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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-24
(45)【発行日】2023-09-01
(54)【発明の名称】平坦材料のプレス処理のための装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/46 20060101AFI20230825BHJP
   B29C 43/48 20060101ALI20230825BHJP
   B29C 43/52 20060101ALI20230825BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20230825BHJP
   B29C 70/50 20060101ALI20230825BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20230825BHJP
   B30B 3/00 20060101ALI20230825BHJP
【FI】
B29C43/46
B29C43/48
B29C43/52
B29C43/58
B29C70/50
B29C70/54
B30B3/00 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021530052
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 DE2019101018
(87)【国際公開番号】W WO2020108704
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-11
(31)【優先権主張番号】102018130019.0
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520512580
【氏名又は名称】アーツェーエル アーヘン ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】520512591
【氏名又は名称】ラインイッシュ-ヴェストフェーリッシェ テクニシェ ホッホシューレ(エルヴェーテーハー)アーヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】エモンツ,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】シャレス,リカルド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイラー,トマス
【審査官】小山 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0297295(US,A1)
【文献】特許第6334795(JP,B1)
【文献】特開2016-117251(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0104364(KR,A)
【文献】特開2015-080853(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011089543(DE,A1)
【文献】特開平04-071657(JP,A)
【文献】特表2013-517970(JP,A)
【文献】独国特許発明第2414762(DE,C2)
【文献】特開平5-212593(JP,A)
【文献】特開昭62-248601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
B29B 11/16
B29B 15/08-15/14
B30B 1/00-15/34
B21B 1/00-11/00
B21B 47/00-99/00
B27N 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦材料のプレス処理のための装置であって、前記装置はダブルバンドプレスである、
前記平坦材料を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向において静止し、前記平坦材料上で両面に作用する少なくとも1つのプレスローラペアと
前記平坦材料を加熱するための複数のヒータ手段であって、前記ヒータ手段の少なくとも一部は誘導的に作用する、ヒータ手段と、
を備え、
1つの前記プレスローラペアの両プレスローラ又は、複数の前記プレスローラペアのうちの少なくとも1つの前記プレスローラペアの両プレスローラは、少なくともその周囲において半径方向に弾性的に変形可能であ
前記少なくとも1つのプレスローラペアの複数のプレスローラのうちの少なくとも1つは、冷却流体の通過のための空洞を有する、
装置。
【請求項2】
平坦材料のプレス処理のための装置であって、前記装置はダブルバンドプレスである、
