】
いくつかの静止している、車外の道路沿いの変圧器と、いくつかの静止している、車外の道路沿いの整流器は、静止している、車外の道路沿いの変圧器、および/または、いくつかの静止している、車外の道路沿いの整流器を含まない電力供給システムと比較して、電力供給システムのコストと複雑性が増すかもしれない。
【0021】
図2は、電力供給システム(200)の別の例を示す。電力供給システムは、いくつかの方法で、
図1に示される電力供給システムと異なる。一例として、電力供給システムは、いくつかの車外の、静止している道路沿いの変圧器、またはいくつかの車外の、静止している整流器を含まない。システムは、1以上の送電線(212)を含んでいても良い。適切な送電線は、導電性の経路を含んでいても良い。適切な導電性の経路は、カテナリー式架線、ケーブル、ワイヤ、第三軌条等の1以上を含んでいても良い。電力供給システムは、車上の、少なくとも1つの可動式変圧器(214)、および/または、車上の、少なくとも1つの可動式整流器(216)を含んでいても良い。変圧器および/または整流器は、変圧器および/または整流器が、車両に連結されているおよび/または車両によって支持されているかもしれず、また車両が移動する時に車両と共に移動し得るという点で、電気車両(220)に搭載されているかもしれない。適切な車両として、トロリー、農業用装置、採掘用装置、乗用車、工業用装置等を挙げることができる。
【0022】
示される実施形態では、車両は車上変圧器と車上整流器の両方を含む。しかし、下記に記載されるように、車両は車上変圧器を含んでいなくても良い。電力供給システムは、地上の鉱山、または地中の鉱山の外側境界内に完全に配置されていても良い。様々な実施形態では、1以上の送電線は、車両が鉱山内を移動することができる経路の上に、経路に沿って、または経路の下に、伸長していても良い。代替的に、電力供給システムは、鉱山の外部に、部分的にまたは完全に配置されていても良い。電力供給システムは、鉱山内の車両を推進するために、車上変圧器および/または車上整流器を介して、車両のトラクションモータに電力供給しても良い。
【0023】
鉱山を移動する電気負荷牽引車は、頭上のカテナリー式架線とトラック上のパントグラフを介して電力供給され得るが、すべての実施形態がこの配置に限定されるわけでは無い。送電線は、鉄道車両、トロリーなどに電力供給する、電気レールであるかもしれない。車両は、(乗客または他の貨物を運ぶ)鉄道車両、トロリー等であるかもしれない。
【0024】
車両のコントローラ(224)は、本明細書に記載される時の車両の動作を制御する、(例えば1以上のマイクロプロセッサ、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array)等の)1以上のプロセッサを含む、および/または、1以上のプロセッサに連結している、ハードウェア回路を含んでいても良い。コントローラは、制御シグナルを生成し、そして制御シグナルを(本明細書に記載される)車上整流器のスイッチに送信することで、送電線から得られたACが車上整流器により、トラクションモータに電力供給するための直流に変換されるか否かを制御することによって、車上整流器の動作を制御することができる。コントローラは、(例えばレバー、ペダル等の位置の変化による)スロットル設定の変更などの、車両の動きを制御するために受け取っても良い。この入力は、車両の運転者によって、車両の動きを自動で制御するコントローラまたは他のシステムによって、車外の送信システムから、車外の運転者から等によって、提供することができる。適切なコントローラは、車両の運転を遠隔制御するために、遠隔位置(例えば、車外に配置された運転者)から、制御信号を受け取るための、無線の送受信ハードウェア(例えばアンテナ、モデム等)を含んでいても良い。
【0025】
運転時に、多相ACは、発電所から電力供給システムの送電線に導かれても良い。
図2の平面図に示される送電線は、複数の送電線を表し、各送電線が、発電所から車両に、異なる位相のACを導いている。例えば、3つの送電線が存在していても良く、その各々が、発電所からの三相交流の異なる位相を導く。代替的に、2相、4相等のACが、発電所から同数の送電線を介して車両に導かれても良い。
【0026】
このACは、送電線から、車両によって直接受け取られても良い。例えば、
図1の例の車両のような送電線からDC電流を受け取る車両の代わりに、車両は送電線からACを受け取っても良い。このACは、任意の車外整流器によって整流されていないが、ACのまま車両の車上変圧器に導かれる。車両の車上変圧器は、ACの電圧を降圧する(例えばさげる)ことができる。例えば、発電所は、ピーク電圧を有する送電線上に、送電線を通って、または送電線を介して、ACを出力しても良い。他の実施形態では、電圧は、AC波形の、正の(または上側の)ピークと負の(下側の)ピークとの間にあるように制御されても良い。ピーク電圧を使用する時、適切なピーク電圧は、一実施形態では、少なくとも4kVであって良い。別の実施形態では、ピーク電圧は少なくとも10kVであって良い。別の実施形態では、ピーク電圧は少なくとも11kVであって良い。さらに他の実施形態では、ピーク電圧は少なくとも13kVであって良い。いくつかの実施形態では、ピーク電圧が送電線の故障または過熱状態を引き起こし得る電圧よりも低くなるように、電圧を選択しても良い。随意に、ピーク電圧は、約4kV~約25kVの範囲であって良い。ピーク電圧の選択は、用途に特異的なパラメータを参照して行われても良い。これらのパラメータは、電流、ワイヤのゲージ、エンドユース用途(end use application)、負荷の持続期間、負荷の傾斜率、環境要因、電気供給要因等の1以上を含み得る。
