(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】ヒドロキシキノリン増感キレートを介するキナーゼおよび/またはホスファターゼ感知
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20230825BHJP
C12Q 1/48 20060101ALI20230825BHJP
C12Q 1/42 20060101ALI20230825BHJP
C07F 19/00 20060101ALI20230825BHJP
C07F 5/00 20060101ALI20230825BHJP
C07F 9/60 20060101ALI20230825BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20230825BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20230825BHJP
【FI】
C07K7/06
C12Q1/48 Z ZNA
C12Q1/42
C07F19/00
C07F5/00 D
C07F9/60
C12N9/12
C12N9/16 B
(21)【出願番号】P 2021500016
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(86)【国際出願番号】 US2019021917
(87)【国際公開番号】W WO2019178142
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-14
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】508242056
【氏名又は名称】センター ナショナル デ ラ ルシェルシュ サイエンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】520352403
【氏名又は名称】ウエヌエスセエム
(73)【特許権者】
【識別番号】515011944
【氏名又は名称】ウニヴェルシテ・ドゥ・モンペリエ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】インペリアリ, バーバラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンサレス ベラ, フアン アントニオ
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】JUAN GONZALEZ-VERA; ET AL,FLUORESCENT REPORTERS AND BIOSENSORS FOR PROBING THE DYNAMIC BEHAVIOR OF PROTEIN KINASES,PROTEOMES,2015年,VOL:3, NR:4,PAGE(S):369 - 410,http://dx.doi.org/10.3390/proteomes3040369
【文献】JON R BECK; ET AL,INTERROGATING ENDOGENOUS PROTEIN PHOSPHATASE ACTIVITY WITH RATIONALLY DESIGNED CHEMOSENSORS,ACS CHEM BIOL,2015年,VOL:11,NR:1,PAGE(S):284 - 290,https://doi.org/10.1021/acschembio.5b00506
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12Q
C07F
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部分および第2の部分を有するペプチドを含む組成物であって、前記第1の部分は、以下の構造:
【化19】
を含
み、
ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数であ
り、
前記第2の部分はホスフェート基を含
み、
ここで前記第1の部分の
キノリン環の環員であるNおよび
キノリン環の環員である炭素原子に結合したO、ならびに前記第2の部分の
前記ホスフェート基は、ユーロピウムイオンを介して配位される、組成物。
【請求項2】
前記ペプチドは、以下の構造:
【化20】
を含み、ここで:
Lnは、前記ユーロピウムイオンであり;そして
波線は、
両方とも前記ペプチドへの前記構造の共有結合を示し、必要に応じて、
ここでLnは、複数のH
2O分子にさらに配位され、さらに必要に応じて、
Lnは、4個または5個のH
2O分子にさらに配位される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(i)前記ユーロピウムイオンは、3+状態にある、必要に応じて、
(ii)R
1は、-Hである、
(iii)R
2は、-Hである、
(iv)R
4は、-Hである、
(v)R
5は、-Hである、
(vi)前記構造は、1個のみの-SO
2Xを有する、ならびに/または
(vii)R
3は、-SO
2Xであり、必要に応じて、
ここでXは、-NR’R”である、さらに必要に応じて、
(a)R’およびR”は同一である、ならびに/または
(b)R’およびR”は、各々-CH
3である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ホスフェート基は、前記ペプチド内のリン酸化したアミノ酸残基の一部であり、必要に応じて、
(i)前記リン酸化したアミノ酸はセリンである、
(ii)前記リン酸化したアミノ酸はスレオニンである、または
(iii)前記リン酸化したアミノ酸はチロシンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)nは0または1である、
(b)前記構造の中の-(CH
2)
n-は、前記ペプチド内の第2のアミノ酸残基に共有結合される、および/または
(c)前記ペプチドは、配列LVEPLTPCGEA(配列番号1)を有し、ここで前記ホスフェート基は、前記ペプチド中のスレオニン残基に共有結合され、前記構造の中の-(CH
2)
n-は、
前記ペプチド中のシステイン残基に共有結合される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項5の前記(b)および/または(c)
において、
(i)前記第2のアミノ酸残基がシステインであり、必要に応じて、ここで、前記構造の中の-(CH
2)
n-は、前記システイン残基の硫黄原子に共有結合される、または
(ii)前記第2のアミノ酸残基はグリシンである、
(iii)前記構造の中の-(CH
2)
n-は、前記ペプチドのアミノ酸骨格に共有結合され、必要に応じて、
ここで、前記
ホスフェート基に共有結合されたスレオニン残基および前記第2のアミノ酸残基は、少なくとも1個のアミノ酸残基によって分離される、および/または
前記
ホスフェート基に共有結合されたスレオニン残基および前記第2のアミノ酸残基は、1~5個のアミノ酸残基によって分離される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
(a)前記ペプチドが15アミノ酸残基またはこれ未満の長さを有する、もしくは
前記ペプチドが10アミノ酸残基またはこれより大きい長さを有する;および/または
(b)前記ペプチドは天然アミノ酸のみを含む、もしくは
前記ペプチドは少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む、
請求項1~6に記載の組成物。
【請求項8】
方法であって、前記方法は、
ユーロピウムイオンを、第1の部分
およびホスフェート基を含む第2の部分を含むペプチ
ドに非共有結合的に結合する工程であって、
前記第1の部分は、以下の構造:
【化21】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
前記ユーロピウムイオンは、前記第1の部分のキノリン環の環員であるNおよびキノリン環の環員である炭素原子に結合したO、ならびに前記第2の部分の前記ホスフェート基に非共有結合的に結合され、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの前記構造の共有結合を示す、工程;ならびに
前記構造の発光を決定して、前記ペプチドの第1の部分および第2の部分への前記ユーロピウムイオンの結合を決定する工程、
を包含する方法。
【請求項9】
前記ペプチドは、リン酸化可能なアミノ酸残基を有する前駆体ペプチドを、前記リン酸化可能なアミノ酸残基をリン酸化し得るキナーゼに曝露して、ホスホペプチドを生成することによって調製される、もしくは
前記ペプチドは、リン酸化したアミノ酸残基を有する前駆体ペプチドを、ホスファターゼを実質的に含まない溶液に曝露することによって調製さ
れ、
ここで、前記ユーロピウムイオンは、前記第2の部分のホスフェート基ならびに前記第1の部分の
キノリン環の環員である炭素原子に結合した酸素原子および
キノリン環の環員である窒素原子に対してキレート化される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
方法であって、前記方法は、
キナーゼを、ペプチドおよびマグネシウムイオンに曝露する工程であって、ここで前記キナーゼによる前記ペプチドのリン酸化後に、前記マグネシウムイオンは、前記ペプチドに非共有結合的に結合して、錯体を形成
し、
ここで、前記ペプチドは、第1の部分およびホスフェート基を含む第2の部分を含み、
前記第1の部分は以下の構造:
【化31】
を有し、ここで:
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、およびR
5