前記平坦材料を搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記搬送方向において静止し、前記平坦材料上で両面に作用する少なくとも1つのプレスローラペアと
前記平坦材料を加熱するための複数のヒータ手段であって、前記ヒータ手段の少なくとも一部は誘導的に作用する、ヒータ手段と、
を備え、
1つの前記プレスローラペアの両プレスローラ又は、複数の前記プレスローラペアのうちの少なくとも1つの前記プレスローラペアの両プレスローラは、少なくともその周囲において半径方向に弾性的に変形可能であ
前記少なくとも1つのプレスローラペアの複数のプレスローラのうちの少なくとも1つは、外周において、断熱層を介して保護されており、
前記断熱層は、前記プレスローラの部分的周囲まわりに別個にガイドされたベルトを介して形成されている、
装置。
【請求項3】
前記搬送方向において前後に配置された少なくとも2つの前記プレスローラペアを備える、
請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記ヒータ手段は前記ダブルバンドプレスのバンドを介して間接的に前記平坦材料上に作用する、
請求項1乃至3いずれ1項記載の装置。
【請求項5】
複数の前記ヒータ手段の少なくとも一部は、前記平坦材料の中心平面に垂直に方向づけられた磁界成分を有する磁界を生成するように、設計されている、
請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記ヒータ手段又は複数の前記ヒータ手段の少なくとも一部は、少なくとも部分的にメアンダ形状の経路を有する、
請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
複数の前記ヒータ手段の少なくとも一部は、処理されるべき平坦材料の部分セクションをU字形状に取り囲むように設計されている、
請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記搬送方向に対して平行、且つ前記プレスローラの回転軸に対して平行に延在する平坦材料の中心平面に対する前記ヒータ手段の距離を、開ループ又は閉ループ制御する制御手段を備える、
請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記搬送方向に平行に延在する、前記平坦材料の中心平面に対する前記ヒータ手段の一定の距離を確保するためのスペーサを備える、
請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項10】
少なくとも2つの前記プレスローラペアは、閉ループ制御又は開ループ制御可能であり、異なるプレス力を印加可能である、
請求項1乃至いずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプレスローラペアの複数のプレスローラのうちの少なくとも1つは、冷却流体の通過のための空洞を有する、
請求項乃至10いずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプレスローラペアの複数のプレスローラのうちの少なくとも1つは、外周において、断熱層を介して保護されている、
請求項1及び3乃至11いずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記断熱層は前記プレスローラの構成部材である、
請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記断熱層は、前記プレスローラの部分的周囲まわりに別個にガイドされたベルトを介して形成されている、
請求項12記載の装置。
【請求項15】
使用時に、冷却流体を外部から前記プレスローラの周囲へ及び/又は前記プレスローラの端面へ方向づける冷却手段を備える、
請求項1乃至14いずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による平坦材料のプレス処理のための装置に関する。
【0002】
このような装置は、例えば、プレス処理、特に連続積層及び/又は平坦な材料帯(Materialbahnen)若しくは材料セグメントの含浸に使用されることができる。この場合、プレス処理のために平坦材料を加熱するヒータ要素が設けられることもできる。この装置は、例えば、繊維強化プラスチックの製造に使用されるダブルベルトプレス(Doppelbandpresse)であり得る。
【背景技術】
【0003】
