(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-25
(45)【発行日】2023-09-04
(54)【発明の名称】ガラス板の端面加工装置及びガラス板の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 7/24 20060101AFI20230828BHJP
B24B 9/10 20060101ALI20230828BHJP
C03C 19/00 20060101ALI20230828BHJP
【FI】
B24B7/24 A
B24B9/10 D
C03C19/00 Z
(21)【出願番号】P 2019069865
(22)【出願日】2019-04-01
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】伊吹 真澄
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139785(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187400(WO,A1)
【文献】特開昭61-065763(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04417208(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/022389(WO,A1)
【文献】特開昭57-033955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/24
B24B 9/10
C03C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板の端面を加工具で加工するガラス板の端面加工装置であって、
前記加工具を支持する揺動可能なアーム部材と
、前記加工具を前記ガラス板の端面から引き離す成分を含む付勢力又は前記加工具を前記ガラス板の端面に押し当てる成分を含む付勢力を前記アーム部材
に常に
付与する付勢装置と、
前記付勢力に抗しながら、前記加工具が前記ガラス板の端面を加工するための駆動力を発生させて前記アーム部材を揺動させるアクチュエータと、を備えていることを特徴とするガラス板の端面加工装置。
【請求項2】
前記付勢装置は、前記加工具を前記ガラス板の端面から引き離す方向に前記アーム部材を付勢していることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の端面加工装置。
【請求項3】
前記付勢装置が、前記アーム部材を付勢するための付勢力を発生するバネを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の端面加工装置。
【請求項4】
前記付勢装置が、前記アーム部材を付勢するための付勢力を発生するシリンダを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の端面加工装置。
【請求項5】
前記付勢装置は、前記アクチュエータの出力が定格トルクの10%以上となるように付勢力を付与することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のガラス板の端面加工装置。
【請求項6】
端面加工装置によりガラス板の端面を加工具で加工する端面加工工程を備えたガラス板の製造方法であって
、
前記端面加工工程では、
請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス板の端面加工装置を用いて、前記ガラス板の端面を加工することを特徴とするガラス板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の端面加工装置及びガラス板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ等の生産効率に対する改善要請に応じるべく、当該ディスプレイ等に使用されるガラス基板の製造効率に対する改善要求が高まっている。ここで、ガラス基板の製造では、大型のガラス原板(成形原板)から一枚又は複数枚のガラス基板を切り出すことが行われている。これにより、所望の寸法のガラス基板が取得できる。
【0003】
一方で、ガラス原板から切り出されたガラス基板の端面は、通常、切断面又は折割面となるため、微小な傷(欠陥)が存在することが多い。ガラス基板の端面に傷があると、その傷から割れ等が発生するため、これを防止するためにガラス基板の端面に対して研削加工(粗加工)と研磨加工(仕上げ加工)とが施される。
【0004】