の各々は、独立して、水素または-SO
2
Xであり、R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、およびR
5
のうちの少なくとも1個は、-SO
2
Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの共有結合を示す、工程;
前記錯体をユーロピウムイオンに曝露
して、前記第1の部分のキノリン環の環員であるNおよびキノリン環の環員である炭素原子に結合したO、ならびに前記第2の部分の前記ホスフェート基を、前記ユーロピウムイオンを介して配位させる工程;ならびに
前記錯体の発光を決定して、前記キナーゼによる前記ペプチドのリン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
【請求項11】
前記キナーゼは、AGCキナーゼ、CaMキナーゼ、CK1キナーゼ、CMGCキナーゼ、STEキナーゼ、TKキナーゼ、またはTKLキナーゼであ
り、 616±5nmにおいて前記構造の発光を決定することによって、前記ペプチドのリン酸化を決定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
溶解したユーロピウムイオンおよび
ペプチドを含む溶液を含む組成物であって、
前記ペプチドは、第1の部分およびホスフェート基を含む第2の部分を含み、
前記第1の部分は、以下の構造:
【化32】
を有
し、ここで、
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり
、
波線は、前記ペプチドへの共有結合を示
し、
前記第1の部分のキノリン環の環員であるNおよびキノリン環の環員である炭素原子に結合したO、ならびに前記第2の部分のホスフェート基は、前記ユーロピウムイオンを介して配位される、組成物。
【請求項13】
前記溶液が、キナーゼおよび/またはホスファターゼをさらに含む、請求項12に記載の組成物
【請求項14】
方法であって、前記方法は、
ホスファターゼを含むと疑われる溶液を、リン酸化したペプチドおよびマグネシウムイオンに曝露する工程であって、ここで前記マグネシウムイオンは、前記ペプチドに非共有結合的に結合して、錯体を形成し、前記ペプチドは、
第1の部分および第2の部分を有し、
前記第1の部分は以下の構造:
【化33】
を含
み、
ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数であ
り、
前記第2の部分はホスフェート基を含む、工程;
前記錯体をユーロピウムイオンに曝露
して、前記第1の部分のキノリン環の環員であるNおよびキノリン環の環員である炭素原子に結合したO、ならびに前記第2の部分の前記ホスフェート基を、前記ユーロピウムイオンを介して配位させる工程;ならびに
前記錯体の発光を決定して、前記ホスファターゼによる前記ペプチドの脱リン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
【請求項15】
方法であって、前記方法は、
ホスファターゼを、ペプチドおよびマグネシウム
イオンに曝露する工程であって、ここで前記マグネシウムイオンは前記ペプチドに非共有結合的に結合して、錯体を形成し、前記ペプチドは、第1の部分、およびホスフェート基を含む第2の部分を含
み、
前記第1の部分は、以下の構造:
【化34】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの共有結合を示す、工程;
前記錯体
をユーロピウムイオンに暴露
して、前記第1の部分のキノリン環の環員であるNおよびキノリン環の環員である炭素原子に結合したO、ならびに前記第2の部分の前記ホスフェート基を、前記ユーロピウムイオンを介して配位させる工程;ならびに
616±5nmにおいて前記構造の発光を決定することによって、前記ペプチドの脱リン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年3月12日出願の米国仮特許出願第62/641,587号、Imperiali, et al.による発明の名称「Kinase and/or Phosphatase Sensing Via Hydroxyquinoline-Sensitized Chelates」(その全体において本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
分野
本発明は一般に、キナーゼ(例えば、タンパク質およびペプチドのリン酸化を媒介するプロテインキナーゼ)およびホスファターゼ(例えば、タンパク質およびペプチドの脱リン酸化を媒介するプロテインホスファターゼ)を含む、リン酸化調節機構を担う酵素のアッセイに関する。明瞭性のために、その提供される記載は、本発明のある種の実施形態を例証するために、プロテインキナーゼに概して焦点を当てるが、他の実施形態において、ホスファターゼが使用され得ることは理解されるべきである。
【背景技術】
【0003】
背景
プロテインキナーゼは、細胞内での調節の局面に関与する。プロテインキナーゼは一般に、ある種のアミノ酸残基(例えば、セリン、スレオニン、またはチロシン)にホスホリル基を付加する(リン酸化)ことによって作用する。リン酸化はしばしば、酵素活性、細胞位置、または他のタンパク質との会合を変化させることによって、標的タンパク質(基質)の機能変化を生じる。プロテインキナーゼは、広く種々の生物(動物、植物、および細菌が挙げられる)において見出される。タンパク質内のリン酸化事象の検出はしばしば、蛍光を伴って行われるが、バックグラウンド蛍光に起因して、例えば、低分子有機化合物の大きなライブラリーの存在下では困難であり得る。よって、改善が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明は一般に、キナーゼ(例えば、タンパク質およびペプチドのリン酸化を媒介するプロテインキナーゼ)のアッセイに関する。本発明の主題は、いくつかの場合には、相互に関係する生成物、特定の問題に対する代替の解決策、ならびに/または1またはこれより多くのシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる用途を含む。
【0005】
一局面において、本発明は一般に、組成物に関する。1セットの実施形態において、上記組成物は、以下の構造:
【化1】
を含む第1の部分であって、
ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数である、第1の部分
ならびにホスフェート基を含む第2の部分を有するペプチ
ドを含み、ここで上記第1の部分のNおよび/またはO、ならびに上記第2の部分のホスフェート基は、ランタニドイオンを介して配位される。
【0006】
上記組成物は、別のセットの実施形態において、溶解したランタニドイオンおよび以下の構造:
【化2】
を有する部分を含むペプチドであって、ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数であり、波線は、上記ペプチドの共有結合を示すペプチドを含む溶液を含む。
【0007】
別の局面において、本発明は一般に、方法に関する。1セットの実施形態において、上記方法は、ランタニドイオンを、第1の部分
およびホスフェート基を含む第2の部分を含むペプチ
ドに非共有結合的に結合する工程であって、ここで上記第1の部分は、以下の構造:
【化3】
を有し、ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数であり、波線は、上記ペプチドへの共有結合を示す、工程;ならびに上記構造の発光を決定して、上記ペプチドの第1の部分および第2の部分への上記ランタニドイオンの結合を決定する工程、を包含する。
【0008】
上記方法は、別のセットの実施形態によれば、キナーゼを、ペプチドおよびマグネシウムイオンに曝露する工程であって、ここで上記キナーゼによる上記ペプチドのリン酸化後に、上記マグネシウムイオンは、上記ペプチドに非共有結合的に結合して、錯体を形成する工程;上記錯体をユーロピウムイオンに曝露する工程;ならびに上記錯体の発光を決定して、上記キナーゼによる上記ペプチドのリン酸化を決定する工程、を包含する。
【0009】
さらに別のセットの実施形態において、上記方法は、キナーゼを、第1の部分
およびホスフェート基を含む第2の部分を含むペプチ
ドに曝露する工程であって、上記第1の部分は、以下の構造:
【化4】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数であり、波線は、上記ペプチドへの共有結合を示す、工程;ならびに616±5nmにおいて上記構造の発光を決定することによって、上記ペプチドのリン酸化を決定する工程、を包含する。
【0010】
なお別のセットの実施形態において、上記方法は、ホスファターゼを含むと疑われる溶液を、リン酸化したペプチドおよびマグネシウムイオンに曝露する工程;上記錯体を、ユーロピウムイオンに曝露する工程;ならびに上記錯体の発光を決定して、上記ホスファターゼによる上記ペプチドの脱リン酸化を決定する工程、を包含する。
【0011】
上記方法は、さらに別のセットの実施形態において、ホスファターゼを、第1の部分
およびホスフェート基を含む第2の部分を含むペプチ
ドに曝露する工程であって、ここで上記第1の部分は、以下の構造:
【化5】
を有し、ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数であり、波線は、上記ペプチドへの共有結合を示す、工程;ならびに616±5nmにおいて上記構造の発光を決定することによって、上記ペプチドの脱リン酸化を決定する工程、を包含する。
【0012】