冒頭で述べたタイプの装置は、EP2540475B1から既知である。これは、2つのエンドレスなスチールベルトが駆動され、それぞれの作業区間(Arbeitstrum)で相対向して(gegeneinander)プレスされるダブルベルトプレスであり、スチールベルト間で、処理されるべき材料は、搬送方向にガイドされ、プレスされる。誘導的に作用するヒータ要素を用いて、スチールベルト及び、したがって間接的にプレスされる平坦材料は、処理のために加熱される。平坦材料は、熱可塑性プラスチックとフィラメントとの複合材料である。ヒータ要素の後方の搬送方向には、プレスドラムを備えた冷却ユニットが設けられており、これは、スチールベルトを介して平坦材料の上側及び下側面をプレスする。冷却の目的で、少なくとも1つのプレスドラムは冷却水が通されている。誘導的ヒータ要素は、ダブルベルトプレスの使用時に、ヒーティング領域において両スチールベルトをそれぞれ取り囲む。その際、ヒータ要素は、下部半体と上部半体とを有するように設計されており、それらは、接続点において一時的に互い分離され、したがって、少なくとも1つのスチールベルトの作業区間(Arbeitstrums)の開放動作を可能にする。プレスドラムはスチールベルトへの線コンタクト(Linienkontakt)を生成し、したがって、時間的及び場所的に厳しく制限された圧力適用を生成する。
【0004】
EP0236905B1から、前進する(fortschreitende)ワークピースに面プレスをかけるための装置が知られており、これはダブルベルトプレスでもある。プレス圧力は、ここでは、プレスベルトのそれぞれの作業区間の両面に配置された押圧プレートによって生成される。平坦材料の搬送は、押圧プレート上で転がり(abrollen)、それぞれの押圧プレートと関連するプレスベルトとの間でガイドされるローラストランド(Rollenstrangen)の閉じた帯を介して実現され、その際プレスベルト及びプレスベルト間に挟まれたワークピースが搬送される。そこで、ローラを、各ローラストランドにおいて、形状結合及び/又は力結合によって共に接続し、軸受け遊びを越える大きなリングギャップで軸ロッドを取り囲み、軸ロッドの軸受け部まで弾性的に変形可能であるようにする、ことが提案されている。ローラの弾性変形能力(Verformbarkeit)は、公差を補償するように作用することができる。さらに、前述のリングギャップは、押圧プレートの加熱又は冷却が行われる場合に、軸ロッドを保護するために断熱的に作用することができる。能動的加熱をどのように行うことができるかは、この先行技術には示されていない
【0005】
DE2414762C2から、平坦材料を通過させるギャップ距離を変更可能である、複数のプレスドラムペアが設けられたダブルベルトプレスが既知である。ギャップ距離は圧力を介して調整され、その圧力は、ダブルベルトプレスの較正セクションに内の圧力測定装置を用いて調整される。スチールベルトは、2つのプレスドラムペア間にそれぞれ配置され、それぞれのスチールベルト上でスライドするスライドシューを用いて、加熱されることができる。スライドシューは摩耗を引き起こし、ダブルベルトプレスの摩損を増加させる。
【0006】
WO2010/031364A1から、弾性的にフレキシブルな圧延パッドを有する回転するドラム形状の圧延ユニットが、固体土台上にあるベルト形状のワークピース上をプレスし、ワークピースが押圧の直前にレーザービームで加熱されるという、複合材料部品を製造する装置が既知である。相対向して(gegenieinander)動作するプレスローラを有するプレスローラペアは開示されていない。例えば、レーザービーム(部分)に対して透過性の圧延パッドの材料、レーザービームに対する圧延パッドの遮蔽、又は圧延パッドを通過してガイドされる冷却流体等の、入射するレーザービームによる過熱から圧延パッドを保護するための特別な対策が設けられている。ここでは、弾性的に柔軟な圧延パッドは、ベルト材料の適用の際に、3次元ワークピース表面の高さの差異を補償するために作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】EP 2 540 475 B1
【文献】EP 0236905 B1
【文献】DE 24 14 762 C2
【文献】WO2010/031364 A1
【発明の概要】
【0008】
本発明は、平坦材料に作用するプレスローラの、より好ましい圧力分布を可能にする、冒頭で述べたタイプの装置を提供するという技術的問題に基づいている。
【0009】
この課題は、冒頭で述べたタイプの装置において、請求項1の特徴的な発明特定事項によって達成される。本発明による装置の好ましい例示的な実施形態は、従属請求項から生じる。
【0010】
請求項1によれば、平坦材料のプレス処理のための装置であって、平坦材料を搬送方向に搬送する搬送手段と、搬送方向において静止し、平坦材料上で両面に作用する少なくとも1つのプレスローラペアと、を備える装置は、プレスローラペアの両プレスローラ又は、1つのプレスローラペア、又は複数のプレスローラペアうちの少なくとも1つのプレスローラペアの両プレスローラが、少なくともその周囲において(an ihrem Umfang)半径方向に弾性的に変形可能である、ことを特徴とする。
【0011】