【0027】
(電力供給システムの)ニュートラルラインへの車両の接続が失われると、電圧上昇によって運転者に安全上の危険性が生じるおそれがあり、車両とニュートラルラインとの接続解除により、車両の基準電圧は、望ましくない電圧、あるいは比較的高電圧に変動するかもしれない。例えば、車両のボディーおよび/またはシャシーは、送電線を介して提供される電圧に起因して、高電位または高電圧になり得る。一実施形態では、車両が移動している間のみ、車両は、送電線に接触しても良い、および/または、送電線を介して電圧を受け取っても良い。システムは、(規則によって、規制によって、または車両に到達する能力によって)運転者が移動中の車両に触れることができなくなるように、構成され得る。
【0028】
一実施形態では、電流を送電線へ供給する変圧器は、センタータップ(center tap)を含んでいても良い。このセンタータップは、センタータップが存在しない場合と比較して、車両の変動状態(例えば、ニュートラルラインから非接続状態になった時の車両のボディーまたはシャシーの電圧あるいは電位)を下げるかもしれない。例えば、センタータップは、車両ボディーまたはシャシーの最大電圧または最大電位を(センタータップを含まない変圧器と比較して)半分にカットあるいは下げるかもしれない。
【0029】
さらにまたはあるいは、車両は、車両がもはやニュートラルラインに接続されていないことを検出すると、それに対して開回路を発生させて車両との接続を断つ、スイッチ(例えば、接触器、回路遮断器等)を含んでいても良い。例えば、車両は、送電線に接している、複数の(例えば2つの)集電体を有していても良い。これらの集電体の各々は、異なる送電線から単相ACを受け取っても良い。一方の単相ACから基準(例えば車両のシャシーまたは電力供給システムのための地上グランド)への電圧が、指定期間内に指定閾値を越えない場合。適切な指定閾値は、40Vまたは別の値であっても良い。一例では、指定期間は1/fであっても良く、この時、fはACの基本の電力周波数である。基準電圧は、振幅(例えばACの正のピークまたは負のピークの電圧)、ACの電圧の二乗平均値、またはACの電圧の直接の読み取り値として測定されても良い。スイッチは、指定期間内に閾値を越える測定電圧に対応して、開回路を発生させても良い。
【0030】
さらにまたはあるいは、コントローラは、送電線を介して導かれることが許可される最大電圧が、車両のタイヤが絶縁して地面に導かれること(電力導体の1つが車両のグランド基準に短絡している地絡の事象)を防ぐことができる値に制限され得るように、システムを操作することができる。車両のための最も小さなタイヤサイズは、送電線から車両に導かれることが許可される最大電圧を計算するために使用されても良い。例えば、送電線に接続され得る車両の最も小さなタイヤは、60インチの半径であるが、57インチの直径の導電性リムと、シャシーと地上グランド基準との間に31.5インチの経路とを有していても良い。車両が動作する環境の標準電圧クリープ(standard voltage creep)(例えば、様々な電圧がジャンプし得る距離、またはその間を転送され得る距離)は、2kVあたり3インチであるかもしれず、そして、空隙あるいは空隙間の電圧ジャンプは、およそ2kV当たり1インチであるかもしれない。システムは、車両の導電部(例えばリム)と車両のタイヤが移動している表面との間に、30インチの直線距離またはプロファイルが存在するように、控えめな制限を想定することができる。標準電圧クリープと空隙を使用して、システムは、送電線の電圧が20kVに制限され得ると計算し、そして指示しても良い。この制限は、地絡の場合に車体またはシャシーの電圧が表面にジャンプする可能性を防止または低下することができ、これによって、車両のタイヤや近くのコンポーネントへの(例えばアーク放電による発火に起因する)損傷の可能性を低下または排除することができる。
【0031】
ACは、商用電力線周波数に少なくとも部分的に基づく周波数で、発電所から送電線で導かれても良い。例えば、ACは、50~60Hzなどの、消費者使用のための電力送電網上に導かれる周波数で、発電所から導かれても良い。代替的に、発電所から送電線に、送電線を通って、あるいは送電線を介して導かれるACの周波数は、50Hz未満であっても良い。代替的に、発電所から送電線に、送電線を通って、あるいは送電線を介して導かれるACの周波数は、60Hzを上回り、かつ1kHz以下であっても良い。代替的に、発電所から送電線に、送電線を通って、あるいは送電線を介して導かれるACの周波数は、少なくとも1kHz、かつ5kHz以下であっても良い。代替的に、発電所から送電線に、送電線を通って、あるいは送電線を介して導かれるACの周波数は、少なくとも5kHz、かつ6kHz以下であっても良い。代替的に、発電所から送電線に、送電線を通って、あるいは送電線を介して導かれるACの周波数は、50Hz未満などの低周波数であっても良い。
【0032】