別の局面において、本発明は、本明細書で記載される実施形態の1またはこれより多くを作製する方法を包含する。さらに別の局面において、本発明は、本明細書で記載される実施形態の1またはこれより多くを使用する方法を包含する。
【0013】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面とともに考慮される場合、本発明の種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照しながら、例示によって記載される。その添付の図面は模式図であり、スケールどおりに描かれていることは意図されない。図面において、図示される各同一のまたはほぼ同一の構成要素は、代表的には、1つの数字によって表される。明瞭にする目的で、全ての構成要素が、全ての図面に表示されているわけではなく、当業者が本発明を理解することを可能にするために例示が必要ではない場合、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されているわけではない。図面において:
【
図1】
図1A~1Cは、本発明のいくつかの実施形態によるある種の構造を図示する模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態における、Eu(III)の付与を図示する。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態において、漸増するEu(III)濃度の存在下で、ペプチドとホスホペプチドとの間の発光変化を図示する。
【
図4】
図4は、本発明のさらに別の実施形態において、単一濃度のEu(III)の存在下で、リン酸化したペプチドとリン酸化されていないペプチドとのスペクトル比較を示す。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態において、別のペプチドおよびホスホペプチドのEu(III)滴定曲線を図示する。
【
図6-1】
図6A~6Cは、本発明のなお別の実施形態に従って、CSox基質を使用するEu結合を図示する。
【
図6-2】
図6A~6Cは、本発明のなお別の実施形態に従って、CSox基質を使用するEu結合を図示する。
【
図7】
図7A~7Cは、本発明の一実施形態において、YESキナーゼを使用してスタウロスポリンのIC
50を決定するためのヒドロキシキノリン増感Euキレートの適用を図示する。
【
図8】
図8A~8Bは、本発明の別の実施形態において、CaMK2δキナーゼを使用して、スタウロスポリンのIC
50を決定するためのヒドロキシキノリン増感Euキレートの適用を図示する。
【
図9】
図9A~9Bは、低ATP濃度および高ATP濃度でのASK1キナーゼの活性を評価するためのヒドロキシキノリン増感Euキレートの適用を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
配列改変体の簡単な説明
配列番号1は、LVEPLTPCGEAであり、ある種のプロリン指向性セリン/スレオニンキナーゼの基質の非限定的な例である;
【0016】
配列番号2は、配列LVEPLTPC(Sox)GEAを有するSox-OHであり、ここでTは、リン酸化されておらず、「Sox」は、以下の構造を有し、この場合、波線は、システインのSへの結合を示す:
【化6】
および
配列番号3は、配列LVEPLT*PC(Sox)GEAを有するSox-Pであり、ここでTはリン酸化されており(T*として示される)、「Sox」は、以下の構造を有し、この場合、波線は、システインのSへの結合を示す:
【化7】
および
配列番号4は、Ac-EEPIYVC(Sox)FGであり、ここで「Sox」は、以下の構造を有し、この場合、波線は、システインのSへの結合を示す:
【化8】
。
【0017】
配列番号5は、Thr-Val-C(Sox)-Ala-Leuであり、ここで「Sox」は、以下の構造を有し、この場合、波線は、システインのSへの結合を示す:
【化9】
配列番号6は、Tyr-Arg-C(Sox)-Pro-Serであり、ここで「Sox」は、以下の構造を有し、この場合、波線は、システインのSへの結合を示す:
【化10】
および
配列番号7は、Ac-C(Sox)-Gly-Thr-Pheであり、ここで「Sox」は、以下の構造を有し、この場合、波線は、システインのSへの結合を示す:
【化11】
。
【0018】
詳細な説明
本発明は一般に、キナーゼ(例えば、タンパク質およびペプチドのリン酸化を媒介するプロテインキナーゼ)およびホスファターゼ(例えば、タンパク質およびペプチドの脱リン酸化を媒介するプロテインホスファターゼ)を含む、リン酸化調節機構を担う酵素のアッセイに関する。本発明のある種の局面は、ランタニドイオン(例えば、キレート化増強発光を示すユーロピウムイオン)を使用する。キナーゼによるペプチドのリン酸化は、錯体がランタニドイオンと、ホスフェート基、レポーター基(例えば、錯体化状態にある場合に、発光を生じるヒドロキシキノリン)との間で形成することを引き起こし得る。従って、ある種の実施形態において、発光の決定は、キナーゼ活性を示し得る。ある種の実施形態はまた、ホスファターゼ活性の検出のための基質の使用を含み、ここで脱リン酸化は、シグナルアッセイの喪失を生じる。他の局面は一般に、このようなペプチドまたは錯体を作製および使用するための技術、このようなペプチドまたは錯体が関わるキットなどに関する。
【0019】
本発明の一局面は、ここで
図1Aに関して示される。この図において、ペプチド10は、上記ペプチドへと、例えば、ある種のアミノ酸残基(例えば、セリン、スレオニン、またはチロシン)上にホスホリル基20を転移させるキナーゼ(例えば、プロテインキナーゼ15)に曝露される。しかし、ある種の実施形態において、リン酸化事象を定性的におよび/または定量的に決定することは、望ましいことであり得る。さらに、他の実施形態において、ホスファターゼが使用され得ることは、理解されるべきである。
【0020】
図1Bに示されるような、いくつかの場合には、これは、ヒドロキシキノリンのような基、およびレポーター基およびホスフェートと非共有結合的に配位し得るイオンを使用することによって達成され得る。従って、この図において、ランタニド(III)[Ln(III)]イオンは、ペプチド10上のホスフェート20およびレポーター基25の両方に錯体化される。
【0021】
このような化合物の1つの非限定的な例は、ランタニドイオンとしてのユーロピウム(III)[Eu(III)]とともに、
図1Cにおいて図示される。この図において、ペプチド10は、ホスフェート基20およびヒドロキシキノリン基25の両方を含む。Eu(III)は、これらの基の両方に非共有結合的に配位される。適切な波長の入射光30を印加すると、その錯体は発光し得、いくつかの様式で決定され得る放射光35を生成し得る。例えば、この放射光は、上記ペプチドがリン酸化されているかまたはそうでないかを(例えば、キナーゼまたはホスファターゼによる)決定するために使用され得る。しかし、ホスフェート基20が存在しない場合、上記錯体は形成できず(または不十分にしか形成できず)、放射光35は生成されない(または生成されるが、遙かに弱いシグナルでしか生成されない)。よって、例えば、上記ペプチドをリン酸化し得るキナーゼまたはホスファターゼの存在は、例えば、定性的におよび/または定量的に決定され得る。
【0022】
しかし、
図1Cに示されるものの他の放射性の基が、本発明の他の実施形態においても可能であることは、理解されるべきである;同様に、ユーロピウム以外のランタニドがいくつかの場合には使用され得る。また、このようなシステムは、プロテインキナーゼのようなキナーゼの検出のみに限定されない。例えば、一実施形態において、このようなシステムは、ホスフェートが基質上に存在するか否かを決定するために使用され得る。別の実施形態において、ホスホペプチドは、プロテインホスファターゼの活性を測定するために使用され得る。さらに別の実施形態において、上記システムは、ホスファターゼを決定するために使用され得る。
【0023】
本発明のいくつかの局面において、共通する構造(例えば、ペプチドまたはタンパク質)は、レポーター基を有する第1の部分、およびリン酸化され得る第2の部分を有し得、上記第2の部分がリン酸化される(すなわち、ホスフェート基の共有結合的付加によって改変される)場合、適切なイオン(例えば、ランタニドイオン)へと非共有結合的結合またはキレート化すると、錯体は、上記イオンと、ホスフェート、レポーター基との間に形成する。対照的に、上記第2の部分がリン酸化されない場合、上記錯体は形成できないか、または適切に形成できない。非限定的な例として、上記第2の部分は、リン酸化されなくてもよい。なぜならキナーゼは存在しないか、もしくは上記ホスフェート基がその後除去されるか、または上記第2の部分がある理由で、例えば、変異、干渉する化学反応、立体障害などに起因してリン酸化され得ないからである。
【0024】
いくつかの場合には、上記錯体は、形成した場合、発光シグナルによって決定され得る。例えば、上記錯体が存在する場合、適切な波長の入射光は、上記錯体に発光させて、例えば、定性的にまたは定量的に決定され得る放射光を生じ得る。いくつかの実施形態において、上記錯体は、ヒドロキシキノリン基を含み得る。例えば、上記錯体は、以下の構造:
【化12】
を有し得る。この構造において、ホスフェートは下にあり、レポーター基(この例では、ヒドロキシキノリン基)は、上にあり、両方がランタニドイオン(Ln)に対してキレート化される。波線は、例えば、ペプチドまたはタンパク質のような共通の構造への結合を示す。いくつかの実施形態において、他の共通の構造が存在し得る。例えば、上記共通の構造は、核酸、グリカン、リン脂質、または合成ポリマーであり得る。
【0025】