従来技術から既知の静止したプレスローラペアにおける硬質プレスローラと比較して、弾性的変形能力は、より大きい面積へのプレス力の分布をモータらす。この面圧力(Flaechendruck)は、既知のスチールドラム又はスチールプレスローラから知られている線コンタクトと比較して、向上した圧力適用時間を有し、したがって、改良された、より均一なプレス作用が得られる。
【0012】
同様に面圧力ゾーンを生成することができる流体的圧力パッドの使用と比較しても、設備技術的なコスト(anlagentechnische Aufwand)は著しく低く、摩耗の激しいシーリングシステムが回避される。同様に考え得る、スライドプレート(Gleitplatten)の使用による面圧力ゾーンの生成は、結果として、大幅に制限されたプロセス圧力及び高められた摩耗を伴う。本発明によれば、これに対して、プレスローラの回転動作(abrollenden Bewegun)にもかかわらず、面圧力(Flaechendruck)が可能になる。
【0013】
本発明による装置は、有利には、搬送方向において前後に配置された少なくとも2つのプレスローラペアを備えるように設計されている。本発明の装置は、ダブルバンドプレスとして設計されていると、特に有利である。この場合、少なくとも1つのプレスローラペアは、間接的に、詳しくは、平坦材料上のそれぞれ1つのベルトを介して作用する。少なくとも1つのプレスローラペアのローラの弾性変形能力は、その際、使用されるベルトに対して保護的(schonend)であり、純粋な線コンタクトと比較して面圧力の利点を失わない。原則として複数のベルトのうちの少なくとも1つが駆動されるダブルベルトプレスの場合、ベルト対及び少なくとも1つのプレスローラペアが処理されるべき平坦材料を搬送するための手段を形成する。
【0014】
本発明による装置はまた、平坦材料を加熱するための少なくとも1つのヒータ要素を有することができる。ヒータ要素は通常、複合材料又はラミネートの製造に使用される。本発明には、1つ以上のヒータ要素が有用であり得る。言語的単純化のために本発明の以下の記載において、ほとんどの場合、ヒータ要素は複数形又は単数形で言及されているが、本発明は、1つのヒータ要素のみ又は複数のヒータ要素を有する対応する実施変形例にも関する。
【0015】
ダブルベルトプレスの場合、ヒータ要素はダブルベルトプレスのベルトを介して平坦材料に間接的に作用することができる。有利には、誘導ヒーティング(induktive Beheizung)が使用される。1つ以上のインダクタが、有利には平坦材料の両面に、ダブルバンドプレスの場合にはプレスバンドの作業区間の両面に配置されている。
【0016】
本発明による装置はまた、複数のヒータ手段の少なくとも一部(eine Teilanzahl der Heizmittel)が、主に、平坦材料の中心平面に垂直に方向づけられた磁界成分を有する磁界を生成するように、設計されることができる。これは、平坦インダクタ又は同様に構成されたインダクタを用いて、相応の作用で実現されることができる。例えば、ヒータ手段又はヒータ手段の少なくとも一部は、少なくとも部分的に(streckenweise)メアンダ形状の経路を有する、ように設けられている。メアンダ形状の経路は、その際、メアンダのループが使用時に、加熱されるべき平坦材料の中心平面に対して平行に延在するように設計されることができる。
【0017】
さらに、ヒータ手段の少なくとも一部が、加熱されるべき平坦材料の部分セクション(Teilstrecke)をU字形状に取り囲むように形成されて、設けられることができる。この場合、インダクタは、平坦材料の長手面の上方(ueber eine Langsseite)を作業位置へシフトされることができるように設計されることができる。平坦材料の完全な包囲が与えられていないので、電気コンタクトの開閉に関連する、同じインダクタの2つの部分の相対的な動作は必要ではない。
【0018】
ヒーティングされるべきされる物品に対するヒータ要素の作用は、物品への距離に大きく依存し得、特にこれは、誘導結合される材料との相互作用を伴う誘導的ヒーティングに重要である。誘導結合される材料とは、処理されるべき平坦材料にすることができます。しかしながら、ダブルベルトプレスの場合、誘導電流は通常、ダブルベルトプレスのベルト材料に発生し、それがひるがえって、処理されるべき平坦材料を伝導的に(konduktiv)加熱する。少なくとも1つのプレスローラペアのプレスローラの弾性変形能力は、搬送方向に平行で、プレスローラの回転軸に平行に延在する平坦材料の中心平面の位置が、この中心平面に垂直にシフトすることをもたらすことができる。シフトは、例えば、圧力形成の際に、装置内のプレスローラペアの一方のプレスローラの回転軸の位置が一定のままであり、他方のプレスローラの回転軸がシフトする場合に起こり得る。
【0019】
可能な限り良好に再現可能な平坦材料の加熱を確実にするために、本発明による装置は、少なくとも1つのヒータ要素の位置を中心平面の位置に適応させることができる手段が設けられるように設計されることが、特に有利であり得る。