車上変圧器は、送電線から多相ACを受け取っても良く、そして多相ACの電圧を降圧させても良い。例えば、車上変圧器は、変圧器の一次巻線上にデルタ接続の巻線を、そして変圧器の二次巻線上にY字形あるいは星型の接続巻線を有する、デルタ-Y字形変圧器であっても良い。代替的に、変圧器は、別のタイプの変圧器であっても良い。変圧器は、多相ACのピーク電圧を下げても良く、そして低下電圧の多相ACを車上整流器に供給しても良い。例えば、様々な実施形態では、変圧器は、多相ACのピーク電圧を、少なくとも4kV、少なくとも10kV、少なくとも11kV、または少なくとも13kVから、1.8kV、2.4kV、または1.8kVと2.4kVとの間に下げても良い。低下電圧の多相ACは、車上変圧器から車上整流器へ導かれても良い。
【0033】
その後、車上整流器は、多相ACをDCに変換しても良く、そして可変周波数ドライブ(VFD)(226)に供給されても良い。VFDは、車上整流器から受け取られたDCをACに変換する、1以上のインバータを含んでも良い。VFDは、モータが動作する速度を制御するために、1以上のインバータを使用して、ACの周波数を制御する。例えば、コントローラは、トラクションモータの望ましい速度またはトルクの出力に応じて、異なる周波数でACを生成するように、VFDに指示するかもしれない。コントローラは、トラクションモータによって出力される回転速度および/またはトルクを上げるために、より高い周波数でACを生成するように、VFDに指示するかもしれない。車上整流器からのDCでVFDに電力供給することで、車両は、異なる時点で、異なる速度および/または異なるトルクの出力で動作することができる。
【0034】
車両上に変圧器と整流器を配置すると、電力供給システムのコストと複雑性は下がるかもしれない。例えば、変圧器と整流器は車両と共に動くので、いくつかの車外の、静止している変圧器と整流器を、送電線に沿って複数の位置に離間して設置する必要性は下がるか、または無くなるかもしれない。車両上の変圧器と整流器によって受け取られる電圧は、変圧器の巻数(例えば変圧器内のコイルの巻数)の比率によって低下するかもしれず、したがって、電流は、変圧器の巻数の比率によって増加する。架線の接触部と給電ワイヤは、定格電流に基づいて分類する必要があるかもしれない。したがって、電圧が5MWの電力を送信するために10kVにとどまる場合、架線は、500アンペア(RMS)に分類されても良い。電圧が5メガワットを送信するために、従来のDC架線の1400~2600V(DC)の電圧に低下される場合、架線は、3500アンペア~1900アンペアに、それぞれ分類される必要があるかもしれない。
【0035】
別の実施形態では、単相ACは、発電所から、単一の送電線へ、または電力供給システムの複数の送電線の各々へ、導かれる。この単相ACは、送電線から車両のパントグラフによって直接受け取られても良い。この単相ACは、任意の車外整流器によって整流されず、単相ACのまま車両の車上変圧器に導かれる。車両の車上変圧器は、単相ACの電圧を降圧させる(例えば下げる)ことができる。例えば、送電線は、少なくとも4kVのピーク電圧を有する発電所から、単相ACを導いても良い。他の実施形態では、ピークは、少なくとも約10kV~約13kVの範囲にあっても良い。エンドユース用途に応じて、ピーク値は、送電線が故障または加熱するであろう電圧よりも低い電圧に選択され得る。AC電流は、送電線内を発電所から低周波数で導かれても良い。適切な低周波数は、約50Hz、約60Hz等の範囲にあっても良い。
【0036】
車上変圧器は、送電線から単相ACを受け取っても良く、そして単相ACの電圧を降圧させても良い。変圧器は、低下電圧の単相ACを、車上整流器に供給することができる。例えば、変圧器は、単相ACのピーク電圧を、少なくとも4kVから下げることができる。他の実施形態では、低減は少なくとも10kV、または少なくとも11kVからである。他の実施形態では、低減は少なくとも13kVから約1.8kVへであるかもしれない。低下電圧の単相ACは、車上変圧器から車上整流器へ導かれても良い。その後、車上整流器は、単相ACを、VFDに供給されるDCに変換しても良い。VFDは、トラクションモータを駆動するために、コントローラによって制御される周波数を有するACを生成しても良い。
【0037】
一実施形態では、電力供給システムは、エネルギー貯蔵デバイス(234)を含んでいても良い。適切なエネルギー貯蔵デバイスは、車上整流器によって出力されるDCの少なくとも一部を受け取ることができる、1以上の再充電可能なバッテリーを有することができる。エネルギー貯蔵デバイスは、DCバスからの電気エネルギーを貯蔵しても良い。このDC電流は、1以上の補助装置(例えば車両を推進するために動作するわけではないデバイス)に電力供給するために、および/または、VFDを介してモータに電力供給するために、使用されても良い。代替的に、エネルギー貯蔵デバイスは、1以上の燃料電池、コンデンサ(例えばスーパーコンデンサ(super-capacitors)またはウルトラコンデンサ(ultra-capacitors))、フライホイール、圧縮空気コンテナ、電解槽等を含み得る。
【0038】
送電線を通ってまたは送電線を介して導かれるACは、上に記載された周波数と異なる周波数を有しても良い。例えば、50~60Hzの低周波数の代わりに、発電所によって送電線に導かれるACは、少なくとも4kHzの周波数を有しているかもしれない。他の実施形態では、ACの周波数は、少なくとも5kHzであるかもしれない。他の実施形態では、ACの周波数は、少なくとも6kHzであるかもしれない。随意に、ACの周波数は、約1kHz~10kHzの範囲内にあっても良い。送電線を通って導かれる、より高い周波数のACは、送電線を通って導かれる、より低い周波数のACと比較して、車上変圧器のサイズと重量に余地を与え得るが、一方で、送電線からは同じ(またはより大きな)電力密度を受け取る。例えば、5kHzのAC周波数は、より小さな周波数と比較して、車上変圧器によって受け取られるACの電力密度を上げることができる。より小さく、より軽い変圧器を使用すると、車上変圧器が搭載されている車両の重量とサイズを低減することができる。これにより、車両は、より大きなおよび/またはより重い車上変圧器を搭載する車両と比較して、より大量の貨物を牽引することができるようになる。