さらに、Lnがまた、H2Oのような他の配位子(ここでは明瞭性のために例証されない)に錯体化することは、理解されるべきである,例えば、上記Lnは、全てにおいて6個、7個、8個、9個、またはこれより多くの配位子に対して配位する錯体を形成し得る。従って、例えば、上記のLnはまた、例えば、示される結合に加えて、2個、3個、4個、5個、またはこれより多くのH2O分子に対して配位され得る。
【0026】
上記共通の構造がペプチドまたはタンパク質である場合、2つの結合点の間に任意の適切な数のアミノ酸残基が存在し得る。例えば、2つの結合点の間に1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、もしくは10個、またはこれより多くのアミノ酸残基が存在し得、いずれか1個が、N末端またはC末端に近くてもよい。上記ペプチドまたはタンパク質自体は、任意の適切な数のアミノ酸残基を有し得る。例えば、上記ペプチドまたはタンパク質は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも75個、または少なくとも100個のアミノ酸残基を有し得る。いくつかの場合には、上記ペプチドまたはタンパク質は、75個未満、50個未満、25個未満、20個未満、15個未満、または10個未満のアミノ酸残基を有し得る。上記アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸および/または合成アミノ酸を含んでいてもよい。
【0027】
言及されるように、上記共通の構造の第2の部分は、リン酸化され得る、例えば、上記で示されるホスフェート基を導入し得る部分を含み得る。例えば、上記第2の部分は、セリン、スレオニン、またはチロシンを含み得、ここでホスホリル基は、アミノ酸側鎖中の酸素に転移される。いくつかの場合には、上記第2の部分は、側鎖中にヒドロキシル基を含む、天然に存在するアミノ酸残基または合成アミノ酸残基を含み得る。さらに、ある種の実施形態において、上記第2の部分は、ヒスチジン、リジン、もしくはアルギニンを(これらは、ホスホルアミデート結合を通じてリン酸化され得る)、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸を(これらは、混合した無水物連結を通じてリン酸化され得る)を含み得る。従って、非限定的な例としては、リン酸化可能なアミノ酸(例えば、セリン、スレオニン、またはチロシン)は、
図2に示され、配列番号2においてSox-OHとして定義されるもののような遊離-OH基を有し得る;リン酸化(例えば、キナーゼによる)すると、上記OH基は、-OPO
3=ホスフェート基(すなわち、この図において示されるとおりのかつ配列番号3においてSox-Pとして定義されるとおりの-OPO
3=)に変換され得る。
【0028】
上記ランタニドイオンは、任意の適切なランタニドイオンであり得る。一実施形態において、上記ランタニドは、ユーロピウムである。他の実施形態において、上記ランタニドは、サマリウム、テルビウム、またはジスプロシウムであり得る。大部分の場合には、上記錯体内のランタニドは、+3状態にあるが、+2状態にあってもよい。
【0029】
上記錯体の第1の部分は、ある種の実施形態において、ヒドロキシキノリンのようなレポーター基であり得る。いくつかの場合には、上記キノリンは、以下の構造:
【化13】
,
を有し得、ここで波線は、ペプチドまたは他の共通の構造への共有結合(例えば、以下で考察されるとおり)を示す。いくつかの場合には、ランタニドイオンのキレート化、配位または非共有結合的結合は、酸素原子および窒素原子で起こり得る。さらに、いくつかの場合には、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2X部分であり得、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの1個、2個、またはこれより多くは、-SO
2X部分である。このような構造中のXは、ある種の場合には、-OR’または-NR’R”であり得、ここでR’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルである。R’およびR”は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。上記アルキル基は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、またはこれより多くの炭素原子を有していてもよく、置換されていなくてもよいし、置換されていてもよく、環状であってもまたは直線状であってもよく、飽和されていても不飽和であってもよい。アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、シクロペンチル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチルなどが挙げられる。置換されたアルキルの非限定的な例としては、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、クロロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロエチル、2-クロロエチルなどが挙げられる。
【0030】
非限定的な例としては、1セットの実施形態において、上記ヒドロキシキノリンは、以下の構造:
【化14】
を有し、すなわち、ここでR
1、R
2、R
4およびR
5は、各々水素であり、R
3は、-SO
2Xであり、ここでXは、NR’R”であり、R’およびR”の各々は、独立してメチルである。他の実施形態において、上記ヒドロキシキノリンは、以下のような構造:
【化15】
を有し得る。さらに、先に言及されるように、2個またはこれより多くの-SO
2X基は、例えば、キノリンまたはいくつかの場合には他のレポーター基に置換基として存在し得る。
【0031】
言及されるように、上記レポーター基は、波線によって示される位置において、共通の構造(例えば、ペプチドまたはタンパク質)に共有結合され得る。いくつかの実施形態において、結合を促進するために、上記レポーター基内に1個またはこれより多くのリンカー(例えば、1個またはこれより多くの-CH
2-基)が存在し得る(すなわち、以下の構造:
【化16】
ここでnは、0または正の整数である(例えば、1、2、3、4、5など)
にあるとおり)。
【0032】
いくつかの実施形態において、上記レポーター基は、上記ペプチドまたはタンパク質内にアミノ酸残基の側鎖(すなわち、骨格構造…-NH-CHR-C(=O)-…におけるR)であり得る(従って、これは、α-CHが、上記レポーター基によって置き換えられる、グリシンに類似の構造を有し得る)。別のセットの実施形態において、上記レポーター基は、アミノ酸残基の側鎖に結合され得る。例えば、上記レポーター基は、上記ペプチドまたはタンパク質内のシステイン残基の硫黄に共有結合され得、例えば、
図2の例に示されるように、ジスルフィド結合(例えば、上記システイン内のチオール基に対する上記レポーター基内のチオール基の反応の際に)またはチオエーテル結合(例えば、上記システイン内のチオール基に対する上記レポーター基内のハロアルキル基の反応の際に)を形成し得る。別の非限定的な例としては、カルボン酸への上記レポーター基内のアミンの反応は、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸のようなアミノ酸残基に対してアミド結合を形成するために使用され得る。
【0033】
よって、非限定的な例としては、上記レポーター基は、以下の構造:
【化17】
を有し得、例えば、ここで上記-(CH
2)
n-基は、システイン残基の硫黄に、ジスルフィド基(例えば、システイン残基の)に、アミド結合に、骨格構造に(例えば、骨格構造…-NH-CHR-C(=O)-…におけるRとして)などに結合される。他の実施形態において使用指され得る他のレポーター基としては、本明細書で記載されるもののうちのいずれかを含む。上記レポーター基は、共通のペプチドまたは他の共通の構造の一部であり得る。このようなペプチドの非限定的な例は、実施例2により詳細に考察される、LVEPLTPCGEA(配列番号1)である。
【0034】
よって、言及されるように、錯体は、レポーター基、ホスフェート誘導体、およびランタニドイオンが存在する場合に形成され得る。非限定的な例としては、Eu(III)が存在する場合、以下のような錯体が形成され得る(繰り返すが、他の配位子(例えば、H
2O)への配位は、明瞭性の目的のためにここでは図示されない):
【化18】
。Eu(III)は、例えば、8座または9座であり得る。このような錯体は、よって、例えば、ランタニドイオン(例えば、Eu(III))が存在するか否かを決定するために、および/またはリン酸化が起こったか否かを決定するために使用され得る。非限定的な例としては、ある種のアミノ酸は、キナーゼ(例えば、プロテインキナーゼ)との反応の際にリン酸化され得るので、この錯体の存在は、キナーゼの存在および/または活性を決定するために使用され得る。
【0035】
上記ペプチド(または他の構造)の濃度は、例えば、0.1μM~10mMの間であり得る。例えば、上記濃度は、少なくとも0.1μM、少なくとも0.3μM、少なくとも1μM、少なくとも3μM、少なくとも10μM、少なくとも30μM、少なくとも100μM、少なくとも300μM、少なくとも1mM、少なくとも3mM、および/または10mM、以下、3mM以下、1mM以下、300μM以下、100μM以下、30μM以下、10μM以下、3μM以下、1μM以下、または0.3μM以下(これらの範囲の内のいずれかの組み合わせを含む)であり得る。任意の適切なホスホリルドナー供給源が使用され得、例えば、1μM~10μMの間の濃度での、例えば、アデノシン5’-トリホスフェート(ATP)が使用され得る。しかし、他の濃度が、他の実施形態において使用され得る。当業者は、このようなペプチドを、例えば、標準的な固相ペプチド合成と一緒に、標準的な(N-α)-Fmoc-アミノ酸保護化学のような技術を使用して調製し得る。