【0020】
かかる適応は、少なくとも1つのヒータ要素の受動的追跡(passive Nachfuehrung)によって、例えば、平坦材料又はダブルバンドプレスの関連するベルトと、少なくとも1つのヒータ要素との間のスペーサによって行うことができる。かかるスペーサは、例えば、回転又はスライドする間隔要素を介してモータらされることができる。同時に、弾性的に作用する力は、少なくとも1つのヒータ要素を、平坦材料又はダブルベルトプレスの関連するベルトの方向に押圧することができる。平坦材料の中心平面に平行なヒータ要素のシフトを回避するために、ガイド手段が設けられることができる。
【0021】
しかしながら、本発明による装置を、ヒータ要素と平坦材料の中心平面との間の距離が、この距離の開ループ制御又は閉ループ制御のための手段によって実現されるように、設計することも有利であり得る。これらの手段には、例えば、電気モータやリニアガイドが含まれ、開ループ制御又は閉ループ制御は、プレスローラの回転軸に対する中心平面の位置を特定する距離センサからのセンサ値に基づくことができる。これには、受動的なスペーサとは異なり、加熱の程度や方法にさらに影響を与えることができるように、距離の変化を意図的にモータらすことができるという利点がある。
【0022】
本発明による装置を、少なくとも2つのプレスローラペアが、互いに異なるプレス力を印加できるように、開ループ制御又は閉ループ制御可能であるように、設計することも有利であり得る。このようにして、例えば、プレス領域の経路にわたって(ueber den Verlauf)変化する圧力を有する、さまざまな圧力プロファイルを設定することができる。
【0023】
本発明による装置はまた、少なくとも1つのローラペアのローラのうちの少なくとも1つが、冷却流体の通過のための空洞を有するように設計されることができる。これにより、プレスローラの周囲にある弾性材料が潜在的に有害な高温から保護される。
【0024】
さらに、本発明による装置を、少なくとも1つのプレスローラペアのプレスローラのうちの少なくとも1つが、外周において(am aeusseren Umfang)、断熱層によって保護されるように、設計することが有利であり得る。これにより、平坦材料又はダブルベルトプレスのベルトの温度の影響に対する、それぞれのプレスローラのさらに効果的な保護となる。断熱層は、プレスロールの固体の構成部材であり得る。あるいは、断熱層はまた、ロールの部分的周囲まわりに(um einen Teilumfang)別個にガイドされた帯を介して形成されることができる。これは、断熱層は、容易に交換されることができ、及び/又は、部分的周囲又は帯の回転時に、プレスローラから離れた冷却ゾーンを通ってガイドされることができるという利点を有する。断熱層又は断熱帯の材料は、例えば、ガラス、炭素、アラミド、玄武岩、又はデュポン(商標)のKalrez(登録商標)などの高性能エラストマー、又は、コーティングされた金属帯体からなる、テキスタイル構造であり得る。少なくともプレスローラの周囲方向における、低熱伝導率、高温度耐性、耐圧性及び耐摩耗性並びに弾性が有利である。弾性は、弾性変形可能な層の変形が、その周囲の変化をモータらし、断熱層がそれに従わなければならない場合に、特に有利である。
【0025】
さらに、本発明による装置は、使用時に、冷却流体が外部からプレスローラの周囲へ及び/又はプレスローラの端面へ方向づけられ、それによって追加の冷却作用が与えられるように設計されることができる。
【0026】
本発明による装置の有利な実施形態は、図を参照して以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ダブルベルトプレスを示す図である。
図2】ヒータ要素を有する、圧力形成前後のプレスローラペア及び処理されるべき平坦材料を、ヒータ手段トラッキング無しで(ohne Heizmittelnachfuehrung)示す図である。
図3】ヒータ要素を有する、圧力形成前後のプレスローラペア及び処理されるべき平坦材料を、ヒータ手段トラッキング有りで示す図である。
図4】スペーサによるヒータ手段トラッキングの原理を示す図である。
図5】モータ駆動されたヒータ手段トラッキングの原理を示す図である。
図6】断熱層が組み込まれたプレスローラを示す図である。
図7】偏向ローラのまわりにガイドされた別個の断熱ベルトを有するプレスローラを示す図である。
図8】2つの偏向ローラのまわりにガイドされた別個の断熱ベルトを有するプレスローラを示す図である。
図9】誘導的に作用するヒータ要素とともにワークピースを側面からの斜視図で示す図である。