【0039】
一実施形態では、車上整流器は、モータに電力供給するために、車上変圧器から受け取られた降圧されたACをDCに変換するように(車上整流器および/またはコントローラによって)制御される、スイッチを含む。これらのスイッチは、ドーピングされたシリコン半導体スイッチなどの、半導体スイッチであり得る。代替的に、スイッチは、ドーピングされたシリコン半導体スイッチよりも、高い性能を有する半導体スイッチであり得る。例えば、整流器内のスイッチは、炭化ケイ素(SiC)スイッチ、窒化ガリウム(GaN)スイッチ等などのドーピングされたシリコンスイッチよりも、整流器を通るACの導電を、少ない損失で制御するように動作しても良い。
図10は、車上整流器の一例を示す。示されるように、車上整流器は、(例えば、
図10の「モータ側」を介して)モータに電力供給するために、車上変圧器から(例えば
図10の「AC側」を介して)受け取られる、降圧されたACをDCに変換するように、(車上整流器によっておよび/またはコントローラによって)制御されるスイッチ(1002)を含む可能性がある。適切なスイッチは、半導体スイッチであり得る。適切な半導体スイッチとして、ドーピングされたシリコン半導体スイッチ、窒化ガリウム半導体スイッチ、および炭化ケイ素半導体スイッチを挙げることができる。適切な整流器は、(
図10で3つのAC側入力によって示されるような)三相ACを受け取ることができ、あるいは、6相、12相、18相、24相のACを受け取るように選択され得る。選択は、用途に特異的なパラメータに基づいて行われ得る。
【0040】
図3は、電力供給システム(300)の別の例を示す。電力供給システム(300)は、車両が送電線と車上整流器との間に車上変圧器を含まないという点で、
図2に示される電力供給システムとは異なる。代わりに、1以上の静止している、車外の、道路沿いの変圧器(314)が、送電線に連結されても良く、あるいは送電線沿いに配置されても良い。道路沿いの変圧器は、送電線に沿って、または送電線を介して導かれるACのピーク電圧を降圧させることができ、その後に、ACが車上整流器によってパントグラフを介して受け取られる。その後、車上整流器は、上に記載されるように、降圧されたACを、車両のモータに電力供給しそして車両のモータを制御するために、VFDに提供されるDC電流に、変換することができる。車両が引き続きVFDを有しているので、車両は、VFDによってモータに出力されるACの周波数をVFDが変化させるのに対応して、異なる速度で移動することができる。車両から(
図2に示される)車上変圧器を取り除き、車外変圧器(314)を使用することで、電力供給システムのコストは増すかもしれないが、車両によって負担される重量は低減させることができる。これは、車上変圧器を搭載する車両の1以上と比較して、より大きな荷重または貨物を車両が運ぶことを可能にし得る。
【0041】
図4は、電力供給システム(400)の別の例を示す。この電力供給システムは、上に記載される車上変圧器を含んでいても良いが、上に記載される車上整流器を含んでいない。代わりに、電力供給システムは、車両のパントグラフと車上変圧器との間に配置される1以上のスイッチ(430)を含む。適切なスイッチとしては、例えば、電気機械的な接触器またはリレーを挙げることができ、および/または、パワートランジスタまたは他の固体スイッチングデバイスを挙げることができる。図面では、スイッチは、例として、接触器として示される。一実施形態では、スイッチは、1以上の3相接触器を含む。
【0042】
スイッチは、パントグラフと車上変圧器との間の導電接続を、接続するまたは遮断するために操作することができる。スイッチは、コントローラによって、開または閉に制御され得る。スイッチが開である時、送電線を介して発電所から導かれるACは、パントグラフを通って車上変圧器に導かれないかもしれない。その結果、モータは電力供給されないかもしれず、そして送電線からのACを使用して車両を推進することはないかもしれない。スイッチが閉である時、送電線を介して発電所から導かれるACは、パントグラフを通って車上変圧器に導かれる。
【0043】
車上変圧器は、送電線から受け取られるACのピーク電圧を下げても良く、その後、ACが車両のトラクションモータに導かれる。車上変圧器からの降圧されたACは、車両上の1以上の導電性の経路(428)(例えばケーブル、ワイヤ、バス等)を介して、トラクションモータに導かれ得る。トラクションモータは、降圧されたACによって電気的に電力供給され、車両を推進する。送電線上で導かれ、そして車上変圧器によって降圧されたACの周波数は変更されないので、トラクションモータはこの周波数に対応する単一の速度による動作に限定されるかもしれない。例えば、ACの周波数が変化しないので、トラクションモータは車両の車輪を、固定の、または不変の速度で回転させるかもしれない。
【0044】