【0036】
いくつかの場合には、アミノ酸の保護および選択的脱保護は、例えば、側鎖または残基を改変するために使用され得る。例えば、O-アリルエステル(OAll)(例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸の側鎖における例えば、カルボキシル基に関して)、アリルオキシカルボニル(Alloc)(例えば、リジンまたはオルニチンの側鎖における例えば、アミノ窒素に関して)、p-メトキシトリチル(MMT)またはアセトアミドメチル(Acm)(例えば、システインのスルフヒドリルに関して)のような直交側鎖保護技術(orthogonal side-chain protection technique)が、使用され得る。非限定的な例としては、OAllおよびAllocは、Pdによって除去され得、Acmは、ヨウ素処理によって除去され得、MMTは、温和な酸処理によって除去され得る。
【0037】
キナーゼの例としては、セリン/スレオニンおよびチロシンキナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。上記キナーゼの濃度は、非限定的な例として、約1pM~約1μMの範囲に及び得る。例示的なキナーゼとしては、cAMP依存性プロテインキナーゼ、プロテインキナーゼC、Ca/カルモジュリン依存性キナーゼ、AMP活性化キナーゼ、s6キナーゼ、eIF-2キナーゼ、p34cdc2プロテインキナーゼ、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、カゼインキナーゼ-2、カゼインキナーゼ-1、グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3、Tyr特異的プロテインキナーゼが挙げられる。プロテインキナーゼの他の非限定的な例としては、AGCキナーゼ(例えば、PKA、PKC、PKGなど)、CaMキナーゼ(カルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ)、CK1キナーゼ(カゼインキナーゼ1)、CMGCキナーゼ(例えば、CDK、MAPK、GSK3、CLKキナーゼ)、STEキナーゼ(酵母Sterileキナーゼ)、TKキナーゼ(チロシンキナーゼ)、TKLキナーゼ(チロシン-キナーゼ様キナーゼ)が挙げられる。プロテインキナーゼとしてはまた、セリン/スレオニン特異的プロテインキナーゼ(例えば、CK2、PKA、PKC、Mos/Rafキナーゼ、MAPK、CaMキナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、PKB、IRAK-1など)、チロシン特異的プロテインキナーゼ(例えば、PDGFR、EGFR、IGF1R、SCFなど)が挙げられる。キナーゼのなお他の例としては、脂質キナーゼ、炭水化物キナーゼ、ヌクレオシド-ホスフェートキナーゼ、およびヌクレオシド-ジホスフェートキナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明が、キナーゼ検出のみに限定されないことは、理解されるべきである。例えば、ある種の実施形態において、ペプチドまたは他の構造のリン酸化の状態が所望され得る、すなわち、必ずしもキナーゼに曝露されているものではない。
【0038】
さらに、先に考察されるように、本発明のある種の実施形態は、一般に、ホスファターゼ(チロシンホスファターゼ、セリンホスファターゼなどを含む)に関する。いくつかの場合には、上記ホスファターゼは、比較的決まりがなく(promiscuous)、1種より多くの基質を認識してもよい。
【0039】
言及されるように、上記錯体は、存在する場合、ある種の局面に従って発光放射によって決定され得る。いくつかの場合には、上記錯体は、適切な波長の入射光に曝露される場合に上記錯体によって放射される光を決定することによって、定性的にまたは定量的に、決定され得る。当業者に公知の任意の方法は、例えば、蛍光光度計、蛍光分光光度計、蛍光プレートリーダー、光電子倍増管、アバランシェフォトダイオードなどを含め、発光を決定するために使用され得る。
【0040】
いくつかの場合には、およそ360nmの入射光が、上記錯体を刺激するために使用され得る。上記入射光は、例えば、360±20nm、360±10nm、または360±5nmの波長を有し得る。くつかの場合には、他の周波数の光(または周波数分布)が使用され得る。
【0041】
ある種の実施形態において、ユーロピウムイオンまたは他のランタニドイオンは、それらの放射周波数、および/またはそれらの寿命(すなわち、励起後)に起因して使用され得る。例えば、ある種の場合には、ユーロピウムイオンは、およそ615nm~620nmおよびおよそ580nm~600nmの放射波長を示し得る。例えば、上記放射は、およそ616nm、例えば、616±20nm、616±10nm、もしくは616±5nmを、または他の関連Eu(III)発光放射バンドにおいて、モニターされ得る。このような波長は、例えば、他の有機種または生物学的種から、驚くほどわずかなバックグラウンド干渉を与え得る。
【0042】
さらに、キレート化したユーロピウムイオン錯体は、ナノ秒の規模で寿命を示し得る非ランタニドイオンおよび有機性発蛍光団とは対照的に、マイクロ秒~ミリ秒の規模の寿命を示し得る。寿命が長いほど、それによってより容易な検出を可能にし得る。例えば、場合によっては、寿命が長いほど、干渉するバックグラウンドの有機種または生物学的種からの放射が、例えば、ランタニドイオン発光を決定する前に、短時間の遅延を使用することによって「ゲート」アウト(gated out)されることを可能にし得る。よって、ユーロピウムイオン(または他のランタニドイオン)を含む錯体は、ある種の実施形態において、他の非ランタニドイオンキレートより検出しやすいこともある。
【0043】
いくつかの局面において、上記ユーロピウムイオン(または他のランタニドイオン)は、例えば、本明細書で示されるもののような構造を形成するために、レポーター基およびホスフェート基と直接的に、非共有結合的に結合し得るか、またはキレート化し得る。例えば、溶液は、リン酸化されている(例えば、キナーゼへの曝露の際に)と疑われるペプチド(または本明細書で考察されるとおりの他の構造)を含み得る。上記ペプチドはまた、レポーター基を含み得る。上記溶液はまた、ユーロピウムイオンおよび/または他のランタニドイオンを含み得、これらのイオンは、例えば、上記溶液が形成される場合に、またはその後に、添加され得る。例えば、このようなイオンは、キナーゼまたはホスファターゼへのペプチドまたは他の構造の曝露の前または後に添加され得る。いくつかの場合には、錯体を形成するためのユーロピウムイオンの結合は、例えば、周囲の温度および/または圧力下で自発的に起こり得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、錯体は、最初に、他のイオンを使用して形成され得、そのイオンは、次いで、ユーロピウムイオンまたは他のランタニドイオンと交換または置き換えられ得る。例えば、いくつかの場合には、マグネシウムのようなイオンが、最初に、レポーター基およびホスフェート基へと錯体化し、次いで、上記イオンは、ユーロピウムイオンまたは他のランタニドイオンと交換または置き換えられ得る。このような反応の非限定的な例は、
図2に示される。他のイオンおよびランタニドイオンはともに、最初に存在してもよいし、いくつかの場合には、上記ランタニドイオンは、上記錯体の形成後に添加されてもよい。上記錯体内でのイオン交換は、部分的であっても完全であってもよく、すなわち、上記錯体内のイオンの100%またはより小さなパーセンテージが、イオン濃度、温度、持続時間などのような要因に依存して、ユーロピウムまたは他のランタニドイオンによって置き換えられてもよい。
【0045】
本明細書で考察されるとおりの方法は、インビトロまたはインビボで使用され得る。いくつかの適用において、反応は、その適用に依存して、適切なイオン、ホスフェート、および/またはキナーゼ、ホスファターゼなどを含む緩衝液中で行われ得る。適切な緩衝液としては、HEPES、MES、TRISなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの場合には、上記反応は、細胞の中で起こり得る。上記細胞は、十分なキナーゼ、ホスファターゼ、Mg2+、ATP供給源などを、例えば、サイトゾルの中に含み得る。いくつかの場合には、さらなるイオン(例えば、ユーロピウムまたは他のランタニド)はまた、添加され得る。ある種の実施形態において、細胞インターナリゼーション配列が、使用され得る。細胞インターナリゼーション配列の非限定的な例としては、透過因子(penetraint)、HIV-TATドメインおよびポリアルギニン配列が挙げられる。しかし、細胞は必要とされず、いくつかの実施形態において、本明細書で考察されるもののような反応は、インビトロで起こり得ることは、理解されるべきである。
【0047】
さらに、いくつかの実施形態において、それらのユーロピウムイオンキレートまたは他のホスホペプチド-ランタニドイオン錯体としての上記ヒドロキシキノリン改変ホスホペプチドは、ホスファターゼ基質として使用され得る。いくつかの場合には、ホスファターゼ活性は、ホスフェートを除去し、結果として発光は、上記ランタニドに対する親和性の低減に起因して減少する;従って、キナーゼ基質として働くヒドロキシキノリン改変ペプチドのうちのいくつかまたは全ては、ある種の実施形態において、一旦リン酸化された後、ホスファターゼ基質として同様に働き得る。
【0048】