この種の端面加工に用いられるガラス板の端面加工装置として、例えば特許文献1には、加工具を支持する揺動可能なアーム部材と、このアーム部材を介して加工具からガラス板の端面に作用する押圧力を発生するアクチュエータ(押圧力発生要素)と、を備えた、いわゆる定圧式と呼ばれる端面加工装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に定圧式の端面加工装置では、加工具の押圧力を小さくする必要がある場合に、アクチュエータの出力(駆動力)も必然的に小さくなる。しかしながら、アクチュエータの出力は、定格出力に比べて小さすぎると安定しないという問題がある。その結果、加工具の押圧力及び/又は位置が不当に変動し続け、ガラス板の端面の加工品位が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、ガラス板の端面に対する加工具の押圧力が小さい場合であっても、ガラス板の端面の加工品位を良好に維持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、ガラス板の端面を加工具で加工するガラス板の端面加工装置であって、加工具を支持する揺動可能なアーム部材と、アーム部材が揺動するための駆動力を発生するアクチュエータと、アーム部材を付勢する付勢装置と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
このようにすれば、ガラス板の端面に対する加工具の押圧力が小さい場合でも、付勢装置の付勢力を打ち消すために、アクチュエータ(例えばサーボモータなど)の駆動力が大きくなるため、アクチュエータの出力が安定する。したがって、加工具の押圧力及び/又は位置が安定し、ガラス板の端面の加工品位を良好に維持できる。
【0010】
上記の構成において、付勢装置は、加工具をガラス板の端面から引き離す方向にアーム部材を付勢していることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、アクチュエータが停止した場合に、付勢装置の付勢力によって加工具がガラス板の端面から自動的に引き離されるため、ガラス板の破損を防止できる。
【0012】
上記の構成において、付勢装置は、アーム部材を付勢するための付勢力を発生するバネであってもよい。
【0013】
このようにすれば、バネは安価で耐久性があるため、設備コスト及びランニングコストを低減できる。
【0014】
上記の構成において、付勢装置は、アーム部材を付勢するための付勢力を発生するシリンダであってもよい。
【0015】
このようにすれば、シリンダは伸縮しても付勢力が変化し難いため、アーム部材を付勢する力を一定にし易くなる。
【0016】
上記の構成において、端面加工装置によりガラス板の端面を加工具で加工する端面加工工程を備えたガラス板の製造方法であって、端面加工装置は、加工具を支持する揺動可能なアーム部材と、アーム部材が揺動するための駆動力を発生するアクチュエータと、を備え、端面加工工程では、アーム部材を付勢することを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、端面加工工程において、上述した同様の理由により、アクチュエータの出力が安定するため、ガラス板の端面の加工品位を良好に維持できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガラス板の端面に対する加工具の押圧力が小さい場合であっても、ガラス板の端面の加工品位を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第一実施形態に係るガラス板加工装置を示す平面図である。
【
図2】第一実施形態に係るガラス板加工装置の一部の平面図である。
【
図3】第二実施形態に係るガラス板加工装置の一部の平面図である。
【
図4】第三実施形態に係るガラス板加工装置の一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、第二実施形態以降においては、その他の実施形態と共通する構成は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0021】
(第一実施形態)
図1に示すように、第一実施形態に係る端面加工装置1は、加工具としての砥石2を回転駆動するモータ3と、砥石2を回転可能に支持するアーム部材4と、アーム部材4が揺動するため(砥石2がガラス板Gの端面Eを押圧するため)の駆動力を発生するアクチュエータとしてのサーボモータ5と、サーボモータ5の駆動力をアーム部材4に伝達するリンク機構6と、アーム部材4を付勢する付勢装置7と、を備える。
【0022】
砥石2を回転駆動するモータ3には、同期モータ、インダクションモータ、サーボモータ等が使用され得るが、これに限定されない。
【0023】
アーム部材4は、支持軸部材8によって回転自在に支持されており、支持軸部材8を中心として揺動可能である。アーム部材4が揺動する方向には、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向と、砥石2がガラス板Gの端面Eに対して押し当てられる方向とがある。支持軸部材8は、アーム部材4の中間部分を支持している。アーム部材4の一端部はモータ3を支持しており、このモータ3を介して砥石2が支持されている。アーム部材4の他端部は、リンク機構6に連結されている。なお、図示は省略するが、アーム部材4の揺動軌道上には、アーム部材4の揺動範囲を規制するストッパが設けられている。ストッパは、砥石2がガラス板Gの端面Eと接触している間、アーム部材4から退避可能である。