図4に示されるように、電力供給システムは、発電所と車両との間に、(車上のまたは車外の)整流器を含んでいないかもしれない。例えば、いかなる整流器も、発電所と車両のモータとの間で、AC(またはACの任意の一部)をDCへ変化させないこともある。
【0045】
図5は、電力供給システム(500)の別の例を示す。この電力供給システムは、電力供給システムが任意の車上変圧器または車上整流器を含んでいないという点で、他の電力供給システムとは異なる。さらに、電力供給システムは、発電所によって提供されるACのピーク電圧を、下げる、または降圧する、車外変圧器の1以上を含んでいても良い。車外変圧器は、ピーク電圧を、車両のトラクションモータに直接的に電力供給するために使用され得るレベルに下げても良い。降圧されたACは、送電線とパントグラフを介して車両に導かれても良い。コントローラは、上に記載されるように、送電線とパントグラフからモータへの、降圧されたACの導電を、接触器または他のスイッチを使用して制御することができる。
【0046】
送電線から受け取られた、降圧されたACは、車両上の導電性の経路を介してトラクションモータに導かれ得る。トラクションモータは、その後、降圧されたACによって電気的に電力供給され、車両を推進することができる。送電線上で導かれ、そして車上変圧器によって降圧されたACの周波数は変更されないので、トラクションモータはこの周波数に対応する単一の速度による動作に限定されるかもしれない。例えば、ACの周波数が変化しないので、トラクションモータは車両の車輪を、固定の、または不変の速度で回転させるかもしれない。一実施形態では、電力供給システムは、発電所と車両との間に、(車上のまたは車外の)いずれの整流器も含んでいないかもしれない。例えば、いかなる整流器も、発電所と車両のモータとの間で、AC(またはACの任意の一部)をDCへ変化させないこともある。
【0047】
図6は、モータに電力供給するために、車両のモータに電力を供給するための方法(600)の一実施形態のフローチャートを示す。方法は、本明細書に記載される1以上の電力供給システムの動作を記載する。例えば、方法は、
図2に示される電力供給システムの動作を記載する。工程(602)で、ACは、車両上の変圧器で、1以上の送電線から、および、1以上のパントグラフなどの1以上の導電性のボディーを介して、受け取られる。随意に、ブラシ、導電性シュー、または他の導電性ボディーを使用することができる。工程(604)で、ACのピーク電圧は、車上変圧器によって降圧される。工程(606)で、降圧されたACは、さらに車両上に配置される整流器で受け取られる。工程(608)で、車上整流器は、降圧されたACをDCに変化させる。工程(610)で、整流器によって出力されるDCは、可変周波数ドライブで受け取られる。工程(612)で、可変周波数ドライブは、可変周波数電流(例えば、可変周波数電流による制御に基づいて変化し得る周波数を有するAC)を生成する。工程(614)で、この可変周波数電流は、車両の、1以上の電気トラクションモータ(例えばモータ)に供給され、モータに電力供給し、モータの速度を制御する。モータの速度は、可変周波数電流の周波数を変化させることによって制御することができる。
【0048】
図7は、モータに電力供給するために、車両のモータに電力を供給するための別の方法(700)の一実施形態のフローチャートを示す。方法は、本明細書に記載される1以上の電力供給システムの動作を記載する。例えば、方法は、
図3に示される電力供給システムの動作を記載する。工程(702)で、ACは、車両外にある変圧器で受け取られる。車外変圧器は、1以上の送電線からACを受け取ることができる。工程(704)で、ACのピーク電圧は、車外変圧器によって降圧される。この降圧されたACは、送電線に再び導くことができ、そして、1以上の車両の方へ導くことができる。工程(706)で、降圧されたACは、さらに車両上に配置される整流器で受け取られる。降圧されたACは、パントグラフ、ブラシ、導電性シュー等などの、車両の1以上の導電性ボディーを介して、整流器によって受け取られ得る。工程(708)で、車上整流器は、降圧されたACをDCに変化させる。工程(710)で、整流器によって出力されるDCは、可変周波数ドライブで受け取られる。工程(712)で、可変周波数ドライブは、可変周波数電流(例えば、可変周波数電流による制御に基づいて変化し得る周波数を有するAC)を生成する。工程(714)で、この可変周波数電流は、車両の、1以上の電気トラクションモータ(例えばモータ)に供給され、モータに電力供給し、モータの速度を制御する。モータの速度は、可変周波数電流の周波数を変化させることによって制御することができる。
【0049】
図8は、モータに電力供給するために、車両のモータに電力を供給するための別の方法(800)の一実施形態のフローチャートを示す。方法は、本明細書に記載される1以上の電力供給システムの動作を記載する。例えば、方法は、
図4に示される電力供給システムの動作を記載する。工程(802)で、ACは、1以上の送電線から車両上の変圧器で受け取られる。ACは、パントグラフ、導電性シュー、ブラシ等などの、車両の1以上の導電性ボディーを介して、受け取られ得る。工程(804)で、ACのピーク電圧は、車上変圧器によって降圧される。ピーク電圧は、ACの周波数を変化させることなく、降圧させることができる。工程(806)で、降圧されたACは、車上変圧器から車両のモータに導かれ得る。例えば、降圧されたACは、ACの周波数を変化させたり、ACをDCに変換させたりすることなく、車両の電気モータに導かれ得る。固定周波数ACは、上に記載されるように、モータに導かれ、モータに電力供給してモータを単一の速度で動作させる。