本明細書で記載されるアミノ酸配列のうちのいずれかにおいて、上記配列が、任意の適切なC末端、例えば、アミド(例えば、一級アミド)でキャップされるか、またはキャップされないものを有し得る;独立して、上記配列が、任意の適切なN末端、例えば、遊離であるか、またはN-アセチル化されるものを有し得ることは理解されるべきである。
【0049】
米国特許第7,262,282号および同第7,964,729号は、それらの全体において本明細書に参考として援用される。
【0050】
さらに、Imperiali, et al.による2018年3月12日出願の米国仮特許出願第62/641,587号、発明の名称「Kinase and/or Phosphatase Sensing Via Hydroxyquinoline-Sensitized Chelates」は、その全体において本明細書に参考として援用される。
【実施例】
【0051】
以下の実施例は、本発明のある種の実施形態を例証することが意図されるが、本発明の全範囲を例示するわけではない。
【0052】
実施例1
この実施例は、Mg(II)結合CSox-ホスホ-ペプチドキレートの形成に起因する485nmでの蛍光リードアウトを使用する選択的プロテインキナーゼ活性アッセイを例証する。
図2もまた参照のこと。
【0053】
同じペプチドをまた、クエンチ点リードアウトにおいて、例えば、酵素反応が停止されているか否かに関わらず、アッセイ混合物をEu(III)イオンを含む緩衝液に添加する速度論分析の最後に付与し得る。Eu(III)は、Mg(II)に置き換わり、およそ616nmの最大発光での増感放射を示す新たなキレートを形成する。これは、バックグラウンド干渉がほとんどないかまたは全くない可能性がある波長において存在する。上記Eu(III)キレートの比較的長い寿命に起因して、任意の干渉するバックグラウンド蛍光有機種からの任意の放射形態は、ある種の実施形態において、Eu(III)発光データを集める前に、短時間の遅延(例えば、10~500マイクロ秒またはこれより長い)を適用することによって、「ゲート」アウトされ得る。
【0054】
実施例2
この実施例は、本発明のある種の実施形態に従って、キナーゼ活性をプローブするSox-Euペプチドセンサーを例証する。
【0055】
図2は、この実施例においてプロテインキナーゼ活性をプローブするEu(III)ベースのSoxセンサーの模式的代表図を示す。このSox含有基質はサイレントであるが、リン酸化すると、その発色団は、Eu(III)に結合し得、キレート化増強発光を受け得る。
【0056】
この実施例において使用される機器類は、以下のとおりである。UV-Vis分光光度計は、NanoDrop ND-1000(Labtech)であった。蛍光光度計は、時間分解蛍光測定のために装備されたCLARIOstar(登録商標)蛍光分光光度計(BMG LABTECH)であった。プレートは、Greinerアッセイプレート(Greiner Bio-One)、96ウェル蓋なし平底、中程度結合表面、無滅菌、黒色ポリスチレンであった。
【0057】
ストック溶液に関しては、最高純度および最低金属イオン含有量の試薬のみを使用した。上記ペプチドのストック溶液を、再蒸留水中で調製し、濃度をUV-Visによって決定した(1mM Na2EDTAを有する0.1M NaOH中で、355nmにおいて発蛍光団単位、5-(N,N-ジメチルスルホンアミド)-8-ヒドロキシ-2-メチルキノリンの決定された吸光係数ε355(エプシロン)=8247M-1cm-1に基づく)。3つの別個の溶液からの値の平均(各々、ストック溶液の異なる容積を使用して調製)を、上記UV-Vis分光光度計で読み取った。精製したペプチドストック溶液は、4℃において少なくとも6ヶ月間、または-20℃においてより長期間にわたって貯蔵できた。
【0058】
50mMの塩化ユーロピウム(EuCl3)ストック溶液(99.99% 微量金属基準, Aldrich)を、超純水中で調製した。500mM HEPES(SigmaUltra)を調製し、NaOH(99.998+%, Aldrich)溶液でpH7.5に調節した。5M NaClを、塩化ナトリウム(SigmaUltra)を超純水中に溶解させることによって調製した。
【0059】
発光実験を、以下のとおりに行った。時間分解放射測定を、CLARIOstar(登録商標)蛍光分光光度計で行った。スペクトルを、410~700nmの間で記録し、全ての測定を以下の設定を使用して行った:励起波長360nm;遅延時間0.4ms;ステップ幅1.0nm;放射バンド幅8nm;ゲイン:3000; 焦点高8nm; 20フラッシュ/ウェル。上記スペクトル全てを、上記溶媒溶液のブランクスキャンを差し引くことによって、バックグラウンド発光に対して補正した。
【0060】
ホスホペプチド(Sox-P)とリン酸化していないバイオセンサ(Sox-OH)との比較。 50mM HEPES緩衝液(pH7.5)、100mM NaCl中30℃でのホスホペプチドSox-P(5μM)およびその相当するリン酸化していないバイオセンサSox-OH(5μM)の時間分解発光スペクトルを、蛍光光度計において記録した。発光の差異を、合成ホスホペプチドとリン酸化されていないペプチドとの最大放射波長(620nm)における発光強度を比較することによって決定した。報告した値は、3回の別個の実験の平均である。
【0061】
図3は、異なる濃度のEuCl
3を使用して、リン酸化したペプチド(Sox-P)とその相当する基質(Sox-OH)との間の発光差異を示す。
図4は、20μMのEuCl
3の存在下で、リン酸化したペプチド(Sox-P, 5μM)およびリン酸化されていないペプチド(Sox-OH, 5μM)のスペクトルの比較を示す。
【0062】
Eu(III)解離定数(KD)の決定。 Eu(III)滴定を、50mM HEPES緩衝液(pH7.5)、100mM NaCl、および5μMのホスホペプチドSox-P(5μM)またはその相当するリン酸化されていないバイオセンサSox-OH(5μM)を含む緩衝液中で、合計容積200マイクロリットルにおいて30℃において行った。EuCl3ストック溶液のアリコートを添加し(ウェル中の最終EuCl3濃度については、およそ2.5~6000μMの範囲にある)、データを蛍光光度計において記録した。データを、プログラムGraFit 7でフィットさせた。報告した値は、3回の別個の実験の平均である。
【0063】
図5は、Sox-OHおよびSox-PのEu(III)滴定曲線を示す。表1は、ペプチド配列およびEu(III)の解離定数を示す。
【表1】
【0064】
実施例3
この実施例は、ある種のチロシンキナーゼの活性を決定するためにCSox基質を使用する結合の例示を示す。この実施例において使用される機器類は、Biotek Synergy Neo2マイクロプレートリーダーであった。この反応において、
図2に示されるように、100マイクロ秒遅延は、Eu(III)の結合が示されるとおりの錯体内で決定されることを可能にする。>600nm放射での時間分解蛍光は、化合物干渉の排除を可能にする。特に、この実施例において、キナーゼ活性を、ユーロピウムイオンとの組み合わせにおいて、CSoxペプチドAc-EEPIYVC(Sox)FG(配列番号4)を使用する蛍光によって決定した。
【0065】
使用される反応条件は、50mM HEPES(pH7.5)、5~1000μM ATP、1mM DTT、0.01% Brij-35、1% グリセロール、0.2mg/ml BSA、2~20mM MgCl2、10μM CSoxペプチド、1~5nM YES(キナーゼ)、アミノ酸1-543(Carna Bio)を含んだ。
【0066】
上記反応を、50マイクロリットル 最終反応容積において、1% グリセロール最終に対して、10マイクロリットル CSox-ペプチド(5×)、ATPおよびDTT(1.67×)を有する反応混合物 30マイクロリットル、30℃において5分間の予備インキュベーション(EDB/YESを除く全ての構成要素)、10マイクロリットル 酵素希釈緩衝液(1×)またはYES(EDB中5×)を使用して設定した。
【0067】
読み取りを、励起波長360nmおよび放射波長485nm(フィルター, 20nmまたは40nm バンド幅)で速度論的に、プレートの頂部から蛍光強度を測定して行った。エンドポイントアッセイに関して、ユーロピウムイオン(50~1,000μM)の添加後に、蛍光シグナルを、励起波長360nmおよび放射波長620nm(フィルター, ゲイン=100)を使用して、または500~680nmの波長スキャンとして時間分解蛍光(0.1 msec遅延)およびゲイン200を使用して、決定した。
【0068】
上記酵素希釈緩衝液(EDB)は、20mM HEPES(pH7.5)、0.01% Brij-35、5% グリセロール、1mM DTT、および1mg/mL ウシ血清アルブミン(BSA)であった。従って、実際の最終反応濃度は、54mM HEPES(pH7.5)、0.012% Brij-35、1% グリセロール、1.2mM DTT、および0.2mg/mL BSAであった。酵素を除く全ての構成要素を、30℃に平衡化した。反応を、Corning, ハーフエリア96ウェル、白色平丸底(flat round bottom)ポリスチレンNBSマイクロプレートにおいて、蒸発および生じるドリフトを排除するために、光学的に透明な接着フィルム(TopSealA-Plusプレートシール, PerkinElmer(ローラーで提供))を使用してシールした後に実行した。
【0069】
図6A~6Cは、1nM YESおよびCSox基質Ac-EEPIYVC(Sox)FG(配列番号4)を使用して、50~300μMを使用するEu(III)滴定の結果を示す。反応を、1nM YES、10μM CSox基質、5mM MgCl