【0024】
アーム部材4が揺動するための駆動力を発生するサーボモータ5は、正逆方向に回転可能なモータ軸5aと、制御部5bと、を備え、フィードバック制御が行われるようになっている。
【0025】
リンク機構6は、第一リンク部材6aと、第二リンク部材6bと、をそれぞれ揺動可能に備える。本実施形態では、第一リンク部材6aは、その一端部がサーボモータ5のモータ軸5aに固定され、その他端部が第一ジョイント6cを介して第二リンク部材6bの一端部に揺動自在に連結されている。つまり、第一リンク部材6aは、モータ軸5aの回転により、モータ軸5aを中心として揺動する。第二リンク部材6bの他端部は、第二ジョイント6dを介してアーム部材4の他端部に揺動自在に連結されている。本実施形態では、第二ジョイント6dの中心、支持軸部材8の中心及び砥石2の回転軸2aの中心が同一直線上に配列されている。なお、サーボモータ5とアーム部材4とを直接連結し、リンク機構6を省略してもよい。
【0026】
付勢装置7は、サーボモータ5の駆動力によりアーム部材4が揺動する方向に付勢する付勢力を発生するための引張バネ7aを備える。引張バネ7aは、一端がアーム部材4の受け部4aに取り付けられ、他端が端面加工装置1のベース部9等に取り付けられている。本実施形態では、引張バネ7aは、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向にアーム部材4を引き込んでいる。つまり、引張バネ7aは、砥石2がガラス板Gの端面Eに対して押し当てられる方向に移動するようにアーム部材4が揺動する際に、その揺動動作に対して抵抗を与える。
【0027】
引張バネ7aのアーム部材4への取付位置(連結位置)は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、支持軸部材8と砥石2の回転軸2aとの間の中央位置よりも支持軸部材8寄りの位置に設定されている。このように引張バネ7aの取付位置を支持軸部材8に近接させた理由は、アーム部材4の揺動に伴う引張バネ7aの伸縮量の変化を小さくすることにより、引張バネ7aの付勢力の変動を低減するためである。なお、引張バネ7aのアーム部材4への取付位置は、支持軸部材8の近傍であれば、支持軸部材8と第二ジョイント6dとの間の中央位置よりも支持軸部材8寄りの位置であっても同様の効果が得られる。
【0028】
図2に示すように、サーボモータ5のモータ軸5aが反時計回りに回転すると、リンク機構6によってアーム部材4も支持軸部材8を中心に反時計回りに回転する。これに伴い、砥石2がガラス板Gの端面Eに対して押し当てられる方向に移動し、砥石2がガラス板Gの端面Eを押圧する力が増加する。一方、
図2とは反対にサーボモータ5のモータ軸5aが時計回りに回転すると、リンク機構6によってアーム部材4も支持軸部材8を中心に時計回りに回転する。これに伴い、砥石2がガラス板Gの端面Eに対して引き離される方向に移動し、砥石2がガラス板Gの端面Eを押圧する力が減少する。
【0029】
制御部5bは、フィードバック制御により、サーボモータ5のモータ軸5aの速度、トルク及び位置を監視する。この速度、トルク及び位置に応じてサーボモータ5のモータ軸5aを正逆方向に回転させることにより、砥石2の位置や押圧力を制御する。
【0030】
砥石2は、例えば、端面Eの面取りを主たる目的とする研削用の砥石でもよいし、端面Eの微小な凹凸を均すことを主たる目的とする研磨用の砥石でもよい。研磨用の砥石における砥粒の粒度は、研削用の砥石における砥粒の粒度と同じか、それよりも大きい。研削用の砥石における砥粒の粒度は、例えば#100~#1000とすることができ、研磨用の砥石における砥粒の粒度は、例えば#200~#1000とすることができる。砥石2の直径は、例えば100~200mmである。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では、2つの端面加工装置1が、ガラス板Gを挟んで対向する位置に配置されている。つまり、ガラス板Gの対向する二辺の端面Eをそれぞれ同時に端面加工するようになっている。なお、ガラス板Gの一辺に複数の端面加工装置1を配置してもよい。この場合、各端面加工装置1の砥石2の種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、端面Eを先に加工する上流側の端面加工装置1の砥石2を研削用の砥石とし、これに追随して端面Eを後から加工する下流側の端面加工装置1の砥石2を研磨用の砥石としてもよい。
【0032】
端面加工装置1の加工対象となるガラス板Gは、例えば矩形の板形状を有している。ガラス板Gの厚み寸法は例えば0.05mm~10mmであることが好ましく、0.2mm~0.7mmであることがより好ましい。もちろん、本発明を適用可能なガラス板Gは上記形態には限定されない。例えば矩形以外の形状(例えば多角形)を有するガラス板や、厚み寸法が0.05mm~10mmを外れるサイズのガラス板に対しても本発明を適用し得る。