【0050】
図9は、モータに電力供給するために、車両のモータに電力を供給するための別の方法(900)の一実施形態のフローチャートを示す。方法は、本明細書に記載される1以上の電力供給システムの動作を記載する。例えば、方法は、
図5に示される電力供給システムの動作を記載する。工程(902)で、ACは、1以上の送電線から車両外にある変圧器で受け取られる。工程(904)で、ACのピーク電圧は、車外変圧器によって降圧される。ピーク電圧は、ACの周波数を変化させることなく、降圧させることができる。降圧されたACは、送電線に再び戻され、車両の方へ導かれ得る。工程(906)で、固定周波数の降圧されたACは、車両によって送電線から受け取られ得る。例えば、ACは、パントグラフ、導電性シュー、ブラシ等などの、車両の1以上の導電性ボディーを介して、受け取られ得る。工程(908)で、ACは、車両のモータに導かれる。例えば、降圧された、固定周波数のACは、ACの周波数を変化させたり、ACをDCに変換させたりすることなく、車両の電気モータに導かれ得る。固定周波数ACは、上に記載されるように、モータに導かれ、モータに電力供給してモータを単一の速度で動作させる。
【0051】
図11は、
図2に示されるものに類似する、電力供給システムの別の例を示す。電力供給システムは、車両外にある道路沿いの降圧変圧器を含んでいるかもしれず、そしてそれは、発電所からACを受け取る。この変圧器は、13kVの三相ACを発電所から受け取ることができ、そして、このACを(60Hzの周波数の)480Vの三相ACに降圧させることができる。代替的に、電流は、別の電圧に降圧され得る。この、降圧されたACは分割され、そして、ケーブルまたは他の導体を介して、DC-ACコンバータに導かれ得る。適切なコンバータは、インバータであっても良く、そして、道路沿いの変圧器から受け取られたACを、高電圧(例えば12~25kV)の、単相ACに変換するスイッチであっても良い。道路沿いの変圧器は、スイッチがACを高電圧に変換することができるように、電圧を降圧させることができる。この単相ACは、車両外にある車外変圧器に導かれても良く、そしてそれは、センタータップを含むか、あるいはセンタータップに接続されている。
【0052】
示される実施形態では、2つの送電線の各々は、集電体を介して車両に供給される単相ACを導く。送電線で導かれるACの位相は、様々であって良い。例えば、送電線で導かれるACには、180度の位相差があっても良い。別の実施形態では、ACは、位相が180度ずれていても良い。別の実施形態では、送電線で導かれるACには、180度ではない位相差があっても良い。適切な位相差は、用途に特異的なパラメータに基づいて、そして送電線間で選択されても良く、集電体を介して車両に送達される電圧の大きさに影響するかもしれず、あるいはそれを制御するかもしれない。例えば、AC間における180度の位相差は、車両に大きな電圧を提供するかもしれず、その一方で、90度の位相差は、車両にこの最大電圧の半分を提供するかもしれず、位相差無しの場合には、車両に電圧を提供しない、あるいは最小の電圧しか提供しない、などであり得る。
【0053】
車両の車上変圧器は、送電線から集電体を介してACを受け取っても良い。この変圧器は、電圧を降圧させることができる。一例では、この降圧は、約25kVのACから約2.660kVのACへであっても良く、あるいは、用途に少なくとも部分的に基づく他の値から選択されても良い。電圧は降圧され、そして、車上整流器に導かれ得る。示される例では、車上変圧器は、単相ACを、車上整流器としての3つのAC-DC整流器に、別々に導く3つのコイルを含む。これらの整流器の各々は、ACをDCに変換する、1.7kVの炭化ケイ素ダイオード整流器を含み得る。このDCは、整流器によって車両上にあるコンバータに出力される。コンバータは、整流器から受け取られたDCの電圧を変化させる、DC-DCコンバータであり得る。例えば、コンバータは、整流器から受け取られたDCの電圧を、
図11に示されるように、コンバータと連結されるエネルギー貯蔵デバイスを充電するのに使用できる低下電圧まで、低下させることができる。
【0054】
コンバータは、複数のDC-DCコンバータに接続され、各々のDC-DCコンバータが該コンバータによって出力される電圧を変化させても良い。これらのコンバータの各々は、異なるインダクタ(1110)に接続されても良く、該インダクタは別のエネルギー貯蔵デバイスに連結されているかもしれない。一実施形態では、車両は、コンバータに連結されたエネルギー貯蔵デバイス、またはインダクタに連結されたエネルギー貯蔵デバイスのいずれかを有する。代替的に、車両は、コンバータに連結されたエネルギー貯蔵デバイス、およびインダクタに連結されたエネルギー貯蔵デバイスの両方を有することができる。
【0055】
インダクタおよび/またはエネルギー貯蔵デバイスは、抵抗器(1114)、コンデンサ(1116)、接地接続(1118)等が並列にコンバータと接続している1以上の脚を備える別のコンバータ(1112)に連結していても良い。コンバータは、インダクタおよび/またはエネルギー貯蔵デバイスによって出力される電圧を変化させ、その後にこの電圧を車両のトラクションモータに供給する。モータは、車両を推進するために、この電圧によって電力供給される。一実施形態では、エネルギー貯蔵デバイスの1以上は、モータに電気エネルギー(例えばDC)を供給し、モータに電力供給する。車両は、車両上のジェネレータまたはオルタネータと共に動作するエンジンを含んでいても良く、それによってモータに電力供給するための追加的な電流を生成する。代替的に、車両は、いかなるエンジンをも含んでいないかもしれない。