図10】ワークピースを取り囲む誘導ヒータ要素を側面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、上部プレスベルト1及び下部プレスベルト2を有するダブルベルトプレスを横方向断面図で模式的に示す。エンドレスプレスベルト1又は2は、それぞれ、上部駆動ローラ3又は下部駆動ローラ4の周り、並びに上部偏向ローラ5又は下部偏向ローラ6のまわりをガイドされる。ここには図示されていない、処理されるべき平坦材料は、上部プレスベルト1の作業区間7と、下部プレスベルト2の作業区間8との間でガイドされ、回転するプレス帯1及び2によって搬送方向に(図1の左から右へ)連れて運ばれる(mitgefuehrt)。作業区間7及び8に沿って複数のプレスローラペア9が配置されており、それらによって、処理されるべき、ここでは図示されていない材料がプレスされる。さらに、図1には図示されていないヒータ要素が、作業区間7及び8に沿って、主ヒーティングゾーン10及び中間ヒーティングゾーン11に配置されており、有利には誘導的に作用する。この場合、プレスベルト1及び2の材料は誘導結合されているか、又は処理されるべき平坦材料である。複数のヒータ要素及びプレスローラペア9間のそれらの配置により、平坦材料を処理するために必要な温度を長いコースにわたって維持することができる。2対のプレスローラ9間の1つの中間ヒーティングゾーン11の、ここに示される配置は、単なる一例である。中間ヒーティングゾーン11の数及び中間ヒーティングゾーン11に隣接するプレスローラペア9の配置、例えば、個別の又はグループの2つ以上のプレスローラペア9は、ダブルベルトプレスの稼働要件に応じて異なって構成されることができる。搬送方向で見て、作業区間7及び8の端部に、任意選択的に冷却コース12が配置されている。
【0029】
図2は、上部プレスローラ13及び下部プレスローラ14を有するプレスローラペア9を概略的に示し、a)はプレス圧力を加える前の状況であり、b)は特定のプレス圧力下の状況である。平坦材料からなる処理されるべきワークピース15が、プレスローラ13と14の間に概略的に示され、図中では、ワークピース15を間に取り込むプレスベルト7及び8(図1を参照)は認識可能ではない。プレスローラ13及び14は、それらの外周に弾性変形可能な領域16を有する。2つのプレスローラ13及び14の押圧圧力は、図2に示されるように対称的に構築される。すなわち、弾性変形可能領域16の可撓性(Nachgiebigkeit)に基づいて、プレスローラ13及び14の回転軸17又は18はそれぞれ、ワークピース15に向かって同じ区間(Wegstrecke)ΔIを移動し、そのため、ワークピースの中心面19の垂直位置はプレス圧力の印加によっても15は変化しない。図2はまた、ヒート要素20の位置を概略的に示しており、それが主ヒーティングゾーン10又は中間ヒーティングゾーン11(図1参照)においてどのように設けられることができるかを示す。中心平面19に垂直なこれらのヒータ要素20間の距離は、プレス圧力の印加で生成される回転軸17及び18の位置のシフトにもかかわらず、変化しないままである。しかしながら、中心面19に対してプレスローラペア13及び14の対称的な経過を達成するために、相当の制御コストが行われなければならない。
【0030】
図3は、図2と類似の状況を示している。同じ参照符号は同じ装置要素に関連しており、したがって、図2の説明を参照することができる。部分図a)に示されるプレスローラ13及び14の開始位置は、図2a)の開始位置と同一である。1つの違いは、下部プレスローラ14の回転軸18が、図3による構成においては、その位置に固定されていることである。したがって、プレス圧力を印加するために、上部プレスローラの回転軸17のみが、下部回転軸18の方向に区間2ΔI移動する。プレスローラ13又は14の変形は、他の点では一致する構造に基づいて同じであるため、ワークピース15の中心平面19は、区間ΔIだけ、下部圧力ローラ14へ移動する。プレス圧力の適用がワークピース15に対するヒータ要素20の作用を変化させることを防ぐために、ヒータ要素20の中心平面19への距離を変化させないように、またヒータ要素20を同様に区間ΔIだけ進めるようにされている。この手段により、弾性変形可能領域16によって達成される面圧力(Flaechendruckes)の利点は、ワークピース15に対するヒータ要素20のさもなければ限定的にしか再現できない作用による制限なしに、達成される。
【0031】
図4は、2つのヒータ要素20とプレスバンド1及び2とを有するダブルベルトプレスを、材料搬送方向に垂直な断面で、概略的に示し、2つのヒータ要素20の一方はワークピース15の上に、他方はワークピース15の下にあり、プレスベルト1及び2はそれらの間にワークピース15を受け入れる。複数のヒータ要素20は、ダブルベルトプレスの稼働中に、それぞれのヒータ要素20と関連するプレスベルト1又は2との間で、可能な限り一定の距離が与えられるように止め具21に保持される。この目的のために、ここでは例示的にスペーサ23が設けられている。それぞれのプレスベルト1又は2の可能な垂直方向の動きに追随できるようにするために、ヒータ要素20は、ここではそれぞれバネ要素22によってシンボル化されている力で、関連するプレスベルト1又は2の方向に押される。この力は、ヒータ要素20の上部については、その重量及び重力に対抗する支持力から構成されることができ、支持力は、上部プレスベルト1の負荷を低減することを目的としている。スペーサ23は、好ましくは、それぞれのヒータ要素20に固定され、関連するプレスベルト1又は2上で回転する(abrollen)ことができる。もちろん、代替的に又は付加的に、スライディングスペーサを設けることもできる。ガイド要素24は、ホルダー21をガイドするために設けられる。