【0033】
ガラス板Gは砥石2に対して所定の送り方向Xに沿って相対的に移動し得る。なお、
図1では、ガラス板Gが送り方向Xに移動し、砥石2は固定される場合を示している。もちろん、ガラス板Gが固定され、砥石2が送り方向Xとは逆向きに移動してもよいし、ガラス板Gと砥石2の双方が移動してもよい。
【0034】
次に、上記の構成の端面加工装置1を用いたガラス板の製造方法を説明する。
【0035】
本実施形態に係る製造方法は、ガラス板Gを準備する準備工程と、準備したガラス板Gの端面Eを加工する端面加工工程と、を備える。なお、端面加工工程後にガラス板Gの洗浄、検査、梱包等の工程を行ってもよい。端面加工工程は、単独でも実施できる。
【0036】
準備工程では、まず、公知の成形方法によって成形原板を得る。その後、その成形原板を所定寸法で切り出すことによって、端面加工装置1の加工対象となるガラス板Gを得る。成形方法としては、例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、リドロー法などのダウンドロー法や、フロート法が利用できる。中でも、オーバーフローダウンドロー法は、両側の表面が火造り面となって高い表面品位を実現できるため好ましい。ガラス板Gは例えば液晶ディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用のガラス基板に利用される。
【0037】
端面加工工程では、まず回転した状態の砥石2をサーボモータ5の回転によって所定の位置に配置する。この状態で、ガラス板Gを送り方向Xに沿って搬送し、砥石2をガラス板Gの端面Eに接触させる。この加工開始時(符号Eaで示す部分の加工時)に、砥石2とガラス板Gの端面Eの接触に伴う衝撃により、砥石2がガラス板Gから離れようとする。これに対応するため、制御部5bがサーボモータ5のモータ軸5aの速度及びトルクのフィードバック制御(例えばPID制御)を行う。具体的には、制御部5bが、サーボモータ5のモータ軸5aの速度に基づいて砥石2と共に移動するアーム部材4の動きを検出する。この検出結果に応じて、制御部5bは、アーム部材4の移動を抑制するように、サーボモータ5のモータ軸5aの速度及びトルクを制御する。これにより、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れないように、砥石2の押圧力が調整される。そのため、加工開始時における砥石2のバウンドを防止できる。
【0038】
また、ガラス板Gの端面Eのうちで搬送方向の中間部分(符号Eaで示す部分と符号Ebで示す部分の間の部分)の加工でも、サーボモータ5のモータ軸5aの速度及びトルクのフィードバック制御を行う。その際、速度制御とトルク制御の比率を変更し、トルク制御の比率を高くする。この比率の変更は、ゲインの設定を変更することで実施できる。これにより、サーボモータ5のモータ軸5aのトルクを略一定に制御することで砥石2の押圧力を略一定にでき、ガラス板Gの端面Eの加工量を搬送方向で一定に維持できる。
【0039】
上記の端面加工が終了すると、砥石2とガラス板Gの端面Eとの接触が解除されるので、サーボモータ5のモータ軸5aのトルクが急激に減少する。そのため、加工終了時(符号Ebで示す部分の加工時)は、砥石2の位置が一定となるように制御部5bがサーボモータ5のモータ軸5aの速度及びトルクのフィードバック制御を行う。なお、制御部5bによる上記の制御方法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0040】
図2に示すように、端面加工工程では、サーボモータ5のモータ軸5aが反時計回りに回転し、砥石2をガラス板Gの端面Eに対して押し当てる方向に移動させる場合(砥石2の押圧力を増加させる場合)と、図示は省略するが、サーボモータ5のモータ軸5aが時計回りに回転し、砥石2をガラス板Gの端面Eに対して引き離す方向に移動させる場合(砥石2の押圧力を減少させる場合)とがある。
【0041】
いずれの場合でも、サーボモータ5は、砥石2の押圧力を発生させるためのトルクに加えて、付勢装置7からの抵抗に抗するためのトルクを付与することになる。したがって、ガラス板Gの端面Eに対する砥石2の押圧力が小さい場合であっても、サーボモータ5の出力を大きくできるため、サーボモータ5の出力が安定する。その結果、砥石2の押圧力及び/又は位置が安定し、ガラス板Gの端面Eの加工品位を良好に維持できる。
【0042】
ここで、付勢装置7による付勢力は、サーボモータ5の出力が定格トルクの10%以上となるように調整することが好ましい。サーボモータ5の出力は定格トルクの15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。また、付勢装置7による付勢力は、サーボモータ5の出力が定格トルクの90%以下となるように調整することが好ましい。サーボモータ5の出力は定格トルクの85%以下であることがより好ましく、80%以下であることが更に好ましい。ここで、サーボモータ5の出力は、例えば、砥石2がガラス板Gの端面Eと接触している時、又は、砥石2がガラス板Gの端面Eと非接触な状態でアーム部材4がその揺動を規制するストッパと接触している時の値である。