【0056】
上の記載は、車両外から車両上への(モータに電力供給するための、および/または、エネルギー貯蔵デバイスを充電するための)電流の供給に焦点が当たっているが、
図11に示されるコンポーネントが、モータによって出力される電流を、(エネルギー貯蔵デバイスを充電するために)再びエネルギー貯蔵デバイスに導いても良く、および/または、再び送電網(例えば電力網の一部であり得る発電所)に導いても良い。例えば、回生制動中に、モータはDCを生成し、そのDCは、コンバータ(ここでDCの電圧を変化させることができる)へ導かれても良く、その後随意に、コンバータとインダクタとの間のエネルギー貯蔵デバイスへ、導体を通って(充電用の)他のエネルギー貯蔵デバイスへ、および/または、(DCの電圧を変化させるための)コンバータへ、(ACに変換されるために)整流器へ、(電圧を昇圧するための)車上変圧器へ、集電体を介して(電圧を降圧させるための)車外変圧器にへ、(ACからDCに変換するための)インバータへ、その後に変圧器を介して発電所へと、導かれても良い。
【0057】
一実施形態では、電源供給システムは、電気車両に車上配置されるように構成される車上整流器を含む。車上整流器は、発電所から送電線を介して、少なくとも商用電力線周波数である周波数で導かれる、交流を受け取るように構成される。車上整流器は、交流を直流に変化させ、直流を電気車両の電気的推進システムに出力し、推進システムに電力供給して電気車両を推進するように構成される。随意に、車上整流器は、少なくとも50ヘルツ、かつ60ヘルツ以下である商用電力線周波数で交流を受け取るように構成される。随意に、車上整流器は、少なくとも5キロヘルツ、少なくとも6キロヘルツ等の周波数で交流を受け取るように構成される。随意に、車上整流器は、少なくとも10キロボルトのピーク電圧で交流を受け取るように構成される。随意に、システムはまた、電気車両に搭載され、そして交流のピーク電圧を下げるように構成される車上変圧器を含む。車上変圧器は、送電線から交流を受け取るように、そして下げられたピーク電圧を有する交流を車上整流器で出力するように、構成することができる。
【0058】
随意に、車上整流器は、1以上の炭化ケイ素スイッチを含む。随意に、車上整流器は、発電所からの交流を受け取るように構成され、交流は、発電所と電気車両との間で、車外整流器によって整流されない。随意に、車上整流器は、単相電流としての交流を受け取るように構成される。随意に、車上整流器は、多相電流としての交流を受け取るように構成される。随意に、システムはまた、車上整流器によって出力される直流を受け取り、そして可変周波数電流を電気車両の電気的推進システムに出力するように構成される、可変周波数ドライブを含む。随意に、電気車両は、採掘用車両または移動用車両である。
【0059】
随意に、システムはまた、電気車両に車上配置されるように構成され、かつ車上整流器によって出力される直流の少なくとも一部を貯蔵するように構成される、エネルギー貯蔵デバイスを含む。一実施形態では、電気車両に車上配置される車上整流器で交流を受け取る工程を含む方法が提供される。交流は、送電線を介して、そして少なくとも商用電力線周波数である周波数で、発電所から車上整流器によって受け取られる。方法はまた、車上整流器を用いて交流を直流に変化させる工程と、直流を、車上整流器から電気車両の電気的推進システムに供給する工程であって、それによって推進システムに電力供給して電気車両を推進する工程とを含む。随意に、交流は、少なくとも50ヘルツ、かつ60ヘルツ以下である商用電力線周波数で受け取られる。随意に、交流は、少なくとも5キロヘルツの周波数で受け取られる。
【0060】
随意に、交流は、少なくとも10キロボルトのピーク電圧で受け取られる。随意に、方法はまた、車上変圧器で送電線から交流を受け取る工程と、交流のピーク電圧を、車上変圧器を使用して下げる工程であって、その後に、下げられたピーク電圧を有する交流を車上整流器に導く工程とを、さらに含む。随意に、交流は、車上整流器によって前記発電所から受け取られ、交流は、発電所と電気車両との間で、車外整流器によって整流されない。一実施形態では、方法は、交流を少なくとも50Hzの周波数で、電気車両上で、発電所から1以上の送電線を介して受け取る工程と、交流を直流に電気車両上で整流する工程と、および電気車両の推進システムに電力供給する工程であって、直流を使用して、推進システムに電力供給し、電気車両を推進する工程と、を含む。
【0061】
随意に、交流は、少なくとも5キロヘルツの周波数で受け取られる。随意に、交流は、少なくとも10キロボルトのピーク電圧で受け取られる。随意に、交流は、発電所から受け取られるが、交流は電気車両車外で整流されない。随意に、交流は、単相電流として受け取られる。随意に、交流は、多相電流として受け取られる。
【0062】
一実施形態では、方法が提供され、当該方法は、商用電力線周波数で発電所から1以上の送電線を介して交流を導く工程と、車両上の整流器で交流を受け取る工程であって、交流は発電所と車両との間で車外で整流されない工程と、車両上で 交流を整流する工程であって、それによって直流を発生させる工程と、および直流を使用して車両の1以上の電気トラクションモータに電力供給する工程と、を含む。