【0032】
図5はまた、ダブルベルトプレスを断面で示し、ここでは、図4とは異なり、ヒータ要素20と、プレスベルト1及び2間に配置されたワークピース15と、の間の距離が電気モータ25及びリニアガイド26によって設定される。例えば、機械的、光学的又は容量的に測定する距離センサ27からのセンサ値は、開ループ制御又は閉ループ制御装置28を介して行われる電気モータ25の開ループ制御又は閉ループ制御のための基本変数として機能する。
【0033】
図6は、上部プレスベルト1を押圧するプレスローラ29を模式的に示し、プレスポーラ29は、その外周に固定的に配置され、プレスローラの弾性変形可能領域31上に直接適用される断熱層30を有する。弾性変形可能領域31は、また、それと比較して剛性である材料、例えばステンレス鋼、からなる中空シリンダ33を取り囲む。中空シリンダ33の内部空洞32は、冷却流体を通過流に使用することができる。例えばシリコーンで作られた弾性変形可能領域31は、例えば、1から20mm、好ましくは5から15mmの厚さ、および例えば20ショアA~65ショアA、好ましくはの50ショアA~60ショアAの硬度を有することができる
【0034】
図7は、プレスローラ34を示し、ここでは、断熱層が周囲全体に固定されていないが、円周の一部のみが弾性変形可能領域36上に載っており、その他はプレスローラ34に対して距離を伴って偏向ローラ37を介してガイドされている巻き回しベルト(umlaufendes Band)35によって実現される。プレスローラ34と偏向ローラ37との間の離間領域では、バンド35を別個に冷却する改善された可能性が生じる。さらに、ロック取付ベルト(verschliesbehaftete Band)35は容易に交換可能である。図8は、図7に類似のさらなる変形例を示し、ここでは、ベルト35が2つの偏向ローラ37を介してガイドされており、それにより、ベルト35のプレスローラ34とのより小さい巻き付け角度が実現され、より良い冷却可能性が与えられ得る。詳細については、図7の説明を参照されたい。
【0035】
プレスローラは必ずしも中空シリンダである必要はないことが、すべての実施形態に適用される。冷却流体用の通路がある場合とない場合の他の形状も考えられる。
【0036】
図9は、処理されるべきワークピース15を斜視図で示しており、ここで、ダブルベルトプレスからは、主ヒーティングゾーン10内に配置され、誘導的に作用する第1ヒータ要素35のみが示されており、第1ヒータ要素35は接続要素42と、それぞれ中間ヒーティングゾーン11内に配置され、誘導的に作用し、集合接続要素43を有する、さらなるヒータ要素39、40又は41と、を有する。主ヒーティングゾーン10では、第1ヒーティング要素38は、複数のヒーティングループ内で、一方ではワークピース15の上部に、他方ではワークピース15の下部に、ガイドされる。中間ヒーティングゾーン11では、第2ヒーティング要素39、第3ヒーティング要素40及び第4ヒーティング要素41はそれぞれ、ワークピース15の上部に1つのヒーティングループ及びワークピース15の下部に1つのヒーティングループを有する。中間ヒーティングゾーン11ではそれぞれ1つ以上のヒーティングループ、及び、異なる中間ヒーティングゾーン11では異なる数のヒーティングループが考えられる。ヒータ要素39、40及び41は、図9のように、集合接続要素43を介して、ここでは図示されていない、好ましくは制御可能な交流電源を介して、給電されるか、又は集合接続要素無して、個別に直性それぞれ1つの制御可能な交流電源で給電され、冷却水が供給される。集合接続要素無しの場合は、個別の電力制御、及び、したがってヒーティングゾーン11における個別の加熱の利点を提供する。
【0037】
図10は、ワークピース15の周りにガイドされる第1ヒータ要素38を接続要素42と共に側面図で示す。図9及び図10の表現は、特に接続要素42においてわずかに異なるが、これは、ここではいかなる重要性も意図されていない。接続要素42は、集合接続要素43(図9)のように、ここには示されていない、好ましくは制御可能な交流電流源へのコンタクトのために準備されている。第1ヒータ要素38のヒータループは、互いに平行に延在する、電気絶縁性材料からなる、2つのクロスコネクタ44によって、相互に機械的に安定化されている。
【0038】