2、100μM ATP、および10~300μM ユーロピウムで30分間実行した。Eu(III)の存在下でのシグナルは、ブランクまたはコントロールより遙かに大きく、高濃度であるほど概してシグナルは大きかった。Z’値は、0.5より大きく、試験した範囲全体で優れたアッセイであると考えられた。
【0070】
実施例4
この実施例はYESキナーゼを使用してスタウロスポリンのIC
50を決定するための、Thr-Val-CSox-Ala-Leu(配列番号5)コアを有するアセチルおよび一級アミドキャップしたトリデカペプチドとのヒドロキシキノリン増感Euキレートの適用を示す。速度論 対 エンドポイント(Eu)の比較アッセイを、
図7A~7Cに示す。反応を、1nM YES、10μM AQT0104、15mM MgCl
2、200μM ATPとともに30分間行い、次いで、200μMのEuを添加した。これらの結果は、PE/caliper MBSアッセイを使用して、YESに関して報告した値と一致した。
【0071】
実施例5
この実施例は、CaMK2δキナーゼを使用してスタウロスポリンのIC
50を決定するための、Tyr-Arg-CSox-Pro-Ser(配列番号6)コアを有するアセチルおよび一級アミドキャップしたトリデカペプチドとのヒドロキシキノリン増感Euキレートの適用を例証する。速度論 対 エンドポイント(Eu)の比較アッセイを、
図8A~8Cに示す。両方の図において、濃度は、以下のとおりであった: CaMK2δキナーゼ、1nM; ATP、5μM;およびペプチド、10μM。
【0072】
実施例6
この実施例は、低ATP濃度および高ATP濃度でのASK1キナーゼの活性を評価するための、Ac-CSox-Gly-Thr-Phe(配列番号7)コアを有するアセチルおよび一級アミドキャップしたヘキサデカペプチドとのヒドロキシキノリン増感Euキレートの適用を例証する。結果を
図10Aおよび10Bに示す。高S/B(シグナル対バックグラウンド)(4.5またはこれより高い)およびZ’(低ATP条件に関しては0.6および高ATP条件に関しては0.86)が観察された。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書で記載されかつ例証されてきたが、当業者は、機能を実施するならびに/または結果および/または本明細書で記載される利点のうちの1またはこれより多くを得るために、種々の他の手段および/または構造に容易に想到し、このようなバリエーションおよび/または改変の各々は、本発明の範囲内であるとみなされる。より一般には、当業者は、本明細書で記載される全てのパラメーター、寸法、物質、および構成が、例示であることが意味され、実際のパラメーター、寸法、物質、および/または構成が、本発明の教示が使用される具体的適用に依存することを容易に認識する。当業者は、慣用的に過ぎない実験を使用して、本明細書で記載される発明の具体的実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは確認し得る。従って、前述の実施形態が、例示によって示されるに過ぎず、添付の請求項およびこれに対する均等物の範囲内で、本発明が、具体的に記載されかつ特許請求されるとおりのもの以外の他のもので実施され得ることは、理解されるべきである。本発明は、本明細書で記載される各個々の特徴、システム、物品、物質、キット、および/または方法に関する。 さらに、2またはこれより多くのこのような特徴、システム、物品、物質、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、物質、キット、および/または方法が、相互に矛盾していなければ、本発明の範囲内に包含される。
【0074】
本明細書および援用される文書が、矛盾するおよび/または不一致の開示を含む場合、本明細書が優先する。援用される2またはこれより多くの文書が、互いに関して矛盾するおよび/または不一致の開示を含む場合、新しい方の有効日を有する文書が優先するものとする。
【0075】
全ての定義は、本明細書で定義されかつ使用される場合、辞書の定義、援用される文書中の定義、および/または定義される用語の通常の意味に優先すると理解されるべきである。
不定冠詞「1つの、ある(a)」および「1つの、ある(an)」とは、本明細書および請求項において使用される場合、明らかにそうでないことが示されなければ、「少なくとも1(at least one)」を意味することが理解されるべきである。
【0076】
語句「および/または(and/or)」は、ここで本明細書および請求項において使用される場合、そのように結合した要素のうちの「いずれかまたは両方(either or both)、すなわち、いくつかの場合には、共同して存在し、他の場合には、分離して存在する要素を意味することが理解されるべきである。および/またはとともに列挙される多数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように結合した要素のうちの「1またはこれより多く」と解釈されるべきである。他の要素は、必要に応じて、「および/または」の節によって具体的に特定される要素以外に、具体的に特定されたそれら要素に関連しようが関連しまいが存在し得る。従って、非限定的な例としては、「Aおよび/またはB(A and/or B)」への言及は、「含む、包含する(comprising)」のような開放系の文言とともに使用される場合に、一実施形態において、Aのみ(必要に応じて、B以外の要素を含む);別の実施形態において、Bのみ(必要に応じて、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(必要に応じて、他の要素を含む);などに言及し得る。
【0077】
ここで本明細書および請求項において使用される場合、「または(or)」は、上記で定義されるように、「および/または(and/or)」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分離する場合、「または(or)」または「および/または」は、包括的である、すなわち、多くの要素または要素のリストのうちの少なくとも1つ、しかし同様に1より多く、および必要に応じて、さらなる列挙されていない項目の包含として解釈されるべきである。「のうちのただ1つ(only one of)」または「のうちの正確に1つ(exactly one of)」のような、または請求項において使用される場合には、「からなる(consisting of)」のような、そうでないと明確に示される用語のみが、多くの要素または要素のリストのうちの正確に1つの要素の包含に言及する。一般に、用語「または」は、本明細書で使用される場合、「いずれかの」、「のうちの1つ(one of)」、「のうちのただ1つ」または「のうちの正確に1つ」のような排除の用語が先立つ場合には、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない(one or the other but not both)」)を示すと解釈されるべきであるに過ぎない。
【0078】
ここで本明細書および請求項において使用される場合、1またはこれより多くの要素のリストへの言及における語句「少なくとも1つ」は、要素のリスト中の要素のうちのいずれか1つまたはこれより多くから選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に列挙される各々のおよびあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ず含むわけではなく、要素のリストの中の要素の任意の組み合わせを排除しないことが理解されるべきである。この定義はまた、要素が、必要に応じて、語句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外に、それらの具体的に特定された要素に関連しようが関連しまいが存在し得ることを可能にする。従って、非限定的な例としては、「AおよびBのうちの少なくとも一方(at least one of A and B)」(または等しいことには、「AまたはBのうちの少なくとも一方(at least one of A or B)」、または等しいことには、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも一方(at least one of A and/or B)」)は、一実施形態において、少なくとも1つの(必要に応じて、1より多くを含む)Aと、Bは存在しない(および必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態において、少なくとも1つの(必要に応じて、1より多くを含む)Bと、Aは存在しない(および必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、少なくとも1つの(必要に応じて、1より多くを含む)A、および少なくとも1つの(必要に応じて、1より多くを含む)B(および必要に応じて他の要素を含む);などに言及し得る。
【0079】
「約(about)」という文言は、数字に言及して本明細書で使用される場合、本発明のさらに別の実施形態が、「約」という文言の存在によって修飾されていないその数字を含むことは、理解されるべきである。
【0080】
明らかにそうでないことが示されなければ、1より多くの工程または行為を含む、本明細書で特許請求される任意の方法において、その方法の工程または行為の順序が、その方法の工程または行為が記載される順序に必ずしも限定されないことはまた、理解されるべきである。
【0081】