【0063】
一実施形態では、電力供給システムは、電気車両に車上配置されるように構成される、車上整流器を含む。車上整流器は、発電所から送電線を介して50ヘルツ~60ヘルツの周波数で、または50ヘルツ以上(例えば60ヘルツ以上)の周波数で導かれる交流を受け取るように構成される。車上整流器は、交流を直流に変化させ、直流を電気車両の電気的推進システムに出力し、推進システムに電力供給して電気車両を推進するように構成される。
【0064】
ある実施形態では、電気車両はシャシー、電力供給システム、および電気的推進システムを含む。1以上の車輪、トラック、プロペラ等に動作可能に接続される、1以上の電気モータ。電力供給システムと電気的推進システムは車両に搭載されており、シャシーに接続され、かつシャシーによって支持されている。電力供給システムは、車上整流器、車上変圧器、および集電体を含む。集電体は変圧器に電気的に接続され、そして、送電線から変圧器へ電気を導くために、車両の移動中に送電線と接触するように構成される。変圧器の出力は、整流器に電気的に接続される。整流器は、50ヘルツ以上である周波数で、送電線、集電体、および変圧器を介して、発電所から導かれる交流を受け取っても良い。整流器は、交流を直流に変化させ、直流を電気車両の電気的推進システムに出力し、推進システムに電力供給して電気車両を推進する。変圧器は、交流のピーク電圧を下げても良い。
【0065】
本明細書で使用される場合の、「プロセッサ」および「コンピュータ」という用語、ならびに関連する用語、例えば、「処理デバイス」、「コンピュータデバイス」、および「コントローラ」は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路にのみ限定されないかもしれず、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびアプリケーション固有の集積回路、ならびにその他のプログラム可能な回路を指しても良い。適切なメモリとしては、例えば、コンピュータ可読媒体を挙げることができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読不揮発性媒体であり得る。「非一時的コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、およびサブモジュールなどの情報、または任意のデバイスにおける他のデータの、短期的および長期的保存のために実装される、有形のコンピュータベースのデバイスを表す。したがって、本明細書に記載される方法は、貯蔵デバイスおよび/またはメモリデバイスを含むがこれらに限定されない有形の非一時的なコンピュータ可読媒体において具現化される、実行可能な命令としてコード化されても良い。そのような命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部を実行させる。そのため、この用語は、有形のコンピュータ可読媒体を含み、該コンピュータ可読媒体は非一時的なコンピュータ貯蔵デバイスを含むがこれに限定されず、該非一時的なコンピュータ貯蔵デバイスは揮発性媒体と不揮発性媒体、および取外し可能な媒体と取外し不可能な媒体を含むがこれに限定されず、例えば、ファームウェア、物理的保存場所および仮想的保存場所、CD-ROM、DVD、および、ネットワークやインターネットなどの他のデジタルソースを含む。
【0066】
本明細書で使用される単数形、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈に他の明示が無い限り、複数の参照を含む。「任意の」または「任意に」とは、後に記載される出来事または状況が発生する場合と発生しない場合があり、そしてその記載は、出来事が発生する場合と発生しない場合を含み得ることを意味する。本明細書と特許請求の範囲全体で使用される時、概数を表す言語は、関連する可能性のある基本機能を変更することなく、許容範囲内で変化し得る定量的表現を変更するために適用されることがある。したがって、「約」、「相当に」、「およそ」などの用語(複数可)によって変更される値は、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの場合には、概数を表す言語は、値を測定するための機器の精度に対応していても良い。ここでおよび明細書と特許請求の範囲全体を通して、範囲制限は、組み合わせられる場合および/または入れ替えられる場合があり、文脈または言語による別段の指示がない限り、そのような範囲は識別され、そして、そこに含有されるすべてのサブ範囲を含めることができる。
【0067】
この書面による説明は、例を使用して、最良のモードを含む実施形態を開示し、そして、当業者が、任意のデバイスまたはシステムの作成と使用、および包含される方法の実施を含む、本発明の実施形態を実践することを可能にする。特許請求の範囲は、開示の特許可能な範囲を定義し、そして当業者が思いつく他の例を含む。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字言語と異ならない構造的要素を有する場合、または、それらが特許請求の範囲の文字言語と実質的に異なることの無い等価の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあるものと意図される。