第1ヒータ要素38の上部ループと下部ループとの間の電気的接続は、2つの移行ピース(Uebergangsstuecke)45によって実施され、これらはそれぞれ、接続要素42に対向する側のワークピース15のエッジまわりにガイドされる。移行ピース45とは反対側の面上において、第1ヒータ要素38はオープンであり、したがって、ワークピース15を介して側方からガイドされることができるか、又は、ワークピース15が側面から挿入されることができ、その結果、第1ヒータモジュール38の保守又は交換ワーク15がダブルベルトプレス内にある場合でも可能になる。
【0039】
ワークピースの上部及び下部にある第1ヒータ要素38のループの図示された経過は、第1ヒータ熱要素38の稼働中に生成される磁場がワークピース15の中心平面に垂直に方向づけられる結果をモータらし、すなわち、横方向磁場が発生する。そのような横方向磁場は、平坦材料を加熱する場合に、すなわち、材料厚さに対して材料幅の比が大きい場合に、中心平面に平行に延在する縦方向の磁場よりも、技術的および経済的に効率的である可能性がある
【0040】
第1の加熱要素38に関する実施形態は、中間ヒーティングゾーン11内のさらなるヒータ要素39、40、及び41にも相応の方法で適用される。
【0041】
もちろん、ヒータ要素の他の実施形態の変形例も可能であり、例えば、ワークピース15の下部に延在する部分及びワークピースの上部に延在する部分が、例えば、図5による実施形態を実施することができるようにするために、少なくとも特定の区間にわたって互いに独立して移動することができるもの、である。この目的のために、たとえば、両部材を別個の接続要素に割り当てることができるか、又は、両部材間の電気的接続は、フレキシブル又は長さ変更可能な移行ピースを介して行われる。ヒータ要素の垂直方向の動きは、ヒータ要素とワークピースとの間のほぼ一定の距離を確保するために、mm又はcmの範囲の短い区間のみを必要とすることに留意されたい(例えば、図4および5を参照)。
【符号の説明】
【0042】
1 上部プレスバンド(Oberes Pressenband)
2 下部プレスバンド(Unteres Pressenband)
3 上部駆動ローラ(Obere Antriebsrolle)
4 下部駆動ローラ(Untere Antriebsrolle)
5 偏向ローラ(Umlenkrolle)
6 偏向ローラ(Umlenkrolle)
7 上部プレスバンドの作業区間(Arbeitstrum oberes Pressenband)
8 下部プレスバンドの作業区間(Arbeitstrum unteres Pressenband)
9 プレスロールペア(Pressrollenpaar)
10 主ヒーティングゾーン(Hauptheizzone)
11 中間ヒーティングゾーン(Zwischenheizzone)
12 冷却コース(Kuehlstrecke)
13 上部プレスローラ(obere Pressrolle)
14 下部プレスローラ(untere Pressrolle)
15 ワークピース(Werkstueck)
16 弾性変形領域(elastisch verformbarer Bereich)
17 回転軸(Drehachse)
18 回転軸(Drehachse)
19 中心平面(Mittelebene)
20 ヒータ要素(Heizelement)
21 止め具(Halterung)
22 バネ要素(Federelement)
23 スペーサ(Abstandshalter)
24 ガイド要素(Fuehrungselement)
25 電気モータ(Elektromotor)
26 リニアガイド(Linearfuhrung)
27 間隔センサ(Abstandssensoren)
28 開ループ制御装置/又は閉ループ制御装置(Steuer-/oder Regeleinrichtung)
29 プレスローラ(Pressrolle)
30 断熱層(waermeisolierende Schicht)
31 弾性変形可能領域(elastisch verformbarer Bereich)
32 空洞(Hohlraum)
33 中空シリンダ(Hohlzylinder)
34 プレスローラ(Pressrolle)
35 ベルト(Band)
36 弾性変形可能領域(elastisch verformbarer Bereich)
37 偏向ローラ(Umlenkrolle)
38 第1ヒータ要素(erstes Heizelement)
39 第2ヒータ要素(zweites Heizelement)
40 第3ヒータ要素(drittes Heizelement)
41 第4ヒータ要素(viertes Heizelement)
42 接続要素(Anschlusselement)
43 集合接続要素(Sammelanschlusselement)
44 クロスコネクタ(Querverbinder)
45 移行ピース(Uebergangsstuck)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10