【0043】
(第二実施形態)
図3に示すように、第二実施形態に係る端面加工装置1が、第一実施形態に係る端面加工装置1と相違するところは、付勢装置7が、引張バネ7aに代えて、サーボモータ5の駆動力によりアーム部材4が揺動する方向に付勢する付勢力を発生するための圧縮バネ7bを備える点である。
【0044】
本実施形態では、圧縮バネ7bは、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向にアーム部材4を押し込むように付勢力を発生させる。
【0045】
(第三実施形態)
図4に示すように、第三実施形態に係る端面加工装置1が、第一及び第二実施形態に係る端面加工装置1と相違するところは、付勢装置7が、バネ7a,7bに代えて、サーボモータ5の駆動力によりアーム部材4が揺動する方向に付勢する付勢力を発生するためのシリンダ7cを備える点である。
【0046】
本実施形態では、シリンダ7cは、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向にアーム部材4を引き込むように付勢力を発生させる構成であるが、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向にアーム部材4を押し込むように付勢力を発生させる構成であってもよい。このようにシリンダ7cを用いれば、アーム部材4の揺動動作によって揺動角が変化しても、付勢力がバネに比べて変動し難いという利点がある。
【0047】
シリンダ7cは、例えば、空気式シリンダ、油圧式シリンダ、電動シリンダなどを採用できる。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、もちろん本発明に係るガラス板の端面加工装置及び製造方法はこの形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の形態をとることが可能である。
【0049】
上記の実施形態では、アーム部材4において、第二ジョイント6d、支持軸部材8及び砥石2の回転軸2aが、同一直線上に配列される場合を説明したが、第二ジョイント6dの中心と支持軸部材8の中心とを結ぶ直線と、支持軸部材8の中心と砥石2の回転軸2aの中心とを結ぶ直線とが、同一直線上に配列されずに180°未満のなす角を有していてもよい。
【0050】
上記の実施形態では、加工具として砥石2を例示したが、加工具はガラス板Gの端面Eを加工し得るものであれば砥石以外であってもよい。
【0051】
上記の実施形態では、付勢装置7が、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向にアーム部材を付勢するが、砥石2がガラス板Gの端面Eに対して押し当てられる方向にアーム部材を付勢してもよい。この場合、付勢装置7による押し当てる方向のトルクに対抗するために、サーボモータ5は、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向のトルクを発生させることになる。より詳細には、サーボモータ5は、付勢装置7からの抵抗に抗するためのトルクから砥石2の押圧力を発生させるためのトルクを差し引いたトルクを付与することになる。この形態であっても、付勢装置7からの抵抗に抗するためのトルクを適切に設定すれば、ガラス板Gの端面Eに対する砥石2の押圧力が小さい場合であっても、サーボモータ5の出力を大きくできる。
【0052】
上記の本実施形態では、付勢装置7が付勢する方向は、アーム部材4が揺動する方向と略一致するが、砥石2がガラス板Gの端面Eから離れる方向にアーム部材4を引き込めれば、或いは、砥石2がガラス板Gの端面Eに対して押し当てられる方向にアーム部材を押し込めれば、付勢装置7が付勢する方向は、アーム部材4が揺動する方向に対して傾斜していてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、アクチュエータとしてモータ軸5aを有するサーボモータ5を例示したが、アクチュエータは、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、電気機械アクチュエータ等、サーボモータ以外の公知のアクチュエータであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 端面加工装置
2 砥石(加工具)
3 モータ
4 アーム部材
5 サーボモータ(アクチュエータ)
5a モータ軸
5b 制御部
6 リンク機構
6a 第一リンク部材
6b 第二リンク部材
6c 第一ジョイント
6d 第二ジョイント
7 付勢装置
7a 引張バネ
7b 圧縮バネ
7c シリンダ
8 支持軸部材
G ガラス板
E 端面