請求項、および上記の明細書において、全ての移行句(例えば、「包含する、含む(comprising)」、「含む、包含する(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、「包含する、関わる(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」など)は、開放系である、すなわち、が挙げられるがこれらに限定されない、を意味すると理解されるべきである。移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」のみが、それぞれ、米国特許商標庁の特許審査基準、セクション2111.03に示されるとおり、閉鎖系または半閉鎖系の移行句であるものとする。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の構造:
【化19】
を含む第1の部分であって、
ここでR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、nは、0または正の整数である、
第1の部
分、ならびに
ホスフェート基を含む第2の部分
を有するペプチドを含む組成物であって、
ここで前記第1の部分のNおよび/またはO、ならびに前記第2の部分のホスフェート基は、ランタニドイオンを介して配位される、組成物。
(項目2)
前記ペプチドは、以下の構造:
【化20】
を含み、ここで:
Lnは、前記ランタニドイオンであり;そして
波線は、前記ペプチドへの前記構造の共有結合を示す、
項目1に記載の組成物。
(項目3)
Lnは、複数のH
2O分子にさらに配位される、項目2に記載の組成物。
(項目4)
Lnは、4個または5個のH
2O分子にさらに配位される、項目3に記載の組成物。
(項目5)
前記ランタニドイオンはユーロピウムである、項目1~4のいずれか1項に記載の組成物。
(項目6)
前記ユーロピウムイオンは、3+状態にある、項目5に記載の組成物。
(項目7)
R
1は、-Hである、項目1~6のいずれか1項に記載の組成物。
(項目8)
R
2は、-Hである、項目1~7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
R
4は、-Hである、項目1~8のいずれか1項に記載の組成物。
(項目10)
R
5は、-Hである、項目1~9のいずれか1項に記載の組成物。
(項目11)
前記構造は、1個のみの-SO
2Xを有する、項目1~10のいずれか1項に記載の組成物。
(項目12)
R
3は、-SO
2Xである、項目1~11のいずれか1項に記載の組成物。
(項目13)
Xは、-NR’R”である、項目12に記載の組成物。
(項目14)
R’およびR”は同一である、項目13に記載の組成物。
(項目15)
R’およびR”は、各々-CH
3である、項目13または14のいずれか1項に記載の組成物。
(項目16)
前記ホスフェート基は、前記ペプチド内のリン酸化したアミノ酸残基の一部である、項目1~15のいずれか1項に記載の組成物。
(項目17)
前記リン酸化したアミノ酸はセリンである、項目16に記載の組成物。
(項目18)
前記リン酸化したアミノ酸はスレオニンである、項目16に記載の組成物。
(項目19)
前記リン酸化したアミノ酸はチロシンである、項目16に記載の組成物。
(項目20)
nは0である、項目1~19のいずれか1項に記載の組成物。
(項目21)
nは1である、項目1~19のいずれか1項に記載の組成物。
(項目22)
前記構造の中の-(CH
2)
n-は、前記ペプチド内の第2のアミノ酸残基に共有結合される、項目1~21のいずれか1項に記載の組成物。
(項目23)
前記第2のアミノ酸残基はシステインである、項目22に記載の組成物。
(項目24)
前記構造の中の-(CH
2)
n-は、前記システイン残基の硫黄原子に共有結合される、項目23に記載の組成物。
(項目25)
前記第2のアミノ酸残基はグリシンである、項目22に記載の組成物。
(項目26)
前記構造の中の-(CH
2)
n-は、前記ペプチドのアミノ酸骨格に共有結合される、項目22に記載の組成物。
(項目27)
前記リン酸化したアミノ酸および前記第2のアミノ酸残基は、少なくとも1個のアミノ酸残基によって分離される、項目26に記載の組成物。
(項目28)
前記リン酸化したアミノ酸および前記第2のアミノ酸残基は、1~5個のアミノ酸残基によって分離される、項目26または27のいずれか1項に記載の組成物。
(項目29)
前記ペプチドは、15アミノ酸残基またはこれ未満の長さを有する、項目1~28のいずれか1項に記載の組成物。
(項目30)
前記ペプチドは、10アミノ酸残基またはこれより大きい長さを有する、項目1~28のいずれか1項に記載の組成物。
(項目31)
前記ペプチドは、天然のアミノ酸のみを含む、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物。
(項目32)
前記ペプチドは、少なくとも1個の非天然アミノ酸を含む、項目1~30のいずれか1項に記載の組成物。
(項目33)
前記ペプチドは、配列LVEPLTPCGEA(配列番号1)を有し、ここで前記ホスフェート基は、前記ペプチド中のスレオニン残基に共有結合され、前記構造の中の-(CH
2)
n-は、共通のペプチド中のシステイン残基に共有結合される、項目1~32のいずれか1項に記載の組成物。
(項目34)
方法であって、前記方法は、
ランタニドイオンを、第1の部
分およびホスフェート基を含む第2の部分
を含むペプチドに非共有結合的に結合する工程であって、
前記第1の部分は、以下の構造:
【化21】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの前記構造の共有結合を示す、工程;ならびに
前記構造の発光を決定して、前記ペプチドの第1の部分および第2の部分への前記ランタニドイオンの結合を決定する工程、
を包含する方法。
(項目35)
前記ペプチドは、リン酸化可能なアミノ酸残基を有する前駆体ペプチドを、前記リン酸化可能なアミノ酸残基をリン酸化し得るキナーゼに曝露して、ホスホペプチドを生成することによって調製される、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記ペプチドは、リン酸化したアミノ酸残基を有する前駆体ペプチドを、ホスファターゼを実質的に含まない溶液に曝露することによって調製される、項目34に記載の方法。
(項目37)
前記ランタニドイオンは、前記第2の部分のホスフェート基ならびに前記第1の部分の酸素原子および窒素原子に非共有結合的に結合する、項目34~36のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
前記ランタニドイオンは、前記第2の部分のホスフェート基ならびに前記第1の部分の酸素原子および窒素原子に対してキレート化される、項目37に記載の方法。
(項目39)
方法であって、前記方法は、
キナーゼを、ペプチドおよびマグネシウムイオンに曝露する工程であって、ここで前記キナーゼによる前記ペプチドのリン酸化後に、前記マグネシウムイオンは、前記ペプチドに非共有結合的に結合して、錯体を形成する工程;
前記錯体をユーロピウムイオンに曝露する工程;ならびに
前記錯体の発光を決定して、前記キナーゼによる前記ペプチドのリン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
(項目40)
前記キナーゼは、AGCキナーゼ、CaMキナーゼ、CK1キナーゼ、CMGCキナーゼ、STEキナーゼ、TKキナーゼ、またはTKLキナーゼである、項目39に記載の方法。
(項目41)
組成物であって、前記組成物は、
溶解したランタニドイオンおよび以下の構造を有する部分を含むペプチドを含む溶液であって、前記構造は、
【化22】
であって、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの共有結合を示す、
溶液を含む、組成物。
(項目42)
前記溶液は、キナーゼをさらに含む、項目41に記載の組成物。
(項目43)
前記溶液は、ホスファターゼをさらに含む、項目41または42のいずれか1項に記載の組成物。
(項目44)
方法であって、前記方法は、
キナーゼを、第1の部
分およびホスフェート基を含む第2の部分
を含むペプチドに曝露する工程であって、前記第1の部分は、以下の構造:
【化23】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの共有結合を示す、工程;ならびに
616±5nmにおいて前記構造の発光を決定することによって、前記ペプチドのリン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
(項目45)
方法であって、前記方法は、
ホスファターゼを含むと疑われる溶液を、リン酸化したペプチドおよびマグネシウムイオンに曝露する工程;
前記錯体をユーロピウムイオンに曝露する工程;ならびに
前記錯体の発光を決定して、前記ホスファターゼによる前記ペプチドの脱リン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
(項目46)
方法であって、前記方法は、
ホスファターゼを、第1の部
分およびホスフェート基を含む第2の部分
を含むペプチドに曝露する工程であって、前記第1の部分は、以下の構造:
【化24】
を有し、ここで:
R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5の各々は、独立して、水素または-SO
2Xであり、R
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5のうちの少なくとも1個は、-SO
2Xであり、ここでXは、-OR’または-NR’R”であり、R’およびR”は、各々独立して、水素またはアルキルであり、
nは、0または正の整数であり、
波線は、前記ペプチドへの共有結合を示す、工程;ならびに
616±5nmにおいて前記構造の発光を決定することによって、前記ペプチドの脱リン酸化を決定する工程、
を包含する方法。
【配列表】